JP6925538B2 - プラズマ発生装置とプラズマヘッド冷却方法 - Google Patents

プラズマ発生装置とプラズマヘッド冷却方法 Download PDF

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Description

本開示は、プラズマヘッドを冷却するプラズマ発生装置とプラズマヘッド冷却方法に関するものである。
従来より、プラズマ発生装置とプラズマヘッド冷却方法に関し、プラズマヘッドを冷却する技術が種々提案されている。
例えば、下記特許文献1に記載の大気圧プラズマ発生装置では、電極への電圧の印加が停止した後に、設定時間が経過したことを条件として、反応室への不活性ガスの供給が停止する。つまり、電極への電圧の印加が停止し、放電が消滅した後も、不活性ガスは、設定時間、反応室に供給される。これにより、電極の酸化を防止することが可能となる。
国際公開第2014/188592号公報
その後、電極や反応室を含む躯体が冷却されると、ユーザによるメンテナンスが可能となるが、更に好適に、躯体が冷却されることが望まれていた。
そこで、本開示は、上述した点を鑑みてなされたものであり、プラズマヘッドの適切な冷却を行うことが可能なプラズマ発生装置とプラズマヘッド冷却方法を提供することを課題とする。
本明細書は、プラズマ化されたプラズマガスを放出するプラズマヘッドと、プラズマガスとなるガスをプラズマヘッドに供給するガス供給装置と、プラズマヘッドに設けられ、ガス供給装置から供給されたガスの一部に放電してプラズマガスとする1対の電極と、プラズマヘッドに設けられ、プラズマヘッドの温度を計測する温度センサと、制御装置と、を備え、制御装置は、1対の電極による放電を停止させた後において、温度センサが所定値以下の温度を計測するまで、ガス供給装置によるガスの供給を継続させて、プラズマヘッドの冷却を行う冷却処理を実行するプラズマ発生装置を開示する。
本開示によれば、プラズマ発生装置は、プラズマヘッドの適切な冷却を行うことが可能である。
大気圧プラズマ発生装置のプラズマヘッドを示す斜視図である。 大気圧プラズマ発生装置のプラズマヘッドの下端部を示す斜視図である。 大気圧プラズマ発生装置のプラズマヘッドの要部を示す断面図である。 大気圧プラズマ発生装置の制御系統を示すブロック図である。 ヒータ暖機方法の制御プログラムを示すフローチャートである。 暖機運転中におけるヒータの温度上昇過程の一例を示す図である。 第1温度とヒータの下限温度との対応関係の一例を示す図である。 プラズマヘッド冷却方法の制御プログラムを示すフローチャートである。 産業用ロボットに取り付けられた大気圧プラズマ発生装置の概略構成を示す図である。
全体構成
大気圧プラズマ発生装置は、大気圧下でプラズマを発生させるための装置である。図9に示すように、大気圧プラズマ発生装置10は、プラズマヘッド18、制御装置16、電力ケーブル140、及びガス配管180等を備える。大気圧プラズマ発生装置10は、制御装置16から電力ケーブル140を介してプラズマヘッド18に電力を伝送し、ガス配管180を介して処理ガス等を供給し、プラズマヘッド18からプラズマガスを照射させる。プラズマヘッド18は、産業用ロボット200のロボットアーム201の先端に取り付けられている。電力ケーブル140及びガス配管180は、ロボットアーム201に沿って取り付けられている。ロボットアーム201は、2つのアーム部205,205を1方向に連結させた多関節ロボットである。産業用ロボット200は、ロボットアーム201を駆動してプラズマヘッド18を移動させ、ワーク台5が支持するワークWにプラズマガスを照射する作業を行う。制御装置16は、処理ガス供給装置74及び加熱用ガス供給装置86を有する。処理ガス供給装置74は、窒素等の不活性ガスと酸素等の活性ガスとの少なくとも一方を処理ガスとして供給する。加熱用ガス供給装置86は、酸素等の活性ガス、若しくは、窒素等の不活性ガスを供給する。また、制御装置16には、表示装置115を備える。表示装置115は、各種の情報等が表示される画面を備える。
プラズマヘッド18の構成
図1に示すように、プラズマヘッド18は、プラズマガス噴出装置12と加熱ガス噴出装置14とを備えている。以下の説明において、プラズマヘッド18の幅方向をX方向と、プラズマヘッド18の奥行方向をY方向と、X方向とY方向とに直行する方向、つまり、上下方向をZ方向と称する。
プラズマガス噴出装置12は、ハウジング20、カバー22、1対の電極(図3,4参照)24,26によって構成されている。図3に示すように、ハウジング20は、メインハウジング30、放熱板31、アース板32、下部ハウジング34、ノズルブロック36を含む。メインハウジング30は、概してブロック状をなし、メインハウジング30の内部には、反応室38が形成されている。また、メインハウジング30には、上下方向に延びるように、複数の第1ガス流路(図3では1本の第1ガス流路のみが記されている)50が形成されており、複数の第1ガス流路50は、X方向(図3では、紙面に対して垂直方向)に所定の間隔をおいて並んでいる。各第1ガス流路50の上端部は、反応室38に開口し、下端部は、メインハウジング30の底面に開口している。
放熱板31は、メインハウジング30のY方向における一方側の側面に配設されている。放熱板31は、複数のフィン(図示省略)を有しており、メインハウジング30の熱を放熱する。また、アース板32は、避雷針として機能するものであり、メインハウジング30の下面に固定されている。アース板32には、複数の第1ガス流路50に対応して、上下方向に貫通する複数の貫通穴56が形成されており、各貫通穴56は、対応する第1ガス流路50に連結されている。
下部ハウジング34は、ブロック状をなし、アース板32の下面に固定されている。下部ハウジング34には、複数の貫通穴56に対応して、複数の第2ガス流路62が上下方向に延びるように形成されている。各第2ガス流路62の上端部は、対応する貫通穴56に連結され、下端部は、下部ハウジング34の底面に開口している。
図2に示すように、ノズルブロック36は、下部ハウジング34の下面に固定されており、下部ハウジング34の複数の第2ガス流路62に対応して、複数の第3ガス流路66が、上下方向に延びるように形成されている。各第3ガス流路66の上端部は、対応する第2ガス流路62に連結され、下端部は、ノズルブロック36の底面に開口している。
図3に戻り、カバー22は、概して枡形をなし、下部ハウジング34及びノズルブロック36を覆うように、アース板32の下面に配設されている。カバー22の下面には、貫通穴70が形成されている。その貫通穴70は、ノズルブロック36の下面より大きく、ノズルブロック36の下面が、貫通穴70の内部に位置している。また、カバー22の加熱ガス噴出装置14側の側面にも、Y方向に延びるように貫通穴72が形成されている。
1対の電極24,26は、メインハウジング30の反応室38の内部において、対向するように配設されている。その反応室38には、上記図9に示したガス配管180を介して、処理ガス供給装置(図4参照)74が接続されている。処理ガス供給装置74は、上述したように、窒素等の不活性ガスと酸素等の活性ガスとの少なくとも一方を、処理ガスとして供給する装置である。これにより、反応室38に、処理ガスが供給される。尚、処理ガスはドライエアでも良い。
また、加熱ガス噴出装置14は、保護カバー80、ガス管82、ヒータ83、連結ブロック84を含む。保護カバー80は、プラズマガス噴出装置12の放熱板31を覆うように配設されている。ガス管82は、保護カバー80の内部において、上下方向に延びるように配設されており、ガス管82には、上記図9に示したガス配管180を介して、加熱用ガス供給装置(図4参照)86が接続されている。但し、ガス配管180は、2つの異なるチューブであり、上記の反応室38と上記の処理ガス供給装置74に接続されたチューブと、ガス管82と加熱用ガス供給装置86に接続されたチューブとで構成される。加熱用ガス供給装置86は、上述したように、酸素等の活性ガス、若しくは、窒素等の不活性ガス(以下、ガスと表記する。)を供給する装置である。これにより、ガス管82内には、加熱用ガス供給装置86からガスが供給され、そのガスが下方に向かって流れる。また、ガス管82内には、例えば、概してコイル状のヒータ83が吊設されている。これにより、加熱用ガス供給装置86からガス管82に供給されたガスが加熱される。また、図1に示すように、ガス管82には、概して円筒状の熱電対カバー91が、ガス管82の長手方向(つまり、上下方向)に沿って付設されている。
熱電対カバー91内には、熱電対92が挿入されている。熱電対92の測温接点92Aは、熱電対カバー91の下端部からガス管82内に差し込まれ、ヒータ83の下側に配置されている。図1に示す矢印ARは、ガス管82内でガスが流れる方向を示している。従って、熱電対92は、ガス管82内におけるガスの下流側からヒータ83に近接する位置において、ガス管82内を流れるガスの温度を計測する。尚、大気圧プラズマ発生装置10において、熱電対92で計測される温度は、ヒータ83の温度又はプラズマヘッド18の温度として扱われる。
図3に戻り、連結ブロック84は、ガス管82の下端に連結されるとともに、カバー22のY方向での加熱ガス噴出装置14側の側面に固定されている。連結ブロック84には、概してL字型に屈曲した連通路88が形成されており、連通路88の一端部は、連結ブロック84の上面に開口するとともに、連通路88の他端部は、連結ブロック84のプラズマガス噴出装置12側の側面に開口している。そして、連通路88の一端部がガス管82に連通し、連通路88の他端部が、カバー22の貫通穴72に連通している。
尚、プラズマガス噴出装置12は、アース板32を備え無くてもよい。
大気圧プラズマ発生装置の制御系統
次に、大気圧プラズマ発生装置10の制御系統について説明する。大気圧プラズマ発生装置10は、上記図9に示したように、制御装置16を備える。更に、図4に示すように、制御装置16は、上述した処理ガス供給装置74、加熱用ガス供給装置86、及び表示装置115に加えて、コントローラ100、高周波電源102、駆動回路105、流量コントローラ103,104、制御回路106、通信部107、電力供給装置108、及び入力装置116等を備えている。コントローラ100は、CPU120、ROM122、RAM124等を備えるコンピュータ等により実現される。コントローラ100は、高周波電源102、駆動回路105、及び流量コントローラ103,104等を制御することにより、プラズマガス噴出装置12及び加熱ガス噴出装置14を制御する。また、コントローラ100は、制御回路106を介して、表示装置115に接続されている。これにより、コントローラ100の指令に従って、表示装置115に画像が表示される。更に、コントローラ100は、入力装置116に接続されている。入力装置116は、操作ボタン等により構成されており、操作ボタンへの操作による操作情報を出力する。これにより、操作ボタンへの操作による操作情報が、コントローラ100に入力される。通信部107は、不図示のネットワークに接続する通信機器と通信を行う。通信の形態は特に限定されず、例えば、LAN、シリアル通信等である。
高周波電源102は、商用電源(不図示)から電極24,26へ給電する高周波の交流電力を生成し、生成した交流電力を電極24,26へ給電する。
流量コントローラ103は、例えばマスフローコントローラ等により実現される。流量コントローラ103は、処理ガス供給装置74から反応室38に供給される処理ガスの流量を制御する。また、流量コントローラ103は、供給される処理ガスの流量の値をコントローラ100へ出力する。
流量コントローラ104は、流量コントローラ103と同様に、加熱用ガス供給装置86からガス管82に供給されるガスの流量を制御する。また、流量コントローラ103は、供給されるガスの流量値をコントローラ100へ出力する。
駆動回路105には、電力供給装置108と、ヒータ83の下端付近に取り付けられた熱電対92が電気的に接続されている。電力供給装置108は、商用電源(不図示)から生成した交流電力をヒータ83へ給電する。駆動回路105は、コントローラ100に指示された目標温度となるように、熱電対92の出力値に基づき、電力供給装置108を制御することによって、ヒータ83を加熱し、ヒータ83の温度調節を行う。また、駆動回路105は、熱電対92の出力値に応じた温度をコントローラ100へ出力する。
大気圧プラズマ発生装置によるプラズマ処理
大気圧プラズマ発生装置10において、プラズマガス噴出装置12では、上述した構成により、反応室38の内部で処理ガスがプラズマ化され、ノズルブロック36の第3ガス流路66の下端からプラズマガスが噴出される。また、加熱ガス噴出装置14により加熱されたガスがカバー22の内部に供給される。そして、カバー22の貫通穴70から、プラズマガスが、加熱されたガスとともに噴出され、ワークWがプラズマ処理される。
詳しくは、プラズマガス噴出装置12では、処理ガス供給装置74によって処理ガスが反応室38に供給される。その際、反応室38では、1対の電極24,26に電力が供給されており、1対の電極24,26間に電流が流れる。これにより、1対の電極24,26間に放電が生じ、その放電により、処理ガスがプラズマ化されて、プラズマガスとなる。反応室38で発生したプラズマガスは、第1ガス流路50内を下方に向かって流れ、貫通穴56を介して、第2ガス流路62に流れ込む。そして、プラズマガスは、第2ガス流路62及び第3ガス流路66内を下方に向かって流れる。これにより、第3ガス流路66の下端から、プラズマガスがカバー22の貫通穴70を通過して噴出される。
また、加熱ガス噴出装置14では、加熱用ガス供給装置86によってガスがガス管82に供給され、そのガス管82に供給されているガスが、ヒータ83により加熱される。これにより、ガス管82に供給されているガスが600℃〜800℃に加熱される。その加熱されたガス(以下、加熱ガスと表記する。)は、連結ブロック84の連通路88を介して、カバー22の貫通穴72からカバー22の内部に流入する。そして、カバー22内に流入した加熱ガスは、カバー22の貫通穴70から噴出される。この際、ノズルブロック36の第3ガス流路66の下端から噴出されるプラズマガスが、加熱ガスによって保護される。これにより、加熱ガスに取り巻かれたプラズマガスが、プラズマヘッド18から放出され、適切にプラズマ処理を行うことが可能となる。
詳しくは、プラズマ処理時には、プラズマガスを噴出する貫通穴70から所定の距離、離れた位置にワークWが置かれ、そのワークWに貫通穴70からプラズマガスが噴出される。つまり、プラズマ処理時において、プラズマガスは空気中に噴出され、空気中に噴出されたプラズマガスがワークWに照射される。
コントローラ100は、入力装置116を介してプラズマ発生開始の指示を受け付けると、プラズマ発生制御を開始する。プラズマ発生制御において、コントローラ100は、高周波電源102に所定の電力を電極24,26に給電する制御を開始させ、流量コントローラ103,104にそれぞれ、処理ガス及びガスを、所定のガス流量での供給を開始させる。また、コントローラ100は、駆動回路105に、所定の温度になるように、ヒータ83の制御を開始させる。
大気圧プラズマ発生装置におけるヒータの暖機運転
大気圧プラズマ発生装置10は、上述したように、ワークWをプラズマ処理する際において、ガス管82に供給されたガスを600℃〜800℃にヒータ83で加熱している。そのため、大気圧プラズマ発生装置10の起動時等では、ヒータ83の暖機運転が行われる。ヒータ83の暖機運転中において、例えば、短絡又は断線等によって熱電対92が故障した場合には、熱電対92の計測温度が、例えば、室温を常に示したり、所定温度から上昇せずに一定温度を示したりすることから、熱電対92でヒータ83の温度を正確に計測することができなくなる。そのため、ヒータ83の温度調節が不能となり、ヒータ83が故障する虞がある。そこで、大気圧プラズマ発生装置10は、ヒータ83の暖機運転中において、ヒータ83の温度上昇過程を監視している。次に詳細する。
図5は、ヒータ83の温度上昇過程を監視するためのヒータ暖機方法110が示されたフローチャートである。図5のフローチャートで示された制御プログラムは、コントローラ100のROM122に記憶されており、大気圧プラズマ発生装置10の起動時等において、ユーザが入力装置116で所定の操作を行うと、コントローラ100のCPU120により実行される。
以下、図5のフローチャートで示された各処理を、上述した図4に加えて、図6及び図7を用いて説明する。ちなみに、図6の曲線L1は、暖機運転中におけるヒータ83の温度変化の一例を示している。また、図7のデータテーブルDTは、コントローラ100のROM122に記憶されている。
ヒータ暖機方法110が実行されると、先ず、暖機開始処理S110が行われる。この処理では、電力供給装置108からヒータ83への電力供給が開始されることによって、ヒータ83の暖機運転が開始される。
続いて、第1温度取得処理S112が行われる。この処理では、熱電対92によって温度MT1が第1温度として取得される。
続いて、算出処理S114が行われる。この処理では、ヒータ83の下限温度LM1が算出される。ヒータ83の下限温度LM1とは、暖機運転によって温度上昇中にあるヒータ83の温度であって、第1温度として温度MT1が取得された時点から第1所定時間DP(例えば、10秒)が経過した時点において、電力供給装置108の許容変動範囲を考慮して想定されるヒータ83の最低温度をいう。尚、以下では、第1温度が取得された時点から第1所定時間DPが経過した時点を、基準時点と表記することがある。
ヒータ83の下限温度LM1は、第1温度と、データテーブルDTとから算出される。
データテーブルDTによれば、0℃以上400℃未満の第1温度には、その第1温度に50℃加算された温度が、ヒータ83の下限温度として算出される。以下、ヒータ83の下限温度として、400℃以上500℃未満の第1温度には、その第1温度に20℃加算された温度が算出され、500℃以上600℃未満の第1温度には、その第1温度に5℃加算された温度が算出され、600℃以上650℃未満の第1温度には、その第1温度に3℃加算された温度が算出される。従って、データテーブルDTは、第1温度を分類する温度範囲(図7では、0℃以上400℃未満、400℃以上500℃未満、500℃以上600℃未満、及び600℃以上650℃未満)と、第1温度から下限温度までの温度差(図7では、50℃、20℃、5℃、及び3℃)とを対応付けたデータテーブルである。
このようにして、ヒータ83の下限温度LM1は、データテーブルDTに記憶されたデータに基づいて算出される。ヒータ83の下限温度LM1が算出されると、第1温度として温度MT1が取得された時点から第1所定時間DPが経過するまで、つまり、基準時点に到達するまで待機する(S116:NO)。そして、第1温度として温度MT1が取得された時点から第1所定時間DPが経過すると(S116:YES)、つまり、基準時点に到達すると、第2温度取得処理S118が行われる。この処理では、熱電対92によって温度MT2が第2温度として取得される。
続いて、第2温度として取得された温度MT2が下限温度LM1以上であるか否かが判定される(S120)。ここで、第2温度として取得された温度MT2が下限温度LM1未満である場合(S120:NO)には、第1温度として温度MT1が取得された時点から第1所定時間DPが経過したときに、つまり、基準時点に到達したときにおいて、第2温度として取得された温度MT2(つまり、ヒータ83の温度)が、下限温度LM1まで上昇していないと言える。そこで、異常があるとして、暖機停止処理S122が行われる。この処理では、電力供給装置108からヒータ83への電力供給が停止されることによって、ヒータ83の暖機運転が停止される。更に、表示装置115の画面において、例えば、全域が赤色で表示されると共に、暖機運転が停止された旨のメッセージが表示される。また、暖機運転が停止された旨のメッセージが、通信部107のネットワーク通信によって、大気圧プラズマ発生装置10を管理する管理者の端末、又は大気圧プラズマ発生装置10のサプライヤが運営するサポートデスクの端末に送信される。その後、ヒータ暖機方法110が終了する。
これに対して、第2温度として取得された温度MT2が下限温度LM1以上である場合(S120:YES)には、みなし処理S124が行われる。この処理では、第2温度として取得された温度MT2が、上記の温度MT1に代えて、第1温度として扱われる。
その後は、上記S114,S116,S118,S120の各処理が繰り返される。これによって、上記の算出処理S114では、第1温度として扱われる温度MT2と、データテーブルDTとから、ヒータ83の下限温度LM2が算出される。このようにして算出されるヒータ83の下限温度LM2は、上記の下限温度LM1と同様である。すなわち、ヒータ83の下限温度LM2とは、暖機運転によって温度上昇中にあるヒータ83の温度であって、第1温度として扱われる温度MT2が取得された時点から第1所定時間DPが経過した基準時点において、電力供給装置108の許容変動範囲を考慮して想定されるヒータ83の最低温度である。
そして、第1温度として扱われる温度MT2が取得された時点から第1所定時間DPが経過すると(S116:YES)、つまり、基準時点に到達すると、上記の第2温度取得処理S118が行われることによって、温度MT3が第2温度として取得される。
第2温度として取得された温度MT3が下限温度LM2未満である場合(S120:NO)には、異常があるとして、ヒータ83の暖機運転が停止される(S122)。これに対して、第2温度として取得された温度MT3が下限温度LM2以上である場合(S120:YES)には、再び、みなし処理S124が行われ、第2温度として取得された温度MT3が、上記の温度MT2に代えて、第1温度として扱われる(S124)。
以下同様にして、第1温度として扱われる温度MT3と、データテーブルDTとから、ヒータ83の下限温度LM3が算出され(S114)、更に、第1温度として扱われる温度MT3が取得された時点から第1所定時間DPが経過したときに(S116:YES)、つまり、基準時点に到達したときに、温度MT4が第2温度として取得される(S118)。そして、第2温度として取得された温度MT4が下限温度LM3未満である場合(S120:NO)には、異常があるとして、ヒータ83の暖機運転が停止される(S122)。これに対して、第2温度として取得された温度MT4が下限温度LM3以上である場合(S120:YES)には、第2温度として取得された温度MT4が、上記の温度MT3に代えて、第1温度として扱われる(S124)。
このようにして、第2温度が、第1温度から算出された下限温度以上である限り、ヒータ暖機方法110が続行される。
以上より、大気圧プラズマ発生装置10は、ヒータ暖機方法110が実行されることによって、プラズマヘッド18に設けられたヒータ83の暖機中における温度上昇過程を監視することが可能である。
尚、ヒータ83の下限温度LM1,LM2,LM3は、ヒータ83への電力供給開始時点からの経過時間(つまり、ヒータ83の暖機時間)との関係が示された近似式から算出されてもよい。図6では、そのような近似式が、二点鎖線で示された曲線L2で表されている。曲線L2を示す数式は、コントローラ100のROM122に記憶される。
そのような場合には、ヒータ83の下限温度LM1,LM2,LM3は、第1温度として取得又は扱われる温度MT1,MT2,MT3が取得された時点から第1所定時間DPが経過した基準時点であって、ヒータ83への電力供給開始時点から経過時間が計時された時点を、図6の曲線L2で示された数式(近似式)に代入することよって算出される。
また、ヒータ83は、プラズマヘッド18に設けられていなくても、プラズマヘッド18から照射されるプラズマを加温するものであれば、ヒータ暖機方法110の対象となり得る。
大気圧プラズマ発生装置におけるヒータの冷却運転
コントローラ100は、大気圧プラズマ発生装置10でワークWをプラズマ処理した後で、大気圧プラズマ発生装置10を停止する際には、処理ガス供給装置74による処理ガスの供給及び加熱用ガス供給装置86によるガスの供給を継続することによって、プラズマヘッド18の冷却を行う。プラズマヘッド18が冷却された後は、メンテンスのためにユーザがプラズマヘッド18に触れるケースがある。そのため、プラズマヘッド18の冷却は、プラズマヘッド18の表面温度が例えば40℃付近にまで低下することを想定して続行されるが、重ねて、プラズマヘッド18の温度を計測しながら行えば、更に好適に行うことが可能である。そこで、大気圧プラズマ発生装置10は、プラズマヘッド18の温度を計測しながらプラズマヘッド18の冷却を行っている。次に詳述する。
図8は、プラズマヘッド18の温度を計測しながらプラズマヘッド18の冷却を行うためのプラズマヘッド冷却方法210が示されたフローチャートである。図8のフローチャートで示された制御プログラムは、コントローラ100のROM122に記憶されており、大気圧プラズマ発生装置10でワークWのプラズマ処理が行われている際において、コントローラ100のCPU120により実行される。従って、プラズマヘッド冷却方法210が実行される際は、処理ガス供給装置74による処理ガスの供給及び加熱用ガス供給装置86によるガスの供給が行われている。以下、図8のフローチャートで示された各処理を説明する。
コントローラ100のCPU120は、熱電対92で計測されたヒータ83の温度を使用して、図8のフローチャートで示された各処理を行う。ワークWがプラズマ処理されている最中のプラズマヘッド18の表面は、その位置によって温度が異なる。しかしながら、プラズマヘッド18の表面全域は、その冷却開始後から或る程度の時間が経過すると、同一温度に収束する傾向がある。そこで、図8のフローチャートで示されたプラズマヘッド冷却方法210では、熱電対92で計測されたヒータ83の温度をプラズマヘッド18の温度として使用している。
プラズマヘッド冷却方法210が実行されると、1対の電極24,26間の放電及びヒータ83の加熱が停止されたか否かが判定される(S210)。この判定は、高周波電源102からの信号及び駆動回路105からの信号等に基づいて行われる。ここで、1対の電極24,26間の放電又はヒータ83の加熱が停止されていない場合(S210:NO)には、プラズマヘッド冷却方法210が終了する。
これに対して、1対の電極24,26間の放電及びヒータ83の加熱が停止されている場合(S210:YES)には、熱電対92で計測されたヒータ83の温度が所定温度以下であるか否かが判定される(S212)。ここで、所定温度とは、ユーザがプラズマヘッド18の表面に触れても支障がない程度の温度(例えば、40℃付近の温度)をいう。ここで、熱電対92で計測されたヒータ83の温度が所定温度以下である場合(S212:YES)には、プラズマヘッド冷却方法210が終了する。
これに対して、熱電対92で計測されたヒータ83の温度が所定温度より高い場合(S212:NO)には、冷却処理S214が行われる。この処理では、処理ガス供給装置74による処理ガスの供給及び加熱用ガス供給装置86によるガスの供給が継続される。
続いて、第1報知処理S216が行われる。この処理では、プラズマヘッド18の冷却が行われている旨のメッセージが表示装置115の画面に表示される。更に、プラズマヘッド18の冷却が行われている旨のメッセージが、通信部107のネットワーク通信によって、大気圧プラズマ発生装置10を管理する管理者の端末、又は大気圧プラズマ発生装置10のサプライヤが運営するサポートデスクの端末に送信される。
その後は、処理ガス供給装置74による処理ガスの供給又は加熱用ガス供給装置86によるガスの供給が異常停止したか否かが判定される。この判定は、流量コントローラ103,104からの信号等に基づいて行われる。ここで、処理ガス供給装置74による処理ガスの供給又は加熱用ガス供給装置86によるガス供給が異常停止した場合(S218:YES)には、第2報知処理S220が行われる。
第2報知処理S220では、ガス供給の異常によってプラズマヘッド18の冷却が異常である旨のメッセージが表示装置115の画面に表示される。更に、ガス供給の異常によってプラズマヘッド18の冷却が異常である旨のメッセージが、通信部107のネットワーク通信によって、大気圧プラズマ発生装置10を管理する管理者の端末、又は大気圧プラズマ発生装置10のサプライヤが運営するサポートデスクの端末に送信される。その後、プラズマヘッド冷却方法210が終了する。
これに対して、処理ガス供給装置74による処理ガスの供給及び加熱用ガス供給装置86によるガス供給が異常停止していない場合(S218:NO)には、熱電対92が断線等の異常を示しているか否かが判定される(S222)。この判定は、熱電対92の出力電圧等に基づいて行われる。ここで、熱電対92が断線等の異常を示している場合(S222:YES)には、第3報知処理S224が行われる。
第3報知処理S224では、熱電対92の異常によってプラズマヘッド18の冷却が異常である旨のメッセージが表示装置115の画面に表示される。更に、熱電対92の異常によってプラズマヘッド18の冷却が異常である旨のメッセージが、通信部107のネットワーク通信によって、大気圧プラズマ発生装置10を管理する管理者の端末、又は大気圧プラズマ発生装置10のサプライヤが運営するサポートデスクの端末に送信される。その後、プラズマヘッド冷却方法210が終了する。
これに対して、熱電対92が断線等の異常を示していない場合(S222:NO)には、1対の電極24,26間の放電及びヒータ83の加熱が停止されてから第2所定時間が経過したか否かが判定される(S226)。この判定は、高周波電源102からの信号及び駆動回路105からの信号等が受信されることをトリガにして計測される経過時間に基づいて行われる。また、第2所定時間とは、ユーザがプラズマヘッド18の表面に触れても支障がない程度の温度(例えば、40℃付近の温度)にまで、プラズマヘッド18の表面全体が冷却するのに要する時間(例えば、20分)をいう。
ここで、1対の電極24,26間の放電及びヒータ83の加熱が停止されてから第2所定時間が経過した場合(S226:YES)には、第4報知処理S228が行われる。この処理では、プラズマヘッド18の冷却が異常である旨のメッセージが表示装置115の画面に表示される。更に、プラズマヘッド18の冷却が異常である旨のメッセージが、通信部107のネットワーク通信によって、大気圧プラズマ発生装置10を管理する管理者の端末、又は大気圧プラズマ発生装置10のサプライヤが運営するサポートデスクの端末に送信される。尚、それらのメッセージには、1対の電極24,26間の放電及びヒータ83の加熱が停止されてから第2所定時間が経過しても、プラズマヘッド18の表面温度(正確には、ヒータ83の温度)が所定温度以下にならない旨が追加される。その後、プラズマヘッド冷却方法210が終了する。
これに対して、1対の電極24,26間の放電及びヒータ83の加熱が停止されてから第2所定時間が経過していない場合(S226:NO)には、上述したS212の判定処理に戻る。
その後は、上述したようにして、熱電対92で計測されたヒータ83の温度が所定温度より高い場合(S212:NO)には、処理ガス供給装置74による処理ガスの供給及び加熱用ガス供給装置86によるガスの供給が継続させ(S214)、熱電対92で計測されたヒータ83の温度が所定温度以下である場合(S212:YES)には、プラズマヘッド冷却方法210が終了する。
このようにして、プラズマヘッド冷却方法210は、プラズマヘッド18の温度として使用されるヒータ83の温度(熱電対92で計測される温度)に基づいて、ユーザがプラズマヘッド18の表面に触れても支障がない程度の温度(例えば、40℃付近の温度)にまでプラズマヘッド18の表面温度が低下していると想定して、プラズマヘッド18の冷却を終了させる。
以上より、大気圧プラズマ発生装置10は、プラズマヘッド冷却方法210が実行されることによって、メンテンス性の向上を図ったプラズマヘッド18の適切な冷却を行うことが可能である。
尚、本開示は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、大気圧プラズマ発生装置10は、熱電対92に代えて、ヒータ83の温度又はガス管82内を流れるガスの温度を計測可能な他のセンサ、例えば、サーミスタ又は赤外線センサ等を備えてもよい。
また、大気圧プラズマ発生装置10は、電力供給装置108で加熱されるヒータ83に代えて、液体又は気体等の高温流体で加熱されるヒータを備えてもよい。そのような場合には、高温流体の温度や流量が制御されることによって、ヒータの温度が調節される。
また、プラズマヘッド冷却方法210が終了する際において、処理ガス供給装置74による処理ガスの供給及び加熱用ガス供給装置86によるガスの供給は、継続されても良いし、継続されなくても良い。
また、プラズマヘッド冷却方法210は、熱電対92の測温接点92Aが、例えば、プラズマヘッド18のメインハウジング30に埋め込まれた状態において実行されても良い。そのような場合には、プラズマヘッド冷却方法210は、ヒータ83を含めた加熱ガス噴出装置14がプラズマヘッド18に装備されていないケースに適用されることが可能である。
ちなみに、本実施形態において、大気圧プラズマ発生装置10は、プラズマ発生装置の一例である。処理ガス供給装置74と加熱用ガス供給装置86は、ガス供給装置の一例である。熱電対92は、温度センサの一例である。表示装置115は、報知装置の一例である。冷却処理S214は、冷却工程の一例である。第1報知処理S216、第2報知処理S220、第3報知処理S224、及び第4報知処理S228は、報知処理の一例である。S226の判定で使用される第2所定時間は、所定時間の一例である。
10 大気圧プラズマ発生装置
16 制御装置
18 プラズマヘッド
24 電極
26 電極
74 処理ガス供給装置
83 ヒータ
86 加熱用ガス供給装置
92 熱電対
115 表示装置
210 プラズマヘッドの冷却方法
S214 冷却処理
S216 第1報知処理
S220 第2報知処理
S224 第3報知処理
S228 第4報知処理

Claims (7)

  1. プラズマ化されたプラズマガスを放出するプラズマヘッドと、
    前記プラズマガスとなるガスを前記プラズマヘッドに供給するガス供給装置と、
    前記プラズマヘッドに設けられ、前記ガス供給装置から供給された前記ガスの一部に放電して前記プラズマガスとする1対の電極と、
    前記プラズマヘッドに設けられ、前記プラズマヘッドの温度を計測する温度センサと、
    制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記1対の電極による放電を停止させた後において、前記温度センサが所定値以下の温度を計測するまで、前記ガス供給装置による前記ガスの供給を継続させて、前記プラズマヘッドの冷却を行う冷却処理を実行するプラズマ発生装置。
  2. 前記プラズマヘッドに設けられ、前記ガス供給装置から供給された前記ガスの一部を加熱して高温ガスにするヒータを備え、
    前記プラズマヘッドは、前記高温ガスを前記プラズマガスと共に放出し、
    前記温度センサは、前記放電の停止前は前記高温ガスの温度を計測すると共に、前記放電の停止後は前記プラズマヘッドの温度として、前記ヒータの温度を計測し、
    前記制御装置は、前記放電の停止に加えて、前記ヒータによる加熱を停止させた後において、前記冷却処理を実行する請求項1に記載のプラズマ発生装置。
  3. 報知装置を備え、
    前記制御装置は、前記プラズマヘッドの冷却中において、前記プラズマヘッドの冷却が行われている旨を前記報知装置で報知する報知処理を実行する請求項1又は請求項2に記載のプラズマ発生装置。
  4. 報知装置を備え、
    前記制御装置は、前記プラズマヘッドの冷却中において、前記ガス供給装置による前記ガスの供給が異常停止したときに、前記プラズマヘッドの冷却が異常である旨を前記報知装置で報知する報知処理を実行する請求項1又は請求項2に記載のプラズマ発生装置。
  5. 報知装置と、
    前記ヒータを内部に設けたガス管と、を備え、
    前記温度センサは、前記ガス管に設けられた熱電対であり、
    前記制御装置は、前記プラズマヘッドの冷却中において、前記熱電対が異常を示したときに、前記プラズマヘッドの冷却が異常である旨を前記報知装置で報知する報知処理を実行する請求項2に記載のプラズマ発生装置。
  6. 報知装置を備え、
    前記制御装置は、前記プラズマヘッドの冷却中において、前記1対の電極による放電を停止させてから所定時間が経過すると、前記プラズマヘッドの冷却が異常である旨を前記報知装置で報知する報知処理を実行する請求項1又は請求項2に記載のプラズマ発生装置。
  7. 1対の電極を有し、ガスが供給され、前記1対の電極の放電により前記ガスの一部がプラズマ化されたプラズマガスを放出するプラズマヘッドを備えるプラズマ発生装置のプラズマヘッド冷却方法であって、
    前記1対の電極による放電を停止させた後において、前記プラズマヘッドが所定値以下の温度になるまで、前記ガスの供給を継続させて、前記プラズマヘッドの冷却を行う冷却工程を備えるプラズマヘッド冷却方法。
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