JP6924938B2 - 伝導伝熱乾燥設備の運転方法 - Google Patents
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Description
前記伝導伝熱乾燥機1′は、本体シェル10′内に加熱装置たる多管式加熱管11′が具えられ、この多管式加熱管11′の伝熱面に被処理物P1を接触させて水分を蒸発させ、蒸発した水分を本体シェル10′内に供給されるキャリアガスCによって本体シェル10′外に排出することにより、本体シェル10′に位置する被処理物P1の乾燥が行われるように構成された装置である。
また前記本体シェル10′内には加熱装置(多管式加熱管11′)が具えられ、この加熱装置の伝熱面に被処理物P1を接触させて、多くの場合では水分を蒸発させる目的で用いられている。
このような伝導伝熱乾燥機1′については本出願人も製造販売を行っており、更にこの伝導伝熱乾燥機1′が適用された乾燥装置等を開発し、既に特許出願に及んでいる(例えば特許文献1、2参照)。
その後も本出願人は、伝導伝熱乾燥機及び乾燥装置等の改良・開発を鋭意行っており、乾燥装置の運転に関し次のような点で改良の余地があることが確認された。
そして例えば汚泥処理施設の場合、複数の地域から集められる汚泥はいったん集積場に集約された後に、汚泥処理施設に搬入されるものであり、その後汚泥は順次乾燥処理が施されるものであるが、いったん集積場に集約された汚泥の個別管理を行うことは事実上不可能である。
更に性状の異なる汚泥が大型のホッパ20′に投入される場合、ホッパ20′から排出され伝導伝熱乾燥機1′に投入される汚泥の性状変化がいつ起こるのかを把握することは困難である。
例えば本体シェル10′内に、処理中の被処理物P11とは含水率の異なる被処理物P12が投入されると、排気ガスG1の温度変化は比較的早い段階で確認されており、この排気ガスG1の温度変化に基づいて各制御要素の調節が行われている。
一方、本体シェル10′内における被処理物P1の温度(滞留品の温度または品温とも呼ばれる)を計測し、この値に基づいての各制御要素の調節も行われているが、伝導伝熱乾燥機1′においては、本体シェル10′内に滞留している被処理物P1の量が多いため、処理中の被処理物P11と新たに投入された被処理物P12とが、ある程度入れ替わるまで温度変化が現れない。
このように被処理物P1の温度は実際の被処理物P1を測定した値であるため、信頼性が高いが即時性に劣り、一方、排気ガスG1の温度は即時性に優れるものの、被処理物P1の性状(蒸発し易さ)の影響を受け易く信頼性が低いといった一長一短の性質があり、これらの温度情報を伝導伝熱乾燥設備F′の運転制御に充分に活用し切れていなかった。
前記補正値ΔFは、インバータ周波数補正値であり、このインバータ周波数補正値ΔFを、式:ΔF=f2 (tm,Δt)=f3 (tm)×Δtを用いて導出することを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
以下、乾燥機1の構成要素について詳しく説明する。
なお投入口101は、本体シェル10の片側端部付近に形成されるものであり、この投入口101付近に排気口104が形成される。
更に本体シェル10における前記排気口104よりも中央寄りの部分に分散投入口101aが形成されるものであり、更にこの実施例ではその隣に分散投入口101bも形成するようにした。もちろん、後述する多管式加熱管11の長手方向に沿って更に複数の個所に分散投入口を形成するようにしてもよい。
また本体シェル10及び多管式加熱管11は、水平または投入口101側が排出口102側よりも幾分か高くなるように傾斜して機枠1Fに設置される。
このような構成が採られることから、板材102aを高く積み上げれば、排出口102の開口は上部に狭くしか開かないため、後述するように本体シェル10内の被処理物P1の滞留量が大きくなる。逆に板材102aが少なければ開口は広くなり、後述するように本体シェル10内の被処理物P1の滞留量は少なくなる。
また前記排出口102を覆うようにダクト102bが外装されるものであり、このダクト102bの下部に形成される排出口109の前段にロータリーバルブ105を具えるようにした。もちろんこのロータリーバルブ105に替えて二重ダンパ排出装置等を具えるようにしてもよい。
更に前記排気口104付近に排気ガス温度センサ121が具えられ、また排出口102付近に品温センサ122が具えられる。
また前記本体シェル10は常圧下あるいは僅かな負圧下での使用を前提に構成されるものであり、このため厳密な気密性が求められることがなく、複雑な投入・排出機構、給・排気機構を要しないものである。このため、乾燥機1を低コストで構築することができる。
そして前記軸体113の両端にはロータリージョイント115a、115bが取り付けられ、チューブ束116と接続される。また軸体113の外面と本体シェル10との間には、外気との遮断のためのシール機構が設けられている。
またチューブ束116の側周部には、複数のリフタ117及び適宜の角度を持たせた送り羽根118が取り付けられたアングル111(例えばアングル鋼)が多数(この実施例では12本)具えられるものであり、これらよって被処理物P1は図3に示すように掻き上げられて、前記チューブ束116に接触するとともに投入口101側から排出口102側に進むこととなる。
まず前記投入装置2について説明すると、このものは図1に示すように一例としてホッパ20の底部にスクリューコンベヤ20aを具えて構成されるものであり、その排出口は前記乾燥機1における投入口101、分散投入口101a、101bに接続される。なお分散投入口101a、101bと投入装置2との間にはバルブ21、22が設けられる。
また前記スクリューコンベヤ20aはインバータモータMを駆動源とするものである。
またこのスクリューコンベヤ20aに代えて、モーノポンプ(登録商標)等の一軸偏心ねじポンプ等を適用することもできる。
なお加熱蒸気Vの圧力は、被処理物P1に応じて0.1から0.7MPaG(温度としては120〜170℃に相当)程度に調整される。
また加熱蒸気Vの蒸気配管経路は減圧弁7の前段で分岐しており、この分岐路は熱交換器9に接続され、昇温した外気をキャリアガスCとしてキャリアガス口103に供給できるように構成されている。
まず始めに、乾燥機1から排気される排気ガスG1は、被処理物P1(一例として有機汚泥)から蒸発する水分や臭気成分等を含むものとなるため、バーナ51に着火して脱臭炉5を起動しておく。
次いで被処理物P1の投入に先立って、乾燥機1における多管式加熱管11及び本体シェル10を昇温しておくものであり、多管式加熱管11を回転させた状態で、ロータリージョイント115a及び蒸気供給口106に加熱蒸気Vを供給する。
また上記乾燥機1の準備に際しては、ロータリージョイント115bの下流側に具えられたポンプ(図示省略)を動作させ、多管式加熱管11内に生じたドレンDの排出や、リークにより入り込んだ空気などの非凝縮性ガスを排出させる。
続いて一例としてキャリアガスCとしての外気を、フィルタ(図示省略)を用いて除塵等を施した後、更に熱交換器9により約100℃に加熱してキャリアガス口103から本体シェル10内に供給する。
次いで投入装置2から投入口101を通じて本体シェル10内に被処理物P1を投入するものであり、この投入装置2は、回転速度が可変可能である例えばインバータモータを駆動源とするものであり、回転速度の調整は駆動周波数Fを変化させることにより行われる。
なお起動時から定常運転状態になるまでの運転では、P2の温度の上昇に合わせて予め対応して設定されたインバータ周波数を用い、被処理物P1の供給が行われる。このため起動時から定常運転状態になるまでの間は、例えば被処理物P2の温度tmの上昇に単純比例する形で周波数が増加していくような制御だけが実行されることとなる。
そして定常運転状態になった後には、投入装置2におけるインバータモータMの駆動周波数Fは、品温センサ122によって測定された被処理物P2の温度tmの関数F=f1 (tm)により設定される(図4ステップS1)。
このとき、本体シェル10内における被処理物P1の分布状態は、図2の横断面図に示すように多管式加熱管11の回転に伴って回転方向に盛り上がって偏在した状態となるものであり、このような状態を含めて被処理物P1は本体シェル10の下部に位置していると呼ぶ。
更に被処理物P1は多管式加熱管11の側周部に具えられた複数のリフタ117等によってカスケードしながら掻き上げられ、本体シェル10内の上部に至るとともに、ここから落下する際にチューブ束116の内側に位置するチューブに接触し、ここでも乾燥が促されるものである。
一方、排出口102に達した乾燥の進んだ被処理物P2は、適宜のタイミングでロータリーバルブ105を起動することにより乾燥品P3として排出される。
また被処理物P1から蒸発した水分や揮発性有機物は、キャリアガス口103から本体シェル10内に流入したキャリアガスCに同伴されるようにして、速やかに排気口104から排気ガスG1として外部に排出される。そして排気口104から排出される排気ガスG1に含まれる微粉等は、集塵装置3において分離される。
そして本発明では、乾燥機1における排気口104付近に具えられた排気ガス温度センサ121を用いて排気ガスG1の温度を監視し、例えば投入口101に投入される被処理物P11が性状の異なる被処理物P12に変わり、水分値が変化することにより排気ガスG1の温度が変動したときに、排出口102付近に具えられた品温センサ122を用いて被処理物の温度を測定し、これらの温度情報を用いて前記投入装置2の送出速度を調整するものである。
具体的には以下に示す手法によって、投入装置2のインバータモータMの駆動周波数が制御される。
このため、排気ガスG1の温度を測定することにより、乾燥品P3の水分値を知ることができるものであり、図5(b)に示した排気ガス温度−乾燥品水分値曲線を標準曲線とするものである。
具体的には、被処理物P1のうち、例えば最も平均的な性状である被処理物P1を用い(すなわち被処理物P11を用い)、この関係性を調べる間の運転は、投入する被処理物P1の性状が変化しないように運用される。このような条件の下で、加熱蒸気Vの圧力を一定に維持しつつ、被処理物P11の投入量を変更しての運転を行い、各投入量における定常状態での被処理物温度、乾燥品水分値、排気ガス温度における曲線で表される関係性を求めたものである。
このように本体シェル10内に投入される被処理物P1が異なった性状のものに入れ替わる際には、排気ガスG1の温度は短時間の間に変化する一方、被処理物P2の温度、すなわち排出口102付近に設けられた品温センサ122の検出値が変化するまでにはある程度の時間がかかることになる。
このため本体シェル10内に位置する被処理物P11が被処理物P12に完全に入れ替わるまでの間は、ステップS1で設定された被処理物P2の温度tmの関数F=f1 (tm)により設定される投入装置20のインバータモータMの駆動周波数Fは被処理物の性状の過渡を反映しての調整がなされていないことになる。
そこで本発明では、以下に示す手法によってインバータモータMの駆動周波数が補正される。
次にこの被処理物P2の温度tmを図5(a)に示す被処理物温度−乾燥品水分値曲線に当てはめてこのときの水分値Wmを求める(一例として7.5%W.B.)。
次にこの水分値Wmを図5(b)に示す排気ガス温度−乾燥品水分値曲線(標準曲線)に当てはめて標準排気ガス温度tsを求める(一例として103℃)。
更に排気ガス温度tgと標準排気ガス温度tsとを用いてインバータ周波数補正値ΔFを導出する(ΔF=f2 (tm,Δt) 図4 ステップS3)。
次いで前記投入装置2におけるインバータモータMの駆動周波数Fを駆動周波数F′に補正する(F′=F+ΔF 図4 ステップS4)。
ΔF=f2 (Δt)
=a×Δt
=a(tg−ts)
=0.6×(96−103)
=−4.2〔Hz〕
この場合、インバータモータMの駆動周波数はF′=F−4.2〔Hz〕とされるため、投入装置2の送出速度は減ることとなり、水分が蒸発し易い被処理物P12の本体シェル10への供給速度を好適なものとすることができる。
本発明は上述した実施例を基本となる実施例とするものであるが、本発明の技術的思想に基づいて以下に示すような実施例を採ることもできる。
まずインバータ周波数補正値ΔFを導出するにあたっては、特にtmの変化が大きい場合等に、下記関数を用いるようにしてもよい。
ΔF=f2 (tm,Δt)
=f3 (tm)×Δt
つまり、先に述べた基本となる実施例では、主にインバータ周波数という形で説明しているが、排気ガス温度tg、標準ガス温度ts及び被処理物温度tmのうちの複数を用いて、投入する時間当りの被処理物P1の投入重量の設定値に関する補正値を導出し、この補正値を用いてモータの回転速度を補正するような実施例を採るようにしてもよい。
1F 機枠
10 本体シェル
101 投入口
101a 分散投入口
101b 分散投入口
102 排出口
102a 板材
102b ダクト
103 キャリアガス口
104 排気口
105 ロータリーバルブ
106 蒸気供給口
107 ドレン口
108 側面開口
109 排出口
11 多管式加熱管(加熱管)
111 アングル
112 鏡板
113 軸体
114 軸受ブロック
115a ロータリージョイント
115b ロータリージョイント
116 チューブ束
117 リフタ
118 送り羽根
121 排気ガス温度センサ
122 品温センサ
2 投入装置
20 ホッパ
20a スクリューコンベヤ
21 バルブ
22 バルブ
3 集塵装置
4 制御盤
5 脱臭炉
50 炉本体
51 バーナ
52 給気口
53 排気口
54 温度センサ
55 調量弁
6 熱交換器
7 減圧弁
8 流量調整弁
9 熱交換器
C キャリアガス
D ドレン
F 伝導伝熱乾燥設備
G1 排気ガス
G2 排気ガス
M インバータモータ
P1 被処理物
P11 被処理物
P12 被処理物
P2 被処理物(乾燥の進んだ)
P3 乾燥品
V 加熱蒸気
Claims (4)
- 本体シェル内に加熱装置が具えられ、回転速度が可変であるモータを駆動源とする投入装置によって本体シェル内に投入される被処理物を、加熱装置の伝熱面に接触させて水分を蒸発させ、この蒸発した水分を、本体シェル内に供給されるキャリアガスによって外部に排出するように構成された伝導伝熱乾燥機において、
伝導伝熱乾燥機の定常運転状態における被処理物温度−乾燥品水分値曲線と、排気ガス温度−乾燥品水分値曲線とを用い、
排気ガスtgと被処理物温度tmを一定時間ごとに測定し、
この被処理物温度tmと排気ガス温度−乾燥品水分値曲線とを用いて標準排気ガス温度tsを求め、
これら排気ガス温度tg、標準排気ガス温度ts及び被処理物温度tmのうちの複数を用いてモータの回転速度に関する補正値ΔFを導出し、
この補正値を用いてモータの回転速度を補正することを特徴とする伝導伝熱乾燥設備の運転方法。
- 前記モータは、インバータを用いることにより回転速度を可変とするものであり、
前記補正値ΔFは、インバータ周波数補正値であり、
このインバータ周波数補正値ΔFを、
式:ΔF=f2 (Δt)=a(tg−ts)
(aは定数)
を用いて導出することを特徴とする請求項1記載の伝導伝熱乾燥設備の運転方法。
- 前記モータは、インバータを用いることにより回転速度を可変とするものであり、
前記補正値ΔFは、インバータ周波数補正値であり、
このインバータ周波数補正値ΔFを、
式:ΔF=f2 (tm,Δt)=f3 (tm)×Δt
を用いて導出することを特徴とする請求項1記載の伝導伝熱乾燥機の運転方法。
- 前記補正値ΔFを、予め作成されたマトリックスデータシートに、
排気ガス温度tg、標準排気ガス温度ts及び被処理物温度tmのうちの複数を当てはめて導出することを特徴とする請求項1記載の伝導伝熱乾燥設備の運転方法。
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