JP5844998B2 - 汚泥の炭化処理方法 - Google Patents
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一例として汚泥の乾燥、炭化処理を行う場合には図3に示すような炭化処理装置S′が用いられており、事前に脱水処理が施された汚泥M0を乾燥機1′に投入して乾燥処理を行い、ここで得られた乾燥物M1を炭化炉2′に投入して炭化物M2を得るものである。また前記炭化炉2′として用いられるロータリーキルン型または回転ドラム型の装置から排気される排ガスを、再燃炉3′において燃焼処理することにより、有害物質を無害化処理した再燃排ガスG3′とし(例えば特許文献1参照)、この高温の再燃排ガスG3′が乾燥機1′の熱風として供されている。
この種の装置が採用される理由としては、汚泥M0等の粘性が高い被処理物を扱う場合、攪拌翼によって被処理物が分散させられるため、高温(図3に示す構成では700〜800℃)の加熱媒体と被処理物との接触面積が増大して効率の良い乾燥を行うことができるからである。
なお前記回転ドラム式の乾燥機1′あるいはロータリーキルン式の乾燥機1′は、比較的安価であるためイニシャルコストを抑えることができ、このこともこれらの乾燥機1′が広く採用されている要因となっている。
そしてこのような運転を継続した場合、炭化炉2′内及び再燃炉3′内にクリンカが付着してしまうことは避けられなかった。更にクリンカが成長して脱落した際には、被処理物や燃焼空気の経路が閉塞してしまったり、機器の損傷を招いてしまう恐れがあるため、クリンカの定期的な除去を行う必要があり、この作業に多くの時間を要してしまっているのが実情である。
そしてこれら各請求項記載の要件を手段として前記課題の解決が図られる。
また炭化炉に供給される乾燥排ガスに含まれる蒸気成分の量を調節することにより、被処理物の燃焼速度を調節することができる。
以下、炭化処理装置Sについて説明した後、この装置の作動態様と併せて本発明の「汚泥の炭化処理方法」について説明する。
具体的には炭化処理装置Sは、乾燥機1と、炭化炉2と、再燃炉3とを主要機器として具えて成るものであり、前記炭化炉2から排気される炭化排ガスG2を、再燃炉3において燃焼処理することにより、有害物質が無害化された再燃排ガスG3として外部に排気することができるような構成が採られたものである。
また炭化処理装置Sは、前記再燃排ガスG3に含まれる熱を回収し、この熱を前記乾燥機1、炭化炉2または再燃炉3のいずれか一つまたは複数の熱源として供することができるように構成されている。
以下、炭化処理装置Sの構成要素について詳しく説明する。
具体的には図2に示すように、機枠F上に具えられた本体シェル10内に多管式加熱管11が具えられ、この多管式加熱管11を、その内部に加熱媒体A(加熱用蒸気)を流すとともに回転させ、前記本体シェル10内に被処理物を投入し、この被処理物を本体シェル10内に滞留させつつ前記多管式加熱管11に接触させて被処理物の乾燥を行う装置である。
ここで前記投入口101は、本体シェル10上部の複数個所に形成されるものであり、まず図1中、左側上部に形成される排気口104付近に第一の投入口101aが形成される。また前記排気口104よりも中央寄りの部分に第二の投入口101bが形成され、更にこの第二の投入口101bと、図2中、右側上部に形成されるキャリヤガス口103との間に第三の投入口101cが形成される。なおこの実施例では投入口101を三カ所に形成するようにしたが、乾燥機1の仕様に応じて一カ所、 二カ所または四カ所以上に投入口101を形成するようにしてもよい。
更にまた前記本体シェル10は二重ジャケット構造とされ、投入口101a付近に形成される蒸気供給口105から、溢出口102の下方に形成されるドレン口106に至る蒸気の通過経路が形成されるものであり、本体シェル10内を昇温することができるような構成が採られている。なお、このような二重ジャケット構造に替えてトレース配管等を設置することもできる。
また前記溢出口102は、前記本体シェル10の高所側面に形成されるものであり、更に溢出口102を覆うようにシュート12が具えられ、このシュート12に形成される乾燥物排出口121にロータリーバルブ122が具えられる。
そして前記軸体113の両端にはロータリージョイント115(115a、115b)が取り付けられ、チューブ束116と接続される。また軸体113と本体シェル10との間には、外気との遮断のためのシール機構13が設けられている。
なおチューブ束116の側周部には、複数のリフタ117及び適宜の角度を持たせた送り羽根118が取り付けられたアングル111が多数(この実施例では12本)具えられるものであり、これらによって被処理物(汚泥M0)は掻き上げられて前記チューブ束116の各チューブに接触するとともに投入口101側から溢出口102側に進むこととなる。
なお乾燥機1としては、上述した多管式加熱管11が具えられた装置の他、加熱媒体Aから被処理物に間接的に熱を伝導する伝導伝熱式の装置であれば異なる構成のものを採用することができる。
前記燃焼炉20は適宜の耐火材で内張りされており、バーナ21によって燃料を燃焼させることにより、所望の温度の熱風を生成する装置である。
また前記回転胴25は一例として、四基の支持ローラ25a上に載置され、可変速モータによって回転駆動されるものであり、この回転胴25の両端は適宜蓋部材によって境界部がシールされた状態で塞がれている。また回転胴25にはリフタが具えられており、このリフタにより被処理物が掻き上げられる。
そして回転胴25の両端を塞ぐ蓋体には、投入口22及び給気口23並びに給気口24、排気口28及び排出口29が形成されている。
具体的には乾燥機1の排気口104に、バグフィルタ、サイクロン等が適用された集塵機4が接続され、更にこの集塵機4にコンデンサ5が接続されるものであり、前記排気口104から排気される乾燥排ガスG1中のダスト並びに過剰な水分を除去することが可能となっている。
なお前記コンデンサ5は、筐体50の外周部に巻回された冷却管51にクーリングタワー52から冷媒を供給することによって筐体内の乾燥排ガスG1を冷却し、蒸気成分を凝縮させる装置である。
なおこの実施例では熱交換器6として二種類の気体を独立して昇温することができる装置が採用されるものとした。具体的には筐体60に対して給気口61及び排気口62が形成されるとともに、これら給気口61及び排気口62は伝熱管63によって接続されている。更に筐体60に対しては給気口64及び排気口65が形成されるとともに、これら給気口64及び排気口65は伝熱管66によって接続されている。そして筐体60には導入口67及び排出口68が形成されるものであり、導入口67から筐体60内に導入された加熱気体(この実施例では再燃排ガスG3)と、前記伝熱管63及び伝熱管66内に位置する被加熱気体との間で熱交換が行われるものである。
更に熱交換器6の排出口68は、廃熱ボイラ7における給気口71に接続され、更に排気口72がバグフィルタ、サイクロン等が適用された集塵機8に接続されている。
なお前記熱交換器6における給気口64には外気が供給され、伝熱管66を通過することにより昇温された気体が、前記炭化炉2における給気口23、給気口24あるいは前記再燃炉3における給気口32に供給されるように構成されている。
そして以上述べた構成が採られることにより、乾燥機1から排気された乾燥排ガスG1は、炭化炉2において炭化排ガスG2となり、次いで再燃炉3に至り、ここで燃焼処理されることにより、有害物質が無害化された再燃排ガスG3となり、次いで温度が低下させられるとともにダストが除去された状態で外部に排気されることとなるものである。
またこの実施例では、廃熱ボイラ7における排気口75と乾燥機1におけるロータリージョイント115aとを結ぶ管路を分岐するものであり、まず熱交換器6Bにおける伝熱管6bに接続するとともに、伝熱管6bの他端を前記ドレン回収ユニット9に接続するようにした。そして前記熱交換器6Bに供給された外気が、伝熱管6bを通じて蒸気との間で熱交換が行われて昇温された状態で、キャリヤガス口103に供給されるものとした。
また排気口75とロータリージョイント115aとを結ぶ管路を更に分岐して、蒸気供給口105に接続する。
また、これらロータリージョイント115a、熱交換器6B及び蒸気供給口105と、排気口75及び補助ヒータ7Bとを結ぶ管路は分岐されるとともに、炭化炉2における給気口26に接続されるものであり、この分岐路にはバルブが具えられている。
なお補助ヒータ7Bは主として、炭化処理装置Sの起動時等に用いられるものであり、定常運転時には主として廃熱ボイラ7が用いられる。
初めに補助ヒータ7Bに水を供給して加熱蒸気を生成するものであり、一例として158℃(0.5MPaG)の飽和水蒸気である加熱媒体Aが生成される。また、この加熱媒体Aを熱交換器6Bに供給して外気を加熱して高温の空気とするものであり、これをキャリヤガス口103に供給して、汚泥M0から蒸発する水分を運ぶためのキャリヤガスとして供する。
次いで前記加熱媒体Aを、乾燥機1におけるロータリージョイント115aに供給するとともに、適宜脱水処理の施された汚泥M0(一例として70〜85%W. B. )を投入口101a、101b、101cを通じて本体シェル10内に投入する。
またキャリヤガス口103から本体シェル10内に前記キャリヤガスが導入される。
そして汚泥M0を本体シェル10内に滞留させつつ多管式加熱管11に接触させることにより、汚泥M0中の水分が蒸発して乾燥が行われるものであり、この際、加熱媒体Aから汚泥M0に間接的に熱が伝導されるものである。
やがて汚泥M0は水分の蒸発が進行し、乾燥物M1(一例として10〜30%W. B. )となって乾燥物排出口121から排出され、炭化炉2における投入口22から回転胴25内に供給される。
一方、汚泥M0から蒸発した水分は前記キャリヤガスにより運ばれて、排気口104から排気される乾燥排ガスG1(一例として100℃)となり、集塵機4においてダストが除去されるとともに、コンデンサ5において湿度が調節された後、熱交換器6における給気口61に供給される。
ここで前記乾燥排ガスG1の湿度調節は、例えば炭化炉2内における被処理物(乾燥物M1)の燃焼度と連動させて行うことが好ましく、この燃焼度が基準値よりも高い場合には乾燥排ガスG1の湿度を高くする一方、燃焼度が基準値よりも低い場合には乾燥排ガスG1の湿度を低くするものである。
なお前記燃焼度の検知は、オペレータによる目視あるいは温度センサ等によって行われるものである。
また熱交換器6における給気口64に外気が(一例として20℃)が供給されるものであり、この外気は伝熱管66を通過する際に、再燃排ガスG3(一例として800℃)との間で熱交換が行われて昇温された状態(一例として500℃)で、炭化炉2における給気口23および/または給気口24並びに再燃炉3における給気口32に供給される。
そして炭化炉2においては、回転胴25内において乾燥物M1が、回転胴25の回転にともないリフタにより掻き上げられて落下し、分散状態とされるとともに、熱交換器6において一例として500℃に昇温された乾燥排ガスG1並びに燃焼炉20から供給される熱風と接することとなり、やがて炭化物M2となって排出口29から排出される。
このように炭化炉2において、再燃排ガスG3に含まれる熱が熱源として供されるものである。
また炭化炉2における投入口22側および/または排出口29側に乾燥排ガスG1が供給されるため、炭化炉2内における投入口22付近および/または排出口29付近を高温状態とすることができ、被処理物(乾燥物M1)の炭化を良好に促進することが可能となる。
更に本発明によれば、乾燥排ガスG1に含まれる蒸気成分によって、炭化炉2内における酸素分圧を低下させることにより、被処理物(乾燥物M1)の燃焼速度を抑えることができ、被処理物(乾燥物M1)の急激な温度上昇を抑えてクリンカの生成が効果的に防止されることとなる。
また、廃熱ボイラ7あるいは補助ヒータ7Bから生じる蒸気を送る経路の一部は、炭化炉2の給気口26に接続されているため、炭化炉2内に蒸気を供給することもできる。このため、起動直後あるいは定常運転時にも確実に炭化炉2内に蒸気を供給することができ、また、定常運転時であっても乾燥排ガスG1から供給され得る蒸気量以上の蒸気を炭化炉2内に供給することができる。このような構成が採られていることにより、例えば、汚泥M0の物性が変化した場合、関連して乾燥物M1の物性が変化するので炭化状態も変化することになるが、このような変化が生じた場合であっても、炭化炉2内に供給する蒸気量を広い範囲で可変できることにより、良好な炭化状態を調整することができる。また汚泥M0からの蒸発水分が少ない場合、乾燥排ガスG1中の蒸気量が少なくなるが、このような場合であっても、廃熱ボイラ7あるいは補助ヒータ7Bから蒸気を炭化炉2内に直接供給して補うことが可能となるものである。
一方、排気口28から排気された炭化排ガスG2(一例として700℃)は、再燃炉3における給気口32に供給される。
そして再燃炉3においては、炭化排ガスG2が、熱交換器6において一例として500℃に昇温された外気並びにバーナ31から供給される熱風と接して燃焼することとなり、有害物質が無害化された再燃排ガスG3(一例として800℃)となって排気口33から排出される。
このように再燃炉3において、再燃排ガスG3に含まれる熱が熱源として供されるものである。
次いで再燃排ガスG3は、前述したように熱交換器6において乾燥排ガスG1及び外気を昇温して温度が低下した後(一例として550℃)、廃熱ボイラ7における給気口71に供給される。
そして廃熱ボイラ7において、再燃排ガスG3と水管73内を通過する水との間で熱交換が行われるものであり、再燃排ガスG3は温度が低下した状態で排気口72からか排出される(一例として350℃)。
更にこの状態の再燃排ガスG3に対して外気(一例として20℃)が混入されることにより、再燃排ガスG3は一例として200℃にまで温度が低下するものであり、集塵機8においてダスト等を除去された後、外部に排気される。
炭化処理装置Sは、上述した一連の動作が行われることにより定常運転に移行するものであり、ここで定常運転に移行した状態での加熱媒体Aの生成について説明する。
すなわち起動直後においては、補助ヒータ7Bに水を供給して加熱蒸気を生成し、一例として158℃の加熱媒体Aを生成したが、定常運転時には再燃排ガスG3に含まれる熱を廃熱ボイラ7で回収し、これにより加熱用の飽和水蒸気すなわち加熱媒体Aを生成するものである。
具体的には、前記廃熱ボイラ7において高効率で加熱蒸気が生成されるものであり、一例として158℃の加熱媒体Aが生成される。
そして前記加熱媒体Aが乾燥機1に供給されるものであり、乾燥機1において、再燃排ガスG3に含まれる熱が熱源として供されるものである。
これにより、汚泥M0の物性が変化した場合、すなわち乾燥物M1の物性が変化することになるので、乾燥物M1の物性に合わせて酸素分圧も調整を行うことができるので、クリンカの発生が抑制された良好な炭化物M2を得ることができる。
これにより、上記と同様に、汚泥M0の物性が変化した場合、乾燥物M1の物性に合わせて酸素分布の調整も行うことができるので、クリンカの発生が抑制されたより良好な炭化物M2を得ることができる。
これにより、上記と同様に、汚泥M0の物性が変化した場合、乾燥物M1の物性に合わせて温度分布の調整も行うことができるので、クリンカの発生が抑制されたより良好な炭化物M2を得ることができる。
10 本体シェル
101 投入口
101a 投入口
101b 投入口
101c 投入口
102 溢出口
103 キャリヤガス口
104 排気口
105 蒸気供給口
106 ドレン口
11 多管式加熱管
111 アングル
112 鏡板
113 軸体
114 軸受ブロック
115 ロータリージョイント
115a ロータリージョイント
115b ロータリージョイント
116 チューブ束
117 リフタ
118 送り羽根
12 シュート
121 乾燥物排出口
122 ロータリーバルブ
13 シール機構
2 炭化炉
20 燃焼炉
21 バーナ
22 投入口
23 給気口
24 給気口
25 回転胴
25a 支持ローラ
26 給気口
28 排気口
29 排出口
3 再燃炉
30 燃焼胴
31 バーナ
32 給気口
33 排気口
4 集塵機(サイクロン、バグフィルタ)
5 コンデンサ
50 筐体
51 冷却管
52 クーリングタワー
6 熱交換器
60 筐体
61 給気口
62 排気口
63 伝熱管
64 給気口
65 排気口
66 伝熱管
67 導入口
68 排出口
6B 熱交換器(エアヒータ)
6b 伝熱管
7 廃熱ボイラ
70 筐体
71 給気口
72 排気口
73 水管
74 給水口
75 排気口
7B 補助ヒータ(ボイラ)
8 集塵機
9 ドレン回収ユニット
A 加熱媒体
F 機枠
G1 乾燥排ガス
G2 炭化排ガス
G3 再燃排ガス
M0 汚泥
M1 乾燥物
M2 炭化物
S 炭化処理装置
Claims (3)
- 被処理物を乾燥機を用いて乾燥した後、更に炭化炉を用いて炭化物とする方法において、
前記炭化炉から排気される炭化排ガスを、再燃炉において燃焼処理することにより、有害物質を無害化処理した再燃排ガスとして外部に排気するものであり、
前記再燃排ガスに含まれる熱を、前記乾燥機、炭化炉または再燃炉のいずれか一つまたは複数の熱源として供するものであり、
前記炭化炉として、燃焼炉から回転胴内に熱風を供給することにより回転胴内において被処理物の加熱処理を施すロータリーキルン型または回転ドラム型の装置を用い、
また前記乾燥機として、加熱媒体から被処理物に間接的に熱を伝導する伝導伝熱式の装置を用い、
被処理物から蒸発した水分を含んだ乾燥排ガスを炭化炉における回転胴内に供給するものであり、
この際、前記乾燥排ガス中の蒸気成分の一部を、コンデンサを用いて除去することにより乾燥排ガスの湿度を調節することを特徴とする汚泥の炭化処理方法。
- 前記乾燥排ガスを、前記再燃排ガスに含まれる熱によって昇温した後、炭化炉に供給することを特徴とする請求項1記載の汚泥の炭化処理方法。
- 前記乾燥機として、機枠上に具えられた本体シェル内に多管式加熱管が具えられ、この多管式加熱管を、その内部に加熱用蒸気を流すとともに回転させ、前記本体シェル内に被処理物を投入し、この被処理物を本体シェル内に滞留させつつ前記多管式加熱管に接触させて被処理物の乾燥を行う装置を用いることを特徴とする請求項1または2記載の汚泥の炭化処理方法。
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