JP6924050B2 - 雨水貯留排水構造 - Google Patents
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即ち、上記暗渠排水施設は、排水および灌水の機能を発揮し得るものであるが、地盤面を広範に掘り起こし、多量のパイプ等を埋設する必要があるため、設置に多くの費用がかかり問題であった。またパイプ等に形成された孔に土砂が入り込んで目詰まりし、排水機能または灌水機能が低下し易い。その上、上記暗渠排水施設は、地盤上に防水シートが敷かれ、その上に芝床土層が形成されており、地盤と芝床土層とは当該防止シートで透水不能に遮断されている。そのため、芝床土層に浸透した雨水が地盤に吸収され難く、かえって水捌けを悪くする虞があった。
本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、1つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。図示する本発明の実施態様は、理解容易のために、特定の部材を全体において比較的大きく図示する場合、または小さく図示する場合などがあるが、いずれも本発明の各構成の寸法比率を何ら限定するものではない。
以下に、本発明の雨水貯留排水構造の第一実施形態について図1から図5を用いて説明する。図1は、本発明の第一実施形態にかかる雨水貯留排水構造100の一例を示す断面模式図である。図1において、雨水貯留排水構造100に対する地盤中の雨水の流れを矢印において模式的に示している。図2は、本発明における樹脂板40の一例を示す上面図である。図3は、上下方向に連続する第一枡12および第二枡22の斜視図であり、第一枡12および第二枡22の内部を図示するために、側面を構成する樹脂板40の一部を図示省略している。図4(a)は、第一実施形態に用いられた排水プレート60の斜視図であり、図4(b)は、図4(a)に示す排水プレート60を上下方向に2つ接続した状態を示す側面図である。図5(a)は、排水プレートの他の例(排水プレート61)を示す斜視図であり、図5(b)は図5(a)に示す排水プレート61を上下方向に3つ接続した状態を示す側面図である。
浸透排水部10は、第一枡12および第一枡12の地盤に対し露出する側面(本実施形態では上面および横側面)を覆う透水性部材14を備える。図3に示すとおり、第一枡12は、側面として上面、横側面および底面を有し、上面および横側面が、厚み方向に貫通する貫通孔30を複数有する樹脂板40により構成されており、底面が、排水プレート60に設けられ厚み方向に貫通する貫通孔30を複数有する基板62により構成されている。降雨などにより地盤中の間隙水が増大した場合、間隙水は、浸透排水部10に浸透し、一時的に貯留されるとともに、周囲の地盤の間隙水量の低下により、浸透排水部10の外側に排水され得る。また本実施形態では、浸透排水部10に浸透した間隙水の一部は、貯留部20の上面を通過して貯留部20に流入する。
貯留部20は、第二枡22および第二枡22の側面のうち少なくとも横側面および底面を覆う不透水性部材24を備える。図3に示すとおり、第二枡22は、側面として上面、横側面および底面を有し、横側面が、厚み方向に貫通する貫通孔30を複数有する樹脂板40により構成されており、上面および底面が、排水プレート60に設けられ厚み方向に貫通する貫通孔30を複数有する基板62により構成されている。本実施形態にかかる雨水貯留排水構造100は、第一枡12の底面が第二枡22の上面として兼用されている。かかる貯留部20は、上面から内部に流入した雨水を貯留可能である。
本実施形態では、透水性部材14および不透水性部材24は、いずれも第一枡12または第二枡14の側面を構成する樹脂板40または基板62と、地盤との間に配置されている。これによって、砂利などが、樹脂板40または基板62に設けられた貫通孔30に入り込むことが防止されている。
雨水貯留排水構造100は、降雨等により地盤の間隙水量が増大したとき、当該間隙水の一部を第一枡12および第二枡22の内部に流入させ、一時的に貯留することができる。そのため、地盤面GLの水捌けを改善することができる。雨水貯留排水構造100は、略平坦な地盤面GLの水捌けを改善するこができることはもちろんであるが、図1に示すとおり、周囲より低い地盤面GLの下方に雨水貯留排水構造100を設けることによって、従来、降雨時等に発生していた水溜り300の発生を防止することができる。
浸透排水部10は、第一枡12の地盤に対し露出する側面を覆って透水性部材14が設けられているため、周囲の地盤の間隙水の減少に伴い第一枡12の内部に一時的に貯留された間隙水を外部(地盤)へと排水することができる。
一方、貯留部20は、第二枡22の横側面および底面に不透水性部材24が設けられているため、上面から流入した間隙水は貯留状態が維持される。そのため、必要に応じて貯留部20に貯留された貯留水を灌水として有効に利用することができる。貯留水の利用方法は特に限定されず、たとえば、貯留部20と図示省略する放水設備等を排水可能に連結し、適宜ポンプアップして周囲の地盤面GLに放水してもよい。また何ら付加的な設備を設けず貯留部20に貯留水を溜めた状態を維持する雨水貯留排水構造100であっても、地盤中温度の上昇に伴い貯留水が蒸発することで、周囲の地盤の湿度を高く維持することができる。
かかる態様によれば、雨水貯留排水構造100の全体構造がコンパクトになり、構築時に掘り起こす地盤の面積を小さく抑えることができる。尚、本実施形態において、浸透排水部10の下方に貯留部20が配置されるとは、上面視において、本実施形態のように、浸透排水部10に対し貯留部20が上下方向に完全に重なっている態様だけでなく、浸透排水部10に対し貯留部20の一部が上下方向に重なっている態様も含む。
第二枡22は、貫通孔30を有する樹脂板40および基板62を用いて側面が構成されているものの、第二枡22の横側面および底面には不透水性部材24が設けられているため、上記横側面および底面では第二枡22の内部と地盤との間で間隙水が流水することが回避されている。そのため、第二枡22では、上面から流入した間隙水を貯留する機能を発揮する。
換言すると、第二枡22は、横側面および底面において不透水性部材24が配置されることで不透水性が確保されているため、側面を構成する部材は、第一枡12と同様に貫通孔30を有し透水性のものを用いることができる。このように、使用部材の種別数を少なくすることで、製造上のメリットがある。また同様の部材を用いて第一枡12および第二枡22が構成されるので、それぞれの枡を覆う透水性部材14および不透水性部材24の被覆面積を変更するだけで、容易にこれらの升の容積の設計変更が可能である。
他の例としては、後述する図5(b)に示すように、一の排水プレート61に対し、上下方向を逆向きに配置された他の排水プレート61を対向させて枡内に段を構成してもよい。この場合には、一の排水プレート61における基板62と、他の排水プレート61における基板62が、当該段の上下面をなし、この間において、上下に対向する支柱64同士が当接することで、当該上下面が支持される。
第二枡22の側面のうち少なくとも横側面および底面を覆う不透水性部材24は、地盤中の間隙水が通過できないシート状部材が好ましく、一般的には防水性の樹脂製シートが好ましい。上述する樹脂板40と任意で用いる排水プレート60とで構成される枡であって、少なくとも横側面および底面を不透水性部材24で覆われた部分が第二枡22を構成する。
以下に、本発明の第二実施形態について図6を用いて説明する。図6は、本発明の第二実施形態にかかる雨水貯留排水構造200の一例を示す断面模式図である。本実施形態は、上面視において、浸透排水部10と貯留部20とが上下方向に重ならない態様を示す。
浸透排水部10における第一枡12は、底面を構成する排水プレート60の基板62が、第二枡22の上面と兼用されていない点、および側面全面が透水性部材14で覆われている点で、第一実施形態における第一枡12と異なっており、その他の構成は同様である。上述する第一枡12を備える浸透排水部10は、多面体であって、実質的に全ての側面において間隙水の出入りが可能であり、浸透性および排水性に優れる。
貯留部20に設けられた第二枡22は、上面が樹脂板40で構成されている点、および当該上面が透水性部材14で覆われている点で、第一実施形態における第二枡22と異なっており、その他の構成は同様である。雨水貯留排水構造200に関し、雨水排水構造100と同様の構成については上述する第一実施形態の説明が適宜参酌される。
たとえば、図6に示すとおり、地盤面GLに起伏のある土地において、相対的に地盤面GLが隆起した領域に浸透排水部10を配置し、これより地盤面GLが低い領域に貯留部20を配置することで、貯留部20に貯留される貯留水の量を充分に確保しやすい。
以下に、本発明の第三実施形態について図7を用いて説明する。図7は、本発明の第三実施形態にかかる雨水貯留排水構造300の一例を示す断面模式図である。本実施形態は、上面視において、浸透排水部10と貯留部20とが上下方向に重ならず、かつ水平方向において互いに当接して配置された態様を示す。
以下に、本発明の第四実施形態について図8(a)(b)を用いて説明する。図8(a)は、第四実施形態にかかる雨水貯留排水構造400の側面図であり、図8(b)は、雨水貯留排水構造400の上面図である。
(1)地盤中において、雨水を内部に浸透させるとともに周囲に排水可能な浸透排水部と、雨水を貯留可能な貯留部と、を有し、前記浸透排水部は、側面が、厚み方向に貫通する貫通孔を複数有する樹脂板により構成された第一枡、および前記第一枡の地盤に対し露出する側面を覆う透水性部材を備え、前記貯留部は、側面が、厚み方向に貫通する貫通孔を複数有する樹脂板により構成された第二枡、および前記第二枡の前記側面のうち少なくとも横側面および底面を覆う不透水性部材を備えることを特徴とする雨水貯留排水構造。
(2)前記浸透排水部の下方に、前記貯留部が配置されている上記(1)に記載の雨水貯留排水構造。
(3)上面視上、前記浸透排水部と前記貯留部とが、横並びに配列されている上記(1)に記載の雨水貯留排水構造。
(4)前記浸透排水部の前記第一枡の底面から地盤面まで距離と、前記貯留部の前記第二枡の底面から地盤面までの距離が、略等しい上記(3)に記載の雨水貯留排水構造。
(5)複数の前記浸透排水部が設けられてなる浸透排水部の集合エリアを備えるとともに、前記集合エリアの外側に前記貯留部が1または2以上配置されている上記(3)または(4)に記載の雨水貯留排水構造。
(6)前記第一枡および前記第二枡の内部において、基板と、前記基板の一方側の面から面直方向に起立する中空筒状の支柱とを備える排水プレートが配置されており、前記内部の空間が、上下方向において、前記基板により多段に区画されるとともに各段を構成する底面と上面とが前記支柱により支持されている上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の雨水貯留排水構造。
(7)ゴルフ場の地盤に前記浸透排水部および前記貯留部が設けられ当該ゴルフ場の地盤面の水捌け改善用である上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の雨水貯留排水部。
12 第一枡
14 透水性部材
20 貯留部
22 第二枡
24 不透水性部材
26 境界
30 貫通孔
40 樹脂板
50 排水管
52 放水設備
54 流水管
55、56 連結部
60、61 排水プレート
62 基板
64 支柱
66 接続用凸部
68 接続用凹部
100、200、300、400 雨水貯留排水構造
120 集合エリア
300 水溜り
A1、A2 距離
GL 地盤面
Claims (6)
- 地盤中において、地盤中の間隙水を内部に浸透させるとともに周囲に排水可能な浸透排水部と、地盤中の間隙水を貯留可能な貯留部と、を有し、
前記浸透排水部は、側面が、厚み方向に貫通する貫通孔を複数有する樹脂板により構成された第一枡、および前記第一枡の地盤に対し露出する側面を覆う透水性部材を備え、
前記貯留部は、側面が、厚み方向に貫通する貫通孔を複数有する樹脂板により構成された第二枡、および前記第二枡の前記側面のうち少なくとも横側面および底面を覆う不透水性部材を備え、上面から流入した間隙水を貯留する機能を有し、
前記浸透排水部と前記貯留部とが上下方向に重ならずに配置されているとともに、前記貯留部の上面には貫通孔と透水性部材とを有し、地盤から直接に前記浸透排水部および前記貯留部に間隙水が流入可能であるか、または、
前記浸透排水部の下方に、連続して前記貯留部が配置され、前記浸透排水部は地盤から直接に間隙水が流入可能であり、かつ前記貯留部は当該貯留部の上面に設けられた前記貫通孔を介して前記浸透排水部から間隙水が流入可能であることを特徴とする雨水貯留排水構造。 - 前記浸透排水部と前記貯留部とが上下方向に重ならずに配置されているとともに、前記貯留部の上面には貫通孔と透水性部材とを有し、地盤から直接に前記浸透排水部および前記貯留部に間隙水が流入可能であり、
上面視上、前記浸透排水部と前記貯留部とが、横並びに配列されており、前記貯留部の上面が透水性部材で覆われている請求項1に記載の雨水貯留排水構造。 - 前記浸透排水部の前記第一枡の底面から地盤面まで距離と、前記貯留部の前記第二枡の底面から地盤面までの距離が、略等しい請求項2に記載の雨水貯留排水構造。
- 複数の前記浸透排水部が設けられてなる浸透排水部の集合エリアを備えるとともに、前記集合エリアの外側に前記貯留部が1または2以上配置されている請求項2または3に記載の雨水貯留排水構造。
- 前記第一枡および前記第二枡の内部において、
基板と、前記基板の一方側の面から面直方向に起立する中空筒状の支柱とを備える排水プレートが配置されており、前記内部の空間が、上下方向において、前記基板により多段に区画されるとともに各段を構成する底面と上面とが前記支柱により支持されている請求項1から4のいずれか一項に記載の雨水貯留排水構造。 - ゴルフ場の地盤に前記浸透排水部および前記貯留部が設けられ当該ゴルフ場の地盤面の水捌け改善用である請求項1から5のいずれか一項に記載の雨水貯留排水部。
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