JP6920757B2 - 靴底及び靴 - Google Patents

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Description

本発明は、靴底と、この靴底を備えた靴とに関する。
耐滑性を高めた靴底(耐滑性靴底)としては、これまでに種々のものが提案されている。例えば、本出願人は、特許文献1の耐滑性靴底を開発している。特許文献1の耐滑性靴底は、基台部の長さ方向に所定間隔を設けて前記基台部の接地側面に形成された複数の接地凸部を有するものとなっており、前記各接地凸部がV字形状の横断面を有し、前記基台部との付け根部位に傾斜補強部が形成され、且つ、20℃におけるJIS−A硬度が45〜80度の弾性重合体によって形成されていることを特徴とするもの(同文献の請求項1)である。特許文献1の耐滑性靴底は、滑りやすい状態にある床面等であっても、安定して歩行することが可能(同文献の段落0021)なものとなっている。特許文献1の耐滑性靴底は、床面が滑りやすい環境にある工場や厨房等でも滑りにくいことが話題となり、ヒット商品となっている。
国際公開第2006/003740号
ところが、特許文献1の耐滑性靴底は、それを着用して、ご飯粒や麺等のある程度粘性を有する物体が落ちている床面を歩行すると、その物体が前記接地凸部の隙間に入り込んだ状態で付着しやすく、このように付着した物体を靴底下面から剥がすことも容易ではないという欠点が、食品工場や厨房等から報告されていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、良好な耐滑性を発揮しながらも、下面に物体が付着しにくく、例え下面に物体が付着したとしても、その物体を容易に剥がれ落とすことができる靴底を提供するものである。また、この靴底を備えた靴を提供することも本発明の目的である。
上記課題は、
土踏まずの下側に配される中間部分、中間部分よりも爪先側に位置する前側部分、及び、中間部分よりも踵側に位置する後側部分からなる靴底本体と、
靴底本体における前側部分及び後側部分の下面の略全領域から、互いに隙間を隔てた状態で下向きに設けられた複数の滑り止め突起と
を備え、
靴底本体における前側部分及び後側部分の下面の略全領域が平面状に形成された
靴底であって、
靴底の下面側における滑り止め突起が設けられた領域(以下「滑り止め突起形成領域」という。)の動摩擦係数が0.3以上であり、
滑り止め突起形成領域の粘性物質付着量が1.5g以下であり、
滑り止め突起形成領域の粘性物質剥離屈曲回数が30回以下である
ことを特徴とする靴底
を提供することによって解決される。
本明細書において、動摩擦係数や粘性物質付着量や粘性物質剥離屈曲回数等の用語の意味は、以下の通りとする。
[動摩擦係数]
本明細書において、「動摩擦係数」とは、「JIS T 8101:安全靴」における「9.7 耐滑試験」(潤滑液:グリセリン水溶液,試験床:ステンレス板)により測定された動摩擦係数のことをいう。
[粘性物質付着量]
本明細書において、「粘性物質付着量」とは、下記手順A1〜A8により求められた重量差ΔMのことを云う。
(1)手順A1
測定対象の靴底の試料(5cm(タテ)×5cm(ヨコ))を用意する。
(2)手順A2
靴底の試料の重量(以下「初期重量M」とする。)を測定する。
(3)手順A3
「JIS Z 8901:試験用粉体及び試験用粒子」における試験用粉体1−7種(関東ローム)(25g)と、「JIS K 8295:グリセリン(試薬)」 における特級グリセリン(21g)とを混合し、粘性材料を得る。
(4)手順A4
水平なアルミニウム板の上面に、上記手順A3で得た粘性材料を10cm(タテ)×10cm(ヨコ)×2mm(厚さ)で敷く。
(5)手順A5
上記手順A2で初期重量Mを測定した靴底の試料を、その接地面を下側に向けて、上記手順A4でアルミニウム板の上面に敷いた粘性材料の中央部の上面に静置する。
(6)手順A6
靴底の試料の上面側から下向きに、5kg重の荷重を10秒間加えて、試料の接地面を粘性材料に押し付ける。
(7)手順A7
手順A6を終えた靴底の試料を静かに取り出し、その重量(以下「加圧後重量M」とする。)を測定する。
(8)手順A8
ΔM=M−Mにより算出したΔM[g]の値を粘性物質付着量とする。
[粘性物質剥離屈曲回数]
本明細書において、「粘性物質剥離屈曲回数」とは、下記手順B1〜B8により求められた屈曲回数Nのことを云う。
(1)手順B1
測定対象の靴底の試料(30cm(タテ)×15cm(ヨコ))を用意し、その接地面が上向きとなる状態で水平面上に置く。
(2)手順B2
密度が0.345±0.01[g/cm]、加圧時収縮率が80±2[%]、最大剥離荷重が5.6±0.2[N]の粘土を用意する。
(3)手順B3
図8(a)に示すように、手順B2で得た粘土50を球状に丸め、手順B1で水平に置かれた靴底の試料60の接地面における同図に示す箇所に、その丸めた粘土50を静置する。
(4)手順B4
図8(b)に示すように、手順B3を終えた粘土50の上に離型紙70を載せる。
(5)手順B5
図7(c)に示すように、離型紙70の上からアルミニウム板80を載せ、アルミニウム板80の上側から下向きに10kgの荷重を10秒間加え、靴底の試料60の接地面に粘土50を粘着させる。
(6)手順B6
手順B5を終えた靴底の試料60からアルミニウム板80及び離型紙70を取り外し、その試料60を、図8(d)に示す屈曲装置90の水平台91の上面に、接地面が下側を向く状態で静置する。試料60の先端には、屈曲装置90のフック92を取り付け、試料60の後端から13cmの上面を、屈曲装置90の押さえ板93で押えた状態とする。
(7)手順B7
屈曲装置90のハンドル94を回してワイヤー95を撒き上げ、図8(e)に示すように、靴底の試料60を屈曲させた後、ハンドル94を戻して図8(d)の状態に戻す屈曲操作を行う。屈曲操作は、試料60の屈曲角度θが120°となるまで行い、各屈曲は、3秒周期で繰り返し行う。
(8)手順B8
靴底の試料60から粘土50が剥離するまでに要した屈曲回数Nを計測し、この屈曲回数Nを粘性物質剥離屈曲回数[回]とする。
[密度]
本明細書において、粘土の「密度」(上記の手順B2を参照。)は、「JIS K 6268」の方法で測定した値とする。
[加圧時収縮率]
本明細書において、粘土の「加圧時収縮率」(上記の手順B2を参照。)は、下記手順C1〜C5により求められた収縮率Rのことを云う。
(1)手順C1
測定対象の粘土を、直径が20mmで高さが25mm(以下「初期高さH」とする。)の円柱状に形成する。
(2)手順C2
手順C1で得た粘土を、その高さ方向が水平面に対して略垂直となる状態で、水平面上に立設する。
(3)手順C3
手順C2で立設された粘土の上端面に対し、上側から下向きに1.1kgの荷重を10秒間加える。
(4)手順C4
手順C3を終えた後の粘土の高さ(以下「加圧後高さH」とする。)を測定する。
(5)手順C5
R=(H−H)÷H×100により算出したR[%]の値をその粘土の加圧時収縮率[%]とする。
[最大剥離荷重]
本明細書において、粘土の「最大剥離荷重」(上記の手順B2を参照。)は、下記手順D1〜D5により測定された最大荷重Fとされる。
(1)手順D1
図9(a)に示すように、フック101と押付板102とで構成された押付具100を用意する。押付板102の下面には、両面テープ103を貼り付けた状態とする。
(2)手順D2
図9(b)に示すように、測定対象の粘土50を、5cm(タテ)×5cm(ヨコ)×1cm(厚さ)に形成し、水平に置かれたステンレス板110の上面に静置する。
(3)手順D3
図9(c)に示すように、押付具100の押付板102の上側から下側に向かって3.2kgの荷重を10秒間加え、粘土50をステンレス板110に押し付ける。
(4)手順D4
図9(d)に示すように、手順D3を終えた押付具100のフック101にプルゲージ120を取り付けて鉛直方向上側に引っ張り上げていき、粘土50をステンレス板110から剥離させる。
(5)手順D5
手順D4で粘土50がステンレス板110から剥離したときのプルゲージの荷重(最大荷重F)を読み取り、この最大荷重Fを粘土の最大剥離荷重[N]とする。
本発明の靴底は、上記の動摩擦係数が0.3以上と大きく、良好な耐滑性を有しているだけでなく、粘性物質付着量が1.5g以下と粘性物質が付着しにくいものとなっている。また、粘性物質剥離屈曲回数が30回以下と少ないため、例え下面(接地面)の滑り止め突起形成領域に物体が付着したとしても、その物体を容易に剥がれ落とすことが可能となっている。このため、本発明の靴底は、ご飯粒や麺等、ある程度粘性を有する物体が落ちている床面を好適に歩行することができ、食品工場や厨房等で好適に使用することが可能なものとなっている。
本発明の靴底において、滑り止め突起は、その形態を特に限定されるものではないが、それぞれ三角柱状を為すようにすることが好ましい。このときには、滑り止め突起を、滑り止め突起形成領域において六角格子の格子点を為す位置にそれぞれ配するととともに、一の滑り止め突起と、当該一の滑り止め突起に隣り合う他の滑り止め突起とを、それらの下端面が為す三角形の向きが逆向きとなるように設けることが好ましい。というのも、滑り止め突起を、円柱状や四角柱状等、他の形態とした場合や、滑り止め突起を四角格子の格子点を為す位置に配置する等、他の配置とした場合と比較して、動摩擦係数と粘性物質付着量と粘性物質剥離屈曲回数とをバランスよく高めることが可能であることが確認できたからである。
本発明の靴底においては、滑り止め突起の上端側部分を、当該滑り止め突起の上端に近づくにつれて太くなるように形成し、それぞれの滑り止め突起の外周面と靴底本体の下面とを鉛直断面円弧状に接続することも好ましい。というのも、滑り止め突起の外周面と靴底本体の下面との接続部分が尖った角部になっていると、その角部に物体が挟まった状態になりやすいところ、これらを鉛直断面円弧状に接続して前記角部を丸くすると、その部分に物体が詰まりにくくすることが可能だからである。
本発明の靴底において、滑り止め突起形成領域の面積Sに対する滑り止め突起の下端面の面積の総和Sの比S/Sは、特に限定されない。しかし、比S/Sを小さくすると、必然的に、靴底と床面との接触面積も小さくなり、靴底の耐滑性を確保しにくくなる虞がある。また、滑り止め突起が細くなるか、滑り止め突起の本数が少なくなるため、滑り止め突起で歩行者の体重を受けきれなくなる虞がある。このため、比S/Sは、0.1以上とすることが好ましい。比S/Sは、0.15以上とすることがより好ましく、0.2以上とすることがさらに好ましい。
一方、比S/Sを大きくしすぎると、必然的に、隣り合う滑り止め突起の隙間が狭くなり、その隙間に物体が詰まりやすくなるだけでなく、その隙間に一旦詰まった物体が剥離しにくくなる虞がある。このため、比S/Sは、通常、0.7以下とされる。比S/Sは、0.5以下とすることが好ましく、0.4以下とすることがより好ましく、0.3以下とすることがさらに好ましい。
本発明の靴底においては、隣り合う滑り止め突起の隙間の幅Wも、特に限定されない。しかし、隣り合う滑り止め突起の隙間の幅Wが狭すぎると、その隙間に物体が詰まりやすくなるだけでなく、その隙間に一旦詰まった物体が剥離しにくくなる虞がある。このため、隙間の幅W(隣り合う滑り止め突起の下端側の隙間で最も狭くなる部分の幅。以下同じ。)は、通常、1mm以上とされる。隙間の幅Wは、3mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることがさらに好ましい。
一方、隣り合う滑り止め突起の隙間を広くしすぎると、必然的に、上記の比S/Sが小さくなり、靴底の耐滑性を確保しにくくなる虞がある。このため、隣り合う滑り止め突起の隙間の幅Wは、通常、20mm以下とされる。隙間の幅Wは、15mm以下とすることが好ましく、12mm以下とすることがより好ましく、10mm以下とすることがさらに好ましい。
本発明の靴底においては、それぞれの滑り止め突起の下端面の面積も、特に限定されない。しかし、それぞれの滑り止め突起の下端面の面積が小さすぎると、床面と靴底との接地面を確保しにくくなり、耐滑性を高めることが難しくなるだけでなく、それぞれの滑り止め突起の強度を維持しにくくなる虞もある。このため、それぞれの滑り止め突起の下端面の面積(接地部分の面積。以下同じ。)は、通常、10mm以上とされる。それぞれの滑り止め突起の下端面の面積は、20mmとすることが好ましく、30mmとすることがより好ましく、40mmとすることがさらに好ましく、50mmとすることがより好適である。
一方、それぞれの滑り止め突起の下端面の面積が広すぎると、必然的に、滑り止め突起の本数が少なくなって、靴底の下面側に形成されるエッジの数が少なくなるだけでなく、滑り止め突起が太くなって弾性変形しにくくなり、靴底の耐滑性(特に水で濡れた床面や粉等が飛散する床面での耐滑性)を維持しにくくなる虞がある。このため、それぞれの滑り止め突起の下端面の面積は、通常、500mm以下とされる。それぞれの滑り止め突起の下端面の面積は、300mm以下とすることが好ましく、200mm以下とすることがより好ましく、100mm以下とすることがさらに好ましい。
本発明の靴底においては、滑り止め突起形成領域における単位面積1cm当たりの滑り止め突起の個数(以下、「滑り止め突起の数密度」と呼ぶことがある。)も特に限定されない。しかし、滑り止め突起の数密度が少なすぎると、やはり、滑り止め突起の本数が少なくなって、靴底の下面側に形成されるエッジの数が少なくなり、靴底の耐滑性(特に水で濡れた床面や粉等が飛散する床面での耐滑性)を維持しにくくなる虞がある。このため、滑り止め突起の数密度は、0.2個/cm以上とすることが好ましい。滑り止め突起の数密度は、0.2個/cm以上とすることが好ましい。滑り止め突起の数密度は、0.3個/cm以上とすることがより好ましく、0.4個/cm以上とすることがさらに好ましい。
一方、滑り止め突起の数密度が多すぎると、必然的に、それぞれの滑り止め突起が細くなり、それぞれの滑り止め突起の強度を維持しにくくなる虞がある。また、滑り止め突起は、通常、金型で成形されるところ、滑り止め突起の成形も難しくなる。このため、滑り止め突起の数密度は、2個/cm以下とすることが好ましい。滑り止め突起の数密度は、1.5個/cm以下とすることがより好ましく、1個/cm以下とすることがさらに好ましい。
本発明の靴底においては、滑り止め突起の高さも特に限定されない。しかし、滑り止め突起を低くしすぎると、滑り止め突起が弾性変形しにくくなり、靴底の耐滑性を維持することが難しくなる虞がある。このため、滑り止め突起の高さは、通常、1mm以上とされる。滑り止め突起の高さは、1.5mm以上とすることが好ましく、2mm以上とすることがより好ましく、2.5mm以上とすることがさらに好ましい。
一方、滑り止め突起を高くしすぎると、滑り止め突起の強度を維持しにくくなるだけでなく、靴底が不安定で歩行しにくいものとなる虞もある。このため、滑り止め突起の高さは、10mm以下することが好ましい。滑り止め突起の高さは、7mm以下とすることがより好ましく、5mm以下とすることがさらに好ましい。
本発明の靴底においては、靴底の下面側における滑り止め突起が設けられた滑り止め突起形成領域の外縁部は、他の突起等が存在しない状態としてもよい。しかし、この場合には、歩行時等の靴底において、滑り止め突起の下端面のみが歩行面に接地するようになり、歩行者等の体重の略全体が滑り止め突起のみで支持される状態になる。したがって、歩行時の滑り止め突起が、押し潰されたり、曲がったり等、変形しやすくなり、歩行が不安定になる虞がある。このため、本発明の靴底においては、以下の構成を採用することも好ましい。
すなわち、滑り止め突起形成領域の外縁部を、滑り止め突起と略同じ高さを有する枠状突起で囲む構成である。このように、滑り止め突起形成領域の外縁部を枠状突起で囲むことによって、歩行者の体重を枠状突起に分散することが可能になり、滑り止め突起にかかる荷重を小さくすることができる。枠状突起は、滑り止め突起形成領域の外縁部に沿って略連続的に設けられるため、歩行者の体重をしっかりと受け止めることができる。したがって、歩行時等に滑り止め突起が変形しにくくして、歩行時等の安定性を高めることが可能になる。
本発明の靴底は、その用途を特に限定されるものではなく、各種の靴に備えることができる。なかでも、粘性物質が落ちていることが多い食品工場や厨房等で着用する靴として好適に使用することができる。本発明の靴底は、靴に一体的に形成した状態で提供されるものであってもよいし、既存の靴に対して着脱可能な状態で提供されるものであってもよい。
以上のように、本発明によって、良好な耐滑性を発揮しながらも、下面に物体が付着しにくく、例え下面に物体が付着したとしても、その物体を容易に剥がれ落とすことができる靴底を提供することが可能になる。また、この靴底を備えた靴を提供することも可能になる。
本発明に係る靴底の好適な実施態様を、下面(接地面)側から見た状態を示した斜視図である。 図1の靴底を、下面(接地面)側から見た状態を示した底面図である。 図1の靴底を、図2におけるA−A平面で切断した状態を示した断面図である。 本発明に係る靴底において、滑り止め突起の形態のバリエーションを示した図である。 歩行時における靴底本体の湾曲を説明する図である。 本発明に係る靴底において、三角柱状の六角格子の格子点に配置した場合の、滑り止め突起の寸法や配置のバリエーションを示した図である。 実験で使用した試料を示した図である。 粘性物質剥離屈曲回数の測定方法を説明する図である。 最大剥離荷重の測定方法を説明する図である。 本発明に係る靴底であって、図1の靴底における空乏領域αに相当する部分を設けていない態様のものを、下面(接地面)側から見た状態を示した底面図である。 本発明に係る靴底であって、滑り止め突起形成領域の外縁部に枠状突起を設けた態様のものを、下面(接地面)側から見た状態を示した底面図である。 本発明に係る靴底であって、滑り止め突起形成領域が前側部分と後側部分とに分断して設けられ、前側部分における滑り止め突起形成領域と、後側部分における滑り止め突起形成領域とのそれぞれの外縁部に枠状突起を設けた態様のものを、下面(接地面)側から見た状態を示した底面図である。
1.本発明に係る靴底
1.1 靴底の概要
本発明に係る靴底の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明に係る靴底10の好適な実施態様を、下面(接地面)側から見た状態を示した斜視図である。図2は、図1の靴底10を、下面(接地面)側から見た状態を示した底面図である。図3は、図1の靴底10を、図2におけるA−A平面で切断した状態を示した断面図である。
本発明に係る靴底10は、図1及び図2に示すように、靴底本体11と複数の滑り止め突起12とを備えたものとなっている。
1.2 靴底本体
靴底本体11は、その外周形状が概略足裏状を為しており、前側部分11aと、後側部分11bと、中間部分11cとで構成されている。前側部分11aは、足の爪先側部分の下側に配される部分となっており、後側部分11bは、足の踵側部分の下側に配される部分となっており、中間部分11cは、足の土踏まずの下側に配される部分となっている。前側部分11aの下面と、後側部分11bの下面は、その略全領域が平面状に形成されている。本実施態様においては、中間部分11cの下面も、その略全領域を平面状に形成しており、前側部分11aの下面と、中間部分11cの下面と、後側部分11bの下面とが面一で平面状に連続するようにしている。
1.2 滑り止め突起
滑り止め突起12は、靴底本体11における、少なくとも前側部分11a及び後側部分11bの下面の略全領域から、互いに隙間を隔てた状態で下向きに設けられている。中間部分11cの下面の略全領域にも、滑り止め突起12を設けることもできるが、中間部分11cは、土踏まずの下側に位置する部分であるため、中間部分11cにかかる荷重は、前側部分11aや後側部分11bにかかる荷重と比較して小さく、中間部分11cの下面の略全領域に滑り止め突起12を設けても、靴底10の耐滑性への寄与度は小さい。特に、中間部分11cにおける前後方向中間部は、靴底10の耐滑性への寄与度が小さい。このため、本実施態様においては、中間部分11cの前後方向中間部に、滑り止め突起12が設けられていない空乏領域α(図1及び図2において破線で示した部分)を設けている。この空乏領域αは、物が付着しにくく、また一旦付着した物が剥がれ落ちやすい部分となっている。本実施態様では採用していないが、空乏領域αは、靴底本体11の外縁部に設けることもできる。
本発明に係る靴底10においては、靴底10の下面側における滑り止め突起12が設けられた領域(滑り止め突起形成領域)の動摩擦係数が0.3以上となっており、滑り止め突起形成領域の粘性物質付着量が1.5g以下となっており、滑り止め突起形成領域の粘性物質剥離屈曲回数が30回以下となっている。
このうち、滑り止め突起形成領域の動摩擦係数は、靴底10の耐滑性の指標となるものであり、この動摩擦係数の値が大きければ大きいほど、靴底10は耐滑性に優れたものとなる。この点、本発明に係る靴底10は、上記のように、滑り止め突起形成領域の動摩擦係数が0.3以上と高く、優れた耐滑性を発揮するものとなっている。滑り止め突起形成領域の動摩擦係数は、0.35以上であることが好ましく、0.4以上であることがより好ましい。本発明に係る靴底10では、滑り止め突起形成領域の動摩擦係数を、0.5以上や、0.6以上や、0.7以上(後掲の実施例3)とさらに高めることも可能である。滑り止め突起形成領域の動摩擦係数の上限は、特に限定されないが、本発明に係る靴底10は、粘性物質の付着のしにくさや剥がれ落ちやすさも考慮したものであるため、動摩擦係数の値が1を超えることは困難であると推測される。
また、滑り止め突起形成領域の粘性物質付着量は、靴底10への粘性物質の付着のしにくさの指標となるものであり、この粘性物質付着量が少なければ少ないほど、靴底10に粘性物質が付着しにくくなる。この点、本発明に係る靴底10は、上記のように、滑り止め突起形成領域の粘性物質付着量が1.5g以下と小さく、粘性物質が付着しにくいものとなっている。滑り止め突起形成領域の粘性物質付着量は、1g以下であることが好ましく、0.5g以下であることがより好ましく、0.2g以下であることがさらに好ましい。本発明に係る靴底10では、滑り止め突起形成領域の粘性物質付着量を、0.15以下(後掲の実施例3)や、0.1以下(後掲の実施例2)とさらに小さくすることも可能である。滑り止め突起形成領域の粘性物質付着量の下限は、特に限定されないが、本発明に係る靴底10は、耐滑性も考慮したものであるため、粘性物質付着量の値が0.01を下回ることは困難であると推測される。
さらに、滑り止め突起形成領域の粘性物質剥離屈曲回数は、靴底10へ一旦付着した粘性物質の剥がれ落ちやすさの指標となるものであり、この粘性物質剥離屈曲回数が少なければ少ないほど、靴底10から粘性物質が剥がれ落ちやすくなる。この点、本発明に係る靴底10は、上記のように、滑り止め突起形成領域の粘性物質剥離屈曲回数が30回以下と少なく、一旦付着した粘性物質が剥がれ落ちやすいものとなっている。滑り止め突起形成領域の粘性物質剥離屈曲回数は、25回以下であることが好ましく、20回以下であることがより好ましく、15回以下であることがさらに好ましい。本発明に係る靴底10では、滑り止め突起形成領域の粘性物質剥離屈曲回数を、10回以下(後掲の実施例1及び実施例2)とさらに少なくすることも可能である。滑り止め突起形成領域の粘性物質剥離屈曲回数の下限は、特に限定されないが、通常、1回を下回ることは困難であると推測される。
本発明に係る靴底10において、滑り止め突起12の形態は、特に限定されない。例えば、図4(a)に示すように、滑り止め突起12を三角柱状に形成してもよいし、図4(b)に示すように、滑り止め突起12を円柱状に形成してもよいし、図4(c)に示すように、滑り止め突起12を四角柱状に形成してもよい。滑り止め突起10は、上記の三角柱や四角柱以外の多角柱状(六角柱状や八角柱状等)に形成することもできるし、楕円柱状に形成することもできる。滑り止め突起形成領域の動摩擦係数が0.3以上で、滑り止め突起形成領域の粘性物質付着量が1.5g以下で、滑り止め突起形成領域の粘性物質剥離屈曲回数が30回以下となるのであれば、滑り止め突起12は、如何様な形態でも採用することができる。図1〜3の靴底10において、滑り止め突起12は三角柱状としている。
また、それぞれの滑り止め突起12は、その上端側(靴底本体11の下面に接続する側)から下端側(歩行面に設置する側)にかけて太さが一定のものとしてもよいが、本実施態様においては、図3に示すように、それぞれの滑り止め突起12の上端12b側部分を、滑り止め突起12の上端(同図の紙面に向かって左側の端部)に近づくにつれて太くなるように形成している(図3の拡径部12cを参照。)。このため、滑り止め突起12の強度が、拡径部12cによって高められた状態となっている。加えて、それぞれの滑り止め突起12における拡径部12cの外周面を、鉛直断面円弧状に形成しており、滑り止め突起12の外周面と靴底本体11の下面とが滑らかに接続するようにしている。このため、滑り止め突起12の外周面と靴底本体11の下面とで形成される角部が丸くなり、その角部に物が詰まりにくくなっている。これにより、靴底10の滑り止め突起形成領域における粘性物質付着量や粘性物質剥離屈曲回数をさらに少なくすることが可能となっている。加えて、靴底10を金型で成形した後の型抜きを容易に行うことも可能になる。
本発明に係る靴底10において、滑り止め突起12の配置も、特に限定されない。滑り止め突起形成領域の動摩擦係数が0.3以上で、滑り止め突起形成領域の粘性物質付着量が1.5g以下で、滑り止め突起形成領域の粘性物質剥離屈曲回数が30回以下となるのであれば、滑り止め突起12の配置は、如何様に設定してもよい。例えば、図4(a)に示すように、滑り止め突起12を、六角格子(同図における細破線を参照)の格子点(同図における黒丸を参照)を為す位置にそれぞれ配してもよいし、図4(b)及び図4(c)に示すように、滑り止め突起12を、四角格子(同図における細破線を参照)の格子点(同図における黒丸を参照)を為す位置にそれぞれ配してもよい。また、図示はしていないが、滑り止め突起12を、三角格子の格子点を為す位置にそれぞれ配してもよい。既に述べたように、本発明に係る靴底10は、靴底本体11の下面が平面状を為すところ、このように、複数の滑り止め突起12を規則的に繰り返し配置することで、滑り止め突起12が設けられた場所によらず、安定した耐滑性を発揮できるようになっている。このように、複数の滑り止め突起12を格子点位置に配する場合には、上述した、滑り止め突起形成領域の面積Sに対する滑り止め突起の下端面の面積の総和Sの比S/Sは、図2の拡大部分に示すように、単位格子ULの面積に対する、滑り止め突起12の下端面における単位格子ULに含まれる部分(同図において網掛けハッチングで示した部分)の面積の比を算出することによって求めることができる。
ただし、上述した粘性物質剥離屈曲回数として測定できる以上の粘性物質の剥がれ落ちやすさを考慮すると、滑り止め突起12は、図4(a)に示すように、六角格子の格子点を為す位置にそれぞれ配することが好ましい。
というのも、靴底10は、靴底本体11を平面状に形成していたとしても、歩行時においては、図5に示すように、湾曲した状態となる。図5は、歩行時における靴底本体11の湾曲を説明する図である。靴底本体11が湾曲すると、隣り合う滑り止め突起12の隙間β(同図における網掛けハッチングで示した部分)が、滑り止め突起12の下端12a側で広がった状態となる。このため、滑り止め突起12の隙間βに物が詰まったとしても、靴底本体11が湾曲する際(歩行時において靴底10を着地させる際や靴底10で地面を蹴る際等)に、その物が剥がれ落ちやすくなる。滑り止め突起12の隙間βは、線状に連続していると、滑り止め突起12の隙間βに詰まった物はより剥がれ落ちやすくなる。
この点、図4(b)及び図4(c)に示すように、滑り止め突起12を、四角格子の格子点を為す位置にそれぞれ配した場合には、隙間βが、靴底10の左右方向に平行な方向(同図における太破線L0°の方向)と、靴底10の左右方向に垂直な方向(同図における太破線L90°の方向)との計2方向にしか形成されないが、図4(a)に示すように、滑り止め突起12を、六角格子の格子点を為す位置にそれぞれ配すると、隙間βが、靴底10の左右方向に平行な方向(同図における太破線L0°の方向)と、靴底10の左右方向に対して60°を為す方向(同図における太破線L60°の方向)と、靴底10の左右方向に対して120°を為す方向(同図における太破線L120°の方向)との計3方向に形成し、隣り合う滑り止め突起12の隙間βに詰まった物を歩行時等においてより剥がれ落ちやすくすることが可能であるからである。
図1〜2の靴底10においても、三角柱状の滑り止め突起12を六角格子の格子点を為す位置にそれぞれ配している。一の滑り止め突起12と、当該一の滑り止め突起12に隣り合う他の滑り止め突起とは、それらの下端面が為す三角形の向きが逆向きとなるようにしている。これにより、滑り止め突起12をある程度密に配して靴底10の耐滑性を高めながらも、図4(a)における太破線L0°,L60°,L120°に沿った隙間βの幅(図2の幅Wを参照。)を広く確保し、滑り止め突起12の隙間βに物が詰まりにくくするだけでなく、隙間βに詰まった物が剥がれ落ちやすくすることが可能となっている。
本発明に係る靴底において、三角柱状の六角格子の格子点に配置した場合の、滑り止め突起の寸法や配置のバリエーションを図6に示す。このように、三角柱状の滑り止め突起12を六角格子の格子点に配置する場合でも、隣り合う滑り止め突起12の隙間の幅W(図2)や、滑り止め突起12の下端面の最大幅W(図2)や、拡径部12cの幅W(図2)を変化させることで、用途等に応じた適切な靴底10を選択することができる。同様に、滑り止め突起の高さH(図3)や拡径部12cの高さH(図3)も変化させることができる。
ところで、上述した空乏領域αであるが、この空乏領域αは、必ず設けなければならないという類のものではない。図10は、本発明に係る靴底10であって、図1の靴底10における空乏領域αに相当する部分を設けていない態様のものを、下面(接地面)側から見た状態を示した底面図である。図10の態様の靴底10は、図1に示す態様の靴底10では設けられていた空乏領域αを有しておらず、その下面(接地面)の略全体領域に複数の滑り止め突起12が略均一に設けられたもの(その下面の略全体領域が「滑り止め突起形成領域」となっているもの)となっている。図10の態様の靴底10は、図1に示す態様の靴底10と比較して、靴底全体としての粘性物質の付着のしにくさや剥がれ落ちやすさについては幾分不利になるものの、靴底全体としての滑りにくさについては有利となる。また、図10の態様の靴底10は、それを形成するシート部材の歩留まりを高めることができる等、製造コストの面でも有利である。
1.3 靴底の成形材料
上述した滑り止め突起12は、靴底本体11と別個に形成したものを事後的に靴底本体11に固着したものであってもよいが、通常、靴底本体11に対して一体的に成形(射出成形)されたものとされる。靴底10の成形材料は、従来の靴底10の成形に用いられている各種のゴムやエラストマー等を採用することができる。より具体的には、合成ゴム、天然ゴム、熱可塑性スチレンブタジエンゴム(SBS)、スチレン系熱可塑性エラストマー(SIS)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン及びポリ塩化ビニルからなる群から選ばれた1種類又は複数種類の弾性重合体と、ゴム配合剤とからなるものを、靴底10の成形材料として用いることができる。
靴底10の硬度は、靴底10の成形材料等によっても異なり、特に限定されない。しかし、靴底10が柔らかすぎると、滑り止め突起12の強度を維持しにくくなる虞がある。このため、靴底10をゴムで形成する場合には、その硬度(A硬度計で測定された値。以下、ゴムの場合において同じ。)は、通常、10度以上とされ、20度以上であることが好ましく、30度以上であることがより好ましく、35度以上であることがさらに好ましい。また、靴底10をEVAで形成する場合には、その硬度(E硬度計で測定された値。以下、EVAの場合において同じ。)は、10度以上であることが好ましく、20度以上であることがより好ましく、30度以上であることがさらに好ましい。
ところが、靴底10を硬くしすぎると、滑り止め突起12が弾性変形しにくくなって、歩行面に沿いにくくなり、所望の耐滑性が得られにくくなる虞がある。また、靴底10の緩衝性が低下して、靴の履き心地が悪くなる虞もある。このため、靴底10をゴムで形成する場合には、その硬度は、70度以下であると好ましく、60度以下であるとより好ましく、50度以下であるとさらに好ましい。また、靴底10をEVAで形成する場合には、その硬度は、通常、70度以下とされ、60度以下とすると好ましく、50度以下とするとより好ましく、40度以下とするとさらに好ましい。
1.4 その他
ところで、ここまでに説明した靴底10(図1や図10に示した靴底10)はいずれも、靴底10の下面側における滑り止め突起12が設けられた滑り止め突起形成領域の外縁部は、他の突起等が存在しなかった。このため、歩行時等においては、滑り止め突起12の下端面のみが歩行面に接地するようになり、歩行者等の体重の略全体が滑り止め突起12のみで支持される状態となっていた。したがって、歩行時の滑り止め突起12が歩行者の体重によって変形しやすく、歩行が不安定になる虞があった。
このような不具合は、例えば、図11に示す構成を採用することで、解消することができる。図11は、本発明に係る靴底10であって、滑り止め突起形成領域の外縁部に枠状突起14を設けた態様のものを、下面(接地面)側から見た状態を示した底面図である。図11に示す靴底10において、枠状突起14は、靴底本体11と一体的に成形されており、枠状突起14の高さは、滑り止め突起12aの高さH(図3を参照。)と同一とされている。換言すると、滑り止め突起12aの下端面は、枠状突起14の下端面と同じ高さとしている。この枠状突起14は、靴底本体11の略全体(前側部分11a、後側部分11b及び中間部分11c)にわたる滑り止め突起形成領域の全周部を囲むように連続的に設けられている。
このため、歩行時等には、滑り止め突起12の下端面だけでなく、枠状突起14の下端面も設置するようになり、歩行者の体重を枠状突起14に分散することができ、歩行時等の安定性を高めることが可能となっている。図11に示す例では、枠状突起14の前端部分(爪先部分)と後端部分(踵部分)とに、それぞれ、前側滑り止め凸条16と、後側滑り止め凸条17とを設けており、靴底10の耐滑性をさらに高めている。
また、枠状突起14の内周側の付け根部分には、補強部15を設けている。この補強部15によって、枠状突起部14の強度が高められた状態となっている。補強部15の表面は、上述した滑り止め突起12の拡径部12cの外周面と同様、鉛直断面円弧状に形成しており、枠状突起14の内周側の壁面と靴底本体11の下面とが滑らかに接続するようにしている。このため、枠状突起14の内周側の壁面と靴底本体11の下面とで形成される角部が丸くなり、その角部に物が詰まりにくくなっている。加えて、靴底10を金型で成形した後の型抜きを容易に行うことも可能となっている。
図12は、本発明に係る靴底10であって、滑り止め突起形成領域が前側部分11aと後側部分11bとに分断して設けられ、前側部分11aにおける滑り止め突起形成領域と、後側部分11bにおける滑り止め突起形成領域とのそれぞれの外縁部に枠状突起(前側枠状突起14a及び後側枠状突起14b)を設けた態様のものを、下面(接地面)側から見た状態を示した底面図である。図12に示すように、滑り止め突起形成領域を複数個所に分断して設ける場合には、枠状突起14も、それぞれの滑り止め突起形成領域ごとに分離した状態に設けることができる。
1.5 小括
以上で述べた本発明に係る靴底10は、良好な耐滑性を発揮しながらも、下面に物体が付着しにくく、例え下面に物体が付着したとしても、その物体を容易に剥がれ落とすことができるものとなっている。
2.実験
2.1 実験方法
本発明に係る靴底の性能を確認するため、本発明の靴底の技術的範囲に属する、実施例1の靴底の試料(図7(a))、実施例2の靴底の試料(図7(b))及び実施例3の靴底の試料(図7(c))を作製し、実施例1〜3の試料のそれぞれにつき、動摩擦係数、粘性物質付着量及び粘性物質剥離屈曲回数を測定する実験を行った。また、比較例1として、上記特許文献1(国際公開第2006/003740号)に記載された靴底の試料(図7(d))を作成し、比較例1の試料の動摩擦係数、粘性物質付着量及び粘性物質剥離屈曲回数を測定した。図7は、実験で使用した試料を示した図である。
動摩擦係数、粘性物質付着量及び粘性物質剥離屈曲回数は、上述した方法により測定した。公平を期すため、実施例1と実施例2と実施例3と比較例1の試料はいずれも、A硬度が58度のNBR配合によって形成した。実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1の試料における滑り止め突起の寸法等は、下記表1に示す通りである。
Figure 0006920757
2.2 実験結果
実施例1〜3及び比較例1の試料の、動摩擦係数、粘性物質付着量及び粘性物質剥離屈曲回数は、それぞれ下記表2のようになった。下記表2では、本発明の靴底において、動摩擦係数として要求される0.3以上という条件をクリアしている値を太字で表わし、粘性物質付着量として要求される1.5g以下という条件をクリアしている値を太字で表わし、粘性物質剥離屈曲回数として要求される30回以下という条件をクリアしている値を太字で表わしている。
Figure 0006920757
上記表2を見ると、比較例1の試料においては、動摩擦係数の値が0.851と非常に高くなっているものの、粘性物質付着量の値が2.16gで、粘性物質剥離回数の値が50回以上と、いずれも最低となっている。このことから、比較例1の試料は、優れた耐滑性を発揮するものの、粘性物質が付着しやすく、また一旦付着した粘性物質が剥がれ落ちにくいものであることが裏付けられた。
一方、実施例1〜3の試料は、動摩擦係数の値においては、比較例1の試料に及ばないものの、それでも、0.45以上と優れた値を示している。特に、実施例1の試料では、その動摩擦係数の値が0.49以上となっている。このことから、実施例1〜3の試料は、耐滑性では比較例1の試料に及ばないものの、それでも良好な耐滑性を発揮できるものであることが分かった。
また、実施例1〜3の試料においては、粘性物質付着量の値が、いずれも1g以下となっており、比較例1の試料と比較して、いずれも3分の1以下となっている。なかでも、実施例2の試料は、粘性物質付着量の値が0.4となっており、比較例1の試料の5分の1以下となっている。このことから、実施例1〜3の試料は、比較例1の試料と比較して、粘性物質が極めて付着しにくいものであることが分かった。
さらに、実施例1〜3の試料においては、粘性物質剥離屈曲回数の値が、いずれも20回以下となっており、比較例1の試料と比較して、2分の1以下となっている。なかでも、実施例1,2の試料は、粘性物質剥離屈曲回数の値が16回となっており、比較例1の試料と比較して、3分の1以下となっている。このことから、実施例1〜3の試料は、比較例1の試料と比較して、一旦付着した粘性物質が極めて剥がれ落ちやすいものであることが分かった。
10 靴底
11 靴底本体
11a 前側部分
11b 後側部分
11c 中間部分
12 滑り止め突起
12a 滑り止め突起の下端
12b 滑り止め突起の上端
12c 拡径部
14 枠状突起
14a 前側枠状突起
14b 後側枠状突起
15 補強部
16 前側滑り止め凸条
17 後側滑り止め凸条
50 粘土
60 試料
70 剥離紙
80 アルミニウム板
90 屈曲装置
91 水平台
92 フック
93 押さえ板
94 ハンドル
95 ワイヤー
100 押付具
101 フック
102 押付板
103 両面テープ
110 ステンレス板
120 プルゲージ
滑り止め突起の高さ
拡径部の高さ
隣り合う滑り止め突起の隙間の幅
1.1 隣り合う滑り止め突起の隙間の前後幅
1.2 隣り合う滑り止め突起の隙間の左右幅
滑り止め突起の下端面の最大幅
拡径部の幅
滑り止め突起の下端面の最小幅
α 空乏領域
β 隣り合う滑り止め突起の隙間

Claims (8)

  1. 土踏まずの下側に配される中間部分、中間部分よりも爪先側に位置する前側部分、及び、中間部分よりも踵側に位置する後側部分からなり、前側部分及び後側部分の下面の略全領域が平面状に形成された靴底本体と、
    靴底本体下面から下向きに設けられた複数の滑り止め突起と
    を備え、
    靴底本体における前側部分及び後側部分下面の略全領域が、複数の滑り止め突起を互いに隙間を隔てた状態で規則的に繰り返し配置した滑り止め突起形成領域とされた
    靴底であって
    り止め突起を、滑り止め突起形成領域において六角格子の格子点を為す位置にそれぞれ配して、隣り合う滑り止め突起の隙間を、靴底の左右方向を含む3方向に直線状に形成するか、又は、滑り止め突起形成領域において四角格子の格子点を為す位置にそれぞれ配して、隣り合う滑り止め突起の隙間を、靴底の左右方向を含む2方向に直線状に形成し
    隣り合う滑り止め突起の隙間W を3〜20mmとし、
    靴底の下面における滑り止め突起形成領域の面積S に対する滑り止め突起の下端面の面積の総和S の比S /S を0.1〜0.5とする
    ことによって、
    滑り止め突起形成領域の動摩擦係数が0.3以上でありながら、
    滑り止め突起形成領域の粘性物質付着量が1.5g以下であり、
    滑り止め突起形成領域の粘性物質剥離屈曲回数が30回以下である
    ことを特徴とする靴底。
  2. 滑り止め突起が、それぞれ三角柱状を為す請求項1記載の靴底。
  3. 滑り止め突起が、滑り止め突起形成領域において六角格子の格子点を為す位置にそれぞれ配されるととともに、
    一の滑り止め突起と、当該一の滑り止め突起に隣り合う他の滑り止め突起とが、それらの下端面が為す三角形の向きが逆向きとなるように設けられた
    請求項2記載の靴底。
  4. 滑り止め突起の上端側部分が、当該滑り止め突起の上端に近づくにつれて太くなるように形成され、
    それぞれの滑り止め突起の外周面と靴底本体の下面とが鉛直断面円弧状に接続された
    請求項1〜3いずれか記載の靴底。
  5. 滑り止め突起の下端面の面積が10〜500mmとされた請求項1〜4いずれか記載の靴底。
  6. 滑り止め突起形成領域における単位面積1cm当たりの滑り止め突起の個数が0.2〜2個とされた請求項1〜5いずれか記載の靴底。
  7. 滑り止め突起の高さが1〜10mmとされた請求項1〜6いずれか記載の靴底。
  8. 滑り止め突起形成領域の外側が、滑り止め突起と略同じ高さを有する枠状突起で囲まれた請求項1〜7いずれか記載の靴底。
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