(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、工程及び工程の順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の機能を有する構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
以下の実施の形態では、照明用光源の一例として、電球形蛍光灯又は白熱電球の代替品となるLED電球について説明する。
[構成]
実施の形態に係るLED電球1の全体構成について、図1、図2及び図3を用いて説明する。図1は、実施の形態に係るLED電球1の外観斜視図である。図2は、同LED電球1の分解斜視図である。図3は、同LED電球1の中心を通る断面図である。
図1〜図3に示すように、LED電球1は、LEDモジュール10と、レンズ20と、ねじ30と、ホルダ40と、スプリングワッシャ50と、平座金60と、電源ユニット70と、外郭筐体80と、グローブ90と、口金100と、絶縁リング110と、絶縁ケース120とを備える。
図1に示すように、LED電球1は、外郭筐体80とグローブ90と口金100と絶縁リング110とによって外囲器が構成されている。LED電球1では、例えば60W形相当の明るさとなるようにLEDモジュール10が構成されている。
以下、LED電球1の詳細な構成について、図1〜図3を参照しつつ、図4〜図8を用いて説明する。図4〜図6は、グローブ90を外した状態のLED電球1を示しており、それぞれ、斜視図、上面図及び分解図である。図7及び図8は、それぞれ、図5のVII−VII線及びVIII−VIII線における同LED電球1の要部拡大断面図である。なお、図7及び図8は、各構成部材の断面のみを示している。
LEDモジュール10は、所定の色の光を放出する発光モジュールの一例であり、例えば照明光として白色光を放出する。図3に示すように、LEDモジュール10は、グローブ90の内方に配置されており、電源ユニット70から供給される電力によって発光する。LEDモジュール10の光は、レンズ20によって配光制御される。
図3〜図5に示すように、LEDモジュール10は、外郭筐体80に保持されている。具体的には、LEDモジュール10は、外郭筐体80の開口部を覆うように外郭筐体80の支持部81に支持されている。また、レンズ20は、LEDモジュール10に固定されることで外郭筐体80に保持されている。
図2〜図8に示すように、LEDモジュール10及びレンズ20は、ねじ30及びホルダ40によって外郭筐体80に保持されている。ねじ30は、レンズ20を固定するための固定部材の一例であり、ねじ30は、ねじ頭31及びねじ軸32を有する。本実施の形態において、ねじ30は、ホルダ40を外郭筐体80に固定している。ホルダ40がねじ30によって外郭筐体80に固定されることで、レンズ20がLEDモジュール10に固定される。つまり、レンズ20は、ねじ30によって直接固定されているのではなく、ねじ30によって間接的に固定されている。
そして、ねじ30によって固定されたレンズ20は、ねじ30に対して遊びを持った状態で配置されている。本実施の形態において、レンズ20は、さらにLEDモジュール10に対しても遊びを持った状態で配置されている。
図2及び図3に示すように、LEDモジュール10は、基板11と、基板11に配置された発光素子12とを有する。
基板11は、発光素子12を実装するための実装基板である。図示しないが、基板11の実装面には、金属配線が形成されている。基板11は、例えば平面視において全体として略円形の板状の基板であるが、基板11の形状は、これに限るものではなく、矩形状等の多角形であってもよい。
基板11としては、例えば、アルミニウム又は銅等の金属材料からなる基材に絶縁被膜を施すことで得られるメタルベース基板、アルミナ等のセラミック材料の焼結体であるセラミックス基板、又は、樹脂材料からなる樹脂基板等が用いられる。発光素子12で発生する熱の放熱の観点では、これらの中で熱伝導率が最も高いメタルベース基板を用いるよい。なお、基板11は、リジッド基板であるが、フレキシブル基板であってもよい。
図3、図7及び図8に示すように、基板11は、外郭筐体80の支持部81に支持されている。本実施の形態において、基板11の外郭筐体80側には、絶縁シート15及び放熱板14が配置されており、基板11は、絶縁シート15及び放熱板14とともに、外郭筐体80の開口部を覆うように外郭筐体80の支持部81に配置されている。絶縁シート15は、基板11と放熱板14とに挟持されている。
絶縁シート15は、例えば高い熱伝導性を有する絶縁性の熱伝導シートである。絶縁シート15は、例えば、絶縁性樹脂材料によって構成されたゴム弾性を有する熱伝導シートである。また、放熱板14は、例えば、アルミニウム板等の金属材料からなる金属板である。基板11と金属製の外郭筐体80との間に、絶縁シート15及び放熱板14を配置することによって、基板11の放熱性を向上させることができるとともに、外郭筐体80と基板11との絶縁性を確保することができる。
基板11は、ねじ30及びホルダ40によって外郭筐体80に固定されている。具体的には、ねじ30によってホルダ40を外郭筐体80にねじ止めすることで、基板11は、絶縁シート15及び放熱板14とともに、外郭筐体80に向かって押圧が付与された状態で外郭筐体80に固定される。
ホルダ40は、基板11を外郭筐体80に保持する保持部材の一例である。図2及び図6に示すように、ホルダ40は、基板11を外郭筐体80に向けて押さえ付ける押さえ部41と、基板11の端部を覆うカバー部42とを有する。ホルダ40は、絶縁材料によって構成されているとよい。本実施の形態において、ホルダ40は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の絶縁性樹脂材料によって構成されている。
図3、図6及び図7に示すように、外郭筐体80の支持部81には、ねじ30のねじ軸32がねじ込まれるねじ穴81aが設けられており、ホルダ40には、ねじ30のねじ軸32が貫通する貫通孔40aが設けられている。そして、貫通孔40aを介してねじ30をねじ穴81aにねじ込むことでホルダ40がねじ30によって外郭筐体80にねじ止めにより固定される。これにより、ホルダ40の押さえ部41は、基板11を押さえ付ける。つまり、基板11は、押さえ部41による押圧によって外郭筐体80に向けて押さえ付けられた状態で保持される。
なお、ホルダ40の貫通孔40aにねじ30を貫通させる際、ホルダ40とねじ30のねじ頭31との間には、スプリングワッシャ50及び平座金60が配置される。つまり、ねじ30のねじ軸32は、スプリングワッシャ50、平座金60及び貫通孔40aに挿通して、外郭筐体80のねじ穴81aにねじ込まれる。
また、図3及び図4に示すように、基板11の中央部には、給電部としてコネクタ端子13が設けられている。コネクタ端子13の一部は、基板11、絶縁シート15及び放熱板14の各々に設けられた貫通孔を貫通しており、電源ユニット70に連結されている。コネクタ端子13は、基板11に形成された金属配線を介して発光素子12と電気的に接続されている。発光素子12は、コネクタ端子13を介して電源ユニット70から供給される直流電力によって発光する。
図6に示すように、発光素子12は、環状の配列となるように基板11に複数個実装されている。なお、本実施の形態では、18個の発光素子12が実装されているが、発光素子12の実装数は、これに限るものではなく、1つであってもよい。
本実施の形態における発光素子12は、個々にパッケージ化された表面実装(SMD:Surface Mount Device)型のLED素子であり、容器(パッケージ)と、容器内に実装されたLEDチップと、LEDチップを封止する封止部材とを有する。
LEDチップは、所定の直流電力により発光する半導体発光素子の一例であって、単色の可視光を発するベアチップである。LEDチップは、例えば、通電されると青色光を発する青色LEDチップである。
封止部材は、シリコーン樹脂等の透光性の絶縁性樹脂材料である。本実施の形態における封止部材は、LEDチップからの光の波長を変換する波長変換材として蛍光体を含む。つまり、封止部材は、透光性樹脂に蛍光体が含有された蛍光体含有樹脂であり、LEDチップからの光を所定の波長に波長変換(色変換)する。封止部材は、容器の凹部に充填されている。
封止部材としては、例えばLEDチップが青色LEDチップである場合、白色光を得るために、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系の黄色蛍光体粒子をシリコーン樹脂に分散させた蛍光体含有樹脂を用いることができる。これにより、黄色蛍光体粒子は青色LEDチップの青色光によって励起されて黄色光を放出するので、封止部材からは、黄色蛍光体粒子からの黄色光と青色LEDチップからの青色光との合成光として白色光が放出される。なお、封止部材には、シリカ等の光拡散材及びフィラー等が分散されていても構わない。
発光素子12から出射する光は、レンズ20によって配光制御される。レンズ20は、発光素子12から出射する光の配光を制御する光学部材の一例である。レンズ20は、透光性樹脂材料によって構成されており、発光素子12から出射する光を透過する。レンズ20は、例えば、PMMA(アクリル)又はポリカーボネート(PC)等の透光性樹脂材料によって構成されている。
図6に示すように、レンズ20は、発光素子12から出射する光の配光を制御する配光制御部21(レンズ部)と、レンズ20を基板11に取り付けるための取付部22とを有する。本実施の形態において、取付部22は、対向する位置の2箇所に設けられている。レンズ20は、樹脂による一体成型品であり、配光制御部21と取付部22とは一体に構成されている。
配光制御部21は、発光素子12から出射する光を所望の配光とするための形状となっている。配光制御部21は、例えば、発光素子12から出射する光を屈折(集束や発散等)及び反射等する。本実施の形態において、配光制御部21は、発光素子12から出射する光の配光角を大きくするレンズ作用を有する。これにより、LED電球1の配光角を大きくすることができる。
また、配光制御部21は、環状に配列された発光素子12と対向するように略リング状に形成されている。本実施の形態では、環状に配列された発光素子12の2箇所において発光素子12が内側にずれて配置されているので、配光制御部21の2箇所も内側にずれて形成されている。この配光制御部21のずれた2箇所に取付部22が形成されている。
図8に示すように、取付部22は、基板11に対して接離可能な状態で配置されている。つまり、取付部22は、基板11に接触したり基板11から離れたりできる状態となっており。これにより、レンズ20は、基板11に対して遊びを持った状態で基板11に配置される。本実施の形態において、レンズ20は、レンズ20の光軸方向に遊びを有しており、レンズ20は、レンズ20の光軸方向に沿って前後に移動可能となっている。
具体的には、取付部22は、基板11の厚み方向に移動可能な状態で基板11とホルダ40のカバー部42との間に位置している。本実施の形態において、取付部22の厚み方向における基板11とカバー部42との隙間の距離(g)は、取付部22の厚み(d)よりも大きくなっている。つまり、取付部22は、基板11とカバー部42との間に僅かな空隙を持った状態で挿入されている。これにより、取付部22が基板11に対して接離可能な状態となっている。
この場合、レンズ20に遊びを持たせるとの観点、また、レンズ20及びホルダ40の熱膨張や吸湿膨張等の観点では、基板11及びカバー部42の隙間の距離(g)と取付部22の厚み(d)との寸法差(g−d)は、少なくとも0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上である。
なお、本実施の形態において、取付部22は、互いに対向する位置の2箇所のみに設けられているので、レンズ20は、レンズ20の光軸方向に沿って平行移動するだけではなく、一対の取付部22を結ぶ直線を回転軸として僅かに揺動する。
このため、上記寸法差(g−d)が大きすぎると、レンズ20が大きく揺動して発光素子12とレンズ20との光軸がずれてしまうおそれがあるので、上記寸法差(g−d)の上限は、例えば0.5mm程度にするとよい。
このように、上記寸法差(g−d)は、0.1mm以上0.5mm以下であるとよい。つまり、レンズ20が光軸方向に移動する範囲は、0.1mm以上0.5mm以下であるとよい。本実施の形態において、この寸法差(g−d)は、0.2mmとしている。
また、図8に示すように、取付部22には、基板11の側面に対向する位置まで外郭筐体80に向かって突出する突出部22aが設けられている。具体的には、突出部22aは、ホルダ40と基板11との間の領域において、外郭筐体80の支持部81に向かって突出している。このような突出部22aを取付部22に設けることによって、レンズ20の水平方向の動きを規制することができる。
この場合、基板11の端部の側面及びホルダ40の内面の隙間の間隔(横方向の間隔)と突出部22aの厚み(横方向の厚み)との差は、レンズ20及びホルダ40の熱膨張や吸湿膨張等を考慮すると、0.01mm以上であるとよく、一例として0.2mmである。また、この差が大きすぎると、発光素子12とレンズ20との光軸がずれてしまうので、この差は、0.5mm以下であるとよい。
図3に示すように、外郭筐体80は、LEDモジュール10を支持する基台の一例である。本実施の形態において、外郭筐体80は、基板11とともに絶縁シート15及び放熱板14を支持している。
外郭筐体80は、グローブ90側に設けられた第1開口部と口金100側に設けられた第2開口部とを有する筒状の筒体である。
外郭筐体80には、LEDモジュール10の基板11を支持するための支持部81が設けられている。また、支持部81には、ねじ30をねじ止めするためにねじ穴81aが設けられている。
また、外郭筐体80は、LEDモジュール10を支持する支持部材として機能するだけではなく、支持部81においてLEDモジュール10と熱的に結合されており、LEDモジュール10で発生する熱を放熱する放熱部材(ヒートシンク)として機能する。したがって、外郭筐体80は、LEDモジュール10(発光素子12)で発生する熱を効率良く放熱させるために、アルミニウム合金等の金属材料又は高熱伝導樹脂材料等の熱伝導率の高い材料によって構成されているとよい。例えば、外郭筐体80は、基板11よりも熱伝導率の高い材料で構成されているとよい。本実施の形態において、外郭筐体80は、金属製である。このように、外郭筐体80を金属製とし、外郭筐体80の外面が露出しているので、優れた放熱性を有するLED電球1を実現できる。
図3に示すように、外郭筐体80の内部には、電源ユニット70が配置されている。したがって、外郭筐体80は、電源ユニット70で発生する熱も放熱する。本実施の形態において、外郭筐体80は、絶縁ケース120(回路ケース)を介して電源ユニット70を囲んでいる。
電源ユニット70は、LEDモジュール10(発光素子12)を発光させるための電源回路を構成している。つまり、電源ユニット70は、LEDモジュール10を発光させるための電力を生成する。本実施の形態において、電源ユニット70は、口金100で受電した電力をもとにLEDモジュール10(発光素子12)を発光させるための電力を生成する。具体的には、電源ユニット70は、口金100から供給される交流電力を直流電力に変換している。電源ユニット70で生成された直流電力は、コネクタ端子13を介して発光素子12に供給される。
電源ユニット70は、回路基板71と、回路基板71に実装された複数の回路素子72とを有する。回路基板71は、銅箔等の金属配線が形成されたプリント回路基板(PCB)である。回路基板71は、例えば、外郭筐体80の筒軸と略平行する姿勢(縦置き)で配置されている。複数の回路素子72は、例えば、電解コンデンサやセラミックコンデンサ等の容量素子、チョークコイルやチョークトランス等のコイル素子(インダクタ)、FET等のトランジスタ素子、抵抗器等の抵抗素子、又は、ダイオード等である。なお、LEDモジュール10の発光状態を制御するために、電源ユニット70には、調光回路や調色回路などの光制御回路、又は、無線通信回路などが組み合わされていてもよい。
このように構成される電源ユニット70は、絶縁樹脂材料によって構成された絶縁ケース120に収納されることで絶縁性が確保されている。絶縁ケース120は、例えば、PBT等の絶縁性樹脂材料等によって構成されている。絶縁ケース120の口金100側の開口部の外面には、口金100を装着するための螺合部が形成されている。絶縁ケース120の開口部には口金100がねじ込まれている。
口金100は、LEDモジュール10(発光素子12)を発光させるための電力をランプ外部から受電する受電部である。口金100は、絶縁ケース120の螺合部にねじ込まれることで絶縁ケース120に外嵌される。
口金100が照明器具のソケットに装着されることで、口金100には、外部電力が供給される。口金100には、例えば商用電源から交流電力が供給される。本実施の形態における口金100は二接点によって交流電力を受電し、口金100で受電した電力は、一対のリード線等を介して電源ユニット70に供給される。
口金100は、例えば、金属製の有底筒形状であって、外周面が螺合部となっているシェル部と、シェル部に絶縁部を介して装着されたアイレット部とを有する。口金100の種類は、特に限定されるものではないが、本実施の形態では、ねじ込み式のエジソンタイプ(E型)の口金を用いている。また、口金100として、E26形、E17形又はE16形等が挙げられる。なお、口金100は、エジソンタイプではなく、スワンタイプ(差し込み式)であってもよい。
このように、外郭筐体80の一方の端部は、口金100によって覆われる。本実施の形態において、外郭筐体80が金属製であるので、外郭筐体80と口金100との間には絶縁リング110が挿入されている。口金100が絶縁ケース120にねじ込まれることで、外郭筐体80と口金100とに絶縁リング110が挟持される。絶縁リング110は、例えばPBT等の絶縁樹脂材料によって構成されている。
また、外郭筐体80の他方の端部は、グローブ90によって覆われる。グローブ90は、LEDモジュール10及びレンズ20を覆っている。グローブ90は、透光カバーであり、LEDモジュール10及びレンズ20の全体を覆うように構成されている。グローブ90は、LEDモジュール10(発光素子12)から出射してレンズ20で配光制御された光を外部に取り出すように構成されている。
グローブ90は、開口部を有する中空部材である。グローブ90の開口部側の端部は、外郭筐体80に固定される。例えば、グローブ90の開口部側の端部と外郭筐体80の端部とは、シリコーン樹脂等の接着剤によって固着される。
グローブ90の材料としては、可視光に対して透明なシリカガラス等のガラス材、又は、アクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)等の樹脂材等からなる透光性材料を用いることができる。本実施の形態において、グローブ90は、樹脂材よりも熱伝導率の高いガラス材によって構成されている。
また、グローブ90には、光を拡散(散乱)させるための拡散処理が施されていてもよい。例えば、グローブ90の内面又は外面に光拡散膜(光拡散層)を形成することでグローブ90に光拡散機能を持たせることができる。具体的には、シリカや炭酸カルシウム等の光拡散材を含有する樹脂や白色顔料等をグローブ90の内面又は外面の全面に塗布することによって乳白色の光拡散膜を形成することができる。このように、グローブ90に光拡散機能を持たせることにより、レンズ20からグローブ90に入射する光を拡散させることができるので配光角を広くすることができる。なお、グローブ90に光拡散機能を持たせずに、内部のLEDモジュール10及びレンズ20が視認できるようにグローブ90が透明であってもよい。
[効果等]
次に、本実施の形態におけるLED電球1の作用効果について、図9を用いて、比較例のLED電球と比較して説明する。図9は、比較例のLED電球の部分拡大断面図である。
図9に示すように、比較例のLED電球では、ねじ30Xを用いて、配光制御部21Xを有するレンズ20XがLEDモジュール10Xに固定されている。この場合、スプリングワッシャ50X及び平座金60Xを介して、レンズ20Xの取付部22Xと基板11Xと放熱板14Xとに設けられた貫通孔に、ねじ30Xを順次挿通させて、基台80Xに設けられたねじ穴81aXにねじ30Xをねじ込む。これにより、レンズ20Xの取付部22Xがねじ30Xのねじ頭によって押さえ付けられるので、レンズ20Xを基板11Xに固定することができる。
しかしながら、このような方法でレンズ20Xを固定すると、ねじ30Xによってレンズ20Xに常に応力がかかった状態となる。この結果、レンズ20Xが経時的に劣化し、レンズ20Xにクラックが発生したりレンズ20Xが欠けたり等して、レンズ20Xが損傷するおそれがある。
特に、レンズ20Xが樹脂材料によって構成されていると、ねじ30Xの締め付け力によってレンズ20Xが損傷しやすい。そこで、レンズ20Xを樹脂材料(特にPMMAやPC等の非結晶性樹脂材料)によって構成する場合には、レンズ20Xの経時変化後の応力許容値を考慮した設計をすることとなり、LED電球のトータルコストが高くなってしまうばかりか、このような設計には経験則等の主観要素も入ってくるのでバラツキ検証が非常に難しくなる。
これに対して、本実施の形態におけるLED電球1では、レンズ20を固定するためのねじ30を備えているが、レンズ20は、ねじ30に対して遊びを持った状態で配置されている。
この構成により、レンズ20にねじ30による応力をかけることなくレンズ20を固定することができる。これにより、レンズ20が経時的に劣化してレンズ20にクラックが発生したりレンズ20が欠けたりすることを抑制できる。したがって、レンズ20を損傷させることなくレンズ20を固定することができる。
また、本実施の形態におけるLED電球1において、レンズ20は、LEDモジュール10の基板11に対して遊びを持った状態で基板11に配置されている。つまり、レンズ20は、基板11との間にクリアランスを設けた状態で固定されている。
この構成により、レンズ20にねじ30による応力をかけることなくレンズ20を基板11に配置することができる。
また、本実施の形態におけるLED電球1において、レンズ20は、発光素子12から出射する光の配光を制御する配光制御部21と、レンズ20を基板11に取り付けるための取付部22とを有し、取付部22は、基板11に対して接離可能な状態で配置されている。
この構成により、レンズ20の配光制御機能に大きな影響を与えることなく、レンズ20が基板11に対して遊びを持った状態の構成を容易に実現することができる。
また、本実施の形態では、基板11を保持するホルダ40を用いており、ホルダ40は、基板11を外郭筐体80に向けて押さえ付ける押さえ部41と、基板11の端部を覆うカバー部42とを有する。そして、レンズ20の取付部22は、基板11の厚み方向に移動可能な状態で基板11とカバー部42との間に位置している。具体的には、取付部22の厚み方向における基板11とカバー部42との隙間の距離(g)は、取付部22の厚み(d)よりも大きくなっている。
この構成により、レンズ20は、レンズ20の取付部22が基板11の厚み方向に移動可能な状態で固定される。つまり、レンズ20は、取付部22の厚み方向に遊びを持った状態となる。これにより、レンズ20に遊びを持たせたとしても、レンズ20と発光素子12との光軸ずれが生じることを抑制できる。
また、本実施の形態において、外郭筐体80にはねじ穴81aが設けられ、ホルダ40には貫通孔40aが設けられている。そして、貫通孔40aを介してねじ30をねじ穴81aにねじ込むことで、基板11がホルダ40の押さえ部41によって押さえ付けられている。このとき、基板11はホルダ40によって押さえ付けられているが、レンズ20は、ホルダ40によって押さえ付けられておらず、基板11に対して遊びを持った状態となっている。
この構成により、ねじ30によってホルダ40を外郭筐体80に固定するだけで、基板11をホルダ40で保持させることができるとともに、レンズ20と基板11との間に隙間を設けてレンズ20に遊びを持たせることができる。
また、本実施の形態において、取付部22には、基板11の側面に対向する位置まで外郭筐体80に向かって突出する突出部22aが設けられている。
この構成により、取付部22によってレンズ20の水平方向の動きを規制することができる。これにより、レンズ20に遊びを持たせてレンズ20を光軸方向に移動可能としつつ、レンズ20の水平方向の動きを規制してレンズ20と発光素子12との光軸ずれが発生することを抑制できる。したがって、LEDモジュール10に対してレンズ20を安定して保持させることができる。
また、本実施の形態において、ホルダ40は、絶縁材料によって構成されている。
この構成により、金属製の外郭筐体80と基板11との絶縁性を確保した上で、ホルダ40によって基板11を外郭筐体80に向けて押さえ付けることができる。
なお、本実施の形態において、基板11と外郭筐体80とは、絶縁性のホルダ40と絶縁シート15とによって二重の絶縁対策が施されている。これにより、外郭筐体80が放熱性に優れた金属製でありながら、外部に露出する外郭筐体80の絶縁性を確保することができる。
また、本実施の形態において、レンズ20及びホルダ40は、樹脂材料によって構成されている。
この構成より、レンズ20とホルダ40の線膨張係数差を小さくできるので、発光素子12の発光等による熱によってレンズ20及びホルダ40が熱膨張した場合に、レンズ20とホルダ40とが接触して損傷すること等を抑制できる。なお、レンズ20とホルダ40との線膨張係数差は小さい方がよい。このため、レンズ20とホルダ40とは同じ樹脂材料によって構成されているとよい。
(変形例)
以上、本発明に係る照明用光源について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態において、LEDモジュール10は、60W相当の明るさとなるように発光素子12を18個用いたが、これに限らない。例えば、図10に示されるLED電球1Aのように、40W相当の明るさとなるように構成されたLEDモジュール10Aを用いてもよい。この場合、8個の発光素子12が環状に一列で配列されている。また、レンズ20Aの配光制御部21Aは、発光素子12の配列に沿ってリング状に形成されている。
また、上記実施の形態では、ホルダ40を用いることで、ねじ30によって間接的にレンズ20を外郭筐体80に固定していたが、これに限らない。例えば、図11に示されるLED電球1Bのように、ホルダ40を用いることなく、例えば段付きねじ30Bによってレンズ20を外郭筐体80に直接固定してもよい。ただし、本変形例でも、レンズ20は、ねじ30及び基板11に対して遊びを持った状態で配置されている。
具体的には、図11に示すように、段付きねじ30Bは、ねじ頭31とねじ軸32と段部33とを有している。段付きねじ30Bのねじ軸32を外郭筐体80のねじ穴81aにねじ込むことで、段部33が外郭筐体80の支持部81に当接する。そして、本変形例において、段付きねじ30Bの段部33の長さ(l1)は、外郭筐体80の支持部81からレンズ20の取付部22の上綿(ねじ頭31側の面)までの長さ(l2)よりも長くなっている。また、レンズ20の取付部22は、基板11と段付きねじ30Bのねじ頭31との間に位置している。この構成により、レンズ20は、レンズ20の取付部22が基板11の厚み方向に移動可能な状態で固定される。つまり、レンズ20は、取付部22の厚み方向に遊びを持った状態となる。
なお、図11において、長さl1と長さl2との差は、0.05mm以上であるとよく、一例として、0.1mm以上0.5mm以下である。また、取付部22の側面と段付きねじ30Bの段部33の側面との距離は、0.01mm以上であるとよい。
また、上記実施の形態において、レンズ20は、基板11に対して遊びを有していたが、これに限らない。例えば、図11において、レンズ20とLEDモジュール10とを接着材等で固定し、レンズ20とLEDモジュール10とが一体となって、外郭筐体80又は段付きねじ30Bに対して遊びを持った状態となっていてもよい。
また、上記実施の形態において、発光素子12から出射する光の配光を制御する光学部材としてレンズ20を例示したが、これに限らない。例えば、発光素子12から出射する光の配光を制御する光学部材として、反射板等であってもよい。
また、上記実施の形態において、発光素子12は、SMD型LED素子であるとしたが、これに限らない。例えば、ベアチップが基板上に直接実装(1次実装)されたCOB(Chip On Board)型のLEDモジュールを用いてもよい。つまり、発光素子12として、LEDチップそのものを用いてもよい。この場合、封止部材によって、複数のLEDチップを一括又は個別に封止してもよい。封止部材には、上述のように黄色蛍光体等の波長変換材が含有されていてもよい。
また、上記実施の形態において、発光素子12は、青色LEDチップと黄色蛍光体とによって白色光を放出するB−Yタイプの白色LED素子としたが、これに限らない。例えば、赤色蛍光体及び緑色蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂を用いて、これと青色LEDチップと組み合わせることによりに白色光を放出するように構成してもよい。また、演色性を高める目的で、黄色蛍光体に加えて、さらに赤色蛍光体や緑色蛍光体を混ぜても構わない。また、青色以外の色を発するLEDチップを用いてもよく、例えば、青色LEDチップが放出する青色光よりも波長が短い紫外光を放出する紫外LEDチップを用いて、主に紫外光により励起されて青色光、赤色光及び緑色光を放出する青色蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体によって白色光を放出するように構成してもよい。
また、上記実施の形態において、LEDモジュール10は、調光制御可能及び/又は調色制御可能に構成されていてもよい。例えば、LEDモジュール10が、赤色光を発する赤色LED光源、緑色光を発する緑色LED光源及び青色光を発する青色LED光源を備えることで、RGB制御を行うことができる。これにより、調色制御可能なLEDモジュールを実現できる。
また、上記実施の形態において、発光素子12の光源としてLEDを例示したが、発光素子12は、半導体レーザなどの半導体発光素子、有機EL(Electro Luminescence)又は無機EL等、その他の固体発光素子を用いて構成されていてもよい。
また、本発明は、LED電球として実現できるだけではなく、LED電球と当該LED電球が取り付けられる照明器具とを備える照明装置として実現することもできる。照明器具の器具本体には、例えば、LED電球の口金が装着されるソケットが設けられている。また、照明器具は、LED電球を覆う透光性のランプカバーを備えていてもよい。
その他、上記の各実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記の各実施の形態及び変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。