前記課題を解決するためになされた第1の発明は、施設での利用者の待ち時間に応じたポイントを利用者に付与して、利用者の保有するポイントに応じたサービスまたは物品を利用者に提供する業務を支援する施設運営支援システムであって、施設の利用者が所持する携帯端末装置と、この携帯端末装置とネットワークを介して通信可能に接続されたサーバ装置と、を備え、前記携帯端末装置および前記サーバ装置のいずれかが、施設での利用者の待ち時間を計測する待ち時間計測部を備え、前記サーバ装置が、利用者が施設を利用する際の状況に関する環境情報に基づいて換算率を設定して、その換算率に基づいて前記待ち時間に応じた獲得ポイントを算出して、その獲得ポイントにより利用者の保有する累計ポイントを更新するポイント管理部を備える構成とする。
これによると、利用者が施設を利用する際の状況に関する環境情報に基づいて設定された換算率を用いて待ち時間から獲得ポイントを算出するため、環境情報と獲得ポイントとの関係を適切に設定することで、施設の運営上の要望に沿った行動を利用者に促すことができる。これにより、待ち時間をポイントで利用者に還元することで、来場者の満足度を向上させると同時に、施設の運営上の効果も得ることができる。
また、第2の発明は、さらに、施設内に複数設置される無線発信装置を備え、前記待ち時間計測部は、前記無線発信装置から送信される無線信号の前記携帯端末装置での受信状況に基づいて、前記待ち時間を計測する構成とする。
これによると、待ち時間を精度よく計測することができる。
また、第3の発明は、前記無線発信装置は、利用者の待ちエリアに1つ設置され、前記待ち時間計測部は、前記無線信号を前記携帯端末装置で受信したタイミングと、前記無線信号を前記携帯端末装置で受信できなくなったタイミングとに基づいて、前記待ち時間を計測する構成とする。
これによると、待ちエリアが比較的小さな場合に、待ち時間を精度よく計測することができる。
また、第4の発明は、前記無線発信装置は、利用者の待ちエリアおよび利用エリアに複数設置され、前記待ち時間計測部は、複数の前記無線発信装置からそれぞれ送信される前記無線信号を前記携帯端末装置で受信したタイミングに基づいて、前記待ち時間を計測する構成とする。
これによると、待ちエリアが比較的大きな場合に、待ち時間を精度よく計測することができる。
また、第5の発明は、前記環境情報は、カレンダー情報、天候情報、利用エリアごとの混雑度に関する情報、および利用者の属性情報の少なくともいずれか一つである構成とする。
これによると、施設の運営上の要望に沿った行動を利用者に促すことができる。
また、第6の発明は、前記ポイント管理部は、前記カレンダー情報に基づいて、当日が平日である場合には、休日である場合より前記換算率を高く設定する構成とする。
これによると、平日である場合に獲得ポイントが多くなるため、平日の来場者を増やすことができる。
また、第7の発明は、前記ポイント管理部は、前記天候情報に基づいて、当日が悪天候である場合には、悪天候でない場合より前記換算率を高く設定する構成とする。
これによると、悪天候である場合に獲得ポイントが多くなるため、悪天候時の来場者を増やすことができる。
また、第8の発明は、前記ポイント管理部は、前記利用エリアごとの混雑度に関する情報に基づいて、利用者が利用した前記利用エリアの混雑度が低い場合には、混雑度が高い場合より前記換算率を高く設定する構成とする。
これによると、混雑度が低い利用エリアである場合に獲得ポイントが多くなるため、混雑度が低い利用エリアの利用を促進することができる。
また、第9の発明は、前記ポイント管理部は、前記利用者の属性情報に基づいて、利用者が遠隔地からの来場者である場合には、遠隔地からの来場者でない場合より前記換算率を高く設定する構成とする。
これによると、遠隔地からの来場者である場合に獲得ポイントが多くなるため、遠隔地からの来場者を増やすことができる。
また、第10の発明は、前記ポイント管理部は、利用者の指示に応じて、その利用者の保有するポイントを別の利用者に移転し、移転元の利用者と移転先の利用者とで構成されるグループによるポイントの利用を許可する構成とする。
これによると、グループでの来場を促進して、来場者数を増やすことができる。
また、第11の発明は、施設の利用者が所持する携帯端末装置であって、サーバ装置との間で通信を行う通信部と、施設内に複数設置される無線発信装置から送信される無線信号を受信する受信部と、表示部および入力部と、前記通信部、前記受信部、前記表示部および前記入力部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記受信部での前記無線信号の受信状況に基づいて待ち時間を計測する処理を、自装置または前記サーバ装置に行わせ、計測中の前記待ち時間を表示部に表示し、確定した前記待ち時間、および前記サーバ装置において、利用者が施設を利用する際の状況に関する環境情報に基づいて設定された換算率にしたがって前記待ち時間から算出された獲得ポイントを、前記表示部に表示し、前記サーバ装置において、前記獲得ポイントに以前の累計ポイントを加算して更新された累計ポイントを、前記表示部に表示し、前記サーバ装置において、前記累計ポイントに基づいて抽出されたで交換対象を、前記表示部に表示し、前記入力部により前記交換対象を選択する利用者の操作に応じて、前記サーバ装置において生成された、利用者が選択した前記交換対象の提供を受けるための証明情報を、前記表示部に表示する構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、待ち時間をポイントで利用者に還元することで、来場者の満足度を向上させると同時に、施設の運営上の効果も得ることができる。
また、第12の発明は、携帯端末装置のプロセッサに実行させるプログラムであって、施設内に複数設置される無線発信装置から送信される無線信号の受信状況に基づいて待ち時間を計測する処理を、自装置またはサーバ装置に行わせるステップと、計測中の前記待ち時間を表示部に表示するステップと、確定した前記待ち時間、および前記サーバ装置において、利用者が施設を利用する際の状況に関する環境情報に基づいて設定された換算率にしたがって前記待ち時間から算出された獲得ポイントを、前記表示部に表示するステップと、前記サーバ装置において、前記獲得ポイントに以前の累計ポイントを加算して更新された累計ポイントを、前記表示部に表示するステップと、前記サーバ装置において、前記累計ポイントに基づいて抽出された交換対象を、前記表示部に表示するステップと、入力部により前記交換対象を選択する利用者の操作に応じて、前記サーバ装置において生成された、利用者が選択した前記交換対象の提供を受けるための証明情報を、前記表示部に表示するステップと、を含む構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、待ち時間をポイントで利用者に還元することで、来場者の満足度を向上させると同時に、施設の運営上の効果も得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る施設運営支援システムの全体構成図である。
この施設運営支援システムは、テーマパークなどの施設を運営する業務を支援するものであり、携帯端末1(携帯端末装置)と、サーバ2(サーバ装置)と、ビーコン発信機3(無線発信装置)と、を備えている。なお、ここではテーマパークのアトラクションエリアに基づく例を説明するが、これ以外でも待ち時間の発生する施設(例えば、ショッピングモール、銀行など)においても、同様に本発明を適用することができる。
携帯端末1およびサーバ2はネットワークを介して接続されている。このネットワークは、WiFi(登録商標)などの無線LAN通信や、LTE(Long Term Evolution)などのセルラー通信などによる無線通信網、およびインターネットなどにより構成される。
携帯端末1は、施設の利用者が所持するものであり、スマートフォンやタブレット端末などの携帯デバイスである。この携帯端末1には、待ち時間計測およびポイント利用に関するアプリケーションがインストールされる。
サーバ2は、利用者ごとの待ち時間およびポイントを管理する。ポイントは、施設内で提供されるサービスまたは物品に交換することができる。本実施形態では、施設内の利用エリア(アトラクションなど)における利用者の待ち時間を計測して、この待ち時間に応じたポイントを利用者に付与する。
ビーコン発信機3は、施設内の適所に複数設置され、Bluetooth(登録商標)、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)によるビーコン信号(測位用の無線信号)をブロードキャストで送信する。なお、ビーコン信号は、Bluetoothに限定されるものではなく、その他の近距離通信、例えばWiFiなどの無線LANの通信方式によるものでもよい。
次に、施設におけるビーコン発信機3の設置状況について説明する。図2は、施設におけるビーコン発信機3の設置状況を示す説明図である。
利用者は、入口エリア(待ちエリア)、アトラクションエリア(利用エリア)、出口エリアを順次通過する。ビーコン発信機3は、入口エリアの入口側(計測開始地点)、アトラクションエリアの途中(中間地点)、および出口エリア(計測終了地点)の3箇所に設置されている。なお、この図2に示す例は、アトラクションの建屋内の入口エリアで利用者が行列待ちをする場合に好適である。
この場合、入口エリアに設置されたビーコン発信機3の信号を携帯端末1が受信すると、待ち時間計測を開始し、出口エリアに設置されたビーコン発信機3の信号を携帯端末1が受信すると、待ち時間計測を終了し、計測の開始から終了までの時間が待ち時間として計測される。なお、この場合、待ち時間にアトラクションの所要時間が含まれるため、計測された待ち時間からアトラクションの所要時間を差し引くようにしてもよい。
ここで、中間地点に設置されたビーコン発信機3の信号を受信した場合に限り、待ち時間が確定され、利用者が中間地点を通過しないと待ち時間が確定しない。これにより、アトラクションを利用せずに待ち時間を計測させて不正にポイントを取得することを防止することができる。
なお、入口エリアからアトラクションエリアに向かう方向とは逆の方向から出口エリアに進入することができない場合には、中間地点のビーコン発信機3を省略することができる。
次に、施設におけるビーコン発信機3の設置状況の変形例について説明する。図3は、施設におけるビーコン発信機3の設置状況の変形例を示す説明図である。
図3(A)に示す例では、アトラクションエリアおよびその手前で行列が形成される行列エリア(待ちエリア)に2つのビーコン発信機3が設置されている。一方のビーコン発信機3は、行列エリアの端に設置される。他方のビーコン発信機3は、アトラクションエリアの入口側に設置される。この図3(A)に示す例は、アトラクションの建屋の外で利用者が行列待ちをする場合に好適である。
この場合、行列エリアの端に設置されたビーコン発信機3の信号を携帯端末1が受信すると、利用者が行列に並んだものと判断して、待ち時間計測を開始し、アトラクションエリアの入口側に設置されたビーコン発信機3の信号を携帯端末1が受信すると、利用者がアトラクションエリアに進んだものと判断して、待ち時間計測を終了し、計測の開始から終了までの時間が待ち時間として計測される。
なお、利用者が行列待ちする行列エリアが、固定式のフェンスで仕切られている場合には、行列エリアの端の位置は変化しないため、その位置にビーコン発信機3を設置すればよい。一方、移動式のパーティションポールなどで行列エリアを仕切る場合には、行列エリアが変化するため、想定される最長の行列の最後尾の位置にビーコン発信機3を設置すればよい。また、行列の最後尾の位置に、移動式の案内板を設置する場合には、その案内板にビーコン発信機3を設けるようにしてもよい。
また、計測終了地点のビーコン発信機3を行列の先頭の位置に設置して、ビーコン発信機3の信号を携帯端末1が受信できなくなると、利用者がアトラクションエリアに進んだものと判断して、待ち時間計測を終了するようにしてもよい。
図3(B)に示す例では、アトラクションエリアの手前の待ちエリアに1つのビーコン発信機3が設置されている。この図3(B)に示す例は、アトラクションの建屋内に比較的小さな待ちエリアが設けられている場合に好適である。
この場合、ビーコン発信機3の信号を携帯端末1が受信すると、利用者が待ちエリアに入ったものと判断して、待ち時間計測を開始し、ビーコン発信機3の信号を携帯端末1が受信できなくなると、利用者がアトラクションエリアに進んだものと判断して、待ち時間計測を終了し、計測の開始から終了までの時間が待ち時間として計測される。
なお、図3(B)に示す例では、ビーコン発信機3の通信エリアを、待ちエリアの範囲に対応するように設定するとよい。
次に、携帯端末1の概略構成について説明する。図4は、携帯端末1の概略構成を示すブロック図である。
携帯端末1は、通信部11と、ビーコン受信部12と、GPS測位部13と、制御部14と、記憶部15と、表示部16と、入力部17と、を備えている。
通信部11は、ネットワークを介してサーバ2との間で通信を行う。本実施形態では、受信通知(ビーコン信号の受信状況に関する通知)、交換要求(ポイントを交換する要求)、選択通知(選択した交換対象の通知)などをサーバ2に送信する。また、サーバ2から送信される配信情報を受信する。
ビーコン受信部12は、ビーコン発信機3から送信されるビーコン信号を受信する。
GPS測位部13は、GPS(Global Positioning System)により自装置の位置情報を取得する。なお、GPS以外の衛星測位システムを利用するようにしてもよい。
記憶部15は、MACアドレスなどの端末識別情報や、制御部14で実行されるプログラムなどを記憶する。
表示部16は、液晶表示パネルなどで構成される。入力部17は、タッチパネルや操作ボタンなどで構成される。なお、表示部16および入力部17は、タッチパネルディスプレイで構成することができる。
制御部14は、プロセッサで構成され、記憶部23に記憶されたプログラムを実行する。本実施形態では、通信部11でビーコン信号を受信すると、端末識別情報、および計測開始地点のビーコン信号を受信したことを表す情報(例えばビーコン信号の送信元のビーコン発信機3の識別情報)を含む受信通知をサーバ2に送信する処理を行う。また、サーバ2から送信される配信情報を受信すると、その配信情報に応じた画面を表示する処理を行う。
次に、サーバ2の概略構成について説明する。図5は、サーバ2の概略構成を示すブロック図である。
サーバ2は、通信部21と、制御部22と、記憶部23と、を備えている。
通信部21は、ネットワークを介して携帯端末1との間で通信を行う。本実施形態では、携帯端末1から送信される受信通知(ビーコン信号の受信状況に関する通知)、交換要求(ポイントを交換する要求)、選択通知(選択した交換対象の通知)などを受信する。また、携帯端末1で画面表示するための配信情報を携帯端末1に送信する。
記憶部23は、カレンダー情報や、利用者属性データベースや、利用者管理テーブルや、制御部22で実行されるプログラムなどを記憶する。
制御部22は、待ち時間計測部31と、ポイント管理部32と、交換対象抽出部33と、証明情報生成部34と、を備えている。この制御部22はプロセッサで構成され、制御部22の各部は、記憶部23に記憶されたプログラム(インストラクション)をプロセッサに実行させることで実現される。
待ち時間計測部31は、各利用者の利用エリア(アトラクションなど)における待ち時間を計測する。本実施形態では、携帯端末1から送信される受信通知に基づいて待ち時間を計測する。
ここで、図2および図3(A)に示したビーコン発信機3の設置状況では、複数のビーコン発信機3からそれぞれ送信されるビーコン信号を携帯端末1で受信したタイミングに基づいて、待ち時間を計測する。すなわち、計測開始地点のビーコン発信機3のビーコン信号を携帯端末1で受信すると、待ち時間計測を開始し、計測終了地点のビーコン発信機3のビーコン信号を携帯端末1で受信すると、待ち時間計測を終了する。
また、図3(B)に示したビーコン発信機3の設置状況では、ビーコン信号を携帯端末1で受信したタイミングと、ビーコン信号を携帯端末1で受信できなくなったタイミングとに基づいて、待ち時間を計測する。すなわち、ビーコン信号を携帯端末1で受信すると、待ち時間計測を開始し、ビーコン信号を携帯端末1で受信できなくなると、待ち時間計測を終了する。
なお、本実施形態では、携帯端末1から送信される受信通知(ビーコン信号の受信状況に関する通知)に応じてサーバ2で待ち時間計測(計時)を行うようにしたが、携帯端末1でビーコン信号を受信した時刻や受信できなくなった時刻をサーバ2に送信して、その時刻から待ち時間を算出するようにしてもよい。
ポイント管理部32は、各利用者の保有するポイントを管理するものであり、環境情報取得部41と、換算率設定部42と、獲得ポイント取得部43と、累計ポイント更新部44と、を備えている。
環境情報取得部41は、利用者が施設を利用する際の状況に関する環境情報を取得する。この環境情報は、カレンダー情報、天候情報、利用エリア(アトラクションなど)の混雑度に関する情報、および利用者の属性情報(利用者の所在地、年齢、来場回数など)の少なくともいずれかである。
ここで、カレンダー情報は、記憶部23に記憶されている。また、天候情報は、当日に管理者が入力すればよいが、気象情報提供サーバから取得するようにしてもよい。また、利用エリアの混雑度に関する情報は、当日に管理者が入力すればよいが、利用エリアに存在する携帯端末1の数からリアルタイムに取得するようにしてもよい。また、利用者の属性情報は、事前に利用者が携帯端末1などで入力し、記憶部23の利用者属性データベースに登録されている。
換算率設定部42は、環境情報取得部41で取得した環境情報に基づいて、獲得ポイント取得部43において待ち時間から獲得ポイントを算出する際の換算率を設定する。
獲得ポイント取得部43は、換算率設定部42で設定された換算率に基づいて、待ち時間計測部31で取得した待ち時間に応じた獲得ポイントを取得する。この獲得ポイントは、次式のように、待ち時間に換算率を乗じることで算出される。
獲得ポイント=待ち時間×換算率
ここで、本実施形態では、環境情報としてのカレンダー情報に基づいて換算率を設定する。このとき、カレンダー情報に基づいて、例えば当日が平日および休日のいずれであるかを判定する。そして、当日が平日である場合には、休日である場合より換算率を高く設定して、獲得ポイントが多くなるようにする。これにより、平日の来場者を増やすことができる。
また、本実施形態では、環境情報としての天候情報に基づいて換算率を設定する。このとき、天候情報に基づいて、例えば当日が悪天候(雨天)であるか否かを判定する。そして、当日が悪天候である場合には、悪天候でない場合より換算率を高く設定して、獲得ポイントが多くなるようにする。これにより、悪天候時の来場者を増やすことができる。
また、本実施形態では、環境情報としての利用エリアの混雑度に関する情報に基づいて換算率を設定する。このとき、利用エリアの混雑度に関する情報、例えば平均待ち時間、すなわち、各利用者の待ち時間を平均した時間に基づいて、利用エリアが混雑エリアか否かを判定する。そして、混雑エリアでない場合には、混雑エリアある場合より換算率を高く設定して、獲得ポイントが多くなるようにする。これにより、混雑度が低い利用エリアの利用を促進することができる。
また、本実施形態では、環境情報としての利用者の属性情報に基づいて換算率を設定する。利用者の属性情報は、利用者の所在地、年齢、および来場回数などである。
例えば、利用者の属性情報を利用者の所在地とした場合には、利用者の所在地から施設までの距離を取得して、利用者が遠隔地からの来場者か否かを判定する。具体的には、距離判定しきい値(例えば、100km)を設定し、このしきい値と利用者の所在地から施設までの距離とを比較して、遠隔地からの来場者か否かを判定するようにする。また、このしきい値を複数設定して、利用者の所在地から施設までの距離に応じて換算率を複数設定することもできる。そして、利用者が遠隔地からの来場者である場合には、遠隔地からの来場者でない場合より換算率を高く設定して、獲得ポイントが多くなるようにする。これにより、遠隔地からの来場者を増やすことができる。
また、利用者の属性情報を年齢とした場合には、高齢であるか否かを判定する。そして、高齢(例えば、60歳以上)である場合には、高齢でない場合(60歳未満)より換算率を高く設定して、獲得ポイントが多くなるようにする。これにより、高齢な来場者を増やすことができる。
また、利用者の属性情報を来場回数とした場合には、来場回数の多少を判定する。そして、来場回数が多い場合(例えば、10回以上)には、来場回数が少ない場合(10回未満)より換算率を高く設定して、獲得ポイントが多くなるようにする。これにより、リピート率を高めることができる。
ここで、換算率は、複数の環境情報に基づいて設定することができる。この場合、環境情報ごとの倍率を乗じることで換算率を算出すればよい。例えば、環境情報を、カレンダー情報、天候情報、および利用エリアごとの混雑度に関する情報とすると、次式により換算率が算出される。
換算率=平日の倍率×悪天候時の倍率×混雑エリアの倍率
ここで、平日の倍率は例えば1.5に設定され、悪天候時の倍率は例えば1.5に設定され、混雑エリアの倍率は例えば0.5に設定される。これにより、悪天候である場合や平日である場合には換算率が大きくなり、混雑エリアの場合には換算率が小さくなる。
累計ポイント更新部44では、獲得ポイント取得部43で取得した獲得ポイントを以前の累計ポイントに加算して、累計ポイントを更新する。また、利用者がポイントを利用して交換対象となるサービスまたは物品の提供を受けると、利用したポイントを累計ポイントから減算して、累計ポイントを更新する。
なお、ポイントは、次回の来場時に繰り越すことができるようにするとよい。また、ポイントに有効期限(例えば1年間)を設定するようにするとよい。このようにすると、リピート率を向上させて来場者数を増やすことができる。
交換対象抽出部33では、利用者からの交換要求に応じて、利用者の累計ポイントで交換できる交換対象(サービスや物品)を抽出する。
証明情報生成部34では、交換対象(サービスや物品)の提供を受ける際に必要となる証明情報、例えば2次元コードを生成する。なお、証明情報は、2次元コードのように読取装置で読み取るものの他、担当者が目視で確認するものであってもよい。
次に、携帯端末1およびサーバ2の動作について説明する。図6は、携帯端末1およびサーバ2の動作手順を示すシーケンス図である。なお、ここでは、図2に示したように、ビーコン発信機3が3つ設置された場合について説明する。
まず、携帯端末1において、利用者が、GPS測位部13の機能をオン状態とし、待ち時間計測のアプリケーションを起動すると、アプリトップ画面(図7(A)参照)が表示される。また、利用者が、Bluetoothによるビーコン信号を受信するビーコン受信部12の機能をオン状態とする。そして、利用者が計測開始地点に到達することで、携帯端末1において、計測開始地点のビーコン発信機3から送信されるビーコン信号を受信すると、ビーコン信号の受信通知をサーバ2に送信する。
サーバ2では、携帯端末1から送信される受信通知を受信すると、その受信通知が計測開始地点のビーコン発信機3のビーコン信号に関するものであれば、待ち時間計測部31において、待ち時間計測を開始する。そして、計測中の待ち時間を含む配信情報を携帯端末1に送信する。携帯端末1では、サーバ2から送信される配信情報を受信すると、その配信情報に基づいて待ち時間計測画面(図7(B)参照)を表示する。
次に、利用者が中間地点に到達することで、携帯端末1において、中間地点のビーコン発信機3から送信されるビーコン信号を受信すると、ビーコン信号の受信通知をサーバ2に送信する。さらに、利用者が計測終了地点に到達することで、携帯端末1において、計測終了地点のビーコン発信機3から送信されるビーコン信号を受信すると、ビーコン信号の受信通知をサーバ2に送信する。
サーバ2では、携帯端末1から送信される受信通知を受信すると、その受信通知が計測終了地点のビーコン発信機3のビーコン信号に関するものであれば、待ち時間計測を終了する。また、中間地点のビーコン発信機3のビーコン信号に関する受信通知で、利用者が中間地点を通過したことが確認されると、獲得ポイント取得部43において、待ち時間を確定して、その待ち時間に応じた獲得ポイントを取得する。そして、獲得ポイントを含む配信情報を携帯端末1に送信する。携帯端末1では、サーバ2から送信される配信情報に基づいて獲得ポイント画面(図7(C)参照)を表示する。
また、サーバ2では、累計ポイント更新部44において、獲得ポイントを以前の累計ポイントに加算して累計ポイントを更新する。そして、累計ポイントを含む配信情報を携帯端末1に送信する。携帯端末1では、サーバ2から送信される配信情報に基づいて累計ポイント画面(図7(D)参照)を表示する。
携帯端末1では、累計ポイント画面で利用者がポイントの交換を要求する操作を行うと、交換要求をサーバ2に送信する。サーバ2では、携帯端末1から送信される交換要求を受信すると、交換対象抽出部33において、利用者の累計ポイントで交換できる交換対象(サービスや物品)を抽出する。そして、交換対象を含む配信情報を携帯端末1に送信する。携帯端末1では、サーバ2から送信される配信情報に基づいて交換対象選択画面(図7(E)参照)を表示する。
携帯端末1では、交換対象選択画面で利用者が交換対象を選択する操作を行うと、選択通知をサーバ2に送信する。サーバ2では、携帯端末1から送信される選択通知を受信すると、証明情報生成部34において、交換対象となるサービスまたは物品の提供を受ける際に必要となる証明情報を生成する。そして、証明情報を含む配信情報を携帯端末1に送信する。携帯端末1では、サーバ2から送信される配信情報に基づいて証明情報提示画面(図7(F)参照)を表示する。
次に、携帯端末1に表示される画面について説明する。図7は、携帯端末1に表示される画面を示す説明図である。
図7(A)に示すアプリトップ画面には、選択メニューが表示される。この選択メニューで、「ガイド」を選択すると、施設(テーマパーク)の案内を表示する画面に遷移する。また、「スケジュール」を選択すると、パレードやショーなどの催し物のスケジュールを表示する画面に遷移する。また、「混雑状況」を選択すると、アトラクションの混雑状況を表示する画面に遷移する。また、「待ち時間計測」を選択すると、図7(B)に示す待ち時間計測画面に遷移する。
図7(B)に示す待ち時間計測画面には、待ち時間を計測している最中に、対象となるアトラクションの名称と、計測中の待ち時間とが表示される。
図7(C)に示す獲得ポイント画面には、利用対象となるアトラクションの名称と、待ち時間と、獲得ポイントとが表示される。
図7(D)に示す累計ポイント画面には、利用者の累計ポイントが表示される。また、この累計ポイント画面には、「交換する」のボタンが表示される。利用者が累計ポイントをサービスまたは物品に交換したい場合には、このボタンを操作する。すると、図7(E)に示す交換対象選択画面に遷移する。
図7(E)に示す交換対象選択画面には、累計ポイントで交換可能な交換対象、すなわち、特別な体験などのサービスや、特別な物品などが一覧表示される。また、この交換対象選択画面には、交換対象ごとに「選択する」のボタンが表示される。このボタンを操作すると、図7(F)に示す証明情報提示画面に遷移する。
図7(F)に示す証明情報提示画面には、交換対象となるサービスや物品の名称と、証明情報とが表示される。図7(F)に示す例では、証明情報として2次元コードが表示されている。交換対象となるサービスや物品が提供される場所に利用者が出向いて、証明情報提示画面を担当者に提示することで、交換対象となるサービスや物品が利用者に提供される。
なお、本実施の形態では、待ち時間を計測後に、利用者の累計ポイントを表示し、その累計ポイントで交換可能な交換対象を一覧表示するようにしているが、利用者は、いつでも累計ポイントを呼び出して表示させることができ、交換対象の一覧へと移行させることができる。
次に、サーバ2の記憶部23に記憶される利用者管理テーブルについて説明する。図8は、利用者管理テーブルの登録内容を示す説明図である。ここでは、利用者管理テーブルにおける1人の利用者に関する登録内容の遷移状況を示す。
サーバ2の記憶部23には、利用者管理テーブル(利用者管理情報)が記憶される。この利用者管理テーブルには、MACアドレス(端末識別情報)、利用中のアトラクションの識別情報、計測中待ち時間、中間地点フラグ、計測完了待ち時間、獲得ポイント、累計ポイントの各項目の情報が登録される。
ここで、MACアドレスは、携帯端末1から通知されるものである。また、利用中のアトラクションは、ビーコン信号の送信元のビーコン発信機3の識別情報から判定することができる。
計測中待ち時間は、待ち時間計測部31で計測中の待ち時間であり、利用者が計測開始地点を通過して待ち時間計測が開始されると、図8(A)に示すように、計測中待ち時間の項目に、待ち時間計測部31で取得した計測中の待ち時間が登録される。
中間地点フラグは、中間地点のビーコン発信機3のビーコン信号を携帯端末1で受信したことを表すものであり、利用者が中間地点を通過すると、図8(B)に示すように、中間地点フラグが立つ。
計測完了待ち時間は、待ち時間計測部31で計測された待ち時間であり、利用者が計測終了地点を通過して待ち時間計測が終了すると、図8(C)に示すように、計測完了待ち時間の項目に、待ち時間計測部31で取得した待ち時間が登録され、獲得ポイントの項目に、獲得ポイント取得部43で取得した獲得ポイントが登録される。
また、獲得ポイントを取得すると、累計ポイント更新部44で累計ポイントを更新する処理が行われ、図8(D)に示すように、累計ポイントの項目に、累計ポイントに獲得ポイントを加算することで更新された累計ポイントが登録される。
次に、利用者の保有するポイントを別の利用者に移し替えるポイント移転について説明する。図9は、ポイント移転の一例を示す説明図である。
ポイント管理部32では、利用者の指示に応じて、その利用者の保有するポイントを別の利用者に移転し、移転元の利用者と移転先の利用者とで構成されるグループによるポイントの利用を許可する。
具体的には、1人の利用者が代表者となり、その代表者となる利用者に、別の利用者のポイントを移転することができ、代表者となる利用者の保有ポイントは、以前の保有ポイントに、別の利用者から移転されたポイントを合算したものとなり、この合算したポイントを、移転元の利用者と移転先の利用者とで構成されるグループで利用することができる。
図9に示す例では、利用者B,Cの保有するポイントを、代表者となる利用者Aに移転している。利用者B,Cから移転されたポイントを、利用者Aの以前の保有ポイントに合算すると、交換対象(サービスや物品)の提供を受けるために必要な3人分のポイントを上回る。このため、利用者B,Cがそれぞれ保有するポイントが1人分のポイントに達しない場合でも、利用者A,B,Cの3人全員が、交換対象の提供を受けることができる。
なお、移転するポイントは、移転元の利用者が自分の保有するポイント内で指定することができるようにするとよい。
このように本実施形態では、利用者の保有するポイントを別の利用者に移転して、グループでポイントを共用することができるため、グループでの来場を促進して、来場者数を増やすことができる。
ここで、ポイントの利用をグループによる場合に限定するには、別の利用者からポイントを受け取った利用者が1人でポイントを利用することを防止する必要がある。また、ポイントを移転した利用者とは異なる利用者が、別人になりすましてポイントを利用することを防止する必要がある。
このようなポイントの不正利用を防止するには、移転先の利用者に関する利用者管理情報として、保有ポイントの一部が他人から移転されたものであることを示す移転情報や、移転元の利用者の端末識別情報を登録し、グループでポイントを利用する際に、ポイントを提供した人物が同行していることを確認するようにすればよい。
なお、本実施形態では、端末識別情報(MACアドレスなど)に基づいて利用者単位でポイントを管理するため、利用者の保有するポイントを別の利用者に移転するようにしたが、グループ単位でポイントを管理するようにすれば、各人が保有するポイントをグループに集めることができる。この場合、サーバ2がグループ管理情報を保持し、このグループ管理情報にグループを登録することで、各人が保有するポイントをグループで合算することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。前記第1実施形態では、ビーコン発信機3の信号を携帯端末1が受信すると、待ち時間計測を開始し、出口エリアに設置されたビーコン発信機3の信号を携帯端末1が受信すると、待ち時間計測を終了し、計測の開始から終了までの時間を待ち時間として計測するようにしたが、第2実施形態においては、ビーコン発信機3の信号を受信してから所定時間(例えば5分)が経過すると、そのビーコン信号の受信エリア(待ちエリア)において利用者が待ち状態にあると識別することができる。そのとき、サーバ2では、利用者の待ちエリアで待ち時間を有効活用するための推奨コンテンツ(クーポン、レストラン案内、買物サイトなど)を利用者の携帯端末1宛てに配信する。サーバ2は、現状の混雑度から利用者の待ちエリアで予想される待ち時間の値によって、推奨コンテンツの数や内容を変更してもよい。また、サーバ2は、その日の商品の過剰在庫情報、レストランの空き情報などを参照し、売上効果を望む推奨コンテンツを抽出して、利用者の携帯端末1宛てに配信することができる。また、初回のコンテンツ配信時に、推奨コンテンツを希望しない利用者のために、配信停止ボタンを含めて送り、配信停止ボタンによる返信が行われた場合に、以降の推奨コンテンツの配信を中止することもできる。
以上、第2実施形態によれば、利用者の待ちエリアでの待ち状態が識別されると、サーバ2が利用者に合致した推奨コンテンツが配信されるため、待ち時間を有効活用することが可能となる。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
例えば、前記の実施形態では、待ち時間計測およびポイント管理などの処理を1つのサーバ(情報処理装置)で行うようにしたが、必要な処理を複数のサーバで分担するようにしてもよい。
また、前記の実施形態では、サーバで待ち時間計測を行うようにしたが、携帯端末で待ち時間計測を行い、計測された待ち時間を携帯端末からサーバに送信するようにしてもよい。