JP6920045B2 - リチウム二次電池電極材料の製造方法、リチウム二次電池の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池電極材料の製造方法、リチウム二次電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム二次電池電極材料の製造方法、リチウム二次電池の製造方法、およびリチウム−ニオブ溶液に関する。
リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高く、高電圧での動作が可能という特徴がある。そこで、小型軽量化を図りやすい二次電池として携帯電話等の情報機器に使用されている。また、近年、ハイブリッド自動車用等の大型動力用の二次電池としての需要も高まりつつある。
リチウムイオン電池では有機溶媒に塩を溶解させた非水溶媒電解質が、電解質として一般的に用いられている。ところが、当該非水溶媒電解質が可燃性のものであることから、リチウムイオン電池は安全性に対する問題を解決する必要がある。当該安全性を確保するために、例えば、リチウムイオン電池へ安全装置を組み込む等の対策が実施されている。また、より抜本的な解決法として、上述した電解質を不燃性の電解質とすること、すなわちリチウムイオン伝導性の固体電解質とする方法が提案されている。
一般的に電池の電極反応は、電極活物質と電解質との界面で生じる。ここで、当該電解質に液体電解質を用いた場合は、電極活物質を含有する電極を当該液体電解質に浸漬することで、当該液体電解質が活物質粒子間に浸透し反応界面が形成される。一方、当該電解質に固体電解質を用いた場合は、固体電解質にはこのような活物質粒子間への浸透機構がない為、あらかじめ電極活物質粒子を含む粉体と固体電解質の粉体とを混合する必要がある。この為、全固体リチウムイオン電池の正極は、通常、正極活物質の粉体と固体電解質との混合物となる。
ところが、全固体リチウムイオン電池においては、正極活物質と固体電解質との界面をリチウムイオンが移動する際に発生する抵抗(以下、「界面抵抗」と記載する場合がある。)が増大し易い。当該界面抵抗が増大した場合、全固体リチウムイオン電池において電池容量等の性能が低下することになる。
ここで、正極活物質であるコバルト酸リチウムの表面をニオブ酸リチウムによって被覆することにより界面抵抗を低減させ、全固体リチウムイオン電池の性能向上を図る提案が、以下の特許文献により開示されている。
特許文献1には、ニオブ酸のペルオキソ錯体([Nb(O3−)または配位子にシュウ酸を有するニオブ酸錯体とリチウム化合物とを含有する水溶液と、リチウム−遷移金属酸化物粉体とを混合して混合物を得る工程と、当該混合物の水分を除去し、リチウム−遷移金属酸化物粉体表面に、ニオブ酸のペルオキソ錯体([Nb(O3−)または配位子にシュウ酸を有するニオブ酸錯体とリチウム化合物とが被着した粉体を得る工程と、当該粉体を300℃以上700℃以下で熱処理する工程とを含むことを特徴とするリチウム−遷移金属酸化物粉体の製造方法が開示されている。
特許文献2には、ニオブのペルオキソ錯体およびリチウムを含有する溶液を噴霧し、且つ、これと並行して上記溶液を乾燥する噴霧乾燥工程と、当該噴霧乾燥工程の後に熱処理する熱処理工程とを有し、熱処理の温度が、123℃よりも高く、且つ、350℃未満である、活物質複合粉体の製造方法が開示されている。
特開2012−074240号公報 特開2015−056307号公報
本発明者らの調べにより、ニオブのペルオキソ錯体は、何らかの手当てを行わない場合、当該錯体を作製した後4〜5時間で沈殿物を生じさせることが明らかとなった。つまり、ニオブのペルオキソ錯体においては保存安定性に課題がある。仮に、沈殿物が生じたニオブのペルオキソ錯体を含有する溶液を使用してしまうと、正極活物質であるコバルト酸リチウムの表面をニオブ酸リチウムによって被覆する際の被覆量の低下、被覆量のばらつきが生じ、その結果、放電容量が低下するおそれがある。そのため、ニオブのペルオキソ錯体を作製した後、一定時間内に当該錯体を使用する必要性が生じ、そうなると生産効率の低下にもつながる。
そこで、本発明者らは、保存安定性を向上させたリチウム−ニオブ溶液を提供することを解決すべき課題として検討を進めた。
また別の課題として、リチウム二次電池電極およびその材料において放電容量の低下を抑制しかつ生産効率を向上させられる技術を提供することを解決すべき課題として検討を進めた。
上記の課題を解決すべく本発明者らが検討した結果、そもそもニオブのペルオキソ錯体を作製するのではなく、ニオブに係る微粒子(元素としてのニオブを含むもの、例えば酸化ニオブや水酸化ニオブ。以降同様の記載とする。)が所定のモード径となるように当該微粒子を作製しておき、これを含有するリチウム−ニオブ溶液を用いることにより、上記の課題が解決されるという知見が得られた。
本発明者らの検討により、上記の課題を解決するために見いだされた発明は以下の通りである。なお、以下において、リチウム二次電池電極としてリチウム二次電池正極を例示するが、リチウム二次電池正極活物質とは、リチウム二次電池正極材料を得るための原料のうちの一つである。このリチウム二次電池正極活物質の粒子に対し、リチウムおよびニオブを付着させ、さらには該粒子の表面にニオブ酸リチウム層を形成したものがリチウム二次電池正極材料である。
本発明の第1の発明は、ニオブ源となる粒子であって動的光散乱法によるモード径(最頻粒径)が5〜200nmである粒子Aとリチウムイオンを含む水溶液を、リチウム二次電池用活物質に付着させ、前記リチウム二次電池活物質の粒子Bの表面にニオブ酸リチウム層を形成する工程とを有する、リチウム二次電池電極材料の製造方法である。
本発明の第2の発明は、リチウム塩が溶解した水溶液と、酸化ニオブおよび水酸化ニオブの少なくともいずれかにより構成される粒子であって動的光散乱法によるモード径(最頻粒径)が5〜200nmである粒子Aと、リチウム二次電池正極活物質と、を混合してスラリーを得る工程1と、
前記スラリーに対して蒸発乾固法を適用することにより、前記リチウム二次電池正極活物質の粒子Bの表面にニオブおよびリチウムが付着した状態の粉体を回収する工程2と、
前記粉体を150〜700℃で焼成し、前記リチウム二次電池正極活物質の粒子Bの表面にニオブ酸リチウム層を形成する工程3と、を有する、リチウム二次電池電極材料の製造方法である。
本発明の第3の発明は、リチウム塩が溶解した水溶液と、酸化ニオブおよび水酸化ニオブの少なくともいずれかにより構成される粒子であって動的光散乱法によるモード径(最頻粒径)が5〜200nmである粒子Aと、を混合してスラリーを得る工程1と、
リチウム二次電池正極活物質に対して前記スラリーを噴霧して、前記リチウム二次電池正極活物質の粒子Bの表面にニオブおよびリチウムが付着した状態の粉体を回収する工程2と、
前記粉体を150〜700℃で焼成し、前記リチウム二次電池正極活物質の粒子Bの表面にニオブ酸リチウム層を形成する工程3とを有する、リチウム二次電池電極材料の製造方法である。
本発明の第4の発明は、第2または第3に記載の発明であって、前記リチウム塩は水酸化リチウムである。
本発明の第5の発明は、第1〜第4のいずれかに記載の発明であって、前記粒子Aは、水酸化ニオブにより構成される。
本発明の第6の発明は、第1〜第5のいずれかに記載の発明であって、前記工程3における、ニオブ酸リチウム層の膜厚を2〜100nmとする。
本発明の第7の発明は、正極と、負極と、前記正極および前記負極に接触する電解質と、を備えるリチウム二次電池を製造する方法であって、前記正極と前記負極とを作製する電極作製工程とを有し、前記正極は、第1〜第6のいずれかに記載のリチウム二次電池電極材料の製造方法によって得る、リチウム二次電池の製造方法である。
本発明の第8の発明は、リチウムとニオブとを含有するリチウム−ニオブ溶液であって、前記リチウム−ニオブ溶液中にて前記ニオブにより構成される粒子Aの動的光散乱法によるモード径(最頻粒径)が5〜200nmである、リチウム−ニオブ溶液である。
本発明の第9の発明は、第8の発明に記載の発明であって、前記粒子Aは、水酸化ニオブにより構成される。
本発明に従うリチウム−ニオブ溶液ならば、保存安定性を向上することができる。
また、本発明に従うリチウム二次電池電極およびその材料に関する技術ならば、放電容量の低下を抑制しかつ生産効率を向上させられる。
全固体リチウムイオン二次電池の組み立て方法を表す断面図を模式的に示したものである。
以下、本実施形態について、次の順序で説明を行う。
1.リチウム二次電池正極材料の製造方法
1−1.スラリー作製工程
1−2.付着工程
1−3.焼成工程
1−4.その他
2.リチウム二次電池の製造方法
3.実施の形態による効果
4.変形例等
本明細書において「〜」は所定の値以上かつ所定の値以下のことを指す。
<1.リチウム二次電池正極材料の製造方法>
1−1.スラリー作製工程
本工程(工程1)においては、リチウム塩が溶解した水溶液と、酸化ニオブおよび水酸化ニオブの少なくともいずれかにより構成される微粒子であって動的光散乱法によるモード径(最頻粒径)が5〜200nmである微粒子(粒子A。以降、微粒子と称する。)と、リチウム二次電池正極活物質(以降、単に正極活物質とも言う。)と、を混合してスラリーを得る。
以下、混合対象となるこれらの物質について詳述する。
(リチウム塩が溶解した水溶液)
本工程において使用する“リチウム塩が溶解した水溶液”におけるリチウム塩はリチウム源として機能するものである。リチウム源は、水溶液に溶解可能なものであって、リチウム二次電池正極活物質(後述)の粒子B(以降、粒子と称する。)に付着するものであれば特に限定は無く、公知のものを採用しても構わない。例えば、リチウム源として、水酸化リチウム(LiOH)、硝酸リチウム(LiNO)、硫酸リチウム(LiSO)、炭酸リチウム(LiCO)等の無機リチウム塩が挙げられる。なお、リチウム源にはリチウム以外の不純物が少ない方が好ましいこと、そして水溶性であることを鑑みると、リチウム塩は水酸化リチウムであるのが好ましい。
(ニオブの微粒子)
本工程において使用する“酸化ニオブおよび水酸化ニオブの少なくともいずれかにより構成される微粒子”は、動的光散乱法によるモード径(最頻粒径)が5〜200nmであって、リチウム二次電池正極活物質(後述)の粒子に付着するものであれば、酸化ニオブにより構成される微粒子であっても、水酸化ニオブにより構成される微粒子であっても、両者が混在した微粒子であってもよい。ただ、本工程においては、一例として、スラリーを作製する際に湿式粉砕を行うが、その際の粉砕性の点では水酸化ニオブが好ましい。
上記の微粒子は、動的光散乱法によるモード径(最頻粒径)が5〜200nmであることにも大きな特徴がある(以降、単にモード径とも言う。)。ちなみに本明細書においてはモード径を5〜200nmというナノオーダーとなるように“酸化ニオブおよび水酸化ニオブの少なくともいずれかにより構成される粒子”のサイズを規定しているため、微粒子と称している。
モード径が5nm以上ならば、粉砕工程に要する時間を適度な長さにすることが可能となり、生産性を向上させることができ、さらにそれに伴って不純物量が増加するのを抑制することができる。また、200nm以下ならば、正極活物質の粒子の表面をリチウムとニオブ(本実施形態においてはニオブ酸リチウム)で余すところなく覆うことが可能となる。
ニオブ酸リチウムは、LiとNbの原子比が1:1の複合酸化物と定義され、代表的な組成式はLiNbOであり、結晶構造としてはアモルファスの場合もあるが、結晶質の場合も取り得る。粒子表面のニオブ酸リチウム層のリチウムとニオブの原子比は、スラリー作製工程においてニオブ源とリチウム源の仕込み量をLiとNbの原子比が1:1にコントロールすることによって得られる。
なお、上記の微粒子を作製するための手法には特に限定は無い。例えば後述の実施例の項目に示すように、酸化ニオブに対して湿式粉砕を行っても構わないし、それ以外だと中和法により上記の微粒子を作製しても構わないし、市販のニオブコロイド液から上記の微粒子を作製しても構わない。また、上記の微粒子を作製する際に、例えば湿式粉砕を採用する場合、酸化ニオブや水酸化ニオブ(いわゆるニオブ源)単体に対して湿式粉砕を行っても構わない。実施例の項目においては、この方式で湿式粉砕を行っている。
なお、本実施形態においては、このようにして得た微粒子と、上記のリチウム塩が溶解した水溶液とを混合したものを“リチウム−ニオブ溶液”と称し、該溶液を得るまでの工程を“リチウム−ニオブ溶液の製造方法”とも称する。
なお、酸化ニオブおよび水酸化ニオブの少なくともいずれかにより構成される微粒子の動的光散乱法によるモード径(最頻粒径)はリチウム塩を溶解した水溶液を混合しても殆ど変らない。リチウムはイオンで溶解しているため、動的光散乱法では検出されない。動的光散乱法で検出されるのは酸化ニオブおよび水酸化ニオブの少なくともいずれかにより構成される微粒子である。
また、ニオブ源に先に述べたリチウム源を加えた状態で湿式粉砕を行っても構わないし、結局のところそのように湿式粉砕を行った後の溶液についても“リチウム−ニオブ溶液”であることに変わりはない。
ちなみに、ここで言うモード径は、本実施形態においてはニオブ源単体に対して湿式粉砕を行った後の水溶液を、市販の動的光散乱法による粒度測定装置(後述の実施例においては大塚電子製 FPAR−1000、測定雰囲気温度25℃)を用いて測定した際に得られる最頻粒径である。
(リチウム二次電池正極活物質(正極活物質))
本工程において使用する正極活物質は、リチウムイオン二次電池の正極活物質材料として使用可能な材料であれば、特に限定されない。そのような物質としては、二次電池用の正極活物質はコバルト酸リチウム(LiCoO)以外に、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)やこれら活物質の遷移金属の一部をAlやTi、Cr、Fe、Zr、Y、W、Ta,Nbで置換したもの(LiNi0.95Al0.05等)、更にこれら活物質を複合化させた活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.5Mn1.5等)などを挙げることができる。
つまり、本工程においては、上記のリチウム塩が溶解した水溶液と、上記の微粒子と、正極活物質とを混合してスラリーを得る。なお、スラリーを得る際に、後述の実施例1と同様の手法すなわちリチウム塩が溶解した水溶液と、上記の微粒子とを混合したいわゆるリチウム−ニオブ溶液を加熱した状態で、当該溶液に対して正極活物質を添加し、スラリーを得てもよい。ただ、このスラリー化の具体的な作業としては公知のものを使用しても構わず、単にこれらの物質を混合しても構わない。
1−2.付着工程
本工程(工程2)においては、上記のスラリー(水溶液)を正極活物質に付着させることができれば具体的な手法に限定は無い。なお、本実施形態においては、上記のスラリーに対して蒸発乾固法を適用することにより、正極活物質の粒子の表面にニオブおよびリチウムが付着した状態の粉体を回収する。具体的な手法としては後述の実施例の項目に記載の通りであるが、例えば、リチウム−ニオブ溶液を加熱した状態で、当該溶液に対して粉状の正極活物質を添加する。そして、水分を蒸発させることにより、粉体を作製し、これを回収する。この粉体を構成する粒子は、正極活物質の粒子の表面にニオブおよびリチウムが付着した状態となっている。
なお、上記のスラリーに対して蒸発乾固法を適用する代わりに、上記のスラリーに正極活物質を混合していないもの(後述の実施例1で言うところのNb−Li原料液)と正極活物質とを分けた状態で、転動コーティング法(いわゆる噴霧乾燥法)を適用しても構わない。こうすることにより、正極活物質の粉体の粒子に対してニオブおよびリチウムを付着させることが可能となる。正極活物質の粉体粒子にニオブおよびリチウムが付着しているかどうかは、一般的な表面分析手法(X線光電子分光法やオージェ電子分光法)で測定できる、より詳細には粒子断面の透過電子顕微鏡(特にTEM−EELS,EDXなどを用いて)により測定できる。
1−3.焼成工程
本工程(工程3)においては、上記のように回収した粉体を150〜700℃で焼成し、正極活物質の粒子の表面にニオブ酸リチウム層を形成する。
焼成温度が150℃以上だと、ニオブ酸リチウム層におけるニオブ酸リチウムの結晶性を良好とすることが可能となる、すなわちニオブ酸リチウム層が二次電池における固体電解質との反応抑制層として好適に機能する。また、700℃以下ならば、正極活物質と反応することを抑制でき、放電容量の低下を抑制可能となる。
なお、焼成雰囲気については特に限定は無いが、酸素雰囲気または大気雰囲気が好ましい。この方が、窒素や水素雰囲気などの非酸化雰囲気よりも雰囲気制御が容易となるためである。
また、本工程において正極活物質の粒子の表面に形成されるニオブ酸リチウム層の膜厚であるが、2〜100nmとするのが好ましい。
ニオブ酸リチウム層の膜厚が2nm以上とすれば、ニオブ酸リチウム層が、二次電池における固体電解質との反応抑制層として働くため好ましい。また、100nm以下だと、抵抗を適当な値に抑えることが可能となり、リチウムイオンの伝導度を向上させることが可能となる。
なお、膜厚の制御は、スラリーを構成する物質の濃度によって適宜調整可能である。本実施形態においては、正極活物質の量に対し、リチウム源およびニオブ源の量を調整することにより、膜厚の制御が可能となる。また、膜厚の算出方法については、後述の実施例1にて詳述する。
正極活物質の粉体粒子にニオブ酸リチウム層が形成しているかどうかは、一般的な表面分析手法(X線光電子分光法やオージェ電子分光法)で測定できる、より詳細には粒子断面の透過電子顕微鏡(特にTEM−EELS,EDXなどを用いて)により測定できる。
1−4.その他
本実施形態においては上記の工程を経ることによりリチウム二次電池正極材料を製造することが可能となる。もちろん、上記に記載した工程以外の公知の工程や公知の添加物等を適宜採用しても構わない。
<2.リチウム二次電池の製造方法>
本実施形態は、リチウム二次電池の製造方法としても大きな技術的特徴がある。例えば、上記に示したリチウム二次電池正極材料の製造方法により正極を得た上で、負極を作製しておき(正極と負極とを作製する工程をまとめて電極作製工程とも称する。)、そして正極および上記負極に接触する電解質を得ておき、これらからリチウム二次電子を製造してもよい。なお、正極の製造手法は上記に示した通りであるし、それ以外のリチウム二次電子の具体的な製造手法としては公知のものを採用すればよい。
<3.実施の形態による効果>
本発明者らの鋭意検討により、ニオブのペルオキソ錯体は、何らかの手当てを行わない場合、当該錯体を作製した後4〜5時間で沈殿物を生じさせることが明らかとなったが、本実施形態においては、そもそもニオブのペルオキソ錯体を作製するのではなく、ニオブに係る微粒子が所定のモード径となるように当該微粒子を作製しておき、これを含有するリチウム−ニオブ溶液を用いる。
こうすることにより、そもそもニオブのペルオキソ錯体を採用していた際に生じた課題、すなわち、正極活物質であるコバルト酸リチウムの表面をニオブ酸リチウムによって被覆する際の被覆量の低下、被覆量のばらつきが生じ、その結果、放電容量が低下するおそれ等々を生じさせないことが可能となる。それに伴い、ニオブのペルオキソ錯体を作製した後、一定時間内に当該錯体を使用する必要性も生じなくなり、生産効率の低下を抑制できる。
その際に、ニオブに係る微粒子(ニオブ源)のモード径が5nm以上ならば、粉砕工程に要する時間を適度な長さにすることが可能となり、生産性を向上させることができ、さらにそれに伴って不純物量が増加するのを抑制することができる。また、モード径が200nm以下ならば、正極活物質の粒子の表面をリチウムおよびニオブ(本実施形態においてはLiNbO)で余すところなく覆うことが可能となる。
その結果、本実施形態に従うリチウム−ニオブ溶液ならば、保存安定性を向上させられる。
また、本実施形態に従うリチウム二次電池正極およびその材料に関する技術ならば、放電容量の低下を抑制しかつ生産効率を向上させられる。
また、副次的な効果として、従来技術のようなニオブのペルオキソ錯体を採用せずに済むため、ペルオキソ錯体溶液に添加されていた過酸化水素による影響を排することが可能となる。例えば、過酸化水素は保存環境によっては溶液中にて自己分解し、発熱や発泡が溶液中にて生じる。そうなると、従来技術のようなニオブのペルオキソ錯体溶液を工業的に生産または貯蔵する際に、ハンドリングや設備の腐食等の問題が生じ得る。ところが本実施形態によればニオブのペルオキソ錯体を採用せずに済むため、そのような問題をそもそも生じさせずに済む。
<4.変形例等>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
例えば、本実施形態においては、工程1においてリチウム塩が溶解した水溶液を混合対象としたが、溶解前の単なるリチウム塩を混合対象としても構わない。その場合は、混合対象に溶液が加わることになる。また、リチウム塩が溶解したか否かを問わず“リチウム源を含有する溶液”を混合対象としても構わない。
また、本実施形態においては、酸化ニオブおよび水酸化ニオブの少なくともいずれかにより構成される微粒子を採用したが、一種類以上のその他のニオブ含有化合物の微粒子をニオブ源として採用しても構わない。
また、本実施形態に示した上記のスラリーを事前に用意しておけば、そのまま工程2を実施することも可能である。
また、工程2において、蒸発乾固法または転動コーティング法を採用したが、これ以外の方法を採用しても構わない。例えば、パンコーティング、流動コーティング等を採用しても構わない。
上記の各変形例を反映させた構成は以下の通りである。
『リチウム源と、ニオブ源となる粒子であって動的光散乱法によるモード径(最頻粒径)が5〜200nmである粒子と、リチウム二次電池活物質と、を混合したものから、上記リチウム二次電池活物質の粒子の表面にニオブおよびリチウムが付着した状態の粉体を回収する工程と、
上記粉体を焼成し、上記リチウム二次電池活物質の粒子の表面にニオブ酸リチウム層を形成する工程と、
を有する、リチウム二次電池電極材料の製造方法(またはその関連技術)。』
なお、上記に示したリチウム−ニオブ溶液から得られたリチウム二次電池正極材料においても上記に示した本発明の技術的特徴を備えている。また、リチウム二次電池においても同様であり、その構成を記載するならば以下のようになる。
『正極と、負極と、上記正極および上記負極に接触する電解質と、を備えるリチウム二次電池であって、上記正極は、上記リチウム二次電池正極材料から得られたものである、リチウム二次電池。』
以下、本発明に係る実施例および比較例について説明する。
(実施例1)
〔リチウム二次電池正極活物質の原料の作成〕
容量1リットルのガラス製ビーカーを用いた反応槽に、純水200gと、硝酸アンモニウム90gを入れ、50℃、700rpmで撹拌して硝酸アンモニウムを溶解させた。その一方で、原料液として、純水126gに硝酸コバルト六水和物355gを溶解させた液を用意した。
上記の反応槽中に上記原料液を1.3g/minで添加した。その間、槽内のpHが11になるように濃度48%の苛性ソーダ水溶液を添加した。撹拌は、原料液添加中は700rpmで継続し、槽内温度は50℃をキープした。原料液を添加し終わると、そのまま30分間、温度と撹拌をキープし、その後、30℃まで冷却した。
反応槽内にて得られたスラリーを濾過、濾過物を水洗し、120℃で6時間乾燥させ、水酸化コバルト粉体を得た。この水酸化コバルト粉体と、水酸化リチウム一水和物を、Co:Liモル比が1:1.03となるように混合したのち、この混合物を大気雰囲気900℃で2時間焼成し、平均粒子径5.1μm、BET比表面積0.23m/gのコバルト酸リチウム(LiCoO)の粉体を得た。
なお、正極活物質の粒子における平均粒子径は、電界放出型走査電子顕微鏡(SEM)(日立製作所製のS−4700形)によって観測した粒子100個のHeywood径の平均値から算出した。また、BET比表面積は、BET比表面積測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製の4ソーブUS)を用いて、105℃で20分脱気した後、BET1点法により求めた。以降、特記の無い限り、同様の手法にて平均粒子径およびBET比表面積を求めたものとする。
〔Nb−Li原料液の作製〕
ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))0.21gをφ0.1mmジルコニアビーズを用いたビーズミル法で、HO中で5時間(300min)粉砕して微粒子化したニオブ酸分散液を得た。なお、この分散液を動的光散乱法(大塚電子製 FPAR−1000、測定雰囲気温度25℃)にて粒度を測定すると微粒子のモード径(最頻粒径)は20nmであった。このニオブ酸分散液に水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)0.047gを入れ、リチウムと微粒子ニオブ酸を含有する分散液を得た。これをNb−Li原料液(先に述べたリチウム−ニオブ溶液)とした。
〔Nb−Liの活物質への被覆〕
作製直後の上記Nb−Li原料液を90℃に加熱し、ここへ上記コバルト酸リチウム粉体30gを添加し、スターラーを用いて攪拌し、スラリーを得た(工程1)。
スラリーの加熱を続行し、目視にて水分がなくなったと判断されるまで、温度を90℃で保持して水分を蒸発させ、粉体を得た。その後、当該粉体を大気中140℃で1時間加熱して乾燥し(蒸発乾固法)、乾燥粉体を得た(工程2)。
得られた乾燥粉体を、空気中400℃で3時間焼成し、ニオブ酸リチウムで表面が被覆されたコバルト酸リチウム粉体を得た(工程3)。これを被覆活物質aとした。
なお、被覆活物質aとは別に、作製から2週間が経った前記Nb−Li原料液を使用し、被覆活物質aと同様の方法にてコバルト酸リチウムにニオブ酸リチウムを被覆してニオブ酸リチウム層を形成した。これを被覆活物質bとした。上記コバルト酸リチウム粉体のBET比表面積は被覆活物質a、bともにBET比表面積0.23m/gであった。なお、BET比表面積は、BET比表面積測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製の4ソーブUS)を用いて、105℃で20分脱気した後、BET1点法により求めた。
また、用いたリチウムおよびニオブ量から計算したニオブ酸リチウム層の膜厚の平均厚さは被覆活物質a、bともに5nmであった。膜厚の計算は以下のように行った。
ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))は0.21gでありNbは式中に2つ存在するのでNbは0.0011mol存在する。水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)は0.047gなのでLiは0.0011mol存在する。これらから作製されるニオブ酸リチウム(LiNbO)は0.0011molとなり、工程1におけるスラリー中にはニオブ酸リチウムが0.165g存在することになる。ニオブ酸リチウムの密度は4.65g/cmであることから、ニオブ酸リチウム層の体積は3.5556×10−8となる。その一方、本実施例における正極活物質はBET比表面積0.23m/gのコバルト酸リチウム(LiCoO)30gであることから、当該正極活物質の総表面積は6.9mである。その結果、ニオブ酸リチウム層の体積を正極活物質の総表面積で除せば膜厚が算出される。こうして得たニオブ酸リチウム層の膜厚を、本実施例においては平均膜厚と称している。本実施例におけるニオブ酸リチウム層の平均膜厚は5nmであった。
〔全固体リチウムイオン二次電池の作製〕
[1]硫化物系固体電解質
(アルドリッチ社製)0.927gと、LiS(アルドリッチ社製)0.573gを、ジルコニアボールφ10mmとともに、遊星ボールミル(フリッチュ社製、P−7)にて、アルゴンガス雰囲気中350rpmで35時間撹拌混合して、淡い黄色の硫化物系固体電解質の粉体を得た。
[2]負極
インジウム箔(φ8mm、厚さ0.1mm)にリチウム箔(φ6mm、厚さ0.1mm)を圧接し、インジウム中にリチウムを拡散させることにより負極を得た。
[3]正極合材
上記の工程1〜3により得られた正極活物質粉体60mgと、上記硫化物系固体電解質39mg、導電剤(ケッチャンブラック、ライオンEJ300J)1mgを混合して得た混合物から7mgを分取し、成形荷重10kNでプレス成形して、φ8mm×厚さ0.1mmの成形体からなる正極合材を得た。
[4]電池の組み立て
図1に、全固体リチウムイオン二次電池の組み立て方法を表す断面図を模式的に示す。内径φ10mm、高さ12mmのポリエチレン製円筒1の内部に、ステンレス鋼からなる正極集電体2、上記正極合材3、および60mgの上記硫化物系固体電解質4を入れ、36kNの荷重を付与して加圧成形体を得た。この成形体の上に上記負極5、およびステンレス鋼からなる負極集電体6をセットして、20kNの荷重Pを付与して加圧成形し、3層構造のセルを有する全固体リチウムイオン二次電池を作製した。得られた電池の正極層、電解質層、および負極層の厚さは、それぞれ約100μm、500μmおよび100μmである。正極側の電極面積は0.5cm(φ8mm)である。なお、図1は、セルの直径に対し、厚さ(図の縦方向長さ)を極めて誇張して描いてある。
〔電池評価〕
作製した電池について、以下の放電容量A、Bを調べ、変化率を求めた。
[1]放電容量A
被覆活物質aを使用して作製した全固体電池において、電流密度0.1mA/cmで3.8Vまで定電流充電した後、電流密度が0.001mA/cmとなるまで3.8Vで定電圧充電を行った。その後、3.8Vから2.0Vまで(Li電位基準で4.4Vから2.6Vまで)0.1mA/cmで放電を行い、放電容量の測定を行った。そして、正極活物質の単位質量あたりの放電容量を「放電容量A」とした。
[2]放電容量B
被覆活物質bを使用して作製した全固体電池を放電容量Aと同条件にて放電容量を測定した。そして単位質量あたりの放電容量を「放電容量B」とした。
[3]変化率
下記(1)式により、変化率(%)を求めた。
変化率(%)=(放電容量A−放電容量B)/放電容量A×100 ・・・(1)
この変化率が小さいほど、Nb−Li原料液の保存安定性が高いといえる。この変化率およびそのほかの諸々の条件および結果を示したものが以下の表1である。実施例1においては放電容量Aが130mAh、放電容量Bが128mAh、変化率が2%であり良好な値を示した。
Figure 0006920045
(実施例2〜4)
実施例2〜4においては、表1に示すように、〔Nb−Li原料液の作製〕において、ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))の量と、水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)の量とを実施例1から変更し、それに伴い、工程3の後に形成されるニオブ酸リチウム層の平均膜厚も変更させた。それ以外は実施例1と同様とした。
実施例2においては、ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))の量を0.42gとし、水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)の量を0.094gとした。ニオブ酸リチウム層の平均膜厚は10nmとした。実施例2においては放電容量Aが132mAh、放電容量Bが132mAh、変化率が0%であり良好な値を示した。
実施例3においては、ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))の量を0.84gとし、水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)の量を0.188gとした。ニオブ酸リチウム層の平均膜厚は20nmとした。実施例3においては放電容量Aが131mAh、放電容量Bが131mAh、変化率が0%であり良好な値を示した。
実施例4においては、ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))の量を2.1gとし、水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)の量を0.47gとした。ニオブ酸リチウム層の平均膜厚は50nmとした。実施例4においては放電容量Aが125mAh、放電容量Bが123mAh、変化率が2%であり良好な値を示した。
(実施例5〜7)
実施例5〜7においては、実施例1とは異なり、〔Nb−Liの活物質への被覆〕において、正極活物質であるコバルト酸リチウム粉体を500gとし、蒸発乾固法の代わりに転動コーティング法を適用すべく転動流動コーティング装置(MP−01,パウレック社製)を採用した(表1中では“噴霧乾燥”と記載)。つまり、実施例1の工程1にて作製したスラリーに対して蒸発乾固法を適用する代わりに、上記のスラリーに正極活物質を混合していないもの(実施例1で言うところのNb−Li原料液)と正極活物質(コバルト酸リチウム粉体500g)とを分けた状態で、両者に対し転動コーティング法を適用した。
また、実施例2〜4と同様に、〔Nb−Li原料液の作製〕において、ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))の量と、水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)の量とを実施例1から変更し、それに伴い、工程3の後に形成されるニオブ酸リチウム層の平均膜厚も変更させた。それ以外は実施例1と同様とした。
実施例5においては、ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))の量を3.5gとし、水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)の量を0.78gとした。ニオブ酸リチウム層の平均膜厚は5nmとした。実施例5においては放電容量Aが130mAh、放電容量Bが128mAh、変化率が2%であり良好な値を示した。
実施例6においては、ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))の量を0.84gとし、水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)の量を0.188gとした。ニオブ酸リチウム層の平均膜厚は10nmとした。実施例6においては放電容量Aが132mAh、放電容量Bが132mAh、変化率が0%であり良好な値を示した。
実施例7においては、ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))の量を2.1gとし、水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)の量を0.47gとした。ニオブ酸リチウム層の平均膜厚は20nmとした。実施例7においては放電容量Aが131mAh、放電容量Bが130mAh、変化率が1%であり良好な値を示した。
(実施例8〜9)
実施例8〜9においては、〔Nb−Liの活物質への被覆〕の工程3における焼成温度を実施例1から変動させた。それ以外は実施例1と同様とした。
実施例8では、工程3における焼成温度を200℃とした。実施例8においては放電容量Aが132mAh、放電容量Bが132mAh、変化率が0%であり良好な値を示した。
実施例9では、工程3における焼成温度を500℃とした。実施例9においては放電容量Aが123mAh、放電容量Bが122mAh、変化率が1%であり良好な値を示した。
(実施例10〜11)
実施例10〜11においては、実施例1とは異なり、〔Nb−Li原料液の作製〕でのニオブに係る微粒子として、的光散乱法にて測定される平均粒子径20nmの酸化ニオブゾル(多木化学製 商品名バイラールNb−G6000)を用いた。
実施例10では、上記の酸化ニオブゾル4.87gに対し、水酸化リチウム0.094gを溶解させ、Nb−Li原料液を作成した。それ以外は実施例2と同様とした。
実施例10においては放電容量Aが132mAh、放電容量Bが132mAh、変化率が0%であり良好な値を示した。
実施例11では、上記の酸化ニオブゾル24.38gに対し、水酸化リチウム0.47gを溶解させ、Nb−Li原料液を作成した。それ以外は実施例4と同様とした。
実施例11においては放電容量Aが124mAh、放電容量Bが122mAh、変化率が2%であり良好な値を示した。
(実施例12〜13)
実施例12〜13においては、実施例1における〔Nb−Li原料液の作製〕でのニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))の粉砕時間を10時間(600min)とし、微粒子のモード径を10nmとした。
実施例12では、上記の通り粉砕時間を10時間、微粒子のモード径を10nmとした以外は実施例2と同様とした。
実施例12においては放電容量Aが130mAh、放電容量Bが130mAh、変化率が0%であり良好な値を示した。
実施例13では、上記の通り粉砕時間を10時間、微粒子のモード径を10nmとした以外は実施例4と同様とした。
実施例13においては放電容量Aが124mAh、放電容量Bが121mAh、変化率が2%であり良好な値を示した。
(実施例14〜15)
実施例14〜15においては、実施例1では正極活物質がコバルト酸リチウム(LiCoO)であったのを、三元系正極材NCM(LiNiCoMnO)(MHI社製 BET比表面積0.284m/g)を正極活物質とした。
実施例14では、上記の通り正極活物質としてNCMを30g添加した以外は実施例2と同様とした。
実施例14においては放電容量Aが145mAh、放電容量Bが144mAh、変化率が1%であり良好な値を示した。
実施例15では、上記の通り正極活物質としてNCMを30g添加した以外は実施例4と同様とした。
実施例15においては放電容量Aが140mAh、放電容量Bが138mAh、変化率が1%であり良好な値を示した。
(実施例16〜17)
実施例16〜17においては、実施例1における〔Nb−Li原料液の作製〕でのニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))の粉砕時間を0.5時間(30min)とし、微粒子のモード径を100nmとした。
実施例16では、上記の通り粉砕時間を0.5時間、微粒子のモード径を100nmとした以外は実施例2と同様とした。
実施例16においては放電容量Aが125mAh、放電容量Bが123mAh、変化率が2%であり良好な値を示した。
実施例17では、上記の通り粉砕時間を0.5時間、微粒子のモード径を100nmとした以外は実施例4と同様とした。
実施例17においては放電容量Aが118mAh、放電容量Bが115mAh、変化率が3%であり良好な値を示した。
(比較例1〜3)
比較例1〜3においては、各実施例とは異なり、ニオブ源としてニオブに係る微粒子を使用せず、その代わりにニオブのペルオキソ錯体を使用した。
比較例1では、〔Nb−Li錯体液の作製〕として、純水20gに、濃度30質量%の過酸化水素水11.6gを添加した過酸化水素水溶液を準備した。当該過酸化水素水溶液へ、ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))0.42gを添加した。当該ニオブ酸の添加後、更に、濃度28質量%のアンモニア水1.92gを添加し、十分に攪拌して透明溶液を得た。得られた透明溶液に水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)0.094gを入れ、リチウムとニオブ酸錯体とを含有する水溶液を得た。当該水溶液を、各実施例におけるNb−Li原料液の代わりとして使用したこと以外は、実施例2と同様とした。
比較例1においては放電容量Aが132mAh、放電容量Bが110mAh、変化率が17%であり、保存安定性が良好ではなかった。
比較例2では、〔Nb−Li錯体液の作製〕として、純水40gに、濃度30質量%の過酸化水素水23.2gを添加した過酸化水素水溶液を準備した。当該過酸化水素水溶液へ、ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))0.84gを添加した。当該ニオブ酸の添加後、更に、濃度28質量%のアンモニア水3.84gを添加し、十分に攪拌して透明溶液を得た。得られた透明溶液に水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)0.188gを入れ、リチウムとニオブ酸錯体とを含有する水溶液を得た。当該水溶液を、各実施例におけるNb−Li原料液の代わりとして使用したこと以外は、実施例3と同様とした。
比較例2においては放電容量Aが130mAh、放電容量Bが90mAh、変化率が31%であり、保存安定性が良好ではなかった。
比較例3では、〔Nb−Li錯体液の作製〕として、純水333.3gに、濃度30質量%の過酸化水素水193.3gを添加した過酸化水素水溶液を準備した。当該過酸化水素水溶液へ、ニオブ酸(Nb・6.1HO(Nb含有率70.7%))7.00gを添加した。当該ニオブ酸の添加後、更に、濃度28質量%のアンモニア水32.0gを添加し、十分に攪拌して透明溶液を得た。得られた透明溶液に水酸化リチウム・1水和物(LiOH・HO)1.56gを入れ、リチウムとニオブ酸錯体とを含有する水溶液を得た。当該水溶液を、各実施例におけるNb−Li原料液の代わりとして使用したこと以外は、実施例6(転動コーティング)と同様とした。
比較例3においては放電容量Aが132mAh、放電容量Bが105mAh、変化率が20%であり、保存安定性が良好ではなかった。
(まとめ)
以上の結果、上記の各実施例のNb−Li原料液すなわちリチウム−ニオブ溶液ならば、保存安定性を向上させられることが確認できた。
また、上記の各実施例のリチウム二次電池正極およびその材料に関し、放電容量の低下を抑制しかつ生産効率を向上させられることが確認できた。
1…ポリエチレン製円筒
2…正極集電体
3…正極合材
4…硫化物系固体電解質
5…負極
6…負極集電体

Claims (7)

  1. ニオブ源となる粒子であって動的光散乱法によるモード径(最頻粒径)が5〜200nmである粒子Aとリチウムイオンを含む水溶液を、リチウム二次電池用活物質に付着させ、前記リチウム二次電池用活物質の粒子Bの表面にニオブ酸リチウム層を形成する工程を有する、正極材料であるリチウム二次電池電極材料の製造方法。
  2. リチウム塩が溶解した水溶液と、酸化ニオブおよび水酸化ニオブの少なくともいずれかにより構成される粒子Aであって動的光散乱法によるモード径(最頻粒径)が5〜200nmである粒子と、リチウム二次電池正極活物質と、を混合してスラリーを得る工程1と、
    前記スラリーに対して蒸発乾固法を適用することにより、前記リチウム二次電池正極活物質の粒子Bの表面にニオブおよびリチウムが付着した状態の粉体を回収する工程2と、
    前記粉体を150〜700℃で焼成し、前記リチウム二次電池正極活物質の粒子Bの表面にニオブ酸リチウム層を形成する工程3と、を有する、リチウム二次電池電極材料の製造方法。
  3. リチウム塩が溶解した水溶液と、酸化ニオブおよび水酸化ニオブの少なくともいずれかにより構成される粒子であって動的光散乱法によるモード径(最頻粒径)が5〜200nmである粒子Aと、を混合してスラリーを得る工程1と、
    リチウム二次電池正極活物質に対して前記スラリーを噴霧して、前記リチウム二次電池正極活物質の粒子Bの表面にニオブおよびリチウムが付着した状態の粉体を回収する工程2と、
    前記粉体を150〜700℃で焼成し、前記リチウム二次電池正極活物質の粒子Bの表面にニオブ酸リチウム層を形成する工程3と、
    を有する、リチウム二次電池電極材料の製造方法。
  4. 前記リチウム塩は水酸化リチウムである、請求項2または3に記載のリチウム二次電池電極材料の製造方法。
  5. 前記粒子Aは、水酸化ニオブにより構成される、請求項1ないし4のいずれかに記載のリチウム二次電池電極材料の製造方法。
  6. 前記ニオブ酸リチウム層の膜厚を2〜100nmとする、請求項1ないし5のいずれかに記載のリチウム二次電池電極材料の製造方法。
  7. 正極と、負極と、前記正極および前記負極に接触する電解質と、を備え、前記電解質に固体電解質を用いる全固体リチウムイオン電池であるリチウム二次電池を製造する方法であって、
    前記正極と前記負極とを作製する電極作製工程を有し、
    前記電極作製工程においては、請求項1ないし6のいずれかに記載のリチウム二次電池電極材料の製造方法によって得られる正極材料と前記固体電解質とを混合して前記正極を作製する、リチウム二次電池の製造方法。
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