JP6919886B2 - 封止材組成物および封止材 - Google Patents

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Description

本発明は、電子基板等に設けた電子素子等に塗布して硬化することで、前記電子素子等を水分などから保護する柔軟な封止材と、その封止材に硬化させる前の封止材組成物に関する。
従来から液状の封止材組成物を基板等に塗布した後、硬化することで電子素子等の被覆、保護に用いられる封止材が知られている。こうしたタイプの封止材は、硬化前の状態が液状であるため電子素子の隙間に流し込み易く、電子素子を確実に覆うことできるというメリットがある一方で、所望の範囲から外に流れ出し易いことから、露出させたい部分までをも覆うおそれがあることが問題となる。また、液状の封止材組成物では、硬化前に異物が付着し易いことや、他の部材に付着して汚すおそれがあるなど、取扱い性の悪さが懸念されている。このような技術については、例えば特開2009−090231号公報(特許文献1)にはディスペンサで塗布した後に光を照射し硬化する液状樹脂材料が開示されている。
この特開2009−090231号公報(特許文献1)には、基材上に液状樹脂材料を塗布した際の幅や高さを制御するために、用いる液状樹脂材料の中にシリカ等の無機充填剤やアマイドワックス等の有機増粘剤からなるチキソ性付与剤を0.5〜10質量%含有させたチキソ性の高い液状樹脂材料を開示している。
特開2009−090231号公報
ところで、シリカ等の無機充填剤からなるチキソ性付与剤を封止材組成物に添加すると、硬化物が硬くなることや、透明性が低下すること、光硬化性に悪影響を与えることなどが懸念される。一方、アマイドワックス等の有機増粘剤からなるチキソ性付与剤は、添加対象となる樹脂との相性によっては相溶性が問題となり、有機増粘剤のブリードが懸念される。
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、封止対象となる被着物に塗布したときに、封止材組成物が広がり難くなる程度のチキソ性を有しながら、硬化物が柔軟であり、有機増粘剤のブリードの懸念のない封止材組成物およびその硬化物である封止材を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の封止材および封止材組成物は以下のとおり構成される。即ち、本発明の封止材組成物は、1又は2以上の単官能アクリルモノマーと、光ラジカル重合開始剤と、スチレン系エラストマと、を含む封止材組成物であって、単官能アクリルモノマーのハンセン溶解度パラメータを(δdlplhl)とし、スチレン系エラストマにおけるソフトセグメントのハンセン溶解度パラメータを(δdspshs)としたときに、これらの両溶解度パラメータ(δdlplhl),(δdspshs)から(式1)
Figure 0006919886
によって算出されるRaを、単官能アクリルモノマーとスチレン系エラストマの3次元距離Raとすると、前記1又は2以上の単官能アクリルモノマー全体の単官能アクリルモノマーと前記スチレン系エラストマの3次元距離Raが6.4〜7.8であり、前記1又は2以上の単官能アクリルモノマーのうちの少なくとも一の単官能アクリルモノマーと前記スチレン系エラストマの3次元距離Raが7.6以上であり、前記1又は2以上の単官能アクリルモノマーと、前記光ラジカル重合開始剤と、前記スチレン系エラストマの混合物のチキソ比が4.2以上であることを特徴とする封止材組成物である。
前記封止材組成物は、1又は2以上の単官能アクリルモノマーと、光ラジカル重合開始剤と、スチレン系エラストマと、を含む封止材組成物であって、単官能アクリルモノマーのハンセン溶解度パラメータを(δdlplhl)とし、スチレン系エラストマにおけるソフトセグメントのハンセン溶解度パラメータを(δdspshs)としたときに、これらの両溶解度パラメータ(δdlplhl),(δdspshs)から(式1)
Figure 0006919886
によって算出されるRaを、単官能アクリルモノマーとスチレン系エラストマの3次元距離Raとすると、前記1又は2以上の単官能アクリルモノマー全体の単官能アクリルモノマーと前記スチレン系エラストマの3次元距離Raが6.4〜7.8であり、前記1又は2以上の単官能アクリルモノマーのうちの少なくとも一の単官能アクリルモノマーと前記スチレン系エラストマの3次元距離Raが7.6以上であるものと構成したため、チキソ性付与剤等を添加することなく、チキソ性の高い封止材組成物を得ることができる。即ち、この封止材組成物は、3次元距離Raが適度に大きな単官能アクリルモノマーを配合し、その組成物の粘性が従来とは異なる様相を示すものとしている。
より具体的には、上記封止材組成物は、その組成物中における必須成分である前記1又は2以上の単官能アクリルモノマーと、前記光ラジカル重合開始剤と、前記スチレン系エラストマの混合物のチキソ比を4.2以上に構成することができる。そのため、チキソ性付与剤等を添加することなく、チキソ比が4.2以上となる高いチキソ性を有する封止材組成物である。
従来の技術では、スチレン系エラストマをアクリルモノマーに溶解した封止材組成物において、封止材組成物の機械的強度を高めたり透湿性を低くしたりするために、スチレン系エラストマの濃度を高めることが好ましいとされていた。また、そうした一方で、溶解度パラメータの差が大きくなるアクリルモノマーを用いるとスチレン系エラストマを溶解しない、ともされていた。したがって、こうした考え方に基づけば、スチレン系エラストマの溶解度パラメータと、これを溶かすアクリルモノマーの溶解度パラメータが近い程、溶解性が高いことが予期されるため、溶解度パラメータの数値の近いスチレン系エラストマとアクリルモノマーとを用いることが好適と考えられる。
例えば、特開2008−069302号公報の実施例1には、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体35質量部に、単官能アクリルモノマーとしてイソノニルアクリレート95質量部を含む組成物が開示されている。この組成物における溶解度パラメータの3次元距離Raは6.3となる。また、この例では2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジアクリレートを5質量部含むが、これは2官能アクリルモノマーであるため本発明の必須構成要素に該当しないが、これを含めて計算しても3次元距離Raは6.3となる。
また、他の例として、特開2005−154528号公報の実施例1には、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体30質量部に、単官能アクリルモノマーとしてn−ステアリルアクリレート100質量部と、イソボロニルアクリレート8質量部とを含む組成物が開示されている。この組成物における溶解度パラメータの3次元距離Raもまた6.3となる。こうした例からも3次元距離Raが6.4以上となる単官能アクリルモノマーは選定し難いと考えられる。
なお、前記封止材組成物において、1又は2以上の単官能アクリルモノマー全体の単官能アクリルモノマーと前記スチレン系エラストマの3次元距離Raが6.4〜7.8であるが、この1又は2以上の単官能アクリルモノマーのうちの少なくとも1の単官能アクリルモノマーの3次元距離Raは7.6以上である。こうした単官能アクリルモノマーを含まないと所定のチキソ性が得られない場合があるからである。
前記封止材組成物は、含有するスチレン系エラストマを、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体として構成できる。スチレン系エラストマの中でもスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体は、イソブチレン骨格を有していることから、耐候性、耐熱性に優れているため、封止材組成物の耐候性、耐熱性を高め、透湿度を低くすることができる。
前記封止材組成物は、前記スチレン系エラストマの全組成物中における配合割合が25質量%以上であるものとして構成できる。前記封止材組成物は、前記スチレン系エラストマの全組成物中における配合割合が25質量%以上としたため、この封止材組成物を硬化して得た封止材の耐候性、耐熱性を高め、さらに機械的強度を高めることができる。
前記封止材組成物は、25℃における粘度が10〜1000Pa・sであるものとして構成できる。前記封止材組成物は、25℃における粘度が10〜1000Pa・sであるため、ディスペンサによって電子素子等の被着物に対して容易に塗布することができる。
前記封止材組成物は、前記単官能アクリルモノマーにおいて、前記3次元距離Raが7未満の単官能アクリルモノマーと、前記3次元距離Raが9を超える単官能アクリルモノマーと、を含むものとして構成できる。前記封止材組成物は、3次元距離Raが7未満の単官能アクリルモノマーを含むため、スチレン系エラストマの溶解性を高め易くすることができ、3次元距離Raが9を超える単官能アクリルモノマーを含むため、封止材組成物のチキソ性を高め易くすることができる。
前記封止材組成物は、前記単官能アクリルモノマーにおいて、前記3次元距離Raが3以上離れる2以上の単官能アクリルモノマーを含むものとして構成できる。前記封止材組成物は、単官能アクリルモノマーの3次元距離の差が3以上となる複数の単官能アクリルモノマーの混合物を含むため、スチレン系エラストマの溶解性と、封止材組成物のチキソ性を高めることができる。ただし、3次元距離の差が6を超える単官能アクリルモノマーを含む場合には、これら単官能アクリルモノマーどうしが相溶し難くなる場合があり、長期的安定性の観点から、3次元距離の差が6を超える単官能アクリルモノマーの含有は避けることが好ましい。
そしてまた本発明は、上記何れかの封止材組成物の光ラジカル重合硬化物である封止材として構成できる。本発明の封止材を、上記何れかの封止材組成物の光ラジカル重合硬化物として構成したため、硬化させる前に液だれを起こし難く、また硬化後には柔軟性があり、被着物に対する接着性や、水分などからの保護性に優れている。
本発明の封止材組成物は、チキソ性があり液だれし難く、有機増粘剤のブリードの懸念がない。また本発明の封止材は、柔軟性があり、被着物を水分等から保護することができる。
<封止材組成物>
本発明について実施形態に基づき詳しく説明する。本発明の封止材組成物は、単官能アクリルモノマーと、光ラジカル重合開始剤と、スチレン系エラストマと、を必須成分としている。次には封止材組成物の含有成分について説明する。
スチレン系エラストマ:
スチレン系エラストマは、封止材組成物中では単官能アクリルモノマーに溶解しており、単官能アクリルモノマーを硬化させた後の機械的強度を高めるとともに透湿度を低くする成分である。また、単官能アクリルモノマーと共に封止材にゴム弾性(柔軟性)を付与する成分である。
封止材にゴム弾性を付与する観点から、スチレン系エラストマの硬度は、JIS K6253規定によるA硬度でA70以下であることが好ましい。硬さをA70以下とすることによって、封止材に柔軟性を与えることができるからである。また、硬さの下限は特に設けないが、A10以上であることが好ましい。過度に柔軟なスチレン系エラストマには可塑剤等の成分が多く含まれていることがあり、実質的にスチレン系エラストマと単官能アクリルモノマー以外の成分の割合が増えてしまい、接着性や封止材としての特性が低下することが懸念されるためである。
スチレン系エラストマ単独では固体のため、常温では接着性を有さないが、単官能アクリルモノマーに溶解することで、封止材組成物及び封止材中に均一に分散させている。
スチレン系エラストマの添加量は、封止材組成物中25〜45質量%であることが好ましく、25〜35質量%であることがより好ましい。スチレン系エラストマの配合が25質量%未満である場合には、機械的強度が低くなるおそれがある。一方で45質量%を超えると、封止材組成物の粘度が高くなり、塗布が困難になるおそれがある。35質量%以下であれば流動性が好適であり塗布し易い。
スチレン系エラストマの具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)を例示することができる。
これらのスチレン系エラストマの中では、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体を用いることが好ましい。スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体は、イソブチレン骨格を有していることから、耐候性、耐熱性に優れるとともに、特に透湿度を低くすることができるからである。
本発明の封止材組成物の確定において、スチレン系エラストマにおけるソフトセグメントのハンセン溶解度パラメータ(δdspshs)が重要となる。
ハンセン溶解度パラメータは、ハンセンが提唱しているパラメータであり、ヒルデブランドが提唱した溶解度パラメータ(δ)を3成分に分けたものである。前記ヒルデブランドの溶解度パラメータ(δ)と、ハンセン溶解度パラメータ(δ)は以下の関係がある。
δ =δ +δ +δ ・・・(式2)
上記(式2)において、δはLondon分散力項、δは双極子間力項、δは水素結合力項である。また、ハンセン溶解度パラメータは物質固有の値であり、化学構造や組成比から算出することができ、この値が近いものどうしほど、互いに相溶しやすいことが知られている。
以下に具体的に示す溶解度パラメータ(δ)は、van Krevelen & Hoftyzer法を用いて化学構造から算出した値である(D.W.van Krevelen et al, Properties of Polymers 2nd Edition,(1976))。また、ハンセン溶解度パラメータについて記載した文献がある(Hansen Solubility Parameters: A User's Handbook, Second Edition (2007)、Charles M. Hansen 著)。
スチレン系エラストマにおけるソフトセグメントのハンセン溶解度パラメータ(δdspshs)の算出は、ソフトセグメントの単位構造に着目して行う。ソフトセグメントの単位構造としては、ブタジエン構造、イソプレン構造、エチレン−ブチレン構造、エチレン−プロピレン構造、イソブチレン構造があるので、これらについてハンセン溶解度パラメータを計算する。ただし、このとき二重結合は開裂したものとして計算する。計算結果の一例を示すと、ブタジエン構造(δds=16.0、δps=0、δhs=0)、イソプレン構造(δds=15.8、δps=0、δhs=0)、エチレン−ブチレン構造(δds=16.9、δps=0、δhs=0)、エチレン−プロピレン構造(δds=16.1、δps=0、δhs=0)、イソブチレン構造(δds=17.1、δps=0、δhs=0)となる。スチレン系エラストマがスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体であれば、そのソフトセグメントの単位構造はイソブチレンとなるから、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体におけるソフトセグメントのハンセン溶解度パラメータは、δds=17.1、δps=0、δhs=0となる。
単官能アクリルモノマー:
単官能アクリルモノマーは、スチレン系エラストマを溶解させ、封止材組成物および封止材中に均一に混合するための成分であり、封止材組成物の硬化と共に封止材を電子素子や基板に固着し、防水性等を発現するための成分でもある。また、この単官能アクリルモノマーは、硬化前は低粘度の液体であり、光ラジカル反応により硬化する成分である。
単官能アクリルモノマーには、単官能(メタ)アクリル酸エステルモノマーの他にも単官能(メタ)アクリルアミド系モノマーを含む。また、より詳しくは、脂肪族アクリル酸エステルモノマー、脂環式アクリル酸エステルモノマー、エーテル系アクリル酸エステルモノマー、環状エーテル系アクリル酸エステルアクリルモノマー、水酸基含有アクリル酸エステルモノマー、芳香族系アクリル酸エステルモノマー、カルボキシル基含有アクリル酸エステルモノマー、アクリルアミド系モノマー、脂肪族メタクリル酸エステルモノマー、脂環式メタクリル酸エステルモノマー、エーテル系メタクリル酸エステルモノマー、環状エーテル系メタクリル酸エステルアクリルモノマー、水酸基含有メタクリル酸エステルモノマー、芳香族系メタクリル酸エステルモノマー、カルボキシル基含有メタクリル酸エステルモノマー、メタクリルアミド系モノマーなどを含む。また、脂環式アクリル酸エステルモノマーと、脂肪族アクリル酸エステルモノマーとを併用することが好ましい。脂環式アクリル酸エステルモノマーを配合することで、封止材の接着力を高めつつ、封止材を剥したときに糊残りを少なくすることができる。また、硬化後の封止材を強靭にして引張強さを高める効果がある。加えて、この成分の割合を多くすると防湿性と透明性を高めることができる。
上記例の中で、脂肪族アクリル酸エステルモノマーは、封止材の柔軟性を高め、切断時伸びを大きく向上させることができる。また、スチレン系エラストマの溶解性を高めることができる。脂肪族アクリル酸エステルモノマーの具体的としては、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレートなどの脂肪族炭化水素系アクリルモノマー等を挙げることができる。ラウリルアクリレートは、スチレン系エラストマの溶解性に非常に優れており、柔軟性にも優れていることから好ましい。
脂環式アクリル酸エステルモノマーとしては、イソボロニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシルアクリレート等を挙げることができる。
エーテル系アクリル酸エステルモノマーとしては、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、ノニルフェノールエチレンオキシド変性アクリレート等を挙げることができる。
環状エーテル系アクリル酸エステルモノマーとしては、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
水酸基含有アクリル酸エステルモノマーとしては、1、4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等を挙げることができる。
芳香族系アクリル酸エステルモノマーとしては、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキシド変性アクリレート、ベンジルアクリレート等を挙げることができる。
カルボキル基含有アクリル酸エステルモノマーとしては、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等を挙げることができる。
アクリルアミド系モノマーとしては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクロイルモルフォリン等を挙げることができる。
本発明の封止材組成物の確定において、単官能アクリルモノマーのハンセン溶解度パラメータ(δdlplhl)も重要となる。単官能アクリルモノマーのハンセン溶解度パラメータも物質固有の値であり、化学構造や組成比から一の単官能アクリルモノマーが決まれば、そのハンセン溶解度パラメータ(δdlplhl)も算出することができる。
単官能アクリルモノマーが単一でなく、2以上の単官能アクリルモノマーの混合物であるときのハンセン溶解度パラメータは、各単官能アクリルモノマーの比率を体積%で表し、その比率を各単官能アクリルモノマーのハンセン溶解度パラメータに乗じたものを合算して算出する。例えば、単官能アクリルモノマー1(溶解度パラメータ(δd1p1h1))が30体積%、単官能アクリルモノマー2(溶解度パラメータ(δd2p2h2))が70体積%の混合物の溶解度パラメータ(δdMpMhM))は以下となる。
δdM=0.3×δd1+0.7×δd2
δpM=0.3×δp1+0.7×δp2
δhM=0.3×δh1+0.7×δh2
本発明の封止材組成物の確定では、上述のスチレン系エラストマにおけるソフトセグメントのハンセン溶解度パラメータ(δdspshs)と、単官能アクリルモノマーのハンセン溶解度パラメータ(δdlplhl)に基づき、(式1)によって3次元距離Raを算出する。本明細書および請求の範囲では、称呼の便宜上、こうして求めた3次元距離Raを、単官能アクリルモノマーとスチレン系エラストマの3次元距離Raや、単に3次元距離Raとも言うものとする。
Figure 0006919886
そして、本発明では、この3次元距離Raが6.4〜7.8の範囲内となるようなスチレン系エラストマと単官能アクリルモノマーとの組合せを用いる。そして、単官能アクリルモノマーが2以上の単官能アクリルモノマーの混合物であるときは、そのうちの少なくとも一の単官能アクリルモノマーにおける3次元距離Raは7.6以上である。
3次元距離Raが6.4未満では、スチレン系エラストマを良く溶かし高濃度に配合できる半面、チキソ性が低くなるおそれがある。一方、3次元距離Raが7.8を超えると、スチレン系エラストマが単官能アクリルモノマーに溶解しないか、あるいは所定濃度まで溶解させることができなくなるおそれがある。
上記単官能アクリルモノマーの種類の違いによる3次元距離の傾向について説明する。脂肪族アクリル酸エステルモノマーは、3次元距離Raが比較的小さい傾向がある。脂環式アクリル酸エステルモノマーは、3次元距離Raが中程度のものが多い。エーテル系アクリル酸エステルモノマーは、3次元距離Raが7.8を超えて大きくなるものが多い。環状エーテル系アクリル酸エステルモノマーもまた3次元距離Raが大きくなるものが多い。水酸基含有アクリル酸エステルモノマーは、3次元距離Raが極めて大きくなるものが多い。芳香族系アクリル酸エステルモノマーは、3次元距離Raも比較的大きなものが多い。カルボキル基含有アクリル酸エステルモノマーは、3次元距離Raが極めて大きくなるものが多い。アクリルアミド系モノマーは、3次元距離Raがやや大きなものから極めて大きなものがある。
上記単官能アクリルモノマーのうち、ラウリルアクリレートやステアリルアクリレートは単独で用いると、スチレン系エラストマを良く溶かし高濃度に配合できる半面、チキソ性が低くなり易い。芳香族系アクリル酸エステルモノマーやアクリルアミド系モノマーは、他の単官能アクリルモノマーと混合することで、効果的にチキソ性を高め易い。
個々の単官能アクリルモノマーとソフトセグメントの単位構造がイソブチレンであるスチレン系エラストマの3次元距離Raの一例を示すと次のとおりである。なお、IBはイソブチレンの略称である。
ラウリルアクリレート(δdl=16.0、δpl=1.8、δhl=5.1)IBとの3次元距離=5.8
ステアリルアクリレート(δdl=14.8、δpl=1.2、δhl=4.2)IBとの3次元距離=6.3
デシルアクリレート(δdl=16.8、δpl=2.1、δhl=5.5)IBとの3次元距離=6.0
イソボロニルアクリレート(δdl=15.6、δpl=2.3、δhl=5.8)IBとの3次元距離=6.9
シクロヘキシルアクリレート(δdl=17.8、δpl=3.1、δhl=6.7)IBとの3次元距離=7.5
ジシクロペンタニルアクリレート(δdl=15.9、δpl=2.5、δhl=6.0)IBとの3次元距離=6.9
ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(δdl=15.9、δpl=2.8、δhl=6.6)IBとの3次元距離=7.6
エトキシジエチレングリコールアクリレート(δdl=17.1、δpl=4.3、δhl=8.7)IBとの3次元距離=9.7
2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート(δdl=17.7、δpl=2.9、δhl=7.1)IBとの3次元距離=7.8
ブトキシエチルアクリレート(δdl=15.8、δpl=3.5、δhl=7.4)IBとの3次元距離=8.6
フェノキシエチルアクリレート(δdl=18.7、δpl=3.7、δhl=7.6)IBとの3次元距離=9.1
4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(δdl=16.3、δpl=4.0、δhl=8.3)IBとの3次元距離=9.3
テトラヒドロフルフリルアクリレート(δdl=16.7、δpl=4.3、δhl=8.3)IBとの3次元距離=9.4
1、4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(δdl=16.9、δpl=3.7、δhl=12.0)IBとの3次元距離=12.6
2−ヒドロキシブチルアクリレート(δdl=16.2、δpl=5.1、δhl=14.0)IBとの3次元距離=15.0
2−ヒドロキシプロピルアクリレート(δdl=16.0、δpl=5.7、δhl=14.8)IBとの3次元距離=16.0
2−ヒドロキシエチルアクリレート(δdl=17.7、δpl=7.1、δhl=16.6)IBとの3次元距離=18.1
ベンジルアクリレート(δdl=18.8、δpl=3.3、δhl=6.8)IBとの3次元距離=8.3
2−アクリロイロキシエチルコハク酸(δdl=17.1、δpl=4.6、δhl=11.7)IBとの3次元距離=12.6
アクリルアミド(δdl=18.5、δpl=12.2、δhl=12.8)IBとの3次元距離=17.9
N,N−ジメチルアクリルアミド(δdl=17.1、δpl=10.8、δhl=8.3)IBとの3次元距離=13.6
N,N−ジエチルアクリルアミド(δdl=16.7、δpl=8.1、δhl=7.1)IBとの3次元距離=10.8
ヒドロキシエチルアクリルアミド(δdl=17.5、δpl=9.2、δhl=15.6)IBとの3次元距離=18.1
アクロイルモルフォリン(δdl=18.1、δpl=9.4、δhl=8.9)IBとの3次元距離=13.1
単官能アクリルモノマーは、単一の単官能アクリルモノマーを用いることもできるが、複数の単官能アクリルモノマーを混合して用いることが好ましい。単一の単官能アクリルモノマーではスチレン系エラストマを溶解できない場合や、上述した3次元距離の値で示すように、好ましいとする6.4〜7.8の範囲に入らないものであっても他の単官能アクリルモノマーと混合することでこれらの不具合を解消できるからである。また、複数の異なる溶解度パラメータを有する単官能アクリルモノマーを混合することで、スチレン系エラストマの溶解性と高いチキソ性のバランスの良さをよりいっそう高めることができるからである。
例えば、3次元距離Raが7未満の単官能アクリルモノマーと、3次元距離Raが9を超える単官能アクリルモノマーとを混合して、3次元距離Raが6.4〜7.8となるように両単官能アクリルモノマーの配合量を調整した混合物を用いることが好ましい。3次元距離Raが同じで、複数の単官能アクリルモノマーの混合物を用いた場合と、単一の単官能アクリルモノマーを用いた場合とを比較すると、混合物の場合は、3次元距離Raが7未満の単官能アクリルモノマーを含むため、スチレン系エラストマの溶解性を高め易く、また3次元距離Raが9を超える単官能アクリルモノマーを含むため、チキソ性をより高め易いという利点がある。
複数の単官能アクリルモノマーを用いる場合には、一の単官能アクリルモノマーのスチレン系エラストマにおけるソフトセグメントのハンセン溶解度パラメータとの3次元距離Ra1と、他の一の単官能アクリルモノマーのスチレン系エラストマにおけるソフトセグメントのハンセン溶解度パラメータとの3次元距離Ra2との差が、3以上6以下のもので構成することが好ましい。
前記3次元距離の差が3以上の単官能アクリルモノマーの混合物を用いることで、スチレン系エラストマの溶解性をいっそう高め、さらに封止材組成物のチキソ性をより高めることができる。ただし、前記3次元距離の差が6を超える場合には、これら単官能アクリルモノマーどうしが相溶し難くなるため、それらの分離や長期にわたって前記効果を発揮することができないおそれがある。
単官能アクリルモノマーの添加量は、封止材組成物および封止材中に55〜75質量%であることが好ましい。55質量%未満の場合には、封止材組成物の粘度が高くなりすぎるおそれがあり、75質量%を超えると封止材の機械的強度が低くなるおそれがある。55〜75質量%の中では可能な範囲で少量とすることが好ましい。
2官能以上のアクリルモノマーについては、硬さの調整や、表面タックの低減等の目的で少量配合して用いることができるが本発明の必須成分でない。2官能以上のアクリルモノマーを配合する場合には、封止材組成物および封止材中に5質量%以下であること好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。多量に添加すると硬度の上昇や、接着性の低下が懸念されるためである。
光ラジカル重合開始剤:
光ラジカル重合開始剤は、単官能アクリルモノマーを光反応させて硬化させるものである。封止材組成物を電子素子上に塗布した後、単官能アクリルモノマーを光硬化させることで電子素子に対する接着性を高めた封止材とすることができる。光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、アセトフェノン系、アシルフォスフィン系等の光重合開始剤を挙げることができる。光ラジカル重合開始剤の添加量は、単官能および2官能以上を含めた全てのアクリルモノマーの合計量100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましい。
その他の成分:
本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各種添加剤を適宜配合することができる。例えば、シランカップリング剤や重合禁止剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、充填剤等が挙げられる。
チキソ性付与剤を添加せずとも所定のチキソ性が得られることを本発明は特徴とするため、チキソ性付与剤を完全に含まないことが好ましい態様ではあるが、封止材組成物又は封止材中にチキソ性付与剤が含まれることを排除するものではない。チキソ性付与剤を含む場合でも多くない方が好ましいため、封止材組成物または封止材中に2質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満含ませることもできる。
封止材組成物は、1又は2以上の単官能アクリルモノマーに、光ラジカル重合開始剤と、スチレン系エラストマと、必要により種々の添加剤を混合し、攪拌してスチレン系エラストマを単官能アクリルモノマーに溶解させることで製造できる。
次に封止材組成物の性質について説明する。封止材組成物は、所定のチキソ性を備えた液状組成物である。即ち、液状組成物であることから、電子素子等の被着物に対してディスペンサによる塗布が可能であり、かつチキソ性を備えることから、塗布した範囲内に留まり、その範囲から外に流れ出す液だれを起こし難い。
封止材組成物を電子素子等に塗布する観点から、封止材組成物の粘度は、25℃で10〜1000Pa・sとすることが好ましく、20〜300Pa・sとすることがより好ましい。10Pa・s未満の場合には、液だれが生じ易いだけでなく、スチレン系エラストマの含有量が少なく機械的強度や低透湿性が充分でないおそれがある。一方、1000Pa・sを超えると、ディスペンサによる塗布が困難となる。また、20Pa・s以上とするとことで、塗布してから硬化するまでの間の形状保持性が高まり、200Pa・s以下とすることで、より細いニードルを用いた精細なディスペンスが可能となる。なお、上記粘度はB型回転粘度計を用い、回転速度10rpm、測定温度25℃で測定した値とすることができる。
粘度は、スチレン系エラストマの分子量や配合量、単官能アクリルモノマーの種類等によって調整することができる。封止材組成物の粘度を低くするためには、3次元距離が7未満で且つ低粘度の単官能アクリルモノマーを用いることが好ましい。この種の単官能アクリルモノマーとしては、ラウリルアクリレートやイソノニルアクリレート等の低粘度の脂肪族単官能アクリルモノマーを挙げることができる。
チキソ性は、せん断速度の違いによって粘度が変化する性質である。せん断速度の違いによって粘度も異なるが、せん断速度が遅い場合の高い粘度と、せん断速度が速い場合の低い粘度との比が大きいほどチキソ性が高い。チキソ性が高いほど、塗布が容易である一方で液だれを起こし難くなるため、チキソ性の高さは本発明の特徴の1つである。本発明では、25℃の環境で、回転速度1rpmの条件で測定した粘度と、同温度で回転速度10rpmの条件で測定した粘度の比(粘度(1rpm)/粘度(10rpm))をチキソ比として算出し、これをチキソ性の指標とした。
封止材組成物が備えるチキソ比は、4.2以上であれば、塗布した封止材組成物が硬化前に広がってしまうことを抑制することができ、本発明の封止材組成物はチキソ比を4.2以上とすることができる。一方、上限は限定するものではないが、概ね20以下とすることが好ましい。
こうした本発明の封止材組成物では、塗布後に流動して広がることが起こり難く、塗布した所定範囲内に留めおくことができる。このため、塗布対象の周囲に流れ出て汚染したり、塗布対象上の封止材の厚みが薄くなったりし難いため、被着物に対する所望の保護効果を得ることができる。
本発明の封止材組成物は、1又は2以上の単官能アクリルモノマーと、光ラジカル重合開始剤と、スチレン系エラストマのみからなるものとすることができ、また、これら以外に種々の成分を含むこととしても、シリカ等の無機充填剤やアマイドワックス等の有機増粘剤からなるチキソ性付与剤を含まないものとすることができる。そのため、硬化物の柔軟性を高めることができるとともに、必要であれば透明性をも高めることができる。また、有機増粘剤のブリードのない封止材組成物とすることができる。
本発明の封止材組成物では、ディスペンサ等で塗布するときは、塗出するときに比較的速いせん断速度となるため低い粘性を示すとともに、塗出した後に被着物に付着すると静止するため高い粘性を示すこととなる。このため、塗布時には高い流動性を示し塗布しやすく、塗布した後は流動性が低く液垂れし難い。よって、硬化させる前に封止材組成物を所定範囲内に留め置くことが容易である。
<封止材>
封止材は、封止材組成物中のアクリルモノマーを光硬化させて得られるものである。即ち、電子基板等に設けた電子素子や、金属が露出した部分に封止材組成物を塗布して被着物を覆った後、光照射により封止材組成物を封止材とする。
封止材は、柔軟なゴム状弾性体であり、動的粘弾性測定装置で測定した貯蔵弾性率E’が0.01〜100MPaの範囲であることが好ましい。貯蔵弾性率E’が0.01MPa未満の場合には、機械強度が小さくなるおそれがあり、100MPaを超える場合には、フレキシブル電子基板等のフレキシブル性のある被着物に装着したときに、そのフレキシブル性を損なうおそれがある。
こうした封止材は、アクリルモノマーに由来する接着力を備えており、被着物に密着して、異物や水分の侵入を防ぐことができる。
封止材としては、封止材組成物を硬化させて得た封止材の他に、封止材組成物の硬化物に補強層を設けたものを封止材とすることもできる。補強層としては、例えば封止材組成物と同種の組成物について硬度を調整して得られたもの、ウレタンフィルムやその他の樹脂フィルム、メッシュなどを挙げることができる。このような補強層を積層する場合には、封止材における電子基板等の被着物と密着させる表面とは反対側の表面に設ける。
補強層の設け方としては、封止材組成物となる液状組成物と、補強層となる液状組成物を順番に塗布した後、両者を硬化させて密着する方法や、封止材組成物を塗布した後に補強フィルム等を積層してから封止材組成物を硬化する方法などを採用することができる。この場合には、補強フィルムとしては紫外線を透過する必要があり透明なものが好ましい。
上記実施形態は本発明の例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施形態の変更または公知技術の付加や、組合せ等を行い得るものであり、それらの技術もまた本発明の範囲に含まれるものである。
例えば、封止材組成物の硬化手段として、紫外線に限定するものではなく、可視光や電子線等とすることもできる。その場合には、照射するエネルギー線の波長に対応するラジカル発生剤を添加すれば良く、また電子線を照射する場合には直接(メタ)アクリロイル基を活性化することができる。
次に実施例(比較例)に基づいて本発明をさらに詳しく説明する。次の試料1〜試料13の封止材組成物および封止材を作製した。
<試料の作製>
試料1:
単官能アクリルモノマーとして、ラウリルアクリレート(脂肪族アクリル酸エステルモノマー)とイソボロニルアクリレート(脂環式アクリル酸エステルモノマー)を準備し、そこにスチレン系エラストマとして、硬さA25のスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)を準備した。単官能アクリルモノマーにスチレン系エラストマを添加、24時間攪拌してスチレン系エラストマを単官能アクリルモノマーに溶解した。このときの配合割合は、ラウリルアクリレート35質量%、イソボロニルアクリレート35質量%、スチレン系エラストマ30質量%になるように調整した。そして、単官能アクリルモノマー全質量に対して、光ラジカル重合開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが5質量%となる質量分を添加して、試料1の封止材組成物を得た。その後、照度600mW/cm、積算光量5000mJ/cmの条件で紫外線を照射して試料1の封止材を得た。
試料2〜13:
試料1のスチレン系エラストマと単官能アクリルモノマーを表1、表2に記した種類と配合(質量%)に変更した以外は試料1と同様にして試料2〜13の封止材組成物を作製した。その際に使用した上記以外の単官能アクリルモノマーは、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(単官能脂環式アクリル酸エステルモノマー)、フェノキシエチルアクリレート(単官能芳香族エーテル系アクリル酸エステルモノマー)、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(単官能エーテル系アクリル酸エステルモノマー)、N,N−ジエチルアクリルアミド(単官能アクリルアミド系モノマー)、アクロイルモルフォリン(単官能アクリルアミド系モノマー)、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(単官能水酸基含有アクリル酸エステルモノマー)であり、スチレン系エラストマはスチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS、硬さA36)である。但し、試料11については、表2に記載のスチレン系エラストマと単官能アクリルモノマーの合計100質量部に対して、シリカ(チキソ性付与剤、比表面積が約200m/gの親水性フュームドシリカ)を10質量部添加している。試料2〜13の封止材組成物についても試料1と同様に紫外線を照射して試料2〜13の封止材を得た。
Figure 0006919886
Figure 0006919886
<各種試験と評価>
ハンセン溶解度パラメータと3次元距離Ra:
各試料のスチレン系エラストマのソフトセグメントの溶解度パラメータ(δds、δps、δhs))および各試料の単官能アクリルモノマーのハンセン溶解度パラメータ(δdl、δpl、δhl)は、上述の方法によって算出した。また、上記(式1)に基づいて、それらの3次元距離Raを算出した。これらの結果を表に示す。なお、表には、各試料で用いたスチレン系エラストマに対する単官能アクリルモノマーの1つ1つの3次元距離Raを「単官能アクリルモノマー(単独)」欄に示すとともに、単官能アクリルモノマー全体の3次元距離Raを「単官能アクリルモノマー(混合物)」欄に示した。また、各試料で用いた複数の単官能アクリルモノマーのうち少なくとも一の単官能アクリルモノマーの3次元距離Raが7.6以上となるものがあるか無いかについて、ある場合を「○」、無い場合を「×」として「単独でRa≧7.6の有無」欄に記入した。
スチレン系エラストマ溶解性:
各試料の封止材組成物を攪拌し続け24時間後の性状を確認した。スチレン系エラストマが単官能アクリルモノマーに溶解して全体が液体だったものを「○」、スチレン系エラストマが全く溶解しないか、または膨潤していたものを「×」とした。この結果も表に示す。
粘度:
各試料の封止材組成物について、粘度計(BROOK FIELD製回転粘度計DV−E)で、スピンドルNo.14の回転子を用い、回転速度1rpmおよび10rpm、測定温度25℃の条件で粘度を測定した。その結果も表に示す。なお、10rpmで測定した値を各試料の粘度の代表値とするものとする。
チキソ比:
上記粘度測定によって得た回転速度1rpmでの粘度と、回転速度10rpmでの粘度の比(粘度(1rpm)/粘度(10rpm))を計算して、チキソ比とした。この結果も表に示す。
可視光透過率:
各試料について、厚み1mmの平板状に封止材を形成し、透過率測定用の試験片とし、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV−1600」)を使用してこの試験片の平行線透過率を測定した。そして、その測定結果に基づいて波長380nm〜780nmの間の平均透過率を求めた。この結果も表に示す。
ゴム硬度:
各試料の封止材について、JIS K6253規定に従ってタイプAデュロメータを用いてその硬度を測定した。この結果も表に示す。
<試験結果の分析>
スチレン系エラストマのソフトセグメントの溶解度パラメータと単官能アクリルモノマー混合物の溶解度パラメータとの3次元距離Raが6.3の試料1はチキソ比が2.9であり、同じく3次元距離Raが6.3の試料9はチキソ比が2.1となり、これらはチキソ性の低い組成物となった。一方、3次元距離Raが6.4〜7.8の範囲にあった試料2〜試料7、試料12、試料13はチキソ比が4.2以上でありチキソ性の高い組成物となった。以上のことから、3次元距離Raを6.4〜7.8の範囲に調整すれば、スチレン系エラストマを溶解可能で、且つチキソ比が大きな封止材組成物が得られることがわかった。なお、試料8は3次元距離Raが8.1と高かったがスチレン系エラストマを溶解しなかった。また、試料11は3次元距離Raが6.3と低いにもかかわらずチキソ比は7.7と高くなっているが、チキソ性付与剤を混合した試料であった。
スチレン系エラストマの種類を、硬さA25のスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)から、硬さA36のスチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)に変更した試料9と試料10を見ると、3次元距離Raが6.3の試料9ではチキソ比が2.1と低く、3次元距離Raが6.7の試料10ではチキソ比が7.1と高かった。このことからスチレン系エラストマは、SIBSに限らずSEPSに変えても3次元距離Raとチキソ比の関係は同様の傾向を示すことがわかった。また、この試料10とスチレン系エラストマの添加量が同じ試料4と比較すると、試料4でA12であった硬さが、試料10でA8まで低下していたことから、SIBSに代えてSEPSを用いれば硬さを柔らかくできることがわかった。
チキソ性付与剤を添加した試料11は3次元距離Raが6.3であり、試料1と同じRa値でありながら、チキソ比を7.7と大きな値にすることができた。即ち、3次元距離が6.4〜7.8の範囲から外れてもチキソ性付与剤を添加すればチキソ比は向上する。しかしながら、試料11では、粘度が611Pa・sとかなり上昇し、試料1で29%であった可視光透過率が、10%まで低下していた。一方、チキソ性付与剤を添加した試料11とほぼ同様のチキソ比である試料3では、粘度の上昇は403Pa・sまでであり、可視光透過率も72%あり、むしろ可視光線透過率は高くなっている。以上の結果より、チキソ性付与剤を含まない本発明ではチキソ性付与剤の添加によって生じる粘度上昇や可視光線透過率の低下といった不具合を起こさずに、3次元距離を6.4〜7.8の範囲内になるように単官能アクリルモノマーの種類を調整することで適当なチキソ比が得られることがわかった。
スチレン系エラストマ(SIBS)の配合割合については、19質量%含む試料12のチキソ比は4.2であり、25質量%含む試料13ではチキソ比が5.4まで高まり、さらに30質量%含む試料2ではチキソ比が7.1とより高まった。このことから、スチレン系エラストマの割合が低くなると、チキソ比も小さくなることがわかり、スチレン系エラストマの含有量としては、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましいことがわかった。

Claims (7)

  1. 2以上の単官能アクリルモノマー(但し、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートを除く)と、光ラジカル重合開始剤と、スチレン系エラストマと、を含む封止材組成物であって、
    前記スチレン系エラストマの全組成物中における配合割合が25質量%以上であり、
    単官能アクリルモノマーのハンセン溶解度パラメータを(δdlplhl)とし、スチレン系エラストマにおけるソフトセグメントのハンセン溶解度パラメータを(δdspshs)としたときに、これらの両溶解度パラメータ(δdlplhl),(δdspshs)から(式1)
    Figure 0006919886
    によって算出されるRaを、単官能アクリルモノマーとスチレン系エラストマの3次元距離Raとすると、
    前記2以上の単官能アクリルモノマー全体の単官能アクリルモノマーと前記スチレン系エラストマの3次元距離Raが6.4〜7.8であり、
    前記2以上の単官能アクリルモノマーのうちの少なくとも一の単官能アクリルモノマーと前記スチレン系エラストマの3次元距離Raが7.6以上であり、
    前記2以上の単官能アクリルモノマーと、前記光ラジカル重合開始剤と、前記スチレン系エラストマの混合物のチキソ比が4.2以上であることを特徴とする封止材組成物。
  2. スチレン系エラストマが、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体である請求項1記載の封止材組成物。
  3. 前記スチレン系エラストマはスチレン−イソブチレンジブロック共重合体以外のスチレン系熱可塑性エラストマである請求項1または請求項2記載の封止材組成物。
  4. 25℃における粘度が10〜1000Pa・sである請求項1〜請求項3何れか1項記載の封止材組成物。
  5. 前記単官能アクリルモノマーには、前記3次元距離Raが7未満の単官能アクリルモノマーと、前記3次元距離Raが9を超える単官能アクリルモノマーと、を含む請求項1〜請求項4何れか1項記載の封止材組成物。
  6. 前記単官能アクリルモノマーには、前記3次元距離Raが3以上離れる2以上の単官能アクリルモノマーを含む請求項1〜請求項4何れか1項記載の封止材組成物。
  7. 請求項1〜請求項6何れか1項記載の封止材組成物の光ラジカル重合硬化物である封止材。
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