JP6919309B2 - 銅電解スライムからの金の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銅の電解精製工程で発生するアノードスライムから有価金属である金を製造する方法に関するものである。
銅の電解精製工程で発生するアノードスライム(以下、銅電解スライム又は単にスライムとも称する)中には、金や銀などの有価金属が濃縮して存在している。これら有価金属を分離回収する方法として、例えば特許文献1に示すような溶媒抽出工程及び還元工程からなる方法が知られている。この方法は、具体的には以下の(a)〜(d)の工程に沿って有価金属の分離回収が行われる。
即ち、(a)銅電解スライムのスラリーを塩素で処理することにより、金、白金族元素、セレン、及びテルルを浸出させる工程、(b)該浸出により得た塩素浸出液に抽出剤としてビス(2-ブトキシエチル)エーテルを混合して金を有機相に抽出し、この有機相を塩酸で洗浄した後、蓚酸で還元することにより金を単体として分離する工程、(c)金を抽出した後の抽残液に塩化トリオクチルメチルアンモニウム及び燐酸トリブチルからなる混合物を混合して白金族元素を有機相に抽出し、この有機相を塩酸で洗浄した後、ヒドラジン及び水酸化ナトリウムで還元することにより白金族元素を単体として分離する工程、及び(d)白金族元素を抽出した後の抽残液を二酸化硫黄により還元し、セレン及びテルルを分離する工程からなる。
上記の(a)〜(d)の工程のうち、金を分離回収する工程である(b)工程に関して、例えば特許文献2には回収する金の品位を高める技術が開示されている。この技術は、還元処理前の金を含む有機相を塩酸で洗浄した後、得られた還元始液に対して、「ハロゲン化物濃度が高い」及び/又は「緩やかにpHを上昇させる化合物が共存している」状態で還元反応を行うものである。これにより、AgやSe等の不純物の析出が抑制されるので、還元により回収される金の品位を高めることができる。
特開2001−207223号公報 特開平11−140549号公報
しかし、この特許文献2の技術では、ハロゲン化物濃度が特に高い場合は抽出した金の量に対して数%以上の金が還元処理後の有機相中に残留するため、還元処理後の固液分離で金を取り除いた後の有機相から時間の経過に伴って金が析出し、この析出した金によって固液分離後の有機相や水相を貯留する貯槽、その抜出しポンプ等の機器内、あるいはこれらを接続する配管内が閉塞する恐れがある。このような閉塞が生ずると閉塞部を解体して手間のかかる掘削や溶解を行うことが必要になる上、掘削や溶解に伴う金ロスの低下につながる。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、金を含有するスライムの塩素浸出液に対して抽出処理、還元処理、及び固液分離処理を施して高品位の金の分離回収を行う金の製造方法において、固液分離後の有機相や水相から金が析出するのを抑えることが可能な金の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、金を含んだ塩素浸出液を抽出処理して得た抽出液に対してハロゲン化物濃度を高めて還元処理することで不純物の析出を抑えつつ金の析出を行った後、当該析出した金の分離回収後に酸化剤を添加することで後段の工程において有機相や水相から金が析出するのを防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る金の製造方法は、金を含有する銅電解スライムの浸出液に対して有機溶媒で金の抽出を行い、得られた金含有有機相に水を加えて該金含有有機相と水相との混合液を作製すると共に、該水相のハロゲン化物濃度を高めた後、該金含有有機相と水相との混合液を還元処理して金を析出させる金の製造方法であって、該還元処理後の有機相と水相との混合液からなり且つ析出した金を含む処理液に対して酸化剤を添加して酸化処理した後、油水分離及び固液分離を行なうことを特徴としている。
本発明によれば、還元処理済みの有機相に含まれる還元剤の還元力を抑制することができるので、該還元処理により析出した金を分離除去した後の有機相から金が析出するのを抑えることができる。
本発明の金の製造方法の一具体例を示すブロックフロー図である。 図1の金の製造方法の代替例のブロックフロー図である。 本発明の固液分離工程におけるスラリー供給用のバルブとして好適なピンチ弁の模式的な断面図である。
以下、図1を参照しながら本発明の金の製造方法の一具体例について工程順に説明する。この本発明の一具体例の金の製造方法は、先ず塩素浸出工程において金を含有する銅電解スライムのスラリーに塩素ガスを吹き込んでテトラクロロ金酸イオン(AuCl )の形態でAuの浸出を行い、Auを含んだスライム浸出液とスライム浸出残渣を得る。得られたスライム浸出液は、次にAu溶媒抽出工程において抽出剤が混合され、テトラクロロ金酸イオンの抽出が行われる。テトラクロロ金酸イオンを抽出した抽出剤は、抽出残液としての水相から金含有有機相として分離される。
上記の金の抽出に用いる抽出剤としては、R−O−[C−O]−Rの構造で示される「対称グリコールジエーテル」を用いることができる。特に、C−O−C−O−C−O−Cの構造を有するジブチル・ジグリコール(DBC又はDBDGとも称する)は、各種産業界で様々な用途に使われており、入手が容易であるので好ましい。DBCは抽出溶剤としては比較的抽出力の弱い溶媒和型の抽出剤に属し、クロロ錯体の抽出に好適に用いることができる。
上記Au溶媒抽出工程で得た金含有有機相は、次に洗浄工程において塩酸により洗浄され、テトラクロロ金酸イオンと共に抽出された不純物の除去が行われる。洗浄された金含有有機相は、次に調整工程において後述する油水分離工程で水相として回収されるAu還元後液が添加される。その際、必要に応じて適量の純水を添加することで当該金含有有機相と水相との体積比が調整される。この体積比の調整によって、次工程のAu還元工程における有機相と水相との接触効率や物質濃度が変わるので、金の粒子径を変えたり析出速度を制御したりすることができる。
上記調整工程で得た有機相と水相とからなる混合液は、次にAu還元工程において蓚酸水溶液が添加された後、好適には85〜95℃程度に加熱された状態で還元処理が行われる。これにより金が逆抽出されると同時に還元反応により金の析出が行われる。このAu還元工程では、還元始液に塩化ナトリウムなどの塩化物を添加して還元始液のハロゲン化物濃度を高めておくのが好ましい。これにより還元処理の際、緩やかに処理液のpHを上昇させることができるので、塩化銀などの難溶性塩化物の共析を防止でき、高純度の金メタルを得ることができる。また、還元処理の際にpH調整剤として尿素を使用することにより、金の還元を促進しつつ加水分解しやすい不純物の共沈を防止することができる。
上記還元処理の際は、銀塩化銀電極を参照電極にした酸化還元電位が好適には500mV以上800mV以下、より好適には680mV以上750mV以下となるように還元剤を添加する。この電位が750mVより高いと金の析出速度が遅くなり、800mVより高いと金を十分に析出させることができなくなる。一方、680mV以上であれば、金の析出反応に要する時間が短くてすむ。なお、500mVを下回る程度に還元剤を添加しても、還元剤を多量に要するだけであって反応時間はほとんど変わらない上、後段で酸化剤を多量に添加する必要を招くので好ましくない。
上記Au還元工程で得た析出した金を含む還元処理済みの処理液は、次に冷却工程において25〜50℃まで冷却される。上記Au還元工程では液温85〜95℃で還元処理が行われるため、後述する酸化処理工程の前に処理液を冷却しておくことで酸化反応の効率を高めることができる。すなわち、酸化処理時の処理液の温度が50℃を超えると、処理液から塩素等の揮発成分の蒸発量が多くなり、酸化剤を添加することで得られる効果が低減する。逆にこの温度が25℃を下回ると、還元剤が酸化剤によって良好に消費されなくなり、残存した還元剤によって金が析出しやすくなる。
上記した処理液の冷却方法は特に限定がなく、例えば還元処理済みの処理液の貯槽に蛇管やジャケットなどの熱交換手段を設け、この熱交換手段に冷媒を通液することで効率よく冷却することができる。この場合、該熱交換手段には冷水等の冷媒と蒸気等の熱媒とが切り替えて供給できるようにしてもよい。これにより、85〜95℃への加熱及びその温度での温度調節と、25〜50℃への冷却及びその温度での温度調節とを同一の槽で行うことができ、この同一の槽内において還元剤の添加と酸化剤の添加を行うことで設備コストを抑えることができる。
また、酸化処理を行う槽の気相部に設けたノズルから吸引ファンなどを用いて該気相部のガスを吸引することで、主に液面部からの蒸発による気化熱を利用して溶液を冷却してもよい。この場合、酸化剤の添加を開始すると槽内の気相部が塩素雰囲気になりやすいので、吸引ファンの前段又は後段に塩素中和設備を設け、槽から排気された塩素ガスをアンモニアや消石灰などの中和剤を用いて除去するのが好ましい。
上記冷却工程で所定の温度まで冷却された処理液は、次に酸化処理工程において酸化剤の添加が行われる。これにより、前述したように還元処理済みの有機相から析出した金がポンプや配管等の機器を閉塞させるのを防ぐことができる。ここで使用する酸化剤としては、金の析出を防止できる程度に還元剤の還元力を抑制できるものであって金メタルに混入しにくいものであれば特に制約はなく、例えばハロゲン、ハロゲンのオキソ酸、ハロゲンのオキソ酸塩(塩素のオキソ酸のナトリウム塩)、過酸化水素等を用いることができる。これらの中では、安価な点において塩素や亜塩素酸ナトリウム(塩素のオキソ酸のナトリウム塩)が好ましく、取り扱いが容易な点において亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸カリウムが好ましい。
上記酸化剤を添加する時は、処理液のpHを−0.2〜1.0の範囲内にし、銀塩化銀電極を参照電極にした酸化還元電位が800mV以上1000mV以下となるように酸化剤の添加量を調整するのが好ましい。この酸化還元電位が800mVより低いと、還元剤の還元力を抑制することが困難になり、金が析出するおそれがある。逆に1000mVを超える程度に酸化剤を添加しても期待するほどの効果が得られず、薬剤コストがかかりすぎるので好ましくない。なお、酸化剤を過剰に添加すると、塩素分を含有する酸化剤の場合は塩素が多量に発生する上、析出した金が再溶解しやすくなるため、酸化剤添加量は極力少なく抑えることが望ましい。
上記酸化処理工程では、有機相が赤茶色から薄オレンジ色に変色し、水相が薄黄色から黄色又はオレンジ色に変色したことを目安にして酸化剤の添加を終えるようにしてもよい。上記の色相は、処理液中に存在する金が安定な形態になったことを示すものと考えられるからである。酸化剤を添加した処理液は、次に固液分離工程において、一般的な固液分離手段によって、析出した金の分離回収が行われる。上記のように酸化剤を添加してから固液分離して金を回収することが望ましいが、固液分離してから酸化剤を添加してもよい。なお、固液分離後に析出した少量の金は、前述した調整工程やAu溶媒抽出工程などの前段の工程に繰り返すことで回収することができる。
上記析出した金とは別に固液分離手段から抜き出される液相は、次の油水分離工程で有機相と水相に分けられる。そして、有機相は前述したAu溶媒抽出工程に有機溶媒(DBC)として送られて再利用され、水相は前述した調整工程にAu還元後液として送られて再利用される。このように油水分離工程を固液分離工程の後に行うのは、回収する有機溶媒やAu還元後液に、析出した金が混入するのを抑制するためである。但し油水分離工程で得た水相には前段の固液分離工程において分離しきれない程度に微細な微粒子状の金が浮遊していることがある。この微粒子状の金は、Au還元工程よりも前工程の洗浄工程や調整工程に戻すことで、太らせてから回収することができる。
ところで、Au還元処理により得られるスラリー状の処理液は、固液分離工程で固液分離する前に静置させると、下層側の水相と上層側の有機相とに分離すると共に底部に金が沈澱する。そこで、上記した金の製造方法の代替例として、この上層側の有機相を、下層側の水相を動揺させないよう回収し、残部を固液分離してもよい。
例えば、図2のブロックフロー図に示すように、酸化処理工程までは図1に示すブロックフロー図と同様に処理した後、該酸化処理工程で処理された処理液を静置することにより分離する有機相を取り除いて回収し、残部の微細な粒状の還元Au(固体金)と水相とからなるスラリーを固液分離工程において例えば濾過装置に導入することにより還元Auを回収する。この図2に示す代替例においても、油水分離工程及び固液分離工程で回収される有機相及び水相は、上記の図1に示すフローと同様に、それぞれAu溶媒抽出工程及び調整工程に戻して再利用される。
このように、図2に示す代替例の金の製造方法では、固液分離工程の前にほとんどの有機相が除かれるので、濾過装置などの固液分離手段に導入するスラリーの量を減らすことができるうえ、該固液分離手段で分離された金に付着する有機相の量を減らすことができる。このように、有機相の付着が減ることで、当該金に付着した有機物の除去のためのレパルプ洗浄工程の簡素化が期待できる。
さらに、上記固液分離手段に供給するスラリー供給配管のバルブにピンチ弁を使う場合は、その寿命を延ばすことができる。すなわち、ボール弁やグローブ弁とは異なり、図3に示すように、ピンチ弁は閉止時に流体が摺動部に接する構造になっていないので固形物(金)の挟まりによる作動不良等のおそれがなく、スラリー状流体の流量調節弁として好適に用いることができる。しかし、接液部には一般的にフッ素樹脂系等のゴムが用いられるため、有機溶媒に対する耐性はあまり高くない。この場合においても、上記のように固液分離工程の前に油水分離工程により有機相を抜き取っておくことで、有機相がピンチ弁に接するのを回避できる。
以下、テトラクロロ金酸イオンを含んだ浸出液に対して、Au溶媒抽出工程、洗浄工程、調整工程、Au還元工程、冷却工程、固液分離工程、及び酸化処理工程の順に処理を行って、該Au還元工程で析出した金を該固液分離工程で取り除いた後の処理液における金の析出状況を調べた。
(実施例1)
テトラクロロ金酸イオンを含んだ浸出液に市販のDBCを混合し、該浸出液中のテトラクロロ金酸イオンをDBCに抽出した(Au溶媒抽出工程)。得られた処理液を60分間静置して有機相と水相とに分けた後、水相を除去し、得られた有機相中の金の濃度を蛍光X線分析を用いて測定したところ、36.7g/Lであった。このテトラクロロ金酸イオンの形で金を含む有機相1Lに1.5モル/Lの塩酸からなる洗浄液1Lを加えて100分間振蕩させることで洗浄した後、洗浄液を除去した(洗浄工程)。得られた洗浄済み有機相1Lに、1Lの純水を添加して混合液を作製した。
次に、作製した混合液を攪拌機により撹拌しながら、108gの塩化ナトリウムを投入して、水相の塩化物イオン濃度が60g/Lとなるように調整した(調整工程)。その後、水相の塩化物イオン濃度を調整した混合液に対して撹拌機による撹拌を継続し、有機相(有機溶媒)と水相(塩化ナトリウム水溶液)を十分に接触させながら、その攪拌中の混合液に、30.0gの尿素と、34.9gの蓚酸を添加した。添加後、内壁がグラスライニングされた槽のジャケット部に蒸気を通して混合液を90℃まで加温した。
加温後は、その温度を維持したまま撹拌を継続することで還元反応を行った(Au還元工程)。その際、還元反応中の混合液の酸化還元電位とpHを、銀塩化銀電極を参照電極にした酸化還元電位(ORP)計とpH計で計測し、酸化還元電位が低下して、5分間に10mV以上の低下が無くなった時点で還元反応が終了したと判断してジャケット部への供給媒体を蒸気から冷水に切り替えて槽内を25℃まで冷却した(冷却工程)。これにより、還元により析出した金を含むスラリーを得た。このスラリーのpHは0.4、酸化還元電位は703mVであった。
還元後スラリーを濾過して固形物(金)を分離した後、分離後の処理液から有機相100mLと水相50mLとの合計150mLを無色透明なビーカーに採取した(固液分離工程)。このビーカー内の処理液を25℃に維持した状態で撹拌しながら酸化剤として25wt%の亜塩素酸ソーダ水溶液を3.0mL(すなわち、水相量に対して6.0vol%)添加した(酸化処理工程)。その結果、銀塩化銀電極を参照電極にした酸化還元電位は963mVとなった。ビーカーを一昼夜静置後に観察したところ、ビーカーの底部に沈殿はみられず、有機相は薄オレンジ色、水相は黄色であった。
(実施例2)
亜塩素酸ソーダ水溶液の添加量を2.0mL(すなわち、水相量に対して4.0vol%)にしたこと以外は実施例1と同様にしたところ、酸化還元電位は842mVとなった。ビーカーを一昼夜静置後は、ビーカーの底部に沈殿はみられず、有機相は薄オレンジ色、水相は黄色であった。
(実施例3)
亜塩素酸ソーダ水溶液の添加量を1.5mL(すなわち、水相量に対して3.0vol%)にしたこと以外は実施例1と同様にしたところ、酸化還元電位は820mVとなった。ビーカーを一昼夜静置後は、ビーカーの底部に沈殿はみられず、有機相は薄オレンジ色、水相は黄色であった。
(実施例4)
亜塩素酸ソーダ水溶液の添加量を1.0mL(すなわち、水相量に対して2.0vol%)にしたこと以外は実施例1と同様にしたところ、酸化還元電位は805mVとなった。ビーカーを一昼夜静置後は、ビーカーの底部に沈殿はみられず、有機相は薄オレンジ色、水相は黄色であった。
(実施例5)
亜塩素酸ソーダ水溶液の添加量を0.5mL(すなわち、水相量に対して1.0vol%)にしたこと以外は実施例1と同様にしたところ、酸化還元電位は689mVとなった。ビーカーを一昼夜静置後は、ビーカーの底部に微量の金が沈殿しており、有機相は赤茶色、水相は薄黄色であった。
(比較例1)
亜塩素酸ソーダ水溶液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしたところ、ビーカーを一昼夜静置後は、ビーカーの底部に金が沈殿しており、有機相は赤茶色、水相は薄黄色であった。上記実施例1〜5及び比較例1の結果を下記表1にまとめた。
Figure 0006919309
上記表1の結果から、Au還元処理後の処理液に酸化剤として亜塩素酸ソーダ水溶液を添加することにより、固液分離後の処理液から金が析出しにくくなっていることが分かる。また、酸化剤を添加した後の処理液の酸化還元電位やこれをしばらく静置した後の有機相や水相の色の変化から該酸化剤の添加量を調整できることが分かる。例えば、有機相の色が赤茶色の場合は薄オレンジ色になるまで酸化剤を添加することでより確実に処理液から金が析出しないようにでき、水相の色が薄黄色の場合は黄色又はオレンジ色となるまで酸化剤を添加することでより確実に処理液から金が析出しないようにできる。
(実施例6)
冷却工程までは実施例1と同様にして作製した還元後スラリーに含まれる固形分の量を測定するため、該還元後スラリーをメンブレンフィルターを用いて吸引濾過して秤量したところ、固形分の量は湿潤状態で3.3gであった。秤量後は該固形分と濾液とを混合して再度還元後スラリーの形態に戻した後、25℃に維持した状態で撹拌しながら酸化剤として25wt%の亜塩素酸ソーダ水溶液を少しずつ添加して酸化処理を行った。目視で変色が確認できた時点で添加を終えた。この酸化処理後のスラリーをビーカーに入れて一昼夜静置した後に観察したところ、薄オレンジ色の有機相からなる上層と、オレンジ色の水相からなる下層とに分離していた。このビーカー内の全量を上記と同様の条件で濾過して秤量したところ、固形分の量は湿潤状態で3.3gとなり、固形分の量には変化がなかった。
(実施例7)
冷却工程までは実施例1と同様にして還元後スラリーを得た後、この還元後スラリーに対して酸化処理を行ってから静置することで形成した上層側の有機相を汲み出した。具体的には、冷却工程により25℃に冷却された処理液をその温度を維持した状態で撹拌しながら、酸化剤として25wt%の亜塩素酸ソーダ水溶液を少しずつ添加した。目視で変色が確認できた時点で添加を終えた(酸化処理工程)。
この酸化処理されたスラリーを6時間静置させて底部に金を沈澱させると共に、下層側の水相及び上層側の有機相に分離させた。その際、有機相は薄オレンジ色に、水相はオレンジ色になった。その後、上層側の有機相を汲み出した(油水分離工程)。残部の水相と固形分(金)とからなるスラリーを濾過して金を回収した(固液分離工程)後、濾液として得られた水相と、上記の有機相とを別々にビーカー内で静置させた。一昼夜経過後に観察したところ、いずれのビーカーにおいても底部に新たな沈殿はみられなかった。
上記の濾過で得た固形分の中で比較的大きい粒子をランダムに複数個サンプリングして拡大鏡で観察したところ、いずれも油膜による干渉縞は生じていなかった。このサンプリングした粒子の一部を天日下で1日晒したところ、乾燥後も干渉縞は生じていなかった。更に、サンプリングした粒子の残りを2つに分け、一方は電気炉に入れて窒素雰囲気で1000℃で1時間保ったあと1日かけて室温まで徐冷し、もう一方は、電気炉に入れて空気雰囲気で1000℃で1時間保ったあと1日かけて室温まで徐冷した。その結果、いずれも金属光沢を有する金色となった。
(実施例8)
酸化処理工程までは実施例7と同様にして酸化処理済みスラリーを得た後、このスラリーを濾過して固形分の金を回収した。濾過により得た濾液をビーカー内で一昼夜静置させたところ、底部に新たな沈殿はみられなかった。一方、上記の濾過で回収した固形分の中から比較的大きい粒子をランダムに複数個サンプリングして拡大鏡で観察したところ、油膜による干渉縞を有するものと、油膜による干渉縞を有しないものが存在していた。これら干渉縞のあるものとないものを湿潤状態のまま天日下に1日晒したところ、前者は干渉縞が維持されており、後者は干渉縞を有していなかった。
上記と同様に干渉縞のあるものとないものをサンプリングし、天日下に晒すかわりに、電気炉に入れて窒素雰囲気で1000℃で1時間保ったあと1日かけて室温まで徐冷したところ、前者は干渉縞を失いくすんだ金色となり、後者は金属光沢を有する金色となった。更に、上記と同様に干渉縞のあるものとないものをサンプリングし、天日下に晒すかわりに、電気炉に入れて空気雰囲気で1000℃で1時間保ったあと1日かけて室温まで徐冷したところ、いずれも金属光沢を有する金色となった。上記実施例7〜8の結果を下記表2にまとめた。
Figure 0006919309
上記表2の結果から、油水分離を行って有機相を除去してから固液分離を行って金を回収することにより、有機相がほとんど付着していない状態で金を回収できることが分かる。

Claims (7)

  1. 金を含有する銅電解スライムの浸出液に対して有機溶媒で金の抽出を行い、得られた金含有有機相に水を加えて該金含有有機相と水相との混合液を作製すると共に、該水相のハロゲン化物濃度を高めた後、該金含有有機相と水相との混合液を還元処理して金を析出させる金の製造方法であって、該還元処理後の有機相と水相との混合液からなり且つ析出した金を含む処理液に対して酸化剤を添加して酸化処理した後、油水分離及び固液分離を行なうことを特徴とする金の製造方法。
  2. 前記酸化剤が亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項1に記載の金の製造方法。
  3. 前記還元処理では前記金含有有機相と水相との混合液を液温85〜95℃まで加熱し、前記酸化剤の添加の際は前記処理液を液温25〜50℃まで冷却することを特徴とする、請求項1又は2に記載の金の製造方法。
  4. 前記酸化処理は、前記有機相が赤茶色から薄オレンジ色に変色し、且つ前記水相が薄黄色から黄色又はオレンジ色に変色したことを目視にて確認した時点で前記酸化剤の添加を終わらせることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金の製造方法。
  5. 銀塩化銀電極を参照電極とする前記水相の酸化還元電位が800mV以上1000mV以下となるように前記酸化剤を添加することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金の製造方法。
  6. 前記酸化処理した後の処理液に対して、先ず前記油水分離として静置させることで上層側に形成される有機相を取り除いた後、残部を前記固液分離することで金を回収することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金の製造方法。
  7. 前記酸化処理した後の処理液に対して、先ず前記固液分離することで金を回収した後、残部を前記油水分離することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金の製造方法。
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