JP6918107B2 - 温熱具 - Google Patents
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Description
先行技術文献
特許文献1 特開2011−388号公報
前記本体部に設けられている発熱体と、
前記本体部を顔に沿って装着するための装着部と、
を備え、
前記本体部は、顔における目から頬にかけての部位を覆うことが可能な寸法に形成されており、
前記本体部の横幅方向中央部には、当該本体部の下縁から上に向けて延びるスリット(切欠形状部も含む)が形成されており、
前記本体部の横幅方向中央部における上部には、当該上部を前方に向けて凸の湾曲形状とさせる立体構造部が形成されている温熱具に関する。
図1は、温熱具100の本体部10及び左右一対の耳掛け部30を平坦に展開した状態を示している。図1では、温熱具100において、当該温熱具100を使用者の顔に装着した状態で顔側となる面を示している。
図2は、装着状態で顔側となる面を内側にして、本体部10の横幅方向中央部で温熱具100を二つ折りした(温熱具100を二つに折り畳んだ)状態を示している。すなわち、図2では、本体部10の後述する第1部分11と第2部分12とが相互に重なっているとともに、左側の耳掛け部30と右側の耳掛け部30とが相互に重なった状態を示している。そして、図2では、温熱具100の本体部10の第1部分11において、温熱具100を使用者の顔に装着した状態で外側に向く面を示している。
本実施形態において、温熱具100の各構成要素の位置関係(上下関係等)の説明は、特に断りのない場合は、図4に示すように、頭頂が上、首が下に位置する姿勢の使用者の顔に温熱具100を装着した状態での位置関係を説明したものである。
ここで、本体部10が目を覆うとは、眼窩全体(目の周り)の前方(正面側)を覆うことである。また本体部10が頬を覆うとは、少なくとも頬骨の下端位置の前方(正面側)を覆うことである。すなわち、本体部10が顔における目から頬にかけての部位を覆うとは、目の周りの上部から頬骨の下部までの範囲の前方の領域を覆うことである。
本体部10の横幅方向中央部には、当該本体部10の下縁から上に向けて延びるスリット54が形成されている。スリット54は、線状(直線状など)のスリットに限らず、逆V字状又は逆U字状などの形状の切欠形状部であってもよい。本実施形態の場合、スリット54は、図2に示すような折り畳み状態で直線状のスリットが、図1に示すような展開状態では、逆V字状に開いた状態となるようになっている。
なお、本発明において、装着部は、本実施形態で例示する一対の耳掛け部30に限らず、本体部10の左右両端部を繋ぐ帯状又は紐状のものであって、温熱具100の装着時に後頭部に引っ掛けられるものであってもよい。また、耳掛け部30は、本体部10と一体のシートであってもよいし、本体部10とは別体のものを本体部10に接合することにより設けられていてもよい。
立体構造部60は、本体部10の横幅方向中央部における上部を前方に向けて凸の湾曲形状とさせるようになっている。このため、本体部10の横幅方向中央部における上縁を額に密着又は近接させることが容易となる。これにより、本体部10の横幅方向中央部における上縁と顔との間隙から温かい空気が上方に逃げてしまうことを抑制し、温かい空気を立体構造部60内に充満させることができるため、本体部10に覆われた顔を、広範囲に、かつ十分に温めることができる。
本体部10の横幅方向中央部には、当該本体部10の下縁から上に向けて延びるスリット54が形成されていることにより、本体部10の下方から、本体部10の下部と顔との間に外気をスムーズに導入することができ、この外気を発熱体20に供給し、発熱体20を発熱させることができる。
より詳細には、湾曲部81は、例えば、以下の(1)及び(2)の条件を満たすように湾曲する。
(1)「耳掛け部30において耳掛け用スリット31よりも本体部10側の部分であって耳掛け用スリット31に沿った部位の、上端部及び下端部」、又は、「本体部10の側縁部において耳掛け用スリット31に沿った部位の、上端部及び下端部」が、相対的に後方に位置するとともに、頬において耳の前側に隣接する部位の近くに配置される。
(2)「耳掛け部30において耳掛け用スリット31よりも本体部10側の部分であって耳掛け用スリット31に沿った部位の、上下方向における中間部」、又は、「本体部10の側縁部において耳掛け用スリット31に沿った部位の、上下方向における中間部」が、相対的に前方に位置するとともに、頬において耳の前側に隣接する部位から側方に離間した位置に配置される。
本体部10は、左目から左頬にかけての部位を覆う第1部分11と、右目から右頬にかけての部位を覆う第2部分12と、を備えて構成されて、第1部分11と第2部分12とは、互いにほぼ同一の形状及び寸法に形成されている。第1部分11と第2部分12とは、図1において、左右に並んで配置されており、本体部10の下部においては、スリット54を介して相互に分断されている。
また、第1部分11及び第2部分12の平面形状は、例えば、発熱体20よりも一回り大きい略四角形状(例えば、やや縦長の四角形状)とすることができる。
本実施形態の場合、本体部10の上縁は、例えば、略水平に延在しているか、又は、中央部に向けてやや上り傾斜している(上に凸の山形に形成されている)。なお、図2のように温熱具100を二つ折りにした状態では、例えば、本体部10の上縁は、本体部10の側縁に向けて下り傾斜している。
本実施形態の場合、本体部10の下縁は、例えば、スリット54の形成箇所を除き、略水平に延在している。なお、図2のように温熱具100を二つ折りにした状態では、例えば、本体部10の下縁は、本体部10の側縁に向けて下り傾斜している。
また、本体部10の側縁部は、例えば、こめかみから頬の後端付近(頬において耳の前側に隣接する部位)を覆うようになっている。
さらに、第1部分11及び第2部分12において、スリット54に沿った部位は、例えば、鼻の脇から法令線に沿って延在するようになっている。第1部分11及び第2部分12の下端は、例えば、下唇よりも下に位置するようになっている。
より詳細には、例えば、発熱体20においてスリット54に沿った部位(図1、図4に示す内縁25)が、法令線に沿って延在するようになっており、本体部10においてスリット54に沿った部位の下端部が口角を覆うようになっている。
立体構造部60は、例えば、額の横幅方向中央部の下端部から鼻梁の上端部(鼻根)にかけての部位を覆うようになっている。
一対の耳掛け部30は、本体部10の横幅方向における両端部に対してそれぞれ繋がっていて、耳に掛けられる部位である。
第1シート51及び第2シート52の各々は、単層のシートにより構成されていてもよいし、複数のシートの積層体であってもよい。
第1シート51及び第2シート52の各々は、可撓性の材料により構成されている。第1シート51及び第2シート52の材料としては、例えば、不織布、織布、その他の編み物、ポリエチレンやウレタン等の樹脂フィルム、多孔質体、それらの任意の2種以上の組み合わせ等が挙げられる。
一方、第2シート52は、温熱具100の全体形状と同じ形状に形成されている。より詳細には、図1に示すように、第2シート52の左端部と右端部がそれぞれ第1シート51からはみ出しており、はみ出している部分がそれぞれ左右の耳掛け部30を構成している。温熱具100の装着時に、第1シート51は顔側に位置し、第2シート52は顔とは反対側(つまり外向き)に位置するようになっている。
第1シート51と第2シート52とは、接着又は粘着により接合されていてもよいし、ヒートシールにより接合されていてもよい。本実施形態の場合、接合部53は、例えば、ホットメルトにより構成されている。
接合部53は、例えば、本体部10の周縁部の全周と、本体部10の横幅方向における中央部の上縁から下縁に亘る範囲と、に配置されている。より詳細には、接合部53は、例えば、第1部分11の周縁部の全周と、第2部分12の周縁部の全周と、に配置されている。接合部53は、連続であっても、断続的であってもよい。
なお、接合部53は、第1シート51と第2シート52とを接合しているだけでなく、例えば、第1シート51又は第2シート52と発熱体20とを接合している。
より詳細には、第1部分11と第2部分12との各々において、第1シート51と第2シート52との間に発熱体20が設けられている。
これによって、顔における目から頬(頬における口角よりも下の部位)にかけての広範囲の部分を、より十分に温めることができる。
また、第1部分11に設けられた発熱体20は、左のこめかみを覆う大きさに設定されており、第2部分12に設けられた発熱体20は、右のこめかみを覆う大きさに設定されている。
同様に、第2部分12には、単体の発熱体が設けられていてもよいし、互いに隣接又は近接して配置された複数の発熱体の集合体である発熱体群が設けられていてもよい。
発熱体20は、ここでいう単体の発熱体、又は、発熱体群のことを指す。したがって、発熱体20の配置領域とは、単体の発熱体の配置領域、又は、発熱体群の配置領域とすることができる。
また、発熱体20においてスリット54に沿った部位(図1、図4に示す内縁25)は、例えば、スリット54に対して平行に延在している。内縁25は、例えば、スリット54に対して近接して配置されている。
一方、発熱体20において内縁25とは反対側の縁部(図1に示す外縁26)は、例えば、第1シート51の側辺51a(図1)に沿って延在(例えば、側辺51aに対して平行に延在)している。外縁26は、例えば、側辺51aに対して近接して配置されている。
第1被覆シート21及び第2被覆シート22の平面形状は特に限定されないが、本実施形態の場合、第1被覆シート21及び第2被覆シート22は、例えば、それぞれ矩形状(例えば正方形状)に形成されている。
第1被覆シート21は、第1シート51側、すなわち温熱具100の装着時に顔側となる方に配置されており、第2被覆シート22は、第2シート52側、すなわち装着時に顔側とは反対側(前側)となる方に配置されている。
発熱材23は、例えば、被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含んでいる。
第1被覆シート21と第2被覆シート22とにより構成される一の収容体内に、1枚の発熱材23が収容されていてもよいし、複数枚の発熱材23が収容されていてもよい。
なお、上述の「単体の発熱体」は、一の収容体と、当該一の収容体に収容された1枚又は複数枚の発熱材23と、を備えて構成される。
一方、上述の「発熱体群」は、このような構成の「単体の発熱体」を複数、互いに隣接又は近接して配置することにより構成される。
例えば、1枚又は複数枚の発熱材23が、第1被覆シート21及び第2被覆シート22よりも一回り小さい矩形状(例えば正方形状)の領域に配置されている。
また、発熱材23は、第1被覆シート21又は第2被覆シート22の少なくとも一方に対して接合されていることが好ましい。
こうして、左右の発熱体20は、それぞれ第1部分11及び第2部分12の内部に保持されている。
なお、発熱体20の中央部(周縁部以外の部分)においては、例えば、発熱体20と第1シート51とが相互に非接合となっているとともに、発熱体20と第2シート52とが相互に非接合となっている(図3参照)。
本実施形態の場合、第1被覆シート21は通気性を有している。また、第1被覆シート21は第2被覆シート22と比べてより通気性が高い。なお、第2被覆シート22は通気性を有していてもよいし、通気性を実質的に有していなくてもよい。
第1被覆シート21の通気度は、顔の広範囲をより十分に温める点から好ましくは1000秒/100ml以上であり、より好ましくは2000秒/100ml以上である。また、好ましくは50000秒/100ml以下であり、より好ましくは20000秒/100ml以下である。
通気度は、JIS P8117によって測定される値であり、一定の圧力のもとで100mlの空気が6.45cm2の面積を通過する時間で定義される。通気度は、王研式通気度計もしくはそれに準じた測定機で測定することができる。
樹脂製の多孔質シートとしては、熱可塑性樹脂及び該樹脂と相溶性のない有機又は無機のフィラーの溶融混練物をフィルム状に成形し、一軸又は二軸延伸して得られたものを用いることができる。また、非通気性シートや難通気性シートに針等で微細穴を設けたものや、あるいは前述の通気性シートにさらに針等で微細穴を設けたものを用いることができる。通気性シートの厚みは、5μm以上200μm以下が好ましい。
第1被覆シート21及び第2被覆シート22は、それぞれ1枚のシート材から構成されていてもよいし、複数のシート材の積層体から構成されていてもよい。このような積層体としては、不織布と通気性シートとをラミネートした積層シート、又は、編み物地と通気性シートとをラミネートした積層シートを用いることができる。
すなわち、発熱材23は、発熱時に水蒸気の発生を伴うものであり、温熱具100は、本体部10において顔側となる面を通して水蒸気が外部に放出されるように構成されている。
つまり、耳掛け用スリット31は、発熱体20を基準として、やや下方寄りに配置されている。耳掛け用スリット31がこのような配置となっていることによって、温熱具100を装着したときに、スリット54が逆V字状ないしは逆U字状に大きく開くようにできるとともに、立体構造部60と顔との間隙の大きさを十分に確保できる。しかも、本体部10の上部をより強く後方に引っ張るようにできるため、湾曲部81を十分に湾曲させることができる。
同様に、耳掛け用スリット31の下端と耳掛け部30の下縁との間の部分は、耳掛け部30において耳掛け用スリット31よりも本体部10に近い側の部分と耳掛け用スリット31よりも本体部10から遠い側の部分とを耳掛け用スリット31の下側で接続する耳掛け下側接続部33となっている。
本実施形態の場合、耳掛け上側接続部32の上下幅寸法L1(図1、図2)が、耳掛け下側接続部33の上下幅寸法L2(図1、図2)よりも大きく設定されている。換言すれば、耳掛け部30の上縁と耳掛け用スリット31の上端との距離が、耳掛け用スリット31の下端と耳掛け部30の下縁との距離よりも大きい。
これにより、温熱具100の装着時における耳掛け上側接続部32の伸びを抑制でき、耳掛け部30を耳に掛けた際に、耳掛け部30によって本体部10の側縁部の上部をより十分に後方に引っ張ることができる。よって、図4に示すように湾曲部81を十分に湾曲させることができるとともに、本体部10において湾曲部81よりも横幅方向中央寄りの部分を顔に対して良好にフィットさせることができる。
その一方で、耳掛け下側接続部33の適度な伸びを実現できることから、使用者の耳のサイズにかかわらず耳掛け部30を良好に耳にフィットさせることができる。
また、上下幅寸法L2は、直線AX1(図1、図2)上における耳掛け部30の下縁と耳掛け用スリット31の下端との距離とすることができる。
より詳細には、本実施形態の場合、耳掛け用スリット31は、例えば、横幅方向において本体部10から遠ざかる方向に凸に折れ曲がった折れ線形状に形成されている。
耳掛け用スリット31は、例えば、耳掛け用スリット31の下部を構成する直線状の耳掛け用スリット下部31aと、耳掛け用スリット31の上部を構成する直線状の耳掛け用スリット上部31bと、を含んで構成されている。
そして、耳掛け用スリット下部31aと耳掛け用スリット上部31bとの境界部である耳掛け用スリット31の折れ曲がり部31cが、耳掛け用スリット31の上下方向における中央位置(耳掛け用スリット中央31d)よりも下に配置されている。
また、本実施形態の場合、耳掛け用スリット下部31aの下端と発熱体20の外縁26との距離と、耳掛け用スリット上部31bの上端と発熱体20の外縁26との距離とが、互いに同等の距離に設定されている。
上述のように、本体部10は、一方の目(左目)から一方の頬(左頬)にかけての部位を覆う第1部分11と、他方の目(右目)から他方の頬(右頬)にかけての部位を覆う第2部分12と、を含んで構成されている。
本実施形態の場合、立体構造部60は、スリット54の上方において第1部分11と第2部分12とを相互に繋いでいる接続部61である。
接続部61は、上下に延在している下側接続部61aと、下側接続部61aの上側に隣接していて上下に延在している上側接続部61bと、を含んで構成されている。
図2に示すように、温熱具100を二つ折りにした状態で、下側接続部61aと上側接続部61bとは、互いに同一直線上には存在しておらず、互いの境界部において相互に折れ曲がっている。より詳細には、下側接続部61aと上側接続部61bとは、角度αを有して折れ曲がっている。
そして、本体部10を展開したときには、本体部10の横幅方向中央部における上部が前方に向けて凸の湾曲形状となるようになっている(図4参照)。
上記角度α(図2)は、好ましくは120度以上170度以下、より好ましくは130度以上160度以下である。このような角度を有することによって、温熱具100を装着したときに、本体部10の横幅方向中央部における上縁を良好に額71に密着又は近接させることができる(図4参照)とともに、顔と立体構造部60との間の間隙を十分に確保し、当該間隙に十分な体積の温かい空気を充満させることができる。
ここで、スリット54の上下寸法H2(図2、図5)が、本体部10の中央部の上下寸法H1の40%以上であることが好ましい。上下寸法H2は、上下寸法H1の50%以上であることが更に好ましい。
上下寸法H2が上下寸法H1の40%以上であると、図1に示すように本体部10を展開して立体構造部60を立体形状にしたときに、図2に示す折り畳み状態で直線状のスリット54が逆V字状ないしは逆U字状に大きく開くようにできる。つまり、図4に示すように、温熱具100を顔に装着したときに、スリット54が逆V字状ないしは逆U字状に大きく開くとともに、法令線に沿って延在するようにできる。これによって、本体部10の下方から、本体部10の下部と顔との間に外気をよりスムーズに導入することができる。
また、例えば、図4に示すように、温熱具100を顔に装着したときに、スリット54を介して鼻72及び口73が露出するようになっていることが好ましく、これにより、温熱具100の装着時における呼吸を楽に行うことができるようになる。
なお、上下寸法H2は、上下寸法H1の75%以下が好ましく、70%以下がさらに好ましい。
すなわち、図1の状態では、図2の状態と比べて、耳掛け用スリット31の上端と下端とを結ぶ直線AX1が、当該直線AX1の上部に向けて本体部10の横幅方向中央部に近づくように傾斜する。
このため、温熱具100を装着したときには、耳掛け部30の上部がより強く後方に引っ張られることとなり、湾曲部81をより十分に湾曲させることが可能となる。
ここで、本体部10及び一対の耳掛け部30を平坦に展開した状態とは、温熱具100の全体をなるべく平坦に広げて温熱具100の全体を自然に載置した状態(ただし、温熱具100を周囲に引き伸ばす張力を付与せず、温熱具100が後述する立体構造部60を備えている場合は立体構造部60の全体でひずみを均等にした状態)である。
耳掛け用開口30aの縦寸法Hは、一対の耳掛け部30の並び方向(図1における左右方向)に対して直交する方向における耳掛け用開口30aの寸法、すなわち耳掛け用開口30aの上端と下端との高低差(耳掛け用スリット下部31aの下端と耳掛け用スリット上部31bの上端との高低差)である。
距離Wは、例えば、発熱体20の上下方向における中心20cと同じ高さ位置での、一対の耳掛け部30どうしの距離とすることができる。一対の耳掛け部30どうしの距離は、図1に示すように、発熱体20の上下方向における中心20cと同じ高さにおいて、一対の耳掛け用開口30aの互いに最も遠い部分どうしの距離である(変形例として後述する図7(a)及び図7(b)についても参照)。
H/Wが0.2以上であることによって、湾曲部81をより確実に湾曲させることができる。H/Wは、0.25以上であることが更に好ましい。また、H/Wは、0.7以下であることが好ましく、0.6以下であることが更に好ましい。
本実施形態のように耳掛け用スリット31が実質的に幅を持たないスリットである場合、耳掛け部30の長さLは、耳掛け用スリット31の総延長の長さ、すなわち耳掛け用スリット下部31aの長さ寸法と耳掛け用スリット上部31bの長さ寸法との和とすることができる。
H/Lは、0.8以上であることが更に好ましい。
なお、H/Lは、1以下である。
よって、使用者が温熱具100を装着することによって、この水蒸気が使用者の顔面に供給されるようになっている。これにより、蒸しタオルで使用者の顔面を温めるような具合になる。このように、本実施形態に係る温熱具100は、蒸気温熱具である。
温熱具100を装着するには、本体部10の第1シート51を顔側にして、第1部分11及び第2部分12をそれぞれ左右の目75から頬76にかけての部位にあてがい、一対の耳掛け部30をそれぞれ左右の耳74に引っ掛ける。
図5に示す温熱具構成シート120は、温熱具100を作製するための材料である。温熱具構成シート120は、図5に示す左右一対の接合予定部56どうしが相互に未接合である点で、温熱具100と相違しており、その他の点では、温熱具100と同様に構成されている。
例えば、図5に示すように、第1シート51及び第2シート52において本体部10の横幅方向中央部の上縁部に、V字状の切欠形状部55を形成することにより、温熱具構成シート120が得られる。そして、切欠形状部55の左右両側の縁部である一対の接合予定部56を相互に接合することにより、図1及び図2に示すように立体構造部60の上側接続部61bを形成し、温熱具100を作製することができる。
立体構造部60の下側接続部61aは、例えば、第1シート51及び第2シート52において、元々、第1部分11側の部分と第2部分12側の部分とが相互に繋がっている部分である。
または、下側接続部61aと上側接続部61bとの構造を本実施形態とは逆転させてもよい。この場合、上側接続部61bについては、第1シート51及び第2シート52において、元々、第1部分11側の部分と第2部分12側の部分とが相互に繋がっている部分とする。一方、下側接続部61aについては、スリット54の上側に連なるスリットの左右両側の縁部どうしを相互に接合することにより形成する。
または、本体部10の横幅方向中央部の上部に、型押し(プレス)によって立体構造部60を形成することもできる。
または、本体部10の横幅方向中央部の上部を、部分的にゴム繊維入りの構造とし、当該部分を横幅方向において縮めることによって、立体構造部60を形成することもできる。
また、この状態で下部より除湿空気を流し、入口温湿度計94と出口温湿度計96で計測される温度及び湿度から測定室91に空気が流入する前後の絶対湿度の差を求め、さらに入口流量計95と出口流量計97で計測される流量から温熱具100が放出した水蒸気量を算出する。
なお、本明細書における表面温度とは、温熱具100を包装袋から取り出した後、すなわち水蒸気発生が開始されて以降の温熱具100表面の最高到達温度をいい、本明細書における水蒸気発生量とは、温熱具100を酸素遮断袋から取り出した時点、すなわち水蒸気発生の開始時を起点とし、10分後までに測定された水蒸気量の総量をいう。
よって、本体部10によって顔における目から頬にかけての部位を覆った状態で、発熱体20によって顔を広範囲に温めることができる。また、本体部10の下方から、本体部10の下部と顔との間に外気をスムーズに導入することができ、この外気を発熱体20に供給し、発熱体20を発熱させることができる。そして、本体部10の横幅方向中央部における上縁を額に密着又は近接させることが容易となるため、本体部10の横幅方向中央部における上縁と顔との間隙から温かい空気が上方に逃げてしまうことを抑制でき、この温かい空気を本体部10と顔との間に充満させることができる。よって、顔の広範囲をより十分に温めることができる。
また、図7(b)に示す変形例2の場合、耳掛け用開口30aにおける本体部10から遠い側の周長Lは、耳掛け用開口30aの上端と下端とを結ぶ長手軸AX2を基準として本体部10から遠い側の縁に沿った長さ、すなわち図7(b)に示す長さL13である。
<1>顔に沿って装着される本体部と、
前記本体部に設けられている発熱体と、
前記本体部を顔に沿って装着するための装着部と、
を備え、
前記本体部は、顔における目から頬にかけての部位を覆うことが可能な寸法に形成されており、
前記本体部の横幅方向中央部には、当該本体部の下縁から上に向けて延びるスリットが形成されており、
前記本体部の横幅方向中央部における上部には、当該上部を前方に向けて凸の湾曲形状とさせる立体構造部が形成されている温熱具。
<2>前記発熱体の配置領域は、目から頬における口角よりも下の部位にかけての範囲を覆う大きさに設定されている<1>に記載の温熱具。
<3>前記スリットの上下寸法が、前記本体部の中央部の上下寸法の40%以上である<1>又は<2>に記載の温熱具。
<4>前記本体部は、一方の目から一方の頬にかけての部位を覆う第1部分と、他方の目から他方の頬にかけての部位を覆う第2部分と、を含み、
前記立体構造部は、前記スリットの上方において前記第1部分と前記第2部分とを相互に繋いでいる接続部であり、前記接続部は、上下に延在している下側接続部と、前記下側接続部の上側に隣接していて上下に延在している上側接続部と、を含み、
前記本体部を横幅方向中央部で折り曲げて二つ折りしたときに、前記下側接続部と前記上側接続部とのなす角度が120度以上170度以下であり、
前記本体部を展開したときに、前記本体部の横幅方向中央部における上部が前方に向けて凸の湾曲形状となる<1>から<3>のいずれか一項に記載の温熱具。
<5>前記発熱体は、発熱時に水蒸気の発生を伴うものであり、
当該温熱具は、前記本体部において顔側となる面を通して水蒸気が外部に放出されるように構成されている<1>から<4>のいずれか一項に記載の温熱具。
<6>前記本体部は、当該本体部の上縁から下方に延びるスリット及び切欠形状部を有していない上記いずれか一項に記載の温熱具。
<7>前記本体部の上縁は、略水平に延在しているか、又は、中央部に向けてやや上り傾斜している上記いずれか一項に記載の温熱具。
<8>前記本体部において、前記本体部の横幅方向中央部の下縁から上に向けて延びる前記スリットに沿った部位は、鼻の脇から法令線に沿って延在するようになっている上記いずれか一項に記載の温熱具。
<9>前記装着部は一対の耳掛け部により構成されている上記いずれか一項に記載の温熱具。
<10>前記耳掛け部は、前記本体部と一体のシートで形成されている<9>に記載の温熱具。
<11>当該温熱具は、顔側に位置する第1シートと、前記第1シートに対して重ねて配置されている第2シートと、を備えて構成されており、前記第2シートの横幅方向における両端部(左端部と右端部)がそれぞれ前記第1シートからはみ出しており、当該はみ出している部分が前記一対の耳掛け部の一方ずつを構成している<9>又は<10>に記載の温熱具。
<12>前記発熱体の配置領域の上縁と前記本体部の上縁との間の領域の前記発熱体の不存在領域の上下寸法は、前記本体部の横幅方向中央に向けて徐々に拡大している上記いずれか一項に記載の温熱具。
<13>前記耳掛け部には、それぞれ縦長の耳掛け用の開口が形成されており、前記耳掛け用開口は、縦長の耳掛け用スリットである上記いずれか一項に記載の温熱具。
<14>前記耳掛け用開口の下端の高さ位置は、前記発熱体の下端と略同等の高さ位置であり、前記耳掛け用開口の上端の高さ位置は、前記発熱体の上端よりも下方の位置に設定されている上記いずれか一項に記載の温熱具。
11 第1部分
12 第2部分
20 発熱体
20c 中心
21 第1被覆シート
22 第2被覆シート
23 発熱材
25 内縁
26 外縁
30 耳掛け部
30a 耳掛け用開口
31 耳掛け用スリット
31a 耳掛け用スリット下部
31b 耳掛け用スリット上部
31c 折れ曲がり部
31d 耳掛け用スリット中央
32 耳掛け上側接続部
33 耳掛け下側接続部
35 部分
51 第1シート
51a 側辺
52 第2シート
53 接合部
54 スリット
55 切欠形状部
56 接合予定部
60 立体構造部
61 接続部
61a 下側接続部
61b 上側接続部
71 額
72 鼻
73 口
74 耳
75 目
76 頬
81 湾曲部
100 温熱具
120 温熱具構成シート
Claims (4)
- 顔に沿って装着される本体部と、
前記本体部に設けられている発熱体と、
前記本体部を顔に沿って装着するための装着部と、
を備え、
前記本体部は、顔における目から頬にかけての部位を覆うことが可能な寸法に形成されており、
前記本体部の横幅方向中央部には、当該本体部の下縁から上に向けて延びるスリットが形成されており、
前記本体部の横幅方向中央部における上部には、当該上部を前方に向けて凸の湾曲形状とさせる立体構造部が形成されており、
前記立体構造部は、額の横幅方向中央部の下端部から鼻梁の上端部にかけての部位を覆うものであり、
前記本体部は、一方の目から一方の頬にかけての部位を覆う第1部分と、他方の目から他方の頬にかけての部位を覆う第2部分と、を含み、
前記立体構造部は、前記スリットの上方において前記第1部分と前記第2部分とを相互に繋いでいる接続部であり、前記接続部は、上下に延在している下側接続部と、前記下側接続部の上側に隣接していて上下に延在している上側接続部と、を含み、
前記本体部を横幅方向中央部で折り曲げて二つ折りしたときに、前記下側接続部と前記上側接続部とのなす角度が120度以上170度以下であり、
前記本体部を展開したときに、前記本体部の横幅方向中央部における上部が前方に向けて凸の湾曲形状となり、
前記立体構造部は、当該立体構造部と顔との間に間隙を形成するものであるとともに、前記本体部の横幅方向中央部における上縁は額に密着又は近接し、暖かい空気を前記立体構造部内に充満させ、当該暖かい空気が上方に逃げることを規制する温熱具。 - 前記発熱体の配置領域は、目から頬における口角よりも下の部位にかけての範囲を覆う大きさに設定されている請求項1に記載の温熱具。
- 前記スリットの上下寸法が、前記本体部の中央部の上下寸法の40%以上である請求項1又は2に記載の温熱具。
- 前記発熱体は、発熱時に水蒸気の発生を伴うものであり、
当該温熱具は、前記本体部において顔側となる面を通して水蒸気が外部に放出されるように構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の温熱具。
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