以下、本発明に係るアイマスク型の温熱具(以下、単に「温熱具」という。)の実施形態について図面を参照しつつ説明する。温熱具は、ユーザの顔に装着して使用され、左右の目及び各目の周囲に温熱を与えることで、目の疲れを癒したり、目の周囲の筋肉の凝りをほぐしたり、リラックス効果を付与することができる。なお、目の周囲とは、顔の上下方向では、上まぶたから下まぶたまでの範囲、好ましくは眉毛から鼻までの範囲を指し、顔の横方向では、目の端から目と耳との間までの範囲を指す。
図1~図5に示すように、本実施形態の温熱具1は、発熱材料3と、発熱材料3を収容した本体部2と、本体部2の左右の端部に設けられた一対の耳掛け部4L,4Rと、を備えている。温熱具1は、各耳掛け部4L,4Rを左右の耳の対応する側の耳に掛けることで、本体部2が左右の目及び各目の周囲を覆うようにして、顔に装着される。そして、温熱具1は、本体部2に収容された発熱材料3が発熱することで、本体部2と接触する左右の目及び各目の周囲に対して温熱を与える。温熱具1は、例えば使い捨てカイロと同様、発熱材料3に酸化反応に伴って生じる反応熱を熱源としたものを用いたものである。なお、本発明に係る温熱具1は、発熱材料3が酸化反応に伴って生じる反応熱を熱源としたものに限らず、例えば電子レンジ等でマイクロ波の照射を行うことで発熱材料3が熱を持つものであってもよい。
まず、発熱材料3は、空気との接触により発熱する粉状の材料を用いることができる。この種の発熱材料3としては、例えば、被酸化性金属、活性炭、カーボンブラック、保水剤(例えば木粉、バーミキュライト、けい藻土、パーライト、シリカゲル、アルミナ、吸水性樹脂等)、金属塩(例えば食塩等)及び水をそれぞれ適宜の含有量含んでいる組成物を挙げることができる。被酸化性金属は、酸化反応熱を発する金属であり、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末や繊維が挙げられる。この中でも、取り扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の点から鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、及びアトマイズ鉄粉から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。上述した組成物としては、従来から使い捨てカイロに用いられている公知の組成物を使用することができる。
なお、発熱材料3としては、空気との接触により発熱する材料以外を用いてもよい。例えば、電子レンジ等でマイクロ波の照射を受けることで発熱する材料(例えばフェライト等のセラミック粉末等)を発熱材料3として用いてもよい。
次に、本体部2は、温熱具1の顔への装着時に左右の目及び各目の周囲を覆う。本体部2は、扁平かつ平面視で横長に形成されており、左右の目及び各目の周囲を覆うに足るサイズに形成されている。本体部2は、平面視において、横方向に沿う上縁20及び下縁21と、縦方向に沿う左右の側縁22,23とを有しており、横方向の中央位置を縦方向に平行に延びる縦中心線24において左右対称形状を呈している。
なお、本開示において、「横方向」とは、本体部2において、温熱具1の顔への装着時に顔の左右方向(左右の耳を結ぶ方向)と平行となる方向を指し、「縦方向」とは、横方向と直交する方向であり、本体部2において、温熱具1の顔への装着時に顔の上下方向(おでこ、鼻、顎を結ぶ方向)と平行となる方向を指す。本実施形態では、本体部2の長手方向が横方向である。「内側」は、本体部2の横方向において縦中心線24側を指し、「外側」は、本体部2の横方向において縦中心線24とは反対側の左右の側縁22,23側を指す。「左右方向」は、ユーザが温熱具1を顔に装着して前に向いたときを基準に左右方向を定義する。これらの方向の定義は、温熱具1の使用態様を限定する趣旨ではない。
上縁20は、直線状又は凹凸のある曲線状を呈しているのに対して、下縁21は、温熱具1の顔への装着時に目の下に位置するので、鼻の形状に沿うように横方向中央部が凹状に括れた形状を呈している。また、下縁21は、凹状に括れた部分の下端から左右の端に向かって、横方向に対して斜め下向きに延びており、本体部2の下側の左右の角部25,26は下側に大きく膨らんでいる。これにより、本体部2の下側の左右の角部25,26は、温熱具1の顔への装着時に目の下の頬骨のあたりまでを覆う。本体部2の下側の左右の角部25,26は、本実施形態では丸みを帯びているが、必ずしも丸みを帯びている必要はない。左右の側縁22,23は、本実施形態では直線状を呈しているが、外側に向けて凸状に湾曲した曲線状を呈していてもよい。
本体部2は、袋状に形成されており、内部に発熱材料3を密封可能に収容する収容空間を有している。本体部2は、表裏面をなす同形状の2枚のシート材27A,27Bを備え、2枚のシート材27A,27Bの外周縁に沿った部分を全周にわたって接合することで、袋状に形成されている。2枚のシート材27A,27Bの接合は、本実施形態では熱溶着(ヒートシール)を用いているが、熱溶着以外に、例えば公知の接着剤を用いた圧着、超音波溶着などの公知の手段を用いてもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
2枚のシート材27A,27Bの外周縁を接合した第1接合部28の幅寸法は、特に限定されるものではなく、適切な幅寸法とすればよい。また、第1接合部28の幅寸法は、本体部2の外周縁の全周にわたって略同じであってもよいし、本実施形態のように異なっていてもよい。本実施形態では、第1接合部28は、本体部2の上縁20及び下縁21に沿う横縁部分の幅寸法よりも、本体部2の左右の側縁22,23に沿う縦縁部分の幅寸法の方が広くなるよう形成されている。また、第1接合部28は、本体部2の左右の側縁22,23に沿う縦縁部分の幅寸法について上側及び下側に向かって広くなるよう形成されており、さらに、本体部2の下側の左右の角部25,26に当たる部分で幅寸法が最も広くなるよう形成されている。
本体部2は、第1接合部28の他、一対の第2接合部29L,29Rにおいても2枚のシート材27A,27Bが接合されている。一対の第2接合部29L,29Rは、本体部2において、温熱具1の顔への装着時に左右の目に対応する位置に配置されている。一方の第2接合部29Lは温熱具1の顔への装着時に左目に当たってこれを覆い、他方の第2接合部29Rは温熱具1の顔への装着時に右目に当たってこれを覆い、それぞれが本体部2の中で目被覆部をなしている。
一対の第2接合部29L,29R(目被覆部)は、本実施形態では発熱材料3が収容されていない部分である。一対の第2接合部29L,29R(目被覆部)は、本体部2の中で目の周囲を覆う部分(周囲被覆部)と区切られており、隣接する周囲被覆部に収容された発熱材料3が一対の第2接合部29L,29R(目被覆部)に移動することが規制されている。一対の第2接合部29L,29R(目被覆部)は、横長の長円形状(楕円形状を含む)を呈しているが、目を覆うことができればその形状は特に限定されるものではなく、例えば横長の長方形状や菱形形状などを呈していてもよい。
本体部2は、一対の第2接合部29L,29R(目被覆部)に発熱材料3が収容されていないため、温熱具1の顔への装着時に左右の目を発熱材料3の発熱に伴う高温の熱で温めすぎないよう設計されている。左右の目(眼球)を高温の熱で温めすぎると、熱により角膜の蛋白質の変性が生じるおそれがある。そのため、本実施形態では、温熱具1の顔への装着時に左右の目(眼球)が温まりすぎるのを防止している。
本体部2の目被覆部は、周囲被覆部よりも発熱材料3の充填率が低ければ、発熱材料3が収容されていてもよいが、温熱具1の顔への装着時に左右の目(眼球)を温めすぎないとの観点からは、発熱材料3が収容されていないことが好ましい。なお、本開示における「充填率」とは、目被覆部及び周囲被覆部において、充填し得る最大の発熱材料3の重さに対する、実際に充填された発熱材料3の重さの比を意味する。
また、本体部2は、温熱具1の顔への装着時に左右の目(眼球)を温めすぎないとの観点からは、温熱具1の顔への装着時に左右の目に当たる目被覆部を貫通孔としてもよい。ただし、目被覆部を貫通孔とすると、温熱具1を就寝時のアイマスクとして使用した場合に、本体部2により外部の光を遮ることができないため、アイマスクの効果が失われる。さらに、温熱具1の顔への装着時に左右の目に程よい温熱を与えることができないうえ、貫通孔から発熱材料3から発生する熱が外部に逃げるため、目の周囲にも効果的に温熱を与えることができないおそれがある。よって、本実施形態の温熱具1のように、本体部2の目被覆部が第2接合部29L,29Rであることで、目被覆部が貫通孔である場合に比べて、アイマスクの効果を奏するうえ、温熱具1の顔への装着時に左右の目に程よい温熱を与えることができ、かつ、目の周囲に与える温熱の温度が下がりすぎるのを抑制することができる点で有利である。
本体部2を構成する2枚のシート材27A,27Bは、温熱具1の顔への装着時に顔の表面形状に沿うように可撓性を有している。2枚のシート材27A,27Bの素材は、特に限定されるものではないが、強度や発熱材料3の発熱に対する耐久性などを考慮すると樹脂フィルムを用いることが好ましい。
上述した樹脂フィルムに用いられる樹脂は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどを例示することができる。その中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレートを好ましく例示することができる。これらの樹脂は単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
また、2枚のシート材27A,27Bは、温熱具1の肌触りを良好にする観点から、樹脂フィルムの発熱材料3と向かい合う側とは反対側に通気性を有する織布又は不織布を積層させた積層体により構成することが好ましい。
上述した織布又は不織布の繊維素材としては、例えば、コットン、麻、絹、紙などの天然繊維;レーヨン、アセテートなどの半合成繊維;ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの合成繊維;これらの繊維の混合繊維などを例示することができる。その中でも、肌触りを良好とする観点から、繊維素材としてはナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを好ましく例示することができ、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートをより好ましく例示することができる。これらの繊維素材は単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。織布又は不織布の目付は、発熱材料3の本体部2の外側への漏出を防止できる程度の目付であれば特に制限されないが、例えば20g/m2以上90g/m2以下程度であることが好ましい。
2枚のシート材27A,27Bのうち、温熱具1の顔への装着時に顔と向かい合う側とは反対側の第1シート材27Aは、通気性を有している。第1シート材27Aを構成する樹脂フィルムは、通気性を確保するために、例えば多孔質の樹脂フィルム、又は針で複数の穿孔(不図示)が形成された樹脂フィルムが用いられ、複数の小孔を通して空気が本体部2の内外を連通する。複数の小孔は、樹脂フィルムの全域に形成されていてもよいし、一部の領域に形成されていてもよい。各小孔の大きさは、発熱材料3が小孔を通って本体部2の外側に漏出するのを抑制できる大きさであれは特に制限されず、一例として、0.1μm以上30μm以下が例示される。各小孔の形状及び数も特に制限されず、各小孔の大きさ、形状、数は、本体部2の通気度に応じた使用時の発熱材料3の発熱温度を考慮して、適宜設定される。
なお、温熱具1は、左右の目及び各目の周囲を温める目的で使用する場合には、その発熱温度が20℃環境下で30℃以上70℃以下、好ましくは35℃以上60℃以下(測温方法は、日本工業規格S4100に準拠)に設定されるように、設計することが好ましい。
2枚のシート材27A,27Bのうち、温熱具1の顔への装着時に顔と向かい合う側の第2シート材27Bは、第1シート材27Aと同程度の通気度の通気性を有していてもよいし、第1シート材27Aよりも通気に対する抵抗が大きい難通気性を有していてもよいし、空気を実質的に通さない非通気性であってもよい。第2シート材27Bを構成する樹脂フィルムは、非通気性である場合には、多孔質フィルムでもなく、また穿孔(不図示)も形成されていない非通気性の樹脂フィルムが用いられる。
2枚のシート材27A,27Bの厚みは、特に制限されるものではないが、0.1mm以上2.0mm以下程度であることが好ましい。これにより、本体部2を柔らかくかつ顔にフィットしやすくできる一方で、本体部2に一定の強度を保持することができる。
なお、2枚のシート材27A,27Bは、必ずしも樹脂フィルムと織布又は不織布との積層体で構成する必要はなく、単独の樹脂フィルムで構成されていてもよいし、単独の織布又は不織布で構成されていてもよい。
次に、一対の耳掛け部4L,4Rは、温熱具1の顔への装着時に左右の耳に掛けられる。一対の耳掛部4L,4Rは、一方の耳掛け部4Lが本体部2の左側の端部に設けられ、他方の耳掛け部4Rが本体部2の右側の端部に設けられている。
一対の耳掛け部4L,4Rは、1枚のシート材からなり、伸縮性を有している。この伸縮性としては、本体部2の横方向外側、つまりは、温熱具1を装着する際に本体部2から離間して耳に向かう方向の伸長度が、本体部2の縦方向、つまりは、前記本体部2から離間する方向と直交する方向の伸長度よりも高いことが好ましい。一対の耳掛け部4L,4Rが伸縮性を有していると、温熱具1の顔への装着の際に一対の耳掛け部4L,4Rを耳に掛けるのを容易にすることができる。なお、一対の耳掛け部4L,4Rは必ずしも伸縮性を有している必要はなく、伸長するが収縮の弱い又は収縮しない性質であってもよいし、伸長も収縮もしない性質であってもよい。
一対の耳掛け部4L,4Rの素材は、特に限定されるものではないが、織布、不織布、樹脂フィルム等を挙げることができ、一対の耳掛け部4L,4Rはこれらを単独で用いてもよいし、これらのうちの複数を組み合わせた積層体を用いてもよい。織布又は不織布の繊維素材としては、例えば、コットン、麻、絹、紙などの天然繊維;レーヨン、アセテートなどの半合成繊維;ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレートなどの合成繊維;これらの繊維の混合繊維などを例示することができる。これらの繊維素材は単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。樹脂フィルムに用いられる樹脂は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体などを例示することができる。これらの樹脂は単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
一対の耳掛け部4L,4Rは、図1(B)に示す温熱具1を顔へ装着する前の閉じた状態では、本体部2上に重ねられている。一対の耳掛け部4L,4Rは、それぞれ本体部2の縦中心線24を境界とした左半部及び右半部と同じ外形を呈しており、一対の耳掛け部4L,4Rの上縁及び下縁は、本体部2の上縁20及び下縁21上に位置(重複)し、一対の耳掛け部4L,4Rの一方側の側縁は、本体部2の左右の側縁22,23上に位置(重複)し、一対の耳掛け部4L,4Rの他方側の側縁は、本体部2の縦中心線24上に位置(重複)する。
一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2の横方向の対応する端部にその一部がそれぞれ接合されることにより、本体部2の横方向の各端部にそれぞれ取り付けられる。一対の耳掛け部4L,4Rは、図1(B)に示す閉じた状態においてそれぞれ外側の端部(基端部)が、本体部2の温熱具1の顔への装着時に顔と向かい合う側の面(第2シート材27Bの表面)に接合されている。本体部2と一対の耳掛け部4L,4Rとの接合は、本実施形態では熱溶着(ヒートシール)を用いているが、熱溶着以外に、例えば公知の接着剤を用いた圧着、超音波溶着などの公知の手段を用いてもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
一対の耳掛け部4L,4Rは、図1(B)に示す本体部2上に重ねられた状態から、図3、図5及び図6に示すように、本体部2との各接合部5で折り返して展開することで、耳に取り付け可能な状態となる。
各接合部5は、図1(B)及び図5に示すように、本体部2の左右の端部において、所定の横幅をもって本体部2の縦方向に平行に延びる基部6を含んでいる。本実施形態では、各接合部5の基部6は、本体部2の左右の側縁22,23に沿って所定の横幅をもって本体部2の縦方向に平行に延びている。そのため、各接合部5の基部6は、外側の側縁50が本体部2の左右の側縁22,23上に位置(重複)している。各接合部5の基部6は、本体部2と各耳掛け部4L,4Rとの接合強度を確保する観点から、横幅が3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましい。
また、各接合部5は、図1(B)及び図5に示すように、基部6から本体部2の横方向に間隔をあけて設けられた少なくとも1つの離間部7を含む。本実施形態では、複数(図示では3つ)の離間部7が互いに間隔をあけて設けられている。離間部7は、本体部2の下縁21側に設けられている。離間部7は、本実施形態では縦長の長方形状を呈しており、所定の横幅を有し、かつ本体部2の下縁21から本体部2の縦方向に平行に延びている。離間部7は、基部6よりも長さが短く、基部6とは異なり本体部2の上縁20まで達しない長さ、好ましくは、本体部2の縦方向中央まで達しない長さに形成されている。
なお、離間部7は、本体部2の下縁21から本体部2の縦方向に所定距離だけ離れた位置より延びていてもよい。また、離間部7を複数設ける場合、複数の離間部7の上端及び下端の位置は、それぞれ全て同じ位置であってもよいし、異なる位置であってもよい。また、基部6の内側の側縁及び離間部7の両側縁は、本体部2の縦方向に沿っていれば、必ずしも縦方向に平行である必要はなく、多少内側又は外側に傾斜していてもよい。また、離間部7の形状は、本実施形態では縦長の長方形状であるが、これに限定されず、正方形状や円形状、縦長の楕円形状など、種々の形状とすることができる。
各接合部5の基部6及び少なくとも1つの離間部7は、本体部2の横方向に間隔をあけて設けられた複数の区画部をなす。複数の区画部のうち、基部6から最も内側に離れた離間部7Aが、本体部2の横方向で最も内側に位置する区画部をなし、一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2とが最も内側で接合する接合位置となる。一方で、複数の区画部のうち、前記最も内側に位置する離間部7Aよりも外側に位置する離間部7B,7C及び基部6は、本体部2の横方向内側における一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合位置を、本体部2の横方向外側に向かって変更可能な調整部を構成する。なお、離間部7が1つのみの場合は、基部6だけが前記調整部を構成する。離間部7は、本開示における「第1区画部」に相当する。
各接合部5は、一対の耳掛け部4L,4Rの閉じた状態からの展開方向を決める。本実施形態では、各接合部5は、上端側よりも下端側が内側に突き出ている。そのため、一対の耳掛け部4L,4Rは、図3及び図5に示すように、図1(B)に示す閉じた状態から各接合部5で折り返して展開させた際に、本体部2の横方向に対して斜め下向きに延びる形で展開する。耳は目よりも位置が若干低いため、一対の耳掛け部4L,4Rが斜め下向きに展開することにより、温熱具1をユーザの顔に違和感なく装着することができる。
また、各接合部5は、本体部2の横方向に間隔をあけて設けられた複数の区画部(基部6及び少なくとも1つの離間部7)を含む。そのため、図7に示すように、当初は、本体部2の横方向で最も内側に位置する区画部すなわち離間部7Aまで一対の耳掛け部4L,4Rが本体部2と接合されていても、一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2との剥離により該離間部7Aにおける本体部2との接合を外すことで、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、該離間部7Aよりも外側の区画部すなわち離間部7Bに変更することができる。これにより、一対の耳掛け部4L,4Rを展開した際に、本体部2の左右の側縁22,23から外側に突き出る一対の耳掛け部4L,4Rの長さ(以下、「一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さ」という。)を長くすることができる。さらに、図8に示すように、本体部2の横方向内側における一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合位置を、同様にして、離間部7Bから、該離間部7Bよりも外側の区画部すなわち離間部7C、図示は省略するがさらに外側の基部6にそれぞれ変更することで、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さをさらに長くすることができる。このように、本実施形態では、一対の耳掛け部4L,4Rについて、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、調整部をなす区画部(離間部7B,7C及び基部6)により本体部2の横方向外側に向かって変更することで、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さを調整することができる。
そのうえ、各接合部5は、図7に示すように、本体部2の横方向内側における一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合位置を、当初の離間部7Aからこれより外側の離間部7Bに変更することにより、各接合部5は上端側に対して下端側の内側に突き出る範囲が狭まる。そのため、一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2の横方向に対して斜め下向きに延びる形で展開するが、本体部2の横方向に対する一対の耳掛け部4L,4Rの傾斜角度は小さくなる。さらに、図8に示すように、本体部2の横方向内側における一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合位置を、同様にして、該離間部7Bからこれより外側の離間部7C、図示は省略するがさらに外側の基部6にそれぞれ変更することで、本体部2の横方向に対する一対の耳掛け部4L,4Rの傾斜角度はさらに小さくなり、一対の耳掛け部4L,4Rの展開する方向が本体部2の横方向に近づく。このように、本実施形態では、本体部2の横方向内側における一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合位置を、調整部をなす区画部(離間部7B,7C及び基部6)により本体部2の横方向外側に向かって変更することで、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の向きも調整することができる。
一対の耳掛け部4L,4Rには、図1(B)及び図3に示すように、開口40が形成されている。開口40は、一対の耳掛け部4L,4Rをユーザの耳に掛ける際に耳を入れる部分である。開口40は、横長に形成されており、これにより、開口40に耳を容易に挿入できる。また、開口40は、基端側から先端側に向かって、つまりは、温熱具1を装着する際に本体部2から離間して耳に向かう方向に向かって上下幅(長手方向と直交する方向の長さ)が次第に広がるように形成されている。これにより、開口40に耳を容易に挿入できるうえ、一対の耳掛け部4L,4Rの耳に対するフィット性を向上することができる。なお、開口40の形状や大きさは、開口40に耳を挿入可能であれば、特に限定されるものではない。
次に、上述した温熱具1の使用方法について説明する。温熱具1は、発熱材料3が空気の存在下で発熱するため、使用前においては空気との接触を防ぐ必要があり、空気を通さない気密性を有する包装袋(不図示)に収納されている。使用に際し、包装袋を開封して温熱具1を取り出す。そして、一対の耳掛け部4L,4Rを閉じた状態から展開し、本体部2の各第2接合部29L,29R(目被覆部)がユーザの左右の目に当たるように、本体部2をユーザの顔に接触させ、一対の耳掛け部4L,4Rを外側に引っ張りながら耳に掛ける。これにより、発熱材料3から発せられる熱により、左右の目及び各目の周囲に温熱が与えられる。
温熱具1を顔へ装着した際、本体部2の下縁21の横方向中央部が凹状に湾曲して大きく括れているため、本体部2は横方向中央位置の縦中心線24で容易に二つに折れて、顔の形状に沿って変形する。よって、本体部2がユーザの顔にフィット性よく密着する。
加えて、一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2との接合部5が上端側よりも下端側が内側に突き出た略L字型を呈している。そのため、図9に示すように、一対の耳掛け部4L,4Rを耳に掛けるために本体部2に対して横方向外側に引っ張った際に、本体部2の左右の端部の下側の領域(本体部2の下側の左右の角部25,26あたり)が強く引っ張られ、本体部2の縦方向に湾曲してユーザの顔側(図9では図の手前側)に曲がるように変形する。本体部2の下側の左右の角部25,26は、温熱具1の顔への装着時に目の下の頬骨のあたりに当たるが、頬骨が出っ張っていても、その表面形状に沿って曲がることで、頬骨のあたりに覆い被さり、顔から浮き上がることなく顔にフィットする。よって、本体部2をユーザの顔にさらにフィット性よく密着させることができ、発熱材料3から発生した熱が外部に逃げることを抑制することができる。
また、一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、当初、最も内側に位置する区画部すなわち離間部7Aから、本体部2からの剥離により、該離間部7Aよりも外側に位置する区画部すなわち離間部7B,7C及び基部6のいずれかの位置に変更可能である。そのため、図7及び図8に示すように、例えばユーザの顔の大きさや好み等に応じて、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さ及び向きを調整することができる。このように、本実施形態の温熱具1によれば、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さ及び向きをユーザが設定することができるので、ユーザに対して良好な装着感を与えることができる。
また、区画部が複数(図示では3つ)の離間部7A~7C(第1区画部)を含むことにより、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さ及び向きの調整を2回以上できるため、調整パターンが増え、ユーザの顔の大きさや好み等に合わせやすくなる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
一変形例として、図10に示すように、一対の耳掛け部4L,4Rの各接合部5は、基部6が、本体部2の左右の側縁22,23に沿って縦方向に平行に延びる主部60と、主部60の下端で内側に一続きに曲がる屈曲部61とを含み、屈曲部61から本体部2の横方向に間隔をあけて少なくとも1つ(図示では2つ)の離間部7が設けられていてもよい。なお、図10では、温熱具1の左半部の図示を省略しているが、右半部と同様の構成である。
図10の変形例においても、一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、当初、最も内側の接合位置である区画部すなわち離間部7Aから、本体部2からの剥離により、該離間部7Aよりも外側に位置する区画部すなわち離間部7B及び基部6に変更可能である。さらに基部6においては、屈曲部61の内側の側縁及び主部60の内側の側縁が、本体部2の横方向内側における一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合縁部をなし、各接合縁部は本体部2の縦方向に位置ずれしており、一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、いずれかの接合縁部の位置にも変更可能である。そのため、上記実施形態と同様に、例えばユーザの顔の大きさや好み等に応じて、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さ及び向きを調整することができる。
なお、図10の変形例では、屈曲部61の上縁は主部60の内側の側縁に対して内側に直角に折れ曲がっているが、図示は省略するが、屈曲部61の上縁は主部60の内側の側縁に対して内側に凸又は凹となるように湾曲していてもよいし、本体部2の横方向に対し斜め下方に折れ曲がっていてもよい。また、屈曲部61の内側の側縁及び主部60の内側の側縁は、本体部2の縦方向に平行に延びているが、本体部2の縦方向に沿っていれば、必ずしも縦方向に平行である必要はなく、多少内側又は外側に傾斜していてもよい。
他の変形例として、図11に示すように、一対の耳掛け部4L,4Rの各接合部5は、離間部7が基部6と同様に、本体部2の下縁21から上縁20に達するまで本体部2の縦方向に平行に延びていてもよい。なお、図11では、温熱具1の左半部の図示を省略しているが、右半部と同様の構成である。
図11の変形例においても、一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、当初、最も内側の接合位置である区画部すなわち離間部7から、本体部2からの剥離により、離間部7よりも外側に位置する区画部すなわち基部6に変更可能である。そのため、例えばユーザの顔の大きさや好み等に応じて、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さを調整することができる。なお、図11の変形例では、各接合部5は、1つの離間部7だけを含んでいるが、本体部2の横方向に互いに間隔をあけた複数の離間部7を含んでいてもよく、これにより、更に細かく一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さを調整することができる
他の変形例として、図12に示すように、一対の耳掛け部4L,4Rの各接合部5は、基部6から本体部2の横方向に間隔をあけて設けられ、かつ本体部2の上縁20側に設けられた離間部8を更に少なくとも1つ含んでいてもよい。なお、図12では、温熱具1の左半部の図示を省略しているが、右半部と同様の構成である。
図12の変形例では、複数(図示では3つ)の離間部8が互いに間隔をあけて設けられている。各接合部5は、上下の離間部7,8を同じ数ずつ含んでおり、上下の離間部7,8は、本体部2の横方向において同位置に設けられている。離間部8は、本実施形態では縦長の長方形状を呈しており、所定の横幅を有し、かつ本体部2の上縁20から本体部2の縦方向に平行に延びている。離間部8は、基部6よりも長さが短く、基部6とは異なり本体部2の下縁21まで達しない長さ、好ましくは、本体部2の縦方向中央まで達しない長さに形成されている。
なお、離間部8は、本体部2の上縁20から本体部2の縦方向に所定距離だけ離れた位置より延びていてもよい。また、離間部8を複数設ける場合、複数の離間部8の上端及び下端の位置は、本体部2の横方向においてそれぞれ全て同じ位置であってもよいし、異なる位置であってもよい。また、離間部8の両側縁は、本体部2の縦方向に沿っていれば、必ずしも縦方向に平行である必要はなく、多少内側又は外側に傾斜していてもよい。また、離間部8の形状は、本実施形態では縦長の長方形状であるが、これに限定されず、正方形状や円形状、縦長の楕円形状など、種々の形状とすることができる。また、離間部8の数は離間部7の数と異なっていてもよいし、上下の離間部7,8は、本体部2の横方向において同位置に設けられていなくてもよい。
図12の変形例では、各接合部5の基部6、少なくとも1つの離間部7、及び少なくとも1つの離間部8が本体部2の横方向に間隔をあけて設けられた複数の区画部をなす。複数の区画部のうち、基部6から最も内側に離れた離間部7A,8Aが、本体部2の横方向の最も内側に位置する区画部をなし、一対の耳掛け部4L,4Rが本体部2と最も内側で接合する接合位置となる。一方で、複数の区画部のうち、前記最も内側に位置する離間部7A,8Aよりも外側に位置する離間部7B,7C,8B,8C及び基部6は、本体部2の横方向内側における一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合位置を、本体部2の横方向外側に向かって変更可能な調整部を構成する。なお、離間部7,8が1つのみの場合は、基部6だけが前記調整部を構成する。離間部8は、本開示における「第2区画部」に相当する。
図12の変形例では、一対の耳掛け部4L,4Rは、図12(A)に示すように、当初は、本体部2の横方向で最も内側の接合位置である区画部すなわち離間部7A,8Aで一対の耳掛け部4L,4Rが本体部2と接合されている。この状態から、該離間部7A,8Aにおける一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合を外すことで、一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、図12(B)に示すように、該離間部7A,8Aよりも外側の上下の区画部であって本体部2の横方向で同じ位置にある上下の区画部、例えば離間部7C,8Cに変更することができる。これにより、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さを調整することができる。
また、図12の変形例では、一対の耳掛け部4L,4Rは、図12(A)に示す当初の状態から、本体部2の横方向で最も内側の接合位置である離間部7A,8Aにおける本体部2との接合を外すことで、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、図12(C)に示すように、離間部7A,8Aよりも外側の上下の区画部であって本体部2の横方向で異なる位置にある上下の区画部、例えば離間部7B,8Cに変更することができる。これにより、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さに加えて向きも調整することができる。
このように、図12の変形例では、一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、調整部をなす区画部(離間部7B,7C、離間部8B,8C及び基部6)の中から適宜選択した1組の区画部に変更することで、例えばユーザの顔の大きさや好み等に応じて、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さだけの調整が可能であるうえ、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さ及び向きの調整を細かく行うことができる。
他の変形例として、図13に示すように、一対の耳掛け部4L,4Rの各接合部5は、基部6が、主部60及び主部60の下端より内側に曲がる屈曲部61に加えて、主部60の中途で内側に曲がる少なくとも1つ(図示では2つ)の屈曲部62,63を含み、各屈曲部61~63が本体部2の縦方向に間隔をあけて設けられていてもよい。なお、図13では、温熱具1の左半部の図示を省略しているが、右半部と同様の構成である。
図13の変形例では、複数の屈曲部61~63のうち、最も下側の屈曲部61の横幅が最も長く、上側の屈曲部62,63の横幅が次第に短くなるように形成されている。各接合部5は、主部60から最も内側に離れた屈曲部61の内側の側縁が、一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2とが本体部2の横方向の最も内側で接合する接合位置となる。そして、各接合部5の屈曲部62の内側の側縁、屈曲部63の内側の側縁、主部60の内側の側縁は、最も内側の接合位置(屈曲部61の内側の側縁)よりも外側に位置する一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合縁部であり、各接合縁部は本体部2の横方向及び縦方向に位置ずれしており、本体部2の横方向内側における一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合位置を、本体部2の横方向外側に向かって変更可能な調整部を構成する。
図13の変形例では、各屈曲部62,63の内側の側縁は、本体部2の縦方向に平行に延びているが、本体部2の縦方向に沿っていれば、必ずしも縦方向に平行である必要はなく、多少内側又は外側に傾斜していてもよい。
図13の変形例においても、一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、当初、最も内側の接合位置である屈曲部61の内側の側縁から、本体部2からの剥離により、屈曲部61の内側の側縁よりも外側の接合縁部すなわち屈曲部62の内側の側縁、屈曲部63の内側の側縁、主部60の内側の側縁のいずれかの位置に変更可能である。そのため、上記実施形態と同様に、例えばユーザの顔の大きさや好み等に応じて、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さや向きを調整することができる。
なお、図13の変形例において、各接合部5は、屈曲部62,63を含まず、屈曲部61のみを含んでいてもよい。この場合、各接合部5は、屈曲部61の内側の側縁が、一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2とが本体部2の横方向の最も内側で接合する接合位置となり、主部60の内側の側縁が、屈曲部61の内側の側縁よりも外側の接合縁部、すなわち調整部をなす。一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、最も内側の接合位置である屈曲部61の内側の側縁から、本体部2からの剥離により、主部60の内側の側縁に変更することで、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さや向きを調整することができる。
他の変形例として、図14に示すように、一対の耳掛け部4L,4Rの各接合部5は、基部6の内側の側縁が中途で内側に向かって少なくとも1つ(図示では3つ)の段差を有する階段状に折れ曲がって本体部2の下縁21に達していてもよい。図15の変形例では、基部6は、主部60と、主部60の下端側において内側に突き出る突出部64とを含んでいる。なお、図14では、温熱具1の左半部の図示を省略しているが、右半部と同様の構成である。
図14の変形例では、突出部64は、段差ごとに本体部2の縦方向に平行に延びる起立部65を備えている。各起立部65は、最も下側の起立部65Aが主部60から内側に最も突き出ており、これより上側の起立部65B,65Cは主部60からの突出長さが次第に短くなるように形成されている。
図14の変形例では、各接合部5は、最も下側の起立部65Aが、主部60から最も内側に離れており、一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2とが本体部2の横方向の最も内側で接合する接合位置となる。そして、該起立部65Aよりも上側の起立部65B,65C及び主部60の内側の側縁は、最も内側の接合位置(起立部65A)よりも外側に位置する一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合縁部であり、各接合縁部は本体部2の横方向及び縦方向に位置ずれしており、本体部2の横方向内側における一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合位置を、本体部2の横方向外側に向かって変更可能な調整部を構成する。
図14の変形例では、起立部65は、本体部2の縦方向に平行に延びているが、本体部2の縦方向に沿っていれば、必ずしも縦方向に平行である必要はなく、多少内側又は外側に傾斜していてもよい。なお、起立部65が1つのみの場合は、主部60の内側の側縁だけが前記調整部を構成する。
図14の変形例においても、一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、当初、最も内側の接合位置である起立部65Aから、本体部2からの剥離により、該起立部65Aよりも外側の接合縁部すなわち該起立部65Aよりも上側の起立部65B,65C、主部60の内側の側縁のいずれかの位置に変更可能である。そのため、上記実施形態と同様に、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さや向きを例えばユーザの顔の大きさや好み等に応じて適宜調整することができる。
他の変形例として、図15に示すように、一対の耳掛け部4L,4Rの各接合部5は、基部6の内側の側縁が中途で内側に向かって少なくとも1つ(図示では3つ)の段差を有する階段状に折れ曲がって本体部2の下縁21に達するとともに、基部6の内側の側縁が中途で内側に向かって少なくとも1つ(図示では3つ)の段差を有する階段状に折れ曲がって本体部2の上縁20に達していてもよい。図15の変形例では、基部6は、主部60と、主部60の下端側で内側に突き出る突出部64と、主部60の上端側で内側に突き出る突出部66とを含んでいる。なお、図15では、温熱具1の左半部の図示を省略しているが、右半部と同様の構成である。
上側の突出部66は、下側の突出部64と同様に、段差ごとに本体部2の縦方向に平行に延びる起立部67を備えている。複数の起立部67のうち、最も上側の起立部67Aが主部60から内側に最も突き出ており、これより下側の起立部67B,67Cは主部60からの突出長さが次第に短くなるように形成されている。図15の変形例では、各接合部5は、上下の突出部64,66が同じ数ずつ起立部65,67を含んでおり、上下の突出部64,66は、起立部65,67が本体部2の横方向において同位置に設けられている。
図15の変形例では、各接合部5は、最も下側及び上側の起立部65A,67Aが、主部60から最も内側に離れており、一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2とが本体部2の横方向の最も内側で接合する接合位置となる。そして、該起立部65A,67Aよりも上側ないしは下側の起立部65B,65C,67B,67C及び主部60の内側の側縁は、最も内側の接合位置(起立部65A,67A)よりも外側に位置する一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合縁部であり、各接合縁部は本体部2の横方向及び縦方向に位置ずれしており、本体部2の横方向内側における一対の耳掛け部4L,4Rと本体部2との接合位置を、本体部2の横方向外側に向かって変更可能な調整部を構成する。なお、起立部65,67が1つのみの場合は、主部60の内側の側縁だけが前記調整部を構成する。
図15の変形例では、起立部67は、本体部2の縦方向に平行に延びているが、本体部2の縦方向に沿っていれば、必ずしも縦方向に平行である必要はなく、多少内側又は外側に傾斜していてもよい。また、起立部67の数は起立部65の数と異なっていてもよいし、上下の起立部65,67は、本体部2の横方向において同位置に設けられていなくてもよい。
図15の変形例においても、図12の変形例と同様に、一対の耳掛け部4L,4Rは、本体部2の横方向内側における本体部2との接合位置を、当初、最も内側の接合位置である起立部65A,67Aから、本体部2からの剥離により、調整部をなす上下の接合縁部(起立部65B,65C,67B,67C及び主部60の内側の側縁)の中から適宜選択した1組の接合縁部に変更することで、例えばユーザの顔の大きさや好み等に応じて、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さだけの調整が可能であるうえ、一対の耳掛け部4L,4Rの展開状態の長さ及び向きの調整を細かく行うことができる。
他の変形例として、上記実施形態においては、図1に示すように、左右の第2接合部29L,29Rは別れているが、左右の第2接合部29L,29Rは本体部2の左右方向で繋がっていてもよい。
他の変形例として、上記実施形態においては、図1に示すように、本体部2において発熱材料3を収容する収容領域が左右の目被覆部29L,29Rの間で繋がっているが、図16に示すように、左右の目被覆部29L,29Rの間に縦中心線24に沿って本体部2の縦方向に平行に延びる第3接合部30を設けてもよい。第3接合部30は、第1接合部28及び第2接合部29L,29Rと同様、本体部2を構成する2枚のシート材27A,27Bを、熱溶着(ヒートシール)、公知の接着剤を用いた圧着、超音波溶着などの公知の手段、又はこれらの組み合わせにより接合した部分である。
他の変形例として、上記実施形態においては、図1に示すように、本体部2の目被覆部に第2接合部29L,29Rが設けられることで、目被覆部は発熱材料3が収容されておらず、その周りの周囲被覆部と区切られているが、目被覆部を周囲被覆部と区切らず、目被覆部にも発熱材料が収容されていてもよい。