JP6917197B2 - チェーン巻取り装置及びそれを用いた重量物設置方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、高炉におけるマンテルのような大型建造物の鋼製壁に対し、ステーブクーラ等の壁部材(重量物)を取付けるための鋼製壁への壁部材取付け方法が開示されている。
この特許文献1は、鋼製壁の一方の面から隙間を有して吊り下げられた壁部材に、鋼製壁の貫通孔を挿通したワイヤロープの一端を接続し、ワイヤロープを鋼製壁の他方の面に取付けられたフレーム付きの牽引装置を用いて引くことによって、壁部材を鋼製壁に引き寄せた後、壁部材を鋼製壁に取付ける方法において、フレームに取付けられ、切替えハンドルの操作によって磁着と非磁着の状態を切り換えるマグネットホルダを介して、牽引装置の鋼製壁への固定を行うものである。これにより、鋼製壁への牽引装置の着脱が容易で、取付け位置の調整も簡単に行うことができると記載している。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、チェーンの着脱、巻取り、巻戻しが容易で、作業者の作業負担を軽減でき、チェーンの巻取り量や巻戻し量の微調整が可能で、作業効率を向上できる省力性と施工性に優れたチェーン巻取り装置及びそれを用いた重量物設置方法を提供することを目的とする。
外部駆動手段によって回転駆動可能な駆動軸を備え、該駆動軸の回転を減速して出力軸から出力する逆転防止機能付き減速機と、
前記逆転防止機能付き減速機の出力軸に環装されたスプロケットと、
前記スプロケットを内側に備え前記壁体の他方の面に当接し、前記出力軸を前記壁体に平行に保つ当接面を備え、少なくとも上部に開口部が形成された筐体とを有し、
該筐体は、該筐体の内部と連通し、前記当接面から突出して形成され、使用時に、前記壁体の前記貫通孔に挿通される挿通部を有し、該挿通部の上面側の全長にわたってチェーン導入用開口部が形成され、
前記壁体の一方の面から前記貫通孔に挿入される前記チェーンは前記スプロケットに案内され、前記スプロケットに掛け渡される。
筐体の内側にスプロケットを備えているので、チェーンの巻取り、巻戻しを行う際に、スプロケットやチェーンに作業者の手が触れることがなく、安全性に優れる。
筐体が、壁体の他方の面に当接し、出力軸を壁体に平行に保つ当接面を備えているので、チェーン巻取り装置の設置安定性に優れる。また、これにより、出力軸に環装されたスプロケットに、重量物に接続されたチェーンを掛け渡し、出力軸を回転させてチェーンを巻取る際に、チェーンに負荷がかかり難く、チェーンをスムーズに巻取ることができる。従って、重量物を壁体の一方の面に引き寄せる際の動作の安定性、作業性に優れる。
筐体の少なくとも上部に開口部が形成されているので、壁体の貫通孔から取り出したチェーンを容易にスプロケットに掛け渡すことができ、チェーンの着脱作業性に優れる。
逆転防止機能付き減速機は、外部駆動手段によって回転駆動される駆動軸の回転を減速して出力軸から出力するが、逆転防止機能付きであることにより、重量物の重さでチェーンが引っ張られても、スプロケットが環装された出力軸が回転することがなく、停止位置を保持することができ、作業性、安全性に優れる。なお、逆転防止機能付き減速機は適宜、選択することができる。
外部駆動手段は駆動軸を回転駆動できればよいが、正逆回転可能なエア駆動式や電動式のインパクトレンチ等の工具が好適に用いられる。
筐体の少なくとも上部に開口部が形成されていれば、チェーンを開口部から下に垂らすようにして、スプロケットの上方から掛け渡すことや、チェーンを開口部から上方に持ち上げ、スプロケットから取り外すことができる。
また、壁体が鋼製壁のように強磁性体で形成されている場合は、チェーン巻取り装置の側部等に着磁と非着磁を切替え可能なマグネットチャックを設け、磁力によって壁体の表面に固定してもよい。
また、壁体の貫通孔に挿通される挿通部によって、壁体の一方の面から貫通孔に挿入されるチェーンをスプロケットに案内することができるので、チェーンの巻取り、巻戻しを行う際に、チェーンが直接、貫通孔の内周面と接触することがなく、貫通孔の摩耗や破損を防ぐことができる。
さらに、挿通部の上面側の全長にわたってチェーン導入用開口部が形成されていることにより、チェーンをスプロケットから取り外す際やスプロケットに掛け渡す際に、挿通部が邪魔になることがなく、チェーンの上げ下げだけで簡単にチェーン導入用開口部を通過させてスプロケットへの脱着を行うことができ、取り扱い性に優れる。
ここで、挿通部は、壁体の貫通孔に挿通した際に回転しない程度の外径に形成することが好ましい。なお、挿通部の外周面にゴム板や発泡材等の弾性部材を貼り付けることにより、壁体の貫通孔を中心としてチェーン巻取り装置が回転することを防止してもよい。
これにより、スプロケットにチェーンを掛け渡す際やスプロケットからチェーンを取り外す際には、筐体カバーを取り外した状態で開口部から簡単にチェーンの着脱作業を行うことができる。そして、チェーンの巻取りや巻戻しの作業を行う際には、開口部を筐体カバーで覆うことにより、スプロケットに掛け渡したチェーンが、作業中に跳ね上がってスプロケットから外れることを防止でき、安全性、動作の安定性に優れる。
これにより、チェーンとして長円状の複数のチェーン環が縦横交互に連結されたリンクチェーンを使用する場合に、縦向きのチェーン環をチェーン係合溝に係合させながら、横向きのチェーン環の長手方向の端部をチェーン係合突起に係合させることができ、チェーンをスプロケットの外周に保持して、チェーンの巻取り、巻戻しを確実に行うことができる。
チェーン係合突起はチェーン係合溝の両側部で横向きのチェーン環の端部に係合できるものであればよく、その幅、高さ、厚さ等はチェーン環の寸法に応じて、適宜、選択することができる。
チェーン巻取り装置を複数個並べて設置することにより、設置面の大きな重量物であっても確実に壁体の一方の面の所定位置に引き寄せて設置することができる。また、壁体の他方の面に複数個並べて設置されるチェーン巻取り装置同士が、連結手段で連結されることにより、チェーン巻取り装置の壁体の表面内での回転を効果的に防止することができる。特に、外部駆動手段を用いてスプロケットを回転させる際に、外部駆動手段の回転力によってチェーン巻取り装置自体が回転することを防止して、確実にチェーンの巻取り、巻戻しを行うことが可能で、重量物の姿勢制御を容易に行うことができる。
ウォーム減速機は、駆動軸(ウォーム軸)の溝とウォームホイールを螺合させて駆動軸の回転を減速し、ウォームホイールに連結された出力軸から出力するものである。このウォーム減速機は、駆動軸(ウォーム軸)の溝の進み角を小さくするだけで、出力軸(ウォームホイール)側から駆動軸側へ回転が伝達しないセルフロック機能(逆転防止機能)を発揮することができる。これにより、重量物の重さでチェーンが引っ張られても、スプロケットが環装された出力軸が回転することがなく、停止位置を保持することができ、作業性、安全性に優れ、量産性にも優れる。
ここで、ウォーム減速機が一段ウォーム減速機の場合、駆動軸と出力軸が直交するので、壁体に対して駆動軸を直交させて手前側に配置することができ、外部駆動手段が壁体と干渉することがなく、駆動軸への着脱も容易で、取り扱い性に優れる。
チェーン巻取り装置の筐体の当接面を壁体の他方の面に当接させることにより、出力軸を壁体に平行に保ちながら、壁体の貫通孔の位置に簡単に位置合わせすることができる。
また、既存の外部駆動手段を利用して簡単に逆転防止機能付き減速機を駆動し、スプロケットが環装された出力軸を正逆回転させて、スプロケットに掛け渡されたチェーンを必要量だけ巻取ったり、巻戻したりすることができる。従って、重量物の移動量や傾きを簡単に制御して、壁体の一方の面に重量物の設置面を面合させて固定することができ、施工性、作業効率性に優れる。
図1〜図5に示すように、本発明の一実施の形態に係るチェーン巻取り装置10は、壁体の一例である高炉11の鉄皮12に固定支持され、鉄皮12の内壁面(一方の面)13から隙間を有して吊り下げられる重量物の一例であるステーブクーラ14を、ステーブクーラ14に接続され鉄皮12に設けられた貫通孔15を通して鉄皮12の外壁面(他方の面)16側から引き出されるチェーン17を巻取ることによって、鉄皮12の内壁面13に引き寄せるものである。
図1〜図3に示すように、チェーン巻取り装置10は、外部駆動手段(図示せず)によって回転駆動可能な駆動軸18を備え、駆動軸18の回転を減速して出力軸19から出力する逆転防止機能(セルフロック機能)付き減速機の一例であるウォーム減速機20を有しており、出力軸19にはスプロケット21が環装されている。このスプロケット21の幅方向中央部には円周方向の全周に沿ってチェーン係合溝22が形成され、チェーン係合溝22の両側部には、所定のピッチでチェーン係合突起23が径方向に突出して形成されている。
これにより、図4に示すように、チェーン17として、長円状の複数のチェーン環24が縦横交互に連結されたリンクチェーンを使用した際に、縦向きのチェーン環24をチェーン係合溝22に係合させながら、横向きのチェーン環24の長手方向の端部をチェーン係合突起23に係合させることができ、スプロケット21に掛け渡されるチェーン17をスプロケット21の外周に保持して、チェーン17の巻取り、巻戻しを確実に行うことができる。
また、筐体25には、上面から正面側にかけて開口部27が形成されると共に、筐体25の内部と連通し、当接面26から筐体25の外方に突出する挿通部28が形成されている。さらに、この挿通部28の上面側には全長にわたってチェーン導入用開口部29が形成されているので、チェーン17をスプロケット21に掛け渡す際やスプロケット21から取り外す際に、筐体25や挿通部28が邪魔になることがなく、チェーン17の上げ下げだけで簡単に脱着を行うことができる。特に、開口部27が筐体25の上面から正面側にかけて連続的に形成されていることにより、チェーン17をスプロケット21の上方から正面側に巻き付けるようにして簡単に掛け渡すことができる。また、チェーン17をスプロケット21の正面側から上方に向かって巻き取るようにして、簡単に取り外すことができ、チェーン17の着脱作業性を向上させることができる。
なお、開口部27及びチェーン導入用開口部29の幅は、少なくともチェーン17が通過できるだけの幅があればよい。また、開口部27は筐体25の少なくとも上部に形成されていればよく、チェーン導入用開口部29は形成しなくてもよい。
本実施の形態では、仕切り片35を底板部33に螺子止めで固定したが、底板部33及び仕切り片35の材質に応じて、溶接や接着で固定してもよいし、底板部33と一体に形成してもよい。例えば、底板部33がステンレス等の金属で形成されている場合は、切り欠き34を形成する際に、底板部33の一部を切り起こして切り欠き34と仕切り片35を同時に形成することもできる。
ここでは、図5に示すように、高炉11において、鉄皮12の内壁面13から隙間を有して吊り下げられたステーブクーラ14を鉄皮12の外壁面16に取付けられたチェーン巻取り装置10によって引き寄せ、鉄皮12の内壁面13に設置する方法について説明する。
図5(A)において、ステーブクーラ14の上端側には吊環36が取り付けられており、図示しない大型クレーンやホイスト等の吊ワイヤーロープ37に連結され、高炉11の上方から吊り下げられる。
鉄皮12には複数の貫通孔15が縦横に形成されており、ステーブクーラ14の設置面38(鉄皮12の内壁面13側の表面)には、各貫通孔15の位置に対応させてチェーン17の一端側が接続されており、チェーン17の他端側には、環体40が取り付けられている。先端にフックを備えた棒状部材(図示せず)を鉄皮12の外壁面16側から各貫通孔15に挿通し、フックを環体40に引っ掛けて引っ張ることにより、ステーブクーラ14から垂れ下がっている状態の各チェーン17の他端側を対応する貫通孔15を通して外壁面16側に引き出すことができる。
各貫通孔15から外壁面16側に引き出したチェーン17の他端側をそれぞれチェーン巻取り装置10のチェーン導入用開口部29から挿通部28に通し、筐体25の開口部27からスプロケット21に巻き付けるようにして掛け渡す。
その後、図4に示すように、各チェーン巻取り装置10の挿通部28を鉄皮12の貫通孔15に挿通し、筐体25の当接面26を鉄皮12の内壁面16に当接させてチェーン巻取り装置10を固定する。なお、筐体25への筐体カバー30の取付けは、チェーン17をスプロケット21に掛け渡した後、挿通部28を貫通孔15に挿通する前でも後でもよい。
その後、図5(C)に示すように、各チェーン巻取り装置10で、さらにチェーン17を巻取ってステーブクーラ14を鉄皮12に引き寄せ、内壁面13にステーブクーラ14の設置面38を面合させる。
そして、鉄皮12の要所に設けられた複数の固定孔(図示せず)からボルトを挿通し、予めステーブクーラ14の設置面38に埋設されたナット(図示せず)に締結すると共に、チェーン巻取り装置10を取り外し、ステーブクーラ14の設置を完了する。
例えば、壁体の貫通孔に挿通する挿通部を省略してもよい。その場合、当接面の上端側にも開口部を形成することにより、チェーンを当接面に干渉させることなく、スプロケットに掛け渡すことができる。このとき、当接面の幅全体を開口させてもよいし、スプロケットの位置に合わせて一部のみを切り欠いて開口させてもよい。或いは当接面にチェーンを通すためのチェーン挿通孔を設け、貫通孔から取り出したチェーンをチェーン挿通孔に通してからスプロケットに掛け渡すことも可能である。
筐体カバーに設ける把手部の形状や配置は、適宜、選択することができ、例えば、筐体カバーの側部に設けてもよい。また、把手部を省略することやウォーム減速機の上部に設けることもできる。
なお、チェーンとして、ステンレス製のリンクチェーンが好適に用いられるが、重量物に対して必要な牽引力を有していればよく、その材質やチェーン環の長さ、幅、太さ等は、重量物の大きさや重さに応じて、適宜、選択できる。
さらに、本実施の形態では、ウォーム減速機の駆動軸の入力端部をチェーン巻取り装置の手前(正面)側に配置したが、入力端部の位置はチェーン巻取り装置の側部でもよく、その場合は二段ウォーム減速機を用いることができる。
Claims (6)
- 壁体に固定支持され、前記壁体の一方の面から隙間を有して吊り下げられる重量物を、該重量物に接続され前記壁体に設けられた貫通孔を通して前記壁体の他方の面側から引き出されるチェーンを巻取ることによって、前記壁体の一方の面に引き寄せるチェーン巻取り装置において、
外部駆動手段によって回転駆動可能な駆動軸を備え、該駆動軸の回転を減速して出力軸から出力する逆転防止機能付き減速機と、
前記逆転防止機能付き減速機の出力軸に環装されたスプロケットと、
前記スプロケットを内側に備え前記壁体の他方の面に当接し、前記出力軸を前記壁体に平行に保つ当接面を備え、少なくとも上部に開口部が形成された筐体とを有し、
該筐体は、該筐体の内部と連通し、前記当接面から突出して形成され、使用時に、前記壁体の前記貫通孔に挿通される挿通部を有し、該挿通部の上面側の全長にわたってチェーン導入用開口部が形成され、
前記壁体の一方の面から前記貫通孔に挿入される前記チェーンは前記スプロケットに案内され、前記スプロケットに掛け渡されることを特徴とするチェーン巻取り装置。 - 請求項1記載のチェーン巻取り装置において、前記筐体の開口部には筐体カバーが着脱自在に取り付けられることを特徴とするチェーン巻取り装置。
- 請求項1又は2記載のチェーン巻取り装置において、前記スプロケットは、幅方向中央部に円周方向に沿って形成されたチェーン係合溝と、該チェーン係合溝の両側部に径方向に突出して形成されたチェーン係合突起とを有することを特徴とするチェーン巻取り装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のチェーン巻取り装置において、該チェーン巻取り装置は、前記壁体の他方の面に複数個並べて設置され、該チェーン巻取り装置同士が、連結手段で連結されることを特徴とするチェーン巻取り装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のチェーン巻取り装置において、前記逆転防止機能付き減速機は、ウォーム減速機であることを特徴とするチェーン巻取り装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のチェーン巻取り装置を用いた重量物設置方法において、重量物を前記壁体の一方の面から隙間を有して吊り下げ、一端側が前記重量物に接続されたチェーンの他端側を前記壁体の前記貫通孔から前記壁体の他方の面側に引き出して前記チェーン巻取り装置の前記開口部から前記スプロケットに掛け渡し、前記筐体の前記当接面を前記壁体の他方の面に当接させて前記逆転防止機能付き減速機の前記駆動軸に前記外部駆動手段を連結し、該外部駆動手段で前記逆転防止機能付き減速機を駆動して前記出力軸を正逆回転させることにより、前記スプロケットに掛け渡された前記チェーンの巻取り及び巻戻しを行い、前記壁体の一方の面に前記重量物の設置面を面合させて固定することを特徴とする重量物設置方法。
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