JPH11315311A - 高炉の取替え用ステ−ブの炉内吊り降し方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 段取りが簡単でまた、過酷な高熱重筋作業を
回避することのできるステ−ブの炉内取り込み、吊り降
し方法を提供する。 【解決手段】 高炉の上部シャフトにステ−ブ２の炉内
取り込み用開口部１１を設けその上方に第２のホイスト
１３を設け、また前記開口部位置より上方に第１のホイ
ストの巻き上げワイヤ−１５，１６を案内する案内筒１
０を設けるとともに案内筒の上方に第１のホイスト１２
を設ける。第１および第２のホイスト、案内筒および開
口部を活用して取替え用ステ−ブを下方のステ−ブ取替
え個所に吊り降ろすことを特徴とする高炉の取替え用ス
テ−ブの炉内吊り降し方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高炉鉄皮を保護す
るステ−ブの取替えの際、取替え用ステ−ブを炉内に取
り込み、取替え位置まで吊り降ろす方法に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】高炉鉄皮を保護するためにシャフトおよ
び朝顔部に、冷却管を鋳ぐるんだ鋳造金属部に炉内耐火
物を取付けたステ−ブ（ステ−ブク−ラ−という）が取
り付けられている。前記部位に取付けられたステ−ブ
は、熱負荷が高く、降下する高炉原料等に接触している
ので期間の経過とともに損耗する。

【０００３】長期間使用したステ−ブは損耗が進み、鉄
皮にかかる熱負荷が増し不均一な熱歪みにより終には鉄
皮に亀裂が発生する。亀裂が生じるとガス漏れ等のトラ
ブルを起こすので、炉体診断に基づいて損耗の著しいス
テ−ブを取替えることになる。

【０００４】このステ−ブの取替え方法が、特開昭６０
−９８１０号に記載されている。この公報の第３図に取
替え用ステ−ブの炉内取り込み、吊り降ろし方法が示さ
れている。

【０００５】この方法は、炉頂マンテル周りの作業床上
に少なくとも３台のガイドワイヤ−または昇降ワイヤ−
を有する昇降装置（電動ウインチ）を適宜個所に配設
し、複数本のガイドワイヤ−の先端部を炉頂マンテンル
に設けた複数の開口部から炉内に取り入れ、それらを炉
内を移動して反対側の開口部から反対側の作業床上に取
り出し、一方前記作業床の内上方の作業床に設置した昇
降装置から昇降ワイヤ−を作業床に降ろし、その作業床
に運び上げた取替え用ステ−ブに前記ガイドワイヤ−お
よび昇降ワイヤ−の先端を係止した後、前記ガイドワイ
ヤ−または昇降ワイヤ−を有する昇降装置（電動ウイン
チ）を操作して前記取替え用ステ−ブを反対側の開口部
から炉内に取り込み、吊り降ろすものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記方法は、
炉頂マンテル周りの作業床に重い大型の電動ウインチを
３台以上設置し、しかも２台以上の電動ウインチからガ
イドワイヤ−を巻き戻して該複数本のガイドワイヤ−を
炉頂マンテルに開けた複数の開口部を通して炉内を横断
させ、それらの先端を反対側の開口部から炉外に取り出
し、取替え用ステ−ブに取付けねばならない。このため
段取りに多くの工数と日時を要し、また７〜８ｍの高温
の炉内を長い棒状の専用具を使用して複数本のワイヤ−
を移動させるという過酷な高熱重筋作業を伴うという問
題がある。

【０００７】本発明は、上記の問題を解消し、段取りが
簡単でまた、過酷な高熱重筋作業を回避することのでき
るステ−ブの炉内取り込み、吊り降し方法を提供するこ
とを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を、以
下の方法によって達成する。

【０００９】第１の方法は、高炉の上部シャフトにステ
−ブの炉内取り込み用開口部を設けるとともに該開口部
の上方に第２のホイストを設け、また前記開口部位置よ
り上方に後記第１のホイストの巻き上げワイヤ−を炉外
から炉内に案内するフランジ付き案内筒を設けるととも
に該案内筒の上方に第１のホイストを設け、第１のホイ
ストの巻き上げワイヤ−を前記案内筒から炉内を経由し
て前記炉内取り込み用開口部より炉外に取り出し、第１
のホイストの巻き上げワイヤ−と第２のホイストの巻き
上げワイヤ−を取替え用ステ−ブに取付けた後、前記第
１のホイストと第２のホイストを操作して該ステ−ブを
前記開口部を通して炉内に入れた後、第２のホイストの
巻き上げワイヤ−を取り外し第１のホイストを操作して
下方のステ−ブ取替え個所に吊り降ろす高炉の取替え用
ステ−ブの炉内吊り降し方法である。

【００１０】第２の方法は、高炉の上部シャフト周りに
第１のホイストを取付け、該第１のホイストの下方のシ
ャフトに第１のホイストの巻き上げワイヤ−を炉外から
炉内に案内する複数のフランジ付き案内筒を設け、該フ
ランジ付き案内筒の下方にステ−ブの炉内取り込み用開
口部を設け、該開口部の上方のシャフト周りにガイドレ
−ルを設けるとともに該ガイドレ−ルに複数の第２のホ
イストを取付け、前記第１のホイストの巻き上げワイヤ
−を前記案内筒、炉内を経由して前記開口部から炉外に
取り出し、第１のホイストの巻き上げワイヤ−と第２の
ホイストの巻き上げワイヤ−を取替え用ステ−ブに取付
けた後、前記第１のホイストと第２のホイストを操作し
て該ステ−ブを前記開口部を通して炉内に入れた後、第
２のホイストの巻き上げワイヤ−を取り外し第１のホイ
ストを操作して下方のステ−ブ取替え個所に吊り降ろす
ことを特徴とする高炉の取替え用ステ−ブの炉内吊り降
し方法である。

【００１１】「作用」高炉の上部シャフトの鉄皮および
耐火レンガを通して予め開けてある穴の盲フランジを取
り外してこの穴にフランジ付き案内筒を装着し、この穴
の近くに予め取付けてある第１のホイストの巻き上げワ
イヤ−を前記フランジ付き案内筒、炉内を経由して下方
の開口部から前記ワイヤ−の先端部を炉外に取り出し取
替え用ステ−ブに取付け、その近傍の上方に予め取付け
てある第２のホイストの巻き上げワイヤ−の先端部を前
記取替え用ステ−ブに取付けるものであるから前記従来
方法に比し段取りに要する時間を大幅に短縮できる。

【００１２】また、第１のホイストの巻き上げワイヤ−
を前記開口部にもたらす方法は、第１のホイストを巻き
戻すだけであるから前記した従来方法の過酷な高温重筋
作業を無くすことができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明方法を図面に基づいて以下
に説明する。

【００１４】図１は、本発明方法の概要説明図である。
図は縦断面で示してある。１は高炉の鉄皮、２は朝顔、
炉腹および下部シャフトの鉄皮を保護するために取付け
られたステ−ブである。３は上部シャフトの鉄皮を保護
するために取付けられたステ−ブ、または耐火物、５は
朝顔と炉腹との境界レベル周りに設けられた環状管であ
る。４ａ〜４ｃは上部シャフト周りに設けられた作業
床、４ｄ，４ｅは朝顔周りに設けられた作業床である。

【００１５】取替え用ステ−ブを炉内に入れるための開
口部１１が、上部シャフトの作業床４ｃレベルの鉄皮１
を切り欠き、当該部位のステ−ブを取り外して設けてあ
る。この開口部１１は、高炉朝顔部の内周に取付けられ
たどの位置のステ−ブ２でも取替えできるように、前記
上部シャフトの周りに間隔を空けて複数個設けられてい
る。開口部１１の上方位置で、かつシャフトの周りにガ
イドレ−ル１４が設けられている。このガイドレ−ル１
４に複数台の第２のホイスト１３（電動ホイストが好ま
しい。）が取付けられている。

【００１６】図２に示すように、ガイドレ−ル１４の直
上の作業床４ｂレベルのシャフト周りにフランジ付き案
内筒１０を炉外から炉内に挿入するための貫通孔１８が
形成されている。この貫通孔１８の炉外側に前記フラン
ジ付き案内筒１０を取付けるためのフランジ付き短管１
７が鉄皮１に固着してある。これら貫通孔１８およびフ
ランジ付き短管１７が、前記開口部１１の上方に複数設
けられている。

【００１７】フランジ付き案内筒１０は、図２に示すよ
うに、前記貫通孔１８の内径より若干小さい外径の管体
１０ｃ、その一端に固着されたフランジ１０ｄおよび管
体１０ｃの内部でフランジ側の上部位置と反フランジ側
端部の下部位置に、ワイヤ−のガイドシ−ブ１０ａ、１
０ｂが設けられている。フランジ付き案内筒１０は、貫
通孔１８に管体１０ｃを挿入しフランジ１０ｄを短管１
７のフランジにボルト締めして鉄皮１に取付けられる。
なお、管体１０ｃは、必ずしも管状のものである必要は
なく、フランジ１０ｄに複数本の形鋼の一端を固着し、
この形鋼にガイドシ−ブ１０ａ，１０ｂを取付けた構造
にしてもよい。

【００１８】１２は、作業床４ｂの上部の梁等に取付け
られた第１のホイスト（電動チェ−ンブロクでも可）で
ある。

【００１９】なお、上記実施の形態の別の例として、ガ
イドレ−ル１４を設けず、開口部１１の上方の架構に第
２のホイスト１３を取付けてもよい。また、ガイドレ−
ル１４は、ステ−ブの取替え範囲に応じて対応する範囲
に円弧状に取付けてもよい。

【００２０】次に本発明方法を使用して行う朝顔部のス
テ−ブの取替え方法を説明する。高炉操業中は、上部シ
ャフト周りに形成された各貫通孔１８は耐火物が充填さ
れ、短管１７のフランジに盲フランジが取付けられてい
る、また各開口部１１はステ−ブと鉄皮で塞がれてい
る。ステ−ブの取替えに先立ち、図１に示す朝顔位置の
損耗したステ−ブの下方まで装入物レベルが下げられて
いる。

【００２１】（１）ステ−ブ取替え位置に相当する貫通
孔１８の盲フランジが取り外し、その内部の耐火物を除
去する。貫通孔１８に案内筒１０を挿入し、そのフラン
ジ１０ｄを短管１７のフランジにボルト固定する。

【００２２】（２）開口部１１の鉄皮とステ−ブを取り
外す。

【００２３】（３）第１のホイスト１２の巻き上げワイ
ヤ−１５の先端部（フック１５ａを含む）を図２に示す
ようにガイドシ−ブ１０ａ，１０ｂに掛け渡し、炉内を
降下させフック１５ａを開口部１１位置に降ろす。引き
掛け金具を前記フック１５ａに引っかけ作業床４ｃに引
き出し、フック１５ａを図３に示すようにフック掛け金
具２５の係合穴の一つに掛ける。フック掛け金具２５が
炉内に移動しないように適宜手段で固定しておく。

【００２４】（４）第２のホイスト１３の巻き上げワイ
ヤ−の先端フックを前記フック掛け金具２５の他の係合
穴に掛ける。予め、作業床４ｃに運び上げてある取替え
用ステ−ブ２ａのアイボルト２１に吊りワイヤ−を通
し、シャックル２４によりフック掛け金具２５に連結す
る。

【００２５】（５）フック掛け金具２５の固定手段を解
き、ホイスト１２および１３を操作して取替え用ステ−
ブ２ａを炉内に入れる。：図１参照。

【００２６】（６）引き掛け金具により第２のホイスト
１３の巻き上げワイヤ−１６を取替え用ステ−ブ２ａか
ら取り外す。

【００２７】（７）第１のホイスト１２を操作して巻き
上げワイヤ−１５を用い、取替え用ステ−ブ２ａを予め
損耗ステ−ブを取り外してある朝顔位置まで吊り降ろ
す。なお、工程（６）および（７）において、第２のホ
イスト１３の巻き上げワイヤ−１６をステ−ブに付けた
まま、ワイヤ−１５とともに吊り降ろし、ワイヤ−１６
をステ−ブから取り外す時間を短縮することもできる。
損耗ステ−ブを取り外してある部位の鉄皮には、図４に
示すようにその上部鉄皮に穴４３が空けてある。なお、
４２はステ−ブの給排水管取付け穴、４１はボルト取付
け穴である。

【００２８】（８）取替え用ステ−ブ２ａの上部の植え
込みボルト２ｃと下部の給排水管に取付けてある引き込
みワイヤ−２６，２６を引き寄せ金具によりボルト穴４
１および給排水管取付け穴４２から鉄皮の外に引き出
し、チェ−ンブロック等を使用して植え込みボルト２ｃ
と給排水管２ｂを鉄皮の外に引き出す。植え込みボルト
２ｃをナット締めし、取替え用ステ−ブ２ａを鉄皮に取
付ける。

【００２９】（９）穴４３から切断手段を挿入し、吊り
ワイヤ−２３を切断する。ホイスト１２を操作し巻き上
げワイヤ−１５を巻き取る。あるいは、シャックル２４
の構造を吊りワイヤ−２３を引っ張るだけで吊りワイヤ
−２３がシャックル２４から外れるようにすれば、さら
に時間を短縮することができる。

【００３０】他の損耗ステ−ブについて上記（１）〜
（９）の工程を実施し、全ての損耗ステ−ブの取替えが
終了したら、各個所の案内筒１０を取り外し、貫通孔１
８に耐火物を充填し短管１７のフランジに盲フランジを
取付け、各開孔部にステ−ブと鉄皮を取付ける。

【００３１】本発明方法を実施した結果、同一休風時間
に換算すると従来方法の３倍の枚数のステ−ブが取替え
できることがわかった。

【００３２】

【発明の効果】本発明方法によれば、 （１）複数台のウインチを炉頂マンテル周りに運びあげ
る従来方法に比較して取替えおよび段取りに要する時間
を大幅に短縮することができる。 （２）円弧状または環状に配設したガイドレ−ルを使用
して取替え用ステ−ブを作業床の所定位置に運搬して複
数個所で並行してステ−ブの取替え作業ができる。

【００３３】従って、同一休風時間で約３倍の枚数のス
テ−ブを取替えることができ、また従来方法の過酷な高
温重筋作業を無くすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法の概要説明図である。

【図２】本発明方法の実施に使用する案内筒の取付け状
態を示す断面図である。

【図３】本発明における２台のホイストの巻き上げワイ
ヤ−を取替え用ステ−ブに取付けた状態を示す断面図で
ある。

【図４】ステ−ブを取付けるための取付けボルト等の各
種穴を示す鉄皮の一部平面図である。

【図５】取替え用ステ−ブを鉄皮側に引き寄せる方法を
説明する側面図である。

【符号の説明】

１ 鉄皮 ２ ステ−ブ ２ａ 取替え用ステ−ブ １０ フランジ付き案内筒 １０ａ，１０ｂ ガイドシ−ブ １０ｃ 管体 １０ｄ フランジ １１ 開口部 １２ 第１のホイスト １３ 第２のホイスト １４ ガイドレ−ル １５，１６ 巻き上げワイヤ １８ 貫通孔

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高炉の上部シャフトにステ−ブの炉内取
   り込み用開口部を設けるとともに該開口部の上方に第２
   のホイストを設け、また前記開口部位置より上方に後記
   第１のホイストの巻き上げワイヤ−を炉外から炉内に案
   内するフランジ付き案内筒を設けるとともに該案内筒の
   上方に第１のホイストを設け、第１のホイストの巻き上
   げワイヤ−を前記案内筒から炉内を経由して前記炉内取
   り込み用開口部より炉外に取り出し、第１のホイストの
   巻き上げワイヤ−と第２のホイストの巻き上げワイヤ−
   を取替え用ステ−ブに取付けた後、前記第１のホイスト
   と第２のホイストを操作して該ステ−ブを前記開口部を
   通して炉内に入れた後、第２のホイストの巻き上げワイ
   ヤ−を取り外し第１のホイストを操作して下方のステ−
   ブ取替え個所に吊り降ろすことを特徴とする高炉の取替
   え用ステ−ブの炉内吊り降し方法。
2. 【請求項２】 高炉の上部シャフト周りに第１のホイス
   トを取付け、該第１のホイストの下方のシャフトに第１
   のホイストの巻き上げワイヤ−を炉外から炉内に案内す
   る複数のフランジ付き案内筒を設け、該フランジ付き案
   内筒の下方にステ−ブの炉内取り込み用開口部を設け、
   該開口部の上方のシャフト周りにガイドレ−ルを設ける
   とともに該ガイドレ−ルに複数の第２のホイストを取付
   け、前記第１のホイストの巻き上げワイヤ−を前記案内
   筒、炉内を経由して前記開口部から炉外に取り出し、第
   １のホイストの巻き上げワイヤ−と第２のホイストの巻
   き上げワイヤ−を取替え用ステ−ブに取付けた後、前記
   第１のホイストと第２のホイストを操作して該ステ−ブ
   を前記開口部を通して炉内に入れた後、第２のホイスト
   の巻き上げワイヤ−を取り外し第１のホイストを操作し
   て下方のステ−ブ取替え個所に吊り降ろすことを特徴と
   する高炉の取替え用ステ−ブの炉内吊り降し方法。