JP6916484B2 - アシルホスフィンの製造方法 - Google Patents

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本発明は、アシルホスフィンの製造方法に関する。
モノアシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシドは、エチレン性不飽和化合物の光重合における反応開始剤として、広く利用されている。一方、アシルホスフィンは、アシルホスフィンオキシドを得るための中間体として知られており、当該アシルホスフィンの製造方法としては、例えば、ハロゲン化リンを、アルカリ金属などの存在下、酸ハロゲン化物と反応させる方法が知られている(特許文献1および2)。
特表2002−531460号公報 特表2006−528153号公報
しかし、上記の特許文献1および2に記載されているアシルホスフィンの製造方法は、長い反応時間を必要とするため生産効率が悪い。さらに、金属ナトリウム、金属リチウム、有機リチウム化合物といった禁水性および自然発火性物質を使用することが必要であり、また、100℃を超える高温などの過酷な反応条件を避けることができないという問題があった。
したがって、アシルホスフィンを工業的なスケールで大量生産を行う観点から、より高い生産効率および安全性を有するアシルホスフィンの製造方法が切望されている。
本発明は、上記の実情を鑑みてなされたものであり、より高い生産効率(高収率または短い反応時間)および安全性(穏和な反応条件)を有するアシルホスフィンおよびアシルホスフィンオキシドの製造方法を提供するものである。
本発明は、一般式(1):
Figure 0006916484
(一般式(1)中、nは1または2であり、R、R、およびRはそれぞれ独立して、炭素数1から18のアルキル基、炭素数3から12のシクロアルキル基、炭素数6から20の芳香環、または3から12員環を有する複素環であり、前記アルキル基、前記シクロアルキル基、前記芳香環、および前記複素環は、無置換であってもよく、炭素数1から18の、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシロキシ基、炭素数2から18のアルケニル基、炭素数3から12のシクロアルキル基、炭素数6から20の芳香環、3から12員環を有する複素環、およびハロゲンのいずれか1つ以上で置換されていてもよい。)で表されるアシルホスフィンの製造方法であって、
一般式(2):
Figure 0006916484
(一般式(2)中、R、R、およびnは前記同様であり、Xはハロゲン原子である。)で表されるハロゲン化リンを、金属亜鉛の存在下、
一般式(3):
Figure 0006916484
(一般式(3)中、R、およびXは前記同様である。)で表される酸ハロゲン化物と反応させる工程を含むことを特徴とするアシルホスフィンの製造方法、に関する。
また、本発明は、前記一般式(1)が、一般式(1´):
Figure 0006916484
で表される2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンの製造方法であって、
前記一般式(2)が、一般式(2´):
Figure 0006916484
(一般式(2´)中、Xは前記同様である。)で表されるハロゲン化ジフェニルホスフィンを、金属亜鉛の存在下、
前記一般式(3)が、一般式(3´):
Figure 0006916484
(一般式(3´)中、Xは前記同様である。)で表される2,4,6−トリメチルベンゾイルハロゲン化物と反応させる工程を含むことを特徴とする前記アシルホスフィンの製造方法、に関する。
さらに、本発明は、前記一般式(1)が、一般式(1´´):
Figure 0006916484
で表されるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンの製造方法であって、
前記一般式(2)が、一般式(2´´):
Figure 0006916484
(一般式(2´´)中、Xは前記同様である。)で表されるジハロゲン化フェニルホスフィンを、金属亜鉛の存在下、
前記一般式(3)が、一般式(3´´):
Figure 0006916484
(一般式(3´´)中、Xは前記同様である。)で表されるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ハロゲン化物と反応させる工程を含むことを特徴とする前記アシルホスフィンの製造方法、に関する。
本発明のアシルホスフィンの製造方法は、ハロゲン化リンを、金属亜鉛で還元して、酸ハロゲン化物と反応させる製造方法であり、上記の特許文献1および2で開示された金属ナトリウム、金属リチウム、有機リチウム化合物といった禁水性および自然発火性物質を使用せず、より高い生産効率(高収率または短い反応時間)および安全性(穏和な反応条件)を有する製造方法であるため、アシルホスフィンの工業的なスケールでの大量生産(製造量の向上および製造コストの低減)に有利である。また、得られたアシルホスフィンは、公知の酸化方法により、光重合反応開始剤として有用なアシルホスフィンオキシドを製造することができる。
本発明は、一般式(1):
Figure 0006916484
(一般式(1)中、nは1または2であり、R、R、およびRはそれぞれ独立して、炭素数1から18のアルキル基、炭素数3から12のシクロアルキル基、炭素数6から20の芳香環、または3から12員環を有する複素環であり、前記アルキル基、前記シクロアルキル基、前記芳香環、および前記複素環は、無置換であってもよく、炭素数1から18の、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシロキシ基、炭素数2から18のアルケニル基、炭素数3から12のシクロアルキル基、炭素数6から20の芳香環、3から12員環を有する複素環、およびハロゲンのいずれか1つ以上で置換されていてもよい。)表されるアシルホスフィンの製造方法であって、
一般式(2):
Figure 0006916484
(一般式(2)中、R、R、およびnは前記同様であり、Xはハロゲン原子である。)で表されるハロゲン化リンを、金属亜鉛の存在下、
一般式(3):
Figure 0006916484
(一般式(3)中、R、およびXは前記同様である。)で表される酸ハロゲン化物と反応させる工程を含むことを特徴とするアシルホスフィンの製造方法である。
前記炭素数1から18のアルキル基は、直鎖または分岐状であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられ、これらの中でもメチル基、エチル基、tert−ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。また、前記アルキル基の炭素数は、ラジカル発生効率(分子量あたりの発生ラジカル量)の観点から、1〜12であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。
前記炭素数3から12のシクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基などが挙げられ、これらの中でも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
前記炭素数6から20の芳香環は、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基が挙げられ、これらの中でも、フェニル基がより好ましい。
前記3から12員環を有する複素環は、ヘテロ原子として、窒素原子、硫黄原子、および酸素原子のいずれか1つ以上を含むものが好ましく、例えば、フリル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキサニル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホリノ基などが挙げられ、これらの中でも、モルホリノ基が好ましい。
前記アルキル基、前記シクロアルキル基、前記芳香環、および前記複素環は、無置換であってもよいが、炭素数1から18の、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシロキシ基、炭素数2から18のアルケニル基、炭素数3から12のシクロアルキル基、炭素数6から20の芳香環、3から12員環を有する複素環、およびハロゲンのいずれか1つ以上で置換されていてもよい。なお、当該炭素数1から18のアルキル基、炭素数3から12のシクロアルキル基、炭素数6から20の芳香環、または3から12員環を有する複素環は、上記同様のものが例示できる。
前記炭素数1から18のアルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、2,4,4−トリメチルペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、ナフチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられ、これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。また、前記アルコキシ基の炭素数は、ラジカル発生効率(分子量あたりの発生ラジカル量)の観点から、1〜12であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。
前記炭素数1から18のアルキルアミノ基は、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、ジ−2,4,4−トリメチルペンチルアミノ基、ジ(2−エチルヘキシル)アミノ基、ジオクチルアミノ基などが挙げられ、これらの中でも、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が好ましく、ジエチルアミノ基がより好ましい。また、前記アルコキシ基の炭素数は、ラジカル発生効率(分子量あたりの発生ラジカル量)の観点から、1〜12であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。
前記炭素数1から18のアシル基は、例えば、アセチル基、エタノイル基、プロパノイル基、イソプロパノイル基、n−ブタノイル基、sec−ブタノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、2,4,4−トリメチルペンタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基、ベンゾイル基、フェニルベンゾイル基などが挙げられ、これらの中でも、アセチル基、ベンゾイル基が好ましく、ベンゾイル基がより好ましい。また、前記アシル基の炭素数は、ラジカル発生効率(分子量あたりの発生ラジカル量)の観点から、1〜12であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。
前記炭素数1から18のアシロキシ基は、例えば、アセチルオキシ基、エタノイルオキシ基、プロパノイルオキシ基、イソプロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、sec−ブタノイルオキシ基、イソブタノイルオキシ基、tert−ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、2,4,4−トリメチルペンタノイルオキシ基、2−エチルヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、デカノイルオキシ基、ウンデカノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、テトラデカノイルオキシ基、ペンタデカノイルオキシ基、ヘキサデカノルオキシ基、ヘプタデカノイルオキシ基、オクタデカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、フェニルベンゾイルオキシ基などが挙げられ、これらの中でも、アセチルオキシ基、tert−ブタノイルオキシ基が好ましく、アセチルオキシ基がより好ましい。また、前記アシロキシ基の炭素数は、ラジカル発生効率(分子量あたりの発生ラジカル量)の観点から、1〜12であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。
前記炭素数2から18のアルケニル基は、直鎖または分岐状であり、例えば、エテニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、n−ブテニル基、sec−ブテニル基、イソブテニル基、tert−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、2,4,4−トリメチルペンテニル基、2−エチルヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基などが挙げられ、これらの中でも、プロペニル基、n−ブテニル基が好ましく、n−ブテニル基がより好ましい。また、前記アルケニル基の炭素数は、ラジカル発生効率(分子量あたりの発生ラジカル量)の観点から、2〜12であることが好ましく、2〜6であることがより好ましい。
前記ハロゲンは、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などが挙げられる。
前記アシルホスフィンの製造方法において、前記一般式(1)中、nが1(モノアシルホスフィン)の場合、ラジカル発生効率(分子量あたりの発生ラジカル量)の観点から、前記R、Rおよび前記Rは、それぞれ独立して、炭素数1から12のアルキル、シクロヘキシル基、フェニル基、ビフェニル基であることが好ましく、当該フェニル基、ビフェニル基は、非置換であってもよく、あるいは、1個〜4個の、炭素数1から18のアルキル基および/または炭素数1から8のアルコキシ基で置換されていてもよい。
また、前記一般式(1)中、nが2の場合、前記Rおよび前記Rは、それぞれ独立して、炭素数1から12のアルキル、シクロヘキシル基、フェニル基、ビフェニル基であることが好ましく、当該フェニル基、ビフェニル基は、非置換であってもよく、あるいは、1個〜4個の、炭素数1から8のアルキル基および/または炭素数1から8のアルコキシ基で置換されていてもよい。
前記アシルホスフィンの製造方法において、前記一般式(1)が、一般式(1´):
Figure 0006916484
で表される2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィン、または前記一般式(1)が、一般式(1´´):
Figure 0006916484
で表されるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンであることが好ましい。
前記XはF原子、Cl原子、Br原子、I原子などのハロゲン原子であり、Cl原子が好ましい。
前記アシルホスフィンの製造方法において、前記金属亜鉛は、その形状が特に限定されるものではないが、例えば、粉末、粒状、花状、棒状、砂状、大粒、塊状などが挙げられ、粉末が好ましい。
前記金属亜鉛は、前記一般式(2)で表されるハロゲン化リン1当量(ハロゲン基準)に対して、0.1〜30当量使用することが好ましく、0.5〜20当量で使用することがより好ましく、1〜10当量で使用することがさらに好ましい。なお、前記一般式(1)中、nが1であるモノアシルホスフィンを製造する場合、前記金属亜鉛は、前記ハロゲン化リンに対して、1〜1.5当量で使用することがとくに好ましい。また、前記一般式(1)中、nが2であるビスアシルホスフィンを製造する場合、前記金属亜鉛は、前記ハロゲン化リンに対して、2〜3当量で使用することがとくに好ましい。
前記一般式(3)で表される酸ハロゲン化物は、前記一般式(2)で表されるハロゲン化リン(ハロゲン基準)1当量に対して、0.1〜60当量で反応させることが好ましく、0.5〜30当量で反応させることがより好ましく、1〜10当量で反応させることがさらに好ましい。なお、前記一般式(1)中、nが1であるモノアシルホスフィンを製造する場合、前記酸ハロゲン化物は、前記ハロゲン化リンに対して、1〜3当量で反応させることがとくに好ましい。また、前記一般式(1)中、nが2であるビスアシルホスフィンを製造する場合、前記酸ハロゲン化物は、前記ハロゲン化リンに対して、2〜6当量で反応させることがとくに好ましい。
前記アシルホスフィンの製造方法は、無溶媒で行うこともできるが、有機溶媒の存在下で行ってもよい。
前記有機溶媒は、極性または非極性の有機溶媒を特に制限なく用いることができる。前記有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、シクロペンタン、石油エーテル、パラフィン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグリム、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、またはこれらの混合溶媒が挙げられ、これらの中でも、酢酸エチルが好ましい。
前記有機溶媒の使用量は、通常、原料の合計量100質量部に対して、10〜1000質量部程度である。
前記アシルホスフィンの製造方法は、常圧下で、空気下で行うことができるが、窒素気流下、または窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
前記アシルホスフィンの製造方法において、反応温度は、−20℃から180℃であることが好ましく、0℃から60℃であることがより好ましいが、アシルホスフィンの工業的なスケールでの大量生産の観点から、40℃以下、好ましくは30℃以下の穏和な温度条件で行うこともできる。
前記アシルホスフィンの製造方法において、反応時間は、原料や反応温度などによって異なるので一概には決定できないが、通常、目的物の収率性を高める観点から、10分以上24時間以下であるが、アシルホスフィンの工業的なスケールでの大量生産の観点から、5時間以下、好ましくは3時間以下の短い時間で行うこともできる。
前記アシルホスフィンの製造方法において、一般式(4):
Figure 0006916484
(一般式(4)中、n、R、R、およびRは、前記同様である。)で表されるアシルホスフィンオキシドを得るために、酸化剤(例えば、過酸化水素、有機ペルオキシ化合物、過酢酸、空気、酸素など)によりアシルホスフィンを酸化する工程を設けることができる。また、当該アシルホスフィンを酸化する工程は、前記有機溶媒中で行うことが好ましく、反応温度は、通常−20〜80℃であることが好ましい。
また、前記アシルホスフィンの製造方法において、必要に応じ、余剰の原料や副生物を除去するために、例えば、イオン交換水や、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液を用いて洗浄し、目的物を精製する工程;目的物を乾燥する工程;有機溶媒などを留去して目的物を濃縮する工程;反応後の溶液に貧溶媒を添加してから冷却することによって目的物を析出させる工程などを設けることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例において、使用した原料は以下の通りである。
クロロジフェニルホスフィン:東京化成工業(株)製
ジクロロフェニルホスフィン:東京化成工業(株)製
2,4,6−トリメチルベンゾイルクロリド:東京化成工業(株)製
酢酸エチル:和光純薬工業(株)製、試薬特級
亜鉛粉末:関東化学(株)製、鹿特級
30%過酸化水素水溶液:東京化成工業(株)製
<実施例1>
<2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドの合成>
よく乾燥させた200mL四つ口フラスコに亜鉛粉末の3.14g(48mmol)をはかり取り、窒素ガスを充填した。酢酸エチルの60mLとクロロジフェニルホスフィンの7.4mL(40mmol)と2,4,6−トリメチルベンゾイルクロリドの8.0mL(48mmol)を順次加え、20℃で勢いよく1時間撹拌した。続いて氷浴で0℃に冷却し、炭酸水素ナトリウムの4.03g(48mmol)を加えたあと、30%過酸化水素水溶液の5.44g(48mmol)を一滴ずつ20分かけて滴下し、20℃で30分撹拌した。反応終了後、桐山漏斗で吸引ろ過し、酢酸エチルとイオン交換水で固形物をよく洗浄した。二層となったろ液の酢酸エチル層と水層を分液し、酢酸エチル層に硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。10分後、硫酸ナトリウムを自然ろ過で除去し、エバポレーターで溶媒を除去し、粗生成物16.26gを得た。H−NMRおよび31P−NMRにより、得られた粗生成物に2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが含まれていることを確認した。また、得られた粗生成物中の当該化合物(当該化合物の純度)は、内標物質を用いたHPLC測定(装置:HEWLETTPACKARD SERIES1100、カラム:TOSOH TSKgel ODS−120A(5)、溶離液:MeCN/HO=60/40(5min)→MeCN/HO=100/0(30min)→MeCN/HO=100/0(40min)、温度:30℃)による定量により、80.8重量%であった。よって、当該化合物の収率は、94.2%であった。
<実施例2>
<ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドの合成>
よく乾燥させた200mL四つ口フラスコに亜鉛粉末の6.28g(96mmol)をはかり取り、窒素ガスを充填した。酢酸エチルの60mLとジクロロフェニルホスフィンの5.4mL(40mmol)と2,4,6−トリメチルベンゾイルクロリドの15.9mL(96mmol)を順次加え、20℃で勢いよく1時間撹拌撹拌した。続いて氷浴で0℃に冷却し、炭酸水素ナトリウムの8.06g(96mmol)を加えたあと、30%過酸化水素水溶液の5.44g(48mmol)を一滴ずつ20分かけて滴下し、20℃で30分撹拌した。反応終了後、桐山漏斗で吸引ろ過し、酢酸エチルとイオン交換水で固形物をよく洗浄した。二層となったろ液の酢酸エチル層と水層を分液し、酢酸エチル層に硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。10分後、硫酸ナトリウムを自然ろ過で除去し、エバポレーターで溶媒を除去し、粗生成物11.90gを得た。H−NMRおよび31P−NMRにより、得られた粗生成物にビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドが含まれていることを確認した。また、得られた粗生成物中の当該化合物(当該化合物の純度)は、内標物質を用いたHPLC測定(装置:HEWLETTPACKARD SERIES1100、カラム:TOSOH TSKgel ODS−120A(5)、溶離液:MeCN/HO=60/40(5min)→MeCN/HO=100/0(30min)→MeCN/HO=100/0(40min)、温度:30℃)による定量により、90.0重量%であった。よって、当該化合物の収率は、64.0%であった。
上記の実施例の製造方法と、比較例として、先行技術文献にかかる特許文献1(特表2002−531460号公報)の実施例14と実施例1、特許文献2(特表2006−528153号公報)の実施例1の製造方法の対比について以下の表1に示す。
Figure 0006916484
実施例のアシルホスフィンおよびアシルホスフィンオキシドの製造方法は、先行技術文献に開示された製造方法に比して、より高い生産効率(高収率または短い反応時間)および安全性(穏和な反応条件)を有することが明らかである。

Claims (2)

  1. 一般式(1´):
    Figure 0006916484
    で表される2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンの製造方法であって、
    一般式(2´):
    Figure 0006916484
    (一般式(2´)中、Xはハロゲン原子である。)で表されるハロゲン化ジフェニルホスフィンを、金属亜鉛の存在下、
    一般式(3´):
    Figure 0006916484
    (一般式(3´)中、Xはハロゲン原子である。)で表される2,4,6−トリメチルベンゾイルハロゲン化物と反応させる工程を含むことを特徴とするアシルホスフィンの製造方法。
  2. 一般式(1´´):
    Figure 0006916484
    で表されるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンの製造方法であって、
    一般式(2´´):
    Figure 0006916484
    (一般式(2´´)中、Xはハロゲン原子である。)で表されるジハロゲン化フェニルホスフィンを、金属亜鉛の存在下、
    一般式(3´´):
    Figure 0006916484
    (一般式(3´´)中、Xはハロゲン原子である。)で表されるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ハロゲン化物と反応させる工程を含むことを特徴とするアシルホスフィンの製造方法。
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