<ロッカー装置の概念>
まず、本実施例に係るロッカー装置の概念について説明する。図1は、本実施例に係るロッカー装置の概念を示す図である。図1に示すロッカー装置10は、利用者が物品を預け入れる時間貸しの収納部を複数有する。
利用者がロッカー装置10の収納部に物品を預け入れて扉を閉めると、ロッカー装置10は収納部を施錠し(S1)、解錠番号を発行する(S2)。この解錠番号は、ランダムな番号が自動的に生成され、レシートに印字される。利用者は解錠番号が印字されたレシートを受け取り、物品の取出し時に使用することになる。
ここで、物品が取り出されることなく所定の期間を超えた場合や、収納部に異常が発生した場合などには、管理者が収納部を開けて物品の確認などを行う必要が生ずる。そのため、ロッカー装置10は管理者による強制解錠操作を受け付けると(S3)、指定された収納部の解錠(S4)を行う機能を備えている。
管理者は、強制解錠を行って物品の確認などを行った後、物品を再び収納部に預け入れる再預入を行うが、このときに通常の預入と同様にランダムな解錠番号を発行すると、利用者が受け取った解錠番号と相違し、利用者が物品の受取りを行うことができなくなる。
このため、ロッカー装置10は、強制解錠後に物品の再預入を受け付けた場合には、収納部を施錠する(S5)とともに、管理者による解錠番号設定を受け付ける(S6)。この解錠番号設定では、任意の番号を解錠番号として設定可能であり、利用者による預入時に発行された解錠番号と同一の解錠番号を設定することができる。
従って、利用者がレシートに印字された解錠番号を入力すると、ロッカー装置10は解錠番号を受け付けて(S7)、対応する収納部を解錠し(S8)、利用者による物品の取出しが可能となる。
なお、解錠番号は任意に設定可能であるため、利用者が受け取った解錠番号と異なるよう設定することもできる。この場合には、利用者が解錠番号を入力しても解錠は行われず、管理者への連絡を促すメッセージを表示する。また、利用者が預け入れた収納部とは異なる収納部に再預入を行うこともできる。この場合には、利用者からの解錠番号の入力を受け付けると再預入先の収納部を解錠し、利用者に収納部が変更になった旨を報知する。
このように、ロッカー装置10は、利用者により物品の預入が行われた場合には解錠番号をランダムに生成して発行するとともに、管理者による強制解錠後に再預入が行われた場合には任意の解錠番号を設定可能であるので、利用者の利便性を損なうことなく、ロッカー装置10を効率的に運用することができる。
<ロッカー装置の構成>
次に、ロッカー装置10の外観構成について説明する。図2は、ロッカー装置10の外観構成を示す外観構成図である。図2に示すように、ロッカー装置10は、収納部L01、L02、L09を含む複数の収納部と、各収納部に対応するロック機構を有する。例えば、ロック機構L01aは、収納部L01を施解錠する機構であり、ロック機構L02aは、収納部L02を施解錠する機構であり、ロック機構L09aは、収納部L09を施解錠する機構である。さらに、ロッカー装置10は、表示操作部11を含むユーザインタフェースを有する。
また、図2に示したロッカー装置10では、複数の収納部は全て同一の形状ではなく、小型の収納部と大型の収納部とがある。大型の収納部は、小型の収納部2つ分の大きさである。ここでは2つの形状の収納部を示したが、3以上の形状の収納部を設けてもよい。
次に、ロッカー装置10の内部構成について説明する。図3は、ロッカー装置10の内部構成を示すブロック図である。図3に示すように、ロッカー装置10は、表示操作部11と、コードリーダ12と、カードリーダ12aと、プリンタ13と、貨幣処理部14と、記憶部15と、主制御部16と、収納制御部17とを有する。また、ロッカー装置10は、収納部L01、L02及びL09を含む複数の収納部を有する。各収納部には、ロック機構(L01a、L02a等)が設けられている。また、図示しないが、各収納部には扉開閉センサが設けられている。扉開閉センサは、対応する収納部の扉が開いているか、閉じているかを検知するセンサである。また、対応する収納部内に所在する物品を検知する物品センサを設けてもよい。物品センサとしては、光学センサ等を用いることができる。
表示操作部11は、タッチパネルディスプレイ等からなり、利用者や管理者への情報表示や各種入力の受付に用いられる。具体的には、表示操作部11は、解錠番号の入力、強制解錠操作の受付、再預入時の解錠番号の設定操作などに用いることができる。
コードリーダ12は、解錠番号の代わりに二次元コード等の解錠用データを用いる場合に解錠用データを読み取るユニットであり、二次元コード等を撮像するカメラと画像処理部によって構成する。カードリーダ12aは、カードに記憶された解錠用データをカードから読み取る場合等に使用するユニットである。
プリンタ13は、解錠番号を印字したレシートを発行するためのユニットである。また、プリンタ13は、管理者による操作の結果を出力する場合にも用いられる。貨幣処理部14は、貨幣の収納と払出を行うユニットである。記憶部15は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスである。記憶部15は、収納管理データ15a及び報知管理データ15bを記憶する。
収納制御部17は、ロック機構(L01a及びL02a等)の動作を制御するとともに、ロック機構(L01a及びL02a等)や扉開閉センサ等からの出力を取得することで、各収納部の状態を制御及び監視する処理部である。
主制御部16は、ロッカー装置10を全体制御する制御部であり、解錠用データ生成部16a、決済処理部16b、施解錠制御部16c、強制解除処理部16d、解錠用データ設定部16e、追加料金設定部16f及び報知制御部16gを有する。
解錠用データ生成部16aは、利用者が収納部に物品を預け入れ、決済処理部16bによる決済が行われたときに、解錠用データを生成する処理部である。解錠用データとしては、数字列である解錠番号や二次元コードを用いることができる。また、解錠用データ生成部16aが生成する解錠用データの代替として、利用者が所持しているカードや携帯端末の識別情報を用いることも可能であるが、本実施例では解錠番号を解錠用データとして用いる場合を例に説明を行う。
解錠用データ生成部16aは、解錠用データをランダムに生成する。このとき、既に生成され、収納管理データ15a又は報知管理データ15bに登録されている解錠用データと同一となることは回避する。例えば、新規に生成した解錠用データが登録済であれば、再生成することとしてもよいし、登録済の解錠用データを除外して新規の解錠用データをランダムに生成してもよい。
解錠用データ生成部16aが解錠用データを生成したならば、プリンタ13は生成された解錠用データを印字したレシートを発行する。このレシートは、利用者による預入の控えとなる。
決済処理部16bは、決済に係る処理を行う処理部である。具体的には、決済処理部16bは、利用者が収納部に物品を預け入れ、施解錠制御部16cにより後述する仮施錠が行われた場合に、表示操作部11に使用料金を表示制御する。そして、貨幣処理部14に貨幣が投入されたならば、投入された貨幣の金額を算定し、使用料金の決済を行う。この決済において、釣銭の払出が必要となったならば、貨幣処理部14に釣銭の金額を通知し、釣銭分の貨幣を払い出させる。また、クレジットカード等のペイメントカードによる決済や電子マネーによる決済を行うことも可能である。
また、決済処理部16bは、利用者が物品を取り出す際に、追加請求が必要であるか否かを判定し、追加請求が必要である場合には、追加請求が必要である旨とその金額を表示操作部11に表示制御することで利用者に報知する。そして、現金、ペイメントカード又は電子マネーなどにより追加請求分の決済が行われたことを条件に、収納部の解錠を許可する。
具体的には、決済処理部16bは、物品の預入から所定の期限を超過している場合には、期限超過による追加請求を行う。例えば、預入時の使用料金が当日分であるならば、預入日からの経過日数に応じた追加請求を行うことになる。また、後述する追加料金設定部16fにより追加料金が設定されている場合には、追加料金分が追加請求の対象となる。なお、期限超過が発生し、かつ追加料金が設定されている場合には、経過日数に応じた料金と追加料金の合計を追加料金の対象とする。
施解錠制御部16cは、収納部の施錠と解錠を制御する処理部である。具体的には、利用者がロッカー装置10の収納部に物品を預け入れて扉を閉めた場合に、施解錠制御部16cは、収納部の仮施錠を行うよう収納制御部17に動作指示を出力する。そして、仮施錠から所定時間を経過するまでに決済処理部16bによる決済が行われたならば、施解錠制御部16cは、収納部の本施錠を行うよう収納制御部17に動作指示を出力する。一方、仮施錠から所定時間を経過するまでに決済処理部16bによる決済が行われなければ、収納部の仮施錠を解除するよう収納制御部17に動作指示を出力する。
また、施解錠制御部16cは、利用者から解錠用データを受け付けた場合には、収納管理データ15aを参照し、追加請求が必要でなければ対応する収納部を解錠するよう収納制御部17に動作指示を出力する。また、追加請求が必要である場合には、決済処理部16bによる許可を受けることを条件として、対応する収納部を解錠するよう収納制御部17に動作指示を出力する。
また、施解錠制御部16cは、収納部の施解錠に伴って収納管理データ15aを更新する処理を行う。収納管理データ15aは、収納部を特定する扉番号に対し、状態、預入日時、解錠用データ、追加料金、サイズ種別、最大収納寸法を対応付けたデータである。施解錠制御部16cは、本施錠の動作指示を出力した場合に、対応する収納部の状態を「0:空」から「1:収納中」に変更し、預入日時及び解除用データを登録する。また、施解錠制御部16cは、解錠の動作指示を出力した場合に、対応する収納部の状態、預入日時、解除用データ及び追加料金をクリアする。なお、状態のクリアとは、状態を「1:収納中」から「0:空」に変更することを言う。
強制解除処理部16dは、管理者による強制解錠操作を受け付けた場合に、指定された収納部を解錠するよう収納制御部17に動作指示を出力する処理部である。強制解除処理部16dによる解錠では、収納管理データ15aの更新は行わない。
解錠用データ設定部16eは、強制解除処理部16dによる強制解錠が行われた後、管理者による再預入が行われた場合に、管理者による解錠用データの設定を受け付ける。解錠用データは、任意に設定可能である。
強制解錠された収納部と再預入先の収納部とが同一である場合、解錠用データ設定部16eは、対応する収納部の解除用データを新たに設定された解錠用データに置き換えて収納管理データ15aを更新する。
強制解錠された収納部と再預入先の収納部とが異なる場合、解錠用データ設定部16eは、強制解錠された収納部の状態、預入日時及び追加料金を再預入先の状態、預入日時及び追加料金に写し、強制解錠された収納部の状態、預入日時をクリアし、再預入先の解除用データとして新たに設定された解錠用データを登録して収納管理データ15aを更新する。
追加料金設定部16fは、管理者が行った作業に対する費用や修理費用などを追加料金として収納管理データ15aに登録することで、利用者による取り出し時に追加料金の徴収を可能とする処理部である。追加料金の入力は、管理者など所定の権限を有する人物により行い、その金額は任意に設定可能である。また、追加料金の内容については後述する報知制御部16gにより報知管理データ15bに登録され、利用者に報知される。
報知制御部16gは、表示操作部11などを用いた報知を制御する処理部である。具体的には、報知制御部16gは、収納部移動、解錠用データ変更又は追加料金の設定が行われた場合に、報知管理データ15bに登録する。
報知管理データ15bは、解錠用データに収納部移動、解錠用データ変更及び追加料金に関する情報を対応付けたデータである。収納部移動とは、強制解錠された収納部と再預入先の収納部とが異なる場合を言い、強制解錠された収納部が移動元、再預入先の収納部が移動先である。
報知管理データ15bは、収納部移動に関する情報として、収納部移動の有無と、移動元の収納部の扉番号と、移動先の収納部の扉番号とを有する。また、報知管理データ15bは、解錠用データに関する情報として、解錠用データ変更の有無と、変更後解錠用データとを有する。解錠用データが変更された場合には、利用者が受け取った解錠用データは収納管理データ15aに登録されておらず、報知管理データ15bのみに登録された状態となる。従って、利用者が受け取った解錠用データを用いても収納部の解錠は行われない。また、報知管理データ15bは、追加料金に関する情報として、追加料金の有無と、内容と、金額とを有する。
報知制御部16gは、報知管理データ15bの登録を行った場合に、その内容をプリンタ13に印字したレシートを発行させる。このレシートは、管理者による作業の控えとなる。
また、報知制御部16gは、利用者から解錠用データを受け付けた場合に報知管理データ15bを参照し、受け付けた解錠用データが登録されている場合には報知事項有りと判定する。報知事項有りと判定した報知制御部16gは、報知管理データ15bに基づいて表示操作部11の表示制御を行うことで利用者への報知を行う。この報知の具体例については後述する。
次に、図3に示した記憶部15が記憶するデータについて説明する。図4は、図3に示した記憶部15が記憶するデータについての説明図である。図4(a)に示すように、収納管理データ15aは、収納部IDである扉番号に、状態、預入日時、解錠用データ、追加料金、サイズ種別及び最大収納寸法を対応付けたデータである。図4(a)では、扉番号が「05」であり、状態が「1:収納中」であり、預入日時が「2017 06/13 10:30」であり、解錠用データが「1234」であり、追加料金が「500」であり、サイズ種別が「小」であり、最大収納寸法が「H400×W340×D570」である状態を示している。収納管理データ15aは、ロッカー装置10が有する各収納部について、同様のデータを有する。なお、状態としては、「0:空」と「1:収納中」の他に「9:故障中」などを設定することができる。
図4(b)に示す報知管理データ15bは、解錠用データに収納部移動、解錠用データ変更及び追加料金に関する情報を対応付けたデータである。図4(b)では、報知管理データ15bは、解錠用データ「1234」に対し、収納部移動に関する情報として、収納部移動「有り」、移動元「01」、移動先「05」を対応付けている。また、報知管理データ15bは、解錠用データ「1234」に対し、解錠用データ変更に関する情報として、解錠用データ変更「無し」を対応付けている。このため、変更後解錠用データ「−」となっている。また、報知管理データ15bは、解錠用データ「1234」に対し、追加料金に関する情報として、追加料金「有り」、内容「期限超過による管理作業費」、金額「500」を対応付けている。
次に、報知制御部16gによる報知の具体例について説明する。図5は、報知制御部16gによる報知の具体例についての説明図である。報知管理データ15bに収納部移動「有り」が関連付けられている場合には、報知制御部16gは、収納部移動を報知事項とする。この収納部移動に係る報知では、具体的には、「お荷物は「No.05」に移動しています。」などのメッセージを表示操作部11に表示する。
報知管理データ15bに解除用データ変更「有り」が関連付けられている場合には、報知制御部16gは、解除用データ変更を報知事項とする。この解除用データ変更に係る報知では、新たな解錠用データを報知するのではなく、利用者に管理者などへの連絡を求める連絡要求を行う。具体的には、「お伝えしたいことがございますので03−xxxx−xxxxにお電話下さい。」などのメッセージを表示操作部11に表示する。かかる報知を行うことで、利用者から管理者などへの連絡を促し、管理者などによる対人対応を行うことができる。そして、対人対応の後、利用者に新たな解錠用データを伝えれば、利用者は物品の取り出しが可能となる。
報知管理データ15bに追加料金「有り」が関連付けられている場合には、報知制御部16gは、追加料金発生を報知事項とする。この収納部移動に係る報知では、追加料金の内容と金額を表示操作部11に表示する。例えば、「期限超過による管理作業費として
500円の追加料金が発生しています。」などのメッセージを表示すればよい。
<処理手順の説明>
次に、ロッカー装置10の処理手順について説明する。図6は、利用者による預入に係るロッカー装置10の処理手順を示すフローチャートである。まず、収納制御部17が収納部の閉扉を検知すると(ステップS101)、施解錠制御部16cは、収納部の仮施錠を行う(ステップS102)。
ステップS102の後、貨幣処理部14への貨幣の投入などの支払操作を受け付けたならば(ステップS103;Yes)、決済処理部16bによる使用料金の決済処理を行う(ステップS104)。支払操作を受け付けていない場合(ステップS103;No)、施解錠制御部16cは、仮施錠から所定時間が経過したか否かを判定し(ステップS108)、所定時間が経過していなければ(ステップS108;No)、ステップS103に移行して支払操作を待機する。そして、支払操作を受け付けることなく仮施錠から所定時間が経過したならば(ステップS108;Yes)、仮施錠を解除して(ステップS109)、処理を終了する。
決済処理部16bによる使用料金の決済処理(ステップS104)が行われた場合には、解錠用データ生成部16aが解錠用データをランダムに生成し(ステップS105)、プリンタ13が解錠用データをレシートに印字して出力する(ステップS106)。その後、施解錠制御部16cが収納部の本施錠を行って(ステップS107)、処理を終了する。なお、施解錠制御部16cは、収納部の本施錠を行ったときに収納管理データ15aの更新を行う。
図7は、管理者による強制解錠に係るロッカー装置10の処理手順を示すフローチャートである。強制解除処理部16dは、管理用のメニュー画面からパスワード等により管理者を認証したうえで強制解錠操作を受け付け(ステップS201)、指定された収納部を解錠する(ステップS202)。
その後、ロッカー装置10は、物品の再預入を受け付けて(ステップS203)、解除用データ設定受付(ステップS204)、収納部移動登録(ステップS205)及び追加料金登録(ステップS206)を行い、再預入先の収納部を施錠して(ステップS207)、処理を終了する。
ステップS204の解除用データ設定受付は、解錠用データ設定部16eが管理者による解錠用データの設定を受け付ける処理である。受け付けた新たな解錠用データは、預入先の収納部に対応付けて収納管理データ15aに登録される。また、新たな解錠用データが元の解錠用データと異なる場合には、元の解錠用データに対応付けられて報知管理データ15bに登録される。
ステップS205の収納部移動登録は、強制解錠された収納部と再預入先の収納部とが異なる収納部移動が発生した場合に、報知制御部16gによって行われる。具体的には、強制解錠された収納部の解錠用データに、収納部移動「有り」と、移動元の収納部の扉番号と、移動先の収納部の扉番号とを対応付けて報知管理データ15bに登録する。なお、収納部移動が発生していなければ、報知管理データ15bへの登録は不要であり、そのままステップS206に移行する。
ステップS206の追加料金登録は、管理者など所定の権限を有する人物から追加料金の入力を受け付ける処理である。受け付けた追加料金は、預入先の収納部に対応付けて収納管理データ15aに登録される。また、追加料金の入力を受け付けた場合には、報知制御部16gは、強制解錠された収納部の解錠用データに、追加料金「有り」と、内容と、金額とを対応付けて報知管理データ15bに登録する。なお、収納部移動が発生していなければ、収納管理データ15a及び報知管理データ15bへの登録は不要であり、そのままステップS207に移行する。
図8は、利用者による取出に係るロッカー装置10の処理手順を示すフローチャートである。まず、ロッカー装置10の表示操作部11などが解錠用データを受け付ける(ステップS301)。施解錠制御部16cは、受け付けた解錠用データの認証を実行する(ステップS302)。この認証は、受け付けた解錠用データが収納管理データ15a又は報知管理データ15bに登録済であるか否かによって行う。なお、受け付けた解錠用データが登録済であれば認証成功となり、未登録であれば認証失敗となる。認証失敗となった場合には、認証失敗を報知して処理を終了する。
ステップS302で認証に成功したならば、報知制御部16gは、報知管理データ15bを参照し、報知事項が有るか否かを判定する(ステップS303)。この判定では、受け付けた解錠用データが登録されている場合には報知事項有りと判定することになる。
報知事項有りと判定したならば(ステップS303;Yes)、報知制御部16gは、報知管理データ15bに基づいて報知を行う(ステップS304)。その後、報知制御部16gは、解錠用データが変更されているか否かを判定する(ステップS305)。解錠用データが変更されている場合には(ステップS305;Yes)、受け付けた解錠用データで解錠できる収納部がないため、そのまま処理を終了する。
報知事項が無い場合(ステップS303;No)、若しくは解錠用データが変更されていない場合(ステップS305;No)、決済処理部16bは、追加請求があるか否かを判定する(ステップS306)。具体的には、決済処理部16bは、物品の預入から所定の期限を超過している場合や、追加料金の設定が行われている場合に、追加請求有りと判定することになる。
追加請求有りと判定したならば(ステップS306;Yes)、決済処理部16bは、追加請求が必要である旨とその金額を表示操作部11に表示制御することで利用者に報知する(ステップS308)。その後、貨幣処理部14への貨幣の投入などの支払操作を受け付けたならば(ステップS309;Yes)、決済処理部16bによる使用料金の決済処理を行う(ステップS310)。支払操作を受け付けていなければ(ステップS309;No)、ステップS309に移行し、支払操作の受付を待機する。
ステップS310の決済処理の後、もしくは追加請求無しと判定した場合(ステップS306;No)、施解錠制御部16cは、解錠用データに対応付けられた収納部を解錠し(ステップS307)、処理を終了する。
次に、ロッカー装置10の動作の具体例について説明する。図9〜図11は、ロッカー装置10の動作の具体例についての説明図である。図9は、強制解錠後、同一の収納部に再預入を行い、同一の解錠用データを設定した場合の具体例を示している。
図9(a)に示す例では、まず、利用者が「No.1」の収納部に物品を預け入れ、解錠番号として「1234」が発行されている。その後、図9(b)に示すように、管理者が「No.1」の収納部を強制解錠し、物品を取り出している。管理者は、強制解錠して取り出した物品を「No.1」の収納部に再預入し、解錠番号として「1234」を設定している。
このように、再預入時に収納部移動がなく、同一の解除番号が設定されていれば、図9(c)に示すように利用者が解錠番号「1234」を入力したときに、元々の預入先である「No.1」の収納部が解錠され、物品の取出が可能となる。
図10は、強制解錠後、異なる収納部に再預入を行い、同一の解錠用データを設定した場合の具体例を示している。図10(a)に示す例では、まず、利用者が「No.1」の収納部に物品を預け入れ、解錠番号として「1234」が発行されている。その後、図10(b)に示すように、管理者が「No.1」の収納部を強制解錠し、物品を取り出している。管理者は、強制解錠して取り出した物品を「No.5」の収納部に再預入し、解錠番号として「1234」を設定している。
このように、再預入時に収納部が変更され、同一の解除番号が設定されていれば、図10(c)に示すように利用者が解錠番号「1234」を入力したときに、収納部が「No.5」に変更となったことが通知され、「No.5」の収納部が解錠される。そのため、利用者は変更後の預入先である「No.5」の収納部から物品を取り出すことができる。
図11は、強制解錠後、同一の収納部に再預入を行い、異なる解錠用データを設定した場合の具体例を示している。図11(a)に示す例では、まず、利用者が「No.1」の収納部に物品を預け入れ、解錠番号として「1234」が発行されている。その後、図11(b)に示すように、管理者が「No.1」の収納部を強制解錠し、物品を取り出している。管理者は、強制解錠して取り出した物品を「No.1」の収納部に再預入し、解錠番号として「9876」を設定している。
このように、再預入時に収納部移動がないが、異なる解除番号が設定されていれば、図11(c)に示すように利用者が解錠番号「1234」を入力したときに、収納部の解錠は行わず、利用者に管理者などへの連絡を求める連絡要求を行う。利用者が連絡要求に示された連絡先に連絡すれば、管理者は利用者に新たな解錠番号「9876」を伝えることができる。利用者は、この新たな解錠番号「9876」を入力することで、「No.1」の収納部から物品を取り出すことができる。
<変形例>
次に、収納部の追加に係る変形例について説明する。図12は、収納部の追加に係る変形例についての説明図である。ロッカー装置10が有する複数の収納部には、識別番号として扉番号が付与されているが、この扉番号はロッカー装置10に向かって左上から昇順に割り当てられている。
従って、ロッカー装置10に向かって右側に収納部を追加する場合には、付与済の扉番号に続く扉番号を割り当てることができるが、図12に示すようにロッカー装置10に向かって左側に収納部を追加する場合には、既存の収納部の扉番号の再割当が行われる。
図12では、既存の収納部に「No.1」から「No.15」の扉番号が割り当てられた状態で、ロッカー装置10に向かって左側に10個の収納部を追加する場合を示している。この場合には、追加前の扉番号はそれぞれ「10」を加算した扉番号に変更されることになる。
このため、利用者が収納部の追加前に「No.2」の収納部に物品を預け入れ、収納部の追加後に取り出そうとすると、収納部自体は同一であるものの、ロッカー装置10の外観が変わり、扉番号も「No.12」に変更となっているため、混乱が生ずる可能性がある。
そこで、ロッカー装置10に向かって左側に収納部を追加する場合には、収納管理データ15aの変更と、報知管理データ15bへの登録を行い、取り出しを行う利用者に報知を行う。
具体的には、収納管理データ15aの扉番号に追加する収納部の数を加算して更新する。また、解錠用データに対し、収納部追加前の扉番号を「移動元」、収納部追加後の扉番号を「移動先」とする収納部移動を対応付けて報知管理データ15bに登録する。そして、利用者から解除用データを受け付けたときに報知管理データ15bを参照し、「収納部の番号が「No.12」に変更になりました。」などのメッセージを表示操作部11に表示することで、利用者への報知を行う。このとき、ロッカー装置10の扉の配置を画像として表示し、移動先の収納部の位置を示した上で、移動先の収納部を解錠してもよい。
上述してきたように、本実施例に係るロッカー装置及びロッカー制御方法では、物品を収納する複数の収納部を有し、所定の解錠情報の入力に応答して収納部の扉部を解錠するロッカー装置において、物品が預け入れられた収納部の扉部が強制解除された場合に、新たな解錠情報を生成するよう構成したので、管理者等により収納部が強制解錠された場合であっても、利用者が該収納部に預け入れた荷物を円滑に取り出すことができる。
また、利用者が所定の収納部に物品を収納する場合に、該収納部の扉部の解錠に必要な第1解錠情報(例えば解錠番号等の解錠用データ)を生成し、物品が預け入れられた収納部の扉部が強制解除された場合に、新たに第2解錠情報(例えば解錠番号等の解錠用データ)を生成し、第2解錠情報を受け付けたことを条件として扉部を解錠するよう制御するよう構成したので、第2解錠情報を用いて荷物の取り出しが可能である。
具体的には、物品が収納された収納部の識別情報(例えば扉番号)と、該収納部の扉部を解錠するための解錠情報とを対応付けて記憶し、第2解錠情報が生成されたならば、該第2解錠情報により記憶部に記憶された解錠情報を更新することになる。
ここで、物品が預け入れられた収納部の扉部が強制解除された場合には、第1解錠情報と無関係に任意の第2解錠情報を新たに生成することができる。物品が預け入れられた収納部の扉部が強制解除されたとき、該収納部内の物品が移動されなくとも第2解錠情報を生成することは可能である。また、物品が預け入れられた収納部の扉部が強制解除され、該収納部内の物品が他の収納部に移動された場合に、新たな収納部の解錠に必要となる第2解錠情報を生成することも可能である。
なお、収納部内の物品が他の収納部に移動されたならば、利用者による第1解錠情報を用いた解錠操作を受け付けた場合に、新たな収納部を利用者に報知する。
また、利用者による第1解錠情報を用いた解錠操作を受け付けた場合に、利用者に第2解錠情報の通知者への連絡先を報知することもできる。
また、物品が預け入れられた収納部の扉部が強制解除された場合に、第1解錠情報と同一の第2解錠情報を生成することも可能である。なお、上記の実施例では、管理者が第1解錠情報と同一の第2解錠情報を入力する場合を例に説明を行ったが、例えば管理者が「鍵変更無し」の操作を行った場合に、第1解錠情報と同一の第2解錠情報を用いるよう構成してもよい。
また、上記実施例では、利用者が解錠番号を入力したときに、解錠番号から収納部を特定して解錠を行う構成を例示したが、利用者に収納部を選択させた上で解錠番号を入力させ、収納部と解錠番号との対応関係が一致したことを条件に解錠する構成としてもよい。
また、上記実施例では、強制解錠を行う理由の詳細については説明を省略したが、強制解錠は任意の理由で行うことができる。例えば、預け入れの日から予め定めた日数を経過した場合に強制解錠を行うよう運用上の規定を定めてもよい。また、センサなどにより収納部の故障などの異常を検知した場合に強制解錠を行うこととしてもよい。
なお、上記の実施例では、利用者が物品を預け入れる時間貸しのロッカー装置を例に説明を行ったが、配送業者が物品を預け入れ、受取人である利用者が取り出す配送用のロッカー装置に本発明を適用してもよい。
また、本実施例では、収納部を複数備えたロッカー装置を例に説明を行ったが、収納部が1つのロッカー装置に本発明を適用してもよい。
また、本実施例に図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部または一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。