<両軸受リールの概略構成>
本発明の実施形態による両軸受リール100は、図1から図4に示すように、リール本体1と、ハンドル2と、糸巻用のスプール10と、クラッチ操作部材11と、駆動軸30を含むスプール駆動機構13(図3を参照)と、クラッチ機構16(図2を参照)と、クラッチ制御機構20(図4を参照)と、係合解除構造21と、クラッチ戻し機構22(図4を参照)とを、備える。
ハンドル2は、スプール10を回転可能に構成される。詳細には、ハンドル2は、スプール10を回転駆動するように構成され、リール本体1の側部に回転可能に設けられる。図1に示すように、ハンドル2は、第1側カバー8a側に設けられる。ハンドル2は、駆動軸30に一体回転可能に連結される。
図2に示すように、スプール10は、リール本体1に回転可能に支持される。詳細には、スプール10は、スプール軸14を介して、リール本体1に回転可能に支持される。詳細には、スプール10はスプール軸14と一体回転可能に装着され、スプール軸14はリール本体1に回転可能に支持される。スプール軸14は、スプール軸心CAを有している。
図5A及び図5Bに示すように、クラッチ操作部材11は、第1位置(図5Aを参照)と、第1位置とは異なる第2位置(図5Bを参照)との間で、移動可能にリール本体1に設けられる。言い換えると、クラッチ操作部材11は、第1位置と、第1位置から離反した第2位置との間で、移動可能にリール本体1に設けられる。また、図5Cに示すように、クラッチ操作部材11は、第1位置及び第2位置とは異なる第3位置で、保持可能に構成されている。
図1〜図4に示すように、スプール駆動機構13は、ハンドル2及びモータ12の回転をスプール10に伝達する。駆動軸30は、リール本体1に回転可能に装着され、ハンドル2によって回転する。なお、以下では、両軸受リール100を釣り竿に装着した状態においてハンドル2を回転した場合に、駆動軸30が回転する回転方向を、糸巻き取り方向と記すことがある。
図2に示すように、クラッチ機構16は、ハンドル2とスプール10の間に配置される。クラッチ機構16は、ハンドル2及びスプール10を連結し、且つハンドル2及びスプール10の連結を解除する。詳細には、クラッチ機構16は、クラッチオン状態とクラッチオフ状態とに切り換え可能に構成されている。クラッチオン状態は、ハンドル2の回転をスプール10に伝達可能な状態である。クラッチオフ状態は、ハンドル2の回転をスプール10に伝達不能可能な状態である。
クラッチ制御機構20は、クラッチ操作部材11を操作することによって、クラッチ機構16をクラッチオン状態とクラッチオフ状態とに切り換え可能である。係合解除構造21は、クラッチ機構16がクラッチオフ状態からクラッチオン状態へと切り換わる場合に、クラッチカム40及びクラッチ爪44(後述する)の係合を解除する。クラッチ戻し機構22は、クラッチオフ状態にあるクラッチ機構16を、ハンドル2の糸巻き取り方向の回転によってクラッチオン状態に戻す。クラッチ制御機構20、係合解除構造21、及びクラッチ戻し機構22の詳細は、後述する。
<リール本体>
図1及び図2に示すように、リール本体1は、フレーム7と、第1側カバー8aと、第2側カバー8bと、備える。フレーム7は、第1側板7aと、第2側板7bと、複数の連結部材7cとを、有する。
図2に示すように、第1側板7aと第2側板7bとの間には、スプール10と、クラッチ機構16とが、設けられる。
図2及び図4に示すように、第1側板7aは、側板本体9aと、機構装着板9bとを、有する。
機構装着板9bには、各種の機構が装着される。図2に示すように、機構装着板9bは、側板本体9aと第1側カバー8aとの間に配置される。
図4に示すように、機構装着板9bは、側板本体9aの外側面に固定される。機構装着板9bは、第1支持部9cと、第2支持部9dと、第3支持部9eと、第4支持部9fとを、有する。
第1支持部9cは、機構装着板9bの外側面に設けられる。第1支持部9cは、クラッチ操作部材11及びクラッチ制御機構20を支持する円筒形の部分である。第1支持部9cは、スプール軸14のスプール軸心CAを中心とした円筒形に形成される。
第2支持部9dは、機構装着板9bの外側面に配置される。第2支持部9dは、機構装着板9b上において、第1支持部9cと間隔を隔てて配置される。第2支持部9dは、駆動軸30を支持するために設けられた円筒形の部分である。第3支持部9eは、後述する第2ギア部材61を回転可能に支持する。第3支持部9eは、機構装着板9bの内側面から突出する軸部である。第4支持部9fは、遊星歯車機構(図示しない)を支持する円形孔である。
図2に示すように、第2側板7bは、スプール軸方向において、第1側板7aと間隔を隔てて配置される。なお、スプール軸方向は、スプール軸心CAが延びる方向、又はスプール軸心CAに沿った方向を含む
図4に示すように、第2側板7bには、スプール10が通過可能な円形開口7dが、形成される。円形開口7dには、スプール支持部17(図2を参照)が着脱可能に装着される。ここで、スプール支持部17は、軸受17aを介して、スプール軸14の端部(図2左端)を回転可能に支持する。
図2及び図4に示すように、複数の連結部材7cは、第1側板7aと第2側板7bとを連結する部材である。複数の連結部材7cは、第1側板7a及び第2側板7bの下部、前部、及び後部において、第1側板7a及び第2側板7bを互いに連結する。前部の連結部材7cは、筒状に形成される。前部の連結部材7cの内部には、モータ12が収容される。下部の連結部材7cには、釣り竿装着用の竿装着脚部7eが一体に形成される。
図1及び図2に示すように、第1側カバー8aは、ハンドル2側のフレーム7を、覆う。第1側カバー8aには、駆動軸30を回転可能に支持する第1ボス部8cが、形成される。第1ボス部8cの後方には、軸受17bが収納される第2ボス部8dが、外方に突出して形成される。軸受17bは、スプール軸14の端部(図2右端)を支持する。第2側カバー8bは、ハンドル2とは反対側のフレーム7を、覆う。
図2及び図4に示すように、側板本体9aと機構装着板9bとの間には、スプール駆動機構13の一部が、配置される。第1側カバー8aと機構装着板9bとの間には、スプール駆動機構13の残りと、クラッチ制御機構20と、クラッチ戻し機構22と、スプール10の糸繰り出し方向の回転を制動するドラグ機構23とが、設けられる。
フレーム7には、水深表示部4が設けられている。水深表示部4は、釣り糸の先端に装着可能な仕掛けの水深を表示可能である。水深表示部4には、図1及び図3に示すように、モータ12の出力を調整するための調整部材5が、設けられる。
<クラッチ操作部材>
クラッチ操作部材11は、スプールの後方で上下方向に移動可能に、リール本体1に支持される。クラッチ操作部材11は、図5Aに示す第1位置と、図5Bに示す第2位置との間で、移動可能にリール本体1に設けられる。また、図5Cに示すように、クラッチ操作部材11は、図5Bに示す第2位置と、第3位置との間で、移動可能にリール本体1に設けられる。さらに、クラッチ操作部材11は、第3位置と第1位置との間で、移動可能にリール本体1に設けられる。
ここで、図5A〜図5cに示すように、第1位置は、第2位置より竿装着脚部7eから離れている。すなわち、第2位置は、第1位置よりも竿装着脚部7eに近い。第2位置は、第1位置及び竿装着脚部7eの間に位置している。第3位置は、第1位置及び第2位置とは異なる位置である。ここでは、第3位置は、第1位置及び第2位置の間に位置している。
クラッチ操作部材11は、図4に示すように、リール本体1にスプール軸14まわりに回動可能に支持される回動部18と、回動部18に装着された操作部19とを、有する。 回動部18は、機構装着板9bの第1支持部9cの外周面に揺動可能に支持されるリング部18aと、操作部19に挿入される挿入部18bと、リング部18a及び挿入部18bを連結する連結部18cとを、有する。
リング部18aの外周部には、径方向に延びる第1バネ掛け部18dが、設けられる。第1バネ掛け部18dには、第1バネ部材51(付勢部材の一例)の一端が引っ掛けられる。第1バネ部材51の他端は、機構装着板9bの第1側カバー8a側の外側面に引っ掛けられる(図5A〜図5Cを参照)。第1バネ部材51は、例えばコイルばねである。第1バネ部材51は、伸張状態で装着される。
これにより、第1バネ部材51は、クラッチ操作部材11を第2位置から第1位置に向けて付勢する。また、第1バネ部材51は、クラッチ操作部材11を第3位置から第1位置に向けても付勢する。
連結部18cは、リング部18a及び挿入部18bの間に設けられる。連結部18cには、爪装着部18eが形成される。爪装着部18eには、クラッチ制御機構20のクラッチ爪44(後述する)が、装着される。
爪装着部18eには、支持軸18fが設けられる。支持軸18fは、クラッチ爪44をスプール軸14と平行な軸まわりに揺動可能に支持する。支持軸18fの外周側には、第2バネ掛け部18gが設けられる。第2バネ掛け部18gは、例えば孔部である。第2バネ掛け部18gには、第3バネ部材48(後述する)が引っ掛けられる。
操作部19は、クラッチ操作部材11を手で押圧操作する部分である。操作部19は、スプール軸14と実質的に平行に配置される。操作部19は、第1接触部材43a及び第2接触部材43bを介して、第1側板7a及び第2側板7bに沿って移動可能である。
<スプール駆動機構>
スプール駆動機構13は、スプール10を糸巻き取り方向に駆動する。また、釣り糸の巻き取り時にスプール10にドラグ力を発生させて釣り糸への引張力を低減する。
図3に示すように、スプール駆動機構13は、図示しないローラクラッチによって糸巻き取り方向の回転が禁止されたモータ12と、第1回転伝達機構24と、第2回転伝達機構25とを、有する。
第1回転伝達機構24は、モータ12の回転をスプール10に伝達する。具体的には、図3に示すように、第1回転伝達機構24は、モータ12の出力軸に連結された遊星歯車機構(図示しない)と、第1ギア部材60と、第1ギア部材60に噛み合う第2ギア部材61と、第2ギア部材61に噛み合うピニオンギア32と、を有する。
遊星歯車機構のケース26の内側面には、図示しない内歯ギアが形成される。内歯ギアの出力は、ケース26の外周面に形成された第1ギア部材60に伝達される。
第1ギア部材60は、第2ギア部材61に噛み合う。図4に示すように、第2ギア部材61及びピニオンギア32は、機構装着板9bと側板本体9aの外側面との間に配置される。図3に示すように、第2ギア部材61は、第1ギア部材60の回転をピニオンギア32に伝達するための中間ギアである。第2ギア部材61は、軸受を介して、側板本体9aのボス部9g及び機構装着板9bの第3支持部9eに、回転可能に支持される。
ピニオンギア32は、スプール軸14まわりに回転可能、且つスプール軸14に対して軸方向移動可能に、リール本体1に設けられる。図2及び図4に示すように、ピニオンギア32は、側板本体9aに装着された第3軸受17cを介して、スプール軸14まわりに回転可能、且つスプール軸14に対して軸方向移動可能に、側板本体9aに装着される。
ピニオンギア32は、クラッチ制御機構20により、クラッチオン位置とクラッチオフ位置との間で、スプール軸方向に移動する。ここで、クラッチ機構16がクラッチオン状態である場合にピニオンギア32が配置される位置が、クラッチオン位置である。一方で、クラッチ機構16がクラッチオフ状態である場合に、ピニオンギア32が配置される位置が、クラッチオフ位置である。
ピニオンギア32は、クラッチヨーク41に係合し、クラッチヨーク41とともに、スプール軸方向に移動する。図4に示すように、ピニオンギア32には、クラッチヨーク41が係合する環状凹部32aが形成される。
第2回転伝達機構25は、ハンドル2の回転を、第1回転伝達機構24を介してスプール10に伝達する。
第2回転伝達機構25は、図3及び図4に示すように、ハンドル2が一体回転可能に連結された駆動軸30と、駆動ギア31と、第3ギア部材62と、ドラグ機構23とを有する。
図4に示すように、駆動軸30は、機構装着板9bの第2支持部9d及び第1側カバー8aの第1ボス部8c(図1及び図2を参照)に、回転可能に支持される。駆動軸30は、ローラクラッチ37によって、第1側カバー8aの第1ボス部8cに支持される。駆動軸30は、ローラクラッチ37によって糸巻き取り方向と逆方向の回転が禁止される。すなわち、ローラクラッチ37は、駆動軸30の糸巻き取り方向と反対の方向(逆方向)の回転を禁止する逆転禁止機構34を、構成する。
駆動軸30は、クラッチ戻し機構22及び逆転禁止機構34を構成する爪式のワンウェイクラッチ38によって、糸巻き取り方向とは逆方向の回転が、禁止される。ワンウェイクラッチ38は、回転部材52と、爪部材54と、を有する。回転部材52の詳細な構成は、クラッチ戻し機構22において説明する。
図4に示すように、爪部材54は、機構装着板9bに揺動可能に装着される。爪部材54は、回転部材52の突起部52a(図7を参照)に係合可能である。例えば、爪部材54が回転部材52の突起部52aに係合した状態において、糸巻き取り方向への回転部材52の回転は許可され、糸巻き取り方向とは逆方向への回転部材52の回転は規制される。
図4に示すように、駆動ギア31は、駆動軸30に回転可能に装着される。駆動ギア31における糸繰り出し方向の回転は、ドラグ機構23によって制動される。すなわち、スプール10の糸繰り出し方向の回転は、ドラグ機構23によって制動される。
第3ギア部材62は、図3及び図4に示すように、ハンドル2の糸巻き取り方向の回転をスプール10に伝達するように構成される。第3ギア部材62は、遊星歯車機構のキャリアに一体回転可能に連結される。第3ギア部材62は、駆動ギア31に噛み合う。第3ギア部材62は、ハンドル2の回転を遊星歯車機構のキャリアに、伝達する。ハンドル2からキャリアに伝達された回転は、第1ギア部材60及び第2ギア部材61を介して、ピニオンギア32に伝達される。
ドラグ機構23は、図4に示すように、ドラグ板39aを、有する。ドラグ板39aは、ローラクラッチ37の内輪37aに一体回転可能に連結され、且つ内輪37aによって押圧される。ドラグ板39aは、駆動軸30に一体回転可能に連結される。ドラグ板39aは、ドラグ座金39bを介して駆動ギア31を押圧する。ドラグ機構23の制動力(ドラグ板39aの押圧力)は、駆動軸30に螺合するスタードラグ3(図1及び図2を参照)によって調整される。
<クラッチ機構>
図2に示すように、クラッチ機構16は、スプール軸14のクラッチピン16aと、ピニオンギア32のクラッチ凹部16bとを、有する。クラッチピン16aは、スプール軸14に設けられる。クラッチピン16aは、スプール軸14の孔部(図示しない)に挿通される。クラッチピン16aの両端部それぞれは、径方向において、スプール軸14から突出している。
図2及び図4に示すように、クラッチ凹部16bは、ピニオンギア32の端部に形成されている。クラッチ凹部16bは、ピニオンギア32の端面(図2の左側端面)において、径方向に凹んで形成されている。クラッチ凹部16bは、軸方向から見て、十字状に形成されている。
ピニオンギア32は、上述したスプール駆動機構13の第1回転伝達機構24と、クラッチ機構16とを、構成する。ピニオンギア32は、スプール軸方向に沿って、クラッチオン位置(図2の位置)と、クラッチオフ位置(図2のクラッチオン位置より右側の位置)との間で、移動する。
クラッチオン位置では、クラッチピン16aがクラッチ凹部16bに係合して、ピニオンギア32の回転がスプール軸14に伝達される。これにより、クラッチ機構16がクラッチオン状態になる。クラッチオン状態では、ピニオンギア32とスプール軸14とが一体回転可能になる。
クラッチオフ位置では、クラッチ凹部16bがクラッチピン16aから離反してピニオンギア32の回転が、スプール軸14に伝達されない。ピニオンギア32がクラッチオフ位置に配置されている場合が、クラッチ機構16がクラッチオフ状態である場合である。クラッチオフ状態では、スプール10は自由に回転可能である。
<クラッチ制御機構>
クラッチ制御機構20は、図4に示すように、クラッチカム40と、クラッチヨーク41と、2本の第2バネ部材42と、クラッチ爪44と、第3バネ部材48とを、有する。
(クラッチカム)
図5A〜図5Cに示すように、クラッチカム40は、スプール軸心CA(スプール10の回転中心軸の一例)に関して、第1回転方向R1に回転可能に構成される。
ここでは、クラッチ操作部材11が第1位置(図5Aを参照)から第2位置(図5Bを参照)へと移動する場合、クラッチカム40は第1回転方向R1(図5A及び図5Bの反時計まわり)に回転する。また、クラッチカム40がクラッチヨーク41によって第1回転方向R1にさらに回転させられることによって、クラッチ操作部材11が第2位置(図5Bを参照)から第3位置(図5Cを参照)へと移動する。さらに、クラッチカム40が回転部材52及びクラッチヨーク41によって第1回転方向R1にさらに回転させられることによって、クラッチ操作部材11が第3位置から第1位置へと移動する。
クラッチカム40は、機構装着板9bの第1支持部9cに回転可能に装着される。クラッチカム40は、図6〜図8に示すように、本体部40aと、複数のラチェット歯40b(被押圧部の一例)と、複数の第1位置決め部40c(係合部の一例)と、複数のカム部40dとを、有している。
図6及び図7に示すように、本体部40aは、実質的に環状に形成されている。複数のラチェット歯40bは、本体部40aの外周部に設けられている。複数のラチェット歯40bは、周方向に間隔を隔てて、本体部40aの外周面に配置されている。
複数のラチェット歯40bそれぞれは、クラッチ爪44によって第1回転方向R1に押圧される。また、複数のラチェット歯40bそれぞれは、回転部材52の突起部52aによって第1回転方向R1に押圧される。
複数の第1位置決め部40cは、クラッチ操作部材11を第3位置で保持するためのものである(図5Cを参照)。第1位置決め部40cは、実質的に凹状に形成されている。詳細には、第1位置決め部40cは、クラッチカム40の外周部において、スプール軸心CAに向けて凹んで形成されている。複数の第1位置決め部40cそれぞれには、クラッチ操作部材11に装着されたクラッチ爪44が、係合可能である。
複数の第1位置決め部40cは、本体部40aの外周部に設けられている。複数の第1位置決め部40cは、周方向に間隔を隔てて、本体部40aの外周面に配置されている。複数の第1位置決め部40cそれぞれは、周方向に隣接するラチェット歯40bの間に配置されている。
図4及び図7に示すように、複数のカム部40dは、本体部40aに設けられている。詳細に、複数のカム部40dそれぞれは、本体部40aからスプール軸方向に突出するように、本体部40aに形成されている。
図8に模式的に示すように、複数のカム部40dそれぞれは、第1回転位相RP1及び第2回転位相RP2に基づいて定義される位相PSによって、周方向に間隔を隔てて配置される。
カム部40dは、第1傾斜カム面40eと、第2傾斜カム面40fと、連結面40gと、第2位置決め部40h(凹部の一例)とを、有する。第1傾斜カム面40eは、クラッチヨーク41を、クラッチオン位置からクラッチオフ位置に案内するための傾斜カム面である。第1傾斜カム面40eは、カム部40dの第1頂部40iから第1回転方向R1に向かうにつれて、スプール10に近づくように形成される。
第2傾斜カム面40fは、連結面40gから、第1回転方向R1とは反対の第2回転方向R2に向かうにつれて、スプール10に近づくように形成される。第2傾斜カム面40fは、クラッチヨーク41をクラッチオフ位置からクラッチオン位置に案内する面を、構成している。
連結面40gは、カム部40dの第2頂部40jと第2傾斜カム面40fとを連結する面である。連結面40gは、実質的にスプール軸に沿うように延びている。連結面40gは、クラッチヨーク41をクラッチオフ位置からクラッチオン位置に案内する面を、構成している。また、クラッチヨーク41が連結面40gに沿ってスプール軸方向に移動している間には、係合解除構造21が作動する。
第2位置決め部40hは、クラッチカム40を第1回転位相RP1の位置で、位置決めする。第2位置決め部40hは、カム部40dの頂部に設けられている。詳細には、第2位置決め部40hは、カム部40dの第1頂部40i及び第2頂部40jの周方向間に、設けられている。なお、周方向は、スプール軸心CAまわりの方向である。
第2位置決め部40hは、クラッチ機構16がクラッチオフ状態である場合にクラッチヨーク41が係合する。詳細には、クラッチカム40の回転によって、クラッチヨーク41のカム受け部41d(後述する)が、第1傾斜カム面40eによってスプール軸方向(スプール10から離れる方向)に案内され、カム部40dの第1頂部40iを通過すると、第2位置決め部40hに配置される。この状態において、クラッチ機構16はクラッチオフ状態である。
第2位置決め部40hは、実質的に凹状に形成されている。詳細には、第2位置決め部40hは、カム部40dの頂部に凹んで形成されている。
第2位置決め部40hの一方の壁部、例えば第1回転方向R1における下流側の壁部40nは、クラッチヨーク41のカム受け部41dを第1頂部40iから第2位置決め部40hの底部に案内可能に傾斜している。
ここで、クラッチヨーク41のカム受け部41dがカム部40dの第1頂部40iを通過すると、カム受け部41dは、第2位置決め部40hの下流側の壁部40nを押圧する。すると、この押圧力によってクラッチカム40が回転し、カム受け部41dが第2位置決め部40hの底部に配置される。これにより、クラッチカム40が、第1回転位相RP1の位置で、クラッチヨーク41(カム受け部41d)によって位置決めされる。
第2位置決め部40hの他方の壁部、例えば第1回転方向R1における上流側の壁部は、クラッチヨーク41のカム受け部41dを第2位置決め部40hの底部から第2頂部40jに案内可能に傾斜している。
これにより、クラッチヨーク41のカム受け部41dが第2位置決め部40hの底部に配置された状態で、クラッチカム40が第1回転方向R1に回転すると、カム受け部41dが第2位置決め部40hの上流側の壁部によって第2頂部40jに案内される。
すると、カム受け部41dが、スプール10から離れるスプール軸方向に移動し、カム部40dの第2頂部40jを通過する。すると、カム受け部41dは、連結面40g及び第2傾斜カム面40fに沿って、スプール10に近づくスプール軸方向に移動する。すると、カム受け部41dが、第3位置決め部40kに配置される。
第3位置決め部40kは、カム部40dの基端側に設けられる。また、第3位置決め部40kは、周方向に隣接するカム部40dの間に設けられる。第3位置決め部40kは、実質的に凹状に形成されている。第3位置決め部40kの底部は、本体部40aによって形成される。
第3位置決め部40kの下流側の壁部は、カム部40dの上流側の側壁部40mによって形成される。第3位置決め部40kの上流側の壁部は、カム部40dの下流側の側壁部、例えば第1傾斜カム面40eによって、形成される。
クラッチカム40は、第2回転位相RP2の位置で、クラッチヨーク41(カム受け部41d)によって位置決めされる。ここで、第1回転位相RP1及び第2回転位相RP2の和が、カム部40dの位相PSに対応している。
(クラッチヨーク)
図2に示すように、クラッチヨーク41は、クラッチカム40に係合する。クラッチヨーク41は、クラッチカム40が第1回転方向R1に回転した場合に、スプール10から離れるスプール軸方向(第1軸方向の一例)と、スプール10に近づくスプール軸方向(第2軸方向の一例)とに、移動可能に構成される。
ここで、スプール10から離れるスプール軸方向は、クラッチヨーク41がスプール軸心CAに沿ってスプール10から離れる方向(図2の位置から右側の方向)である。一方で、スプール10に近づくスプール軸方向は、クラッチヨーク41がスプール軸心CAに沿ってスプール10に近づく方向(図2の右側に位置から図2の位置に向かう方向)である。
クラッチヨーク41は、クラッチオン位置(図8の破線の位置)とクラッチオフ位置(図8の実線の位置)との間で、移動する。クラッチオン位置では、ピニオンギア32はクラッチピン16aに係合している。クラッチオフ位置では、ピニオンギア32はクラッチピン16aから離脱している。
クラッチヨーク41は、第1支持部9cに固定されるガイド部材49(図4を参照)によって、スプール軸方向に案内される。詳細には、クラッチヨーク41は、スプール10に対して接近又は離反するように、ガイド部材49に往復移動可能に支持される。
図4及び図9に示すように、クラッチヨーク41は、本体部41aと、係合部41bと、一対のガイド孔41cと、一対のカム受け部41dと、第1突出部41e(第1接触部の一例)とを、有する。
本体部41aは、実質的に一方向に長く形成されている。係合部41bは、ピニオンギア32に係合する部分である。係合部41bは、本体部41aの長手方向において、本体部41aの中央部に設けられる。係合部41bは、ピニオンギア32の環状凹部32aに係合するように、半円形に形成される。
一対のガイド孔41cは、係合部41bの両側において、本体部41aに設けられる。ここで、ガイド部材49には2本のガイド軸49aが設けられており、2本のガイド軸49aは一対のガイド孔41cに各別に挿通される。
一対のカム受け部41dは、本体部41aの両端部に各別に設けられる。一対のカム受け部41dそれぞれは、カム部40dに係合する。図8に示すように、一対のカム受け部41dは、第1傾斜カム面40eに対向可能な第1カム受け面41fと、第3位置決め部40kの下流側の壁部に対向可能な第2カム受け面41gとを、有する。
例えば、図8に示すように、クラッチヨーク41が第3位置決め部40kに配置された状態で、第1カム受け面41fは、第1傾斜カム面40eに対向し、第2カム受け面41gは、第3位置決め部40kの下流側の壁部、例えばカム部40dの上流側の側壁部40mに、対向する。そして、クラッチカム40の回転によって第1カム受け面41fが第1傾斜カム面40eに沿って移動すると、クラッチヨーク41が、スプール10から離れるスプール軸方向に、移動する。
図8及び図9に示すように、第1突出部41eは、本体部41aの端部に設けられる。例えば、第1突出部41eは、カム受け部41dの端部、例えばクラッチ爪側のカム受け部41dの端部に、設けられる。第1突出部41eは、本体部41aの端部から径方向外側に突出し、且つ本体部41aの端部から第1回転方向R1に向けて延びている。第1突出部41eは、係合解除構造21を構成する。第1突出部41eの詳細は、後述する係合解除構造21において説明する。
(第2バネ部材)
2本の第2バネ部材42は、クラッチヨーク41を、クラッチオフ位置からクラッチオン位置に向けて、付勢する。図4に示すように、第2バネ部材42は、例えばコイルばねである。第2バネ部材42は、2本のガイド軸49aそれぞれに装着される。2本の第2バネ部材42は、第1側カバー8aの内側面と、クラッチヨーク41の間に圧縮状態でガイド軸49aに装着される。これにより、クラッチヨーク41は、第2バネ部材42によって、スプール軸方向において、スプール10側に常に付勢されている。
(クラッチ爪)
図5A及び図5Bに示すように、クラッチ機構16がクラッチオン状態からクラッチオフ状態に切り換わる場合、すなわちクラッチ操作部材11が第1位置から第2位置に向けて移動する場合、クラッチ爪44はクラッチカム40を第1回転方向に回転させる。また、図5Cに示すように、クラッチ爪44は、クラッチ操作部材11を第1位置及び第2位置とは異なる第3位置で保持するために、クラッチカム40に係合する。
クラッチ爪44は、クラッチカム40に対して係合可能に、設けられる。また、クラッチ爪44は、クラッチ操作部材11に対して揺動可能に設けられる。図4に示すように、クラッチ爪44は、クラッチ操作部材11の回動部18に揺動可能に装着される。クラッチ爪44は、回動部18に対して揺動することによって、クラッチカム40に係合可能且つ係合解除可能である。詳細には、クラッチ爪44は、クラッチカム40におけるラチェット歯40b及び第1位置決め部40c(係合部の一例)に、係合可能且つ及び係合解除可能である。
クラッチ爪44は、前述したように、回動部18の爪装着部18eに設けられた支持軸18fに揺動可能に支持される。ここでは、クラッチ爪44が、支持軸18fの先端部にねじ込まれるねじ部材53によって、支持軸18fに対して抜け止めされている。
より具体的には、図9に示すように、クラッチ爪44は、揺動支持部44aと、爪部44bと、第2突出部44cとを、有する。揺動支持部44aは、支持軸18fに支持される。爪部44bは、揺動支持部44aから径方向に延びている。
図5Aに示すように、クラッチ操作部材11が第1位置に配置される場合、すなわちクラッチヨーク41のカム受け部41dがクラッチカム40の第3位置決め部40kに配置される場合、爪部44bは、ラチェット歯40bを押圧可能に配置される。
詳細には、この場合、爪部44bの先端部が、ラチェット歯40bの根元部分を押圧可能なように、周方向においてラチェット歯40bに隣接して配置されている。ここでは、クラッチ操作部材11が第1位置に配置される場合、爪部44bの先端部は、ラチェット歯40bの根元部分に接触している。
図5C及び図9に示すように、クラッチ操作部材11が第3位置に配置される場合、すなわちクラッチヨーク41のカム受け部41dがクラッチカム40の第2位置決め部40hに配置される場合、爪部44bの先端部は第1位置決め部40cに係合する。
図9に示すように、第2突出部44cは、爪部44bに設けられている。詳細には、クラッチ爪44がクラッチ操作部材11に装着された状態において、第2突出部44cは、爪部44bからスプール軸方向に突出している。第2突出部44cは、係合解除構造21を構成する。第2突出部44cの詳細は、後述する係合解除構造21において説明する。
(第3バネ部材)
図4に示すように、第3バネ部材48は、クラッチ爪44をラチェット歯40bに向けて付勢する。第3バネ部材48は、例えば捩じりコイルばねである。第3バネ部材48は、一端が爪部44bに引っ掛けられ、他端が爪装着部18eに設けられる第2バネ掛け部18gに引っ掛けられる。第3バネ部材48は、自由状態よりも両端を広げてクラッチ爪44に装着される。
<係合解除構造>
図9と、図10A及び図10Bとに示すように、係合解除構造21は、クラッチヨーク41がクラッチ爪44に接触することによって、クラッチカム40及びクラッチ爪44の係合を解除する。
詳細には、クラッチ機構16をクラッチオフ状態からクラッチオン状態へと切り換えるために、クラッチヨーク41が、スプール10に近づくスプール軸方向に、移動すると、クラッチヨーク41がクラッチ爪44に接触する。これにより、クラッチカム40及びクラッチ爪44の係合が、解除される。
係合解除構造21が、クラッチヨーク41に設けられる第1突出部41e(第1接触部の一例)と、クラッチ爪44に設けられる第2突出部44c(第2接触部の一例)とを、有する。
上述したように、第1突出部41eは、クラッチヨーク41のカム受け部41dの端部(クラッチ爪側のカム受け部41dの端部)に、設けられる。第2突出部44cは、爪部44bからスプール軸方向に突出している。
第1突出部41eは、第2突出部44cに接触可能に構成されている。例えば、図9及び図10Aに示すようにクラッチ機構16がクラッチオフ状態である場合、クラッチヨーク41の第1突出部41e及びクラッチ爪44の第2突出部44cは、互いに間隔を隔てて対向して配置されている。詳細には、この場合、第1突出部41eの外周部(スプール軸心CAから離れた側の部分)、及び第2突出部44cの内周部(スプール軸心CAに近い側の部分)が、スプール軸方向において互いに間隔を隔てて対向して配置されている。
また、図10Bに示すように、クラッチ機構16がクラッチオフ状態からクラッチオン状態へと切り換わる間において、クラッチヨーク41の第1突出部41e及びクラッチ爪44の第2突出部44cが、互いに接触する。
詳細には、この場合、クラッチヨーク41が、スプール10に近づくスプール軸方向に、移動するので、クラッチヨーク41の第1突出部41eが、クラッチ爪44の第2突出部44cの内周部に接近し接触する。すると、クラッチ爪44がクラッチカム40から離れるように揺動し、クラッチ爪44及びクラッチカム40(第1位置決め部40c)の係合が解除される。
すると、クラッチ爪44は、第3バネ部材48によってクラッチカム40側に付勢された状態で、クラッチカム40のラチェット歯40bの斜面に沿って移動し、図5Aに示す位置においてラチェット歯40bを押圧可能に係合する。
<クラッチ戻し機構>
クラッチ戻し機構22は、図6及び図7に示すように、駆動軸30に設けられる。クラッチ戻し機構22は、回転部材52を含んでいる。回転部材52は、駆動軸30の糸巻き取り方向WDの回転によって、クラッチカム40のラチェット歯40bを、押圧する。
回転部材52は、複数の突起部52aと、連結孔52bとを、有する。突起部52aは、周方向に間隔を隔てて、回転部材52の外周部に形成される。複数の突起部52aそれぞれは、クラッチカム40のラチェット歯40bを押圧可能にラチェット歯40bに係合する。連結孔52bは、駆動軸30と一体回転可能に駆動軸30に装着される。
クラッチ機構16がクラッチオフ状態である場合、すなわちクラッチヨーク41のカム受け部41dがカム部40dの第2位置決め部40hに配置される場合、回転部材52の突起部52aがラチェット歯40bに接近した位置に配置される(図5Cを参照)。
また、クラッチ機構16がクラッチオン状態である場合、すなわちクラッチヨーク41のカム受け部41dがカム部40dの第3位置決め部40kに配置される場合、回転部材52の突起部52aは、周方向に隣接するラチェット歯40bの間に配置される(図5Aを参照)。
これにより、クラッチ機構16がクラッチオフ状態である場合、ハンドル2の回転によって駆動軸30が糸巻き取り方向WDに回転すると、突起部52aがラチェット歯40bを押圧し、クラッチカム40を第1回転方向R1に回転させる。一方で、クラッチ機構16がクラッチオン状態である場合、ハンドル2が回転しても、クラッチカム40を第1回転方向R1に回転させることがない。
<クラッチ制御機構の動作>
クラッチ制御機構20は、次のように動作する。クラッチ操作部材11が第1位置に配置されている場合、クラッチ機構16はクラッチオン状態であり、クラッチヨーク41のカム受け部41dはクラッチカム40の第3位置決め部40kに配置されている。
この状態において、クラッチ操作部材11が第1位置から第2位置に押圧操作されると、クラッチカム40のラチェット歯40bが、クラッチ爪44の爪部44bによって押圧される。
すると、クラッチカム40が、第1回転方向R1に向けて回転する。すると、クラッチヨーク41のカム受け部41dが、第1傾斜カム面40eに押圧され、クラッチヨーク41が、スプール10から離れるスプール軸方向に、移動する。
そして、カム受け部41dが、カム部40dの第1頂部40iを通過すると、第2位置決め部40hの下流側の壁部40nを押圧する。すると、クラッチカム40は、第1回転方向R1にさらに回転する。そして、カム受け部41dが、第2位置決め部40hに配置されると、クラッチ爪44の爪部44bが、クラッチカム40の第1位置決め部40cに係合する。
これにより、クラッチ操作部材11が第3位置に配置され、クラッチ機構16がクラッチオフ状態になる。ここで、上記のように、クラッチヨーク41のカム受け部41dが第3位置決め部40kから第2位置決め部40hへと移動した場合、クラッチカム40は第1回転位相RP1だけ回転している。
この状態において、ハンドル2が糸巻き取り方向WDに回転すると、回転部材52が第1回転方向R1に回転する。すると、回転部材52の突起部52aがクラッチカム40のラチェット歯40bを第1回転方向R1に押圧し、クラッチカム40が第1回転方向R1に回転する。このときには、クラッチ爪44の爪部44bは、第1位置決め部40cに係合した状態で、クラッチカム40とともに、第1回転方向R1に回転する。
そして、クラッチヨーク41のカム受け部41dが、カム部40dの第2頂部40jを通過する。ここで、クラッチヨーク41は第2バネ部材42によってスプール10に近づくスプール軸方向に付勢されているので、カム受け部41dが第2頂部40jを通過すると、カム受け部41dは、第2頂部40jから第2傾斜カム面40fに向けてスプール軸方向に移動する。
このときに、クラッチヨーク41の第1突出部41eが、クラッチ爪44の第2突出部44cに接触する。これにより、クラッチ爪44の爪部44b及びクラッチカム40の第1位置決め部40cの係合が、解除される。すると、クラッチ操作部材11は、第1バネ部材51によって、第3位置から第1位置へと復帰する。
そして、クラッチヨーク41のカム受け部41dが、第2傾斜カム面40fに当接し第2傾斜カム面40fを押圧すると、クラッチカム40は第1回転方向R1にさらに回転し、カム受け部41dが、第3位置決め部40kに配置される。これにより、クラッチ機構16がクラッチオン状態になる。すると、クラッチ爪44の爪部44bは、クラッチカム40のラチェット歯40bを押圧可能な位置に、配置される。
ここで、上記のように、クラッチヨーク41のカム受け部41dが第2位置決め部40hから第3位置決め部40kへと移動した場合には、クラッチカム40は第2回転位相RP2だけ回転している。
<まとめ>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
(1)本発明の一側面に係る両軸受リール100は、リール本体1と、スプール10と、ハンドル2と、クラッチ機構16と、クラッチ操作部材11と、クラッチカム40と、クラッチ爪44とを、備える。スプール10は、リール本体1に回転可能に支持される。ハンドル2は、スプール10を回転可能に構成される。クラッチ機構16は、ハンドル2及びスプール10を連結し、且つハンドル2及びスプール10の連結を解除する。クラッチ操作部材11は、第1位置と、第1位置とは異なる第2位置との間で、移動可能にリール本体1に設けられる。
クラッチカム40は、スプール10の回転中心軸Xに関して第1回転方向R1に回転可能に構成される。クラッチ機構16をクラッチオン状態からクラッチオフ状態に切り換えるためにクラッチ操作部材11が第1位置から第2位置に向けて移動した場合に、クラッチ爪44がクラッチカム40を第1回転方向R1に回転させる。また、クラッチ爪44は、クラッチ操作部材11を第1位置及び第2位置とは異なる第3位置で保持するために、クラッチカム40に係合する。
本両軸受リール100では、クラッチ操作部材11が第1位置から第2位置に向けて移動した場合に、クラッチ爪44がクラッチカム40を第1回転方向R1に回転させる。そして、クラッチ機構16がクラッチオフ状態になると、クラッチ爪44が、クラッチカム40に係合し、クラッチ操作部材11を第3位置で保持する。
このように、本両軸受リール100では、クラッチ操作部材11を、クラッチ機構16がクラッチオン状態である第1位置と、クラッチ機構16がクラッチオフ状態である第3位置とに、配置することができるので、クラッチ機構16の状態を容易に把握することができる。
(2)本発明の別の側面に係る両軸受リール100では、クラッチカム40が、クラッチ爪44によって第1回転方向R1に押圧されるラチェット歯40bと、クラッチ操作部材11を第3位置で保持するためにクラッチ爪44が係合する第1位置決め部40cとを、有することが、好ましい。この構成によって、クラッチ操作部材11によって、クラッチ機構16の切り換えを容易に行うことができ、且つクラッチ機構16の状態を容易に把握することができる。
(3)本発明の別の側面に係る両軸受リール100では、第1位置決め部40cが、クラッチ爪44が係合可能な凹状に形成されていることが好ましい。この構成によって、クラッチ爪44をクラッチカム40に確実に係合させることができる。
(4)本発明の別の側面に係る両軸受リール100は、クラッチ操作部材11を第2位置から第3位置に向けて移動させるための第1バネ部材51を、さらに備えることが好ましい。クラッチ爪44は、クラッチ操作部材11に設けられる。この構成によって、クラッチ爪44及びクラッチカム40の係合が解除された場合に、クラッチ操作部材11を第2位置から第3位置へと確実に復帰させることができる。
(5)本発明の別の側面に係る両軸受リール100は、クラッチヨーク41と、係合解除構造21とを、さらに備えることが好ましい。クラッチヨーク41は、クラッチカム40に係合する。クラッチヨーク41は、クラッチカム40が第1回転方向R1に回転した場合に、スプール10から離れるスプール軸方向(第1軸方向)と、スプール10に近づくスプール軸方向(第2軸方向)とに、移動可能に構成される。係合解除構造21は、クラッチヨーク41が第2軸方向に移動しクラッチ機構16がクラッチオフ状態からクラッチオン状態へと切り換わる場合に、クラッチヨーク41がクラッチ爪44に接触することによって、クラッチカム40及びクラッチ爪44の係合を解除する。
この構成では、クラッチヨーク41が、クラッチカム40が第1回転方向R1に回転することによって、第1軸方向と、第1軸方向とは反対の第2軸方向とに、移動する。そして、クラッチヨーク41がクラッチ爪44に接触することによって、クラッチカム40及びクラッチ爪44の係合が解除される。これにより、クラッチカム40及びクラッチ爪44の係合を容易に解除することができる。
(6)本発明の別の側面に係る両軸受リール100では、係合解除構造21が、クラッチヨーク41に設けられる第1突出部41eと、クラッチカム40に設けられる第2突出部44cとを、有することが好ましい。
クラッチ機構16がクラッチオフ状態である場合には、第1突出部41e及び第2突出部44cは、互いに間隔を隔てて配置される。クラッチ機構16がクラッチオフ状態からクラッチオン状態へと切り換わる場合には、第1突出部41e及び第2突出部44cは互いに接触する。この構成によって、簡単な構成で、クラッチカム40及びクラッチ爪44の係合を容易に解除することができる。
(7)本発明の別の側面に係る両軸受リール100では、クラッチカム40が、クラッチ機構16がクラッチオフ状態である場合にクラッチヨーク41を保持するための第2位置決め部40hを、有することが好ましい。第2位置決め部40hの一方の壁部は、クラッチヨーク41がクラッチカム40を第1回転方向R1に向けて回転可能に傾斜している。
この構成では、クラッチ機構16をクラッチオン状態からクラッチオフ状態へと切り換える際に、第2位置決め部40hにおける傾斜した壁部(下流側の壁部40n)に対するクラッチヨーク41の押圧によって、クラッチカム40を第1回転方向R1に予備的に回転することができる。これにより、次に、クラッチ機構16をクラッチオフ状態からクラッチオン状態へと切り換える際に、クラッチ操作部材11の操作量を小さくすることができる。
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
(a)上記2つの実施形態では、両軸受リール100としてモータ12でスプール10を駆動する電動リールを開示したが、本発明は、手巻きの両軸受リール100にも適用できる。
(c)上記2つの実施形態では、クラッチ操作部材11をスプール10軸まわりに揺動可能に設けられる場合の例を示した。クラッチ操作部材11の移動は、スプール10軸まわりの揺動に限定されず、その他の軸まわりに揺動してもよく、直線移動でもよい。