JP6912174B2 - ウレタン樹脂組成物調製システム、ウレタン成形体を製造する方法、およびウレタン成形体 - Google Patents
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Description
(1)
本発明のウレタン樹脂組成物調製システムは、ポリイソシアネート化合物を含む第1液と、ポリオール化合物を含む第2液と、三量化触媒を含む触媒と、赤リンおよび窒素系非ハロゲン難燃剤含む難燃剤と、を含む。
第1液および第2液は、互いに隔離された状態で用意される材料液である。触媒および難燃剤は、それぞれ、第1液および第2液のいずれに含まれてもよいし、第1液および第2液とは別に用意されてよい材料液に含まれてもよい。
上記(1)のウレタン樹脂組成物調製システムは、窒素系非ハロゲン難燃剤の量が、第1液中のポリイソシアネート化合物と第2液中のポリオール化合物との合計量100重量部に対し1.5重量部以上20重量部以下であってよい。
上記(1)または(2)のウレタン樹脂組成物調製システムは、難燃剤がリン酸エステルをさらに含んでよい。
上記(3)のウレタン樹脂組成物調製システムは、リン酸エステルが液体であってよい。
上記(3)または(4)のウレタン樹脂組成物調製システムは、リン酸エステルの量が、第1液中のポリイソシアネート化合物と第2液中のポリオール化合物との合計量100重量部に対し、20重量部以上30重量部以下であってよい。
上記(3)から(5)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムは、難燃剤に対するリン酸エステルの重量比が0.3以上0.8以下であってよい。
上記(3)から(6)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムは、赤リンに対するリン酸エステルの重量比が0.5以上8以下であってよい。
上記(1)から(7)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムは、難燃剤に対する赤リンの重量比が0.1以上0.2以下であってよい。
上記(3)から(8)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムは、難燃剤が、実質的に、窒素系非ハロゲン難燃剤、赤リン、およびリン酸エステルからなってよい。
上記(1)から(9)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムは、窒素系非ハロゲン難燃剤がメラミンシアヌレートであってよい。
上記(1)から(10)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムは、実質的に粘度鉱物を含まなくてよい。
上記(1)から(11)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムは、実質的にハロゲン化合物を含まなくてよい。
なお、本発明において実質的にハロゲン化合物を含まないとは、ウレタン成形体において塩素含有量が900ppm以下(重量比、以下同様)、臭素含有量が900ppm以下、かつ塩素含有量と臭素含有量との総量が1500ppm以下であり、さらに、難燃剤において塩素含有量が900ppm以下、臭素含有量が900ppm以下、フッ素含有量が900ppm以下、かつハロゲン総量が1500ppm以下であることをいう。これらハロゲンの含有量は、前処理法としてフラスコ燃焼法、測定方法としてイオンクロマトグラフ法により得られる。
なお、本発明において実質的にアンチモン化合物を含まないとは、ウレタン成形体においてアンチモン含有量が900ppm以下であることをいう。アンチモンの含有量は、前処理法としてマイクロウエーブ分解法、測定法として原子吸光法により得られる。
上記(1)から(12)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムは、第2液に触媒と難燃剤とが含まれ、第1液の体積に対する第2液の体積比率が90%以上110%以下であってよい。
上記(1)から(13)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムは、第2液に触媒と難燃剤とが含まれ、第2液中の固体成分の重量比が、(第2液の重量を100%として)3重量%以上35重量%以下であってよい。
上記(1)から(14)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムは、調製されるべきウレタン樹脂組成物中の固体成分が、(ウレタン樹脂組成物の重量を100%として)5重量%以上30重量%以下であってよい。
上記(1)から(15)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムは、第2液に触媒と難燃剤とが含まれ、第2液の25℃での粘度が1000mPa・s以下であってよい。
なお、粘度とは、JIS K7171−1に準じて得られる測定値である。
上記(2)から(16)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムは、第1液および第2液が液混合吐出容器に収容されていてよい。
本発明のウレタン成形体を製造する方法は、混合工程と塗布工程と硬化工程とを含む。混合工程では、上記(1)から(17)のいずれかのウレタン樹脂組成物調製システムを用い、ポリイソシアネート化合物を含む第1液と、ポリオール化合物を含む第2液とを、三量化触媒を含む触媒ならびに赤リンおよび窒素系非ハロゲン難燃剤を含む難燃剤とともに混合してウレタン樹脂組成物を調製する。塗布工程では、ウレタン樹脂組成物を施工対象物に塗布する。硬化工程では、前記ウレタン樹脂組成物を硬化して施工対象物に施工されたウレタン成形体を得る。
本発明のウレタン成形体は、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、三量化触媒を含む触媒と、赤リンおよび窒素系非ハロゲン難燃剤を含む難燃剤と、を含むウレタン樹脂組成物の硬化体からなる。
これによって、ウレタン成形体は燃焼時の膨張がより抑制され、かつ難燃性を保持することができる。
上記(19)のウレタン成形体は、難燃剤がリン酸エステルをさらに含み、難燃剤に対するリン酸エステルの重量比が0.3以上0.8以下であってよい。
上記(20)のウレタン成形体は、赤リンに対するリン酸エステルの重量比が0.5以上8以下であってよい。
上記(19)から(21)のいずれかのウレタン成形体は、難燃剤に対する赤リンの重量比が0.1以上0.2以下であってよい。
上記(20)から(22)のいずれかのウレタン成形体は、難燃剤が、実質的に、窒素系非ハロゲン難燃剤、赤リン、およびリン酸エステルからなってよい。
[1−1.基本構成]
本発明のウレタン樹脂組成物調製システムは、ウレタン樹脂の共重合成分であるポリイソシアネート化合物を含む第1液と、ウレタン樹脂の共重合成分であるポリオール化合物を含む第2液とを含む。第1液および第2液は、互いに隔離された状態で用意される材料液である。ウレタン樹脂組成物調製システムは、さらに、三量化触媒を含む触媒と、赤リンおよび窒素系非ハロゲン難燃剤を含む難燃剤と、を含む。触媒および難燃剤は、それぞれ、第1液および第2液のいずれに含まれてもよいし、第1液および第2液とは別に用意されてよい材料液に含まれてもよい。
[1−2−1.ポリイソシアネート化合物]
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物は、使い易いこと、入手し易いこと等の理由から、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが好ましい。
ポリオール化合物としては、例えば、ポリラクトン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリマーポリオール、ポリエーテル系ポリオール等が挙げられる。
また多価アルコールとしては、具体的には、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
また前記ヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
AOとしては、炭素数2以上6以下のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,3−プロピレオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも性状や反応性の観点から、PO、EOおよび1,2-ブチレンオキサイドが好ましく、POおよびEOがより好ましい。
AOを二種以上使用する場合(例えば、POおよびEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との量比は、ポリオール化合物中の活性水素基(OH)とポリイソシアネート化合物中の活性イソシアネート基(NCO)との割合(NCO/OH)が当量比(モル比)で、0.7以上10以下の範囲であることが好ましく、1.5以上7.0以下の範囲であることがより好ましく、2.0以上6.0以下の範囲であることがさらに好ましく、2.5以上5.0以下の範囲であることが最も好ましい。当該当量比が0.7以上ではウレタン樹脂の粘度が高くなりすぎることを防ぐことができ、10以下では良好な接着強度を保つことができる。
触媒は、三量化触媒を含む。さらに、触媒は、ウレタン触媒を含んでよい。触媒は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
三量化触媒は、ウレタン樹脂に含まれるイソシアネート基の三量化反応を促進する。この三量化触媒を使用することにより、ウレタン樹脂の主剤であるポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進することができる。さらに、ウレタン成形体の燃焼時の膨張を抑制することができる。
ウレタン触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルホリンビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチル,N´−ジメチルアミノエチルピペラジン、イミダゾール環中の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物等のアミノ系触媒等が挙げられる。
難燃剤は、窒素系非ハロゲン難燃剤および赤リンを含む。また、添加剤は、リン酸エステルをさらに含むことが好ましい。さらに添加剤は、その他の難燃剤を含むことも許容する。難燃剤の合計量は、第1液中のポリイソシアネート化合物と第2液中のポリオール化合物との合計量100重量部に対し、たとえば37重量部以上50重量部、好ましくは37重量部以上46重量部以下であってよい。難燃剤の合計量が37重量部以上の場合、形成体の燃焼時の膨れを良好に抑制することができる。これによって、ウレタン成形体の燃焼時の膨張のより良好な抑制と、樹脂組成物の高粘度化のより良好な抑制とをバランスよく両立することができる。
窒素系非ハロゲン難燃剤としては、ウレタン成形体の燃焼時の膨張を抑制する観点からは、トリアジン骨格を有する化合物が挙げられる。
トリアジン骨格を有する化合物としては、メラミン;ブチルメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、リン酸メラミンなどのメラミン誘導体;シアヌル酸;メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレートなどのシアヌル酸誘導体;イソシアヌル酸;メチルイソシアヌレート、N,N'−ジエチルイソシアヌレート、トリスメチルイソシアヌレート、トリスエチルイソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアヌル酸誘導体;メラミンシアヌレート;メラミンイソシアヌレートなどを挙げることができる。これらの化合物は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
窒素系非ハロゲン難燃剤が1.5重量部以上の場合にはウレタン成形体の燃焼時の膨張をより良好に抑制することができ、20重量部以下の場合にウレタン樹脂組成物の高粘度化を良好に防止することができる。
なお、平均粒子径は、レーザー回折散乱法により測定することができる。
赤リンとしては特に限定はなく、市販品を適宜選択して使用することができる。
赤リンの添加量は、たとえば、第1液中のポリイソシアネート化合物と第2液中のポリオール化合物との合計量100重量部に対して、0.1重量部以上60重量部以下の範囲であることが好ましく、0.1重量部以上50重量部以下の範囲であることがより好ましく、0.1重量部以上40重量部の範囲以下であることが更に好ましく、5重量部以上20重量部以下の範囲であることが最も好ましい。
赤リンの添加量の範囲が0.1重量部以上の場合は、本発明に係る耐火性ウレタン樹脂組成物の自己消火性が保持され、また60重量部以下の場合には本発明に係る耐火性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。さらに、赤リンの添加量の範囲が20重量部以下の場合は、ウレタン樹脂組成物の高粘度化をより良好に防止することができる。
赤リンの添加量の重量比が0.1以上、好ましくは0.14以上である場合、ウレタン成形体の燃焼時の膨張をより良好に抑制することができる。赤リンの添加量の重量比が0.5以下、好ましくは0.2以下である場合、ウレタン樹脂組成物の高粘度化をより良好に抑制することができる。
リン酸エステルは特に限定されないが、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。
リン酸エステルは一種もしくは二種以上を使用することができる。
リン酸エステルの添加量が20重量部以上である場合、ウレタン樹脂組成物の高粘度化をより良好に防止することができる点で好ましく、リン酸エステルの添加量が30重量部以下である場合、ウレタン樹脂組成物の発泡阻害を抑制する点で好ましい。
リン酸エステルが液体の場合は、添加量が20重量部以上である場合、固体難燃剤の量を相対的に減らすことができるためウレタン樹脂組成物の高粘度化をより良好に防止する点で好ましく、添加量が30重量部以下である場合、混合する材料液同士の体積が揃い易いため混合容易性が良好である点で好ましい。
リン酸エステルの添加量の重量比が0.3以上、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.71以上である場合、樹脂組成物の高粘度化をより良好に防止することができる。リン酸エステルの添加量が0.8以下、好ましくは0.79以下の場合、ウレタン成形体の燃焼時の膨張をより良好に抑制することができる。
リン酸エステルの添加量の重量比が0.5以上、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3.1以上、より一層好ましくは3.5以上である場合、ウレタン樹脂組成物の高粘度化をより良好に防止することができる。リン酸エステルの添加量の重量比が8以下、好ましくは6以下である場合、ウレタン成形体の燃焼時の膨張をより良好に抑制することができる。
本発明においては、難燃剤として、上述の窒素系非ハロゲン難燃剤、赤リン、およびリン酸エステルに加えて、他の難燃剤を含むことを許容する。たとえば、他の難燃剤を難燃剤の全量の50重量%以下の割合で含むことを許容する。
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、前記各種リン酸と周期律表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、環に窒素を含む複素環式化合物から選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩を挙げることができる。
周期律表IA族〜IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
また脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。
また芳香族アミンとして、アニリン、o−トリイジン、2,4,6−トリメチルアニリン、アニシジン、3−(トリフルオロメチル)アニリン等が挙げられる。
また、環に窒素を含む複素環式化合物として、ピリジン、トリアジン、メラミン等が挙げられる。
なお、上記のリン酸塩含有難燃剤は、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂で被覆する等の公知の耐水性向上処理を加えてもよく、メラミン、ペンタエリスリトール等の公知の発泡助剤を加えても良い。
モノリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩;リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩;リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩;リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩;リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩;リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩;リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩;第一リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩等が挙げられる。
またポリリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
臭素化芳香環含有芳香族化合物の具体例としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA、等のモノマー系有機臭素化合物;臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、前記ポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート;臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物;ポリ(臭素化ベンジルアクリレート);臭素化ポリフェニレンエーテル;臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールおよび臭素化フェノールの縮合物;臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン;架橋または非架橋臭素化ポリ(−メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマーが挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。
具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。
アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。
ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
本発明のウレタン樹脂組成物調製システムは、ウレタン樹脂の発泡を促進するために発泡剤を含むことができる。
たとえば、発泡剤は、ペンタン、ハイドロフルオロカーボン、水が好ましく、中でもハイドロフルオロカーボンと水を併用することがより好ましい。
水の添加量の範囲が0.1重量部以上の場合は発泡が促進され、得られるウレタン成形体の密度を低減することができ、20重量部以下の場合は、発泡体が破泡せず、発泡体が形成されないことを防ぐことができる。
使用する水以外の発泡促進剤が0.1重量部以上の場合には発泡が促進され、得られるウレタン成形体の密度を低減することができ、50重量部以下の場合にウレタン発泡体が破泡せず、発泡体を形成が形成されないことを防ぐことができる。
本発明のウレタン樹脂組成物調製システムは、整泡剤を含むことができる。
整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。
化学反応により硬化するウレタン樹脂に対する整泡剤の使用量は、使用する前記化学反応により硬化するウレタン樹脂により適宜設定されるが、一例を示すとすれば、例えば、第1液中のポリイソシアネート化合物と第2液中のポリオール化合物との合計量100重量部に対して、0.01重量部以上5重量部以下の範囲であれば好ましい。
整泡剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
本発明のウレタン樹脂組成物調製システムは、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、無期充填剤、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。他の成分の含量としては、第1液中のポリイソシアネート化合物と第2液中のポリオール化合物との合計量100重量部に対し、たとえば50重量部以下であってよい。
無機充填材は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
特に、本発明のウレタン樹脂組成物調製システムは、他の成分として実質的に粘土鉱物を含まないことが好ましい。これによって、ウレタン樹脂組成物中の固体成分を減らすことが可能となり、吹付施工時のポンプ詰まりが発生しにくくなり吐出量が安定する。実質的に粘度鉱物を含まないとは、粘度鉱物の量が、第1液中のポリイソシアネート化合物と第2液中のポリオール化合物との合計量100重量部に対し0重量部であることが最も好ましいが、1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.1重量%以下混入している場合も許容する。
ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とは反応して硬化することでウレタン樹脂を生じる。このため本発明のウレタン樹脂組成物調製システムでは、ポリイソシアネート化合物は第1液に含ませ、ポリオール化合物は第2液に含ませることで、両材料液を互いに隔離された状態とする。本発明のウレタン樹脂組成物調製システムに含まれる材料液は、各材料液の中で反応が起こらなければ、第1液および第2液の2液で構成されてもよいし、さらに1または複数の他の材料液を含んで構成されてもよい。触媒および難燃剤は、他の材料液に含ませられてもよいが、いずれも、ポリオール化合物を含む第2液に含ませられることが好ましい。
ウレタン樹脂組成物調製システムを構成する材料液の製造方法は特に限定はないが、例えば、材料液に含ませる成分を混合する方法、当該成分を溶媒中に懸濁させて塗料状とする方法、当該成分を溶媒に分散させてスラリーを調製する等の方法などが挙げられる。当該成分の中に、25℃の温度において固体である成分が含まれる場合には、加熱下に溶融させる等の方法により材料液を得ることができる。
ウレタン成形体の製造方法では、上述のウレタン樹脂組成物調製システムを用いて施工対象物にウレタン成形体を施工する。具体的には、混合工程と塗布工程と硬化工程とを含む。
施工対象としては特に限定されないが、建築物、家具、自動車、電車、船等の、耐燃性または耐燃性および断熱性が求められる構造物が挙げられる。
混合工程においては、ウレタン樹脂組成物調製システムに含まれる各成分が混合される。これによって、ポリイソシアネート化合物を含む第1液と、ポリオール化合物を含む第2液とが、三量化触媒を含む触媒ならびに赤リンおよび窒素系非ハロゲン難燃剤(さらに好ましくはリン酸エステル)を含む難燃剤ととともに混合されてウレタン樹脂組成物が調製される。各成分、各材料液およびウレタン樹脂組成物の詳細についてはウレタン樹脂組成物調製システムにおいて述べたとおりである。
混合工程で調製されたウレタン樹脂組成物は、施工対象の表面に塗布される。塗布の方法は、施工対象の表面にウレタン樹脂組成物の発泡層を形成可能な方法であれば特に限定されない。
施工対象に塗布されたウレタン樹脂組成物は硬化させられる。硬化はウレタン樹脂組成物が硬化条件(特に温度条件)下に付されることで開始する。硬化工程では、施工対象に塗布されたウレタン樹脂組成物を完全に硬化させることで、施工対象物に施工されたウレタン成形体を得る。この場合、ウレタン樹脂組成物の発泡層が硬化することでウレタン発泡成形体が得られる。このウレタン発泡成形体は、断熱材層として有用である。
また、施工対象面の温度が−10℃以上0℃以下となる低温環境下における施工において、施工対象面に対する初期接着性が、JIS A9526に規定される接着強度としてたとえば70Kpa以上、好ましくは100Kpa以上の断熱材を得ることができる。
第1液成分:
・ポリイソシアネート化合物
・ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
(日本ポリウレタン社製、製品名ミリオネートMR-200)
・ポリオール化合物
・テレフタル酸系ポリエステルポリオール
(川崎化成工業社製、製品名マキシモールRFK-505)
・発泡剤
・1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(デュポン社製、製品名Formacel 1100)
・水
・整泡剤
・シリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング社製、製品名SH193)
・触媒
・ウレタン触媒 N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン
(東ソー社製、製品名TOYO-CATDT)
・三量化触媒 4級アンモニウム塩とエチレングリコールとの混合物
(東ソー社製、製品名TOYO-CAT TRX)
・難燃剤
・赤リン(燐化学工業社製、製品名ノーバエクセル)
・リン酸エステル ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)
(大八化学社製、製品名CR-741)
・メラミンシアヌレート(日産化学工業社製、製品名MC-4500)
下記表1の配合(表中の数値は重量部で示される。)に従い、イソシアネート液(第1液、無溶媒)と、ポリオール化合物・水・発泡剤・整泡剤・ウレタン触媒・三量化触媒・赤リン・リン酸エステル・メラミンシアヌレートを含むポリオール溶液(第2液)をそれぞれ予め撹拌混合し、材料液を得た。
撹拌混合したイソシアネート溶液(第1液)およびポリオール溶液(第2液)(体積比1:1)を常法に従い、スプレー発泡機を用いてスプレーノズル先端で両者を混合しながら、吐出圧力6MPaから10MPaでベニヤ板に吹付け施工を行い、ウレタン成形体を得た。
調製されたポリオール溶液(第2液)の粘度を、JIS K7171−1に準じて測定した。また、第2液中の固体成分の体積比を算出した。
さらに、得られたウレタン成形体から縦10cm×横10cm×厚み5cmの試験片を切り出し、コーンカロリーメーター試験用サンプルとした。この試験用サンプルをISO−5660の試験方法に準拠し、放射熱強度50kW/m2にて20分間加熱したときのコーンカロリーメーター試験による発熱性試験を行った(結果を表1に示す)。さらに、当該発熱性試験で得られた加熱後サンプルの膨張の程度を評価した。
ポリオール溶液(第2液)粘度試験において、25℃での粘度が1500mPa・s超の場合を×、1000mPa・s超1500mPa・s以下の場合を○、1000mPa・s以下の場合を◎と評価した。結果を表1に示す。
[膨張の評価]
前記ISO−5660の試験を実施した時に、加熱後の成形体が加熱前の試験用サンプルに対して厚み基準でどれくらい膨張したかを評価した。
・膨張率(厚み基準)が0%以上4%未満・・・・・評価◎
・膨張率(厚み基準)が4%以上12%未満・・・・・評価○
・膨張率(厚み基準)が12%以上24%未満・・・・・評価△
・膨張率(厚み基準)が24%に達する(点火器に接触)・・・評価×
なお、膨張率(%)は、{燃焼後膨張した分の厚み/燃焼前のサンプル厚み}×100として求めた。
さらに、総合評価として、粘度試験および膨張試験のいずれも○以上の評価であった例をOKとし、それ以外の例をNGとした。結果を表1に示す。
本実施例では、混合容易性および吐出安定性が特に良好であった。
メラミンシアヌレートの量を3重量部に変更したことを除いて、実施例1と同じ手順で実験を行った。
結果を表1に示す。
本実施例では、混合容易性および吐出安定性が特に良好であった。
メラミンシアヌレートの量を10重量部に変更したことを除いて、実施例1と同じ手順で実験を行った。
結果を表1に示す。
リン酸エステルの量を20重量部に変更し、かつ、メラミンシアヌレートの量を20重量部に変更したことを除いて、実施例1と同じ手順で実験を行った。
結果を表1に示す。
赤リンの量を10重量部に変更し、かつ、メラミンシアヌレートの量を3重量部に変更したことを除いて、実施例1と同じ手順で実験を行った。
結果を表1に示す。
赤リンの量を20重量部に変更し、リン酸エステルの量を20重量部に変更し、かつ、メラミンシアヌレートの量を3重量部に変更したことを除いて、実施例1と同じ手順で実験を行った。
結果を表1に示す。
三量化触媒の量を10重量部に変更し、かつ、メラミンシアヌレートの量を3重量部に変更したことを除いて、実施例1と同じ手順で実験を行った。
結果を表1に示す。
本実施例では、混合容易性および吐出安定性が特に良好であった。
三量化触媒を用いず、かつ、メラミンシアヌレートの量を3重量部に変更したことを除いて、実施例1と同じ手順で実験を行った。
結果を表2に示す。
Claims (20)
- ポリイソシアネート化合物を含む第1液と、
ポリオール化合物を含む第2液と、
三量化触媒を含む触媒と、
リン酸エステル、赤リン、およびトリアジン骨格を有する窒素系非ハロゲン難燃剤を含む難燃剤と、を含み、
前記第1液と前記第2液との合計量100重量部に対して、
前記リン酸エステルを20重量部以上30重量部以下、
前記赤リンを0.1重量部以上60重量部以下、
前記窒素系非ハロゲン難燃剤を1.5重量部以上20重量部以下、含有する、
ウレタン樹脂組成物調製システム。 - 前記窒素系非ハロゲン難燃剤がメラミンシアヌレートである、請求項1に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 前記リン酸エステルが液体である、請求項1または2に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 前記難燃剤に対する前記リン酸エステルの重量比が0.3以上0.8以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 前記赤リンに対する前記リン酸エステルの重量比が0.5以上8以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 前記難燃剤に対する前記赤リンの重量比が0.1以上0.2以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 前記難燃剤が、実質的に、前記窒素系非ハロゲン難燃剤、前記赤リン、および前記リン酸エステルからなる、請求項1から6のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 実質的に粘度鉱物を含まない、請求項1から7のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 実質的にハロゲン化合物を含まない、請求項1から8のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 前記第2液に前記触媒と前記難燃剤とが含まれ、前記第1液の体積に対する前記第2液の体積比率が90%以上110%以下である、請求項1から9のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 前記第2液に前記触媒と前記難燃剤とが含まれ、前記第2液中の固体成分の重量比が、3重量%以上35重量%以下である、請求項1から10のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 調製されるべきウレタン樹脂組成物中の固体成分の重量比が3重量%以上30重量%以下である、請求項1から11のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 前記第2液に前記触媒と前記難燃剤とが含まれ、前記第2液の25℃での粘度が1000mPa・s以下である、請求項1から12のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 前記第1液および前記第2液が液混合吐出容器に収容されている、請求項1から13のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物調製システム。
- 請求項1から14のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物調製システムを用い、ポリイソシアネート化合物を含む前記第1液と、ポリオール化合物を含む前記第2液とを、三量化触媒を含む前記触媒ならびに、リン酸エステル、赤リン、および窒素系非ハロゲン難燃剤を含む前記難燃剤とともに混合してウレタン樹脂組成物を調製する混合工程と、
前記ウレタン樹脂組成物を施工対象物に塗布する塗布工程と、
前記ウレタン樹脂組成物を硬化して前記施工対象物に施工されたウレタン成形体を得る硬化工程と、
を含む、ウレタン成形体を製造する方法。 - ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、三量化触媒を含む触媒と、リン酸エステル、赤リン、およびトリアジン骨格を有する窒素系非ハロゲン難燃剤を含む難燃剤と、を含み、
前記ポリイソシアネート化合物を含む第1液と、前記ポリオール化合物を含む第2液との合計量100重量部に対して、
前記リン酸エステルを20重量部以上30重量部以下、
前記赤リンを0.1重量部以上60重量部以下、
前記窒素系非ハロゲン難燃剤を1.5重量部以上20重量部以下、含有する、
ウレタン樹脂組成物の硬化体からなるウレタン成形体。 - 前記難燃剤に対する前記リン酸エステルの重量比が0.3以上0.8以下である、請求項16に記載のウレタン成形体。
- 前記赤リンに対する前記リン酸エステルの重量比が0.5以上8以下である、請求項16または17に記載のウレタン成形体。
- 前記難燃剤に対する前記赤リンの重量比が0.1以上0.2以下である、請求項16から18のいずれか1項に記載のウレタン成形体。
- 前記難燃剤が、実質的に、前記窒素系非ハロゲン難燃剤、前記赤リン、および前記リン酸エステルからなる、請求項16から19のいずれか1項に記載のウレタン成形体。
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