JP6751617B2 - 難燃性ウレタン樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

難燃性ウレタン樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、難燃性ウレタン樹脂組成物及びその製造方法に関する。
ウレタンに難燃性を付与する方法としては、イソシアヌレート骨格を増やす方法、及び赤リン並びにリン酸エステル等の難燃剤を添加する方法(特許文献1参照)が知られている。
赤リンを含有するウレタン樹脂組成物の難燃性の発現機構としては、赤リンが水及び酸素と反応してポリリン酸が生成し、それが被膜となってチャーを形成して難燃性を向上すると言われている。
しかしながらそのポリリン酸の詳細な構造解析はもちろんのこと、その構造と難燃性がどう関係しているかは明らかになっていない。燃焼残渣の31P−NMRによって、ウレタン樹脂組成物中のリンの構造の解析を行い、その構造と不燃性の関係を明確にするに至った。
特開2012−97169
本発明の目的は、難燃性に優れた難燃性ウレタン樹脂組成物及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、難燃性ウレタン樹脂組成物の硬化物を50kW/m2で20分間加熱した後の表層1mmの31P−NMRを測定したときに、0ppm付近のピークに対する−30ppm付近のピークの強度比が0.3以上となるように難燃性ウレタン樹脂組成物の成分を調整することで、上記課題を解決できる難燃性ウレタンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]ポリイソシアネート、ポリオール、三量化触媒、発泡剤、整泡剤及びリン化合物を含む難燃性ウレタン樹脂組成物であって、該難燃性ウレタン樹脂組成物の硬化物の50kW/m2で20分間加熱後の表層1mmの31P−NMRにおいて、0ppm付近のピークに対する−30ppm付近のピークの強度比が0.3以上であることを特徴とする難燃性ウレタン樹脂組成物。
[2]前記リン化合物が赤リンと、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、及び針状フィラーから選ばれる少なくとも1つとを含む、[1]に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[3]ウレタン樹脂100重量部を基準として、0.1重量部〜10重量部の範囲の整泡剤と、0.3〜10重量部の範囲の触媒と、0.1〜30重量部の発泡剤と、6重量部〜70重量部の範囲の難燃剤を含む[1]又は[2]に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[4]前記三量化触媒の含有量がウレタン樹脂100重量部に対して、0.6重量部〜10重量部の範囲である、[1]〜[3]のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[5]ウレタン化触媒をさらに含み、ウレタン化触媒の含有量がウレタン樹脂100重量部に対して、0.6重量部〜10重量部の範囲である、[1]〜[4]のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[6]発泡剤の含有量がウレタン樹脂100重量部に対して、1重量部〜20重量部の範囲である[1]〜[5]のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[7]発泡剤が水を含み、水の含有量がウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜5重量部の範囲である[1]〜[6]のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[8]難燃剤が、赤リン 3〜35重量部、及びリン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、及び針状フィラーから選ばれる少なくとも1つフィラー 3〜35重量部を含む[1]〜[7]のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[9]難燃性ウレタン樹脂組成物の製造方法であって、
ポリイソシアネート、ポリオール、三量化触媒、発泡剤、整泡剤及びリン化合物を混合して難燃性ウレタン樹脂組成物を製造することであって、該難燃性ウレタン樹脂組成物の硬化物の50kW/m2で20分間加熱後の表層1mmの31P−NMRにおいて、0ppm付近のピークに対する−30ppm付近のピークの強度比が0.3以上となるように、ポリイソシアネート、ポリオール、三量化触媒、発泡剤、整泡剤及びリン化合物の組成を調整することを含む方法。
[10]前記リン化合物が赤リンと、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、及び針状フィラーから選ばれる少なくとも1つとを含む、[9]に記載の方法。
[11]ウレタン樹脂100重量部を基準として、0.1重量部〜10重量部の範囲の整泡剤と、0.3〜10重量部の範囲の触媒と、0.1〜30重量部の発泡剤と、6重量部〜70重量部の範囲の難燃剤を含む[9]又は[10]に記載の方法。
[12]前記三量化触媒の含有量がウレタン樹脂100重量部に対して、0.6重量部〜10重量部の範囲である、[1]〜[11]のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[13]ウレタン化触媒をさらに含み、ウレタン化触媒の含有量がウレタン樹脂100重量部に対して、0.6重量部〜10重量部の範囲である、[1]〜[12]のいずれかに記載の方法。
[14]発泡剤の含有量がウレタン樹脂100重量部に対して、1重量部〜20重量部の範囲である[1]〜[13]のいずれかに記載の方法。
[15]発泡剤が水を含み、水の含有量がウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜5重量部の範囲である[1]〜[14]のいずれかに記載の方法。
[16]難燃剤が、赤リン 3〜35重量部、及びリン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、及び針状フィラーから選ばれる少なくとも1つフィラー 3〜35重量部を含む[1]〜[15]のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、難燃性ウレタン樹脂組成物の加熱後の31P−NMR値を測定することにより、難燃性ウレタン樹脂組成物の不燃性を評価することができる。また、かかる31P−NMR値に基づいて、優れた難燃性を有する難燃性ウレタン樹脂組成物を製造することができる。
(A)実施例1、(B)実施例2、及び(C)比較例1の難燃性ウレタン樹脂組成物の硬化物の加熱後の31P−NMR測定値を示すグラフ。
本発明は、ポリイソシアネート、ポリオール、三量化触媒、発泡剤、整泡剤及びリン化合物を含む難燃性ウレタン樹脂組成物であって、該難燃性ウレタン樹脂組成物の硬化物の50kW/m2で20分間加熱後の表層1mmの31P−NMRにおいて、0ppm付近のピークに対する−30ppm付近のピークの強度比が0.3以上であることを特徴とする難燃性ウレタン樹脂組成物を包含する。
最初に、難燃性ウレタン樹脂組成物に使用するウレタン樹脂について説明する。
ウレタン樹脂は、主剤としてのポリイソシアネートと硬化剤としてのポリオールとからなる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロへキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネートは一種もしくは二種以上を使用することができる。ウレタン樹脂の主剤は、使い易いこと、入手し易いこと等の理由から、ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
ウレタン樹脂の硬化剤であるポリオールとしては、例えばポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、ポリバレロラクトングリコールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオールなどの水酸基含有化合物と、ジエチレンカーボネート、ジプロピレンカーボネートなどとの脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
脂環族ポリオールとしては、例えばシクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロへキシルメタンジオール、ジメチルジシクロへキシルメタンジオール等が挙げられる。
脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られる重合体、ヒドロキシカルボン酸と上記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
ここで多塩基酸としては、具体的には、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸等が挙げられる。また多価アルコールとしては、具体的には、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
またヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、メタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、多価アルコールの変性ポリオール又は、これらの水素添加物等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の三価アルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクト−ス、メチルグルコシド及びその誘導体等の四〜八価のアルコール;フェノール、フロログルシン、クレゾール、ピロガロール、カテコ−ル、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1−ヒドロキシナフタレン、1,3,6,8−テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8−テトラヒドロキシアントラセン、1−ヒドロキシピレン等のフェノール;ポリブタジエンポリオール;ひまし油ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2〜100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)が挙げられる。
多価アルコールの変性ポリオールとしては、例えば、原料の多価アルコールにアルキレンオキサイドを反応させて変性したもの等が挙げられる。
多価アルコールの変性方法は特に限定されないが、アルキレンオキサイド(以下、AOと略す)を付加させる方法が好適に用いられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも一種の存在下に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。
活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオ−ル等のジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール、エチレンジアミン、ブチレンジアミン等のアミン等が挙げられる。
本発明に使用するポリオールは、燃焼した際の総発熱量の低減効果が大きいことからポリエステルポリオール、又はポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
その中でも分子量200〜800のポリエステルポリオールを用いることがより好ましく、分子量300〜500のポリエステルポリオールを用いることがさらに好ましい。
またイソシアネートインデックスは、ポリオールの水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比を百分率で表したものであるが、その値が100を越えるということはイソシアネート基が水酸基より過剰であることを意味する。
本発明に使用するウレタン樹脂のイソシアネートインデックスの範囲は、特に限定されないが、150〜1000の範囲であることが好ましく、200〜800の範囲であればより好ましく、250〜700の範囲であればさらにより好ましい。イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。

INDEX=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100

ここで、イソシアネートの当量数=NCOの分子量÷NCO含有量(%)×100、
ポリオールの当量数=OHV×使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mg KOH/g)、
水の当量数=使用部数/水の分子量×水のOH基の数
である。なお上記式において、NCOの分子量は42、KOHの分子量は56100、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
また難燃性ウレタン樹脂組成物は、整泡剤、触媒、発泡剤、及び難燃剤を含む。
難燃性ウレタン樹脂組成物に使用する整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。
化学反応により硬化するウレタン樹脂に対する整泡剤の使用量は、使用する化学反応により硬化するウレタン樹脂により適宜設定されるが、一例を示すとすれば、例えば、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部の範囲であれば好ましい。
難燃性ウレタン樹脂組成物に使用する触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルホリンビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”, N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N, N, N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチル, N’−ジメチルアミノエチルピペラジン、イミダゾール環中の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物等の窒素原子含有触媒等が挙げられる。
難燃性ウレタン樹脂組成物に使用する触媒の含有量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.6重量部〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.6重量部〜8重量部の範囲であることがより好ましい。
0.6重量部以上の場合はウレタン結合の形成が阻害される不具合が生じず、10重量部以下の場合は適切な発泡速度を維持することができ、取扱いやすい。
好ましい触媒としては、三量化触媒及びウレタン化触媒が挙げられる。
三量化触媒は、ポリウレタン樹脂の主剤であるポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進する。
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の窒素含有芳香族化合物;酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、カルボン酸アルカリ金属塩;トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
難燃性ウレタン樹脂組成物に使用する三量化触媒の含有量はウレタン樹脂100重量部に対して、0.6重量部〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.6重量部〜6重量部の範囲であることがより好ましい。0.6重量部以上の場合にイソシアネートの三量化が阻害される不具合が生じず、10重量部以下の場合は適切な発泡速度を維持することができ、取り扱いやすい。
ウレタン化触媒は、イソシアネート化合物とポリオールとの反応を触媒する。
ウレタン化触媒は第3級アミンが好ましく、第3級アミンとしては、例えばN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N−メチル−N−(N,N−ジメチルアミノエチル)エタノールアミン等の第3級アミン化合物が挙げられる。
ウレタン化触媒には、樹脂化触媒と泡化触媒が含まれる。
難燃性ウレタン樹脂組成物に使用するウレタン化触媒の含有量はウレタン樹脂100重量部に対して、0.6重量部〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.6重量部〜6重量部の範囲であることがより好ましい。0.6重量部以上の場合はウレタン結合の形成が阻害される不具合が生じず、10重量部以下の場合は適切な発泡速度を維持することができ、取り扱いやすい 。
難燃性ウレタン樹脂組成物に使用する発泡剤は、ウレタン樹脂の発泡を促進する。
発泡剤の具体例としては、例えば、水;プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の低沸点の炭化水素;ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の塩素化脂肪族炭化水素化合物;CHF3、CH22、CH3F等のフッ素化合物;トリクロロモノフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロモノフルオロエタン、(例えば、HCFC141b (1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン)、HCFC22 (クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン))等のハイドロクロロフルオロカーボン化合物;HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン)、HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)等のハイドロフルオロカーボン;ジイソプロピルエーテル等のエーテル化合物、あるいはこれらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
発泡剤の範囲は、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部の範囲であることが好ましい。発泡剤は、ウレタン樹脂100重量部に対して、1重量部〜20重量部の範囲であることがより好ましく、5重量部〜18重量部の範囲であることが更に好ましい。
発泡剤が水を含む場合、水の含有量はウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜5重量部の範囲であることが好ましい。
発泡剤の範囲が0.1重量部以上の場合は気泡の形成が促進され良好な発泡体が得られ、30重量部以下の場合は、気化力が高くなり気泡が粗大になることを防ぐことができる。
整泡剤、触媒、及び発泡剤はそれぞれ一種もしくは二種以上を使用することができる。
次に、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物に使用される難燃剤について説明する。
本発明によれば、難燃剤は赤リンを必須成分として含む。一つの実施形態において、難燃剤は、赤リンと、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、及び針状フィラーから選ばれる少なくとも1つとを含む。
本発明に使用する難燃剤の含有量はウレタン樹脂100重量部に対して、難燃剤の全量の範囲は6重量部〜70重量部の範囲であることが好ましく、6重量部〜40重量部の範囲であることがより好ましく、6重量部〜30重量部の範囲であることが更に好ましく、6重量部〜20重量部の範囲であることが最も好ましい。
難燃剤の範囲が6重量部以上の場合には難燃性ウレタン樹脂組成物からなる成形体が火災の熱により形成される緻密残渣が割れることを防止でき、70重量部以下の場合には難燃性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
本発明に使用する赤リンに限定はなく、市販品を適宜選択して使用することができる。
本発明に係る耐火ウレタン樹脂組成物に使用する赤リンの含有量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、通常3.5重量部〜30重量部の範囲であることが好ましく、3.5〜20重量部の範囲であることがより好ましく、6.0重量部〜18重量部の範囲であることがより好ましい。
赤リンの範囲が3.5重量部以上の場合は、難燃性ウレタン樹脂組成物の自己消火性が保持され、また20重量部以下の場合には難燃性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
好ましい一実施形態において、難燃性ウレタン樹脂組成物の重量に対し赤リンが2〜18重量%である。
また本発明に使用するリン酸エステルは特に限定されないが、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。
モノリン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレ二ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレ二ルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスファフェナンスレン、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名PX−200)、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステルを挙げられる。
市販の縮合リン酸エステルとしては、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR−733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR−741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(ADEKA社製、商品名アデカスタブPFR)、ビスフェノールAポリクレジルホスフエ−ト(商品名FP−600、FP−700)等を挙げることができる。
上記の中でも、硬化前の組成物中の粘度の低下させる効果と初期の発熱量を低減させる効果が高いためモノリン酸エステルを使用することが好ましく、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェートを使用することがより好ましい。
リン酸エステルは一種もしくは二種以上を使用することができる。
リン酸エステルの含有量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、2.5重量部〜50重量部の範囲であることが好ましく、2.5重量部〜40重量部の範囲であることがより好ましく、2.5重量部〜30重量部の範囲であることが更に好ましい。
リン酸エステルの範囲が2.5重量部以上の場合には自己消火性が保持され、50重量部以下の場合には難燃性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
リン酸塩含有難燃剤はリン酸を含むものである。リン酸塩含有難燃剤に使用されるリン酸は特に限定はないが、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等の各種リン酸が挙げられる。
前記リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、前記各種リン酸と周期律表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、環に窒素を含む複素環式化合物から選ばれる少なくとも一種の金属又は化合物との塩からなるリン酸塩を挙げることができる。
前記周期律表IA族〜IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
また前記脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。
また芳香族アミンとして、アニリン、o−トリイジン、2,4,6−トリメチルアニリン、アニシジン、3−(トリフルオロメチル)アニリン等が挙げられる。
また環に窒素を含む複素環式化合物として、ピリジン、トリアジン、メラミン等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。
前記モノリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩、
リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、
リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩、
リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、
リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、
リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩、
リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、
リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩が挙げられる。
また前記ポリリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
これらの中でも、前記リン酸塩含有難燃剤の自己消化性が向上するため、モノリン酸塩を使用することが好ましく、リン酸二水素アンモニウムを使用することが好ましい。
前記リン酸塩含有難燃剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
本発明に使用するリン酸塩含有難燃剤の含有量に特に限定はないが、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜60重量部の範囲であることが好ましく、0.1重量部〜50重量部の範囲であることがより好ましく、0.1重量部〜40重量部の範囲であることが更に好ましく、3.0重量部〜10重量部の範囲であることが最も好ましい。
前記リン酸塩含有難燃剤の範囲が0.1重量部以上の場合は、本発明に係る耐火性ウレタン樹脂組成物の自己消火性が保持され、また60重量部以下の場合には本発明に係る耐火性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する化合物であれば特に限定はないが、例えば、臭素化芳香環含有芳香族化合物等を挙げることができる。
前記臭素化芳香環含有芳香族化合物の具体例としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA、等のモノマー系有機臭素化合物、
臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、前記ポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、
臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、
ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、
臭素化ポリフェニレンエーテル、
臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌール及び臭素化フェノールの縮合物、
臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン、
架橋又は非架橋臭素化ポリ(−メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマーが挙げられる。
燃焼初期の発熱量を制御する観点から、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、ヘキサブロモベンゼン等が好ましく、ヘキサブロモベンゼンがより好ましい。
前記臭素含有難燃剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
本発明に使用する臭素含有難燃剤の含有量に特に限定はないが、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜60重量部の範囲であることが好ましく、0.1重量部〜50重量部の範囲であることがより好ましく、0.1重量部〜40重量部の範囲であることが更に好ましく、3.0重量部〜5.0重量部の範囲であることが最も好ましい。
前記臭素含有難燃剤の範囲が0.1重量部以上の場合は、本発明に係る耐火性ウレタン樹脂組成物の自己消火性が保持され、また60重量部以下の場合には本発明に係る耐火性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
ホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。
前記酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
前記ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。
具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
本発明に使用するホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましく、ホウ酸亜鉛であればより好ましい。
前記ホウ素含有難燃剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
本発明に使用するホウ素含有難燃剤の含有量は、ウレタン樹脂100重量部に対して0.1〜60重量部の範囲である。前記ホウ素含有難燃剤の含有量は0.1〜50重量部の範囲であることが好ましく、0.1〜40重量部の範囲であることがより好ましく、1.0〜10重量部の範囲であることがさらに好ましい。
前記ホウ素含有難燃剤の範囲が0.1重量部以上の場合は、本発明に係るウレタン樹脂組成物の自己消火性が保持され、また60重量部以下の場合には本発明に係るウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。
前記酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。
前記アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。
前記ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
本発明に使用するアンチモン含有難燃剤の含有量に特に限定はないが、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜60重量部の範囲であることが好ましく、0.1重量部〜50重量部の範囲であることがより好ましく、0.1重量部〜40重量部の範囲であることが更に好ましく、1部〜10部の範囲であることが最も好ましい。
前記アンチモン含有難燃剤の範囲が0.1重量部以上の場合は、本発明に係る耐火性ウレタン樹脂組成物の自己消火性が保持され、また60重量部以下の場合には本発明に係る耐火性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウムおよび水酸化カリウム等が挙げられる。
前記金属水酸化物は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
本発明に使用する金属水酸化物の含有量は、ウレタン樹脂100重量部に対して0.1重量部〜50重量部の範囲である。前記金属水酸化物の含有量は0.5重量部〜40重量部の範囲であることが好ましく、0.5重量部〜30重量部の範囲であることがより好ましく、1.5部〜10部の範囲であることがさらに好ましい。
前記金属水酸化物の範囲が0.1重量部以上の場合は、本発明に係る難燃性ウレタン樹脂組成物の自己消火性が保持され、また10重量部以下の場合には本発明に係る難燃性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
針状フィラーは、長径が短径の3倍以上をしたフィラーを指し、所謂針形状だけでなく、紡錘形状、円柱形状のもの等も含む。
針状フィラーは有機系フィラーであっても無機系フィラーであってもよいが、好ましくは無機系フィラーである。フィラーのアスペクト比は好ましくは5〜50である。フィラーのアスペクト比とは、フィラーを走査型電子顕微鏡で観察して得られる画像にて確認されるフィラーの最大長さの最小厚さ(最大長さに対し垂直方向)に対する比(直径/厚さ比とも言う)であり、十分な数のフィラー、250個以上の平均である。 フィラーの平均粒径は好ましくは0.1μm以上15μm未満である。平均粒径はX線透過式沈降法粒度分布測定装置により求められる。フィラーの融点は好ましくは750℃以上である。
針状の無機フィラーとしては、塩基性硫酸マグネシウム、硼酸アルミニウム、ウォラストナイト(珪灰石)、ゾノトライト、ドーソナイト、エレスタダイト、ベーマイト、棒状ヒドロキシアパタイト、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、マグネシウム系ウィスカー、珪素系ウィスカー、針状アルミナ、針状セラミック、アスベスト、針状炭酸カルシウム、石膏繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、炭素繊維(カーボンナノチューブ等の繊維状、針状又はフラーレン等の球状のニューカーボンを含む)、グラファイト繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、金属繊維等が例示される。好ましい針状無機フィラーはウォラストナイト又はチタン酸カリウムウィスカーである。
針状フィラーの含有量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、3〜30重量部の範囲であることが好ましく、3重量部〜25重量部の範囲であることがより好ましく、3重量部〜18重量部の範囲であることが更に好ましい。
さらに難燃性ウレタン樹脂組成物は、それぞれ本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の補助成分、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
難燃性ウレタン樹脂組成物は反応して硬化するため、その粘度は時間の経過と共に変化する。そこで難燃性ウレタン樹脂組成物を使用する前は、難燃性ウレタン樹脂組成物を二以上に分割して、難燃性ウレタン樹脂組成物が反応して硬化することを防止しておく。そして難燃性ウレタン樹脂組成物を使用する際に、二以上に分割しておいた難燃性ウレタン樹脂組成物を一つにまとめることにより、難燃性ウレタン樹脂組成物が得られる。
なお難燃性ウレタン樹脂組成物を二以上に分割するときは、二以上に分割された難燃性ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分単独は硬化が始まらず、難燃性ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分を混合した後に硬化反応が始まるようにそれぞれの成分を分割すればよい。
一実施形態では、難燃性ウレタン樹脂組成物は、前記ポリイソシアネート及び前記ポリオールからなるウレタン樹脂100重量部を基準として、0.1重量部〜10重量部の範囲の整泡剤と、0.3〜10重量部の範囲の触媒と、0.1〜30重量部の発泡剤と、6重量部〜70重量部の範囲の難燃剤とを含む。この難燃性ウレタン樹脂組成物において、好ましくは三量化触媒が0.6〜10重量部、赤リンが3〜35重量部、及びリン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、及び針状フィラーから選ばれる少なくとも1つフィラーが3〜35重量部である。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、該難燃性ウレタン樹脂組成物の硬化物を、50kW/m2で20分間加熱後、表層1mmを31P−NMRで測定すると、0ppm付近のピークに対する−30ppm付近のピークの強度比が0.3以上であることを特徴とする。このため、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は難燃性に優れている。
理論に束縛されるわけではないが、0ppm付近のピークはリン酸に由来し、−30ppm付近のピークは縮合したリン酸(以下、縮合リン酸)に由来し、リン酸に対する縮合リン酸の比が増大すると、難燃性も増大すると考えられる。驚くべきことに、本願発明者らは、リン酸に対する縮合リン酸の比が、リン酸に対する縮合リン酸の比における難燃性の指標となることを見出した。
本発明は、難燃性ウレタン樹脂組成物の製造方法であって、ポリイソシアネート、ポリオール、三量化触媒、発泡剤、整泡剤及びリン化合物を混合して難燃性ウレタン樹脂組成物を製造することであって、該難燃性ウレタン樹脂組成物の硬化物の50kW/m2で20分間加熱後の表層1mmの31P−NMRにおいて、0ppm付近のピークに対する−30ppm付近のピークの強度比が0.3以上となるように、ポリイソシアネート、ポリオール、三量化触媒、発泡剤、整泡剤及びリン化合物の組成を調整することを含む方法を包含する。
難燃性ウレタン樹脂組成物は、例えば、難燃性ウレタン樹脂組成物の各成分を混合する方法、難燃性ウレタン樹脂組成物を有機溶剤に懸濁させたり、加温して溶融させたりして塗料状とする方法、溶剤に分散してスラリーを調製する等の方法、また難燃性ウレタン樹脂組成物に含まれる反応硬化性樹脂成分に常温(約25℃)の温度において固体である成分が含まれる場合には、難燃性ウレタン樹脂組成物を加熱下に溶融させる等の方法により得ることができる。
難燃性ウレタン樹脂組成物は、難燃性ウレタン樹脂組成物の各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拝機等公知の装置を用いて混練することにより得ることができる。
また、ウレタン樹脂の主剤と硬化剤とをそれぞれ別々に充填材等と共に混練しておき、注入直前にスタティックミキサー、ダイナミックミキサー等で混練して得ることもできる。
さらに触媒を除く難燃性ウレタン樹脂組成物の成分と、触媒とを注入直前に同様に混練して得ることもできる。以上説明した方法により難燃性ウレタン樹脂組成物を得ることができる。
次に本発明に係る難燃性ウレタン樹脂組成物の硬化方法について説明する。
前記難燃性ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分を混合すると反応が始まり時間の経過と共に粘度が上昇し、流動性を失う。
例えば、前記難燃性ウレタン樹脂組成物を、金型、枠材等の容器へ注入して硬化させることにより、前記難燃性ウレタン樹脂組成物からなる成形体を発泡体として得ることができる。あるいは、前記難燃性ウレタン樹脂組成物を、被塗構造物に吹き付けて硬化させることにより、前記難燃性ウレタン樹脂組成物からなる成形体を発泡体として得ることができる。
前記難燃性ウレタン樹脂組成物からなる成形体を得る際には、熱を加えたり、圧力を加えたりすることができる。
次に本発明に係る難燃性ウレタン樹脂組成物の応用例について説明する。
前記難燃性ウレタン樹脂組成物を、薄厚のパネルに成形し、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物に配置することができる。あるいは、前記難燃性ウレタン樹脂組成物を上記構造物に吹き付けることにより、前記構造物の表面に難燃性ウレタン樹脂組成物からなる発泡体層を形成することができる。本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、構造物に吹付けて吹付層を形成する、吹付け用の難燃性ウレタン樹脂組成物として特に適している。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1 難燃性ウレタン樹脂組成物からなる発泡成形体の製造及びその性能評価
1.難燃性ウレタン樹脂組成物からなる発泡成形体の製造
表1に示した配合により、実施例1、実施例2及び比較例1に係る難燃性ウレタン樹脂組成物をそれぞれ準備した。表中の各成分の詳細は次の通りである。
(A)成分:ポリオールプレミックス組成物
1.ポリオール
p−フタル酸ポリエステルポリオール(川崎化成工業社、製品名:マキシモールRLK−087、水酸基価=200mgKOH/g)
2.整泡剤
ポリアルキレングリコール系整泡剤(東レダウコーニング社、製品名:SH−193)
3.触媒
三量化触媒(東ソー株式会社、製品名:TOYOCAT−TRX)
三量化触媒(オクチル酸カリウム、Air Products社、製品名:DABCO K−15)
ウレタン化触媒(アルキル化ポリアルキレンポリアミン、東ソー株式会社、製品名:TOYOCAT−TT)
ウレタン化触媒(第3級アミン混合物、東ソー株式会社、製品名:TOYOCAT−DM70)
4.発泡剤
純水
HFC HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、日本ソルベイ社)
HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、ハネウェルジャパン株式会社))
(B)成分:イソシアネート化合物
ジフェニルメタンジイソシアネート(万華化学株式会社、製品名:WANNATE PM−200)
(C)成分:難燃剤
赤リン(燐化学工業社製、製品名:ノーバエクセル140)
トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート(大八化学株式会、製品名:TMCPP、以下「TMCPP」という。)
ウォラストナイト(SiO2・CaO)(キンセイマテック株式会社、製品名:SH−1250)アスペクト比10〜16、平均粒径4.5〜6.5μm
下記の表1の配合に従い、HFC成分を除く(A)成分のポリオールプレミックス組成物と(C)成分の難燃剤を1000mLポリプロピレンビーカーにはかりとり、25℃、10秒間ハンドミキサーで撹拝した。撹拝後の混練物に対して(B)成分のポリイソシアネート、HFC成分を加え、ハンドミキサーで約10秒間撹拌し、実施例1、実施例2及び比較例1の難燃性ウレタン樹脂組成物からなる発泡体を作成した。
2.ポリウレタン樹脂組成物の吹付け
実施例1〜2及び比較例1に記載の配合物を、厚み12.5mmの石膏ボードに吹付けて、ポリウレタン樹脂組成物の硬化物を作製した。吹付機は、グラコ株式会社製「H−VR」を使用した。イソシアネート及びポリオール液の温度を35℃、ホースの温度を33℃とし、吹付機からの液の吐出圧力を30bar、エア圧力を4MPaとし、ガンはガスマー製Dガンを使用した。
3.耐火試験
実施例1〜2及び比較例1に記載の配合のポリウレタン樹脂組成物の硬化物から100mm×100mm×20mm(長さ方向×幅方向×厚み方向)になるようにコーンカロリーメーター試験用サンプルを切り出し、ISO−5660に準拠し、輻射熱強度50kW/m2にて20分間加熱し、総発熱量を測定した。結果を表1に示す。
20分間加熱でのコーンカロリーメーターの総発熱量は、実施例1及び実施例2の成形体では8MJ/m2以下であり、成形体は不燃性であった。比較例1の成形体では、20分間加熱でのコーンカロリーメーターの総発熱量が8MJ/m2を超えていた。
4.31P−NMR測定
実施例1〜2及び比較例1の各ポリウレタン樹脂組成物の硬化物のコーンカロリーメーター試験後のサンプルについて、31P−NMRの測定を行った。この測定は、JEOL
RESONANCE株式会社製ECX400NMR装置に8mmMASプローブを取り付けて行い、測定はシングルパルス法(DD/MAS法)を用い、90°パルス12μs、マジック角回転の回転数7.0kHzで測定した。化学シフトの算出には、リン酸二水素アンモニウムの最も大きいピークを外部標準(1.3ppm)として用いた。パルス照射の遅延時間は事前に飽和回復法等で求めた各ピークの31P核のT1緩和時間に基づいて、各ピーク成分のフリップ角度を90°の時の値を、−30ppm付近のピークの縦緩和時間T1の5倍の値になるように設定した。得られた自由誘導減衰にフーリエ変換を実施して得られたNMRスペクトルから0ppm付近のピークに対する−30ppm付近のピークのピーク強度比(−30ppm付近のピーク強度/0ppm付近のピーク強度)を算出した。ピーク強度は、ベースラインからピークトップまでの高さとした。
表1及び図1に示すように、実施例1の31P−NMRでのピーク強度比は0.97、実施例2の31P−NMRでのピーク強度比は0.57、比較例1の31P−NMRでのピーク強度比は0.12であった。

Claims (5)

  1. 難燃性ウレタン樹脂組成物を被着体に対して吹き付けてなる難燃性ウレタン樹脂発泡体であって、
    前記難燃性ウレタン樹脂組成物は、ポリイソシアネート、ポリオール、三量化触媒、発泡剤、整泡剤及びリン化合物を含み、
    前記難燃性ウレタン樹脂発泡体は、温度が15℃以上の被着体に吹き付けられたものであり、
    前記難燃性ウレタン樹脂発泡体の50kW/m2で20分間加熱後の表層1mmの31P−NMRにおいて、0ppm付近のピークに対する−30ppm付近のピークの強度比が0.3以上であることを特徴とする難燃性ウレタン樹脂発泡体
  2. 前記リン化合物が赤リンと、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、及び針状フィラーから選ばれる少なくとも1つとを含む、請求項1に記載の難燃性ウレタン樹脂発泡体
  3. 難燃性ウレタン樹脂発泡体の製造方法であって、
    ポリイソシアネート、ポリオール、三量化触媒、発泡剤、整泡剤及びリン化合物を混合して混合物を調製する工程と、
    前記混合物を被着体に吹き付けて、前記被着体上に難燃性ウレタン樹脂発泡体を作製する工程と、を有し、
    前記混合物を被着体に吹き付ける際の被着体の温度が15℃以上であり、
    前記発泡体の50kW/m2で20分間加熱後の表層1mmの31P−NMRにおいて、0ppm付近のピークに対する−30ppm付近のピークの強度比が0.3以上である、
    難燃性ウレタン樹脂発泡体の製造方法。
  4. 前記混合物を調製する工程が、
    ポリイソシアネートと、ポリオール、三量化触媒、発泡剤、整泡剤及びリン化合物を含有するポリオールプレミックスと、を混合する工程である、請求項3に記載の難燃性ウレタン樹脂発泡体の製造方法。
  5. 前記リン化合物が赤リンと、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、及び針状フィラーから選ばれる少なくとも1つとを含む、請求項3又は4に記載の難燃性ウレタン樹脂発泡体の製造方法
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