JP6911688B2 - 樹脂組成物、シート及びカード - Google Patents

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Description

本発明は打ち抜き性、切り取り性、耐衝撃性に優れた樹脂組成物、シート等に関する。
ICカードは、現在広く利用されている磁気カードに比べ、大量のデータを扱うことができ、また、セキュリティが高いといわれており、次世代のカードとして注目を集め、近年広く普及している。
ICカードには、リーダライタとの接点が表面に露出している接触式ICカードと露出していない非接触式ICカードがある。接触式ICカードは、ICチップに記録された情報を読み取るリーダライタとの接点がカード表面に露出しており、非接触式ICカードは、カードにアンテナコイル及びICチップが内蔵されていて、カードが磁界中を通過する時にアンテナコイルに発生した誘導電流で、ICチップに記録されている情報の読み取りや、書き換えが行われる。
一般に、カード状サイズに基材を作製する場合、製造方法として、例えば第1シート部材と第2シート部材が接着剤を介して貼り合わされ、接着後積層されたICカード用のシート基材を打ち抜き金型に供給し、打ち抜き金型装置によって、カード状サイズに打ち抜くことでICカードを生産する方法が提案されている。
しかしながら、打ち抜き刃の種類や、打ち抜き金型装置の種類等によっては、打ち抜き加工において、打ち抜けない場合や、バリやヒゲが発生し周縁部のスムーズさが満足できないといった問題があった。
さらには、SIMカード等の接触型ICカードにおいて、SIMカードを基材から切り取る際にバリやヒゲ等の不良が生じた場合、携帯端末のSIMカード用トレイにSIMカードが収まらないといった問題もあった。
そこで、このような問題を解決すべく、切り取り性や打ち抜き性を向上するための方法として、特許文献1には、引張伸度、アイゾット衝撃値が特定の物性範囲にあるポリカーボネートを用いることで打ち抜き性を向上させる方法が開示されている。また、特許文献2には、ポリカーボネートとポリスチレンの混合物からなるフィルムが開示されている。
特開昭62−158718号公報 特表2003−522245号公報
しかしながら、特許文献1や2に開示されている技術では、切り取り性や打ち抜き性はある程度改良されるものの引張破断伸度が100%未満であり、使用時に破損の恐れがあるため十分な技術とは言い難い。特に、SIMカードのように、打ち抜き・切り取り面積が小さい部材を基材から打ち抜き、切り取る際に、打ち抜きができなかったり、バリやヒゲが生じたりする問題が発生しやすいことが、本発明者らの検討で明らかとなった。
本発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の分子量を有するポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂の混合物に対して、ポリエステル系樹脂とは異なる熱可塑性樹脂を、その種類を考慮し適当量配合する等により、引張破断伸度等の実用特性を維持しながら、切り取り性や打ち抜き性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、上記課題を解決する手段として、以下の[1]〜[17]を開示する。
[1]重量平均分子量が15000〜35000であるポリカーボネート系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)を主成分とし、これに、前記ポリカーボネート系樹脂(A)及び前記ポリエステル系樹脂(B)とは異なる熱可塑性樹脂(C)を含有する樹脂組成物であって、該樹脂組成物からなる厚み0.1mmのシートの打ち抜き性試験における貫孔強度が160〜210N/mmであり、切り取り性試験における耐折回数が400〜1000回である、樹脂組成物。
[2]熱可塑性樹脂(C)の含有量が、ポリカーボネート系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の合計100質量部に対して3〜20質量部である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]熱可塑性樹脂(C)がポリスチレン系樹脂である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量が200000〜320000である、[3]に記載の樹脂組成物。
[5]ポリスチレン系樹脂の温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローレート(MFR)が5〜60g/10分である、[3]又は[4]に記載の樹脂組成物。
[6]熱可塑性樹脂(C)の平均分散粒径が50〜500nmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]軟化温度が140℃以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度が50〜100℃である、[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9]ポリエステル系樹脂(B)が、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸と、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを30〜70mol%及びエチレングリコールを70〜30mol%の割合で含有するジオール成分とからなるものである、[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10]ポリエステル系樹脂(B)の含有量が、ポリカーボネート系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の合計100質量%中1〜50質量%である、[1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11]重量平均分子量が15000〜35000であるポリカーボネート系樹脂(A)と、ガラス転移温度が50〜100℃であるポリエステル系樹脂(B)の合計100質量部に対して、以下の(i)、(ii)のいずれかの要件を満たすポリスチレン系樹脂(C)を3〜20質量部含有してなる樹脂組成物。
(i)重量平均分子量が200000〜320000である
(ii)温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローレート(MFR)が5〜60g/10分である
[12]ポリエステル系樹脂(B)が、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸と、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを30〜70mol%及びエチレングリコールを70〜30mol%の割合で含有するジオール成分とからなるものである、[11]に記載の樹脂組成物。
[13][1]〜[12]のいずれかに記載の樹脂組成物からなるシート。
[14][13]に記載のシートを厚み比率で50%以上有する多層シート。
[15]カード用である、[13]又は[14]に記載のシート。
[16][13]〜[15]のいずれかに記載のシートを含んでなるカード。
[17]面積が50〜500mmである、[16]に記載のカード。
「主成分」とは、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、対象とする組成物中に最も多く含まれている成分をさす。すなわち、例えば、「ポリカーボネート系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)を主成分とする」とは、樹脂組成物中に含まれる成分のうち、ポリカーボネート系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の合計量が最も多いことを意味する。特に、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分は対象とする組成物の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特には90質量%以上を占める意を包含するものである。
「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう。シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
貫孔強度、耐折回数、平均分散粒径、軟化温度の測定方法は、後述の実施例の項に記載される通りである。
本発明によれば、優れた切り取り性、打ち抜き性を有するだけでなく、引張破断伸度等の耐衝撃性にも優れるため、キャッシュカード、クレジットカード、ETCカード、社員証、学生証、SIMカード等の接触型ICカード用基材や、乗車券、プリペイドカード等の非接触型ICカード用基材、磁気ストライプカード用基材、各種絶縁シート等に適用可能なシートを提供することができる。
以下に本発明の実施形態の一例を説明するが、その要旨を超えない限り、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
第1の実施態様:
<ポリカーボネート系樹脂(A)>
本発明に用いるポリカーボネート系樹脂(A)は、ホモポリマー及びコポリマーのいずれであってもよい。また、ポリカーボネート系樹脂(A)は、分岐構造であっても、直鎖構造であってもよいし、さらに分岐構造と直鎖構造との混合物であってもよい。
本発明に用いるポリカーボネート系樹脂(A)の製造方法は、ホスゲン法、エステル交換法、ピリジン法等、公知のいずれの方法を用いてもかまわない。以下一例として、エステル交換法によるポリカーボネート系樹脂の製造方法を説明する。
エステル交換法は、ビスフェノール類と炭酸ジエステルとを塩基性触媒、さらにはこの塩基性触媒を中和する酸性物質を添加し、溶融エステル交換縮重合を行う製造方法である。ビスフェノール類の具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールAP)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(しビスフェノールAF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン(ビスフェノールBP)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシー3−イソプロピルフェニル)プロパン(ビスフェノールG)、1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン(ビスフェノールM)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、1,4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン(ビスフェノールP)、5,5’−(1−メチルエチリデン)−ビス[1,1’−(ビスフェニル)−2−オール]プロパン(ビスフェノールPH)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)等があげられる。
炭酸ジエステルの代表例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーネート、ビス(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げられる。これらのうち、特にジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。
本発明に用いられるポリカーボネート系樹脂(A)の重量平均分子量は15000〜35000であることが重要である。重量平均分子量の下限は、好ましくは16000、より好ましくは17000であり、さらに好ましくは20000である。また、重量平均分子量の上限は、好ましくは34000、より好ましくは33000であり、さらに好ましくは30000である。ポリカーボネート系樹脂(A)の重量平均分子量が15000未満であると、高速衝撃試験における破壊エネルギーが小さく耐衝撃性が低下し、加えて、貫孔強度が小さく打ち抜き性に劣り、耐折回数も少なく、実使用時における強度が不十分な場合がある。一方、重量平均分子量が35000を超えると、切り取り性が不十分な場合がある。
なお、ポリカーボネート系樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記条件にて測定することができる。
装置; 東ソー社製「HLC−8120GPC」
カラム; 島津製作所社製「GPC−800CP」
溶離液; クロロホルム
温度; 40℃
流量; 1.0ml/分
標準; ポリスチレン(重量平均分子量:2000000、430000、110000、35000、10000、4000、600)
ポリカーボネート系樹脂(A)の末端水酸基濃度は、10〜1000ppmであることが好ましく、20〜700ppmであることがより好ましく、30〜500ppm以下であることがさらに好ましい。末端水酸基濃度が10ppm未満であると、分子量低下による樹脂組成物の機械的特性が悪化しやすい。一方、末端基水酸基濃度が1000ppmを超えると、樹脂組成物の耐熱性、滞留熱安定性が低下しやすい傾向となり好ましくない。
なお、末端水酸基濃度は、ポリカーボネート系樹脂(A)質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88215(1965)に記載の方法)である。
本発明においては、ポリカーボネート系樹脂(A)を1種のみを単独、又は2種以上を混合して使用してもよい。
<ポリエステル系樹脂(B)>
本発明に用いるポリエステル系樹脂(B)としては、示差走査熱量計(DSC)測定において、明確な結晶化ピーク、及び、結晶融解ピークを示さない非晶性のポリエステル系樹脂であってもよいし、結晶性であってもよいが、寸法安定性や耐衝撃性の点から非晶性であることが好ましい。
ポリエステル系樹脂(B)としては、例えば、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とを縮合重合してなる樹脂が好ましく挙げられる。中でも、芳香族ジカルボン酸成分およびジオール成分のうちの片方の成分もしくは両方の成分が単一の化合物から成るのではなく、数種の化合物からなる、いわゆる共重合ポリエステルが好ましい。
ポリエステル系樹脂(B)の芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アントラセン−2,5−ジカルボン酸、アントラセン−2,6−ジカルボン酸、p−ターフェニレン−4,4’−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ネオペンチル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等が挙げられ、中でもテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましく使用できる。これらは、1種でも2種以上用いてもよい。
ポリエステル系樹脂(B)のジオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングルコール、シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセンリン、ペンタエリスリトール、トリメチロール、メトキシポリアルキレングリコール等が挙げられ、中でもエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングルコール、シクロヘキサンジメタノールが好ましい。これらは、1種でも2種以上用いてもよい。
ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度は50〜100℃であることが好ましい。ガラス転移温度が50℃未満であるとポリカーボネート系樹脂(A)の耐熱性が過剰に低下してしまい、100℃を超えると二次加工性の向上効果が不十分となりやすい。ガラス転移温度は好ましくは55℃以上、より好ましくは60℃以上であり、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下である。なお、ガラス転移温度は、JIS K7121:1987に準じて、加熱速度10℃/分で示差走査熱量計を用いて測定することにより求めることができる。具体的には、窒素雰囲気下、25℃から250℃まで速度10℃/分で昇温後、速度10℃/分で25℃まで冷却した後、速度10℃/分で再昇温した際に測定されるガラス転移温度をいう。
ポリエステル系樹脂(B)の固有粘度は、0.4〜1.0dl/gの範囲にあることが好ましく、製膜性の観点から、0.5〜0.9dl/gであることが好ましく、0.6〜0.8dl/gであることがより好ましい。なお、ポリエステル系樹脂(B)の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
ポリエステル系樹脂(B)としては、ガラス転移温度が50〜100℃の非結晶性ポリエステル系樹脂が好ましく、具体的には、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸類を用い、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール30〜70mol%とエチレングリコール70〜30mol%を用い、これらを重縮合することで得られる共重合体を好ましく用いることができる。
前記非晶性ポリエステル系樹脂の具体例としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸が100mol%、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールが33mol%、エチレングリコールが67mol%の組成からなるイーストマンケミカル社製の商品名Easter Copolyester 6763や、SKケミカル社製の商品名SKYGREEN S2008等が挙げられる。あるいは、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸が100mol%、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールが67mol%、エチレングリコールが33mol%の組成からなるSKケミカル社製の商品名SKYGREEN J2003等が挙げられる。ただし、これに限定されず、特殊な冷却条件では結晶性を示すものも実質的には非結晶性ポリエステル系樹脂として扱うことができる。
前記ポリカーボネート系樹脂(A)に対して前記非晶性ポリエステル系樹脂を配合することにより、ポリカーボネート系樹脂(A)の軟化温度が低下し、プレスによる熱融着性や、真空・圧空成形性等の二次加工時の温度を容易に低減することができる。加えて、引張破断伸度を向上できるため、実使用時における破損をより抑制しやすい傾向となり好ましい。
ポリカーボネート系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)の合計100質量%中に占めるポリエステル系樹脂(B)の割合は1〜50質量%であることが好ましく、5〜45質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることがさらに好ましい。かかる範囲でポリエステル系樹脂(B)を配合することにより、実用上十分な耐熱性、耐衝撃性を維持しながら、引張破断伸度や二次加工性を容易に向上することができる。
<熱可塑性樹脂(C)>
熱可塑性樹脂(C)は、ポリカーボネート系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)と異なる熱可塑性樹脂であれば特にその種類を限定するものではない。なお、熱可塑性樹脂(C)がポリカーボネート系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)と異なるとは、熱可塑性樹脂(C)を構成するモノマーの少なくとも1種の化学構造が、ポリカーボネート系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)を構成するモノマーのそれと異なることをいう。
熱可塑性樹脂(C)としては、例えば、ポリスチレン樹脂、耐衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)及びアクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。中でも、カード製造の際等のシートの切り取り性、打ち抜き性やの点から特にポリスチレン系樹脂が好ましい。
ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン系単量体を50質量%以上含む樹脂を好ましく用いることができる。前記ポリスチレン系樹脂(C)に用いるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらの中でもスチレンを用いることが好ましい。
また、スチレンと共重合可能なコモノマーを、スチレンと共重合することにより得られる共重合体も使用することができる。スチレンと共重合可能なコモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類や、α−メチルスチレン、o−,m−,p−メチルスチレン等のスチレン以外の芳香族ビニル単量体類や、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸類や、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジ脂肪酸無水物類、あるいは、N−フェニルマレイミド等の不飽和ジ脂肪酸イミド類等があげられる。これらのコモノマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は200000〜320000であることが好ましい。重量平均分子量の下限は210000であることが好ましく、220000であることがより好ましく、240000であることがさらに好ましい。一方、重量平均分子量の上限は310000であることが好ましく、300000以下であることがより好ましく、280000であることがさらに好ましい。
また、前記ポリスチレン系樹脂の含有量は、前記ポリカーボネート系樹脂(A)と、前記ポリエステル系樹脂(B)の合計100質量部に対して、3〜20質量部であることが好ましい。前記ポリスチレン系樹脂の含有量の下限は5質量部であることがより好ましく、7質量であることがさらに好ましく、9質量部であることが特に好ましい。一方、前記ポリスチレン系樹脂の含有量の上限は18質量部であることが好ましく、16質量部であることがより好ましい。
前記ポリスチレン系樹脂(C)の重量平均分子量と含有量がかかる範囲内であれば、実用上十分な耐衝撃性を維持しながら、切り取り性や打ち抜き加工性を向上することができる。
なお、ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記条件にて測定することができる。
装置; 東ソー社製「HLC−8120GPC」
カラム; 島津製作所社製「GPC−800CP」
溶離液; クロロホルム
温度; 40℃
流量; 1.0ml/分
標準; ポリスチレン(重量平均分子量:2000000、430000、110000、35000、10000、4000、600)
また、ポリスチレン系樹脂の温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローレート(MFR)は5〜60g/10分であることが好ましい。MFRがかかる範囲内であれば、実用上十分な耐衝撃性を維持しながら、切り取り性や打ち抜き性をより向上することができる。MFRのより好ましい範囲は7〜50g/10分であり、さらに好ましい範囲は9〜30g/10分である。なお、MFRはJIS K7210:2014に準じて求めることができる。
さらに、本発明の樹脂組成物は、シート等の成形体とした際に、前記熱可塑性樹脂(C)の平均分散粒径が50〜500nmであることが好ましい。前記熱可塑性樹脂(C)の平均分散粒径がかかる範囲内であれば、実用上十分な耐衝撃性を維持しながら、切り取り性や打ち抜き性を向上することができる。平均分散粒径のより好ましい範囲は60〜400nmであり、さらに好ましい範囲は70〜300nmである。なお、平均分散粒径は以下の方法で算出した。
本発明のシートの長手方向(流れ方向)に垂直な方向の断面中心部から試料を切り出し、その試料を四酸化ルテニウムで染色した後、厚さ700Å程度の薄片を採取して、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−1200EX)により、加速電圧100KV、観察倍率5000倍にて観察した。次に得られた画像から任意の3μm×3μm領域を選択し、該領域中に島状に存在する熱可塑性樹脂ドメインの平均分散粒径を画像処理ソフト(三谷商事社製WinROOF)を用いて算出した。
熱可塑性樹脂(C)の平均分散粒径は、用いるポリカーボネート系樹脂(A)、ポリエステル系樹脂(B)及び熱可塑性樹脂(C)の選択(種類、溶融粘度、分子量等)と、樹脂組成物及びシート等の成形体の製造条件を適宜選択することによって、調整可能である。
例えば、原料樹脂として、ポリカーボネート系樹脂(A)、ガラス転移温度が50〜100℃の非晶性ポリエステル系樹脂(B)、ポリスチレン系樹脂(C)を組み合わせて用いることにより、上記所望の平均分散粒径に調整しやすくなる。この場合、ポリスチレン系樹脂は、重量平均分子量が200000〜320000であるか、温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローレート(MFR)が5〜60g/10分であることで、上記所望の分散粒径に容易に調整しやすい。
また、樹脂組成物及びシート等を製造する際の押出条件としては、溶融混練機として二軸押出機を使用し、L/Dを適宜調整することが好ましい。溶融混練の際の樹脂組成物の溶融温度、スクリュー回転数、吐出量、樹脂組成物のせん断速度、押し出されたシートの冷却温度・巻取り速度等の条件を適宜調整することによっても可能である。
また、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果が阻害されない範囲内で、各種の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、レーザーマーキング用添加剤、帯電防止剤、難燃剤等を用いることができる。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート系樹脂(A)、ポリエステル系樹脂(B)、熱可塑性樹脂(C)及び必要に応じて配合される添加剤等の原料を直接混合しドライブレンド物とする方法や、得られたドライブレンド物を二軸押出機等の混練機を用いて溶融混練し、ストランド形状に押出してペレットとする方法が挙げられるが、均一に混合させるためには後者の溶融混練法を選択するのが好ましい。溶融混練に際しては、ポリカーボネート系樹脂(A)、ポリエステル系樹脂(B)の加水分解による分子量の低下を抑制するために、溶融混練前に原料を十分乾燥させておくことが好ましい。以下後者の溶融混練の製造方法について、具体的に説明する。
ポリカーボネート系樹脂(A)、ポリエステル系樹脂(B)、熱可塑性樹脂(C)及び必要に応じて配合される添加剤等の原料を十分に乾燥して水分を除去した後、二軸押出機を用いて溶融混練し、ストランド形状に押出してペレットを作成する。この際、各原料の組成比や配合割合によって粘度が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。例えば、ポリカーボネート系樹脂(A)、非晶性ポリエステル系樹脂(B)、ポリスチレン系樹脂(C)の組み合わせの場合は、具体的には、混練温度は200℃以上、320℃以下が好ましく、220℃以上、300℃以下がより好ましく、240℃以上、280℃以下がさらに好ましい。
<シートの製造方法>
本発明のシートの製造方法は特に限定されないが、例えば、前記記載の方法で得られた樹脂組成物(ドライブレンド物、ペレット等)を押出機に投入してシートを成形する方法等を採用することができる。いずれの方法においても、ポリカーボネート系樹脂(A)、ポリエステル系樹脂(B)の加水分解による分子量の低下を抑制するために、成形に用いる原料樹脂組成物は、十分に乾燥させることが好ましい。
上記方法にて作製したペレットは、十分に乾燥させて水分を除去した後、一般的なTダイキャスト法、プレス法等を採用して成形することができる。また、本発明のシートは多層体としても使用することができる。多層体の成形方法としては公知の方法、例えば、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等の方法を用いることができる。この中でも、押出成形の場合には共押出法を用いることが好ましい。
単層体の場合、シートの厚みは、特に限定されるものではなく、実用面における取扱い性を考慮すると、100〜1000μmであることが好ましく、200〜900μmであることがより好ましく、300〜800μmであることがさらに好ましい。
共押出で多層体とする場合、本多層体の各層を構成する樹脂組成物を複数台の押出機を用いてフィードブロック、あるいは、マルチマニホールドダイを通じ樹脂を合流させ、多層体を成形する。また、必要に応じて、前記工程で得られた多層体をロール法、テンター法、チューブラー法等で一軸、あるいは、二軸に延伸することもできる。
本発明のシートを多層体に使用する場合は、本発明のシートを厚み比率で50%以上用いることが好ましい。本発明のシートを厚み比率で50%以上用いることで、優れた切り取り性、打ち抜き性を付与することができる。また、多層体に使用する場合は、本発明のシートが占める厚み比率としては、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましい。
多層体全体の厚みとしては、100〜1000μmであることが好ましく、200〜900μmであることがより好ましく、300〜800μmであることがさらに好ましい。
多層体とする場合は、本発明のシートを多層体の内層となるように設計することが好ましい。積層する際の他方の樹脂層は特に限定はないが、層間接着性の点から、ポリカーボネート系樹脂(A)、ポリエステル系樹脂(B)及び熱可塑性樹脂(C)のいずれかと同種の樹脂を含む層が好ましい。
本発明のシートをコア層として有し、その両面に表裏層を有する2種3層の多層体の場合、コア層の厚みは200〜900μmであることが好ましく、300〜800μmであることがより好ましく、表裏層の厚みは50〜300μmであることが好ましく、100〜200μmであることがさらに好ましい。
<樹脂組成物の特性>
本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物からなる厚み0.1mmのシートの打ち抜き性試験における貫孔強度が160〜210N/mmであり、切り取り性試験における耐折回数が400〜1000回である。貫孔強度が160N/mm未満であると、実使用時における強度が不十分となり、210N/mmを超えると打ち抜き性が低下する。耐折回数が400回未満であると、実使用時における強度が不十分となり、1000回を超えると切り取り性が低下する。
このような樹脂組成物は、用いる樹脂種を考慮して上述した樹脂組成物の製造条件や熱可塑性樹脂(C)の分散粒径の調整方法を適宜採用することにより製造可能である。特に、分子量やMFR等の溶融特性を考慮して、用いる原料の樹脂種の組み合わせと配合量を選択することが重要である。
また、本発明の樹脂組成物は、軟化温度が140℃以下であることが好ましく、より好ましくは100〜135℃であり、さらに好ましくは110〜130℃である。このような軟化温度とすることにより、実使用時における十分な耐熱性を有しながら、二次加工性を向上することができるため好ましい。
第2の実施態様:
また、本発明では、以下に記載の樹脂の組み合わせを採用した樹脂組成物を開示する。
すなわち、第2の実施態様は、
重量平均分子量が15000〜35000であるポリカーボネート系樹脂(A)と、ガラス転移温度が50〜100℃であるポリエステル系樹脂(B)の合計100質量部に対して、以下の(i)、(ii)のいずれかの要件を満たすポリスチレン系樹脂(C)を3〜20質量部含有してなる樹脂組成物。
(i)重量平均分子量が200000〜320000である
(ii)温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローレート(MFR)が5〜60g/10分である
上記第2の実施態様においては、特に、ポリエステル系樹脂(B)が、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸と、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを30〜70mol%及びエチレングリコールを70〜30mol%の割合で含有するジオール成分とからなるものであることが好ましい。
その他、用いる樹脂、樹脂組成物及びシート等の製造方法、樹脂組成物の特性等の詳細は、前記第1の実施態様におけるものと共通するので、ここでは説明を省略する。
<用途>
本発明の第1の実施態様及び第2の実施態様の樹脂組成物は、シート等にした際の切り取り性、打ち抜き性に優れ、加えて、引張破断伸度等の耐衝撃性にも優れるため、キャッシュカード、クレジットカード、ETCカード、社員証、学生証、SIMカード等の接触型ICカード用基材や、乗車券、プリペイドカード等の非接触型ICカード用基材、磁気ストライプカード用基材、各種絶縁シート等に好適に用いることができる。
特に、SIMカードに代表されるような打ち抜き・切り取り面積が小さい部材、具体的には、カード面積(SIMカードの場合はICチップが搭載される面の面積)が50〜500mm、好ましくは70〜450mm、さらに好ましくは100〜400mmであるカード部材をシート等の基材から打ち抜き、切り取る場合であっても、バリやヒゲが生じにくく切り取り性、打ち抜き性等の加工性に優れる。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中に示す結果は以下の方法で評価を行った。
(1)引張破断伸度
耐衝撃性の指標として引張破断伸度の測定を行った。下記記載方法で作製した実施例、比較例のシートから長さ120mm、幅10mm、厚み0.1mmの試験片を作製し、JIS K7127:1999に基づき、温度23℃ 、試験速度200mm/分の条件でMD方向の引張試験を行い、試験片が破断した際の伸度を測定した。引張破断伸度は100%以上であることが好ましい。
(2)破壊エネルギー
耐衝撃性の指標として破壊エネルギーの測定を行った。下記記載方法で作製した実施例、比較例のシートから長さ100mm、幅100mm、厚さ0.1mmの試験片を作製し、ハイドロショット高速衝撃試験機「HTM−1型」(島津製作所社製)を用いて、試験片をクランプで固定し、温度23℃の条件で、直径12.7mmの撃芯を落下速度3m/秒で試験片中央に落として衝撃を与えた際の、試験片が破壊するときの破壊エネルギーを求めた。破壊エネルギーは0.8J以上であることが好ましい。
(3)貫孔強度
打ち抜き性の指標として貫孔強度の測定を行った。下記記載方法で作製した実施例、比較例のシートから長さ40mm、幅40mm、厚さ0.1mmの試験片を作製し、オートグラフAGS−X(島津製作所社製)を用いて、温度23℃の条件で、針径1mmの針を打ち抜き速度200mm/分で試験片中央に落として衝撃を与えた際の、針が試験片を貫通するまでの最大応力を求め貫孔強度とした。
(4)バリ発生
打ち抜き性の指標としてバリ発生の評価を行った。下記記載方法で作製した実施例、比較例のシートを、アルピナ社製カードトリマーPCT−1を用いて53.98mm×85.60mmのシートを打ち抜き、バリの発生状況を目視にて評価した。目視評価でバリの発生が確認されなかった場合を「○」、確認された場合を「×」として表1、2に記載した。
(5)耐折回数
切り取り性の指標として耐折回数の測定を行った。下記記載方法で作製した実施例、比較例のシートから長さ120mm、幅15mm、厚さ0.1mmの試験片を作製し、ASTM D2176に基づき、東洋精機製作所社製MIT耐折疲労試験機を用いてTD方向についてMIT耐折回数の測定を行った。この時、折り曲げ角度135度、折り曲げ速度175cpm、測定荷重9.8Nにて試験を行った。
(6)ハーフカット試験片の割れ性
切り取り性の指標としてハーフカット試験片の割れ性評価を行った。下記記載方法で作製した実施例、比較例のシートから長さ100mm、幅10mm、厚さ0.1mmの試験片を作製し、幅方向に平行にカッターで厚みの半分まで切り込みを入れるハーフカット処理を行った。次に、ハーフカット処理を行った部分と反対方向に180℃折り曲げた時の状態を目視にて観察した。目視評価で完全に割れた場合を「○」、一部又は全部が割れずに残った場合を「×」として表1、2に記載した。
(7)軟化温度
二次加工性の指標として軟化温度の測定を行った。下記記載方法で作製した実施例、比較例のシートから長さ50mm、幅50mm、厚さ0.1mmの試験片を作製し、JIS K7196:1991に基づき、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TMA120Cを用いて軟化温度の測定を行った。この時、測定荷重0.5N、昇温速度5℃/分にて試験を行った。軟化温度は100〜140℃の範囲にあるものが好ましい。
(8)平均分散粒径
下記記載方法で作製した実施例、比較例のシートの長手方向(流れ方向)に垂直な方向の断面中心部から試料を切り出し、その試料を四酸化ルテニウムで染色した後、厚さ700Å程度の薄片を採取して、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−1200EX)により、加速電圧100KV、観察倍率5000倍にて観察した。次に得られた画像から任意の3μm×3μmの領域を選択し、該領域中に島状に存在するポリスチレン系樹脂(C)ドメインの平均分散粒径を画像処理ソフト(三谷商事社製WinROOF)を用いて算出した。なお、各々のドメイン分散粒径はドメインの最大径と最小径の平均値とし、平均分散粒径は測定された分散粒径の数平均で算出した。
次に、実施例で使用した樹脂を以下に示す。
<ポリカーボネート系樹脂(A)>
(A)−1:三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロン S3000(ビスフェノールA型ポリカーボネート、重量平均分子量=29500)
(A)−2:三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロン H3000(ビスフェノールA型ポリカーボネート、重量平均分子量=23700)
(A)’−1:三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロン H4000(ビスフェノールA型ポリカーボネート、重量平均分子量=11300)
<ポリエステル系樹脂(B)>
(B)−1:SKケミカル社製SKYGREEN S2008(ジカルボン酸成分:テレフタル酸=100mol%、ジオール成分:1,4−シクロヘキサンジメタノール=67mol%、エチレングリコール=33mol%、ガラス転移温度=68℃)
<ポリスチレン系樹脂(C)>
(C)−1:PSジャパン社製HF77(ポリスチレン、重量平均分子量=307000、MFR(200℃、5kg)=7.5g/10分)
(C)−2:PSジャパン社製679(ポリスチレン、重量平均分子量=266000、MFR(200℃、5kg)=18.0g/10分)
(C)−3:東洋スチレン社製トーヨースチロールGP G100C(ポリスチレン、重量平均分子量=245000、MFR(200℃、5kg)=28.0g/10分)
(C)’−1:PSジャパン社製HH102(ポリスチレン、重量平均分子量=176000、MFR(200℃、5kgf)=2.6g/10分)
次に、上記評価に用いるシートの作製方法を以下に示す。
(実施例1)
(A)−1、(B)−1、及び、(C)−1を混合質量比60:40:10の割合でドライブレンドし、40mmφ同方向二軸押出機を用いて240℃で混練した後、Tダイより押出し、次いで約100℃のキャスティングロールにて急冷し、厚み0.1mmのシートを作製した。得られたシートについて上記記載の各評価を行った結果を表1に示す。
(実施例2)
(A)−1、(B)−1及び(C)−2を混合質量比60:40:5の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
(A)−1、(B)−1及び(C)−2を混合質量比60:40:10の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
(A)−1、(B)−1及び(C)−2を混合質量比60:40:15の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
(A)−1、(B)−1及び(C)−3を混合質量比60:40:10の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
(A)−1、(B)−1及び(C)−1を混合質量比80:20:10の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
(A)−2、(B)−1及び(C)−1を混合質量比60:40:10の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
(A)−1を単独で用い、実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
ポリスチレン系樹脂(C)を用いずに、(A)−1及び(B)−1を混合質量比60:40の割合でドライブレンドしたものを用い、実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
ポリエステル系樹脂(B)を用いずに、(A)−1及び(C)−1を混合質量比100:10の割合でドライブレンドしたものを用い、実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
(A)−1、(B)−1及び(C)−2を混合質量比60:40:25の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
ポリカーボネート系樹脂として、(A)’−1を用い、(A)’−1、(B)−1及び(C)−2を混合質量比60:40:10の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例6)
ポリスチレン系樹脂として、(C)’−1を用い、(A)−1、(B)−1及び(C)’−1を混合質量比60:40:10の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006911688
Figure 0006911688
表1、2の結果から、実施例1〜7のシートは、貫孔強度及び耐折回数が適当な範囲内であり、バリの発生もなく、ハーフカット試験片の割れ性もよく、打ち抜き性、切り取り性に優れていることがわかる。
一方、ポリエステル系樹脂(B)及びその他の熱可塑性樹脂(C)を含有しない比較例1は貫孔強度が高くバリも発生し、ハーフカット試験片の割れ性も悪く、打ち抜き性、切り取り性に劣ることがわかる。
その他の熱可塑性樹脂(C)を含有しない比較例2は、貫孔強度が高く、耐折回数も多く、バリ発生、ハーフカット試験片の割れ性もともに「×」となり、打ち抜き性及び切り取り性に劣ることがわかる。
ポリエステル系樹脂(B)を含まない比較例3は、貫孔強度が高く打ち抜き性に劣り、また、耐折回数が低すぎて実使用時における強度が不十分となる。加えて引張破断伸度が低く耐衝撃性にも劣る。
ポリスチレン系樹脂の含有量が25質量部の比較例4及びポリカーボネート系樹脂の重量平均分子量が低い比較例5は、いずれも貫孔強度及び耐折回数が適当な範囲内とならず、打ち抜き性、切り取り性に劣ることがわかる。加えて、高速衝撃試験の破壊エネルギーが低く、耐衝撃性にも劣る。
重量平均分子量が176000で、MFRが2.6g/10分であるポリスチレン系樹脂を用いた比較例6は、貫孔強度が高くバリも発生し打ち抜き性に劣り、ハーフカット試験片の割れ性も「×」となり切り取り性にも劣ることがわかる。

Claims (18)

  1. 重量平均分子量が15000〜35000であるポリカーボネート系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)を主成分とし、これに、前記ポリカーボネート系樹脂(A)及び前記ポリエステル系樹脂(B)とは異なる熱可塑性樹脂(C)を含有する樹脂組成物であって、
    該樹脂組成物からなる厚み0.1mmのシートの
    温度23℃の条件で、針径1mmの針を打ち抜き速度200mm/分で試験片中央に落として衝撃を与えた際の、針が試験片を貫通するまでの最大応力を求めて貫孔強度とした、打ち抜き性試験における貫孔強度が160〜210N/mmであり、
    ASTM D2176に基づき、折り曲げ角度135度、折り曲げ速度175cpm、測定荷重9.8Nの条件で、MIT耐折回数の測定を行った、切り取り性試験における耐折回数が400〜1000回である
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 熱可塑性樹脂(C)の含有量が、ポリカーボネート系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の合計100質量部に対して3〜20質量部である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 熱可塑性樹脂(C)がポリスチレン系樹脂である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量が200000〜320000である、請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. ポリスチレン系樹脂の温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローレート(MFR)が5〜60g/10分である、請求項3又は4に記載の樹脂組成物。
  6. 熱可塑性樹脂(C)の平均分散粒径が50〜500nmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 軟化温度が140℃以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度が50〜100℃である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. ポリエステル系樹脂(B)が、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸と、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを30〜70mol%及びエチレングリコールを70〜30mol%の割合で含有するジオール成分とからなるものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. ポリエステル系樹脂(B)の含有量が、ポリカーボネート系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の合計100質量%中1〜50質量%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 重量平均分子量が15000〜35000であるポリカーボネート系樹脂(A)と、ガラス転移温度が50〜100℃であるポリエステル系樹脂(B)の合計100質量部に対して、以下の(i)、(ii)のいずれかの要件を満たすポリスチレン系樹脂(C)を3〜20質量部含有してなる樹脂組成物。
    (i)重量平均分子量が200000〜320000である
    (ii)温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローレート(MFR)が5〜60g/10分である
  12. ポリエステル系樹脂(B)が、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸と、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを30〜70mol%及びエチレングリコールを70〜30mol%の割合で含有するジオール成分とからなるものである、請求項11に記載の樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなるシート。
  14. 請求項13に記載のシートを厚み比率で50%以上有する多層シート。
  15. 重量平均分子量が15000〜35000であるポリカーボネート系樹脂(A)と、ガラス転移温度が50〜100℃であるポリエステル系樹脂(B)の合計100質量部に対して、以下の(i)、(ii)のいずれかの要件を満たすポリスチレン系樹脂(C)を3〜20質量部含有してなる樹脂組成物からなるシートを厚み比率で50%以上有する多層シート。
    (i)重量平均分子量が200000〜320000である
    (ii)温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローレート(MFR)が5〜60g/10分である
  16. カード用である、請求項13〜15のいずれか1項に記載のシート。
  17. 請求項13〜16のいずれか1項に記載のシートを含んでなるカード。
  18. 面積が50〜500mmである、請求項17に記載のカード。
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