JP6910543B2 - 表面処理剤、並びに表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料及びその製造方法 - Google Patents

表面処理剤、並びに表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面処理に用いられる表面処理剤、該表面処理剤によって形成される表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料及びその製造方法に関する。
航空機材料、建築材料、自動車部品等の幅広い分野で、アルミニウム又はアルミニウム合金材料に対する表面処理剤として、従来、3価クロムを含む金属材料用表面処理剤が開発されている。
例えば、特許文献1には、水溶性3価クロム化合物からなる成分(A)と、水溶性チタン化合物および水溶性ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種からなる成分(B)と、水溶性硝酸塩化合物からなる成分(C)と、並びに水溶性アルミニウム化合物からなる成分(D)と、フッ素化合物からなる成分(E)を含有し、且つ、pHが2.3から5.0の範囲にコントロールされている金属材料用化成処理液が開示されている。
特許文献2には、特定の3価クロム化合物と特定のジルコニウム化合物と特定のジカルボン酸化合物とを所定量含む化成処理液が開示されている。
特開2006−328501号公報 特開2006−316334号公報
しかしながら、特許文献1〜2に係る表面処理剤を用いてアルミニウム又はアルミニウム合金材料に対して形成した皮膜は、アルミニウム又はアルミニウム合金材料の用途によっては高温環境に晒されることにより耐食性が低下する場合がある。
本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金材料に対して、優れた耐食性を有し、且つ皮膜が高温に晒された場合でも優れた耐食性を有する表面処理皮膜を形成することができる表面処理剤、該表面処理剤によって形成される表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、3価クロムを含有するイオン(A)と、チタンを含有するイオン及びジルコニウムを含有するイオンから選択される少なくとも1種のイオン(B)と、亜鉛を含有するイオン(C)と、遊離フッ素イオン(D)と、硝酸イオン(E)とを含有した表面処理剤が、アルミニウム又はアルミニウム合金材料に対して、優れた耐食性を有し、且つ皮膜が高温に晒された場合でも優れた耐食性を有する表面処理皮膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するための本発明は、
(1)3価クロムを含有するイオン(A)と、チタンを含有するイオン及びジルコニウムを含有するイオンから選択される少なくとも1種のイオン(B)と、亜鉛を含有するイオン(C)と、遊離フッ素イオン(D)と、硝酸イオン(E)とを含有し、アルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面処理に用いられる表面処理剤;
(2)上記(1)に記載の表面処理剤をアルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面又は表面上に接触させる接触工程を含む、表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料の製造方法;
(3)上記(2)に記載の製造方法により得られる、表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料;
等である。
本発明によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金材料に対して、優れた耐食性を有し、且つ皮膜が高温に晒された場合でも優れた耐食性を有する表面処理皮膜を形成することができる表面処理剤、該表面処理剤によって形成される表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料及びその製造方法を提供することが可能となる。
(1)表面処理剤
本実施形態に係る表面処理剤は、アルミニウム又はアルミニウム合金材料を表面処理するための処理剤である。当該表面処理剤は、化成処理剤として利用することもできる。当該表面処理剤は、3価クロムを含有するイオン(A)と、チタンを含有するイオン及びジルコニウムを含有するイオンから選択される少なくとも1種のイオン(B)と、亜鉛を含有するイオン(C)と、遊離フッ素イオン(D)と、硝酸イオン(E)とを含有したものである。表面処理剤は、これらのイオンの供給源のみを水性媒体に配合したものであってもよいが、その他の成分を配合したものであってもよい。以下、各成分、組成(含有量)及び液性を詳述する。なお、前記金属を含有するイオンとしては、金属イオン、金属酸化物イオン、金属水酸化物イオン、金属錯イオン等を挙げることができる。
(3価クロムを含有するイオン)
表面処理剤における3価クロムを含有するイオン(A)の供給源は、水性媒体に混合させることによりイオン(A)を提供できるものであれば、特に制限されるものではない。例えば、フッ化クロム、硝酸クロム、硫酸クロム、リン酸クロム等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいが、2種以上を用いてもよい。表面処理剤におけるイオン(A)の含有量は特に限定されないが、クロム換算質量濃度で通常5〜1000mg/Lの範囲内であり、好適には20〜700mg/Lの範囲内である。なお、本実施形態では、6価クロムイオンを含有しないことが好ましい。なお「6価クロムイオンを含有しない」とは、その含有量がゼロであることを意味するものではなく、不可避的な混入は許容される。具体的には、10mg/L以下であってよく、5mg/L以下であってよく、1mg/L以下であってよく、0.5mg/L以下であってよく、0.1mg/L以下であってよい。
(チタンを含有するイオン及びジルコニウムを含有するイオンから選択される少なくとも1種のイオン)
表面処理剤におけるチタンを含有するイオン及びジルコニウムを含有するイオンから選択される少なくとも1種のイオン(B)の供給源は、水性媒体に混合させることによりイオン(B)を提供できるものであれば、特に制限されるものではない。例えば、硫酸チタン、オキシ硫酸チタン、硫酸チタンアンモニウム、硝酸チタン、オキシ硝酸チタン、硝酸チタンアンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸、ヘキサフルオロチタン錯塩、硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウムアンモニウム、硝酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウムアンモニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸、ヘキサフルオロジルコニウム錯塩、チタンラクテート、チタンアセチルアセトネート、チタントリエタノールアミネート、チタンオクチルグリコレート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、酢酸ジルコニル、乳酸ジルコニル、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、テトラノルマルブトキシジルコニウム、テトラノルマルプロポキシジルコニウム等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいが、2種以上を用いてもよい。表面処理剤におけるイオン(B)の含有量は特に限定されないが、金属換算質量濃度(2種以上の供給源を混合させた場合には、合計の金属換算質量濃度)で通常5〜1000mg/Lの範囲内であり、好適には20〜700mg/Lの範囲内である。
(亜鉛を含有するイオン)
表面処理剤における亜鉛を含有するイオン(C)の供給源は、水性媒体に混合させることによりイオン(C)を提供できるものであれば、特に制限されるものではない。例えば、金属亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、フッ化亜鉛、ヨウ化亜鉛、リン酸二水素亜鉛、亜鉛アセチルアセトナート等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいが、2種以上を用いてもよい。表面処理剤におけるイオン(C)の含有量は特に限定されないが、亜鉛換算質量濃度で通常20〜10000mg/Lの範囲内であり、50〜10000mg/Lの範囲内であってよく、好適には300〜8000mg/Lの範囲内であり、さらに好適には700〜5000mg/Lの範囲内である。
(遊離フッ素イオン)
表面処理剤における遊離フッ素イオン(D)の供給源は、水性媒体に混合させることにより遊離フッ素イオン(D)を提供できるものであれば、特に制限されるものではない。例えば、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化クロム、ヘキサフルオロチタン酸、ヘキサフルオロチタン錯塩、ヘキサフルオロジルコニウム酸、ヘキサフルオロジルコニウム錯塩、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化亜鉛などを挙げることができる。これらは、1種のみを用いてもよいが、2種以上を用いてもよい。また、遊離フッ素イオン(D)は、上記(A)、(B)及び/又は(C)の供給源と、同一の化合物により提供してもよく、異なる化合物により提供してもよい。表面処理剤における遊離フッ素イオン(D)のフッ素換算質量濃度は、好適には3〜100mg/Lであり、より好適には5〜70mg/Lである。
(硝酸イオン)
表面処理剤における硝酸イオン(E)の供給源は、水性媒体に混合させることにより硝酸イオン(E)を提供できるものであれば、特に制限されるものではない。例えば、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸アンモニウム、硝酸セリウム、硝酸マンガン、硝酸ストロンチウム、硝酸カルシウム、硝酸コバルト、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいが、2種以上を用いてもよい。また、硝酸イオン(E)は、上記(A)、(B)及び/又は(C)の供給源と同一の化合物により提供してもよく、異なる化合物により提供してもよい。表面処理剤における硝酸イオン(E)の含有量は特に限定されないが、硝酸換算質量濃度で通常100〜30000mg/Lの範囲内である。
(他の成分)
本実施形態の表面処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば各種の金属成分や添加剤を添加してもよい。金属成分としては、バナジウム、モリブデン、タングステン、マンガン、セリウム、マグネシウム、カルシウム、コバルト、ニッケル、ストロンチウム、リチウム、ニオブ、イットリウム、ビスマス等を挙げることができる。添加剤としては、ヒドロキシ基を有する化合物、ホルミル基を有する化合物、ベンゾイル基を有する化合物、アミノ基を有する化合物、イミノ基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、アゾ基を有する化合物、チオール基を有する化合物、スルホ基を有する化合物、ニトロ基を有する化合物、ウレタン結合を有する化合物等が挙げられる。これらの金属成分や添加剤は1種のみを用いてもよいが、2種以上を用いてもよい。これらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲内で添加することから、その含有量は多くても表面処理剤の全量に対して数質量%である。
一方で、本実施形態の表面処理剤は、カルボキシル基を有する化合物を含有しないことが好ましく、アミジノ基を有する化合物を含有しないことが好ましく、芳香環を有する化合物を含有しないことが好ましく、有機物を含有しないことがより好ましい。有機物を含有しない表面処理剤を用いることで、形成される皮膜の耐食性の低下を抑制できる。なお「有機物を含有しない」とは、必ずしもその含有量がゼロであることを意味するものではなく、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で含有することを許容する。具体的には、10mg/L以下であってよく、5mg/L以下であってよく、1mg/L以下であってよく、0.5mg/L以下であってよく、0.1mg/L以下であってよく、ゼロであってもよい。また、有機物は、炭素を主成分とする化合物をいい、その誘導体も有機物に含まれ得る。
(液性)
本実施形態に係る表面処理剤のpHは、特に制限されるものではないが、好適には2.3〜5.0であり、より好適には3.0〜4.5である。ここで、本明細書におけるpHは、アルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面又は表面上に、表面処理剤を接触させる際の温度における値を意味する。pHの測定は、例えば、ポータブル電気伝導率・pH計[WM−32EP(東亜ディーケーケー株式会社製)]等で行うことができる。
以上、本実施形態に係る表面処理剤の組成について説明したが、本発明の別の側面は、3価クロムを含有するイオン(A)の供給源と、チタンを含有するイオン及びジルコニウムを含有するイオンから選択される少なくとも1種のイオン(B)の供給源と、亜鉛を含有するイオン(C)の供給源と、遊離フッ素イオン(D)の供給源と、硝酸イオン(E)の供給源とを配合してなる、アルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面処理に用いられる表面処理剤である。なお、遊離フッ素イオン(D)の供給源は上記(A)、(B)及び/又は(C)の供給源と、同一の化合物であってもよく、異なる化合物であってもよい。また、硝酸イオン(E)の供給源は、上記(A)、(B)及び/又は(C)の供給源と、同一の化合物であってもよく、異なる化合物であってもよい。
(2)表面処理剤の製造方法
本実施形態に係る表面処理剤は、前述した3価クロムを含有するイオン(A)の供給源と、チタンを含有するイオン及びジルコニウムを含有するイオンから選択される少なくとも1種のイオン(B)の供給源と、亜鉛を含有するイオン(C)の供給源と、遊離フッ素イオン(D)の供給源と、硝酸イオン(E)の供給源とを水性媒体に適量配合して撹拌することにより得ることができる。なお、製造に際しては、固体の供給源を水性媒体に配合してもよく、当該固体の供給源を予め水性媒体に溶解させた後に水性媒体溶液として配合してもよい。また、表面処理剤のpHの範囲は上述したとおりであり、硝酸、フッ化水素酸、炭酸水素アンモニウム、アンモニア水等のpH調整剤を用いて調整することが好ましいが、これらの成分に限定されるものではない。なお、pH調整剤は、1種又は2種以上を用いてもよい。
水性媒体としては、典型的には水が用いられる。本発明の効果を阻害しない範囲で水混和性有機溶媒を含有してもよいが、水であることが好ましい。水混和性有機溶媒を含有する場合、10mg/L以下であってよく、5mg/L以下であってよく、1mg/L以下であってよく、0.5mg/L以下であってよく、0.1mg/L以下であってよい。
(3)表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料の製造方法
本実施形態に係る表面処理剤によって形成された皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料の製造方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面又は表面上に、本実施形態に係る表面処理剤を接触させる接触工程を含む。これにより、アルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面又は表面上に、表面処理皮膜が形成される。接触工程の前に脱脂工程や酸洗工程等の前処理工程を行ってもよい。なお、各工程の後に水洗工程を行ってもよいし、水洗工程の後に乾燥工程を行ってもよい。
(アルミニウム又はアルミニウム合金材料)
表面処理剤が対象とするアルミニウム又はアルミニウム合金材料は、特に限定されるものではないが、特に、表面の酸化膜が厚く、合金成分が偏析しているアルミニウムダイキャスト材に対して有効である。アルミニウム又はアルミニウム合金材料の用途は特に限定されないが、例えば、船舶推進用エンジン及びその周辺機器類、自動二輪車用内燃機関部品等が挙げられる。
(脱脂工程)
本実施形態の製造方法において、接触工程を行う前に、アルミニウム又はアルミニウム材料の表面又は表面上に公知の脱脂剤を接触させる脱脂工程を行うことが好ましい。脱脂方法は特に限定されないが、例えば、溶剤脱脂、アルカリ脱脂等が挙げられる。
(接触工程)
本実施形態の製造方法における接触工程において、接触温度、接触時間は特に限定されないが、通常、表面処理剤をアルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面又は表面上に30〜80℃、好ましくは40〜70℃で10〜600秒間接触させる。なお、当該工程後、必要に応じて、水洗し、脱イオン水洗を行い、その後に乾燥させてもよい。乾燥温度は特に制限はないが、50〜140℃が好ましい。なお、表面処理剤をアルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面又は表面上に接触させる方法としては、特に限定されないが、例えば、浸漬法、スプレー法、フローコート法等を挙げることができる。
(4)表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料
上記製造方法により製造された、表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料は、本発明の別の実施形態である。アルミニウム又はアルミニウム合金材料における表面処理皮膜の付着量は、特段限定されないが、表面処理皮膜に含まれるCr、Ti及び/又はZr、Znの合計質量が、単位面積当たり1〜200mg/m2であることが好適である。
本実施形態の表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料は、表面処理皮膜の上に塗装する塗装工程を行わなくとも優れた耐食性を有し、且つ皮膜が高温に晒された場合でも優れた耐食性を有するが、塗装工程を行ってもよい。
前記塗装工程は、特に限定されないが、例えば、公知の塗料組成物を用いて、水系塗装、溶剤塗装、粉体塗装、アニオン電着塗装、カチオン電着塗装などの塗装方法により行うことができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を説明する。なお、本発明は当該実施例に限定されるものではない。
<アルミニウム材料>
アルミニウムダイキャスト材(JIS−ADC12)
<表面処理剤>
表1〜5に示した供給源を水に混合させて、各イオンの濃度が表6の値である実施例1〜20及び比較例1〜3の表面処理剤を得た。なお、pH調整剤としてアンモニア水を用いた。なお、遊離フッ素イオン濃度は、市販のフッ素イオンメーター[イオン電極:フッ化物イオン複合電極F−2021(東亜ディーケーケー株式会社製)]を用いて測定した。
Figure 0006910543
Figure 0006910543
Figure 0006910543
Figure 0006910543
Figure 0006910543
Figure 0006910543
<<表面処理皮膜を有するアルミニウムダイキャスト材の製造>>
実施例1〜20及び比較例1〜3の表面処理剤を用い、表面処理皮膜を有するアルミニウムダイキャスト材を製造し、試験片1〜23とした。
具体的には、アルカリ脱脂剤[ファインクリーナー315E(日本パーカライジング株式会社製)の20g/L水溶液]中に上記アルミニウムダイキャスト材を60℃で2分間浸漬し、次いで水道水にて表面をすすいで清浄化した。その後、上記表面処理剤を当該アルミニウムダイキャスト材の表面又は表面上に、表6に記載した接触温度にてスプレーすることにより、接触工程を行った。その後、水道水にて流水洗(常温−30秒)し、脱イオン水にて水洗(常温−30秒)した後に電気オーブンにて乾燥(80℃−5分)し、表面処理皮膜を有するアルミニウムダイキャスト材(試験片1〜23)を製造した。試験片1〜23の表面処理皮膜の付着量について、表面処理皮膜に含まれるCr、Ti及び/又はZr、Znの合計質量を、走査型蛍光X線分析装置[ZSXprimus II(株式会社リガク製)]を用いて測定した。測定結果を表7に示す。
Figure 0006910543
さらに、試験片1〜23について、以下に示すとおり各試験を実施し、表面処理皮膜の耐食性及び加熱後耐食性を評価した。結果は表8に示す。
≪評価方法≫
<耐食性>
試験片1〜23に中性塩水噴霧試験(JIS−Z2371:2015)を240時間行った。乾燥後、試験片の表面に発生した白錆の割合を目視で測定した。白錆の割合は、観察部位の面積に対する白錆が発生した面積の割合である。評価基準は以下のとおりである。評価結果を表8に示す。
<評価基準>
5 白錆の割合 10%以下
4 白錆の割合 10%超〜30%以下
3 白錆の割合 30%超〜50%以下
2 白錆の割合 50%超〜70%以下
1 白錆の割合 70%超
<加熱後耐食性>
各試験片を電気オーブンにて加熱(180℃−20分)後、中性塩水噴霧試験(JIS−Z2371:2015)を240時間行った。乾燥後、金属材料の表面に発生した白錆の割合を目視で測定した。白錆の割合は、観察部位の面積に対する白錆が発生した面積の割合である。評価基準は以下のとおりである。評価結果を表8に示す。
<評価基準>
5 白錆の割合 10%以下
4 白錆の割合 10%超〜30%以下
3 白錆の割合 30%超〜50%以下
2 白錆の割合 50%超〜70%以下
1 白錆の割合 70%超
Figure 0006910543

Claims (3)

  1. 3価クロムを含有するイオン(A)と、チタンを含有するイオン及びジルコニウムを含有するイオンから選択される少なくとも1種のイオン(B)と、亜鉛を含有するイオン(C)と、遊離フッ素イオン(D)と、硝酸イオン(E)とを含有し、アルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面処理に用いられる表面処理剤(但し、芳香族スルホン酸を含むものを除く)。
  2. 請求項1に記載の表面処理剤をアルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面又は表面上に接触させる接触工程を含む、表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料の製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法により得られる、表面処理皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材料。
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