先ず、本発明の実施形態に係るプリンター1(画像形成装置)の全体の構成について図1を参照しながら説明する。以下、説明の便宜上、図1における紙面手前側をプリンター1の前側とする。各図に適宜付される矢印L、R、U、Loは、それぞれプリンター1の左側、右側、上側、下側を示している。
プリンター1は、略箱型形状のプリンター本体2を備え、プリンター本体2の下部には用紙(記録媒体)を収納する給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられる。
プリンター本体2の左部には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器5が配置され、プリンター本体2の右部には、画像形成部6が設けられる。画像形成部6には、像担持体である感光体ドラム7が回転可能に設けられ、感光体ドラム7の周囲には、帯電器と、トナーコンテナに接続された現像装置と、転写ローラーと、クリーニング装置とが、感光体ドラム7の回転方向に沿って配置される。
プリンター本体2の右部には、下方から上方に向かって用紙の搬送経路10が設けられる。搬送経路10の上流端には給紙部11が給紙カセット3の近傍に設けられ、搬送経路10の中流部には、感光体ドラム7と転写ローラーによって構成される転写部12が設けられる。搬送経路10の下流部には定着装置13が設けられ、搬送経路10の下流端には排紙部14が排紙トレイ4の近傍に設けられる。また、プリンター本体2内には、定着装置13の定着処理を制御する制御装置15が設けられる。
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。プリンター1は、外部のコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、画像形成動作を開始する。先ず、画像形成部6の帯電器によって感光体ドラム7の表面が帯電された後、露光器5からのレーザー光により感光体ドラム7に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム7の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、画像形成部6の現像器がトナーを用いてトナー像に現像する。
一方、給紙カセット3に収納された用紙は、給紙部11によって取り出されて搬送経路10上を搬送される。搬送経路10上の用紙は、所定のタイミングで転写部12へと搬送され、転写部12によって感光体ドラム7上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置13へと搬送され、定着装置13によって用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙部14から排紙トレイ4に排出される。
次に、定着装置13の構成について図2を参照しながら説明する。定着装置13は、図2に示すように、フレーム20と、定着ローラー21(定着部材)と、加圧ローラー22(加圧部材)と、温度検知部23と、送風制御部29とを備える。
フレーム20は、略箱型状に形成され、用紙の導入口を下側に備えると共に、用紙の導出口を上側に備える。フレーム20は、搬送経路10が導入口及び導出口を通ってフレーム20を貫通するように、プリンター本体2に取り付けられる。フレーム20内では、定着ローラー21及び加圧ローラー22が、搬送経路10を挟んで左側及び右側にそれぞれ配置される。また、フレーム20の左面(定着ローラー21側の面)には、温度検知孔20aが開口している。
定着ローラー21は、前後方向に長い円柱状に形成され、前後方向に長い回転軸を有してフレーム20に回転可能に支持される。定着ローラー21は、例えば、アルミニウム等の金属から成る円筒状の芯材と、芯材に周設されたシリコンゴム等から成る弾性層と、弾性層を被覆するPFA等のフッ素樹脂から成る離型層とから構成される。定着ローラー21は、芯材が駆動ギア(図示せず)を介してモーター等の駆動源32(図3参照)に接続されていて、駆動源32からの回転駆動力によって回転する。
定着ローラー21の内部には、熱源24が設けられる。熱源24は、例えば、ハロゲンヒーターやセラミックヒーター等によって構成され、通電によって発熱して定着ローラー21を加熱する。定着ローラー21は、トナー像が形成された用紙に接触してトナー像を加熱する。
加圧ローラー22は、前後方向に長い円柱状に形成され、前後方向に長い回転軸を有してフレーム20に回転可能に支持される。加圧ローラー22は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属から成る円筒状の芯材と、芯材に周設されたシリコンゴム等から成る弾性層と、弾性層を被覆するPFA等のフッ素樹脂から成る離型層と、から構成される。加圧ローラー22は、定着ローラー21側に加圧されて、定着ローラー21との間に定着ニップNを形成する。加圧ローラー22は、定着ローラー21の回転に従動して回転しつつ、定着ローラー21との間の定着ニップNを通過する用紙を加圧する。
温度検知部23は、その検知面23aを定着ローラー21側に向けてフレーム20の温度検知孔20aに取り付けられ、定着ローラー21に対して非接触に設けられる。温度検知部23は、例えば、赤外線検知素子25と、集光部材26と、筒状の筐体27と、基板28とを備える。赤外線検知素子25は、例えば、サーモパイルで構成され、定着ローラー21から放射される赤外線を検知する。集光部材26は、例えば、レンズで構成され、定着ローラー21から放射される赤外線を赤外線検知素子25へと集光する。赤外線検知素子25は、検知面23aとは反対側で筐体27内に取り付けられ、集光部材26は、検知面23a側で筐体27内に取り付けられる。筐体27は、基板28に取り付けられ、赤外線検知素子25は、基板28に電気的に接続される。そして、温度検知部23は、赤外線検知素子25による赤外線の検知結果を示す電気信号を、定着ローラー21の表面温度に対応する信号として出力する。
送風制御部29は、温度検知部23に対する送風の実行と停止とを切り換えて制御する機構である。例えば、送風制御部29は、定着装置13やプリンター1の冷却用の機内風を取り込んで温度検知部23へと送風するファンやダクトからなる機構で構成されてよい。あるいは、送風制御部29は、機内風の温度検知部23への送風と遮断とを切り換えるシャッターやダクトからなる機構で構成されてもよい。送風制御部29は、例えば、定着ローラー21の加熱開始時に、温度検知部23に対して送風を実行又は停止するように制御され、定着ローラー21の加熱中には、所定の条件に応じて、温度検知部23に対する送風を停止又は実行に切り換える。例えば、送風制御部29は、定着装置13内の温度や湿度を検知する温度センサーや湿度センサーの検知結果に基づいて、定着装置13内の温度が所定の閾値温度を超えた場合や定着装置13内の湿度が所定の閾値湿度を超えた場合に温度検知部23に対する送風を実行に切り換え、それ以外の場合に、温度検知部23に対する送風を停止に切り換える。
次に、制御装置15の構成について図3〜図6を参照しながら説明する。図3に示すように、制御装置15は、例えば、CPU等で構成される制御部30と、ROMやRAM等からなる記憶部31とを含む。制御装置15は、定着装置13に備えられてもよく、あるいは、プリンター1を統括制御するメイン制御装置(図示せず)を適用してもよい。
また、制御装置15は、温度検知部23、定着ローラー21を加熱する熱源24、送風制御部29、定着ローラー21を回転する駆動源32等の定着装置13の各部に接続されている。記憶部31は、定着装置13の定着温度制御機能等の定着処理機能を実現するプログラムやデータを記憶する。そして、制御装置15は、制御部30が記憶部31に記憶された各プロクラム等に従って演算処理を実行して、制御装置15に接続された各部を制御する。
例えば、制御装置15は、定着装置13の定着温度制御機能として、温度検知部23(赤外線検知素子25)による検知値を入力し、その検知値に基づいて定着ローラー21の表面の検知温度を算出する。また、制御装置15は、所望の定着温度(目標温度である理想温度)に基づいて定着ローラー21を加熱する熱源24の制御温度(閾値)を設定する。そして、制御装置15は、定着ローラー21の検知温度と熱源24の制御温度とに基づいて熱源24を制御し、例えば、検知温度が制御温度未満の場合には熱源24への通電を行って加熱を行う一方、検知温度が制御温度以上の場合には熱源24への通電を遮断して加熱を停止する。これにより、制御装置15は、検知温度が制御温度と等しくなるように熱源24を制御することで、定着ローラー21の実際の表面温度(実際温度)が所望の定着温度(理想温度)と等しくなるように制御する。制御装置15による検知温度及び制御温度の補正については後述する。
記憶部31には、例えば、定着ローラー21の検知温度の補正に用いられる補正量T3及び熱源24の制御温度の補正に用いられる補正量T4の取得手法として、補正量テーブルが記憶される。補正量テーブルには、定着ローラー21の加熱時間(又は駆動時間)及び送風制御部29による送風の状態(実行又は停止)に関連付けられて、温度検知部23の赤外線検知素子25自身の温度T1及び集光部材26自身の温度T2の間の温度差や、補正量T3、T4が設定されている。本実施形態では、補正量テーブルに記憶される補正量T3、T4は、検知温度又は制御温度の補正毎に積算される値が設定されてよく、検知温度又は制御温度の補正では、積算後の補正量T3、T4が用いられる。補正量テーブルは、送風制御部29による送風の各状態について、定着ローラー21の様々な加熱時間での赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2を予め測定すると共に、定着ローラー21の検知温度及び実際温度を予め測定し、更に、実際温度と検知温度とに基づいて補正量T3、T4を予め逆算しておくことで予め作成されて記憶部31に記憶される。
ここで、定着ローラー21の検知温度の補正量T3及び熱源24の制御温度の補正量T4と、温度検知部23の赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2と、定着ローラー21の加熱時間及び送風制御部29の送風の状態との関係について、図4〜図6を参照しながら説明する。
温度検知部23(赤外線検知素子25)による検知値に基づいて算出される定着ローラー21の検知温度は、通常、定着ローラー21の実際温度と推定される。しかしながら、温度検知部23の配置や特性によっては、第1実施例として、定着ローラー21の加熱開始からの加熱時間の進行に伴って温度検知部23が加熱されていくと、例えば、温度検知部23の温度が所定温度に達したときに、図4〜図6に示すように、集光部材26自身の温度T2が赤外線検知素子25自身の温度T1よりも高くなることがある。その場合、赤外線検知素子25が定着ローラー21からの赤外線に加えて集光部材26からの赤外線も受けるため、温度検知部23の検知値が高くなる。そのため、温度検知部23の検知値に基づいて算出される定着ローラー21の検知温度は、補正されなければ、図4に示すように、温度検知部23の温度差T2>T1に起因して適切に推定されずに、定着ローラー21の実際温度よりも高くなる。
また、熱源24の制御温度は、通常、定着ローラー21の理想温度と等しい値に設定されていて、上記したように、熱源24の加熱は、定着ローラー21の検知温度が制御温度未満の場合に実行される一方、検知温度が制御温度以上の場合に停止される。第1実施例では、定着ローラー21の実際温度が理想温度よりも低いにも拘らず、定着ローラー21の検知温度が、温度検知部23の温度差T2>T1に起因して実際温度よりも高く検知され、且つ理想温度に達することがある。このような場合、制御温度が補正されなければ、検知温度が、理想温度と等しく設定された制御温度以上になるので、熱源24の加熱が停止され、定着ローラー21の実際温度が理想温度に達しないことがある。換言すれば、制御温度は、検知温度が温度検知部23の温度差T2>T1に起因して高くなるとき、補正されなければ、図4に示すように、この検知温度との比較のために設定すべき温度よりも低く設定される。
そこで、第1実施例の補正量テーブルでは、集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも高い場合には(T1<T2)、図5に示すように、定着ローラー21の検知温度を低くする補正量T3(T3<0、例えば、−1〜−5℃)が設定され、あるいは、図6に示すように、熱源24の制御温度を高くする補正量T4が設定される(T4>0、例えば、+1〜+5℃)。なお、補正量T3、T4は、検知温度又は制御温度の補正が行われる毎に積算して更新される。また、補正量T3、T4は、温度検知部23の配置や特性にも依存するため、プリンター1の工場出荷時や設置時に算出されるとよく、例えば、温度差T2−T1の増加に伴って補正量T3の絶対値(変化量)が増加し、補正量T3の絶対値の増加の傾きは、一定でもよいが、温度差T2−T1の増加に伴って大きく又は小さくなってもよい。なお、積算後の補正量T3、T4には、上限値を設けてよい。
また、温度検知部23の配置や特性によっては、第2実施例として、定着ローラー21の加熱開始からの加熱時間の進行に伴って温度検知部23が加熱されていくと、例えば、温度検知部23の温度が所定温度に達したときに、第1実施例とは逆に、集光部材26自身の温度T2が赤外線検知素子25自身の温度T1よりも低くなることがある。その場合、集光部材26が定着ローラー21からの赤外線を吸収することにより、赤外線検知素子25が定着ローラー21から受ける赤外線が減少するため、温度検知部23の検知値が低くなる。例えば、温度検知部23は、図4〜図6において、目標温度以降のグラフを、目標温度の線を基準に上下反転させたような特性を有する。そのため、温度検知部23の検知値に基づいて算出される定着ローラー21の検知温度は、補正されなければ、温度検知部23の温度差T2<T1に起因して適切に推定されずに、定着ローラー21の実際温度よりも低くなる。
第2実施例では、第1実施例とは逆に、定着ローラー21の実際温度が理想温度よりも高いにも拘らず、定着ローラー21の検知温度が、温度検知部23の温度差T2<T1に起因して実際温度よりも低く検知され、且つ理想温度に満たないことがある。このような場合、制御温度が補正されなければ、検知温度が、理想温度と等しく設定された制御温度未満になるので、熱源24の加熱が継続され、定着ローラー21の実際温度が理想温度を超えることがある。換言すれば、制御温度は、検知温度が温度検知部23の温度差T2<T1に起因して低くなるとき、補正されなければ、この検知温度との比較のために設定すべき温度よりも高く設定される。
そこで、第2実施例の補正テーブルでは、第1実施例とは逆に、集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも低い場合には(T1>T2)、定着ローラー21の検知温度を高くする補正量T3(T3>0、例えば、+1〜+5℃)が設定され、あるいは、熱源24の制御温度を低くする補正量T4(T4<0、例えば、−1〜−5℃)が設定される。なお、補正量T3、T4は、補正が行われる毎に積算して更新される。また、補正量T3は、温度検知部23の配置や特性にも依存するため、プリンター1の工場出荷時や設置時に算出されるとよく、例えば、温度差T1−T2の増加に伴って補正量T3の絶対値(変化量)が増加し、補正量T3の絶対値の増加の傾きは、一定でもよいが、温度差T2−T1の増加に伴って大きく又は小さくなってもよい。なお、積算後の補正量T3、T4には、上限値を設けてよい。
また、上記の何れの実施例の場合でも、赤外線検知素子25の温度と集光部材26の温度とが等しい場合(T1=T2)には、積算後の補正量T3、T4は0に更新され(T3=0、T4=0)、あるいは、検知温度及び制御温度を補正しなくてよい。
なお、上記の何れの実施例の場合でも、温度検知部23の赤外線検知素子25及び集光部材26の温度差は、定着ローラー21の加熱開始から実際温度が理想温度に達してから発生し始め、その後、定着ローラー21の加熱時間に応じて変動し、その変動の度合いも加熱時間に応じて異なる。例えば、温度検知部23の温度差は、発生直後では急峻に変動し、その後、徐々に緩やかになり、やがて一定値に向かって収束する。そこで、定着ローラー21の加熱開始から実際温度が理想温度に達するまでの経過時間内では、積算される補正量T3、T4は0に設定されてよく、あるいは、検知温度及び制御温度を補正しなくてよい。また、積算されるT3、T4の絶対値は、温度差の発生直後では比較的大きく、加熱が進行する程に比較的小さくなるように設定されるとよい。更に、温度差が収束する加熱時間では、積算される補正量T3、T4を0に設定し、即ち、検知温度及び制御温度を更新しなくてよい。
更に、温度検知部23の赤外線検知素子25及び集光部材26の温度差の変動の度合いは、温度検知部23に対する送風が実行か停止かによっても異なる。例えば、温度検知部23に対して送風が実行されている場合には、温度検知部23が送風の作用を受けるために、温度差は急峻に変動するが、温度検知部23に対して送風が停止されている場合には、温度検知部23が送風の作用を受けないために、温度差は緩やかに変動する。そこで、送風停止期間では、比較的緩やかに変動する温度差に対応して検知温度又は制御温度を補正すればよいので、その補正の時間間隔(第1時間間隔)は、比較的長い間隔(例えば、10〜100sec)に設定される。一方、送風実行期間では、比較的急峻に変動する温度差に対応して検知温度又は制御温度を補正する必要があるので、その補正の時間間隔(第2時間間隔)は、第1時間間隔よりも短い間隔(例えば、1〜10sec)に設定される。換言すれば、送風停止期間は、温度検知部23が適正な温度検知から離れていく状態であって、補正量T3、T4を必要とする期間であり、送風実行期間は、温度検知部23が適正な温度検知に戻る状態であって、補正量T3、T4をなくしていく期間である。第1時間間隔でも第2時間間隔でも、各時間間隔の補正量T3、T4の変化量は同じに設定されてよい。なお、例えば、温度検知部23の配置や特性に起因して赤外線検知素子25が送風の影響を受ける場合、温度検知部23の温度差T1>T2の状態で送風を実行すると、赤外線検知素子25の温度T1が下がるためT2=T1へと近づく。あるいは、温度検知部23の配置や特性に起因して集光部材26が送風の影響を受ける場合、温度検知部23の温度差T2>T1の状態で送風を実行すると、集光部材26の温度T2が下がるためT2=T1へと近づく。
また、送風制御部29による送風の実行又は停止は、定着ローラー21の検知温度又は熱源24の制御温度が上記の補正量T3又はT4によって補正された後で、切り換えられることがある。送風制御部29の送風が切り換えられると、温度検知部23に対する送風の作用が変化するため、送風の切り換え前に温度検知部23に生じたT2>T1又はT2<T1の温度差は、T1=T2に向かって遷移する。そこで、上記の第1実施例の補正量テーブルでは、送風の切り換え前に検知温度を低く補正していた場合(T3<0)において送風の切り換え後に検知温度を高く補正する補正量T3(T3>0、例えば、+1〜+5℃)が設定され、送風の切り換え前に制御温度を高く補正していた場合(T4>0)において送風の切り換え後に制御温度を低く補正する補正量T4(T4<0、例えば、−1〜−5℃)が設定される。また、上記の第2実施例の補正量テーブルでは、送風の切り換え前に検知温度を高く補正していた場合(T3>0)において送風の切り換え後に検知温度を低く補正する補正量T3(T3<0、例えば、−1〜−5℃)が設定され、送風の切り換え前に制御温度を低く補正していた場合(T4<0)において送風の切り換え後に制御温度を高く補正する補正量T4(T4>0、例えば、+1〜+5℃)が設定される。これにより、温度検知部23の温度差がT1=T2に近づくほど、積算後の補正量T3、T4は0に近づくように設定される。そのため、温度検知部23の温度差がT1=T2になると、検知温度及び制御温度は元の値、即ち、温度検知部23の検知値に基づく検知温度(補正されない検知温度)及び理想温度に基づく制御温度(補正されない制御温度)となる。
なお、プリンター1は、工場出荷時や設置時において、温度検知部23の配置や特性を測定し、即ち、定着ローラー21の加熱に伴って、温度検知部23の温度差がT2>T1となるかT2<T1となるかを判定する。そして、温度検知部23の温度差がT2>T1が得られる場合には、上記の第1実施例の補正量テーブルを設定し、温度検知部23の温度差がT2<T1が得られる場合には、上記の第2実施例の補正量テーブルを設定する。
次に、定着装置13の定着温度制御機能として、熱源24の制御温度の補正を伴う定着ローラー21の加熱制御の動作について、図7、図8のフローチャートを参照しながら説明する。
図7に示すように、プリンター1が上記のような画像形成動作を行って定着装置13が定着処理を開始すると(ステップS1)、熱源24に通電して、定着ローラー21の加熱が開始される(ステップS2)。なお、制御装置15は、定着ローラー21の理想温度を熱源24の制御温度の初期値に設定する。
制御装置15は、定着ローラー21の加熱開始からの加熱時間の計測を開始する(ステップS3)。また、制御装置15は、熱源24の制御温度の補正量算出を開始する(ステップS4)。なお、この制御温度の補正量算出は、後述の定着ローラー21の検知温度と熱源24の制御温度との比較に基づく定着ローラー21の加熱制御と並行して、バックグラウンドで行われてよい。
制御温度の補正量算出の一例について図8のフローチャートを参照しながら説明する。この例では、定着装置13に適用した温度検知部23が、上記した第1実施例のように、定着ローラー21の加熱時間の進行に伴って集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも高くなる特性を有する場合について説明する。また、温度検知部23は、送風によって集光部材26の温度T2が低下する特性を有する。
図8に示すように、制御装置15は、先ず、送風制御部29による送風が実行されているか否かを判定する(ステップS11)。この例では、定着ローラー21の加熱開始から送風が停止されている場合(ステップS11:No)について説明する。
制御装置15は、定着ローラー21の加熱時間に基づいて、赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差を把握する(ステップS12、S13)。例えば、加熱時間が、赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2が等しい(T1=T2)時間帯(例えば、実際温度が理想温度に達する前の時間帯)に相当するか否かを判定する(ステップS12)。そして、赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2が等しい(T1=T2)場合には(ステップS12:Yes)、制御温度の積算後の補正量T4は0に設定され(ステップS14)、制御温度は補正されない。
他方、赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2が等しくない場合には(ステップS12:No)、加熱時間が、赤外線検知素子25の温度T1が集光部材26の温度T2よりも低い(T1<T2)時間帯(例えば、実際温度が理想温度に最初に達した後の時間帯)に相当するか否かを判定する(ステップS13)。ここでは、赤外線検知素子25の温度T1が集光部材26の温度T2よりも低い(T1<T2)場合について説明する(ステップS13:Yes)。
更に、制御装置15は、現時点の送風制御部29の送風の状態が、制御温度の補正後に切り換えられた状態か否かを判定する(ステップS15)。この例では、送風制御部29の送風が、定着ローラー21の加熱開始から切り換えられることなく、停止している状態について説明する(ステップS15:No)。
上記のように、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が停止していて、赤外線検知素子25の温度T1が集光部材26の温度T2よりも低い(T1<T2)ので、検知温度が、算出されるべき温度(即ち、実際温度)よりも高くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風停止状態とに基づいて、熱源24の制御温度を高くする補正量T4(T4>0、例えば、+1〜+5℃)が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS16)。なお、送風制御部29の送風が停止されているので、上記の補正量T4の算出は、比較的長い第1時間間隔(例えば、10〜100sec)毎に行われる。この第1時間間隔は、赤外線検知素子25の温度T1が集光部材26の温度T2よりも低くなった時点から測定されてよい。
また、上記のように熱源24の制御温度が高く補正された後で、送風制御部29の送風が停止から実行へと切り換えられる場合の制御温度の補正量算出について説明する。この場合でも、送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS11)や、赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS22、S23)が行われる。なお、送風制御部29の送風が実行に切り換えられた直後では(ステップS11:Yes)、赤外線検知素子25の温度T1は集光部材26の温度T2よりも低いままである(ステップS22:No、ステップS23:Yes)。
そして、制御装置15は、現時点の送風制御部29の送風の状態が、制御温度の補正後に切り換えられた状態か否かを判定する(ステップS25)。ここでは、上記したように、制御温度が理想温度より高く補正された後で、送風制御部29の送風が切り換えられて実行されている(ステップS25:Yes)。
集光部材26の温度T2は送風によって低下するので、送風制御部29の送風の切り換えによって、検知温度が、算出されるべき温度(即ち、実際温度)に向かって低くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風実行状態とに基づいて、熱源24の制御温度を低くする補正量T4(T4<0、例えば、−1〜−5℃)が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS28)。なお、送風制御部29の送風が実行されているので、この補正量T4の算出は、比較的短い第2時間間隔(例えば、1〜10sec)毎に行われる。この第2時間間隔は、送風制御部29の送風が切り換えられた時点から測定されてよい。
更に、上記の制御温度の補正量算出と並行している定着ローラー21の加熱制御について説明する。図7に示すように、制御装置15は、所定時間毎に、温度検知部23によって定着ローラー21の赤外線を検知して、その検知結果を入力し、この検知値に基づいて定着ローラー21の検知温度を算出する(ステップS5)。
また、制御装置15は、上記のようにして現時点で算出されている制御温度の補正量T4を用いて熱源24の制御温度を補正した後、検知温度と制御温度とを比較し(ステップS6)、検知温度が制御温度未満であれば(ステップS6:Yes)、熱源24の通電を継続して定着ローラー21の加熱を継続し(ステップS7)、検知温度が制御温度以上であれば(ステップS6:Yes)、熱源24の通電を遮断して定着ローラー21の加熱を停止する(ステップS8)。なお、検知温度の補正は、定着ローラー21の検知温度が最初に制御温度に達した後から開始してもよい。なお、検知温度と制御温度との比較に基づく熱源24の制御は、定着処理中(ステップS9:No)は継続されて、制御装置15が定着ローラー21の検知温度を算出する毎に行われる一方、定着処理の終了(ステップS9:Yes)によって終了する。
また、制御温度の補正量算出の他の例について図8のフローチャートを参照しながら説明する。この例においても、温度検知部23は、加熱されていくと集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも高くなる特性を有する。ただし、温度検知部23は、送風によって赤外線検知素子25の温度T1が低下する特性を有する。送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS11、S25)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS22、S23)は、上記した例と同様にして行われる。
そして、この例では、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が実行されている状態で(ステップS11:Yes)、送風制御部29の送風が切り換えられる前に(ステップS25:No)、集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも高くなっている(ステップS22:No、ステップS23:Yes)。換言すれば、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が実行されていて、赤外線検知素子25の温度T1が集光部材26の温度T2よりも低い(T1<T2)ので、検知温度が実際温度よりも高くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風実行状態とに基づいて、熱源24の制御温度を高くする補正量T4が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS26)。なお、送風制御部29の送風が実行されているので、この補正量T4の算出は、第2時間間隔毎に行われる。
また、上記のように熱源24の制御温度が高く補正された後で、送風制御部29の送風が実行から停止へと切り換えられる場合の制御温度の補正量算出について説明する。この場合でも、送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS11、S15)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS12、S13)が行われる。なお、送風制御部29の送風が停止に切り換えられた直後では(ステップS11:No)、赤外線検知素子25の温度T1は集光部材26の温度T2よりも低いままである(ステップS12:No、ステップS13:Yes)。
ここで、現在の送風制御部29の送風の状態は、上記したように、制御温度が理想温度より高く補正された後で、切り換えられて停止されている(ステップS15:Yes)。そのため、送風制御部29の送風の切り換えによって、検知温度が、算出されるべき温度(即ち、実際温度)に向かって低くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風停止状態とに基づいて、熱源24の制御温度を低くする補正量T4が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS18)。なお、送風制御部29の送風が停止されているので、この補正量T4の算出は、第1時間間隔毎に行われる。
また、制御温度の補正量算出の更なる例について図8のフローチャートを参照しながら説明する。この例では、温度検知部23は、加熱されていくと集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも低くなる特性を有する。また、温度検知部23は、送風によって赤外線検知素子25の温度T1が低下する特性を有する。送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS11、S17)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS12、S13)は、上記した例と同様にして行われる。
そして、この例では、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が停止されている状態で(ステップS11:No)、送風制御部29の送風が切り換えられる前に(ステップS17:No)、集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも低くなっている(ステップS12:No、ステップS13:No)。換言すれば、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が停止されていて、赤外線検知素子25の温度T1が集光部材26の温度T2よりも高い(T1>T2)ので、検知温度が実際温度よりも低くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風停止状態とに基づいて、熱源24の制御温度を低くする補正量T4が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS18)。なお、送風制御部29の送風が停止されているので、この補正量T4の算出は、第1時間間隔毎に行われる。
また、上記のように熱源24の制御温度が低く補正された後で、送風制御部29の送風が停止から実行へと切り換えられる場合の制御温度の補正量算出について説明する。この場合でも、送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS11、S27)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS22、S23)が行われる。なお、送風制御部29の送風が実行に切り換えられた直後では(ステップS11:Yes)、赤外線検知素子25の温度T1は集光部材26の温度T2よりも高いままである(ステップS22:No、ステップS23:No)。
ここで、現在の送風制御部29の送風の状態は、上記したように、制御温度が理想温度より低く補正された後で、切り換えられて実行されている(ステップS27:Yes)。赤外線検知素子25の温度T1は送風によって低下するので、送風制御部29の送風の切り換えによって、検知温度が、算出されるべき温度(即ち、実際温度)に向かって高くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風実行状態とに基づいて、熱源24の制御温度を高くする補正量T4が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS26)。なお、送風制御部29の送風が実行されているので、この補正量T4の算出は、第2時間間隔毎に行われる。
また、制御温度の補正量算出の更なる他の例について図8のフローチャートを参照しながら説明する。この例においても、温度検知部23は、加熱されていくと集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも低くなる特性を有する。また、温度検知部23は、送風によって集光部材26の温度T2が低下する特性を有する。送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS11、S27)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS22、S23)は、上記した例と同様にして行われる。
そして、この例では、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が実行されている状態で(ステップS11:Yes)、送風制御部29の送風が切り換えられる前に(ステップS27:No)、集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも低くなっている(ステップS22:No、ステップS23:No)。換言すれば、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が実行されていて、赤外線検知素子25の温度T1が集光部材26の温度T2よりも高い(T1>T2)ので、検知温度が実際温度よりも低くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風実行状態とに基づいて、熱源24の制御温度を低くする補正量T4が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS28)。なお、送風制御部29の送風が実行されているので、この補正量T4の算出は、第2時間間隔毎に行われる。
また、上記のように熱源24の制御温度が低く補正された後で、送風制御部29の送風が実行から停止へと切り換えられる場合の制御温度の補正量算出について説明する。この場合でも、送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS11、S17)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS12、S13)が行われる。なお、送風制御部29の送風が停止に切り換えられた直後では(ステップS11:No)、赤外線検知素子25の温度T1は集光部材26の温度T2よりも高いままである(ステップS12:No、ステップS13:No)。
ここで、現在の送風制御部29の送風の状態は、上記したように、制御温度が理想温度より低く補正された後で、切り換えられて停止されている(ステップS17:Yes)。そのため、送風制御部29の送風の切り換えによって、検知温度が、算出されるべき温度(即ち、実際温度)に向かって高くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風停止状態とに基づいて、熱源24の制御温度を高くする補正量T4が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS16)。なお、送風制御部29の送風が停止されているので、この補正量T4の算出は、第1時間間隔毎に行われる。
次に、定着装置13の定着温度制御機能として、定着ローラー21の検知温度の補正を伴う定着ローラー21の加熱制御動作について、図7、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
この検知温度の補正を伴う動作においても、上記した制御温度の補正を伴う動作と同様にして、図7に示すように、定着装置13の定着処理が開始されて定着ローラー21の加熱時間が計測される(ステップS1〜S3)。
ところで、検知温度の補正を伴う動作では、制御温度の補正を伴う動作における制御温度の補正量算出(ステップS4)に代えて、検知温度の補正量算出が開始される。なお、この検知温度の補正量算出も、定着ローラー21の検知温度と熱源24の制御温度との比較に基づく定着ローラー21の加熱制御と並行して、バックグラウンドで行われてよい。
検知温度の補正量算出の一例について図9のフローチャートを参照しながら説明する。この例では、温度検知部23は、加熱されていくと集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも高くなる特性を有する。送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS31、S35)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS32、S33)は、制御温度の補正量算出(ステップS11、S12、S13、S15)と同様にして行われる。
そして、この例では、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が停止されている状態で(ステップS31:No)、送風制御部29の送風が切り換えられる前に(ステップS35:No)、集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも高くなっている(ステップS32:No、ステップS33:Yes)。換言すれば、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が停止されていて、赤外線検知素子25の温度T1が集光部材26の温度T2よりも低い(T1<T2)ので、検知温度が実際温度よりも高くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風停止状態とに基づいて、定着ローラー21の検知温度を低くする補正量T3が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS36)。なお、送風制御部29の送風が停止されているので、この補正量T3の算出は、第1時間間隔毎に行われる。
また、上記のように定着ローラー21の検知温度が低く補正された後で、送風制御部29の送風が停止から実行へと切り換えられる場合の検知温度の補正量算出について説明する。この場合でも、送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS31、S45)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS42、S43)が行われる。なお、送風制御部29の送風が実行に切り換えられた直後では(ステップS31:Yes)、赤外線検知素子25の温度T1は集光部材26の温度T2よりも低いままである(ステップS42:No、ステップS43:Yes)。
ここで、現在の送風制御部29の送風の状態は、上記したように、検知温度が低く補正された後で、切り換えられて実行されている(ステップS45:Yes)。そのため、送風制御部29の送風の切り換えによって、補正前の検知温度が、算出されるべき温度(即ち、実際温度)に向かって低くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風実行状態とに基づいて、定着ローラー21の検知温度を高くする補正量T3が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS48)。なお、送風制御部29の送風が実行されているので、この補正量T3の算出は、第2時間間隔毎に行われる。
更に、上記の検知温度の補正量算出と並行している定着ローラー21の加熱制御について説明する。図7に示すように、制御装置15は、所定時間毎に、温度検知部23によって定着ローラー21の赤外線を検知して、その検知結果を入力している。また、制御装置15は、この検知値に基づいて定着ローラー21の検知温度を算出すると共に、上記のようにして現時点で算出されている検知温度の補正量T3を用いて検知温度を補正する(ステップS5)。そして、制御装置15は、上記した制御温度の補正を伴う動作と同様にして、検知温度と制御温度との比較に基づく熱源24の制御を行う(ステップS6〜S9)。
また、検知温度の補正量算出の他の例について図9のフローチャートを参照しながら説明する。この例においても、温度検知部23は、加熱されていくと集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも高くなる特性を有する。送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS31、S45)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS42、S43)は、上記した例と同様にして行われる。
そして、この例では、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が実行されている状態で(ステップS31:Yes)、送風制御部29の送風が切り換えられる前に(ステップS45:No)、集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも高くなっている(ステップS42:No、ステップS43:Yes)。換言すれば、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が実行されていて、赤外線検知素子25の温度T1が集光部材26の温度T2よりも低い(T1<T2)ので、検知温度が実際温度よりも高くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風実行状態とに基づいて、定着ローラー21の検知温度を低くする補正量T3が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS46)。なお、送風制御部29の送風が実行されているので、この補正量T3の算出は、第2時間間隔毎に行われる。
また、上記のように定着ローラー21の検知温度が低く補正された後で、送風制御部29の送風が実行から停止へと切り換えられる場合の検知温度の補正量算出について説明する。この場合でも、送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS31、S35)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS32、S33)が行われる。なお、送風制御部29の送風が停止に切り換えられた直後では(ステップS31:No)、赤外線検知素子25の温度T1は集光部材26の温度T2よりも低いままである(ステップS32:No、ステップS33:Yes)。
ここで、現在の送風制御部29の送風の状態は、上記したように、検知温度が低く補正された後で、切り換えられて停止されている(ステップS35:Yes)。そのため、送風制御部29の送風の切り換えによって、補正前の検知温度が、算出されるべき温度(即ち、実際温度)に向かって低くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風停止状態とに基づいて、定着ローラー21の検知温度を高くする補正量T3が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS38)。なお、送風制御部29の送風が停止されているので、この補正量T3の算出は、第1時間間隔毎に行われる。
また、検知温度の補正量算出の更なる例について図9のフローチャートを参照しながら説明する。この例では、温度検知部23は、加熱されていくと集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも低くなる特性を有する。送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS31、S37)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS32、S33)は、上記した例と同様にして行われる。
そして、この例では、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が停止されている状態で(ステップS31:No)、送風制御部29の送風が切り換えられる前に(ステップS37:No)、集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも低くなっている(ステップS32:No、ステップS33:No)。換言すれば、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が停止されていて、赤外線検知素子25の温度T1が集光部材26の温度T2よりも高い(T1>T2)ので、検知温度が実際温度よりも低くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風停止状態とに基づいて、定着ローラー21の検知温度を高くする補正量T3が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS38)。なお、送風制御部29の送風が停止されているので、この補正量T3の算出は、第1時間間隔毎に行われる。
また、上記のように定着ローラー21の検知温度が高く補正された後で、送風制御部29の送風が停止から実行へと切り換えられる場合の検知温度の補正量算出について説明する。この場合でも、送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS31、S47)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS42、S43)が行われる。なお、送風制御部29の送風が実行に切り換えられた直後では(ステップS31:Yes)、赤外線検知素子25の温度T1は集光部材26の温度T2よりも高いままである(ステップS42:No、ステップS43:No)。
ここで、現在の送風制御部29の送風の状態は、上記したように、検知温度が高く補正された後で、切り換えられて実行されている(ステップS47:Yes)。そのため、送風制御部29の送風の切り換えによって、補正前の検知温度が、算出されるべき温度(即ち、実際温度)に向かって高くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風実行状態とに基づいて、定着ローラー21の検知温度を低くする補正量T3が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS46)。なお、送風制御部29の送風が実行されているので、この補正量T3の算出は、第2時間間隔毎に行われる。
また、検知温度の補正量算出の更なる他の例について図9のフローチャートを参照しながら説明する。この例においても、温度検知部23は、加熱されていくと集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも低くなる特性を有する。送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS31、S47)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS42、S43)は、上記した例と同様にして行われる。
そして、この例では、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が実行されている状態で(ステップS31:Yes)、送風制御部29の送風が切り換えられる前に(ステップS47:No)、集光部材26の温度T2が赤外線検知素子25の温度T1よりも低くなっている(ステップS42:No、ステップS43:No)。換言すれば、定着ローラー21の加熱開始から送風制御部29の送風が実行されていて、赤外線検知素子25の温度T1が集光部材26の温度T2よりも高い(T1>T2)ので、検知温度が実際温度よりも低くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風実行状態とに基づいて、定着ローラー21の検知温度を高くする補正量T3が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS48)。なお、送風制御部29の送風が実行されているので、この補正量T3の算出は、第2時間間隔毎に行われる。
また、上記のように定着ローラー21の検知温度が高く補正された後で、送風制御部29の送風が実行から停止へと切り換えられる場合の検知温度の補正量算出について説明する。この場合でも、送風制御部29の送風の状態の判定(ステップS31、S37)や、定着ローラー21の加熱時間に基づく赤外線検知素子25の温度T1及び集光部材26の温度T2の温度差の判定(ステップS32、S33)が行われる。なお、送風制御部29の送風が停止に切り換えられた直後では(ステップS31:No)、赤外線検知素子25の温度T1は集光部材26の温度T2よりも高いままである(ステップS32:No、ステップS33:No)。
ここで、現在の送風制御部29の送風の状態は、上記したように、検知温度が高く補正された後で、切り換えられて停止されている(ステップS37:Yes)。そのため、送風制御部29の送風の切り換えによって、補正前の検知温度が、算出されるべき温度(即ち、実際温度)に向かって高くなる方向に変動している。そこで、加熱時間と送風停止状態とに基づいて、定着ローラー21の検知温度を低くする補正量T3が補正量テーブルから読み出されて積算される(ステップS36)。なお、送風制御部29の送風が停止されているので、この補正量T3の算出は、第1時間間隔毎に行われる。
本実施形態によれば、上述のように、プリンター1(画像形成装置)の定着装置13は、定着ローラー21(定着部材)と、加圧ローラー22(加圧部材)と、温度検知部23と、送風制御部29とを備える。定着ローラー21は、熱源24によって加熱されると共に、トナー像が形成された用紙(記録媒体)に接触してトナー像を加熱する。加圧ローラー22は、定着ローラー21との間を通過する用紙を加圧する。温度検知部23は、定着ローラー21に対して非接触で設けられ、定着ローラー21から放射される赤外線を検知する赤外線検知素子25と、赤外線を赤外線検知素子25へと集光する集光部材26とからなる。送風制御部29は、温度検知部23に対する送風の実行と停止とを制御する。そして、定着装置13は、例えば、制御装置15によって、赤外線検知素子25による検知値に基づいて定着ローラー21の検知温度を算出すると共に、送風制御部29による送風の状態と赤外線検知素子25及び集光部材26の温度差とに基づいて定着ローラー21の検知温度又は熱源24の制御温度を補正し、補正した検知温度及び制御温度、又は検知温度及び補正した制御温度に基づいて定着ローラー21の加熱を制御する。
このような構成とすることにより、温度検知部23の加熱や送風制御部29による送風によって、温度検知部23の赤外線検知素子25と集光部材26とに温度差が生じた場合でも、適切に補正された定着ローラー21の検知温度又は熱源24の制御温度に基づいて定着ローラー21の加熱が制御される。そのため、温度検知部23の配置が定着ローラー21の加熱の影響を受ける場所か否かに拘らず、また、送風制御部29による送風の状態に拘らず、温度検知部23の特性に合わせて検知温度又は制御温度を取得するため、温度検知部23による定着ローラー21の温度の検知精度を向上することができ、また、定着ローラー21の加熱を高精度に制御することができる。なお、温度検知部23を定着ローラー21から離して配置する必要がないため、定着ローラー21から温度検知部23へと放射線を伝達するミラー等の伝達部材及びその取り付け機構を設ける必要がない。そのため、放射線の伝達部材及びその取り付け機構を設ける装置に比べて、部品点数及び部品コストを抑制し、装置を小型化及び簡易化することができる。
また、本実施形態では、定着装置13は、定着ローラー21の加熱時間と、送風制御部29による送風の状態と、赤外線検知素子25及び集光部材26の温度差との関係を予め記憶部31に記憶しておき、定着ローラー21の加熱を制御するときには、定着ローラー21の加熱時間に対応する温度差とそのときの送風の状態とに基づいて検知温度又は制御温度を補正するとよい。
これにより、また、温度検知部23の赤外線検知素子25及び集光部材26の温度を検知するセンサーを定着装置13毎に備えておく必要がないので、部品点数及び部品コストを抑制し、装置を小型化及び簡易化することができる。
なお、本実施形態では、定着ローラー21の加熱時間に基づいて赤外線検知素子25及び集光部材26の温度差を推定し、その推定結果に基づいて定着ローラー21の検知温度又は熱源24の制御温度を補正する構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、他の実施形態では、定着装置13は、印字枚数や印字間隔等に基づいて赤外線検知素子25及び集光部材26の温度差を推定してもよい。また、定着ローラー21の加熱時の温度(高温や低温)に基づいて赤外線検知素子25及び集光部材26の温度差を推定してもよい。
また、本実施形態では、定着装置13は、温度検知部23に対して送風を停止しているとき、検知温度又は制御温度の補正量の算出は、所定の第1時間間隔毎に行い、温度検知部23に対して送風を実行しているとき、検知温度又は制御温度の補正量の算出は、第1時間間隔よりも短い第2時間間隔毎に行うとよい。
これにより、送風制御部29による送風の作用によって急峻に温度が変動する場合には、比較的短い第2時間間隔毎に検知温度又は制御温度を補正し、送風制御部29による送風が作用せずに緩やかに温度が変動する場合には比較的長い第1時間間隔毎に検知温度又は制御温度を補正する。従って、赤外線検知素子25及び集光部材26の温度変化に適切に対応して検知温度又は制御温度を補正することができる。
また、本実施形態では、定着装置13は、温度検知部23に対して送風を実行している場合において、赤外線検知素子25の温度と集光部材26の温度とが等しい場合には、制御温度を補正しない一方、温度検知部23に対して送風を停止している場合において、赤外線検知素子25の温度が集光部材26の温度より低い場合には、制御温度を所定量高く補正し、その補正の後、温度検知部23に対して送風を実行している場合、制御温度を所定量低く補正するとよい。
又は、定着装置13は、温度検知部23に対して送風を停止している場合において、赤外線検知素子25の温度と集光部材26の温度とが等しい場合には、制御温度を補正しない一方、温度検知部23に対して送風を実行している場合において、赤外線検知素子25の温度が集光部材26の温度より低い場合には、制御温度を所定量高く補正し、その補正の後、温度検知部23に対して送風を停止している場合、制御温度を所定量低く補正してもよい。
あるいは、定着装置13は、温度検知部23に対して送風を実行している場合において、赤外線検知素子25の温度と集光部材26の温度とが等しい場合には、制御温度を補正しない一方、温度検知部23に対して送風を停止している場合において、赤外線検知素子25の温度が集光部材26の温度より高い場合には、制御温度を所定量低く補正し、その補正の後、温度検知部23に対して送風を実行している場合、制御温度を所定量高く補正してもよい。
若しくは、定着装置13は、温度検知部23に対して送風を停止している場合において、赤外線検知素子25の温度と集光部材26の温度とが等しい場合には、制御温度を補正しない一方、温度検知部23に対して送風を実行している場合において、赤外線検知素子25の温度が集光部材26の温度より高い場合には、制御温度を所定量低く補正し、その補正の後、温度検知部23に対して送風を停止している場合、制御温度を所定量高く補正してもよい。
これらにより、送風制御部29による送風の作用や赤外線検知素子25及び集光部材26の温度差に基づいて、温度検知部23の特性に高精度に適応した熱源24の制御温度を使用することができる。
また、本実施形態では、定着装置13は、温度検知部23に対して送風を実行している場合において、赤外線検知素子25の温度と集光部材26の温度とが等しい場合には、検知温度を補正しない一方、温度検知部23に対して送風を停止している場合において、赤外線検知素子25の温度が集光部材26の温度より低い場合には、検知温度を所定量低く補正し、その補正の後、温度検知部23に対して送風を実行している場合、検知温度を所定量高く補正するとよい。
又は、定着装置13は、温度検知部23に対して送風を停止している場合において、赤外線検知素子25の温度と集光部材26の温度とが等しい場合には、検知温度を補正しない一方、温度検知部23に対して送風を実行している場合において、赤外線検知素子25の温度が集光部材26の温度より低い場合には、検知温度を所定量低く補正し、その補正の後、温度検知部23に対して送風を停止している場合、検知温度を所定量高く補正してもよい。
あるいは、定着装置13は、温度検知部23に対して送風を実行している場合において、赤外線検知素子25の温度と集光部材26の温度とが等しい場合には、検知温度を補正しない一方、温度検知部23に対して送風を停止している場合において、赤外線検知素子25の温度が集光部材26の温度より高い場合には、検知温度を所定量高く補正し、その補正の後、温度検知部23に対して送風を実行している場合、検知温度を所定量低く補正してもよい。
若しくは、定着装置13は、温度検知部23に対して送風を停止している場合において、赤外線検知素子25の温度と集光部材26の温度とが等しい場合には、検知温度を補正しない一方、温度検知部23に対して送風を実行している場合において、赤外線検知素子25の温度が集光部材26の温度より高い場合には、検知温度を所定量高く補正し、その補正の後、温度検知部23に対して送風を停止している場合、検知温度を所定量低く補正してもよい。
これらにより、送風制御部29による送風の作用や赤外線検知素子25及び集光部材26の温度差に基づいて、温度検知部23の特性に高精度に適応した定着ローラー21の温度を検知することができる。
上記した実施形態では、補正量テーブルに記憶される補正量T3、T4として検知温度又は制御温度の補正毎に積算される値を設定すると共に、検知温度又は制御温度の補正において積算後の補正量T3、T4用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、他の実施形態では、補正量テーブルに記憶される補正量T3、T4として、検知温度又は制御温度の補正にそのまま用いられる値を設定してもよい。
上記した実施形態では、定着ローラー21の検知温度又は熱源24の制御温度を補正する補正量T3、T4の取得手法として、補正量テーブルを利用する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、他の実施形態では、定着ローラー21の加熱時間に基づいて温度検知部23の赤外線検知素子25及び集光部材26の温度差を算出し、更にこの温度差に基づいて補正量T3、T4を算出する数式を利用してもよく、あるいは、定着ローラー21の加熱時間に基づいて補正量T3、T4を算出する数式を利用してもよい。
上記した実施形態では、定着装置13が定着ローラー21としての定着部材を備える構成を説明したが、定着部材はこれに限定されず、例えば、定着ベルトを備えて構成されてもよい。
上記した実施形態では、熱源24としてハロゲンヒーターやセラミックヒーターを適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、熱源24は、例えば、IHコイルを適用してもよい。
本実施形態では、モノクロのプリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、カラープリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。