以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
図1に示すパチンコ遊技機1(以下、「遊技機1」と略す)は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。また遊技盤3の背面側には、遊技動作を制御するための各種制御基板(図3参照)が配設されている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球を遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、島設備側の遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。
また上受け皿ユニット8には、後述の爽快ボタン70としても機能する押しボタン式の演出ボタン13(第1の操作手段)と、上方向を指し示すボタン75a、右ボタン75b、下ボタン75c、および左ボタン75dから構成され、上下左右方向に入力操作可能な十字形の方向キー75(第2の操作手段)とが設けられている。演出ボタン13または方向キー75は、遊技者が操作可能な操作手段として機能し、特定の予告演出(たとえば、いわゆる「遊技者参加型演出」など)における所定の操作有効受付期間(ボタン有効期間)中に操作入力の受付が有効化され、この有効期間中に所定の操作(たとえば、1回押し、長押し、連打など)がなされると、その操作の前後で演出に変化をもたらすことができるようになっている。また、これらの操作手段は、客待ち待機中(後述の「デモ開始待ち演出」または「客待ち演出(デモ画面)」中)に係る「遊技設定画面(音量の設定、光量の設定、演出モードの設定などが可能なメニュー画面)」において、遊技者が好みの遊技設定を行う際にも利用される。なお、演出ボタン13には、その内部に内蔵ランプ(ボタンLED13b)が設けられており、ボタンLED13bの発光態様の違いにより、操作受付有効期間(たとえば、所定色で点灯または点滅中)と、操作受付無効期間(たとえば、消灯中)とが報知可能となっている。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。この発射装置32は、毎分100発程度の発射性能を有するものを採用している。
また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を発揮するスピーカ46が設けられている。また、遊技機の適所、たとえば、ガラス扉6の前枠周縁に周方向や後述のセンター飾り体48の内部には、光の装飾により光演出効果を発揮する装飾ランプ45(演出用LED)が複数設けられている。
(遊技盤:図2)
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5に取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3a、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、液晶表示装置(LCD)36が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、所定の表示領域(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄、中図柄、右図柄の3つの装飾図柄(図5参照))の変動表示動作(変動表示および停止表示)を含む、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り体48が設けられている。センター飾り体48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り体48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えており、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする流路振分手段として働く。本実施形態では、センター飾り体48の上面と球誘導レール5との間に遊技球が通過可能な遊動領域が形成されており、発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り体48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と、下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置:第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置:第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動表示および停止表示)による‘特別図柄変動表示ゲーム’が実行されるようになっている。そして上記の液晶表示装置36では、この特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、種々の予告演出(演出画像)とともに‘装飾図柄変動表示ゲーム’が実行されるようになっている。なお、特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣りに、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1の作動保留球数の表示、特別図柄2の作動保留球数の表示、普通図柄の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。本実施形態に係る普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作により普通図柄変動表示ゲームが実行される。たとえば、変動表示動作として、LEDによる普通図柄がシーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで、普通図柄変動表示ゲームの当否が判明するようになっている。
また普通図柄表示装置39aに隣接して、右打ち表示装置39bが設けられている。この右打ち表示装置39bは、LEDの点灯・消灯状態の組合せにより、遊技球が右流下経路3cを通過(流下)するように狙いを定める「右打ち」が有利であるのか、遊技球が左流下経路3bを通過(流下)するように狙いを定める「左打ち」が有利であるのかを報知する。たとえば、LEDの発光状態が、点灯した状態であれば右打ち有利、消灯状態であれば左打ち有利であることが報知される。
また、右打ち表示装置39bに隣接して2個のLED(ラウンド表示LED)を配置してなるラウンド数表示装置39cが設けられている。このラウンド数表示装置39cは、複数個のLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、大当りに係る規定ラウンド数(最大ラウンド数)を報知する。
センター飾り体48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口を開放または拡大可能にする‘始動口開閉手段’を有しない「入賞率固定型の入賞装置」として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り体48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入球(入賞)容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入球困難または入球不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な「入賞率変動型の入賞装置」として構成されている。本実施形態では、始動口開閉手段として左右一対の可動翼片(可動部材)47を備え、この可動翼片47が開閉動作を行うことで、第2の特別図柄始動口である下始動口35を開放または拡大可能となっている。
また、普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
また普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口が左側に4つ(43a〜43d)、右側に1つ(43e)、計5つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43h(図3参照)が形成されている。
また、普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲートからなる普通図柄始動口37(第3の始動手段)が設けられている。この普通図柄始動口37は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていないが、これに限らず、両流下経路に形成してもよい。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより大入賞口50を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(特別電動役物)が設けられており、その内部には大入賞口50に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り体48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、遊技球の流下方向は大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに不図示のゲージ構成(遊技くぎの配列)により、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)の方向に導かれる。このとき、下始動口35が入賞可能状態(始動口開状態)であれば、下始動口35に遊技球が入賞しうるが、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて大入賞口50が開いている状態(大入賞口開状態)であれば、遊技球が大入賞口50内に導かれるようになっている。なお、本実施形態の遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
上記した入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、つまり左流下経路3bまたは右流下経路3cのいずれを流下する遊技球が入賞可能であるかについて分類すると、左流下経路3bに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、および左側の一般入賞口43a〜43dがあり、右流下経路3cに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、および右側の一般入賞口43eがある。なお、下始動口35は、可動翼片47が開いた状態(始動口開状態)であれば、左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし、下始動口35の可動翼片47は、遊技領域3aの右側に位置する普通図柄始動口37に遊技球の通過(入賞)がその作動条件となっているので、実質的には右流下経路3cにのみに属するといえる。また大入賞口50については右流下経路3cのみに属し、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
(特定条件下における右打ち有利の構成)
本実施形態の遊技機1では、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた「右打ち」をした場合、普通図柄始動口37に遊技球は入賞し易いが、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされる。しかし、この可動翼片47は、後述の「電サポ有り状態(電サポ状態)」が生起すると、少なくとも通常状態(通常遊技状態)よりも有利な開閉パターンで動作するようになっている。したがって、非電サポ中(電サポ無し状態)下であれば遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」ではなく、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利となり、一方、電サポ状態下であれば、逆に「左打ち」ではなく「右打ち」が有利とされる。すなわち、遊技状態に応じて、左流下経路3bおよび右流下経路3cのいずれの流下経路に遊技球を流下させるかにより遊技進行が遊技者にとって有利または不利に作用し、「左打ち」か「右打ち」のいずれの打ち方をすれば遊技者にとり有利な状況(遊技進行が遊技者にとり有利)になるかについては、遊技状態に応じて変化し、非電サポ状態下を伴う遊技状態(たとえば、通常状態または潜確状態)では「左打ち」が、電サポ状態下を伴う遊技状態(たとえば、時短状態または確変状態)では「右打ち」が有利とされる。
上記の上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、または一般入賞口43などの各入賞口は、遊技領域3a内に配置された入賞手段として機能し、また、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、または一般入賞口センサ43aなどの検出スイッチ(入賞検出スイッチ)は、入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段として機能する。なお上記した各入賞手段については、遊技性に応じて、その個数、形状、形成位置などを適宜変更することができる。また、各入賞手段について、左流下経路3bおよび/または右流下経路3cのいずれを流下する遊技球を、入賞困難または入賞不可能、あるいは入賞可能とするかについても遊技性に応じて適宜変更することができる。
各入賞口に遊技球が入賞した場合、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数が、遊技球払出装置19(図5参照)から払い出されるようになっている。たとえば、上始動口34は3個、下始動口35は1個、普通図柄始動口37は0個(賞球なし))、大入賞口50は15個、一般入賞口43a〜eは3個が払い出される。上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、または入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。
<可動体役物>
また遊技領域3a内には、遊技球の流下を妨害しない位置に複数の可動体役物が配設されている。本実施形態では、センター飾り体48内の右上側に第1の可動体役物80が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物90が配設されている。第1の可動体役物80は、ローマ文字「I」から「XII」の数字が付されて12の数字セクターに区画された数字表示部からなる時計盤部81と、この時計盤部81上を回動可能に形成された短針および長針からなる時計針82とを有し、全体として「掛時計部」を形作る。この意味で、第1の可動体役物80を「時計型役物」とも称する。時計盤部81は、短針が示すセクター区画場所毎に裏側又は内部にフルカラーLEDを有し、または数字セクター自体がフルカラーLEDで構成されていて、各数字セクターが個々に独立して異なった色で発光可能な構成となっている。
また、第2の可動体役物90は、花心の周りに複数枚の花弁からなる花冠を配し、更にその外側周囲に萼を配して花被を二重にし、以て花の形とした花型部91(第1可動体91)を、スイング動作が可能なアーム92(第2可動体92)の先端に取り付け、全体として花型役物90として構成されている。なお、花型部91は、花心を中心軸として複数枚の花弁が回動可能となっている。この花型役物90は、通常は液晶画面内の縁または液晶画面外の脇に定めた原位置(図2に実線で示す)で静止しており、所定の動作条件が成立すると、アーム92が傾倒動作して、当該アーム92と共に花型部91が液晶画面を覆う位置(図2に破線で示す)まで移動する。そして、図2に破線で示す演出位置まで移動すると、花型部91がアーム先端部において回転すると共に、半透明の花心および花弁部分が後方からランプやフルカラーLEDにより照らされて美しく光色しうる。花型役物90は、その動作を終了すると、破線の演出位置から実線の原点位置に戻る。花型部91は、花弁の回動動作として、高速回転、低速回転、逆回転などの複数種類の動作パターンが可能であり、アーム92は、破線部まで傾倒する全開傾動動作の他、所定の傾動角度まで傾動する準傾動動作やアームがガタガタと振動する振動動作、寸動動作など複数種類の動作パターンが可能である。上記の時計型役物80(時計針82)や花型役物90(第1可動体91、第2可動体92)は、その動作態様により、予告演出に利用される他、後述の設定示唆演出を現出する際にも利用される。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係る遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係る遊技機1の制御装置は、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御基板(主制御手段)20(以下、「主制御部20」と称する)と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、演出手段による演出の実行制御(現出制御)を統括的に司る演出制御基板(演出制御手段)24(以下、「演出制御部24」と称する)と、遊技球払出装置19による賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源から遊技機の各基板に対して必要な電源(バックアップ電源を含む)を生成し供給する電源基板(電源制御手段(図示せず))と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータを格納するROM202(主制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込みなどの割込許可/割込禁止機能を発揮する割込みコントローラ回路、電源投入時や遮断時や電源異常などを検知し、システムリセット信号を出力してCPUをリセット可能なリセット回路、制御プログラムの動作異常を監視するウォッチドッグタイマ(WDT)回路、あらかじめ設定したアドレス範囲内でプログラムが正しく実行されているか否かを監視する指定エリア外走行禁止(IAT)回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数(ハード乱数)を生成するためのカウンタ回路なども備えている。なお、少なくとも主制御部(主制御基板)20と払出制御基板29は、不図示の電源基板から電圧降下信号(電源異常信号)を受けることによって、電源遮断に先立ち、バックアップ処理を開始して、電源遮断前の遊技動作を電源復帰後に再開できるようになっている(バックアップ機能)。この遊技機1では少なくとも数日は、RAMの各記憶内容を保持することが可能となっている。
上記カウンタ回路は、乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(大当り判定用乱数(乱数の大きさ:65536))として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。なお、内部抽選用乱数は、当り狙い打ちなどのゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。
また主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口センサ34a、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37への遊技球の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aとが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。主制御部20は、これらセンサからの検出信号に基づき、いずれの入賞口に遊技球が入賞(入球)したのかを把握する。
また主制御部20には、アウト口49および各入賞口を通じて遊技機から排出される遊技球(いわゆる、アウト球)を検出するOUT監視スイッチ49aが接続され、主制御部20は、OUT監視スイッチ49aからの検出信号を受信可能となっている。主制御部20は、OUT監視スイッチ49aからの検出信号に基づき、アウト球数を計数する計数手段を備えている。アウト球数は、遊技者が発射装置32から遊技球を発射し続ければ、始動口34、35に入賞したか否かによらず、つまり、図柄変動表示ゲームが実行されるか否かによらず、増加していく。本実施形態に係る発射装置32の発射性能は、毎分100発であるから、たとえば「本日の累計アウト球数が30000発」であれば、遊技機1が通じて300分稼働していたという稼動情報(累計アウト球数(個)/発射性能(毎分100発)。したがって、アウト球数(累計アウト球数)は、特定値で規定される遊技実績情報の一つであるといえる。なお、このアウト球数情報は、後述のベース値(遊技実績情報の一つ)の算出に利用される。
また主制御部20には、遊技機1に対する不正行為を検出するための不正検出センサ(たとえば、振動センサ、電波センサ、磁気センサ:不図示)が接続され、主制御部20は不正検出センサからの検出信号に基づき、遊技機に対する不正行為を監視可能となっている。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを駆動制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと、特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄1、2を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置38cと、右打ち表示装置39bと、ラウンド数表示装置39cとが接続され、主制御部20は、これらに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部端子基板21が接続され、主制御部20は、この枠用外部端子基板21を介して、所定の遊技情報を含む信号(外端信号)を遊技機の外部に出力可能となっている。この枠用外部端子基板21は、遊技機外部に設けられた、いわゆる「データカウンタDT」や「ホールコンピュータHC」に接続可能に構成となっており、枠用外部端子基板21から出力された外端信号は、「データカウンタDT」や「ホールコンピュータHC」に送られる。主制御部20は、上記外端信号として、たとえば、当り遊技開始情報、始動口への入賞情報(特別図柄の変動開始情報)、賞球数情報、各種セキュリティ情報(たとえば、不正行為検出情報、RAMクリア、設定変更などの発生情報)などを含む1または複数の外端信号を出力可能となっている。データカウンタDTとは、外端信号に含まれる情報に基づき、遊技機に関する特定の遊技情報(たとえば、大当り回数、ゲーム数(変動回数)、特別図柄の変動開始・停止情報、入賞情報など)を報知可能な遊技情報報知装置であり、通常、遊技機の上部に設置される。また、ホールコンピュータHCとは、枠用外部端子基板21から出力される外端信号に基づき、遊技機の遊技情報を監視・収集し、パチンコホールに設置された遊技機の稼働状況を統括的に管理する遊技店専用の管理コンピュータである。
また主制御部20には、RAM203の所定領域(領域内メモリ)を初期化するためのRAMクリアスイッチ98と、後述する設定値の変更操作が可能な設定変更許容状態に切り替えるための設定キースイッチ94と、その設定変更許容状態において、設定値を変更するための設定変更スイッチ95と、設定変更スイッチ95により選択された設定値を確定させるための設定変更完了スイッチ96とが接続され、主制御部20は、これらスイッチからの検出信号を受信可能となっている。
この実施形態の場合、RAMクリアスイッチ98、設定変更スイッチ95、および設定変更完了スイッチ96は、いずれも操作者が操作可能な押しボタン式スイッチとなっている。また、設定キースイッチ94は、設定鍵を挿入してON/OFF操作することにより、設定変更許容状態(ON)と設定変更禁止状態(OFF)とに切り替え可能なキースイッチとなっている。なお、これらスイッチ95、96、98は、設定値に対する不正変更操作などのゴト行為(不正行為)防止の観点から、遊技機内部の適所に形成されており、前枠2を開放しない限り、遊技機外部からのON/OFF操作が不可能となっている。
また主制御部20には、設定値に関する情報を表示する設定表示器97(設定表示手段)が接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。本実施形態に係る設定表示器97は、1個の7セグメント表示器から構成されており、主制御部(主制御基板)20上に装着されている。なお、設定表示器97は、主制御基板20に限らず、払出制御基板28、発射制御基板29、中継基板(各種表示装置やスイッチ類などと制御基板との接続を中継する中継用基板:図示せず)、または演出制御部(演出制御基板(液晶制御基板を含む))24など、遊技機内部の適所に設けることができる。
(設定値について)
主制御部20は、出玉率(所謂、機械割、PAYOUT率)などの遊技者に付与する利益の期待値(利益)を段階別に変更可能な「設定変更機能」が設けられている。上記「設定値」とは、この段階を示す値である。この設定値は、設定表示器97により確認可能となっており、専ら、パチンコホール(遊技店)の営業戦略に基づき、ホール店員により適宜設定される。
「設定値」は、たとえば、大当り(後述の条件装置が作動することとなる当り種別)の抽選確率(当選確率)を段階別に規定するもので、設定値が高くなるほど、大当りの抽選確率(大当り当選確率)が高く設定され、遊技者に有利に作用するようになっている。このような設定値は、少なくとも2段階(少なくとも第1設定値と第2設定値)を設けることができる。本実施形態では、設定1〜6の6段階の設定値が設けられており、たとえば、低確率時において、設定1で1/240、設定2で1/231、設定3で1/222、設定4で1/210、設定5で1/198、設定6で1/189などである。すなわち、設定値が高くなるほど、大当りに当選し易くなり(機械割が高くなる)、遊技者に有利に作用することになる。このように「設定値」とは、機械割に影響する事象を段階別に規定する値であり、大当りなどの特別な事象の発生し易さに関連する等級についての値を意味する。つまり、低確率時の大当りの抽選確率および/または低確率時の大当りの抽選確率を設定値に応じて異なるように構成することができる。なお、大当り抽選確率が高確率状態の場合(後述の特別図柄確変機能が作動する場合)、その確率が、10倍を超えない値まで上昇しうる。ただし、その上昇率は、設定値ごとに同一であってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態の場合、上昇率は各設定値で同一としてある。上記の例で言えば、低確率時の大当り抽選確率が設定1〜6=1/240〜1/189、上昇率が3倍とした場合、高確率時の大当り抽選確率は、設定1〜6=1/80〜1/63となる。
また、大当りを複数種類設けている場合には、設定値に応じて、1または複数種類の大当りの当選確率を変化させることができる。たとえば、大当り1〜4という4種類の大当りがある場合、設定値が相対的に高くなるほど、大当り1〜4のすべての当選確率を高くなるように構成してもよいし、一部の大当りである大当り1〜3の当選確率だけを高くなるように構成してもよいし(この場合、大当り4については全設定値で共通の当選確率となる)、特定の大当りのみ(たとえば、大当り1のみ)の当選確率だけを高くなるように構成してもよい(この場合、大当り2〜4については全設定値で共通の当選確率となる)。また、設定値が相対的に高くなるほど、大当り1〜4の合算当選確率を高くなるように構成してもよい。また、条件装置の作動契機とならない小当り種別の当選確率を、前述の大当りのケースと同様に、設定値に応じて変化させてもよい。
(設定値の変更操作について)
本実施形態では、電源投入時に、少なくとも設定キースイッチ94とRAMクリアスイッチ98とがON状態の場合に設定変更許容状態に制御され、それ以外のスイッチ操作にて、電源を投入した場合には、設定変更禁止状態に制御されるようになっている。この設定変更許容状態中において、設定変更スイッチ95をON操作すると、設定表示器97の現在の表示値が「1→2→3→4→5→6→1→2→3→・・・」のように1〜6の範囲で循環するように切り替え表示される。そして希望する設定値が表示された際に、設定変更完了スイッチ96をON操作すると(設定確定操作)、現在の表示値が今回の設定値として確定され、その設定値データがRAM203の所定領域(設定値格納領域)に記憶されるとともに、RAM203の所定領域(領域内メモリ)がクリアされる。そして、設定キースイッチ94が現在のON状態からOFF状態に操作すると、設定変更許容状態が終了され、以後、確定された設定値の下で遊技が開始されることになる。本実施形態の主制御部20は、所定の操作手段の操作に基づいて、遊技者に対する有利度が異なる複数種類の設定値のうちから、いずれかの設定値を選択する設定値選択手段と、設定値選択手段により選択された設定値を設定する設定値設定手段とを備えている。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報や、エラー情報などの各種遊技処理情報を、演出制御コマンドにより、演出制御部24に対して送信可能となっている。ただし、外部からのゴト行為を防止するために、主制御部20は演出制御部24に対して信号を送信するのみで、演出制御部24からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。
(性能表示器99について)
また主制御部20には、所定期間(特定遊技期間)の遊技結果に係る情報(以下、「性能情報」と称する)を報知する性能表示器99(情報表示手段)が接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。本実施形態の性能表示器99は、複数個の7セグメントLEDからなり、具体的には、表示部と回路部がユニット化された7セグメントLED(7セグ表示器99a〜99d)を4個横に並べ、これをたとえば、主制御基板20上に搭載して、4桁の数字を表示可能な表示器を構成する。また各7セグメントLEDには、7セグメント数字の下にデシマルポイントDP(ドット)を有している。上記「性能情報」は、主に、パチンコホール店や関係各庁が確認・調査等のために利用する情報であり、たとえば、遊技くぎの不正調整やゴト行為などにより出玉性能に異常が生じていないか、遊技機本来の出玉性能(設計上の出玉性能)が正当に発揮されているかなどを調査するための情報、換言すれば「遊技実績に関する情報」である。したがって、性能情報自体については、後述の予告演出や設定示唆演出などとは異なり、遊技者が遊技に興じる際の遊技進行それ自体には直接的に関係の無い情報である。このため性能表示器99は、遊技者に視認可能な箇所に設置するのではなく、遊技機内部の視認し易い箇所、たとえば、制御基板上またはこれを保護する基板ケース上などに搭載される。また、性能表示器99の4つのセグ99a〜99dのうち、少なくとも1つのセグを設定表示器97として兼用してもよい。
本実施形態では、通常状態(大当り抽選確率が低確率(通常確率)、かつ後述の電サポ無し状態)中の総払出個数(通常時払出個数)と、通常状態中の累計アウト球数(通常時アウト個数)とをリアルタイムで計測し、通常時払出個数を通常時アウト個数で除した値に百を乗じた値(通常時払出個数÷通常時アウト個数×100で算出されるベース値)を、上記「性能情報」として採用し、これを性能表示器99により所定態様にて表示する。なお、ベース値は、小数点第1位を四捨五入した値が性能表示器99に表示されるようになっている。ただし、単に永続的に計測してベース値(性能情報)を表示するのではなく、計測中のアウト球数が所定の規定個数(たとえば、60000個)に達した場合、一旦、計測を終了し、その計測終了時点のベース値を、履歴情報として、RAM203に格納し(今回のベース値を記憶する)、再度、新たなベース値の計測を開始する。なお、計測終了契機となる上述の「規定個数(60000個)」とは、本実施形態の場合、通常時アウト個数ではなく、全遊技状態中(当り遊技中を含む)で計測される累計アウト球数(全状態アウト個数)を採用しており、この「全状態アウト個数」もリアルタイムに計測される。なお、性能表示器99に表示制御およびベース値に関する処理プログラムとそのワーク領域は、CPU201が通常の遊技進行の際にアクセスする領域(領域内メモリ)とは異なる領域(領域外メモリ)に定められている。また、性能情報は、上述した通常状態のベース値に限らず、有用な遊技実績情報であれば、特に制限はない。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。
払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への払い出し動作状態に関する情報(状態信号)の送信などである。主制御部20は、球の払い出しの必要がある場合に、払出制御基板29に対して払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する「払出制御コマンド」)を送信可能となっており、他方、払出制御基板29は、主制御部20に対して上記状態信号を送信可能となっている。
払出制御基板29には、上受け皿9に貯留される遊技球の貯留状態(上受け皿9が満杯状態であるか否か)を検出する満杯検出センサ60と、前枠2および/または前面操作パネル7の開閉状態を検出する扉開放センサ61(開放時ON/閉鎖時OFF)とが接続されており、払出制御基板29はこれらセンサからの検出信号を受信可能となっている。
また払出制御基板29は、遊技球払出装置19に設けられた、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ19aや払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ19bなどからの検出信号を受信可能となっている。また払出制御基板29は、遊技球払出装置19の払出モータ19c(遊技球を払い出すための球払出機構部(図示せず)を駆動するモータ)を制御するための制御信号を送信可能となっている。
払出制御基板29は、上記状態信号として、満杯検出センサ60、扉開放センサ61、補給切れ検出センサ19a、球計数センサ19bなどの各種センサからの検出信号に基づいて、満杯状態を示す「球詰り信号」、前枠2・前面操作パネル7が開放されていることを示す「扉開放信号」、遊技球の供給不足を示す「補給切れ信号」、賞球の払出異常(払出不足、払出過剰)を示す「計数エラー信号」、払い出し動作が完了したことを示す「払出完了信号」などの様々な状態信号を、主制御部20に対して送信可能な構成となっている。主制御部20は、これら状態信号に基づいて、前枠2・前面操作パネル7が開放状態であるか否か(扉開放エラー)や、遊技球払出装置19の払出動作が正常か否か(賞球エラー)や、上受け皿9の満杯状態であるか否か(球詰りエラー)などを監視する。
また払出制御基板29には発射制御基板(発射制御部)28が接続され、発射制御基板28に対し発射制御信号(発射許可信号ES)を送信可能になっている。発射制御基板28は、上記発射制御信号に基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球発射動作を実現している。また、遊技球の打ち出しの強さは、発射操作ハンドル15の操作量に応じて変化可能となっている。
(2−2.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、演出制御処理に要する演出データを格納したROM242(演出制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音響制御部(音源LSI)、RTC機能部(Real Time Clock)、一定範囲のハード乱数を生成するためのカウンタ回路(16ビット用カウンタ、8ビット用カウンタ)、割込みコントローラ回路、リセット回路、WDT回路などが設けられ、演出動作全般を制御する。また、RTC機能部は、時を刻む時計ICであり、現在の時刻(「現在が何時何分何秒である」)という実時間上の時間情報および/または日付(月、日、曜日)に関する暦情報を提供する時計手段として働く。また、主制御部20と同じく、バックアップ機能やソフト乱数生成手段も備えている。
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、各種の演出用LED(装飾ランプ45、ボタンLED13b、その他の演出用LED)の発光制御、各種の可動体役物(時計型役物80、花型役物90、回転灯62、可動体73)の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDPと、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は上記画像表示演出の他、光演出、音演出、または可動体演出などを現出させるために、装飾ランプ45、ボタンLED13b、62aなどの各種の演出用LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、可動体役物(時計型役物80、花型部91、アーム92)を動作させる可動体役物モータ80c、91c、92cに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。
また演出制御部24には、可動体役物の動作を監視する位置検出センサ82aが接続され、演出制御部24は、位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の現在の動作位置(たとえば、原点位置からの移動量)を監視しながらその動作態様を制御する。また演出制御部24は、位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の動作の不具合を監視し、不具合が生じれば所定のエラー報知処理を行う。
また演出制御部24には、演出ボタン13の操作を検出する演出ボタンスイッチ13aと、方向キー75(75a〜75d)の操作を検出する方向キースイッチ75a’〜75d’とが接続され、演出制御部24は、これら演出ボタン13や方向キー75からの操作検出信号を受信可能となっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドを受信した場合、そのコマンドに含まれる情報に基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種の演出手段を制御して、目的の演出を現出させる。これにより、液晶表示装置36による演出画像の表示(画像表示演出)、スピーカ46からの音の再生(音演出)、装飾ランプ45やその他の演出用LEDの点灯点滅駆動(光演出)が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄の変動表示動作や予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。また演出制御部24は、所定の操作受付有効期間中において、演出ボタンスイッチ13aや方向キースイッチ75a’〜75d’からの操作検出信号に基づき、演出ボタン13および/または方向キー75に対してどのような操作が行われたか(たとえば、押圧、長押し、連打、方向キー75の上下左右方向の押し順など)を識別可能な構成となっており(操作識別手段)、その操作態様に応じた演出を現出制御可能な構成となっている。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いた遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3−1.図柄変動表示ゲーム)
(3−1−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態の遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、大当り抽選結果が「小当り」の場合には所定の「小当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出されるようになっている。
なお、本明細書中では説明の便宜のために、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する場合がある。また、特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称する(場合により「特図」と略す)し、「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを区別せずに「特別図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、また液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果(大当り抽選の結果)が「大当り」である場合、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(当り図柄:たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示態様)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが所定のパターンで開閉動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉52bによる大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口50への入賞球数が最大入賞数(役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、10個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される(ラウンド遊技終了条件(閉鎖条件)の成立)、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定のラウンド数(たとえば、最大10ラウンド)繰り返される。
上記大当り遊技が開始すると、開始インターバル時間(開始INT)を利用してオープニング演出が行われ、開始INTが終了すると、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数(最大ラウンド数)を上限として複数回行われる。なお、今回のラウンド遊技が終了すると、所定のインターバル時間(ラウンド間INT)を介して、次回のラウンド遊技が開始されるようになっている。そして、最大ラウンド数が終了すると、終了インターバル時間(終了INT)を利用してエンディング演出が行われて、一連の大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング期間(開始INT期間)、最大ラウンド数を上限としたラウンド遊技期間、およびエンディング期間(終了INT期間)の各遊技期間を含んで構成される。なお、ラウンド遊技中には「ラウンド中演出」が、ラウンド遊技間(ラウンド間INT中)には「ラウンド間INT演出」が現出される。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」、「小当り」、または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「小当り」であったならばその小当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別抽選)’とを含む大当り抽選を行い(大当り、小当りまたはハズレが1種類の場合は、図柄抽選を行う必要がないため、その抽選を省略することができる)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果や、特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を、演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄に関する情報(図柄抽選結果情報)を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信するようになっている。
上記特別図柄の変動パターン情報には、大当り抽選結果の他、特定の予告演出(たとえば、後述のリーチ演出種別や、疑似連演出(疑似連回数を含む))の発生(実行)を指定する情報と、を含むことができる。詳しくは、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別され、これら変動パターンには、たとえば、リーチ演出(リーチの種類の指定を含む)の実行を指定する“リーチ変動パターン”、リーチ演出の実行を指定しない“通常変動パターン’、疑似連演出とリーチ演出との実行を指定する‘疑似連有りリーチ変動パターン”、疑似連演出の実行を指定しリーチ演出の実行は指定しない“疑似連有り通常変動パターン”などの、複数種類の変動パターンが含まれる。また、リーチ変動パターンや疑似連有り変動パターンについては、その予告演出の演出時間を確保する関係上、基本的には、通常変動パターンの変動時間よりも長時間の変動時間が定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)などを決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い、装飾図柄変動表示ゲーム中の予告演出や装飾図柄の変動表示演出を現出制御する。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45などの演出用LEDの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えてもよい。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。また、図柄変動表示ゲーム(特に、特別図柄変動表示ゲーム)の実行回数(ゲーム数)を、説明の便宜のために「図柄変動回数」または「変動回数」あるいは「**回転(たとえば、1回転、10回転、1000回転など)」と称する場合がある。
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム)
また遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、所定の変動時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動(開動作)して、下始動口35の開放時間(始動口開状態時間)が最大開放時間(たとえば、最大6秒)経過した場合か、または下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、最大10個)に達するまで、入賞領域が開放または拡大する開放状態に制御され、これらいずれかの条件を満した場合に可動翼片47の開放動作が終了して下始動口35が閉鎖される。なお、最大開放時間以内であれば、下始動口35を1または複数回開放することができる。
(3−1−3.作動保留球)
本実施形態では、図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中に、各始動口34、35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中のデータまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する各作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されない。また各図柄の最大保留記憶数の全部または一部が異なっていてもよく、その数は遊技性に応じて適宜定めることができる。なお以下では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄の各作動保留球をそれぞれ、特図1作動保留球、特図2作動保留球、普図作動保留球とも称する。
(3−2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係る遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態の遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動機能(確変機能)」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当り抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率から高確率に変動させて、通常状態よりも有利な「高確率状態(大当り高確率状態)」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。なお、既に説明したように、本実施形態の場合、設定値に応じて低確率時および高確率時の大当り抽選確率が異なる(図4参照)。
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率から高確率に変動させて(たとえば、1/256から255/256に変動させる)、通常状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。
また本実施形態の遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮機能(時短機能)」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから停止表示される迄の平均時間)を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。この特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常状態よりも単位時間あたりの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから停止表示される迄の平均時間)を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、20秒から0.6秒に短縮される)、通常状態よりも単位時間あたりの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。
また本実施形態の遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。この開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間)を通常状態よりも延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。開放延長状態下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.2秒から1.6秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常状態よりも単位時間あたりの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。したがって、開放延長機能が作動すると、下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常状態より高まり、開放延長機能が作動しない(非作動)状態と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この点で、上記開放延長状態は「電チューサポート状態(電サポ状態)」とも称される。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態(内部遊技状態)に変化をもたらすことができる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、少なくとも特別図柄確変機能が作動し、開放延長機能が作動しない遊技状態(本実施形態では、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態)を「潜確状態」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常状態」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常状態」である場合には大当り抽選確率が‘低確率状態(通常確率)’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。また条件装置作動に係る大当り中は大入賞口が開閉される当り遊技が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常状態と同じ遊技状態下に置かれる。
(高ベース遊技状態)
本実施形態では、上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の3つの機能が同じ契機にて動作する。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくとも1の機能が作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が上昇する(入賞し易くなる)ことから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度または出玉率(ベース)が通常状態よりも高まる「高ベース遊技状態(始動口入球有利状態)」となる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、普通図柄に関する機能(普通図柄確変機能、普通図柄時短機能および開放延長機能の少なくとも1つの機能)が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか一方が作動する場合の遊技状態とは異なる。
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄確変機能と特別図柄時短機能)を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には大当り抽選確率が通常状態より高まる「高確率状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常状態よりも短時間となる「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度等が通常状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、少なくとも開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。この電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート状態無し’(以下、「電サポ無し状態」と称する)となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート状態有り’(以下、「電サポ有り状態」または「電サポ状態」と称する)となる。
(3−2−1.内部遊技状態(遊技状態番号YJ):図28)
遊技状態を定める上記各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況については、主制御部20側において、これらの機能に対応したフラグのON/OFF状態により、その作動(5AH)/未作動(00H)が管理される。この各機能の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」とも称する。現在の内部遊技状態が如何なる内部遊技状態であるかについては、「遊技状態番号YJ」という識別子を用いて管理される。たとえば、遊技状態番号YJが、「00H」の場合は‘通常状態’を指定し、「01H」の場合は‘確変状態’を指定し、「02H」の場合は‘時短状態’を指定し、「03H」の場合は‘潜確状態’を指定する。
(3−2−2.変動パターン振分指定番号Tcode:図28)
ここで本実施形態では、上述の内部遊技状態に関連した多様な演出を実現するために、一の内部遊技状態をさらに分類して管理している。詳細は追って説明するが、たとえば、通常状態には「一般」「前兆」といった複数種類の通常状態が含まれ、また、確変状態には「ST序盤」「ST中盤」「ST終盤」といった複数種類の確変状態が含まれ。これらは、“変動パターン振分指定番号Tcode”という識別子を用いて、それぞれ異なる遊技状態として管理されている。この変動パターン振分指定番号Tcodeの実体は、現在の遊技状態に対応する「変動パターン振分テーブル」(後述の図24〜図27参照)を選択する際に利用される識別子(変動パターン選択モードを特定するデータ)である。
上記「変動パターン振分テーブル」は、図柄変動表示ゲームに係る特別図柄の変動パターンを決定する際に利用されるものであり、1または複数種類の変動パターン(特別図柄の変動パターン)が、少なくとも現在の遊技状態(変動パターン振分指定番号Tcode)と大当り抽選結果とに関連付けて定められている。たとえば、変動パターン振分指定番号Tcodeが「00H」である場合は、一般モード用の変動パターン振分テーブルが指定され、「01H」である場合は、前兆モード用の変動パターン振分テーブルが指定される。すなわち、内部遊技状態は同一の「通常状態」であっても、変動パターン振分指定番号Tcodeが「00H」である場合は、一般モード用の変動パターン振分テーブルに係る変動パターンが選択され、変動パターン振分指定番号Tcodeが「01H」である場合は、前兆モード用変動パターン振分テーブルに係る変動パターンが選択されることになる(後述の図12のS413、図24〜図27等参照)。
またこれに起因して、変動パターン振分指定番号Tcodeに関連する複数種類の「演出モード」が設けられており、演出制御部24側において、各演出モード下における演出を現出(実行)させることができるようになっている。なお、演出モードについての詳細は後述する。
したがって、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況、すなわち「内部遊技状態」に着目した場合に、同じ「通常状態」でありながらも、特別図柄の変動パターンに関しては、「一般」または「前兆」という異なる変動パターン振分指定番号Tcodeに対応した変動パターンの選択が可能となり、変動パターン振分指定番号Tcodeに関連する演出を現出させることができるようになっている。
本実施形態の場合、図28に示す通り、上記「内部遊技状態」の種類には、通常状態、時短状態、確変状態が含まれる(図28の「YJ」の欄参照)。一方、特別図柄の変動パターンの決定に関する遊技状態、換言すれば、演出の決定に着目した場合の「変動パターン振分指定番号Tcode」に関連する遊技状態の種類には、内部遊技状態の種類よりも多い、「一般」「前兆」「天井」「天国」「時短」「ST序盤」「ST中盤」「ST終盤」が含まれる(図28の「Tcode」の欄参照)。
このように、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能に着目した場合の「内部遊技状態」と、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に着目した「変動パターン振分指定番号Tcode」とを異なるものとして管理することにより、内部遊技状態が同じであっても(たとえば、通常状態)、異なる変動パターン振分指定番号Tcode(たとえば、一般と前兆)に対応した変動パターンを選択することができるようになっている。その結果、同じ内部遊技状態下であっても、図柄変動表示ゲームの消化時間(特別図柄の変動時間)や、これに関連する演出に大きな変化をもたらすことが可能となり、同一の内部遊技状態下における演出の自由度が向上し、演出のバリエーションを豊富なものすることができる。
本明細書中では特に必要のない限り、少なくとも変動パターン振分指定番号Tcodeに関連する遊技状態を「遊技モード」と称する(図28の「遊技モード種別」の欄参照)。この遊技モードは、図28に示す通り、「変動パターン振分指定番号Tcodeと遊技状態番号YJ(内部遊技状態)」とに対応する遊技状態、換言すれば、“遊技機全体として捉えた遊技状態”としても扱うことができる。なお、説明の便宜上、内部遊技状態と遊技モードとを区別せずに、単に「遊技状態」と称する場合がある。また、変動パターン振分指定番号Tcodeを「変動パターン選択モード(Tcode)」と称し、適宜「Tcode」と略す。
<4.当りについて>
次に図4を参照して、本実施形態に係る「当り」について説明する。図4は、当り種別、当り遊技動作態様、当り遊技後の移行先遊技状態(移行先遊技モード)の説明に供する説明図である。
(4−1.当り種別について)
本実施形態の遊技機1では、大当り抽選対象の当り種別として、図示のように、確変大当り1〜6、時短大当り1〜2などの複数種類の当り種別が設けられている。これらの当りは、条件装置の作動契機となる「大当り種別」に属する当りであり、条件装置の作動契機とならない所謂「小当り種別」に属する当り(小当り)とは異なる。ここで「条件装置」とは、その作動が、ラウンド遊技を行うための役物連続作動装置(特別電動役物を連続して作動させる装置)作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合(役物連続作動装置が作動中に大入賞口に入賞したものを除く)に作動するものをいう。また、役物連続作動装置の作動は、電サポ有り状態(開放延長機能作動)や確率変動を生起させる(一の内部遊技状態から他の内部遊技状態に移行させる)ための条件となっている。
したがって、小当りに当選した場合には、条件装置が作動せず、役物連続作動装置も作動しないため、内部遊技状態の移行は無い(小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない)。また、その小当りによる当り遊技(小当り遊技)は、役物連続作動装置が作動しないため、大当りのようなラウンド遊技は実行されないが、大入賞口の開閉パターンの定め方によって、見た目上、ラウンド遊技が実行されているように振る舞う「疑似的なラウンド遊技」を実現可能である。小当り遊技の動作態様は、ラウンド遊技が実行されない点を除き、基本的には、大当り遊技と同じであり、所定の開始INTの経過後、大入賞口を開放する「開閉動作遊技」が実行され、開閉動作遊技が終了すると、所定の終了INTを経て一連の小当り遊技が終了するようになっている。斯様な小当りは、大当りと同様に大入賞口の開閉動作を伴う当り遊技(特別遊技状態)の移行契機(実行契機)となる当選種別であるという点で、単なる「ハズレ」とは性質を異にする。
また、小当り当選した場合には内部遊技状態の移行は行われないが、変動パターン選択モード(Tcode)の移行は行うように構成することができる。このような移行形態を利用すれば、たとえば、小当り遊技後の遊技状態と他の大当り遊技後の遊技状態とを同じ変動パターン選択モード(Tcode)に移行させた場合、双方で同じ演出をなす演出モードに滞在させることができる。また、小当り当選に起因して、第1変動パターン選択モードから第2変動パターン選択モードに移行させたり、第2変動パターン選択モードから第1変動パターン選択モードに再移行させたりすることも可能である。なお、本実施形態では「小当り」を設けていないが、遊技性などを考慮して、特図1側および/または特図2側の抽選対象に1または複数種類の小当りを設けることができる。
本実施形態の場合、図4に示す通り、確変大当り1〜3および時短大当り1〜2は、特別図柄1側の大当り抽選対象、確変大当り4〜6は、特別図柄2側の大当り抽選対象となっている。また、図柄抽選確率は、図示の通りである。
(4−2.当り遊技について)
次に、上記した各当りによる当り遊技の内容について説明する。
図4の「当りの内容」の欄の確変大当り1〜7および時短大当り1〜2における「5R」、「7R」、「10R」の表記は、それぞれ、大当りに係る最大ラウンド数を示す。本実施形態の各大当りは、1回のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間が、大入賞口への入賞数が最大入賞数(10個)に達する可能性が十分に見込める「長開放時間(たとえば、29.8秒)」に設定される大当りとなっている。なお、ラウンド遊技に係る大入賞口の開放パターンを、どのような開放パターンに定めるかは自由である。たとえば、少なくとも一部のラウンド遊技(特定のラウンド数目のラウンド遊技)に係る大入賞口の開放パターンを、上記長開放時間よりも短時間の「短開放時間(たとえば、1.8秒)」または、さらに短時間の「極短開放時間(たとえば0.2秒)」となるように設定してもよい。また、最大開放時間中は、大入賞口を開放し続けてもよいし、1または複数回の閉鎖を伴う開放パターン(たとえば、「1.3秒開放+0.5秒閉鎖+27秒開放」など)としてもよい。大当り遊技中の利益状態(利益度合)については、最大ラウンド数が相対的に多いほど高くなり、また大入賞口の最大開放時間が短開放よりも長開放の方が高くなる。本実施形態の場合、各大当りに係る最大開放時間は同じであるため、最大ラウンド数が多い大当りほど、大当り遊技中の利益状態が相対的に高くなる。
(4−3.当り遊技後の移行先遊技状態について:図4)
次に、上記各大当り遊技終了後に移行される遊技状態(遊技モード)について説明する。図4に示す「当選時の遊技状態/移行先遊技状態」の欄には、当り種別に応じて、当選時の遊技状態とその当り遊技後に移行される遊技状態(移行先遊技状態)との関係を示してある。本実施形態では、少なくとも大当り種別と内部遊技状態とに基づき、大当り遊技後の遊技状態が決定されるようになっている。具体的には、大当りに当選した場合は、その当選時の遊技状態(内部遊技状態または遊技モード)と、当選した大当り種別とに基づき、大当り遊技後の遊技状態が決定されるようになっている(後述の図21の遊技状態移行テーブル選択テーブル、図22の遊技状態移行テーブルを参照)。なお、図4の「当選時の遊技状態」は、遊技モード(括弧内は、対応する内部遊技状態)を示し、「移行先遊技状態」は、移行先の遊技モード(括弧内は、対応する内部遊技状態)を示す。
本発明の理解を容易なものとするために、先ず、大当り遊技後に移行される内部遊技状態について説明する。遊技モードの移行形態についての詳細は、図6および図7を用いて後述する。
(4−3A.時短系大当り(時短大当り1〜2)に当選した場合)
まず、時短大当り1(5R時短A)、時短大当り2(5R時短B)に当選した場合について説明する。これら時短大当り1、2に当選した場合、その当り当選時の遊技状態にかかわらず、少なくとも内部遊技状態が「時短状態(YJ=02H)」に移行される。時短大当り1〜2は、時短状態への移行契機となる大当りである点で「時短大当り」と称している。
上記「時短状態」に移行された場合、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(図柄変動回数)が、所定の規定回数を終了するまで継続され、その規定回数内で大当り(ただし、内部遊技状態の移行契機とならない小当りを除く)に当選することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには、次回ゲームから「通常状態(YJ=00H)」に移行にされるようになっている。本実施形態の場合、上記規定回数のカウント対象は、特別図柄変動表示ゲーム1および2の合計実行回数(特図1および特図2の合計変動回数)となっている(後述のST回数のカウント、天井ゲーム数のカウントについても同様)。
時短大当り1に当選した場合には、上記規定回数として、時短回数100回(時短A)が設定され、時短大当り2に当選した場合には、時短回数50回(時短B)が設定される。すなわち本実施形態の時短大当り1、2は、有限の時短回数を付与する有限時短大当りとなっている。なお、次回の大当り当選まで時短状態を継続させる(時短回数が無限)の大当り(無限時短大当り)を設けてもよい。また、時短大当り1、2で同じ時短回数としてもよいし、時短大当りは1種類だけであってもよい。
(4−3B.確変系大当り(確変大当り1〜7)に当選した場合)
次に、確変大当り1〜7に当選した場合について説明する。
確変大当り1〜7のいずれかに当選した場合、その当り当選時の遊技状態にかかわらず、少なくとも内部遊技状態が「確変状態(YJ=01H)」に移行される。確変大当り1〜7は、確変状態への移行契機となる大当りである点で「確変大当り」と称している。
上記「確変状態」に移行された場合には、上述の時短状態に移行された場合と同じく、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(図柄変動回数)が所定の規定回数を終了するまで継続され、その規定回数内で大当りに当選することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには、当該確変状態が終了するといった所謂「回数切り確変タイプ(STタイプ(有限確変タイプ))」となっている。正確には、大当り抽選確率が少なくとも高確率状態を伴う遊技状態(確変状態や潜確状態)に移行された後、大当りに当選することなく上記規定回数が終了した場合、当該高確率状態を終了させて大当り抽選確率を低確率状態に移行させる。この高確率状態が継続される上限回数を「ST回数」と称する。したがって、確変状態に移行された後、ST回数が終了した場合に確変状態が終了して通常状態(YJ=00H)に移行されるケース(後述の確変A)と、ST回数が終了した場合に高確率状態だけが終了するケース、詳しくは「特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能」のうちから「特別図柄確変機能」だけが終了して「時短状態(YJ=02H)」に移行されるケース(後述の確変B、確変C)とが含まれる。
本実施形態の確変状態には、ST回数が異なる複数種類の確変状態(確変A、確変B、および確変C)が設けられており、当選した大当り種別に応じて、確変A、確変B、確変Cのいずれかにに移行されるようになっている。なお、詳細は後述するが、遊技モードに着目した場合には、確変Aに移行される場合はST100モード、確変Bに移行される場合はST75モード、確変Cに移行される場合はST25モードといった確変A〜Cに対応した遊技モードに移行されるようになっている(図6参照)。
(確変A、確変B、確変C)
上記「確変A」、「確変B」、「確変C」について説明する。
(イ)確変A(ST100モード)
確変Aは、ST回数が100回に設定される確変状態である。本実施形態では、確変大1、確変大当り4、または確変大当り7に当選した場合、この確変Aに移行される。確変Aに移行された場合、大当りに当選することなくST回数100回を終了すると「確変状態」が終了し、次回ゲームから内部遊技状態が「通常状態」に移行される。
(ロ)確変B(ST75モード)
確変Bは、ST回数が75回(確変BのST回数<確変AのST回数)に設定される確変状態である。本実施形態では、確変大当り2または確変大当り5に当選した場合、この確変Bに移行される。確変Bに移行された場合、大当りに当選することなくST回数75回を終了すると「確変状態」が終了し、次回ゲームから、時短回数25回の「時短状態」に移行される。詳しくは、大当り遊技後に確変状態に移行させた後、所定のST回数が終了した場合に、高確率状態だけを終了させて(特別図柄確変機能をOFF)、遊技状態を「低確率状態+電サポ有り状態」、すなわち「時短状態」に移行させる(ここでは、確変B=「ST回数75回+時短回数25回」となる)。そして、大当りに当選することなく時短回数25回が終了すると「時短状態」が終了し、次回ゲームから「通常状態」に移行される。したがって、電サポ自体は、上述の確変Aと同じく、100回分が付与されるようになっているが、確変Bは、所定のST回数終了後に時短状態に移行される点で、上述の確変Aと大きく異なる。
(ハ)確変C(ST25モード)
確変Cは、ST回数が25回(確変CのST回数<確変BのST回数)に設定される確変状態である。本実施形態では、確変大当り3または確変大当り6に当選した場合、この確変Cに移行される。確変Cに移行された場合、大当りに当選することなくST回数25回を終了すると「確変状態」が終了し、次回ゲームから、時短回数75回の「時短状態」に移行される(ここでは、確変C=「ST回数25回+時短回数75回」となる)。そして、大当りに当選することなく時短回数75回が終了すると「時短状態」が終了し、次回ゲームから「通常状態」に移行される。確変Cも確変A、Bと同じく、電サポ100回が付与される。
なお、確変大当り2、3、5、6は、「所定のST回数の確変状態+所定の時短回数の時短状態」を付与する大当り(確変時短大当り)である点で“純粋な確変大当り(確変だけを付与する大当り)”ではないが、本明細書中では、先ず確変状態に移行させる点で「確変大当り」に属するものとして扱う。したがって正確には、確変大当りには、時短状態を付与しない「確変大当り」と、時短状態を付与する「確変時短大当り」とがある。
上記確変A、確変B、および確変Cは、それぞれ電サポ回数(電サポ有り状態の回数)が同一(100回)であるが、確変A、確変B、および確変Cの少なくとも1つは、異なる電サポ回数であってもよい。たとえば、確変Aは電サポ200回、確変Bは電サポ150回、確変Cは電サポ100回としたり、確変Aは電サポ200回、確変Bは電サポ150回、確変Cは電サポ150回とすることができる。また、確変Bと確変Cは、確変状態から時短状態に移行されるものとして説明したが、確変状態だけで時短状態に移行されない、つまり、所定のST回数を伴う確変状態としてもよい。換言すれば、確変大当り2、3、5、6を上記「確変時短大当り」ではなく、確変大当り1、7と同じ「確変大当り」として定めてもよい。また、本実施形態の確変大当りの少なくとも一部を、潜確大当り(潜確状態移行契機大当り)としてもよい。たとえば、特図1側の確変大当り1〜3を潜確大当りとすることができる。
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態の遊技機1には、遊技状態(内部遊技状態および/または変動パターン選択モード)に関連する複数種類の演出モードが設けられており、これら演出モードでは、現在の遊技状態に関連する演出が現出可能となっている。各演出モードは、基本的に、当該遊技状態の移行(更新)に応じて、各演出モード間を移行制御可能に構成され、たとえば、「通常状態」に関連する「通常演出モード」、時短状態に関連する「時短演出モード」、確変状態に関連する「確変演出モード(ST演出モード)」、時短状態に関連する「時短演出モード」など、各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。また各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示(背景演出)やBGMが遊技状態に関連する背景表示にそれぞれ切り替え制御される。なお、各演出モードについての詳細は、図6〜図7を用いて後述する。
演出制御部24(CPU241)は、上記複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24は、主制御部20(CPU201)から送られてくる演出制御コマンドのうち、遊技状態に関する情報を含む演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態を指定したり、遊技状態が移行されることを指定したりする特定の演出制御コマンドに含まれる情報に基づき、演出モードを管理可能に構成されている。これにより、演出制御部24は、主制御部20側の遊技状態と整合性を保つ形で演出モードを管理し、処理状態に応じて、一の演出モードから他の演出モードへの移行を制御する。上述の特定の演出制御コマンドには、たとえば、変動パターン指定コマンド、遊技状態指定コマンド、当り中に送信される特定コマンド(大当り開始コマンドや、大当り終了コマンド)などがある。
(5−2.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(本実施形態では、変動パターン指定コマンドおよび/または装飾図柄指定コマンドに含まれる情報)に基づき、大当り抽選結果に関連した様々な「予告演出」を現出制御可能に構成されている(予告演出現出制御手段)。予告演出の主な役割は、当り種別に当選したか否かの期待度(周知の「当選期待度」)を示唆(予告)や、特定の予告演出の発生期待度(特定予告発生期待度)を示唆などである。予告演出の多くは、遊技者の当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものには、「リーチ演出」、「疑似連演出」、「遊技者参加型演出」、「先読み予告」などがあり、これらの演出に付随して複合的(同時的、重複的)に、または単独的に発生する種々の予告演出(所謂、ステップアップ演出、カットイン演出など)がある。
(5−2−1.リーチ演出)
「リーチ演出」とは、リーチ状態(所謂、テンパイ状態)を伴う演出態様をいい、具体的には、リーチ状態を経由してゲーム結果を導出表示しうる演出態様をいう。リーチ演出には、特定のリーチ演出が出現した場合、通常のリーチ演出(Nリーチ(ノーマルリーチ)が出現した場合に比べて、当選期待度が相対的に高まるものがある。このようなリーチ演出を「SPリーチ(スーパーリーチ)」と称する。SPリーチは、遊技者の当選期待感を煽るべく、Nリーチよりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持ち、通常は、Nリーチを経由して実行される。上記NリーチやSPリーチは、当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチが含まれる。
ゲーム結果が当りとなる場合は、その殆どが、このリーチ演出を経由して、当り図柄(たとえば、図柄揃い)が導出表示されるようになっている。すなわち、当り図柄が導出表示される過程において、何かしらのリーチ演出が現出されうる。このため、遊技者にとっては、リーチ演出の発生の有無が、当選可能性を知る手がかりとなる。そこで、リーチ演出の発生可能性を予告(示唆)する演出態様、換言すれば、当選期待度をさらに明確に予告しうる演出態様として、複数種類の「予告演出」が設けられている。この「予告演出」は、当選期待度を予告する煽り演出としての役割を担うものであるが、特定の演出(たとえば、リーチ演出や疑似連)が発生する可能性をしたり、特定の演出の発生を確定的に報知したりする役割も担う。したがって、たとえば、リーチ演出シナリオでは、リーチ演出が発生する前段階で或る予告演出が発生し、リーチ演出の発生可能性を予告するとともに、当選期待度を予告する場合がある。つまり、単にリーチ演出が単独で発生する場合よりも、他の予告演出が伴えば、当選期待度がより明確化され、遊技者の当選期待感を煽ることができるようになっている。また、予告演出は、大当り抽選結果に関連して、1または複数種類の期待予告演出が複合(同時的、重複的)して発生する場合があり、複数種類の期待予告演出が複合することで、より明確な当選期待度が示される。たとえば、当選期待度が低い低期待度予告演出であっても当選期待度が高い高期待度予告演出が複合すれば、当選期待度がより一層高まり、複数の高期待度予告演出が複合すれば、当選期待度は飛躍的に高まる。
(5−2−2.疑似連演出(疑似連))
「疑似連」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(いわゆる「疑似変動」)を伴う演出態様をいう。この「疑似変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返す変動表示態様をいう。この点、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行されうる後述の「先読み予告演出」とは異なる。「疑似連」は、基本的には、疑似変動回数が多くなるほど当選期待度が高まるように、その発生率が定められている。たとえば、疑似変動回数1回よりも2回の方が、当選期待度の高い予告演出(たとえば、SPリーチ)の発生期待度が高まることになる。したがって「疑似連」は、リーチ演出を含む演出シナリオの場合には、主として、リーチ状態が形成される前段階(リーチ演出の前段階)に発生され、1または複数回の疑似変動を行った後、本変動であるリーチ演出が実行され、最終的なゲーム結果が導出表示されることになる。本明細書中で、疑似Nと称する場合、疑似変動M回と本変動とを合わせた回数を意味する。たとえば、「疑似2」と表記する場合は「疑似変動1回+本変動」、「疑似3」と表記する場合は「疑似変動2回+本変動」を意味する。
(5−2−3.遊技者参加型演出)
「遊技者参加型演出」とは、いわゆる「ボタン予告演出」に属する演出態様であり、操作手段(演出ボタン13および/または方向キー75)に対して所定の操作(たとえば、1回押し、長押し、連打など)がなされた場合、その操作内容に基づき、演出の内容が変化しうる予告演出態様である。遊技者参加型演出では、所定のボタン有効期間中になると、操作手段に対して所定の操作を指示する「操作指示演出」が現出され、そのボタン有効期間中に、遊技者が操作手段を操作すると、その操作内容に基づき、現出中の演出が他の演出(操作時演出)に変化し、操作前後の演出態様(演出内容)に応じて、当選期待度、当落、または設定示唆情報などを報知可能となっている。演出制御部24は、所定の設定条件に基づき(たとえば、遊技者参加型演出中の所定のタイミング)、操作手段の操作が有効となる操作有効期間(ボタン有効期間)を設定する機能部(操作有効期間設定手段)と、ボタン有効期間中に所定の操作前演出を現出制御可能な操作前演出制御手段と、当該操作有効期間に演出ボタンが操作されたことに基づき、所定の操作時演出を実行制御可能な操作時演出制御手段とを備えている。
(5−2−5.先読み予告演出)
「先読み予告演出」(以下「先読み予告」と略す)とは、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、主に、保留表示態様(保留変化系先読み予告)や時系列的に先に実行される図柄変動表示ゲーム中の演出(図柄変動中系先読み予告)を利用して、当該作動保留球に関する当選期待度を事前に報知しうる演出態様である。
図5を用いて、上記先読み予告を含め、本実施形態に係る液晶表示装置の画面表示の概要について説明する。図5は、本実施形態に係る液晶表示装置36の画面表示の説明に供する説明図である。
液晶表示装置36の画面内の一部に(図示では、装飾図柄の表示エリアの下方)、特図1作動保留球の個数を表示する保留表示領域76と、特図2作動保留球の個数を表示する保留表示領域77とが設けられており、作動保留球の有無に関して、その旨を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される。
この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。本実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1〜d1(特別図柄1側に対応)、a2〜d2(特別図柄2側に対応)が設けられている。また、保留表示領域76、77の左側には、現に特別図柄変動表示ゲームに供されている作動保留球を示すための変動中表示領域78が設けられている。この実施形態の場合、変動中表示領域78は、受座Jのアイコン上に、現在ゲームに供されているゲーム実行中保留Kのアイコンが載る形の画像が現れるように構成されている。すなわち、特別図柄1または特別図柄2の変動表示が開始される際に、保留表示領域76、77に表示されていた最も古い保留a1またはa2のアイコン(アイコン画像)が、ゲーム実行中保留Kのアイコンとして、変動中表示領域78おける受座Jのアイコン上に移動し、その状態が所定の表示時間にわたり維持される。なお、遊技状態(遊技モードまたは内部遊技状態)に応じて、たとえば、第1の遊技状態中(通常モード(通常状態)中)は、保留表示領域76の表示領域を保留表示領域77よりも強調的に表示したり(優先的に表示、大きく表示するなど)、逆に、第2の遊技状態中(たとえば、後述の時短モード(時短状態)またはSTモード(確変状態))は、保留表示領域77の表示領域を保留表示領域76よりも強調的に表示したりすることができる。また、第1の遊技状態中は、保留表示領域76、77の双方を表示し、第2の遊技状態中は、保留表示領域77を優先的に表示することができる。
作動保留球が発生した場合、演出制御コマンドとして、大当り抽選結果に関連する先読み判定情報と、先読み判定時の作動保留球数(今回発生した作動保留球を含む現存の作動保留球数)とを特定可能な「保留加算コマンド」が演出制御部24に対して送信される(後述の図11のステップS323参照)。この先読み判定情報とは、具体的には、主制御部20において、作動保留球が図柄変動表示ゲームに供される際に実行される大当り抽選結果(変動開始時の大当り抽選結果)や変動開始時の変動パターンなどを事前判定した際に得られる遊技情報をいう。したがって、この先読み判定情報には、少なくとも変動開始時の当落抽選結果の先読み判定結果(先読み当落結果)情報が含まれ、その他に、図柄抽選結果の先読み判定結果(先読み図柄結果)情報や、変動開始時の変動パターンに関する先読み判定結果(先読み変動パターン)情報を含ませることができる。如何なる情報を含む保留加算コマンドを演出制御部24に送るかについては、報知する予告内容をどのようなものにするかに応じて適宜定めることができる。たとえば、作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。たとえば、変動開始時に「Nリーチ1」を指定する変動パターンのケースであれば、先読み変動パターンにより指定される内容は「Nリーチ1」というリーチの種類そのものではなく、その骨子である「Nリーチ種(Nリーチ1またはNリーチ2)」である旨を指定してもよい。
演出制御部24が保留加算コマンドを受信すると、これに含まれる先読み判定情報に基づき、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、「先読み予告」に関する演出制御処理を行う。具体的には、保留加算コマンドに含まれる情報に基づいて、先読み予告の実行可否を抽選する先読み予告抽選を行い、これに当選した場合、先読み予告の演出シナリオが決定される。そして、そのシナリオに従い、当選期待度に応じた先読み予告を現出させる。上記先読み予告抽選の当選確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また、当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が高確率となっている。よって、先読み予告が発生するか否かにより当選期待度が示される。
この実施形態では、先読み予告抽選に当選した場合、保留表示部a1〜d1、a2〜d2の保留アイコン(たとえば、後述の図29の備考3に示すアイコンや、図32に示す宇宙人のアイコンなど)のうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示(通常保留表示態様)の白色から、予告表示の青色、緑色、赤色、虹色の特殊な保留色や色彩を付した保留表示(特別保留表示態様)に変化する「保留変化系」の先読み予告(以下「保留変化予告」と称する)が行われる。図5では、ハッチングされた保留表示部b1の作動保留球が、特別保留表示に変化した例を示している。ここで、保留アイコンの青色、緑色、赤色、虹色の表示は、この色の順に、当選期待度が高いことを意味し、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコン(当確保留予告)となっている。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1〜d1、a2〜d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(特別保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段として働く。先読み予告が発生した場合、その作動保留球を対象とした図柄変動表示ゲーム中に、当選期待度が相対的に高い高期待度予告(高回数疑似連やSPリーチなど)が発生すれば、先読み予告演出の内容と相まって、当りへの当選期待感はより一層高まることになる。
現存する作動保留球は、図柄変動表示ゲームの実行を契機に順次消化される。このとき、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行し(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといった表示制御(シフト表示)が行われるが、上記した特別保留表示は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。なお、特別保留表示は、入賞を契機に現出させるケースに限らず、入賞時は通常保留表示であるが、シフト表示などの所定のタイミングに、通常保留表示から特別保留表示に変化させたり、現在の特別保留表示よりも当選期待度が相対的に高い特別保留表示に変化させたり(たとえば、青色から黄色以上の保留色に変化)することができる。また、ゲーム実行中保留Kが受座J上に載る際には、基本的には、保留表示領域76、77での保留表示態様と同じ表示態様が維持されて、今回の図柄変動表示ゲームに係る作動保留球を対象とした先読み予告(特別保留表示)が当該ゲーム中においても遊技者に報知されうる。
また本実施形態では、上述の保留変化予告とは異なる先読み予告として、上記「図柄変動中系先読み予告(以下、「変動中先読み予告」と称する)を現出可能となっている。この変動中先読み予告は、1または複数回の図柄変動表示ゲームにおいて実行可能であり、たとえば、単発的にまたは連続的に実行されうる先読み予告となっている。変動中先読み予告は、始動口に遊技球が入賞して始動条件が成立した場合、その始動条件成立に係る図柄変動表示ゲームを実行する権利を一旦保留記憶するとともに、変動中先読み予告の実行抽選(本実施形態では、保留変化予告の実行抽選とは独立した抽選)を行う。変動中先読み予告を実行する場合(抽選に当選した場合)に、その時点で現存する作動保留球(保留記憶)が複数個存在するときは、それら全てまたは一部の保留記憶に係る図柄変動表示ゲームにおいて実行され(今回の抽選対象となった作動保留球に係る図柄変動表示ゲームを除外してもよい)、当該先読み予告が連続実行されるほど、当選期待度が高まるようになっている。変動中先読み予告は、たとえば、今回の抽選対象となった作動保留球が4個目である場合、時系列的に先に記憶された1〜3個目の作動保留球が図柄変動表示ゲームに供された際に、その図柄変動表示ゲーム中に、1または複数の演出手段を利用して、専用の演出を現出させる。このケースの場合、作動保留球1個目〜3個目で変動中先読み予告が連続実行(3連続実行)された場合に当選期待度が最も高くなる。変動中先読み予告に用いる演出手段およびその演出内容については、適宜定めることができる。たとえば、画像表示であれば背景表示や装飾図柄の組合せを利用してもよいし、この画像表示に付随して専用の音演出、光演出、または可動体演出などを組合せてもよい。なお、保留変化予告の実行抽選と、変動中先読み予告の実行抽選とはそれぞれ独立した抽選となっている。したがって、保留変化予告および/または変動中先読み予告が発生するケースがある。
また図5に示す液晶画面内の右下隅には、装飾図柄や予告演出などのメイン演出とは別のサブ的な演出(サブ演出)の表示領域として、特図1、2の作動保留球、普図作動保留球数、特図1、2の変動表示動作に関する情報、普図の変動表示動作に関する情報を表示可能なサブ表示領域79を設けてある。このサブ表示領域79の情報は、装飾図柄の表示が予告演出中に非表示となった場合でも、表示され続ける。したがって、現在、図柄変動表示ゲーム中であるか否かは、サブ表示領域79の情報により識別可能となっている。
(4−2−6.設定示唆演出)
また本実施形態では、上記「設定値」に関する情報を示唆する演出態様(設定示唆演出)を現出可能となっている。たとえば下記(ア)〜(シ)のような設定示唆演出である。
(ア)低設定域(設定1〜3、1〜2、2〜3など)を示唆する「低設定示唆演出」。
(サ)高設定域(設定4〜6、4〜5、5〜6など)を示唆する「高設定示唆演出」。
(キ)偶数設定(設定2、4、6)を示唆する「偶数設定示唆演出」。
(ユ)奇数設定(設定1、3、5)を示唆する「奇数設定示唆演出」。
(メ)特定の設定値(設定1〜6のいずれでもよい)を確定的に報知する「特定設定確定演出」。たとえば「設定N」を確定的に報知する「設定N確定演出」。ただし、無闇に内部的な設定値を確定的に報知するのは、好ましくない。その理由は、設定1や設定2確定などのように、低設定領域を確定的に示唆するものは、遊技者の遊技意欲を減退させてしまうからである。そこで、高設定領域の設定4〜6のいずれかを確定的に報知させることが好ましい。特に、設定5確定や設定6確定などの高設定が確定する特定設定確定演出が出現すれば、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
(ミ)特定の設定値(設定1〜6のいずれでもよい)でないことを確定的に報知する「特定設定否定演出」。
(シ)特定範囲の設定値を示唆する「特定範囲示唆演出」。たとえば、設定3〜5(α≦設定値≦β)を示唆、設定4以上(α≦設定値)を示唆、「設定1、3、5、6」の複数の特定値を示唆するなどがある。また、設定値に応じて出現率を異ならせて、たとえば設定1では出にくい、設定4ではそこそこ出る、設定6では出やすいなどのように、或る設定値の可能性が高い/低いを示唆することが可能である。
このような設定示唆演出は、図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミング、たとえば、予告演出と複合的または単独的に現出させることができる。たとえば、設定値に応じたアイテムやキャラクタを出現させるなどである。また、設定値に応じて特定の予告演出の出現率を定めることで、その予告演出自身を「設定示唆演出」として機能させることができる。たとえば、特定のSPリーチ、特定の疑似連回数、特定の遊技者参加型演出、特定の先読み予告などの出現率を、設定値に応じて異ならせることにより、その予告演出自体を設定示唆演出として機能させることで、設定値の推測要素を遊技者に与えることができる。たとえば、ハズレ時にSPリーチCが出現し易い場合は高設定濃厚、ハズレの場合に疑似連4回変動(疑似変動3回+本変動)が出現し易い場合は高設定濃厚、特定のボタン操作演出が出現した場合は“設定6確定示唆”などである。また、設定示唆演出は、図柄変動表示ゲーム中に限らず、大当り遊技中や、遊技開始待ち中の後述の「デモ開始待ち演出」や「客待ち演出(デモ画面)」などにも現出させることが可能である。また、設定示唆演出の現出率(実行確率)は、設定値に応じて適宜定めることができる。たとえば、設定値が相対的に低いほど設定示唆演出の出現率が低くなるように定めてもよい。
<6.演出手段>
遊技機1における各種の演出は、遊技機に配設された演出手段により現出される。斯様な演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であればよく、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段(光演出手段)、スピーカ46などの音響発生装置(音演出手段)、液晶表示装置36などの演出表示装置(表示手段)、操作者の体に接触圧を伝える加圧装置、遊技者に振動を与える振動装置(たとえば、発射操作ハンドル15が震えるなど)、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物は、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置(画像表示手段)と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出(画像表示演出)を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<7.遊技モードの遷移形態:図6、図7>
次に図6および図7を参照して、変動パターン選択モードに関連する「遊技モード」の内容と、各遊技モード間(各遊技状態間)の移行制御について説明する。図6および図7は、遊技モードとこれに関連する演出モードの概略を示す遊技フローである。
本実施形態では、図6および図7に示すように、一般、前兆、天井、天国、ST(ST序盤、ST中盤、ST終盤)などの複数種類の遊技モードが設けられており、これらの遊技モード下にて遊技の進行が制御される。
(7−1A.「通常モード」について)
通常モードは、内部遊技状態が通常状態に関連する遊技モードであり、この通常モードは、RAMクリア時(たとえば、RAMクリア操作時、設定変更時など)などが実行された場合に開始される初期の遊技モードとなっている。
この通常モードには、変動パターン選択モード(Tcode)が「00H」の「一般モード」と、「01H」の「前兆モード」とが含まれる。「一般モード」は、遊技進行中、最も長く滞在しうる遊技モードであり、基本的には、この一般モードから大当りに当選して他の遊技モード(後述のSTモードや時短モードなど)に移行されることになる。
(7−1A−1.一般モード中の演出について)
一般モード中は、一般モードに関連した演出をなす「一般演出モード」に移行される。本実施形態に係る一般演出モードには、複数種類の一般演出モードが含まれ、たとえば、客待ち待機中に遊技者が操作手段(演出ボタン13や方向キー75)を操作することにより、好みの一般演出モードに切り替え可能となっている。この実施形態の場合、図6の通常モードのブロック枠に示すように、「ノーマルモード(通常A演出モード)」、「シンプルモード(通常B演出モード)」、「プレミアムモード(通常B演出モード)」の3種類の演出モード(遊技者選択可能演出モード)のいずれかを選択可能となっている。ただし混同してはならないのは、これらの演出モードは、同一の変動パターン選択モード(Tcode=00H)下の演出モードであり、遊技者側が変動パターン選択モード(Tcode)自体を自由に切り替えられることを意味するものではない。したがって、ノーマル、シンプル、プレミアムモードの違いにより、出現する演出はそれぞれ異なる場合があるが、内部的に選択される特別図柄の変動パターン(変動パターン振分テーブル)は変化しないため、図柄変動表示ゲームの時間(特別図柄の変動時間)自体は変化しない。
「ノーマルモード」とは、デフォルトの演出モードであり、「シンプルモード」とは、ノーマルモードと比べて特定の予告演出の出現率が低確率または一切出現しない(出現率0%)演出モードとなっている(特定予告演出出現率変更モード)。
「シンプルモード」では、たとえば、(イ)当選期待度が相対的に高い特定の高期待度予告(たとえば、ノーマルモード時の当選期待度30%以上)のハズレ時の出現率がノーマルモードよりも低確率となり、当該特定の高期待度予告の出現時は当選期待度が大幅にアップし、高期待度予告出現時の興奮度を高める。また(ロ)当選期待度が相対的に低い特定の低期待度予告(たとえば、ノーマルモード時の当選期待度30%未満の演出、先読み予告)の出現率がノーマルモードよりも低確率(0%を含む)となり、過度な煽り演出(ハズレ時の演出)が少なく、シンプルな演出が好みの遊技者に好適である。また(ハ)遊技者参加型演出の出現率がノーマルモードよりも低確率(0%を含む)となり、演出ボタン操作を伴う演出の出現率が低確率となるため、落ち着いた遊技が好みの遊技者に好適である。
「プレミアムモード」では、当確系演出(大当り当選濃厚の演出(たとえば、当選期待度90%以上)または大当り当選確定の演出)の出現率が、ノーマルモードおよびシンプルモードよりも高確率となり、1または複数種類の特定の低期待度予告の出現率が低確率(0%を含む)となる。したがって、当確を予告しうるプレミアム的な演出の出現を楽しみたい遊技者に好適な演出モードとなっている。
なお、ノーマル、シンプル、およびプレミアムのいずれの演出モードも設定示唆演出の出現率については同一の確率としてもよいし、それぞれ異なる確率としてもよい。
また、ノーマル、シンプル、プレミアムの各演出モードでは、いずれのモード中であるかを識別可能とするため、演出モード別に対応した固有の演出が現出される。具体的には、画像表示演出(たとえば、背景画像(背景表示)、予告演出時の登場キャラクタ、または装飾図柄など)、音演出(たとえば、BGM、効果音)、および光演出(たとえば、特定の演出用LEDの発光態様)の少なくともいずれか1つの演出が各演出モードに対応して変化する。これにより、ノーマル/シンプル/プレミアムのいずれの演出モード中であるのかを識別可能となっている。本実施形態では、一般モード中においては、太陽が輝く“昼背景画像”をベースとし、「ノーマルモード」では季節‘春’を連想させる背景画像(たとえば、桜の木などを含む背景画像)、「シンプルモード」では季節‘夏’を連想させる背景画像(たとえば、海や砂浜を含む背景画像)、「プレミアムモード」では季節‘秋’を連想させる背景画像(たとえば、紅葉の山や木々を含む背景画像)など、少なくとも各演出モードに応じた背景表示(背景演出)にそれぞれ切り替え制御される。なお、他の遊技モード下において、ノーマル、シンプルおよびプレミアムモードの少なくとも2つの演出モード間を切り替え可能に構成することができる。この場合も、上述のように、いずれのモード中であるかを演出的に識別可能な構成とすることができる。
(7−1B.前兆モードについて)
また上記「前兆モード」とは、後述の「天井(ハマリ救済機能)」の到達間近に移行される遊技モードであり、たとえば、天井到達が間近であることを報知する「前兆演出」を実行させるための遊技モードとして設けられている。この前兆モードは、通常モード(通常状態)中、大当りに当選せずに、所定のゲーム数(所定の変動回数)に到達した場合に移行される。本実施形態の場合、一般モード中に989ゲームハマると、990ゲーム目から前兆モードに移行されるようになっている(図7の「前兆モード」のブロック枠(α)参照)。「天井」についての詳細は後述するが、本実施形態では、通常モード中(少なくとも内部遊技状態が通常状態中)に1000ゲーム(1000回転)ハマる(ハズレ続ける)と、天井機能が発動して、特別利益(天井特典)が付与されるようになっている(図7の備考2の天井特典の例の欄参照)。
(7−1B−1.前兆モード中の演出について)
前兆モード中は、前兆モードに関連した演出(前兆用演出)をなす「前兆演出モード」に移行される。前兆演出モード中は、一般モードの太陽が輝く“昼背景画像”から、星が輝く“夜背景画像”に切り替え表示され、前兆モード中であることが報知されるようになっている。また、前兆演出モード中も、ノーマル/シンプル/プレミアムモードのいずれかに切り替え可能となっている(図7の前兆モードのブロック枠(γ)参照)。また、前兆演出モード中は、天井到達までの残余ゲーム数(残り天井回数)を識別可能な演出(残余天井回数表示演出)として、たとえば、カウントダウン表示が現出される(図7の前兆モードのブロック枠(δ)参照)。この残余天井回数表示演出は、前兆モード中の一部の期間で現出させてもよく、たとえば、天井間近の996ゲーム目から残余天井回数表示演出を開始(カウントダウン表示開始)してもよい。たとえば、最大保留記憶数4個を考慮して、996ゲーム〜999ゲーム間または天井ゲームを含む995〜1000ゲーム間でカウントダウン表示(たとえば、天井ゲームでカウントゼロを示唆)を行うことができる。天井までのゲーム数が分かれば、遊技者が天井到来まで無駄打ちを防止することができる、という演出的メリットがある。
また、前兆演出モード中は、少なくとも一般モードとは異なる保留表示態様(保留アイコン)が現出されるようになっている。たとえば、一般演出モード中では、図5に示す単純な「丸型アイコン」をベースとする保留表示態様であるが、前兆演出モード中では「キャラクタアイコン」をベースとする専用の保留表示態様を現出する(図7の前兆モードのブロック枠(ε)、図32参照)。なお、一般モード中において、前兆モード移行直前(989ゲーム目)に現存する1または複数の保留表示については、前兆モード移行後(990ゲーム目)に専用の保留表示(キャラクタアイコン)に一斉に変化させてもよいし、前兆モード中に消化対象となる保留表示だけを専用の保留表示に変化させてもよい。後者の構成を具体的に説明すれば、たとえば、988ゲーム実行中に作動保留球が3個存在するケースの場合、989ゲーム〜991ゲーム目に係る保留表示を「‘丸型アイコン(一般モード中消化対象保留:989ゲーム目)’ ‘キャラアイコン(前兆モード中消化対象保留:990ゲーム目)’ ‘キャラアイコン(前兆モード中消化対象保留:991ゲーム目)’」とすることができる。また、前兆演出モード中の開始から所定のゲーム数を消化するまでは一般演出モードと同じ保留表示(丸型アイコン)とし、天井到達間近(たとえば、最大保留記憶数4個を考慮して、996ゲーム〜999ゲーム間)になると、前兆専用の保留表示(キャラクタアイコン)に切り替えてもよい。また、前兆演出モード中は、上記「残余天井回数表示演出」および/または「前兆専用の保留表示」を現出させてもよい。
(前兆モード中のノーマル/シンプル/プレミアムモードの選択について)
本実施形態の前兆演出モード中は、「ノーマル/シンプル/プレミアムモード」のいずれかに切り替え可能であると説明したが、本発明はこれに限定されず、その切り替えが不可能(切替不能状態下に制御する)な構成としてもよい。すなわち、前兆演出モード中は、遊技者選択可能の演出モードを固定的なものとすることができる。たとえば、一般モード中で選択中であった演出モードに固定したり、ノーマル/シンプル/プレミアムモードのうちいずれかの演出モード(たとえば、デフォルトのノーマルモード)に強制的に固定したりすることができる(後述の天国モードも同様)。この場合、一般モードでは切り替え可能であった演出モードが切り替え不可能になるという事象によって、遊技者に違和感を与え、天井到達間近であることを遊技者に知得させることができる。特に、前兆演出モードと一般演出モード中とを演出的に秘匿状態とする場合(たとえば、前兆演出モードと一般演出モードとを共通の背景画像にする、前兆モードと一般モードとで共通の演出モードとする(内部的に前兆モードであるが演出モードは一般演出モードとする)、前兆モード自体を設けないなど)に、「演出モード切り替え不能状態」という違和感を遊技者に与えることを以て、天井到達(天井ゲーム)が近づいていること報知することができる。
(7−2.「STモード」について)
STモードは、内部遊技状態が確変状態(YJ=01H)に関連する遊技モードであり、このSTモードには、変動パターン選択モード(Tcode)が、「02H」の「ST序盤モード」と、「03H」の「ST中盤モード」と、「04H」の「ST終盤モード」とが含まれる。このSTモードには、確変大当り1〜7のいずれかに当選した場合に移行される。
本実施形態の場合、確変大当り1〜7のいずれに当選したかに応じて、上記「確変A」〜「確変C」のいずれかに移行されるため、遊技モードの移行形態も異なる。詳しくは、下記(A−1)〜(A−3)の移行形態となる。
(A−1:確変C(ST回数25回+時短回数75回)を付与する確変大当り3、6(5R確変ST25、7R確変ST25)に当選した場合)
確変大当り3、6のいずれかにに当選した場合は、図4にて既に説明したように「確変C」に移行され、「ST回数25回+時短回数75回」が付与される。この場合の遊技モードの移行形態は、1〜25ゲーム目(ST回数内序盤)まで「ST序盤モード」に滞在し、26〜100ゲーム目(時短回数内)まで「時短モード」に滞在するようになっている。この「ST序盤モード(ST25回)⇒時短モード」という一連の移行形態に着目して、確変大当り3、6当選時に移行される遊技モードを「ST25モード」とも称する(図4参照)。
(A−2:確変B(ST回数75回+時短回数25回)を付与する確変大当り2、5(5R確変ST75、7R確変ST75)に当選した場合)
確変大当り2、5のいずれかに当選した場合には、上記「確変B」に移行され、「ST回数75回+時短回数25回」が付与される(図4参照)。したがって、この場合の遊技モードの移行形態は、1〜25ゲーム目(ST回数内序盤)まで「ST序盤モード」に滞在し、26〜75ゲーム目(ST回数内中盤)まで「ST中盤モード」に滞在し、76〜100ゲーム目(時短回数内)までは「時短モード」に滞在するようになっている。この「ST序盤モード(ST25回)⇒ST中盤モード(ST50回)⇒時短モード」という一連の移行形態に着目して、確変大当り2、5当選時に移行される遊技モードを「ST75モード」とも称する(図4参照)。
(A−3.確変A(ST回数100回)を付与する確変大当り1、3、7(5R確変ST100)、10R確変ST100、特殊7R確変)に当選した場合)
確変大当り1、3、7のいずれかに当選した場合には、上記「確変A」に移行され、「ST回数100回」が付与される(図4参照)。したがって、この場合の遊技モードの移行形態は、1〜25ゲーム目(ST回数内序盤)まで「ST序盤モード」に滞在し、26〜75ゲーム目(ST回数内中盤)まで「ST中盤モード」に滞在し、76〜100ゲーム目(ST回数内終盤)まで「ST終盤モード」に滞在する。この「ST序盤モード(ST25回)⇒ST中盤モード(ST75回)⇒ST終盤モード(ST25回)」という一連の移行形態に着目して、確変大当り1、3、7当選時に移行される遊技モードを「ST100モード」とも称する(図4参照)。
(B.確変A〜確変C(ST25、ST75、ST100モード)の連荘性能)
上記確変大当り1〜7のいずれに当選するか、すなわち「確変A〜確変C」のいずれかに移行されるかにより「ST回数」が異なるため、確変A〜確変Cにおける電サポ有り状態中(確変状態または時短状態)の大当りの引き戻し率(いわゆる「連荘率」)も異なる。すなわち、遊技者に対する有利度(遊技者に付与する利益状態(利益度合))が異なる。たとえば、設定6(低確率時1/189、高確率時1/63)の場合、確変A(ST回数100回)の連荘率、つまり、ST中連荘率は約79.8%となる。また、確変B(「ST回数75回+時短回数25回」の電サポ100回)の連荘率は、ST中連荘率は約70%、時短中連荘率は約12.4%、全体(ST回数75回+時短回数25回)の連荘率は約73.6%となる。また、確変C(「ST回数25回+時短回数75回」の電サポ100回)の連荘率は、ST中連荘率は約33%、時短中連荘率は約32.8%、全体(電サポ有り状態中)の連荘率は約55%となる。なお、時短大当りの場合の連荘率(時短中連荘率)は、約41.2%となる。
以上のように本実施形態では、ST回数が異なる複数の確変大当りを設けているため、当選した大当り種別に応じてST中の連荘度合を異ならせることができる。特に本実施形態のように、電サポ有り状態の回数(電サポ回数)は同一(たとえば、100回)であるが、ST回数がそれぞれ異なる場合(たとえば、ST25回、ST75回、ST100回)、電サポ有り状態中の利益度合や連荘度合を当選した大当り種別に応じて大きく異ならせることができる。その結果、遊技性の自由度が増し、遊技の面白みを一層向上させることができる。また、STモード中に関連する演出(後述のST演出モード)の自由度も向上し、演出を多彩なものとすることができる。
(7−2−1.ST序盤、ST中盤、ST終盤の変動状態について)
既に説明したように「ST序盤モード」、「ST中盤モード」、「ST終盤モード」は、変動パターン選択モード(Tcode)がそれぞれ異なる(図28参照)。これにより、各STモードに対応した変動パターン振分テーブル(図25、図27参照)を選択することができるため、各STモードが、それぞれ特徴有るSTモードを作り出すことができる。たとえば、ST序盤モード用の変動パターン振分テーブルでは、変動時間が2秒の変動パターンが高確率で選択され、ST中盤モードの変動パターン振分テーブルでは、変動時間が3秒の変動パターンが高確率で選択され、ST終盤モードの変動パターン振分テーブルでは、変動時間が4秒の変動パターンが高確率で選択されるという具合に、各STモードに係る特別図柄の平均的な変動時間(変動パターンの変動時間)、換言すれば、図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間(1ゲームあたりの図柄変動表示ゲームの平均実行時間または単位時間あたりの図柄変動表示ゲームの実行回数:以下、「平均消化時間」とも称する)に緩急を付けることができる。なお、上述の図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間(平均消化時間)とは、少なくともハズレ時における平均的な消化時間、つまり、各STモードにおける「ハズレ変動パターンの平均変動時間」である。
本実施形態の場合、STモードに係る平均消化時間の関係が、「ST終盤モード<ST中盤モード<ST序盤モード」を満たすように定められている(図27参照)。すなわち、ST序盤モードは「高速変動状態(全遊技モード中最速(平均消化時間最短))」、ST中盤モードは「中速変動状態」、ST終盤モードは「低速変動状態」下に制御される。なお、各モードにおける平均消化時間(消化スピード)が上記「ST終盤モード<ST中盤モード<ST序盤モード」の関係を満たすものであれば、その時間は特に制限はない。ただし、STモードは確変状態に関連する遊技モードであり、STモード中は「特別図柄時短機能」が作用するため、いずれの変動状態も、少なくとも通常モード(通常状態)よりも図柄変動表示ゲームの平均消化時間は短時間となる。上記した各変動状態(高速、中速、低速変動状態)は、下記のような特徴を持つ。
上記「高速変動状態」は、主として、「ゲームの平均消化速度を上げて、遊技の進行に関する時間効率を高める」といった遊技性に重きを置いた遊技モード(遊技状態)で有用である。STモード(確変状態)中は、「電サポ有り状態+高確率状態(特別図柄確変機能作動)+特図時短状態(特別図柄時短機能作動)」となり、少なくとも通常モードと比べて図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間が相対的に短くなり、また大当り当選が容易となるように工夫された遊技状態となるが、このような遊技状態になると、遊技者の中には、演出を楽しむよりも早く大当りを得たいと欲する遊技者も多い。そこで本実施形態では、ST序盤モードの場合には、変動時間が相対的に短時間の変動パターンが選択され易くし「高速変動状態」を発生させるようになっている。
一方、上記「高速変動状態」に対して、変動時間が相対的に長時間の変動パターンが選択され易い「中速変動状態」または「低速変動状態」下では、図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間が「高速変動状態」よりも長くなるが、その代わりに演出時間を長めにとることができるため、「演出を楽しむ」といった遊技性に重きを置いた遊技モードに有用である。
(7−2−2.STモード中の演出について)
本実施形態に係るSTモードには、上記したように「ST序盤モード」と、「ST中盤モード」と、「ST終盤モード」とが含まれる。したがって、これらSTモードに対応する演出モード(ST演出モード)として、“ST序盤”に関連する演出(ST序盤用演出)が現出される「ST序盤演出モード」と、“ST中盤”に関連する演出(ST中盤用演出)が現出される「ST中盤演出モード」と、“ST終盤”に関連する演出(ST終盤用演出)が現出される「ST終盤演出モード」とが設けられている。
(7−2−3.STモード中の演出例:図29)
図29に、上記ST序盤演出モード、ST中盤演出モードおよびST終盤演出モード中の演出例を示す。
図29を参照して、本実施形態に係る「ST序盤演出モード」は、潜水艦同士の戦いを表現した演出をなす“水中音響戦モード”、「ST中盤演出モード」は、艦隊同士の戦いを表現した演出をなす“水上戦モード”、「ST終盤演出モード」は、戦車同士の戦いを表現した演出をなす“陸戦戦モード”となっている。換言すれば、STモード期間は、残りST回数に応じて、ST序盤、ST中盤、ST終盤の3つに区分され、この3つのST区分のいずれに滞在しているかはST区分演出として、主に、変動パターンのダイナミックな変化(高速、中速、低速という変動状態の変化)、これに伴う演出(背景演出の切り替わり、予告演出など)とにより遊技者に報知される。なお、図示の「右打ち⇒」の表示は、遊技者に右打ちを促す発射誘導報知演出(右打ち指示演出)である。また、保留アイコンについては、同図(イ)の演出例(ST100モードに係る演出例)にのみ示し、(ロ)(ハ)については省略してある。
ST期間中の演出モードを区分することとなる「ST区分演出」については、「ST序盤演出モード」、「ST中盤演出モード」、「ST終盤演出モード」の各演出モードで、水中音響戦モード、水上戦モード、陸戦戦モードなどの戦闘モード演出に切り替えられ、これにより段階的にST回数が最終回目に近づいて来ていることが報知される。
本実施形態では、確変大当り1〜7のいずれに当選した場合でも、演出モードは、ST序盤演出モードの「水中音響戦モード」から開始される。すなわち、ST序盤演出モード(水中音響戦モード)は、図示の通り、各STモード(ST25、ST75、ST100モード)で共通である。しかし、各STモードは、遊技モードの遷移形態が異なり、これに伴い演出モードの遷移形態も異なる。
(ST25モードの場合:図29(ハ))
ST25モード(ST回数25回+時短回数75回)の場合は、図29(ハ)に示すように、1〜25ゲーム間は、ST序盤演出モード(水中音響戦モード)に滞在する。そして、ST最終の25ゲーム目を終えると、遊技モードがST序盤モードから時短モードに移行され、これに伴い、演出モードもST序盤演出モード(水中音響戦モード)から時短演出モード(戦闘機同士の戦いを表現した演出をなす“空戦モード”)に移行される(時短モード、時短演出モードの詳細は後述する)。この時短演出モード(空戦モード)には、26ゲーム〜100ゲーム(時短最終ゲーム)間滞在する。なお、図示はしていないが、100ゲーム目を終えると、時短モードが終了(電サポ有り状態が終了)して通常モードに移行され、これに伴い、演出モードも時短演出モードから通常演出モード(一般演出モード)に移行される(後述のST75モードも同様)。
(ST75モードの場合:図29(ロ))
ST75モード(ST回数75回+時短回数25回)の場合は、図29(ロ)に示すように、1〜25ゲーム間は、ST序盤演出モード(水中音響戦モード)に滞在する。25ゲーム目が終了すると、遊技モードがST序盤モードからST中盤モードに移行され、これに伴い、演出モードもST序盤演出モード(水中音響戦モード)からST中盤演出モード(水上戦モード)に移行され、75ゲーム目まで、このST中盤演出モード(水上戦モード)に滞在する。そして、ST最終の75ゲーム目を終えると、遊技モードがST中盤モードから時短モードに移行され、これに伴い、演出モードもST中盤演出モード(水上戦モード)から時短演出モード(空戦モード)に移行される。ST75モードの場合、この時短演出モード(空戦モード)には、76ゲーム〜100ゲーム(時短最終ゲーム)間滞在する。
(ST100モードの場合:図29(イ))
ST100モード(ST回数100回)の場合は、図29(イ)に示すように、75ゲーム目までは、上述のST75モードを同じ遊技モードおよび演出モード遷移である。しかし、75ゲーム目を終えると、遊技モードがST中盤モードST終盤モードに移行され、これに伴い、演出モードも演出モードもST中盤演出モード(水上戦モード)からST終盤演出モード(陸戦モード)に移行される。ST100モードの場合は、電サポ有り状態が終了するまでの100ゲーム間はすべてST中(確変中)であり、この陸戦モードは、ST100モードだけに生起するする特別な演出モードとなっている。また、ST100モードの場合は、STモードの全区間で、背景が順次切り替わっていくため、遊技者の緊張感は、演出モードが、水中音響戦(ST序盤)、水上戦(ST中盤)、陸戦モード(ST終盤)へと切り替わるたびに強まり、ST終盤の陸戦モードに至ったときに最も強くなる。なお、図示はしていないが、100ゲーム目を終えると、STモードが終了(電サポ有り状態が終了)して通常モードに移行され、これに伴い、演出モードもST終盤演出モードから通常演出モード(一般演出モード)に移行される。
このように本実施形態では、いずれの大当りに当選した場合も、「ST序盤モード+ST序盤演出モード」から開始される。すなわち、大当り遊技の移行先遊技状態(確変A〜確変C)によらず、換言すれば、初期の残りST回数(付与されるST回数)によらず、大当り遊技後の開始演出モード(初期の演出モード)は共通となっている。
(STモードに係る変形例:図30、図31)
なお、遊技進行具合におけるSTモードおよびST演出モードの推移は、上記実施形態(図29)に限らず、下記の変形例1、2示す推移を辿るように構成することができる。以下、図30、図31を参照して、変形例1、2について説明する。
(STモードに係る変形例1:図30)
図30に、本実施形態のSTモードに係る変形例1を示す。なお、図30において、演出モードに対応する保留アイコンは省略してある(後述の図31も同様)。
本例(変形例1)の場合も、STモードが複数に区分されているが、各STモードに応じて(当選した大当り種別に応じて)、開始演出モードが異なり、残りST回数に応じて、異なる演出モードから開始するようになっている。
図30を参照して、ST100モードの場合は、図30(イ)に示す通り、上記実施形態(図29(イ))と同じモード推移を辿る。
しかし、ST75モード(ST回数75回+時短回数25回)の場合は、初期の残りST回数が75回である点に着目して、図(ロ)に示す通り、次のようなモード推移(STモード、対応する演出モードの推移)を辿るようになっている。
「1〜25ゲーム間」:「ST中盤モード+ST中盤演出モード(水上戦モード)」
「26〜75ゲーム間」:「ST終盤モード+ST終盤演出モード(陸戦モード)」
「76〜100ゲーム間」:「時短モード+時短演出モード(空戦モード)」
また、ST25モード(ST回数25回+時短回数50回)の場合は、初期の残りST回数が25回である点に着目して、図(ハ)に示す通り、次のようなモード推移を辿るようになっている。
「1〜25ゲーム間」:「ST終盤モード+ST終盤演出モード(陸戦モード)」
「26〜100ゲーム間」:「時短モード+時短演出モード(空戦モード)」
本例の場合、「ST序盤モード」が存在するのは、ST100モードの場合のみとなり、「ST中盤モード」が存在するのは、ST100モードとST75モードの場合となる。そして、ST終盤モードは、各STモードで共通して存在する。本例が上記実施形態と異なる点は、下記の点である。
本例の場合、変動状態に着目すれば、ST75モードでは、ST中盤モード(水上戦モード)から開始されるため、変動状態が「中速変動状態」から開始される。また、ST25モードでは、ST終盤モード(陸戦モード)から開始されるため、変動状態が「低速変動状態」から開始される。すなわち、本例の場合、初期のST回数が相対的に少ないST回数ほど、図柄変動表示ゲームの平均消化時間が遅い遊技モードから開始されるようになっている。したがって、上記実施形態のST序盤の「高速変動状態」に相当する区間(1〜25ゲーム間)が、中速変動状態または低速変動状態の区間となるため、ST回数が少ない場合であっても、ST期間があっという間に終了してしまうという恐れが無く、ST期間を長期間楽しませることができる、という利点がある。
(STモードに係る変形例2:図31)
図31に、本実施形態に係るST演出モードの変形例2を示す。本例は、ST回数によらず、共通の「ST演出モード」から開始され、時短状態に移行された場合は「時短モード」に移行されるようになっている。図示では、ST中盤モードから開始される例を代表的に示す。
本例の場合、図31(イ)〜(ロ)に示す通り、ST25、ST75、およびST100モードのいずれも、共通のSTモードおよびST演出モード(水上戦モード)となっている。すなわち、STモード中は変動パターン選択モードが同一(本例の場合は、ST中盤モードの「03H」)であり、少なくとも変動状態(平均消化時間)は、残りST回数に応じて変化しない。この点、上記実施形態や変形例1とは大きく異なる。ただし、ST25モードまたはST75モードの場合には、ST回数が終了すると、STモードから時短モードに移行され(変動パターン選択モードが時短モードの「05H」に更新される)、これに伴い、演出モードもST中盤演出モードから時短演出モードに移行される。換言すれば、ST25とST75モードの場合は、電サポ有り状態中の遊技モード(変動パターン選択モード)の移行が生じ、ST100モードの場合は、電サポ有り状態中の遊技モード(変動パターン選択モード)の移行が生じない。
本例の場合、ST演出モード(STモード)がST回数に応じて変化しないため、たとえば、ST回数が「5回、10回、15回」などの比較的少ないST回数(低ST確変状態)を複数種類設ける場合に好適である。ST回数が少ない場合、無闇に演出モードや変動パターン選択モードを変化させると、かえって遊技者が煩わしく感じてしまうためである。
なお、STモード中は、通常モードで説明した「ノーマルモード」、「シンプルモード」、「プレミアムモード」を切り替え不可の構成としてもよいし、通常モードと同様に、遊技者側で切り替え可能に構成してもよい(他の遊技モード(後述の時短モードや天国モード)についても同様)。切り替え可能な構成とする場合には、「ノーマルモード」、「シンプルモード」、「プレミアムモード」の各演出モードで、この順に背景画像色が濃くなるように定めた特定色(たとえば、ダーク系の色)の背景表示色に切り替えたり、各STモードに係る兵器画像(潜水艦、艦船、戦車、戦闘機(後述の時短演出モードの場合))の表示色や絵柄を、ノーマル/シンプル/プレミアムモードの各演出モードで変化させたりするなどの表示処理を施して、これにより、いずれの演出モードに切り替えられているかを識別可能に構成することができる。また、各モードにおける変動状態(平均消化時間)をどのように定めるかは自由である。本実施形態では「ST終盤モード<ST中盤モード<ST序盤モード」の関係について説明したが、変形例1、2の変動状態のように構成したり、「ST序盤モード<ST中盤モード<ST終盤モード」の関係のように、変動状態がST回数に応じて相対的に低速化していく、といった関係であってもよい。
残りST回数を報知する「残余ST回数報知演出」と残り電サポ回数を報知する「残余電サポ回数報知演出」とについて、下記(1)〜(10)の構成とすることができる。
(1)各ST演出モード(各STモード)中のいずれも、「残余ST回数報知演出」および/または「残余電サポ回数報知演出」を現出することができる。
また(2)残余ST回数報知演出を現出する場合、各演出STモードの残りST回数を報知してもよい。たとえば、ST序盤モード中であれば、残り25回からカウントダウン表示を行う、ST中盤モード中であれば、残り50回からカウントダウン表示を行う、ST終盤モード中であれば、残り25回からカウントダウン表示を行うなどである。
また(3)残余ST回数報知演出を現出しない構成(残りST回数が把握できない構成)としてもよい。この場合、残余電サポ回数報知演出だけを表示してもよい。
また(4)残余ST回数報知演出は、ST開始から所定のゲーム数の経過後に開始させてもよい。たとえば、ST終了5ゲーム前から、カウントダウン表示を開始してもよい。
また(5)残余ST回数報知演出は、特定のSTモードに限り現出させてもよい。特定のSTモードは、ST25、ST75、ST100のいずれでもよいが、遊技者は、残りST回数多いほど、その回数を気にしながら遊技に興じる傾向があるため、ST25モード以外のST75またはST100モードで現出させることが好ましい。
また(6)ST演出モード(STモード)中は、残余ST回数報知演出を現出し、時短演出モード(時短モード)中は、残余電サポ回数報知演出を現出してもよい。
また(7)残余ST回数報知演出と残余電サポ回数報知演出とを別途独立して現出するのではなく、たとえば、カウントダウン表示を兼用する演出態様としてもよい。たとえば、同じカウントダウン表示を利用して、STモード中はその数字表示を「白色」とし、時短モード中は「赤色」する、または、STモード中は、数字画像の周囲に所定のエフェクト画像((たとえば、ライト(グロー効果やシャドウ効果)、グラデーション、ブラー、エンボスなどによる適宜なエフェクト画像処理を施したもの)を付した表示にするが、時短モード中はエフェクト無しにする、などである。
(7−3.「時短モード」について)
図6の説明に戻る。時短モードは、内部遊技状態が時短状態(YJ=02H)に関連する遊技モードであり、この実施形態の場合、変動パターン選択モード(Tcode)が、「05H」の1種類となっている。時短モードには、時短大当り1、2(5R時短A、5R時短B)に当選した場合の他、確変大当り2、3、5、6(5R確変ST75、5R確変ST25、7R確変ST75、7R確変ST25)などに当選した場合のST回数終了後にも移行される遊技モードである。時短モードの終了後(時短回数の終了後)は、「通常モード」に移行されるようになっている(図6の時短モードのブロック枠の上向き太矢印参照)。
(7−3−1.時短モード中の変動状態について)
上記時短モード中は、「低確率(特別図柄確変機能未作動)+電サポ有り状態+特別図柄時短状態」となるが、図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間に関し、上記STモードに係る高速変動状態、中速変動状態、または低速変動状態と同一または略同一の変動状態とするか、また、これらとは異なる平均消化速度を持つ変動状態とするかは自由である。ただし、時短モードへは、STモードからも移行される点、具体的には、ST25モードの場合は、「ST序盤モード(高速変動状態)」から「時短モード」に移行し、ST75モードの場合は「ST序盤モード(高速変動状態)」および「ST中盤モード(中速変動状態)」を経て「時短モード」に移行する点や、時短モード中は大当り抽選確率が低確率となる点(ハズレが多発する点)などを考慮し、時短モード中は、「演出を楽しむ」といった遊技性に重きを置いた遊技モードとしての位置付けとすることが好ましい。そこで、時短モード中の変動状態(平均消化時間)を「時短モード中の変動状態<STモード中の高速変動状態」とすることが好ましく、より好ましくは「時短モード中の変動状態≦STモード中の中速変動状態」とする。なお、時短モードもSTモードと同じく、複数の時短モードを移行可能に構成してもよく、この場合は、時短モード用の複数の変動パターン選択モードを設ければよい。
(7−3−2.時短モード中の演出について)
時短モード中は、“時短状態中”に関連する演出が現出される「時短演出モード」に移行される。時短演出モードでは、戦闘機同士の戦いを表現した演出をなす“空戦モード”となり、上記STモード中の各遊技モード(ST序盤、ST中盤、ST終盤モード)とは区別される。本実施形態では、時短大当り1、2に当選した場合の他、確変大当り2、3、5、6のST終了後の時短モードに移行した場合も、いずれも同じ時短演出モードに移行されるが、本発明はこれに限られない。たとえば、時短大当り1と時短大当り2とで、異なる演出をなす時短演出モード(たとえば、時短大当り1当選時は時短A演出モード、時短大当り2当選時は時短B演出モード)に移行させてもよい。また、時短大当り当選時の時短演出モードと、確変大当り当選時のST終了後の時短演出モード(ST25、ST75に係る時短演出モード)とで、異なる時短演出モードとしてもよい。
(7−4.「天井モード」について:図7)
次に図7を参照して、「天井モード」について説明する。本実施形態では、大ハマリした場合の救済機能として「天井機能」が設けられている。この天井機能は、大当りに当選することなく、所定のゲーム数(所定の変動回数)に到達した場合、遊技者を救済するべく、所定の利益状態(天井特典)を付与するという機能である。天井特典は、ハマリ救済機能という点で、少なくとも通常状態よりも有利な利益状態が付与される。本実施形態の天井ゲーム数は、設定1〜6の低確率時の大当り抽選確率を考慮したゲーム数(天井ゲーム数)として、通常モード中のハマリ1000ゲーム目としてあり(低確率時の3倍〜4倍程度)、天井モードはこの1000ゲーム目に生起する遊技モードとなっている。なお、天井ゲーム数をどのような値に定めるかは適宜定めることができる。たとえば、通常状態中の大当り抽選確率が比較的高確率(1/100前後)の「甘デジタイプ」である場合は、天井ゲーム数を300〜500ゲーム程度とすることができる。なお、本実施形態では、設定値によらず天井ゲーム数を同一としているが、本発明はこれに限らず、各設定値の全部または一部において、天井ゲームを異なるものとすることができる。たとえば、設定1〜6でそれぞれ異なる天井ゲーム数としたり(たとえば、1100ゲーム〜1050ゲーム:設定値が高いほど天井ゲーム数が少ない)、高設定領域(設定4〜6)は天井ゲーム数を1000ゲームとし、中・低設定領域(設定1〜3)は1032ゲームとしたり、特定の設定値(たとえば、最高設定の設定6)のみ、他の設定値と異なる天井ゲーム数とすることができる。
先ず、天井特典の種類について説明しておく。天井特典の種類としては、図7の備考2の「天井特典の例」の一覧表に示すように、たとえば、「無限時短」、「有限時短」、「無限確変」、「有限確変」、「無限潜確」、「有限潜確」、「強制当り」などがある。これらの特典を大別すれば、「無限時短」と「有限時短」は“天井時短種別”、「無限確変」と「有限確変」は“天井確変種別”、「無限潜確」と「有限潜確」は“天井潜確種別”、「強制当り」は“天井当り種別”に属する天井特典である。以下、これら天井特典種について、順次説明していく。
(無限時短)
(A)「無限時短」とは、次回大当りまで時短状態を付与する特典である。なお、無限時短の場合、その時短回数は「回数制限無し(無限)」であるが、実質的に次回大当りまでとなる時短回数、たとえば、10000回や65536回などのように、時短回数到達による時短状態の終了可能性は皆無となる場合(0%と考えても差し支えがない場合)やパチンコホールの営業時間内に消化不可能な時短回数を付与する場合(たとえば、65536回など)も、本発明では無限時短に属するものとして扱うことができる。
(有限時短)
(B)「有限時短」とは、適切な大当り当選率となるように、所定の時短回数を限度に時短状態を付与するものである。この点、制限回数の無い前述の無限時短とは異なる。付与される時短回数としては、たとえば、時短大当り1、2と同じ時短回数100回または時短回数50回などがその代表例であるが、時短大当りと同じ時短回数を付与するに限らず、異なる時短回数(たとえば、75回や150回や200回など)を付与することができる。なお、上記「無限時短」における「実質的に次回大当りまで」となる時短回数を付与する場合も、回数制限がある点で、この有限時短に属するものと言えるが、上記のように、本発明では無限時短に属するものとして扱うことができる。
(有限時短を付与する場合の具体例)
ここで、有限時短を付与する場合には、下記のような付与形態(1)〜(4)(有限時短付与形態1〜4)とすることができる。
(有限時短付与形態1)
(1)大当りによる時短回数(大当り当選に起因して付与される時短回数(時短状態))は複数種類(種類数A)あるが、天井特典による時短回数(時短状態)の種類はそれよりも少ない種類(種類数B)に定める。具体的には「種類数B<種類数A」の関係を満たすように構成する。
本実施形態の場合、図4に示す通り、大当りによる時短回数は、100回(時短A)と50回(時短B)の2種類(種類数A)存在するが、天井特典では、たとえば天井特典では、時短回数100回(時短A)の1種類だけを付与するように構成する。なお、「種類数B<種類数A」の関係を満たすのであれば、大当りによる時短回数とは異なる時短回数(たとえば、150回)を付与してもよい。なお、天井特典による時短回数(時短状態)の種類を2種類以上設ける場合には(「2≦種類数B<種類数A」の場合)、所定の抽選により、いずれかの時短回数(時短状態)を決定可能に構成することができる。
(有限時短付与形態2)
(2)天井特典による時短回数(時短状態)の種類が複数ある場合、所定の抽選(天井特典抽選)により、いずれかの時短回数(時短状態)を決定する。
たとえば、大当り当選に起因して付与される複数の時短回数(本実施形態では、50回と100回)のうちから抽選により決定することができる。この場合は、大当りと同等の時短回数を付与されうる。勿論、大当り当選に起因して付与される時短回数とは異なる時短回数を含む複数の時短回数(たとえば、100回と75回と25回)のうちから抽選により決定してもよい。この場合は、大当りと異なる時短回数が付与されうる。なお、抽選対象となる天井特典種(ここでは、各時短回数)の抽選確率(選択率)は、同一または略同一であってもよいし、全部または一部が異なっていてもよい。また、抽選対象に、天井特典を付与しない「天井特典ハズレ」を含んでもよい。天井特典ハズレを含む場合、天井ゲームに到達しても必ずしも天井特典が付与されるわけではないが、この場合は「天井特典抽選の実行」がハマリ救済機能としての役割を果たすことになる。
また、「設定値」に応じた抽選確率を定めて、所定の抽選(設定値に応じた天井特典抽選)により時短回数(時短状態)を決定してもよい。たとえば、設定値が高くなるに従い、相対的に多い時短回数(時短状態)が選択され易いように構成する。つまり、設定値が高くなるに従い、利益度合が相対的に高い特典が付与され易い構成である(後述の他の天井特典についても同様)。具体的には、時短回数の種類として「100回、75回、50回」を設けた場合、これらの抽選確率が“設定1”の場合は「25%、35%、40%」、“設定6”の場合は、「45%、30%、25%」などである。しかしこれとは逆に、設定値が低いほど大ハマリし易いことを考慮して、設定値が低くなるに従い、相対的に多い時短回数が選択され易いように構成してもよい。つまり、設定値が低くなるに従い、利益度合が相対的に高い特典が付与され易い構成である(後述の他の天井特典についても同様)。また、「特定の天井特典が付与される場合には、特定の設定値が確定する」という構成としてもよい。たとえば、時短回数25回が付与された場合は「設定6確定」、75回が付与された場合は「設定4以上確定」などである。このように、設定値に関連した天井特典決定方法は、設定推測要素という有益な情報を遊技者に与えることができるため、ハマリに遭遇した遊技者の遊技意欲を向上させる上で有用である。
(有限時短付与形態3)
(3)時短大当りによる平均時短回数Nとし、天井特典による平均時短回数Mとした場合、下記(式1)〜(式3)の関係を満たすように構成することができる。
(式1)「平均時短回数N<平均時短回数M」の関係を満たすように構成する。本実施形態の場合、大当りによる平均時短回数Nは75回であるので、天井特典による平均時短回数Mは、これよりも多い時短回数とする。本例の場合、通常の大当り当選よりも利益度合が相対的に高い天井特典となるため、大ハマリをして遊技意欲が著しく減退している遊技者にとっては、嬉しい特典になる。なお、平均時短回数Mは、無限回数としてもよい。平均時短回数Mを無限回数とする場合は上記「無限時短」を付与する場合と等価となる。
(式2)「平均時短回数N=平均時短回数M」の関係を満たすように構成する。この場合は、大当りによる利益度合(時短回数)と、天井特典による利益度合が同等となる。
(式3)「平均時短回数N>平均時短回数M」の関係を満たすように構成する。この場合は、天井特典による利益度合よりも大当りによる利益度合の方が相対的に低くなり、過度な特典付与とならないようにすることができる。
(有限時短付与形態4)
(4)上記(式3)と同じく、過度な特典付与とならないようにするという点に着目して、少なくとも「天井特典による時短回数≦大当りによる最大時短回数」の関係を満たす時短回数に定める。本実施形態であれば、天井特典による時短回数を、時短大当り1による「時短A」の時短回数以下、たとえば、100回、90回などである。また、大当りによる最小時短回数に着目して、「大当りによる最小時短回数≦天井特典による時短回数<大当りによる最大時短回数」の関係を満たす時短回数であってもよい。本実施形態であれば、天井特典による時短回数を、時短大当り2による時短Bの時短回数以上、時短大当り1による「時短A」の時短回数未満、たとえば、50回、60回などである。
(無限確変)
(C)「無限確変」とは、次回大当りまで確変状態を付与する特典である。なお、無限確変の場合、そのST回数は「回数制限無し(無限)」であるが、上記「無限時短」と同事象のように、実質的に次回大当りまでとなるST回数(たとえば、10000回や65536回)を付与してもよい。
(有限確変)
(D)「有限確変」とは、前述の無限確変とは異なり、適切な大当り当選率となるように、所定のST回数を限度に確変状態を付与するものである。たとえば、確変大当り1〜7と同じく、ST回数として、100回、75回、または25回などを付与する。勿論、確変大当り1〜7のST回数と同じ回数でなくてもよく、50回や150回などを付与してもよい。なお、上記「無限確変」における「実質的に次回大当りまで」となるST回数を付与する場合も、回数制限がある点で、この有限確変に属するものと言えるが、上記「無限時短」と同事象のように、無限確変に属するものとして扱ってもよいし、有限確変に属するものとして扱ってもよい(後述の無限潜確についても同様)。
(有限確変を付与する場合の具体例)
ここで、有限確変を付与する場合、上記「有限時短」の有限時短付与形態1〜4で説明した内容と同事象のように、下記のような天井特典付与形態(有限確変付与形態)1〜4とすることができる。なお、下記の有限確変付与形態1〜4は、上記「有限時短付与形態1〜4」で説明した「時短回数」を「ST回数」、「時短状態」を「確変状態」などに適宜読み替えた内容(概念)と実質的に同じであるため、説明の便宜上、重複記載を避けるために、その内容については適宜省略しながら説明する。
(有限確変付与形態1)
(1)大当りによるST回数(大当り当選に起因して付与されるST回数(確変状態)は複数種類(種類数A)あるが、天井特典によるST回数(確変状態)はそれよりも少ない種類(種類数B)とする。つまり「種類数B<種類数A」の関係を満たすように構成する。
本実施形態の場合、図4に示す通り、確変大当りに当選に起因して付与されるST回数(確変状態)は、100回(確変A)、75回(確変B)、25回(確変C)の3種類あるが、たとえば天井特典では、ST回数100回(確変A)の1種類だけを付与するように構成する。
(有限確変付与形態2)
(2)天井特典によるST回数(確変状態)の種類が複数ある場合、所定の抽選によりいずれかのST回数(確変状態)を決定する。この点ついては、上記有限時短における「(有限時短付与形態2)」で説明した「時短回数」を「ST回数」、「時短状態」を「確変状態」などに適宜読み替えた内容と実質的に同じである。
(有限確変付与形態3)
(3)確変大当りによるST回数の平均ST回数Nとし、天井特典による平均ST回数Mとした場合、下記(式4)〜(式6)の関係を満たすように構成することができる。この(式4)〜(式6)に関しても、上記有限時短における「(有限時短付与形態3)」で説明した(式1)〜(式3)の「時短回数」の文言等を「ST回数」の文言等に読み替えた内容と実質的に同じである。
(式4)「平均ST回数N<平均ST回数M」の関係を満たすように構成する。なお、平均ST回数Mは、無限回数としてもよい。平均ST回数Mを無限回数とする場合は、上記「無限確変」を付与する場合と等価となる。
(式5)「平均ST回数N=平均ST回数M」の関係を満たすように構成する。
(式6)「平均ST回数N>平均ST回数M」の関係を満たすように構成する。
(有限確変付与形態4)
(4)過度な特典付与とならないようにするという点に着目して、少なくとも「天井特典によるST回数≦大当りによる最大ST回数」の関係を満たすST回数に定める。本実施形態であれば、天井特典によるST回数を、確変大当り1などによるST回数以下、たとえば、100回、90回などである。また、大当りによる最小ST回数に着目して、「大当りによる最小ST回数≦天井特典によるST回数<大当りによる最大ST回数」の関係を満たすST回数であってもよい。本実施形態であれば、天井特典によるST回数を、確変大当り6などによるST回数以上、確変大当り1などによるST回数未満、たとえば、25回、50回、75回(ST75と同一ST回数)などである。
(無限潜確)
(E)「無限潜確」とは、次回大当りまで潜確状態を付与する特典である。なお、無限潜確の場合、そのST回数は「回数制限無し(無限)」であるが、上記無限時短や無限確変と同じように、実質的に次回大当りまでとなるST回数を付与してもよい。
(有限潜確)
(F)「有限潜確」とは、上述の無限潜確とは異なり、適切な当選率となるように、所定のST回数を限度に潜確状態を付与するものである。本実施形態では、潜確状態への移行契機となる潜確大当りは設けられていないが、仮に、確変大当りの一部が潜確大当りの場合には、有限確変で説明した有限確変付与形態1〜4と同様の構成(ST回数の付与に関する構成)とすることができる。この点については、有限確変(「確変状態」の文言を「潜確状態」の文言に適宜読み替えた内容)と実質的に同じ内容であるため、重複記載を避けるために詳細な説明は省略する。
(強制当り)
(G)「強制当り」とは、大当り抽選とは無関係に、強制的に大当り当選を付与するものである。「大当り抽選とは無関係」とは、大当り抽選自体を実行しないか、または、大当り抽選を実行してもその結果を無効扱いとして処理をする、という意味であり、大当り抽選が一切無関係であるという意味に限定されない。
強制当りによる大当りの種類は、確変大当り(有限確変大当り、無限確変大当り)、時短大当り(有限時短大当り、無限時短大当り)、または潜確大当り(有限潜確大当り、無限潜確大当り)のいずれであってもよい。また、最大ラウンド数またはラウンド遊技態様も適宜定めることができる。また、強制当り後の移行先遊技状態も適宜定めることができる。たとえば、図4に示す大当りが当選した場合と同じ移行先遊技状態(たとえば、時短A、時短B、または確変(ST)A〜C)であってもよく、上記天井特典にて説明した有限時短付与形態1〜4や、有限確変付与形態1〜4などと同様の遊技状態に移行させてもよい。
ただし、過度な特典付与とならないように、強制当りとしては、大当り抽選対象のうち、いずれかの大当り(本実施形態であれば、確変大当り1〜7および時短大当り1〜2のいずれかの大当り)とすることが好ましい。より好ましくは、全大当りよりも利益度合が高くならないようにする。ここでいう利益とは、「大当り遊技による利益」または「大当り遊技と移行先遊技状態とを含めた利益」を意味する。本実施形態であれば、少なくとも「強制当りによる利益≦確変大当り4(全大当り中、利益度合が最も高い大当り)による利益」の関係を満たすことが好ましい。
以上に説明した天井特典は、大当り抽選結果により付与される利益度合と同等または異なる利益を付与することができるため、ハマリ救済機能として有用である。
また上記では各種の天井特典について説明したが、いずれの天井特典を採用するかは自由である。また、天井特典は、性格の異なる特典を複数種類設けたり(たとえば、有限時短と有限確変など)、性格は同じであるが有利度(利益状態)が異なる特典(たとえば、時短回数100回の有限時短Aと時短回数50回の有限時短Bなど)を複数種類設けたりすることができる。この場合、どのような複数種類の天井特典(2以上の天井特典)を設けるかは、適宜定めることができる。たとえば、有限時短と有限確変とを設け、いずれの天井特典を付与するかを、所定の抽選により決定することができる。この場合、設定値によらず同じ抽選確率としてもよいが、上記「天井特典抽選」と同じように、設定値に応じた抽選確率を定めることが好ましい。具体的には、設定値が高くなるに従い、利益度合が相対的に高い特典(たとえば、有限時短と有限確変とを抽選する場合は「有限確変」側)が付与され易い構成や、反対に、設定値が高くなるに従い、利益度合が相対的に低い特典((たとえば、有限時短と有限確変とを抽選する場合は「有限時短」側)が付与され易い構成とすることができる。なお、強制当りの場合、先述の「性格の異なる特典を複数種類設ける」ケースには、たとえば「時短大当り、確変大当りおよび潜確大当りのうち少なくともいずれか2つを設ける」ケースなどがあり、「性格は同じであるが有利度(利益状態)が異なる特典を複数種類設ける」ケースには、たとえば「時短回数が異なる複数の大当り(時短大当り)を設けるケース」や「ST回数が異なる複数の大当り(確変大当りまたは潜確大当り)を設ける」ケースなどがある。
また、天井特典が付与された後は、その天井特典が消化されるまで、または大当りに当選するまで天井特典に係る遊技状態(遊技モード)に制御される。具体的には、有限時短、有限確変、または有限潜確などの“有限系特典”であれば、大当りに当選することなく、規定の時短回数やST回数が終了した場合か、大当りに当選した場合に通常モード(通常状態)に移行され、再度、天井発動契機(天井ゲーム)が到来するまで、天井特典は付与されない。一方、無限時短、無限確変、または無限潜確などの“無限系特典”であれば、次回大当りまでその特典状態が継続され、大当りの当選を以て、当該特典状態が終了されることになる。
なお、天井特典が有限確変の場合、ST75モードやST25モードのように、規定ST回数が終了した場合に時短状態(有限時短または無限時短)に移行させる「有限確変時短型」の天井特典であってもよい。この「有限確変時短型」としては、下記(甲)〜(丁)のタイプが含まれる。
(甲)規定ST回数(たとえば、75回)が終了すると、有限時短(たとえば、時短回数100回)に移行する「有限確変・有限時短」型の天井特典。
(乙)規定ST回数が終了すると無限時短に移行する「有限確変・無限時短」型の天井特典。
(丙)第1規定ST回数(たとえば、75回)が終了すると電サポ状態だけが終了し、第2規定ST回数(たとえば、100回)の有限潜確に移行する「有限確変・有限潜確」型の天井特典(第1規定ST回数と第2規定ST回数は同一回数であっても、異なる回数であってもよい)。
(丁)規定ST回数(たとえば、75回)が終了すると電サポ状態だけが終了し、無限潜確に移行する「有限確変・無限潜確」型の天井特典。
図7の天井モードの説明に戻る。ここでは、天井特典として「有限時短」(大当りによる最大時短回数の100回)を採用した構成を代表例として説明する。
天井モードは、天井特典に応じて、内部遊技状態が時短状態や確変状態などに関連した遊技モードとなるが、ここでは「有限時短」が付与される例について説明しているので、天井モードは、時短状態(YJ=01H)に関連する遊技モードとなる。ただし、天井モードでは、天井専用の変動パターンを選択させるべく、変動パターン選択モード(Tcode)が、専用の「06H」に更新される。ここで、天井到達時(天井ゲーム時)は、後述の「天井演出」の演出時間幅を確保するため、比較的長い変動時間の変動パターン(天井用変動パターン)が選択されるようになっている。本実施形態では、全遊技モード中(全変動パターン選択モード中)で、最長の変動パターンが選択されるようになっている(図26の「天井変動」の欄参照)。なお、天井用変動パターンは、「天井演出」の演出時間幅を確保できれば特に制限はないが、少なくとも通常モード中のSPリーチ以上(少なくとも疑似連無しSPリーチ以上)の変動時間を有する変動パターンを選択可能に構成することが好ましい。
なお、1000ゲーム目(天井ゲーム)も通常通り、大当り抽選は実行されるため、1000ゲーム目に大当りに当選した場合は、1000ゲーム目の終了後、通常通り、大当り遊技が開始されることになる。詳細は後述するが、本実施形態では、天井ゲームに大当りに偶々当選した場合には、天井機能の発動を制限(禁止)するようになっており(後述の図13の天井発動管理処理を参照)、天井特典が付与される場合は、1000ゲーム目が「ハズレ」の場合となる(小当りを設けている場合は、小当りまたはハズレの場合となる)。この点は、天井特典が有限時短の場合に限らず、無限時短、無限確変、有限確変、無限潜確、または有限潜確の場合も同様である。しかし、天井特典が「強制当り」の場合は、強制的に大当り当選状態に制御されるため、1000ゲーム目の大当り抽選自体を実行しないか、または、大当り抽選を実行してもその結果を無効扱いとし、天井用の大当りが当選したものとして処理すればよい。したがって、天井特典が「強制当り」の場合は、1000ゲーム目の終了後、通常の大当りが当選したときと同じように、天井用の大当りに係る大当り遊技(強制大当り遊技)が開始されることとなる。なお、強制大当り遊技中の当り中演出は、通常の大当りと同じ(時短大当り1および確変大当り1〜7のいずれかと同じ)であってもよいし、強制大当り専用の当り中演出を現出させてもよい。
(7−4−1.天井モード中の演出について)
天井モード中は、天井到達を報知するための演出(天井演出)が現出される「天井演出モード」に移行される。この天井演出モードは、天井(1000ゲーム目)専用の演出モードであり、本実施形態の場合、1ゲーム限り(1回転限り)の演出モードである。天井演出モードにおける演出例としては、たとえば、天井時の装飾図柄(天井用装飾図柄)が、少なくとも通常モード(1〜9の数字図柄)とは異なる装飾図柄が現出される。「少なくとも通常モードとは異なる装飾図柄」とした理由は、天井到達となるのは通常モードで大ハマリに遭遇した場合であり、長らく通常モードで現出されていた装飾図柄とは異なる装飾図柄を現出させ、天井到達を報知することが適切だからである。
天井用装飾図柄は、具体的には、特別なキャラクタやアイテムや文字を表示した専用図柄(天井用装飾図柄)であり、天井用装飾図柄は、演出的に、インパクトの強い図柄であることが好ましく、たとえば、図7の備考1に示す装飾図柄778(「天」「☆」「井」の装飾図柄)である。通常の装飾図柄列は、右図柄、中図柄、左図柄の3つであるが(図5参照)、天井用装飾図柄列は、必ずしも3つの図柄列でなくてもよい。たとえば、「天」「井」「到」「達」の4つの図柄列や、「天」「井」の2つの図柄列とすることができる。また、天井到達であることを強調するために、通常の装飾図柄より表示面積の大きい巨大装飾図柄、あるいは、所定のエフェクト画像を付したものを用いてもよい。また、天井ゲームに係る装飾図柄について、変動表示時は通常の装飾図柄を用い(全部または一部が同じ装飾図柄)、最終的に停止させる装飾図柄(装飾停止図柄)だけを天井用装飾図柄としてもよい。
また、装飾図柄の背景表示として、専用のキャラクタ画像777が現出される。このキャラクタ画像777は、天井ゲームに限り現出される特別な演出である。また、特徴的演出の一つとして、図柄変動表示ゲームの開始を契機に、右打ちを促す「右打ち指示画像779(発射誘導報知演出)」が現出されている点である。
右打ち指示画像779を現出する理由は、次の理由による。天井特典として有限時短が付与される場合(無限時短、有限確変、または無限確変が付与される場合も同様)、1000ゲーム目の開始を契機に「電サポ有り状態」が生起する。このため、右打ちが有利である旨を直ちに報知し、遊技者に不利益を与えないようにするためである。本実施形態では、図柄変動表示ゲームの開始と同時または略同時に、右打ち指示画像779が現出される。なお、天井時(1000ゲーム目)に「電サポ有り状態」が生起する点を考慮して、前兆モード中または一部の期間(たとえば、天井ゲーム直前のゲーム(前兆モード最終回目))において、まもなく「右打ち」となることを報知する演出(事前発射誘導報知演出)を現出させることが好ましい。
また、天井時(1000ゲーム目)の図柄変動表示ゲームで「ハズレ」の場合には、特定の予告演出を現出させないこと好ましい。たとえば、少なくとも高期待度予告演出は現出しない、または、疑似連、リーチ演出、および遊技者参加型演出のうちの少なくとも1つは現出しない。その理由は、天井時に、大当りの当選期待感を煽るような仰々しい予告演出は不要だからである。ただし、天井モード(天井ゲーム)専用の予告演出として、疑似連、リーチ演出、または遊技者参加型演出などを設ける場合は、この限りではない。しかしいずれにしても、当選期待感を煽るような予告演出は現出させないことが好ましいため、疑似連、リーチ演出、または遊技者参加型演出などの予告演出を現出させる場合は、他の演出モードで現出される演出態様とは異なる、天井専用の演出態様とすることが好ましい。また、天井到達の特典として、設定示唆演出を現出させてもよい。設定推測要素という有益な情報を遊技者に与えることは、ハマリに遭遇した遊技者の遊技意欲を向上させる上で有用だからである。なお、天井時に設定示唆演出を現出させる場合、その出現率を100%としてもよいし、所定の抽選により現出させてもよい。
一方、天井ゲーム(1000ゲーム目)で、偶々、大当りに当選となった場合、天井演出モードに係る演出を現出するのではなく、通常演出モード中(たとえば、一般モード中または前兆モード中)に係る大当り当選時に現出されうる予告演出を現出させるようになっている(図24の「天井」の欄参照)。天井ゲームで大当りとなった場合にも天井用の演出を現出させてしまうと、大当りであるのか天井特典が付与されるのか不明瞭になり、遊技者が混乱してしまうからである。
(7−5.天国モード)
天国モードは、天井ゲームの次ゲーム(1001ゲーム目)に移行される遊技モードであり、天井特典に応じて、内部遊技状態が時短状態や確変状態などに関連した遊技モードとなるが、ここでは「有限時短(時短回数100回)」が付与される例について説明しているので、天井モードは、時短状態(YJ=01H)に関連する遊技モードとなる。また、天国モード中は、天国専用の変動パターンを選択させるべく、変動パターン選択モード(Tcode)が、専用の「07H」に更新される。なお、この天国モードに移行する場合は、「強制当り」以外の天井特典(有限時短、無限時短、無限確変、有限確変、無限潜確、または有限潜確など)の場合となる。
天国モードは、大当りに当選した場合か、上記有限系の天井特典であれば大当りに当選することなく、規定の時短回数やST回数が終了した場合に終了される。ここでは、天井特典が「有限時短(時短回数100回)」として説明しているので、天国モードは、時短回数100回が終了した場合か、またはその時短回数消化中に大当りが当選した場合に終了されることになる。そして、天国モードが終了した場合は、通常モードに移行される。なお、天井特典が、有限確変または有限潜確の場合は、ST回数が終了した場合かまたはそのST回数以内に大当りに当選した場合に終了され、また、無限時短、無限確変および無限潜確の場合には、大当り当選した場合に終了されることになる。
(7−5−1.天国モードに係る変動状態)
ここで、天国モード中は、上記した高速変動状態、中速変動状態、低速変動状態など、いずれの変動状態を採用することができる。ただし、天井特典種別に応じて、天国モード中の変動状態を定めることが好ましい。たとえば、天井特典が有限時短または無限時短の場合は、時短モード中と同じく、「演出を楽しむ」といった遊技性に重きを置いた遊技モードとしての位置付けとすることが好ましい。すなわち、有限時短または無限時短付与時の天国モード中の変動状態を「天国モード中の変動状態<STモード中の高速変動状態」または「天国モード中の変動状態≦STモード中の中速変動状態」とすることが好ましい。ただし、無限時短付与時の場合は時短回数に制限が無い点を考慮し、高速変動状態としてもよい。
他方、有限確変または無限確変付与時の場合は、電サポ有り状態に加えて大当り抽選確率が高確率となることから、STモード中の高速変動状態と同一または略同一の変動状態とすることが好ましい。一方、無限潜確または有限潜確付与時の場合は、大当り抽選確率は高確率となるが電サポ無し状態下に制御されるため、通常状態と同じく、作動保留球が発生し難い状態となる。この点を考慮し、無限潜確または有限潜確付与時の場合は、通常モードと同一または略同一の変動状態か、少なくとも時短モードよりも遅い変動状態(平均消化時間が相対的に長い変動状態)とすることが好ましい。すなわち、「通常モード中の変動状態≦無限潜確または有限潜確中の変動状態<時短モード中の変動状態」を満たす関係にする。
(7−5−2.天国モード中の演出について)
天国モード中は、天国モードに関連する演出(天国用演出)をなす「天国演出モード」に移行される。この天国演出モードは、天井の次ゲーム以降(1001ゲーム目以降)専用の演出モードであり、天国モードの終了とともに終了される。この天国演出モード中は、背景表示を他の遊技モードとは異なる特殊な背景表示に切り替え表示され(たとえば、宇宙空間を表現した“宇宙背景画像”)、天国モード中であることを報知する。
なお、天井特典として、有限時短または無限時短を付与する場合は、天国演出モードとして、時短状態に関連する上記「時短演出モード(空戦モード)」を採用してもよい。
また、天井特典として、有限確変、無限確変、有限潜確、または無限潜確を付与する場合は、天国演出モードとして、確変状態に関連する上記「ST演出モード」を採用してもよい。この場合、上記ST演出モードと同じく、ST消化回数に応じて、異なるST演出モードに移行させる構成としてもよい。具体的には、ST消化回数に応じて、「ST演出序盤モード(水中音響戦モード)⇒ST演出中盤モード(水上戦モード)⇒ST演出終盤モード(陸戦モード)」のように演出モードを順次移行させることができる。なお、無限確変または無限潜確の場合はST回数の制限が無いため、ST101回目以降は、ST終盤演出モードをそのまま継続させてもよいし、別途の新たなST演出モード(ST継続演出モード)に移行させてもよい。また、ST101目にST演出序盤モードに戻り、再度「ST演出序盤モード⇒ST演出中盤モード⇒ST演出終盤モード」の移行をループさせてもよい。
また、天国演出モード中は、既に説明した「前兆演出モード」や「ST演出モード」の内容と同事象のように、ノーマル/シンプル/プレミアムモードのいずれかに切り替え可能に構成してもよいし、ノーマル/シンプル/プレミアムモード間の切り替えが不可能(切替不能状態下に制御する)な構成としてもよい。
また、大ハマリをした遊技者の救済措置の一環として、天国モード中は、他の遊技モードよりも設定示唆演出の出現率を高確率としてもよい。たとえば、天国モードは、少なくとも通常モード(一般モードおよび/または前兆モード)よりも設定示唆演出(図柄変動表示ゲーム中に出現しうる設定示唆演出)の出現率を高確率となるように構成することができる。特に、天井特典が電サポ有り状態を伴う特典(無限潜確および有限潜確以外の天井特典)の場合、天国モード中は高ベース状態下に置かれるため、遊技者は自身の持ち玉(遊技者が保有する遊技媒体やそれに準ずる遊技価値など)をあまり減らすことなく、または現状を維持したまま、遊技を進行させることができる。そのため、遊技者の中には「設定示唆演出を見るまでは、多少のハマリを食らってもよい」という具合に、通常モードとは逆に、寧ろハマリを食らうことで、有利な情報を知得したいと欲する遊技者も多いと考えられる。このような点を考慮し、天国モード中は設定示唆演出の出現率を高確率に変動させ、「設定示唆出現チャンスゾーン」として機能させることが好ましい。これにより、ハマリ後の遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
<8.遊技進行形態について:図6、図7>
次に図6および図7を用いて、遊技モード移行制御と演出面とに着目しながら、遊技機1に係る具体的な遊技進行形態について説明する。
なお、遊技者がどのような打ち方をすれば有利な状況となるかについては、基本的には、内部遊技状態に応じて変化する(遊技モードに着目した場合には、内部遊技状態に関連する遊技モードに応じて変化する)。既に説明したように、通常状態(通常モード)であれば、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利とされ、確変状態(STモード)または時短状態(時短モード、天井モード、天国モード)であれば、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされる。以下では、遊技者が遊技状態に応じた有利な打ち方に従うものとして説明し、特段断りのない限り、左打ち有利(通常状態)の場合には“特図1側の図柄変動表示ゲーム1”が実行され、右打ち有利(確変状態、時短状態)の場合には“特図2側の図柄変動表示ゲーム2”が実行されるものとして説明する。また、遊技モードは、初期の遊技モードである「通常モード」から開始されるものとして説明する。
通常モード中に大当りに当選した場合には、いわゆる「初当り」となり、当選した大当りに応じた大当り遊技が開始される(図6の「初当り」のブロック枠参照)。大当り中の打ち方は、大入賞口50側に狙いを定める「右打ち」となる。
演出面に着目して説明すれば、通常モード中に、確変大当り1(5R確変ST100:特図1側最高利益大当り)に当選した場合、装飾図柄が「7図柄揃い(777)」で停止して、最高利益をもたらす大当りに当選したことが報知される。確変大当り1当選時の当り中演出は、STモード突入を確定的に報知する「ST突入確定演出」が現出されるとともに、ST100モードへの移行確定が報知される。そして、当該大当り遊技後は、ST100モードに移行される。
一方、通常モード中に、確変大当り2、3、時短大当り1、2に当選した場合には、装飾図柄が「7図柄揃い」以外で停止し、今回の図柄変動表示ゲームにおいて、確変大当りであるか、時短大当りであるかは報知されない。「7図柄揃い」以外で停止した場合は、その後の大当り遊技中の当り中演出で、遊技者参加型演出の「ST突入チャレンジ演出」が展開され、この演出結果により、大当り種別が報知される。このST突入チャレンジ演出において、成功演出が現出された場合は確変大当り、失敗演出が現出された場合は時短大当りである旨が確定的に報知される。また、成功演出には「大成功演出」と「通常の成功演出」の2種類が用意されており、「大成功演出」が現出された場合は確変大当り2(ST75モード)に当選した旨が、「通常の成功演出」が現出された場合は確変大当り3(ST25モード)に当選した旨が報知される。他方、失敗演出には「大失敗演出」と「通常の失敗演出」の2種類が用意されており、「大失敗演出」が現出された場合は時短大当り2(時短B:時短50回)に当選した旨が、「通常の失敗演出」が現出された場合は時短大当り1(時短A:時短100回)に当選した旨が報知される。
確変大当り1〜3に当選した場合は、その大当り遊技後、対応するSTモードに移行され(図6のSTモードのブロック枠参照)、時短大当り1〜2に当選した場合は、その大当り遊技後、時短モードに移行される(図6の時短モードのブロック枠参照)。そして、STモード中および時短モード中は、上記したように「右打ち有利」となり、特図2側の図柄変動表示ゲーム2が実行される。特図2側で大当り当選した場合は、図4に示す通り、すべて確変大当りであるので、STモード中または時短モード中に大当り当選し続ける限り、STモードがループして、遊技者に大きな利益をもたらすようになっている。
STモード中に確変大当り4〜7のいずれかに当選した場合は、その大当り種別に応じた装飾図柄が停止表示される。たとえば、特図2側の最高利益大当り(全大当り中最高利益の大当り)の「確変大当り4(10R確変ST100)」に当選した場合には、通常モードでは表示されない特別な装飾図柄(たとえば、数字図柄ではなく、キャラクタを表示した図柄など)が停止して、当該大当り当選を祝福する。また、確変大当り4(10R確変ST100)よりも利益度合が低いが、確変大当り6(7R確変ST25)よりも利益度合が高い「確変大当り5(7R確変ST75)」に当選した場合には「奇数図柄揃い」が停止し、最も利益度合の低い「確変大当り6(7R確変ST25)」に当選した場合には「偶数図柄揃い」が停止するようになっている。なお、大当り遊技中は、大当り種別に応じた当り中演出が現出される。
(「確変大当り7(特殊7R確変)」に当選した場合について)
ただし「確変大当り7(特殊7R確変)」に当選した場合は、所定の確率で「奇数図柄揃い」または「偶数図柄揃い」が停止表示されるようになっている。偶数図柄揃いが停止することに当選した場合は、その後の大当り遊技中において上記確変大当り5(7R確変ST25)および/または確変大当り6(7R確変ST75)と少なくとも一部が共通する当り中演出を現出させ、その当り中演出の所定のタイミング、たとえば、特定のラウンド中演出やエンディング演出中に、確変大当り7当選に関する情報(たとえば、STモード(ST100モード)への突入確定)が報知(昇格報知)される。これにより、たとえ「偶数図柄揃い」が停止しても、高利益が期待できるST100モードへの突入可能性を残すようにし、当り中演出にて、STモード突入期待感を煽ることができるようになっている。
しかし、当り中演出にて、上記昇格報知を行わずに、演出上、確変大当り5(7R確変ST25)および/または確変大当り7(7R確変ST75)と共通(同一)の当り中演出を現出させて、確変大当り7(特殊7R確変)当選を秘匿し、大当り遊技後のSTモード中において、確変大当り7(特殊7R確変)当選を報知してもよい。
STモード(ST演出モード)中に上記昇格報知を行う場合は、ST序盤モードが終了するまで(ST回数25回が終了するまで)の期間中であればよいが、ST序盤モード終了ゲーム(ST中25回転目)中に報知することが好ましい。具体的には、第1ST回数(たとえば、確変大当り5当選によるST25回)または第2ST回数(たとえば、確変大当り7によるST100回)のうちいずれか少ない回数に達するまで(たとえば、ST中のゲーム数が25回に達するまで)、第1当り(たとえば、確変大当り5)であるか第2当り(たとえば、確変大当り7)であるかを直接的に示す表示を行わないように表示制御可能な構成である。しかしこのような報知タイミングに限らず、たとえば、上記昇格報知のタイミングを、ST序盤演出モードが終了した次ゲームの開始時またはST中盤モード中の所定のタイミングとしてもよい。また、ST序盤演出モード中で第1昇格報知を行い、ST中盤演出モードで第2昇格報知を行う「ステップアップ」的な昇格報知を行ってもよい。この場合の第1昇格報知はST75モード突入以上が確定的であることを報知する昇格報知であり、第2昇格報知はST100モード突入を確定的に報知する昇格報知である。このようにすれば、大当り遊技中〜STモード中の長期間にわたって、当選した大当り種別が、確変大当り5〜7のいずれかであるかの緊張感を持続させることができる。換言すれば、ST100モードへの移行期待感を持続させることができる。なお、当り中演出中に昇格報知するか、STモード中に昇格報知するかについては、大当り遊技開始時の当り中演出シナリオを決定する際のシナリオ抽選などにより決定することができる。
(天井モードへの移行)
また、通常モードにおいて、989ゲーム目まで大当りに当選しなかった場合、990ゲーム目から「前兆モード」に移行される(図7の前兆モードのブロック枠参照)。そして、前兆モード中にも大当りに当選できずに1000ゲーム目に到達した場合(天井到達)、「天井モード」に移行し、天井機能が発動する。本実施形態では、ハズレ時の場合に、天井特典の「有限時短」が付与され、1001ゲーム目以降は、天国モードに移行されることになる。
<9.前兆モード中の特定予告演出禁止機能について:図32>
ここで本実施形態では、前兆モード中に、特定予告演出禁止機能(特定予告演出禁止手段)が働く。詳しくは、前兆モードが天井間近の報知に係る遊技モードである点や、天井モードが天井特典付与に係る遊技モードである点に着目して、前兆モード(前兆演出モード)や天井モード(天井演出モード)では、特定の予告演出の現出を禁止する。本実施形態の場合、その禁止機能として、先読み予告の実行を禁止する「前兆中先読み予告禁止手段(特定先読み予告禁止手段)」を設けてある。以下、図32を用いて、「前兆中先読み予告禁止手段」について詳細に説明する。
図32は、前兆中先読み予告禁止手段により先読み予告が禁止される場合の説明に供する説明図である。図32では、前兆中先読み予告禁止手段による禁止対象として「保留変化予告」を扱った形態について説明するが、本発明はこれに限らず、当該禁止対象として「保留変化予告」および/または「変動中先読み予告」とすることができる。
(A.前兆中先読み予告禁止手段を設けない構成(通常のケース):図32(イ))
図32(イ)を参照して、「通常のケース」について説明する。この「通常のケース」とは、前兆中先読み予告禁止手段を設けない構成を示すものであり、後述の前兆中先読み予告禁止手段を設けた構成(同図(ハ−1)(ハ−2))との比較例として示したものである。なお、図示の保留アイコン770は「通常保留表示(白色保留)」であり、保留アイコン771は特別保留表示(通常の保留変化予告)のうちの「高期待度保留表示」であり、保留アイコン772は「天井用保留表示(天井用保留変化予告)」を示す。また、保留アイコン771は、ここでは、特別保留表示のうち、大当り当選時に現出されうる「虹色保留(当確保留表示)」を示してある。
また図(イ)は、説明の便宜上、997〜999ゲーム目の3個の作動保留球が現存する場合に、4個目の作動保留球として、1000ゲーム目(天井ゲーム)に係る作動保留球(以下、「天井ゲーム保留球」と称する)が発生したケースを代表的に示したものである。
図(イ)に示す比較例の場合は「前兆中先読み予告禁止手段」を設けていない構成のため、天井ゲーム到達前の特別保留表示(以下「通常の保留変化予告」と称する)の有無にかかわらず、1000ゲーム目の保留表示が天井用保留表示(天井用保留変化予告)の実行が許容されることになる。ここで、天井用保留表示を“許容する”とは、必ず現出される場合と、所定の抽選に当選した場合に現出される場合のいずれでもよい、という意である(後述の(ロ)(ハ−1)(ハ−2)についても同様)。したがって、この比較例の場合は、3個目の虹色保留(当確保留)の保留変化予告があっても、4個目の天井ゲーム保留球の保留表示が藤丸くんの保留アイコン772(天井用保留表示)に変更されうる。
しかし、天井到達前に大当りに当選した場合には天井機能が発動しないため(天井ゲーム数がリセットされる)、天井用保留表示を実行する必要性に乏しいといえる。また、当選期待度を予告する保留変化予告(特別保留表示)と、天井ゲームであることを予告する天井用保留変化予告(天井用保留表示)とが同時に表示されてしまうと、性格の異なる予告表示が同時に出現することになり、かえって遊技者を混乱させてしまう恐れもある。そこで本実施形態では、前兆中先読み予告禁止手段を設けて、これらの問題点を解決している。
(B.前兆中先読み予告禁止手段を設けた構成例:図32(ロ)、(ハ−1)、(ハ−2))
以下、上記「前兆中先読み予告禁止手段」を設けた構成例について説明する。これには、図(ロ)に示す「通常の先読み予告を優先実行するケース」と、図(ハ−1)(ハ−2)に示す「天井用先読み予告を優先実行するケース」の形態がある。
(通常の先読み予告を優先実行するケース:図32(ロ))
図32(ロ)は、「通常の先読み予告を優先実行するケース」、具体的には、「天井ゲーム到達前に当確保留が存在する場合、天井用先読み予告を禁止するケース(天井ゲーム保留球を対象とした先読み予告禁止するケース)」を示したものである。ここでは上記図(イ)のケースと同様に、3個目の作動保留球が「当確保留」である場合を示してある。
本例の場合、天井ゲーム到達前に当確保留が存在するときは、1000ゲーム目(天井ゲーム)の保留表示が天井用保留表示(天井用保留変化予告)に変更されずに「通常保留表示」が現出される。つまり、前兆中先読み予告禁止手段による「先読み禁止対象保留」を“天井ゲーム保留球”とする構成である。
先読み禁止対象保留を“天井ゲーム保留球”とする理由は、次の通りである。天井ゲーム前に当確保留が存在する場合は、天井機能が発動される前に(天井特典付与前)大当りに当選となってしまうため、天井用保留表示を現出する必要性に乏しい。また、当確保留が存在する場合に天井用保留表示を禁止する構成とした場合、1000ゲーム目の保留表示が通常保留表示のままであれば「天井ゲーム到達前に当確保留がある」という推測要素を与えることができ、これを知る遊技者は、天井到来まで無駄打ちを防止することができる、という演出的メリットもある。ただし、当確保留が存在する場合に天井用保留表示を一切禁止するのではなく、当確保留に係る保留変化予告(虹色保留)が現出されていない場合、つまり、当確保留を対象とした先読み予告抽選が「ハズレ」となった場合には、天井用保留表示を現出(許容)してもよい。当確保留に係る保留変化予告が現出されていない場合には、遊技者は天井ゲーム到達前に当確保留が存在することを知ることができないが、たとえ、天井用保留表示が現出されていたとしても、天井ゲーム到達前に大当りに当選した場合には、遊技者にとって特に不利益とはならならないからである。なお、当確保留に係る保留変化予告(虹色保留)が現出されている場合に天井用保留表示の現出を禁止するのではなく、高期待度保留変化予告以上(たとえば、緑色保留以上)の保留変化予告が現出されている場合に天井用保留表示の現出を禁止する構成としてもよい。
(天井用先読み予告を優先実行するケース:図32(ハ−1)(ハ−2))
次に、「天井用先読み予告を優先実行するケース」について説明する。
図32(ハ−1)は「天井用先読み予告を優先実行するケース」の例として、
(α)“前兆モード中において、通常の先読み予告の一部を禁止する一方、天井用保留変化予告(天井用保留表示)は許容する”という構成例と、
(β)“前兆モード中において、通常の先読み予告を全面的に禁止する一方、天井用保留変化予告(天井用保留表示)は許容する”という構成例とを示したものである。
この図(ハ−1)に示す構成例は、上記図(ロ)のように、先読み禁止対象保留を「天井ゲーム保留球」とするのではなく、先読み禁止対象保留を「前兆ゲーム中に消化される作動保留球」だけとし、天井ゲーム保留球を禁止対象から除外する構成例である。
上記(α)における「通常の先読み予告の一部を禁止する」とは、たとえば、通常の保留変化予告(特別保留表示)のうち、低期待度保留変化予告の現出は許容する一方、高期待度保留変化予告の現出は禁止する、という構成である。具体的には、下記の構成1、2などである。
(構成1)黄色保留以下の保留変化予告(青色保留と黄色保留)の現出は許容し、当該黄色保留よりも当選期待度が高い緑色以上の保留変化予告(緑色保留、赤色保留および虹色保留)の現出は禁止する構成。
(構成2)当確以外を示す保留変化予告(虹色保留以外の保留表示)の現出は許容し、当確を示す保留変化予告保留の現出は禁止する構成。
上記「構成1」は、当確保留の場合に緑色や赤色や虹色などの高期待度保留変化予告だけを禁止対象とするものである。他方、上記「構成2」は、高期待度保留変化予告のうち、当確保留表示の「虹色保留」だけを禁止対象とするものである。したがって、構成2の場合は、当確を示す「虹色保留」以外の保留変化予告の生起は許容される。
上記(β)における「先読み予告を全面的に禁止する」とは、通常の先読み予告(ここでは、保留変化予告)は一切禁止し、天井用保留変化予告(天井用保留表示)の現出は許容する、という構成である。したがって、上記(β)の構成の場合は、前兆モード中において通常の先読み予告は一切現出されず、天井用保留変化予告(天井用保留表示)の現出だけが許容されることになる。
図(ハ−1)(上記(α)または(β))のようにするのは次の理由による。通常の保留変化予告(特別保留表示)の現出を無闇に許容してしまうと、通常の保留変化予告と、天井用保留表示とが同時に表示されてしまい、保留表示に関して、遊技者(特に、遊技初心者)の混乱を招来してしまう。特に、高期待度保留変化予告と天井用保留変化予告とが混在してしまうと、遊技者の混乱度合が増してしまう。したがって、先読み予告自体を禁止するか、少なくとも高期待度保留変化予告を禁止することが好ましい。また、前兆モード中に先読み予告を一部または全部を禁止する場合には、遊技者は、天井ゲーム到達前に当確保留の存在または存在する可能性が高いことが分からないが、たとえ、そのようことを示す高期待度保留変化予告が現出されていないとしても、天井ゲーム到達前に大当りに当選した場合には、遊技者にとって特に不利益とはならならないからである。また、前兆モード中の先読み予告自体を全面的に禁止する場合は、演出制御負担の軽減にも繋がる。
図(ハ−2)は、上記図(ハ−1)とは異なり、前兆モード中の一部の期間を先読み禁止区間として定めることにより、天井用保留変化予告を優先実行する構成例である。図(ハ−2)は、代表例として、天井ゲーム前の最大保留球数分(996〜999ゲーム目の区間)を、先読み禁止区間に定めた例を示してある。本例の場合は、996〜999ゲーム目の区間は、先読み予告が一切禁止される。ただし、当該区間において先読み予告を一切禁止するのではなく、上記図(ハ−1)の(α)のように、「先読み予告の一部を禁止する」構成としてもよい。
なお、図32の(イ)、(ロ)、(ハ−1)および(ハ−2)のいずれも、上記「カウントダウン表示(残余天井回数表示演出)」などの特定報知演出により、天井ゲーム数までの残余ゲーム数を報知可能に構成することができる。ここで、カウントダウン表示自体は、当選期待度を予告するものではなく、単に、残り天井ゲームを報知するだけであり、先読み予告のような予告機能を果たすものではない。しかし、カウントダウン表示の演出態様を利用して当選期待度を予告する、つまり、当確保留の存在可能性を報知してもよい。たとえば、図(ハ−1)または(ハ−2)の天井用先読み予告を優先実行するケースにおいて、当確保留(3個目)よりも時系列的に先に発生した作動保留球(1〜2個目)が消化されるごとに、通常のカウントダウン表示(当確保留が存在しない場合の表示態様)とは異なる特別なカウントダウン表示(たとえば、表示色の違いや表示の大小の違い)を行い、当確保留の存在を示唆してもよい。たとえば、通常のカウントダウン表示が白色の数字画像を用いたものである場合、特別なカウントダウン表示は、その数字画像が白色以外の色(赤色)に変化する、あるいは、数字画像が巨大化するなどである。
本実施形態は、先読み予告に関して、たとえば下記の構成を含むことができる。
始動条件が成立したことに基づいて(始動手段が遊技球を検出したことを契機に)、所定の遊技情報を取得する取得手段(図10のS301、S302、図11のS314)と、
上記取得手段により取得された遊技情報に基づき、当りに関する抽選を実行する抽選手段(図12のS410)と、
図柄の変動表示動作を行い、図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段(特別図柄表示装置38、図10のS309)と、
上記取得手段により取得された遊技情報を、上記図柄表示手段における遊技図柄の変動表示動作に供されるまで、あらかじめ定めた最大保留記憶個数を上限として保留記憶する保留記憶手段(RAM203の保留記憶エリア、図10のS311〜S314)と、
上記保留記憶に基づく上記遊技図柄の変動表示動作が実行される前に、少なくとも上記抽選手段による抽選結果を先読み判定する先読み判定手段(図11のS318)と、
上記先読み判定手段による先読み判定結果に関連する情報を報知する先読み予告を実行制御可能に構成された先読み予告演出制御手段(演出制御部24、図19のS1008)と、
所定の禁止条件に基づき、上記先読み予告の実行(表示)を禁止する先読み予告禁止制御手段(図32)と、
所定の付与条件に基づき、通常状態よりも有利な天井特典を付与する(天井特典を実行制御する)天井特典制御手段(図7、図12のS420、S421、S412、図13〜図15など)と、
上記天井特典が付与されること(たとえば、天井ゲームが間近であること、または現存する作動保留球数内で天井特典が付与されること、あるいは、対象の作動保留球に係る図柄変動表示ゲームが実行された場合に天井特典が付与されることなど)を事前報知する天井前報知演出(たとえば、図32の天井保留変化予告(天井用保留表示))を実行制御する天井特典事前報知制御手段と、を備え、複数種類の遊技状態(遊技モード)を制御可能に構成することができる。上記先読み予告禁止手段は、特定の遊技モード中の全期間または一部の期間で上記先読み予告の実行を禁止する(図32(ロ)(ハ−1)(ハ−2))。特定の遊技モードは、たとえば、天井ゲーム到達前(天井モード移行前)の遊技モードであり、具体的には、天井ゲーム到達直前(天井モード移行直前の遊技モード)の前兆モードが該当する。また、上記天井特典制御手段は、具体的には、所定の開始条件が成立した後(たとえば、電サポ終了後または大当り遊技後あるいは、低確率状態を伴う遊技状態に移行後など)、当り遊技が発生されずに(または大当りに当選することなく)、低確率状態を伴う遊戯状態で実行された図柄の変動回数(ゲーム数)が所定の上限回数(天井ゲーム数)に達した場合に通常遊技状態よりも遊技者に有利な天井特典(特典遊技状態)に制御する機能部として働く。
(潜確状態に係る遊技モード)
なお、潜確状態を設ける場合は、たとえば、図28に示すように、他の遊技状態に対応する変動パターン選択モード(Tcode)と遊技状態判定番号YJとは異なるデータ値を定めればよく、潜確状態に対応した遊技モードとして「潜確モード」、潜確モードに関連する演出モードとして「潜確演出モード」を設ければよい。また本実施形態に係るSTモードはすべて「確変状態」に対応する遊技モードであるとして説明したが、STモードの全部または一部を「潜確状態」に対応する遊技モードと扱うことができる。なお、潜確モード(潜確状態)下の変動状態は、上記「(7−5−1.天国モードに係る変動状態)中の“無限潜確または有限潜確付与時の場合”」で説明したのと同様に、通常モードと同一または略同一の変動状態か、少なくとも時短モードよりも遅い変動状態(平均消化時間が相対的に長い変動状態)とすることが好ましい。
<主制御部側の処理:図8〜図18>
次に図8〜図18を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、無限ループ状のメイン処理(主制御側メイン処理:図8)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図9)とを中心的に構成される。
<12.主制御側メイン処理:図8>
図8を参照して、主制御部20側のメイン処理(主制御側メイン処理)について説明する。
図8は、主制御側メイン処理の詳細を示すフローチャートである。主制御側メイン処理の開始契機には、停電状態や電源異常などからの復旧時におけるシステムリセットが生起した場合や、制御プログラムが暴走したことにより、ウォッチドッグタイマ(WDT)機能が発揮されてCPUが強制的にリセット(WDTリセット)された場合などがある。いずれの場合でも、主制御側メイン処理が開始されると、主制御部20(CPU201)は、まず、電源投入時処理の一環として、遊技動作開始に必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。
ステップS011の初期設定処理を終えると、次いで、設定値を変更可能な設定変更モード移行状態であるか否かを判定する(ステップS014)。本実施形態の場合、遊技機1への電源オフおよび扉開放(扉開放センサ61がON(開放検出))の状態において、設定キースイッチ94(設定変更モード側に操作)およびRAMクリアスイッチ98をON操作したまま(設定キースイッチ信号と、RAMクリア信号とが共にON)、遊技機1への電源を投入すると、現在の設定値が設定表示器97に表示され、設定変更操作中であるとして、設定値の変更操作が可能な設定変更許容状態(設定変更モード移行状態)に制御されるようになっている。
設定変更モード移行状態である場合(ステップS014:YES)、設定値(1〜6段階)の変更操作を管理する設定変更処理を実行する(ステップS023)。設定変更処理では、まず、RAM203の設定値格納領域をクリアし、設定変更操作に係る設定変更スイッチ95のON/OFF操作を監視する。設定値の変更は、ホール関係者などが、設定変更スイッチ95を操作することにより、設定1〜6のいずれかの設定値に変更可能となっており、設定変更完了スイッチ96をOFF操作することにより設定値が確定される。CPU201は、設定値が確定されたことを確認すると、その設定値データをRAM203の設定値格納領域に格納し、設定変更処理を抜ける。そして、処理状態を後述の領域内RAMクリア処理(ステップS031)に移行させる。なお、設定変更スイッチ95を設けずに、RAMクリアスイッチ98を設定変更用スイッチとして機能させることができる(RAMクリアスイッチ98が設定変更スイッチ95の機能を兼用する構成)。また、設定変更完了スイッチ96を設けずに、設定キースイッチ94を設定変更完了用スイッチとして機能させることができる(設定キースイッチ94が設定変更完了スイッチ96の機能を兼用する構成)。この場合、設定キースイッチ94をOFFにすることにより、設定変更操作を終了させることができる。
一方、設定変更モード移行状態でない場合(ステップS014:NO)、RAMの内容をチェックして異常の有無を判定する(ステップS015)。ここでは、上記設定値格納領域に格納されている設定値が正常値であるか否か(設定1〜6のいずれかを示す値が格納されているか否か)、バックアップ時のチェックサム値が正常値であるか否かをチェックする。RAMの内容に異常がある場合(ステップS015:YES)、RAMエラーに係る後述の電源再投入待ち処理(ステップS020)を実行する。
RAMの内容に異常がない、つまり正常である場合(ステップS015:NO)、次いで、バックアップフラグBFがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS016)。このバックアップフラグBFは、後述する電源異常チェック処理(図9のステップS081)の処理にて、正常にバックアップ処理が実行された場合に「5AH(正常値)」が領域内RAMのBFフラグ格納領域に設定される。したがって、正常時であれば、バックアップフラグBFが5AHのはずである。しかし何らかの不具合が生じてバックアップフラグBFが正常値(≠5AH)でない場合もありうる。そこで、バックアップフラグBFがON状態でない場合(ステップS016:NO)、電源再投入待ち処理を実行する(ステップS020)。
この電源再投入待ち処理では、RAMエラー時の処理として、遊技処理の進行を強制的に停止する制御処理が実行されるようになっている。この電源投入待ち処理は、上記ステップS015のRAM異常時にも実行される処理となっている(ステップS15:YES)。この電源再投入待ち処理が実行される場合、遊技機1の電源を再投入して、その再投入時に設定変更移行モード状態に設定して、上記設定変更処理(ステップS023)が実行されない限り、RAMエラー状態が解消できないようになっている。本実施形態では、上記設定変更処理(ステップS023)と、後述の領域内RAMクリア処理(ステップS031)とが実行されることにより、RAM203の全領域(ただし、性能表示に関するRAM領域(領域外RAM領域)は除く)がクリアされ、RAMエラーが解消される。
バックアップフラグBFがON状態である場合(ステップS016:YES)、RAMクリアモード移行状態であるか否かを判定する(ステップS025)。このRAMクリアモード移行状態には、RAMクリア操作をした場合、具体的には、遊技機1への電源オフの状態において、設定キースイッチ94をOFF操作し(設定変更モード側に操作しない)、RAMクリアスイッチ98をON操作した状態で(設定キースイッチ信号OFF、RAMクリア信号ON)、遊技機1への電源を投入した場合に移行される。
RAMクリアモード移行状態である場合(ステップS025:YES)、領域内RAMクリア処理を実行する(ステップS031)。領域内RAMクリア処理では、RAM203の記憶領域のうち、少なくとも、上記性能表示に係るRAM領域と、上記設定値格納領域とを除く記憶領域がクリアされる。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグBFの値やチェックサム値などは、本処理において、共にゼロクリアされる。またここでは、RAMクリア時に必要な各種のコマンド(たとえば、RAMクリアされた旨を示す「RAMクリアコマンド」、「客待ち中コマンド」など)を演出制御部24に送信する。演出制御部24がRAMクリアコマンドを受けると、RAMクリアを報知する初期化報知演出を実行し、初期状態の演出モードとして、演出モードを「通常演出モード」に設定する。具体的には、遊技モードは初期モードの通常モードに設定し、演出モードも通常モード対応の通常演出モード(通常A〜通常C演出モードのいずれかの演出モード(たとえば、ノーマルモード)に設定する。
ステップS031の領域内RAMクリア処理を終えると、次いで、RAMクリア時の初期設定処理(電源投入時初期データ設定処理)を実行する(ステップS032)。電源投入時初期データ設定処理では、たとえば、RAMクリア信号(セキュリティ信号の一つ)の送信用タイマに30000msをセットし、特別図柄表示装置38a、38bに表示する特別図柄(特図1停止図柄、特図2停止図柄)データとして、ハズレ図柄データを設定する。そして、後述のCTCの設定処理(ステップS036)を実行する。
ステップS025の説明に戻り、RAMクリアモード移行状態でない場合(ステップS025:NO)、次いで、設定確認モード移行状態であるか否かを判定する(ステップS026)。この設定確認モード移行状態には、設定確認操作をした場合、具体的には、遊技機1への電源オフの状態において、設定キースイッチ94をON操作し、RAMクリアスイッチ98をOFF操作した状態で(設定キースイッチ信号ON、RAMクリア信号OFF)、電源ONをした場合に移行される。上記「設定確認操作」とは、たとえば、ホール関係者などが現在の設定値を確認する場合に行う操作である。
設定確認モード移行状態である場合(ステップS026:YES)、現在の設定値を確認可能な設定確認状態に制御するための設定確認処理(ステップS027)が実行され、設定確認処理を終えると、続いて、電断時にバックアップされたバックアップデータから遊技処理を復帰させるバックアップ復帰処理(ステップS028)と実行する。設定確認処理では、設定表示器97に、現在の設定値を表示(設定確認表示)させるための表示処理を行う。この設定値の表示は、設定キースイッチがOFF操作されることで終了される。設定キースイッチ94がOFF操作された後は、上記バックアップ復帰処理を行い、後述のCTCの設定処理(ステップS036)を実行する。
設定確認モード移行状態でない場合(ステップS026:NO)、つまり、単に遊技機1に電源を投入した場合は、上記バックアップ復帰処理(ステップS028)を行い、バックアップデータに基づき、バックアップ時の遊技処理を復帰させる。
上記した設定変更処理(ステップS023)、領域内RAMクリア処理(ステップS031)、設定確認処理(ステップS027)、およびバックアップ復帰処理(ステップS028)のいずれかの処理を実行した後は、CTCの設定処理を実行する(ステップS036)。ここでは、4ms毎に定期的にタイマ割込みを発生させるためのCTCの設定処理を実行する。これにより、以後、割込コントローラへの割込要求信号が定期的に出力され、図9に示す主制御側タイマ割込処理(4ms割込み処理)が実行される。
そして、遊技開始可能状態が整ったとして、発射装置32の発射動作を許可する発射制御信号(発射許可信号ES)をOFF状態(発射禁止状態)からON状態(発射許可状態)に設定し、遊技開始コマンドを演出制御部24に送信する。これにより、発射装置32からの遊技球の発射動作が許容される。また、演出制御部24が上記遊技開始コマンドを受けると、可動体役物に関する初期動作(イニシャライズ動作)を実行する。ただしイニシャライズ動作中は、液晶表示装置36の画像表示態様、装飾ランプ45の発光態様、スピーカ46からの音出力については変化しない。ここでのイニシャライズ動作は、専ら、可動体役物に関する電源投入時の動作チェックである。
上記一連の電源投入時処理を終えると、通常の遊技進行に係るステップS040〜S045の無限ループ処理を実行する。これにより、遊技の進行が可能な遊技開始可能状態下に制御される。ループ処理に入ると、まずCPUを割込み禁止状態に設定した状態で(ステップS040)、各種乱数更新処理を実行する(ステップS041)。この各種乱数更新処理では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種のソフトウェア乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している乱数)を更新する。たとえば、図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数、補助当りの図柄抽選に利用される普通図柄判定用乱数)の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数など)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数などを更新する。
上記各種乱数更新処理(ステップS041)を終えると、次いで、領域外プログラムの性能表示モニタ集計除算処理を実行する(ステップS043)。この性能表示モニタ集計除算処理では、性能表示器99に表示するベース値の算出に必要な処理を実行する。
上記ステップS043の性能表示モニタ集計除算処理を終えると、割込み許可状態に設定して(ステップS045)、ステップS040の処理に戻り、以後、ステップS040〜S045の処理を繰り返し実行する(メインループ処理)。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理と性能表示モニタ集計除算処理とを繰り返し実行するようになっている。
<13.主制御側タイマ割込処理:図9>
次に図9を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図9は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図9において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容を保存することなく、直ちに電源異常チェック処理を実行する(ステップS081)。この電源異常チェック処理では、不図示の電源基板から供給されている電源レベルを監視し、電断などの電源異常が生じた場合には、バックアップフラグBFの設定(BF←5AH)、チェックサム値を算出するチェックサム演算(ここでは、領域内RAMを対象とする8ビット加算演算処理)、その演算結果の記憶などを含むバックアップ処理を行う。電源異常チェック処理は、電源遮断後もRAMの所定領域のデータを保持するバックアップ手段として働く。
次いで、タイマ管理処理を実行する(ステップS082)。遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(時間)のタイマ値はここで更新される。
次いで、入力管理処理を実行する(ステップS083)。入力管理処理では、遊技機1に設けられた各種のセンサやスイッチ類の検出情報に基づき、各種カウンタ(たとえば、各入賞口別に設けられた入賞球カウント用の入賞カウンタ)を更新する。またここでは、払出制御基板29からの状態信号の入力情報に基づき、入力データの作成を行う。状態信号が異常を示すものある場合は、後述のエラー管理処理(ステップS089)にて所定のエラー処理を行う。
次いで、設定異常チェック処理を実行する(ステップS084)。設定異常チェック処理では、設定値データが正常値(設定1〜6を示す値)であるかを判定し、正常範囲内の値でない場合には、設定値データに異常が発生したとして、設定エラーフラグをON状態(5AH)に設定する。そして、設定値異常コマンドを演出制御部24に送信して、設定異常チェック処理を抜ける。なお、演出制御部24が設定値異常コマンドを受けると、演出手段を利用して、設定異常エラー報知(RAMエラー報知)を実行する。なお、再度、この設定異常チェック処理が実行される際に、設定エラーフラグがON状態であれば、何もせずに、そのまま本処理を抜ける。
次いで、タイマ割込内乱数管理処理を実行する(ステップS085)。タイマ割込内乱数管理処理では、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新する。具体的には、乱数カウンタのカウント値をランダムなものとするために、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数などに対し、乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値の変更処理を行う。なお、内部抽選用乱数(大当り判定用乱数)は、上記乱数生成回路で生成されるので、ここでは更新されない。
次いで、エラー管理処理を実行する(ステップS089)。このエラー管理処理では、各種のスイッチやセンサ類に係る検出情報や、払出制御基板29からの状態信号などに基づき、遊技動作にエラー(異常)が生じたか否かを監視し、エラーが生じた場合には、そのエラー種別を特定可能なエラーコマンドを演出制御部24に送信し、エラー種別に応じたエラー処理を実行する。またエラーが解除された場合には、エラー解除コマンドを演出制御部24に対して送信して、エラー解除処理を実行する。
次いで、賞球管理処理を実行する(ステップS090)。この賞球管理処理では、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞がある場合には、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板29に送信する。払出制御基板29は、払出制御コマンドを受信した場合、これに含まれる賞球数情報に基づき、遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数の払い出し動作を実行させる。
次いで、普通図柄管理処理を実行する(ステップS091)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲーム(普通図柄の変動表示動作)に関して必要な処理を実行する。ここでは、普通図柄始動口センサ37aに遊技球が検出されたか否かを監視し、遊技球が検出された場合には補助当り抽選に必要な所定の遊技情報(補助当り判定用乱数など)を取得し(普図乱数取得処理)、その遊技情報を保留データ(普図作動保留球)として、最大保留記憶数(ここでは、4個)まで保留記憶する(普図保留記憶処理)。そして、所定の変動表示開始条件が成立した場合、普図作動保留球に基づく補助当り抽選を行い、その補助当り抽選結果に基づく普通図柄の変動パターンの選択および普通図柄の停止表示態様(普通停止図柄)を決定する。またここでは、普通図柄を変動表示動作させるために、変動中であれば変動表示用のLED表示用データを作成し、変動中でなければ、停止表示用のLED表示用データを作成する(普通図柄表示データ更新処理)。
次いで、普通電動役物管理処理を実行する(ステップS092)。この普通電動役物管理処理では、普電開放遊技の実行に必要な処理を実行する。ここでは、補助当り抽選の抽選結果が当りの場合に、普通電動役物ソレノイド41cに対するソレノイド制御用データの設定処理を実行する。ここで設定されたソレノイド制御用データは、後述のステップS100のソレノイド管理処理にて、励磁信号に変換され、普通電動役物ソレノイド41cに対して励磁信号が出力される。これにより、開閉蓋47の開閉動作パターンが制御される。
次いで、特別図柄管理処理を実行する(ステップS093)。この特別図柄管理処理では、特別図柄変動表示ゲームに関する処理を実行する。この特別図柄管理処理(大当り判定手段)では、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄などを決定する。なお、特別図柄管理処理の詳細は図10にて後述する。
次いで、特別電動役物管理処理を実行する(ステップS095)。この特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果に基づき、当選となった当りに応じた当り遊技の実行制御や、大当り遊技後の移行先遊技状態の設定処理など、当り遊技に必要な処理を行う。特別電動役物管理処理は、当選種別に応じた当り遊技を実行制御する特別遊技制御手段として働く。なお、特別電動役物管理処理の詳細は図17にて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を実行する(ステップS097)。この右打ち報知情報管理処理では、「右打ち有利」な遊技状態(当り遊技中、電サポ有り状態中(時短状態または確変状態))下である場合に、右打ち表示装置39bを点灯させるためのLEDデータを作成し、「左打ち有利」な遊技状態下(通常状態)である場合には、右打ち表示装置39bを消灯させるためのLEDデータを作成する。
次いで、LED管理処理を実行する(ステップS098)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39a、特別図柄表示装置38a、38b、右打ち表示装置39bなどの各種LED表示装置に対する制御信号(ダイナミック点灯データ)の出力制御を実行する。上記普通図柄管理処理(ステップS091)、特別図柄管理処理(ステップS093)、右打ち報知情報管理処理(ステップS097)などで作成されたLED表示用データに基づく制御信号は、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を実行する(ステップS099)。この外部端子管理処理では、枠用外部端子基板21を通して、各種の外端信号を作成して、ホールコンピュータHCなどの外部装置に対して出力制御を実行する。
次いで、ソレノイド管理処理を実行する(ステップS100)。このソレノイド管理処理では、普通電動役物管理処理(ステップS092)や特別電動役物管理処理(ステップS094)で設定されたソレノイド制御データに基づき、普通電動役物ソレノイド41cや大入賞口ソレノイド52cに対して励磁信号の出力制御を実行する。これにより、可動翼片47や開放扉52bを駆動制御し、下始動口35や大入賞口50の開閉動作を実現する。
次いで、全レジスタを退避して(ステップS101)、領域外プログラムに属する性能表示モニタ処理を実行し(ステップS102)、その後、全レジスタを復帰する(S103)。性能表示モニタ処理では、性能表示器99に表示するベース値の算出や表示制御に関しての必要な処理を実行する。
次いで、WDTのカウント値をクリアする(ステップS104)。これにより、割込みごとにWDTがリセットされ、カウント値が初期値に戻される。
以上のステップS081〜ステップS104の処理を終えると、タイマ割込処理を終了して、次のタイマ割込みが発生するまで、主制御側メイン処理を実行する。
<19.特別図柄管理処理:図10>
次に、図9中の特別図柄管理処理(ステップS093)について説明する。図10は、特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図10において、CPU201は、まず特別図柄1側(上始動口34側)に関する「特図1始動口チェック処理」を行い(ステップS301)、続いて、特別図柄2側(下始動口35側)に関する「特図2始動口チェック処理」を実行する(ステップS302)。この特図1始動口チェック処理と特図2始動口チェック処理の詳細は図11にて後述する。
ステップS301〜S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。なお、本実施形態では小当りを設けていないが、以下では、当り種別に「小当り」が含まれるものとして説明する。
上記小当り中フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない。つまり、当り遊技中は、特別図柄の停止表示態様が、小当り図柄または大当り図柄で確定表示されたまま保持される。
一方、ステップS304において、上記条件装置作動フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じた処理を行う。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、上記特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じてステップS306〜S308のいずれかの処理を実行する。具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を実行する。ここで上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。これらの処理により、特別図柄の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする表示動作)が実現されることになる。なお、本発明と関連の深い、特別図柄変動開始処理(ステップS306)と、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)とについての詳細は、それぞれ図12、図16A〜図16Bにて後述する。
上記ステップS306〜S308のいずれかの処理を終えると、後述のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図9のLED管理処理(ステップS098)で出力され、特別図柄表示装置38a、38bにおける特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。特別図柄表示データ更新処理を終えると、特別図柄管理処理を抜けて、図9のステップS095の特別電動役物管理処理を実行する。
<11.特図1始動口チェック処理:図11>
図11を参照して、特図1始動口チェック処理(図10のステップS301)について説明する。図11は、特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、主に、上始動口34に遊技球が入賞したときの保留記憶に関する処理や、先読み判定に関する処理を中心に構成される。なお、特図1始動口チェック処理と特図2始動口チェック処理とは、その処理内容が、特図1側に関するものであるか、それとも特図2側に関するものであるかの違いだけで、実質的には、同じ処理内容である。したがって、ここでは、重複記載を避けるために、特図1始動口チェック処理を中心に説明する。
図11において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34(特図1側始動口)の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特図1作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特図1作動保留球数が最大保留記憶数(ここでは、4個)未満であるか否かを判定する。なお、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
特図1作動保留球数が4以上である場合、つまり、最大保留記憶数を超えるオーバー入賞が発生した場合(ステップS312:YES)、オーバー入賞を指定するオーバー入賞コマンド(特図1の場合はB006H、特図2の場合はB106H)を演出制御部24に送信する(ステップS324)。一方、特図1作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS314)。具体的には、各種の乱数カウンタから大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値を領域内RAMの保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。なお、上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア(特別図柄1に対応する特図1保留記憶エリア(第1の保留記憶エリア)と、特別図柄2に対応する特図2保留記憶エリア(第2の保留記憶エリア))とが設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている。
次いで、上記「保留加算コマンド」の下位バイト側(EVENT)に相当するコマンドデータ(入賞コマンド1)に、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を取得し(ステップS315)、続いて、「先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。この「先読み禁止条件」とは、特図1始動口チェック処理中の場合は特図1作動保留球側を対象とした先読み判定を禁止(先読み予告を禁止)する条件(特図1先読み禁止条件)であり、特図2始動口チェック処理中(不図示)の場合は、特図2作動保留球側を対象とした先読み判定を禁止(先読み予告を禁止)する条件(特図2先読み禁止条件)である。本実施形態では、特図1作動保留球よりも特図2作動保留球が高確率で発生しうる「電サポ有り状態を伴う遊技状態(時短状態や確変状態)」であれば‘特図1先読み禁止中’とし、逆に、特図2作動保留球よりも特図1作動保留球が高確率で発生しうる「電サポ無し状態を伴う遊技状態(通常状態や潜確状態)」であれば‘特図2先読み禁止中’としている。したがって、ステップS316の判定処理では、現在の遊技状態が、時短状態または確変状態である場合、特図1先読み禁止条件成立中として、その判定結果が‘YES’となる。また、先読み禁止条件として、特定の遊技モード中(たとえば、前兆モード中)の場合を先読み禁止とすることもできる。
ここで本実施形態では、変動パターン選択モード(Tcode)種別により、現在の遊技モードを特定可能であるため(図28のTcodeの欄参照)、遊技モードを判定する場合は、変動パターン選択モード(Tcode)の値を判定すればよいが、変動パターン選択モード(Tcode)とは別途に、各遊技モード自体を識別可能な識別子(たとえば、遊技モード判定番号YM)を設けて、これにより、現在の遊技モードを判定してもよい。たとえば、一般モードに属する遊技モードに「一般モードA」と「一般モードB」とを設けた場合、これらは変動パターン選択モード(Tcode)が同一であるが、遊技モードとしては別の遊技モードとして管理したいケースである。いずれにしても、現在の遊技状態(内部遊技状態または遊技モード)に基づく何らかの処理を行う場合(遊技状態に関する情報が必要となる遊技処理を行う場合)、現在の内部遊技状態、現在の変動パターン選択モード、または現在の遊技モードを識別可能な識別子(遊技状態判定番号YJ、変動パターン振分指定番号Tcode、前述の遊技モード判定番号YMなど)の1または複数の識別子を適宜用い、遊技動作を処理可能な構成とすればよい。本実施形態では、変動パターン選択モード(Tcode)の値により、遊技モードが特定可能であるものとして説明する。
上記特図1先読み禁止条件が成立している場合(ステップS316:YES)、先読み判定に関する処理(ステップS317〜S321)をスキップし、後述のステップS322の処理に進む。この場合、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を持つ保留加算コマンドが作成されることになる(後述のステップS322参照)。これにより、今回の作動保留球の先読み予告の実行が禁止状態に制御される(今回の作動保留球を対象とする先読み予告が実行されない)。
特図1先読み禁止条件が成立していない場合(ステップS316:NO)、次いで、設定エラーフラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS317)。設定エラーフラグがON状態である場合(ステップS317:=5AH)、すなわちRAMエラー(設定異常エラー)が生じている場合、先読み判定に関する処理(ステップS317〜S321)をスキップし、後述のステップS322の処理に進む。この場合も今回の作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を持つ保留加算コマンドが作成され、先読み予告は実行されない。換言すれば、上記先読み禁止データ(9FH)は、先読み判定に関する処理(ステップS318〜S321)が未実行であることを指定するデータともいえる。
設定エラーフラグがON状態でない場合(ステップS317:≠5AH)、乱数判定処理を実行する(ステップS318)。この乱数判定処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球が変動表示動作に供される際に実行される「変動開始時の当落抽選(後述の図12のステップS410)」を事前に判定する‘先読み当落判定’を行う。
上記乱数判定処理では、まず、「当り乱数判定テーブル(図示せず)」を取得し、大当り判定用乱数値を取得する。そして、取得した大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(先読み当落判定)を実行し、その抽選結果(先読み当落結果)を取得する。
上記当り乱数判定テーブルには、特図1作動保留球(特別図柄変動表示ゲーム1)と特図2作動保留球(特別図柄変動表示ゲーム2)のそれぞれに対応した当り乱数判定テーブル(特図1用当り乱数判定テーブル、特図2用当り乱数判定テーブル)が設けられている。特図1始動口チェック処理中においては「特図1用当り乱数判定テーブル」が、特図2始動口チェック処理中においては「特図2用当り乱数判定テーブル」が参照される。この当り乱数判定テーブルは、後述の「特別電動役物作動判定用乱数判定処理(図12のステップS410)」において、当落抽選を行う際にも利用される。
これらの当り乱数判定テーブルには、大当り抽選確率状態(高確率と低確率)別に、当落種別(大当りか、小当りか、ハズレかの別)を決定するための判定領域(判定値)と、大当り判定用乱数値(大当り判定用乱数の大きさ:65536)とが関連付けて定められており、具体的には、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、当落種別が決定されるようになっている。
本実施形態の場合、上記当り乱数判定テーブルには、設定値(設定1〜6)ごとに対応した当り判定テーブル(設定1〜6に応じて、少なくとも大当りの抽選確率がそれぞれ異なるテーブル)が設けられている。また本実施形態の場合、低確率時の大当り抽選確率に対する高確率時の大当り抽選確率の割合は(確率上昇割合:高確率/低確率)、各設定値において同一であり、その割合は10を超えない値に設定されている。たとえば、設定6「低確率時1/189、高確率時1/63」、設定5「低確率時1/198、高確率時1/66」、・・・、設定2「低確率時1/231、高確率時1/77」、設定1「低確率時1/240、高確率1/80」で、大当りに当選するようになっている。なお、確率上昇割合は、各設定値で異なっていてもよい。
上記したステップS318の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を実行する(ステップS319)。この特別停止図柄データ作成処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球が変動表示動作に供される際に実行される「変動開始時の図柄抽選(後述の図12のステップS411)」を事前に判定する‘先読み図柄判定’を行う。
上記特別停止図柄データ作成処理では、ステップS318で得られた先読み当落結果と、今回の処理対象の特別図柄種別(特図1、特図2の別)とに応じた「図柄テーブル(図示せず)」を選択する。そして、ステップS314で得られた特別図柄判定用乱数値を取得して、選択した図柄テーブルと、取得した特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選(先読み図柄判定)を実行し、その抽選結果(先読み図柄結果)を取得する。
上記「図柄テーブル」には、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別を決定するための「大当り図柄テーブル」、「小当り図柄テーブル」、「ハズレ図柄テーブル」が含まれ、各図柄テーブルが特別図柄種別に対応して設けられている。これらの図柄テーブルは、後述の特別停止図柄作成処理(図12のステップS411)において、変動開始時の図柄抽選を行う際にも利用される。
図柄テーブルには、当選種別(図柄種別)を決定するための判定領域(判定値)と、特別図柄判定用乱数値(たとえば、特別図柄判定用乱数値の大きさ:200)とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、所定の図柄抽選率に従い、当選種別が決定される。また、その抽選結果を示すデータとして、特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が取得される。なお本実施形態では、大当りの場合には、図4の図柄抽選率に従いいずれかの大当りが決定される。また、図示していないが、特図1側のハズレ種別にはハズレAとハズレBとが設けられており、その図柄抽選率は、ハズレAは95%、ハズレBは5%となっている。ハズレBが選択された場合は、Nリーチ以外のリーチ(たとえば、SPリーチ以上のリーチ)が高確率で選択されるようになっている(図26参照)。また、特図2側のハズレ種別は、ハズレAの1種類である。なお、ハズレの種類は特に制限されず、1または複数設けることができる。
「特別図柄判定データ」とは、当選種別(当選の種類:大当り種別、小当り種別、およびハズレ種別)を識別するデータであり、具体的には、図4に示す当り種別と図示しないハズレ種別(1または複数種類)のいずれに当選したのかを識別するためのデータである。この特別図柄判定データは、当選種別情報が必要とされる処理(たとえば、後述の図12のステップS412の遊技状態移行準備処理、ステップS413の特別図柄変動パターン作成処理、大当り遊技の実行制御に関する処理(図17の特別電動役物管理処理)などにおいて利用されるデータである。また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄態様を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の停止図柄種を特定する際に利用される。なお、普通図柄についても特別図柄と同じように、普通図柄判定データや普通停止図柄番号が設けられている。
なお、全設定で共通の図柄テーブルを定めてもよいが、設定に応じた図柄テーブルを定めてもよい。たとえば、下記(A)(B)のように構成することができる。
(A)各設定値の一部または全部において、1または複数の当選種別の図柄選択率が異なる。たとえば、確変大当り1の図柄抽選率を、設定値が高いほど相対的に高確率となるように定めることができる。
(B)各設定値の全部または一部において、確変突入率(少なくとも高確率状態を伴う大当り(確変大当りおよび/または潜確大当り)の合算図柄抽選率)が異なる。たとえば、特図1側の確変突入率が50%(図4の確変大当り1〜3の図柄抽選確率参照)であるが、たとえば、設定1の場合は確変突入率を45%、設定6の場合は確変突入率を50%という具合に、設定値が高いほど相対的に高確率となるように定めることができる。また、時短突入率(時短大当りの合算図柄選択率)についても同様である。
いずれにしても、設定が高くなるに従い、出玉性能(機械割)が遊技者にとって有利となるように定めればよい。
上記したステップS319の特別停止図柄データ作成処理を終えると、次いで、始動口入賞時乱数判定処理を実行する(ステップS320)。この始動口入賞時乱数判定処理も‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球が変動表示動作に供される際に実行される「変動開始時の変動パターン抽選(後述の図12のステップS413)」を事前に判定する‘先読み変動パターン判定’を行う。
詳しくは、上記特別停止図柄データ作成処理(ステップS319)で得られた先読み図柄判定の結果(少なくとも乱数判定処理(ステップS318)で得られた当落抽選結果)と、ステップS314で取得した変動パターン用乱数(乱数値の大きさ:10000)とを利用し、今回の作動保留球に係る「変動開始時の変動パターン」を先読み判定する。具体的には、後述の図12に示す「特別図柄変動パターン作成処理(ステップS413)」の結果を先読み判定する。この先読み判定は、変動開始時の変動パターンを事前判定するものであるため、後述の図24〜図27に示す変動パターン振分テーブルと基本的構成を同じにする「先読み判定テーブル(図示せず)」を参照して行う。本実施形態の場合は、図24〜図27に示す変動パターン振分テーブルが、先読み判定時・変動開始時兼用のテーブルとして設けられている。
たとえば、図24の「当り変動パターン振分テーブル」を用いて説明する。図示の「確」の表記は確変大当り、「時」の表記は時短大当りを意味し、「確1、2、3、4、5、6、7」の表記は確変大当り1〜7、「時1、2」は時短大当り1、2を意味する。図24を参照して、たとえば、今回の先読み図柄結果が「確変大当り1(確1)」であり、変動パターン選択モードTcode(現在の遊技状態)が「00H(一般モード)」であり、変動パターン用乱数が「通常変動直撃当り」の判定値(判定領域0〜49)に属する値である場合には、図示のEVENT1「21H」(“通常変動直撃当り”のEVENT1の欄を参照)が取得される。なお、図24に示すアラビア数字は判定値(判定領域の大きさ)を示し(図25〜図27も同様)、たとえば、変動パターン用乱数が判定値0〜49に属する場合は「通常変動直撃当り」が選択され(選択率:50/10000)、判定値50〜129に属する場合は「通常中NリーチB」が選択され(選択率:80/10000)、判定値130〜209に属する場合は「通常中SPリーチA」が選択される(選択率:80/10000)ようになっている。
このEVENT1は、保留加算コマンドの作成に利用されるデータ(入賞コマンドデータ1)であり、保留加算コマンドの2バイト目(下位バイト)のデータである。これにより、前処理のステップS315で取得された先読み禁止データ「9FH」が、本処理にて、先読み変動パターンの内容を特定するデータ値(保留球数情報は除く)に更新され、先読み変動パターン種別が指定される。なお、この先読み変動パターン判定では、先読み判定時の作動保留球数は考慮されない。その理由は、次の通りである。変動開始時の変動パターンの判定段階では作動保留球数を考慮して変動パターン決定されるようになっている(図24〜図27の作動保留球数の欄参照)。しかし、先読み判定時においては、先読み判定時の作動保留球数が変動開始時の作動保留数と必ずしも一致しないため、正確な変動開始時の変動パターン(詳細パターン)を判定することができない。したがって、先読み変動パターン判定では、先読み判定時の作動保留球数は考慮せずに、変動開始時の変動パターンの骨子となる変動パターン種(基本パターン)について判定する。たとえば、図26に示す「ハズレ変動パターン振分テーブル」の通常変動4s〜通常変動12s、通常中NリーチAの欄を参照して、変動開始時には、通常変動4s〜通常変動12sのいずれの通常変動であるか、または通常中NリーチAを特定するために、それぞれ異なるデータ(COM2(変動パターン指定コマンドデータ)の欄参照)が取得されるが、先読み判定時では作動保留球数によらず、通常変動4s〜通常変動12sと通常中NリーチAとが共通のデータ(EVEN1「01H」)が取得される。
以上のステップS318〜S321の一連の先読み判定処理を終えると、続いて、現在の作動保留球数および特別図柄種別に基づき、上位バイト側の入賞コマンドデータ2(MODE)を取得し(特図1作動保留球1個〜4個に応じて「B6H〜B9H」、特図2作動保留球1個〜4個に応じて「BBH〜BEH」が取得される)の値を取得し、取得した入賞コマンドデータ2(MODE)と、下位バイト(EVENT)側の上記入賞コマンドデータ1(先読み変動パターン指定情報)とに基づいて、「保留加算コマンド」を作成し(ステップS322)、これをRAM203に格納することなく(以後、保留加算コマンドに関するデータは不必要のため)、演出制御部24に送信する(ステップS323)。なお、先読み禁止中である場合や設定値データに異常が発生した場合は、先読み禁止データ「9FH」がそのまま維持されるため、「先読み禁止データ」を持つ保留加算コマンドが演出制御部24に送信されることになる(ステップS315→S322またはS316→S322の処理ルート参照)。
上記保留加算コマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、その保留加算コマンドに含まれる情報が、「先読み禁止指定以外」であれば、先読み予告の実行可否に関する抽選(先読み予告抽選)を行い、これに当選した場合には、先読み予告の演出シナリオを作成し、そのシナリオに基づいて、今回の作動保留球を対象とする先読み予告を現出制御する。一方、「先読み禁止指定」であれば、先読み予告抽選を実行せずに、または先読み予告抽選を強制的にハズレとして処理し、先読み予告の発生を禁止する。この実施形態では、先読み禁止中の場合か、または設定異常エラーが生じている場合のいずれも、先読み禁止指定の保留加算コマンドを送信する構成となっているが、その理由は下記の通りである。
本実施形態の場合、設定異常エラーが生じても遊技動作を強制的に停止制御することはしない。その理由は第1に、設定異常エラーの解消は、既に説明したように、設定変更操作を行うことにより解消されるが、営業中の設定変更操作は、法的要請の観点から射幸心煽る事項として禁止事項に該当する可能性が高い。第2に、設定異常エラーが生じた際、直ちに遊技動作処理を強制的に停止させてしまうと、突然の遊技停止に、遊技者が不信感を抱いてしまう。たとえば、仕掛り中の図柄変動表示ゲームが正常動作時に実行されたものである場合や、大当り遊技中の場合などに、偶々、設定異常エラーが発生して、直ちに遊技ができない状態に制御してしまうと、遊技者が本来得られるべき利益が消失してしまい、遊技者の不信感を招く。このような事情を考慮し、設定異常エラーが発生した場合はエラー報知を行うに止めて、遊技進行自体は条件付きであるが、そのまま進行させる。ここでいう「条件付きであるが」と表現したのは、設定異常エラーが発生すると、先読み予告を禁止したり、図柄変動表示ゲームの結果を強制的にハズレとするためである(図11のステップS317(=5AH)、後述の図12のステップS409(=5AH))。このように「条件付き」で遊技をそのまま進行させる理由は、設定異常エラーが生じた際に、エラー報知を行うに止め、他に何ら対策をしなければ不具合に起因して、演出制御処理や大当り抽選が正しく実行されない恐れがあるからである。
次いで、設定値コマンドを送信する(ステップS324)。この「設定値コマンド」は、現在の設定値を特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側にて、当該設定値に基づく予告演出や設定示唆演出を現出制御する際に利用される。設定値コマンドは、始動口チェック処理にて、作動保留球が発生するごとに送信されるようになっている。これにより、演出制御部24側では、正しい設定値情報に基づき、作動保留球に係る予告演出(たとえば、先読み予告を利用した設定示唆演出)を現出制御可能となっている。以上により、特図1始動口チェック処理を抜けて、続いて、特図2始動口チェック処理(ステップS302)を実行する。
<21.特別図柄変動開始処理:図12>
次に、図10中の特別図柄変動開始処理(ステップS306)について説明する。図12は、特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図12において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、特図2作動保留球数対象とした変動開始時の処理(ステップS403〜S416)を実行する。一方、特図2作動保留球数がゼロの場合には(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS402)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS402:NO)は、特図1作動保留球数を対象とした変動開始時の処理(ステップS403〜S416)を実行する。このステップS401とS402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。本実施形態では、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球を優先的に消化させる。
なお、特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、かつ保留記憶無しの状態となった場合である。そこで「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスが上記「作動保留球なし」の状態を示す「待機中(00H)」であるか否かを判定する(ステップS417)。
上記「作動保留球なし」の状態となったときの特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」であった場合には(ステップS417:NO)(後述の図16Aの特別図柄確認時間中処理中のステップS472参照)、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替える(ステップS418)。そして、演出制御コマンドとして、客待ち中コマンド(BA04H)を演出制御部24に送信して(ステップS419)、特別図柄変動開始処理を抜ける。演出制御部24が上記客待ち中コマンドを受信した場合、所定の実行条件に基づき、遊技機1に係る遊技の説明やその紹介(デモンストレーション)のためのデモムービーが流れる「客待ち演出(デモ画面)」を現出させる。具体的には、客待ち中コマンドを受信した後、遊技が開始されずに、つまり作動保留球が発生せずに(保留加算コマンドを受信することなく)、所定時間(たとえば、180秒)が経過した場合、客待ち演出を現出させる。客待ち演出開始までの待機時間(180秒)が経過するまでは、今回の図柄変動表示ゲームの終了後に停止した装飾停止図柄の表示状態が引き続き表示され、装飾ランプ45は所定の発光パターンで発光し、スピーカ43は、消音状態(所定の音演出を実行していてもよい)とする「デモ開始待ち演出」が現出され、客待ち演出開始までこの状態が維持される。また、演出制御部24は、客待ち演出(デモ画面)の開始後、所定の移行条件(節電モード移行条件)を満たした場合に、客待ち演出を終了して「節電モード」に移行させる。この実施形態の場合、客待ち演出(デモ画面)の開始後、作動保留球が発生せず、かつメニュー画面(遊技設定画面)に切り替わることなく、所定時間(たとえば、120秒)が経過した場合、演出モードを節電モードに移行させ、液晶表示装置36に節電用画面(たとえば、液晶画面に「節電中です」の文字表示)を表示させ、装飾ランプ45やその他の演出用LEDの一部またはすべてを消灯させるように制御する(節電制御)。
特図1作動保留球数または特図2作動保留球数がゼロでない場合(ステップS401:NOまたはS402:NO)、ステップS403〜S416を順次実行していく。なお、以下に説明するステップS403〜S416の処理の仕方については、特図1作動保留球を対象とするか、特図2作動保留球を対象とするかの違いだけで、その内容は実質的には同じである。したがって重複記載を避けるため、特に必要が無い限り、どちらの作動保留球を対象とした処理であるかを区別せずに説明していく。
ステップS403に進むと、今回の変動表示動作に供する特図側の作動保留球数を1減算し(ステップS403)、減算後の作動保留球数情報を含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、特図1が変動開始側であるならば「00H」を、特図2が変動開始側であるならば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406〜S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データを読み出し、領域内RAMの判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリアに格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアして空き領域を設ける(ステップS407)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能となっている。
次いで、遊技状態情報送信処理を実行する(ステップS408)。遊技状態情報送信処理では、「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する。ここでの遊技状態指定コマンドには、ゲーム開始時の遊技状態を特定可能な遊技状態情報が含まれる。演出制御部24は、遊技状態指定コマンドを受信すると、これに含まれる情報に基づき、遊技状態を把握し、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で演出モードを管理する。遊技状態指定コマンドに含ませる遊技状態情報は、目的の遊技処理を行う際に最低限必要な情報であればよく、たとえば、現在の内部遊技状態および/または現在の変動パターン選択モードを含む情報とすることができる。また、遊技状態指定コマンドとして、遊技状態判定番号YJを特定可能な「内部遊技情報コマンド」および/または変動パターン選択モード(Tcode)を特定可能な「振分モード指定コマンド」を送信可能な構成とすることができる。
またここでは、必要に応じて、特別図柄時短回数カウンタに関する情報(時短回数情報)を含む「時短回数コマンド」と、特別図柄確変回数カウンタに関する情報(ST回数情報)を含む「ST回数コマンド」が送信される。演出制御部24は、これらのコマンドに含まれる情報に基づいて、残り時短回数や残りST回数を把握し、その残り時短回数または残りST回数を演出的に報知する「残余回数表示演出(たとえば、カウントダウン表示)」を現出制御可能に構成されている。具体的には、残余回数表示演出として、時短モード中であれば「残余時短回数表示演出」を現出させ、STモード中であれば「残余ST回数表示演出」を現出させる。なお、本処理で送信される時短回数コマンドとST回数コマンドは、今回のゲーム分が減算されていないカウンタ値が送信されるため(カウンタ減算処理は、ゲーム終了時に係る図16A〜図16Bの特別図柄確認時間中処理中(S479、S484)で行う)、演出制御部24が、把握したカウンタ値にデクリメント処理を適宜に施し、残余回数表示演出を現出可能な構成となっている(後述の天井回数コマンドについても同様)。ただしこの実施形態の場合、時短回数コマンドは特別図柄時短回数カウンタがゼロ以外(当該時短回数カウンタ≠0)の場合に送信され、また、ST回数コマンドも同様に、特別図柄確変回数カウンタがゼロ以外(当該確変回数カウンタ値≠0)の場合に送信される。勿論、カウンタ値がゼロであっても、ゼロである情報を含む時短回数コマンドやST回数コマンドを送信する構成としてもよい。
なお、遊技状態に応じて、時短回数コマンドだけを送るのか、ST回数コマンドだけを送るのか、それとも双方のコマンドを送るのかを定めることができる。ただし、無限系の天井特典が付与される場合、具体的には、時短回数の制限が無い「無限時短」や、ST回数の制限が無い「無限確変」ないし「無限潜確」、あるいは、実質的に制限がない回数(65536回など)が設定されて時短回数やST回数が「無限回数」とみなせる無限時短、無限確変、または無限潜確が付与される場合、その特典中に係る遊技状態(本実施形態では、天国モード)においては、制御負担軽減のために、時短回数コマンドやST回数コマンドは送信しない構成としてもよい。また、大当り当選により付与される時短状態または確変状態が、次回大当りまで継続するものである場合も同様に、時短回数コマンド、ST回数コマンドを送信しない構成としてもよい。
また、上記「残余回数表示演出」は、時短モード、STモード、天国モードのいずれの遊技モードにおいても現出可能に構成することができる。なお、無限系に係る残余回数表示演出は、残り回数が無限であること報知する演出態様が好ましい。たとえば、画像表示演出であれば、「残り∞回」や「次回大当りまで継続」などである。
(残余天井回数表示演出について)
また、ステップS408の遊技状態情報送信処理では、残り天井ゲーム数情報(後述の天井カウンタに関する情報)を含む「天井回数コマンド」も送信される。演出制御部24は、天井回数コマンドに含まれる情報に基づいて、天井到達までの残りゲーム数を把握し、上記「残余天井回数表示演出」を現出制御する。本実施形態の場合、この残余天井回数表示演出は、前兆モード(前兆演出モード)中にカウントダウン表示という形で現出される。
上記「残余天井回数表示演出」は、天井ゲームの監視対象(カウント対象)期間の全部または一部の期間において現出可能である。本実施形態であれば、「一般モード中」および/または「前兆モード中」で現出可能である。また、通常モードで残余天井回数表示演出を現出させる場合、一般モードと前兆モードとで、異なる演出態様とすることができる。たとえば、一般モード中は、液晶画面の隅部に小さな表示領域に残り天井回数を報知し(カウントダウン表示を小さく表示)、前兆モード中は、液晶画面の中央部の広い表示領域に残り天井回数を報知(カウントダウン表示を大きく表示)することができる。
(設定値が正常時の処理ルート:S420を辿る処理ルート)
次いで、設定エラーフラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS409)。設定エラーフラグがON状態でない場合(ステップS409:≠5AH)、上記「設定値コマンド」を演出制御部24に送信し、次いで、図13に示す天井機能管理処理を実行する(ステップS420)。
<13.天井機能管理処理:図13>
上記天井機能管理処理(ステップS420)について説明する。図13は、天井機能管理処理(ステップS420)の詳細を示すフローチャートである。この天井機能管理処理は、主に、天井ゲーム数までの残りゲーム数を管理する処理となっている。
図13において、CPU201は、まず、「天井カウンタ」がゼロか否かを判定する(ステップS901)。この天井カウンタは、残り天井ゲーム数を管理(監視)するためのカウンタであり、本実施形態の場合、天井特典付与に関するデータの設定契機となるゲーム数を管理するためのカウンタとして利用される(後述のステップS903〜S904(天井フラグをON)、図12中の遊技状態移行準備処理(ステップS412)の詳細を示す図15のステップS915参照)。上記「天井カウンタ」は、特定事象の実行回数または成立回数あるいは発生回数などをカウントするカウント手段として機能し、天井発動契機(天井特典付与契機)の到来を監視する機能部として働く。ここでいう「特定事象」とは、図柄変動表示ゲームの実行(当り変動またはハズレ変動)、大当りまたは小当りあるいはハズレの当選、特定の遊技状態への移行(特定の遊技モードへの移行または特定の変動パターン選択モードへの移行、あるいは特定の内部遊技状態への移行)、大当り遊技または小当りの実行などの他、遊技に関する特定条件の成立などの特定の事象である。本実施形態では、天井カウンタの値を監視して、天井機能発動契機の到来を判定するようになっている。斯様なカウント手段は、たとえば、後述の特典付与形態の変形例1、変形例2(図33、図34、付与形態(α)〜(μ))などにおいて、天井発動契機あるいは所定の特典付与契機の到来を監視するための機能部として利用される。
天井カウンタがゼロである場合(ステップS901:YES)、何もせずにそのまま天井機能管理処理を抜ける。上記天井カウンタに初期値がセットされるのは、上記した図8に示す主制御側メイン処理中の領域内RAMクリア(ステップS031)によりRAMクリアされた場合や、他の遊技モードから通常モードに移行する場合、つまり内部遊技状態が通常状態に移行する場合(後述の図16BのステップS481、S486参照)などである。
一方、天井カウンタがゼロでない場合(ステップS901:NO)、天井カウンタを1減算し(ステップS902)、その減算結果がゼロでなければ(ステップS903:NO)、そのまま天井機能管理処理を抜け、ゼロであれば(ステップS903:YES)、天井フラグをON状態(5AH)にセットする(ステップS904)。この天井フラグは、天井カウンタがゼロになったか否かを指定するためのフラグであり、後述のステップS412の遊技状態移行準備処理で利用される(図15のステップS915参照)。以上により、天井機能管理処理抜ける。
再び図12の説明に戻り、ステップS420の天井機能管理処理を終えると、次いで、特別電動役物作動判定用乱数判定処理を実行する(ステップS410)。この特別電動役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした「変動開始時の当落抽選」を実行する。本処理の基本的な処理手順は、既に説明した図11のステップS318の乱数判定処理と同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データに基づき、今回の処理対象側の当り乱数判定テーブル(たとえば特図1側が処理対象であれば、特図1用の当り乱数テーブル)を取得する。次いで、上記判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得し、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づく当落抽選を実行する。そして、その抽選結果が「大当り」当選であれば大当り判定フラグを「5AH」に設定し、「小当り」当選であれば小当り判定フラグを「5AH」に設定し、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかった場合、つまり‘ハズレ’の場合には、大当り判定フラグと小当り判定フラグの双方に「00H」を設定する。
次いで、図14に示す天井発動管理処理を実行する(ステップS421)。
<14.天井発動管理処理:図14>
図14は、図12中の天井発動管理処理(ステップS421)の詳細を示すフローチャートである。この天井発動管理処理では、天井特典付与に係る必要な設定処理を行う。
図14において、CPU201は、まず、大当り判定フラグがON状態であるか否か、つまり、今回のゲーム結果が「大当り」であるか否かを判定する(ステップS920)。
大当り判定フラグがON状態でない場合(ステップS911:≠5AH)、次いで、天井発動フラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS921)。この「天井発動フラグ」とは、天井機能を発動させるか否か(天井特典を付与するか否か)を指定するためのフラグであり、当該フラグがON状態の場合には天井特典の付与する旨を指定し、当該フラグがOFF状態の場合には天井特典を付与しない旨を指定する。天井発動フラグは、後述のステップS412の遊技状態移行準備処理にて、天井カウンタがゼロになった場合にON状態に設定されるフラグである(遊技状態移行準備処理の詳細を示す図15のステップS915〜S916参照)。この天井発動フラグがONにである場合は、今回のゲームにおいて天井発動契機が到来したと判定され(ステップS921:=5AH)、天井特典を付与するために必要な処理(ステップS922〜S925)が実行される。一方、天井発動フラグがON状態でない場合には(ステップS921:≠5AH)、天井発動契機が到来していないとして、何もせずに天井発動管理処理を抜ける。
上記天井発動フラグがON状態である場合には(ステップS921:=5AH)、天井特典付与(天井発動)に必要な処理を実行する。ここではまず、後述の遊技状態移行準備処理(ステップS412)で設定された各状態バッファの値を、対応する状態フラグおよびカウンタに設定する(ステップS922:状態フラグ設定処理)。これにより、指定された天井特典状態に制御される。本実施形態の場合は、有限時短(時短回数100回の時短状態)が指定され、変動パターン選択モード(Tcode)が、前兆モードの「01H」から天井モードの「06H」に更新されるようになっている。そして、天井特典付与時の終了処理として、各々の状態バッファをクリアし(ステップS923:天井発動時の各種設定処理)、次いで、天井フラグと天井発動フラグをOFF状態(00H)に設定する(ステップS924〜S925)。次いで、遊技状態情報送信処理(ステップS926)を実行し、天井発動管理処理を抜ける。ここでの遊技状態情報送信処理では、有限時短(時短状態)情報を含む遊技状態指定コマンドを演出制御部24に送信する。これにより、今回のゲーム(1000ゲーム目)の開始とともに有限時短状態に制御され、後述の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS413)において天井モードに基づく特別図柄の変動パターンが選択され、天井演出モード下における演出が現出されることになる。
ステップS911の説明に戻り、大当り判定フラグがON状態の場合(ステップS911:=5AH)、何もせずに天井発動管理処理を抜ける。したがって、大当りに当選した場合は、天井ゲームであっても「天井発動禁止状態」に制御され、大当りに当選した場合の処理が優先的に実行される。したがって、天井特典が付与されるには、1000ゲーム間ハマったことが条件とされる。このように本実施形態では、ハマリゲーム数(ハズレの連続回数)の監視対象遊技区間を通常モード(通常状態)の1000ゲーム間とし、このゲーム間ハマった場合に天井特典を付与するようになっている。
(天井特典の発生タイミングの変形例1)
なお、大当りに当選した場合、天井機能を禁止状態に制御せずに、天井特典を付与してもよい。ただしこの場合は、今回のゲームに限り(1ゲーム限り)の天井特典となる。今回のゲーム終了後、大当り遊技が開始されるからである。しかし、1ゲーム限りの天井特典であっても、電サポ有り状態を伴う時短状態や確変状態が付与される場合には、今回の図柄変動表示ゲームが終了するまでの間は電サポの恩恵を受けることができる。具体的には、下始動口35への入賞が容易になり、特図2側の作動保留球が発生し易くなる、という利点がある。天井特典として、電サポ有り状態を伴う遊技状態を付与する場合には、今回のゲームにおいて、少なくとも図7に示す「右打ち指示画像779」を現出させ、遊技者に右打ちを促すことが好ましい。
(天井特典の発生タイミングの変形例2)
本実施形態では、ゲーム開始を契機に天井特典を付与する構成について説明したが本発明はこれに限らず、ゲーム終了を契機に天井特典を付与する構成であってもよい。すなわち、天井ゲーム終了時を天井発動契機とする構成である。この変形例の場合、図柄変動表示ゲームの終了後、直ちに天井特典が付与されることになる。たとえば、天井特典が有限時短である場合、1000ゲームの終了直後から時短状態中とすることができる。また、天井特典が「強制当り」である場合は、1000ゲーム終了後、強制当りによる大当り遊技(強制当り遊技)が開始されることになる。なお、ゲーム終了時を天井発動契機とする場合、天井発動管理処理(ステップS421)を、たとえば、図柄変動表示ゲーム終了時の処理に係る、後述の特別図柄確認時間中処理(図16B)中のステップS495の処理の後で実行すればよい。
(天井特典の発生タイミングの変形例3)
また本実施形態では、1000ゲーム目に天井特典を付与するものと説明したが本発明はこれに限らず、第1の付与条件が成立後、第2の付与条件が成立したことに基づき、天井特典を付与してもよい。たとえば、1000ゲームハマった場合(第1の付与条件が成立)、天井特典付与権利を成立させ、所定の前兆ゲーム数の消化後に天井特典を付与する(天井特典の付与を一旦保留し、複数ゲーム先に予定する)。この場合、複数種類の前兆ゲーム数を設け(たとえば、1〜16ゲーム)、抽選(前兆ゲーム数抽選)により前兆ゲーム数を決定することができる。抽選で前兆ゲーム数を決定する場合、全設定(設定1〜6)で、各前兆ゲーム数の抽選確率を同じにしてもよいが、設定値に応じた抽選確率を定めることが好ましい。たとえば、設定値が高いほど相対的に少ないゲーム数が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多いゲーム数が選択され易いという様に、各前兆ゲーム数の抽選確率を設定値に応じて定めれば、ゲーム数の違いによる設定推測要素を遊技者に与えることができる。また、特定の前兆ゲーム数(たとえば、7ゲーム)が選択された場合は、高設定確定や設定6確定などのように、設定値に応じた抽選確率を定めることができる。
(天井特典の発生タイミングの変形例4)
上記の変形例3では、所定の前兆ゲーム数が消化されるまで天井特典付与権利を一旦保留状態とする例、つまり、その権利保留期間がゲームの実行回数に依存する例について説明した。しかし、権利保留期間がゲームの実行回数に依存するものではなく、時間経過に依存するものであってもよい。たとえば、天井ゲームの開始時から所定時間経過した場合、天井特典を付与するという「時限式」の天井付与形態である。具体的には、天井ゲームに係る図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミングで天井特典を付与する。この場合、天井ゲームの開始時から天井特典開始までのインターバル時間を利用して、有限時短が間も無く発生する旨を事前報知する演出、たとえば図7に示す「右打ち指示画像779」を現出させて、左打ち中の遊技者に対して遊技者に右打ちを促すようにし、無駄打ちをさせないようにすることができる。
再び図12の説明に戻り、ステップS421の天井発動管理処理を終えると、特別停止図柄作成処理を実行する(ステップS411)。この特別停止図柄作成処理では、ステップS410の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値とを利用し、「変動開始時の図柄抽選」を実行する。本処理の基本的な処理手順は、既に説明した図11に示す特別停止図柄データ作成処理(ステップS319)と同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データ(特図種別)と、上記ステップS410の当落抽選結果とに応じた図柄テーブル(大当り図柄テーブル、小当り図柄テーブル、ハズレ図柄テーブルのいずれか)を選択する。たとえば、特別図柄作動確認データが00H、大当り判定フラグが5AHである場合、すなわち、今回の変動開始側が‘特図1側’であり、当落抽選結果が‘大当り’である場合には、「特図1用大当り図柄テーブル」が選択される。そして、上記判定用乱数記憶エリアに格納された特別図柄判定用乱数値を取得し、選択した図柄テーブルと特別図柄判定用乱数値とに基づく図柄抽選を実行し、その抽選結果である特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号を、領域内RAMの対応領域にそれぞれ格納する。
ステップS411の特別停止図柄作成処理を終えると、遊技状態移行準備処理を実行する(ステップS412)。
<15.遊技状態移行準備処理:図15>
上記遊技状態移行準備処理(ステップS412)について説明する。図15は、遊技状態移行準備処理の詳細を示すフローチャートである。
この遊技状態移行準備処理では、大当りに当選した場合に、その大当り遊技後の移行先遊技状態(図4参照)を指定するためのデータを所定のバッファ(状態バッファ)に格納するための処理と(ステップS911〜S914)、ハズレであって、天井フラグがON状態の場合に、天井特典を指定するためのデータを所定のバッファに格納するための処理(ステップS915、S916、S917)とに分かれている。先ず、前者の「大当りに当選した場合」の処理内容について説明する。
(大当りに当選した場合)
大当り判定フラグがON状態の場合(ステップS911:=5AH)、図22に示す「遊技状態移行テーブル選択テーブル」を取得する(ステップS912)。次いで、取得した大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、現在の遊技状態(当選時の遊技状態(本実施形態では、遊技状態判定番号YJ))と当り種別(特別図柄判定データ)とに応じた遊技状態移行テーブル(JTTBL−1〜5のいずれか)を取得し(ステップS913)、その取得した遊技状態移行テーブルに定められたデータを各種の状態バッファに格納する(ステップS914:状態バッファ設定処理)。この遊技状態移行テーブルは、目的の遊技状態に移行させるための各種データが定められている。本実施形態に係る遊技状態移行テーブルには、JTTBL−1〜5が設けられており、詳しくは、図22に示すように、JTTBL−1は「時短A」、JTTBL−2は「時短B」、JTTBL−3は「確変A」、JTTBL−4は「確変B」、JTTBL−5は「確変C」に移行させるための各種データが定められている。
上記状態バッファに格納された値は、後述の図18に示す大当り終了処理((図17のステップS509、その詳細を示す図18のステップS592参照)で読み出され、RAM203の所定の記憶領域(各々の状態バッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。これにより、大当り遊技後の遊技状態(図4の移行先遊技状態)が指定される。
なお、上記各種の状態バッファの役割は、下記の通りである。
(α)「普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特別図柄確変移行状態バッファ」
内部遊技状態を指定するための各機能のON/OFFの指定データが設定される。具体的には、開放延長機能の作動状態を指定する普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短機能の作動状態を指定する普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変機能の作動状態を指定する普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短機能の作動状態を指定する特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変機能の作動状態を指定する特別図柄確変状態フラグ用のデータが設定される。
(β)「特別図柄時短回数カウンタバッファ」
特別図柄時短機能の作動継続回数を指定するためのデータ(特別図柄時短回数カウンタ用のデータ)が設定される。
(γ)「特別図柄確変回数カウンタバッファ」
特別図柄確変機能の作動継続回数を指定するためのデータ(特別図柄確変回数カウンタ用のデータ)が設定される。
(δ)「特別図柄変動回数カウンタ1〜3バッファ」
特定の変動パターン選択モード(Tcode)の継続回数を指定するためのデータ(特別図柄変動回数カウンタ用のデータ)が設定される。
(ε)「変動パターン振分指定番号1〜3バッファ」
所定の更新条件が成立した場合に、更新先となる変動パターン選択モード(Tcode)を指定するデータ(変動パターン振分指定番号Tcode用のデータ)が設定される。
たとえば、現在の遊技状態が「通常状態(YJ=00H)」であり、「確変大当り2(5R確変ST75)」に当選した場合は、図21に示す遊技状態移行テーブル選択テーブルに基づき、「JTTBL−4」、つまり、確変B用の遊技状態移行テーブル(図22参照)が取得される。このケースでは、普電役物開放延長移行状態バッファ〜特別図柄確変移行状態バッファにそれぞれ「5AH(ON指定)」が設定され、特別図柄時短回数カウンタバッファに「25回」が設定され、特別図柄確変回数カウンタバッファに「75回」が設定される。これにより、大当り遊技後の移行先遊技状態が「時短回数25+ST回数75」が指定されることになる。また遊技モード移行指定データとして、変動パターン振分指定番号1バッファには「02H(ST序盤指定)」が設定され、特別図柄変動回数カウンタ1バッファには「25回(ST序盤モード継続回数)」が設定され、また変動パターン振分指定番号2バッファには「02H(ST中盤指定)」が設定され、特別図柄変動回数カウンタ2バッファには「50回(ST中盤モード継続回数)」が設定される。これにより、「ST序盤モード25回⇒ST中盤モード50回⇒時短モード」という遊技モード移行形態が指定されることになる。
(S.ST回数・時短回数の変形例:設定値に応じてST回数または時短回数が異なるケース)
なお本実施形態では、同じ大当りが当選した場合に、設定値よらず同じ遊技状態移行テーブルが選択されるものとして説明した。つまり、現在の設定が1〜6のいずれであっても、たとえば、確変大当り1に当選した場合には、JTTBL−3により指定される確変状態(確変A(ST100モード))に移行される。しかし本発明はこれに限らず、同じ大当りが当選した場合であっても、設定値に応じて、ST回数の異なる確変状態に移行させたり、時短回数の異なる時短状態に移行させてもよい。この場合、少なくとも上記特別図柄確変回数カウンタおよび/または特別図柄時短回数カウンタに係るデータ値が、設定値に応じて異なる遊技状態移行テーブルを選択可能に構成すればよい。
また上記では同じ大当りが当選したケースについて説明したが、異なる大当り同士に着目して次に述べる構成とすることもできる。たとえば、設定値に応じて、特定のST回数の有無または特定の時短回数の有無を定めてもよい。具体的には、第1設定値の場合には特定のST回数を付与する特定大当りが存在し、第2設定値の場合にはその特定大当りが存在しないという構成とすることができる。すなわち、第1設定値の場合には大当り抽選対象に「特定大当り」が含まれるが、第2設定値の場合には大当り抽選対象に「特定大当り」が含まれない、という構成である。
以上のような構成とすることにより、特定の確変大当り(潜確大当りであってもよい)や特定の時短大当りに当選した場合、下記(SA)、(SB)に述べるような遊技性を作り出すことができる。
(SA)たとえば、特定の確変大当りに当選した場合、各設定値(設定1〜6)でそれぞれ異なるST回数を設定してもよいし(それぞれST回数の異なる確変状態に移行される)、少なくとも1の設定値において異なるST回数を設定してもよい(少なくとも1の設定値が、他の設定値とは異なるST回数の確変状態に移行される)。代表例として、前者の例であれば、同じ確変大当りに当選した場合に、たとえば「設定1〜6のST回数を100回〜105回」(ST回数に応じていずれかの設定値が判明するケース)とすることができる。後者の例であれば、同じ確変大当りに当選した場合に、たとえば「設定1〜5はST回数100回、設定6は101回」(ST回数101回消化で設定6確定のケース)や、「設定1〜4はST回数100回、設定5、6は101回」(ST回数101回消化で高設定確定のケース)、「少なくとも第1設定値はST回数100回、第2設定値は105回」などとすることができる。
また、異なる確変大当り着目したケースであれば、たとえば「大当り抽選対象となる当り種別のうち、第1当りに当選した場合は第1ST回数(たとえば、ST100回)とし、第2当りに当選した場合は第1ST回数とは異なる第2ST回数(たとえば、105回)とし、第1設定値の場合には、少なくとも第2当りは含まれない」構成とすることができる。
これらの構成の場合、或る確変大当りに当選した場合に、設定値に応じてST回数が異なるため、ST回数に応じた設定示唆を行うことが可能になる。具体的には、特定のST回数であった場合、設定1〜6のいずれかが判明したり、特定の設定値領域(低設定領域、高設定領域、設定1否定、設定6確定など)であることが判明する。換言すれば、設定示唆演出が持つ機能(設定示唆)を「ST回数」を利用して作り出す、といった斬新性のある遊技性を創出することができる。
(SB)また、特定の時短大当りに当選した場合も同様に、各設定値(設定1〜6)でそれぞれ異なる時短回数を設定してもよいし、少なくとも1の設定値が異なる時短回数を設定してもよい。また、異なる確変大当り着目したケースであれば、たとえば「大当り抽選対象となる当り種別のうち、第1当りに当選した場合は第1時短回数(たとえば、時短100回)とし、第2当りに当選した場合は第1時短回数とは異なる第2時短回数(たとえば、105回)とし、第1設定値の場合には、少なくとも第2当りは含まれない」構成とすることができる。これらの場合も上述した(SA)の構成と同様に、特定の時短回数であった場合に、設定1〜6のいずれかである、あるいは特定の設定値領域(低設定領域、高設定領域、設定1否定、設定6確定など)など、時短回数に応じた設定示唆を行うことが可能になり、設定示唆演出が持つ機能(設定示唆)を「時短回数」を利用して作り出す、といった斬新性のある遊技性を創出することができる。
なお、本例の特定の大当りは、1または複数の大当りとすることができる。なお、特定の大当りとしては、図柄抽選率が最も低い大当り(たとえば、確変大当り1)または最も有利度(利益状態)が低い大当りとすることが好ましい。その理由は、次に述べる通りである。図柄抽選率が最も低い大当りは、中々当選することができない「レアな大当り」としての位置付けである。そのため、当該大当りに当選した場合には、特典として“設定示唆”という有利情報を遊技者に提供することが好ましい。また、最も有利度(利益状態)が低い大当りは、苦労して大当りに当選させても利益が低く、遊技者にとり残念な大当りとなってしまい、遊技者の遊技意欲を減退させる恐れがある。そこで、当該大当りに当選した場合には、“設定示唆”という有利情報を遊技者に提供して、遊技者の遊技意欲の減退を防止することが好ましい。
上記(SA)の構成は、たとえば下記(SA−1)の構成とすることができる。
(SA−1)
始動手段が遊技球を検出したことを契機に、複数種類の当りを対象に抽選を実行する抽選手段と、
図柄の変動表示を行い、当該図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段と、
上記抽選手段による抽選結果が当りである場合、当り遊技を実行制御する当り遊技実行制御手段と、
上記当り遊技が終了した後、図柄の変動回数が所定の上限回数に達するまでの間、上記当りとなる抽選確率が所定の通常確率よりも高確率となる高確率状態(具体的には、高確率状態伴う遊技状態:確変状態または潜確状態)に制御可能な確率変動制御手段を備え、
複数段階に変更可能な設定値に応じて上記当り抽選の結果が所定結果となる確率が異なる遊技機であって、
複数段階に変更可能な設定値には、第1設定値と第2設定値とが少なくとも含まれ、
上記確率変動制御手段は、
上記設定値が上記第1設定値である場合、抽選手段により第1当りが当選した場合には第1上限回数に達するまでの間、上記高確率状態に制御し、
上記設定値が上記第2設定値である場合、上記抽選手段により上記第1当りが当選した場合には上記第1上限回数とは異なる第2上限回数に達するまでの間、上記高確率状態に制御するように構成することができる。
また、上記(SA−1)を下記(SA−2)のように構成してもよい。
(SA−2)
上記確率変動制御手段は、
上記抽選手段により上記第1当りが当選した場合には上記第1上限回数に達するまでの間、上記高確率状態に制御し、
上記抽選手段により上記第2当りが当選した場合には上記第1上限回数とは異なる第2上限回数に達するまでの間、上記高確率状態に制御し、
上記設定値が第1設定値の場合には、上記抽選手段による抽選結果の中に少なくとも第2当りは含まれない、という構成とすることができる。
なお、上記(SB)の構成とする場合には、確率変動制御手段の替りに「始動手段への入球状態が通常遊技状態(通常状態)よりも有利な入球有利状態(電サポ状態)を伴う有利遊技状態(時短状態)に制御する有利遊技状態制御手段」を設ける。そして、
上記有利遊技状態制御手段は、
上記設定値が上記第1設定値である場合、上記抽選手段により上記第1当りが当選した場合には第1上限回数に達するまでの間、上記有利遊技状態に制御し、
上記設定値が上記第2設定値である場合、上記抽選手段により上記第1当りが当選した場合には上記第1上限回数とは異なる第2上限回数に達するまでの間、上記有利遊技状態に制御する、という構成にすればよい。
(大当り非当選(ハズレ)であって、天井フラグがON状態の場合)
再び図15の説明に戻る。大当り判定フラグがON状態(5AH)でなく(ステップS911:≠5AH)、天井フラグがON状態の場合(ステップS915:=5AH)、天井発動開始前処理(天井特典を付与するための前処理)の一環として、天井発動フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS916)。本処理で、ON状態に設定された天井発動フラグは、次ゲームにおける上記天井発動管理処理(ステップS421)で確認される。
次いで、図23に示す「天井用遊技状態移行テーブル」を取得する(ステップS917)。図23では、各種天井特典に対応する天井用遊技状態移行テーブルとして、JTTBL−6〜JTTBL11(有限時短〜無限潜確)を例示してある。実際には、天井特典種に応じて、必要な天井用遊技状態移行テーブルを設ければよい。
次いで、取得した天井用遊技状態移行テーブルに定められたデータを上記した状態バッファに格納する(ステップS914:状態バッファ設定処理)。これら状態バッファに格納された値は、上記天井発動管理処理(ステップS421、図14中のステップS922参照)で読み出され、上記大当りに当選した場合と同様に、RAM203の所定の記憶領域(各々の状態バッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。これにより、天井特典に係る遊技状態が指定されることになる。なお、図示の「*(回)」「*(H)」は任意のデータ値であり、遊技性や設計値に応じた適宜な値を設定可能であることを意味する。たとえば、本実施形態の場合、天井特典として「有限時短(時短回数100)」を代表的に説明しているので、この場合は、図示の「有限時短」の欄に示すようなデータ値が定められている。
なお、大当り判定フラグと天井フラグとが共にOFF状態(00H)である場合(ステップS911が≠5AHであり、かつステップS915≠5AHの場合)、何もせずにそのまま遊技状態移行準備処理を抜ける。
再び図12の特別図柄変動開始処理の説明に戻る。上記ステップS412の遊技状態移行準備処理を終えると、次いで、特別図柄変動パターン作成処理を実行する(ステップS413)。特別図柄変動パターン作成処理では、少なくとも現在の遊技状態と上記ステップS411の図柄抽選結果(特別図柄判定データ)とに応じた変動パターン振分テーブルを取得する。本実施形態の場合、現在の設定値、現在の変動パターン選択モード(Tcode)、図柄抽選結果、および作動保留球数(今回変動表示動作に供される作動保留球を除く、現存する作動保留球数0〜3個)に応じた「変動パターン振分テーブル」が取得されるようになっている。
(変動パターン振分テーブル:図24〜図27)
図24〜図27に、変動パターン振分テーブルを示す。図24は「一般用、前兆用、天井用、時短用、天国時短用」の各当り変動パターン振分テーブルを、図25は「ST序盤用、ST中盤用、ST終盤用」の各当り変動パターン振分テーブル」を、図26は「一般用、前兆用、天井用、時短用、天国時短用」の各ハズレ変動パターン振分テーブルを、図27はST序盤用、ST中盤用、ST終盤用の各「ハズレ変動パターン振分テーブル」を示したものである。また、図24と図25に示す「FB1〜FB17」は当選時に選択される当り変動パターン振分テーブル種別を、図26と図27に示すの「FH1〜FH21」はハズレ時に選択される当り変動パターン振分テーブル種別を示す。
なお、図24および図26に示す変動パターン振分テーブルの「天国時短」(「時短/天国時短」欄参照)については、時短モードと共通のテーブルとなっているが、天国時短専用の変動パターン振分テーブルを設けてもよい。また、天井特典に応じて適宜、専用の変動パターン振分テーブルを設けることができる。たとえば、有限確変や無限確変の場合は「天国確変専用の変動パターン振分テーブル」、有限潜確や無限潜確の場合は「天国潜確専用の変動パターン振分テーブル」などである。この実施形態の場合、天井特典として「有限時短」を付与するため、時短モードと共通の変動パターン振分テーブルが選択される例を示してある。また、図示はしていないが、変動パターン振分テーブルは、設定値(設定1〜6)に対応する変動パターン振分テーブルが設けられている。すなわち、設定値に応じて、1または複数の特定の変動パターンが抽選される確率が異なる場合があり、その変動パターンに係る演出の出現率によって、設定推測要素を与えることができるようになっている。
図24〜図27に示す通り、各変動パターン振分テーブルには、1または複数種類の変動パターンが、変動パターン選択モード(Tcode)、作動保留球数(今回変動表示動作に供される作動保留球を除く、現存する作動保留球数)、図柄抽選結果、および変動パターン用乱数値に関連付けて定められている。変動パターンの種類は、図示の通り、種々の変動パターンが設けられている。当選期待度については、次のような関係である。同種のリーチ同士間の関係は、Nリーチ同士では「NリーチA<NリーチB」、SPリーチ同士では「SPリーチA<SPリーチB<SPリーチC」となっている。異種のリーチ同士の関係は、「NリーチA<NリーチB<SPリーチA<SPリーチB<SPリーチC<特殊リーチ」の関係である。なお、疑似連や他の予告演出が複合的に出現する場合は当選期待度が変化し、たとえば「SPリーチB<疑似3+SPリーチA」のように、当選期待度が低いSPリーチAが、SPリーチBまたはCよりも上回る場合がある。煽りリーチは、主に、通常モードにおいて左打ち時に特図2に入賞があった場合に選択される特殊なリーチとして設けられている。なお図示では、Nリーチが疑似連無しのものを例示しているが、実際には、疑似連を伴うNリーチ(たとえば、疑似2+NリーチA、疑似2+NリーチBなど)が含まれ、疑似3以上が伴う場合に、SPリーチの発生が確定するものとなっている。
変動パターンの決定処理方法は、既に述べた、先読み変動パターン判定時(始動口入賞時乱数判定処理(図11のステップS320))と、基本的には同じである。ここでは、変動パターン振分テーブルを参照して、変動パターン用乱数値に応じて、いずれか1つの変動パターンが決定されるようになっている(図24〜図27に示す変動パターン指定コマンドデータCOM2が取得される)。そして、変動パターンが決定されると、対応する変動時間が決定される(図示の「TIME」の欄参照)。この変動時間(図柄変動表示ゲームの実行時間)は、領域内RAMのタイマ管理領域である「特別図柄役物動作タイマ」に設定される。
このようにして決定された変動パターンに関する情報には、少なくとも、当り・ハズレの別の当落抽選結果(本実施形態の場合、詳細な図柄抽選結果情報は、装飾図柄指定コマンドに含まれる)や、現在の遊技状態、変動時間情報、特定の予告演出の実行指定情報(リーチ演出の有無およびその種別や、疑似連指定情報など)を含むことができる。主制御部20は、その内容を特定可能とする「変動パターン指定コマンド」(図24〜図27に示す「COM2」)を作成し、これを演出制御部24に送信する。変動パターン指定コマンドに含まれる情報は、演出制御部24側にて、今回の図柄変動表示ゲーム中に現出すべき種々の演出(変動中の予告演出、変動中の設定示唆演出)を決定する際に利用される。
(変動パターンに関連する特徴的要素について)
ここで、STモードを複数種類有する点と、天井機能を有する点とに着目しながら、変動パターンに関連する特徴的要素について説明する。
各遊技モードにおける上記変動状態(高速、中速、低速変動状態)は、専ら、図26〜図27に示すハズレ変動パターン振分テーブルに定められた変動パターン群およびその選択率により実現される。したがって、変動パターン振分テーブルに如何なる変動パターン種を定めるかにより、各遊技モード下の変動状態を変更することが可能である。たとえば、図27に示す「ST中用ハズレ変動パターン振分テーブル」を参照すれば、ST序盤では、高速変動状態を実現すべく、特図2側の通常変動(通常変動パターンに属する変動パターン)の変動時間が2sという最も変動時間が短い最短変動パターンが高確率で選択されるようになっている。また、ST中盤とST終盤では、それよりも変動時間が長い変動パターン(通常変動3s、通常変動4s)が高確率で選択されるようになっており、これにより、中速変動状態、低速変動状態を実現する。また、図27に示すように、ハズレ時において、ST終盤、ST中盤、ST序盤モードの順に、リーチが選択され易く(本実施形態の場合は、ST序盤はリーチ選択率がゼロ)、かつその変動時間も相対的に長時間となっており、この点にからも、ST序盤、ST中盤、およびST終盤モードのこの順に、図柄変動表示ゲームの平均消化時間が相対的に長時間となるようになっている。
また、ST序盤モードでは、ハズレ時は通常変動種別のみが選択され、当選時はリーチ(直撃リーチ)のみが選択されるようになっている。つまり、ST序盤中(1〜25ゲーム以内)は、リーチが掛かった時点で「当確」となる。なお、本実施形態では、ST序盤中に当選となった場合、特別図柄種別、作動保留球数、および当り種別によらず、共通の変動パターン振分テーブル「FB9」が選択されるようになっているが、本発明はこれに限らず、ST中盤モードやST終盤モードのように、大当り種別に応じて異なる変動パターン振分テーブルが選択されうる構成としてもよい。
また、STモードが複数種類あることを利用して、下記(I)(II)のような構成とすることができる。
(I)STモードの最終回目専用のTcodeを設け、当該最終回目に特定の変動パターン(最終煽り変動)を選択可能な構成としてもよい。最終回目専用のTcodeは、ST序盤モード、ST中盤モード、およびST終盤モードの少なくともいずれか1つのSTモードで設けることができる。たとえば、図25(大当り時)の備考2〜4に示す「ST序盤最終煽りA、ST中盤最終煽りA、ST終盤最終煽りA」や、図27(ハズレ時)の備考2〜4に示す「ST序盤最終煽りB、ST中盤最終煽りB、ST終盤最終煽りB」などである。この場合、次のような演出を現出させることができる。代表的に、ST序盤モードの最終ゲーム(ST中の25ゲーム目)を例にとり説明すれば、当該最終ゲームにおいて、大当り時には「ST序盤最終煽りA」が選択され、ハズレ時には「ST序盤最終煽りB」が選択される。このとき、ST序盤最終煽りA、Bに係る図柄変動表示ゲームのいずれにおいても、ゲーム開始から所定時間の間(ゲーム開始から所定の変動時間が経過するまで)、共通の演出を現出させ、ハズレであるか大当りであるかの期待感を煽るようにする。そして、ハズレであればリーチを掛けずにそのまま「ハズレ図柄(バラケ目)」で停止させ、大当りであればリーチを掛けて「図柄揃い(当り図柄)」で停止させる(この例では、リーチが掛かった時点で当確となる)。なお、最終煽りA(当り時)と最終煽りB(ハズレ時)の変動時間は同一の変動時間としてもよいが、ハズレ時よりも大当り時の変動時間を長時間として、リーチ演出後、当選を祝福する祝福演出や、当選した大当り種別に応じて偶数図柄揃いから奇数図柄揃いの昇格表示または偶数図柄揃いから偶数図柄揃いへの非昇格表示を報知可能な昇格演出などの特定の演出を現出させることが好ましい。
(II)当選した大当り種別(1または複数の特定の大当り種別でもよい)を演出的に秘匿状態として、移行先遊技状態を秘匿状態とする場合(図柄変動表示ゲーム中の演出および当り中演出において、当選した大当り種別を秘匿状態とする場合)、たとえば、ST序盤モードの最終ゲーム(ST25ゲーム目)で、ハズレ時には、ST序盤最終煽りを利用して、STモードが終了するのか継続するか否かの「継続煽り演出」を現出させる。たとえば、現在の遊技モードがST25モードである場合には、継続煽り演出の結果として、ST非継続を報知する継続失敗演出を現出し、ST75またはST100モードである場合には、ST継続を報知する継続成功演出を現出させる。
上述の(I)(II)のいずれの構成も、ST最終ゲーム目において遊技者の緊張感を煽り、STモードにおける遊技の面白みを向上させることができる。また、上記のような「最終煽り変動」は、全STモードまたは一部のSTモードで選択可能に構成してもよい。ただし、ST序盤モードのような「高速変動状態」をなすSTモードにおいて、最終煽り変動を選択可能に構成することが好ましい。「高速変動状態」下の場合、大当りに当選することなくハズレ続けてしまうと、ST(確変状態)があっという間に終了してしまい、遊技者のガッカリ感が強くなる。そこで、最終回目に「最終煽り変動」を選択させ、遊技者の緊張感を持続させるようにすることが、遊技の面白みを向上させる点で好ましいからである。また、ST最終ゲーム目に限らず、最終ゲームよりも1または複数ゲーム手前のゲームから「最終煽り」を連続的に選択させる構成としてもよい。たとえば、ST23〜25ゲーム目の3ゲーム間は「最終煽り」を連続して選択する。
(天井モードに係る変動パターンついて)
また、図26に示すハズレ変動パターン振分テーブを参照して、天井モードでは、図示の「天井」の欄に示す通り、特図種別および作動保留球数によらず、共通の「天井変動」が選択されるようになっている。ただし本実施形態の場合、ハズレ種別が複数種類あるため「特図種別、作動保留球数、およびハズレ種別」によらず「共通の天井変動」が選択される。このようにする理由は、次に述べる通りである。第1に、天井到達時においては、少なくとも特図種別および作動保留球数などによらずに共通の天井演出を現出させ、天井発動(天井特典の付与)を報知することが好ましい。第2に、天井ゲーム1ゲーム限り(1回転限り)のために、変動パターン振分テーブルを複数種類用意したり、これに基づく演出を現出したりするのは、制御負担が増し、制御負担軽減の観点から好ましくない、という理由からである。また、当りの場合も、上述の「ハズレ」の場合と同様に、演出面と制御負担軽減の観点から、次に述べる構成としてある。既に説明したように、天井ゲーム(1000ゲーム目)において、偶々、大当りに当選となった場合には、天井演出モードに係る演出を現出するのではなく、通常演出モード中(たとえば、一般モード中または前兆モード中)に係る当選時の演出を現出させることが好ましい(上記「7−4−1.天井モード中の演出について」の記載参照)。そこで本実施形態では、図26に示すハズレ変動パターン振分テーブルの「天井」の欄に示すように、大当りに当選時は、通常モード中(一般モードおよび/または前兆モード)に係る当り変動パターン振分テーブルFB1〜FB4のうち、「FB2」が選択されるようになっている。なお、「FB2」に限らず、FB1〜FB4のいずれでもよい。
(前兆モードに係る変動パターンついて)
また、図26示すハズレ変動パターン振分テーブルの「前兆モード」に着目すれば、この実施形態の場合、前兆モード中は、通常モードのうちで、変動状態が最も速い高速変動状態(通常モード中、平均消化時間が最速の遊技モード)とされるようになっている。これは、遊技者の心境を考慮したものである。遊技者の多くは、天井間近になると「ここまで来たら、さっさと天井に到達したい」、「早く、天井特典を得たい」という気持ちが強くなると考えられる。そこで本実施形態では、前兆モード中の平均消化時間を高速化してある。また、この実施形態の場合、前兆モード中の大当り当選時は、図24に示すように、一般モードと共通の当り変動パターン振分テーブルFB1〜FB4を採用しているが、本発明はこれに限らず、前兆モード専用の当り変動パターン振分テーブルを設けてもよい。たとえば、前兆モード中専用の当り変動として「前兆当り変動」を設けることができる(図24の備考2「前兆当り変動」参照)。
また、前兆モード中の最終ゲーム目が「ハズレ」の場合には、上記「事前発射誘導報知演出」を現出させるために、特定の変動パターン(比較的長い変動時間を持つ変動パターン)を選択可能な構成としてもよい(図26の備考2「前兆最終変動」参照)。この事前発射誘導報知演出は、電サポ有り状態が生起する当該ゲームが到来する前のゲームで「打ち方」を指示する演出である点で、従来の電サポ有り状態が発生する当該ゲーム(確変または時短が生起するゲーム)で「右打ち」を指示したり、電サポ無し状態となった当該ゲームで「左打ち」を指示したりするといった発射誘導報知演出、つまり、実際に電サポの有り無しが生じる当該ゲームで打ち方を指示する報知演出とは性格を異にするものである。この点で、事前発射誘導報知演出は、天井特典を搭載する遊技機特有の演出である。
再び図12の説明に戻る。上記ステップS413の特別図柄変動パターン作成処理を終えると、次いで、今回の変動開始側に対応する変動中フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS414)。上記「変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらが変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。本実施形態では、特図1対応の「特別図柄1変動中フラグ」と、特図2対応の「特別図柄2変動中フラグ」を扱う。たとえば、特図1側が今回の処理対象(変動開始側)であれば、特別図柄1変動中フラグをON、特別図柄2変動中フラグをOFFに設定する。
次いで、ステップS411の特別停止図柄作成処理で得られた図柄抽選結果情報を特定可能な装飾図柄指定コマンドを取得し、これを演出制御部24に送信する(ステップS415)。装飾図柄指定コマンドには、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。この装飾図柄指定コマンドは、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄を構成要素となる図柄種)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せや、図柄変動表示ゲームにおいて当選種別に対応する予告演出などを行う際に利用される。演出制御部24は、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドを受信すると、これらのコマンドに含まれる情報に基づいて、今回の装飾図柄変動表示ゲームを開始し、変動中における各種演出を現出制御する。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS416)。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図10の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、特別図柄管理処理(ステップS093)を抜けて、図9の特別電動役物管理処理(ステップS095)に進む。
(設定異常エラーが生じたケースについて:S409→S411の処理ルート)
上記ステップS409の判定処理の説明に戻り、ステップS409において、設定エラーフラグがON状態(5AH)であると判定された場合、すなわち、設定異常エラーが発生したと判定された場合の処理内容について説明する。
本実施形態では、ステップS409の判定処理において、設定エラーフラグがON状態であると判定された場合、上記特別電動役物作動判定用乱数判定処理(当落抽選)をスキップし、ステップS411の特別停止図柄作成処理に進む。すなわち、設定異常エラーが発生した場合には、変動開始時の当落抽選を実行せず、今回の当落抽選結果は、常に「ハズレ」として処理される(強制ハズレ制御)。なお、設定異常エラーの場合には、エラー専用の変動パターンが選択されるように構成してもよいし、既存の特定の変動パターンが選択されるように構成してもよい。ただし、設定異常エラーという深刻なエラーが生じていることを考慮して、リーチ変動ではなく、通常変動のみを選択することが好ましい。
<A.特別図柄変動中処理:図10>
次に、図10に示す特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。
特別図柄変動中処理において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマにセットされた特別図柄の変動時間Tが経過したか否かを判定する。変動時間Tが経過していないならば(変動時間T≠0)、特別図柄が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理を抜ける。特別図柄の変動時間Tが経過したならば(変動時間T=0)、演出制御コマンドとして、特別図柄の変動が終了したことを示す「変動停止コマンド(BF01H)」を演出制御部24に送信する。演出制御部24は、変動停止コマンドを受信すると、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したことを把握し、変動表示中の装飾図柄を停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了される。
次いで、特別図柄の変動停止時の設定処理として、領域内RAMの該当領域に、特別図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)、確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄変動中フラグにOFF状態を格納する。そして、特別図柄の変動停止時の設定処理を終えると、特別図柄変動中処理を抜ける。上記「特別図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部端子基板21からホールコンピュータHCに対し、特別図柄が確定表示された旨を報知する特別図柄確定信号の出力時間を確保するための余裕時間である。また「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
以上の特別図柄変動中処理を抜けると、図10の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、特別図柄管理処理を抜けて、図9のステップS095の特別電動役物管理処理に進む。
<22.特別図柄確認時間中処理(変動停止時処理):図16Aおよび図16B>
次に、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。図16Aおよび図16Bは、図10の特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。
図16Aおよび図16Bにおいて、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS471)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「確定表示時間」が設定されている(上記特別図柄変動中処理のステップS307参照)。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS471:NO)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS471:YES)、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS472)、現在の遊技状態情報をRAMの遊技状態判定領域に格納する(ステップS473)。
次いで、大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS474)。
(大当り判定フラグがON状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがON状態(5AH)の場合(ステップS474:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS475)。ここでは、図示の通り、大当り判定フラグをOFF状態(00H)に設定し、大当りに当選したとして条件装置作動フラグをON状態(5AH)に設定し、その他、大当り遊技中を低確率および電サポ状態無しの状態に設定する(各種フラグやカウンタをクリア)。また、天井フラグと天井発動フラグとをOFF状態(00H)に設定し、天井カウンタをクリア(00H)する。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS474:≠5AH)、次いで、小当り判定フラグを取得し、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS476)。小当り判定フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS476:≠5AH)、すなわち、大当りでもなく小当りでもない「ハズレ」の場合には、ステップS478の処理に進む。
一方、小当り判定フラグがON状態(5AH)の場合(ステップS476:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS477)。ここでは、小当り図柄停止時の各種設定処理(小当り遊技開始前処理)として、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS478の処理に進む。
ステップS478の処理に進むと、特別図柄時短回数カウンタ(残り時短回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS478)。特別図柄時短回数カウンタがゼロである場合(ステップS478:YES)、ステップS483の処理に進む。
一方、特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS478:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄時短回数カウンタを1減算し(ステップS479)、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS480)。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS480:NO)、特別図柄時短状態の終了回数に達していないので、何もしないでステップS483の処理に進む。一方、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロの場合(ステップS480:YES)、特別図柄時短状態の終了回数に達したとして、時短終了時の設定処理を行う(ステップS481)。
(時短終了時の設定処理:ステップS481)
ここでは、時短終了時の設定処理として、電チューサポート機能(普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)をOFF状態に設定し(普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグにそれぞれ00Hに設定)して、「電サポ無し状態」への移行設定を行う。また、特別図柄時短機能の作動を終了させるために、特別図柄時短機能をOFF状態(特別図柄時短状態フラグに00Hに設定)に設定し、遊技状態報知LED出力番号(複合表示装置38cの状態報知データ)に非特別図柄時短状態を指定する00Hを格納する(「01H」の場合は、特別図柄時短状態指定)。
ステップS481の「時短終了時の設定処理」が実行されるケースは、遊技モードが「時短モード」から通常モード(一般モード)に移行するケース、具体的には、内部遊技状態が「時短状態」から「通常状態」に移行するケースである。したがってここでは、次ゲームから通常状態(一般モード)に移行することに伴い、残り天井ゲーム数のカウントを開始するべく、天井カウンタに初期値(999回)を設定する。本実施形態では、天井カウンタ値がゼロとなるゲームは、天井ゲーム直前のゲーム(999ゲーム目)となっており、この天井ゲーム直前のゲームにて、天井特典開始前の各種設定処理、具体的には、上記遊技状態移行準備処理(図12のステップS412)において、天井発動フラグがON状態(5AH)に設定され、天井特典を指定するためのデータが各状態バッファに格納される(図15のステップS915〜S917、S914)。そして、次ゲーム(天井ゲーム)開始時における上記天井発動管理処理(図12のステップS421)において、当該状態バッファのデータが読み出されて、遊技状態指定に係る各種のフラグやカウンタに設定される(図14のS921〜S926)。これにより、天井ゲームの開始とともに天井特典が付与されるようになっている。なお、天井カウンタに初期値として「1000」をセットしてもよく、この場合には、天井カウンタがゼロになったか否か、つまり1000ゲーム目であるか否かを監視し、ゼロであるならば、状態バッファを介さずに、直接的に、天井特典に関する指定データを各種フラグやカウンタにセットする処理にすればよい。
(ゲーム終了を契機に天井特典を付与する場合の制御処理)
ここで、ゲームの終了時(図柄停止時)に天井特典を付与する構成とする場合には、既に説明したように、サブルーチンである「天井発動管理処理(ステップS421)」を、たとえば、図柄変動表示ゲーム終了時に係る特別図柄確認時間中処理の最後の処理(後述のステップS495)の後、天井発動管理処理(ステップS421)を実行させればよい。この場合、本実施形態のように天井カウンタには999をセットした場合には999ゲーム終了時に天井特典が付与され、1000をセットした場合には1000ゲーム終了時に天井特典が付与される。いずれにしても、遊技に関する特定事象(ここでは、通常状態中のハズレ回数)をカウントして、そのカウント値が所定値(ここでは、ゼロ)となった場合に天井機能発動契機または天井特典を付与可能に構成すればよい。なお、本実施形態の処理の仕方(図12〜図16B参照)を採用すれば、旧機種ではゲーム開始時を天井発動契機としていたが、新機種ではゲーム終了時を天井発動契機としたい場合に設計変更を容易になり、旧機種と新機種との間の互換性を高めることができるという利点がある。
ステップS481の時短終了時の設定処理を終えると、次いで、遊技状態更新処理を実行する(ステップS482)。ここでは、変動パターン選択モード(Tcode)を時短モードの「05H」から一般モードの「00H」に更新する。更新後の遊技状態情報は、後述のステップS495にて、遊技状態指定コマンドにより演出制御部24に送信される。したがって、ステップS481の時短終了時の設定処理が実行される場合、後述のステップS495にて送信される遊技状態指定コマンドは、「一般モード」を指定する情報が含まれ、この遊技状態指定コマンドにより演出制御部24は、今回のゲームで時短モード(時短状態)が終了した旨を把握し、次ゲームから一般モード(通常状態)に移行される旨を把握する。これにより、次回の図柄変動表示ゲームでは、「一般モード」に基づく特別図柄の変動パターンが選択され、「一般演出モード」下における演出が現出されることになる。
次いで、特別図柄確変回数カウンタ(残りST回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS483)。特別図柄確変回数カウンタがゼロである場合(ステップS483:YES)、何もせずにステップS488の処理に進む。一方、特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS483:NO)、今回の特別図柄の変動回数消化分として、特別図柄確変回数カウンタを1減算し(ステップS484)、その減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS485)。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS485:NO)、ST回数が終了していないので、何もせずにステップS488の処理に進む。しかし減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロの場合(ステップS485:YES)、ST回数が終了したとして、確変終了時の設定処理を実行する(ステップS486)。ここでは、確変終了時の設定処理として、確変状態に関する機能をOFF状態に設定して確変状態を終了させる。ただし、特別図柄時短回数カウンタの値に応じて処理内容が異なる。以下、詳述する。
(1)“減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであり、かつ特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合”、この場合は、今回のゲームでST回数がゼロとなりSTモードの終了となるが、時短回数が残っているため、次ゲームから時短モードに移行されるケースである。つまり、ST25モード中にST回数25回が終了した場合か、またはST75モード中に、ST回数75回が終了した場合である(図22に示す遊技状態移行テーブルの「JTTBL−4、5」を参照)。したがってこの場合は、特別図柄確変機能だけをOFF状態(00H)に設定して(特別図柄確変状態フラグに00Hを格納)確変状態から時短状態への移行設定を行い、遊技状態番号YJを「02H(時短状態)」に更新する。なお、ST25、ST75、ST100モードの場合に本処理が実行される場合、変動パターン選択モード(Tcode)の更新については後続のステップS491で行う。
(2)一方、“減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであり、かつ特別図柄時短回数カウンタもゼロである場合”、この場合は、今回のゲームでST回数がゼロとなり、かつ時短回数もゼロとなるケース、すなわち、ST100モードに滞在したが、今回のゲームでST100モードが終了するケースである(図22に示す遊技状態移行テーブルの「JTTBL−3」を参照)。したがってこの場合は、確変状態の終了に要する処理として、電チューサポート機能(普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)をOFF状態に設定し(普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグにそれぞれ00Hを格納)、また、特別図柄時短機能と特別図柄確変機能とをOFF状態(特別図柄時短状態フラグと特別図柄確変状態フラグにそれぞれ00Hを格納)、遊技状態報知LED出力番号00Hを格納し、天井カウンタに初期値を設定し、遊技状態番号YJを「00H(通常状態)」に更新する。なお、潜確状態を終了させる場合(有限潜確大当りを設けた場合)も同様である。これにより、ST100モード(確変状態)が終了され、次ゲームから通常モード(一般モード)に移行される。なお、ST100モードの場合、特別図柄確変回数カウンタがゼロとなる場合には特別図柄時短回数カウンタもゼロとなるため(今回のゲームでST回数がゼロになる場合には、時短回数もゼロになる。)、特別図柄時短回数カウンタがゼロになった際に実行される上記「時短終了時の設定処理(ステップS481)」にて、電チューサポ―ト機能などの時短状態に係る機能はOFFに設定することが可能なため、本処理においては特別図柄確変機能だけをOFFにし、確変状態に係る全機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)がOFFに設定されるようにしてもよい。また、天井カウンタの設定についても、上記「時短終了時の設定処理(ステップS481)」にて、初期値(999回)を設定してもよいし、本処理で設定してもよい。
上記ステップS486の確変終了時の設定処理を終えると、次いで、特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS488)。ここでの特別図柄変動回数カウンタの判定処理は、主に、STモードにおける変動パターン選択モード(Tcode)の切り替えゲーム(更新ゲーム)の監視である。
特別図柄変動回数カウンタがゼロである場合(ステップS488:YES)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。一方、特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS488:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄変動回数カウンタを1減算し(ステップS489)、その減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS490)。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS490:NO)、変動パターン選択モード(Tcode)の更新ゲームでないとして、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロの場合(ステップS489:YES)、変動パターン選択モード(Tcode)の更新ゲームが到来したとして、遊技状態更新処理を実行する(ステップS491)。ここでは、STモードにおける変動パターン選択モード(Tcode)の更新処理を行う。変動パターン選択モード(Tcode)の更新が行われるのは、(α)ST序盤モードが終了する場合、(β)ST中盤モードが終了する場合、(γ)ST終盤モードが終了する場合などである。正確には、ST25、ST75、ST100モードに応じた更新処理が行われる。
ST25モードの場合は、ST序盤モードが終了すると時短モードに移行されるため、変動パターン選択モード(Tcode)をST序盤モードの「02H」から時短モードの「05H」に更新する。
ST75モードの場合は、ST序盤モードが終了するとST中盤モードに移行されるため(更新1回目)、このときは、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST序盤モードの「02H」からST中盤モードの「03H」に更新する。そして、ST中盤モードが終了すると時短モードに移行されるため(更新2回目)、このときは、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST中盤モードの「03H」から時短モードの「05H」に更新する。
ST100モードの場合は、ST序盤モードが終了するとST中盤モードに移行されるため(更新1回目)、上述のST75モードの場合と同じく、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST序盤モードの「02H」からST中盤モードの「03H」に更新する。その後、ST中盤モードが終了するとST終盤モードに移行されるため(更新2回目)、このときは、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST中盤モードの「03H」からST終盤モードの「04H」に更新する。そして、ST終盤モードが終了するとST終盤モードに移行されるため(更新3回目)、このときは、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST終盤モードの「04H」から一般モードの「00H」に更新する。
上記したステップS491の処理は、所定の変更条件の成立に基づき、特別図柄の変動パターンの選択条件を更新(変更)する変動パターンモード更新手段として働く。
次いで、ステップS491の遊技状態更新処理を終えると、次いで、特図変動回数カウンタ更新処理を行う(ステップS492)。ここでは、(1)ST序盤モードのST回数25回が消化された後、ST中盤モードの継続期間(ST回数50回)を設定する処理(特別図柄変動回数カウンタ2の値を設定する処理)、(2)ST中盤モードのST回数50回が消化された後、ST終盤モードの継続期間(ST回数25回)を設定する処理(特別図柄変動回数カウンタ3の値を設定する処理)を行う(更新される特別図柄変動回数カウンタの値については、図22の遊技状態移行テーブルの特別図柄変動回数カウンタ1〜3バッファの欄を参照)。本実施形態では、ステップS488〜S491の処理により、ST序盤、ST中盤、ST終盤モードを実現する。
次いで、前兆モード移行管理処理を実行する(ステップS493)。前兆モード移行管理処理では、天井カウンタを確認して、天井カウンタの値が前兆モード移行契機ゲーム数である否かを判定する。本実施形態の場合、990ゲーム目から前兆モードに突入するため(図7参照)、今回のゲームで天井カウンタNが989ゲーム目を示す場合に(天井カウンタN=10)、前兆モードへの移行設定処理を行う。具体的には、変動パターン選択モード(Tcode)を、一般モードの「00H」から前兆モードの「01H」に更新する。これにより、次ゲームの990ゲーム目から前兆モードに移行され、前兆モードに基づく特別図柄の変動パターンが選択され、前兆演出モード下における演出が現出される。
上記ステップS493の前兆モード移行管理処理を終えると、次いで、遊技状態情報送信処理を実行する(ステップS495)。この遊技状態情報送信処理は、図12に示す特別図柄変動開始処理中の遊技状態情報送信処理(ステップS408)と同じく、遊技状態指定コマンドを送信する。ただし、ここで送信される遊技状態指定コマンドは、ゲーム終了時に係る遊技状態に関する情報、すなわち、上記ステップS482、S491、S494などで更新された内容を含む情報である。したがって、本処理で送信される遊技状態指定コマンドにより、演出制御部24は、遊技状態の移行が生じるか否かを把握し、今回のゲーム終了時に、演出モードの移行制御を行うことができる。たとえば、989ゲーム目が終了後、990ゲーム目が開始されていなくとも、989ゲーム目が終了直後に、一般演出モードの昼背景から前兆モード中の夜背景に切り替え表示することができる。
以上のステップS495の遊技状態情報送信処理を終えると、特別図柄確認時間中処理を抜けて、図10の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、特別図柄管理処理(ステップS093)を抜けて、図9の特別電動役物管理処理(ステップS095)に進む。
<23.特別電動役物管理処理:図17>
次に、図9中の特別電動役物管理処理(ステップS095)について説明する。図17は、ステップS095の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図17において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態の場合(ステップS501:=5AH)、小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。この小当り処理では、小当り遊技動作を制御するための必要な処理が実行される。
上記小当り中フラグがOFF状態の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態の場合(ステップS502:≠5AH)、この場合は、小当り遊技中ではなく(ステップS501:≠5AH)、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態の場合(ステップS502:=5AH)、特別電動役物動作ステータス(00H〜04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐処理)。なお「特別電動役物動作ステータス」とは、特別変動入賞装置52の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、領域内RAMの特別電動役物動作ステータス格納領域に格納される。特別電動役物動作ステータスには、大当り遊技開始前の待機状態である旨を指定する「開始処理中(00H)」、ラウンド遊技開始前の待機状態である旨を指定する「作動開始処理中(01H)」、ラウンド遊技が実行中である旨を指定する「作動中(02H)」、次回のラウンド遊技を継続させるか否かの判定中である旨を指定する「継続判定中(03H)」、大当り遊技終了時の終了処理中である旨を指定する「大当り終了処理中(04H)」が含まれる。
ステップS503の特別電動役物動作ステータス分岐処理では、特別電動役物動作ステータス値が「開始処理中(00H)」「作動開始処理中(01H)」「作動中(02H)」「継続判定中(03H)」「大当り終了処理中(04H)」のいずれかのステータス値であるかに応じてステップS505〜S509のいずれかの処理を実行する。これらの処理は大当り遊技を実行制御する処理であり、ステップS505〜S509の処理を経て、各種当りに対応する当り遊技が実現される。以下に、ステップS505〜S509の処理内容について説明する。
<大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)>
(9−1.大当り開始処理)
ステップS505の「大当り開始処理」について説明する。大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが、初期値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって「大当り」となった場合は、まずこの「大当り開始処理」が実行される。
大当り開始処理に入ると、CPU201は、まず、大当り遊技を開始する際に必要な設定処理(開始時の設定処理)として、役物連続作動装置作動フラグにON状態に設定する。これにより、特別電動役物の連続作動(ラウンド遊技)が許容状態となる。そして、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に更新し、ラウンド数をカウントする「連続回数カウンタ」に初回の1R目を指定する01Hを設定する。次いで、今回当選した当り種別(特別図柄判定データ)に応じて、領域内RAMの該当領域に、今回の大当りに対応する「最大ラウンド数」、また特別図柄役物動作タイマに「開始インターバル時間」を設定する。「開始インターバル時間(開始INT)」とは、特別図柄の確定表示時間が経過して(図16AのステップS471参照)大当りが確定した後、特別変動入賞装置52が作動するまで(1R目のラウンド遊技が開始されるまで)のインターバル区間であって、オープニング演出区間を定めた時間幅を指す。
次いで、「大当り開始コマンド」を演出制御部24に送信し、この大当り開始処理を抜ける。なお「大当り開始コマンド」には、オープニング演出の開始を指示する役割の他、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24において、大当り遊技中に展開される一連の当り演出(大当り種別ごとに対応するオープニング演出、ラウンド中演出、ラウンド終了演出、およびエンディング演出など)を決定する際にも利用される。かくして、大当り遊技が開始される。
(9−2.特別電動役物作動開始処理)
次に、ステップS506の「特別電動役物作動開始処理」について説明する。
特別電動役物作動開始処理に入ると、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、ラウンド開始前インターバル時間が設定されている。このインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では、上記「大当り開始処理(ステップS505)」で設定された「開始インターバル時間(開始INT)」が監視されるが、2R目以降で本処理(ステップS506)を通過するときは、「開放前インターバル時間」、具体的には、今回のラウンド遊技が終了して次回ラウンド遊技が開始されるまでのラウンド間のインターバル時間(R間INT)が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、今回のラウンド遊技が終了していないので、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(1R目の場合は、開始インターバル時間)が経過したならば、大当り種別(特別図柄判定データ)と現在のラウンド数(連続回数カウンタ値)とに応じた大入賞口50の開閉動作パターンを設定する(大入賞口開閉動作設定処理)。ここでは、大入賞口開閉動作時間(最大開放時間)を特別図柄役物動作タイマに格納し、大入賞口ソレノイド52cを制御するためのソレノイド用制御データ(ラウンド数に対応して実行される大入賞口開閉動作パターン用データ)を設定する。
また大入賞口開放開始動作に伴い、大入賞口開放コマンドを演出制御部24に送信する。この「大入賞口開放コマンド」には、現在のラウンド数情報が含まれ、演出制御部24において、ラウンド数に対応するラウンド中演出を現出させる際に利用される。そして、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替えて、この特別電動役物管理処理を抜ける。これにより、大入賞口50が上記大入賞口開閉動作時間を上限に開放され、今回のラウンド遊技が開始される。
(9−3.特別電動役物作動中処理)
次に、ステップS507の「特別電動役物作動中処理」について説明する。
特別電動役物作動中処理に入ると、CPU201は、まず大入賞口50への入賞球数が最大入賞数に達したか否かを監視し、最大入賞数に達した場合には特別図柄役物動作タイマをゼロクリアする。これにより、上記「特別電動役物作動開始処理(ステップS506)」で設定されたタイマ値が強制的にゼロになり、最大入賞数に達したことを以って、開放中の大入賞口50が閉鎖されることになる。また、ここでは、大入賞口50に入賞があるごとに、「大入賞口入賞コマンド」を演出制御部24に送信する。この大入賞口入賞コマンドには、大入賞口への入賞発生情報と賞球数情報とが含まれ(設定値情報も含ませてもよい)、大入賞口50に入賞した旨を報知する入賞演出に利用される他、入賞演出を利用した設定示唆演出の現出制御にも利用される。たとえば、最大入賞数を超えるオーバー入賞があった場合、設定値に応じて定められた出現率に従い、通常のオーバー入賞演出に替えて、特別なオーバー入賞演出を現出する。
なお、特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間、つまり、大入賞口開放動作時間(最大開放時間)が経過するか、または最大入賞数に達するまでの間は、何もしないで、そのまま特別電動役物作動中処理を抜ける。
最大入賞数に達するか、または最大開放時間が経過して、特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば、今回のラウンド遊技が終了したとして、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(1980ms)を格納する。この「残存球排出時間」とは、大入賞口が閉鎖された後、大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間を指す。また大入賞口閉鎖(ラウンド遊技終了)に伴い、ラウンド間インターバルコマンドを演出制御部24に送信する。この「ラウンド間インターバルコマンド」は、ラウンド遊技終了情報や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24において、次回ラウンドまでのラウンド間インターバル(R間INT)中の演出(ラウンド間インターバル演出)を現出させる際に利用される。以上により、この特別電動役物作動中処理を抜ける。
(9−4.特別電動役物作動継続判定処理)
次に、ステップS508の「特別電動役物作動継続判定処理」について説明する。
特別電動役物作動継続判定処理に入ると、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口閉鎖後の残存球排出時間(1980ms)が設定されているので(ステップS507参照)、この残存球排出時間が経過したか否かが判定される。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(残存球排出時間経過)になったならば、連続回数カウンタの値を取得して、現在のラウンド数が最大ラウンド数に達したか否かを判定する。最大ラウンド数に達していない場合には、ラウンド遊技継続時の処理として、連続回数カウンタに1加算(+1)し、「開放前インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える。
一方、現在のラウンド数が最大ラウンド数に達した場合には、最終ラウンド終了時の設定処理として、「終了インターバル時間(終了INT)」を特別図柄役物動作タイマに格納し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える。上記「終了インターバル時間」とは、最終ラウンド目のラウンド遊技が終了して残存球排出時間経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、エンディング演出区間を定めた時間幅を指す。
そして、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信して、特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。これにより、最大ラウンド数目のラウンド遊技が終了される。なお、上記大当り終了コマンドには、今回の大当り種別とその当選時の遊技状態とに関する情報、つまり大当り遊技終了後の遊技状態を特定可能な情報が含まれ、演出制御部24において、大当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。
(9−5.大当り終了処理:図18)
次に、ステップS509の「大当り終了処理」について説明する。図18は、大当り終了処理の詳細を示すフローチャートである。
図18において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS591)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記終了インターバル時間(終了INT)が設定されているので、ここでは、この終了インターバル時間が経過したか否かが判定される。特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS591:NO)、何もしないでこの大当り終了処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば(ステップS591:YES)、状態フラグ設定処理を実行する(ステップS592)。ここでは、既に説明した「遊技状態移行準備処理(図12のステップS412)」において設定された状態バッファの各々の値を、状態バッファに対応するフラグ領域やカウンタにそれぞれ設定する。これにより、大当り遊技後の遊技状態が指定される。
次いで、大当り終了時の各種設定処理を実行する(ステップS593)。ここでは、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータ(たとえば、ステップS505〜S509で利用したフラグやカウンタ値)をクリアし、遊技状態報知LED出力番号を更新し、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える。
上記大当り終了処理を終えると、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了して、今回の大当り遊技が終了される。なお、以上に説明した大当り遊技に関する一連の制御処理は、天井特典による「強制当り」が付与される場合も同様である。
<19.演出制御部側の処理:図19〜図20>
次に、図19〜図20を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図19)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図20)とを中心に構成される。
<19.演出制御側メイン処理:図19>
図19は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図19に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、演出制御部24(CPU241)は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS1001)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
上記初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごと(16ms)にステップS1003〜S1011のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS01012の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS1002の処理において、CPU241は、メインループ更新カウンタを参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期(カウンタ値>15)が到来したか否かを判定する(ステップS1002)。上記メインループ更新カウンタは、1ms毎に実行される後述の演出制御側タイマ割込処理中でインクリメントされるカウンタである(図20のステップS1057参照)。本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっており、ステップS1002の判定処理にて、メインループ更新カウンタ値を判定し、その値が「15」より大きい場合には(ステップS1002:YES)、メインループ処理の実行タイミングが到来したとして、ステップS1003〜S1011の処理を実行し、それ以外の場合には、メインループ更新周期が到来するまで(ステップS1002:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS1012)。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS1002:YES)、メインループ更新カウンタをゼロクリアし(ステップS1003)、次いで、エラー処理を実行する(ステップS1004)。ここでは、エラー中におけるエラー報知用の演出シナリオの設定やエラーが解除された際のエラー解除処理などを実行する。なお、演出手段に関するエラー(可動体役物エラー、音声ICエラーなど)は、ここで監視される。
次いで、デモ・節電モード処理を実行する(ステップS1005)。このデモ・節電モード処理では、デモ開始待ち演出、客待ち演出、および節電モードに必要な設定処理を実行する。
次いで、演出スイッチ入力処理を実行する(ステップS1007)。この演出スイッチ入力処理では、操作手段(演出ボタン13、方向キー75)の操作状態を監視し、操作を検出した場合には、その操作に応じた演出制御処理を実行する。操作手段の入力状態は、後述の図20中のボタン入力状態更新処理(ステップS1052)にて監視される。
次いで、コマンド解析処理を行う(ステップS1008)。このコマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出処理を実行する。なお、主制御部20側からのストローブ信号に基づく割込みが生じた際、図示しないコマンド受信割込処理が実行される。このコマンド受信割込処理により、演出制御コマンドが取得され、そのデータは、RAM243のコマンド受信バッファに格納される。
たとえば、少なくとも変動パターン指定コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合(本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとが受信され、それらが受信バッファに格納されている場合)、コマンド解析処理において、そのコマンドに含まれる情報(変動パターン情報と当選情報(または当選種別情報))に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
またたとえば、「保留加算コマンド」を受信した場合には、先読み予告(保留変化予告および/または変動中先読み予告)や、天井用保留変化予告(図32)などを現出させるための演出処理を行う。
上記コマンド解析処理を終えると、続いて、シナリオ更新処理を実行する(ステップS1009)。このシナリオ更新処理では、演出シナリオの実行に必要なタイマの内容を更新、当該タイマ値に基づいて演出シナリオを進行する処理を実行する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、どのような演出手段で現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLED駆動データ更新処理(ステップS1011)や演出役物動作更新処理(ステップS1053)においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLED駆動データ更新処理(ステップS1011)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物動作更新処理(ステップS1053)で作成される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS1010)。このサウンド出力処理では、ステップS1009のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音チャネル毎に設定されている音データに基づき、フレーズやボリュームなどのデータを音響制御部(音源LSI)に出力し、音響制御部を通じてスピーカ46から音演出を現出させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、LED駆動データ更新処理を実行する(ステップS1011)。このLED駆動データ更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ13や各種演出用LEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
以上により、メインループ処理を終了すると、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS1012の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
<31.演出制御側タイマ割込処理:図20>
次に図20を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図20は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(1ms)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図20において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS1051)、ボタン入力状態更新処理を実行する(ステップS1052)。このボタン入力状態更新処理では、操作手段(演出ボタン13、方向キー75)からの操作検出信号の入力状態を監視し、操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をRAM243の所定領域に格納する。この操作検出情報は、図19シナリオ更新処理(ステップS1009)にて、遊技者参加型演出やメニュー画面やメニュー項目に係る情報などを表示する際に利用される。本実施形態では、1回押し、長押し、連打などの検出も可能となっている。
次いで、演出役物動作更新処理を実行する(ステップS1053)。この演出役物動作更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物用のモータ制御データを作成する処理を行う。
次いで、SOL・MOT出力処理を行う(ステップS1054)。このSOL・MOT出力処理では、上記演出役物動作更新処理で作成された可動体役物用の制御データを駆動制御部に出力する。駆動制御部は、制御データに基づく制御信号を、動作対象とする可動体役物の可動体役物モータに出力しその動作を制御する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物(時計型役物80、花型役物90など)による可動体演出が実現される。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS1055)。この液晶コマンド送信処理では、図19のシナリオ更新処理(ステップS1009)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信し、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、RTC情報取得処理を実行する(ステップS1056)。このRTC情報取得処理では、RTCにより計時される日時情報(RTC情報)を取得する。このRTC情報は、RTC情報に基づく演出を現出する際に利用される。
次いで、メインループ更新カウンタをインクリメントする(ステップS1057)。このメインループ更新カウンタは、上述の演出制御側のメイン処理中のステップS1003でリセットされ、本処理でインクリメントされる。したがって、ステップS1057が実行される際には、メインループ更新カウンタ値は0〜15のいずれかとなっている。
上記ステップS1057の処理を終えると、退避していたレジスタの内容を復帰させ(ステップS1058)、タイマ割込処理を終了して、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を実行する。
〔特典付与形態の変形例1:図33〕
上記実施形態では、通常モード中(少なくとも内部遊技状態が通常状態中)に、大当りに当選することなく、所定のゲーム数が実行された場合、天井特典を付与する構成について説明した。しかし本発明はこれに限らず、たとえば、下記付与形態(α)〜付与形態(ζ)とすることができる。
<付与形態(α):図33(イ)>
(α)遊技モードまたは内部遊技状態とは無関係に、実行ゲーム数をカウントし、大当りに当選することなく、当該カウントされたゲーム数が所定のゲーム数(たとえば、1000ゲーム目)に達した場合に天井特典を付与する(図33(イ)参照)。本構成の場合、通常モード(通常状態)のみならず、時短モード(時短状態)中や確変モード(確変状態)中に実行されたゲーム数もカウントされる。したがって、純粋に、今回の大当りから何ゲームハマったのかに応じて、天井特典を付与することができる。
<付与形態(β):図33(ロ)>
(β)「低確率状態を伴う遊技状態(低確遊技状態)」中のゲーム数をカウントし、大当りに当選することなく、当該カウントされたゲーム数が所定のゲーム数(たとえば、1000ゲーム目)に達した場合に天井特典を付与する。本例の場合、高確率状態を伴う遊技状態(高確遊技状態)中に実行されたゲーム数はカウント対象から除外される。ここで、「低確率状態を伴う遊技状態」とは、内部遊技状態に着目した場合は「通常状態」または「時短状態」が該当し、遊技モードに着目した場合は「通常モード」または「時短モード」が該当する。
図33(ロ)は、代表的に、時短大当り1(移行先遊技状態が時短A)と、確変大当り3(移行先遊技状態がST25モード(確変C))と、確変大当り2(移行先遊技状態がST75モード(確変B))と、確変大当り1(移行先遊技状態がST100モード(確変A))とを、本例(付与形態(β))に適用したケースを示したものである。図示では、三者を比較し易いように、いずれも「電サポ100回を付与する大当り」を示してある。各大当りについて、電サポ終了後(101ゲーム目)から天井ゲーム(1000ゲーム目)までに必要なゲーム数(本例において「必要ゲーム数X」と称する)は次の通りとなる。
図33(ロ)を参照して、時短A大当りの場合、大当り遊技終了後から時短回数100回の時短状態に移行され、この時短回数100回分がカウント対象とされる。したがって、必要ゲーム数Xは「900ゲーム」となる(図33(ロ)の「時短A」参照)。
一方、STモード移行契機大当りの場合には、STモードに応じて、電サポ終了後から天井到達までのゲーム数が異なる。具体的には、図33(ロ)の「ST25」、「ST75」、「ST100」を参照して、
ST25モード(ST回数25回+時短回数75回)の場合、ST25回終了後の時短回数75回分がカウント対象とされるため、必要ゲーム数Xは「925ゲーム」となる。
ST75モード(ST回数75回+時短回数25回)の場合、ST75回終了後の時短回数25回分がカウント対象とされるため、必要ゲーム数Xは「975ゲーム」となる。
ST100モード(ST回数100回)の場合、電サポ終了までの100ゲーム間はSTモード中となるため、この100ゲーム分はカウント対象から除外される。したがって、必要ゲーム数Xは1000ゲームとなる。STモードの場合は、相対的に利益度合が低いSTモードほど、電サポ終了後から天井ゲーム数までの必要ゲーム数が少なくなる。
図示の関係を纏めれば、上記「必要ゲーム数X」に関し、「時短A(時短回数100回)<ST25モード<ST75モード<ST100モード」の関係となる。すなわち、利益度合が相対的に低い遊技モード(内部遊技遊技状態)に移行されるほど、電サポ終了後からの天井到達までの必要ゲーム数(通常モード(通常状態)中における必要ゲーム数)が減少する、という特異な関係となる。この「通常モード(通常状態)で実行すべき必要ゲーム数が減少する」という点は、天井特典とは別の性格の救済機能であるともいえる。
<付与形態(γ):図33(ハ)>
(γ)特定の変動パターン選択モード(特定のTcode)中のゲーム数をカウントし、大当りに当選することなく、当該カウントされたゲーム数が所定ゲーム数に達した場合に天井特典を付与する。本例の理解を容易なものとするために、仮想的な遊技機として、通常モードに相当する遊技モードとして、変動パターン選択モードが異なる「通常Aモード」と「通常Bモード」の2つの遊技モードを含む複数種類の遊技機モードを移行制御可能な遊技機を例にとり説明する。この場合、図33(ハ)に示すように、たとえば、カウント対象を「通常Bモード」における実行ゲーム数とする。この場合、「通常Aモード」の実行ゲームはカウント対象外となるため、通常Aモードでいくらゲームが実行されても天井特典が付与されることがないが、「通常Bモード」中に実行されたゲーム数が所定のゲーム数に達すれば天井特典が付与される、という構成とすることができる。なお、「通常Aモード」と「通常Bモード」の移行条件(変動パターン選択モードの移行条件)としては、たとえば、「小当りに当選した場合にモード移行を生じさせる」または「実行ゲーム数(変動回数)に応じて、モード移行を生じさせる」などがある。本例を利用して、下記(A)または(B)のような遊技性を作り出すことができる。
[(A)小当り当選に起因して、変動パターン選択モードの移行を生じさせるケース]
小当り当選に起因して変動パターン選択モードの移行を生じさせるケースについて説明する。本ケースの例として、たとえば、特図1側に小当り(当選確率1/50)を設け、変動パターン選択モードの移行に関し、「通常Aモード」中に小当り(昇格抽選)に当選した場合に「通常B」に移行させ(小当り遊技後に通常Bモードに移行する)、「通常Bモード」中に再度小当りに当選した場合(転落抽選)に当選した場合に「通常Aモード」に移行させる(小当り遊技後に通常Aモードに移行する)。そして、天井特典付与に関し、「通常Bモード」中において小当りまたは大当りに当選することなく所定のゲーム数(たとえば、70ゲーム)ハマった場合に(通常Bモード中に70ゲーム連続してハズレの場合)天井特典を付与する。本ケースの場合、通常Aモード中にいくらハマっても天井特典が付与されることはないが、通常Bモード中に70ゲームハマった場合には天井特典が付与される。したがって、通常Bモードを遊技者に有利な“天井特典付与チャンス期間”つまり「チャンスゾーン」として機能させるという斬新な遊技性を作り出すことができる。なお、小当りは複数設けてもよく、たとえば、通常Aモード中に第1小当りに当選した場合に通常Bモードに移行させ、通常Bモード中に第2小当りに当選した場合に通常Aモードに移行させてもよい。この場合、第1小当りと第2小当りとが異なる当選確率であってもよいし、同一の当選確率であってもよい。また、設定値に応じた小当りの当選確率を定めることができる。たとえば、設定値が高いほど第1小当り(通常Bモード(チャンスゾーン)への移行契機となる小当り)の当選確率を高くなるようにし、第2小当り(通常Aモードへの移行契機となる小当り)の当選確率を低く定めれば、高設定になるほど、通常Bモードからの転落確率が低くなる。つまり、設定値が高くなるなるほど、天井特典の付与確率が高くなる、という遊技性を作り出すことができる。なお、小当りの当選確率、カウント対象の変動パターン選択モード、天井特典付与のゲーム数については、遊技性を考慮して適宜定めることができる。
[B:変動回数に起因して変動パターン選択モードの移行を生じさせるケース]
次に、変動回数に起因して変動パターン選択モードの移行を生じさせるケースについて説明する。本ケースの例として、たとえば、変動パターン選択モードの移行に関し、通常Aモード中に第1ゲーム数(たとえば、50ゲーム)実行された場合に「通常Bモード」に移行させ、「通常Bモード」中に第2ゲーム数(たとえば、40ゲーム)実行された場合に「通常Aモード」に移行させる。そして、通常Bモード中のゲーム数が所定のゲーム数(たとえば、400ゲーム)に達した場合に天井特典を付与する。この例では、通常Bモードに10回移行されると天井到達ゲーム数の400ゲームに達することができる。なお、天井到達ゲーム数を固定的なものとするのではなく、たとえば、400ゲーム、600ゲーム、800ゲームなどの複数種類のゲーム数を設け、抽選によりいずれかのゲーム数を決定可能に構成してもよい。この場合、天井到達ゲーム数がランダム化され、遊技の面白みを向上させることができる。また、設定値が高いほど相対的に少ないゲーム数(400ゲーム)が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多いゲーム数(800ゲーム)が選択され易いという様に、天井到達ゲーム数の抽選確率を設定値に応じて定めれば、高設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたり、逆に低設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたりすることができる。また、天井到達ゲーム数の違いにより、設定推測要素を遊技者に与えることもできる。
また、特定の変動パターン選択モードのゲーム数をカウント対象とするのではなく、「特定の変動パターン選択モードへの移行回数」をカウント対象としてもよい。この場合、特定の変動パターン選択モード(本例の場合、通常Bモード)への移行回数が所定回数(たとえば、10回)に達した場合に天井特典を付与することができる。また、複数種類の上記移行回数を設け(たとえば、7回、8回、9回、10回など)、抽選(移行回数抽選)によりいずれかの移行回数を決定可能な構成してもよい。この場合、設定値が高いほど相対的に少ない移行回数(たとえば、7回)が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多い移行回数(たとえば、10回)が選択され易いという様に、移行回数の抽選確率を設定値に応じて定めれば、高設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたり、逆に低設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたりすることができる。また、天井到達ゲーム数の違いにより、設定推測要素を遊技者に与えることもできる。
<付与形態(δ)>
また、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動回数)をカウント対象とするのではなく、(δ)「普図変動表示ゲームの実行回数(普図の変動回数)」をカウント対象としてもよい。この場合、低確率状態(通常状態および/または時短状態)を伴う遊技状態中の「普通図柄の変動回数」をカウントすることが好ましい。たとえば、通常モード(通常状態)中の普図変動表示ゲームの実行回数をカウントして、所定のゲーム数(たとえば、2000ゲーム目)に達した場合、天井特典を付与することができる。
<付与形態(ε)>
また(ε)条件装置が作動しない「小当り」の当選回数をカウントし、大当りに当選するこなく、そのの当選回数が所定回数に達した場合に天井特典を付与することができる。たとえば、小当りの当選確率を1/100とし、小当りの当選が10回に達した場合に、天井特典を付与する。なお、「小当り」の当選回数に替えて、小当りに当選した場合の特別電動役物の作動回数(小当り遊技の実行回数)をカウントしてもよい。また、複数種類の上記当選回数を設け(たとえば、7回、8回、9回、10回)、抽選(天井移行当選回数抽選)によりいずれかの回数を決定可能に構成してもよい。この場合、設定値が高いほど相対的に少ない当選回数(たとえば、7回)が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多い当選回数(たとえば、10回)が選択され易いという様に、各当選回数の抽選確率を設定値に応じて定めれば、高設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたり、逆に低設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたりすることができる。また、天井到達ゲーム数の違いにより、設定推測要素を遊技者に与えることもできる(次に述べる「付与形態ζ」も同様)。
<付与形態(ζ)>
また(ζ)「補助当り」の当選回数をカウントして、所定の当選回数に達した場合に、天井特典を付与することができる。この場合、少なくとも補助当り抽選確率が低確率状態(普通図柄確変機能非作動)を伴う遊技状態(通常状態および/または潜確状態)における当選回数をカウントすることが好ましい。なお、「補助当り」の当選回数に替えて、普電開放遊技の実行回数をカウントしてもよい。
上記付与形態(ε)および(ζ)の付与形態は、天井特典を付与する条件が、図柄変動表示ゲームの実行回数(図柄の変動回数)に依存しない点に特徴がある。
なお、上記実施形態、付与形態(α)や付与形態(β)について、所定のゲーム数(天井ゲーム数)に達した場合に天井特典を付与すると説明したが、本発明はこれに限らず、上記付与形態(γ)のように、所定の抽選(天井ゲーム数抽選)により天井ゲーム数を決定可能に構成してもよい。具体的には、複数種類の天井ゲーム数を設け(たとえば、500ゲーム、700ゲーム、1000ゲーム)、抽選によりいずれかの天井ゲーム数を決定可能な構成とすることができる。この場合も設定値が高いほど相対的に少ないゲーム数が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多いゲーム数が選択され易いという様に、各天井ゲーム数の抽選確率を設定値に応じて定めることができる。
〔特典付与形態の変形例2(分割特典付与形態):図34〕
上記実施形態と特典付与形態の変形例1では、天井発動契機が1回(1000ゲーム目に天井特典を付与)の形態について説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数回(少なくとも2回)の特典発動契機(小特典付与契機)を定め、各特典発動契機による付与される小特典により、大特典(たとえば、天井特典と同等の利益)を付与可能な構成とすることができる(分割特典付与形態)。この変形例2は、複数回の特典発動契機を利用するという点で、「遊技者を大ハマリから救済するために特典を付与する」という目的よりも、特定の遊技状態(たとえば、通常状態(通常モード))中のベースアップ」の目的が強いものとなっている。
この変形例2の代表例としては、たとえば、大当り間で付与する時短回数に上限を設け、その上限の時短回数を複数回に分けて付与する構成である。具体的には、時短回数100回の有限時短という“大特典(天井特典に相当)”を、時短回数25回の有限時短という“小特典”により4回に分けて付与(分割付与)する構成である。したがって、本変形例は下記の関係式(10)を満たす。
付与する時短回数の上限(以下「上限時短回数」と称する)をX回、付与回数をY回、上限時短回数分を分割した回数(以下「分割時短回数」と称する)をZk回(k=1〜Y:以下、単に「Z」と表記する場合がある)とした場合、
「ΣZk=X k=1〜Y」・・・式(10)
を満たす。たとえば、上限時短回数Xを100回、分割付与回数Yを4回とした場合、次回大当りに当選するまでに、4回付与した場合における分割時短回数の合計(Z1+Z2+Z3+Z4)が、上限時短回数の100回(Z1+Z2+Z3+Z4=100)となるように時短状態を付与する。なお、分割時短回数Zkは、それぞれ同一または略同一の分割時短回数としてもよいし、少なくとも1つが異なる分割時短回数としてもよい。すなわち、同一または略同一利益の小特典を分割付与する構成であってもよいし、異なる小特典を分割付与する構成であってもよい。前者の例としては、たとえば、時短回数25回を4回に分けて付与し上限時短回数100回とする(同一の分割時短回数を付与)、後者の例としては、たとえば、初回〜4回目の分割時短回数を「20回、20回、20回、および40回」とする(一部が異なる分割時短回数)、「15回、35回、20回および30回」とする(それぞれ異なる分割時短回数)などである。また、ハマリゲーム数が相対的に多くなるほど、利益度合が相対的に高い小特典を付与する構成としてもよい。たとえば、初回〜4回目の分割時短回数を「10回、20回、30回および40回」とすることができる。
なお、上限時短回数X、付与回数Y、および分割時短回数Zをどのような値に定めるかは、遊技性などを考慮して適宜定めることができる。たとえば、上限時短回数Xを「上限時短回数X>大当りによる最大時短回数」の関係を満たす回数(たとえば、300回)に定めることができる。しかし、過度な特典付与にならないように、上限時短回数Xを、少なくとも「上限時短回数X≦大当りによる最大時短回数(100回)」を満たす関係または「大当りによる最小時短回数(50回)≦上限時短回数X<大当りによる最大時短回数(100回)」を満たす関係とすることが好ましい。
また、特典発動契機(付与回数Y)は複数存在すればよく、たとえば、「遊技状態によらず、何ゲーム目に付与するかまたは何ゲーム実行された場合に付与するか」、「特定の遊技状態の何ゲーム目に付与するか」、「特定の遊技状態で何ゲーム実行された場合に付与するか」などについても適宜定めることができる。
また、上限時短回数分の時短回数(大特典)が付与された後は、これ以上の時短状態は付与されず、次回大当りまで特典は付与されないようになっている。大特典の付与を終えた後は、十分な特典が付与された、換言すれば、救済機能を果たしたものとして、以後、次回大当りまで特典を付与しない。しかし、別途、天井特典(図7、図23)を付与してもよい。たとえば、分割特典付与が終了した後、次回大当りに当選することなく、所定のゲーム数が1000ゲームハマった場合に、天井特典を付与することができる。また、複数の特典発動契機のうち少なくとも1つにおいて、設定示唆演出を現出可能に構成することができる。この場合、特典発動契機(特典付与ゲーム)が到来により特典付与に加えて設定示唆情報も得ることができるため、遊技の面白みを向上させることができる。
またここでは、大特典として有限時短を付与する構成について説明したが、有限確変または有限潜確にも適用することができるのは勿論のことである。この場合、上述の「時短回数」を「ST回数」に、「時短状態」を「確変状態」または「潜確状態」に適宜読み替えれば、有限確変(大特典)を分割付与(小特典の有限確変を複数回付与)する構成、または有限潜確(大特典)を分割付与(小特典の有限潜確を複数回付与)する構成の概念になる点は自明である。たとえば、上限時短回数Xを「上限ST回数X」、分割時短回数Zを「分割ST回数」などと適宜読み替えればよい。その一例として、上記式(10)であれば、付与するST回数の上限(上限ST回数)をX回、付与回数をY回、上限ST回数分を分割した回数(分割ST回数)をZk回(k=1〜Y)とした場合、「ΣZk=X k=1〜Y」を満たす、と読み替えればよい。
(変形例2の具体例:図34)
本変形例(変形例2)は、大別すると、「所定のゲーム数が実行される毎に小特典を付与していく」といった周期的(定期的)に特典を付与する“周期的付与形態”と、周期的には分割付与しない“非周期的付与形態”とがある。図34を用いて、先ず、周期的付与形態について説明する。
[周期的付与形態]
<A.周期的付与形態の具体例1(付与形態(κ)):図34(イ)>
図34(イ)は、周期的付与形態の一例(付与形態(κ))を示したものである。図34(イ)は、大当りによる電サポ終了後(図示のp0)の通常状態(通常モード)中に、図柄変動表示ゲームが所定のゲーム数(ここでは、100ゲーム)実行される毎に(図示のp1、p3、p5、p7)、小特典の「時短回数25回(分割時短回数25回)の有限時短」を付与するものである。ここでは、付与回数を4回とし、この計4回の小特典を付与することを以て、大特典である「時短回数100回の有限時短(上限時短回数100回の時短状態)」の付与を完結するケースを示している。
詳しくは図34(イ)に示すように、電サポ終了後(p0)の1〜100ゲーム目(p1)までの100ゲーム間は通常状態に制御され(分割付与無し期間)、101ゲーム目に初回の特典発動契機(特典付与契機)が到来して、小特典の有限時短(時短回数25回)が付与され、101〜125ゲーム目(p2)までの25ゲーム間が時短状態に制御される(初回の小特典による時短状態に制御)。
次いで、126〜225ゲーム目(p3)までの100ゲーム間は再度通常状態に制御され(分割付与無し期間)、226ゲーム目に2回目の特典発動契機が到来して、小特典の有限時短(時短回数25回)が付与され、226〜250ゲーム目(p4)までの25ゲーム間が時短状態に制御される(2回目の小特典による時短状態に制御)。
次いで、251〜350ゲーム目(p5)までの100ゲーム間は再度通常状態に制御され(分割付与無し期間)、351ゲーム目に3回目の特典発動契機が到来して、小特典の有限時短(時短回数25回)が付与され、351〜375ゲーム目(p6)まで時短状態に制御される(3回目の小特典による時短状態に制御)。
そして、376〜475ゲーム目(p7)まで再度通常状態に制御されて、476ゲーム目に最終回(4回目)の特典発動契機が到来して、小特典の有限時短(時短回数25回)が付与され、476〜500ゲーム目(p8)まで時短状態に制御(4回目の小特典による時短状態に制御)され、以上を以て、大特典である「時短回数100回の有限時短」の付与が完結する。すなわち、周期的(100ゲーム毎)に小特典(時短回数25回)が4回に分けて分割付与され、電サポ終了後から500ゲームハマると上限時短回数100回分のすべてが付与されることになる。このような付与形態は、換言すれば、「通常状態中の実行ゲーム数100回+時短回数25回」という遊技期間を1セットとして最大4セットを付与することと同事象になり、リミッタ機能を備えた特典付与機能ともいえる。なお、演出モードについては図示を省略してあるが、上記実施形態(図6、図7)のように、通常状態(通常モード)であれば通常演出モードに、時短状態(時短モード)であれば時短演出モード(空戦モード)のように、遊技状態に応じた演出モードに移行制御可能に構成すればよい。
(無限系の特典を付与する場合について)
上記の例では、大特典として有限時短を分割付与する構成について説明したが、上限時短回数が無限、すなわち「無限時短」を分割付与する構成とすることもできる。大特典が「無限時短」の場合には、たとえば、次回の大当りに当選するまで、100ゲーム毎に、所定の分割時短回数(小特典)を永続的に付与していく構成とすればよい。また、図34(イ)と同じく100ゲーム毎に分割時短回数25回を付与するが、476ゲーム目(最終付与目のp7)に、分割時短回数として無限回数を付与する構成としてもよい。この場合は、501ゲーム目以降も時短状態が継続されうることになる。勿論、上限ST回数が無限の無限確変や無限潜確を分割付与する構成とすることができる。この場合、既に説明したのと同様に、上述の「時短回数」を「ST回数」、「時短状態」を「確変状態」または「潜確状態」に適宜読み替えればよい。
<B.周期的付与形態の具体例2(付与形態(κ)):図34(ロ)>
上述の付与形態(κ)では、「天井特典を分割付与する」という周期的付与形態について説明した。次に、その他の周期的付与形態として、大当りの当選によって付与される利益状態の「無限時短」、「有限時短」、「無限確変」、「有限確変」、「無限潜確」、または「有限潜確」などを、複数回の特典発動契機により分割付与する構成(付与形態(λ))について説明する。
本例は、大当りの当選によって付与される時短状態(無限時短、有限時短)、確変状態(無限確変、有限確変)、潜確状態(無限潜確、有限潜確)などの利益を、複数回の特典発動契機により分割付与していく構成である。つまり、上記実施形態のように(図4、図6〜図7等を参照)大当り遊技後に全時短回数や全ST回数を直ちに付与するのではなく、長期間の遊技期間にわたり小出しに付与していく構成である。本例では、時短大当りの場合は、大当りにより付与される時短回数が「上限時短回数」(大特典)に相当し、分割付与される時短回数が上記「分割時短回数」(小特典)に相当する。また、確変大当りまたは潜確大当りの場合は、大当りにより付与されるST回数が「上限ST回数」(大特典)に相当し、分割付与されるST回数が上記「分割ST回数」(小特典)に相当する。図34(ロ)に、その具体例を示す。
図34(ロ)は、本例(付与形態(λ))の代表例として、時短回数がそれぞれ異なる時短大当りα〜γ(時短回数50回の有限時短大当り、時短回数100回の有限時短大当り、無限時短大当り)に当選したケースを例示してある。図(A)は、時短回数50回の時短大当り(図4の時短大当り2に相当)に当選した場合に時短回数を分割せずに付与する通常付与のケースを示し、図(B)は、時短回数100回の時短大当り(図4の時短大当り1に相当)に当選した場合に、その時短回数100回を2回に分けて分割付与するケース(分割時短回数50回を2回に分けて分割付与するケース)を示し、図(C)は、無限(実質無限となる回数を含む)の時短回数を付与する時短大当りに当選した場合に、初回に時短回数50回を付与し、2回目に無限回数を付与するケースを示したものである。
図34(ロ)を参照して、図(A)〜(C)に示すように、時短大当りα〜γのいずれかに当選した場合には、どの大当りに当選した場合も、最初に時短回数50回が付与され、その後、当選した大当り種別に応じて異なる遊技遷移を辿る。ここで、図示のように、演出モードを共通化するように定めた場合には、次に述べる遊技性を作り出すことができる。
(時短回数秘匿遊技)
時短大当りα〜γが当選した場合に、図柄変動表示ゲーム中の演出(装飾停止図柄を含む予告演出など)および当り中演出において当選した大当り種別を秘匿状態とする。そして、大当り遊技後の演出モードも、初回の時短回数50回(1〜50ゲーム間)まで共通の時短演出モード(空戦モード:図29〜図31参照)であり(図示のa0〜p0の区間)、その後の51ゲーム目〜150目までも共通の通常演出モード(たとえば、一般演出モード)である(図示のp0〜p1の区間)。したがって、150ゲーム目が経過するまで当選した大当り種別が演出から秘匿され、この間、遊技者は時短大当りβまたは時短大当りγの当選に期待を寄せながら遊技に興じることになる。ここで、今回当選した大当りが時短大当りαであった場合は、151ゲーム目以降(p1以降)も通常演出モードが継続されるため、この時点で、今回当選した大当りが時短大当りαであったことが判明することになる。しかし、当選した大当りが時短大当りβまたは時短大当りγの場合はいずれも151ゲーム目に時短状態が発生して、再度、時短演出モードに移行されるため、この段階では、時短大当りβまたは時短大当りγのどちらに当選したのかは秘匿状態である。したがって、遊技者は、時短状態が200ゲーム(図示のp2)で終了しないことを願いながら(時短大当りγの当選に期待を寄せながら)遊技に興じることになる。そして、201ゲーム以降も時短状態が継続すれば、当選した大当りが時短大当りγ、つまり無限時短であることが確定し、遊技者は安心して、次回大当りまで高ベース状態下にて遊技を進めることができる。このように、秘匿状態の時短回数を段階的に公開していくことにより、遊技者の電サポ継続への期待感、電サポ終了の緊張感、電サポ継続が判明したときの高揚感を煽るといった遊技性(時短回数秘匿遊技)を作り出すことができる。なお、無限時短が判明する201ゲーム以降の時短状態下は、通常の時短演出モード(空戦モード)としてもよいが、図示のように、通常の時短演出モードとは異なる特別な時短演出モード(たとえば、空戦モードとは異なる背景表示(不図示)となる)を現出させ、無限時短であったことを確定的に報知してもよい。
なお上記では、時短回数がそれぞれ異なる時短大当りα〜γ(時短回数50回の有限時短大当り、時短回数100回の有限時短大当り、無限時短大当り)の三者の関係について説明したが、少なくとも時短回数が異なる2つの時短大当りであれば、上記のような時短回数秘匿遊技を実現することができる。また図34(ロ)の例では、時短回数がそれぞれ異なる時短大当りα〜γについて説明したが、ST回数がそれぞれ異なる複数の確変大当り(たとえば、ST回数50回の有限確変大当りα、ST回数100回の有限確変大当りβ、無限確変大当りγ)についても同事象であり、この場合は、秘匿状態のST回数を段階的に公開していくといった「ST回数秘匿遊技」を実現することができる。
[非周期的付与形態]
<付与形態(μ)>
上記した付与形態(κ)(λ)では、周期的に小特典を付与していく形態を説明したが、非周期的に小特典を付与していく形態であってもよい(非周期的付与形態)。たとえば、特典発動契機が200ゲーム目、350ゲーム目、600ゲーム目、および800ゲーム目などである。非周期的付与形態とする場合には、複数の特典発動契機を抽選により決定可能な構成としてもよいし、特典発動契機シナリオ(複数の特典発動契機ゲーム数が予め定められているシナリオ)を複数設け、抽選によりいずれかの特典発動契機シナリオを決定可能な構成としてもよい。その他の点(大特典、小特典に関する事項など)は、上記した付与形態(κ)(λ)で述べたものと重複するため、詳細な説明は省略する。
[その他の付与形態]
<付与形態(ν)>
上記分割特典付与形態では、大特典の利益を上限に小特典を分割付与する形態について説明した。しかし大特典の利益を上限としない構成としてもよい。たとえば、周期的または非周期的に「特定特典」を付与していくが、その付与される利益の上限は設けない、という構成である。端的言えば、大特典が無限系特典(無限時短、無限確変または無限潜確)であり、小特典が有限系特典(所定の時短回数の時短状態、所定のST回数の有限確変または所定のST回数の有限潜確)であり、小特典を付与回数Yに制限なく、次回の大当りまで、周期的または非周期的に付与していくという構成である。本例は、付与回数Yに制限が無い点(無限回数である点)で、上限のある「分割付与」とは性格を異にする。本例について、たとえば、図34(イ)を用いて説明すれば、小特典の「時短回数25回の有限時短」を周期的に付与(通常状態中の100ゲーム毎に付与)するが、その付与がp8時点(4回目)で完結することなく、次回の大当り当選まで永続的に付与するという付与形態となる。また、たとえば図34(ロ)(C)を用いて説明すれば、p2の時点で、付与する特典を「無限時短」に切り替えるのではなく、小特典の「時短回数50回の有限時短」を、p2以降も周期的に付与(通常状態中の100ゲーム毎に付与)するという付与形態となる。なお、付与回数が所定の規定回数または所定の規定ゲーム数に達した場合、小特典の有利度(利益状態)を高くしてもよい。たとえば、図34(イ)を用いて説明すれば、付与回数が10回に達した場合、現在の小特典の「時短回数25回の有限時短」よりも相対的に有利度が高い「時短回数50回の有限時短」(中特典)とすることができる。小特典から中特典への切替条件は、所定の規定付与回数および/または所定の規定ゲーム数に達した場合とすることができる。
上記実施形態と、その変形例に関する付与形態(付与形態(α)〜(μ):図33〜図34)に関する技術的思想を含む本発明は、下記のように構成(構成A)〜(構成G)とすることができる。
(構成A)
遊技領域に遊技球を発射可能な発射手段と、
始動手段が遊技球を検出したことを契機に、当りに関する抽選を実行する抽選手段と、
図柄の変動表示動作を行い、当該図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段と、
所定の発生条件に基づき、遊技者に有利な利益状態を発生可能な利益状態発生手段と、を備えた遊技機であって、
上記利益状態発生手段は、
上記抽選手段による抽選に当選した場合、当り遊技を実行制御する当り遊技実行制御手段と、
上記当り遊技が終了した後、第1利益状態を発生させる第1利益状態発生手段と、
所定の開始条件が成立した後、上記当り遊技が実行されることなく、特定発生条件が成立した場合に第2利益状態を発生させる第2利益状態発生手段と、を備える、
ことを特徴とする遊技機。
(構成B)
上記第1利益状態と第2利益状態とは同一の利益状態である、
ことを特徴とする上記構成Aの遊技機。
(構成C)
上記第1利益状態と第2利益状態とは異なる利益状態である、
ことを特徴とする上記構成Aに記載の遊技機。
(構成D)
上記第1利益状態よりも上記第2利益状態の方が利益状態が低い、
ことを特徴とする上記構成Aに記載の遊技機。
(構成E)
上記第1利益状態は、上記当り遊技の終了後に開始された後、所定遊技期間が経過した場合に終了し、
上記第2利益状態は、上記特定発生条件の成立後に開始された後、所定遊技期間が経過した場合に一旦終了し、再度上記特定発生条件が成立した場合に上記第2利益状態が再開される、
ことを特徴とする上記構成Aまたは上記構成Bに記載の遊技機。
(構成F)
上記第1利益状態は、上記当り遊技の終了後に開始された後、所定の遊技回数が経過した場合に終了し、
上記第2利益状態は、上記特定発生条件の成立後に開始された後、上記当り遊技に当選するまで継続する、
ことを特徴とする上記構成Aまたは上記構成Cに記載の遊技機。
(構成G)
上記第1利益状態は、上記当り遊技の終了後に開始された後、第1遊技期間が経過した場合に終了し、
上記第2利益状態は、上記特定発生条件の成立後に開始された後、上記第1遊技期間より短い第2遊技期間が経過した場合に終了し、再度上記特定発生条件が成立した場合に上記第2利益状態が再開される、
ことを特徴とする上記構成A、上記構成C、上記構成Dのいずれかに記載の遊技機。
〔第2実施形態〕
<電サポ有り状態下における出玉性能>
ところで、近年では、法的要請により、射幸心を煽ることを適度に抑制することが求められている。時短状態または確変状態では、電サポ有り状態となり、通常状態(電サポ無しの低ベース状態)よりも高ベース状態下に制御される。この電サポ有り状態(高ベース状態)下は、遊技者が通常状態よりも持ち玉を減らすことなく、次回の大当り当選を狙えるという遊技者に有利な遊技状態である。しかし、射幸心を煽ることを抑制するためにベース値(いわゆる、出玉率:「セーフ球数/アウト球数」×100)を過度に下げてしまうと、電サポ有り状態でありながら遊技者の持ち玉が減少するスピードが速まり、遊技者の遊技意欲を減退させてしまうばかりか、結果的に、遊技者の使用する金額(消費金額)が増えるという事態を招来してしまい、遊技者の遊技意欲を減退させてしまう。特に、天井特典として無限時短や無限確変が付与された場合には、遊技者の殆どが次回の大当りが当選するまで遊技を続行するため、次回の大当り当選までのゲーム数が嵩めば嵩むほど持ち玉も減少して行ってしまう。すなわち、遊技者にとっては、散々大ハマリをした上に天井特典中においても投資金額が増えてしまう事態に直面してしまい、遊技意欲が著しく減退してしまう。また、多くの遊技者は、折角の天井特典の恩恵を受けようとして遊技を続行するため、使用金額も増加していく一方となり、ハマリ救済機能としての天井機能の意義が没却され、かえって射幸心を煽ることにも成り兼ねない。
そこで、持ち球が極端に減少しない工夫が必要となる。たとえば、高ベース状態の出玉率(ベース値)が、少なくとも「100%≦出玉率」とすることが、遊技者の遊技意欲および射幸心の抑制の観点から適切なものであるといえる。好ましくは「100%≦出玉率≦120%〜130%」である。このような高ベース状態の出玉率を実現するための具体的構成について、以下詳細に説明する。
本実施形態の場合、既に説明したように、遊技状態に応じて「左打ち」か「右打ち」のどちらか有利な方向に打ち分けるため、電サポ無し状態下であれば「左打ち有利」となるため、左流下経路3bに属する一般入賞口43a〜43d(第1一般入賞手段)と上始動口34(第1始動手段)とには入賞可能性があるが、右流下経路3cに属する一般入賞口43e(第2一般入賞手段)と下始動口35(第2始動手段)は入賞することはない。一方、電サポ有り状態下であれば「右打ち有利」となるため、右流下経路3cに属する一般入賞口43eと下始動口35(特図2始動口)とには入賞可能性があるが、左流下経路3bに属する一般入賞口43a〜43dと上始動口34(特図1始動口)とには入賞することはない。また、一般的な遊技機では、電サポ無し状態(通常状態または潜確状態)中の出玉率(低ベース時出玉率)は概ね30%〜40%(少なくとも100%未満、好ましくは、50%未満)、電サポ有り状態(時短状態または確変状態)中の出玉率(高ベース時出玉率)は概ね80%〜95%で、いずれも出玉率が100%未満である(打ちっぱなしにしていた場合)。仮に遊技機1で説明すれば、想定される出玉率の設計値は、たとえば、電サポ無し状態中の1分当りの平均入賞個数に関し、一般入賞口43a〜43d(賞球数3個)がそれぞれ2個、0.6個、0.4個、1.04個であり、上始動口34(賞球数4個)が「5.52個」であれば低ベース時出玉率は34.2%となり、他方、電サポ無し状態中の1分当りの平均入賞個数に関し、一般入賞口43e(賞球数3個)が12.5個、下始動口35(賞球数1個)が58.2個であれば高ベース時出玉率は95.7%である。
ここで、本実施形態に係る遊技機1のように、遊技状態に応じて「左打ち」か「右打ち」かに打ち分けが必要となる遊技機の場合、上記高ベース時出玉率を極端に減少させないためには、一般入賞口43a〜43e(賞球数3個)、上始動口34(賞球数4個)、下始動口35(賞球数1個)の配置構成や賞球数を工夫することにより実現できる。具体的には、下記(A)〜(H)の手法により実現可能である。
(A)一般入賞口43eおよび/または下始動口35(普通変動入賞装置41側の始動口(電チュー付始動口))の賞球数を増やす。具体的には、左流下経路3bに属する一般入賞口の賞球数よりも右流下経路3cに属する一般入賞口の賞球数の方が多い賞球数に定める。または、左流下経路3bに属する一般入賞口の賞球数よりも下始動口35の賞球数の方が多い賞球数に定める。あるいは、左流下経路3bに属する一般入賞口の賞球数よりも、右流下経路3cに属する一般入賞口および下始動口35の賞球数の方を多い賞球数に定める。たとえば、一般入賞口43eを4個としたり、下始動口35を2個とするなどである。
(B)少なくとも一般入賞口43eの数を増やす(右流下経路3cに属する一般入賞口の数を1個から2個に増やし、右打ち時の一般入賞口に対する入賞個数(入賞個数/分)を底上げする)。具体的には、左流下経路3bに属する一般入賞口の数(設置数)よりも右流下経路3cに属する一般入賞口の数(設置数)の方が多くなるように構成する。本実施形態では、左流下経路3bに属する一般入賞口が4個(一般入賞口43a〜43d)配置されているが、たとえば、これを1個とし、右流下経路3cに属する一般入賞口43eをそれよりも多い2個〜4個とするなどである。
(C)少なくとも一般入賞口43eの入賞率(入球率)を高める(たとえば、12.5個/分から20個/分に上昇させる)。複数の一般入賞口43eを設ける場合には、少なくとも1つの入賞率を高める。具体的には、左流下経路3bに属する一般入賞口の入球率Nよりも右流下経路3cに属する一般入賞口の入球率Mが高くなるように定める。
なお、本実施形態の場合、一般入賞口43a〜43dが複数配置されているため、次のように構成してもよい。一般入賞口43a〜43dのうち最も低い入球率を「Nmin」とし、最も高い入球率を「Nmax」とした場合、次の関係式(式1)または(式2)を満たすように構成することができる。
(式1)「Nmin<M」
(式2)「Nmax<M」
また、本実施形態の場合、一般入賞口43eが1個であるが、複数個設けられている場合には、次のように構成してもよい。複数の一般入賞口43eのうち、最も低い一般入賞口43eの入球率を「Mmin」とし、最も高い入球率を「Mmax」とした場合、次の関係式(式3)〜(式6)のいずれかを満たすように構成することができる。
(式3)「N<Mmin」(左流下経路3bに属する一般入賞口が1つの場合)
(式4)「Nmin<Mmin」
(式5)「Nmax<Mmin」
(式6)「Nmax<Mmax」
(D)普電開放遊技の開始INT(可動翼片47の開放開始までのインターバル時間)および/または終了INT(可動翼片47の開放動作終了後、普電開放遊技が終了するまでのインターバル時間)を長くする(たとえば、開始INTおよび/または終了INTを500msから700msにするなど)。この場合、打ちっ放し時の無駄玉(死に玉)を回避する、いわゆる「止め打ち」により持ち玉を増加させる(出玉率を上昇させる)ことが可能である。たとえば、打ちっ放しの場合は出玉率(BA)が95%程度であり、止め打ちを行った場合には出玉率120%程度とすることができる。この打ち止めは、特に、下始動口35の賞球数が多い場合(たとえば、3個〜4個程度)である場合に効果を発揮する。
(E)小当り遊技中の出玉が増えないまたは出玉が減少するような小当り遊技動作を生起させる小当りを1または複数設ける(本実施形態では、少なくとも特図2側に当該小当りを設ける)。たとえば、大入賞口の開放時間を短時間(0.1秒〜1秒程度)とし、大入賞口閉鎖期間である「開始INTおよび/または終了INT(各INTの合計時間でもよい)」がセコンドオーダの長時間(たとえば、1秒〜5秒程度)とする小当り遊技動作である。このような小当り遊技は、出玉性能が低く、遊技球を打ちっ放しにしている場合に、出玉が増えない(小当り遊技中の出玉率が100%)、または出玉が減少しうる(小当り遊技中の出玉率が100%未満)。この場合、前述の(D)と同じく、開始INTや終了INT中に「止め打ち」を駆使すれば、小当り遊技中の出玉性能に反して持ち玉を増加させることができる。したがって、出玉率を向上させることができる。特に、小当りを高確率で当選(小当り遊技の発生頻度を高くする)させる、たとえば、少なくとも1/5〜1/20程度で当選させるようにすれば、その効果は一層高まる。
(F)上始動口34の賞球数よりも下始動口35の賞球数の方を少ない賞球数に定める。電サポ中に頻繁に入賞しうる始動口側の賞球数を多くしてしまうと、止め打ち効果が増し(技術介入度が高くなる)、遊技者間の不平等感を招来する恐れがある。そこで、出玉率に大きく影響する入賞口を、下始動口35以外のその他の入賞口(特に、右流下経路3cに属する一般入賞口)とすることが好ましいからである。
(G)右流下経路3cに属する一般入賞口の賞球数よりも下始動口35の賞球数の方を少ない賞球数に定める。止め打ちにより入賞率に差が生まれる“下始動口35”の賞球数よりも、止め打ちにより入賞率に差が生まれない“右流下経路3cに属する一般入賞口(一般入賞口43e)”の賞球数を多くすることにより、止め打ちによる攻略要素を少なくすることができる。
(H)下始動口35の賞球数は1個であり、右流下経路3cに属する一般入賞口の賞球数は少なくとも2個とする。下始動口35の賞球数1個とする場合には、入賞率100%であったとしても純増個数が0個となり、下始動口35の開放動作を狙い撃ちして如何に止め打ちを駆使しようとも遊技者の持ち球は増えることが無い。そこで、下始動口35の賞球数は1個とし、右流下経路3cに属する一般入賞口の賞球数を少なくとも2個とすることにより、止め打ちによる攻略要素を完全に排除するとともに、出玉率の向上を図ることができる。
なお、上述の(D)または(E)とする場合、止め打ちを駆使する者とそうでない者との間に獲得利益の不平等感を招来する恐れがある。そのため、止め打ち効果の無い一般入賞口に関する上述の(A)〜(C)、(F)〜(H)の構成を採用することが好ましい。特に、上述の(B)(C)(F)〜(H)の構成は、止め打ち効果を低下させるとともに、出玉率を向上させる上で効果的である。また、左流下経路3cに属する一般入賞口または右流下経路3cに属する一般入賞口一般入賞口のいずれも、その設置数を1または複数とすることができる。
(機種タイプに関する変形例)
本実施形態では、STタイプの機種について説明した。しかし本発明に係る遊技機は、STタイプの機種に限らず、遊技状態の移行形態を下記のように定めた機種、たとえば、下記(機1)〜(機3)の機種としてもよい。
(機1)『V確変タイプ』
大入賞口内に遊技球が通過可能な特定領域を設け、1または複数の特定の大当り(たとえば、確変大当り1〜7)に当選した場合には、その特定領域に遊技球を通過容易(通過可能)に構成する一方、他の大当り(たとえば、時短大当り1、2)に当選した場合には、特定領域の通過を困難または不可能に構成し、特定領域を遊技球が通過した場合(いわゆる「V入賞」)に限り、特別図柄確変機能を作動させ、確変状態または潜確状態に移行させるといった、いわゆる「V確変タイプ」の機種としてもよい。
(機2)『転落抽選タイプ』
高確率状態を伴う遊技状態(潜確状態または確変状態)中の場合、毎ゲーム、所定の転落確率で、高確率状態から低確率状態への移行抽選(転落抽選)を行うといった、いわゆる「転落抽選タイプ」の機種としてもよい。この転落抽選タイプでは、転落抽選に当選すると、当該当選ゲーム(転落ゲーム)で低確率状態に移行され(少なくとも特別図柄確変機能がOFFに設定される)、当該当選ゲームにおける大当り抽選も低確率状態で抽選されるようになっている。転落抽選に当選した場合の遊技状態移行形態には、下記(A)〜(C)のケースがある。(A)確変状態(STモード)→時短状態(時短モード)、(B)確変状態→通常状態(通常モード)、(C)潜確状態(潜確モード)→通常状態(通常モード)。このような転落抽選タイプでは、転落ゲームで、少なくとも低確率状態を伴う遊技状態に移行される。したがって、通常状態または時短状態中の実行ゲームを天井ゲームのカウント対象とする場合には、転落ゲームを1ゲーム目としてカウントすることが好ましい。なお、転落ゲームを除いて、その次のゲームを1ゲーム目としてカウントしてもよい。
上記実施形態で説明したSTタイプの機種と、本例(機2)の転落抽選タイプとは、主に、「転落抽選(転落抽選手段)の有無」および「転落抽選結果に基づく転落移行制御(転落移行制御手段)の有無」が異なるだけである。したがって、本実施形態で説明した遊技性に関する事項(たとえば、図21〜図34)に関し、転落抽選に当選する前は(高確率状態を伴う遊技状態中の場合)STモードに関する実施形態に適用可能であり、転落抽選に当選した後は(転落抽選に当選して、低確率状態を伴う遊技状態に移行された場合)は、通常状態や時短状態(転落移行先の遊技状態)に関する実施形態に適用可能である。
ところで、従来の転落抽選タイプは、大当り種別(当選図柄の種別)によらず、転落確率が1種類しかなく、遊技が単調になりがちで、遊技の面白みに欠けていた。そこで、大当り種別に応じて、転落確率を複数種類設ける。この場合、各大当りでそれぞれ異なる転落確率としてもよいし、一部が同一または異なる転落確率としてもよい。上記実施形態に係る遊技機1が「転落抽選タイプ」とした仮定した場合、たとえば転落確率を、確変大当り1〜3(特図1側)は1/200、1/150、1/100、確変大当り4〜7(特図2側)は1/240のように、特図1側に属する大当りに当選した場合はそれぞれ異なる転落確率、特図2側の大当りに当選した場合は同一の転落確率とすることができる。また、転落確率を複数種類設ける手段として、設定値(設定1〜6)に応じた転落確率を定めることができる。換言すれば、少なくとも第1設定値と第2設定値とで転落確率が異なるように構成することができる。たとえば、設定値が相対的に低いほど、転落確率が相対的に高くなるように定めることができる。
また、ST回数については、各大当りで同一のST回数としてもよいし、それぞれ異なるST回数としてもよいし、一部が異なるST回数としてもよい。また、ST回数は、有限回数だけでなく、無限回数も含むことができる。たとえば、図4に示す確変大当り1〜7のように、ST回数25回、75回、100回としてもよいし、各大当りのST回数を100回や無限回数などとしてもよい。ただし、転落抽選タイプの場合は、ST回数を消化する前に転落抽選に当選すると、強制的に低確率状態に移行されることになる(ST回数が強制的にゼロになる)。また、転落抽選に当選した場合、演出手段により設定示唆演出(転落時設定示唆演出)を実行可能に構成してもよい。この場合、設定値に応じて、転落時設定示唆演出の実行確率を定めることができる。
上記の転落抽選タイプに関して、たとえば、下記(T1)〜(T3)の構成とすることができる。
(T1)
始動条件が成立したことに基づいて、第1の遊技情報(大当り判定用乱数)および第2の遊技情報(転落判定用乱数)を含む複数種類の遊技情報を取得する取得手段(たとえば、図11のS314:本例の場合、大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数、転落判定用乱数を取得可能に構成する)と、
上記取得手段により取得された第1の遊技情報に基づき、複数種類の当りに関する抽選を実行する抽選手段(図12のS410)と、
図柄の変動表示動作を行い、図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段(特別図柄表示装置38、図10のS309)と、
上記図柄表示手段において図柄が特定の表示態様で停止表示された場合(抽選手段の抽選結果が当りである場合)、当り遊技を実行制御する当り遊技実行制御手段(図17)と、
上記当り遊技が終了した後、上記抽選手段による当りとなる抽選確率が所定の通常確率よりも高確率となる高確率状態に制御可能な確率変動制御手段(図12のS412、図15、図18、図21、図22)と、
上記高確率状態中である場合、上記第2の遊技情報(転落判定用乱数値)に基づき、上記高確率状態から低確率状態に移行させるか否かの転落抽選を実行する転落抽選手段(主制御部20)と、
上記転落抽選に当選した場合、上記高確率状態から上記低確率状態に移行制御する転落移行制御手段(主制御部20)と、を備える遊技機Tであって、
上記複数種類の当りには、第1当りと第2当りとが少なくとも含まれ、
上記第1の当りが当選した場合(第1当りによる当り遊技が実行される場合)と、上記第2の当りが当選した場合(第2当りによる当り遊技が実行される場合)とで、上記転落抽選手段による転落抽選確率が異なるように構成することができる。
(T2)
上記遊技機Tは、複数段階に変更可能な設定値に応じて上記大当り抽選の結果が所定結果となる確率が異なるように構成される。この場合、上記複数段階に変更可能な設定値には第1設定値と第2設定値とが少なくとも含まれ、当該第1設定値と当該第2設定値とで転落確率が異なるように構成することができる。
(T3)
上記遊技機Tは、複数段階に変更可能な設定値に応じて上記大当り抽選の結果が所定結果となる確率が異なるように構成され、
上記複数種類の当りには、第1当りと第2当りとが少なくとも含まれ、
上記複数段階に変更可能な設定値には、第1設定値と第2設定値とが少なくとも含まれ、
上記第1の当りが当選した場合と上記第2の当りが当選した場合とで、上記転落抽選手段による転落抽選確率が異なるように構成され、
上記設定値が第1設定値の場合には、上記抽選手段による抽選結果の中に少なくとも第2当りは含まれない、構成とすることができる。
なお、上記遊技機Tは、複数種類の遊技状態(確変状態、潜確状態、時短状態および通常状態のうち、確変状態および/または潜確状態を含む少なくとも2つの遊技状態)を制御可能に構成することができる。また上記((T1)〜(T3)において、上記転落抽選手段による転落抽選に当選した場合に、現在の設定値を示唆する設定示唆演出を実行可能な設定示唆演出実行手段をさらに備えることができる。
(機3)『リミッタ搭載タイプ』
大当りが当選した場合(特定の大当りが当選した場合でもよい)、確率変動制御手段により高確率状態に移行される回数を所定の上限回数(リミット回数)までに制限するリミッタ機能を有する、いわゆる「リミッタ搭載タイプ」の機種としてもよい。このリミッタ搭載タイプは、たとえば、特許第5075301号に開示されたいわゆる「リミッタ機(セットタイプ)」などが該当する。
リミッタ搭載タイプの場合、大当り当選回数が所定のリミット回数に達するまで(条件装置の連続作動回数が所定の上限回数に達するまで)、大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態を伴う遊技状態(確変状態または潜確状態)に移行させるようになっている。たとえば、リミット回数5回がである場合は、初回の大当りから4回目の大当りまで大当り遊技後の遊技状態が高確率状態に制御され、最大4回の大当りまで高確率状態下による大当り抽選の恩恵を受けることができるようになっている。しかし、5回目の大当りに当選すると、リミット回数に達したとして「リミッタ機能」が作動を開始し(リミッタ機能ON)、その大当り遊技終了後の遊技状態が低確率状態を伴う遊技状態(時短状態または通常状態)に移行される。このリミッタ機能作動中に大当りに当選すると、作動中のリミッタ機能が解除され(リミッタ機能OFF)、再度、リミット回数に達するまで、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態を伴う遊技状態に移行される。この点でリミット回数5回とするリミッタ機の場合は「5回パック機」とも称される。
ところで、従来のリミッタ機は、リミット回数が1種類しかなく、遊技が単調になりがちで、遊技の面白みに欠けていた。そこで、大当り種別に応じてリミット回数を複数種類設ける。この場合、各大当りでそれぞれ異なるリミット回数としてもよいし、一部が異なるリミット回数としてもよい。
たとえば、大当りA〜Dを設け、大当りA〜Dのリミット回数を、2回、3回、4回、5回とすることができる。また、各大当りに関する図柄抽選率は、適宜定めることができる。また、いずれの大当りに当選したかに応じて確変状態に移行させるか、潜確状態に移行させるかは適宜定めることができる。たとえば、各大当りA〜Cの全部を確変状態または潜確状態に移行させてもよいし、1または複数の特定の大当りだけ確変状態に移行させてもよい(たとえば、大当りAに当選した場合には確変状態に移行させ、その他の大当りB、C、Dに当選した場合は潜確状態に移行させる)。また、ST回数は無限回数が好ましいが、各大当りで同一のST回数としてもよいし、それぞれ異なるST回数としてもよいし、一部が異なるST回数としてもよい。また、ST回数が有限である場合には、そのST回数が終了して通常状態や時短状態に移行されても、リミット回数に達するまでは、大当り遊技後の遊技状態を、再度、高確率状態を伴う遊技状態に移行させることができる。なお、大当りA〜Dのうち、特定の大当りに当選した場合に高確率状態に移行させずに、低確率状態を伴う遊技状態(時短状態または通常状態)に移行させてもよく、時短状態に移行させるか、通常状態に移行させるかは適宜定めることができる。
上記リミッタ機の場合も、本実施形態で説明した遊技性に関する事項(たとえば、図21〜図34)について、リミッタ回数到達前の高確率状態を伴う遊技状態に関してははSTモードに関する実施形態に適用可能であり、リミッタ回数到達後の低確率状態を伴う遊技状態に関しては、通常状態や時短状態(リミット回数到達後の遊技状態)に関する実施形態に適用可能である。
以上に説明した全ての実施形態(各実施形態で説明した構成、変形例のすべてを含む)の1または複数を組合せた構成としてもよく、各実施形態において記載した内容は個別の実施形態のみに限定されるものではない。
また以上に説明した各実施形態では、遊技媒体として遊技球を利用した遊技機について説明したが、本発明の目的を達成できる遊技機であれば特に制限されない。たとえば、遊技媒体として遊技メダルを利用する遊技機や、遊技媒体に関する情報(入賞や賞球による遊技者の持ち球など)を、電磁気的な記録手段を利用して管理する遊技機(いわゆる「封入式遊技機(管理式遊技機)」などの遊技機)などであってもよい。