以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
[第1の実施形態]
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
図1に示すパチンコ遊技機1(以下、「遊技機1」と略す)は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。また遊技盤3の背面側には、遊技動作を制御するための各種制御基板(図3参照)が配設されている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球を遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、島設備側の遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。
また上受け皿ユニット8には、押しボタン式の演出ボタン13(第1の操作手段)の他、上方向を指し示すボタン75a、右ボタン75b、下ボタン75c、および左ボタン75dから構成され、上下左右方向に入力操作可能な十字形の方向キー75(第2の操作手段)とが設けられている。演出ボタン13や方向キー75は、遊技者が操作可能な操作手段として機能し、特定の予告演出(たとえば、後述の「遊技者参加型演出」など)における所定の操作有効受付期間(ボタン有効期間)中に操作入力の受付が有効化され、この有効期間中に所定の操作(たとえば、1回押し、長押し、連打など)がなされると、その操作の前後で演出に変化をもたらすことが可能となっている。また、これらの操作手段は、客待ち待機中(後述の「デモ開始待ち演出」または「客待ち演出(デモ表示)」中)に係る「遊技設定画面」において、遊技者が好みの遊技設定を行う際にも利用される。この遊技設定画面とは、たとえば、遊技者が好みの音量や光量などの遊技設定が可能なメニュー画面である。なお、演出ボタン13には、その内部に内蔵ランプ(ボタンLED13b)が設けられており、ボタンLED13bの発光態様の違いにより、操作受付有効期間(たとえば、所定色で点灯または点滅中)と、操作受付無効期間(たとえば、消灯中)とが報知可能となっている。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。この発射装置32は、毎分100発程度の発射性能を有するものを採用している。
また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を発揮するスピーカ46が設けられている。また、遊技機の適所、たとえば、ガラス扉6の前枠周縁の装飾部材やセンター飾り体48(図2参照)の内部には、光の装飾により光演出効果を発揮する装飾ランプ45(演出用LED)が複数設けられている。
(遊技盤:図2)
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5に取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3a、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、液晶表示装置(LCD)36が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、所定の表示領域(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄、中図柄、右図柄の3つの装飾図柄(図5参照))の変動表示動作(変動表示および停止表示)を含む、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り体48が設けられている。センター飾り体48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り体48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えており、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする流路振分手段として働く。本実施形態では、センター飾り体48の上面と球誘導レール5との間に遊技球が通過可能な遊動領域が形成されており、発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り体48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と、下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置:第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置:第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動表示および停止表示)による‘特別図柄変動表示ゲーム’が実行されるようになっている。そして上記の液晶表示装置36では、この特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、種々の予告演出(演出画像)とともに‘装飾図柄変動表示ゲーム’が実行されるようになっている。なお、特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣りに、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1の作動保留球数の表示、特別図柄2の作動保留球数の表示、普通図柄の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。本実施形態に係る普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作により普通図柄変動表示ゲームが実行される。たとえば、変動表示動作として、LEDによる普通図柄がシーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで、普通図柄変動表示ゲームの当否が判明するようになっている。
また普通図柄表示装置39aに隣接して、右打ち表示装置39bが設けられている。この右打ち表示装置39bは、LEDの点灯・消灯状態の組合せにより、遊技球が右流下経路3cを通過(流下)するように狙いを定める「右打ち」が有利であるのか、遊技球が左流下経路3bを通過(流下)するように狙いを定める「左打ち」が有利であるのかを報知する。たとえば、LEDの発光状態が、点灯した状態であれば右打ち有利、消灯状態であれば左打ち有利であることが報知される。
また、右打ち表示装置39bに隣接して2個のLED(ラウンド表示LED)を配置してなるラウンド数表示装置39cが設けられている。このラウンド数表示装置39cは、複数個のLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、大当りに係る規定ラウンド数(最大ラウンド数)を報知する。
センター飾り体48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口を開放または拡大可能にする‘始動口開閉手段’を有しない「入賞率固定型の入賞装置」として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り体48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入球(入賞)容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入球困難または入球不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な「入賞率変動型の入賞装置」として構成されている。本実施形態では、始動口開閉手段として左右一対の可動翼片(可動部材)47を備え、この可動翼片47が開閉動作を行うことで、第2の特別図柄始動口である下始動口35を開放または拡大可能となっている。
また、普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
また普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に4つ(43a〜43d)、右側に1つ(43e)、計5つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43h(各一般入賞口43a〜43eの個々に対応)が形成されている。
また、普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲートからなる普通図柄始動口37(第3の始動手段)が設けられている。この普通図柄始動口37は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていないが、これに限らず、両流下経路に形成してもよい。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより大入賞口50を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(特別電動役物)が設けられており、その内部には大入賞口50に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り体48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、遊技球の流下方向は大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに不図示のゲージ構成(遊技くぎの配列)により、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)の方向に導かれる。このとき、下始動口35が入賞可能状態(始動口開状態)であれば、下始動口35に遊技球が入賞しうるが、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて大入賞口50が開いている状態(大入賞口開状態)であれば、遊技球が大入賞口50内に導かれるようになっている。
本実施形態の場合、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされる。
上記した入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、つまり左流下経路3bまたは右流下経路3cのいずれを流下する遊技球が入賞可能であるかについて分類すると、左流下経路3bに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、および左側の一般入賞口43a〜43dがあり、右流下経路3cに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、および右側の一般入賞口43eがある。なお、下始動口35は、可動翼片47が開いた状態(始動口開状態)であれば、左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし、下始動口35の可動翼片47は、遊技領域3aの右側に位置する普通図柄始動口37に遊技球の通過(入賞)がその作動条件となっているので、実質的には右流下経路3cにのみに属する入賞手段といえる。また大入賞口50については右流下経路3cのみに属し、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
(特定条件下における右打ち有利の構成)
本実施形態の遊技機1では、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた「右打ち」をした場合、普通図柄始動口37に遊技球は入賞し易いが、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされる。しかし、この可動翼片47は、後述の「電サポ有り状態(電サポ状態)」が生起すると、少なくとも通常状態(通常遊技状態)よりも有利な開閉パターンで動作するようになっている。したがって、電サポ状態の場合には、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」ではなく、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされ、非電サポ中(後述の電サポ無し状態)であれば遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」ではなく、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利とされる。すなわち、遊技状態に応じて、左流下経路3bおよび右流下経路3cのいずれの流下経路に遊技球を流下させるかにより遊技進行が遊技者にとって有利または不利に作用するようになっている。詳細は後述するが、電サポ状態を伴う遊技状態には、時短状態や確変状態があり、非電サポ状態を伴う遊技状態には、通常状態や潜確状態がある。
上記の上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、または一般入賞口43a〜43eなどの各入賞口は、遊技領域3a内に配置された入賞手段として機能し、また、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、または一般入賞口センサ43h(各一般入賞口43a〜43eの個々に対応)などの検出スイッチ(入賞検出スイッチ)は、入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段として機能する。なお上記した各入賞手段については、遊技性に応じて、その個数、形状、形成位置などを適宜変更することができる。また、各入賞手段について、左流下経路3bおよび/または右流下経路3cのいずれを流下する遊技球を、入賞困難または入賞不可能、或いは入賞可能とするかについても遊技性に応じて適宜変更することができる。
各入賞口に遊技球が入賞した場合、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数が、遊技球払出装置19(図5参照)から払い出されるようになっている。たとえば、上始動口34は3個、下始動口35は1個、普通図柄始動口37は0個(賞球なし))、大入賞口50は15個、一般入賞口43a〜eは3個が払い出される。上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、または入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。
<可動体役物>
また遊技領域3a内には、遊技球の流下を妨害しない位置に複数の可動体役物が配設されている。本実施形態では、センター飾り体48内の右上側に第1の可動体役物80が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物90が配設されている。第1の可動体役物80は、ローマ文字「I」から「XII」の数字が付されて12の数字セクターに区画された数字表示部からなる時計盤部81と、この時計盤部81上を回動可能に形成された短針および長針からなる時計針82とを有し、全体として「掛時計部」を形作る。この意味で、第1の可動体役物80を「時計型役物」とも称する。時計盤部81は、短針が示すセクター区画場所毎に裏側又は内部にフルカラーLEDを有し、または数字セクター自体がフルカラーLEDで構成されていて、各数字セクターが個々に独立して異なった色で発光可能な構成となっている。
また、第2の可動体役物90は、花心の周りに複数枚の花弁からなる花冠を配し、更にその外側周囲に萼を配して花被を二重にし、以て花の形とした花型部91(第1可動体91)を、スイング動作が可能なアーム92(第2可動体92)の先端に取り付け、全体として花型役物90として構成されている。なお、花型部91は、花心を中心軸として複数枚の花弁が回動可能となっている。この花型役物90は、通常は液晶画面内の縁または液晶画面外の脇に定めた原位置(図2に実線で示す)で静止しており、所定の動作条件が成立すると、アーム92が傾倒動作して、当該アーム92と共に花型部91が液晶画面を覆う位置(図2に破線で示す)まで移動する。そして、図2に破線で示す演出位置まで移動すると、花型部91がアーム先端部において回転すると共に、半透明の花心および花弁部分が後方からランプやフルカラーLEDにより照らされて美しく光色しうる。花型役物90は、その動作を終了すると、破線の演出位置から実線の原点位置に戻る。花型部91は、花弁の回動動作として、高速回転、低速回転、逆回転などの複数種類の動作パターンが可能であり、アーム92は、破線部まで傾倒する全開傾動動作の他、所定の傾動角度まで傾動する準傾動動作やアームがガタガタと振動する振動動作、寸動動作など複数種類の動作パターンが可能である。上記の時計型役物80(時計針82)や花型役物90(第1可動体91、第2可動体92)は、その動作態様により、予告演出に利用される他、後述の設定示唆演出を実行(現出)する際にも利用される。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係る遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係る遊技機1の制御装置は、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御基板(主制御手段)20(以下、「主制御部20」と称する)と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、演出手段による演出の実行(現出)制御を統括的に司る演出制御基板(演出制御手段)24(以下、「演出制御部24」と称する)と、遊技球払出装置19による賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源から遊技機の各基板に対して必要な電源(バックアップ電源を含む)を生成し供給する電源基板(電源制御手段(図示せず))と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータを格納するROM202(主制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込みなどの割込許可/割込禁止機能を発揮する割込みコントローラ回路、電源投入時や遮断時や電源異常などを検知し、システムリセット信号を出力してCPUをリセット可能なリセット回路、制御プログラムの動作異常を監視するウォッチドッグタイマ(WDT)回路、あらかじめ設定したアドレス範囲内でプログラムが正しく実行されているか否かを監視する指定エリア外走行禁止(IAT)回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数(ハード乱数)を生成するためのカウンタ回路なども備えている。なお、少なくとも主制御部(主制御基板)20と払出制御基板29は、不図示の電源基板から電圧降下信号(電源異常信号)を受けることによって、電源遮断に先立ち、バックアップ処理を開始して、電源遮断前の遊技動作を電源復帰後に再開できるようになっている(バックアップ機能)。この遊技機1では少なくとも数日は、RAMの各記憶内容を保持することが可能となっている。
上記カウンタ回路は、乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(大当り判定用乱数(乱数の大きさ:65536))として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。なお、内部抽選用乱数は、当り狙い打ちなどのゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。
また主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口センサ34a、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37への遊技球の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43hとが接続され、主制御部20は、これらセンサからの検出信号を受信して、いずれの入賞口に遊技球が入賞(入球)したのかを把握する。
また主制御部20には、アウト口49および各入賞口を通じて遊技機から排出される遊技球(いわゆる、アウト球)を検出する「OUT監視スイッチ49a」が接続され、その検出信号を受信可能となっている。主制御部20は、OUT監視スイッチ49aからの検出信号に基づき、アウト球数を計数するアウト球計数手段を備える。アウト球数は、特定値で規定される「遊技実績情報」の一つである。たとえば「本日の累計アウト球数が30000発」であれば、遊技機1が本日300分稼働していたという稼動情報(「累計アウト球数(個)/発射性能(毎分100発)=稼働時間」)を得ることができる。また、アウト球数は、後述のベース値(遊技実績情報の一つ)の算出に利用される。
また主制御部20には、遊技機1に対する不正行為を検出するための不正検出センサ(たとえば、振動センサ、電波センサ、磁気センサ:不図示)が接続され、主制御部20は不正検出センサからの検出信号に基づき、遊技機に対する不正行為を監視可能となっている。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを駆動制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38a、38bが接続され、主制御部20は、特別図柄1、2を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置38cと、右打ち表示装置39bと、ラウンド数表示装置39cとが接続され、主制御部20は、これらに表示される各種情報を表示制御可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部端子基板21が接続され、主制御部20は、枠用外部端子基板21を介して、所定の遊技情報(外端信号)を遊技機の外部に設けられた、「データカウンタDT」や「ホールコンピュータHC」などの外部装置に送信可能となっている。所定の遊技情報としては、たとえば、当り遊技開始/終了情報、入賞情報、特別図柄の変動開始/変動停止情報、賞球数情報、各種セキュリティ情報(不正行為検出情報や、RAMクリア、扉開放、設定変更などの発生情報)などがある。上記「データカウンタDT」とは、外端信号に含まれる遊技情報に基づき、大当り回数、図柄変動表示ゲームの実行回数(図柄変動回数)、大当り間のゲーム実行回数など、遊技機に関する特定情報を報知可能な遊技情報報知装置であり、通常、遊技機の上部に設置される。また、ホールコンピュータHCとは、外端信号に含まれる遊技情報に基づき、遊技機の遊技進行状態を監視・収集し、パチンコホールに設置された遊技機の稼働状況を統括的に管理するパチンコホール(遊技店)専用の管理コンピュータである。
また主制御部20は、保安電子通信技術協会(保通協)で実施される型式試験(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則に基づく遊技機の型式に関する検定に係る試験)に対応して、遊技動作をリアルタイムに特定する型式試験信号を枠用外部端子基板21から出力可能となっている。なお、型式試験に適合した遊技機をパチンコホールに設置する際には、その適合した制御プログラムの変更は一切認められていない。このため、パチンコホールに設置後も型式試験信号が繰り返し出力処理されることになる。
また主制御部20には、RAM203の所定領域(領域内メモリ)を初期化するためのRAMクリアスイッチ98と、設定鍵を挿入してON/OFF操作をすることにより、設定値の変更操作を許容する設定変更許容状態(ON)と設定変更禁止状態(OFF)とに切り替え可能な設定キースイッチ94と、設定変更許容状態下で設定値を変更するための設定変更スイッチ95と、設定変更スイッチ95により選択された設定値を確定させるための設定変更完了スイッチ96とが接続され、主制御部20は、これらスイッチからの検出信号を受信可能となっている。RAMクリアスイッチ98、設定変更スイッチ95、および設定変更完了スイッチ96は、いずれも操作者が操作可能な押しボタン式スイッチとなっている。これらスイッチ94、95、96、98は、設定値に対する不正行為防止の観点から、遊技機内部の適所に形成され、前枠2を開放しない限り、遊技機外部からのON/OFF操作が不可能となっている。
また主制御部20には、設定値に関する情報を表示する設定表示器97(設定表示手段)が接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。本実施形態に係る設定表示器97は、1個の7セグメント表示器から構成されており、主制御部(主制御基板)20上に装着されている。なお、設定表示器97は、主制御基板20に限らず、払出制御基板28、発射制御基板29、中継基板(各種表示装置やスイッチ類などと制御基板との接続を中継する中継用基板:図示せず)、または演出制御部(演出制御基板(液晶制御基板を含む))24など、遊技機内部の適所に設けることができる。
(設定値について)
主制御部20は、出玉率(所謂、機械割、PAYOUT率)などの遊技者に付与する利益の期待値(利益)を段階別に変更可能な「設定変更機能」が設けられている。上記「設定値」とは、この段階を示す値である。この設定値は、設定表示器97により確認可能となっており、専ら、パチンコホール(遊技店)の営業戦略に基づき、ホール店員により適宜設定される。
「設定値」は、たとえば、大当り(後述の条件装置が作動することとなる当り種別)の抽選確率(当選確率)を段階別に規定するもので、設定値が高くなるほど、大当りの抽選確率(大当り当選確率)が高く設定され、遊技者に有利に作用するようになっている。このような設定値は、少なくとも2段階(少なくとも第1設定値と第2設定値)を設けることができる。本実施形態では、設定1〜6の6段階の設定値が設けられており、たとえば、低確率時において、設定1で1/240、設定2で1/231、設定3で1/222、設定4で1/210、設定5で1/198、設定6で1/189などである。すなわち、設定値が高くなるほど、大当りに当選し易くなり(機械割が高くなる)、遊技者に有利に作用することになる。このように「設定値」とは、機械割に影響する事象を段階別に規定する値であり、大当りなどの特別な事象の発生し易さに関連する等級についての値を意味する。つまり、低確率時の大当りの抽選確率および/または低確率時の大当りの抽選確率を設定値に応じて異なるように構成することができる。なお、大当り抽選確率が高確率状態の場合(後述の特別図柄確変機能が作動する場合)、その確率が、10倍を超えない値まで上昇しうる。ただし、その上昇率は、設定値ごとに同一であってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態の場合、上昇率は各設定値で同一としてある。上記の例で言えば、低確率時の大当り抽選確率が設定1〜6=1/240〜1/189、上昇率が3倍とした場合、高確率時の大当り抽選確率は、設定1〜6=1/80〜1/63となる。
また、大当りを複数種類設けている場合には、設定値に応じて、1または複数種類の大当りの当選確率を変化させることができる。たとえば、大当り1〜4という4種類の大当りがある場合、設定値が相対的に高くなるほど、大当り1〜4のすべての当選確率を高くなるように構成してもよいし、一部の大当りである大当り1〜3の当選確率だけを高くなるように構成してもよいし(この場合、大当り4については全設定値で共通の当選確率となる)、特定の大当りのみ(たとえば、大当り1のみ)の当選確率だけを高くなるように構成してもよい(この場合、大当り2〜4については全設定値で共通の当選確率となる)。また、設定値が相対的に高くなるほど、大当り1〜4の合算当選確率を高くなるように構成してもよい。また、条件装置の作動契機とならない小当り種別の当選確率を、前述の大当りのケースと同様に、設定値に応じて変化させてもよい。
(設定値の変更操作について)
本実施形態では、電源投入時に、少なくとも設定キースイッチ94とRAMクリアスイッチ98とがON状態の場合に設定変更許容状態に制御され、それ以外のスイッチ操作にて、電源を投入した場合には、設定変更禁止状態に制御されるようになっている。この設定変更許容状態中において、設定変更スイッチ95をON操作すると、設定表示器97の現在の表示値が「1→2→3→4→5→6→1→2→3→・・・」のように設定1〜6の使用範囲で循環式に切り替え表示される。そして希望する設定値が表示された際に、設定変更完了スイッチ96をON操作すると(設定確定操作)、現在の表示値が今回の設定値として確定され、その設定値データがRAM203の所定領域(設定値格納領域)に記憶される。そして、設定キースイッチ94を現在のON状態からOFF状態に操作すると、設定変更許容状態が終了され、以後、確定された設定値の下で遊技が開始されることになる。本実施形態の主制御部20は、遊技者に対する有利度が異なる複数の設定値のうちから、いずれかの設定値を選択可能な設定値選択手段と、設定値選択手段により選択された設定値を設定する設定値設定手段とを備えている。なお、上記のような設定機能を有しない「設定無し遊技機」であってもよい。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報や、エラー情報などの各種遊技処理情報を、演出制御コマンドにより、演出制御部24に対して送信可能となっている。ただし、外部からのゴト行為を防止するために、主制御部20は演出制御部24に対して信号を送信するのみで、演出制御部24からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。
(性能表示器99について)
また主制御部20には、所定期間(特定遊技期間)の遊技結果に係る情報(以下、「性能情報」と称する)を報知する性能表示器99(情報表示手段)が接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。本実施形態の性能表示器99は、複数個の7セグメントLEDからなり、具体的には、表示部と回路部がユニット化された7セグメントLED(7セグ表示器99a〜99d)を4個横に並べ、これをたとえば、主制御基板20上に搭載して、4桁の数字を表示可能な表示器を構成する。また各7セグメントLEDには、7セグメント数字の下にデシマルポイントDP(ドット)を有している。上記「性能情報」は、主に、パチンコホール店や関係各庁が確認・調査等のために利用する情報であり、たとえば、遊技くぎの不正調整やゴト行為などにより出玉性能に異常が生じていないか、遊技機本来の出玉性能(設計上の出玉性能)が正当に発揮されているかなどを調査するための情報、換言すれば「遊技実績に関する情報(遊技実績情報)」である。したがって、性能情報自体については、後述の予告演出や設定示唆演出などとは異なり、遊技者が遊技に興じる際の遊技進行それ自体には直接的に関係の無い情報である。このため性能表示器99は、遊技者に視認可能な箇所に設置するのではなく、遊技機内部の視認し易い箇所、たとえば、制御基板上またはこれを保護する基板ケース上などに搭載される。
本実施形態では、通常状態(大当り抽選確率が低確率(通常確率)、かつ後述の電サポ無し状態)中の総払出個数(通常時払出個数)と、通常状態中の累計アウト球数(通常時アウト個数)とをリアルタイムで計測し、通常時払出個数を通常時アウト個数で除した値に百を乗じた値(通常時払出個数÷通常時アウト個数×100で算出されるベース値:通常時ベース値)を、上記「性能情報」として採用し、これを性能表示器99により所定態様にて表示する。なお、ベース値は、小数点第1位を四捨五入した値が性能表示器99に表示されるようになっている。ただし、単に永続的に計測してベース値(性能情報)を表示するのではなく、計測中のアウト球数が所定の規定個数(たとえば、60000個)に達した場合、一旦、計測を終了し、その計測終了時点のベース値を、履歴情報として、RAM203に格納し(今回のベース値を記憶する)、再度、新たなベース値の計測を開始する。なお、計測終了契機となる上述の「規定個数(60000個)」とは、本実施形態の場合、通常時アウト個数ではなく、全遊技状態中(当り遊技中を含む)で計測される累計アウト球数(全状態アウト個数)を採用しており、この「全状態アウト個数」もリアルタイムに計測される。なお、性能表示器99に表示制御およびベース値に関する処理プログラムとそのワーク領域は、CPU201が通常の遊技進行の際にアクセスする領域(領域内メモリ)とは異なる領域(領域外メモリ)に定められている。また、性能情報は、上述した通常状態のベース値に限らず、有用な遊技実績情報であれば、特に制限はない。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。
払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への払い出し動作状態に関する情報(状態信号)の送信などである。主制御部20は、球の払い出しの必要がある場合に、払出制御基板29に対して払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する「払出制御コマンド」)を送信可能となっており、他方、払出制御基板29は、主制御部20に対して上記状態信号を送信可能となっている。
払出制御基板29には、上受け皿9に貯留される遊技球の貯留状態(上受け皿9が満杯状態であるか否か)を検出する満杯検出センサ60と、前枠2および/または前面操作パネル7の開閉状態を検出する扉開放センサ61(開放時ON/閉鎖時OFF)とが接続され、払出制御基板29はこれらセンサからの検出信号を受信可能となっている。
また払出制御基板29は、遊技球払出装置19に設けられた、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ19aや払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ19bなどからの検出信号を受信可能となっている。また払出制御基板29は、遊技球払出装置19の払出モータ19c(遊技球を払い出すための球払出機構部(図示せず)を駆動するモータ)を制御するための制御信号を送信可能となっている。
払出制御基板29は、上記状態信号として、満杯検出センサ60、扉開放センサ61、補給切れ検出センサ19a、球計数センサ19bなどの各種センサからの検出信号に基づいて、満杯状態を示す「球詰り信号」、前枠2・前面操作パネル7が開放されていることを示す「扉開放信号」、遊技球の供給不足を示す「補給切れ信号」、賞球の払出異常(払出不足、払出過剰)を示す「計数エラー信号」、払い出し動作が完了したことを示す「払出完了信号」などの様々な状態信号を、主制御部20に対して送信可能な構成となっている。主制御部20は、これら状態信号に基づいて、前枠2・前面操作パネル7が開放状態であるか否か(扉開放エラー)や、遊技球払出装置19の払出動作が正常か否か(賞球エラー)や、上受け皿9の満杯状態であるか否か(球詰りエラー)などを監視する。
また払出制御基板29には発射制御基板(発射制御部)28が接続され、発射制御基板28に対し発射制御信号ES(発射許可信号ES)を送信可能になっている。発射制御基板28は、払出制御基板29からの発射許可信号ESが出力されていることに基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球の発射動作を実現している。具体的には、払出制御基板29から発射許可信号ESが出力されていること、発射操作ハンドル15に設けられたタッチセンサ(図示せず)により遊技者がハンドルに触れていることを検出されていること(タッチ状態の検出)、発射操作ハンドル15に設けられた発射停止スイッチ(図示せず)が操作されていないことを条件に、遊技球の発射動作が許容される。したがって、発射許可信号ESが出力されていない場合には、発射操作ハンドル15を操作しても発射動作は実行されず、遊技球が発射されることはない。また、遊技球の打ち出しの強さは、発射操作ハンドル15の操作量に応じて変化可能となっている。
(2−2.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、演出制御処理に要する演出データを格納したROM242(演出制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音響制御部(音源LSI)、RTC機能部(Real Time Clock)、一定範囲のハード乱数を生成するためのカウンタ回路(16ビット用カウンタ、8ビット用カウンタ)、割込みコントローラ回路、リセット回路、WDT回路などが設けられ、演出動作全般を制御する。また、RTC機能部は、時を刻む時計ICであり、現在の時刻(「現在が何時何分何秒である」)という実時間上の時間情報および/または日付(月、日、曜日)に関する暦情報を提供する時計手段として働く。また、主制御部20と同じく、バックアップ機能やソフト乱数生成手段(たとえば、演出用抽選用乱数生成手段)も備えている。
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、各種の演出用LED(装飾ランプ45、ボタンLED13b、その他の演出用LED)の発光制御、各種の可動体役物(時計型役物80、花型役物90)の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDPと、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、画像表示演出、光演出、音演出、または可動体演出などを実行させるために、装飾ランプ45、ボタンLED13bなどの各種の演出用LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、可動体役物(時計型役物80、花型部91、アーム92)を動作させる可動体役物モータ80c、91c、92cに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。
また演出制御部24には、可動体役物の動作を監視する位置検出センサ82aが接続され、演出制御部24は、位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の現在の動作位置(たとえば、原点位置からの移動量)を監視しながらその動作態様を制御する。また演出制御部24は、位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の動作の不具合を監視し、不具合が生じれば所定のエラー報知処理を行う。
また演出制御部24には、演出ボタン13の操作を検出する演出ボタンスイッチ13aと、方向キー75(75a〜75d)の操作を検出する方向キースイッチ75a’〜75d’とが接続され、演出制御部24は、これら演出ボタン13や方向キー75からの操作検出信号を受信可能となっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドを受信した場合、そのコマンドに含まれる情報に基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選により或いは一意に決定し、必要なタイミングで各種の演出手段を制御して、目的の演出を現出させる。これにより、液晶表示装置36による演出画像の表示(画像表示演出)、スピーカ46からの音の再生(音演出)、装飾ランプ45やその他の演出用LEDの点灯点滅駆動(光演出)が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄の変動表示動作や予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。また演出制御部24は、所定の操作受付有効期間中において、演出ボタンスイッチ13aや方向キースイッチ75a’〜75d’からの操作検出信号に基づき、演出ボタン13および/または方向キー75に対してどのような操作が行われたか(たとえば、押圧、長押し、連打、方向キー75の上下左右方向の押し順など)を識別可能な構成となっており(操作識別手段)、その操作態様に応じた演出を実行制御可能な構成となっている。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いた遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3−1.図柄変動表示ゲーム)
(3−1−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態の遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、大当り抽選結果が「小当り」の場合には所定の「小当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出されるようになっている。
なお、本明細書中では説明の便宜のために、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する場合がある。また、特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称する(場合により「特図」と略す)し、「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを区別せずに「特別図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、また液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果(大当り抽選の結果)が「大当り」である場合、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(当り図柄:たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示態様)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが所定のパターンで開閉動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉52bによる大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口50への入賞球数が最大入賞数(役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、10個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される(ラウンド遊技終了条件(閉鎖条件)の成立)、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定のラウンド数(たとえば、最大10ラウンド)繰り返される。
上記大当り遊技が開始すると、まず開始インターバル時間(開始INT)を利用してオープニング演出が行われ、開始INTが終了すると、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数(最大ラウンド数)を上限として複数回行われる。そして、最大ラウンド数が終了すると、終了インターバル時間(終了INT)を利用してエンディング演出が行われて、一連の大当り遊技が終了する。なお、今回のラウンド遊技が終了すると、所定のインターバル時間(ラウンド間INT)を介して、次回のラウンド遊技が開始される。また、ラウンド遊技中には「ラウンド中演出」が、ラウンド遊技間(ラウンド間INT中)には「ラウンド間INT演出」が現出される。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング期間(開始INT期間)、最大ラウンド数を上限としたラウンド遊技期間、およびエンディング期間(終了INT期間)の各遊技期間を含んで構成される。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」、「小当り」、または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「小当り」であったならばその小当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別抽選)’とを含む大当り抽選を行い(大当り、小当りまたはハズレが1種類の場合は、図柄抽選を行う必要がないため、その抽選を省略することができる)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果や、特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を、演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄に関する情報(図柄抽選結果情報)を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信するようになっている。
上記特別図柄の変動パターン情報には、大当り抽選結果の他、特定の予告演出(たとえば、後述のリーチ演出や疑似連演出(疑似連回数を含む))の実行を指定する情報なども含むことができる。詳しくは、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別され、これら変動パターンには、たとえば、リーチ演出(リーチの種類の指定を含む)の実行を指定する“リーチ変動パターン”、リーチ演出の実行を指定しない“通常変動パターン’、疑似連演出とリーチ演出との実行を指定する‘疑似連有りリーチ変動パターン”、疑似連演出の実行を指定しリーチ演出の実行は指定しない“疑似連有り通常変動パターン”などの、複数種類の変動パターンが含まれる。また、リーチ変動パターンや疑似連有り変動パターンについては、その予告演出の演出時間を確保する関係上、基本的には、通常変動パターンの変動時間よりも長時間の変動時間が定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)などを決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い、装飾図柄変動表示ゲーム中の予告演出や装飾図柄の変動表示演出を制御する。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45a或いは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45などの演出用LEDの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えてもよい。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。また、図柄変動表示ゲーム(特に、特別図柄変動表示ゲーム)の実行回数(ゲーム数)を、説明の便宜のために「図柄変動回数」または「変動回数」或いは「*回転(「*」は任意の数)」と称する場合がある。
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム)
また遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、所定の変動時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動(開動作)して、下始動口35の開放時間(始動口開状態時間)が最大開放時間(たとえば、最大6秒)経過した場合か、または下始動口35への入賞球数が所定個数(たとえば、最大10個)に達するまで、入賞領域が開放または拡大する開放状態に制御され、これらいずれかの条件を満した場合に可動翼片47の開放動作が終了して下始動口35が閉鎖される。なお、最大開放時間以内であれば、下始動口35を1または複数回開放することができる。
(3−1−3.作動保留球)
本実施形態では、図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、小当り遊技中、または普電開放遊技中に、各始動口34、35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中のデータまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する各作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されない。また各図柄の最大保留記憶数の全部または一部が異なっていてもよく、その数は遊技性に応じて適宜定めることができる。本明細書中では説明の便宜のために、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄の各作動保留球をそれぞれ、「特図1作動保留球」、「特図2作動保留球」、「普図作動保留球」とも称する。
(3−2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係る遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態の遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動機能(確変機能)」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当り抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率から高確率に変動させて、通常状態よりも有利な「高確率状態(大当り高確率状態)」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。なお、既に説明したように、本実施形態の場合、設定値に応じて低確率時および高確率時の大当り抽選確率が異なる(図4参照)。
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率から高確率に変動させて(たとえば、1/256から255/256に変動させる)、通常状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。
また本実施形態の遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮機能(時短機能)」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから停止表示される迄の平均時間)を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。この特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常状態よりも単位時間あたりの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから停止表示される迄の平均時間)を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、20秒から0.6秒に短縮される)、通常状態よりも単位時間あたりの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。
また本実施形態の遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。この開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間)を通常状態よりも延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。開放延長状態下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.2秒から1.6秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常状態よりも単位時間あたりの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。したがって、開放延長機能が作動すると、下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常状態より高まり、開放延長機能が作動しない(非作動)状態と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この点で、上記開放延長状態は「電チューサポート状態(電サポ状態)」とも称される。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態(内部遊技状態)に変化をもたらすことができる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、少なくとも特別図柄確変機能が作動し、開放延長機能が作動しない遊技状態(本実施形態では、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態)を「潜確状態」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常状態」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常状態」である場合には大当り抽選確率が‘低確率状態(通常確率)’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。なお、条件装置作動に係る大当り中は大入賞口が開閉される当り遊技が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常状態と同じ遊技状態下に置かれまた特別図柄の変動表示は中断される。
(高ベース遊技状態)
本実施形態では、上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の3つの機能が同じ契機にて動作する。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくとも1の機能が作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が上昇する(入賞し易くなる)ことから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度または出玉率(ベース)が通常状態よりも高まる「高ベース遊技状態(始動口入球有利状態)」となる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、普通図柄に関する機能(普通図柄確変機能、普通図柄時短機能および開放延長機能の少なくとも1つの機能)が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか一方が作動する場合の遊技状態とは異なる。
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄確変機能と特別図柄時短機能)を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には大当り抽選確率が通常状態より高まる「高確率状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常状態よりも短時間となる「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度等が通常状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、少なくとも開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。この電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート状態無し’となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート状態有り’となる。本明細書中では、「電チューサポート状態無し」を、「電サポ無し状態」または「非電サポ状態」と称し、「電チューサポート状態有り」を、「電サポ有り状態」または「電サポ状態」と称する。
(3−2−1.内部遊技状態(遊技状態判定番号YJ):図28)
遊技状態を定める上記各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況については、主制御部20側において、これらの機能に対応したフラグのON/OFF状態により、その作動(5AH)/未作動(00H)が管理される。この各機能の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」とも称する。現在の内部遊技状態が如何なる内部遊技状態であるかについては、「遊技状態判定番号YJ」という識別子を用いて管理される。たとえば、遊技状態判定番号YJが「00H」の場合は‘通常状態’を指定し、「01H」の場合は‘確変状態’を指定し、「02H」の場合は‘時短状態’を指定し、「03H」の場合は‘潜確状態’を指定する。
(3−2−2.変動パターン選択モード(変動パターン振分指定番号Tcode):図28)
ここで本実施形態では、上述の内部遊技状態に関連した多様な演出を実現するために、一の内部遊技状態をさらに分類して管理可能な構成となっている。詳細は追って説明するが、たとえば、通常状態には「一般」「前兆」といった複数種類の通常状態が含まれ、また、確変状態には「ST序盤」「ST中盤」「ST終盤」といった複数種類の確変状態が含まれ、これらは、“変動パターン振分指定番号Tcode”という識別子を用いて、それぞれ異なる遊技状態として管理されている。この変動パターン振分指定番号Tcodeの実体は、現在の遊技状態に対応する「変動パターン振分テーブル」(後述の図24〜図27参照)を選択する際に利用される識別子(変動パターン選択モードを特定するデータ)である。したがって、たとえば、確変状態(遊技状態判定番号YJ=01H)を「ST序盤」、「ST中盤」および「ST終盤」に区分した場合、つまり、確変状態(YJ=01H)に対応する変動パターン振分指定番号Tcodeとして、「ST序盤(Tcode=02H)」、「ST中盤(Tcode=03H)」、「ST終盤(Tcode=04H)」とを定めれば(図28参照)、それぞれ異なる変動パターン振分テーブルを選択することが可能となる。
上記「変動パターン振分テーブル」は、図柄変動表示ゲームに係る特別図柄の変動パターンを決定する際に利用されるものであり、1または複数種類の変動パターン(特別図柄の変動パターン)が、少なくとも現在の遊技状態(変動パターン振分指定番号Tcode)と大当り抽選結果とに関連付けて定められている。たとえば、変動パターン振分指定番号Tcodeが「00H」である場合は、一般モード用の変動パターン振分テーブルが指定され、「01H」である場合は、前兆モード用の変動パターン振分テーブルが指定される。すなわち、内部遊技状態は同一の「通常状態」であっても、変動パターン振分指定番号Tcodeが「00H」である場合は、一般モード用の変動パターン振分テーブルに係る変動パターンが選択され、変動パターン振分指定番号Tcodeが「01H」である場合は、前兆モード用変動パターン振分テーブルに係る変動パターンが選択されることになる(後述の図12のS413、図24〜図27等参照)。
またこれに起因して、変動パターン振分指定番号Tcodeに関連する複数種類の「演出モード」が設けられており、演出制御部24側において、各演出モード下における演出を現出(実行)させることができるようになっている。なお、演出モードについての詳細は後述する。
したがって、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況、すなわち「内部遊技状態」に着目した場合に、同じ「通常状態」でありながらも、特別図柄の変動パターンに関しては、「一般」または「前兆」という異なる変動パターン振分指定番号Tcodeに対応した変動パターンの選択が可能となり、変動パターン振分指定番号Tcodeに関連する演出を現出させることができるようになっている。
本実施形態の場合、図28に示す通り、上記「内部遊技状態」の種類には、通常状態、時短状態、確変状態が含まれる(図28の「YJ」の欄参照)。一方、特別図柄の変動パターンの決定に関する遊技状態、換言すれば、演出の決定に着目した場合の「変動パターン振分指定番号Tcode」に関連する遊技状態の種類には、内部遊技状態の種類よりも多い、「一般」「前兆」「天井」「天国」「時短」「ST序盤」「ST中盤」「ST終盤」が含まれる(図28の「Tcode」の欄参照)。
このように、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能に着目した場合の「内部遊技状態」と、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に着目した「変動パターン振分指定番号Tcode」とを異なるものとして管理することにより、内部遊技状態が同じであっても(たとえば、通常状態)、異なる変動パターン振分指定番号Tcode(たとえば、一般中と前兆中)に対応した変動パターンを選択可能となっている。この結果、同じ内部遊技状態下であっても、図柄変動表示ゲームの消化時間(特別図柄の変動時間)や、これに関連する演出に大きな変化をもたらすことが可能となり、同一の内部遊技状態下における演出のバリエーションを豊富なものすることができる。
本明細書中では特に必要のない限り、少なくとも変動パターン振分指定番号Tcodeに関連する遊技状態を「遊技モード」と称する(図28の「遊技モード種別」の欄参照)。この遊技モードは、図28に示す通り、「変動パターン振分指定番号Tcodeと遊技状態判定番号YJ(内部遊技状態)」とに関連する遊技状態、換言すれば、“遊技機全体として捉えた遊技状態”として扱うことができる。なお、説明の便宜上、内部遊技状態と遊技モードとを区別せずに、単に「遊技状態」と称する場合がある。また、変動パターン振分指定番号Tcodeを「変動パターン選択モード(Tcode)」と称し、適宜「Tcode」と略す。
<4.当りについて>
次に図4を参照して、本実施形態に係る「当り」について説明する。図4は、当り種別、当り遊技動作態様、当り遊技後の移行先遊技状態(移行先遊技モード)の説明に供する説明図である。
(4−1.当り種別について)
本実施形態の遊技機1では、大当り抽選対象の当り種別として、図示のように、確変大当り1〜6、時短大当り1〜2などの複数種類の当り種別が設けられている。これらの当りは、条件装置の作動契機となる「大当り種別」に属する当りであり、条件装置の作動契機とならない所謂「小当り種別」に属する当り(小当り)とは異なる。ここで「条件装置」とは、その作動が、ラウンド遊技を行うための役物連続作動装置(特別電動役物を連続して作動させる装置)作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合(役物連続作動装置が作動中に大入賞口に入賞したものを除く)に作動するものをいう。また、役物連続作動装置の作動は、電サポ有り状態(開放延長機能作動)や確率変動を生起させる(一の内部遊技状態から他の内部遊技状態に移行させる)ための条件となっている。
したがって、小当りに当選した場合には、条件装置が作動せず、役物連続作動装置も作動しないため、内部遊技状態の移行は無い(小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない)。また、その小当りによる当り遊技(小当り遊技)は、役物連続作動装置が作動しないため、大当りのようなラウンド遊技は実行されないが、大入賞口の開閉パターンの定め方によって、見た目上、ラウンド遊技が実行されているように振る舞う「疑似的なラウンド遊技」を実現可能である。小当り遊技の動作態様は、ラウンド遊技が実行されない点を除き、基本的には、大当り遊技と同じであり、所定の開始INTの経過後、大入賞口を開放する「開閉動作遊技」が実行され、開閉動作遊技が終了すると、所定の終了INTを経て一連の小当り遊技が終了するようになっている。斯様な小当りは、大当りと同様に大入賞口の開閉動作を伴う当り遊技(特別遊技状態)の移行契機(実行契機)となる当選種別であるという点で、単なる「ハズレ」とは性質を異にする。
また、小当り当選した場合には内部遊技状態の移行は行われないが、変動パターン選択モード(Tcode)の移行は行うように構成することができる。このような移行形態を利用すれば、たとえば、小当り遊技後の遊技状態と他の大当り遊技後の遊技状態とを同じ変動パターン選択モード(Tcode)に移行させた場合、双方で同じ演出をなす演出モードに滞在させることができる。また、小当り当選に起因して、第1変動パターン選択モードから第2変動パターン選択モードに移行させたり、第2変動パターン選択モードから第1変動パターン選択モードに再移行させたりすることも可能である。なお、本実施形態では「小当り」を設けていないが、遊技性などを考慮して、特図1側および/または特図2側の抽選対象に1または複数種類の小当りを設けることができる。
本実施形態の場合、図4に示す通り、確変大当り1〜3および時短大当り1〜2は、特別図柄1側の大当り抽選対象、確変大当り4〜6は、特別図柄2側の大当り抽選対象となっている。また、図柄抽選確率は、図示の通りである。
(4−2.当り遊技について)
次に、上記した各当りによる当り遊技の内容について説明する。
図4の「当りの内容」の欄の確変大当り1〜7および時短大当り1〜2における「5R」、「7R」、「10R」の表記は、それぞれ、大当りに係る最大ラウンド数を示す。本実施形態の各大当りは、1回のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間が、大入賞口への入賞数が最大入賞数(10個)に達する可能性が十分に見込める「長開放時間(たとえば、29.8秒)」に設定される大当りとなっている。なお、ラウンド遊技に係る大入賞口の開放パターンを、どのような開放パターンに定めるかは自由である。たとえば、少なくとも一部のラウンド遊技(特定のラウンド数目のラウンド遊技)に係る大入賞口の開放パターンを、上記長開放時間よりも短時間の「短開放時間(たとえば、1.8秒)」または、さらに短時間の「極短開放時間(たとえば0.2秒)」となるように設定してもよい。また、最大開放時間中は、大入賞口を開放し続けてもよいし、1または複数回の閉鎖を伴う開放パターン(たとえば、「1.3秒開放+0.5秒閉鎖+27秒開放」など)としてもよい。大当り遊技中の利益状態(利益度合)については、最大ラウンド数が相対的に多いほど高くなり、また大入賞口の最大開放時間が短開放よりも長開放の方が高くなる。本実施形態の場合、各大当りに係る最大開放時間は同じであるため、最大ラウンド数が多い大当りほど、大当り遊技中の利益状態が相対的に高くなる。
(4−3.当り遊技後の移行先遊技状態について:図4)
次に、上記各大当り遊技終了後に移行される遊技状態(遊技モード)について説明する。図4に示す「当選時の遊技状態/移行先遊技状態」の欄には、当り種別に応じて、当選時の遊技状態とその当り遊技後に移行される遊技状態(移行先遊技状態)との関係を示してある。
本実施形態では、少なくとも当選した大当り種別と当選時の遊技状態(内部遊技状態)とに基づき、大当り遊技後の遊技状態が決定されるようになっている。具体的には、大当りに当選した場合は、その当選時の遊技状態(内部遊技状態または遊技モード)と、当選した大当り種別とに基づき、大当り遊技後の遊技状態が決定されるようになっている(後述の図21の遊技状態移行テーブル選択テーブル、図22の遊技状態移行テーブルを参照)。なお、図4の「当選時の遊技状態」は、遊技モード(括弧内は、対応する内部遊技状態)を示し、「移行先遊技状態」は、移行先の遊技モード(括弧内は、対応する内部遊技状態)を示す。
本発明の理解を容易なものとするために、先ず、大当り遊技後に移行される内部遊技状態について説明する。遊技モードの移行形態についての詳細は、図6および図7を用いて後述する。
(4−3A.時短系大当り(時短大当り1〜2)に当選した場合)
まず、時短大当り1(5R時短A)、時短大当り2(5R時短B)に当選した場合について説明する。これら時短大当り1、2に当選した場合、その当り当選時の遊技状態にかかわらず、少なくとも内部遊技状態が「時短状態(YJ=02H)」に移行される。時短大当り1〜2は、時短状態への移行契機となる大当りである点で「時短大当り」と称している。
上記「時短状態」に移行された場合、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(図柄変動回数)が、所定の規定回数を終了するまで継続され、その規定回数内で大当り(ただし、内部遊技状態の移行契機とならない小当りを除く)に当選することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには、当該時短状態が終了して次回ゲームから「通常状態(YJ=00H)」に移行にされるようになっている。なお、規定回数に達したか否かは、特別図柄変動表示ゲーム1、2の実行回数をカウントすることにより判断される(後述のST回数のカウント、天井ゲーム数のカウントについても同様)。つまり、大当りすることなく、特別図柄変動表示ゲーム1、2の合計実行回数(特図1、2の合計変動回数)が規定回数分終了すると時短状態が終了されることになる。
時短大当り1に当選した場合には、上記規定回数として、時短回数100回(時短A)が設定され、時短大当り2に当選した場合には、時短回数50回(時短B)が設定される。すなわち、時短大当り1、2は、有限の時短回数(有限時短)を付与する時短大当り(有限時短大当り)となっている。本実施形態では、時短回数がそれぞれ異なる複数の時短大当りを設けているが、複数の時短大当りの全部または一部が同じ時短回数であってもよい。また、時短大当りを1種類だけ設けてもよい。また、時短大当りに、次回の大当り当選まで時短状態を継続可能な(時短回数が無限(無限回数))時短大当り(無限時短大当り)を設けてもよい。また、有限時短大当りであれば、その時短回数を「100回以上」に定めてもよく、時短回数「100回以上」の時短大当りを1または複数種類設けてもよい。たとえば、時短回数「150回」、「200回」および「300回」などの複数種類の時短大当りを設けることができる。
(4−3B.確変系大当り(確変大当り1〜7)に当選した場合)
次に、確変大当り1〜7に当選した場合について説明する。
確変大当り1〜7のいずれかに当選した場合、その当り当選時の遊技状態にかかわらず、少なくとも内部遊技状態が「確変状態(YJ=01H)」に移行される。確変大当り1〜7は、確変状態への移行契機となる大当りである点で「確変大当り」と称している。
上記「確変状態」に移行された場合には、上述の時短状態に移行された場合と同じく、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(図柄変動回数)が所定の規定回数を終了するまで継続され、その規定回数内で大当りに当選することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには、当該確変状態が終了するといった所謂「回数切り確変タイプ(STタイプ(有限確変タイプ))」となっている。正確には、大当り抽選確率が少なくとも高確率状態を伴う遊技状態(確変状態や潜確状態)に移行された後、大当りに当選することなく上記規定回数が終了した場合、当該高確率状態を終了させて大当り抽選確率を低確率状態に移行させる。この高確率状態が継続される上限回数を「ST回数」と称する。したがって、確変状態に移行された後、ST回数が終了した場合に確変状態が終了して通常状態(YJ=00H)に移行されるケース(後述の確変A)と、ST回数が終了した場合に高確率状態だけが終了するケース、詳しくは「特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能」のうちから「特別図柄確変機能」だけが終了して「時短状態(YJ=02H)」に移行されるケース(後述の確変B、確変C)とが含まれる。
本実施形態の確変状態には、ST回数が異なる複数種類の確変状態(確変A、確変B、および確変C)が設けられており、当選した大当り種別に応じて、確変A、確変B、確変Cのいずれかにに移行されるようになっている。なお、詳細は後述するが、遊技モードに着目した場合には、確変Aに移行される場合はST100モード、確変Bに移行される場合はST75モード、確変Cに移行される場合はST25モードといった確変A〜Cに対応した遊技モードに移行されるようになっている(図6参照)。
(確変A、確変B、確変C)
上記「確変A」、「確変B」、「確変C」について説明する。
(イ)確変A(ST100モード)
確変Aは、ST回数が100回に設定される確変状態である。本実施形態では、確変大1、確変大当り4、または確変大当り7に当選した場合、この確変Aに移行される。確変Aに移行された場合、大当りに当選することなくST回数100回を終了すると「確変状態」が終了し、次回ゲームから内部遊技状態が「通常状態」に移行される。
(ロ)確変B(ST75モード)
確変Bは、ST回数が75回(確変BのST回数<確変AのST回数)に設定される確変状態である。本実施形態では、確変大当り2または確変大当り5に当選した場合、この確変Bに移行される。確変Bに移行された場合、大当りに当選することなくST回数75回を終了すると「確変状態」が終了し、次回ゲームから、時短回数25回の「時短状態」に移行される。詳しくは、大当り遊技後に確変状態に移行させた後、所定のST回数が終了した場合に、高確率状態だけを終了させて(特別図柄確変機能をOFF)、遊技状態を「低確率状態+電サポ有り状態」、すなわち「時短状態」に移行させる(ここでは、確変B=「ST回数75回+時短回数25回」となる)。そして、大当りに当選することなく時短回数25回が終了すると「時短状態」が終了し、次回ゲームから「通常状態」に移行される。したがって、電サポ自体は、上述の確変Aと同じく、100回分が付与されるようになっているが、確変Bは、所定のST回数終了後に時短状態に移行される点で、上述の確変Aと大きく異なる。
(ハ)確変C(ST25モード)
確変Cは、ST回数が25回(確変CのST回数<確変BのST回数)に設定される確変状態である。本実施形態では、確変大当り3または確変大当り6に当選した場合、この確変Cに移行される。確変Cに移行された場合、大当りに当選することなくST回数25回を終了すると「確変状態」が終了し、次回ゲームから、時短回数75回の「時短状態」に移行される(ここでは、確変C=「ST回数25回+時短回数75回」となる)。そして、大当りに当選することなく時短回数75回が終了すると「時短状態」が終了し、次回ゲームから「通常状態」に移行される。確変Cも確変A、Bと同じく、電サポ100回が付与される。
なお、確変大当り2、3、5、6は、「所定のST回数の確変状態+所定の時短回数の時短状態」を付与する大当り(確変時短大当り)である点で“純粋な確変大当り(確変だけを付与する大当り)”ではないが、本明細書中では、先ず確変状態に移行させる点で「確変大当り」に属するものとして扱う。したがって正確には、確変大当りには、時短状態を付与しない「確変大当り」と、時短状態を付与する「確変時短大当り」とがある。
上記確変A、確変B、および確変Cは、それぞれ電サポ回数(電サポ有り状態の回数)が同一(100回)であるが、確変A、確変B、および確変Cの少なくとも1つは、異なる電サポ回数であってもよい。たとえば、確変Aは電サポ200回、確変Bは電サポ150回、確変Cは電サポ100回としたり、確変Aは電サポ200回、確変Bは電サポ150回、確変Cは電サポ150回とすることができる。また、確変Bと確変Cは、確変状態から時短状態に移行されるものとして説明したが、確変状態だけで時短状態に移行されない、つまり、所定のST回数を伴う確変状態としてもよい。換言すれば、確変大当り2、3、5、6を上記「確変時短大当り」ではなく、確変大当り1、7と同じ「確変大当り」として定めてもよい。また、本実施形態の確変大当りの少なくとも一部を、潜確大当り(潜確状態移行契機大当り)としてもよい。たとえば、特図1側の確変大当り1〜3を潜確大当りとすることができる。
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態の遊技機1には、遊技状態(内部遊技状態および/または変動パターン選択モード)に関連する複数種類の演出モードが設けられている。たとえば、「通常状態」に関連する演出をなす「通常演出モード」、時短状態に関連する演出をなす「時短演出モード」、確変状態に関連する演出をなす「確変演出モード(ST演出モード)」、時短状態に関連する演出をなす「時短演出モード」など、各遊技状態に関連する複数種類の演出モードが設けられている。演出制御部24は、現在の演出モードに基づく演出を実行し、これにより、現在の遊技状態に関連する演出を実現する。また各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示(背景演出)やBGMなどが、遊技状態に関連する演出態様にそれぞれ切り替え制御される。なお、各演出モードについての詳細は、図6〜図7を用いて後述する。
演出制御部24(CPU241)は、遊技状態の移行(更新)に応じて、各演出モード間を移行制御可能に構成され、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24は、主制御部20(CPU201)から送られてくる演出制御コマンドのうち、遊技状態に関する情報を含む演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態を指定したり、遊技状態が移行されることを指定したりする特定の演出制御コマンドに含まれる情報に基づき、遊技状態(内部遊技状態(YJ)および/または変動パターン振分指定番号Tcode)を把握し、主制御部20側の遊技状態と整合性を保つ形で演出モードを管理し、処理状態に応じて、一の演出モードから他の演出モードへの移行(複数種類の演出モード間の移行)を制御可能に構成されている。上述の特定の演出制御コマンドには、たとえば、変動パターン指定コマンド、遊技状態指定コマンド、当り中に送信される特定コマンド(大当り開始コマンドや、大当り終了コマンド)などがある。
(5−2.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(本実施形態では、変動パターン指定コマンドおよび/または装飾図柄指定コマンドに含まれる情報)に基づき、大当り抽選結果に関連した様々な「予告演出」を現出制御可能に構成されている(予告演出現出制御手段)。予告演出の主な役割は、当り種別に当選したか否かの期待度(周知の「当選期待度」)の示唆(予告)や、特定の予告演出の発生期待度(特定予告発生期待度)の示唆などである。予告演出の多くは、遊技者の当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものには、「リーチ演出」、「疑似連演出」、「遊技者参加型演出」、「先読み予告演出」などがあり、これらの演出に付随して複合的(同時的、重複的)に、または単独的に発生する種々の予告演出(所謂、ステップアップ演出、カットイン演出など)がある。
(5−2−1.リーチ演出)
「リーチ演出」とは、リーチ状態(所謂、テンパイ状態)を伴う演出態様をいい、具体的には、リーチ状態を経由してゲーム結果を導出表示しうる演出態様をいう。リーチ演出には、特定のリーチ演出が出現した場合、通常のリーチ演出(Nリーチ(ノーマルリーチ)が出現した場合に比べて、当選期待度が相対的に高まるものがある。このようなリーチ演出を「SPリーチ(スーパーリーチ)」と称する。SPリーチは、遊技者の当選期待感を煽るべく、Nリーチよりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持ち、通常は、Nリーチを経由して実行される。上記NリーチやSPリーチは、当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチが含まれる。
ゲーム結果が当りとなる場合は、その殆どが、このリーチ演出を経由して、当り図柄(たとえば、図柄揃い)が導出表示されるようになっている。すなわち、当り図柄が導出表示される過程において、何かしらのリーチ演出が現出されうる。このため、遊技者にとっては、リーチ演出の発生の有無が、当選可能性を知る手がかりとなる。そこで、リーチ演出の発生可能性を予告(示唆)する演出態様、換言すれば、当選期待度をさらに明確に予告しうる演出態様として、複数種類の「予告演出」が設けられている。この「予告演出」は、当選期待度を予告する煽り演出としての役割を担うものであるが、特定の演出(たとえば、リーチ演出や疑似連)が発生する可能性をしたり、特定の演出の発生を確定的に報知したりする役割も担う。したがって、たとえば、リーチ演出シナリオでは、リーチ演出が発生する前段階で或る予告演出が発生し、リーチ演出の発生可能性を予告するとともに、当選期待度を予告する場合がある。つまり、単にリーチ演出が単独で発生する場合よりも、他の予告演出が伴えば、当選期待度がより明確化され、遊技者の当選期待感を煽ることができるようになっている。また、予告演出は、大当り抽選結果に関連して、1または複数種類の期待予告演出が複合(同時的、重複的)して発生する場合があり、複数種類の期待予告演出が複合することで、より明確な当選期待度が示される。たとえば、当選期待度が低い低期待度予告演出であっても当選期待度が高い高期待度予告演出が複合すれば、当選期待度がより一層高まり、複数の高期待度予告演出が複合すれば、当選期待度は飛躍的に高まる。
(5−2−2.疑似連演出(疑似連))
「疑似連」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(いわゆる「疑似変動」)を伴う演出態様をいう。この「疑似変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返す変動表示態様をいう。この点、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行されうる後述の「先読み予告演出」とは異なる。「疑似連」は、基本的には、疑似変動回数が多くなるほど当選期待度が高まるように、その発生率が定められている。たとえば、疑似変動回数1回よりも2回の方が、当選期待度の高い予告演出(たとえば、SPリーチ)の発生期待度が高まることになる。したがって「疑似連」は、リーチ演出を含む演出シナリオの場合には、主として、リーチ状態が形成される前段階(リーチ演出の前段階)に発生され、1または複数回の疑似変動を行った後、本変動であるリーチ演出が実行され、最終的なゲーム結果が導出表示されることになる。本明細書中で、疑似Nと称する場合、疑似変動M回と本変動とを合わせた回数を意味する。たとえば、「疑似2」と表記する場合は「疑似変動1回+本変動」、「疑似3」と表記する場合は「疑似変動2回+本変動」を意味する。
(5−2−3.遊技者参加型演出)
「遊技者参加型演出」とは、いわゆる「ボタン予告演出」に属する演出態様であり、操作手段(演出ボタン13および/または方向キー75)に対して所定の操作(たとえば、1回押し、長押し、連打など)がなされた場合、その操作内容に基づき、演出の内容が変化しうる予告演出態様である。遊技者参加型演出では、所定のボタン有効期間中になると、操作手段に対して所定の操作を指示する「操作指示演出」が現出され、そのボタン有効期間中に、遊技者が操作手段を操作すると、その操作内容に基づき、現出中の演出が他の演出(操作時演出)に変化し、操作前後の演出態様(演出内容)に応じて、当選期待度、当落、または設定示唆情報などを報知可能となっている。演出制御部24は、所定の設定条件に基づき(たとえば、遊技者参加型演出中の所定のタイミング)、操作手段の操作が有効となる操作有効期間(ボタン有効期間)を設定する機能部(操作有効期間設定手段)と、ボタン有効期間中に所定の操作前演出を現出制御可能な操作前演出制御手段と、当該操作有効期間に演出ボタンが操作されたことに基づき、所定の操作時演出を実行制御可能な操作時演出制御手段とを備えている。
(5−2−5.先読み予告演出)
「先読み予告演出」(以下「先読み予告」と略す)とは、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、主に、保留表示態様(保留変化系先読み予告)や時系列的に先に実行される図柄変動表示ゲーム中の演出(図柄変動中系先読み予告)を利用して、当該作動保留球に関する当選期待度を事前に報知しうる演出態様である。
図5を用いて、上記先読み予告を含め、本実施形態に係る液晶表示装置の画面表示の概要について説明する。図5は、本実施形態に係る液晶表示装置36の画面表示の説明に供する説明図である。
液晶表示装置36の画面内の一部に(図示では、装飾図柄の表示エリアの下方)、特図1作動保留球の個数を表示する保留表示領域76と、特図2作動保留球の個数を表示する保留表示領域77とが設けられており、作動保留球の有無に関して、その旨を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)或いは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される。
この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。本実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1〜d1(特別図柄1側に対応)、a2〜d2(特別図柄2側に対応)が設けられている。これらの保留表示部a1〜d1、a2〜d2は、通常は、先読み判定する際に存在する作動保留球数と同数、たとえば3個だけ、その表示態様が作動状態(点灯状態)に切り替える。したがって、この保留表示部が作動保留球数を表示する保留表示手段として働く。しかし、後述の先読み予告を実行する場合は、保留表示部a1〜d1、a2〜d2のうち該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(特別保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告を発生させる手段として働く。
また、保留表示領域76、77の左側には、現に特別図柄変動表示ゲームに供されている作動保留球を示すための変動中表示領域78が設けられている。この実施形態の場合、変動中表示領域78は、受座Jのアイコン上に、現在ゲームに供されているゲーム実行中保留Kのアイコンが載る形の画像が現れるように構成されている。すなわち、特別図柄1または特別図柄2の変動表示が開始される際に、保留表示領域76、77に表示されていた最も古い保留a1またはa2のアイコン(アイコン画像)が、ゲーム実行中保留Kのアイコンとして、変動中表示領域78おける受座Jのアイコン上に移動し、その状態が所定の表示時間にわたり維持される。
また、図5に示す液晶画面内の右下隅には、装飾図柄や予告演出などのメイン演出とは別のサブ的な演出(サブ演出)の表示領域として、特図1、2の作動保留球、普図作動保留球数、特図1、2の変動表示動作に関する情報、普図の変動表示動作に関する情報を表示可能なサブ表示領域79を設けてある。このサブ表示領域79の情報は、予告演出を表示する上で、装飾図柄の表示および/または保留表示部が非表示となった場合でも表示され続ける。したがって、現在、図柄変動表示ゲーム中であるか否か、作動保留球が幾つあるかについては、サブ表示領域79の情報により識別可能となっている。なお、遊技状態(遊技モードまたは内部遊技状態)に応じて、第1の遊技状態中(たとえば、通常モード(通常状態)中)の場合は、保留表示領域76を保留表示領域77よりも優先的(協調的)に表示し(一方を表示して他方を表示しない、或いは、一方の透過率を低くし、他方の透過率を高くする、一方を他方よりも相対的大きく表示する、エフェクト画像を一方に付し他方には付さないなど)、第2の遊技状態中(たとえば、後述の時短モード(時短状態)やSTモード(確変状態))の場合は、保留表示領域77を保留表示領域76よりも優先的に表示することができる。また、第1の遊技状態中は、保留表示領域76、77の双方を表示し、第2の遊技状態中は、保留表示領域77を優先的に表示することができる。
(先読み予告について)
次に、先読み予告について説明する。この先読み予告に関する現出制御については、まず主制御部20において、作動保留球が発生した場合(始動条件が成立した場合)、当該作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)に供される前に、当該作動保留球に係る大当り抽選結果を事前に判定する「先読み当り判定」が行われる(図11のステップS318〜S320(乱数判定処理〜特別停止図柄データ作成処理)、図12のステップS410〜S410(特別電動役物作動判定用乱数判定処理〜特別停止図柄作成処理)参照)。
さらに上記「先読み当り判定」結果を利用して、将来、その作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行に供された際の特別図柄の変動パターン(変動開始時の変動パターン)を事前に判定する「先読み変動パターン判定」が行われる(図11のステップS320(始動口入賞時乱数判定処理)参照)。この事前に判定される特別図柄の変動パターンを「先読み変動パターン」と称する。この先読み変動パターン判定では、たとえば、どのようなリーチ状態を経由するリーチ変動パターンとなるのか、それともリーチ状態を経由しない通常変動パターンとなるのかなどについて事前に判定される。このように、先読み当り判定を経て先読み変動パターンを判定する一連の処理を「先読み判定」と称する。
先読み判定結果に関する情報が主制御部20から演出制御部24に送信されると、演出制御部24において先読み予告に関する演出制御処理が行われる。本実施形態の場合、先読み判定時の作動保留球数(今回発生した作動保留球を含む現存の作動保留球数)と、上記先読み変動パターン情報(少なくとも当落結果を先読み判定した情報)を特定可能な「保留加算コマンド」が主制御部20から演出制御部24に送信され(後述の図11のステップS323参照)、演出制御部24が保留加算コマンドを受信すると、そのコマンドに含まれる情報に基づき、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、先読み予告に関する演出制御処理が行われる。
具体的には、演出制御部24が保留加算コマンドを受信すると、先読み変動パターン情報に基づき、先読み予告を実行(現出)するか否かに関する「先読み予告抽選」を行い、先読み予告を実行する場合には先読み予告に係る演出シナリオ決定し、その演出シナリオに従い、先読み予告を現出させる(たとえば、後述の図32参照)。上記先読み予告抽選の実行確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また、当選期待度が相対的に高い先読み変動パターン種別の場合の方が高確率となっている。よって、先読み予告が発生するか否かにより当選期待度が示される。なお、先読み予告は、作動保留球の発生したタイミング、または時系列的に先に行われる図柄変動表示ゲームの開始と同時に、或いはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とした先読み予告が現出されうる。なお、保留加算コマンドは、特図種別情報(特図1、2の別)を特定可能とする上位バイト側のデータと、先読み判定時の作動保留球数情報と特定可能とする下位バイト側データとの2バイトで構成される。また、保留加算コマンドは、当落結果を指定する上位バイト側のデータと、先読み判定情報として先読み変動パターンの内容を特定可能とする下位バイト側データの2バイトで構成される(図24〜図27参照)。
なお上記先読み判定結果に関する情報は、主制御部20において、作動保留球が図柄変動表示ゲームに供される際に実行される大当り抽選結果(変動開始時の大当り抽選結果)や変動開始時の変動パターンなどを事前判定した際に得られる遊技情報である。したがって、先読み判定結果に関する情報には、少なくとも変動開始時の当落抽選結果の先読み判定結果(先読み当落結果)情報が含まれ、その他に、図柄抽選結果の先読み判定結果(先読み図柄結果)情報や、変動開始時の変動パターンに関する先読み判定結果(先読み変動パターン)情報を含ませることができる。たとえば、先読み変動パターン情報には、当り当選時の「当り変動パターン」であるか、ハズレ当選時の「ハズレ変動パターン」であるかの情報(当落抽選結果に関する情報)だけでなく、図柄抽選結果の先読み判定結果(先読み図柄結果)情報や、リーチの有無(リーチ有りの場合はその種別)や疑似連の有無(疑似連有りの場合はその回数)に関する情報など、特定の予告演出が実行情報も含まれうる。如何なる情報を含む保留加算コマンドを演出制御部24に送るかについては、報知する予告内容をどのようなものにするかに応じて適宜定めることができる。
なお、作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。たとえば、変動開始時に「Nリーチ1」を指定する変動パターンのケースであれば、先読み変動パターンにより指定される内容は「Nリーチ1」というリーチの種類そのものではなく、その骨子である「Nリーチ種(Nリーチ1またはNリーチ2)」である旨を指定してもよい。
(入賞時系先読み予告:保留変化予告)
この実施形態では、先読み予告を実行する場合(先読み予告抽選に当選した場合)、保留表示部a1〜d1、a2〜d2の保留アイコン(たとえば、後述の図29の備考3に示すアイコンや、図32に示す宇宙人のアイコンなど)のうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示(通常保留表示態様)の白色から、予告表示の白点滅、青色、黄色、緑色、赤色、虹色の特殊な保留色や色彩を付した保留表示(特別保留表示態様)に変化する保留変化予告が実行されうる。この保留変化予告は、入賞時(保留表示)を契機として現出しされうることから「入賞時系の先読み予告」とも称する。
この保留変化予告として、図5では、ハッチングされた保留表示部b1の作動保留球が、特別保留表示に変化した例を示している。ここで、保留アイコンの白点滅、青色、黄色、緑色、赤色、虹色の表示は、この色の順に、当選期待度が高いことを意味し、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコン(当確保留予告)となっている。白点滅のアイコン表示は、後述の「ステップアップ保留変化予告」の発生可能性を示唆する保留アイコンであり、最終的な保留色が何色になるかを期待させるものとなっている(保留色が変化せずに白点滅のままの場合もある)。白点滅の場合は保留表示がそのままであれば当選期待度が特別保留表示の中で最も低いが、他の保留色に変化すれば、その保留色による当選期待度まで高まる。
本実施形態では、予告演出に関し、大当り抽選結果がハズレの場合には相対的に低い確率で選択され(低出現率)、大当りの場合には相対的に高い確率で選択(高出現率)される、といった高い当選期待度を持つ予告演出として、当選期待度が所定の期待値以上(本実施形態では、当選期待度20%以上を持つ予告演出)のものを「高期待度(当選期待度高」の予告演出とし、それ以外を低期待度の予告演出として扱う。先述の保留変化予告の場合、白点滅、青色、黄色、緑色、赤色、虹色の当選期待度がそれぞれ、1%、5%、9%、20%、30%、100%であるとすれば、「緑色、赤色、虹色」が高期待度予告演出に属し、それ以外は(白点滅、青色、黄色)、低期待度予告演出に属する。先読み予告が発生した場合、その作動保留球を対象とした図柄変動表示ゲーム中に、当選期待度が相対的に高い高期待度予告(高回数疑似連やSPリーチなど)が発生すれば、先読み予告演出の内容と相まって、当りへの当選期待感はより一層高まることになる。
現存する作動保留球は、図柄変動表示ゲームの実行を契機に順次消化される。このとき、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行し(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといった表示制御(シフト表示)が行われるが、上記した特別保留表示は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。この点、先読み予告は、複数回の図柄変動表示ゲーム(複数回の図柄変動表示動作)に跨って専用の予告演出が現出されうるといった点で、疑似連などのような1回の図柄変動動作中に行われる予告演出とは異なる。
保留変化予告に係る特別保留表示は、(A)入賞を契機に現出させるケース、換言すれば、保留表示のタイミングで現出させるケース、(B)入賞時は通常保留表示(白色)であるが、通常保留表示から特別保留表示(青色など)に変化させるケース、(C)現在の特別保留表示よりも当選期待度が相対的に高い特別保留表示に変化(たとえば、青色から黄色以上の保留色にステップアップ的に変化)させるケースなどもある。この(B)または(C)のケースでは、シフト表示中の所定のタイミング、先に実行されている図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミング、特定の予告演出の現出中の所定のタイミング、保留変化予告用の遊技者参加型演出中(たとえば、ボタン操作有効期間中)などにおいて、一の保留表示態様から他の保留表示態様に変化させることができる。なお、上記(B)または(C)のような当選期待度がより高い保留表示に変化する保留変化予告を「ステップアップ保留変化予告」と称する。
また、ゲーム実行中保留Kが受座J上に載る際には、基本的には、保留表示領域76、77における保留表示態様と同じ表示態様が維持されて、今回の図柄変動表示ゲームに係る作動保留球を対象とした先読み予告(特別保留表示)が当該ゲーム中においても遊技者に報知されうるが、当該図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミングに、そのゲーム実行中保留Kの保留表示態様が他の保留表示態様に変化する場合もある。このようなゲーム実行中保留Kの表示態様の変化も上記ステップアップ保留変化予告に属するものとして扱う。
なお、原則として、現在の保留色から当選期待度が相対的に低い保留色に変化する「特別保留表示の成り下がり」は無いが、例外的に成り下がりが発生した場合は、その作動保留球が当確である旨が示唆され、当確保留予告と同じプレミアム的な保留変化予告となる。成り下りのケースとしては、たとえば、保留色が「青色→白色」や「赤色→青色」など、現在の保留表示よりも当選期待度が低い保留表示に変化する場合である。また、保留表示態様は、静止画による保留アイコン表示(静的表示態様)に限らず、動画(アニメーション)による保留アイコン表示(動的表示態様:たとえば、保留アイコンを回転、振動、搖動、点滅(高速点滅や低速点滅)をさせて表示する)にしてもよい。
(図柄変動中系先読み予告:変動中先読み予告)
また本実施形態では、上述の「入賞時系」の先読み予告演出とは異なり、図柄変動表示ゲームが開始したことを契機としてなされる「変動中先読み予告」を現出可能となっている。この変動中先読み予告は、上述の保留変化予告とは異なり、図柄変動表示中の所定タイミングで現出されうることから「図柄変動中系(変動開始時変化系)」の先読み予告とも称する。
この「変動中先読み予告」とは、たとえば、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像を表示させ、これを1または複数回の図柄変動表示ゲームにて実行(単発的にまたは連続表示させる)といった先読み予告である。すなわち、変動中先読み予告は、或る図柄変動表示ゲーム中に始動口に遊技球が入賞して始動条件が成立した場合、その始動条件成立に係る図柄変動表示ゲームを実行する権利を一旦保留記憶するとともに、先読み予告演出を実行するか否かに関し先読み予告抽選を行い、この先読み予告抽選を実行する場合には、その時点で現存する作動保留球(保留記憶)が複数個存在する場合には、それら全てまたは一部の保留記憶について、それらの図柄変動表示ゲームを何らかの関連性を有した表現にすることができる。たとえば、記憶順にみて最も古い作動保留球から先読み予告対象の作動保留球までの現存する作動保留球に係る全てまたは一部の図柄変動表示ゲーム中において、液晶表示装置36の画面に先読み専用予告画像(たとえば、図5Bの稲妻を模した予告画像)を表示させる。この場合、各図柄変動表示ゲームにおいて、その全部または一部が異なる先読み予告を現出させてもよい。たとえば、3回の図柄変動表示ゲームにわたり現出させる場合、1回目の図柄変動表示ゲームは雷雲画像、2回目の図柄変動表示ゲームは雨画像(雷雲から雨が降る様を表現した画像表示)または雷雲画像、3回目の図柄変動表示ゲームは稲妻画像とすることができる。また、予告画像に応じて当選期待度が異なるものとしてもよい。上述の例でいえば、雷雲画像は低期待度、雨画像は中期待度、稲妻画像は高期待度とすることができる。この場合、雷雲画像だけで終了した場合は当選期待感が低いが、稲妻画像が表示されれば、当選期待感が飛躍的に高まるといった演出効果を奏することができる。また、図柄変動表示ゲームの実行ごとに「雷雲画像→雨画像→稲妻画像」と期待度が段階的に発展(期待度が増す)するステップアップ系の先読み予告としてもよい。
なお、変動中先読み予告に用いる演出手段およびその演出内容については、適宜定めることができる。たとえば、画像表示であれば、先読み専用の背景画像や装飾図柄の組合せを利用してもよく、また、この画像表示に付随して専用の音演出、光演出、または可動体演出などを組合せてもよい。
本実施形態では、変動中先読み予告と保留変化予告とはそれぞれ独立して現出可能となっている。具体的には、保留変化予告の実行抽選と、変動中先読み予告の実行抽選とはそれぞれ独立した抽選となっている。したがって、保留変化予告が単独で発生ケースと、変動中先読み予告が単独で発生するケースと、保留変化予告と変動中先読み予告とが同時的(重複的)に発生するケースとがある。なお、変動中先読み予告を実行する際に用いる演出手段およびその演出内容については、適宜定めることができる。
(4−2−6.設定示唆演出)
また本実施形態では、上記「設定値」に関する情報を示唆する演出態様(設定示唆演出)を現出可能となっている。たとえば下記(ア)〜(シ)のような設定示唆演出である。
(ア)低設定域(設定1〜3、1〜2、2〜3など)を示唆する「低設定示唆演出」。
(サ)高設定域(設定4〜6、4〜5、5〜6など)を示唆する「高設定示唆演出」。
(キ)偶数設定(設定2、4、6)を示唆する「偶数設定示唆演出」。
(ユ)奇数設定(設定1、3、5)を示唆する「奇数設定示唆演出」。
(メ)特定の設定値(設定1〜6のいずれでもよい)を確定的に報知する「特定設定確定演出」。たとえば「設定N」を確定的に報知する「設定N確定演出」。ただし、無闇に内部的な設定値を確定的に報知するのは、好ましくない。その理由は、設定1や設定2確定などのように、低設定領域を確定的に示唆するものは、遊技者の遊技意欲を減退させてしまうからである。そこで、高設定領域の設定4〜6のいずれかを確定的に報知させることが好ましい。特に、設定5確定や設定6確定などの高設定が確定する特定設定確定演出が出現すれば、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
(ミ)特定の設定値(設定1〜6のいずれでもよい)でないことを確定的に報知する「特定設定否定演出」。
(シ)特定範囲の設定値を示唆する「特定範囲示唆演出」。たとえば、設定3〜5(α≦設定値≦β)を示唆、設定4以上(α≦設定値)を示唆、「設定1、3、5、6」の複数の特定値を示唆するなどがある。また、設定値に応じて出現率を異ならせて、たとえば設定1では出にくい、設定4ではそこそこ出る、設定6では出やすいなどのように、或る設定値の可能性が高い/低いを示唆することが可能である。
なお、設定示唆演出の現出率(実行確率)は、設定値に応じて適宜定めることができる。たとえば、設定値が相対的に低いほど設定示唆演出の出現率が低くなるように定めてもよい。また、設定示唆演出の演出態様には特に制限はなく、音演出、光演出、画像表示演出、可動体演出のうち、1または複数の演出を利用することができる。
また、設定示唆演出は、図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミング、たとえば、予告演出と複合的または単独的に現出させることができる。また、図柄変動ゲーム中に限らず、大当り遊技中や、遊技開始待ち中の後述の「デモ開始待ち演出」や「客待ち演出(デモ表示)」などにも現出させることができる。
また、設定値に応じて特定の予告演出の出現率を規定することにより、その予告演出自身を「設定示唆演出」として機能させることもできる。たとえば、特定のリーチ演出、特定の疑似連(特定の疑似連態様や特定の疑似連回数)、特定の遊技者参加型演出、および特定の先読み予告などのうち、少なくとも1つ演出の出現率を設定値に応じて異ならせることにより、その予告演出自体を「設定示唆演出」として機能させることができる。たとえば、ハズレ時に特定のSPリーチが出現し易い場合は“高設定濃厚”、ハズレ時に疑似連3回(疑似変動2回+本変動)が出現し易い場合は“高設定濃厚”、特定のボタン操作演出が出現した場合は“設定6確定”示唆などである。また、先読み予告の演出を利用し、設定示唆演出専用の先読み予告態様を現出させることができる。たとえば、保留アイコンが高速点滅した場合は高設定濃厚、保留アイコンの1または全部が専用の保留アイコン(専用のキャラクタやアイテム画像)に変化した場合は“高設定濃厚”示唆などである。
<6.演出手段>
遊技機1における各種の演出は、遊技機に配設された演出手段により現出される。斯様な演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であればよく、装飾ランプ45やLED装置などの光発生(発光)手段(光演出手段)、スピーカ46などの音響発生装置(音演出手段)、液晶表示装置36などの演出表示装置(表示手段)、操作者の体に接触圧を伝える加圧装置、遊技者に振動を与える振動装置(たとえば、発射操作ハンドル15が震えるなど)、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物は、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置(画像表示手段)と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出(画像表示演出)を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<7.遊技モードの遷移形態:図6、図7>
次に図6および図7を参照して、変動パターン選択モードに関連する「遊技モード」の内容と、各遊技モード間(各遊技状態間)の移行制御について説明する。図6および図7は、遊技モードとこれに関連する演出モードの概略を示す遊技フローである。
本実施形態では、図6および図7に示すように、「一般、前兆、天井、天国、ST(ST序盤、ST中盤、ST終盤)」などの複数種類の遊技モードが設けられており、これらの遊技モード下にて遊技の進行が制御される。
(7−1A.「通常モード」について)
通常モードは、内部遊技状態が通常状態に関連する遊技モードであり、この通常モードは、RAMクリア時(たとえば、RAMクリア操作時、設定変更時など)などが実行された場合に開始される初期の遊技モードとなっている。
この通常モードには、変動パターン選択モード(Tcode)が「00H」の「一般モード」と、「01H」の「前兆モード」とが含まれる。「一般モード」は、遊技進行中、最も長く滞在しうる遊技モードであり、基本的には、この一般モードから大当りに当選して他の遊技モード(後述のSTモードや時短モードなど)に移行されることになる。
(7−1A−1.一般モード中の演出について)
一般モード中は、一般モードに関連した演出をなす「一般演出モード」に移行される。本実施形態に係る一般演出モードには、複数種類の一般演出モードが含まれ、たとえば、客待ち待機中に遊技者が操作手段(演出ボタン13や方向キー75)を操作することにより、好みの一般演出モードに切り替え可能となっている。この実施形態の場合、図6の通常モードのブロック枠に示すように、「ノーマルモード(通常A演出モード)」、「シンプルモード(通常B演出モード)」、「プレミアムモード(通常B演出モード)」の3種類の演出モード(遊技者選択可能演出モード)のいずれかを選択可能となっている。ただし混同してはならないのは、これらの演出モードは、同一の変動パターン選択モード(Tcode=00H)下の演出モードであり、遊技者側が変動パターン選択モード(Tcode)自体を自由に切り替えられることを意味するものではない。したがって、ノーマル、シンプル、プレミアムモードの違いにより、出現する演出はそれぞれ異なる場合があるが、内部的に選択される特別図柄の変動パターン(変動パターン振分テーブル)は変化しないため、図柄変動表示ゲームの時間(特別図柄の変動時間)自体は変化しない。
「ノーマルモード」とは、デフォルトの演出モードであり、「シンプルモード」とは、ノーマルモードと比べて特定の予告演出の出現率が低確率または一切出現しない(出現率0%)演出モードとなっている(特定予告演出出現率変更モード)。
「シンプルモード」では、たとえば、(イ)当選期待度が相対的に高い特定の高期待度予告(たとえば、ノーマルモード時の当選期待度30%以上)のハズレ時の出現率がノーマルモードよりも低確率となり、当該特定の高期待度予告の出現時は当選期待度が大幅にアップし、高期待度予告出現時の興奮度を高める。また(ロ)当選期待度が相対的に低い特定の低期待度予告(たとえば、ノーマルモード時の当選期待度30%未満の演出、先読み予告)の出現率がノーマルモードよりも低確率(0%を含む)となり、過度な煽り演出(ハズレ時の演出)が少なく、シンプルな演出が好みの遊技者に好適である。また(ハ)遊技者参加型演出の出現率がノーマルモードよりも低確率(0%を含む)となり、演出ボタン操作を伴う演出の出現率が低確率となるため、落ち着いた遊技が好みの遊技者に好適である。
「プレミアムモード」では、当確系演出(大当り当選濃厚の演出(たとえば、当選期待度90%以上)または大当り当選確定の演出)の出現率が、ノーマルモードおよびシンプルモードよりも高確率となり、1または複数種類の特定の低期待度予告の出現率が低確率(0%を含む)となる。したがって、当確を予告しうるプレミアム的な演出の出現を楽しみたい遊技者に好適な演出モードとなっている。
なお、ノーマル、シンプル、およびプレミアムのいずれの演出モードも設定示唆演出の出現率については同一の確率としてもよいし、それぞれ異なる確率としてもよい。
また、ノーマル、シンプル、プレミアムの各演出モードでは、いずれのモード中であるかを識別可能とするため、演出モード別に対応した固有の演出が現出される。具体的には、画像表示演出(たとえば、背景画像(背景表示)、予告演出時の登場キャラクタ、または装飾図柄など)、音演出(たとえば、BGM、効果音)、および光演出(たとえば、特定の演出用LEDの発光態様)の少なくともいずれか1つの演出が各演出モードに対応して変化する。これにより、ノーマル/シンプル/プレミアムのいずれの演出モード中であるのかを識別可能となっている。本実施形態では、一般モード中においては、太陽が輝く“昼背景画像”をベースとし、「ノーマルモード」では季節‘春’を連想させる背景画像(たとえば、桜の木などを含む背景画像)、「シンプルモード」では季節‘夏’を連想させる背景画像(たとえば、海や砂浜を含む背景画像)、「プレミアムモード」では季節‘秋’を連想させる背景画像(たとえば、紅葉の山や木々を含む背景画像)など、少なくとも各演出モードに応じた背景表示(背景演出)にそれぞれ切り替え制御される。なお、他の遊技モード下において、ノーマル、シンプルおよびプレミアムモードの少なくとも2つの演出モード間を切り替え可能に構成することができる。この場合も、上述のように、いずれのモード中であるかを演出的に識別可能な構成とすることができる。
(7−1B.前兆モードについて)
また上記「前兆モード」とは、後述の「天井(ハマリ救済機能)」の到達間近に移行される遊技モードであり、たとえば、天井到達が間近であることを報知する「前兆演出」を実行させるための遊技モードとして設けられている。この前兆モードは、通常モード(通常状態)中、大当りに当選せずに、所定のゲーム数(所定の変動回数)に到達した場合に移行される。本実施形態の場合、一般モード中に989ゲームハマると、990ゲーム目から前兆モードに移行されるようになっている(図7の「前兆モード」のブロック枠(α)参照)。「天井」についての詳細は後述するが、本実施形態では、通常モード中(少なくとも内部遊技状態が通常状態中)に1000ゲーム(1000回転)ハマる(ハズレ続ける)と、天井機能が発動して、特別利益(天井特典)が付与されるようになっている(図7の備考2の天井特典の例の欄参照)。
(7−1B−1.前兆モード中の演出について)
前兆モード中は、前兆モードに関連した演出(前兆用演出)をなす「前兆演出モード」に移行される。前兆演出モード中は、一般モードの太陽が輝く“昼背景画像”から、星が輝く“夜背景画像”に切り替え表示され、前兆モード中であることが報知されるようになっている。また、前兆演出モード中も、ノーマル/シンプル/プレミアムモードのいずれかに切り替え可能となっている(図7の前兆モードのブロック枠(γ)参照)。また、前兆演出モード中は、天井到達までの残余ゲーム数(残り天井回数)を識別可能な演出(残余天井回数表示演出)として、たとえば、カウントダウン表示が現出される(図7の前兆モードのブロック枠(δ)参照)。この残余天井回数表示演出は、前兆モード中の一部の期間で現出させてもよく、たとえば、天井間近の996ゲーム目から残余天井回数表示演出を開始(カウントダウン表示開始)してもよい。たとえば、最大保留記憶数4個を考慮して、996ゲーム〜999ゲーム間または天井ゲームを含む995〜1000ゲーム間でカウントダウン表示(たとえば、天井ゲームでカウントゼロを示唆)を行うことができる。天井までのゲーム数が分かれば、遊技者が天井到来まで無駄打ちを防止することができる、という演出的メリットがある。
また、前兆演出モード中は、少なくとも一般モードとは異なる保留表示態様(保留アイコン)が現出されるようになっている。たとえば、一般演出モード中では、図5に示す単純な「丸型アイコン」をベースとする保留表示態様であるが、前兆演出モード中では「キャラクタアイコン」をベースとする専用の保留表示態様を現出する(図7の前兆モードのブロック枠(ε)、図32参照)。なお、一般モード中において、前兆モード移行直前(989ゲーム目)に現存する1または複数の保留表示については、前兆モード移行後(990ゲーム目)に専用の保留表示(キャラクタアイコン)に一斉に変化させてもよいし、前兆モード中に消化対象となる保留表示だけを専用の保留表示に変化させてもよい。後者の構成を具体的に説明すれば、たとえば、988ゲーム実行中に作動保留球が3個存在するケースの場合、989ゲーム〜991ゲーム目に係る保留表示を「‘丸型アイコン(一般モード中消化対象保留:989ゲーム目)’ ‘キャラアイコン(前兆モード中消化対象保留:990ゲーム目)’ ‘キャラアイコン(前兆モード中消化対象保留:991ゲーム目)’」とすることができる。また、前兆演出モード中の開始から所定のゲーム数を消化するまでは一般演出モードと同じ保留表示(丸型アイコン)とし、天井到達間近(たとえば、最大保留記憶数4個を考慮して、996ゲーム〜999ゲーム間)になると、前兆専用の保留表示(キャラクタアイコン)に切り替えてもよい。また、前兆演出モード中は、上記「残余天井回数表示演出」および/または「前兆専用の保留表示」を現出させてもよい。
(前兆モード中のノーマル/シンプル/プレミアムモードの選択について)
本実施形態の前兆演出モード中は、「ノーマル/シンプル/プレミアムモード」のいずれかに切り替え可能であると説明したが、本発明はこれに限定されず、その切り替えが不可能(切替不能状態下に制御する)な構成としてもよい。すなわち、前兆演出モード中は、遊技者選択可能の演出モードを固定的なものとすることができる。たとえば、一般モード中で選択中であった演出モードに固定したり、ノーマル/シンプル/プレミアムモードのうちいずれかの演出モード(たとえば、デフォルトのノーマルモード)に強制的に固定したりすることができる(後述の天国モードも同様)。この場合、一般モードでは切り替え可能であった演出モードが切り替え不可能になるという事象によって、遊技者に違和感を与え、天井到達間近であることを遊技者に知得させることができる。特に、前兆演出モードと一般演出モード中とを演出的に秘匿状態とする場合(たとえば、前兆演出モードと一般演出モードとを共通の背景画像にする、前兆モードと一般モードとで共通の演出モードとする(内部的に前兆モードであるが演出モードは一般演出モードとする)、前兆モード自体を設けないなど)、「演出モード切り替え不能状態」という違和感を遊技者に与えることを以て、天井到達(天井ゲーム)が近づいていること報知することができる。
(7−2.「STモード」について)
STモードは、内部遊技状態が確変状態(YJ=01H)に関連する遊技モードであり、このSTモードには、変動パターン選択モード(Tcode)が、「02H」の「ST序盤モード」と、「03H」の「ST中盤モード」と、「04H」の「ST終盤モード」とが含まれる。このSTモードには、確変大当り1〜7のいずれかに当選した場合に移行される。
本実施形態の場合、確変大当り1〜7のいずれに当選したかに応じて、上記「確変A」〜「確変C」のいずれかに移行されるため、遊技モードの移行形態も異なる。詳しくは、下記(A−1)〜(A−3)の移行形態となる。
(A−1:確変C(ST回数25回+時短回数75回)を付与する確変大当り3、6(5R確変ST25、7R確変ST25)に当選した場合)
確変大当り3、6のいずれかにに当選した場合は、図4にて既に説明したように「確変C」に移行され、「ST回数25回+時短回数75回」が付与される。この場合の遊技モードの移行形態は、1〜25ゲーム目(ST回数内序盤)まで「ST序盤モード」に滞在し、26〜100ゲーム目(時短回数内)まで「時短モード」に滞在するようになっている。この「ST序盤モード(ST25回)⇒時短モード」という一連の移行形態に着目して、確変大当り3、6当選時に移行される遊技モードを「ST25モード」とも称する(図4参照)。
(A−2:確変B(ST回数75回+時短回数25回)を付与する確変大当り2、5(5R確変ST75、7R確変ST75)に当選した場合)
確変大当り2、5のいずれかに当選した場合には、上記「確変B」に移行され、「ST回数75回+時短回数25回」が付与される(図4参照)。したがって、この場合の遊技モードの移行形態は、1〜25ゲーム目(ST回数内序盤)まで「ST序盤モード」に滞在し、26〜75ゲーム目(ST回数内中盤)まで「ST中盤モード」に滞在し、76〜100ゲーム目(時短回数内)までは「時短モード」に滞在するようになっている。この「ST序盤モード(ST25回)⇒ST中盤モード(ST50回)⇒時短モード」という一連の移行形態に着目して、確変大当り2、5当選時に移行される遊技モードを「ST75モード」とも称する(図4参照)。
(A−3.確変A(ST回数100回)を付与する確変大当り1、3、7(5R確変ST100)、10R確変ST100、特殊7R確変)に当選した場合)
確変大当り1、3、7のいずれかに当選した場合には、上記「確変A」に移行され、「ST回数100回」が付与される(図4参照)。したがって、この場合の遊技モードの移行形態は、1〜25ゲーム目(ST回数内序盤)まで「ST序盤モード」に滞在し、26〜75ゲーム目(ST回数内中盤)まで「ST中盤モード」に滞在し、76〜100ゲーム目(ST回数内終盤)まで「ST終盤モード」に滞在する。この「ST序盤モード(ST25回)⇒ST中盤モード(ST75回)⇒ST終盤モード(ST25回)」という一連の移行形態に着目して、確変大当り1、3、7当選時に移行される遊技モードを「ST100モード」とも称する(図4参照)。
(B.確変A〜確変C(ST25、ST75、ST100モード)の連荘性能)
上記確変大当り1〜7のいずれに当選するか、すなわち「確変A〜確変C」のいずれかに移行されるかにより「ST回数」が異なるため、確変A〜確変Cにおける電サポ有り状態中(確変状態または時短状態)の大当りの引き戻し率(いわゆる「連荘率」)も異なる。すなわち、遊技者に対する有利度(遊技者に付与する利益状態(利益度合))が異なる。たとえば、設定6(低確率時1/189、高確率時1/63)の場合、確変A(ST回数100回)の連荘率、つまり、ST中連荘率は約79.8%となる。また、確変B(「ST回数75回+時短回数25回」の電サポ100回)の連荘率は、ST中連荘率は約70%、時短中連荘率は約12.4%、全体(ST回数75回+時短回数25回)の連荘率は約73.6%となる。また、確変C(「ST回数25回+時短回数75回」の電サポ100回)の連荘率は、ST中連荘率は約33%、時短中連荘率は約32.8%、全体(電サポ有り状態中)の連荘率は約55%となる。なお、時短大当りの場合の連荘率(時短中連荘率)は、約41.2%となる。
以上のように本実施形態では、ST回数が異なる複数の確変大当りを設けているため、当選した大当り種別に応じてST中の連荘度合を異ならせることができる。特に本実施形態のように、電サポ有り状態の回数(電サポ回数)は同一(たとえば、100回)であるが、ST回数がそれぞれ異なる場合(たとえば、ST25回、ST75回、ST100回)、電サポ有り状態中の利益度合や連荘度合を当選した大当り種別に応じて大きく異ならせることができる。その結果、遊技性の自由度が増し、遊技の面白みを一層向上させることができる。また、STモード中に関連する演出(後述のST演出モード)の自由度も向上し、演出を多彩なものとすることができる。
(7−2−1.ST序盤、ST中盤、ST終盤の変動状態について)
既に説明したように「ST序盤モード」、「ST中盤モード」、「ST終盤モード」は、変動パターン選択モード(Tcode)がそれぞれ異なる(図28参照)。これにより、各STモードに対応した変動パターン振分テーブル(図25、図27参照)を選択することができるため、各STモードが、それぞれ特徴有るSTモードを作り出すことができる。たとえば、ST序盤モード用の変動パターン振分テーブルでは、変動時間が2秒の変動パターンが高確率で選択され、ST中盤モードの変動パターン振分テーブルでは、変動時間が3秒の変動パターンが高確率で選択され、ST終盤モードの変動パターン振分テーブルでは、変動時間が4秒の変動パターンが高確率で選択されるという具合に、各STモードに係る特別図柄の平均的な変動時間(変動パターンの変動時間)、換言すれば、図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間(1ゲームあたりの図柄変動表示ゲームの平均実行時間または単位時間あたりの図柄変動表示ゲームの実行回数:以下、「平均消化時間」とも称する)に緩急を付けることができる。なお、上述の図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間(平均消化時間)とは、少なくともハズレ時における平均的な消化時間、つまり、各STモードにおける「ハズレ変動パターンの平均変動時間」である。
本実施形態の場合、STモードに係る平均消化時間の関係が、「ST終盤モード<ST中盤モード<ST序盤モード」を満たすように定められている(図27参照)。すなわち、ST序盤モードは「高速変動状態(全遊技モード中最速(平均消化時間最短))」、ST中盤モードは「中速変動状態」、ST終盤モードは「低速変動状態」下に制御される。なお、各モードにおける平均消化時間(消化スピード)が上記「ST終盤モード<ST中盤モード<ST序盤モード」の関係を満たすものであれば、その時間は特に制限はない。ただし、STモードは確変状態に関連する遊技モードであり、STモード中は「特別図柄時短機能」が作用するため、いずれの変動状態も、少なくとも通常モード(通常状態)よりも図柄変動表示ゲームの平均消化時間は短時間となる。上記した各変動状態(高速、中速、低速変動状態)は、下記のような特徴を持つ。
上記「高速変動状態」は、主として、「ゲームの平均消化速度を上げて、遊技の進行に関する時間効率を高める」といった遊技性に重きを置いた遊技モード(遊技状態)で有用である。STモード(確変状態)中は、「電サポ有り状態+高確率状態(特別図柄確変機能作動)+特図時短状態(特別図柄時短機能作動)」となり、少なくとも通常モードと比べて図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間が相対的に短くなり、また大当り当選が容易となるように工夫された遊技状態となるが、このような遊技状態になると、遊技者の中には、演出を楽しむよりも早く大当りを得たいと欲する遊技者も多い。そこで本実施形態では、ST序盤モードの場合には、変動時間が相対的に短時間の変動パターンが選択され易くし「高速変動状態」を発生させるようになっている。
一方、上記「高速変動状態」に対して、変動時間が相対的に長時間の変動パターンが選択され易い「中速変動状態」または「低速変動状態」下では、図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間が「高速変動状態」よりも長くなるが、その代わりに演出時間を長めにとることができるため、「演出を楽しむ」といった遊技性に重きを置いた遊技モードに有用である。
(7−2−2.STモード中の演出について)
本実施形態に係るSTモードには、上記したように「ST序盤モード」と、「ST中盤モード」と、「ST終盤モード」とが含まれる。したがって、これらSTモードに対応する演出モード(ST演出モード)として、“ST序盤”に関連する演出(ST序盤用演出)が現出される「ST序盤演出モード」と、“ST中盤”に関連する演出(ST中盤用演出)が現出される「ST中盤演出モード」と、“ST終盤”に関連する演出(ST終盤用演出)が現出される「ST終盤演出モード」とが設けられている。
(7−2−3.STモード中の演出例:図29)
図29に、上記ST序盤演出モード、ST中盤演出モードおよびST終盤演出モード中の演出例を示す。
図29を参照して、本実施形態に係る「ST序盤演出モード」は、潜水艦同士の戦いを表現した演出をなす“水中音響戦モード”、「ST中盤演出モード」は、艦隊同士の戦いを表現した演出をなす“水上戦モード”、「ST終盤演出モード」は、戦車同士の戦いを表現した演出をなす“陸戦戦モード”となっている。換言すれば、STモード期間は、残りST回数に応じて、ST序盤、ST中盤、ST終盤の3つに区分され、この3つのST区分のいずれに滞在しているかはST区分演出として、主に、変動パターンのダイナミックな変化(高速、中速、低速という変動状態の変化)、これに伴う演出(背景演出の切り替わり、予告演出など)とにより遊技者に報知される。なお、図示の「右打ち⇒」の表示は、遊技者に右打ちを促す発射誘導報知演出(右打ち指示演出)である。また、保留アイコンについては、同図(イ)の演出例(ST100モードに係る演出例)にのみ示し、(ロ)(ハ)については省略してある。また、図示では、装飾図柄が停止表示中を示しているが、これは説明の便宜上、一旦ゲームが終了して装飾図柄が停止表示されているときを示したものであり、実際には、作動保留球があれば、当然、現在の演出モード下において装飾図柄の変動表示が実行されるものである。
ST期間中の演出モードを区分することとなる「ST区分演出」については、「ST序盤演出モード」、「ST中盤演出モード」、「ST終盤演出モード」の各演出モードで、水中音響戦モード、水上戦モード、陸戦戦モードなどの戦闘モード演出に切り替えられ、これにより段階的にST回数が最終回目に近づいて来ていることが報知される。
本実施形態では、確変大当り1〜7のいずれに当選した場合でも、演出モードは、ST序盤演出モードの「水中音響戦モード」から開始される。すなわち、ST序盤演出モード(水中音響戦モード)は、図示の通り、各STモード(ST25、ST75、ST100モード)で共通である。しかし、各STモードは、遊技モードの遷移形態が異なり、これに伴い演出モードの遷移形態も異なる。
(ST25モードの場合:図29(ハ))
ST25モード(ST回数25回+時短回数75回)の場合は、図29(ハ)に示すように、1〜25ゲーム間は、ST序盤演出モード(水中音響戦モード)に滞在する。そして、ST最終の25ゲーム目を終えると、遊技モードがST序盤モードから時短モードに移行され、これに伴い、演出モードもST序盤演出モード(水中音響戦モード)から時短演出モード(戦闘機同士の戦いを表現した演出をなす“空戦モード”)に移行される(時短モード、時短演出モードの詳細は後述する)。この時短演出モード(空戦モード)には、26ゲーム〜100ゲーム(時短最終ゲーム)間滞在する。なお、図示はしていないが、100ゲーム目を終えると、時短モードが終了(電サポ有り状態が終了)して通常モードに移行され、これに伴い、演出モードも時短演出モードから通常演出モード(一般演出モード)に移行される(後述のST75モードも同様)。
(ST75モードの場合:図29(ロ))
ST75モード(ST回数75回+時短回数25回)の場合は、図29(ロ)に示すように、1〜25ゲーム間は、ST序盤演出モード(水中音響戦モード)に滞在する。25ゲーム目が終了すると、遊技モードがST序盤モードからST中盤モードに移行され、これに伴い、演出モードもST序盤演出モード(水中音響戦モード)からST中盤演出モード(水上戦モード)に移行され、75ゲーム目まで、このST中盤演出モード(水上戦モード)に滞在する。そして、ST最終の75ゲーム目を終えると、遊技モードがST中盤モードから時短モードに移行され、これに伴い、演出モードもST中盤演出モード(水上戦モード)から時短演出モード(空戦モード)に移行される。ST75モードの場合、この時短演出モード(空戦モード)には、76ゲーム〜100ゲーム(時短最終ゲーム)間滞在する。
(ST100モードの場合:図29(イ))
ST100モード(ST回数100回)の場合は、図29(イ)に示すように、75ゲーム目までは、上述のST75モードを同じ遊技モードおよび演出モード遷移である。しかし、75ゲーム目を終えると、遊技モードがST中盤モードST終盤モードに移行され、これに伴い、演出モードも演出モードもST中盤演出モード(水上戦モード)からST終盤演出モード(陸戦モード)に移行される。ST100モードの場合は、電サポ有り状態が終了するまでの100ゲーム間はすべてST中(確変中)であり、この陸戦モードは、ST100モードだけに生起するする特別な演出モードとなっている。また、ST100モードの場合は、STモードの全区間で、背景が順次切り替わっていくため、遊技者の緊張感は、演出モードが、水中音響戦(ST序盤)、水上戦(ST中盤)、陸戦モード(ST終盤)へと切り替わるたびに強まり、ST終盤の陸戦モードに至ったときに最も強くなる。なお、図示はしていないが、100ゲーム目を終えると、STモードが終了(電サポ有り状態が終了)して通常モードに移行され、これに伴い、演出モードもST終盤演出モードから通常演出モード(一般演出モード)に移行される。
このように本実施形態では、いずれの大当りに当選した場合も、「ST序盤モード+ST序盤演出モード」から開始される。すなわち、大当り遊技の移行先遊技状態(確変A〜確変C)によらず、換言すれば、初期の残りST回数(付与されるST回数)によらず、大当り遊技後の開始演出モード(初期の演出モード)は共通となっている。
(STモードに係る変形例:図30、図31)
なお、遊技進行具合におけるSTモードおよびST演出モードの推移は、上記実施形態(図29)に限らず、下記の変形例1、2示す推移を辿るように構成することができる。以下、図30、図31を参照して、変形例1、2について説明する。
(STモードに係る変形例1:図30)
図30に、本実施形態のSTモードに係る変形例1を示す。なお、図30において、演出モードに対応する保留アイコンは省略してある(後述の図31も同様)。
本例(変形例1)の場合も、STモードが複数に区分されているが、各STモードに応じて(当選した大当り種別に応じて)、開始演出モードが異なり、残りST回数に応じて、異なる演出モードから開始するようになっている。
図30を参照して、ST100モードの場合は、図30(イ)に示す通り、上記実施形態(図29(イ))と同じモード推移を辿る。
しかし、ST75モード(ST回数75回+時短回数25回)の場合は、初期の残りST回数が75回である点に着目して、図(ロ)に示す通り、次のようなモード推移(STモード、対応する演出モードの推移)を辿るようになっている。
「1〜25ゲーム間」:「ST中盤モード+ST中盤演出モード(水上戦モード)」
「26〜75ゲーム間」:「ST終盤モード+ST終盤演出モード(陸戦モード)」
「76〜100ゲーム間」:「時短モード+時短演出モード(空戦モード)」
また、ST25モード(ST回数25回+時短回数50回)の場合は、初期の残りST回数が25回である点に着目して、図(ハ)に示す通り、次のようなモード推移を辿るようになっている。
「1〜25ゲーム間」:「ST終盤モード+ST終盤演出モード(陸戦モード)」
「26〜100ゲーム間」:「時短モード+時短演出モード(空戦モード)」
本例の場合、「ST序盤モード」が存在するのは、ST100モードの場合のみとなり、「ST中盤モード」が存在するのは、ST100モードとST75モードの場合となる。そして、ST終盤モードは、各STモードで共通して存在する。本例が上記実施形態と異なる点は、下記の点である。
本例の場合、変動状態に着目すれば、ST75モードでは、ST中盤モード(水上戦モード)から開始されるため、変動状態が「中速変動状態」から開始される。また、ST25モードでは、ST終盤モード(陸戦モード)から開始されるため、変動状態が「低速変動状態」から開始される。すなわち、本例の場合、初期のST回数が相対的に少ないST回数ほど、図柄変動表示ゲームの平均消化時間が遅い遊技モードから開始されるようになっている。したがって、上記実施形態のST序盤の「高速変動状態」に相当する区間(1〜25ゲーム間)が、中速変動状態または低速変動状態の区間となるため、ST回数が少ない場合であっても、ST期間があっという間に終了してしまうという恐れが無く、ST期間を長期間楽しませることができる、という利点がある。
(STモードに係る変形例2:図31)
図31に、本実施形態に係るST演出モードの変形例2を示す。本例は、ST回数によらず、共通の「ST演出モード」から開始され、時短状態に移行された場合は「時短モード」に移行されるようになっている。図示では、ST中盤モードから開始される例を代表的に示す。
本例の場合、図31(イ)〜(ロ)に示す通り、ST25、ST75、およびST100モードのいずれも、共通のSTモードおよびST演出モード(水上戦モード)となっている。すなわち、STモード中は変動パターン選択モードが同一(本例の場合は、ST中盤モードの「03H」)であり、少なくとも変動状態(平均消化時間)は、残りST回数に応じて変化しない。この点、上記実施形態や変形例1とは大きく異なる。ただし、ST25モードまたはST75モードの場合には、ST回数が終了すると、STモードから時短モードに移行され(変動パターン選択モードが時短モードの「05H」に更新される)、これに伴い、演出モードもST中盤演出モードから時短演出モードに移行される。換言すれば、ST25とST75モードの場合は、電サポ有り状態中の遊技モード(変動パターン選択モード)の移行が生じ、ST100モードの場合は、電サポ有り状態中の遊技モード(変動パターン選択モード)の移行が生じない。
本例の場合、ST演出モード(STモード)がST回数に応じて変化しないため、たとえば、ST回数が「5回、10回、15回」などの比較的少ないST回数(低ST確変状態)を複数種類設ける場合に好適である。ST回数が少ない場合、無闇に演出モードや変動パターン選択モードを変化させると、かえって遊技者が煩わしく感じてしまうためである。
なお、STモード中は、通常モードで説明した「ノーマルモード」、「シンプルモード」、「プレミアムモード」を切り替え不可の構成としてもよいし、通常モードと同様に、遊技者側で切り替え可能に構成してもよい(他の遊技モード(後述の時短モードや天国モード)についても同様)。切り替え可能な構成とする場合には、「ノーマルモード」、「シンプルモード」、「プレミアムモード」の各演出モードで、この順に背景画像色が濃くなるように定めた特定色(たとえば、ダーク系の色)の背景表示色に切り替えたり、各STモードに係る兵器画像(潜水艦、艦船、戦車、戦闘機(後述の時短演出モードの場合))の表示色や絵柄を、ノーマル/シンプル/プレミアムモードの各演出モードで変化させたりするなどの表示処理を施して、これにより、いずれの演出モードに切り替えられているかを識別可能に構成することができる。また、各モードにおける変動状態(平均消化時間)をどのように定めるかは自由である。本実施形態では「ST終盤モード<ST中盤モード<ST序盤モード」の関係について説明したが、変形例1、2の変動状態のように構成したり、「ST序盤モード<ST中盤モード<ST終盤モード」の関係のように、変動状態がST回数に応じて相対的に低速化していく、といった関係であってもよい。
残りST回数を報知する「残余ST回数報知演出」と残り電サポ回数を報知する「残余電サポ回数報知演出」とについて、下記(1)〜(10)の構成とすることができる。
(1)各ST演出モード(各STモード)中のいずれも、「残余ST回数報知演出」および/または「残余電サポ回数報知演出」を現出することができる。
また(2)残余ST回数報知演出を現出する場合、各演出STモードの残りST回数を報知してもよい。たとえば、ST序盤モード中であれば、残り25回からカウントダウン表示を行う、ST中盤モード中であれば、残り50回からカウントダウン表示を行う、ST終盤モード中であれば、残り25回からカウントダウン表示を行うなどである。
また(3)残余ST回数報知演出を現出しない構成(残りST回数が把握できない構成)としてもよい。この場合、残余電サポ回数報知演出だけを表示してもよい。
また(4)残余ST回数報知演出は、ST開始から所定のゲーム数の経過後に開始させてもよい。たとえば、ST終了5ゲーム前から、カウントダウン表示を開始してもよい。
また(5)残余ST回数報知演出は、特定のSTモードに限り現出させてもよい。特定のSTモードは、ST25、ST75、ST100のいずれでもよいが、遊技者は、残りST回数多いほど、その回数を気にしながら遊技に興じる傾向があるため、ST25モード以外のST75またはST100モードで現出させることが好ましい。
また(6)ST演出モード(STモード)中は、残余ST回数報知演出を現出し、時短演出モード(時短モード)中は、残余電サポ回数報知演出を現出してもよい。
また(7)残余ST回数報知演出と残余電サポ回数報知演出とを別途独立して現出するのではなく、たとえば、カウントダウン表示を兼用する演出態様としてもよい。たとえば、同じカウントダウン表示を利用して、STモード中はその数字表示を「白色」とし、時短モード中は「赤色」する、または、STモード中は、数字画像の周囲に所定のエフェクト画像((たとえば、ライト(グロー効果やシャドウ効果)、グラデーション、ブラー、エンボスなどによる適宜なエフェクト画像処理を施したもの)を付した表示にするが、時短モード中はエフェクト無しにする、などである。
(7−3.「時短モード」について)
図6の説明に戻る。時短モードは、内部遊技状態が時短状態(YJ=02H)に関連する遊技モードであり、この実施形態の場合、変動パターン選択モード(Tcode)が、「05H」の1種類となっている。時短モードには、時短大当り1、2(5R時短A、5R時短B)に当選した場合の他、確変大当り2、3、5、6(5R確変ST75、5R確変ST25、7R確変ST75、7R確変ST25)などに当選した場合のST回数終了後にも移行される遊技モードである。時短モードの終了後(時短回数の終了後)は、「通常モード」に移行されるようになっている(図6の時短モードのブロック枠の上向き太矢印参照)。
(7−3−1.時短モード中の変動状態について)
上記時短モード中は、「低確率(特別図柄確変機能未作動)+電サポ有り状態+特別図柄時短状態」となるが、図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間に関し、上記STモードに係る高速変動状態、中速変動状態、または低速変動状態と同一または略同一の変動状態とするか、また、これらとは異なる平均消化速度を持つ変動状態とするかは自由である。ただし、時短モードへは、STモードからも移行される点、具体的には、ST25モードの場合は、「ST序盤モード(高速変動状態)」から「時短モード」に移行し、ST75モードの場合は「ST序盤モード(高速変動状態)」および「ST中盤モード(中速変動状態)」を経て「時短モード」に移行する点や、時短モード中は大当り抽選確率が低確率となる点(ハズレが多発する点)などを考慮し、時短モード中は、「演出を楽しむ」といった遊技性に重きを置いた遊技モードとしての位置付けとすることが好ましい。そこで、時短モード中の変動状態(平均消化時間)を「時短モード中の変動状態<STモード中の高速変動状態」とすることが好ましく、より好ましくは「時短モード中の変動状態≦STモード中の中速変動状態」とする。なお、時短モードもSTモードと同じく、複数の時短モードを移行可能に構成してもよく、この場合は、時短モード用の複数の変動パターン選択モードを設ければよい。
(7−3−2.時短モード中の演出について)
時短モード中は、“時短状態中”に関連する演出が現出される「時短演出モード」に移行される。時短演出モードでは、戦闘機同士の戦いを表現した演出をなす“空戦モード”となり、上記STモード中の各遊技モード(ST序盤、ST中盤、ST終盤モード)とは区別される。本実施形態では、時短大当り1、2に当選した場合の他、確変大当り2、3、5、6のST終了後の時短モードに移行した場合も、いずれも同じ時短演出モードに移行されるが、本発明はこれに限られない。たとえば、時短大当り1と時短大当り2とで、異なる演出をなす時短演出モード(たとえば、時短大当り1当選時は時短A演出モード、時短大当り2当選時は時短B演出モード)に移行させてもよい。また、時短大当り当選時の時短演出モードと、確変大当り当選時のST終了後の時短演出モード(ST25、ST75に係る時短演出モード)とで、異なる時短演出モードとしてもよい。
(7−4.「天井モード」について:図7)
次に図7を参照して、「天井モード」について説明する。
本実施形態では、大ハマリした場合の救済機能として「天井機能」が設けられている。この天井機能は、大当りに当選することなく、所定のゲーム数(天井ゲーム数)に到達した場合、遊技者を救済するべく、所定の利益状態(天井特典)を付与する、という機能である。なお、天井機能には、主として、天井ゲーム数に到達した場合にそのまま「天井特典」が付与されうる構成と、天井ゲーム数に到達した場合に所定の抽選を経て「天井特典」が付与されうる構成の2タイプがある。
後者の「所定の抽選」には、天井特典を「付与する、付与しない」という天井特典の有無を決定する抽選(複数の天井特典がある場合は、当選によりいずれかの天井特典を付与する場合と、ハズレ(付与しない)の場合がある)や、複数の天井特典のうちいずれかの天井特典を付与するかを決定する抽選(天井特典付与が前提の抽選)、大当り抽選により天井特典として、或る大当りを決定しうる抽選(たとえば、図4に示す当選種別(特図1、2側のいずれの当選種別を対象としてもよい)のいずれかを天井特典として決定する)などがある。
上記「天井特典」は、ハマリ救済機能という点で、少なくとも通常状態よりも有利な利益状態が付与される。また、天井ゲーム数(天井機能が発動するゲーム数)は、適宜定めることができるが、ハマリ救済機能という観点から、大当り抽選確率を考慮したゲーム数を定めることが好ましい。本実施形態の天井ゲーム数は、設定1〜6の低確率時の大当り抽選確率(1/240〜1/189:図4参照)を考慮したゲーム数として、通常モード中のハマリ1000ゲーム目としてあり(低確率時の3倍〜4倍程度)、天井モードはこの1000ゲーム目に生起する遊技モードとなっている。仮に、通常状態中の大当り抽選確率が比較的高確率(1/100前後)の「甘デジタイプ」であれば、天井ゲーム数を300〜500ゲーム程度とすることが好ましい。
なお、本実施形態では、設定値によらず天井ゲーム数を同一としているが、本発明はこれに限らず、各設定値の全部または一部において、異なる天井ゲームを定めることができる。つまり、設定値に応じて天井ゲーム数に差をつけてもよい。この場合、天井ゲーム数の違いによる設定推測要素を遊技者に与えることができる。たとえば、下記(a)〜(c)とすることができる。
(a)各設定値(設定1〜6)で、それぞれ異なる天井ゲーム数を定める。たとえば、設定値が高いほど天井ゲーム数を少なくする、逆に、設定値が高いほど天井ゲーム数を多くする。
(b)設定値の少なくとも一部で、異なる天井ゲームを定める。たとえば、高設定領域(設定4〜6)は天井ゲーム数を第1天井ゲーム数とし、中・低設定領域(設定1〜3)は第2天井ゲーム数とする。なお、「第1天井ゲーム数<第2天井ゲーム数」としてもよいし、「第1天井ゲーム数>第2天井ゲーム数」としてもよい。
(c)特定の設定値のみ、他の設定値と異なる天井ゲーム数を定める。たとえば、特定の設定値のみ、第1天井ゲーム数とし、他の設定値は第1天井ゲーム数とは異なる第2天井ゲームとする。特定の設定値は、たとえば、最高設定の設定6としたり、最低設定値の設定1としたり、その他の設定値としたりすることができる。この場合、第1天井ゲーム数到達時に天井特典が付与されれば、特定の設定値である、ということが確定的に知得させることができる。
先ず、天井特典の種類について説明しておく。天井特典の種類としては、図7の備考2の「天井特典の例」の一覧表に示すように、たとえば、「無限時短」、「有限時短」、「無限確変」、「有限確変」、「無限潜確」、「有限潜確」、「強制当り」などがある。これらの特典を大別すれば、「無限時短」と「有限時短」は“天井時短種別”、「無限確変」と「有限確変」は“天井確変種別”、「無限潜確」と「有限潜確」は“天井潜確種別”、「強制当り」は“天井当り種別”に属する天井特典である。以下、これら天井特典種について、順次説明していく。
(無限時短)
(A)「無限時短」とは、次回大当りまで時短状態を付与する特典である。なお、無限時短の場合、その時短回数は「回数制限無し(無限)」であるが、実質的に次回大当りまでとなる時短回数、たとえば、「10000回」や「65536回」などのように、低確率時の大当り抽選確率(本実施形態の場合は、設定1で1/240)から考えて、時短回数到達による時短状態の終了可能性が皆無となる場合(0%と考えても差し支えがない場合)や、パチンコホールの営業時間内に消化不可能な時短回数を付与する場合(たとえば、概ね4000回〜5000回以上)も、本発明では無限時短に属するものとして扱うことができる。
(有限時短)
(B)「有限時短」とは、適切な大当り当選率となるように、所定の時短回数を限度に時短状態を付与するものである。この点、制限回数の無い前述の無限時短とは異なる。付与される時短回数としては、たとえば、時短大当り1、2と同じ時短回数100回または時短回数75回などがその代表例であるが、時短大当りと同じ時短回数を付与するに限らず、異なる時短回数(たとえば、75回や150回や200回など)を付与することができる。なお、上記「無限時短」における「実質的に次回大当りまで」となる時短回数を付与する場合も、回数制限がある点で、この有限時短に属するものと言えるが、上記したように、本発明では無限時短に属するものとして扱うことができる。
(有限時短を付与する場合の具体例)
ここで、有限時短を付与する場合には、下記のような付与形態(1)〜(4)(有限時短付与形態1〜4)とすることができる。
(有限時短付与形態1)
(1)大当りによる時短回数(大当り当選に起因して付与される時短回数(時短状態))は複数種類(種類数A)ある場合、天井特典による時短回数(時短状態)の種類はそれよりも少ない種類(種類数B)に定める。具体的には「種類数B<種類数A」の関係を満たすように構成する。
本実施形態の場合、図4に示す通り、大当りによる時短回数は、100回(時短A)と50回(時短B)の2種類(種類数A)存在するが、天井特典では、たとえば時短回数100回(時短A)の1種類だけを付与するように構成する。なお、「種類数B<種類数A」の関係を満たすのであれば、大当りによる時短回数とは異なる時短回数(たとえば、150回)を付与してもよい。また、天井特典による時短回数(時短状態)の種類を2種類以上設ける場合には(「2≦種類数B<種類数A」の場合)、所定の抽選により、いずれかの時短回数(時短状態)を決定可能に構成することができる。
(有限時短付与形態2)
(2)天井特典による時短回数(時短状態)の種類が複数ある場合、所定の抽選(天井特典抽選)により、いずれかの時短回数(時短状態)を決定する。
たとえば、大当り当選に起因して付与される複数の時短回数(本実施形態では、50回と100回)のうちから抽選により決定することができる。この場合は、大当りと同等の時短回数を付与されうる。勿論、大当り当選に起因して付与される時短回数とは異なる時短回数を含む複数の時短回数(たとえば、100回と75回と25回)のうちから抽選により決定してもよい。この場合は、大当りと異なる時短回数が付与されうる。なお、抽選対象となる天井特典種(ここでは、各時短回数)の抽選確率(選択率)は、同一または略同一であってもよいし、全部または一部が異なっていてもよい。また、抽選対象に、天井特典を付与しない「天井特典ハズレ」を含んでもよい。天井特典ハズレを含む場合、天井ゲームに到達しても必ずしも天井特典が付与されるわけではないが、この場合は「天井特典抽選の実行」それ自体が遊技者にとり利益を付与しうるものであり、天井特典抽選は、ハマリ救済機能としての役割を果たすものといえる。
また、「設定値」に応じた抽選確率を定めて、所定の抽選(設定値に応じた天井特典抽選)により、いずれかの時短回数(時短状態)を決定してもよい。たとえば、設定値が高くなるに従い、相対的に多い時短回数(時短状態)が選択され易いように構成する。つまり、設定値が高くなるに従い、利益度合が相対的に高い特典が付与され易い構成である(後述の他の天井特典についても同様)。具体的には、時短回数の種類として「100回、75回、50回」を設けた場合、これらの抽選確率が“設定1”の場合は「25%、35%、40%」、“設定6”の場合は、「45%、30%、25%」などである。しかしこれとは逆に、設定値が低いほど大ハマリし易いことを考慮して、設定値が低くなるに従い、相対的に多い時短回数が選択され易いように構成してもよい。つまり、設定値が低くなるに従い、利益度合が相対的に高い特典が付与され易い構成である(後述の他の天井特典についても同様)。また、「特定の天井特典が付与される場合には、特定の設定値が確定する」という構成としてもよい。たとえば、時短回数25回が付与された場合は「設定6確定」、75回が付与された場合は「設定4以上確定」などである。このように、設定値に関連した天井特典決定方法は、設定推測要素という有益な情報を遊技者に与えることができるため、ハマリに遭遇した遊技者の遊技意欲を向上させる上で有用である。
なお、上記有限時短付与形態1、2においては有限時短を対象としたが、大当り(時短大当り)による時短状態および/または天井特典による時短状態に「無限時短」を含んでもよい。
(有限時短付与形態3)
(3)時短大当りによる平均時短回数Nとし、天井特典による平均時短回数Mとした場合、下記(式1)〜(式3)の関係を満たすように構成することができる。
(式1)「平均時短回数N<平均時短回数M」の関係を満たすように構成する。本実施形態の場合、大当りによる平均時短回数Nは75回であるので、天井特典による平均時短回数Mをこれよりも多い時短回数(たとえば、100回以上)とする。この場合、天井特典による時短状態の方が大当りによる時短状態よりも利益度合が高くなるため、大ハマリをして遊技意欲が著しく減退している遊技者にとっては、嬉しい特典になる。なお、平均時短回数Mは、無限回数としてもよい。平均時短回数Mを無限回数とする場合は上記「無限時短」を付与する場合と等価となる。
(式2)「平均時短回数N=平均時短回数M」の関係を満たすように構成する。この場合は、大当りによる時短状態と、天井特典による時短状態とが同等の利益度合となる。なお、時短大当りによる時短状態と天井特典による時短状態の双方に「無限時短」が含まれてもよい。この場合も「平均時短回数N(無限回数)=平均時短回数M(無限回数)」となり、当該(式2)満たす。
(式3)「平均時短回数N>平均時短回数M」の関係を満たすように構成する。この場合は、天井特典による時短状態の方が大当りによる時短状態よりも利益度合が相対的に低くなるため、過度な特典付与とならないようにすることができる。なお、時短大当りによる時短状態に「無限時短」が含まれてもよく、この場合は、天井特典による時短状態に「無限時短」は含まない。
(有限時短付与形態4)
(4)上記(式3)と同じく、過度な特典付与とならないようにするという点に着目して、少なくとも「天井特典による時短回数≦大当りによる最大時短回数」の関係を満たすような時短回数を定める。本実施形態であれば、天井特典による時短回数を、時短大当り1による「時短A」の時短回数以下、たとえば、100回、90回などである。また、大当りによる最小時短回数に着目して、「大当りによる最小時短回数≦天井特典による時短回数<大当りによる最大時短回数」の関係を満たす時短回数であってもよい。本実施形態であれば、天井特典による時短回数を、時短大当り2による時短Bの時短回数以上、時短大当り1による「時短A」の時短回数未満、たとえば、50回、60回などである。なお、時短大当りによる時短状態に「無限時短」が含まれてもよく、この場合は天井特典による時短状態に「無限時短」は含まない。
(無限確変)
(C)「無限確変」とは、次回大当りまで確変状態を付与する特典である。なお、無限確変の場合、そのST回数は「回数制限無し(無限)」であるが、上記「無限時短」と同事象のように、実質的に次回大当りまでとなるST回数(たとえば、10000回や65536回)を付与してもよい。
(有限確変)
(D)「有限確変」とは、前述の無限確変とは異なり、適切な大当り当選率となるように、所定のST回数を限度に確変状態を付与するものである。たとえば、確変大当り1〜7と同じく、ST回数として、100回、75回、または25回などを付与する。勿論、確変大当り1〜7のST回数と同じ回数でなくてもよく、50回や150回などを付与してもよい。なお、上記「無限確変」における「実質的に次回大当りまで」となるST回数を付与する場合も、回数制限がある点で、この有限確変に属するものと言えるが、上記「無限時短」と同事象のように、無限確変に属するものとして扱ってもよいし、有限確変に属するものとして扱ってもよい(後述の無限潜確についても同様)。
(有限確変を付与する場合の具体例)
ここで、有限確変を付与する場合、上記「有限時短」の有限時短付与形態1〜4で説明した内容と同事象のように、下記のような天井特典付与形態(有限確変付与形態)1〜4とすることができる。なお、下記の有限確変付与形態1〜4は、上記「有限時短付与形態1〜4」で説明した「時短回数」を「ST回数」、「時短状態」を「確変状態」などに適宜読み替えた内容(概念)と実質的に同じであるため、重複記載を避けるために、その内容については適宜省略しながら説明する。
(有限確変付与形態1)
(1)大当りによるST回数(大当り当選に起因して付与されるST回数(確変状態))は複数種類(種類数A)あるが、天井特典によるST回数(確変状態)はそれよりも少ない種類(種類数B)とする。つまり「種類数B<種類数A」の関係を満たすように構成する。
本実施形態の場合、図4に示す通り、確変大当りに当選に起因して付与されるST回数(確変状態)は、100回(確変A)、75回(確変B)、25回(確変C)の3種類あるが、天井特典では、たとえばST回数100回(確変A)の1種類だけを付与するように構成する。
(有限確変付与形態2)
(2)天井特典によるST回数(確変状態)の種類が複数ある場合、所定の抽選によりいずれかのST回数(確変状態)を決定する。この点ついては、上記有限時短における「(有限時短付与形態2)」で説明した「時短回数」を「ST回数」、「時短状態」を「確変状態」などに適宜読み替えた内容と実質的に同じである。
(有限確変付与形態3)
(3)確変大当りによるST回数の平均ST回数Nとし、天井特典による平均ST回数Mとした場合、下記(式4)〜(式6)の関係を満たすように構成することができる。この(式4)〜(式6)に関しても、上記有限時短における「(有限時短付与形態3)」で説明した(式1)〜(式3)の「時短回数」の文言等を「ST回数」の文言等に読み替えた内容と実質的に同じである。
(式4)「平均ST回数N<平均ST回数M」の関係を満たすように構成する。なお、平均ST回数Mは、無限回数としてもよい。平均ST回数Mを無限回数とする場合は、上記「無限確変」を付与する場合と等価となる。
(式5)「平均ST回数N=平均ST回数M」の関係を満たすように構成する。
(式6)「平均ST回数N>平均ST回数M」の関係を満たすように構成する。
(有限確変付与形態4)
(4)過度な特典付与とならないようにするという点に着目して、少なくとも「天井特典によるST回数≦大当りによる最大ST回数」の関係を満たすST回数に定める。本実施形態であれば、天井特典によるST回数を、確変大当り1などによるST回数以下、たとえば、100回、90回などである。また、大当りによる最小ST回数に着目して、「大当りによる最小ST回数≦天井特典によるST回数<大当りによる最大ST回数」の関係を満たすST回数であってもよい。本実施形態であれば、天井特典によるST回数を、確変大当り6などによるST回数以上、確変大当り1などによるST回数未満、たとえば、25回、50回、75回(ST75と同一ST回数)などである。
(無限潜確)
(E)「無限潜確」とは、次回大当りまで潜確状態を付与する特典である。なお、無限潜確の場合、そのST回数は「回数制限無し(無限)」であるが、上記無限時短や無限確変と同じように、実質的に次回大当りまでとなるST回数を付与してもよい。
(有限潜確)
(F)「有限潜確」とは、上述の無限潜確とは異なり、適切な当選率となるように、所定のST回数を限度に潜確状態を付与するものである。本実施形態では、潜確状態への移行契機となる潜確大当りは設けられていないが、仮に、確変大当りの一部が潜確大当りの場合には、有限確変で説明した有限確変付与形態1〜4と同様の構成(ST回数の付与に関する構成)とすることができる。この点については、有限確変(「確変状態」の文言を「潜確状態」の文言に適宜読み替えた内容)と実質的に同じ内容であるため、重複記載を避けるために詳細な説明は省略する。
(強制当り)
(G)「強制当り」とは、大当り抽選とは無関係に、強制的に大当り当選を付与するものである。「大当り抽選とは無関係」とは、大当り抽選自体を実行しないか、または、大当り抽選を実行してもその結果を無効扱いとして処理をする、という意味であり、大当り抽選が一切無関係であるという意味に限定されない。
強制当りによる大当りの種類は、確変大当り(有限確変大当り、無限確変大当り)、時短大当り(有限時短大当り、無限時短大当り)、または潜確大当り(有限潜確大当り、無限潜確大当り)のいずれであってもよい。また、最大ラウンド数またはラウンド遊技態様も適宜定めることができる。また、強制当り後の移行先遊技状態も適宜定めることができる。たとえば、図4に示す大当りが当選した場合と同じ移行先遊技状態(たとえば、時短A、時短B、または確変(ST)A〜C)であってもよく、上記天井特典にて説明した有限時短付与形態1〜4や、有限確変付与形態1〜4などと同様の遊技状態に移行させてもよい。
ただし、過度な特典付与とならないように、強制当りとしては、大当り抽選対象のうち、いずれかの大当り(本実施形態であれば、確変大当り1〜7および時短大当り1〜2のいずれかの大当り)とすることが好ましい。より好ましくは、全大当りよりも利益度合が高くならないようにする。ここでいう利益とは、「大当り遊技による利益」または「大当り遊技と移行先遊技状態とを含めた利益」を意味する。本実施形態であれば、少なくとも「強制当りによる利益≦確変大当り4(全大当り中、利益度合が最も高い大当り)による利益」の関係を満たすことが好ましい。
以上に説明した天井特典は、大当り抽選結果により付与される利益度合と同等または異なる利益を付与することができるため、ハマリ救済機能として有用である。
また上記では各種の天井特典について説明したが、いずれの天井特典を採用するかは自由である。また、天井特典は、性格の異なる特典を複数種類設けたり(たとえば、有限時短と有限確変など)、性格は同じであるが有利度(利益状態)が異なる特典(たとえば、時短回数100回の有限時短Aと時短回数50回の有限時短Bなど)を複数種類設けたりすることができる。この場合、どのような複数種類の天井特典(2以上の天井特典)を設けるかは、適宜定めることができる。たとえば、有限時短と有限確変とを設け、いずれの天井特典を付与するかを、所定の抽選により決定することができる。この場合、設定値によらず同じ抽選確率としてもよいが、上記「天井特典抽選」と同じように、設定値に応じた抽選確率を定めることが好ましい。具体的には、設定値が高くなるに従い、利益度合が相対的に高い特典(たとえば、有限時短と有限確変とを抽選する場合は「有限確変」側)が付与され易い構成や、反対に、設定値が高くなるに従い、利益度合が相対的に低い特典((たとえば、有限時短と有限確変とを抽選する場合は「有限時短」側)が付与され易い構成とすることができる。なお、強制当りの場合、先述の「性格の異なる特典を複数種類設ける」ケースには、たとえば「時短大当り、確変大当りおよび潜確大当りのうち少なくともいずれか2つを設ける」ケースなどがあり、「性格は同じであるが有利度(利益状態)が異なる特典を複数種類設ける」ケースには、たとえば「時短回数が異なる複数の大当り(時短大当り)を設けるケース」や「ST回数が異なる複数の大当り(確変大当りまたは潜確大当り)を設ける」ケースなどがある。
また、天井特典が付与された後は、その天井特典が消化されるまで、または大当りに当選するまで天井特典に係る遊技状態(遊技モード)に制御される。具体的には、有限時短、有限確変、または有限潜確などの“有限系特典”であれば、大当りに当選することなく、規定の時短回数やST回数が終了した場合か、大当りに当選した場合に通常モード(通常状態)に移行され、再度、天井発動契機(天井ゲーム)が到来するまで、天井特典は付与されない。一方、無限時短、無限確変、または無限潜確などの“無限系特典”であれば、次回大当りまでその特典状態が継続され、大当りの当選を以て、当該特典状態が終了されることになる。
なお、天井特典が有限確変の場合、ST75モードやST25モードのように、規定ST回数が終了した場合に時短状態(有限時短または無限時短)に移行させる「有限確変時短型」の天井特典であってもよい。この「有限確変時短型」としては、下記(甲)〜(丁)のタイプが含まれる。
(甲)規定ST回数(たとえば、75回)が終了すると、有限時短(たとえば、時短回数100回)に移行する「有限確変・有限時短」型の天井特典。
(乙)規定ST回数が終了すると無限時短に移行する「有限確変・無限時短」型の天井特典。
(丙)第1規定ST回数(たとえば、75回)が終了すると電サポ状態だけが終了し、第2規定ST回数(たとえば、100回)の有限潜確に移行する「有限確変・有限潜確」型の天井特典(第1規定ST回数と第2規定ST回数は同一回数であっても、異なる回数であってもよい)。
(丁)規定ST回数(たとえば、75回)が終了すると電サポ状態だけが終了し、無限潜確に移行する「有限確変・無限潜確」型の天井特典。
図7の天井モードの説明に戻る。ここでは、天井特典として「有限時短」(大当りによる最大時短回数の100回)を採用した構成を代表例として説明する。
天井モードは、天井特典に応じて、内部遊技状態が時短状態や確変状態などに関連した遊技モードとなるが、ここでは「有限時短」が付与される例について説明しているので、天井モードは、時短状態(YJ=01H)に関連する遊技モードとなる。ただし、天井モードでは、天井専用の変動パターンを選択させるべく、変動パターン選択モード(Tcode)が、専用の「06H」に更新される。
ここで、天井到達時(天井ゲーム時)は、後述の「天井演出」の演出時間幅を確保するため、比較的長い変動時間の変動パターン(天井用変動パターン)が選択されるようになっている。本実施形態では、全遊技モード中(全変動パターン選択モード中)で、最長の変動パターンが選択されるようになっている(図26の「天井変動」の欄参照)。なお、天井用変動パターンは、「天井演出」の演出時間幅を確保できれば特に制限はないが、少なくとも通常モード中のSPリーチ以上(少なくとも疑似連無しSPリーチ以上)の変動時間を有する変動パターンを選択可能に構成することが好ましい。
なお、1000ゲーム目(天井ゲーム)も通常通り、大当り抽選は実行されるため、1000ゲーム目に大当りに当選した場合は、1000ゲーム目の終了後、通常通り、大当り遊技が開始されることになる。
詳細は後述するが、本実施形態では、天井ゲームに大当りに偶々当選した場合には、天井機能の発動を制限(禁止)するようになっており(後述の図13の天井発動管理処理を参照)、天井特典が付与される場合は、1000ゲーム目が「ハズレ」の場合となる。小当りを設けている場合は、1000ゲーム目に小当りに当選しても、ハズレと同様に天井特典が付与される。
この点は、天井特典が有限時短の場合に限らず、無限時短、無限確変、有限確変、無限潜確、または有限潜確の場合も同様である。しかし、天井特典が「強制当り」の場合は、強制的に大当り当選状態に制御されるため、1000ゲーム目の大当り抽選自体を実行しないか、または、大当り抽選を実行してもその結果を無効扱いとし、天井用の大当りが当選したものとして処理すればよい。したがって、天井特典が「強制当り」の場合は、1000ゲーム目の終了後、通常の大当りが当選したときと同じように、天井用の大当りに係る大当り遊技(強制大当り遊技)が開始されることとなる。
なお、強制大当り遊技中の当り中演出は、通常の大当りと同じ(時短大当り1および確変大当り1〜7のいずれかと同じ)であってもよいし、強制大当り専用の当り中演出を現出させてもよい。
(7−4−1.天井モード中の演出について)
天井モード中は、天井到達を報知するための演出(天井演出)が現出される「天井演出モード」に移行される。この天井演出モードは、天井(1000ゲーム目)専用の演出モードであり、本実施形態の場合、1ゲーム限り(1回転限り)の演出モードである。天井演出モードにおける演出例としては、たとえば、天井時の装飾図柄(天井用装飾図柄)が、少なくとも通常モード(1〜9の数字図柄)とは異なる装飾図柄が現出される。「少なくとも通常モードとは異なる装飾図柄」とした理由は、天井到達となるのは通常モードで大ハマリに遭遇した場合であり、長らく通常モードで現出されていた装飾図柄とは異なる装飾図柄を現出させ、天井到達を報知することが適切だからである。
天井用装飾図柄は、具体的には、特別なキャラクタやアイテムや文字を表示した専用図柄(天井用装飾図柄)であり、天井用装飾図柄は、演出的に、インパクトの強い図柄であることが好ましく、たとえば、図7の備考1に示す装飾図柄778(「天」「☆」「井」の装飾図柄)である。通常の装飾図柄列は、右図柄、中図柄、左図柄の3つであるが(図5参照)、天井用装飾図柄列は、必ずしも3つの図柄列でなくてもよい。たとえば、「天」「井」「到」「達」の4つの図柄列や、「天」「井」の2つの図柄列とすることができる。また、天井到達であることを強調するために、通常の装飾図柄より表示面積の大きい巨大装飾図柄、或いは、所定のエフェクト画像を付したものを用いてもよい。また、天井ゲームに係る装飾図柄について、変動表示時は通常の装飾図柄を用い(全部または一部が同じ装飾図柄)、最終的に停止させる装飾図柄(装飾停止図柄)だけを天井用装飾図柄としてもよい。
また、装飾図柄の背景表示として、専用のキャラクタ画像777が現出される。このキャラクタ画像777は、天井ゲームに限り現出される特別な演出である。また、特徴的演出の一つとして、図柄変動表示ゲームの開始を契機に、発射誘導報知演出として、右打ちを促す「右打ち指示画像(右打ち報知画像779)」が現出されている点である。
右打ち指示画像779を現出する理由は、次の理由による。天井特典として有限時短が付与される場合(無限時短、有限確変、または無限確変が付与される場合も同様)、1000ゲーム目の開始を契機に「電サポ有り状態」が生起する。このため、右打ちが有利である旨を直ちに報知し、遊技者に不利益を与えないようにするためである。本実施形態では、図柄変動表示ゲームの開始と同時または略同時に、右打ち指示画像779が現出される。なお、天井時(1000ゲーム目)に「電サポ有り状態」が生起する点を考慮して、前兆モード中または一部の期間(たとえば、天井ゲーム直前のゲーム(前兆モード最終回目))において、まもなく「右打ち」有利になることを報知する演出(事前発射誘導報知演出)を現出させることが好ましい。
また、天井時(1000ゲーム目)の図柄変動表示ゲームで「ハズレ」の場合には、特定の予告演出を現出させないこと好ましい。たとえば、少なくとも高期待度予告演出は現出しない、または、疑似連、リーチ演出、および遊技者参加型演出のうちの少なくとも1つは現出しない。その理由は、天井時に、大当りの当選期待感を煽るような仰々しい予告演出は不要だからである。ただし、天井モード(天井ゲーム)専用の予告演出として、疑似連、リーチ演出、または遊技者参加型演出などを設ける場合は、この限りではない。しかしいずれにしても、当選期待感を煽るような予告演出は現出させないことが好ましいため、疑似連、リーチ演出、または遊技者参加型演出などの予告演出を現出させる場合は、他の演出モードで現出される演出態様とは異なる、天井専用の演出態様とすることが好ましい。また、天井到達の特典として、設定示唆演出を現出させてもよい。設定推測要素という有益な情報を遊技者に与えることは、ハマリに遭遇した遊技者の遊技意欲を向上させる上で有用だからである。なお、天井時に設定示唆演出を現出させる場合、その出現率を100%としてもよいし、所定の抽選により現出させてもよい。
一方、天井ゲーム(1000ゲーム目)で、偶々、大当りに当選となった場合、天井演出モードに係る演出を現出するのではなく、通常演出モード中(たとえば、一般モード中または前兆モード中)の大当り当選時に現出されうる予告演出と同じ演出が現出されるようになっている(図24の「天井」の欄参照)。具体的には、図24の「天井」の欄に示す通り、天井ゲームで大当りの場合、一般モード中または前兆モード中で用いられる変動パターン振分テーブル「FB2」が選択されるようになっており、これにより、天井ゲームで大当りに当選となった場合に、通常演出モード(一般モード中または前兆モード中)に係る演出を現出させるようにしている。このようにする理由は、天井ゲームで大当りとなった場合にも天井用の演出を現出させてしまうと、大当りであるのか天井特典が付与されるのか不明瞭になり、遊技者が混乱してしまうからである。
(7−5.天国モード)
天国モードは、天井ゲームの次ゲーム(1001ゲーム目)に移行される遊技モードであり、天井特典に応じて、内部遊技状態が時短状態や確変状態などに関連した遊技モードとなるが、ここでは「有限時短(時短回数100回)」が付与される例について説明しているので、天井モードは、時短状態(YJ=01H)に関連する遊技モードとなる。また、天国モード中は、天国専用の変動パターンを選択させるべく、変動パターン選択モード(Tcode)が、専用の「07H」に更新される。なお、この天国モードに移行する場合は、「強制当り」以外の天井特典(有限時短、無限時短、無限確変、有限確変、無限潜確、または有限潜確など)の場合となる。
天国モードは、大当りに当選した場合か、上記有限系の天井特典であれば大当りに当選することなく、規定の時短回数やST回数が終了した場合に終了される。ここでは、天井特典が「有限時短(時短回数100回)」として説明しているので、天国モードは、時短回数100回が終了した場合か、またはその時短回数消化中に大当りが当選した場合に終了されることになる。そして、天国モードが終了した場合は、通常モードに移行される。なお、天井特典が、有限確変または有限潜確の場合は、ST回数が終了した場合かまたはそのST回数以内に大当りに当選した場合に終了され、また、無限時短、無限確変および無限潜確の場合には、大当り当選した場合に終了されることになる。
(7−5−1.天国モードに係る変動状態)
ここで、天国モード中は、上記した高速変動状態、中速変動状態、低速変動状態など、いずれの変動状態を採用することができる。ただし、天井特典種別に応じて、天国モード中の変動状態を定めることが好ましい。たとえば、天井特典が有限時短または無限時短の場合は、時短モード中と同じく、「演出を楽しむ」といった遊技性に重きを置いた遊技モードとしての位置付けとすることが好ましい。すなわち、有限時短または無限時短付与時の天国モード中の変動状態を「天国モード中の変動状態<STモード中の高速変動状態」または「天国モード中の変動状態≦STモード中の中速変動状態」とすることが好ましい。ただし、無限時短付与時の場合は時短回数に制限が無い点を考慮し、高速変動状態としてもよい。
他方、有限確変または無限確変付与時の場合は、電サポ有り状態に加えて大当り抽選確率が高確率となることから、STモード中の高速変動状態と同一または略同一の変動状態とすることが好ましい。一方、無限潜確または有限潜確付与時の場合は、大当り抽選確率は高確率となるが電サポ無し状態下に制御されるため、通常状態と同じく、作動保留球が発生し難い状態となる。この点を考慮し、無限潜確または有限潜確付与時の場合は、通常モードと同一または略同一の変動状態か、少なくとも時短モードよりも遅い変動状態(平均消化時間が相対的に長い変動状態)とすることが好ましい。すなわち、「通常モード中の変動状態≦無限潜確または有限潜確中の変動状態<時短モード中の変動状態」を満たす関係にする。
(7−5−2.天国モード中の演出について)
天国モード中は、天国モードに関連する演出(天国用演出)をなす「天国演出モード」に移行される。この天国演出モードは、天井の次ゲーム以降(1001ゲーム目以降)専用の演出モードであり、天国モードの終了とともに終了される。この天国演出モード中は、背景表示を他の遊技モードとは異なる特殊な背景表示に切り替え表示され(たとえば、宇宙空間を表現した“宇宙背景画像”)、天国モード中であることを報知する。
なお、天井特典として、有限時短または無限時短を付与する場合は、天国演出モードとして、時短状態に関連する上記「時短演出モード(空戦モード)」を採用してもよい。
また、天井特典として、有限確変、無限確変、有限潜確、または無限潜確を付与する場合は、天国演出モードとして、確変状態に関連する上記「ST演出モード」を採用してもよい。この場合、上記ST演出モードと同じく、ST消化回数に応じて、異なるST演出モードに移行させる構成としてもよい。具体的には、ST消化回数に応じて、「ST演出序盤モード(水中音響戦モード)⇒ST演出中盤モード(水上戦モード)⇒ST演出終盤モード(陸戦モード)」のように演出モードを順次移行させることができる。なお、無限確変または無限潜確の場合はST回数の制限が無いため、ST101回目以降は、ST終盤演出モードをそのまま継続させてもよいし、別途の新たなST演出モード(ST継続演出モード)に移行させてもよい。また、ST101目にST演出序盤モードに戻り、再度「ST演出序盤モード⇒ST演出中盤モード⇒ST演出終盤モード」の移行をループさせてもよい。
また、天国演出モード中は、既に説明した「前兆演出モード」や「ST演出モード」の内容と同事象のように、ノーマル/シンプル/プレミアムモードのいずれかに切り替え可能に構成してもよいし、ノーマル/シンプル/プレミアムモード間の切り替えが不可能(切替不能状態下に制御する)な構成としてもよい。
また、大ハマリをした遊技者の救済措置の一環として、天国モード中は、他の遊技モードよりも設定示唆演出の出現率を高確率としてもよい。たとえば、天国モードは、少なくとも通常モード(一般モードおよび/または前兆モード)よりも設定示唆演出(図柄変動表示ゲーム中に出現しうる設定示唆演出)の出現率を高確率となるように構成することができる。特に、天井特典が電サポ有り状態を伴う特典(無限潜確および有限潜確以外の天井特典)の場合、天国モード中は高ベース状態下に置かれるため、遊技者は自身の持ち玉(遊技者が保有する遊技媒体やそれに準ずる遊技価値など)をあまり減らすことなく、または現状を維持したまま、遊技を進行させることができる。そのため、遊技者の中には「設定示唆演出を見るまでは、多少のハマリを食らってもよい」という具合に、通常モードとは逆に、寧ろハマリを食らうことで、有利な情報を知得したいと欲する遊技者も多いと考えられる。このような点を考慮し、天国モード中は設定示唆演出の出現率を高確率に変動させ、「設定示唆出現チャンスゾーン」として機能させることが好ましい。これにより、ハマリ後の遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
<8.遊技進行形態について:図6、図7>
次に図6および図7を用いて、遊技モード移行制御と演出面とに着目しながら、遊技機1に係る具体的な遊技進行形態について説明する。
なお、遊技者がどのような打ち方をすれば有利な状況となるかについては、基本的には、内部遊技状態に応じて変化する(遊技モードに着目した場合には、内部遊技状態に関連する遊技モードに応じて変化する)。既に説明したように、通常状態(通常モード)であれば、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利とされ、確変状態(STモード)または時短状態(時短モード、天井モード、天国モード)であれば、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされる。以下では、遊技者が遊技状態に応じた有利な打ち方に従うものとして説明し、特段断りのない限り、左打ち有利(通常状態)の場合には“特図1側の図柄変動表示ゲーム1”が実行され、右打ち有利(確変状態、時短状態)の場合には“特図2側の図柄変動表示ゲーム2”が実行されるものとして説明する。また、遊技モードは、初期の遊技モードである「通常モード」から開始されるものとして説明する。
通常モード中に大当りに当選した場合には、いわゆる「初当り」となり、当選した大当りに応じた大当り遊技が開始される(図6の「初当り」のブロック枠参照)。大当り中の打ち方は、大入賞口50側に狙いを定める「右打ち」となる。
演出面に着目して説明すれば、通常モード中に、確変大当り1(5R確変ST100:特図1側最高利益大当り)に当選した場合、装飾図柄が「7図柄揃い(777)」で停止して、最高利益をもたらす大当りに当選したことが報知される。確変大当り1当選時の当り中演出は、STモード突入を確定的に報知する「ST突入確定演出」が現出されるとともに、ST100モードへの移行確定が報知される。そして、当該大当り遊技後は、ST100モードに移行される。
一方、通常モード中に、確変大当り2、3、時短大当り1、2に当選した場合には、装飾図柄が「7図柄揃い」以外で停止し、今回の図柄変動表示ゲームにおいて、確変大当りであるか、時短大当りであるかは報知されない。「7図柄揃い」以外で停止した場合は、その後の大当り遊技中の当り中演出で、遊技者参加型演出の「ST突入チャレンジ演出」が展開され、この演出結果により、大当り種別が報知される。このST突入チャレンジ演出において、成功演出が現出された場合は確変大当り、失敗演出が現出された場合は時短大当りである旨が確定的に報知される。また、成功演出には「大成功演出」と「通常の成功演出」の2種類が用意されており、「大成功演出」が現出された場合は確変大当り2(ST75モード)に当選した旨が、「通常の成功演出」が現出された場合は確変大当り3(ST25モード)に当選した旨が報知される。他方、失敗演出には「大失敗演出」と「通常の失敗演出」の2種類が用意されており、「大失敗演出」が現出された場合は時短大当り2(時短B:時短50回)に当選した旨が、「通常の失敗演出」が現出された場合は時短大当り1(時短A:時短100回)に当選した旨が報知される。
確変大当り1〜3に当選した場合は、その大当り遊技後、対応するSTモードに移行され(図6のSTモードのブロック枠参照)、時短大当り1〜2に当選した場合は、その大当り遊技後、時短モードに移行される(図6の時短モードのブロック枠参照)。そして、STモード中および時短モード中は、上記したように「右打ち有利」となり、特図2側の図柄変動表示ゲーム2が実行される。特図2側で大当り当選した場合は、図4に示す通り、すべて確変大当りであるので、STモード中または時短モード中に大当り当選し続ける限り、STモードがループして、遊技者に大きな利益をもたらすようになっている。
STモード中に確変大当り4〜7のいずれかに当選した場合は、その大当り種別に応じた装飾図柄が停止表示される。たとえば、特図2側の最高利益大当り(全大当り中最高利益の大当り)の「確変大当り4(10R確変ST100)」に当選した場合には、通常モードでは表示されない特別な装飾図柄(たとえば、数字図柄ではなく、キャラクタを表示した図柄など)が停止して、当該大当り当選を祝福する。また、確変大当り4(10R確変ST100)よりも利益度合が低いが、確変大当り6(7R確変ST25)よりも利益度合が高い「確変大当り5(7R確変ST75)」に当選した場合には「奇数図柄揃い」が停止し、最も利益度合の低い「確変大当り6(7R確変ST25)」に当選した場合には「偶数図柄揃い」が停止するようになっている。なお、大当り遊技中は、大当り種別に応じた当り中演出が現出される。
(「確変大当り7(特殊7R確変)」に当選した場合について)
ただし「確変大当り7(特殊7R確変)」に当選した場合は、所定の確率で「奇数図柄揃い」または「偶数図柄揃い」が停止表示されるようになっている。偶数図柄揃いが停止することに当選した場合は、その後の大当り遊技中において上記確変大当り5(7R確変ST25)および/または確変大当り6(7R確変ST75)と少なくとも一部が共通する当り中演出を現出させ、その当り中演出の所定のタイミング、たとえば、特定のラウンド中演出やエンディング演出中に、確変大当り7当選に関する情報(たとえば、STモード(ST100モード)への突入確定)が報知(昇格報知)される。これにより、たとえ「偶数図柄揃い」が停止しても、高利益が期待できるST100モードへの突入可能性を残すようにし、当り中演出にて、STモード突入期待感を煽ることができるようになっている。
しかし、当り中演出にて、上記昇格報知を行わずに、演出上、確変大当り5(7R確変ST25)および/または確変大当り7(7R確変ST75)と共通(同一)の当り中演出を現出させて、確変大当り7(特殊7R確変)当選を秘匿し、大当り遊技後のSTモード中において、確変大当り7(特殊7R確変)当選を報知してもよい。
STモード(ST演出モード)中に上記昇格報知を行う場合は、ST序盤モードが終了するまで(ST回数25回が終了するまで)の期間中であればよいが、ST序盤モード終了ゲーム(ST中25回転目)中に報知することが好ましい。具体的には、第1ST回数(たとえば、確変大当り5当選によるST25回)または第2ST回数(たとえば、確変大当り7によるST100回)のうちいずれか少ない回数に達するまで(たとえば、ST中のゲーム数が25回に達するまで)、第1当り(たとえば、確変大当り5)であるか第2当り(たとえば、確変大当り7)であるかを直接的に示す表示を行わないように表示制御可能な構成である。しかしこのような報知タイミングに限らず、たとえば、上記昇格報知のタイミングを、ST序盤演出モードが終了した次ゲームの開始時またはST中盤モード中の所定のタイミングとしてもよい。また、ST序盤演出モード中で第1昇格報知を行い、ST中盤演出モードで第2昇格報知を行う「ステップアップ」的な昇格報知を行ってもよい。この場合の第1昇格報知はST75モード突入以上が確定的であることを報知する昇格報知であり、第2昇格報知はST100モード突入を確定的に報知する昇格報知である。このようにすれば、大当り遊技中〜STモード中の長期間にわたって、当選した大当り種別が、確変大当り5〜7のいずれかであるかの緊張感を持続させることができる。換言すれば、ST100モードへの移行期待感を持続させることができる。なお、当り中演出中に昇格報知するか、STモード中に昇格報知するかについては、大当り遊技開始時の当り中演出シナリオを決定する際のシナリオ抽選などにより決定することができる。
(天井モードへの移行)
また、通常モードにおいて、989ゲーム目まで大当りに当選しなかった場合、990ゲーム目から「前兆モード」に移行される(図7の前兆モードのブロック枠参照)。そして、前兆モード中にも大当りに当選できずに1000ゲーム目に到達した場合(天井到達)、「天井モード」に移行し、天井機能が発動する。本実施形態では、ハズレ時の場合に、天井特典の「有限時短」が付与され、1001ゲーム目以降は、天国モードに移行されることになる。
<9.前兆モード中の特定予告演出禁止機能について:図32>
ここで本実施形態では、前兆モード中に、特定予告演出禁止機能(特定予告演出禁止手段)が働く。詳しくは、前兆モードが天井間近の報知に係る遊技モードである点や、天井モードが天井特典付与に係る遊技モードである点に着目して、前兆モード(前兆演出モード)や天井モード(天井演出モード)では、特定の予告演出の現出を禁止する。本実施形態の場合、その禁止機能として、先読み予告の実行を禁止する「前兆中先読み予告禁止手段(特定先読み予告禁止手段)」を設けてある。以下、図32を用いて、「前兆中先読み予告禁止手段」について詳細に説明する。
図32は、前兆中先読み予告禁止手段により先読み予告が禁止される場合の説明に供する説明図である。図32では、前兆中先読み予告禁止手段による禁止対象として「保留変化予告」を扱った形態について説明するが、本発明はこれに限らず、当該禁止対象として「保留変化予告」および/または「変動中先読み予告」とすることができる。
(A.前兆中先読み予告禁止手段を設けない構成(通常のケース):図32(イ))
図32(イ)を参照して、「通常のケース」について説明する。この「通常のケース」とは、前兆中先読み予告禁止手段を設けない構成を示すものであり、後述の前兆中先読み予告禁止手段を設けた構成(同図(ハ−1)(ハ−2))との比較例として示したものである。なお、図示の保留アイコン770は「通常保留表示(白色保留)」であり、保留アイコン771は特別保留表示(通常の保留変化予告)のうちの「高期待度保留表示」であり、保留アイコン772は「天井用保留表示(天井用保留変化予告)」を示す。また、保留アイコン771は、ここでは、特別保留表示のうち、大当り当選時に現出されうる「虹色保留(当確保留表示)」を示してある。
また図(イ)は、説明の便宜上、997〜999ゲーム目の3個の作動保留球が現存する場合に、4個目の作動保留球として、1000ゲーム目(天井ゲーム)に係る作動保留球(以下、「天井ゲーム保留球」と称する)が発生したケースを代表的に示したものである。
図(イ)に示す比較例の場合は「前兆中先読み予告禁止手段」を設けていない構成のため、天井ゲーム到達前の特別保留表示(以下「通常の保留変化予告」と称する)の有無にかかわらず、1000ゲーム目の保留表示が天井用保留表示(天井用保留変化予告)の実行が許容されることになる。ここで、天井用保留表示を“許容する”とは、必ず現出される場合と、所定の抽選に当選した場合に現出される場合のいずれでもよい、という意である(後述の(ロ)(ハ−1)(ハ−2)についても同様)。したがって、この比較例の場合は、3個目の虹色保留(当確保留)の保留変化予告があっても、4個目の天井ゲーム保留球の保留表示が藤丸くんの保留アイコン772(天井用保留表示)に変更されうる。
しかし、天井到達前に大当りに当選した場合には天井機能が発動しないため(天井ゲーム数がリセットされる)、天井用保留表示を実行する必要性に乏しいといえる。また、当選期待度を予告する保留変化予告(特別保留表示)と、天井ゲームであることを予告する天井用保留変化予告(天井用保留表示)とが同時に表示されてしまうと、性格の異なる予告表示が同時に出現することになり、かえって遊技者を混乱させてしまう恐れもある。そこで本実施形態では、前兆中先読み予告禁止手段を設けて、これらの問題点を解決している。
(B.前兆中先読み予告禁止手段を設けた構成例:図32(ロ)、(ハ−1)、(ハ−2))
以下、上記「前兆中先読み予告禁止手段」を設けた構成例について説明する。これには、図(ロ)に示す「通常の先読み予告を優先実行するケース」と、図(ハ−1)(ハ−2)に示す「天井用先読み予告を優先実行するケース」の形態がある。
(通常の先読み予告を優先実行するケース:図32(ロ))
図32(ロ)は、「通常の先読み予告を優先実行するケース」、具体的には、「天井ゲーム到達前に当確保留が存在する場合、天井用先読み予告を禁止するケース(天井ゲーム保留球を対象とした先読み予告禁止するケース)」を示したものである。ここでは上記図(イ)のケースと同様に、3個目の作動保留球が「当確保留」である場合を示してある。
本例の場合、天井ゲーム到達前に当確保留が存在するときは、1000ゲーム目(天井ゲーム)の保留表示が天井用保留表示(天井用保留変化予告)に変更されずに「通常保留表示」が現出される。つまり、前兆中先読み予告禁止手段による「先読み禁止対象保留」を“天井ゲーム保留球”とする構成である。
先読み禁止対象保留を“天井ゲーム保留球”とする理由は、次の通りである。天井ゲーム前に当確保留が存在する場合は、天井機能が発動される前に(天井特典付与前)大当りに当選となってしまうため、天井用保留表示を現出する必要性に乏しい。また、当確保留が存在する場合に天井用保留表示を禁止する構成とした場合、1000ゲーム目の保留表示が通常保留表示のままであれば「天井ゲーム到達前に当確保留がある」という推測要素を与えることができ、これを知る遊技者は、天井到来まで無駄打ちを防止することができる、という演出的メリットもある。ただし、当確保留が存在する場合に天井用保留表示を一切禁止するのではなく、当確保留に係る保留変化予告(虹色保留)が現出されていない場合、つまり、当確保留を対象とした先読み予告抽選が「ハズレ」となった場合には、天井用保留表示を現出(許容)してもよい。当確保留に係る保留変化予告が現出されていない場合には、遊技者は天井ゲーム到達前に当確保留が存在することを知ることができないが、たとえ、天井用保留表示が現出されていたとしても、天井ゲーム到達前に大当りに当選した場合には、遊技者にとって特に不利益とはならならないからである。なお、当確保留に係る保留変化予告(虹色保留)が現出されている場合に天井用保留表示の現出を禁止するのではなく、高期待度保留変化予告以上(たとえば、緑色保留以上)の保留変化予告が現出されている場合に天井用保留表示の現出を禁止する構成としてもよい。
(天井用先読み予告を優先実行するケース:図32(ハ−1)(ハ−2))
次に、「天井用先読み予告を優先実行するケース」について説明する。
図32(ハ−1)は「天井用先読み予告を優先実行するケース」の例として、
(α)“前兆モード中において、通常の先読み予告の一部を禁止する一方、天井用保留変化予告(天井用保留表示)は許容する”という構成例と、
(β)“前兆モード中において、通常の先読み予告を全面的に禁止する一方、天井用保留変化予告(天井用保留表示)は許容する”という構成例とを示したものである。
この図(ハ−1)に示す構成例は、上記図(ロ)のように、先読み禁止対象保留を「天井ゲーム保留球」とするのではなく、先読み禁止対象保留を「前兆ゲーム中に消化される作動保留球」だけとし、天井ゲーム保留球を禁止対象から除外する構成例である。
上記(α)における「通常の先読み予告の一部を禁止する」とは、たとえば、通常の保留変化予告(特別保留表示)のうち、低期待度保留変化予告の現出は許容する一方、高期待度保留変化予告の現出は禁止する、という構成である。具体的には、下記の構成1、2などである。
(構成1)黄色保留以下の保留変化予告(青色保留と黄色保留)の現出は許容し、当該黄色保留よりも当選期待度が高い緑色以上の保留変化予告(緑色保留、赤色保留および虹色保留)の現出は禁止する構成。
(構成2)当確以外を示す保留変化予告(虹色保留以外の保留表示)の現出は許容し、当確を示す保留変化予告保留の現出は禁止する構成。
上記「構成1」は、当確保留の場合に緑色や赤色や虹色などの高期待度保留変化予告だけを禁止対象とするものである。他方、上記「構成2」は、高期待度保留変化予告のうち、当確保留表示の「虹色保留」だけを禁止対象とするものである。したがって、構成2の場合は、当確を示す「虹色保留」以外の保留変化予告の生起は許容される。
上記(β)における「先読み予告を全面的に禁止する」とは、通常の先読み予告(ここでは、保留変化予告)は一切禁止し、天井用保留変化予告(天井用保留表示)の現出は許容する、という構成である。したがって、上記(β)の構成の場合は、前兆モード中において通常の先読み予告は一切現出されず、天井用保留変化予告(天井用保留表示)の現出だけが許容されることになる。
図(ハ−1)(上記(α)または(β))のようにするのは次の理由による。通常の保留変化予告(特別保留表示)の現出を無闇に許容してしまうと、通常の保留変化予告と、天井用保留表示とが同時に表示されてしまい、保留表示に関して、遊技者(特に、遊技初心者)の混乱を招来してしまう。特に、高期待度保留変化予告と天井用保留変化予告とが混在してしまうと、遊技者の混乱度合が増してしまう。したがって、先読み予告自体を禁止するか、少なくとも高期待度保留変化予告を禁止することが好ましい。また、前兆モード中に先読み予告を一部または全部を禁止する場合には、遊技者は、天井ゲーム到達前に当確保留の存在または存在する可能性が高いことが分からないが、たとえ、そのようことを示す高期待度保留変化予告が現出されていないとしても、天井ゲーム到達前に大当りに当選した場合には、遊技者にとって特に不利益とはならならないからである。また、前兆モード中の先読み予告自体を全面的に禁止する場合は、演出制御負担の軽減にも繋がる。
図(ハ−2)は、上記図(ハ−1)とは異なり、前兆モード中の一部の期間を先読み禁止区間として定めることにより、天井用保留変化予告を優先実行する構成例である。図(ハ−2)は、代表例として、天井ゲーム前の最大保留球数分(996〜999ゲーム目の区間)を、先読み禁止区間に定めた例を示してある。本例の場合は、996〜999ゲーム目の区間は、先読み予告が一切禁止される。ただし、当該区間において先読み予告を一切禁止するのではなく、上記図(ハ−1)の(α)のように、「先読み予告の一部を禁止する」構成としてもよい。
なお、図32の(イ)、(ロ)、(ハ−1)および(ハ−2)のいずれも、上記「カウントダウン表示(残余天井回数表示演出)」などの特定報知演出により、天井ゲーム数までの残余ゲーム数を報知可能に構成することができる。ここで、カウントダウン表示自体は、当選期待度を予告するものではなく、単に、残り天井ゲームを報知するだけであり、先読み予告のような予告機能を果たすものではない。しかし、カウントダウン表示の演出態様を利用して当選期待度を予告する、つまり、当確保留の存在可能性を報知してもよい。たとえば、図(ハ−1)または(ハ−2)の天井用先読み予告を優先実行するケースにおいて、当確保留(3個目)よりも時系列的に先に発生した作動保留球(1〜2個目)が消化されるごとに、通常のカウントダウン表示(当確保留が存在しない場合の表示態様)とは異なる特別なカウントダウン表示(たとえば、表示色の違いや表示の大小の違い)を行い、当確保留の存在を示唆してもよい。たとえば、通常のカウントダウン表示が白色の数字画像を用いたものである場合、特別なカウントダウン表示は、その数字画像が白色以外の色(赤色)に変化する、或いは、数字画像が巨大化するなどである。
本実施形態は、先読み予告に関して、たとえば下記の構成を含むことができる。
始動条件が成立したことに基づいて(始動手段が遊技球を検出したことを契機に)、所定の遊技情報を取得する取得手段(図10のS301、S302、図11のS314)と、
上記取得手段により取得された遊技情報に基づき、当りに関する抽選を実行する抽選手段(図12のS410)と、
図柄の変動表示動作を行い、図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段(特別図柄表示装置38、図10のS309)と、
上記取得手段により取得された遊技情報を、上記図柄表示手段における遊技図柄の変動表示動作に供されるまで、あらかじめ定めた最大保留記憶個数を上限として保留記憶する保留記憶手段(RAM203の保留記憶エリア、図10のS311〜S314)と、
上記保留記憶に基づく上記遊技図柄の変動表示動作が実行される前に、少なくとも上記抽選手段による抽選結果を先読み判定する先読み判定手段(図11のS318)と、
上記先読み判定手段による先読み判定結果に関連する情報を報知する先読み予告を実行制御可能に構成された先読み予告演出制御手段(演出制御部24、図19のS1008)と、
所定の禁止条件に基づき、上記先読み予告の実行(表示)を禁止する先読み予告禁止制御手段(図32)と、
所定の付与条件に基づき、通常状態よりも有利な天井特典を付与する(天井特典を実行制御する)天井特典制御手段(図7、図12のS420、S421、S412、図13〜図15など)と、
上記天井特典が付与されること(たとえば、天井ゲームが間近であること、または現存する作動保留球数内で天井特典が付与されること、或いは、対象の作動保留球に係る図柄変動表示ゲームが実行された場合に天井特典が付与されることなど)を事前報知する天井前報知演出(たとえば、図32の天井保留変化予告(天井用保留表示))を実行制御する天井特典事前報知制御手段と、を備え、複数種類の遊技状態(遊技モード)を制御可能に構成することができる。上記先読み予告禁止手段は、特定の遊技モード中の全期間または一部の期間で上記先読み予告の実行を禁止する(図32(ロ)(ハ−1)(ハ−2))。特定の遊技モードは、たとえば、天井ゲーム到達前(天井モード移行前)の遊技モードであり、具体的には、天井ゲーム到達直前(天井モード移行直前の遊技モード)の前兆モードが該当する。また、上記天井特典制御手段は、具体的には、所定の開始条件が成立した後(たとえば、電サポ終了後または大当り遊技後或いは、低確率状態を伴う遊技状態に移行後など)、当り遊技が発生されずに(または大当りに当選することなく)、低確率状態を伴う遊戯状態で実行された図柄の変動回数(ゲーム数)が所定の上限回数(天井ゲーム数)に達した場合に通常遊技状態よりも遊技者に有利な天井特典(特典遊技状態)に制御する機能部として働く。
(潜確状態に係る遊技モード)
なお、潜確状態を設ける場合は、たとえば、図28に示すように、他の遊技状態に対応する変動パターン選択モード(Tcode)と遊技状態判定番号YJとは異なるデータ値を定めればよく、潜確状態に対応した遊技モードとして「潜確モード」、潜確モードに関連する演出モードとして「潜確演出モード」を設ければよい。また本実施形態に係るSTモードはすべて「確変状態」に対応する遊技モードであるとして説明したが、STモードの全部または一部を「潜確状態」に対応する遊技モードと扱うことができる。なお、潜確モード(潜確状態)下の変動状態は、上記「(7−5−1.天国モードに係る変動状態)中の“無限潜確または有限潜確付与時の場合”」で説明したのと同様に、通常モードと同一または略同一の変動状態か、少なくとも時短モードよりも遅い変動状態(平均消化時間が相対的に長い変動状態)とすることが好ましい。
<主制御部側の処理:図8〜図18>
次に図8〜図18を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、無限ループ状のメイン処理(主制御側メイン処理:図8)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図9)とを中心的に構成される。
<12.主制御側メイン処理:図8>
図8を参照して、主制御部20側のメイン処理(主制御側メイン処理)について説明する。図8は、主制御側メイン処理の詳細を示すフローチャートである。
主制御側メイン処理の開始契機には、停電状態や電源異常などからの復旧時におけるシステムリセットが生起した場合や、制御プログラムが暴走したことにより、ウォッチドッグタイマ(WDT)機能が発揮されてCPUが強制的にリセット(WDTリセット)された場合などがある。いずれの場合でも、主制御側メイン処理が開始されると、主制御部20(CPU201)は、まず、電源投入時処理の一環として、遊技動作開始に必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。
ステップS011の初期設定処理を終えると、次いで、設定値を変更可能な設定変更モード移行状態であるかを判定する(ステップS014)。本実施形態では、遊技機1への電源オフおよび扉開放(扉開放センサ61がON(開放検出))の状態において、設定キースイッチ94(設定変更モード側に操作)およびRAMクリアスイッチ98をON操作したまま(設定キースイッチ信号と、RAMクリア信号とが共にON)、遊技機1の電源を投入すると、設定変更モード移行条件を満たしたとして、設定値の変更操作が可能な設定変更許容状態(設定変更モード移行状態)に制御される。
設定変更モード移行状態の場合(ステップS014:YES)、設定値(1〜6段階)の変更操作を管理する設定変更処理を実行する(ステップS023)。この設定変更処理では、まず、領域内RAMの設定値格納領域に格納されている設定値Nc(設定値データ)が異常値(設定1〜6に対応する00H〜05H以外の値)であるか否かを判定する。正常な遊技動作であれば、設定値格納領域には、設定1〜6に対応して‘00H〜05H(正常値)’のいずれかの設定値データ(設定値Nc)が格納されている。しかし、何らかの不具合により設定値データが破損して、設定1〜6のいずれにも対応しない値が設定されている場合もありうる(設定異常エラー)。そこで、設定値Ncが正常値でない場合には、設定値格納領域をゼロクリアして、初期値の00H(ここでは、設定1)に戻すようになっている。
初期値に戻した場合か正常値である場合は、現在の設定値を設定表示器97に表示する。その後、設定変更スイッチ95のON/OFF操作を監視し、設定変更スイッチ95のON操作がある毎に、現在の設定値Ncを変更(更新)する。設定変更中(設定変更操作中)の設定値については、既に説明したように、設定変更スイッチ95を操作するごとに、設定1〜6の範囲で循環式に切り替わり、設定表示器97に設定変更中における現在の設定値が表示されるようになっている。そして、設定変更完了スイッチ96のON操作を確認した場合、設定値が確定されたとして、現在の設定値Nc(設定作業値)をRAM203の設定値格納領域に格納する。これにより、設定変更処理を抜ける。そして、処理状態を後述の領域内RAMクリア処理(ステップS031)に移行させる。
なお、設定変更スイッチ95を設けずに、RAMクリアスイッチ98を設定変更スイッチ95として機能させる構成としてもよい。RAMクリアスイッチ98を押下するごとに、設定1〜6のいずれかの設定値を選択可能に構成することができる。また、設定変更完了スイッチ96を設けずに、設定キースイッチ94を設定変更完了スイッチ96として機能させる構成としてもよい。この場合、設定キースイッチ94をOFFにすることにより、設定変更操作を終了させることができる。
一方、設定変更モード移行状態でない場合(ステップS014:NO)、RAMの内容をチェックして、その異常の有無を判定する(ステップS015)。具体的には、設定値格納領域における設定値データ(設定値Nc)が正常値であるか否か、バックアップ時のチェックサム値が正常値であるか否かなどをチェックする。RAMの内容に異常がある場合(ステップS015:YES)、後述のRAM異常時に係る電源再投入待ち処理(ステップS020)を実行する。
RAMの内容に異常がない、つまり正常である場合(ステップS015:NO)、次いで、バックアップフラグBFがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS016)。このバックアップフラグBFは、後述する電源異常チェック処理(図9のステップS081)の処理にて、正常にバックアップ処理が実行された場合に「5AH(正常値)」が領域内RAMのBFフラグ格納領域に設定される。したがって、正常時であれば、バックアップフラグBFが5AHのはずである。しかし何らかの不具合が生じてバックアップフラグBFが正常値(≠5AH)でない場合もありうる。そこで、バックアップフラグBFがON状態でない場合(ステップS016:NO)、電源再投入待ち処理を実行する(ステップS020)。
ステップS020の電源再投入待ち処理では、遊技処理の進行を強制的に停止させる遊技停止状態に制御する。具体的には、電源再投入コマンドを送信し、バックアップフラグBFをクリアした後、電断が発生するまで、WDTをクリアするWDTクリア処理と電源異常信号のON状態の確認(電断の確認)処理(電源異常チェック処理)を繰り返すようになっている。なお、RAMエラーが発生した場合には、電断が確認されるまでWDTクリア処理を実行し、無限ループ処理を繰返しているタイミングで、WDTリセットが生起しないようになっている。また、電源再投入コマンドを演出制御部24が受けると、RAMエラー報知(電源再投入指示演出)として、液晶表示装置36に「RAMエラー 電源を再投入して設定値を1に決定してください」等の演出画像を表示し、装飾ランプ45等の演出用LEDを全消灯し、スピーカ46を消音状態にする。
電源再投入待ち処理が実行されて遊技停止状態となった場合には、遊技機1の電源を再投入し、その再投入時に上記設定変更モード移行状態に設定されるように操作して、設定変更処理(ステップS023)が実行されない限り、現在発生中のRAMエラー状態が解消できないようになっている。本実施形態では、設定変更処理(ステップS023)が実行された後(設定異常エラーの場合には設定値格納領域がクリアされた後)、後述のステップS031の領域内RAMクリア処理が実行されることで、実質的にRAM203の全領域(ただし、性能表示に関するRAM領域(領域外RAM領域)は除く)がクリアされ、これにより、RAM203が初期状態に戻り、RAMエラーが解消されるようになっている。
バックアップフラグBFがON状態である場合(ステップS016:YES)、RAMクリアモード移行状態であるか否かを判定する(ステップS025)。本実施形態では、遊技機1への電源オフの状態において、設定キースイッチ94をOFF操作し(設定変更モード側に操作しない)、RAMクリアスイッチ98をON操作した状態で(設定キースイッチ信号OFF、RAMクリア信号ON)遊技機1への電源を投入すると、RAMクリア移行条件を満たしたとして、RAMクリアモード移行状態に制御される。
RAMクリアモード移行状態である場合(ステップS025:YES)、領域内RAMクリア処理を実行する(ステップS031)。この領域内RAMクリア処理では、RAM203の記憶領域のうち、少なくとも性能表示に係る領域外RAM領域と、領域内RAM領域のうち上記設定値格納領域とを除く記憶領域がクリアされる。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグBFの値やチェックサム値などは、本処理において、共にゼロクリアされる。またここでは、RAMクリア時に必要な各種のコマンド(たとえば、RAMクリアされた旨を示す「RAMクリアコマンド」、「客待ち中コマンド」など)を演出制御部24に送信する。演出制御部24がRAMクリアコマンドを受けると、RAMクリアを報知する初期化報知演出を実行し、初期状態の演出モードとして、演出モードを「通常演出モード」に設定する。すなわち、領域内RAMクリア処理が実行されると、遊技モードが初期モードの通常モードに設定され、演出モードも通常モードに関連する通常演出モード(たとえば、ノーマル(通常A演出モード)、シンプル(通常B演出モード)、プレミアムモード(通常C演出モード)のいずれか)に設定されることになる。
ステップS031の領域内RAMクリア処理を終えると、次いで、RAMクリア時の初期設定処理(電源投入時初期データ設定処理)を実行する(ステップS032)。電源投入時初期データ設定処理では、たとえば、RAMクリア信号(セキュリティ信号の一つ)の送信用タイマに30000msをセットし、特別図柄表示装置38a、38bに表示する特別図柄(特図1停止図柄、特図2停止図柄)データとして、ハズレ図柄データを設定する。そして、後述のCTCの設定処理(ステップS036)を実行する。
ステップS025の説明に戻り、RAMクリアモード移行状態でない場合(ステップS025:NO)、次いで、現在の設定値を確認可能な設定確認モード移行状態(設定確認許容状態)であるか否かを判定する(ステップS026)。本実施形態の場合、遊技機1への電源オフの状態において、設定キースイッチ94をON操作し、RAMクリアスイッチ98をOFF操作した状態で(設定キースイッチ信号ON、RAMクリア信号OFF)、遊技機1への電源を投入すると、設定確認モード移行条件を満たしたとして、設定確認モード移行状態に制御される(ステップS014〜S026参照)。
設定確認モード移行状態である場合(ステップS026:YES)、現在の設定値を確認可能な設定確認状態に制御するための設定確認処理(ステップS027)が実行され、設定確認処理を終えると、続いて、電断時にバックアップされたバックアップデータから遊技処理を復帰させるバックアップ復帰処理(ステップS028)を実行する。ステップS027の設定確認処理では、設定表示器97に、現在の設定値を表示(設定確認表示)させるための表示処理を行う。設定値の表示は、設定キースイッチがOFF操作されることで終了されるようになっている。そして、設定キースイッチ94がOFF操作された後は、上記バックアップ復帰処理を行い、後述のCTCの設定処理(ステップS036)を実行する。
一方、設定確認モード移行状態でない場合(ステップS026:NO)、つまり、単に遊技機1に電源を投入した場合は、上記バックアップ復帰処理(ステップS028)を行い、バックアップデータに基づき、バックアップ時の遊技処理を復帰させる。
上記した設定変更処理(ステップS023)、領域内RAMクリア処理(ステップS031)、設定確認処理(ステップS027)、およびバックアップ復帰処理(ステップS028)のいずれかの処理を実行した後は、CTCの設定処理を実行する(ステップS036)。ここでは、4ms毎に定期的にタイマ割込みを発生させるためのCTCの設定処理を実行する。これにより、以後、割込コントローラへの割込要求信号が定期的に出力され、図9に示す主制御側タイマ割込処理(4ms割込み処理)が実行される。
そして、遊技開始可能状態が整ったとして、発射装置32の発射動作を許可する発射制御信号(発射許可信号ES)をOFF状態(発射禁止状態)からON状態(発射許可状態)に設定し、遊技開始コマンドを演出制御部24に送信する(ステップS037)。これにより、発射装置32からの遊技球の発射動作が許容される。また、演出制御部24が上記遊技開始コマンドを受けると、可動体役物に関する初期動作(イニシャライズ動作)を実行する。ただしイニシャライズ動作中は、液晶表示装置36の画像表示態様、装飾ランプ45の発光態様、スピーカ46からの音出力については変化しない。ここでのイニシャライズ動作は、専ら、可動体役物に関する電源投入時の動作チェックである。
なお、上記ステップS028のバックアップ復帰処理の実行後、ステップS036のCTCの設定処理を実行する前段階(後述の第2実施形態の場合はステップS061の前段階)において、性能表示器99が正常に動作しているか否かの確認動作を実行するために必要な「動作確認設定処理」を実行可能に構成してもよい。この性能表示器99の確認動作では、たとえば、4個の7セグ表示器99a〜99dの表示態様を、所定時間(たとえば、5秒間)、全点灯と全消灯とを周期的に繰り返す「全点滅表示(動作確認表示)」態様に制御する(動作確認表示処理)。これにより、セグメント欠け等の不具合をチェックすることが可能になる。この場合、動作確認に関する表示処理は、後述の主制御側タイマ割込処理中の性能表示モニタ処理(ステップS102:領域外プログラム)で行う。性能表示器99によるベース値の表示は、ステップS036のCTCの設定処理後、主制御側タイマ割込処理中の性能表示モニタ処理(ステップS102)にて実行されるため、設定変更処理(ステップS023)や設定確認処理(ステップS027)中は、性能表示器99によるベース値の表示はこの段階では実行されない。この点を利用して、性能表示器99の4つのセグ99a〜99dのうち、少なくとも1つのセグを設定表示器97として利用可能に構成し、性能表示器99を一時的に設定表示器97として機能させる構成としてもよい。この場合、設定表示器97を性能表示器99で代用できるため、制御負担の軽減やコスト削減に寄与することができる。
上記一連の電源投入時処理を終えると、通常の遊技進行に係るステップS040〜S045の無限ループ処理を実行する。これにより、遊技の進行が可能な遊技開始可能状態下に制御される。ループ処理に入ると、まずCPUを割込み禁止状態に設定した状態で(ステップS040)、各種乱数更新処理を実行する(ステップS041)。この各種乱数更新処理では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種のソフトウェア乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している乱数)を更新する。たとえば、図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数、補助当りの図柄抽選に利用される普通図柄判定用乱数)の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数など)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数などを更新する。
上記各種乱数更新処理(ステップS041)を終えると、次いで、領域外プログラムの性能表示モニタ集計除算処理を実行する(ステップS043)。この性能表示モニタ集計除算処理では、性能表示器99に表示するベース値の算出に必要な処理を実行する。
上記ステップS043の性能表示モニタ集計除算処理を終えると、割込み許可状態に設定して(ステップS045)、ステップS040の処理に戻り、以後、ステップS040〜S045の処理を繰り返し実行する(メインループ処理)。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理と性能表示モニタ集計除算処理とを繰り返し実行するようになっている。
<13.主制御側タイマ割込処理:図9>
次に図9を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図9は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図9において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容を保存することなく、直ちに電源異常チェック処理を実行する(ステップS081)。この電源異常チェック処理では、不図示の電源基板から供給されている電源レベルを監視し、電断などの電源異常が生じた場合には、バックアップフラグBFの設定(BF←5AH)、チェックサム値を算出するチェックサム演算(ここでは、領域内RAMを対象とする8ビット加算演算処理)、その演算結果の記憶などを含むバックアップ処理を行う。電源異常チェック処理は、電源遮断後もRAMの所定領域のデータを保持するバックアップ手段として働く。
次いで、タイマ管理処理を実行する(ステップS082)。遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(時間)のタイマ値はここで更新される。
次いで、入力管理処理を実行する(ステップS083)。入力管理処理では、遊技機1に設けられた各種のセンサやスイッチ類の入力情報(検出情報)に基づき、各種カウンタ(たとえば、各入賞口別に設けられた入賞球カウント用の入賞カウンタ)を更新する(入力データ作成処理)。またここでは、払出制御基板29からの状態信号の入力情報に基づき、入力データの作成も行う。状態信号が異常を示すものある場合は、後述のエラー管理処理(ステップS089)にて、状態異常に応じた所定のエラー処理を行う。またここでは、特定の入賞口に係る入力情報が不正なものであるか否かの監視(不正入賞監視処理)も行う。たとえば、大当り遊技中でないにもかかわらず、大入賞口50への入賞を検出した場合や、補助当り遊技中でないにもかかわらず、下始動口35への入賞を検出した場合には、その入賞を不正入賞であるとして、所定のエラー処理を行う(入賞無効処理)。
次いで、設定異常チェック処理を実行する(ステップS084)。設定異常チェック処理では、設定値データが正常値(設定1〜6を示す値)であるかを判定し、正常範囲内の値でない場合には、設定値データに異常が発生したとして、設定エラーフラグをON状態(5AH)に設定する。そして、設定値異常コマンドを演出制御部24に送信して、設定異常チェック処理を抜ける。演出制御部24が設定値異常コマンドを受けると、演出手段を利用して、設定異常エラー報知(RAMエラー報知)を実行する。なお、再度、この設定異常チェック処理が実行される際に、設定エラーフラグがON状態であれば、何もせずに、そのまま本処理を抜ける。
次いで、タイマ割込内乱数管理処理を実行する(ステップS085)。タイマ割込内乱数管理処理では、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新する。具体的には、乱数カウンタのカウント値をランダムなものとするために、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数などに対し、乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値の変更処理を行う。なお、内部抽選用乱数(大当り判定用乱数)は、上記乱数生成回路で生成されるので、ここでは更新されない。
次いで、エラー管理処理を実行する(ステップS089)。このエラー管理処理では、各種のスイッチやセンサ類に係る検出情報や、払出制御基板29からの状態信号などに基づき、遊技動作にエラー(異常)が生じたか否かを監視し、エラーが生じた場合には、そのエラー種別を特定可能なエラーコマンドを演出制御部24に送信し、エラー種別に応じたエラー処理を実行する。またエラーが解除された場合には、エラー解除コマンドを演出制御部24に対して送信して、エラー解除処理を実行する。
次いで、賞球管理処理を実行する(ステップS090)。この賞球管理処理では、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞がある場合には、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板29に送信する。払出制御基板29は、払出制御コマンドを受信した場合、これに含まれる賞球数情報に基づき、遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数の払い出し動作を実行させる。
次いで、普通図柄管理処理を実行する(ステップS091)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲーム(普通図柄の変動表示動作)に必要な処理を実行する。ここでは、普通図柄始動口センサ37aに遊技球が検出されたか否かを監視し、遊技球が検出された場合には補助当り抽選に必要な所定の遊技情報(補助当り判定用乱数など)を取得し(普図乱数取得処理)、その遊技情報を保留データ(普図作動保留球)として、最大保留記憶数(ここでは、4個)まで保留記憶する(普図保留記憶処理)。そして、所定の開始条件が成立した場合、普図作動保留球に基づく補助当り抽選を行い、その補助当り抽選結果に基づく普通図柄の変動パターンの選択および普通図柄の停止表示態様(普通停止図柄)を決定する。またここでは、普通図柄を変動表示動作させるために、変動中であれば変動表示用のLED表示用データを作成し、変動中でなければ、停止表示用のLED表示用データを作成する(普通図柄表示データ更新処理)。
次いで、普通電動役物管理処理を実行する(ステップS092)。この普通電動役物管理処理では、上記補助当り抽選の抽選結果に基づき、普電開放遊技の実行に必要な処理を実行する。具体的には、普通電動役物ソレノイド41cに対するソレノイド制御用データの生成および設定処理を行う。ここで設定されたデータに基づき、後述のステップS100のソレノイド管理処理にて、ソレノイド制御用データに基づく励磁信号が普通電動役物ソレノイド41cに対して出力され、可動翼片47の動作パターンが制御される。
次いで、特別図柄管理処理を実行する(ステップS093)。この特別図柄管理処理では、特別図柄変動表示ゲームに必要な処理を実行する。この特別図柄管理処理では、主に、特図作動保留球に関する保留記憶、先読み判定、先読み判定結果に基づく先読み変動パターンの決定、大当り抽選、大当り抽選に基づく変動開始時の変動パターンの決定、特別停止図柄の決定、特別図柄の変動表示動作の制御、遊技状態の移行設定などに関する処理を行う。なお、特別図柄管理処理の詳細は図10にて後述する。
次いで、特別電動役物管理処理を実行する(ステップS095)。この特別電動役物管理処理では、当り遊技(大当り遊技、小当り遊技)に必要な処理を実行する。特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果に基づく当り遊技の実行制御、大当り遊技後の移行先遊技状態の設定などに関する処理を行う。なお、特別電動役物管理処理の詳細は図17にて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を実行する(ステップS097)。この右打ち報知情報管理処理では、「右打ち有利」な遊技状態(当り遊技中、電サポ有り状態中(時短状態または確変状態))下である場合に、右打ち表示装置39bを点灯させるためのLEDデータを作成し、「左打ち有利」な遊技状態下(通常状態)である場合には、右打ち表示装置39bを消灯させるためのLEDデータを作成する。
次いで、LED管理処理を実行する(ステップS098)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39a、特別図柄表示装置38a、38b、右打ち表示装置39bなどの各種LED表示装置に対する制御信号(ダイナミック点灯データ)の出力制御を実行する。上記普通図柄管理処理(ステップS091)、特別図柄管理処理(ステップS093)、右打ち報知情報管理処理(ステップS097)などで作成されたLED表示用データに基づく制御信号は、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を実行する(ステップS099)。この外部端子管理処理では、各種の外端信号を作成し、枠用外部端子基板21を通して、外部装置に対して出力制御を実行する。
次いで、ソレノイド管理処理を実行する(ステップS100)。このソレノイド管理処理では、普通電動役物管理処理(ステップS092)や特別電動役物管理処理(ステップS094)で設定されたソレノイド制御データに基づき、普通電動役物ソレノイド41cや大入賞口ソレノイド52cに対して励磁信号の出力制御を実行する。これにより、可動翼片47や開放扉52bを駆動制御し、下始動口35や大入賞口50の開閉動作を実現する。
次いで、全レジスタを退避して(ステップS101)、領域外プログラムに属する性能表示モニタ処理を実行し(ステップS102)、その後、全レジスタを復帰する(S103)。性能表示モニタ処理では、性能表示器99に表示するベース値の算出や表示制御に関しての必要な処理を実行する。またここでは、型式試験信号の作成、出力処理も行う。
次いで、WDTのカウント値をクリアする(ステップS104)。これにより、割込みごとにWDTがリセットされ、カウント値が初期値に戻される。
以上のステップS081〜ステップS104の処理を終えると、タイマ割込処理を終了して、次のタイマ割込みが発生するまで、主制御側メイン処理を実行する。
<19.特別図柄管理処理:図10>
次に、図9中の特別図柄管理処理(ステップS093)について説明する。図10は、特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図10において、CPU201は、まず特図1側(上始動口34側)に関する「特図1始動口チェック処理」を行い(ステップS301)、続いて、特図2側(下始動口35側)に関する「特図2始動口チェック処理」を実行する(ステップS302)。この特図1始動口チェック処理と特図2始動口チェック処理の詳細は図11にて後述する。
ステップS301〜S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。なお、本実施形態では小当りを設けていないが、以下では、当り種別に「小当り」が含まれるものとして説明する。
上記小当り中フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない。つまり、当り遊技中は、特別図柄の停止表示態様が、小当り図柄または大当り図柄で確定表示されたまま保持される。
一方、ステップS304において、上記条件装置作動フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じた処理を行う。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、上記特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じてステップS306〜S308のいずれかの処理を実行する。具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を実行する。ここで上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。これらの処理により、特別図柄の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする表示動作)が実現されることになる。なお、本発明と関連の深い、特別図柄変動開始処理(ステップS306)と、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)とについての詳細は、それぞれ図12、図16A〜図16Bにて後述する。
上記ステップS306〜S308のいずれかの処理を終えると、後述のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図9のLED管理処理(ステップS098)でLEDデータとなって出力され、特別図柄表示装置38a、38bにおける特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。特別図柄表示データ更新処理を終えると、特別図柄管理処理を抜けて、図9のステップS095の特別電動役物管理処理を実行する。
<11.特図1始動口チェック処理:図11>
図11を参照して、特図1始動口チェック処理(図10のステップS301)について説明する。図11は、特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。
この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、主に、上始動口34に遊技球が入賞したときの保留記憶に関する処理や、先読み判定に関する処理を中心に構成される。なお、特図1始動口チェック処理と特図2始動口チェック処理とは、その処理内容が、特図1側に関するものであるか、それとも特図2側に関するものであるかの違いだけで、実質的には、同じ処理内容である。したがって、ここでは、重複記載を避けるために、特図1始動口チェック処理に着目して説明する。
図11において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34(特図1側始動口)の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特図1作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特図1作動保留球数が最大保留記憶数(ここでは、4個)未満であるか否かを判定する。なお、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
特図1作動保留球数が4以上である場合、つまり、最大保留記憶数を超えるオーバー入賞が発生した場合(ステップS312:YES)、オーバー入賞を指定するオーバー入賞コマンド(特図1の場合はB006H、特図2の場合はB106H)を演出制御部24に送信する(ステップS324)。一方、特図1作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS314)。具体的には、各種の乱数カウンタから大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値を領域内RAMの保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。なお、上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア(特別図柄1に対応する特図1保留記憶エリア(第1の保留記憶エリア)と、特別図柄2に対応する特図2保留記憶エリア(第2の保留記憶エリア))とが設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている。
次いで、上記「保留加算コマンド」の下位バイト側(EVENT)に相当するコマンドデータ(入賞コマンド1)に、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を取得し(ステップS315)、続いて、「先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。この「先読み禁止条件」とは、特図1始動口チェック処理中の場合は特図1作動保留球側を対象とした先読み判定を禁止(先読み予告を禁止)する条件(特図1先読み禁止条件)であり、特図2始動口チェック処理中(不図示)の場合は、特図2作動保留球側を対象とした先読み判定を禁止(先読み予告を禁止)する条件(特図2先読み禁止条件)である。本実施形態では、特図1作動保留球よりも特図2作動保留球が高確率で発生しうる「電サポ有り状態を伴う遊技状態(時短状態や確変状態)」であれば‘特図1先読み禁止中’とし、逆に、特図2作動保留球よりも特図1作動保留球が高確率で発生しうる「電サポ無し状態を伴う遊技状態(通常状態や潜確状態)」であれば‘特図2先読み禁止中’としている。したがって、ステップS316の判定処理では、現在の遊技状態が、時短状態または確変状態である場合、特図1先読み禁止条件成立中として、その判定結果が‘YES’となる。また、先読み禁止条件として、特定の遊技モード中(たとえば、前兆モード中)の場合を先読み禁止とすることもできる。
ここで本実施形態では、変動パターン選択モード(Tcode)種別により、現在の遊技モードを特定可能であるため(図28のTcodeの欄参照)、遊技モードを判定する場合は、変動パターン選択モード(Tcode)の値を判定すればよいが、変動パターン選択モード(Tcode)とは別途に、各遊技モード自体を識別可能な識別子(たとえば、遊技モード判定番号YM)を設けて、これにより、現在の遊技モードを判定してもよい。たとえば、一般モードに属する遊技モードに「一般モードA」と「一般モードB」とを設けた場合、これらは変動パターン選択モード(Tcode)が同一であるが、遊技モードとしては別の遊技モードとして管理したいケースである。いずれにしても、現在の遊技状態(内部遊技状態または遊技モード)に基づく何らかの処理を行う場合(遊技状態に関する情報が必要となる遊技処理を行う場合)、現在の内部遊技状態、現在の変動パターン選択モード、または現在の遊技モードを識別可能な識別子(遊技状態判定番号YJ、変動パターン振分指定番号Tcode、前述の遊技モード判定番号YMなど)の1または複数の識別子を適宜用い、遊技動作を処理可能な構成とすればよい。本実施形態では、変動パターン選択モード(Tcode)の値により、遊技モードが特定可能であるものとして説明する。
特図1先読み禁止条件が成立している場合(ステップS316:YES)、先読み判定に関する処理(ステップS317〜S321)をスキップし、後述のステップS322の処理に進む。この場合、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を持つ保留加算コマンドが作成されることになる(後述のステップS322参照)。これにより、今回の作動保留球の先読み予告の実行が禁止状態に制御される(今回の作動保留球を対象とする先読み予告が実行されない)。
特図1先読み禁止条件が成立していない場合(ステップS316:NO)、次いで、設定エラーフラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS317)。設定エラーフラグがON状態である場合(ステップS317:=5AH)、すなわちRAMエラー(設定異常エラー)が生じている場合、先読み判定に関する処理(ステップS317〜S321)をスキップし、後述のステップS322の処理に進む。この場合も今回の作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を持つ保留加算コマンドが作成されて、これにより先読み予告は実行されない。換言すれば、上記先読み禁止データ(9FH)は、先読み判定に関する処理(ステップS318〜S321)が未実行であることを指定するデータともいえる。
設定エラーフラグがON状態でない場合(ステップS317:≠5AH)、「設定値コマンド」を送信した後、乱数判定処理を実行する(ステップS318)。この乱数判定処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球が変動表示動作に供される際に実行される「変動開始時の当落抽選(後述の図12のステップS410)」を事前に判定する‘先読み当落判定’を行う。
(設定値コマンド)
上記「設定値コマンド」は、現在の設定値を特定可能な情報が含まれ演出制御部24側にて、当該設定値に基づく予告演出(後述の設定示唆演出)を現出制御する際に利用される。この設定値コマンドは、始動口チェック処理にて、作動保留球が発生するごとに送信されるようになっている。これにより、演出制御部24側では、正しい設定値情報に基づき、作動保留球に係る予告演出(たとえば、先読み予告演出に関連する設定示唆演出)を現出制御可能となっている。
ステップS318の乱数判定処理では、まず「当り乱数判定テーブル(図示せず)」を取得し、大当り判定用乱数値を取得する。そして、取得した大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(先読み当落判定)を実行し、その抽選結果(先読み当落結果)を取得する。
上記当り乱数判定テーブルには、特図1作動保留球(特別図柄変動表示ゲーム1)と特図2作動保留球(特別図柄変動表示ゲーム2)のそれぞれに対応した当り乱数判定テーブル(特図1用当り乱数判定テーブル、特図2用当り乱数判定テーブル)が設けられている。特図1始動口チェック処理中においては「特図1用当り乱数判定テーブル」が、特図2始動口チェック処理中においては「特図2用当り乱数判定テーブル」が参照される。この当り乱数判定テーブルは、後述の「特別電動役物作動判定用乱数判定処理(図12のステップS410)」において、当落抽選を行う際にも利用される。
これらの当り乱数判定テーブルには、大当り抽選確率状態(高確率と低確率)別に、当落種別(大当りか、小当りか、ハズレかの別)を決定するための判定領域(判定値)と、大当り判定用乱数値(大当り判定用乱数の大きさ:65536)とが関連付けて定められている。具体的には、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、当落種別が決定されるようになっている。
本実施形態の場合、上記当り乱数判定テーブルには、設定値(設定1〜6)ごとに対応したテーブル(設定1〜6に応じて、少なくとも大当りの抽選確率がそれぞれ異なるテーブル)が設けられている。また本実施形態の場合、低確率時の大当り抽選確率に対する高確率時の大当り抽選確率の割合は(確率上昇割合:高確率/低確率)、各設定値において同一であり、その割合は10を超えない値に設定されている。たとえば、設定6「低確率時1/189、高確率時1/63」、設定5「低確率時1/198、高確率時1/66」、・・・、設定2「低確率時1/231、高確率時1/77」、設定1「低確率時1/240、高確率1/80」で、大当りに当選するようになっている。なお、確率上昇割合は、各設定値で異なっていてもよい。
上記したステップS318の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を実行する(ステップS319)。この特別停止図柄データ作成処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球が変動表示動作に供される際に実行される「変動開始時の図柄抽選(後述の図12のステップS411)」を事前に判定する‘先読み図柄判定’を行う。
上記特別停止図柄データ作成処理では、ステップS318で得られた先読み当落結果と、今回の処理対象の特別図柄種別(特図1、特図2の別)とに応じた「図柄テーブル(図示せず)」を選択する。そして、ステップS314で得られた特別図柄判定用乱数値を取得して、選択した図柄テーブルと、取得した特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選(先読み図柄判定)を実行し、その抽選結果(先読み図柄結果)を取得する。
上記「図柄テーブル」には、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別を決定するための「大当り図柄テーブル」、「小当り図柄テーブル」、「ハズレ図柄テーブル」が含まれ、各図柄テーブルが特別図柄種別に対応して設けられている。これらの図柄テーブルは、後述の特別停止図柄作成処理(図12のステップS411)において、変動開始時の図柄抽選を行う際にも利用される。
図柄テーブルには、当選種別(図柄種別)を決定するための判定領域(判定値)と、特別図柄判定用乱数値(たとえば、特別図柄判定用乱数値の大きさ:200)とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、所定の図柄抽選率に従い当選種別が決定可能に構成されている。図柄テーブルが参照されると、抽選結果を示すデータとして、後述の「特別図柄判定データ」および「特別停止図柄番号」が取得される。
本実施形態では、図4の図柄抽選率に従いいずれかの大当りが決定されるようになっている。また、図示していないが、特図1側のハズレ種別には「ハズレA」と「ハズレB」の複数種類のハズレが設けられており、その図柄抽選率は、ハズレAは95%、ハズレBは5%となっている。なお、ハズレBが選択された場合は、Nリーチ以外のリーチ(たとえば、SPリーチ以上のリーチ)が高確率で選択されるようになっている(図26参照)。また、特図2側のハズレ種別は「ハズレA」の1種類である。なお、ハズレの種類は特に制限されず、1または複数種類設けることができる。また、その図柄抽選確率も適宜定めることができる。
上記「特別図柄判定データ」とは、当選種別(当選の種類:大当り種別、小当り種別、およびハズレ種別(後述の時短付与当り種別を設けた場合にはこれを含む))を識別するデータであり、具体的には、当り種別(確変大当り1〜7、時短大当り1〜2)と図示しないハズレ種別(ハズレA、ハズレB)のいずれに当選したのかを識別するためのデータである。この特別図柄判定データは、当選種別情報が必要とされる処理(たとえば、後述の図12のステップS412の遊技状態移行準備処理、ステップS413の特別図柄変動パターン作成処理、大当り遊技の実行制御に関する処理(図17の特別電動役物管理処理)などにおいて利用される。また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄態様を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の停止図柄種を特定する際に利用される。普通図柄についても特別図柄と同じように、普通図柄判定データや普通停止図柄番号が設けられている。
なお、全設定で共通の図柄テーブルを定めてもよいが、設定に応じた図柄テーブルを定めてもよい。たとえば、下記(A)(B)のように構成することができる。
(A)各設定値の一部または全部において、1または複数の当選種別の図柄選択率が異なる。たとえば、確変大当り1の図柄抽選率を、設定値が高いほど相対的に高確率となるように定めることができる。
(B)各設定値の全部または一部において、確変突入率(少なくとも高確率状態を伴う大当り(確変大当りおよび/または潜確大当り)の合算図柄抽選率)が異なる。たとえば、特図1側の確変突入率が50%(図4の確変大当り1〜3の図柄抽選確率参照)であるが、たとえば、設定1〜6の確変突入率を、たとえば「40%、42%、44%、46%、48%、50%」という具合に、という具合に、設定値が高いほど相対的に高確率(確変に突入し易い)となるように定めることができる。また、時短突入率(時短大当りの合算図柄選択率)についても同様である。
いずれにしても、設定が高くなるに従い、出玉性能(機械割)が遊技者にとって有利となるように定めればよい。
上記したステップS319の特別停止図柄データ作成処理を終えると、次いで、始動口入賞時乱数判定処理を実行する(ステップS320)。この始動口入賞時乱数判定処理も‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球が変動表示動作に供される際の「変動開始時の変動パターン」を事前に判定する‘先読み変動パターン判定’を行う。具体的には、後述の図12に示す「特別図柄変動パターン作成処理(ステップS413)」の結果を先読み判定する。
詳しくは、上記特別停止図柄データ作成処理(ステップS319)で得られた先読み図柄判定の結果(少なくとも乱数判定処理(ステップS318)で得られた当落抽選結果)と、ステップS314で取得した変動パターン用乱数(乱数値の大きさ:10000)とを利用し、今回の作動保留球に係る「変動開始時の変動パターン」を先読み判定する。なお、先読みパターン判定は、変動開始時の変動パターンを事前に判定するものであるため、変動開始時に利用される変動パターン振分テーブルと基本的構成を同じにする別途設けた「先読み判定テーブル」を参照して行う。ただし本実施形態の場合は、プログラム容量の軽減を図るべく、図24〜図27に示す変動パターン振分テーブルが「入賞時(先読み判定時)・変動開始時兼用」として設けられており、入賞時および変動開始時の双方において、当該変動パターン振分テーブルを参照し、ステップS314の処理で取得された変動パターン用乱数値に基づき、変動開始時の変動パターンを先読み判定する。
変動開始時の変動パターンに関する先読み判定について、図24の「当り変動パターン振分テーブル」を用いて説明する。図24に示す「確」の表記は確変大当り、「時」の表記は時短大当りを意味し、「確1、2、3、4、5、6、7」の表記は確変大当り1〜7、「時1、2」は時短大当り1、2を意味する。図24を参照して、たとえば、今回の先読み図柄結果が「確変大当り1(確1)」であり、現在の遊技状態(変動パターン選択モードTcodeが「一般モード(00H)」であり、変動パターン用乱数が「通常変動直撃当り」の判定値(判定領域0〜49)に属する値である場合は、図示のEVENT1「21H」が取得される(“通常変動直撃当り”のEVENT1の欄を参照)。なお、図示のアラビア数字は判定値(判定領域の大きさ)を示し(図25〜図27も同様)、たとえば、変動パターン用乱数が判定値0〜49に属する場合は「通常変動直撃当り」が選択され(選択率:50/10000)、判定値50〜129に属する場合は「通常中NリーチB」が選択され(選択率:80/10000)、判定値130〜209に属する場合は「通常中SPリーチA」が選択され(選択率:80/10000)、・・・、判定値9850〜9999に属する場合は「特殊リーチ」が選択される(選択率:150/10000)ようになっている。
上記「EVENT1」は、保留加算コマンドの作成に利用されるデータ(入賞コマンドデータ1)であり、保留加算コマンドの2バイト目(下位バイト)のデータである。これにより、ステップS315で取得された先読み禁止データ「9FH」が、本処理にて、先読み変動パターンの内容を特定するデータ値に更新され、先読み変動パターンが指定される。なお、保留加算コマンドの1バイト目(上位バイト)のデータ(作動保留球数に関するデータ)は、後述のステップS322において取得される。
なお、先読み変動パターン判定では、先読み判定時の作動保留球数は考慮されない。その理由は、次の通りである。変動開始時の変動パターンの判定段階では作動保留球数を考慮して変動パターン決定されるようになっている(たとえば、図26〜図27の作動保留球数の欄参照)。しかし、先読み判定時においては、先読み判定時の作動保留球数が変動開始時の作動保留数と必ずしも一致しないため、正確な変動開始時の変動パターン(詳細パターン)を判定することができない。したがって、先読み変動パターン判定では、先読み判定時の作動保留球数は考慮せずに、変動開始時の変動パターンの骨子となる変動パターン種別(基本パターン)について判定する。たとえば、図26に示す「ハズレ変動パターン振分テーブル」の通常変動4s〜通常変動12s、通常中NリーチAの欄を参照すれば、変動開始時には、通常変動4s〜通常変動12sのいずれの通常変動であるか、または通常中NリーチAを特定するために、それぞれ異なるデータ(COM2(変動パターン指定コマンドデータ)の欄参照)が取得されるが、先読み判定時では作動保留球数によらず、通常変動4s〜通常変動12sと通常中NリーチAとが共通のデータ(EVEN1「01H」)が取得される。
ステップS320の始動口入賞時乱数判定処理を終えると、次いで、現在の作動保留球数および特別図柄種別に基づき、上位バイト側の入賞コマンドデータ2(MODE)を取得する。ここでは、特図1作動保留球1個〜4個に応じて「B6H〜B9H」、特図2作動保留球1個〜4個に応じて「BBH〜BEH」が取得される。
そして、取得した入賞コマンドデータ2(MODE:作動保留球数(今回発生した作動保留球を含む現存の作動保留球数)および特別図柄種別情報)と、下位バイト側の上記入賞コマンドデータ1(EVENT:先読み変動パターン情報)とに基づいて、「保留加算コマンド」を作成し(ステップS322)、これをRAM203に格納することなく(以後、保留加算コマンドに関するデータは不必要のため)、演出制御部24に送信する(ステップS323)。なお、本実施形態では、先読み変動パターン情報と、先読み判定時の作動保留球数(作動保留球数および特別図柄種別情報)とを1つのコマンド(保留加算コマンド)で送信する構成となっているが、本発明はこれに限られない。先読み変動パターン情報と、作動保留球数および特別図柄種別情報と、別々のコマンドで送信してもよい。具体的には、先読み変動パターン情報を特定可能な第1コマンド(入賞時コマンド)と、作動保留球数および特別図柄種別情報を特定可能な第2コマンド(保留加算コマンド)とを送信する構成としてもよい。この場合、演出制御部24は第1コマンドと第2コマンドとを受信した場合に先読み予告に関する演出処理(後述の先読み予告抽選など)を実行可能な構成とすればよい。
なお、先読み禁止中である場合や設定値データに異常が発生した場合は、先読み禁止データ「9FH」がそのまま維持されるため、「先読み禁止データ」を持つ保留加算コマンドが演出制御部24に送信されることになる(ステップS315→S322またはS316→S322の処理ルート参照)。
上記保留加算コマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、その保留加算コマンドに含まれる情報が、「先読み禁止指定以外」であれば、先読み予告の実行可否に関する抽選(先読み予告抽選)を行い、これに当選した場合には、先読み予告の演出シナリオを作成し、そのシナリオに基づいて、今回の作動保留球を対象とする先読み予告を現出制御する。一方、「先読み禁止指定」であれば、先読み予告抽選を実行せずに、或いは、先読み予告抽選を実行するがその抽選結果を強制的にハズレとして処理し、先読み予告の発生を禁止する。この実施形態では、先読み禁止中の場合か、または設定異常エラーが生じている場合のいずれも、先読み禁止指定の保留加算コマンドを送信する構成となっているが、その理由は下記の通りである。
本実施形態の場合、設定異常エラーが生じても遊技動作を強制的に停止制御することはしない。その理由は第1に、設定異常エラーの解消は、既に説明したように、設定変更操作を行うことにより解消されるが、営業中の設定変更操作は、法的要請の観点から射幸心煽る事項として禁止事項に該当する可能性が高い。第2に、設定異常エラーが生じた際、直ちに遊技動作処理を強制的に停止させてしまうと、突然の遊技停止に、遊技者が不信感を抱いてしまう。たとえば、仕掛り中の図柄変動表示ゲームが正常動作時に実行されたものである場合や、大当り遊技中の場合などに、偶々、設定異常エラーが発生して、直ちに遊技ができない状態に制御してしまうと、遊技者が本来得られるべき利益が消失してしまい、遊技者の不信感を招く。このような事情を考慮し、設定異常エラーが発生した場合はエラー報知を行うに止めて、遊技進行自体は条件付きであるが、そのまま進行させる。「条件付きであるが」と表現したのは、設定異常エラーが発生した場合には、先読み予告を禁止したり、図柄変動表示ゲームの結果を強制的にハズレとするからである(図11のステップS317(=5AH)、後述の図12のステップS409(=5AH)の処理ルート参照)。
以上により、特図1始動口チェック処理を抜けて、続いて、特図2始動口チェック処理(ステップS302)を実行する。
<21.特別図柄変動開始処理:図12>
次に、図10中の特別図柄変動開始処理(ステップS306)について説明する。図12は、特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図12において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、特図2作動保留球数対象とした変動開始時の処理(ステップS403〜S416)を実行する。一方、特図2作動保留球数がゼロの場合には(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS402)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS402:NO)は、特図1作動保留球数を対象とした変動開始時の処理(ステップS403〜S416)を実行する。このステップS401とS402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。本実施形態では、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球を優先的に消化させる。
なお、特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、かつ保留記憶無しの状態となった場合である。そこで「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスが上記「作動保留球なし」の状態を示す「待機中(00H)」であるか否かを判定する(ステップS417)。
上記「作動保留球なし」の状態となったときの特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」であった場合には(ステップS417:NO)(後述の図16Aの特別図柄確認時間中処理中のステップS472参照)、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替える(ステップS418)。そして、演出制御コマンドとして、客待ち中コマンド(BA04H)を演出制御部24に送信して(ステップS419)、特別図柄変動開始処理を抜ける。
演出制御部24が上記客待ち中コマンドを受信した場合、所定の実行条件に基づき、遊技機1に係る遊技の説明やその紹介(デモンストレーション)のためのデモムービーが流れる「客待ち演出(デモ表示)」を現出させる。具体的には、客待ち中コマンドを受信した後、遊技が開始されずに、つまり作動保留球が発生せずに(保留加算コマンドを受信することなく)、所定時間(たとえば、180秒)が経過した場合、客待ち演出を現出させる。客待ち演出開始までの待機時間(180秒)が経過するまでは、今回の図柄変動表示ゲームの終了後に停止した装飾停止図柄の表示状態が引き続き表示され、装飾ランプ45は所定の発光パターンで発光し、スピーカ43は、消音状態(所定の音演出を実行していてもよい)とする「デモ開始待ち演出」が現出され、客待ち演出開始までこの状態が維持される。
また、演出制御部24は、客待ち演出(デモ表示)の開始後、所定の移行条件(節電モード移行条件)を満たした場合に、客待ち演出を終了して「節電モード」に移行させる。この実施形態の場合、客待ち演出(デモ表示)の開始後、作動保留球が発生せず、かつメニュー画面(遊技設定画面)に切り替わることなく、所定時間(たとえば、120秒)が経過した場合、演出モードを節電モードに移行させ、液晶表示装置36に節電用画面(たとえば、液晶画面に「節電中です」の文字表示)を表示させ、装飾ランプ45やその他の演出用LEDの一部またはすべてを消灯させるように制御する(節電制御)。
特図1作動保留球数または特図2作動保留球数がゼロでない場合(ステップS401:NOまたはS402:NO)、ステップS403〜S416を順次実行していく。なお、以下に説明するステップS403〜S416の処理の仕方については、特図1作動保留球を対象とするか、特図2作動保留球を対象とするかの違いだけで、その内容は実質的には同じである。したがって重複記載を避けるため、特に必要が無い限り、どちらの作動保留球を対象とした処理であるかを区別せずに説明していく。
ステップS403に進むと、今回の変動表示動作に供する特図側の作動保留球数を1減算し(ステップS403)、減算後の作動保留球数情報を含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、特図1が変動開始側であるならば「00H」を、特図2が変動開始側であるならば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406〜S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データを読み出し、領域内RAMの判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリアに格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアして空き領域を設ける(ステップS407)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能となっている。
次いで、遊技状態情報送信処理を実行する(ステップS408)。遊技状態情報送信処理では、「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する。ここでの遊技状態指定コマンドには、ゲーム開始時の遊技状態を特定可能な遊技状態情報が含まれる。演出制御部24は、遊技状態指定コマンドを受信すると、これに含まれる情報に基づき、遊技状態を把握し、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で演出モードを管理する。遊技状態指定コマンドに含ませる遊技状態情報は、目的の遊技処理を行う際に最低限必要な情報であればよく、たとえば、「内部遊技状態(遊技状態判定番号YJ)」および/または「変動パターン振分指定番号Tcode」を含む情報とすることができる。また、遊技状態指定コマンドとして、遊技状態判定番号YJを特定可能な「内部遊技情報コマンド」および/または変動パターン選択モード(Tcode)を特定可能な「振分モード指定コマンド」を送信可能な構成とすることができる。
またここでは、必要に応じて、特別図柄時短回数カウンタに関する情報(時短回数情報)を含む「時短回数コマンド」と、特別図柄確変回数カウンタに関する情報(ST回数情報)を含む「ST回数コマンド」が送信される。演出制御部24は、これらのコマンドに含まれる情報に基づいて、残り時短回数や残りST回数を把握し、その残り時短回数または残りST回数を演出的に報知する「残余回数表示演出(たとえば、カウントダウン表示)」を現出制御可能に構成されている。具体的には、残余回数表示演出として、時短モード中であれば「残余時短回数表示演出」を現出させ、STモード中であれば「残余ST回数表示演出」を現出させる。なお、本処理で送信される時短回数コマンドとST回数コマンドは、今回のゲーム分が減算されていないカウンタ値が送信されるため(カウンタ減算処理は、ゲーム終了時に係る図16A〜図16Bの特別図柄確認時間中処理中(S479、S484)で行う)、演出制御部24が、把握したカウンタ値にデクリメント処理を適宜に施し、残余回数表示演出を現出可能な構成となっている(後述の天井回数コマンドについても同様)。ただしこの実施形態の場合、時短回数コマンドは特別図柄時短回数カウンタがゼロ以外(当該時短回数カウンタ≠0)の場合に送信され、また、ST回数コマンドも同様に、特別図柄確変回数カウンタがゼロ以外(当該確変回数カウンタ値≠0)の場合に送信される。勿論、カウンタ値がゼロであっても、ゼロである情報を含む時短回数コマンドやST回数コマンドを送信する構成としてもよい。
なお、遊技状態に応じて、時短回数コマンドだけを送るのか、ST回数コマンドだけを送るのか、それとも双方のコマンドを送るのかを定めることができる。ただし、無限系の天井特典が付与される場合、具体的には、時短回数の制限が無い「無限時短」や、ST回数の制限が無い「無限確変」ないし「無限潜確」、或いは、実質的に制限がない回数(65536回など)が設定されて時短回数やST回数が「無限回数」とみなせる無限時短、無限確変、または無限潜確が付与される場合(後述の時短付与当りによる時短状態(特典)が無限回数の場合を含む)、その特典中に係る遊技状態(本実施形態では、天国モード)においては、制御負担軽減のために、時短回数コマンドやST回数コマンドは送信しない構成としてもよい。また、大当り当選により付与される時短状態または確変状態が、次回大当りまで継続するものである場合も同様に、時短回数コマンド、ST回数コマンドを送信しない構成としてもよい。
また、上記「残余回数表示演出」は、時短モード、STモード、天国モードのいずれの遊技モードにおいても現出可能に構成することができる。なお、無限系に係る残余回数表示演出は、残り回数が無限であること報知する演出態様が好ましい。たとえば、画像表示演出であれば、「残り∞回」や「次回大当りまで継続」などである。
(残余天井回数表示演出について)
また、ステップS408の遊技状態情報送信処理では、残り天井ゲーム数情報(後述の天井カウンタに関する情報)を含む「天井回数コマンド」も送信される。演出制御部24は、天井回数コマンドに含まれる情報に基づいて、天井到達までの残りゲーム数を把握し、上記「残余天井回数表示演出」を現出制御する。本実施形態の場合、この残余天井回数表示演出は、前兆モード(前兆演出モード)中にカウントダウン表示という形で現出される。
上記「残余天井回数表示演出」は、天井ゲームの監視対象(カウント対象)期間の全部または一部の期間において現出可能である。本実施形態であれば、「一般モード中」および/または「前兆モード中」で現出可能である。また、通常モードで残余天井回数表示演出を現出させる場合、一般モードと前兆モードとで、異なる演出態様とすることができる。たとえば、一般モード中は、液晶画面の隅部に小さな表示領域に残り天井回数を報知し(カウントダウン表示を小さく表示)、前兆モード中は、液晶画面の中央部の広い表示領域に残り天井回数を報知(カウントダウン表示を大きく表示)することができる。
(設定値が正常時の処理ルート:S420を辿る処理ルート)
次いで、設定エラーフラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS409)。設定エラーフラグがON状態でない場合(ステップS409:≠5AH)、上記「設定値コマンド」を演出制御部24に送信し、次いで、図13に示す天井機能管理処理を実行する(ステップS420)。
<13.天井機能管理処理:図13>
上記天井機能管理処理(ステップS420)について説明する。図13は、天井機能管理処理(ステップS420)の詳細を示すフローチャートである。この天井機能管理処理は、主に、天井ゲーム数までの残りゲーム数を管理する処理となっている。
図13において、CPU201は、まず、「天井カウンタ」がゼロか否かを判定する(ステップS901)。この天井カウンタは、残り天井ゲーム数を管理(監視)するためのカウンタであり、本実施形態の場合、天井特典付与に関するデータの設定契機となるゲーム数を管理するためのカウンタとして利用される(後述のステップS903〜S904(天井フラグをON)、図12中の遊技状態移行準備処理(ステップS412)の詳細を示す図15のステップS915参照)。
上記「天井カウンタ」は、特定事象の実行回数または成立回数或いは発生回数などをカウントするカウント手段として機能し、天井発動契機(天井特典付与契機)の到来を監視する機能部として働く。ここでいう「特定事象」とは、図柄変動表示ゲームの実行(当り変動またはハズレ変動)、大当りまたは小当り或いはハズレの当選、特定の遊技状態への移行(特定の遊技モードへの移行または特定の変動パターン選択モードへの移行、或いは特定の内部遊技状態への移行)、大当り遊技または小当りの実行などの他、遊技に関する特定条件の成立などの特定の事象である。本実施形態では、天井カウンタの値を監視して、天井機能発動契機の到来を判定するようになっている。斯様なカウント手段は、たとえば、後述の「特典付与形態の変形例1、変形例2(図33、図34、付与形態(α)〜(μ))、その他の付与形態(付与形態(ν)(ξ))」などにおいて、天井発動契機或いは所定の特典付与契機の到来を監視するための機能部として利用される。
天井カウンタがゼロである場合(ステップS901:YES)、何もせずにそのまま天井機能管理処理を抜ける。上記天井カウンタに初期値がセットされるのは、上記した図8に示す主制御側メイン処理中の領域内RAMクリア(ステップS031)によりRAMクリアされた場合や、他の遊技モードから通常モードに移行する場合、つまり内部遊技状態が通常状態に移行する場合(後述の図16BのステップS481、S486参照)などである。
一方、天井カウンタがゼロでない場合(ステップS901:NO)、天井カウンタを1減算し(ステップS902)、その減算結果がゼロでなければ(ステップS903:NO)、そのまま天井機能管理処理を抜け、ゼロであれば(ステップS903:YES)、天井フラグをON状態(5AH)にセットする(ステップS904)。この天井フラグは、天井カウンタがゼロになったか否かを指定するためのフラグであり、後述のステップS412の遊技状態移行準備処理で利用される(図15のステップS915参照)。以上により、天井機能管理処理抜ける。
再び図12の説明に戻り、ステップS420の天井機能管理処理を終えると、次いで、特別電動役物作動判定用乱数判定処理を実行する(ステップS410)。この特別電動役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした「変動開始時の当落抽選」を実行する。本処理の基本的な処理手順は、既に説明した図11のステップS318の乱数判定処理と同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
この特別電動役物作動判定用乱数判定処理では、まず特別図柄作動確認データに基づき、今回の処理対象側の当り乱数判定テーブル(たとえば特図1側が処理対象であれば、特図1用の当り乱数テーブル)を取得する。次いで、上記判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得し、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づく当落抽選を実行する。そして、その抽選結果が「大当り」当選であれば大当り判定フラグを「5AH」に設定し、「小当り」当選であれば小当り判定フラグを「5AH」に設定し、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかった場合、つまり‘ハズレ’の場合には、大当り判定フラグと小当り判定フラグの双方に「00H」を設定する。
次いで、図14に示す天井発動管理処理を実行する(ステップS421)。
<14.天井発動管理処理:図14>
図14は、図12中の天井発動管理処理(ステップS421)の詳細を示すフローチャートである。この天井発動管理処理では、天井特典付与に係る必要な設定処理を行う。
図14において、CPU201は、まず、大当り判定フラグがON状態であるか否か、つまり、今回のゲーム結果が「大当り」であるか否かを判定する(ステップS920)。
大当り判定フラグがON状態でない場合(ステップS911:≠5AH)、次いで、天井発動フラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS921)。この「天井発動フラグ」とは、天井機能を発動させるか否か(天井特典を付与するか否か)を指定するためのフラグであり、当該フラグがON状態の場合には天井特典の付与する旨を指定し、当該フラグがOFF状態の場合には天井特典を付与しない旨を指定する。天井発動フラグは、後述のステップS412の遊技状態移行準備処理にて、天井カウンタがゼロになった場合にON状態に設定されるフラグである(遊技状態移行準備処理の詳細を示す図15のステップS915〜S916参照)。この天井発動フラグがONにである場合は、今回のゲームにおいて天井発動契機が到来したと判定され(ステップS921:=5AH)、天井特典を付与するために必要な処理(ステップS922〜S925)が実行される。一方、天井発動フラグがON状態でない場合には(ステップS921:≠5AH)、天井発動契機が到来していないとして、何もせずに天井発動管理処理を抜ける。
上記天井発動フラグがON状態である場合には(ステップS921:=5AH)、天井特典付与(天井発動)に必要な処理を実行する。ここではまず、後述の遊技状態移行準備処理(ステップS412)で設定された各状態バッファの値を、対応する状態フラグおよびカウンタに設定する(ステップS922:状態フラグ設定処理)。これにより、指定された天井特典状態に制御される。本実施形態の場合は、有限時短(時短回数100回の時短状態)が指定され、変動パターン選択モード(Tcode)が、前兆モードの「01H」から天井モードの「06H」に更新されるようになっている。そして、天井特典付与時の終了処理として、各々の状態バッファをクリアし(ステップS923:天井発動時の各種設定処理)、次いで、天井フラグと天井発動フラグをOFF状態(00H)に設定する(ステップS924〜S925)。次いで、遊技状態情報送信処理(ステップS926)を実行し、天井発動管理処理を抜ける。ここでの遊技状態情報送信処理では、有限時短(時短状態)情報を含む遊技状態指定コマンドを演出制御部24に送信する。これにより、今回のゲーム(1000ゲーム目)の開始とともに有限時短状態に制御され、後述の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS413)において天井モードに基づく特別図柄の変動パターンが選択され、天井演出モード下における演出が現出されることになる。
ステップS911の説明に戻り、大当り判定フラグがON状態の場合(ステップS911:=5AH)、何もせずに天井発動管理処理を抜ける。したがって、大当りに当選した場合は、天井ゲームであっても「天井発動禁止状態」に制御され、大当りに当選した場合の処理が優先的に実行される。したがって、天井特典が付与されるには、1000ゲーム間ハマったことが条件とされる。このように本実施形態では、ハマリゲーム数(ハズレの連続回数)の監視対象遊技区間を通常モード(通常状態)の1000ゲーム間とし、このゲーム間ハマった場合に天井特典を付与するようになっている。
(天井特典の発生タイミングの変形例1)
なお、大当りに当選した場合、天井機能を禁止状態に制御せずに、天井特典を付与してもよい。ただしこの場合は、今回のゲームに限り(1ゲーム限り)の天井特典となる。今回のゲーム終了後、大当り遊技が開始されるからである。しかし、1ゲーム限りの天井特典であっても、電サポ有り状態を伴う時短状態や確変状態が付与される場合には、今回の図柄変動表示ゲームが終了するまでの間は電サポの恩恵を受けることができる。具体的には、下始動口35への入賞が容易になり、特図2側の作動保留球が発生し易くなる、という利点がある。天井特典として、電サポ有り状態を伴う遊技状態を付与する場合には、今回のゲームにおいて、少なくとも図7に示す「右打ち指示画像779」を現出させ、遊技者に右打ちを促すことが好ましい。
(天井特典の発生タイミングの変形例2)
本実施形態では、ゲーム開始を契機に天井特典を付与する構成について説明したが本発明はこれに限らず、ゲーム終了を契機に天井特典を付与する構成であってもよい。すなわち、天井ゲーム終了時を天井発動契機とする構成である。この変形例の場合、図柄変動表示ゲームの終了後、直ちに天井特典が付与されることになる。たとえば、天井特典が有限時短である場合、1000ゲームの終了直後から時短状態中とすることができる。また、天井特典が「強制当り」である場合は、1000ゲーム終了後、強制当りによる大当り遊技(強制当り遊技)が開始されることになる。なお、ゲーム終了時を天井発動契機とする場合、天井発動管理処理(ステップS421)を、たとえば、図柄変動表示ゲーム終了時の処理に係る、後述の特別図柄確認時間中処理(図16B)中のステップS495の処理の後で実行すればよい。
(天井特典の発生タイミングの変形例3)
また本実施形態では、1000ゲーム目に天井特典を付与するものと説明したが本発明はこれに限らず、第1の付与条件が成立後、第2の付与条件が成立したことに基づき、天井特典を付与してもよい。たとえば、1000ゲームハマった場合(第1の付与条件が成立)、天井特典付与権利を成立させ、所定の前兆ゲーム数の消化後に天井特典を付与する(天井特典の付与を一旦保留し、複数ゲーム先に予定する)。この場合、複数種類の前兆ゲーム数を設け(たとえば、1〜16ゲーム)、抽選(前兆ゲーム数抽選)により前兆ゲーム数を決定することができる。抽選で前兆ゲーム数を決定する場合、全設定(設定1〜6)で、各前兆ゲーム数の抽選確率を同じにしてもよいが、設定値に応じた抽選確率を定めることが好ましい。たとえば、設定値が高いほど相対的に少ないゲーム数が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多いゲーム数が選択され易いという様に、各前兆ゲーム数の抽選確率を設定値に応じて定めれば、ゲーム数の違いによる設定推測要素を遊技者に与えることができる。また、特定の前兆ゲーム数(たとえば、7ゲーム)が選択された場合は、高設定確定や設定6確定などのように、設定値に応じた抽選確率を定めることができる。
(天井特典の発生タイミングの変形例4)
上記の変形例3では、所定の前兆ゲーム数が消化されるまで天井特典付与権利を一旦保留状態とする例、つまり、その権利保留期間がゲームの実行回数に依存する例について説明した。しかし、権利保留期間がゲームの実行回数に依存するものではなく、時間経過に依存するものであってもよい。たとえば、天井ゲームの開始時から所定時間経過した場合、天井特典を付与するという「時限式」の天井付与形態である。具体的には、天井ゲームに係る図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミングで天井特典を付与する。この場合、天井ゲームの開始時から天井特典開始までのインターバル時間を利用して、有限時短が間も無く発生する旨を事前報知する演出、たとえば図7に示す「右打ち指示画像779」を現出させて、左打ち中の遊技者に対して遊技者に右打ちを促すようにし、無駄打ちをさせないようにすることができる。
再び図12の説明に戻り、ステップS421の天井発動管理処理を終えると、特別停止図柄作成処理を実行する(ステップS411)。この特別停止図柄作成処理では、ステップS410の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値とを利用し、「変動開始時の図柄抽選」を実行する。本処理の基本的な処理手順は、既に説明した図11に示す特別停止図柄データ作成処理(ステップS319)と同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データ(特図種別)と、上記ステップS410の当落抽選結果とに応じた図柄テーブル(大当り図柄テーブル、小当り図柄テーブル、ハズレ図柄テーブルのいずれか)を選択する。たとえば、特別図柄作動確認データが00H、大当り判定フラグが5AHである場合、すなわち、今回の変動開始側が‘特図1側’であり、当落抽選結果が‘大当り’である場合には、「特図1用大当り図柄テーブル」が選択される。そして、上記判定用乱数記憶エリアに格納された特別図柄判定用乱数値を取得し、選択した図柄テーブルと特別図柄判定用乱数値とに基づく図柄抽選を実行し、その抽選結果である特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号を、領域内RAMの対応領域にそれぞれ格納する。
ステップS411の特別停止図柄作成処理を終えると、次いで、遊技状態移行準備処理を実行する(ステップS412)。
<15.遊技状態移行準備処理:図15>
上記遊技状態移行準備処理(ステップS412)について説明する。図15は、遊技状態移行準備処理の詳細を示すフローチャートである。
この遊技状態移行準備処理では、大当りに当選した場合に、その大当り遊技後の移行先遊技状態(図4参照)を指定するためのデータを所定のバッファ(状態バッファ)に格納するための処理と(ステップS911〜S914)、ハズレであって、天井フラグがON状態の場合に、天井特典を指定するためのデータを所定のバッファに格納するための処理(ステップS915、S916、S917)とに分かれている。先ず、前者の「大当りに当選した場合」の処理内容について説明する。
(大当りに当選した場合)
大当り判定フラグがON状態の場合(ステップS911:=5AH)、図22に示す「遊技状態移行テーブル選択テーブル」を取得する(ステップS912)。次いで、取得した大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、現在の遊技状態(当選時の遊技状態(本実施形態では、遊技状態判定番号YJ))と当り種別(特別図柄判定データ)とに応じた遊技状態移行テーブル(JTTBL−1〜5のいずれか)を取得し(ステップS913)、その取得した遊技状態移行テーブルに定められたデータを各種の状態バッファに格納する(ステップS914:状態バッファ設定処理)。この遊技状態移行テーブルは、目的の遊技状態に移行させるための各種データが定められている。本実施形態に係る遊技状態移行テーブルには、JTTBL−1〜5が設けられており、詳しくは、図22に示すように、JTTBL−1は「時短A」、JTTBL−2は「時短B」、JTTBL−3は「確変A」、JTTBL−4は「確変B」、JTTBL−5は「確変C」に移行させるための各種データが定められている。
上記状態バッファに格納された値は、後述の図18に示す大当り終了処理((図17のステップS509、その詳細を示す図18のステップS592参照)で読み出され、RAM203の所定の記憶領域(各々の状態バッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。これにより、大当り遊技後の遊技状態(図4の移行先遊技状態)が指定される。
なお、上記各種の状態バッファの役割は、下記の通りである。
(α)「普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特別図柄確変移行状態バッファ」
内部遊技状態を指定するための各機能のON(作動中)/OFF(非作動中)の指定データが設定される。具体的には、開放延長機能の作動状態を指定する普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短機能の作動状態を指定する普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変機能の作動状態を指定する普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短機能の作動状態を指定する特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変機能の作動状態を指定する特別図柄確変状態フラグ用のデータが設定される。
(β)「特別図柄時短回数カウンタバッファ」
時短回数(電サポ回数)を指定するためのデータ(特別図柄時短回数カウンタ用のデータ)が設定される(図16A〜図16BのステップS478〜S481参照)。
(γ)「特別図柄確変回数カウンタバッファ」
ST回数を指定するためのデータ(特別図柄確変回数カウンタ用のデータ)が設定される(図16BのステップS483〜S486参照)。
(δ)「特別図柄変動回数カウンタ1〜3バッファ」
特定の変動パターン選択モード(Tcode)の継続回数を指定するためのデータ(特別図柄変動回数カウンタ用のデータ)が設定される。
(ε)「変動パターン振分指定番号1〜3バッファ」
所定の更新条件が成立した場合に、更新先となる変動パターン選択モード(Tcode)を指定するデータ(変動パターン振分指定番号Tcode用のデータ)が設定される。
たとえば、現在の遊技状態が「通常状態(YJ=00H)」であり、「確変大当り2(5R確変ST75)」に当選した場合は、図21に示す遊技状態移行テーブル選択テーブルに基づき、「JTTBL−4」、つまり、確変B用の遊技状態移行テーブル(図22参照)が取得される。このケースでは、普電役物開放延長移行状態バッファ〜特別図柄確変移行状態バッファにそれぞれ「5AH(ON指定)」が設定され、特別図柄時短回数カウンタバッファに「100回(電サポ回数100回)」が設定され、特別図柄確変回数カウンタバッファに「75回」が設定される。これにより、大当り遊技後の移行先遊技状態が「ST回数75回+時短回数25回」(確変状態75回転終了後、時短状態25回転に移行)が指定されることになる。また遊技モード移行指定データとして、変動パターン振分指定番号1バッファには「02H(ST序盤指定)」が設定され、特別図柄変動回数カウンタ1バッファには「25回(ST序盤モード継続回数)」が設定され、また変動パターン振分指定番号2バッファには「02H(ST中盤指定)」が設定され、特別図柄変動回数カウンタ2バッファには「50回(ST中盤モード継続回数)」が設定される。これにより、「ST序盤モード25回⇒ST中盤モード50回⇒時短モード」という遊技モード移行形態が指定されることになる。
(S.ST回数・時短回数の変形例:設定値に応じてST回数または時短回数が異なるケース)
なお本実施形態では、同じ大当りが当選した場合に、設定値よらず同じ遊技状態移行テーブルが選択されるものとして説明した。つまり、現在の設定が1〜6のいずれであっても、たとえば、確変大当り1に当選した場合には、JTTBL−3により指定される確変状態(確変A(ST100モード))に移行される。しかし本発明はこれに限らず、同じ大当りが当選した場合であっても、設定値に応じて、ST回数の異なる確変状態に移行させたり、時短回数の異なる時短状態に移行させてもよい。この場合、少なくとも上記特別図柄確変回数カウンタおよび/または特別図柄時短回数カウンタに係るデータ値が、設定値に応じて異なる遊技状態移行テーブルを選択可能に構成すればよい。
また上記では同じ大当りが当選したケースについて説明したが、異なる大当り同士に着目して次に述べる構成とすることもできる。たとえば、設定値に応じて、特定のST回数の有無または特定の時短回数の有無を定めてもよい。具体的には、第1設定値の場合には特定のST回数を付与する特定大当りが存在し、第2設定値の場合にはその特定大当りが存在しないという構成とすることができる。すなわち、第1設定値の場合には大当り抽選対象に「特定大当り」が含まれるが、第2設定値の場合には大当り抽選対象に「特定大当り」が含まれない、という構成である。
以上のような構成とすることにより、特定の確変大当り(潜確大当りであってもよい)や特定の時短大当りに当選した場合、下記(SA)、(SB)に述べるような遊技性を作り出すことができる。
(SA)たとえば、特定の確変大当りに当選した場合、各設定値(設定1〜6)でそれぞれ異なるST回数を設定してもよいし(それぞれST回数の異なる確変状態に移行される)、少なくとも1の設定値において異なるST回数を設定してもよい(少なくとも1の設定値が、他の設定値とは異なるST回数の確変状態に移行される)。代表例として、前者の例であれば、同じ確変大当りに当選した場合に、たとえば「設定1〜6のST回数を100回〜105回」(ST回数に応じていずれかの設定値が判明するケース)とすることができる。後者の例であれば、同じ確変大当りに当選した場合に、たとえば「設定1〜5はST回数100回、設定6は101回」(ST回数101回消化で設定6確定のケース)や、「設定1〜4はST回数100回、設定5、6は101回」(ST回数101回消化で高設定確定のケース)、「少なくとも第1設定値はST回数100回、第2設定値は105回」などとすることができる。
また、異なる確変大当り着目したケースであれば、たとえば「大当り抽選対象となる当り種別のうち、第1当りに当選した場合は第1ST回数(たとえば、ST100回)とし、第2当りに当選した場合は第1ST回数とは異なる第2ST回数(たとえば、105回)とし、第1設定値の場合には、少なくとも第2当りは含まれない」構成とすることができる。
これらの構成の場合、或る確変大当りに当選した場合に、設定値に応じてST回数が異なるため、ST回数に応じた設定示唆を行うことが可能になる。具体的には、特定のST回数であった場合、設定1〜6のいずれかが判明したり、特定の設定値領域(低設定領域、高設定領域、設定1否定、設定6確定など)であることが判明する。換言すれば、設定示唆演出が持つ機能(設定示唆)を「ST回数」を利用して作り出す、といった斬新性のある遊技性を創出することができる。
(SB)また、特定の時短大当りに当選した場合も上述の(SA)と同事象のように、各設定値(設定1〜6)でそれぞれ異なる時短回数を設定してもよいし、少なくとも1の設定値において異なる時短回数を設定してもよい。また、異なる時短大当り着目したケースであれば、たとえば「大当り抽選対象となる当り種別のうち、第1当りに当選した場合は第1時短回数(たとえば、時短100回)とし、第2当りに当選した場合は第1時短回数とは異なる第2時短回数(たとえば、105回)とし、第1設定値の場合には、少なくとも第2当りは含まれない」構成とすることができる。これらの場合も上述した(SA)の構成と同様に、特定の時短回数であった場合に、設定1〜6のいずれかである、或いは特定の設定値領域(低設定領域、高設定領域、設定1否定、設定6確定など)など、時短回数に応じた設定示唆を行うことが可能になり、設定示唆演出が持つ機能(設定示唆)を「時短回数」を利用して作り出す、といった斬新性のある遊技性を創出することができる。なお、時短回数「100回以上(無限時短を含んでもよい)」の時短大当りを複数設けることができる。
なお、本例の特定の大当りには、1または複数の大当りを設けることができる。また、特定の大当りとしては、図柄抽選率が最も低い大当り(たとえば、確変大当り1)または最も有利度(利益状態)が低い大当りとすることが好ましい。その理由は、次に述べる通りである。
図柄抽選率が最も低い大当りは、中々当選することができない「レアな大当り」としての位置付けである。そのため、当該大当りに当選した場合には、特典として“設定示唆”という有利情報を遊技者に提供することが好ましい。また、最も有利度(利益状態)が低い大当りは、苦労して大当りに当選させても利益が低く、遊技者にとり残念な大当りとなってしまい、遊技者の遊技意欲を減退させる恐れがある。そこで、当該大当りに当選した場合には、“設定示唆”という有利情報を遊技者に提供して、遊技者の遊技意欲の減退を防止することが好ましい。
上記(SA)の構成は、たとえば下記(SA−1)の構成とすることができる。
(SA−1)
始動手段が遊技球を検出したことを契機に、複数種類の当りを対象に抽選を実行する抽選手段と、
図柄の変動表示を行い、当該図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段と、
上記抽選手段による抽選結果が当りである場合、当り遊技を実行制御する当り遊技実行制御手段と、
上記当り遊技が終了した後、図柄の変動回数が所定の上限回数に達するまでの間、上記当りとなる抽選確率が所定の通常確率よりも高確率となる高確率状態(具体的には、高確率状態伴う遊技状態:確変状態または潜確状態)に制御可能な確率変動制御手段を備え、
複数段階に変更可能な設定値に応じて上記当り抽選の結果が所定結果となる確率が異なる遊技機であって、
複数段階に変更可能な設定値には、第1設定値と第2設定値とが少なくとも含まれ、
上記確率変動制御手段は、
上記設定値が上記第1設定値である場合、抽選手段により第1当りが当選した場合には第1上限回数に達するまでの間、上記高確率状態に制御し、
上記設定値が上記第2設定値である場合、上記抽選手段により上記第1当りが当選した場合には上記第1上限回数とは異なる第2上限回数に達するまでの間、上記高確率状態に制御するように構成することができる。
また、上記(SA−1)を下記(SA−2)のように構成してもよい。
(SA−2)
上記確率変動制御手段は、
上記抽選手段により上記第1当りが当選した場合には上記第1上限回数に達するまでの間、上記高確率状態に制御し、
上記抽選手段により上記第2当りが当選した場合には上記第1上限回数とは異なる第2上限回数に達するまでの間、上記高確率状態に制御し、
上記設定値が第1設定値の場合には、上記抽選手段による抽選結果の中に少なくとも第2当りは含まれない、という構成とすることができる。
なお、上記(SB)の構成とする場合には、確率変動制御手段の替りに「始動手段への入球状態が通常遊技状態(通常状態)よりも有利な入球有利状態(電サポ状態)を伴う有利遊技状態(時短状態)に制御する有利遊技状態制御手段」を設ける。そして、
上記有利遊技状態制御手段は、
上記設定値が上記第1設定値である場合、上記抽選手段により上記第1当りが当選した場合には第1上限回数に達するまでの間、上記有利遊技状態に制御し、
上記設定値が上記第2設定値である場合、上記抽選手段により上記第1当りが当選した場合には上記第1上限回数とは異なる第2上限回数に達するまでの間、上記有利遊技状態に制御する、という構成にすればよい。
(大当り非当選(ハズレ)であって、天井フラグがON状態の場合)
再び図15の説明に戻る。大当り判定フラグがON状態(5AH)でなく(ステップS911:≠5AH)、天井フラグがON状態の場合(ステップS915:=5AH)、天井発動開始前処理(天井特典を付与するための前処理)の一環として、天井発動フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS916)。本処理で、ON状態に設定された天井発動フラグは、次ゲームにおける上記天井発動管理処理(ステップS421)で確認される。
次いで、図23に示す「天井用遊技状態移行テーブル」を取得する(ステップS917)。図23では、各種天井特典に対応する天井用遊技状態移行テーブルとして、JTTBL−6〜JTTBL11(有限時短〜無限潜確)を例示してある。実際には、天井特典種に応じて、必要な天井用遊技状態移行テーブルを設ければよい。
次いで、取得した天井用遊技状態移行テーブルに定められたデータを上記した状態バッファに格納する(ステップS914:状態バッファ設定処理)。これら状態バッファに格納された値は、上記天井発動管理処理(ステップS421、図14中のステップS922参照)で読み出され、上記大当りに当選した場合と同様に、RAM203の所定の記憶領域(各々の状態バッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。これにより、天井特典に係る遊技状態が指定されることになる。なお、図示の「*(回)」「*(H)」は任意のデータ値であり、遊技性や設計値に応じた適宜な値を設定可能であることを意味する。たとえば、本実施形態の場合、天井特典として「有限時短(時短回数100)」を代表的に説明しているので、この場合は、図示の「有限時短」の欄に示すようなデータ値が定められている。
なお、大当り判定フラグと天井フラグとが共にOFF状態(00H)である場合(ステップS911が≠5AHであり、かつステップS915≠5AHの場合)、何もせずにそのまま遊技状態移行準備処理を抜ける。
再び図12の特別図柄変動開始処理の説明に戻る。上記ステップS412の遊技状態移行準備処理を終えると、次いで、特別図柄変動パターン作成処理を実行する(ステップS413)。特別図柄変動パターン作成処理では、少なくとも現在の遊技状態と上記ステップS411の図柄抽選結果(特別図柄判定データ)とに応じた変動パターン振分テーブル(図24〜図27)を取得し、取得した変動パターン振分テーブルと変動パターン用乱数値とに基づき(変動パターン抽選)、変動パターンを決定する。本実施形態の場合、現在の設定値、現在の変動パターン選択モード(Tcode)、図柄抽選結果、および作動保留球数(今回の変動表示動作に供される作動保留球を除く、現存する作動保留球数0〜3個:ステップS403参照)に応じた「変動パターン振分テーブル」が取得されるようになっている。
(変動パターン振分テーブル:図24〜図27)
図24〜図27に、変動パターン振分テーブルを示す。図24は「一般用、前兆用、天井用、時短用、天国時短用」の各当り変動パターン振分テーブルを、図25は「ST序盤用、ST中盤用、ST終盤用」の各当り変動パターン振分テーブル」を、図26は「一般用、前兆用、天井用、時短用、天国時短用」の各ハズレ変動パターン振分テーブルを、図27はST序盤用、ST中盤用、ST終盤用の各「ハズレ変動パターン振分テーブル」を示したものである。また、図24と図25に示す「FB1〜FB17」は当選時に選択される当り変動パターン振分テーブル種別を、図26と図27に示すの「FH1〜FH22」はハズレ時に選択される当り変動パターン振分テーブル種別を示す。
なお、図24および図26に示す変動パターン振分テーブルの「天国時短」(「時短/天国時短」欄参照)については、時短モードと共通のテーブルとなっている。共通のテーブルとしている理由は、制御負担の軽減の観点からである。天井特典と同じ遊技状態を設けている場合には、天井特典とその遊技状態とで共通の変動パターン振分テーブルを設けることができる。勿論、天井特典に応じた専用の変動パターン振分テーブルを設けてもよい。たとえば、有限時短や無限時短の場合は「天国時短専用の変動パターン振分テーブル」、有限確変や無限確変の場合は「天国確変専用の変動パターン振分テーブル」、有限潜確や無限潜確の場合は「天国潜確専用の変動パターン振分テーブル」などである。
また、図示はしていないが、変動パターン振分テーブルは、設定値(設定1〜6)に対応する変動パターン振分テーブルが設けられている。すなわち、設定値に応じて、1または複数の特定の変動パターンが抽選される確率が異なる場合があり、たとえば、その特定の変動パターンに係る演出の出現率の違いにより、設定推測要素を与えることができるようになっている。
図24〜図27に示す通り、各変動パターン振分テーブルには、1または複数種類の変動パターンが、遊技状態(変動パターン選択モード(Tcode))、作動保留球数(今回変動表示動作に供される作動保留球を除く、現存する作動保留球数)、図柄抽選結果、および変動パターン用乱数値に関連付けて定められている。変動パターンの種類は、図示の通り、種々の変動パターンが設けられている。当選期待度の高低については、次のような関係である。同種のリーチ同士間の関係は、Nリーチ同士では「NリーチA<NリーチB」、SPリーチ同士では「SPリーチA<SPリーチB<SPリーチC」となっている。異種のリーチ同士の関係は、「NリーチA<NリーチB<SPリーチA<SPリーチB<SPリーチC<特殊リーチ」の関係である。また「煽りリーチ」は、主に、通常モードにおいて、特図2側始動口である下始動口35に入賞があった場合に選択される特殊なリーチとして設けられている。
なお、疑似連や他の予告演出が複合的に実行される場合、当選期待度が変化しうる。たとえば「SPリーチB<疑似3+SPリーチA」のように、当選期待度が相対的に低いSPリーチAであっても、疑似連が伴うと、SPリーチBやSPリーチCよりも当選期待度が高くなる場合がある。また、この実施形態の場合、疑似4が伴うと、SPリーチB以上の発生が確定するものとなっている。また図示では、Nリーチが「疑似連無し」となっているが、実際には、疑似連を伴うNリーチ、たとえば、疑似2〜3+NリーチA、疑似2〜3+NリーチBなどが含まれ、疑似3以上が伴う場合に、SPリーチの発生が確定するものとなっている。
特別図柄変動パターン作成処理は、既に述べた、先読み変動パターン判定処理である始動口入賞時乱数判定処理(図11のステップS320)と、基本的には同じである。ここでは、変動パターン振分テーブルが参照され、変動パターン用乱数値に応じた変動パターンが決定される(図24〜図27に示す変動パターン指定コマンドデータCOM2が取得される)。変動パターンが決定されると、対応する変動時間が決定される(図示の「TIME」の欄参照)。この変動時間(図柄変動表示ゲームの実行時間)は、領域内RAMのタイマ管理領域である「特別図柄役物動作タイマ」に設定される。そして、決定した変動パターンの内容を演出制御部24側に知らせるべく、演出制御コマンドとして、その変動パターン内容を特定可能な変動パターン情報を含む「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信する。具体的には、特別図柄変動パターン作成処理では、変動開始時の変動パターンを指定するための「変動パターン指定コマンド」を決定に関する処理として、下記(A)〜(D)の処理を含んで構成されている。
(A)「変動パターン振分テーブル」を決定する“変動開始時変動パターン振分テーブル決定処理”と、
(B)上記(A)で決定された「変動パターン振分テーブル(図24〜図27)」を参照し、作動保留球数と、ステップS314の処理で取得された変動パターン用乱数値とに基づき、変動パターンを決定し、対応する変動パターン指定コマンドのコマンドデータ(COM2)を取得する“変動パターン指定コマンドデータ取得処理”(変動パターン抽選処理)と、
(C)変動パターン決定処理で決定された変動パターンに対応する変動時間を決定して、領域内RAMのタイマ管理領域である「特別図柄役物動作タイマ」に設定する“変動時間設定処理”と、
(D)上記(B)で取得した変動パターン指定コマンドを演出制御部24に送信するための“コマンド送信処理”と、を含んで構成される。
このようにして決定された変動パターンに関する情報には、少なくとも、当り・ハズレの別の当落抽選結果(本実施形態の場合、詳細な図柄抽選結果情報は、装飾図柄指定コマンドに含まれる)や、現在の遊技状態、変動時間情報、特定の予告演出の実行指定情報(リーチ演出の有無およびその種別や、疑似連指定情報など)を含むことができる。主制御部20は、その内容を特定可能な「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24に送信し、この変動パターン指定コマンドに含まれる情報は、演出制御部24側にて、今回の図柄変動表示ゲームに係る演出シナリオ(装飾図柄の変動表示、各種予告演出、変動中の設定示唆演出など)を決定する際に利用される。
(変動パターンに関連する特徴的要素について)
ここで、複数種類のSTモードを有する点と、天井機能を有する点とに着目しながら、変動パターンに関連する特徴的要素について説明する。
(変動状態について)
各遊技モードにおける上記変動状態(高速、中速、低速変動状態)は、専ら、図26〜図27に示すハズレ変動パターン振分テーブルに定められた変動パターン群およびその選択率により実現される。たとえば、図27に示す「ST中用ハズレ変動パターン振分テーブル」を参照すれば、ST序盤では、高速変動状態を実現すべく、特図2側の通常変動(通常変動パターンに属する変動パターン)の変動時間が2s(秒)という最も変動時間が短い最短変動パターン(ST序盤通常変動2s)が高確率で選択されるようになっている。また、ST中盤とST終盤では、それよりも変動時間が長い変動パターン(ST中盤通常変動3s、ST終盤通常変動4s)が高確率で選択されるようになっており、これにより、中速変動状態や低速変動状態を実現する。また、図27に示すように、ハズレ時においては「ST終盤、ST中盤、ST序盤」モードの順にリーチ変動パターンが選択され易く(この実施形態では、ST序盤中はリーチ変動パターンの選択率がゼロ)、かつその変動時間も相対的に長時間となっている。この点にからも、ST序盤、ST中盤、およびST終盤モードのこの順に、図柄変動表示ゲームの平均消化時間が相対的に長時間となるようになっている。
また、ST序盤モードでは、ハズレ時には通常変動種別(ST序盤通常変動2s、8s)しか選択されない。つまり、ST序盤中(1〜25ゲーム以内)は、リーチが掛かった時点で「当確」となる(大当り当選時は、「直撃リーチ」が選択される(図25参照))。本実施形態では、ST序盤モードで当選となった場合、当り種別によらず、共通の変動パターン振分テーブル「FB9」が選択されるようになっているが、本発明はこれに限らず、ST中盤モードやST終盤モードと同じように、当り種別に応じて異なる変動パターン振分テーブルが選択される構成としてもよい。
また、STモードが複数種類あることを利用して、下記(I)または(II)のような構成とすることができる。
(I)STモードの最終回目専用のTcodeを設け、当該最終回目に特定の変動パターン(最終煽り変動)を選択可能な構成としてもよい。最終回目専用のTcodeは、ST序盤モード、ST中盤モード、およびST終盤モードの少なくともいずれか1つのSTモードで設けることができる。たとえば、図25(大当り時)の備考2〜4に示す「ST序盤最終煽りA、ST中盤最終煽りA、ST終盤最終煽りA」や、図27(ハズレ時)の備考2〜4に示す「ST序盤最終煽りB、ST中盤最終煽りB、ST終盤最終煽りB」などである。この場合、次のような演出を現出させることができる。代表的に、ST序盤モードの最終ゲーム(ST中の25ゲーム目)を例にとり説明すれば、当該最終ゲームにおいて、大当り時には「ST序盤最終煽りA」が選択され、ハズレ時には「ST序盤最終煽りB」が選択される。このとき、ST序盤最終煽りA、Bに係る図柄変動表示ゲームのいずれにおいても、ゲーム開始から所定時間の間(ゲーム開始から所定の変動時間が経過するまで)、共通の特定演出を現出させ、ハズレであるか大当りであるかをしばらく秘匿状態にして、遊技者の緊張感を煽る。そして、ハズレであればリーチを掛けずにそのまま「ハズレ図柄(バラケ目)」で停止させ、大当りであればリーチを掛けて「図柄揃い(当り図柄)」で停止させる。特に本実施形態の場合は、ST序盤中は「リーチ」が掛かった時点で当確となるため、上記共通の特定演出として、リーチが掛かるか否かを煽るような演出を現出させれば、遊技者の緊張感や当選期待感を煽ることができる。なお、最終煽りA(当り時)と最終煽りB(ハズレ時)の変動時間は同一の変動時間としてもよいが、ハズレ時よりも大当り時の変動時間を長時間として、リーチ演出後、当選を祝福する祝福演出や、当選した大当り種別に応じて偶数図柄揃いから奇数図柄揃いの昇格表示または偶数図柄揃いから偶数図柄揃いへの非昇格表示を報知可能な昇格演出などの特定の演出を現出させることが好ましい。
(II)当選した大当り種別(1または複数の特定の大当り種別でもよい)を演出的に秘匿状態として、移行先遊技状態を秘匿状態とする場合(図柄変動表示ゲーム中の演出および当り中演出において、当選した大当り種別を秘匿状態とする場合)、たとえば、ST序盤モードの最終ゲーム(ST25ゲーム目)で、ハズレ時には、ST序盤最終煽りを利用して、STモードが終了するのか継続するか否かの「継続煽り演出」を現出させる。たとえば、現在の遊技モードがST25モードである場合には、継続煽り演出の結果として、ST非継続を報知する継続失敗演出を現出し、ST75またはST100モードである場合には、ST継続を報知する継続成功演出を現出させる。
上述の(I)(II)のいずれの構成も、ST最終ゲーム目において遊技者の緊張感を煽り、STモードにおける遊技の面白みを向上させることができる。また、上記のような「最終煽り変動」は、全STモードまたは一部のSTモードで選択可能に構成してもよい。ただし、ST序盤モードのような「高速変動状態」をなすSTモードにおいて、最終煽り変動を選択可能に構成することが好ましい。「高速変動状態」下の場合、大当りに当選することなくハズレ続けてしまうと、ST(確変状態)があっという間に終了してしまい、遊技者のガッカリ感が強くなる。そこで、最終回目に「最終煽り変動」を選択させ、遊技者の緊張感を持続させるようにすることが、遊技の面白みを向上させる点で好ましいからである。また、ST最終ゲーム目に限らず、最終ゲームよりも1または複数ゲーム手前のゲームから「最終煽り」を連続的に選択させる構成としてもよい。たとえば、ST23〜25ゲーム目の3ゲーム間は「最終煽り」を連続して選択する。
(天井モードに係る変動パターンついて)
また、図26に示すハズレ変動パターン振分テーブを参照して、天井モードでは、図示の「天井」の欄に示す通り、特図種別および作動保留球数によらず、共通の「天井変動」が選択されるようになっている。ただし本実施形態の場合、ハズレ種別が複数種類あるため「特図種別、作動保留球数、およびハズレ種別」によらず「共通の天井変動」が選択される。このようにする理由は、次に述べる通りである。第1に、天井到達時においては、少なくとも特図種別および作動保留球数などによらずに共通の天井演出を現出させ、天井発動(天井特典の付与)を報知することが好ましい。第2に、天井ゲーム1ゲーム限り(1回転限り)のために、変動パターン振分テーブルを複数種類用意したり、これに基づく演出を現出したりするのは、制御負担が増し、制御負担軽減の観点から好ましくない、という理由からである。また、当りの場合も、上述の「ハズレ」の場合と同様に、演出面と制御負担軽減の観点から、次に述べる構成としてある。既に説明したように、天井ゲーム(1000ゲーム目)において、偶々、大当りに当選となった場合には、天井演出モードに係る演出を現出するのではなく、通常演出モード中(たとえば、一般モード中または前兆モード中)に係る当選時の演出を現出させることが好ましい(上記「7−4−1.天井モード中の演出について」の記載参照)。そこで本実施形態では、図26に示すハズレ変動パターン振分テーブルの「天井」の欄に示すように、大当りに当選時は、通常モード中(一般モードおよび/または前兆モード)に係る当り変動パターン振分テーブルFB1〜FB4のうち、「FB2」が選択されるようになっている。なお、「FB2」に限らず、FB1〜FB4のいずれでもよい。
(前兆モードに係る変動パターンついて)
また、図26示すハズレ変動パターン振分テーブルの「前兆モード」に着目すれば、この実施形態の場合、前兆モード中は、通常モードのうちで、変動状態が最も速い高速変動状態(通常モード中、平均消化時間が最速の遊技モード)とされるようになっている。これは、遊技者の心境を考慮したものである。遊技者の多くは、天井間近になると「ここまで来たら、さっさと天井に到達したい」、「早く、天井特典を得たい」という気持ちが強くなると考えられる。そこで本実施形態では、前兆モード中の平均消化時間を高速化してある。また、この実施形態の場合、前兆モード中の大当り当選時は、図24に示すように、一般モードと共通の当り変動パターン振分テーブルFB1〜FB4を採用しているが、本発明はこれに限らず、前兆モード専用の当り変動パターン振分テーブルを設けてもよい。たとえば、前兆モード中専用の当り変動として「前兆当り変動」を設けることができる(図24の備考2「前兆当り変動」参照)。
また、前兆モード中の最終ゲーム目が「ハズレ」の場合には、上記「事前発射誘導報知演出」を現出させるために、特定の変動パターン(比較的長い変動時間を持つ変動パターン)を選択可能な構成としてもよい(図26の備考2「前兆最終変動」参照)。この事前発射誘導報知演出は、電サポ有り状態が生起する当該ゲームが到来する前のゲームで「打ち方」を指示する演出である点で、従来の電サポ有り状態が発生する当該ゲーム(確変または時短が生起するゲーム)で「右打ち」を指示したり、電サポ無し状態となった当該ゲームで「左打ち」を指示したりするといった発射誘導報知演出、つまり、実際に電サポの有り無しが生じる当該ゲームで打ち方を指示する報知演出とは性格を異にするものである。この点で、事前発射誘導報知演出は、天井特典を搭載する遊技機特有の演出である。
再び図12の説明に戻る。上記ステップS413の特別図柄変動パターン作成処理を終えると、次いで、今回の変動開始側に対応する変動中フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS414)。上記「変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらが変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。本実施形態では、変動中フラグとして、特図1対応の「特別図柄1変動中フラグ」と、特図2対応の「特別図柄2変動中フラグ」を扱う。たとえば、特図1側が今回の処理対象(変動開始側)であれば、特別図柄1変動中フラグをON、特別図柄2変動中フラグをOFFに設定し、特図2側が今回の処理対象(変動開始側)であれば、特別図柄2変動中フラグをOFF、特別図柄2変動中フラグをONに設定する。これにより、いずれの特別図柄が変動表示の対象であるかが特定される。
次いで、ステップS411の特別停止図柄作成処理で得られた図柄抽選結果情報を特定可能な装飾図柄指定コマンドを作成し、これを演出制御部24に送信する(ステップS415)。装飾図柄指定コマンドには、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。この装飾図柄指定コマンドは、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄を構成要素となる図柄種)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せや、図柄変動表示ゲームにおいて当選種別に対応する予告演出などを決定する際に利用される。演出制御部24は、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドを受信すると、これらのコマンドに含まれる情報に基づいて、今回の装飾図柄変動表示ゲームを開始し、図柄変動表示ゲーム中における各種演出を現出制御する。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS416)。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図10の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、特別図柄管理処理(ステップS093)を抜けて、図9の特別電動役物管理処理(ステップS095)に進む。
(設定異常エラーが生じたケースについて:S409→S411の処理ルート)
ステップS409の判定処理の説明に戻り、ステップS409において、設定エラーフラグがON状態(5AH)である場合、つまり設定異常エラーが発生中の場合(ステップS409:=5AH)、ステップS410の特別電動役物作動判定用乱数判定処理(当落抽選)をスキップし、ステップS411の特別停止図柄作成処理を実行する。すなわち、設定異常エラーが発生した場合には、変動開始時の当落抽選を実行せず、今回の当落抽選結果は、常に「ハズレ」として処理される(強制ハズレ制御)。設定異常エラーの場合は、エラー専用の変動パターンを設け、これを選択することが好ましいが、既存の特定の変動パターンが選択されるように構成してもよい。既存の変動パターンを選択する場合は、「設定異常エラー」という深刻なエラーが生じていることを考慮し、当選期待感を煽るようなリーチ変動パターン種別は選択せずに、通常変動パターン種別のみを選択することが好ましい。なお、強制ハズレという状況下では、最早、遊技の意味を成さないため、長変動パターン種別を選択することが好ましく、より好ましくは、最長の通常変動パターン(本実施形態では、通常変動16s)だけを選択する。また、設定異常エラーの場合には、「遊技続行不可」として、図柄変動表示ゲーム自体を開始させない(図柄変動を開始させな)構成としてもよい。この場合には、遊技機の電源がOFFになるまでエラー報知を継続する。なお本実施形態では、図8に示す設定変更処理(ステップS023)が実行されて設定異常エラーが解除されるまでは、電源を再投入してもエラー報知が継続される。
<A.特別図柄変動中処理:図10>
次に、図10に示す特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。
特別図柄変動中処理において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマにセットされた特別図柄の変動時間Tが経過したか否かを判定する。変動時間Tが経過していないならば(変動時間T≠0)、特別図柄が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理を抜ける。特別図柄の変動時間Tが経過したならば(変動時間T=0)、演出制御コマンドとして、特別図柄の変動が終了したことを示す「変動停止コマンド(BF01H)」を演出制御部24に送信する。演出制御部24は、変動停止コマンドを受信すると、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したことを把握し、変動表示中の装飾図柄を停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了される。
次いで、特別図柄の変動停止時の設定処理として、領域内RAMの該当領域に、特別図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)、確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄変動中フラグにOFF状態を格納する。そして、特別図柄の変動停止時の設定処理を終えると、特別図柄変動中処理を抜ける。上記「特別図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部端子基板21からホールコンピュータHCに対し、特別図柄が確定表示された旨を報知する特別図柄確定信号の出力時間を確保するための余裕時間である。また「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
以上の特別図柄変動中処理を抜けると、図10の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、特別図柄管理処理を抜けて、図9のステップS095の特別電動役物管理処理に進む。
<16.特別図柄確認時間中処理(変動停止時処理):図16Aおよび図16B>
次に、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。図16Aおよび図16Bは、図10の特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。
図16Aおよび図16Bにおいて、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS471)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「確定表示時間」が設定されている(上記特別図柄変動中処理のステップS307参照)。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS471:NO)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS471:YES)、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS472)、現在の遊技状態情報をRAMの遊技状態判定領域に格納する(ステップS473)。
次いで、大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS474)。
(大当り判定フラグがON状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがON状態(5AH)の場合(ステップS474:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS475)。ここでは、図示の通り、大当り判定フラグをOFF状態(00H)に設定し、大当りに当選したとして条件装置作動フラグをON状態(5AH)に設定し、その他、大当り遊技中を低確率および電サポ状態無しの状態に設定する(各種フラグやカウンタをクリア)。また、天井フラグと天井発動フラグとをOFF状態(00H)に設定し、天井カウンタをクリア(00H)する。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS474:≠5AH)、次いで、小当り判定フラグを取得し、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS476)。小当り判定フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS476:≠5AH)、すなわち、大当りでもなく小当りでもない「ハズレ」の場合には、ステップS478の処理に進む。
一方、小当り判定フラグがON状態(5AH)の場合(ステップS476:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS477)。ここでは、小当り図柄停止時の各種設定処理(小当り遊技開始前処理)として、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS478の処理に進む。
ステップS478の処理に進むと、特別図柄時短回数カウンタ(残り時短回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS478)。特別図柄時短回数カウンタがゼロである場合(ステップS478:YES)、ステップS483の処理に進む。
一方、特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS478:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄時短回数カウンタを1減算し(ステップS479)、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS480)。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS480:NO)、特別図柄時短状態の終了回数に達していないので、何もしないでステップS483の処理に進む。一方、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロの場合(ステップS480:YES)、特別図柄時短状態の終了回数に達したとして、時短終了時の設定処理を行う(ステップS481)。
(時短終了時の設定処理:ステップS481)
ここでは、時短終了時の設定処理として、電チューサポート機能(普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)をOFF状態に設定し(普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグにそれぞれ00Hに設定)して、「電サポ無し状態」への移行設定を行う。また、特別図柄時短機能の作動を終了させるために、特別図柄時短機能をOFF状態(特別図柄時短状態フラグに00Hに設定)に設定し、遊技状態報知LED出力番号(複合表示装置38cの状態報知データ)に非特別図柄時短状態を指定する00Hを格納する(「01H」の場合は、特別図柄時短状態指定)。
ステップS481の「時短終了時の設定処理」が実行されるケースは、遊技モードが「時短モード」から通常モード(一般モード)に移行するケース、具体的には、内部遊技状態が「時短状態」から「通常状態」に移行するケースである。したがってここでは、次ゲームから通常状態(一般モード)に移行することに伴い、残り天井ゲーム数のカウントを開始するべく、天井カウンタに初期値(999回)を設定する。本実施形態では、天井カウンタ値がゼロとなるゲームは、天井ゲーム直前のゲーム(999ゲーム目)となっており、この天井ゲーム直前のゲームにて、天井特典開始前の各種設定処理、具体的には、上記遊技状態移行準備処理(図12のステップS412)において、天井発動フラグがON状態(5AH)に設定され、天井特典を指定するためのデータが各状態バッファに格納される(図15のステップS915〜S917、S914)。そして、次ゲーム(天井ゲーム)開始時における上記天井発動管理処理(図12のステップS421)において、当該状態バッファのデータが読み出されて、遊技状態指定に係る各種のフラグやカウンタに設定される(図14のS921〜S926)。これにより、天井ゲームの開始とともに天井特典が付与されるようになっている。なお、天井カウンタに初期値として「1000」をセットしてもよく、この場合には、天井カウンタがゼロになったか否か、つまり1000ゲーム目であるか否かを監視し、ゼロであるならば、状態バッファを介さずに、直接的に、天井特典に関する指定データを各種フラグやカウンタにセットする処理にすればよい。
(ゲーム終了を契機に天井特典を付与する場合の制御処理)
ここで、ゲームの終了時(図柄停止時)に天井特典を付与する構成とする場合には、既に説明したように、サブルーチンである「天井発動管理処理(ステップS421)」を、たとえば、図柄変動表示ゲーム終了時に係る特別図柄確認時間中処理の最後の処理(後述のステップS495)の後、天井発動管理処理(ステップS421)を実行させればよい。この場合、本実施形態のように天井カウンタには999をセットした場合には999ゲーム終了時に天井特典が付与され、1000をセットした場合には1000ゲーム終了時に天井特典が付与される。いずれにしても、遊技に関する特定事象(ここでは、通常状態中のハズレ回数)をカウントして、そのカウント値が所定値(ここでは、ゼロ)となった場合に天井機能発動契機または天井特典を付与可能に構成すればよい。なお、本実施形態の処理の仕方(図12〜図16B参照)を採用すれば、旧機種ではゲーム開始時を天井発動契機としていたが、新機種ではゲーム終了時を天井発動契機としたい場合に設計変更を容易になり、旧機種と新機種との間の互換性を高めることができるという利点がある。
ステップS481の時短終了時の設定処理を終えると、次いで、遊技状態更新処理を実行する(ステップS482)。ここでは、変動パターン選択モード(Tcode)を時短モードの「05H」から一般モードの「00H」に更新する。更新後の遊技状態情報は、後述のステップS495にて、遊技状態指定コマンドにより演出制御部24に送信される。したがって、ステップS481の時短終了時の設定処理が実行される場合、後述のステップS495にて送信される遊技状態指定コマンドは、「一般モード」を指定する情報が含まれ、この遊技状態指定コマンドにより演出制御部24は、今回のゲームで時短モード(時短状態)が終了した旨を把握し、次ゲームから一般モード(通常状態)に移行される旨を把握する。これにより、次回の図柄変動表示ゲームでは、「一般モード」に基づく特別図柄の変動パターンが選択され、「一般演出モード」下における演出が現出されることになる。
次いで、特別図柄確変回数カウンタ(残りST回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS483)。特別図柄確変回数カウンタがゼロである場合(ステップS483:YES)、何もせずにステップS488の処理に進む。一方、特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS483:NO)、今回の特別図柄の変動回数消化分として、特別図柄確変回数カウンタを1減算し(ステップS484)、その減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS485)。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS485:NO)、ST回数が終了していないので、何もせずにステップS488の処理に進む。しかし減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロの場合(ステップS485:YES)、ST回数が終了したとして、確変終了時の設定処理を実行する(ステップS486)。ここでは、確変終了時の設定処理として、確変状態に関する機能をOFF状態に設定して確変状態を終了させる。ただし、特別図柄時短回数カウンタの値に応じて処理内容が異なる。以下、詳述する。
(1)“減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであり、かつ特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合”、この場合は、今回のゲームでST回数がゼロとなりSTモードの終了となるが、時短回数が残っているため、次ゲームから時短モードに移行されるケースである。つまり、ST25モード中にST回数25回が終了した場合か、またはST75モード中に、ST回数75回が終了した場合である(図22に示す遊技状態移行テーブルの「JTTBL−4、5」を参照)。したがってこの場合は、特別図柄確変機能だけをOFF状態(00H)に設定して(特別図柄確変状態フラグに00Hを格納)確変状態から時短状態への移行設定を行い、遊技状態判定番号YJを「02H(時短状態)」に更新する。なお、ST25、ST75、ST100モードの場合に本処理が実行される場合、変動パターン選択モード(Tcode)の更新については後続のステップS491で行う。
(2)一方、“減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであり、かつ特別図柄時短回数カウンタもゼロである場合”、この場合は、今回のゲームでST回数がゼロとなり、かつ時短回数もゼロとなるケース、すなわち、ST100モードに滞在したが、今回のゲームでST100モードが終了するケースである(図22に示す遊技状態移行テーブルの「JTTBL−3」を参照)。したがってこの場合は、確変状態の終了に要する処理として、電チューサポート機能(普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)をOFF状態に設定し(普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグにそれぞれ00Hを格納)、また、特別図柄時短機能と特別図柄確変機能とをOFF状態(特別図柄時短状態フラグと特別図柄確変状態フラグにそれぞれ00Hを格納)、遊技状態報知LED出力番号00Hを格納し、天井カウンタに初期値を設定し、遊技状態判定番号YJを「00H(通常状態)」に更新する。なお、潜確状態を終了させる場合(有限潜確大当りを設けた場合)も同様である。これにより、ST100モード(確変状態)が終了され、次ゲームから通常モード(一般モード)に移行される。なお、ST100モードの場合、特別図柄確変回数カウンタがゼロとなる場合には特別図柄時短回数カウンタもゼロとなるため(今回のゲームでST回数がゼロになる場合には、時短回数もゼロになる。)、特別図柄時短回数カウンタがゼロになった際に実行される上記「時短終了時の設定処理(ステップS481)」にて、電チューサポ―ト機能などの時短状態に係る機能はOFFに設定することが可能なため、本処理においては特別図柄確変機能だけをOFFにし、確変状態に係る全機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)がOFFに設定されるようにしてもよい。また、天井カウンタの設定についても、上記「時短終了時の設定処理(ステップS481)」にて、初期値(999回)を設定してもよいし、本処理で設定してもよい。
上記ステップS486の確変終了時の設定処理を終えると、次いで、特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS488)。ここでの特別図柄変動回数カウンタの判定処理は、主に、STモードにおける変動パターン選択モード(Tcode)の切り替えゲーム(更新ゲーム)の監視である。
特別図柄変動回数カウンタがゼロである場合(ステップS488:YES)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。一方、特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS488:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄変動回数カウンタを1減算し(ステップS489)、その減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS490)。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS490:NO)、変動パターン選択モード(Tcode)の更新ゲームでないとして、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロの場合(ステップS489:YES)、変動パターン選択モード(Tcode)の更新ゲームが到来したとして、遊技状態更新処理を実行する(ステップS491)。ここでは、STモードにおける変動パターン選択モード(Tcode)の更新処理を行う。変動パターン選択モード(Tcode)の更新が行われるのは、(α)ST序盤モードが終了する場合、(β)ST中盤モードが終了する場合、(γ)ST終盤モードが終了する場合などである。正確には、ST25、ST75、ST100モードに応じた更新処理が行われる。
ST25モードの場合は、ST序盤モードが終了すると時短モードに移行されるため、変動パターン選択モード(Tcode)をST序盤モードの「02H」から時短モードの「05H」に更新する。
ST75モードの場合は、ST序盤モードが終了するとST中盤モードに移行されるため(更新1回目)、このときは、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST序盤モードの「02H」からST中盤モードの「03H」に更新する。そして、ST中盤モードが終了すると時短モードに移行されるため(更新2回目)、このときは、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST中盤モードの「03H」から時短モードの「05H」に更新する。
ST100モードの場合は、ST序盤モードが終了するとST中盤モードに移行されるため(更新1回目)、上述のST75モードの場合と同じく、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST序盤モードの「02H」からST中盤モードの「03H」に更新する。その後、ST中盤モードが終了するとST終盤モードに移行されるため(更新2回目)、このときは、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST中盤モードの「03H」からST終盤モードの「04H」に更新する。そして、ST終盤モードが終了するとST終盤モードに移行されるため(更新3回目)、このときは、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST終盤モードの「04H」から一般モードの「00H」に更新する。
上記したステップS491の処理は、所定の変更条件の成立に基づき、特別図柄の変動パターンの選択条件を更新(変更)する変動パターンモード更新手段として働く。
次いで、ステップS491の遊技状態更新処理を終えると、次いで、特図変動回数カウンタ更新処理を行う(ステップS492)。ここでは、(1)ST序盤モードのST回数25回が消化された後、ST中盤モードの継続期間(ST回数50回)を設定する処理(特別図柄変動回数カウンタ2の値を設定する処理)、(2)ST中盤モードのST回数50回が消化された後、ST終盤モードの継続期間(ST回数25回)を設定する処理(特別図柄変動回数カウンタ3の値を設定する処理)を行う(更新される特別図柄変動回数カウンタの値については、図22の遊技状態移行テーブルの特別図柄変動回数カウンタ1〜3バッファの欄を参照)。本実施形態では、ステップS488〜S491の処理により、ST序盤、ST中盤、ST終盤モードを実現する。
次いで、前兆モード移行管理処理を実行する(ステップS493)。前兆モード移行管理処理では、天井カウンタを確認して、天井カウンタの値が前兆モード移行契機ゲーム数である否かを判定する。本実施形態の場合、990ゲーム目から前兆モードに突入するため(図7参照)、今回のゲームで天井カウンタNが989ゲーム目を示す場合に(天井カウンタN=10)、前兆モードへの移行設定処理を行う。具体的には、変動パターン選択モード(Tcode)を、一般モードの「00H」から前兆モードの「01H」に更新する。これにより、次ゲームの990ゲーム目から前兆モードに移行され、前兆モードに基づく特別図柄の変動パターンが選択され、前兆演出モード下における演出が現出される。
上記ステップS493の前兆モード移行管理処理を終えると、次いで、遊技状態情報送信処理を実行する(ステップS495)。この遊技状態情報送信処理は、図12に示す特別図柄変動開始処理中の遊技状態情報送信処理(ステップS408)と同じく、遊技状態指定コマンドを送信する。ただし、ここで送信される遊技状態指定コマンドは、ゲーム終了時に係る遊技状態に関する情報、すなわち、上記ステップS482、S491、S494などで更新された内容を含む情報である。したがって、本処理で送信される遊技状態指定コマンドにより、演出制御部24は、遊技状態の移行が生じるか否かを把握し、今回のゲーム終了時に、演出モードの移行制御を行うことができる。たとえば、989ゲーム目が終了後、990ゲーム目が開始されていなくとも、989ゲーム目が終了直後に、一般演出モードの昼背景から前兆モード中の夜背景に切り替え表示することができる。
以上のステップS495の遊技状態情報送信処理を終えると、特別図柄確認時間中処理を抜けて、図10の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、特別図柄管理処理(ステップS093)を抜けて、図9の特別電動役物管理処理(ステップS095)に進む。
<23.特別電動役物管理処理:図17>
次に、図9中の特別電動役物管理処理(ステップS095)について説明する。図17は、ステップS095の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図17において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態の場合(ステップS501:=5AH)、小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。この小当り処理では、小当り遊技動作を制御するための必要な処理が実行される。
上記小当り中フラグがOFF状態の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態の場合(ステップS502:≠5AH)、この場合は、小当り遊技中ではなく(ステップS501:≠5AH)、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態の場合(ステップS502:=5AH)、特別電動役物動作ステータス(00H〜04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐処理)。なお「特別電動役物動作ステータス」とは、特別変動入賞装置52の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、領域内RAMの特別電動役物動作ステータス格納領域に格納される。特別電動役物動作ステータスには、大当り遊技開始前の待機状態である旨を指定する「開始処理中(00H)」、ラウンド遊技開始前の待機状態である旨を指定する「作動開始処理中(01H)」、ラウンド遊技が実行中である旨を指定する「作動中(02H)」、次回のラウンド遊技を継続させるか否かの判定中である旨を指定する「継続判定中(03H)」、大当り遊技終了時の終了処理中である旨を指定する「大当り終了処理中(04H)」が含まれる。
ステップS503の特別電動役物動作ステータス分岐処理では、特別電動役物動作ステータス値が「開始処理中(00H)」「作動開始処理中(01H)」「作動中(02H)」「継続判定中(03H)」「大当り終了処理中(04H)」のいずれかのステータス値であるかに応じてステップS505〜S509のいずれかの処理を実行する。これらの処理は大当り遊技を実行制御する処理であり、ステップS505〜S509の処理を経て、各種当りに対応する当り遊技が実現される。以下に、ステップS505〜S509の処理内容について説明する。
<大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)>
(9−1.大当り開始処理)
ステップS505の「大当り開始処理」について説明する。大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが、初期値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって「大当り」となった場合は、まずこの「大当り開始処理」が実行される。
大当り開始処理に入ると、CPU201は、まず、大当り遊技を開始する際に必要な設定処理(開始時の設定処理)として、役物連続作動装置作動フラグをON状態(作動中)に設定する。これにより、特別電動役物の連続作動(ラウンド遊技)が許容状態となる(ラウンド遊技実行許容状態)。そして、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に更新し、ラウンド数をカウントする「連続回数カウンタ」に初回の1R目を指定する01Hを設定する。次いで、今回当選した当り種別(特別図柄判定データ)に応じて、領域内RAMの該当領域に、今回の大当りに対応する「最大ラウンド数」、また特別図柄役物動作タイマに「開始インターバル時間」を設定する。「開始インターバル時間(開始INT)」とは、特別図柄の確定表示時間が経過して(図16AのステップS471参照)大当りが確定した後、特別変動入賞装置52が作動するまで(1R目のラウンド遊技が開始されるまで)のインターバル区間であって、オープニング演出区間を定めた時間幅を指す。
次いで、「大当り開始コマンド」を演出制御部24に送信し、この大当り開始処理を抜ける。なお「大当り開始コマンド」には、オープニング演出の開始を指示する役割の他、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24において、大当り遊技中に展開される一連の当り演出(大当り種別ごとに対応するオープニング演出、ラウンド中演出、ラウンド終了演出、およびエンディング演出など)を決定する際にも利用される。かくして、大当り遊技が開始される。
(9−2.特別電動役物作動開始処理)
次に、ステップS506の「特別電動役物作動開始処理」について説明する。
特別電動役物作動開始処理に入ると、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、ラウンド開始前インターバル時間が設定されている。このインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では、上記「大当り開始処理(ステップS505)」で設定された「開始インターバル時間(開始INT)」が監視されるが、2R目以降で本処理(ステップS506)を通過するときは、「開放前インターバル時間」、具体的には、今回のラウンド遊技が終了して次回ラウンド遊技が開始されるまでのラウンド間のインターバル時間(R間INT)が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、今回のラウンド遊技が終了していないので、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(1R目の場合は、開始インターバル時間)が経過したならば、大当り種別(特別図柄判定データ)と現在のラウンド数(連続回数カウンタ値)とに応じた大入賞口50の開閉動作パターンを設定する(大入賞口開閉動作設定処理)。ここでは、大入賞口開閉動作時間(最大開放時間)を特別図柄役物動作タイマに格納し、大入賞口ソレノイド52cを制御するためのソレノイド用制御データ(ラウンド数に対応して実行される大入賞口開閉動作パターン用データ)を設定する。
また大入賞口開放開始動作に伴い、大入賞口開放コマンドを演出制御部24に送信する。この「大入賞口開放コマンド」には、現在のラウンド数情報が含まれ、演出制御部24において、ラウンド数に対応するラウンド中演出を現出させる際に利用される。そして、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替えて、この特別電動役物管理処理を抜ける。これにより、大入賞口50が上記大入賞口開閉動作時間を上限に開放され、今回のラウンド遊技が開始される。
(9−3.特別電動役物作動中処理)
次に、ステップS507の「特別電動役物作動中処理」について説明する。
特別電動役物作動中処理に入ると、CPU201は、まず大入賞口50への入賞球数が最大入賞数に達したか否かを監視し、最大入賞数に達した場合には特別図柄役物動作タイマをゼロクリアする。これにより、上記「特別電動役物作動開始処理(ステップS506)」で設定されたタイマ値が強制的にゼロになり、最大入賞数に達したことを以って、開放中の大入賞口50が閉鎖されることになる。また、ここでは、大入賞口50に入賞があるごとに、「大入賞口入賞コマンド」を演出制御部24に送信する。この大入賞口入賞コマンドには、大入賞口への入賞発生情報と賞球数情報とが含まれ(設定値情報も含ませてもよい)、大入賞口50に入賞した旨を報知する入賞演出に利用される他、入賞演出を利用した設定示唆演出の現出制御にも利用される。たとえば、最大入賞数を超えるオーバー入賞があった場合、設定値に応じて定められた出現率に従い、通常のオーバー入賞演出に替えて、特別なオーバー入賞演出を現出する。
なお、特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間、つまり、大入賞口開放動作時間(最大開放時間)が経過するか、または最大入賞数に達するまでの間は、何もしないで、そのまま特別電動役物作動中処理を抜ける。
最大入賞数に達するか、または最大開放時間が経過して、特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば、今回のラウンド遊技が終了したとして、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(1980ms)を格納する。この「残存球排出時間」とは、大入賞口が閉鎖された後、大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間を指す。また大入賞口閉鎖(ラウンド遊技終了)に伴い、ラウンド間インターバルコマンドを演出制御部24に送信する。この「ラウンド間インターバルコマンド」は、ラウンド遊技終了情報や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24において、次回ラウンドまでのラウンド間インターバル(R間INT)中の演出(ラウンド間インターバル演出)を現出させる際に利用される。以上により、この特別電動役物作動中処理を抜ける。
(9−4.特別電動役物作動継続判定処理)
次に、ステップS508の「特別電動役物作動継続判定処理」について説明する。
特別電動役物作動継続判定処理に入ると、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口閉鎖後の残存球排出時間(1980ms)が設定されているので(ステップS507参照)、この残存球排出時間が経過したか否かが判定される。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(残存球排出時間経過)になったならば、連続回数カウンタの値を取得して、現在のラウンド数が最大ラウンド数に達したか否かを判定する。最大ラウンド数に達していない場合には、ラウンド遊技継続時の処理として、連続回数カウンタに1加算(+1)し、「開放前インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える。
一方、現在のラウンド数が最大ラウンド数に達した場合には、最終ラウンド終了時の設定処理として、「終了インターバル時間(終了INT)」を特別図柄役物動作タイマに格納し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える。上記「終了インターバル時間」とは、最終ラウンド目のラウンド遊技が終了して残存球排出時間経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、エンディング演出区間を定めた時間幅を指す。
そして、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信して、特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。これにより、最大ラウンド数目のラウンド遊技が終了される。なお、上記大当り終了コマンドには、今回の大当り種別とその当選時の遊技状態とに関する情報、つまり大当り遊技終了後の遊技状態を特定可能な情報が含まれ、演出制御部24において、大当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。
(9−5.大当り終了処理:図18)
次に、ステップS509の「大当り終了処理」について説明する。図18は、大当り終了処理の詳細を示すフローチャートである。
図18において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS591)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記終了インターバル時間(終了INT)が設定されているので、ここでは、この終了インターバル時間が経過したか否かが判定される。特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS591:NO)、何もしないでこの大当り終了処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば(ステップS591:YES)、状態フラグ設定処理を実行する(ステップS592)。ここでは、既に説明した「遊技状態移行準備処理(図12のステップS412)」において設定された状態バッファの各々の値を、状態バッファに対応するフラグ領域やカウンタにそれぞれ設定する。これにより、大当り遊技後の遊技状態が指定される。
次いで、大当り終了時の各種設定処理を実行する(ステップS593)。ここでは、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータ(たとえば、ステップS505〜S509で利用したフラグやカウンタ値)をクリアし、遊技状態報知LED出力番号を更新し、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える。
上記大当り終了処理を終えると、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了して、今回の大当り遊技が終了される。なお、以上に説明した大当り遊技に関する一連の制御処理は、天井特典による「強制当り」が付与される場合も同様である。
<19.演出制御部側の処理:図19〜図20>
次に、図19〜図20を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図19)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図20)とを中心に構成される。
<19.演出制御側メイン処理:図19>
図19は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図19に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、演出制御部24(CPU241)は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS1001)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
上記初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごと(16ms)にステップS1003〜S1011のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS01012の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS1002の処理において、CPU241は、メインループ更新カウンタを参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期(カウンタ値>15)が到来したか否かを判定する(ステップS1002)。上記メインループ更新カウンタは、1ms毎に実行される後述の演出制御側タイマ割込処理中でインクリメントされるカウンタである(図20のステップS1057参照)。本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっており、ステップS1002の判定処理にて、メインループ更新カウンタ値を判定し、その値が「15」より大きい場合には(ステップS1002:YES)、メインループ処理の実行タイミングが到来したとして、ステップS1003〜S1011の処理を実行し、それ以外の場合には、メインループ更新周期が到来するまで(ステップS1002:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS1012)。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS1002:YES)、メインループ更新カウンタをゼロクリアし(ステップS1003)、次いで、エラー処理を実行する(ステップS1004)。ここでは、エラー中におけるエラー報知用の演出シナリオの設定やエラーが解除された際のエラー解除処理などを実行する。なお、演出手段に関するエラー(可動体役物エラー、音声ICエラーなど)は、ここで監視される。
次いで、デモ・節電モード処理を実行する(ステップS1005)。このデモ・節電モード処理では、デモ開始待ち演出、客待ち演出、および節電モードに必要な設定処理を実行する。
次いで、演出スイッチ入力処理を実行する(ステップS1007)。この演出スイッチ入力処理では、操作手段(演出ボタン13、方向キー75)の操作状態を監視し、操作を検出した場合には、その操作に応じた演出制御処理を実行する。操作手段の入力状態は、後述の図20中のボタン入力状態更新処理(ステップS1052)にて監視される。
次いで、コマンド解析処理を行う(ステップS1008)。このコマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出処理を実行する。なお、主制御部20側からのストローブ信号に基づく割込みが生じた際、図示しないコマンド受信割込処理が実行される。このコマンド受信割込処理により、演出制御コマンドが取得され、そのデータは、RAM243のコマンド受信バッファに格納される。
コマンド解析処理では、たとえば、変動パターン指定コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析し、その内容である特別図柄の変動パターン情報を取得し、RAM243の所定領域に格納する。図柄変動表示ゲーム中の演出は、まだこの時点では決定せず、変動パターン指定コマンドに続いて送られてくる装飾図柄指定コマンドを受信した場合に決定される。つまり、ここで格納された変動パターン情報と装飾図柄指定コマンドに含まれる情報(図柄抽選結果情報)とに基づき、図柄変動表示ゲーム(装飾図柄変動表示ゲーム)中の演出シナリオ(装飾図柄の変動表示、予告演出など)が決定されるようになっている。たとえば、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとが受信された場合、コマンド解析処理において、これらコマンドに含まれる情報(変動パターン情報と当選種別情報)に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAM243の所定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、或いは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。なお本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとに含まれる情報に基づき、図柄変動表示ゲーム中の演出シナリオを決定しているが本発明はこれに限らず、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる情報に基づき決定することができる。変動パターン指定コマンドには、当落情報と変動パターン情報とが含まれるので、当り種別(図柄抽選情報)自体を必要としない場合には、この変動パターン指定コマンドに基づいて、図柄変動表示ゲーム中の演出シナリオを構成することもできる。
またたとえば、「保留加算コマンド」を受信した場合には、先読み予告抽選により先読み予告(保留変化予告および/または変動中先読み予告)を実行するか否かを決定し、先読み予告を実行する場合には、その演出シナリオを決定して、その演出シナリオのデータをRAM243の対応領域に格納し、先読み予告の実行の際に適宜利用する。また、他の先読み予告、たとえば、天井用保留変化予告(図32)を現出させる場合も同じように、天井用保留変化予告を実行する場合には、その演出シナリオのデータをRAM243の対応領域に格納し、天井用保留変化予告の実行の際に適宜利用する。これにより、通常の先読み予告(保留変化予告、変動中先読み予告)や、天井専用の先読み予告(天井用保留変化予告)の現出を実現する。
上記コマンド解析処理を終えると、続いて、シナリオ更新処理を実行する(ステップS1009)。このシナリオ更新処理では、演出シナリオの実行に必要なタイマの内容を更新、当該タイマ値に基づいて演出シナリオを進行する処理を実行する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、どのような演出手段で現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLED駆動データ更新処理(ステップS1011)や演出役物動作更新処理(ステップS1053)においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLED駆動データ更新処理(ステップS1011)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物動作更新処理(ステップS1053)で作成される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS1010)。このサウンド出力処理では、ステップS1009のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音チャネル毎に設定されている音データに基づき、フレーズやボリュームなどのデータを音響制御部(音源LSI)に出力し、音響制御部を通じてスピーカ46から音演出を現出させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、LED駆動データ更新処理を実行する(ステップS1011)。このLED駆動データ更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ13や各種演出用LEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
以上により、メインループ処理を終了すると、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS1012の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
<31.演出制御側タイマ割込処理:図20>
次に図20を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図20は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(1ms)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図20において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS1051)、ボタン入力状態更新処理を実行する(ステップS1052)。このボタン入力状態更新処理では、操作手段(演出ボタン13、方向キー75)からの操作検出信号の入力状態を監視し、操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をRAM243の所定領域に格納する。この操作検出情報は、図19シナリオ更新処理(ステップS1009)にて、遊技者参加型演出やメニュー画面やメニュー項目に係る情報などを表示する際に利用される。本実施形態では、1回押し、長押し、連打などの検出も可能となっている。
次いで、演出役物動作更新処理を実行する(ステップS1053)。この演出役物動作更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物用のモータ制御データを作成する処理を行う。
次いで、SOL・MOT出力処理を行う(ステップS1054)。このSOL・MOT出力処理では、上記演出役物動作更新処理で作成された可動体役物用の制御データを駆動制御部に出力する。駆動制御部は、制御データに基づく制御信号を、動作対象とする可動体役物の可動体役物モータに出力しその動作を制御する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物(時計型役物80、花型役物90など)による可動体演出が実現される。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS1055)。この液晶コマンド送信処理では、図19のシナリオ更新処理(ステップS1009)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信し、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、RTC情報取得処理を実行する(ステップS1056)。このRTC情報取得処理では、RTCにより計時される日時情報(RTC情報)を取得する。このRTC情報は、RTC情報に基づく演出を現出する際に利用される。
次いで、メインループ更新カウンタをインクリメントする(ステップS1057)。このメインループ更新カウンタは、上述の演出制御側のメイン処理中のステップS1003でリセットされ、本処理でインクリメントされる。したがって、ステップS1057が実行される際には、メインループ更新カウンタ値は0〜15のいずれかとなっている。
上記ステップS1057の処理を終えると、退避していたレジスタの内容を復帰させ(ステップS1058)、タイマ割込処理を終了して、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を実行する。
〔特典付与形態の変形例1:図33〕
上記実施形態では、通常モード中(少なくとも内部遊技状態が通常状態中)に、大当りに当選することなく、所定のゲーム数が実行された場合、天井特典を付与する構成について説明した。しかし本発明はこれに限らず、たとえば、下記付与形態(α)〜付与形態(ζ)とすることができる。
<付与形態(α):図33(イ)>
(α)遊技モードまたは内部遊技状態とは無関係に、実行ゲーム数をカウントし、大当りに当選することなく、当該カウントされたゲーム数が所定のゲーム数(たとえば、1000ゲーム目)に達した場合に天井特典を付与する(図33(イ)参照)。本構成の場合、通常モード(通常状態)のみならず、時短モード(時短状態)中や確変モード(確変状態)中に実行されたゲーム数もカウントされる。したがって、純粋に、今回の大当りから何ゲームハマったのかに応じて、天井特典を付与することができる。
<付与形態(β):図33(ロ)>
(β)「低確率状態を伴う遊技状態(低確遊技状態)」中のゲーム数をカウントし、大当りに当選することなく、当該カウントされたゲーム数が所定のゲーム数(たとえば、1000ゲーム目)に達した場合に天井特典を付与する。本例の場合、高確率状態を伴う遊技状態(高確遊技状態)中に実行されたゲーム数はカウント対象から除外される。ここで、「低確率状態を伴う遊技状態」とは、内部遊技状態に着目した場合は「通常状態」または「時短状態」が該当し、遊技モードに着目した場合は「通常モード」または「時短モード」が該当する。
図33(ロ)は、代表的に、時短大当り1(移行先遊技状態が時短A)と、確変大当り3(移行先遊技状態がST25モード(確変C))と、確変大当り2(移行先遊技状態がST75モード(確変B))と、確変大当り1(移行先遊技状態がST100モード(確変A))とを、本例(付与形態(β))に適用したケースを示したものである。図示では、三者を比較し易いように、いずれも「電サポ100回を付与する大当り」を示してある。各大当りについて、電サポ終了後(101ゲーム目)から天井ゲーム(1000ゲーム目)までに必要なゲーム数(本例において「必要ゲーム数X」と称する)は次の通りとなる。
図33(ロ)を参照して、時短A大当りの場合、大当り遊技終了後から時短回数100回の時短状態に移行され、この時短回数100回分がカウント対象とされる。したがって、必要ゲーム数Xは「900ゲーム」となる(図33(ロ)の「時短A」参照)。
一方、STモード移行契機大当りの場合には、STモードに応じて、電サポ終了後から天井到達までのゲーム数が異なる。具体的には、図33(ロ)の「ST25」、「ST75」、「ST100」を参照して、
ST25モード(ST回数25回+時短回数75回)の場合、ST25回終了後の時短回数75回分がカウント対象とされるため、必要ゲーム数Xは「925ゲーム」となる。
ST75モード(ST回数75回+時短回数25回)の場合、ST75回終了後の時短回数25回分がカウント対象とされるため、必要ゲーム数Xは「975ゲーム」となる。
ST100モード(ST回数100回)の場合、電サポ終了までの100ゲーム間はSTモード中となるため、この100ゲーム分はカウント対象から除外される。したがって、必要ゲーム数Xは1000ゲームとなる。STモードの場合は、相対的に利益度合が低いSTモードほど、電サポ終了後から天井ゲーム数までの必要ゲーム数が少なくなる。
図示の関係を纏めれば、上記「必要ゲーム数X」に関し、「時短A(時短回数100回)<ST25モード<ST75モード<ST100モード」の関係となる。すなわち、利益度合が相対的に低い遊技モード(内部遊技遊技状態)に移行されるほど、電サポ終了後からの天井到達までの必要ゲーム数(通常モード(通常状態)中における必要ゲーム数)が減少する、という特異な関係となる。この「通常モード(通常状態)で実行すべき必要ゲーム数が減少する」という点は、天井特典とは別の性格の救済機能であるともいえる。
<付与形態(γ):図33(ハ)>
(γ)特定の変動パターン選択モード(特定のTcode)中のゲーム数をカウントし、大当りに当選することなく、当該カウントされたゲーム数が所定ゲーム数に達した場合に天井特典を付与する。本例の理解を容易なものとするために、仮想的な遊技機として、通常モードに相当する遊技モードとして、変動パターン選択モードが異なる「通常Aモード」と「通常Bモード」の2つの遊技モードを含む複数種類の遊技機モードを移行制御可能な遊技機を例にとり説明する。この場合、図33(ハ)に示すように、たとえば、カウント対象を「通常Bモード」における実行ゲーム数とする。この場合、「通常Aモード」の実行ゲームはカウント対象外となるため、通常Aモードでいくらゲームが実行されても天井特典が付与されることがないが、「通常Bモード」中に実行されたゲーム数が所定のゲーム数に達すれば天井特典が付与される、という構成とすることができる。なお、「通常Aモード」と「通常Bモード」の移行条件(変動パターン選択モードの移行条件)としては、たとえば、「小当りに当選した場合にモード移行を生じさせる」または「実行ゲーム数(変動回数)に応じて、モード移行を生じさせる」などがある。本例を利用して、下記(A)または(B)のような遊技性を作り出すことができる。
[(A)小当り当選に起因して、変動パターン選択モードの移行を生じさせるケース]
小当り当選に起因して変動パターン選択モードの移行を生じさせるケースについて説明する。本ケースの例として、たとえば、特図1側に小当り(当選確率1/50)を設け、変動パターン選択モードの移行に関し、「通常Aモード」中に小当り(昇格抽選)に当選した場合に「通常B」に移行させ(小当り遊技後に通常Bモードに移行する)、「通常Bモード」中に再度小当りに当選した場合(転落抽選)に当選した場合に「通常Aモード」に移行させる(小当り遊技後に通常Aモードに移行する)。そして、天井特典付与に関し、「通常Bモード」中において小当りまたは大当りに当選することなく所定のゲーム数(たとえば、70ゲーム)ハマった場合に(通常Bモード中に70ゲーム連続してハズレの場合)天井特典を付与する。
本ケースの場合、通常Aモード中にいくらハマっても天井特典が付与されることはないが、通常Bモード中に70ゲームハマった場合には天井特典が付与されることになる。したがって、通常Bモードを遊技者に有利な“天井特典付与チャンス期間”つまり「チャンスゾーン」として機能させるという斬新な遊技性を作り出すことができる。なお、小当りは複数設けてもよく、たとえば、通常Aモード中に第1小当りに当選した場合に通常Bモードに移行させ、通常Bモード中に第2小当りに当選した場合に通常Aモードに移行させてもよい。この場合、第1小当りと第2小当りとが異なる当選確率であってもよいし、同一の当選確率であってもよい。また、設定値に応じた小当りの当選確率を定めることができる。たとえば、設定値が高いほど第1小当り(通常Bモード(チャンスゾーン)への移行契機となる小当り)の当選確率を高くなるようにし、第2小当り(通常Aモードへの移行契機となる小当り)の当選確率を低く定めれば、高設定になるほど、通常Bモードからの転落確率が低くなる。つまり、設定値が高くなるなるほど、天井特典の付与確率が高くなる、という遊技性を作り出すことができる。なお、小当りの当選確率、カウント対象の変動パターン選択モード、天井特典付与のゲーム数については、遊技性を考慮して適宜定めることができる。
[B:変動回数に起因して変動パターン選択モードの移行を生じさせるケース]
次に、変動回数に起因して変動パターン選択モードの移行を生じさせるケースについて説明する。本ケースの例として、たとえば、変動パターン選択モードの移行に関し、通常Aモード中に第1ゲーム数(たとえば、50ゲーム)実行された場合に「通常Bモード」に移行させ、「通常Bモード」中に第2ゲーム数(たとえば、40ゲーム)実行された場合に「通常Aモード」に移行させる。そして、通常Bモード中のゲーム数が所定のゲーム数(たとえば、400ゲーム)に達した場合に天井特典を付与する。この例では、通常Bモードに10回移行されると天井到達ゲーム数の400ゲームに達することができる。なお、天井到達ゲーム数を固定的なものとするのではなく、たとえば、400ゲーム、600ゲーム、800ゲームなどの複数種類のゲーム数を設け、抽選によりいずれかのゲーム数を決定可能に構成してもよい。この場合、天井到達ゲーム数がランダム化され、遊技の面白みを向上させることができる。また、設定値が高いほど相対的に少ないゲーム数(400ゲーム)が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多いゲーム数(800ゲーム)が選択され易いという様に、天井到達ゲーム数の抽選確率を設定値に応じて定めれば、高設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたり、逆に低設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたりすることができる。また、天井到達ゲーム数の違いにより、設定推測要素を遊技者に与えることもできる。
また、特定の変動パターン選択モードのゲーム数をカウント対象とするのではなく、「特定の変動パターン選択モードへの移行回数」をカウント対象としてもよい。この場合、特定の変動パターン選択モード(本例の場合、通常Bモード)への移行回数が所定回数(たとえば、10回)に達した場合に天井特典を付与することができる。また、複数種類の上記移行回数を設け(たとえば、7回、8回、9回、10回など)、抽選(移行回数抽選)によりいずれかの移行回数を決定可能な構成してもよい。この場合、設定値が高いほど相対的に少ない移行回数(たとえば、7回)が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多い移行回数(たとえば、10回)が選択され易いという様に、移行回数の抽選確率を設定値に応じて定めれば、高設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたり、逆に低設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたりすることができる。また、天井到達ゲーム数の違いにより、設定推測要素を遊技者に与えることもできる。
<付与形態(δ)>
また、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動回数)をカウント対象とするのではなく、(δ)「普図変動表示ゲームの実行回数(普図の変動回数)」をカウント対象としてもよい。この場合、低確率状態(通常状態および/または時短状態)を伴う遊技状態中の「普通図柄の変動回数」をカウントすることが好ましい。たとえば、通常モード(通常状態)中の普図変動表示ゲームの実行回数をカウントして、所定のゲーム数(たとえば、2000ゲーム目)に達した場合、天井特典を付与することができる。
<付与形態(ε)>
また(ε)条件装置が作動しない「小当り」の当選回数をカウントし、大当りに当選するこなく、その当選回数が所定回数に達した場合に天井特典を付与することができる。たとえば、小当りの当選確率を1/100とし、小当りの当選が10回に達した場合に、天井特典を付与する。なお、「小当り」の当選回数に替えて、小当りに当選した場合の特別電動役物の作動回数(小当り遊技の実行回数)をカウントしてもよい。また、複数種類の上記当選回数を設け(たとえば、7回、8回、9回、10回)、抽選(天井移行当選回数抽選)によりいずれかの回数を決定可能に構成してもよい。この場合、設定値が高いほど相対的に少ない当選回数(たとえば、7回)が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多い当選回数(たとえば、10回)が選択され易いという様に、各当選回数の抽選確率を設定値に応じて定めれば、高設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたり、逆に低設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたりすることができる。また、天井到達ゲーム数の違いにより、設定推測要素を遊技者に与えることもできる(次に述べる「付与形態ζ」も同様)。
<付与形態(ζ)>
また(ζ)「補助当り」の当選回数をカウントして、所定の当選回数に達した場合に、天井特典を付与することができる。この場合、少なくとも補助当り抽選確率が低確率状態(普通図柄確変機能非作動)を伴う遊技状態(通常状態および/または潜確状態)における当選回数をカウントすることが好ましい。なお、「補助当り」の当選回数に替えて、普電開放遊技の実行回数をカウントしてもよい。
上記付与形態(ε)および(ζ)の付与形態は、天井特典を付与する条件が、図柄変動表示ゲームの実行回数(図柄の変動回数)に依存しない点に特徴がある。
なお、上記実施形態、付与形態(α)や付与形態(β)について、所定のゲーム数(天井ゲーム数)に達した場合に天井特典を付与すると説明したが、本発明はこれに限らず、上記付与形態(γ)のように、所定の抽選(天井ゲーム数抽選)により天井ゲーム数を決定可能に構成してもよい。具体的には、複数種類の天井ゲーム数を設け(たとえば、500ゲーム、700ゲーム、1000ゲーム)、抽選によりいずれかの天井ゲーム数を決定可能な構成とすることができる。この場合も設定値が高いほど相対的に少ないゲーム数が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多いゲーム数が選択され易いという様に、各天井ゲーム数の抽選確率を設定値に応じて定めることができる。
〔特典付与形態の変形例2(分割特典付与形態):図34〕
上記実施形態と特典付与形態の変形例1では、天井発動契機が1回(1000ゲーム目に天井特典を付与)の形態について説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数回(少なくとも2回)の特典発動契機(小特典付与契機)を定め、各特典発動契機による付与される小特典により、大特典(たとえば、天井特典と同等の利益)を付与可能な構成とすることができる(分割特典付与形態)。この変形例2は、複数回の特典発動契機を利用するという点で、「遊技者を大ハマリから救済するために特典を付与する」という目的よりも、特定の遊技状態(たとえば、通常状態(通常モード))中のベースアップ」の目的が強いものとなっている。
この変形例2の代表例としては、たとえば、大当り間で付与する時短回数に上限を設け、その上限の時短回数を複数回に分けて付与する構成である。具体的には、時短回数100回の有限時短という“大特典(天井特典に相当)”を、時短回数25回の有限時短という“小特典”により4回に分けて付与(分割付与)する構成である。したがって、本変形例は下記の関係式(10)を満たす。
付与する時短回数の上限(以下「上限時短回数」と称する)をX回、付与回数をY回、上限時短回数分を分割した回数(以下「分割時短回数」と称する)をZk回(k=1〜Y:以下、単に「Z」と表記する場合がある)とした場合、
「ΣZk=X k=1〜Y」・・・式(10)
を満たす。たとえば、上限時短回数Xを100回、分割付与回数Yを4回とした場合、次回大当りに当選するまでに、4回付与した場合における分割時短回数の合計(Z1+Z2+Z3+Z4)が、上限時短回数の100回(Z1+Z2+Z3+Z4=100)となるように時短状態を付与する。なお、分割時短回数Zkは、それぞれ同一または略同一の分割時短回数としてもよいし、少なくとも1つが異なる分割時短回数としてもよい。すなわち、同一または略同一利益の小特典を分割付与する構成であってもよいし、異なる小特典を分割付与する構成であってもよい。前者の例としては、たとえば、時短回数25回を4回に分けて付与し上限時短回数100回とする(同一の分割時短回数を付与)、後者の例としては、たとえば、初回〜4回目の分割時短回数を「20回、20回、20回、および40回」とする(一部が異なる分割時短回数)、「15回、35回、20回および30回」とする(それぞれ異なる分割時短回数)などである。また、ハマリゲーム数が相対的に多くなるほど、利益度合が相対的に高い小特典を付与する構成としてもよい。たとえば、初回〜4回目の分割時短回数を「10回、20回、30回および40回」とすることができる。
なお、上限時短回数X、付与回数Y、および分割時短回数Zをどのような値に定めるかは、遊技性などを考慮して適宜定めることができる。たとえば、上限時短回数Xを「上限時短回数X>大当りによる最大時短回数」の関係を満たす回数(たとえば、300回)に定めることができる。しかし、過度な特典付与にならないように、上限時短回数Xを、少なくとも「上限時短回数X≦大当りによる最大時短回数(100回)」を満たす関係または「大当りによる最小時短回数(50回)≦上限時短回数X<大当りによる最大時短回数(100回)」を満たす関係とすることが好ましい。
また、特典発動契機(付与回数Y)は複数存在すればよく、たとえば、「遊技状態によらず、何ゲーム目に付与するかまたは何ゲーム実行された場合に付与するか」、「特定の遊技状態の何ゲーム目に付与するか」、「特定の遊技状態で何ゲーム実行された場合に付与するか」などについても適宜定めることができる。
また、上限時短回数分の時短回数(大特典)が付与された後は、これ以上の時短状態は付与されず、次回大当りまで特典は付与されないようになっている。大特典の付与を終えた後は、十分な特典が付与された、換言すれば、救済機能を果たしたものとして、以後、次回大当りまで特典を付与しない。しかし、別途、天井特典(図7、図23)を付与してもよい。たとえば、分割特典付与が終了した後、次回大当りに当選することなく、所定のゲーム数が1000ゲームハマった場合に、天井特典を付与することができる。また、複数の特典発動契機のうち少なくとも1つにおいて、設定示唆演出を現出可能に構成することができる。この場合、特典発動契機(特典付与ゲーム)が到来により特典付与に加えて設定示唆情報も得ることができるため、遊技の面白みを向上させることができる。
またここでは、大特典として有限時短を付与する構成について説明したが、有限確変または有限潜確にも適用することができるのは勿論のことである。この場合、上述の「時短回数」を「ST回数」に、「時短状態」を「確変状態」または「潜確状態」に適宜読み替えれば、有限確変(大特典)を分割付与(小特典の有限確変を複数回付与)する構成、または有限潜確(大特典)を分割付与(小特典の有限潜確を複数回付与)する構成の概念になる点は自明である。たとえば、上限時短回数Xを「上限ST回数X」、分割時短回数Zを「分割ST回数」などと適宜読み替えればよい。その一例として、上記式(10)であれば、付与するST回数の上限(上限ST回数)をX回、付与回数をY回、上限ST回数分を分割した回数(分割ST回数)をZk回(k=1〜Y)とした場合、「ΣZk=X k=1〜Y」を満たす、と読み替えればよい。
(変形例2の具体例:図34)
本変形例(変形例2)は、大別すると、「所定のゲーム数が実行される毎に小特典を付与していく」といった周期的(定期的)に特典を付与する“周期的付与形態”と、周期的には分割付与しない“非周期的付与形態”とがある。図34を用いて、先ず、周期的付与形態について説明する。
[周期的付与形態]
<A.周期的付与形態の具体例1(付与形態(κ)):図34(イ)>
図34(イ)は、周期的付与形態の一例(付与形態(κ))を示したものである。図34(イ)は、大当りによる電サポ終了後(図示のp0)の通常状態(通常モード)中に、図柄変動表示ゲームが所定のゲーム数(ここでは、100ゲーム)実行される毎に(図示のp1、p3、p5、p7)、小特典の「時短回数25回(分割時短回数25回)の有限時短」を付与するものである。ここでは、付与回数を4回とし、この計4回の小特典を付与することを以て、大特典である「時短回数100回の有限時短(上限時短回数100回の時短状態)」の付与を完結するケースを示している。
詳しくは図34(イ)に示すように、電サポ終了後(p0)の1〜100ゲーム目(p1)までの100ゲーム間は通常状態に制御され(分割付与無し期間)、101ゲーム目に初回の特典発動契機(特典付与契機)が到来して、小特典の有限時短(時短回数25回)が付与され、101〜125ゲーム目(p2)までの25ゲーム間が時短状態に制御される(初回の小特典による時短状態に制御)。
次いで、126〜225ゲーム目(p3)までの100ゲーム間は再度通常状態に制御され(分割付与無し期間)、226ゲーム目に2回目の特典発動契機が到来して、小特典の有限時短(時短回数25回)が付与され、226〜250ゲーム目(p4)までの25ゲーム間が時短状態に制御される(2回目の小特典による時短状態に制御)。
次いで、251〜350ゲーム目(p5)までの100ゲーム間は再度通常状態に制御され(分割付与無し期間)、351ゲーム目に3回目の特典発動契機が到来して、小特典の有限時短(時短回数25回)が付与され、351〜375ゲーム目(p6)まで時短状態に制御される(3回目の小特典による時短状態に制御)。
そして、376〜475ゲーム目(p7)まで再度通常状態に制御されて、476ゲーム目に最終回(4回目)の特典発動契機が到来して、小特典の有限時短(時短回数25回)が付与され、476〜500ゲーム目(p8)まで時短状態に制御(4回目の小特典による時短状態に制御)され、以上を以て、大特典である「時短回数100回の有限時短」の付与が完結する。すなわち、周期的(100ゲーム毎)に小特典(時短回数25回)が4回に分けて分割付与され、電サポ終了後から500ゲームハマると上限時短回数100回分のすべてが付与されることになる。このような付与形態は、換言すれば、「通常状態中の実行ゲーム数100回+時短回数25回」という遊技期間を1セットとして最大4セットを付与することと同事象になり、リミッタ機能を備えた特典付与機能ともいえる。なお、演出モードについては図示を省略してあるが、上記実施形態(図6、図7)のように、通常状態(通常モード)であれば通常演出モードに、時短状態(時短モード)であれば時短演出モード(空戦モード)のように、遊技状態に応じた演出モードに移行制御可能に構成すればよい。
(無限系の特典を付与する場合について)
上記の例では、大特典として有限時短を分割付与する構成について説明したが、上限時短回数が無限、すなわち「無限時短」を分割付与する構成とすることもできる。大特典が「無限時短」の場合には、たとえば、次回の大当りに当選するまで、100ゲーム毎に、所定の分割時短回数(小特典)を永続的に付与していく構成とすればよい。また、図34(イ)と同じく100ゲーム毎に分割時短回数25回を付与するが、476ゲーム目(最終付与目のp7)に、分割時短回数として無限回数を付与する構成としてもよい。この場合は、501ゲーム目以降も時短状態が継続されうることになる。勿論、上限ST回数が無限の無限確変や無限潜確を分割付与する構成とすることができる。この場合、既に説明したのと同様に、上述の「時短回数」を「ST回数」、「時短状態」を「確変状態」または「潜確状態」に適宜読み替えればよい。
<B.周期的付与形態の具体例2(付与形態(κ)):図34(ロ)>
上述の付与形態(κ)では、「天井特典を分割付与する」という周期的付与形態について説明した。次に、その他の周期的付与形態として、大当りの当選によって付与される利益状態の「無限時短」、「有限時短」、「無限確変」、「有限確変」、「無限潜確」、または「有限潜確」などを、複数回の特典発動契機により分割付与する構成(付与形態(λ))について説明する。
本例は、大当りの当選によって付与される時短状態(無限時短、有限時短)、確変状態(無限確変、有限確変)、潜確状態(無限潜確、有限潜確)などの利益を、複数回の特典発動契機により分割付与していく構成である。つまり、上記実施形態のように(図4、図6〜図7等を参照)大当り遊技後に全時短回数や全ST回数を直ちに付与するのではなく、長期間の遊技期間にわたり小出しに付与していく構成である。本例では、時短大当りの場合は、大当りにより付与される時短回数が「上限時短回数」(大特典)に相当し、分割付与される時短回数が上記「分割時短回数」(小特典)に相当する。また、確変大当りまたは潜確大当りの場合は、大当りにより付与されるST回数が「上限ST回数」(大特典)に相当し、分割付与されるST回数が上記「分割ST回数」(小特典)に相当する。図34(ロ)に、その具体例を示す。
図34(ロ)は、本例(付与形態(λ))の代表例として、時短回数がそれぞれ異なる時短大当りα〜γ(時短回数50回の有限時短大当り、時短回数100回の有限時短大当り、無限時短大当り)に当選したケースを例示してある。図(A)は、時短回数50回の時短大当り(図4の時短大当り2に相当)に当選した場合に時短回数を分割せずに付与する通常付与のケースを示し、図(B)は、時短回数100回の時短大当り(図4の時短大当り1に相当)に当選した場合に、その時短回数100回を2回に分けて分割付与するケース(分割時短回数50回を2回に分けて分割付与するケース)を示し、図(C)は、無限(実質無限となる回数を含む)の時短回数を付与する時短大当りに当選した場合に、初回に時短回数50回を付与し、2回目に無限回数を付与するケースを示したものである。
図34(ロ)を参照して、図(A)〜(C)に示すように、時短大当りα〜γのいずれかに当選した場合には、どの大当りに当選した場合も、最初に時短回数50回が付与され、その後、当選した大当り種別に応じて異なる遊技遷移を辿る。ここで、図示のように、演出モードを共通化するように定めた場合には、次に述べる遊技性を作り出すことができる。
(時短回数秘匿遊技)
時短大当りα〜γが当選した場合に、図柄変動表示ゲーム中の演出(装飾停止図柄を含む予告演出など)および当り中演出において当選した大当り種別を秘匿状態とする。そして、大当り遊技後の演出モードも、初回の時短回数50回(1〜50ゲーム間)まで共通の時短演出モード(空戦モード:図29〜図31参照)であり(図示のa0〜p0の区間)、その後の51ゲーム目〜150目までも共通の通常演出モード(たとえば、一般演出モード)である(図示のp0〜p1の区間)。したがって、150ゲーム目が経過するまで当選した大当り種別が演出から秘匿され、この間、遊技者は時短大当りβまたは時短大当りγの当選に期待を寄せながら遊技に興じることになる。ここで、今回当選した大当りが時短大当りαであった場合は、151ゲーム目以降(p1以降)も通常演出モードが継続されるため、この時点で、今回当選した大当りが時短大当りαであったことが判明することになる。しかし、当選した大当りが時短大当りβまたは時短大当りγの場合はいずれも151ゲーム目に時短状態が発生して、再度、時短演出モードに移行されるため、この段階では、時短大当りβまたは時短大当りγのどちらに当選したのかは秘匿状態である。したがって、遊技者は、時短状態が200ゲーム(図示のp2)で終了しないことを願いながら(時短大当りγの当選に期待を寄せながら)遊技に興じることになる。そして、201ゲーム以降も時短状態が継続すれば、当選した大当りが時短大当りγ、つまり無限時短であることが確定し、遊技者は安心して、次回大当りまで高ベース状態下にて遊技を進めることができる。このように、秘匿状態の時短回数を段階的に公開していくことにより、遊技者の電サポ継続への期待感、電サポ終了の緊張感、電サポ継続が判明したときの高揚感を煽るといった遊技性(時短回数秘匿遊技)を作り出すことができる。なお、無限時短が判明する201ゲーム以降の時短状態下は、通常の時短演出モード(空戦モード)としてもよいが、図示のように、通常の時短演出モードとは異なる特別な時短演出モード(たとえば、空戦モードとは異なる背景表示(不図示)となる)を現出させ、無限時短であったことを確定的に報知してもよい。
なお上記では、時短回数がそれぞれ異なる時短大当りα〜γ(時短回数50回の有限時短大当り、時短回数100回の有限時短大当り、無限時短大当り)の三者の関係について説明したが、少なくとも時短回数が異なる2つの時短大当りであれば、上記のような時短回数秘匿遊技を実現することができる。また図34(ロ)の例では、時短回数がそれぞれ異なる時短大当りα〜γについて説明したが、ST回数がそれぞれ異なる複数の確変大当り(たとえば、ST回数50回の有限確変大当りα、ST回数100回の有限確変大当りβ、無限確変大当りγ)についても同事象であり、この場合は、秘匿状態のST回数を段階的に公開していくといった「ST回数秘匿遊技」を実現することができる。
[非周期的付与形態]
<付与形態(μ)>
上記した付与形態(κ)(λ)では、周期的に小特典を付与していく形態を説明したが、非周期的に小特典を付与していく形態であってもよい(非周期的付与形態)。たとえば、特典発動契機が200ゲーム目、350ゲーム目、600ゲーム目、および800ゲーム目などである。非周期的付与形態とする場合には、複数の特典発動契機を抽選により決定可能な構成としてもよいし、特典発動契機シナリオ(複数の特典発動契機ゲーム数が予め定められているシナリオ)を複数設け、抽選によりいずれかの特典発動契機シナリオを決定可能な構成としてもよい。その他の点(大特典、小特典に関する事項など)は、上記した付与形態(κ)(λ)で述べたものと重複するため、詳細な説明は省略する。
[その他の付与形態]
<付与形態(ν)>
上記分割特典付与形態では、大特典の利益を上限に小特典を分割付与する形態について説明した。しかし大特典の利益を上限としない構成としてもよい。
たとえば、周期的または非周期的に「特定特典」を付与していくが、その付与される利益の上限は設けない、という構成である。端的言えば、大特典が無限系特典(無限時短、無限確変または無限潜確)であり、小特典が有限系特典(所定の時短回数の時短状態、所定のST回数の有限確変または所定のST回数の有限潜確)であり、小特典を付与回数Yに制限なく、次回の大当りまで、周期的または非周期的に付与していくという構成である。
しかし本例は、付与回数Yに制限が無い点(無限回数である点)で、上限のある「分割付与」とは性格を異にする。本例について、たとえば、図34(イ)を用いて説明すれば、小特典の「時短回数25回の有限時短」を周期的に付与(通常状態中の100ゲーム毎に付与)するが、その付与がp8時点(4回目)で完結することなく、次回の大当り当選まで永続的に付与する、という付与形態となる。
また、たとえば図34(ロ)(C)を用いて説明すれば、p2の時点で、付与する特典を「無限時短」に切り替えるのではなく、小特典の「時短回数50回の有限時短」を、p2以降も周期的に付与(通常状態中の100ゲーム毎に付与)する、という付与形態となる。
なお、付与回数が所定の規定回数または所定の規定ゲーム数に達した場合、小特典の有利度(利益状態)を高くしてもよい。たとえば、図34(イ)を用いて説明すれば、付与回数が10回に達した場合、現在の小特典の「時短回数25回の有限時短」よりも相対的に有利度が高い「時短回数50回の有限時短」(中特典)とすることができる。小特典から中特典への切替条件は、所定の規定付与回数および/または所定の規定ゲーム数に達した場合とすることができる。
<付与形態(ξ)>
アウト球数が所定個数に達した場合に、天井特典を付与することができる。たとえば、電源投入後からアウト球数が所定個数に達した場合に天井特典を付与することができる。
また、大当りに当選することなく、アウト球数が所定個数に達した場合に天井特典を付与することができる。この場合、特定の遊技モード(たとえば、通常モード)または特定の内部遊技状態(たとえば、通常状態)中に、大当りに当選することなく、アウト球数が所定個数に達した場合に天井特典を付与してもよい。
上記した実施形態は、下記の構成(1)〜構成(6)とすることができる。なお括弧内は実施形態における対応要素を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)遊技領域(図2の遊技領域3a)に遊技球を発射可能な発射手段(発射装置13、図3)と、
始動手段(始動口34、35)が遊技球を検出したことを契機に、複数種類の当りを対象に抽選を行う抽選手段(図15のS410)と、
上記抽選手段による抽選結果が当りである場合、当り遊技を実行制御する当り遊技実行制御手段(図17)と、
図柄の変動表示を行い、当該図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段(特別図柄表示装置38a、38b)と、を備える遊技機であって、
上記当りとなる抽選確率が所定の通常確率の低確率状態を伴う低確遊技状態と、当該通常確率よりも高確率となる高確率状態を伴う高確遊技状態とを制御可能な遊技状態制御手段(図12のS412、図15、図18、図21、図22)と、
所定の開始条件が成立した後、上記当り遊技実行制御手段により上記当り遊技が発生されずに、上記低確遊技状態で実行された図柄の変動回数が所定の上限回数(たとえば、1000回)に達した場合に通常状態よりも遊技者に有利な特典遊技状態(天井特典(図7、図23))に制御する特典遊技状態制御手段(図7(天井モード、天国モードの欄)、図12のS420〜S421、S412、図13〜図15、図23、図33など)と、を備える、
ことを特徴とする遊技機。
(2)始動手段への入球状態が通常遊技状態よりも有利な入球有利状態(たとえば、電サポ有り状態)を伴う有利遊技状態(たとえば、時短状態)に制御する有利遊技状態制御手段(図6(時短モードの欄)、図12のS412、図15、図16A〜図16B、図18、図21、図22、図28など)をさらに備え、
上記有利遊技状態制御手段は、上記当り遊技後に上記有利遊技状態を制御可能に構成された、
ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
(3)上記特典遊技状態と上記有利遊技状態とは、遊技者に対する有利度が異なる(たとえば、天井特典による時短回数と、大当りによる時短回数とが異なるケース)、
ことを特徴とする上記(2)に記載の遊技機。
(4)上記有利遊技状態制御手段は、
上記抽選手段により当選した当り種別に応じて、少なくとも第1有利遊技状態(たとえば、時短B)と、当該第1有利遊技状態よりも有利度が高い第2有利遊技状態(たとえば、時短A)とを少なくとも制御可能に構成された、
ことを特徴とする上記(2)に記載の遊技機。
(5)上記特典遊技状態制御手段は、
上記特典遊技状態として上記第1有利遊技状態に制御する(たとえば、天井特典による時短回数が時短Bと同じ50回の時短状態が付与されるケース)、
ことを特徴とする上記(4)に記載の遊技機。
(6)上記特典遊技状態制御手段は、
上記特典遊技状態として上記第2有利遊技状態に制御する(たとえば、天井特典による時短回数が時短Aと同じ100回の時短状態が付与されるケース)、
ことを特徴とする上記(4)に記載の遊技機。
(7)遊技状態に関連する複数種類の演出モードを制御可能な演出制御手段をさらに備え(演出制御部24)、上記特典遊技状態に係る演出モードと上記有利遊技状態に係る演出モードとは異なる演出モードである(たとえば、時短演出モード(図6、図29)、天国演出モード(図7))、
ことを特徴とする上記(2)〜(6)のいずれかに記載の遊技機。
また上記した実施形態と、その変形例に関する付与形態(付与形態(α)〜(μ):図33〜図34))は、下記の(構成A)〜(構成G)とすることができる。
(構成A)
遊技領域に遊技球を発射可能な発射手段と、
始動手段が遊技球を検出したことを契機に、当りに関する抽選を実行する抽選手段と、
図柄の変動表示動作を行い、当該図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段と、
所定の発生条件に基づき、遊技者に有利な利益状態を発生可能な利益状態発生手段と、を備えた遊技機であって、
上記利益状態発生手段は、
上記抽選手段による抽選に当選した場合、当り遊技を実行制御する当り遊技実行制御手段と、
上記当り遊技が終了した後、第1利益状態を発生させる第1利益状態発生手段と、
所定の開始条件が成立した後、上記当り遊技が実行されることなく、特定発生条件が成立した場合に第2利益状態を発生させる第2利益状態発生手段と、を備える、
ことを特徴とする遊技機。
(構成B)
上記第1利益状態と第2利益状態とは同一の利益状態である、
ことを特徴とする上記構成Aの遊技機。
(構成C)
上記第1利益状態と第2利益状態とは異なる利益状態である、
ことを特徴とする上記構成Aに記載の遊技機。
(構成D)
上記第1利益状態よりも上記第2利益状態の方が利益状態が低い、
ことを特徴とする上記構成Aに記載の遊技機。
(構成E)
上記第1利益状態は、上記当り遊技の終了後に開始された後、所定遊技期間が経過した場合に終了し、
上記第2利益状態は、上記特定発生条件の成立後に開始された後、所定遊技期間が経過した場合に一旦終了し、再度上記特定発生条件が成立した場合に上記第2利益状態が再開される、
ことを特徴とする上記構成Aまたは上記構成Bに記載の遊技機。
(構成F)
上記第1利益状態は、上記当り遊技の終了後に開始された後、所定の遊技回数が経過した場合に終了し、
上記第2利益状態は、上記特定発生条件の成立後に開始された後、上記当り遊技に当選するまで継続する、
ことを特徴とする上記構成Aまたは上記構成Cに記載の遊技機。
(構成G)
上記第1利益状態は、上記当り遊技の終了後に開始された後、第1遊技期間が経過した場合に終了し、
上記第2利益状態は、上記特定発生条件の成立後に開始された後、上記第1遊技期間より短い第2遊技期間が経過した場合に終了し、再度上記特定発生条件が成立した場合に上記第2利益状態が再開される、
ことを特徴とする上記構成A、上記構成C、上記構成Dのいずれかに記載の遊技機。
<電サポ有り状態下における出玉性能>
ところで、近年では、法的要請により、射幸心を煽ることを適度に抑制することが求められている。時短状態または確変状態では、電サポ有り状態となり、通常状態(電サポ無しの低ベース状態)よりも高ベース状態下に制御される。この電サポ有り状態(高ベース状態)下は、遊技者が通常状態よりも持ち玉を減らすことなく、次回の大当り当選を狙えるという遊技者に有利な遊技状態である。しかし、射幸心を煽ることを抑制するためにベース値(いわゆる、出玉率:「セーフ球数/アウト球数」×100)を過度に下げてしまうと、電サポ有り状態でありながら遊技者の持ち玉が減少するスピードが速まり、遊技者の遊技意欲を減退させてしまうばかりか、結果的に、遊技者の使用する金額(消費金額)が増えるという事態を招来してしまい、遊技者の遊技意欲を減退させてしまう。特に、天井特典として無限時短や無限確変が付与された場合には、遊技者の殆どが次回の大当りが当選するまで遊技を続行するため、次回の大当り当選までのゲーム数が嵩めば嵩むほど持ち玉も減少して行ってしまう。すなわち、遊技者にとっては、散々大ハマリをした上に天井特典中においても投資金額が増えてしまう事態に直面してしまい、遊技意欲が著しく減退してしまう。このように、折角の天井特典の恩恵を受けようとして遊技を続行しても使用金額も増加していくでは、ハマリ救済機能としての天井機能の意義が没却され、かえって射幸心を煽ることにも成り兼ねないという問題がある。
そこで、持ち球が極端に減少しない工夫が必要となる。たとえば、高ベース状態の出玉率(ベース値)が、少なくとも「100%≦出玉率」とすることが、遊技者の遊技意欲および射幸心の抑制の観点から適切なものであるといえる。好ましくは「100%≦出玉率≦120%〜130%」である。このような高ベース状態の出玉率を実現するための具体的構成について、以下詳細に説明する。
本実施形態の場合、既に説明したように、遊技状態に応じて「左打ち」か「右打ち」のどちらか有利な方向に打ち分けるため、電サポ無し状態下であれば「左打ち有利」となるため、左流下経路3bに属する一般入賞口43a〜43d(第1一般入賞手段)と上始動口34(第1始動手段)とには入賞可能性があるが、右流下経路3cに属する一般入賞口43e(第2一般入賞手段)と下始動口35(第2始動手段)は入賞することはない。一方、電サポ有り状態下であれば「右打ち有利」となるため、右流下経路3cに属する一般入賞口43eと下始動口35(特図2始動口)とには入賞可能性があるが、左流下経路3bに属する一般入賞口43a〜43dと上始動口34(特図1始動口)とには入賞することはない。また、一般的な遊技機では、電サポ無し状態(通常状態または潜確状態)中の出玉率(低ベース時出玉率)は概ね30%〜40%(少なくとも100%未満、好ましくは、50%未満)、電サポ有り状態(時短状態または確変状態)中の出玉率(高ベース時出玉率)は概ね80%〜95%で、いずれも出玉率が100%未満である(打ちっぱなしにしていた場合)。仮に遊技機1で説明すれば、想定される出玉率の設計値は、たとえば、電サポ無し状態中の1分当りの平均入賞個数に関し、一般入賞口43a〜43d(賞球数3個)がそれぞれ2個、0.6個、0.4個、1.04個であり、上始動口34(賞球数4個)が「5.52個」であれば低ベース時出玉率は34.2%となり、他方、電サポ無し状態中の1分当りの平均入賞個数に関し、一般入賞口43e(賞球数3個)が12.5個、下始動口35(賞球数1個)が58.2個であれば高ベース時出玉率は95.7%である。
ここで、本実施形態に係る遊技機1のように、遊技状態に応じて「左打ち」か「右打ち」かに打ち分けが必要となる遊技機の場合、上記高ベース時出玉率を極端に減少させないためには、一般入賞口43a〜43e(賞球数3個)、上始動口34(賞球数4個)、下始動口35(賞球数1個)の配置構成や賞球数を工夫することにより実現できる。具体的には、下記(A)〜(H)の手法により実現可能である。
(A)一般入賞口43eおよび/または下始動口35(普通変動入賞装置41側の始動口(電チュー付始動口))の賞球数を増やす。具体的には、左流下経路3bに属する一般入賞口の賞球数よりも右流下経路3cに属する一般入賞口の賞球数の方が多い賞球数に定める。または、左流下経路3bに属する一般入賞口の賞球数よりも下始動口35の賞球数の方が多い賞球数に定める。或いは、左流下経路3bに属する一般入賞口の賞球数よりも、右流下経路3cに属する一般入賞口および下始動口35の賞球数の方を多い賞球数に定める。たとえば、一般入賞口43eを4個としたり、下始動口35を2個とするなどである。
(B)少なくとも一般入賞口43eの数を増やす(右流下経路3cに属する一般入賞口の数を1個から2個に増やし、右打ち時の一般入賞口に対する入賞個数(入賞個数/分)を底上げする)。具体的には、左流下経路3bに属する一般入賞口の数(設置数)よりも右流下経路3cに属する一般入賞口の数(設置数)の方が多くなるように構成する。本実施形態では、左流下経路3bに属する一般入賞口が4個(一般入賞口43a〜43d)配置されているが、たとえば、これを1個とし、右流下経路3cに属する一般入賞口43eをそれよりも多い2個〜4個とするなどである。
(C)少なくとも一般入賞口43eの入賞率(入球率)を高める(たとえば、12.5個/分から20個/分に上昇させる)。複数の一般入賞口43eを設ける場合には、少なくとも1つの入賞率を高める。具体的には、左流下経路3bに属する一般入賞口の入球率Nよりも右流下経路3cに属する一般入賞口の入球率Mが高くなるように定める。
なお、本実施形態の場合、一般入賞口43a〜43dが複数配置されているため、次のように構成してもよい。一般入賞口43a〜43dのうち最も低い入球率を「Nmin」とし、最も高い入球率を「Nmax」とした場合、次の関係式(式1)または(式2)を満たすように構成することができる。
(式1)「Nmin<M」
(式2)「Nmax<M」
また、本実施形態の場合、一般入賞口43eが1個であるが、複数個設けられている場合には、次のように構成してもよい。複数の一般入賞口43eのうち、最も低い一般入賞口43eの入球率を「Mmin」とし、最も高い入球率を「Mmax」とした場合、次の関係式(式3)〜(式6)のいずれかを満たすように構成することができる。
(式3)「N<Mmin」(左流下経路3bに属する一般入賞口が1つの場合)
(式4)「Nmin<Mmin」
(式5)「Nmax<Mmin」
(式6)「Nmax<Mmax」
(D)普電開放遊技の開始INT(可動翼片47の開放開始までのインターバル時間)および/または終了INT(可動翼片47の開放動作終了後、普電開放遊技が終了するまでのインターバル時間)を長くする(たとえば、開始INTおよび/または終了INTを500msから700msにするなど)。この場合、打ちっ放し時の無駄玉(死に玉)を回避する、いわゆる「止め打ち」により持ち玉を増加させる(出玉率を上昇させる)ことが可能である。たとえば、打ちっ放しの場合は出玉率(BA)が95%程度であり、止め打ちを行った場合には出玉率120%程度とすることができる。この打ち止めは、特に、下始動口35の賞球数が多い場合(たとえば、3個〜4個程度)である場合に効果を発揮する。
(E)小当り遊技中の出玉が増えないまたは出玉が減少するような小当り遊技動作を生起させる小当りを1または複数設ける(本実施形態では、少なくとも特図2側に当該小当りを設ける)。たとえば、大入賞口の開放時間を短時間(0.1秒〜1秒程度)とし、大入賞口閉鎖期間である「開始INTおよび/または終了INT(各INTの合計時間でもよい)」がセコンドオーダの長時間(たとえば、1秒〜5秒程度)とする小当り遊技動作である。このような小当り遊技は、出玉性能が低く、遊技球を打ちっ放しにしている場合に、出玉が増えない(小当り遊技中の出玉率が100%)、または出玉が減少しうる(小当り遊技中の出玉率が100%未満)。この場合、前述の(D)と同じく、開始INTや終了INT中に「止め打ち」を駆使すれば、小当り遊技中の出玉性能に反して持ち玉を増加させることができる。したがって、出玉率を向上させることができる。特に、小当りを高確率で当選(小当り遊技の発生頻度を高くする)させる、たとえば、少なくとも1/5〜1/20程度で当選させるようにすれば、その効果は一層高まる。
(F)上始動口34の賞球数よりも下始動口35の賞球数の方を少ない賞球数に定める。電サポ中に頻繁に入賞しうる始動口側の賞球数を多くしてしまうと、止め打ち効果が増し(技術介入度が高くなる)、遊技者間の不平等感を招来する恐れがある。そこで、出玉率に大きく影響する入賞口を、下始動口35以外のその他の入賞口(特に、右流下経路3cに属する一般入賞口)とすることが好ましいからである。
(G)右流下経路3cに属する一般入賞口の賞球数よりも下始動口35の賞球数の方を少ない賞球数に定める。止め打ちにより入賞率に差が生まれる“下始動口35”の賞球数よりも、止め打ちにより入賞率に差が生まれない“右流下経路3cに属する一般入賞口(一般入賞口43e)”の賞球数を多くすることにより、止め打ちによる攻略要素を少なくすることができる。
(H)下始動口35の賞球数は1個であり、右流下経路3cに属する一般入賞口の賞球数は少なくとも2個とする。下始動口35の賞球数1個とする場合には、入賞率100%であったとしても純増個数が0個となり、下始動口35の開放動作を狙い撃ちして如何に止め打ちを駆使しようとも遊技者の持ち球は増えることが無い。そこで、下始動口35の賞球数は1個とし、右流下経路3cに属する一般入賞口の賞球数を少なくとも2個とすることにより、止め打ちによる攻略要素を完全に排除するとともに、出玉率の向上を図ることができる。
なお、上述の(D)または(E)とする場合、止め打ちを駆使する者とそうでない者との間に獲得利益の不平等感を招来する恐れがある。そのため、止め打ち効果の無い一般入賞口に関する上述の(A)〜(C)、(F)〜(H)の構成を採用することが好ましい。特に、上述の(B)(C)(F)〜(H)の構成は、止め打ち効果を低下させるとともに、出玉率を向上させる上で効果的である。また、左流下経路3cに属する一般入賞口または右流下経路3cに属する一般入賞口一般入賞口のいずれも、その設置数を1または複数とすることができる。
<機種タイプに関する変形例>
本実施形態では、STタイプの機種について説明した。しかし本発明に係る遊技機は、STタイプの機種に限らず、遊技状態の移行形態を下記のように定めた機種、たとえば、下記(機1)〜(機3)の機種としてもよい。
(機1)『V確変タイプ』
大入賞口内に遊技球が通過可能な特定領域を設け、1または複数の特定の大当り(たとえば、確変大当り1〜7)に当選した場合には、その特定領域に遊技球を通過容易(通過可能)に構成する一方、他の大当り(たとえば、時短大当り1、2)に当選した場合には、特定領域の通過を困難または不可能に構成し、特定領域を遊技球が通過した場合(いわゆる「V入賞」)に限り、特別図柄確変機能を作動させ、確変状態または潜確状態に移行させるといった、いわゆる「V確変タイプ」の機種としてもよい。
(機2)『転落抽選タイプ』
高確率状態を伴う遊技状態(潜確状態または確変状態)中の場合、毎ゲーム、所定の転落確率で、高確率状態から低確率状態への移行抽選(転落抽選)を行うといった、いわゆる「転落抽選タイプ」の機種としてもよい。この転落抽選タイプでは、転落抽選に当選すると、当該当選ゲーム(転落ゲーム)で低確率状態に移行され(少なくとも特別図柄確変機能がOFFに設定される)、当該当選ゲームにおける大当り抽選も低確率状態で抽選されるようになっている。転落抽選に当選した場合の遊技状態移行形態には、下記(A)〜(C)のケースがある。(A)確変状態(STモード)→時短状態(時短モード)、(B)確変状態→通常状態(通常モード)、(C)潜確状態(潜確モード)→通常状態(通常モード)。このような転落抽選タイプでは、転落ゲームで、少なくとも低確率状態を伴う遊技状態に移行される。したがって、通常状態または時短状態中の実行ゲームを天井ゲームのカウント対象とする場合には、転落ゲームを1ゲーム目としてカウントすることが好ましい。なお、転落ゲームを除いて、その次のゲームを1ゲーム目としてカウントしてもよい。
上記実施形態で説明したSTタイプの機種と、本例(機2)の転落抽選タイプとは、主に、「転落抽選(転落抽選手段)の有無」および「転落抽選結果に基づく転落移行制御(転落移行制御手段)の有無」が異なるだけである。したがって、本実施形態で説明した遊技性に関する事項(たとえば、図21〜図34)に関し、転落抽選に当選する前は(高確率状態を伴う遊技状態中の場合)STモードに関する実施形態に適用可能であり、転落抽選に当選した後は(転落抽選に当選して、低確率状態を伴う遊技状態に移行された場合)は、通常状態や時短状態(転落移行先の遊技状態)に関する実施形態に適用可能である。
ところで、従来の転落抽選タイプは、大当り種別(当選図柄の種別)によらず、転落確率が1種類しかなく、遊技が単調になりがちで、遊技の面白みに欠けていた。そこで、大当り種別に応じて、転落確率を複数種類設ける。この場合、各大当りでそれぞれ異なる転落確率としてもよいし、一部が同一または異なる転落確率としてもよい。上記実施形態に係る遊技機1が「転落抽選タイプ」とした仮定した場合、たとえば転落確率を、確変大当り1〜3(特図1側)は1/200、1/150、1/100、確変大当り4〜7(特図2側)は1/240のように、特図1側に属する大当りに当選した場合はそれぞれ異なる転落確率、特図2側の大当りに当選した場合は同一の転落確率とすることができる。また、転落確率を複数種類設ける手段として、設定値(設定1〜6)に応じた転落確率を定めることができる。換言すれば、少なくとも第1設定値と第2設定値とで転落確率が異なるように構成することができる。たとえば、設定値が相対的に低いほど、転落確率が相対的に高くなるように定めることができる。
また、ST回数については、各大当りで同一のST回数としてもよいし、それぞれ異なるST回数としてもよいし、一部が異なるST回数としてもよい。また、ST回数は、有限回数だけでなく、無限回数も含むことができる。たとえば、図4に示す確変大当り1〜7のように、ST回数25回、75回、100回としてもよいし、各大当りのST回数を100回や無限回数などとしてもよい。ただし、転落抽選タイプの場合は、ST回数を消化する前に転落抽選に当選すると、強制的に低確率状態に移行されることになる(ST回数が強制的にゼロになる)。また、転落抽選に当選した場合、演出手段により設定示唆演出(転落時設定示唆演出)を実行可能に構成してもよい。この場合、設定値に応じて、転落時設定示唆演出の実行確率を定めることができる。
上記の転落抽選タイプに関して、たとえば、下記(T1)〜(T3)の構成とすることができる。
(T1)
始動条件が成立したことに基づいて、第1の遊技情報(大当り判定用乱数)および第2の遊技情報(転落判定用乱数)を含む複数種類の遊技情報を取得する取得手段(たとえば、図11のS314:本例の場合、大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数、転落判定用乱数を取得可能に構成する)と、
上記取得手段により取得された第1の遊技情報に基づき、複数種類の当りに関する抽選を実行する抽選手段(図12のS410)と、
図柄の変動表示動作を行い、図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段(特別図柄表示装置38、図10のS309)と、
上記図柄表示手段において図柄が特定の表示態様で停止表示された場合(抽選手段の抽選結果が当りである場合)、当り遊技を実行制御する当り遊技実行制御手段(図17)と、
上記当り遊技が終了した後、上記抽選手段による当りとなる抽選確率が所定の通常確率よりも高確率となる高確率状態に制御可能な確率変動制御手段(図12のS412、図15、図18、図21、図22)と、
上記高確率状態中である場合、上記第2の遊技情報(転落判定用乱数値)に基づき、上記高確率状態から低確率状態に移行させるか否かの転落抽選を実行する転落抽選手段(主制御部20)と、
上記転落抽選に当選した場合、上記高確率状態から上記低確率状態に移行制御する転落移行制御手段(主制御部20)と、を備える遊技機Tであって、
上記複数種類の当りには、第1当りと第2当りとが少なくとも含まれ、
上記第1の当りが当選した場合(第1当りによる当り遊技が実行される場合)と、上記第2の当りが当選した場合(第2当りによる当り遊技が実行される場合)とで、上記転落抽選手段による転落抽選確率が異なるように構成することができる。
(T2)
上記遊技機Tは、複数段階に変更可能な設定値に応じて上記大当り抽選の結果が所定結果となる確率が異なるように構成される。この場合、上記複数段階に変更可能な設定値には第1設定値と第2設定値とが少なくとも含まれ、当該第1設定値と当該第2設定値とで転落確率が異なるように構成することができる。
(T3)
上記遊技機Tは、複数段階に変更可能な設定値に応じて上記大当り抽選の結果が所定結果となる確率が異なるように構成され、
上記複数種類の当りには、第1当りと第2当りとが少なくとも含まれ、
上記複数段階に変更可能な設定値には、第1設定値と第2設定値とが少なくとも含まれ、
上記第1の当りが当選した場合と上記第2の当りが当選した場合とで、上記転落抽選手段による転落抽選確率が異なるように構成され、
上記設定値が第1設定値の場合には、上記抽選手段による抽選結果の中に少なくとも第2当りは含まれない、構成とすることができる。
なお、上記遊技機Tは、複数種類の遊技状態(確変状態、潜確状態、時短状態および通常状態のうち、確変状態および/または潜確状態を含む少なくとも2つの遊技状態)を制御可能に構成することができる。また上記((T1)〜(T3)において、上記転落抽選手段による転落抽選に当選した場合に、現在の設定値を示唆する設定示唆演出を実行可能な設定示唆演出実行手段をさらに備えることができる。
(機3)『リミッタ搭載タイプ』
大当りが当選した場合(特定の大当りが当選した場合でもよい)、確率変動制御手段により高確率状態に移行される回数を所定の上限回数(リミット回数)までに制限するリミッタ機能を有する、いわゆる「リミッタ搭載タイプ」の機種としてもよい。このリミッタ搭載タイプは、たとえば、特許第5075301号に開示されたいわゆる「リミッタ機(セットタイプ)」などが該当する。
リミッタ搭載タイプの場合、大当り当選回数が所定のリミット回数に達するまで(条件装置の連続作動回数が所定の上限回数に達するまで)、大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態を伴う遊技状態(確変状態または潜確状態)に移行させる。たとえば、リミット回数5回がである場合は、初回の大当りから4回目の大当りまで大当り遊技後の遊技状態が高確率状態に制御され、最大4回の大当りまで高確率状態下による大当り抽選の恩恵を受けることができるようになっている。しかし、5回目の大当りに当選すると、リミット回数に達したとして「リミッタ機能」が作動を開始し(リミッタ機能ON)、その大当り遊技終了後の遊技状態が低確率状態を伴う遊技状態(時短状態または通常状態)に移行される。このリミッタ機能作動中に大当りに当選すると、作動中のリミッタ機能が解除され(リミッタ機能OFF)、再度、リミット回数に達するまで、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態を伴う遊技状態に移行される。この点でリミット回数5回とするリミッタ機の場合は「5回パック機」とも称される。
ところで、従来のリミッタ機は、リミット回数が1種類しかなく、遊技が単調になりがちで、遊技の面白みに欠けていた。そこで、大当り種別に応じてリミット回数を複数種類設ける。この場合、各大当りでそれぞれ異なるリミット回数としてもよいし、一部が異なるリミット回数としてもよい。
たとえば、大当りA〜Dを設け、大当りA〜Dのリミット回数を、2回、3回、4回、5回とすることができる。また、各大当りに関する図柄抽選率は、適宜定めることができる。また、いずれの大当りに当選したかに応じて確変状態に移行させるか、潜確状態に移行させるかは適宜定めることができる。たとえば、各大当りA〜Cの全部を確変状態または潜確状態に移行させてもよいし、1または複数の特定の大当りだけ確変状態に移行させてもよい(たとえば、大当りAに当選した場合には確変状態に移行させ、その他の大当りB、C、Dに当選した場合は潜確状態に移行させる)。また、ST回数は無限回数が好ましいが、各大当りで同一のST回数としてもよいし、それぞれ異なるST回数としてもよいし、一部が異なるST回数としてもよい。また、ST回数が有限である場合には、そのST回数が終了して通常状態や時短状態に移行されても、リミット回数に達するまでは、大当り遊技後の遊技状態を、再度、高確率状態を伴う遊技状態に移行させることができる。なお、大当りA〜Dのうち、特定の大当りに当選した場合に高確率状態に移行させずに、低確率状態を伴う遊技状態(時短状態または通常状態)に移行させてもよく、時短状態に移行させるか、通常状態に移行させるかは適宜定めることができる。
上記リミッタ機の場合も、本実施形態で説明した遊技性に関する事項(たとえば、図21〜図34)について、リミッタ回数到達前の高確率状態を伴う遊技状態に関してははSTモードに関する実施形態に適用可能であり、リミッタ回数到達後の低確率状態を伴う遊技状態に関しては、通常状態や時短状態(リミット回数到達後の遊技状態)に関する実施形態に適用可能である。
(30.時短状態を付与する場合の変形例:変形例Ω)
以上の実施形態では、ハマり救済機能として天井機能を有する形態について説明した。具体的には、大当りに当選することなく天井ゲーム数に到達した場合に、天井機能が発動し、たとえば、「有限時短」や「無限時短」(天井特典)が付与されるものとして説明した。しかし、本発明はこれに限らず、次のような構成とすることができる。
本例では、ハマり救済機能の一つとして、或いは、ゲーム性の自由度を広げて遊技の面白みを向上させるために、大当り当選(時短大当り当選)または天井ゲーム到達を契機とすることなく、「時短状態」への移行チャンス与えるというものである。なお、時短大当りにより時短状態が付与される点は、既に幾つかのケースを用いて説明した通りである。本例は、大当り当選や天井を経由することなく、時短状態が付与される点に、従来には無い大きな特徴がある。
本例では、たとえば下記のような契機(条件)で、時短状態を付与可能に構成することができる。
(A)大当り抽選に基づき、時短状態を付与する。これには、下記(A−1)の「通常抽選形態」、(A−2)の「当り種別対象抽選形態」、(A−3)の「ハズレ種別抽選形態」があるが、いずれの抽選形態も採用することができる。ここでは、本例の理解を容易なものとするために、大当り抽選対象として、図4に示す当り種別(確変大当り1〜7、時短大当り1〜2)と、図26に示すハズレ種別(ハズレA、B)を設けた構成を代表例にとり説明する。以下、これらの抽選形態について説明する。
(A−1:通常抽選形態)
「通常抽選形態」とは、大当り判定用乱数を利用する「当落抽選」(図12に示す特別電動役物作動判定用乱数判定処理(ステップS410)参照)の対象に、時短状態を付与する1または複数種類の「時短付与当り(時短付与図柄)」を設け、当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値とを利用する上記図柄抽選(図12に示す特別停止図柄作成処理(ステップS411)参照)により一の「時短付与当り」を抽選する形態である。具体的には、上記当り乱数判定テーブルに時短付与当りの所定の判定領域を設け、上記図柄テーブルとして、「時短付与当り用図柄テーブル」を設けたケースである。「時短付与当り用図柄テーブル」は、既に説明した大当りやハズレなどの図柄テーブルと基本的構成は同じであり、たとえば、時短付与当りとして「時短付与当り1」と「時短付与当り2」とを設けた場合には、所定の図柄抽選率に従い、時短付与当り1または時短付与当り2のいずれかが決定されるようになっている。
通常抽選形態では、まず、当落抽選により、「大当り」、「小当り(小当りを設けている場合)」、「時短付与当り」、および「ハズレ」のうちからいずれかを抽選する。そして、当落抽選で「時短付与当り」が当選した場合には、図柄抽選により「時短付与当り」が決定される。これにより、次ゲームから、時短付与当りによる時短状態に突入する。なお、複数の時短付与当りを設けた場合には、図柄抽選によりいずれかの時短付与当りが決定される(後述の(A−2)、(A−3)参照)。
なお混同してはならないのは、「時短付与当り」に当選しても特別電動役物が作動するわけではなく(当り遊技は実行されない)、単に「時短状態」が付与される(少なくとも電サポ状態が付与される)だけである。端的に言えば、“サポート的な特典”が付与される、という点である。この点、時短大当りが当選した場合のように、大当り遊技を経由して時短状態に移行されるものとは異なる。
(A−2:当り種別対象抽選形態)
「当り種別対象抽選形態」とは、当り種別(大当りまたは小当りに属する当選種別)に時短付与当りを設け、大当り抽選(本例では、当落抽選と図柄抽選)により、時短付与当りが決定可能な抽選形態である。具体的には、大当り図柄テーブルまたは小当り図柄テーブルに、時短付与当りの所定の判定領域を設けたケースである。なお、時短付与当りは、特図1側および/または特図2側の当り種別に1または複数種類設けることができる。ここでは一例として、図4に示す特図1側の当り種別(大当り種別)に、複数種類の時短付与当り(時短付与当り1、2)を設けたケースについて説明する。
当り種別対象抽選形態では、まず、当落抽選により「大当り」、「小当り(小当りを設けている場合)」、および「ハズレ」のうちからいずれかを決定し、当落抽選により「大当り」が抽選された場合、図柄抽選により、大当りに属する当選種別、本ケースでは「確変大当り1〜3、時短大当り1〜2、時短付与当り1〜2」のうちからいずれかの当選種別(図柄種別)が決定される。本ケースの場合、この図柄抽選により、時短付与当り1または時短付与当り2が決定された場合に時短状態が付与されることになる。
(A−3:ハズレ種別対象抽選形態)
「ハズレ種別対象抽選形態」とは、ハズレに属する当選種別に「時短付与当り」を設け、大当り抽選(本例では、当落抽選と図柄抽選)により、時短付与当りが決定可能な抽選形態である。具体的には、ハズレ図柄テーブルに、時短付与当りの所定の判定領域を設けたケースである。このハズレ種別対象抽選形態は、ハズレ種別の一つに「時短付与当り」が含まれる点で、先述の当り種別対象抽選形態のように、当り種別の一つに「時短付与当り」が含まれるものとは異なるが、抽選処理内容は実質的に同じである。なお、時短付与当りは、特図1側および/または特図2側のハズレ種別に1または複数種類設けることができる。ここでは一例として、特図1側のハズレ種別に、複数種類の時短付与当り(時短付与当り1、2)を設けたケースについて説明する。
ハズレ種別対象抽選形態では、まず、当落抽選により「大当り」、「小当り(小当りを設けている場合)」、および「ハズレ」のうちからいずれかを決定し、当落抽選により「ハズレ」が抽選された場合、図柄抽選により、ハズレに属する当選種別、本ケースでは、「ハズレA、ハズレB、時短付与当り1〜2」のうちからいずれかの当選種別(図柄種別)が決定される。本ケースの場合、この図柄抽選により、時短付与当り1または時短付与当り2が決定された場合に時短状態が付与されることになる。
上記(A−1)〜(A−3)の抽選形態のうち、(A−1)を採用することが好ましく、より好ましくは(A−3)である。その理由は、(A−2)の当り種別対象抽選形態では、時短付与当りが当り種別に属するものとしており、特に大当り種別に属するものとした場合には「当落抽選により大当り当選する」ことが、時短付与当り当選の条件となってしまい、遊技者に引き損感(「大当りを引いているのに、利益度合の低い時短付与当りに当選してしまった」などの引き損感)を与えてしまうからである。なお、時短付与当りが1種類の場合は、図柄抽選を実行しなくてもよい。また、図柄抽選に用いる特別図柄判定用乱数値は、ソフト乱数であってもよいし、ハード乱数であってもよい。また、複数の乱数を利用してもよい。また、図柄抽選に用いる特別図柄判定用乱数が取りうる数値範囲(乱数の大きさ)と、当落抽選乱数に用いる大当り判定用乱数と大きさとを、同一または略同一の大きさとしてもよい。また、時短付与当りを抽選する際は、別の図柄抽選用乱数(別の特別図柄判定用乱数値)を用いてもよい。
(B)また、複数の特別図柄(特図1、2)に係る大当り抽選のうち、特定の特別図柄(特図1、特図2のいずれでもよい)に係る大当り抽選に基づき、時短状態を付与するように構成してもよい。たとえば、特図1、2のうち、特図1側の大当り抽選の抽選対象だけに「時短付与当り」を設けることができる。
(C)また、特定の内部遊技状態中、特定の遊技モード中、または特定のTcode中に限り、時短付与当りを対象とした特別な大当り抽選(特定状態中大当り抽選)を実行可能に構成してもよい。たとえば、少なくとも内部遊技状態が確変状態中(確変状態に関連する遊技モードまたはTcode中であってもよい)の場合には「通常の大当り抽選(短付与当りを対象としない大当り抽選)」を行い、他の遊技状態中(たとえば、通常状態、時短状態中など)の場合には、通常の大当り抽選を行わずに「特定状態中大当り抽選」を行うように構成することができる。この場合、確変状態中に時短状態に移行してしまう、つまり現在の遊技状態よりも利益度合が相対的に低い遊技状態に移行してしまうといった「転落移行」的な状況が発生してしまうことを防止することができる。
(D)また、天井機能として大当り抽選を行い、その大当り抽選結果に基づき、時短状態を付与可能に構成してもよい。
(時短付与抽選)
(E)また、大当り抽選以外の所定の抽選(以下「時短付与抽選」と称する)により、時短付与当りであるか否か(ハズレ)を決定して、時短状態を付与可能な構成としてもよい。複数種類の時短付与当りを設けた場合には、いずれかの時短付与当りを決定する。なお、時短付与抽選は、大当り抽選と同じように、まず当落抽選により「時短付与当り」か「ハズレ」を決定した後、図柄抽選により、時短付与当りの種別を決定してもよい。「時短付与当り」を1つだけ設けている場合は、図柄抽選を省略することができる。
(F)また、上記「時短付与抽選」は、特定の特別図柄(たとえば、特図1、2のいずれか)だけを抽選実行対象としてもよい。
(G)また、上記時短付与抽選は、特定の内部遊技状態中、特定の遊技モード中、特定の時短状態中、または特定のTcode中に実行可能に構成することができる。たとえば、少なくとも内部遊技状態が確変状態中である場合(確変状態に関連する遊技モードまたはTcode中を含む)時短付与抽選を行わず、他の遊技状態中(たとえば、通常状態、時短状態など)は時短付与抽選を行うように構成することができる。この場合、確変状態中に時短状態に移行してしまう(現在の遊技状態よりも利益度合が相対的に低い遊技状態に移行する)といった「転落移行」的な状況が発生してしまうことを防止することができる。また、無限時短中は時短付与抽選を行わず、有限時短中は時短付与抽選を行うように構成することができる。この場合も同様に、無限時短中から有限時短に移行してしまうといった「転落移行」的な状況が発生してしまうことを防止することができる。
(H)また、「一の内部遊技状態から他の内部遊技状態への移行を契機に」、または、「一の遊技モードから他の遊技モードへの移行を契機に」、或いは「一のTcodeから他のTcodeへの移行を契機に」、時短付与抽選を実行可能に構成してもよい。たとえば、今回のゲームで時短状態が終了して次回のゲームで通常状態に移行される場合に、今回のゲーム終了時(図柄変動時間終了時)または次回ゲームの開始時(図柄変動開始時)に、時短付与抽選を実行する。したがって、時短終了時に、再度、時短付与抽選に当選すれば、当り遊技を経由せずに時短状態が連続的に付与されうるといった「時短連荘」という斬新性のあるゲーム性を作り出すことができる。
(J)また、「通常の大当り抽選」と「時短付与抽選」とは、1ゲーム中に重複的に行うことができる。「大当り抽選と時短付与抽選とを1ゲーム中に重複的に行う」とは、たとえば、或る図柄変動表示ゲームを開始する際、まず、通常の大当り抽選を行い、大当り抽選結果がハズレであった場合に、続いて、時短付与当りを対象とする時短付与抽選を行うことができる。また、大当り抽選を先に行うのではなく、まず、時短付与抽選を行い、時短付与抽選結果がハズレであった場合に、続いて、大当り抽選を行うことができる。なお、大当り抽選と時短付与抽選のいずれを先に実行するかは自由である。また、天井機能としても、大当り抽選と時短付与抽選とを重複的に行うことができる。たとえば、天井ゲームにおいて、大当り抽選と時短付与抽選とを重複的に行うことができる。
(K)時短付与抽選に当選して時短状態が付与された後、当該時短状態が終了するまで、再度、時短付与抽選が行われることを禁止してもよい(時短付与抽選禁止制御)。この場合は、通常の大当り抽選だけが行われる。
(L)また、天井機能として時短付与抽選を実行可能に構成することができる。
以上、種々の抽選形態について説明したが、上記「時短付与当り」により時短状態を付与する場合、その時短回数は特に制限されず、適宜な値を定めることができるが、具体的には、下記のような時短付与当りを設け、大当り抽選や時短付与抽選を実行可能に構成とすることができる。
(構A)有限時短(時短回数X)を付与する時短付与当りを少なくとも1つ設ける。この場合、時短大当りを設けている場合には、これと同等の時短回数であってもよいし、異なる時短回数であってもよい。この場合、「100回<時短回数X」の時短付与当りが含まれることが好ましい。
(構B)無限時短を付与する時短付与当りを少なくとも1つ設ける。
(構C)時短回数がそれぞれ異なる複数の時短付与当りを設ける。複数の時短付与当りのうち、「100回<時短回数X」(無限時短を含む)とする時短付与当りを、少なくとも1つ設けることが好ましい。
(構D)複数の時短付与当りのうち、少なくとも1つの時短付与当りは、時短回数が異なる。時短付与当りは、「100回<時短回数X」または「無限時短」とする時短付与当りであることが好ましい。
(構E)設定値に応じた時短付与当りの当選確率を定める。たとえば、設定値が相対的に低いほど当選確率を高くすることができる。この場合、低設定になるほど時短付与当りの恩恵を受けることができるようになり、ハマり回避(救済機能の一態様)に寄与することができる。また、設定値が相対的に高いほど当選確率を高くすることができる。この場合、設定値に応じて大当りの当選確率に差を設けなくとも、高設定ほど出玉率を高くすることができる。
(構F)時短付与当りの当選確率(時短付与当りが複数有る場合には合算当選確率でもよい)は、低確率時の大当りの当選確率と同一(略同一)、好ましくは、それよりも低確率とする。「時短付与当り」はサポート的特典であるため、無闇に高確率で当選させないことが好ましいからである。設定付きの場合は、各設定値に応じた時短付与当りの当選確率を定めることができる。この場合、各設定値でそれぞれ異なる当選確率としてもよいし、少なくとも一部の設定値で異なる当選確率としてもよいし、全設定で同一の当選確率としてもよい。なお、設定値に定められた大当りの当選確率以下に定めることが好ましい。たとえば、設定1であれば、大当りの当選確率は1/240であるので(図4参照)、時短付与当りの当選確率を1/240と同一または略同一に定めるか、それよりも低確率(たとえば、1/300)に定めることが好ましい。しかし本発明はこれに限らず、或る設定値に係る大当りの当選確率以下としてもよい。たとえば、最低低設定(設定1)の大当りの当選確率(1/240)以下としてもよいし、最高設定(設定6)の大当りの当選確率(たとえば、1/189)以下としてもよい。
(変形例Ωに係る有限時短を付与する場合の具体例)
ここで、時短付与当りによる有限時短を付与する場合には、下記のような付与形態(Ω1)〜(Ω4)とすることができる。
(有限時短付与形態Ω1)
大当りによる時短回数が複数種類(種類数A)ある場合、時短付与当りによる時短回数(時短状態)の種類は、それよりも少ない種類(種類数B)に定める。具体的には「種類数B<種類数A」の関係を満たすように構成する。本実施形態の場合、図4に示す通り、大当りによる時短回数は、100回(時短A)と50回(時短B)の2種類(種類数A)存在するが、時短付与当りによる時短回数を1種類(たとえば、時短100回)だけを付与するように構成する。なお、「種類数B<種類数A」の関係を満たすのであれば、時短付与当りは、大当りによる時短回数とは異なる時短回数(たとえば、150回)を付与してもよい。また、時短付与当りによる時短回数(時短状態)の種類を2種類以上設けてもよい(この場合は「2≦種類数B<種類数A」の関係とする)。
(有限時短付与形態Ω2)
時短大当りによる平均時短回数Nとし、時短付与当りによる平均時短回数Mとした場合、下記(式1)〜(式3)の関係を満たすように構成することができる。
(式1)「平均時短回数N<平均時短回数M」の関係を満たすように構成する。本実施形態の場合、大当りによる平均時短回数Nは75回であるので、時短付与当りによる平均時短回数Mをこれよりも多い時短回数(たとえば、100回以上)とする。この場合、時短付与当りによる時短状態の方が大当りによる時短状態よりも利益度合が高くなるため、ハマリ中の遊技者にとっては、嬉しいサポート特典になりうる。なお、平均時短回数Mは、無限回数としてもよい。
(式2)「平均時短回数N=平均時短回数M」の関係を満たすように構成する。この場合は、大当りによる時短状態と、時短付与当りによる時短状態とが同等の利益度合となる。なお、時短大当りによる時短状態と時短付与当りによる時短状態の双方に「無限時短」が含まれてもよい。この場合も「平均時短回数N(無限回数)=平均時短回数M(無限回数)」となり、当該(式2)満たす。
(式3)「平均時短回数N>平均時短回数M」の関係を満たすように構成する。この場合は、時短付与当りによる時短状態の方が大当りによる時短状態よりも利益度合が相対的に低くなるため、時短付与当りが過度な特典付与とならない「サポート特典」としての位置付けを保持することができる。なお、時短大当りによる時短状態に「無限時短」が含まれてもよく、この場合は、時短付与当りによる時短状態に「無限時短」は含まない。
(有限時短付与形態Ω3)
(4)上記(式3)と同じく、過度な特典付与とならないようにするという点に着目して、少なくとも「時短付与当りによる時短回数≦大当りによる最大時短回数」の関係を満たすような時短回数を定める。本例であれば、時短付与当りによる時短回数を、時短大当り1による「時短A」の時短回数(100回)以下、たとえば、100回、90回などである。また、複数の時短付与当りを設けた場合、大当りによる最小時短回数に着目して、「大当りによる最小時短回数≦時短付与当りによる時短回数<大当りによる最大時短回数」の関係を満たす時短回数であってもよい。本実施形態であれば、時短付与当りによる時短回数を、時短大当り2による「時短B」の時短回数(50回)以上、時短大当り1による「時短A」の時短回数(100回)未満、たとえば、50回、60回などである。なお、時短大当りによる時短状態に「無限時短」が含まれてもよく、この場合、時短付与当りによる時短状態に「無限時短」は含まない。また、大当りによる最小時短回数が100回以上であってもよく、上記(式3)を満たすものであれば、時短付与当りによる時短回数が100回以上のものであってもよい。
(時短付与当りによる時短状態に係る変動パターン振分指定番号Tcode、演出モード、各種演出等について)
時短付与当りによる時短状態が付与された場合、「Tcode」を時短状態に対応するTcode、たとえば、時短モードの「05H」または天国モードの「07H」としてもよい(図28の時短状態の欄参照)。また、演出モードは、時短状態に対応する「時短演出モード(時短モード対応)」または天国モードに対応する「天国演出モード(天国モード対応)」としてもよい(図6の「時短モード」の欄参照)。この場合、時短付与当りによる時短状態(以下、場合により「特殊時短状態」と称する)と、大当りや天井特典などによる時短状態(以下、場合により「通常の時短状態」と称する)とで、共通の演出を現出させることができる。
しかし本発明はこれに限定されず、特殊時短状態と通常の時短状態とを別の遊技状態として扱うことができる。たとえば、時短付与当りによる時短状態(以下、場合により「特殊時短状態」と称する)を「特殊時短状態」として扱い、YJ(内部遊技状態を示す遊技状態判定番号)を、他の内部遊技状態とは異なる値(たとえば、YJ=「04H」)に設定するように構成してもよい(図28の時短状態の欄参照)。この場合、特殊時短状態のTcodeについては、時短状態に対応するTcode(たとえば、時短モードの「05H」または天国モードの「07H」)としてもよいが、特殊時短状態専用のTcode(たとえば、Tcode=「09H」)を設け(遊技モードとして、「特殊時短モード」を設ける)、変動パターン振分テーブルを選択する際には、「特殊時短状態用の変動パターン振分テーブル」を選択するように構成してもよい。なお、特殊時短状態専用のTcodeを設ける場合には、演出モードも特殊時短状態(特殊時短モード)に対応する「特殊時短演出モード」を設けることが好ましい。これにより、特殊時短演出モード下では、特殊時短モード(特殊時短状態)に関連する演出を現出可能に構成することができる。
このようにすれば、通常の時短状態中と特殊時短状態中とで、背景演出、装飾図柄、保留アイコン、各種の予告演出、および先読み予告(変動中先読み予告および/または保留変化予告)などの演出の少なくとも1つの演出を異なる演出態様とすることができる。また、各種の予告演出、先変動中先読み予告、および保留変化予告の少なくとも1つの演出を異なる演出態様とすることができる。これにより、通常の時短状態(特に、大当りによる時短状態)であるのか、それとも特殊時短状態であるのかを演出的に区別して報知することが可能となる。
(始動口に係る入賞演出について)
上始動口34および/または下始動口35への入賞があった場合に「入賞演出」を実行可能に構成した場合において、通常の時短状態と特殊時短状態とで異なる入賞演出を実行可能に構成することができる。具体的には、音演出、光演出、および画像表示演出の少なくともいずれか1つの演出を異なるものとすることができる。なお、通常の時短状態中の場合は入賞演出を実行せず、特殊時短状態の場合は入賞演出を実行するように構成してもよい。このようにしても、通常の時短状態であるのか、それとも特殊時短状態であるのかを演出的に区別して報知することが可能となる。
(残余時短回数表示演出について)
なお、特殊時短中は、上記「残余時短回数表示演出」を現出させることができる。また既に説明したように、無限時短に係る残余回数表示演出の場合には、残余時短回数表示演出を現出させなくともよいが、「残り∞回」や「次回大当りまで継続」などのように、残り回数が無限であることを報せる演出態様が好ましい。
また、時短回数が異なる複数種類の時短付与当り(たとえば、時短回数50回、100回、150回、300回など)を設けている場合、各時短付与当りに応じて、異なる残余時短回数表示演出としてもよい。
また、いずれの時短付与当りが当選したことを演出的に秘匿状態としてもよい。たとえば、各時短付与当りで当選したゲーム中の演出(予告演出等)を共通の演出を現出させ、残余時短回数表示演出の演出も共通の演出態様、たとえば、「残り回数???回」や「残り回数〇〇回(いずれの時短付与当りが当選しても同じ初期値を表示し、カウントダウン表示する)」や「0回(初期値をゼロからスタートさせ、カウントアップ表示する)」とすることができる。これにより、特殊時短状態(時短回数)が何回続くか分からない(いつ終了するのか分からない)という緊張感を与えることができる。また、残余時短回数表示演出は、液晶表示装置36(メイン液晶表示装置)に表示してもよいし、後述のサブ液晶表示装置(図示せず)に表示してもよい。
なお、上記「残り回数〇〇回」などと表示をし、カウントダウン表示を実行する場合には、次に述べるような残余時短回数表示演出とすることが好ましい。
たとえば、いずれの時短付与当りが当選した場合も、時短回数が最も少ない「50回」を表示する。そのカウントがゼロになったときに、50回よりも時短回数が多い時短付与当り、たとえば、時短回数100回の時短付与当りに当選していた場合は「+50回!」などの上乗せ表示演出を行い、さらに時短状態が続くことを報知する。一方、カウントアップ表示の場合は、いずれの時短付与当りが当選した場合も、ゼロ表示からカウントアップ表示をしていき、所定回数に到達する毎に(たとえば、50回、100回、150回:最多時短回数以外の回数)、「まだまだ続くよ!」「あと残り50!」などの上乗せ表示演出を行い、さらに時短状態が続くことを報知する。いずれのも場合も、時短終了か否かを煽る演出を行った後、上乗せ表示演出を行うことが、遊技者の緊張感を煽る上で好ましい。
なお、特殊時短状態の場合には上記「残余時短回数表示演出」を実行せず、大当りによる時短状態中や確変状態(ST)の場合には上記「残余回数表示演出(残余時短回数表示演出や残余ST回数表示演出)」を実行してもよい。
(時短付与当りの当選ゲーム(当り変動パターン)に係る演出について)
また、今回のゲームで時短付与当りに当選した場合、当該ゲーム中で時短付与当り当選を報知する当選演出、次ゲームから「電サポ有り状態」が生起する点を考慮し上記「事前発射誘導報知演出」を現出させる。事前発射誘導報知演出を現出する理由は、今回のゲームが終了(変動時間が終了)すると、極短時間の確定表示時間(500ms)の経過後に時短状態(特殊時短状態)に突入してしまうため(図10の特別図柄変動中処理(ステップS307)、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)参照)、右打ちが有利になることを早めに報知し、時短状態中に遊技者が「左打ち」を続行してしまう(不利益を被る)ことを防止するためである。
また、時短付与当りの当選ゲームでは、通常の確定表示時間(500ms)とは異なる確定表示時間とすることができる。たとえば、通常の確定表示時間(500ms)よりも長時間(たとえば、1秒〜数秒程度)とすることが好ましい。この場合、長時間の確定表示時間を利用して、上記「事前発射誘導報知演出」を実行するための余裕演出時間幅を確保できるという利点がある。また、当選ゲームの実行時間(当り変動時間)が終了した後、通常よりも長い確定表示時間が介在するため、遊技者が有る程度の余裕を持って、「左打ち」から「右打ち」へと発射操作ハンドル15の操作することができるという利点もある。なお、時短付与当りの当選ゲームに限り、当選ゲーム中の所定期間、或いは、少なくとも確定表示時間を利用して「右打ち報知」(たとえば、右打ち報知画像779などの右打ち指示画像)を事前に実行してもよい。
なお、時短付与当りの当選ゲーム中に、上述した時短状態(特殊時短状態)に突入する旨を十分報知可能である場合には(たとえば、変動時間が1分以上の比較的長変動である)、当該ゲームの確定表示時間を通常の確定表示時間よりも短時間(たとえば、200ms)としてもよい。この場合、当該当選ゲーム終了後、スムーズに特殊時短状態に突入させることができる。
また、上記実施形態で説明した上記「特典付与形態の変形例1(図33、付与形態(α)〜付与形態(ζ)):段落[0545]〜段落[0560]の記載参照)」、上記「特典付与形態の変形例2(分割特典付与形態)(図34、付与形態(κ)〜(μ):段落[0561]〜段落[0578]の記載参照)」、上記「その他の付与形態(付与形態(ν)(ξ):段落[0579]〜段落[0580]の記載参照)」において、「天井特典」を「所定の抽選に基づく時短状態」または「所定の抽選結果による時短状態」と適宜置き換えて(読み替えて)適用することができる。なお、ここでいう「所定の抽選」とは、上述した大当り抽選および/または時短付与抽選を意味する。
(表示装置による変動回数表示について)
ところで、近年、演出をド派手にしたり、遊技機本体をアピールするために、役物の巨大化が顕著である。たとえば、特開2018−161328に開示される遊技機では、遊技機本体の上部に上側装飾部200などの巨大役物が形成されている。このような巨大役物は、演出効果を発揮する上で好適であるが、データカウンタDTの表示が非常に見辛くなるなどのデメリットもある。そこで、遊技領域内に設置されるメイン液晶表示装置の他に、サブ液晶表示装置が設けられている遊技機が実用化されている。サブ液晶表示装置には、遊技設定に係るメニュー画面や、データカウンタDTに表示される遊技情報、たとえば、前回の大当りからの図柄変動回数に関する情報(以下「変動数」と略す)などが表示可能となっている。これにより、遊技者はデータカウンタDTの表示を確認しなくとも、ハマり回数などを確認することができる。通常、大当りに当選した場合は、大当り遊技終了後に変動数がリセットされ、変動数の表示が「0」から開始されるようになっている。
ここで、時短付与当りは、当り遊技を伴うことなく時短状態だけを付与するものであるため、変動数の表示はリセットせずに継続させることが好ましい。たとえば、700回転目に時短付与当りに当選して、次ゲームから時短状態に移行されるが、変動数の表示に関してはリセットせずに、引き続き、ゲーム数をカウントする(たとえば、「700回転目」→「701回転目→「702回転目・・・」のように変動数を更新表示していく)。これは、時短付与当りの当選により現在の変動数がリセットされてしまうと、残余天井ゲーム数やハマり回数や残余ST回数や残余時短回数などが不明確になり、遊技者が不満感や不信感を抱いてしまうからである。
なお、時短付与当りによる時短状態(特殊時短状態)中の変動数を表示する「特殊時短用変動数表示」を実行可能に構成してもよい。この場合、通常の変動数の表示(ハマり回数の表示)と、特殊時短用変動数表示とを並行的に表示してもよい。また、通常の変動数の表示がリセット(0からスタート表示)された際、特殊時短用変動数表示も同時にリセットするように構成してもよい。また特殊時短用変動数表示は、通常の変動数の表示がリセットタイミングとは別に、時短付与当り当選時、特殊時短開始時、または特殊時短終了時に、特殊時短用変動数表示をリセット(0からスタート表示)するように構成してもよい。この場合、前回の特殊時短用変動数を表示するために、時短付与当り当選時または特殊時短開始時にリセットすることが好ましい。また、過去に実行された特殊時短状態の時短回数を表示する「特殊時短回数履歴表示」を実行可能に構成してもよい。
また、通常の時短状態に実行される普電開放遊技(以下「通常普電開放遊技」と称する)と、特殊時短中に実行される普電開放遊技(以下「特別普電開放遊技」と称する)とにおける可動翼片47の開閉動作パターンを同じ動作パターンとしてもよい。この場合、「開閉動作パターンテーブル(図示せず)」を兼用することができる。
また、通常普電開放遊技よりも特別普電開放遊技の方が、利益状態が高くなるように構成してもよい。たとえば、通常普電開放遊技よりも特別普電開放遊技の方が、下始動口35に入賞し易くなるように、可動翼片47の開閉動作パターンを定めることができる。
この場合、特殊時短状態がハマり救済機能としてのサポート的な特典という意味合い強めるという点で好適である。通常普電開放遊技と特別普電開放遊技とで可動翼片47の開閉動作パターンを異ならせる場合には、普電開放遊技開始前(可動翼片47作動開始前)に設けられるインターバル時間(普電開始INT)や、「始動口閉状態→始動口開状態」に切り替わるまでのインターバル時間(普電開放前INT)や、普電開放遊技終了時のインターバル時間(普電終了INT)や、下始動口35の開放回数などを異なるようにすればよい。なお、通常普電開放遊技と特別普電開放遊技とで可動翼片47の開閉動作パターンを異ならせる場合であっても、プログラム容量の削減や制御負担の軽減の観点から、共通化できるデータは、双方で同じ制御テーブルを兼用することが好ましい。
また本実施形態の場合、通常普電開放遊技と特別普電開放遊技とで1つの普通変動入賞装置41を設け、これを兼用する構成となっているが、本発明はこれに限られない。普通変動入賞装置41を複数設け、通常普電開放遊技と特別普電開放遊技とで、それぞれ異なる普通変動入賞装置41を作動させるように構成してもよい。たとえば、左流下経路3bに属する第1普通変動入賞装置41と、右流下経路3cに属する第2普通変動入賞装置41とを設け、通常普電開放遊技の場合は第1普通変動入賞装置41を作動させ、特別普電開放遊技の場合は第2普通変動入賞装置41を作動させる。なお、第1、第2普通変動入賞装置41をいずれの始動口(特図1側始動口または特図2側始動口)に対応させるかは、遊技性に応じて適宜定めることができる。
また、通常の時短状態と特殊時短状態とにおいて、時短状態を開始させる際に使用する時短開始時プログラムおよび/または時短状態を終了させる際に使用する時短終了時プログラムを、共通の処理プログラムで構成することができる。これにより、プログラム容量の削減、制御負担の軽減を図ることができる。
また、通常の時短状態と特殊時短状態とが同じ内容の時短状態である場合には、共通の遊技状態移行テーブル(図22)を利用してもよい。これにより、プログラム容量の削減、制御負担の軽減を図ることができる。
また、通常の時短状態と特殊時短状態とを異なる内部遊技状態としてもよい。本実施形態に係る「通常の時短状態」は、時短状態を指定するための「普電役物開放延長状態フラグ」、「普通図柄時短状態フラグ」、「普通図柄確変状態フラグ」および「特別図柄時短状態フラグ」の4つのフラグをON状態に設定するようになっている(図22の遊技状態移行テーブルの「JTTBL−1」参照)。
そこで、特殊時短状態を付与する場合には、時短状態を指定する普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、および特別図柄時短状態フラグの4つのフラグのうち、少なくとも1つをOFF状態に設定する。これにより、特殊時短状態の内容と通常の時短状態の内容とを、それぞれ異なるものとすることができる。
ただし「時短」という点、すなわち、特別図柄時短状態や普通図柄時短状態に重点を置くのであれば、普通図柄時短状態フラグおよび特別図柄時短状態フラグのうち少なくとも1つのフラグをON状態に設定することが好ましい。また「開放延長」という点に重点を置くのであれば、少なくとも普電役物開放延長状態フラグをON状態に設定することが好ましい。なお、特殊時短状態と通常の時短状態とを異なる内部遊技状態に設定する構成であっても、特殊時短状態を終了させる際には、通常の時短状態を終了させるときと同じ「時短終了時の設定処理(図16Bの特別図柄確認時間中処理のステップS481参照)」を実行させることができる。これにより、プログラム容量、制御負担の軽減を図ることができる。
また、通常の時短状態と特殊時短状態とで、異なる外端信号を出力してもよい。これにより、データカウンタDTに対して、通常の時短状態中の変動回数(ゲーム実行回数)と、特殊時短状態中の変動回数とを、別々に表示させることが可能になり、遊技者が遊技に興じる際の参考データとして利用することができる。なお、通常の時短状態と特殊時短状態とを特に区別する必要がない場合には、共通の外端信号を出力するように構成してもよい。共通の外端信号を出力する場合には、通常の時短状態と特殊時短状態とで、外端信号を出力するためのプログラムを共通化(兼用)することができる。これにより、プログラム容量、制御負担の軽減を図ることができる。
また別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄の表示態様(特図セグの表示)に関し、時短付与当りに係る特別停止図柄の表示態様が、大当りに係る特別停止図柄の表示態様に含まれないように構成することができる。また、時短付与当りと大当り(たとえば、時短大当りおよび/または確変大当り)とがそれぞれ複数種類設けられている場合、時短付与当りの特別停止図柄の表示態様の種類数を「X」、大当りの種類数を「Y」とした場合、「X≠Y」、「X≠Y」、「X<Y」または「X>Y」のいずれかを満たすように、特別停止図柄の表示態様の種類数を定めてもよい。
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、一般的な弾球遊技機について説明した。この第2実施形態では、内部に封入された遊技球を循環的に使用して遊技を行うタイプの遊技機、いわゆる「封入式遊技機」或いは「管理式遊技機」と称されるタイプの遊技機に関するものである。以下、第2実施形態に係る遊技機を「管理遊技機」または「遊技機1a」と称して説明する。
管理遊技機とは、従来から知られているように、遊技機内部で複数(所定数)の遊技球(遊技媒体)を循環させ、遊技に用いる遊技球や遊技者に遊技球を直接払い出すことを不要とした遊技機である。たとえば、内部に複数(所定数)の遊技球を封入し、発射装置32により発射された遊技球を回収して、再度、発射装置32に供給することにより遊技球を循環させることで、外部から遊技球を供給することなく遊技が可能な遊技機である(たとえば、特開2002−272914、特開2006−81599号公報、特開2010−142475号公報、特開2013−106760号公報)。
上記のように管理遊技機は、遊技機内部に封入された遊技球を用いて遊技を行う「循環式」の遊技機である点で、第1実施形態に係る遊技機のように、遊技機内部に遊技球を封入せずに、外部から供給される遊技媒体を用いて遊技を行う「非循環式」の遊技機とは異なる。このため、上受け皿9や球抜きボタン14などは設けられていない。その替りに、持ち球数(差玉)が、電磁的方式により記録・管理され、その結果(現在の持ち球数)が、所定の表示器(LED表示器)により表示されるようになっている。本実施形態では、持ち球数を表示可能な遊技球数表示装置77(図35参照)が設けられており、遊技者に視認し易いように、遊技機1aの適宜な位置、たとえば、図1の上受け皿ユニット8に相当する位置などに形成されている(図1、図35(イ)参照)。
遊技者の持ち球数(加減算した遊技球数)は、基本的には、発射装置32から発射された遊技球(アウト球:打ち込み数)を「X個」、賞球数(セーフ球:入賞による賞球)を「Y個」、球貸出装置による供給された貸遊技球を「Z個」とした場合、「(Y+Z)−X」個で算出される。たとえば、アウト球数が4000個、セーフ球が3000個、貸遊技球が2000個であれば、+1000個となり、遊技者の持ち球が1000個のプラスの状態となり、この持ち球数が遊技球数表示装置77に表示されるようになっている。
本実施形態の遊技機1aには、アウト球数やセーフ球数をそれぞれカウント可能なカウント手段(アウト球カウント手段、セーフ球カウント手段)を備え、持ち球数を算出可能な持球数算出手段を備えている。なお、詳細は後述するが、遊技機1aには、後述のファール球をカウントするファール球数カウント手段、発射数をカウントする発射球数カウント手段などを含んで構成されている。なお、持ち球数がゼロの状態では発射動作が停止されるため、実際には、持ち球数はマイナス状態にはならず、持ち球がゼロになれば、球貸出装置から遊技球を供給する必要がある。
なお、本実施形態は「管理遊技機」を対象とするが、遊技性に関しては、第1実施形態で述べたものを等しく適用することが可能である。すなわち、図柄変動表示ゲームや演出や天井機能を含む種々の遊技性(たとえば、図4〜図7、図21〜34など)は、本実施形態において特に制限されるものではない。
<2A.制御装置:図35>
図35を参照して、本実施形態に係る遊技機の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図35は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。なお、図35において、図1〜図3に示す要素と基本的に同じ働きをする要素については、同じ符号を示し、その詳細な説明は重複記載を避けるために適宜省略する。
本実施形態に係る管理遊技機の制御装置は、図示のように、主制御部20と、演出制御部24と、主制御部20からの情報コマンド(後述の遊技機設置情報通知電文、遊技機情報通知電文)を受けて、性能情報や持ち球数管理を総括的に司る枠制御基板22(以下「枠制御部22」と称する)と、電源基板(図示せず)と、を中心に構成される。なお、図35において電源供給ルートは省略してある。また図35(イ)は、本実施形態に係る管理遊技機1aの説明に供するものであり、遊技機1aの概略正面図を示したものである。この実施形態の場合、主制御部20は遊技盤3の液晶表示装置36の裏面側に配設され、枠制御部22は前面操作パネル7の裏面側に配設されている。
(2A−3.枠制御部22)
枠制御部22は、図示はしていないが、CPU(枠制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技球数を計数や性能情報を算出するための制御手順を記述した制御プログラムの他、制御に必要な種々のデータを格納するROM(枠制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM(枠制御RAM)とを搭載ししたマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音出力手段に対する音響制御部(音源LSI)、発光手段(遊技数表示装置77、性能表示器99などのLED表示器を含む)に対する光表示制御部、RTC機能部(Real Time Clock)、割込みコントローラ回路、リセット回路、WDT回路など必要な機能が搭載される。枠制御部22の主な役割は、性能情報の算出、表示器(遊技数表示装置77、性能表示器99など)の表示制御、外部ユニットとの通信制御(球貸出装置、ホールコンピュータHC、データカウンタDTなど)、遊技球の循環機能・排出機能の制御、発射装置32に対する発射制御、主制御部20との電文(詳細は後述する)の通信制御、持ち球の管理(持ち球数に関する算出機能(加算機能および減算機能)、記憶機能)などである。また、主制御部20と同じく、必要なデータをバックアップするバックアップ機能も備えている。
枠制御部22には、発射制御基板(発射制御部)28と、発射制御基板28を介して発射装置32が接続されている。発射装置32じゃ。図(イ)に示すように、遊技機1aの上部右隅部に配設されている。
また枠制御部22には、循環ユニット73と、研磨ユニット74とが接続され、これらを制御する。循環ユニット73は、発射装置32から遊技領域3aに向けて発射された遊技球(アウト球)を回収し、回収した遊技球を発射装置32へと供給する循環手段として機能し、循環機構(揚上機構などを含む)と循環機構を駆動する駆動モータを中心に構成される。研磨ユニット74は、循環中の遊技球を研磨する(汚れを除去する)研磨手段として機能し、遊技球に対する研磨機構と研磨機構を駆動する駆動モータを中心に構成される。
発射装置32から発射された遊技球の遊動過程は次のようになる。発射装置32から発射された遊技球は、図(イ)示すように、遊技領域3a内を遊動しながら、入賞口(ここでは、上始動口34、大入賞口50を例示してある)またはアウト口49に入球し、遊技領域3aから排出される。遊技領域3aから排出された遊技球は、循環通路Rを通じて回収され、研磨ユニット74により磨かれながら、循環ユニット74により、再度、発射装置32へと供給される。なお、遊技球の発射を行う発射装置32、循環ユニット73、研磨ユニット74などは、公知の適宜な構成(たとえば、特開2013−106760号の発射手段53、循環手段54、研磨手段55、図1〜図11)を採用することができる。なお、持ち球数がゼロである場合には、当然に、発射装置32から遊技球が発射されることはない。また、第1実施形態で既に説明したが、タッチ状態が検出されていない場合や発射停止スイッチが操作されている場合や発射停止信号が出力されている場合などは発射動作が停止され、遊技球が発射さないように制御される。
また枠制御部22には、玉抜きユニット72と、玉抜きユニット72を作動させるための玉抜きスイッチ62とが接続されている。玉抜きユニット72は、内部に封入された遊技球を遊技機本体から遊技機外部へと排出させるための排出手段を備える。排出手段としては、たとえば、発射装置32に供給される循環通路Rと、封入された遊技球を外部に排出するための排出通路(不図示)とを、電磁ソレノイドなどにより切り替え可能な通路切替機構などである。また玉抜きユニット72には、通路切替機構が排出通路側の「玉抜き状態」に切り替えられているか、そうでない循環通路R側の「非玉抜き状態」であるかを検出する「玉抜き状態検出スイッチ(不図示)」も備えている。玉抜きスイッチ62は、ホール店員などが操作可能な押しボタン式スイッチであり、枠制御部22は、玉抜きスイッチ62のON操作を検出すると、「玉抜き状態」から「非玉抜き状態」または「非玉抜き状態」から「玉抜き状態」に切り替える。
また枠制御部22は、玉抜き状態検出スイッチからの検出情報に基づき、玉抜き状態であるか否かを監視する機能部(玉抜き状態監視手段)を備えている(後述の図37参照)。なお、「玉抜き状態⇔非玉抜き状態」の切り替えは、玉抜きスイッチ62のON/OFF操作に応じてソフトウェア的に切り替えるものに限らず、手動で切り替え可能なものであってもよい。ただし、いずれの場合も、玉抜き状態検出スイッチを設けし、玉抜き状態であるか否かを監視可能に構成することが好ましい。
また枠制御部22には、性能表示器99が接続されている。本実施形態の場合、性能情報は枠制御部22側で算出され、性能表示器99の表示制御が行われる。
また枠制御部22には、持ち球数に関する情報を表示可能な遊技球数表示装置77が接続され、枠制御部22は、遊技球数表示装置77を表示制御可能となっている。遊技球数表示装置77は、持ち球の他、エラー種別を特定可能なエラーコードも表示可能となっている。
また枠制御部22には、入球通路カウントセンサ66と、非入球通路カウントセンサ67と、減算機構カウントセンサ68とが接続されている。この入球通路カウントセンサ66は、アウト球を検出する検出手段であり、その機能はOUT監視スイッチ49aと同じである。非入球通路カウントセンサ67は、いわゆる「ファール球(戻り球)」を検出する検出手段であり、本実施形態では、発射装置32から発射された遊技球が、遊技領域3aに到達しなかった場合、非入球通路(不図示)を通じて発射装置32へと再供給されるようになっており、非入球通路カウントセンサ67は、非入球通路に通過する遊技球を検出可能となっている。減算機機カウントセンサ68は、発射装置32から発射される遊技球を検出する(ファール球を考慮しない実射数を検出する)。枠制御部22は、減算機構センサカウント68からの検出信号に基づき、遊技球1個が発射されるたことを把握し、持ち球数から遊技球1個を減算処理する減算機能部を有している。
枠制御部22は、入球通路カウントセンサ66と、非入球通路カウントセンサ67と、減算機構センサカウント68とからの検出情報、後述の賞球数情報を含む遊技機情報通知電文(図52、図53A〜図53C参照)に基づき、持ち球数の加減算処理を行い、現在の持ち球数をリアルタイムに算出し、その結果を、遊技球数表示装置77に表示する。枠制御部22は、アウト球数、セーフ球数、発射装置32からの発射球数(ファール球を考慮した実射数)のそれぞれを算出する機能部(アウト球数計数手段、セーフ球数計数手段、発射球数計数手段)を有する。なお、ファール球は遊技領域3aに到達していなため、持ち球数についてはノーカウントとして処理される。また、玉貸要求スイッチ87が操作されて、貸出装置(外部ユニットSC)から所定数の遊技球が供給された場合には、この貸出球数も持ち球数に反映される。
また枠制御部22には、扉開放センサ61と、枠制御RAMの所定領域(たとえば、性能情報に関する格納領域(領域外RAM)を除く、現在の持ち球数や持ち球の算出等に利用される格納領域(領域内RAM))を初期化するための枠用RAMクリアスイッチ63と、所定のエラーを解除するためのエラー解除スイッチ64と、持ち球数をゼロクリアする遊技球クリアスイッチ65とが接続され、枠制御部22はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
また、枠制御部22には、外部接続端子基板85が接続され、外部接続端子基板85には、外部ユニットSCが接続されている。枠制御部22は、外部接続端子基板85を介して、外部ユニットSCに所定の情報(たとえば、計数通知、遊技機設置情報、性能情報、特定情報(データカウンタDTやホールコンピュータHCが要する情報)、遊技球の貸出受領結果など)を送信可能となっている。
管理遊技機は、法的要請により、各制御部の機能が制限されている。具体的には、遊技動作を統括的に司るのは主制御部20であるが、持ち球の管理や性能情報の表示処理や外部装置への送受信の制御は、枠制御部22がその機能部を担うようになっている。また主制御部20は、図柄変動表示ゲームの制御や各入賞口への入賞の監視などを行うため、賞球数や大当りの発生や図柄変動の開始/停止や遊技状態の変化など、遊技進行に伴い発生する重要な情報を、リアルタイム的に枠制御部22側に送信する必要がある。そのため、主制御部20側と枠制御部22側との間で、制御負担を無闇に増加させることなく、円滑に情報のやり取りを行うため工夫が必要となる。本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、制御負担を軽減しうる管理遊技機を提供することを目的とする。
<主制御部側の処理:図36A〜図46B>
次に図36A〜図46Bを参照して、第2実施形態に係る主制御部20側の遊技動作処理について説明する。この第2実施形態も上記第1実施形態と同じく、無限ループ状のメイン処理(主制御側メイン処理:図36A〜図36B)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(2つの主制御側タイマ割込処理:図39の4ms割込処理、図43の108ms割込処理)とを中心的に構成される。ただし、第2実施形態に係る「管理式遊技機」は「循環式」の構成であるため、第1実施形態で説明した「非循環式」の構成を持つ遊技機とは、一部異なる処理(特に、電源投入時の処理や賞球に関する処理が異なる)が実行される。なお、図36A〜図46Bにおいて、第1実施形態と実質的に同じ処理については同じステップ番号を付し、その処理内容についての説明は重複記載を避けるために適宜省略する。
<12A.主制御側メイン処理:図36Aおよび図36B>
図36Aおよび図36Bを参照して、本実施形態に係る主制御側メイン処理について説明する。図36Aおよび図36Bは、主制御側メイン処理の詳細を示すフローチャートである。
図36Aにおいて、ステップS011、S014〜S016、S020、S023、S025〜S028、S031〜S032については、図示の通り、図8と実質的に同様の処理内容である。したがって、ここでは図36Aおよび図36Bに示す主制御側メイン処理のうち、図36Aに示す処理についての説明は重複記載を避けるために省略し、図36Bに示す処理を中心に説明する。
図36Aおよび図36Bを参照して、CPU201は、図36Aに示す上記設定変更処理(ステップS023)、領域内RAMクリア処理(ステップS031)、設定確認処理(ステップS027)、およびバックアップ復帰処理(ステップS028)のいずれかの処理を終えると、続いて、電源投入時における枠制御部22との送受信を行うために必要な各種処理(図36Bに示すステップS051〜S063)を実行する。
本実施形態では、主制御部20と枠制御部22との間では非同期式のシリアルポートで電文方式よる通信を行うようになっている。そこでCPU201は、まず、シリアル送信回路を起動する(ステップS051)。
次いで、図51(A)に示す「遊技機設置情報通知電文」を作成し(ステップS052)、作成した遊技機設置情報通知電文を送信シリアルポートバッファ(シリアルI/Oポートに係る送信バッファ)に書き込み、枠制御部22に送信する(ステップS053)。CPU201は、最初に送信シリアルポートバッファに格納されたデータから順番に、1バイト毎に、送信シフトレジスタを転送して、シリアルデータとして、周辺制御基板(ここでは、枠制御部22)に出力する。本実施形態では、送信シリアルポートバッファの記憶容量として16バイトを有している。
(遊技機設置情報通知電文:図51(A))
図51を参照して、上記「遊技機設置情報通知電文」について説明する。図51(A)に、遊技機設置情報通知電文の詳細を示す。
遊技機設置情報通知電文は、図示のように、電文長(電文長情報:1バイト)、電文のコマンドコード(コマンド情報:1バイト)、通信通番(シーケンス番号:1バイト)、遊技機に関する遊技機情報(21バイト)、チェックサム(1バイト)の計25バイトで構成される。電文長は電文のデータ長を示し、ここでは、電文長〜チェックサムまでのデータ長である“25バイト”を示す値(0x19)が設定される。また、コマンドコードおよび通信通番には、それぞれ固定値(0x01、0x00)が設定される。また、遊技機情報には、弾球遊技機、回胴式遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機などの遊技機の種類情報(1バイト)と、主制御部側のCPUのチップID番号(9バイト)と、チップメーカコード(3バイト)と、チップ製品コード(8バイト)とが設定される。
この遊技機設置情報通知電文は、外部ユニットSCを介して、ホールコンピュータHCや遊技機情報センタ(図示せず)などの外部装置に送信される。これにより、パチンコホールに設置されている遊技機の正当性(法的要請を満たすものか否かなど)がチェックされる。
図36Bの説明に戻り、遊技機設置情報通知電文を枠制御部22に送信した後、電源異常チェック処理を実行する(ステップS054)。電源異常チェック処理では、WDTをクリアし、次いで、電断を示す電源異常信号(電圧降下信号)の入力情報に基づき、電断の有無をチェックし、所定時間Tの待機処理を行う。所定時間Tは、後述の「遊技機設置情報応答電文」を主制御部20側が受信するまでに要する十分な時間、たとえば、後述の割込処理(図43、図48)の実行間隔時間分(108msまたは54ms)が確保されている。電源異常信号がON状態であれば、処理状態をステップS011の初期設定処理に移行させ、電断を待つことになる。
一方、電源異常信号がOFF状態であれば、正常動作であるとして、この電源異常チェック処理を抜けて、遊技機設置情報応答電文を受信したか否かを判定する(ステップS055)。この遊技機設置情報応答電文とは、端的に言えば、枠制御部22が上記遊技機設置情報通知電文を受信した場合、主制御部20に対して送信する受領結果情報である。
(遊技機設置情報応答電文:図51(B))
図51を参照して、上記「遊技機設置情報応答電文」について説明する。図51(B)に、遊技機設置情報応答電文の詳細を示す。
遊技機設置情報応答電文は、図示のように、電文長(1バイト)、コマンドコード(1バイト)、通信通番(1バイト)、遊技機設置情報受領結果(1バイト)、チェックサム(1バイト)の計5バイトで構成される。電文長は、電文長〜チェックサムまでのデータ長であり、ここでは上述の計5バイトである旨(0x05)が設定される。また、コマンドコードおよび通信通番には、それぞれ固定値(0x11、0x00)が設定される。また、受領結果には、遊技機設置情報を受領した旨(0x00=受領OK)が設定される。チェックサムは、最後に受信されるデータであり、電文長〜遊技機受領結果までを加算した値が設定される。したがって、遊技機設置情報応答電文を正常に受信している場合のチェックサムの値は、『0x05(電文長)+0x11(コマンドコード)+0x00(通信通番)+0x00(遊技機設置情報受領結果)=0x16(チェックサム=16H)』となる。枠制御部22が遊技機設置情報通知電文の受信結果を応答する際には、遊技機設置情報通知電文の通信通番(0固定)をそのまま応答し、0以外の通信通番を受信した場合は、通信異常であるとして、応答しないようになっている(無応答とする)。
なお、「玉抜き状態」の場合には、受領結果として「0x01」が設定されるが(図51(B)の「受領結果」の欄参照)、これについての詳細は図37〜図38を用いて後述し、ここでは先ず「玉抜き状態」を考慮しないケースについて説明する。
上記「遊技機設置情報応答電文」を受信しているか否かは、受信シリアルポートバッファ(シリアルI/Oポートに係る受信バッファ)の受信データの有無を示す「受信シリアルポートバッファステータスレジスタ(以下「受信バッファステータス」と略す)」をチェックすることにより行う。この受信バッファステータスは、受信データ長に関する情報を含み、たとえば、00Hであれば“受信データ無し”を示し、01H〜10Hであれば“受信データ1バイト有り〜受信データ16バイト有り”を示す。
CPU201は、遊技機設置情報応答電文の受信を確認するまで、つまり、受信バッファステータス値が00H以外の値を確認するまで、ステップS054の電源異常チェック処理を繰り返し実行する(ステップS055:NOの処理ルート)。なお、本実施形態では、上記したように、遊技機設置情報応答電文を主制御部20側が受信するまでに要する十分な時間(たとえば、108ms)が確保されているため、通常は、ステップS055の判定結果はYESとなるが、枠制御部22が上記「無応答」の場合には、主制御部20が遊技機設置情報応答電文を受信できないため、ステップS055の判定結果はNOとなる。この場合は、電断が発生するまで(電源異常信号ONを検出するまで)、ステップS054〜S055の処理を繰り返し実行することになる。
遊技機設置情報応答電文を受信したならば(ステップS055:YES)、受信データ数(受信バッファステータスの値)を取得し、ループ回数として設定する(ステップS056)。このループ回数は、後述のステップS058で利用される。ここで、遊技機設置情報応答電文は上記したように5バイト固定のデータであるが、万が一、6バイト以上のデータを複数回受信してしまうとバグが生じる可能性がある。そのためここでは、受信データ数を取得し、これをループ回数として設定する。なお、枠制御部22からの遊技機設置情報応答電文を正常に受信している場合は、受信バッファステータスの値が“受信データ5バイト有り”を示す「05H」となっているため、ループ回数として5回が設定されることになる。また、上述の「受信データ数(受信シリアルポートバッファに格納されているデータ数)」は、上記受信バッファステータスで確認可能となっており、受信シリアルポートバッファの格納データをリードすると、それに応じて、受信バッファステータスの受信データ数が減算されて行く。受信データ数が0のときに受信シリアルポートバッファをリードした場合は、受信バッファステータスの値は00Hとなる。
次いで、受信シリアルポートバッファから枠制御部22から受信した1バイトの情報を、ループ回数がゼロになるまで、順次、所定のレジスタ(たとえば、Aレジスタ)にロードする(ステップS058の判定結果がNOの処理ルート)。既に説明したように、枠制御部22からの遊技機設置情報応答電文を正常に受信している場合、最終的にAレジスタにロードされるデータは遊技機設置情報応答電文に係るチェックサムであり、その値は正常値の「16H」である。
ループ回数がゼロになったならば(ステップS058:YES)、最終的にAレジスタに取り込んだ値と、チェックサムの正常値「16H」が一致するか否かを判定する(ステップS059)。遊技機設置情報応答電文を正常に受信している場合、Aレジスタの値は「16H」となっているはずである。そこでここでは、最終的にAレジスタに書き込まれた値が、正常値「16H」であるか否かを判定している。
チェックサムが正常値でない場合(チェックサム異常である場合)(ステップS059:NO)、ステップS054の電源異常チェック処理に戻る。この場合、電断が発生するまで、ステップS054〜S055の処理を繰り返すことになる(電源異常チェック処理を繰り返し実行する無限ループ状態となる)。付言すれば、再度、ステップS055の判定処理を通る場合は、遊技機設置情報応答電文が正しく受信されていないと判定されるからである。
遊技機設置情報応答電文が正常に受信できていない場合(上記「無応答」の場合を含む)、主制御部20から枠制御部22に対して、後述の「遊技機情報通知電文(図52参照)」が送信されないようになっている。そこで、枠制御部22側では、この遊技機情報通知電文が所定時間経過しても主制御部20から送られて来ない場合はタイムアウト(受信不良)して、タイムアウトエラー報知などの所定のエラー処理(チェックサムエラー処理)が実行されるようになっている。なお、チェックサム異常の場合には(ステップS059:NO)、主制御部20側にて、チェックサム異常に係る専用のエラーコマンド(上記「電源再投入コマンド」でもよい)を演出制御部24に送信した後、演出制御部24に、たとえば、チェックサム異常エラー報知(RAMエラー報知)を実行させるようにし、ステップS054の電源異常チェック処理に戻り、電源異常チェック処理を繰り返し実行する(無限ループさせる)構成としてもよい。チェックサム異常が生じた場合、遊技機の電源のOFF/ONにより、再度、電源投入時の処理(図36Aおよび図36B)を実行させ、遊技機設置情報応答電文を正しく受信することにより(チェックサムが正常の場合)、正常に復帰されうる。
一方、チェックサムが正常値である場合(ステップS059:YES)、通常の遊技の開始に備えて、主制御部と枠制御部22との送受信関係における所定のRAM領域をクリアする(ステップS060)。具体的には、後述の、通信通番に係る格納領域(通信通番RAM領域)、枠制御部22からの応答電文の受信ミス回数をカウントする受信ミスカウンタ、受信チェック開始フラグ、受信チェックサムRXSUMなどをクリアする。なお、送信用リングバッファ、リングバッファの最終アドレスを示す最終アドレスRAM領域、ロードポインタ・セーブポインタなどは、バックアップ復帰処理(図36AのステップS028)で復帰しているケースを考慮して、ここではクリアしない。
次いで、4ms毎および108ms毎に定期的にタイマ割込みを発生させるためのCTCの設定処理を実行する(ステップS061)。以後、割込コントローラへの割込要求信号が定期的に出力され、図39と図43に示す2つの主制御側タイマ割込処理(4ms割込み処理、108ms割込処理)が実行される。
次いで、遊技開始可能状態が整ったとして、発射装置32の発射動作を許可する発射制御信号(発射許可信号ES)をOFF状態(発射禁止状態)からON状態(発射許可状態)に設定し、遊技開始コマンドを演出制御部24に送信する(ステップS037)。これにより、発射許可信号ESが枠制御部22に出力され、発射装置による遊技球の発射が可能となる。
次いで、遊技許可フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS063)。この遊技許可フラグは、通常の遊技処理を許容するか否かを指定するフラグで、当該フラグがON状態(5AH)である場合には許容状態である旨を示し、当該フラグがOFF状態(00H)である場合には「禁止状態」である旨を示す。遊技許可フラグは、たとえば、後述の図39中の4ms割込処理、図43中の108ms割込処理などで利用される(図39のステップS81A、図43のステップS111参照)。
そして、一連の電源投入時処理(ステップS011〜S063:遊技開始前処理)を終えると、通常の遊技進行に係る遊技処理のステップS040〜S045の無限ループ処理を実行する。これにより、以後、遊技の進行が可能な状態(遊技開始可能状態)に制御されることになる。なお、本実施形態では、図8に示すステップS041(性能表示モニタ集計除算処理)が存在していないが、これは、性能情報(ベース値)の算出やその表示に関する処理は枠制御部22側に委ねているためである(後述の第3実施形態も同様)。
ここで本実施形態では、ステップS041の各種乱数更新処理の後、受信バッファステータス値をチェックして、枠制御部22からの受信データの有無を判定する(ステップS042)。ここでの受信データとは、通常の遊技中に枠制御部22から送られてくる後述の図54に示す「遊技機情報応答電文」である。詳細は後述するが、主制御部20側は、通常の遊技が開始されると、所定時間毎(たとえば、図43の108ms割込処理実行毎)に、所定の遊技情報として、後述の「遊技機情報通知電文(図52)」を枠制御部22に対して送信し、枠制御部22側は、当該遊技機情報通知電文に対する受領通知として“遊技機情報応答電文”を主制御部20に対して送信する。本実施形態の場合、上述の「遊技機情報応答電文」と「遊技機情報通知電文」とは、108ms内で送受信が完了する。このような電文の送受信により、性能情報や賞球数や遊技者の持ち球数や不正行為の有無などの遊技動作を管理可能となっている。
(遊技機情報応答電文:図54)
説明の便宜上、先ず図54を参照して、上述の「遊技情報通知応答電文」について説明する。
「遊技情報通知応答電文」には、図54に示す通り、電文長(1バイト)、コマンドコード(1バイト)、通信通番(1バイト)、遊技情報受領結果(1バイト)、チェックサム(1バイト)の情報が含まれ、図51(B)に示す上記「遊技機設置情報応答電文」と同じく計5バイトで構成される。遊技情報通知応答電文の電文長は、チェックサムまでの電文の長さ情報であり、ここでは5バイトである旨(0x05)が設定される。また、コマンドコードおよび受領結果(遊技機情報受領結果)には、それぞれ固定値(0x12、0x00=受領OK)が設定される。また、通信通番には、後述の「遊技機情報通知電文(図52参照)」で受信した通信通番(0x00〜0xFF(0〜255)のいずれかの値)が設定される(受信した通信通番をそのまま応答する)。チェックサムは、最後に受信されるデータとなっており、ここでは、電文長〜受領結果までを加算した値が設定される。したがって、遊技情報通知応答電文を正常に受信している場合のチェックサムの値は、『0x05(電文長)+0x12(コマンドコード)+0x00(遊技機設置情報受領結果)+通信通番(0〜255のいずれかの値)=固定値(0x17()+通信通番(0〜255のいずれかの値)』となる。
ステップS042〜ステップS043では、受信データとして、上述の図54に示す「遊技機情報応答電文」の受信データの有無がチェックされ、受信データがあれば、枠受信データ記憶処理を実行する(ステップS043)。
この枠受信データ記憶処理では、遊技機情報応答電文の受信データを、RAM203の所定領域(受信チェックサムRXSUM)に格納する。すなわち、“最後に受信されるデータ(5バイト目)がチェックサムであること”を利用して、主制御部20は遊技機情報応答電文に係る受信データを受信すると(受信データが有る場合)、その遊技機情報応答電文に係る「電文長(1バイト)、コマンドコード(1バイト)、通信通番(1バイト)、遊技情報受領結果(1バイト)、およびチェックサム(1バイト)」を、順次、受信チェックサムRXSUMに格納し続ける。これにより、最終的に受信チェックサムRXSUMに格納されているデータは、今回受信した遊技機情報応答電文のチェックサムデータとなる。そして、今回受信した遊技機情報応答電文のチェックサムデータは、次回の遊技機情報応答電文を受信するまで保持される。なお、この受信チェックサムRXSUMに格納されたチェックサム値は、後述の図43に示す108ms割込処理(図43中のステップS114など)で利用される。
本実施形態では、上記したように「遊技情報通知応答電文⇔遊技機情報応答電文」のやり取りが108ms割込毎に実行されるため、遊技機情報応答電文は108ms程度間隔毎に枠制御部22から送られてくる。したがって、主制御部20が、次回の遊技機情報応答電文を受信するまでの間に、今回の遊技機情報応答電文を受信してその受信データを受信チェックサムRXSUMに格納し終える十分な時間が確保されている。
なお、遊技機情報応答電文の受信データの有無は、上記した受信バッファステータスで確認可能となっており、今回の遊技機情報応答電文のチェックサムを格納し終えた後は(全データ格納処理終了後)、受信バッファステータスの値は00Hとなり、次回の遊技機情報応答電文を受信するまでステップS042の判定結果は“NO”となる。遊技機情報応答電文に係る受信データの格納処理は、図示のように、ステップS043の枠受信データ格納処理にて受信データを1バイトずつ格納しながら、S040〜S045のループ処理を実行してもよいし、受信データが有る場合には、受信シリアルポートバッファが空になるまで(受信バッファステータス=00Hになるまで)、ステップS042とS043の処理を繰り返し実行する構成としてもよい。いずれにしても、今回の遊技機情報応答電文のチェックサムを格納後、次回の遊技機情報応答電文を受信するまでに十分な時間が確保されているため、特に問題は生じない。
(電源投入時の処理において、玉抜き状態を含めてチェックする場合:図37)
次に、上記「玉抜き状態」の監視を含めた電源投入時の処理について説明する。図37は、「玉抜き状態」の監視を含めた電源投入時の処理内容を示すフローチャートである。なお、図37において、図36Bと実質的に同じ処理については同じステップ番号を付し、その処理内容についての説明は重複記載を避けるために適宜省略する。
玉抜き状態であるか否かを含めたチェックを行う形態(以下「玉抜き状態監視構成」と称する)では、枠制御部22は、遊技機設置情報応答電文を主制御部20に送信する際に、上記玉抜き状態検出スイッチ(不図示)のON/OFF状態をチェックし(上記玉抜き状態監視手段)、「玉抜き状態」か「非玉抜き状態」かを特定可能なデータを含めた遊技機設置情報応答電文を送信する。具体的には、図51(B)の「受領結果」の欄に示すように、「玉抜き状態」である場合には受領結果が「0x01」、「非玉抜き状態」である場合には「0x00」の遊技機設置情報応答電文を送信する。
遊技機設置情報応答電文に係るチェックサムについては、玉抜き状態でない場合には「0x16(16H)」、玉抜き状態である場合のチェックサムは、受領結果が「0x01」となり「0x17(17H)」の値をとる。このチェックサム値の違いを利用して、玉抜き状態監視構成では、図37に示すような処理を採用している。
図37を参照して、玉抜き状態監視構成の場合には、図示のように、チェックサム値が正常値の「16H」であるか否かを判定し(ステップS059)、チェックサム値が正常値でない場合には(ステップS059:NO)、次いで、玉抜き状態であるか否かを判定する(ステップS065)。
玉抜き状態でない場合(ステップS065:OFF)、すなわち、チェックサム値が「016H」でも「017H」でもない値の場合には、何らかの不具合が生じたとして、ステップS054の処理に移行する。この場合、既に説明した図36BのステップS059の判定結果がNOの場合と同じく、電源異常チェック処理(ステップS054)を繰り返し実行するという処理ルート(無限ループ処理)となる。なお、この玉抜き状態でない場合には、主制御部20側にて、異常に係る専用のエラーコマンド(上記「電源再投入コマンド」でもよい)を演出制御部24に送信した後、演出制御部24に、たとえば、チェックサム異常エラー報知(RAMエラー報知)を実行させるようにし、ステップS054の電源異常チェック処理に戻り、電源異常チェック処理を繰り返し実行する構成としてもよい。この場合も、既に説明したチェックサム異常が生じた場合と同じく、遊技機の電源のOFF/ONにより、再度、電源投入時の処理(図36Aおよび図36B)を実行させ、遊技機設置情報応答電文を正しく受信することにより(チェックサムが正常の場合)、正常に、復帰されうる。
一方、玉抜き状態である場合(ステップS065:ON)、すなわち、チェックサム値が「017H」である場合、発射装置32の発射動作を許可する発射制御信号(発射許可信号ES)をOFF状態(発射禁止状態)からON状態(発射許可状態)に設定し(ステップS037)、玉抜きエラー状態処理(ステップS038)を実行した後、ステップS054の処理に移行する。玉抜きエラー状態処理では、玉抜きエラーであることを示すエラーコマンド(玉抜きエラーコマンド)を演出制御部24に送信する。演出制御部24が玉抜きエラーコマンドを受けると、玉抜き状態エラー報知を実行する。玉抜き状態エラー報知は、音演出(たとえば、音声で「玉抜きエラーです」を出力)、所定の光演出(たとえば、枠LED白色全点灯)、および画像表示演出(たとえば、液晶画面に「玉抜きエラー発生」を表示)の1または複数の演出により報知させることができる。
玉抜き状態である場合(ステップS065:ON)は、少なくとも発射動作を許可した後に電源異常チェック処理(ステップS054)に移行させるが、これは発射動作を許可する理由は、発射装置32内に発射待ちの遊技球が残存している場合があり、この残存球を発射装置32内から取り出すために、発射動作を許可しておくことが好ましいからである。
(玉抜き状態エラーの解消)
本実施形態では、一度、上記玉抜き状態であると判定されると、電源異常チェック処理(ステップS054)を繰り返し実行する無限ループ処理に突入するため、玉抜きスイッチ62やエラー解除スイッチ64を操作しても、玉抜き状態エラーを解消することができないようになっている。玉抜き状態エラー下から正常に復帰させるには、玉抜き状態を解消した状態で、電源のOFF/ON(再投入)する必要がある。
なお、玉抜き状態であるか否かを判定する際には、図38(イ)に示すような処理プログラムを採用することが好ましい。
図38(イ)に、ステップS059、S065の判定処理に着目したソースコードの一例を示す。なお、図38(イ)「具体例」と(ロ)「比較例」とに関し、双方の違いの説明を分かりやすくするために、玉抜き状態エラー報知処理(ステップS038)については省略してある。
図38(イ)を参照して、ステップS059の判定処理では、では、Aレジスタ(遊技機設置情報応答電文のチェックサムデータを取り込んだレジスタ)からチェックサムの正常値「16H」を減算した結果をAレジスタにセットする(SPm1)。Aレジスタの結果がゼロ、つまり、チェックサム値が正常値(=016H)であれば(ステップS059:YES)、受領が正当に完結したとして、ステップS060の処理(SYSTEM_129)にジャンプする(SPm2)。
Aレジスタの結果がゼロでない、すなわち、チェックサム値が正常値(=016H)でなければ(ステップS059:NO)、Aレジスタの値をデクリメントし(SPm3)する。ここでは、玉抜き状態であればチェックサム値が「17H」であり、チェックサム値が正常値「16H」との差分が「01H」であることを利用して、Aレジスタの値を1減算する処理を行っている。
上記減算結果がゼロでなければ(ステップS065:OFF)、何らかの不具合が生じたとして、電源異常チェック処理(SYSTEM_126、ステップS054)にジャンプする(SPm4)。
上記減算結果がゼロであれば(ステップS065:ON)、玉抜き状態であるとして、発射動作を許可して(SPm5、ステップS037)、電源異常チェック処理(SYSTEM_126、ステップS054)にジャンプする(SPm6)。
以上のように、図(イ)の具体例では、上記SPm1〜3に示すように、チェックサム値が正常値「16H」であり、玉抜き状態の場合のチェックサム値が「017H」であることを利用して、「Aレジスタの値−正常値(016H)−玉抜き状態(01H)」の演算結果がゼロ(00H)であるか否かに応じて、玉抜き状態であるか否かを判定するという処理内容となっている。
このようにすると、たとえば、図38(ロ)「比較例」に示すような、段階的にチェックサム値(玉抜き状態)を判定する処理プログラムとしてしまうより、プログラム容量の削減に繋がる。これについて以下詳述する。
図38(ロ)では、ステップS059の判定処理として、Aレジスタの値が正常値(016H)であるか否かを判定し(SPm7)、その判定結果に応じて、電源異常チェック処理(SYSTEM_126、ステップS054)にジャンプするか、ステップS065の判定処理にジャンプするかを定める(SPm8)。ここでは、Aレジスタの値が正常値であれば、受領が正当に完結したとして、ステップS060(SYSTEM_129)の処理にジャンプし、Aレジスタの値が正常値でなければ、ステップS065の判定処理(玉抜き状態であるか否かの判定処理)に移行する。
ステップS065の判定処理に移行した場合、次いで、Aレジスタの値が玉抜き状態のチェックサム値(017H)であるか否かを比較判定し(SPm9)、その判定結果に応じて、電源異常チェック処理(SYSTEM_126、ステップS054)にジャンプするか、ステップS037の発射動作を許可する処理にジャンプするかを定める(SPm10)。ここでは、Aレジスタの値と「017H(玉抜き状態)」とが一致しない、すなわち「玉抜き状態」でなければ、何らかの不具合があるとして、電源異常チェック処理(SYSTEM_126、ステップS054)にジャンプする。一方、Aレジスタの値と「017H(玉抜き状態)」とが一致、すなわち「玉抜き状態」であれば、発射動作を許可し(SPm11、ステップS037)、電源異常チェック処理(SYSTEM_126、ステップS054)にジャンプする(SPm12)。
ここで図示の通り、図38(ロ)の「比較例」の場合には13バイト要するが、先述の図38(イ)の「具体例」の場合には12バイトであり、1バイトの削減に繋がっている。パチンコ店に設置するような風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律による7号営業を対象とした遊技機においては、同法律おける遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則により、遊技動作全般の制御を司る主基板(本実施形態では、主制御部20が該当する)に装着されるROMのプログラム容量が制限されているため(同規則別表第3 不正な改造その他の変更を防止するための遊技機の構造に係る技術上の規格(第6条関係))、たとえ1バイトであってもプログラム容量の削減は重要な意義を有している。
なお、玉抜き状態である場合には、発射装置32の発射動作を許可するが、遊技許可フラグをON状態に設定せずに、通常の遊技処理と同じステップS040以降の無限ループ処理に移行してもよい。具体的には、玉抜き状態である場合(ステップS065:ON)、チェックサム正常時と同じく、ステップS060、S061、S037の処理を順次実行するが、ステップS063の遊技許可フラグのON状態設定処理はスキップし(遊技許可フラグはOFF状態のままにする)、ステップS040以降の処理に進むように構成してもよい。いずれにしても、玉抜き状態である場合には、循環用の遊技球が遊技機外部に漏れだす恐れがあるため、通常の遊技進行に要する処理(たとえば、後述のタイマ割込処理(図39に示す4ms割込処理、図43に示す108ms割込処理)が実行されないように制御することが好ましい。
<70.主制御側タイマ割込処理(第2実施形態):図39、図43>
次に図39、図43を参照して、第2実施形態に係る主制御側のタイマ割込処理について説明する。図39は、主制御側タイマ割込処理のうち、4ms割込処理を示し、図43は、108ms割込処理を示すフローチャートである。これら主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度、108ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
本実施形態では、4ms割込処理と108ms割込処理を含む複数の割込処理を扱う。図39に示す4ms割込処理は、図9で説明した上記「主制御側タイマ割込処理」と基本的に同じ処理内容であり、図示の通り、主に通常の遊技進行(図柄変動表示ゲームや当り遊技など)に必要な処理が実行される。他方、図43に示す108ms割込処理は、管理式遊技機の特性、具体的には、枠制御部22が、持ち球数や賞球数や性能情報などの種々の制御処理(遊技球数表示装置77に対する表示処理、性能表示装置99に対する表示処理など)や、外部装置(球貸出装置、ホールコンピュータHC))に対して必要な情報を生成し出力する制御処理を行うために要する情報(主に、遊技機情報通知電文(図52参照))の作成や出力に関する処理が実行されるようになっている。
また本実施形態では、4ms割込処理は、108ms割込処理よりも割り込み優先度(優先順位)が高く設定されている。これは、持ち球数や性能情報などに関する処理は比較的長い時間間隔(100ms〜110ms程度)で処理を実行しても特に問題は生じないが、演出や図柄変動表示ゲームに関する処理については、遊技をスムーズに進行させるために時間の制約が厳しく、極短時間間隔(2ms〜4ms程度)での処理が必要だからである。なお、優先順位の低い108ms割込処理の実行中に、優先順位の高い4ms割込処理を実行する多重割り込みを許可する構成としてもよい。また、108ms割込処理を実行する際に割り込み禁止状態に設定し、当該処理を終えた後で割り込み許可状態に設定してもよい。この場合、108ms割込処理中に、4ms割込処理の割り込み要求があった場合には、08ms割込処理を終えた後に直ちに4ms割込処理を実行可能な構成してもよい。
<4ms割込処理:図39>
まず図39を参照して、4ms割込処理について説明する。なお、図39において第1実施形態(図9の主制御側タイマ割込処理)と実質的に同じ処理については同じステップ番号を付し、その処理内容についての説明は重複記載を避けるために適宜省略する。
図39において、CPU201は、4msタイマ割込みが生じると、まず電源異常チェック処理を実行する(ステップS081)。
次いで、遊技許可フラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS81A)。遊技許可フラグがON状態でない場合(ステップS81A:≠5AH)、遊技処理禁止状態であるとして、図示のステップS082〜S105の処理をスキップして、ステップS104に進み、WDTのカウント値をクリアし、4ms割込処理を終了して、次の4ms割込みが発生するまで、主制御側メイン処理を実行する。
一方、遊技許可フラグがON状態である場合(ステップS81A:=5AH)、遊技処理許容状態であるとして、通常の遊技進行に要する処理(図柄変動表示ゲームや普電開放遊技や当り遊技(大当り遊技、小当り遊技)などに関する処理)として、タイマ管理処理(ステップS082)〜WDTクリア処理(ステップS104)を順次実行していく。ただし、本実施形態に係る遊技機は「管理式遊技機」であるため、図9に示す「「非管理式遊技機」」タイプの主制御側タイマ割込処理と比し、実際の遊技球を払い出すための賞球管理処理(ステップS090)は無く、また、性能情報に関する処理は枠制御部22側で行う構成のため、性能表示の算出やその表示制御に関する性能表示モニタ処理(図9のステップS102)も設けられていない。
遊技進行に必要な情報は、後述の「遊技機情報通知電文」を作成して、これを送信が必要なタイミングで枠制御部22に送信し(後述の図43に示す108ms割込処理中の電文送信処理(ステップS123)参照)、枠制御部22がこの遊技機情報通知電文を受け、これに含まれる情報に基づき、持ち球数、性能情報の算出・表示、および外部装置(ホールコンピュータHCなど)への特定遊技情報(たとえば、賞球数、図柄変動回数、当り回数、不正行為検知などの情報)などの管理処理を行う構成となっている。
(遊技機情報通知電文:図52、図53A〜図53F)
図52および図53A〜図53Fを参照して、上記「遊技機情報通知電文」について説明する。
図52に、遊技機情報通知電文の詳細を示す。遊技機情報通知電文は、図示の通り、電文長(1バイト)、コマンドコード(1バイト)、通信通番(1バイト)、主制御状態1(1バイト)、主制御状態2(1バイト)、遊技機エラー状態(1バイト)、不正検知状態(1バイト)、遊技情報数(1バイト)、遊技情報n(n=0〜5:遊技情報1個につき、種別情報(1バイト)+カウント情報(1バイト)の2バイトで、0バイト〜10バイト)、チェックサム(1バイト)の計9バイト〜19バイトで構成される。
なお上記遊技機情報通知電文の通信通番については、遊技機情報通知電文送信時に前回の通信通番に1加算した値を送信する。具体的には、通信通番は0〜255(0x00〜0xFF)の値とり、255の次は0に戻るといった、0〜255の範囲を循環する循環式となっている。
上記主制御状態1、主制御状態2、遊技機エラー状態、不正検知状態は、主として、枠制御部22に接続された外部接続端子基板85から出力する外端信号に係る情報である。主制御状態1や主制御状態2に係る「内容」欄の「有利状態」とは、通常遊技よりも有利な遊技状態を意味し、たとえば、時短状態、確変状態、潜確状態などが該当する。また、主制御状態2のに係る「内容」欄の「大当り中+有利状態中」とは、大当り中およびその大当り終了後の有利状態中の期間を意味する。また、遊技機エラー状態は、遊技機に生じたエラー種別情報を指定する。不正検知状態1は、遊技機に対する不正行為を検出するために設けられた電波センサ、振動センサ、磁気センサなどが検知する不正監視情報(不正検知情報)であり、「内容」の欄の「盤面不正1〜6」は、センサによる不正検知種別を指定する。たとえば、不正検知情報として、ビット0〜3(盤面不正1〜3)に、大入賞口50近傍に形成された電波センサによる検出状態、大入賞口50近傍に形成された磁気センサによる検出状態、下始動口35近傍に形成された電波センサの状態を割り当て、不正を検知した場合(正常であれば対応するビットが「0」に設定され、不正検知(異常)であれば対応するビットが「1」に設定される)、不正行為を検知したことを、外部接続端子基板85を介してホールコンピュータHCやデータカウンタDTなどの外部装置に通知する。
(遊技情報:図53A〜図53F)
上記遊技情報について、図53A〜図53Fを用いて説明する。なお、図53B〜図53Fでは、本発明に関連の深い遊技情報(種別情報+カウント情報)を代表的に示す。
図53Aに示すように、遊技状態は「種別情報(上位1バイト)」と「カウント情報(下位1バイト)」の計2バイトで構成される。上記「種別情報」は、図53A(A)に示すように、上位4ビット(ビット4〜7)がデータ種別(種別1〜15)、下位4ビット(ビット0〜3)がそのデータ内容を指定し、たとえば、或る入賞口への入賞、図柄確定回数(特別図柄、普通図柄の変動回数を通知)、特別図柄当り(大当り、小当りの発生を通知)、普通図柄当り(普通図柄の当り(補助当り)の発生を通知)、役物回数(役物連続作動装置が未作動時の大入賞口の開放を通知)、特定領域通過(特定領域の遊技球の通過を通知)、外部端子板パルス出力(専用ユニットからパルス出力することを指示)、性能情報状態通知(性能情報の演算に必要となる状態を通知)などを特定する。
上記「カウント情報」には、図53B〜図53Fに示すように、持ち球数の算出に要する情報(賞球数情報:図53B、図53C)や図柄確定回数(図53D)や当り発生回数(図53E)や、性能情報の算出に必要となる情報として遊技状態の変化(図53F)を特定可能な情報が含まれる。
<(イ)賞球数に係るカウント情報(データ種別=1〜8):図53B〜図53C>
図53B(B)に、「賞球数に係るカウント情報」を示す。賞球数に係るカウント情報は、図示の通り、上位4ビット(ビット4〜7)が賞球数情報(1〜15個)、下位4ビット(ビット0〜3)が入賞個数(1個)を指定するものとなっている。本実施形態では、賞球数に係る遊技情報(種別情報+カウント情報)の一例として、たとえば、図53B〜図53Cの(例1)〜(例6)に示すようなデータが作成されるようになっている。
(データ種別1:始動口入賞)
図53B(例1)に、賞球3個の上始動口34に、2個の入賞が発生した場合の遊技情報を示す。この(例1)は、図53Aに示す「データ種別1」の「始動口入賞」の一例である。本実施形態の場合、始動口は「上始動口34」と「下始動口35」の2つであるため、ここでは始動口番号(図53Aの「データ番号」の欄参照)として、上始動口34を「始動口1」、下始動口に「始動口2」を割り当て、その他は未使用としている。なお、遊技情報は、入賞個数1個に対して1つの遊技情報が作成される(他の場合も同様)。本例の場合は、入賞個数が2個であるため、遊技情報として「0x1131」のデータが2つ作成される。
(データ種別2:特別電動役物による大入賞口入賞)
図53B(例2)に、賞球15個の大入賞口50に、3個の入賞が発生した場合の遊技情報を示す。この(例2)は、図53Aに示す「データ種別2」の「特別電動役物による大入賞口入賞」の一例であり、ここでは、役物連続作動装置が非作動時の大入賞口への入賞、主に「小当り」による大入賞口への入賞を扱う。本実施形態の場合、大入賞口は「大入賞口50」のみが設けられているため、大入賞口番号(図53Aの「データ番号」の欄参照)として、大入賞口50を「1」に割り当て、その他は未使用としている。本例の場合は、入賞個数が3個であるため、遊技情報として「0x21F1」のデータが3つ作成される。
(データ種別3:入賞口入賞)
図53B(例3)に、賞球3個の一般入賞口43bに、1個の入賞が発生した場合の遊技情報を示す。この(例3)は、図53Aに示す「データ種別3」の「入賞口入賞」の一例である。本実施形態の場合、一般入賞口は「一般入賞口43a〜e」が設けられているため、入賞口番号(図53Aの「データ番号」の欄参照)として、一般入賞口43a〜eを「1」〜「5」に割り当て、その他は未使用としている。本例の場合は、入賞個数が1個であるため、遊技情報として「0x3231」のデータが1つ作成される。なお、一般入賞口43のうち、賞球数が同じもの同士は、共通の入賞口番号を割り当ててもよい。
(データ種別4:ゲート通過/普図作動口入賞)
図53C(例4)に、通過ゲートからなる普通図柄始動口37(賞球0個)に、遊技球が1回通過した場合の遊技情報を示す。この(例4)は、図53Aに示す「データ種別4」の「ゲート通過/普図作動口入賞」の一例である。本実施形態の場合、通過ゲートは「普通図柄始動口37」のみが設けられているため、通過ゲート番号または普図作動口番号(図53Aの「データ番号」の欄参照)として、普通図柄始動口37を「1」に割り当て、その他は未使用としている。本例の場合は、入賞個数が1個であるため、遊技情報として「0x4101」のデータが1つ作成される。
(データ種別5:普通電動役物作動による始動口入賞)
図53C(例5)に、普通電動役物作動による賞球1個の下入賞口35に1個入賞した場合の遊技情報を示す。この(例5)は、図53Aに示す「データ種別5」の「普通電動役物作動による始動口入賞」の一例である。ここでは、普電開放遊技中における下始動口35(始動口2)への入賞を扱う。本例の場合は、入賞個数が1個であるため、遊技情報として「0x5201」のデータが1つ作成される。
(データ種別6:役物連続作動装置作動による大入賞口入賞)
図53C(例6)に、役物連続作動装置による賞球15個の大入賞口50に1個入賞した場合の遊技情報を示す。この(例6)は、図53Aに示す「データ種別6」の「役物連続作動装置作動による大入賞口入賞」の一例である。ここでは、役物連続作動装置作動による大入賞口への入賞、つまり、「大当り」による大入賞口への入賞を扱う。本例の場合は、入賞個数が1個であるため、遊技情報として「0x61F1」のデータが1つ作成される。
<(ロ)図柄確定回数に係るカウント情報(データ種別=9):図53D>
図53Dに、「図柄確定回数に係るカウント情報」を例示する。図柄確定回数に係るカウント情報は、上位4ビット(ビット4〜7)が未使用、下位4ビット(ビット0〜3)が図柄確定回数(1回)を指定するものとなっている。
図柄確定回数に係るカウント情報の一例として、図53D(例7)に、特別図柄1が1回停止した場合の遊技情報を、同図(例8)に、普通図柄が1回停止した場合の遊技情報を示す。本実施形態の場合、図柄として、特別図柄1、特別図柄2、普通図柄1の3種類を扱っているため、特図番号または普図番号(図53Aの「データ番号」の欄参照)として、特別図柄1を「1」、特別図柄2を「2」、普通図柄1を「3」に割り当て、その他は未使用としている。(例7)は、特別図柄1が1回停止した場合であるので、遊技情報として「0x9101」のデータが作成される。また(例8)は、普通図柄が1回停止した場合であるので、遊技情報として「0x9301」のデータが作成される。
<(ハ)当りに係るカウント情報(データ種別=10(特別図柄当り)、データ種別=11(普通図柄当り)):図53E>
図53Eに、「当りに係るカウント情報」を例示する。当りに係るカウント情報は、上位4ビット(ビット4〜7)が未使用(0固定)、下位4ビット(ビット0〜3)が当り回数(1回)を指定するものとなっている。
特別図柄当りに係るカウント情報の一例として、図53E(例9)に、大当りが1回発生した場合の遊技情報を、同図(例10)に、小当りが1回発生した場合の遊技情報を示す。本実施形態の場合、特別図柄当りとして、大当りと小当りの2種類を扱っているため、特別図柄当り種別(図53Aの「データ番号」の欄参照)として、大当りを「1」、小当りを「2」に割り当て、その他は未使用としている。同図(例9)は、大当り(大当り遊技)が1回発生した場合であるので、遊技情報として「0xA101」のデータが作成される。また、同図(例10)は、小当り(小当り遊技)が1回発生した場合であるので、遊技情報として「0xA201」のデータが作成される。
また、普通図柄当りに係るカウント情報の一例として、図53E(例11)に、補助当り(普電開放遊技)が1回発生した場合の遊技情報を示す。本実施形態の場合、普通図柄当り種別として、補助当り1種類を扱っているため、普通図柄当り(補助当り)種別(図53Aの「データ番号」の欄参照)として、補助当りを「1」に割り当て、その他は未使用としている。同図(例11)は、補助当りが1回発生した場合であるので、遊技情報として「0xB101」のデータが作成される。なお、補助当りは1種類に限らず、補助当り遊技が異なる補助当りを複数種類設けてもよい。
<(ニ)役物回数(大入賞口開放回数)に係るカウント情報(データ種別=12):図53F>
図53Fに「役物回数(大入賞口開放回数)に係るカウント情報(データ種別=12)」を例示する。役物回数に係るカウント情報は、上位4ビット(ビット4〜7)が未使用(0固定)、下位4ビット(ビット0〜3)が大入賞口開放回数(1回)を指定するものとなっている。なお、データ種別12に係る役物番号(図53Aの「データ番号」の欄参照)は、1固定(0、2〜15は未使用)となっている。
役物回数(大入賞口開放回数)に係るカウント情報の一例として、図53F(例12)に、大入賞口50が1回開放した場合の遊技情報を示す。大入賞口50が1回開放した場合は、図示の通り、遊技情報として「0xC101」のデータが作成される。
<(ホ)性能情報状態通知に係るカウント情報(データ種別=15):図53F>
図53Fに「性能情報状態通知に係るカウント情報」を例示する。性能情報状態通知に係るカウント情報は、上位4ビット(ビット4〜7)は未使用(0固定)であり、下位4ビット(ビット0〜3)は、図示の通り、ビット0はベース種別(低ベース中、高ベース中を指定)、ビット1は大当り中であるか否かを指定、ビット2は抽選状態種別(高確率中、低確率中を指定)、ビット3は未使用となっている。
性能情報状態通知に係るカウント情報の一例として、図53F(例13)に、高ベース中(時短、確変)に状態変化した場合の遊技情報を示す。この場合、図示の通り、種別情報は“データ種別「15」、データ番号「1(固定)」(図53A参照)”、カウント情報は、上位4ビット(ビット4〜7)0固定、下位4ビット(ビット0〜3)はそれぞれ、高ベース「1」、通常「1」、低確率中「0」、未使用「0」となる。この場合は、遊技情報として「0xF101」のデータが作成される。
上記遊技情報は、4ms割込処理内の所定の処理中で作成され、所定のRAM領域に記憶される。たとえば、入賞(賞球)に関する遊技情報(データ種別=1〜8:図53B〜図53C)は、入力管理処理(ステップS083)で作成される。また、普図の図柄確定回数に関する遊技情報(データ種別=9:図53D)は、普通図柄管理処理(ステップS091)で作成され、たとえば、普通図柄の変動時間が停止した場合(確定表示時間経過後)に作成すればよい。また、特図の図柄確定回数に関する遊技情報(データ種別9:図53D)は、特別図柄管理処理(ステップS093)で作成され、たとえば、特別図柄確認時間中処理(図16A〜図16B)のステップS472の前段階、つまり特別図柄の確定表示時間経過後に作成すればよい。
また、特別図柄当り(大当り/小当り発生)に関する遊技情報(データ種別10:図53E)と役物回数(大入賞口開放回数)に係る遊技情報(データ種別12:図53F)は、特別電動役物管理処理(ステップS095)で作成され、普通図柄当り(普電開放遊技発生)に関する遊技情報(データ種別11:図53F)は、普通電動役物管理処理(ステップS092)で作成される。また、性能情報状態通知に係るカウント情報(データ種別15)は、遊技状態が変化した場合(低ベース⇔高ベース)に作成を要するため、たとえば、特別図柄管理処理(ステップS093)中の特別図柄確認時間中処理(図16A〜図16B)のステップS475(大当り時)、ステップS482やS486の時短終了時、特別電動役物管理処理(ステップS095)中の大当り終了処理(ステップS509)などの処理において、性能情報に算出に要する状況(遊技状態の変化)が生起した際に作成すればよい。いずれにしても、適宜な処理中で遊技情報を作成すればよい。
なお、主制御状態1、主制御状態2、遊技機エラー状態、不正検知状態に関する遊技情報は、主として、枠制御部22に接続された外部接続端子基板85から出力する情報であり、これらの情報は、たとえば、外部端子管理処理(ステップS099)で作成され、外部装置に出力される。
図39の説明に戻る。本実施形態の入力管理処理(ステップS083)では、第1実施形態の場合と同じく、上記入力データ作成処理や不正入賞監視処理(入賞無効処理)などを行うが、上記したように、遊技機情報通知電文に係る遊技情報のうち、入賞(賞球)に関する遊技情報(図53B〜図53C)の作成・設定に関する処理も行う。
<入力管理処理:図40>
本実施形態の入力管理処理について説明する。図40は、入力管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図57Aにおいて、CPU201は、まず、入力データ作成処理を実行する(ステップS191)。入力データ作成処理では、まず入力ポートのON/OFF状態を取得し、入賞口の入賞の有無をチェックし、入賞検出データ(スイッチ入力データ)を作成する。具体的には、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43hなどの各入賞口について、その入賞の有無を特定可能な入賞検出データを作成し、RAM203の所定領域(スイッチ入力データ格納領域)に格納する。
次いで、入賞検出データに基づき、スイッチ情報作成処理を実行する(ステップS193)。スイッチ情報作成処理では、後述の図57に示す「入賞イベント記憶処理」で利用される「スイッチ情報」を作成(取得)し、これを対応する所定のRAM領域(スイッチエッジ格納領域:W_SWEDG1〜5)に格納する。なお、説明を簡易なものとするために、一般入賞口43a〜eについては、賞球数を共通とし、一般入賞口43a〜eを1種類の入賞口として扱う(入賞口番号を「1」のみとし、他は未使用とする:図53Aの種別3の対応欄参照)。
入賞に関する遊技情報は、図53A〜図53Cを用いて既に述べた通り、始動口入賞(データ種別1)〜役物連続作動装置作動による大入賞口入賞(データ種別6)などの遊技情報の作成が必要となる。そこで、このスイッチ情報作成処理では、各入賞口に関し、下記のようなスイッチ情報を取得し格納する。なお、入賞が無かった場合には、入賞検出データが更新されないため、入賞無しを示す全ビット0のビットデータ「00000000B」が格納される。
(イ)上始動口34に係るスイッチ情報
上始動口34への入賞があった場合は、その入賞を示すビットデータとして「00000001B」を「W_SWEDG1」に格納する。
(ロ)普通図柄始動口37に係るスイッチ情報
普通図柄始動口37の入賞があった場合は、その入賞を示すビットデータとして「00000100B」を「W_SWEDG3」に格納する。
(ハ)一般入賞口43に係るスイッチ情報
一般入賞口43への入賞があった場合は、その入賞を示すビットデータとして「00100000B」を「W_SWEDG5」に格納する。
普通変動入賞装置42の下始動口35や特別変動入賞装置52の大入賞口50の場合は、上記した図53B(例2)や図53C(例5)に示すように、役物動作(普通電動役物、特別電動役物)に関連する遊技情報を作成するため、下記のような手順でスイッチ情報を作成するようになっている。
(ニ)下始動口35に係るスイッチ情報)
下始動口35への入賞があった場合、普通電動役物非作動中(非普電開放遊技中)であるか、普通電動役物作動中(普電開放遊技中)であるかを判定し、普通電動役物作動中の入賞であれば「W_SWEDG2」に当該入賞を示すビットデータ「00000010B」を格納し、普通電動役物非作動中であれば当該入賞を示すビットデータ「00000000B(入賞を無効扱いとする)」を格納する。すなわち、普通電動役物作動中であるか否かに応じて異なるスイッチ情報を格納する。
普通電動役物作動/非作動(ON/OFF状態)については、「普電作動中フラグ」のON/OFF状態により判定可能となっている。この「普電作動中フラグ」は、普電開放遊技中であるか否かを判定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普電開放遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(≠5AH)である場合には普電開放遊技中ではない旨を示す。本実施形態では、普電開放遊技中でない場合に入賞があった場合、これを無効として扱い、入賞無しの場合と同様の「00000000B」を格納するようにしてある。ただし、普電開放遊技終了直前(下始動口35の閉鎖直前)に入賞した遊技球(下始動口35内の残存球)については、これを有効な入賞として扱うことが必要なため、その残存球を排出するための余裕時間(たとえば、0.5秒〜1秒程度)を設けてあり、可動翼片47が閉状態となっても普電作動中フラグは直ちにOFF状態にせず、その余裕時間分が経過するまでは、普電作動中フラグはON状態に制御されるようになっている。なお、図示はしていないが、普電作動中フラグの状態は、普通電動役物管理処理(ステップS092)において管理される。
したがって、この余裕時間を超えて入賞した遊技球は、不正な入賞として扱い、不正入賞であることを示すエラー処理、たとえば、当該入賞を無効にして(全ビット0とする)、所定時間(たとえば、30秒間)、専用のエラー報知を行う(下始動口不正入賞監視処理)。しかし、当該入賞は無効とせずにエラー報知だけを行う構成としてもよい。なお、電サポ有りを伴う遊技状態(時短中や確変中など)は、頻繁に普電開放遊技が発生するため、一々、不正入賞の判定をせずに、入賞をすべて有効扱いとしてもよい。電サポ中であるか否かは、普電役物開放延長状態フラグのON/OFF状態を判定すればよい。
(ホ)大入賞口50に係るスイッチ情報
大入賞口50への入賞があった場合、「大当り遊技中」であるか「小当り遊技中」であるかを判定し、大当り遊技中の入賞であれば「W_SWEDG4」に当該入賞を示すビットデータ「00001000B」を格納し、小当り遊技中の入賞であれば、「W_SWEDG4」に当該入賞を示すビットデータ「00010000B」を格納する。大当り遊技中であるか否か判定は、上記役物連続作動装置作動フラグのON/OFF状態(作動中/非作動)(上記条件装置作動フラグのON/OFF状態を判定してもよい)を判定すればよい。また、小当り遊技中であるか否かの判定は、小当り中フラグのON/OFF状態を判定すればよい。なお、役物連続作動装置作動フラグ(または条件装置作動フラグ)および小当り中フラグがOFF状態である場合の入賞は、不正な入賞として扱い、不正入賞であることを示すエラー処理、たとえば、当該入賞を無効にして(全ビット0とする)、所定時間(たとえば、30秒間)、専用のエラー報知を行う(大入賞口不正入賞監視処理)。しかし、当該入賞は無効とせずにエラー報知だけを行う構成としてもよい。
上記スイッチ情報作成処理(ステップS192)を終えると、次いで、図41Aに示す入賞イベント記憶処理を実行する(ステップS193)。
<入賞イベント記憶処理:図41A(図41B)、図42>
図41Aは、上記入賞イベント記憶処理の詳細を示すフローチャートである。
図41Aにおいて、CPU201は、まず、図56に示すスイッチカウントテーブル(D_SWCNT)を取得する(ステップS201)。
<スイッチカウントテーブル:図56>
図56に、スイッチカウントテーブルの一例を示す。なお、このスイッチカウントテーブルは、実際には、遊技情報を作成する際に要するすべてのスイッチ(センサ)に関するデータ群が定められているが、ここでは本発明と関連の深いスイッチ(センサ)に関するデータを代表的に示してある。
図56を参照して、スイッチカウントテーブルには、スイッチエッジ格納領域(W_SWEDG1〜6)に対応して、入賞判定ビットデータと、イベント番号データとが定められている。「入賞判定ビットデータ」とは、入賞口については、入賞の有無および入賞時状態を判定可能なデータである。判定の仕方の詳細は追って説明するが、後者の「入賞時状態」とは、たとえば、大入賞口50への入賞があった場合、その入賞が大当り遊技中の入賞であるか、小当り遊技中の入賞であるかを特定するものである。「イベント番号データ」とは、遊技機情報通知電文に係る遊技情報(種別情報+カウント情報)を特定するための識別子として利用されるものであり、後述のリングバッファ送信処理(後述の図44BのステップS155、その詳細を示す図46A〜図46B)で利用される。
次いで、ループ回数(スイッチカウントテーブルに設定された判定対象となるスイッチ情報数)を設定し、(ステップS202)。ループ回数に応じたスイッチ情報を取得する(ステップS203)。たとえば、1回目のループであれば、図56に示すスイッチカウントテーブルのEVENT1に対応するW_SWEDG1に格納されているスイッチ情報を取得する。
次いで、取得したスイッチ情報と、対応する入賞判定ビットとを比較する(ステップS204)。たとえば、1回目のループであれば、図56に示すスイッチカウントテーブルの「W_SWEDG1(上始動口34対応のスイッチ情報)」に格納されたビットデータと、入賞判定のビット(マスクデータ)の「00000001B(イベント番号1(@EVENT1)対応のビットパターン)」との論理積(AND)をとり、第0ビット以外のビットをマスクする。この例の場合、W_SWEDG1のスイッチ情報が「有り(ON状態)」の場合には、論理演算結果が「00000001B」となり(判定結果=YES)、該当するスイッチ情報が「無し(OFF状態)」の場合には、論理演算結果が「00000000B」となる(判定結果=NO)。
入賞判定有りの場合(ステップS204:YES)、対応するイベント番号を取得する(ステップS205)。たとえば、1回目のループであれば、図56に示すスイッチカウントテーブルのイベント番号1(EVENT1)を取得する。そして、そのイベント番号を、所定のRAM領域(リングバッファ)に格納し(ステップS206:リングバッファ格納処理)、ループ回数をデクリメントする(ステップS207)。なお、ステップS206のリングバッファ格納処理の詳細については、図42を用いて後述する。
ここで、4回目のループと5回目のループでは、「W_SWEDG4」のビットデータ、すなわち、大入賞口50のスイッチ情報が続けて判定対象となり、4回目のループでは、入賞判定のビット「00001000B(イベント番号4(@EVENT4)対応のビットパターン)」と比較され、5回目のループでは、入賞判定のビット「00010000B(イベント番号5(@EVENT5)対応のビットパターン)」と比較されるが、4回目のループでは「大当り遊技中の大入賞口入賞」であるか否かが特定され、5回目のループでは「小当り遊技中の大入賞口入賞」であるか否かが特定されるようになっている。入賞判定有りの場合、4回目のループであれば「イベント番号4」が取得され、5回目のループであれば「イベント番号5」が取得されることになる。
一方、入賞判定無しの場合(ステップS204:NO)、ステップS205〜S206の処理(イベント番号の格納処理)を実行せずに、ループ回数をデクリメントする(ステップS207)。したがって、入賞判定無しの場合、つまり、送信すべき遊技情報の発生がない場合(イベント番号を記憶する事象が発生しない場合)には、イベント番号の格納処理(リングバッファ格納処理)がスキップされるため、イベント番号については、発生順に記憶されていくことになる。
次いで、ループ回数がゼロであるか否かを判定し(ステップS208)、ループ回数がゼロになるまで(スイッチカウントテーブルにおける全スイッチ情報を判定するまで)、ステップS203〜ステップS208の処理を繰り返す(ステップS208:NOの処理ルート)。ループ回数がゼロになったならば(ステップS208:NO)、入賞イベント記憶処理を終える。
(リングバッファ格納処理(ステップS206):図42)
図41A中の上記リングバッファ格納処理(ステップS206)について説明する。図42は、上記リングバッファ格納処理の詳細を示すフローチャートである。
(リングバッファについて:図55)
本実施形態では、遊技機情報通知電文の遊技情報に関連するデータを記憶する手段として、「リングバッファ」を用い、イベントの発生順に記憶していくようになっている。この「リングバッファ」について簡単に説明しておく。図55に、シフトバッファとリングバッファの概念図を示す。リングバッファとは、周知のように、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われる「環状式バッファ」のことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶するという機能を持つバッファである(図55(2)参照)。同図(2)に示すリングバッファの場合、「セーブポインタ(リングバッファにデータを書き込むためのアドレス(格納先アドレス)を特定するためのポインタ)」が示すリングバッファのアドレスにデータが書き込まれるようになっており、「ロードポインタ(リングバッファからデータを読み込むためのアドレス(読み込み先アドレス)を特定するためのポインタ)」が示すリングバッファのアドレスからデータが読み込まれるようになっている。
したがって、読み出し可能なデータの長さ、つまり格納されているデータ量は、「“セーブポインタ”−“ロードポインタ”」の長さとなり、図示の場合、データ送信前であれば「08番地−00番地」の8バイトである。また図示のケースにおいて、たとえば、新たなデータが書き込まれない状態で5個のデータを送信した場合(図示の送信後参照)、ロードポインタはデータを1つ読み出す毎にインクリメントされて05番地に更新され、他方、セーブデータは新たなデータが書き込まれていないので、データ送信前の08番地のままである。したがって、このケースの場合、残存データ数は3バイトである。
なお、リングバッファにデータが全く保持されていない状態では(たとえば、初回の電源投入時やRAMクリア時など)、セーブポインタとロードポインタは同じアドレスを示す(たとえば、リングバッファの先頭アドレス(0番地)が格納されている)。以上の点で、リングバッファは、先頭アドレスのデータを読み込むとともに先頭アドレスのバッファをクリアし、次アドレスのデータを先頭アドレスのバッファにシフトして空き領域を作って新たなデータを記憶していくような「シフト式バッファ(シフトバッファ)」とは異なる(図55(1)参照)。なお本実施形態の場合、シフトバッファは、たとえば、保留記憶において利用される(図12のステップS406〜S407)。また、リングバッファは、シフトバッファようなシフト処理の必要がなく、処理時間を相対的に短くなるという利点がある。
図42を参照して、CPU201は、まず、セーブポインタの値を取得する(ステップS231)。具体的には、セーブポインタが示すリングバッファのアドレスを取得する。
次いで、リングバッファに空き領域があるか否かを判定する(ステップS232)。
(空き領域がない場合:ステップS232→ステップS239〜S242)
空き領域がない場合(ステップS232:NO)、オーバーフロー状態(満タン状態)であるとして、所定のエラー処理(ステップS239〜S242)を実行する。オーバーフロー状態が生起した場合にエラー処理を実行する理由については、下記の通りである。
リングバッファの格納されたデータ(イベント番号)は、後述の図43に示す108ms割込処理の実行毎に、遊技機情報通知電文に係る遊技情報(種別情報とカウント情報)の作成に利用され、この遊技情報が枠制御部22に送信されると、当該データはクリアされるようになっている(後述の図46AのステップS175参照、図55(2)参照)。したがって、データが格納されている場合であっても、108ms割込処理の実行毎に空き領域が確保されるようになっており、今回の108ms割込処理が実行されてから次回の108ms割込処理が実行されるまでに、理論上、リングバッファが上記オーバーフロー状態にならない程度の領域が確保されている。入賞の検出は、概ね20ms程度要するため、理論上、108ms内に最大5個程度の入賞を検出可能である。
しかし、何らかの不具合により過剰入賞が発生すれば、上記オーバーフロー状態が生じうる。たとえば、いわゆる「大玉ゴト」のような不正行為が実行された場合に上記オーバーフロー状態が生起しうる。「大玉ゴト」とは、通常(正規)の遊技球よりも大きい遊技球を用いて入賞口のセンサ(検出スイッチ)部分に遊技球を詰まらせ、センサが遊技球を検知可能な状態で不正電波を飛ばしてセンサを誤作動させ、入賞信号を過剰に発生させる不正行為である。
そこで本実施形態では、上記オーバーフロー状態が発生した場合、不正行為による過剰入賞が発生したとみなして、所定のエラー処理を実行し、新たなデータをバッファに蓄積せずに破棄するようになっている(オーバーフロー状態中は、新たなデータを更新記憶しない)。具体的には、オーバーフロー状態が発生すると、エラー処理として、遊技許可フラグをクリアし(ステップS239)、発射停止信号NSを枠制御部22に出力して発射装置32による遊技球の発射を不能にし(ステップS240)、エラーコマンドを演出制御部24に送信する(ステップS241〜S242)。これにより、遊技進行処理が強制的に停止状態に制御される。なお、ここで送信されるエラーコマンドは、オーバーフロー状態の発生または不正入賞エラー(過剰入賞エラー)が発生したことを示す情報を含み、演出制御部24が当該エラーコマンドを受けると、そのエラー情報に対応した専用のエラー報知を行う。オーバーフロー状態は、不正行為に起因する可能性が高いという点で、遊技機に重大な影響を及ぼす深刻なエラーであり(エラー報知優先度が相対的に高いエラー)、そのエラー報知は、1つの演出で行うのではなく、光演出、音演出、画像表示演出、および可動体演出のうち少なくとも2つを用いた派手な報知態様で行うことが好ましい。
また、オーバーフロー状態によるエラーは「深刻なエラー」という観点から、単に、遊技機の電源のOFF/ONにより復帰させるのではなく、少なくとも「RAMクリア処理」が実行された場合にエラーを解消させることが好ましい。具体的には、RAMクリアスイッチONによる領域内RAMクリア処理(図36AのステップS025→ステップS031の処理ルート)が実行されるか、または、設定変更処理が実行された場合に(図36AのステップS023→ステップS031の処理ルート)、本エラーを解消可能に構成することが好ましい。
また、オーバーフロー状態を監視する場合、次に述べる利点がある。たとえば、過剰入賞を監視する場合には、所定時間内の入賞の個数(入賞カウント)と閾値(過剰入賞とみなす個数)とを比較判定する処理が必要になるが、バッファのオーバーフロー状態を監視する場合には、単に、記憶領域の空き状態を監視するだけにとどまるため、このような処理が不要なり、制御負担の軽減に繋がる。また、過剰入賞を監視する場合には、通常、大玉ゴト対策として「不正監視用の電波センサ」を入賞口付近に設けることが必要になるが、バッファのオーバーフロー状態を監視する場合には、不正電波を監視する必要がないため、電波センサを設ける必要がなく、コスト削減や設計の容易化に繋がる。
(変形例α:オーバーフロー状態が発生した場合のエラー処理に係る変形例)
なお、上記オーバーフロー状態に係るエラー処理を、次のように構成してもよい。たとえば、オーバーフロー状態である場合(ステップS232:NO)、オーバーフロー状態発生を指定するエラーフラグ(以下「OFエラーフラグ」と称する)をセットし(ON状態)、OFエラーフラグのON/OFF状態を、後続のエラー管理処理(ステップS089)で監視する。エラー管理処理(ステップS089)でOFエラーフラグのON状態が確認された場合に、ステップS239〜S242の処理を行うように構成してもよい。
なお本実施形態では、リングバッファを用いているが、シフトバッファを用いてよい。この場合も同様に、シフトバッファ格納領域がオーバーフロー状態となった場合に、所定のエラー処理(ステップS239〜S242の処理)を実行すればよい。
(空き領域がある場合:ステップS232→ステップS233〜S238)
一方、リングバッファに空き領域がある場合には、遊技動作が正常な動作であるとして、ステップS233以降の処理を順次実行していく。
リングバッファに空き領域がある場合(ステップS232:YES)、セーブポインタが示すアドレスのリングバッファ領域に、取得したイベント番号(図41AのステップS205で取得したデータ)を格納する(ステップS234)。
次いで、セーブポインタ(格納先アドレス)をインクリメントして、リングバッファの格納先アドレスを更新し、次回の格納先アドレスを指定する(ステップS235)。
次いで、更新されたセーブポインタが、リングバッファの最終アドレスを超えたか否かを判定する(ステップS235)。最終アドレスを超えた場合には(ステップS235:YES)、リングバッファの先頭アドレスを取得して(ステップS236)、これをセーブポインタに格納(記憶)する(ステップS237)。しかし、最終アドレスを超えていない場合には(ステップS235:NO)、データ記憶スペースがリングバッファの終端に達していないとして、そのまま、上記更新したアドレスをセーブポインタに格納する(ステップS237)。
そして、情報ストック数をインクリメントする(ステップS238)。情報ストック数とは、現在格納されている遊技情報(「種別情報・カウント情報」:図52参照)の個数であり、データが格納される毎に1加算される。この情報ストック数により、現在の遊技情報数が特定可能となっている。これにより、リングバッファ格納処理を抜けて、図41AのステップS207の処理に進む。
(他の遊技情報の作成の具体例:図41B)
上記したように、入賞(賞球)に関する遊技情報(イベント番号)を設定する際には、入賞の有無をチェックし、入賞があれば(イベントの発生)、遊技進行状態に応じた遊技情報を取得してリングバッファに格納する。他の遊技状態も同様に、イベントが発生したときに、対応するイベント番号を取得しリングバッファに格納すればよい。その一例を、図41Bに示す。
たとえば、図53Dに示すデータ種別9の「図柄確定回数に係る遊技情報」の場合には、図41B(A)に示すように、確定表示時間経過後(ステップS471:YES)、今回停止した特別図柄に対応するイベント番号を取得する(ステップS205A)。なお、いずれの特別図柄が停止したかは、特別図柄変動中フラグの状態をチェックすることにより特定することができる(上記特別図柄1変動中フラグ、特別図柄2変動中フラグのON/OFF状態を判定する)。このイベント番号取得処理では、特別図柄変動中フラグを判定し、今回のイベント取得対象が特図1であれば「イベント番号7(特別図柄1停止1回)」を取得し、特図2であれば「イベント番号8(特別図柄2停止1回)」を取得する(イベント番号の指定内容については、図53D、図57の備考欄参照)。そして、取得したイベント番号をリングバッファに格納し(ステップS206)、以後、ステップS472以降の処理を実行すればよい。
またたとえば、図53Eに示すデータ種別10の「当りに係る遊技情報」の場合には、特別電動役物管理処理(ステップS095)にて、該当するイベント番号を取得すればよい。
具体的には、小当り当選であれば、図41B(B)に示すように、小当り遊技開始時に、「イベント番号11(小当り発生)」を取得し(ステップS205B)、そのイベント番号をリングバッファに格納する(ステップS206)。そして、小当り遊技を開始する際に必要な設定処理を処理を行えばよい。また、大当り当選であれば、図41B(C)に示すように、その大当り開始処理(ステップS505)において、大当り遊技開始時に、イベント番号12(大当り発生)を取得し(ステップS205C)、取得したイベント番号をリングバッファに格納する(ステップS206)。そして、大当り遊技を開始する際に必要な設定処理を行えばよい。
なお、イベント番号を格納するためのリングバッファ格納処理(ステップS206)は制御負担軽減のため、共通処理としてある。
<108ms割込処理:図43>
次に図43を参照して、108ms割込処理について説明する。図43は、108ms割込処理の詳細を示すフローチャートである。
図43において、CPU201は、108msタイマ割込みが生じると、まず、遊技許可フラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS111)。遊技許可フラグがON状態でない場合(ステップS111:≠5AH)、何もせずにそのままタイマ割込処理を終了して、次の108ms割込みが発生するまで、主制御側メイン処理を実行する。
一方、遊技許可フラグがON状態である場合(ステップS111:=5AH)、次いで、受信チェック開始フラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS112)。この受信チェック開始フラグとは、枠制御部22から遊技機情報応答電文を正しく受信した否かのチェック処理(後述のステップS113〜S118の処理)を実行するか否かを指定するフラグで、当該フラグがON状態(5AH)であれば当該チェック処理の実行を指定し、当該フラグがOFF状態(00H)であればチェック処理の非実行(ステップS113〜S122の処理をスキップ)を指定する。受信チェック開始フラグは、後述のステップS123の電文送信処理中のステップS133(図44A参照)にてON状態に設定される。したがって、初回の108ms割込み処理実行時に本判定処理の実行時は、受信チェック開始フラグがOFF状態となっており(ステップS112:≠5AH)、上記チェック処理(ステップS113〜S122)がスキップされ、後述の電文送信処理(ステップS123)に進むことになる。このように、初回の108ms割込み処理実行時に受信チェック開始フラグをOFF状態としておくのは、当該初回の108ms割込み処理実行時は遊技機情報応答電文のチェックサムを受信していないため、先述のチェック処理(図示のステップS113〜S122)をスキップさせる必要だからである。この点で、「受信チェック開始フラグ」は、初回の割り込みか否かを特定するためのフラグとして機能する。
受信チェック開始フラグがON状態である場合は(ステップS112:=5AH)。次いで、通信通番をレジスタ(たとえば、Aレジスタ)に取得する(ステップS113)。この通信通番は、前回の遊技機情報通知電文の送信時の通信通番である。なお、今回送信時には、通信通番は「+1」加算されたものが送信される(後述の図44AのステップS142参照)。
次いで、取得した通信通番に、通信通番を除いた場合の遊技機情報応答電文のチェックサム値の「017H」を加算し(ステップS113)、その加算値(Aレジスタ←通信通番+017H)と、チェックサム値(受信チェックサムRXSUMの値)とが一致するか否かを判定する(ステップS115、ステップS116)。このように、「通信通番+017H」と、受信チェックサムRXSUM値とを比較する理由は次に述べる通りである。
遊技機情報応答電文の受信(枠制御部22からの返信)だけを確認すれば、その内容を一々確認しない、という処理であってもよいが、この場合には、遊技機情報応答電文の内容が果たして正しいものであるかそうでないかまでは確認することができず、電文の送受信という観点からは正確性に欠けてしまう。ここで、既に説明したように、遊技情報通知応答電文を正常に受信している場合のチェックサム値は、『0x05(電文長)+0x12(コマンドコード)+0x00(遊技機設置情報受領結果)+通信通番(0〜255のいずれかの値)=通信通番(0〜255)+0x17(固定値:017H)』、つまり、通信通番を除くチェックサム値は「017H(以下、「通信通番除外正常時チェックサム値」と称する)」の固定値のはずである。そこで本実施形態では、上記ステップS113〜S116の処理において、まず通信通番を取得し(ステップS113)、正常時の上述の固定値「017H」を加算し(ステップS114)する。そして、この加算値と受信チェックサムRXSUMに格納されている値とを比較して(ステップS115)、遊技情報通知応答電文が正しく受信されたか否か(電文が正しく送受信されているかどうか)を判定する、という簡易な手法により、電文が正しく受信された否かを正確に判定できるようにしている(ステップS116)。
ステップS114で取得される加算値(通信通番+通信通番除外正常時チェックサム値(017H))と、受信チェックサムRXSUM値とが一致する場合には(ステップS116:YES)、正常動作である(電文が正しく送受信されている)として、後述の電文送信処理(ステップS123)に進む。しかし、加算値とチェックサム値とが一致しない場合には(ステップS116:NO)、正常動作でないとして、受信ミスカウンタを+1する(ステップS117)。この受信ミスカウンタは、主制御部20が遊技機情報応答電文を正しく受信できなかった場合の回数(受信ミス回数)をカウントするカウンタとして働く。
次いで、受信ミスカウンタ値が所定値(ここでは10回)未満であるか否かを判定する(ステップS118)。本実施形態では、図示の通り、受信ミス回数が累積10回に達した場合、遊技情報通知と遊技情報応答との送受信に異常(電文通信エラー)が発生したとみなし(ステップS118:n≧10)、所定のエラー処理を実行する。具体的には、遊技許可フラグをクリアし(ステップS119)、発射停止信号NSを枠制御部22に出力して発射装置32による遊技球の発射を不能にする(ステップS120)。そして、エラーコマンドをセットして(ステップS121)、当該エラーコマンドを演出制御部24に送信する(ステップS122)。ここで送信されるエラーコマンドは、受信エラーが発生したことを示す情報、たとえば、通信回線断を示すエラー情報を含み(通信断エラーコマンド)、演出制御部24は当該エラーコマンドを受けると、通信回線断用のエラー報知を行う。この場合、遊技機の電源のOFF/ONにより、再度、電源投入時の処理(図36Aおよび図36B)を実行させることにより、復帰されうる。ただし、上記した不正入賞エラー(バッファのオーバーフロー状態に係るエラー:図42のステップS232、S239〜S242参照)のように、単なる遊技機の電源のOFF/ONではなく、RAMクリア処理(図36AのステップS031)が実行された場合に、エラーを解消可能な構成としてもよい。
(変形例β:受信ミスが発生した場合のエラー処理に係る変形例)
なお、変形例として、受信ミスに係るエラー処理を実行する場合(ステップS118の判定結果がYESの場合)、次のように構成してもよい。たとえば、受信ミスカウンタ値が所定値に達した場合、少なくとも受信ミス発生に関するエラーフラグ(以下、「通信断エラーフラグ」と称する)をセット(ON状態)するように構成する。この場合、図39に示す4ms割込処理中の所定の処理(たとえば、エラー管理処理)で、通信断エラーフラグがセットされているか否かを判定する判定処理を設け、当該判定処理で通信断エラーフラグがセットされていると判定した場合、ステップS119〜S122の処理を行うように構成してもよい。また、108ms割込処理中で、少なくとも通信断エラーフラグのセットと遊技許可フラグのクリア処理(ステップS119)を実行し、108ms割込処理の機能を実質的に無効化しておき、発射停止やエラーコマンドなどの送信処理(ステップS120〜S122)は、図39に示す4ms割込処理に委ねてもよい。なお、本変形例は、後述の第3実施形態についても同様に適用可能である(図50のステップS739〜S741および同図のS119〜S122参照)。
受信ミス回数が累積10回に達していない場合(ステップS118:n<10)、前回の遊技情報通知と遊技情報応答との送受信が正常であったとして、今回の遊技機情報通知電文の作成・出力処理に係る電文送信処理(ステップS123)を実行し、108ms割込処理を終了して、次の108ms割込みが発生するまで、主制御側メイン処理を実行する。
(変形例γ;受信ミスカウントの変形例)
なお、本実施形態では、エラーとなる受信ミス回数(閾値)を累積10回としているが、本発明はこれに限定されず、適宜な累積回数を定めることができる。また、エラーとする受信ミス回数を所定の累積回数とせずに、受信ミスの連続回数が所定回数(たとえば、10回)に達した場合にエラーとして判定してもよい。受信ミスの連続回数をエラー判定の判断要素とすれば、仮に、偶々何らかの不具合により受信ミスが発生し、その後、正常に受信できた場合に、受信ミスがあったとカウントされないため、過度にエラー処理が実行されてしまうことを回避することができる。本変形例の場合、受信ミスカウンタが所定回数に達する前に正常に受信ができたときは、受信ミスカウンタをクリアする受信ミスカウンタ処理(たとえば、図43に示す破線のステップS123Aの処理を追加する:図中の備考欄の変形例γ参照)を設ければよい。なお、本変形例については、後述の第3実施形態についても同様の処理内容を適用することができる(たとえば、後述の図50のステップSS741の処理後、図43に示す破線のステップS123Aの処理を設ける)。
(電文送信処理:図44A〜図44B)
図44Aおよび図44Bを参照して、上記電文送信処理(ステップS123)について説明する。図44Aおよび図44Bは、電文送信処理の詳細を示すフローチャートであり、図44Aは電文送信処理の前半部を、図44Bは電文送信処理の後半部を示すフローチャートである。この電文送信処理は、遊技機情報通知電文を枠制御部22に送信するための処理を中心に構成される。
図44Aおよび図44Bにおいて、CPU201は、まず、受信チェックサム用レジスタ(たとえば、Cレジスタ)クリアし(ステップS131)、受信チェックサムRXSUMをクリアする(ステップS132)。受信チェックサム用レジスタの値は、主に、後述のステップS156〜S157にて、遊技機情報通知電文に係るチェックサムを枠制御部22に送信する際に利用される。
なお、受信チェックサムRXSUMをクリアする目的は、枠制御部22からの遊技機情報応答電文の送信が途絶えた場合、受信チェックサムRXSUMがそのままの値が保持され、正常であると判断される恐れがあるためである。しかし本実施形態では、受信チェックサムRXSUMの値は遊技機情報通知電文を送信する毎に異なる値に更新されるため(通信通番が0〜255の値をとるため(前回のチェックサム値が+1ずつ更新されるため))、受信チェックサムRXSUMをクリアしなくてもよい。
次いで、受信チェック開始フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS133)。
(電文長送信:ステップS134〜S139)
次いで、遊技機情報通知電文に係る電文長(1バイト)の情報を出力するための処理を実行する(ステップS134〜S139)。ここでは、まずRAM203の所定領域(情報ストック数格納領域)に記憶されている「情報ストック数」を所定のレジスタ(ここでは、Wレジスタ)に取得する(ステップS134)。この情報ストック数により、今回送信する遊技情報数が指定される。
次いで、取得した情報ストック数が最大送信数より多いか否かを判定する(ステップS135)。本実施形態では、1回で送信可能な遊技情報数が「最大5個」であるため、ステップS135の判定処理では、取得した情報ストック数が6個未満(5個以下)であるか否かを判定している。
情報ストック数が最大送信数(5個)より多い場合には(ステップS135:情報ストック数≧6)、遊技情報(種別情報・カウント情報)の送信個数を制限するために、取得した情報ストック数を5個に補正する(ステップS136)。具体的には、情報ストック数を保持したレジスタ(本例では、Wレジスタ)に「05H」をセット(5個に更新)する。一方、情報ストック数が6個未満、つまり最大送信数(5個)以下の場合には(ステップS135:情報ストック数<6)、ステップS136の補正処理をスキップして(ステップS136)、ステップS137の処理に進む。
ステップS137の処理では、情報ストック数を2倍する(ステップS137)。具体的には、AレジスタにWレジスタの値を転送し、Aレジスタの値を2倍する。「情報ストック数を2倍する」のは、1個の遊技情報(種別情報・カウント情報)につき2バイトを要するためであり(図52参照)、遊技情報がn個であれば「情報ストック数×2バイト」分、電文長が増加するためである。
次いで、ステップS137で2倍した情報ストック数(Aレジスタ)に対して、所定値として「09H」を加算する(ステップS138)。この「09H」を加算する理由は、遊技機情報通知電文の電文長が、遊技情報数に関係なく、最低で9バイト必要なためである。詳述すれば、遊技機情報通知電文に係る各データのデータ長さは、遊技情報(種別情報・カウント情報)を除き、「電文長(1バイト)+コマンドコード(1バイト)+通信連番(1バイト)+遊技状態情報(2バイト)+エラー状態情報(1バイト)+不正検知状態情報(1バイト)+遊技情報数(1バイト)+チェックサム(1バイト)=9バイト」である。したがって、実際の遊技機情報通知電文のデータ長は、この9バイトと、遊技情報のデータ長(情報ストック数×2バイト)とを合計値であり、この合計値が今回の遊技機情報通知電文の電文長の情報として、枠制御部22に送信する必要があるためである。
次いで、シリアル出力処理(ステップS139)を実行する。これにより、今回の遊技機情報通知電文の電文長情報が枠制御部22に送信される。
(シリアル出力処理:図45)
図45に上記「シリアル出力処理」の詳細を示す。図45に示すように、シリアル出力処理は、シリアル送信用の送信シリアルポートバッファから取得した情報(ここでは、Aレジスタの値)を出力させる出力処理(ステップS161)と、当該情報(Aレジスタの値)を、受信チェックサム用レジスタ(Cレジスタ)に加算するチェックサム加算処理(ステップS162)とから構成される。
なお、上記シリアル出力処理は、ステップS139の他、後述のS141、S144、S146、S148、S150、S152、S154、S155(図46BのS183、S185)、およびS157で共通処理となっている。
また、上記シリアル出力処理では、チェックサム加算処理が実行される毎に、受信チェックサム用レジスタに、送信データ情報(Aレジスタの値)が加算されていき、後述するステップS155のリングバッファ送信処理中のシリアル出力処理(後述の図46B中のステップS183、S185)が実行されると、受信チェックサム用レジスタの値が、今回の遊技機情報通知電文に係るチェックサム(電文長〜遊技情報までを加算した値)として算出されることになる。算出されたチェックサム値は、後述の図44BのステップS157のシリアル出力処理(チェックサム送信処理)によって「チェックサム情報」として枠制御部22に送信される。
(コマンドコード送信:ステップS140〜S141)
次いで、コマンドコード(1バイト)の情報を出力するための処理を実行する(ステップS140〜S141)。ここでは、まず、遊技機情報通知電文に係るコマンドコード(コマンド情報)の固定値(0x02(02H))をAレジスタにセットし(ステップS140)、次いで、図45に示すシリアル出力処理(ステップS141)を実行する。これにより、受信チェックサム用レジスタが更新されるとともに、今回の遊技機情報通知電文のコマンド情報が枠制御部22に送信される。
(通信通番送信:ステップS142〜S144)
次いで、通信通番(1バイト)の情報を出力するための処理を実行する(ステップS142〜S144)。ここでは、まず、通信通番をインクリメントし(通信通番RAM領域の値+1)(ステップS142)、その通信通番をAレジスタにセットする(ステップS143)。そして、図45に示すシリアル出力処理(ステップS144)を実行する。これにより、受信チェックサム用レジスタが更新されるとともに、今回の遊技機情報通知電文の通信通番(シーケンス番号)が枠制御部22に送信される。
(主制御状態1送信:ステップS145〜S146)
次いで、主制御状態1(1バイト)の情報を出力するための処理を実行する(ステップS145〜S146)。ここでは、まず、主制御状態1をAレジスタにセットする(ステップS145)。そして、図45に示すシリアル出力処理(ステップS146)を実行する。これにより、受信チェックサム用レジスタが更新されるとともに、今回の遊技機情報通知電文の主制御状態1が枠制御部22に送信される。
(主制御状態2送信:ステップS147〜S148)
次いで、主制御状態2(1バイト)の情報を出力するための処理を実行する(ステップS147〜S148)。ここでは、まず、主制御状態2をAレジスタにセットする(ステップS147)。そして、図45に示すシリアル出力処理(ステップS148)を実行する。これにより、受信チェックサム用レジスタが更新されるとともに、今回の遊技機情報通知電文の主制御状態2が枠制御部22に送信される。
(遊技機エラー状態送信:ステップS149〜S150)
次いで、遊技機エラー状態(1バイト)の情報を出力するための処理を実行する(ステップS149〜S150)。ここでは、まず、遊技機エラー状態をAレジスタにセットする(ステップS149)。そして、図45に示すシリアル出力処理(ステップS150)を実行する。これにより、受信チェックサム用レジスタが更新されるとともに、今回の遊技機情報通知電文の遊技機エラー状態が枠制御部22に送信される。
(不正検知状態送信:ステップS151〜S152)
次いで、不正検知状態(1バイト)の情報を出力するための処理を実行する(ステップS151〜S152)。ここでは、まず、不正検知状態をAレジスタにセットする(ステップS151)。そして、図45に示すシリアル出力処理(ステップS152)を実行する。これにより、受信チェックサム用レジスタが更新されるとともに、今回の遊技機情報通知電文の不正検知状態が枠制御部22に送信される。
(情報ストック数(遊技情報数)送信:ステップS153〜S154)
次いで、遊技情報数(1バイト)の情報を出力するための処理を実行する(ステップS153〜S154)。ここでは、まず、情報ストック数をAレジスタにセットする(ステップS153)。そして、図45に示すシリアル出力処理(ステップS154)を実行する。これにより、受信チェックサム用レジスタが更新されるとともに、今回の遊技機情報通知電文の遊技情報数が枠制御部22に送信される。なお、情報ストック数は、Wレジスタ(図44AのステップS134〜S137参照)の値を取得する。
次いで、リングバッファ送信処理を実行する(ステップS155)。リングバッファ送信処理では、リングバッファに格納されている遊技情報(種別情報とカウント情報)を枠制御部22に送信するための処理を行う。リングバッファ送信処理の詳細は、図46Aおよび図46Bを用いて後述する。
(チェックサム送信:ステップS156〜S157)
次いで、チェックサム(1バイト)の情報を出力するための処理を実行する(ステップS156〜S157)。ここでは、まず、チェックサム用レジスタ(Cレジスタ)の値をAレジスタにセットする(ステップS156)。そして、図45に示すシリアル出力処理(ステップS157)を実行する。これにより、今回の遊技機情報通知電文のチェックサムが枠制御部22に送信される。なお、ステップS157のシリアル出力処理が実行された際に得られるチェックサム用レジスタの値は、次回の108ms割込処理の開始時(図44AのステップS131)にてクリアされるようになっている。
(リングバッファ送信処理:図45Aおよび図45B)。
図45Aおよび図45Bを参照して、図44B中のリングバッファ送信処理(ステップS155)について説明する。図45Aおよび図45Bは、リングバッファ送信処理の詳細を示すフローチャートであり、図45Aはリングバッファ送信処理の前半部を、図45Bはリングバッファ送信処理の後半部を示すフローチャートである。
図45Aおよび図45Bを参照して、CPU201は、まず、ループ回数として「5回」をセットする(ステップS171)。このループ回数「5回」は、上記最大送信数の5個を指定する値である。
次いで、ロードポインタの値を取得する(ステップS172)。具体的には、ロードポインタが示すリングバッファのアドレスを取得する。
次いで、ステップS172で取得したアドレスが示すリングバッファの値を取得する(ステップ173)。ここで取得される内容は上記「イベント番号」となっている。
次いで、取得したリングバッファの値がゼロでないか否かを判定する(ステップS174)。リングバッファの値がゼロであれば(ステップS174:NO)、データが無い状態であるので、何もせずにリングバッファ送信処理を抜ける。
一方、取得したリングバッファの値がゼロでなければ(ステップS174:YES)、読み込んだリングバッファの該当領域をクリアし(ステップS175)、ロードポイント(読み込み先アドレス)をインクリメントして、リングバッファの読み込み先アドレスを更新し、次回の読み込み先アドレスを指定する(ステップS176)。
次いで、更新されたロードポインタが、リングバッファの最終アドレスを超えたか否かを判定する(ステップS177)。最終アドレスを超えた場合には(ステップS177:YES)、リングバッファの先頭アドレスを取得して(ステップS178)、これをロードポインタに格納(記憶)する(ステップS179)。しかし、最終アドレスを超えていない場合には(ステップS177:NO)、データ記憶スペースがリングバッファの終端に達していないとして、そのまま、上記更新したアドレスをロードポインタに格納する(ステップS179)。
次いで、図57に示す「遊技情報テーブル(種別情報+カウント情報テーブル)」を取得し(ステップS180)、遊技情報テーブルを参照して、ステップS173で取得したリングバッファの値、つまり「イベント番号」に対応する“種別情報”と“カウント情報”のコマンドデータを取得する(ステップS181)。
<遊技情報テーブル(種別情報+カウント情報テーブル):図57>
図57に、遊技情報テーブルの一例を示す。なお、図57に示す遊技情報テーブルは、実際には、枠制御部22に送信すべき遊技情報(図53A〜図53F)に関するコマンドデータ群が定められているが、ここでは本発明と関連の深い遊技情報を代表的に示してある。
図57を参照して、遊技情報テーブルには、イベント番号に対応した遊技情報が定められている。具体的には、図示の通り、上位1バイトの種別情報と、下位1バイトのカウント情報から構成される遊技情報(2バイト)データが、イベント番号1〜18に対応して定められている。たとえば、イベント番号1に対応するコマンドデータは「1131H」となっており、このコマンドデータ「1131H」は、「3個賞球の上始動口34に1個入賞」を指定する。たとえば、図53B(例1)の「3個賞球の上始動口34に2個入賞した場合」には、リングバッファにイベント番号1がイベント発生順に、連続的または間欠的に格納されているケースであり、このコマンドデータ「1131H」が1つずつ送信されることで、枠制御部22側は、3個賞球の上始動口34への入賞が2回発生したことを把握することができる。重複記載を避けるために他のイベント番号についての詳細は省略する。なお、イベント番号の内容については、図示の備考欄に示す通りである。
本実施形態では、イベント発生時に、先ず、遊技情報を特定可能な「イベント番号(1バイト)」を取得し、これをリングバッファ(各1バイトの領域)に格納していく。そして、遊技情報(2バイト)の送信が必要なタイミングで、リングバッファからイベント番号に対応する遊技情報(種別情報、カウント情報)を取得し、これを枠制御部22側に送信するが、斯様なイベント番号を利用する処理構成の場合には、次に述べる利点がある。
イベント発生時に、2バイト構成の遊技情報(種別情報、カウント情報)を作成・取得して、これをリングバッファに格納するとすれば、種別情報とカウント情報とをそれぞれ取得し、これらをリングバッファに格納する処理を要する。しかしこの場合、種別情報とカウント情報とを取得、送信する処理が煩雑化し、またリングバッファに設けた個々の格納領域が2バイト必要となってしまう等、プログラム容量の増加やRAM領域を圧迫してしまい、制御負担が増大してしまう。しかし本実施形態のようなイベント番号を利用すれば、簡易な方法により遊技情報の取得・送信等を行うことができ、またバッファの容量を低減させることでき、RAM領域を圧迫してしまうことを防止できる。また、新機種設計の際には、遊技情報テーブルの書き換え等による簡易な作業で済ませることが可能になり、旧機種と新機種との間で汎用性を持たせることができる。
(種別情報送信:ステップS182〜S183)
次いで、種別情報(1バイト)のコマンドデータを出力するための処理を実行する(ステップS156〜S157)。ここでは、まず、遊技情報テーブルから取得した種別情報(上位1バイトのコマンドデータ)をAレジスタにセットする(ステップS182)。そして、図45に示すシリアル出力処理(ステップS183)を実行する。これにより、今回の遊技機情報通知電文の種別情報が枠制御部22に送信される。
(カウント情報送信:ステップS184〜S185)
次いで、カウント情報(1バイト)のコマンドデータを出力するための処理を実行する(ステップS184〜S185)。ここでは、まず、遊技情報テーブルから取得したカウント情報(下位1バイトのコマンドデータ)をAレジスタにセットする(ステップS184)。そして、図45に示すシリアル出力処理(ステップS185)を実行する。これにより、今回の遊技機情報通知電文のカウント情報が枠制御部22に送信される。
上記種別情報とカウント情報の送信処理を終えると、次いで、情報ストック数をデクリメントするとともに(ステップS186)、ループ回数をデクリメントする(ステップS187)。
次いで、ループ回数(送信数)がゼロであるか否かを判定し(ステップS188)、ループ回数がゼロになるまで、ステップS172〜S188の処理を繰り返す(ステップS188:NOの処理ルート)。ループ回数がゼロになったならば(ステップS208:YES)、リングバッファ送信処理を抜ける。本実施形態では、上記ステップS171の処理、情報ストック数とは無関係に、ループ回数として最大送信数(5回)をセットし、ループ回数がゼロにならなくても、上記ステップS172で取得したバッファの値がゼロ、つまり何も格納されていない状態であれば、ステップS174の判定処理の結果が”NO“となり、リングバッファ送信処理を抜けることになる。このようにすれば、一々、情報ストック数をチェックし、その情報ストック数に応じたループ回数をセットせずとも、ループ回数として最大送信数(5回)をセットしておけば事足りるため、設計が容易になり、また、主制御部20の制御負担を軽減させることができる。
(変形例δ)
なお、チェックサム異常(受信ミス)が生じた場合に備えて、今回送信する遊技機情報通知電文の内容を再送信用のデータとして、RAM203の所定領域(電文情報退避領域)に格納しておく処理を設け、受信ミスがあった場合には、その電文情報退避領域から再送信用のデータを読み出し、これを枠制御部22側に送信可能な構成としてもよい。この場合、再度同じ通信通番を送信することになるため、枠制御部22側は、再送信に係る遊技機情報電文であること把握することができる。枠制御部22側は、再送信に係る遊技機情報電文を受信した場合、再送信に基づく処理を行うように構成すればよい(新たな情報を受信したとして処理を行わないように構成する)。
また、再送信のデータとして、少なくとも「遊技情報(種別情報+カウント情報)」を電文情報退避領域に格納しておいてもよい。遊技情報は、持ち球数や性能情報に影響を及ぼす重要な情報だからである。たとえば、ステップS173で取得したリングバッファの内容がゼロでない場合(送信電文情報が格納されている場合)、ステップS175のリングバッファ該当領域をクリアする処理の前段階において、今回送信する内容を遊技情報退避領域に格納しておく。そして、受信ミスがあった場合には、遊技情報退避領域から再送信用のデータを読み出して、その再送信用のデータに対応する遊技情報(種別情報+カウント情報)を含んだ遊技機情報通知電文を送信する。このようにすれば、再送信用のデータとして、遊技機情報電文に係る全てのデータを格納しておく必要がなく、制御負担の軽減に繋がる。ただしこの場合、枠制御部22側が新たな遊技機情報通知電文を受信したとして処理してしまうことを避けるために、再送信であることを特定可能な情報を送信し、枠制御部22側が再送信データであることを把握できるようにする。再送信であることを特定可能な情報としては、たとえば、固定値であるコマンドコードを再送信用の特定値とするなどがあるが、枠制御部22側が再送信であることが把握できる情報であればよい。なお本変形例(変形例δ)は、後述の第3実施形態についても同様に適用することができるのは勿論のことである。
[第3の実施形態]
<主制御部側の処理:図47〜図50>
次に図47〜図50を参照して、第3実施形態に係る主制御部20側の遊技動作処理について説明する。この第3実施形態も上記第2実施形態と同じく、無限ループ状のメイン処理(主制御側メイン処理)と、CTCからの定時割込みで起動される2つのタイマ割込処理とを中心的に構成されるが、第3実施形態が上記第2実施形態と大きく異なる点は、タイマ割込処理が、「図39に示す4ms割込処理(第2実施形態と同様)」と、第2実施形態の「108ms割込処理(図43)」に対して割り込み時間が半分の「54ms割込処理(図48)」とで構成されている点である。
詳述すれば、この第3実施形態の場合、第2実施形態の「108ms割込処理(図43)」に相当する処理を複数に分割して実行する処理形態としている。具体的には、1回の割込処理は「電文送信処理」に割り当て、2回の割込処理は「電文受信処理」に割り当て、電文の送信、受信処理を交互に行い、108ms毎に、遊技機情報通知電文を枠制御部22に送信し、遊技機情報応答電文を受信する構成となっている。この点、108ms毎に、電文の送信、受信処理を行う上記した第2実施形態と同じである。
なお、この第2実施形態において、4ms割込処理は、54ms割込処理よりも優先順位が高く設定されている。この点は、第2実施形態で説明した、4ms割込処理と108ms割込処理の関係と同義である。なお、優先順位の低い54ms割込処理の実行中に、優先順位の高い4ms割込処理を実行する多重割り込みを許可する構成としてもよい。また、54ms割込処理を実行する際に割り込み禁止状態に設定し、当該処理を終えた後で割り込み許可状態に設定してもよい。この場合、54ms割込処理中に、4ms割込処理の割り込み要求があった場合には、54ms割込処理を終えた後に直ちに4ms割込処理を実行可能な構成としてもよい。
以下、図47〜図50を用いて、第3実施形態について説明する。ただし、第2実施形態と実質的に同じ処理内容について説明は重複記載を避けるために適宜省略する。
<12B.主制御側メイン処理:図47>
図47を参照して、本実施形態に係る主制御側メイン処理について説明する。図47は主制御側メイン処理の後半部の詳細を示すフローチャートである。なお、主制御側メイン処理の前半部は、第2実施形態の図36Aに示す主制御側メイン処理の前半部と同様であるため、図示を省略する。また、図47において、第2実施形態の図36Bに示す主制御側メイン処理のと同じ処理については同じステップ番号を付してある。
図47を参照して、第2実施形態(図36B)と異なる点は、ステップS060Aの処理で、送受信関係のRAM領域として、通信通番RAM、受信ミスカウンタ、後述の送受信選択カウンタなどをクリアする点(送信用リングバッファ、リングバッファの最終アドレスを示す最終アドレスRAM領域、ロードポインタ・セーブポインタなどはクリアしない点は同じである)と、ステップS061Aの処理にて、4ms毎および54ms毎に定期的にタイマ割込みを発生させるためのCTCの設定処理を実行する点と、通常の遊技進行に係る遊技処理の無限ループ処理中に、ステップS042〜S043の処理が無い点である。図47に示す他の処理は、第2実施形態で説明した図36Bに示す処理と同じであるので、重複記載を避けるために、その詳細な説明は省略する。なお、ステップS042〜S043の処理に関連する処理(遊技機情報応答電文のチェックサムデータを取得する処理)は、後述の図48に示す54ms割込処理中の電文受信処理(ステップS702)で行う。
<54ms割込処理:図48>
次に図48を参照して、54ms割込処理について説明する。図48は、54ms割込処理の詳細を示すフローチャートである。
本実施形態では、54msごとに割込処理を実行し、遊技機情報通知電文を送信する電文送信処理と、遊技機情報応答電文を受信する電文受信処理とを交互に繰り返すようになっている。すなわち、108ms毎に、遊技機情報通知電文を送信し、遊技機情報応答電文を受信する。この点、108ms毎に、遊技機情報通知電文の送信処理と、遊技機情報応答電文の受信処理とを一括して行う上記第2実施形態とは異なる。
図48において、CPU201は、まず、送受信選択カウンタをインクリメントする(ステップS701)。この送受信選択カウンタとは、54ms割込処理毎に、電文送信処理を実行させるか、電文送信処理を実行させるかを指定するためのカウンタである。本実施形態の場合、送受信選択カウンタの最下位ビット(LSB)が「1」であれば(ステップS702:YES)、電文送信処理(ステップS703)を実行し、「0」であれば(ステップS702:NO)、電文受信処理(ステップS704)を実行する。したがって、初回は電文送信処理(ステップS703)が実行される。
(電文送信処理(ステップS703):図49A〜図49B)
図49Aおよび図49Bを参照して、上記電文送信処理(ステップS703)について説明する。図49Aおよび図49Bは、電文送信処理の詳細を示すフローチャートであり、図49Aは電文送信処理の前半部を、図49Bは電文送信処理の後半部を示すフローチャートである。
図49Aおよび図49Bに示す通り、本実施形態に係る電文送信処理は、第2実施形態の図44Aおよび図44Bに示す電文送信処理中のステップS132〜S133の処理が設けられていない点を除き、実質的に同じ処理内容である。したがって、ここでは、図44Aおよび図44Bで説明した処理内容と同じ処理内容については、重複記載を避けるために、適宜省略して説明する。
本実施形態の場合、先述したように、第2実施形態の図43に示す108ms割込処理を、電文送信処理と電文受信処理とに分割し、これらの処理を54ms割込処理毎に交互に実行させる構成であり、詳しくは、図43に示す108ms割込処理中の上記チェック処理(図43のステップS113〜S122参照)に相当する処理が、ステップS704の電文受信処理(後述の図50参照)で実行され、同108ms割込処理中のステップS123の電文送信処理に相当する処理が、ステップS703の電文送信処理で実行されるようになっている。このような処理の性質上、上記第2実施形態における受信チェック開始フラグを設ける必要が無く(ステップS133を設ける必要が無い)、また、チェックサム判定に係る受信チェックサムRXSUMも必要がないため(ステップS132の処理を設ける必要が無い)、図44Aに示すステップS132〜S133の処理は、設けられていない。
(電文受信処理(ステップS703):図50)
次に、図50を参照して、上記電文受信処理(ステップS704)について説明する。図50は、電文受信処理の詳細を示すフローチャートである。
図50において、CPU201は、まず、遊技許可フラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS731)。遊技許可フラグがON状態でない場合(ステップS731:≠5AH)、何もせずにそのままタイマ割込処理を終了する。
一方、遊技許可フラグがON状態である場合(ステップS111:=5AH)、次いで、受信データとして、「遊技機情報応答電文」の受信データの有無を判定する(ステップS0732)。遊技機情報応答電文の受信データの有無は、既に説明したように、受信バッファステータスの値をチェックすることにより行う。受信バッファステータスの値がゼロ(00H)であれば受信データ無しを示し、01H〜16Hであれば受信データ1バイト有り〜受信データ16バイト有りを示す。
ここで、前回の54ms割込処理の電文送信処理(ステップS703)にて遊技機情報通知電文が送信され、今回の54ms割込処理が実行されるまでの54ms間は、当該遊技機情報通知電文に対する遊技機情報応答電文を受信するまでに十分な時間間隔となっている。したがって、当該遊技機情報通知電文に対する遊技機情報応答電文が既に受信済みになっているはずである。そこで、受信データが無い場合には(ステップS732)、後述のステップS741の処理(受信ミス回数判定処理)に進む。
一方、受信データが有る場合には(ステップS732)、受信バッファステータスの値(受信データ数)をループ回数としてセットする(ステップS733)。
次いで、通信通番をレジスタ(たとえば、Wレジスタ)に取得し(ステップS735)、取得した通信通番に、通信通番を除く、遊技機情報応答電文のチェックサム値の「017H」を加算する(ステップS735)。このステップS735〜S736の処理は、上記第2実施形態の図43に示すステップS114〜S115の処理と同様の処理内容である。
次いで、ループ回数がゼロになるまで、受信シリアルポートバッファの受信データをレジスタ(たとえば、Aレジスタ)にロードし続ける(ステップS736)。ここでは、“遊技機情報応答電文の最後のデータ(5バイト目)がチェックサムであること”を利用して(図54参照)、その遊技機情報応答電文に係る「電文長(1バイト)、コマンドコード(1バイト)、通信通番(1バイト)、遊技情報受領結果(1バイト)、およびチェックサム(1バイト)」の5バイト分の値を、順次、Aレジスタにロードし続ける。これにより、最終的にAレジスタに保持されているデータは、今回受信した遊技機情報応答電文のチェックサムデータとなる。したがって、何らかの不具合が発生した場合、たとえば、受信データが5バイト未満の場合(ループ回数が5回未満)やデータの送受信時に不具合が生じてしまうと、遊技機情報応答電文に係るチェックサム値が正しく取得されず、次に述べるステップS739の判定結果が“NO”となり、受信エラーとして扱うようになっている。
次いで、ステップS735で取得される「加算値(通信通番+通信通番除外正常時チェックサム値(017H):ここでは、Wレジスタの値)」と、ステップS736〜S737のループ処理で得られた「チェックサム値(ここでは、Aレジスタの値)」とを比較判定し、これらの値がが一致する場合には(ステップS739:YES)、正常動作である(遊技情報通知応答電文が正しく受信されている(電文が正しく送受信されている))として、電文受信処理を抜けて、54ms割込処理を終える。
しかし、加算値とチェックサム値とが一致しない場合には(ステップS739:NO)、正常動作でないとして、受信ミスカウンタを+1する(ステップS740)。
次いで、受信ミスカウンタ値が所定値(ここでは10回)未満であるか否かを判定する(ステップS741)。本実施形態では、上記第2実施形態と同じく、受信ミス回数が累積10回に達した場合、遊技情報通知と遊技情報応答との送受信に異常(電文通信エラー)が発生したとみなし(ステップS741:n≧10)、ステップS119〜S122の所定のエラー処理を実行する。このエラー処理は、図43と同じ処理内容となっている。
一方、受信ミス回数が累積10回に達していない場合(ステップS741:n<10)、電文受信処理を抜けて、54ms割込処理を終える。
(変形例ε)
なお、第2実施形態は定時的な割り込みにより108ms割込処理を実行し、第3実施形態も同様に54ms割込処理を実行し、いずれも108msのサイクルで、電文の送信、受信を行っているが、次のように構成してもよい。たとえば、4ms割込処理の起動回数(発生回数)をカウントし、所定回数(たとえば、26回目)に達したときに、電文の送信処理または受信処理を実行する、といったように、4ms割込処理の起動回数(実行回数)に基づいて、電文の送信、受信処理を実行可能な構成としてもよい。電文の送信処理または受信処理を実行する際は、4ms割込処理に割込む形で実行させるのではなく、4ms割込処理を優先して実行させ、その後に直ちに実行させることが好ましい。
<フリーゲーム>
ここで、本実施形態に係る管理遊技機特有のゲーム性について説明する。
管理遊技機では、内部に封入した遊技球を循環させ、遊技に利用する持ち球数を電磁的方法により管理するという特徴を持つ遊技機である点に着目し、「遊技球を発射しても持ち球を減算しないゲーム(フリーゲーム)」を実行可能に構成することができる。
このフリーゲーム中は、持ち球が減らない状況、換言すれば、発射数1個に対して最低1個の賞球があるという遊技状況下に置かれ、フリーゲーム中のベースは「1以上」となる。したがって、フリーゲーム中は、少なくとも通常状態よりも有利な利益状態となる。
(77.フリーゲームの開始条件(開始契機)、終了条件(終了契機)について)
上記フリーゲームの開始条件と終了条件の以下に例示する。なお、以下に述べる開始条件と終了条件は、任意の組合せが可能である。
(77−1.開始条件について)
先ず、フリーゲームの開始条件(開始契機)について説明する。開始条件については、下記(Α)〜(Ν)のような条件を定めることができる。
(Α)電源投入後の最初のゲームの開始または終了。その遊技機で最初にプレイする遊技者に特典を与えることができる。
(Β)設定変更があった場合の最初のゲームの開始または終了。設定変更(同一設定値の打ち替えを含む)があったことを遊技者に知得させることができる。
(Γ)大当り抽選で、特定の当りに当選。この場合、当選ゲームの開始または終了を開始条件とすることができる。また「特定の当り」は、1または複数種類設けることができる(後述の(Δ)も同様)。また「特定の当り」は、特定の小当りであってもよいし、特定の大当りであってもよい(後述の(Δ)も同様)。また、特定の当りに限定せず、全大当りまたは全小当りであってもよい(後述の(Δ)も同様)。
(Δ)特定の当りに係る当り遊技の開始または終了:特定の当りに係る当り遊技は、1または複数種類設けることができる(以下同様)。
(Ε)特定のラウンド目に係るラウンド遊技の開始または終了:特定のラウンド数は、1または複数種類設けることができる。なお、全大当りまたは特定の大当りに係る大当り遊技中のみとしてもよい。また「特定の大当り」は、1または複数種類設けることができる。
(Ζ)特定の内部遊技状態の開始または終了:特定の内部遊技状態は、1または複数種類設けることができる(後述の(Θ)も同様)。
(Η)特定の遊技モード(特定のTcode)の開始または終了:特定の遊技モード(特定のTcode)は、1または複数種類設けることができる(後述の(Θ)も同様)。
(Θ)特定の内部遊技状態中および/または特定の遊技モード(特定のTcode)中に、特図の変動回数が所定回数実行された場合。特図の変動回数は、特図1および特図2の合計変動回数であってもよいし、特図1または特図2の変動回数であってもよい。
(Ι)特定の内部遊技状態中および/または特定の遊技モード(特定のTcode)中に、普図の変動回数が所定回数実行された場合。
(Κ)特定の内部遊技状態中に、特別電動役物の作動回数が所定回数に達した場合。
(Λ)天井発動契機:第1実施形態(特典付与形態の変形例1、変形例2(図33、図34、付与形態(α)〜(ξ))などの各変形例のすべてを含む)で説明した「天井特典」の付与契機をフリーゲームの開始条件としてもよい。換言すれば、「天井特典」を「フリーゲーム」に置き換えた構成としてもよい。
(Ν)特定の時刻が到来した場合。RTCを利用して、特定の時刻の到来を監視し、特定の時刻が到来した場合に、フリーゲームを開始させることができる。
(77−2.終了条件について)
次に、フリーゲームの終了条件(終了契機)について説明する。終了条件については、下記(α)〜(γ)のような条件を定めることができる。
(α)アウト球数が所定個数に達した場合。たとえば、アウト球数が100発に達した場合、フリーゲームを終了させる。
(β)セーフ球数が所定個数に達した場合。たとえば、セーフ球数が150発に達した場合、フリーゲームを終了させる。
(γ)発射球数が所定個数に達した場合。たとえば、発射球数が110発に達した場合、フリーゲームを終了させる。
(δ)上述した(Γ)〜(Ν)の開始条件の事項を終了条件として読み替えたものを採用することができる。たとえば、(Γ)のケースであれば、「大当り抽選で、特定の当りに当選した場合」を終了条件とすることができる。勿論、この場合は、開始条件が「大当り抽選で、特定の当りに当選した場合」とは異なる開始条件を採用するなど、フリーゲームの進行に矛盾がないような他の開始条件を定める。
(77−3.フリーゲームの制御例)
次に、フリーゲームの制御例を説明する。フリーゲームを実行する場合には、その開始条件・終了条件を満たしたか否かを、
(I)主制御部20側で監視可能であるケースと、
(II)主制御部20と枠制御部22とが連携して監視可能となるケースとがある。
前者の(I)ケースの代表例としては、開始条件・終了条件ともに、遊技球数が一切関連しない場合であり、たとえば、開始条件が大当り遊技開始、終了条件が当該大当り遊技終了など、主制御部20単独で、開始条件・終了条件を把握可能なケースである。他方、後者の(II)ケースは、たとえば、終了条件が上述の(α)〜(γ)のように、遊技球数が関連する場合である。これは、枠制御部22が、発射球数(実射数)やアウト球数やファール球数をカウントする機能部を有するからである。
上記(I)、(II)のケースのいずれも、主制御部20側は「遊技機情報通知電文」によりフリーゲームの開始タイミングおよび終了タイミング(開始条件を満たした旨および終了条件を満たした旨)を枠制御部22に通知することができる。詳述するに、フリーゲーム中である旨を「遊技機情報通知電文」で枠制御部22に送信する場合には、たとえば、フリーゲームの開始および終了の情報を、遊技情報に係る性能情報状態通知(図53F(ホ)および(例13)参照)により送信することができる。たとえば、性能情報状態通知のカウント情報のBit3(未使用のビット)を利用し、「Bit3=1」であればフリーゲーム中を指定し、「Bit3=0」であれば非フリーゲーム中を指定することができる。なお、枠制御部22側において、このBit3の値の変化を監視すれば、フリーゲームの開始および終了を把握することができる。たとえば、Bit3の値が「0→1」に変化した場合は“フリーゲーム開始”、Bit3の値が「1→0」に変化した場合は“フリーゲーム終了”であることを把握することができる。これにより、枠制御部22側に対して、持ち球数の減算処理の中断(中止)および再開のタイミングを通知し、枠制御部22側は、当該遊技機情報通知電文を受けた場合、フリーゲームの開始タイミングおよび終了タイミングを把握し、持ち球数の減算処理を中断(減算処理停止状態に制御)および再開(減算処理停止状態を解除(減算処理許容状態に制御))し、フリーゲームを実現することができる。
(フリーゲームの具体的制御例)
次に図58を参照して、フリーゲームの具体的な制御例の一例を説明する。ここでは、フリーゲームの開始条件が、主制御部20により制御される事象とし、フリーゲームの終了条件が、枠制御部22で監視される発射球数に関連する事象(発射球数だけでなく、ファール球数やアウト球数等の情報を含んでもよい)を例にとり説明する。
以下では、フリーゲームの開始条件を、主制御部20により制御される「大当り遊技」が開始されたこと(開始INTの開始を契機(1R目開始を契機としてもよい))を条件とし、フリーゲームの終了条件を、発射球の総数(以下「累積発射球数」と称する)が終了規定個数(たとえば、発射球数100個で終了)に到達したことを条件とするケースを代表例にとり説明する。
<制御例1:図58(イ)「主制御側終了監視構成」>
図58(イ)に示す制御例1は、主制御部20がフリーゲームの開始条件・終了条件を管理して、フリーゲームの開始タイミングおよび終了タイミングの到来を、主制御部20から枠制御部22に通知し、枠制御部22は、その通知された情報に基づき、フリーゲーム中の持ち球数を制御する、という構成(主制御側終了監視構成)である。以下、図58(イ)に示す制御例1について説明する。
図58(イ)を参照して、本例に係る主制御部20は、フリーゲームに係る制御手段として、フリーゲーム開始監視手段、フリーゲーム開始手段、フリーゲーム継続管理手段、フリーゲーム終了手段など中心に構成される。
(フリーゲーム開始監視処理)
フリーゲーム開始監視手段は、フリーゲーム開始条件を満たしたか否かを監視(判定)する。本例では、フリーゲーム開始条件が大当り遊技開始であるため、フリーゲーム開始監視手段は、大当り遊技が開始されたか否かをを監視する(大当りに係る変動表示が終了したか否かを監視してもよい)。
フリーゲーム開始監視手段は、フリーゲーム開始条件を満たした場合、フリーゲーム中フラグをON状態に設定する。フリーゲーム中フラグは、フリーゲーム中であるか否かを指定するフラグであり、当該フラグがON状態(5AH)である場合にはフリーゲーム中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(00H)である場合にはフリーゲーム中ではない旨(非フリーゲーム中)を示す。本例の場合、大当り開始を契機にフリーゲームが開始されるため、図17に示す大当り開始処理でフリーゲーム中フラグをON状態に設定する。なお、大当りに係る変動表示が終了した場合にフリーゲーム中フラグをON状態に設定してもよく、この場合は、図16Aに示す大当り図柄停止時の各種設定処理(ステップ475)で、フリーゲーム中フラグをON状態に設定することができる。
(フリーゲーム開始処理)
フリーゲーム開始手段は、フリーゲームを開始する際に必要な設定処理(開始時の設定処理)を行う。本例では、フリーゲーム中フラグがON状態である場合、開始時の設定処理として、フリーゲーム中に利用されるRAMの所定領域(残り発射球数情報などを管理する管理領域)をクリアし、フリーゲーム開始コマンドを演出制御部24に送信する処理などを実行する。フリーゲーム開始コマンドを演出制御部24が受けると、フリーゲームが開始されたことを把握し、フリーゲームが開始されたことを報知する「フリーゲーム開始演出」やフリーゲーム中である旨を報知する「フリーゲーム報知演出」など、フリーゲームに係る演出処理を行う(フリーゲーム中演出制御手段)。
(フリーゲーム開始通知)
フリーゲームが開始された旨は、遊技機情報通知電文により枠制御部22に通知される。枠制御部22は、当該通知を受けてフリーゲームの開始タイミングを把握可能な構成となっている。なお、本例では、「主制御部20→枠制御部22」へのフリーゲーム開始の通知方法として、たとえば下記の2つの通知方法がある。
(A1)1つ目は、図53E(ハ)の(例9)に示す「特別図柄当りの発生」の遊技情報を利用して、枠制御部22に通知可能に構成する。たとえば「カウント情報」の上位4ビット(未使用部分)を利用し、「Bit4=1」であればフリーゲーム中を指定し、「Bit4=0」であれば非フリーゲーム中を指定することができる。枠制御部22側において、このBit4の値の変化を監視すれば、フリーゲームの開始および終了を把握することができる。たとえば、Bit4の値が「0→1」に変化した場合は“フリーゲーム開始”、Bit4の値が「1→0」に変化した場合は“フリーゲーム終了”であることを把握することができる。なお、この場合のフリーゲーム開始を指定する遊技情報(Bit4=1)は「0xA111」(種別情報=「10100001B」、「カウント情報=「00010001B」)となる。
(A2)2つ目は、既に説明したように、図53F(ホ)に示す性能情報状態通知を利用する方法である(カウント情報のBit3をフリーゲームに係るデータとして利用する)。なお、この場合のフリーゲーム開始を指定する遊技情報は「0xF106」(種別情報=「11110001B」、「カウント情報=「0000110B」)となる。
(フリーゲーム継続管理処理)
フリーゲーム継続管理手段は、フリーゲーム終了条件を満たしたか否かを監視(判定)する。本例のフリーゲーム継続管理手段は、フリーゲーム中の累積発射球数をカウントする累積発射球数カウント手段と、累積発射球数が終了規定個数(100個)に達したか否かを判定するフリーゲーム終了判定手段とを含んで構成され、フリーゲーム終了条件として、累積発射球数が100個に達したか否かを監視するようになっている。
本例の場合、フリーゲーム中の累積発射球数のカウントを要するため、枠制御部22が、発射球数情報を含ませた遊技機情報応答電文を主制御部20に送信可能な構成となっており(応答電文送信手段)、主制御部20は、その発射球数情報に基づき、フリーゲーム中の累積発射球数をカウントし、累積発射球数をRAMの所定領域に格納する。
また、主制御部20は、現在の累積発射球数に基づき、終了規定個数までの「残り発射球数」を特定可能なコマンド(残余発射球数コマンド)を演出制御部24に送信可能に構成され、当該コマンドを受けた演出制御部24は、フリーゲーム終了までの残り発射球数を報知する「残余発射球数報知演出」を現出させるようになっている。また、主制御部20は、フリーゲーム中の各入賞口への入賞情報(賞球数情報)を特定可能な賞球数コマンドを演出制御部24に送信可能に構成され、当該コマンドを受けた演出制御部24は、フリーゲーム中の獲得球数に関連する情報を報知する「獲得球数報知演出」を現出させるようになっている。なお「獲得球数に関連する情報」は、「純増個数」または「賞球数」或いは「賞球数の累積情報(累積賞球数)」のいずれであってもよい。また、これらの情報を同時的に表示(重複的に表示)してもよい。また賞球数を報知する場合は、入賞がある毎に「+10獲得!」や「+3獲得!」のように、入賞口に対応した賞球数に関連する情報を表示してもよい。
なお枠制御部22が上記「発射球数情報」を含む遊技機情報応答電文を送信する構成として、たとえば、下記(通1)または(通2)のように構成することができる。
(通1)遊技機情報応答電文の「受領結果」の1バイトのうち、下位4ビットを利用して、発射球数情報のみを送信する。この場合、単純に、発射球数を累積的にカウントしていき、フリーゲーム中の累積発射球数を算出すればよい。なお、上位4ビットの左端ビット(最上位ビット)、または下位4ビットの左端ビットを、受領結果(受領OK)の判定用ビットに利用してもよい(下記(通2)も同様)。
(通2)遊技機情報応答電文の「受領結果」の1バイトのうち、上位4ビットを“ファール球数情報”に利用し、下位4ビットを“発射球数情報(ファール球を考慮していない情報)”に利用してもよい。この場合は、ファール球を考慮した発射球数をカウント対象とする“補正処理”が必要となる。具体的には、「カウント対象の発射球数=発射球数−ファール球数」として算出し、これを累積的にカウントしていき、フリーゲーム中の累積発射球数を算出する。主制御部20は、ファール球数や発射球数を管理するための記憶領域(RAM領域)を設けてあり、累積ファール球数に関する情報や累積発射球数に関する情報を記憶領域に記憶可能となっている。
上記(通1)(通2)のいずれの場合も、累積発射球数をカウントする場合には、発射球を加算していく「加算方式」、或いは、終了規定個数(100個)から発射球数を減算していく「減算方式」のいずれのカウント方式であってもよい。いずれにしても、累積発射球数が終了規定個数に達した場合に、フリーゲームを終了させればよい。
なお、累積発射球数のカウント処理(上記補正処理を含む)は、108ms割込処理内で実行してもよいし、4ms割込処理内で実行してもよい。また、108ms割込処理内で累積発射球数のカウント処理を行い、4ms割込処理内で、当該累積発射球数と終了規定個数との判定処理(フリーゲーム終了の判定処理)を行ってもよい。また、遊技機情報応答電文による発射球数情報がゼロ(上記(通2)の場合は、発射球数およびファール球数がゼロ)の場合は、カウント対象が発生しなかったとして、累積発射球数のカウント処理および/またはフリーゲーム終了の判定処理を行わなくてもよい。
(変形例FG1)
なお上記上記(通1)(通2)では、遊技機情報応答電文の「受領結果」の1バイトを利用して、発射球数情報を主制御部20に通知する構成について説明した。しかし本発明はこれに限られない。たとえば、図54に示す5バイト構成の遊技機情報応答電文に、発射球数情報に関するデータを1バイト分付加した6バイト構成のものを、遊技機情報応答電文として送信するようにしてもよい。
(変形例FG2)
ここで、発射球数情報の理想としては、発射装置32から発射された遊技球が確実に遊技領域3aに到達し(有効打球)、ファール球が一切生じない発射球数情報(有効打球数=実射球数=発射球数)である。しかし、実際には、発射時に何らかの不具合が生じる可能性も十分に考えられ、ファール球が一切生じなくすることは不可能に近い。
そこで、ファール球を考慮して、終了規定個数(累積発射球数100個)をカウントする場合、主制御部20側(フリーゲーム継続管理手段)にて、累積発射球数100発目をカウントしたときに、フリーゲームの終了条件を満たしたと判定するように構成してもよい。しかし、100発目がファール球であった場合には問題が生じる。詳述すれば、減算機構カウントセンサ68によりカウントされた100発目の遊技球(発射球)がファール球であった場合、発射後にその遊技球(ファール球)が非入球通路カウントセンサ67に検出されるまでに、或る程度(たとえば、1〜2秒程度)のタイムラグが生じうる。
このため、100発目がファール球の場合には、ファール球がカウントされるまでに、フリーゲームが終了されることになる。すなわち、遊技者にとっては、99発しか有効打球を発射していないにもかかわらず、フリーゲームが終了してしまい、不利益が生じることになる。実際には、100発目直前で数発程度のファール球が生じ得る場合もあり、97発乃至99発しか有効打球が生じていないまま、フリーゲームが終了してしまうケースもありうる。斯様なケースは、パチンコホール側には不利益は生じないが、遊技者側には不利益が生じうる、といったケースとなり、遊技者に対して不満感や不信感を与えてしまう恐れがある。
一方、100発目がファール球であるか否かをチェックし終えるまで発射動作を続けてしまうと、フリーゲーム終了まで、1発〜数発程度余分に発射されてしまう恐れがあり、フリーゲーム期間が無闇に間延びしてしまう問題が生じる。斯様なケースは、上述したケースとは逆に、遊技者には不利益は生じないが、パチンコホール側には不利益が生じうる、といったケースとなり、パチンコホール側に対して不満感や不信感を与えてしまう恐れがある。
しかし、制御負担の軽減や設計上の容易化の観点からは、100発目(場合により98発〜99発目)がファール球となっても、これをレアケースであるとして処理し(当該ファール球は無視する)、累積発射球数として100発目がカウントされた時点でフリーゲームを終了させるという構成が好ましいと考えられる。この場合には、累積発射球数が98〜99発で終了することはあっても、フリーゲーム期間が無闇に間延びしてしまうことを防止できる。斯様な構成は、ファール球の発生がレアケースである点に着目したものであり、遊技者側とパチンコホール側との利益を考慮した折衷案的な構成である点で好ましいといえる。
しかし、上記の折衷案的な構成の場合、パチンコホール側は不利益を被ることはないが、遊技者側には可能性が低いとはいえ不利益が生じうる状態は拭えず、実質的には、遊技者に対してリスクを負わせてしまうことになる。そこで、ファール球が生じることを前提とした制御手法(処理内容)として、下記(δ1)または(δ2)のような構成とすることが好ましい。
(発射動作遅延制御:δ1)
(δ1)累積発射球数がフリーゲーム終了の終了規定個数(100個目)に近づいた場合、たとえば、累積発射球数97発目(終了規定個数未満の或る球数M:球数M=95発〜99発目が好ましい)を確認した場合に発射装置32の発射性能を低下させる。「発射性能を低下させる」とは、たとえば、発射スピードを、通常よりも遅くするように制御可能な構成である。この場合、ファール球であるか否かをチェックしながら、終了規定個数を監視(判定)できる点で好ましい構成であるといえる。ただし、この場合は、発射装置32を制御する枠制御部22側が当該制御を行うための機能部を備える必要がある。具体的には、枠制御部22が、
累積発射球数をカウントする累積発射球数カウント手段と、
累積発射球数カウント手段による結果に基づき、累積発射球数が特定個数Mに達したか否かを判定する特定個数到達判定手段と、
特定個数到達判定手段による判定結果に基づき(特定個数Mに達した場合)、発射手段の発射性能(発射スピード)を低下させる発射速度低下手段と、を備える構成である。なお、フリーゲーム終了後(累積発射球数101発目以降)、発射装置32は、本来(通常時)の発射性能に戻される(通常の発射性能に戻す発射性能恢復手段)。
(発射動作強制停止制御:δ2)
(δ2)累積発射球数が終了規定個数(100個目)を確認した場合、一時的に発射動作を停止する構成とすることができる。たとえば、100発目のカウント(実射)がファール球であるか否かを確認しうる十分な所定時間(たとえば、1秒〜数秒程度の範囲)、発射待機状態に制御可能な構成(発射待機状態制御手段を有する構成)である。この場合も、発射装置32を制御する枠制御部22側が当該制御を行うための機能部を備える必要がある。具体的には、枠制御部22が、
上記累積発射球数カウント手段と、
上記特定個数到達判定手段と、
特定個数到達判定手段による判定結果に基づき(特定個数M=終了規定個数に達した場合)、発射手段による発射動作を、所定期間(所定時間)発射停止状態に制御(強制的に停止)する発射動作停止制御手段とと、を備える構成である。この場合、当該所定時間経過後は、発射停止状態が解除される。
なお、上述の(δ1)または(δ2)において、特定個数Mに達した場合に、その旨を主制御部20側に、遊技機情報応答電文により通知可能な構成とすることができる。主制御部20は、特定個数Mに達したことを把握した場合に、演出制御コマンドを演出制御部24に送信して、これを受けた演出制御部24が、フリーゲーム終了間近であること(発射装置32が通常とは異なる発射動作に制御されること)を報せる演出を実行可能に構成することができる。
(フリーゲーム終了処理)
フリーゲーム終了手段は、フリーゲームを終了する際に必要な設定処理(終了時の設定処理)を行う。本例では、累積発射球数が終了規定個数(100個)に達した場合(上記フリーゲーム終了判定手段により終了規定個数に達したと判定された場合)、終了時の設定処理として、フリーゲーム中フラグをOFF状態に設定し、フリーゲーム中に利用されるRAMの所定領域をクリアし、フリーゲーム終了コマンドを演出制御部24に送信する処理などを実行する。フリーゲーム終了コマンドを演出制御部24が受けると、フリーゲームが終了されたことを報知する「フリーゲーム終了演出」など、フリーゲームに係る演出処理を行う(フリーゲーム中演出制御手段)。
(フリーゲーム終了通知)
フリーゲームが終了された旨は、遊技機情報通知電文により枠制御部22に通知される。当該遊技機情報通知電文は、既に説明したように、図53F(ホ)に示す性能情報状態通知を利用して送信することができる(カウント情報のBit3をフリーゲームに係るデータとして利用)。
本例は、フリーゲームの終了条件が累積発射球数に依存するため、フリーゲームの終了タイミングが必ずしも大当り遊技中に到来するとは限らず、大当り遊技終了後にその終了タイミングが到来するケースもある。したがって、性能情報状態通知を利用する場合には、「カウント情報」の下位4ビットのうち、Bit0〜2値を、フリーゲーム終了時の遊技状態に対応する値に設定し、Bit3を「0(非フリーゲーム中)」に設定する。枠制御部22がこの遊技機情報通知電文を受けた場合、フリーゲームの終了を把握し、実行中のフリーゲーム(減算処理停止状態)を終了させて、通常時と同じく、持ち球数の減算処理を再開する。
なお、枠制御部22は、主制御部20から上記フリーゲーム開始通知を受信した場合、持ち球数の減算処理を中断(減算処理停止状態に制御)してフリーゲームを実行するが、仮に持ち球数に関して「未更新分の加減算情報」が有る場合、たとえば、現在の遊技球数表示装置77の表示上は2000球であるが、内部的には加算すべき賞球数(加算情報)が10個分あり、2010球に増加させることが決まっているような場合や、内部的には減算すべき発射数(減算情報)1個あり1999球に減算させることが決まっているような場合などは、その未更新分の加減算情報を記憶しておき、持ち球数については未更新の状態で、フリーゲームを実行し、フリーゲーム終了後に当該未更新分の加減算情報を更新してもよい。
また、未更新分の加減算情報のうち、加算情報については、フリーゲーム中(フリーゲーム開始時)に持ち球の加算処理を行うことが好ましい。フリーゲーム開始時に遊技球数表示装置77による持ち球数表示が減算表示されてしまうと、遊技者に不信感や不満感を与えてしまう恐れがあるが、加算表示されれば、遊技者に安心感や満足感を与えることができるためである。
また枠制御部22は、主制御部20から上記フリーゲーム開始通知を受信した場合、その時点で未更新分の加減算情報があれば、その未更新分の加減算情報に基づく持ち球数の更新処理を行った後に、持ち球数の減算処理を中断してフリーゲームを開始してもよい。
また枠制御部22は、フリーゲーム中の持ち球数をリアルタイムに更新して、遊技球数表示装置77に逐次、新たな持ち球数を更新表示してもよい。しかし、持ち球数を更新表示せずに、持ち球数の加算情報を「累積増加球数(累積加算情報)」として、内部的に一旦記憶しておき、フリーゲームの終了後にその累積増加球数を加算処理し、遊技球数表示装置77の持ち球表示を更新表示してもよい。この場合、遊技球数表示装置77には、累積増加球数が加算されたことが認識可能な表示態様で表示することが好ましい。たとえば、遊技球数表示装置77に累積増加数を表示した後に、現在の持ち球数に加算表示する、または、現在の持ち球数にカウントアップ的に加算表示していくようにしてもよい。
また、フリーゲーム中は、遊技球数表示装置77における持ち球表示の更新処理を行ってもよいし、一切行わないようにしてもよい。また、持ち球数の増減表示(加減表示)だけを行ってもよいし(たとえば、0→10→9→12など)、増加表示(加算表示)だけを行ってもよい。
(フリーゲーム中の遊技球数表示装置77の表示態様)
フリーゲーム中の遊技球数表示装置77の表示態様に関し、下記のような表示態様としてもよい。
フリーゲーム中は、通常時では表示されない特殊表示態様(フリーゲーム中専用の表示態様)に変更してもよい。たとえば、「FFFFFF」を表示して、フリーゲーム中であることを遊技者に確定的に報知しうる表示態様とする。なお、フリーゲーム中に遊技球数表示装置77における持ち球を更新表示する場合は、現在の持ち球数の表示と、特殊表示(「FFFFFF」)とを交互に表示してもよい。また、フリーゲーム中は、持ち球数の表示を点滅表示する、或いは通常時とは異なる発光色で表示(たとえば、通常時は赤色表示、フリーゲーム中は虹色表示など)してもよい。
(フリーゲーム中の性能表示について)
フリーゲーム中の性能表示器99の表示を、下記のような表示態様としてもよい。
(1)フリーゲーム中は、内部的にベース値の算出処理を行うが、性能表示器99の表示は更新表示しなくてもよい。この場合、フリーゲームが終了した後に、フリーゲームの内容を反映した表示内容が表示することができる。
(2)フリーゲーム中は、ベース値の算出処理および性能表示器99の更新表示を行わなくてもよい。つまり、フリーゲーム中のベース値が性能情報に反映されないようにしてもよい。
(3)フリーゲーム中は、通常時では表示されない特殊表示態様(フリーゲーム中専用の表示態様)を表示するなど、少なくともフリーゲーム中であること示す表示を行うようにしてもよい。
(4)フリーゲーム中であっても、ベース値の算出処理および性能表示器99の更新表示を行ってもよい。つまり、通常中(上記通常時ベース値)だけでなく、フリーゲーム中のベース値も算出し、通常中とフリーゲーム中の期間のベース値を、性能情報として表示可能に構成してもよい。
(フリーゲームの開始時/終了時のINT時間について)
フリーゲームを開始および/または終了する際に、所定のインターバル時間(INT時間)を設けてもよい。フリーゲームを開始時と終了時とにおいて所定のINT時間を設ける場合、フリーゲーム開始時のINT時間(フリーゲーム開始INT)と、フリーゲームの終了時のINT時間(フリーゲーム開始INT)とが同一時間幅としてもよいし、異なる時間幅としてもよい。フリーゲーム開始INTは、上記「フリーゲームの開始演出」の演出時間幅に利用し、フリーゲーム終了INTは、上記「フリーゲーム終了演出」の演出時間幅に利用することができる。
なお、本例のように、大当り遊技期間をフリーゲーム期間として利用する場合には、フリーゲーム開始INTやフリーゲーム終了INTを、大当り遊技に係る開始INTや終了INTと兼用する形で用いてもよい。ただし、大当り遊技中にフリーゲームが終了する場合は、フリーゲーム終了INTを設定しないことが好ましい。その理由は、次の通りである。大当り遊技中に、フリーゲーム終了INTが実行されてしまうと、大当り遊技中に待機時間が生じてしまい、しかもこの待機時間は、毎回、大当り遊技中の所定のタイミングで生じるわけではなく、遊技進行の妨げとなったり、大当り遊技期間が無闇に間延びしたりしてしまうなどの問題が生じうる。したがって、大当り遊技中にフリーゲームが終了する場合は、フリーゲーム終了INTを設定しないことが好ましい。なお、フリーゲーム終了時には、フリーゲーム終了演出だけを実行してもよい。
(フリーゲーム中のエラー管理処理について)
次に、フリーゲーム中にエラーが生じた場合の処理内容について説明する。
枠制御部22は、発射球数やファール球数のカウント(検出)に異常があると判定した場合、主制御部20に対して、それらの情報を送信しないように構成してもよい。たとえば、遊技機情報応答電文に、発射球数やファール球数を0(ゼロ)の情報のを含ませて送信してもよい。この場合、異常(カウント異常など)が生じた旨を主制御部20に通知することが好ましい。異常が生じた旨は、遊技機情報応答電文に含ませて送信してもよいし(1つのコマンドで送信する)、遊技機情報応答電文とは別の電文(専用のエラーコマンド)により送信してもよい。
主制御部20は、枠制御部22との通信異常を確認した場合に、発射球数情報(発射球情報および/またはファール球情報)を破棄(取得)せずに、累積発射球数のカウントに関する処理を行ってもよい。しかし、通信異常を確認した場合には、受信した情報を無効扱いとして、累積発射球数カウント対象としないことが好ましい。なお、通信異常とは、遊技機情報応答電文を正常に受信できなかった場合(たとえば、受領結果(受領OK)の上記判定用ビットが異常値の場合など)である。主制御部20は、遊技機情報応答電文が正常か否かを判定した後、正常であれば、受領結果に基づく発射球情報を取得するように構成してもよい。
また、通信異常を確認した場合、所定のエラー処理を行うように構成してもよい。なお、通信異常を確認した場合であっても枠制御部22がデータを再送信するように構成している場合には、その送信が正常であれば、エラー処理を実行せずに、通常通りに遊技処理を行ってもよい。また、通信異常を確認した場合であっても直ちにエラー処理を実行せず、たとえば、通信異常の累積回数が所定回数(たとえば、10回)に達した場合、または通信異常の連続回数が所定回数(たとえば、10回)に達した場合にエラーであると判定し、所定のエラー処理を実行してもよい。
エラー処理としては、たとえば、フリーゲーム終了に関する処理(たとえば、上記終了時の設定処理)を行った後、或いは当該処理を行う前に、エラー報知や発射動作を停止する(枠制御部22に対し発射停止信号を送信する)などの遊技停止処理を実行可能に構成してもよい。また、主制御部20で管理しているフリーゲームに関する主制御側情報と、枠制御部22で管理しているフリーゲームの枠制御側情報とが有る場合、それらの情報が一致しないときは、通信異常が生じたとして、所定のエラー処理を行ってもよい。この場合、フリーゲームの開始時、フリーゲーム実行中の1または複数の所定のタイミング(たとえば、108ms割込処理の実行時)、およびフリーゲームの終了時の少なくとも1つのタイミングにてに双方の情報が一致することを確認してもよい。
また主制御部20は、深刻度が高いエラーが生じた場合、エラー報知またはエラー報知および遊技停止処理とともに、実行中のフリーゲームを終了させるように構成してもよい(フリーゲーム強制終了制御)。この場合、主制御部20は、当該エラーが生じた旨を枠制御部22に通知することが好ましい。深刻度の高いエラーとは、たとえば、不正行為を対象とするエラーなどの遊技機が最も警戒すべきエラー(遊技機に対するダメージが高いエラー)であり、深刻度の低いエラーとは、たとえば、単に、循環通路に玉が詰まってしまったケースなど、遊技機に対するダメージが低いエラー(エラー解除が比較的容易なエラー)である。深刻度が低いエラーが生じた場合は、エラー報知だけにとどめてもよい。
※
<制御例2:図58(ロ)「枠制御側終了監視構成」>
上記では、少なくとも主制御部20側がフリーゲーム終了を監視して、終了タイミングが到来したときにその旨を枠制御部20側に通知し、当該通知により枠制御部20側がフリーゲームの終了を把握して、実行中のフリーゲーム(減算処理停止状態)を終了させるといった「主制御側終了監視構成」について説明した。
しかし本発明はこれに限られない。たとえば、少なくとも枠制御部22側がフリーゲームの終了タイミングを監視して、終了タイミングが到来したときにその旨を主制御部20側に通知し、枠制御部22は独自に、実行中のフリーゲーム(減算処理停止状態)を終了させるといった「枠制御側終了監視構成」とすることができる。
この「枠制御側終了監視構成」の場合、図58(ロ)に示すように、枠制御部22は、フリーゲームに係る制御手段として、
フリーゲーム中の持ち球数の管理を行うフリーゲーム持ち球管理手段と、
少なくとも発射球数に基づき、フリーゲーム中の累積発射球数をカウントする累積発射球数カウント手段と、
累積発射球数が終了規定個数(100個)に達したか否かを判定するフリーゲーム終了判定手段と、
累積発射球数が終了規定個数に達した場合、フリーゲーム終了指定情報(フリーゲームが終了したことを示す情報)を主制御部20に送信するフリーゲーム関連情報通知手段(応答電文送信手段)と、を含んで構成することができる。
上記フリーゲーム持ち球管理手段は、フリーゲーム中、少なくとも持ち球数の減算処理を中断するフリーゲーム終了手段と、累積発射球数が終了規定個数に達した場合、持ち球数の減算処理を再開するフリーゲーム終了手段と、を含むことができる。
また、本例に係る「枠制御側終了監視構成」の場合、主制御部20(フリーゲーム開始手段)は、上記した図58(イ)の制御例1と同様に、フリーゲーム開始を遊技機情報通知電文により枠制御部22に通知して、枠制御部22は、その通知を受けてフリーゲームの開始タイミングを把握し、持ち球数の減算処理を中断可能な構成することができる(上記「フリーゲームの開始通知」の(A1)(A2)の記載参照)。
また、主制御部20は、フリーゲーム終了指定情報に基づき、フリーゲーム終了したか否かを判定し(フリーゲーム継続管理手段)、フリーゲーム終了である場合、フリーゲームを終了する際に必要な設定処理(終了時の設定処理)を行うように構成することができる(フリーゲーム終了手段)。本例では、終了時の設定処理として、フリーゲーム中フラグをOFF状態(00H)に設定し、フリーゲーム中に利用されるRAMの所定領域をクリアし、フリーゲーム終了コマンドを演出制御部24に送信する処理などを行う。
なお、枠制御部22(フリーゲーム関連情報通知手段)が、遊技機情報応答電文に「累積発射球数情報」含ませて主制御部20側に通知する場合、下記(通3)〜(通5)のように構成することができる。
(通3)図54に示す遊技機情報応答電文の「受領結果」の1バイトを利用して、累積発射球数情報を送信することができる。この場合、主制御部20は現在の累積発射球数を把握し、終了規定個数までの「残り発射球数」を把握することができる。これにより、図58(イ)の制御例1と同様に、終了規定個数までの「残り発射球数」を特定可能なコマンドを演出制御部24に送信し、上記「残余発射球数報知演出」を現出可能な構成することができる。
(通4)また、受領結果の1バイトのうち、特定のビット(たとえば、最上位ビット(MSB))を“フリーゲーム終了指定情報”に割り当て、残りのビットを“累積発射球数情報”に割り当ててもよい。なお、フリーゲーム終了を通知可能であれば、そのビットの内容は適宜定めることができる。
(通5)累積発射球数が1バイトで表現できない場合には、2バイト長で累積発射球数とフリーゲーム終了指定情報とを通知してもよい。また、累積発射球数通知分の専用データ(1乃至2バイト分)と、フリーゲーム終了指定情報通知分の専用データ(1バイト分)とを設けてもよい。
上記「枠制御側終了監視構成(制御例2)」の利点は、枠制御部22が有する「持ち球数のカウント機能の一部(減算機構カウントセンサ68、非入賞球通路カウントセンサ67の検出情報)」を利用して、累積発射球数を独自にカウントし、フリーゲーム終了を監視できる点である。
なお、枠制御部22は、フリーゲーム中である旨を、外部装置に対して送信可能な構成とすることが好ましい。これは、不正行為防止等の観点から、ホールコンピュータHCに対してフリーゲーム中である旨を通知する必要性が高く、また、上記「型式試験」において、フリーゲーム中である旨を型式試験信号で通知したり、データカウンタDTによりフリーゲーム中である旨を報知させることが好ましいからである。
また、フリーゲーム中である旨を、主制御部20または枠制御部22に接続される所定の表示器(たとえば、複合表示装置38cや、遊技数表示装置77など)、或いは、専用の表示器により報知可能に構成することができる。
フリーゲーム中は、球貸出装置(外部ユニットSC)による遊技球の球貸および/または返却に関する処理(操作)を無効化してもよい。たとえば、フリーゲーム中、玉貸要求スイッチ87や返却スイッチ(不図示)を操作しても、球貸出装置に対する球貸要求信号や返却信号の出力をいないように制御する。勿論、フリーゲーム中であっても、遊技球の球貸および返却に関する処理(操作)を有効としてもよいし、いずれか一方だけを有効としてもよい。
なお、フリーゲーム中の場合には、持ち球数が「ゼロ」であっても遊技球の発射が可能な構成としている場合には(持ち球の減算処理を行わないため、発射動作を有効扱いとする構成)、遊技球の球貸および返却に関する処理(操作)を有効としてもよい。しかし、持ち球が「ゼロ」である場合に遊技球の発射動作を停止させる構成の場合には、持ち球の返却操作を有効にしてしまうと持ち球がゼロとなってしまい発射動作が停止してしまうため、少なくともフリーゲーム中の持ち球の返却操作を無効とすることが好ましい。
上記した実施形態は、下記の構成(1)〜構成(6)とすることができる。なお括弧内は実施形態における対応要素を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
構成(1)入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段と、
前記入賞検出手段が検出した検出情報に基づく賞球数情報を管理可能に構成され、遊技進行動作を司る主制御手段(図35(主制御部20))と、
前記主制御手段からの賞球数情報に基づいて、遊技を行うために用いる遊技球数の増減管理処理を実行可能に構成された副制御手段(図35(枠制御部22))とを備え、
内部に封入された遊技球を循環的に使用して遊技を行う管理遊技機(図35)であって、
前記主制御手段は、
電源投入後に開始されるメイン処理(図36A、図36B(図37))と、
第1所定時間毎に起動され、前記入賞検出手段による検出情報を管理するための管理処理を含み、遊技進行に関連する処理を実行する第1タイマ割込処理(図39)と、
第2所定時間毎に起動され、前記検出情報に基づく賞球数情報を前記副制御手段に送信する送信処理を実行する第2タイマ割込処理(図43)とを実行可能に構成され、
前記第1タイマ割込処理の優先順位が前記第2タイマ割込処理の優先順位よりも高く設定されている(図39、図43)、
ことを特徴とする管理遊技機。
構成(2)入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段と、
前記入賞検出手段が検出した検出情報に基づく賞球数情報を管理可能に構成され、遊技進行動作を司る主制御手段(図35(主制御部20))と、
前記主制御手段からの賞球数情報に基づいて、遊技を行うために用いる遊技球数の増減管理処理を実行可能に構成された副制御手段(図35(枠制御部22))とを備え、
内部に封入された遊技球を循環的に使用して遊技を行う管理遊技機(図35)であって、
前記主制御手段は、
電源投入後に開始されるメイン処理(図36A、図36B(図37))と、
第1所定時間毎に起動され、前記入賞検出手段による検出情報を管理するための管理処理を含み、遊技進行に関連する処理を実行する第1タイマ割込処理(図39)と、
第2所定時間毎に起動され、前記検出情報に基づく賞球数情報を前記副制御手段に送信する送信処理を実行する第2タイマ割込処理(図43)とを実行可能に構成され、
前記第1タイマ割込処理の優先順位が前記第2タイマ割込処理の優先順位よりも高く設定され、且つ前記第1所定時間は前記第2所定時間よりも短時間である(図39、図43)、
ことを特徴とする管理遊技機。
構成(3)入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段と、
前記入賞検出手段が検出した検出情報に基づく賞球数情報を管理可能に構成され、遊技進行動作を司る主制御手段(図35(主制御部20))と、
前記主制御手段からの賞球数情報に基づいて、遊技を行うために用いる遊技球数の増減管理処理を実行可能に構成された副制御手段(図35(枠制御部22))とを備え、
内部に封入された遊技球を循環的に使用して遊技を行う管理遊技機(図35)であって、
前記副制御手段は、
前記前記主制御手段からの賞球数情報を受信した場合、その受領結果情報を前記主制御手段に送信するように構成され、
前記主制御手段は、
電源投入後に開始されるメイン処理(図36A、図36B(図37))と、
第1所定時間毎に起動され、前記入賞検出手段による検出情報を管理するための管理処理を含み、遊技進行に関連する処理を実行する第1タイマ割込処理(図39)と、
第2所定時間毎に起動される第2タイマ割込処理(図48)とを実行可能に構成され、
前記第2タイマ割込処理は、
前記検出情報に基づく賞球数情報を前記副制御手段に送信する送信処理(図48のS703)、
前記副制御手段からの前記受領結果を受信する受信処理(図48のS704)とを含み、
前記送信処理と前記受信処理とが前記第2所定時間毎に交互に実行されるように構成した(図48のS702)、
ことを特徴とする管理遊技機。
以上に説明した全ての実施形態(各実施形態で説明した構成、変形例のすべてを含む)の1または複数を組合せた構成としてもよく、各実施形態において記載した内容は個別の実施形態のみに限定されるものではない。
また以上に説明した実施形態では、遊技媒体として、遊技球を利用する弾球遊技機について説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、アレンジボール機、雀球遊技機であってもよく、他の遊技媒体として、遊技メダルを利用する遊技機(回胴式遊技機)などであってもよい。