次に、本発明の好適な実施形態について図面に基づいて説明する。まず、パチンコ機の構成について説明し、続いてパチンコ機の背面構成について説明する。図1はパチンコ機の正面図であり、図2は本体枠及び前面枠を開放した状態のパチンコ機を示す斜視図であり、図3は本体枠及び遊技盤を分離した状態を示す斜視図であり、図4は本体枠の背面斜視図であり、図5はパチンコ機の背面図である。
[1.パチンコ機の構成]
パチンコ機1は、図1及び図2に示すように、外枠2、本体枠3、遊技盤4、前面枠5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の枠材により縦長四角形の枠状に形成され、外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面一側には、ヒンジ機構7により本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。また、本体枠3は、前枠体8、遊技盤装着枠9及び機構装着枠10を合成樹脂材により一体成形することで構成されている。本体枠3の前側に形成された前枠体8は、外枠2前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。
前枠体8の後部に一体的に形成された遊技盤装着枠9には、遊技盤4が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤4の盤面(前面)には、外レールと内レールとを備えた案内レール11が設けられ、この案内レール11の内側には、遊技領域12が区画形成されている。
この遊技領域12には、各種入賞口を備えた各種ユニット等が設けられており、遊技領域12の中央(中央上側寄り)にセンター役物装置が設けられている。このセンター役物装置は、その詳細な説明については後述するが、演出効果を高めるさまざまな工夫が施されており、液晶表示器、演出ランプ、階調ランプ及び可動体等を備えて構成されている。演出ランプは点灯し、階調ランプはその明るさが滑らかに変化して階調点灯する。可動体は液晶表示器で繰り広げられる演出(画像)に合わせて可動する。
遊技盤装着枠9よりも下方に位置する前枠体8の前側下部の一側寄りには、スピーカ装着板13を介して低音用スピーカ14が装着されている。また、前枠体8前面の下部領域内の上側部分には、遊技盤4の発射通路に向けて遊技球を導く発射レール15が傾斜状に装着されている。一方、前枠体8前面の下部領域内の下側部分には、下前面部材16が装着されている。下前面部材16前面のほぼ中央には、下皿17が設けられ、片側寄りには操作ハンドル18が設けられている。この操作ハンドル18には、発射レバー18a、図示しない発射停止ボタン等が設けられている。発射レバー18aを図1中時計方向に回転すると、後述する発射ハンマーによる遊技球への打圧強度が高められるようになっており、遊技球の発射する勢い(「発射勢」という。)を調節することができる。発射停止ボタンを操作すると、発射ハンマーの可動が停止されるようになっており、遊技球の発射が停止される。また操作ハンドル18には、タッチスイッチ18b、発射停止スイッチ18c等が内蔵されている。発射レバー18aに触れるとタッチスイッチ18bにより検出されるようになっており、発射停止ボタンを操作すると発射停止スイッチ18cにより検出されるようになっている。なお、下皿17には下皿用球排出ボタン17aが設けられており、この下皿用球排出ボタン17aを操作すると、下皿17に貯留された遊技球を図示しない受け箱(ドル箱)に排出することができるようになっている。
本体枠3(前枠体8)のヒンジ機構7が設けられる側とは反対側となる開放側の後面には、外枠2に対して本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対して前面枠5を施錠する機能と、を兼ね備えた施錠装置19が装着されている。施錠装置19は、外枠2に設けられた閉止具20に係脱可能に係合して本体枠3を閉鎖状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック21と、前面枠5の開放側の後面に設けられた閉止具22に係脱可能に係合して前面枠5を閉鎖状態に施錠する上下複数の扉施錠フック23と、を備えている。そして、シリンダー錠24の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることにより本体枠施錠フック21と外枠2の閉止具20との係合が解除されて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に鍵が回動操作されることにより扉施錠フック23と前面枠5の閉止具22との係合が解除されて前面枠5が解錠されるようになっている。なお、シリンダー錠24の前端部は、パチンコ機1の前方から鍵を挿入して解錠操作が行えるように前枠体8及び下前面部材16を貫通して下前面部材16の前面に露出して配置されている。
本体枠3前面の一側には、ヒンジ機構25により前面枠5が前方に開閉可能に装着されている。前面枠5は、扉本体フレーム26、サイド装飾装置27、上皿28及び音響電飾装置29を備えて構成されている。扉本体フレーム26は、プレス加工された金属製フレーム部材により構成され、前枠体8の上端から下前面部材16の上縁に亘る部分を覆う大きさに形成されている。扉本体フレーム26のほぼ中央には、遊技盤4の遊技領域12を前方から透視可能なほぼ円形状の開口窓30が形成されている。また、扉本体フレーム26の後側には、開口窓30よりも大きい矩形枠状をなす窓枠31が設けられ、この窓枠31には、透明板32が装着されている。
扉本体フレーム26の前側には、開口窓30の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置27、下部に上皿28及び上部に音響電飾装置29がそれぞれ装着されている。サイド装飾装置27は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材により形成されたサイド装飾体33を主体として構成されている。サイド装飾体33には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、この開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ34が組み込まれている。音響電飾装置29は、透明カバー体35、中高音用スピーカ36、スピーカカバー37、賞球ランプ38及び図示しないリフレクタ体等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。賞球ランプ38は、その詳細な説明は後述するが、例えば遊技者が下皿17に遊技球を満タンにした状態で遊技を続け、所定の条件が成立すると、ホールの店員等に賞球ストック(未払い出し分)が生じている旨を伝えるため点灯する。なお、パチンコ機1と隣接してプリペイドカードユニット1aが配置されている。このプリペイドカードユニット1aはパチンコ機1と電気的に接続されており、パチンコ機1に貸球に関する信号等を出力する。
本体枠3の機構装着枠10には、図3に示すように、その上側に球タンク39、その左側に払出装置40が装着されている。球タンク39は図示しないパチンコ島設備から供給される遊技球を貯留している。貯留された遊技球は、後述するタンクレールに沿って転動し、払出装置40で取り込まれている。払出装置40は払出モータ41を備えている。
払出装置40の下方には、球誘導構成部42が機構装着枠10に設けられている。この球誘導構成部42には、その内部に、上皿用球誘導通路43及び球抜き用球誘導通路44が形成されている。また球誘導構成部42には、球抜き用球排出構成部材46が装着されている。この球抜き用連絡排出構成部材46には、その内部に、球抜き用連絡球排出通路47が形成されており、遊技盤装着枠9の下側に設けられている球抜き用球排出通路48と接続されている。
払出装置40で取り込んだ遊技球は、払出モータ41によって上皿用球誘導通路43又は球抜き用球誘導通路44のいずれかに切り出される。上皿用球誘導通路43に切り出された遊技球は、上皿用球貯留部45に落下して図1に示した上皿28に誘導される。一方、球抜き用球誘導通路44に切り出された遊技球は、球抜き用連絡球排出通路47、そして球抜き用球排出通路48に沿って落下し、抜き球としてパチンコ島設備に排出される。
球誘導構成部42の下方には、球誘導カバー49が機構装着枠10に装着されている。この球誘導カバー49には、その内部に、下皿用球誘導通路50が形成されており、上皿28及び上皿用球貯留部45が遊技球で満タンになると、上皿用球誘導通路43に切り出された遊技球は、上皿用球貯留部45から溢れて下皿用球誘導通路50に落下し、この下皿用球誘導通路50に沿って転動し、下皿用球貯留部51に落下して図1に示した下皿17に誘導される。
本体枠3の遊技盤装着枠9の下側には、セーフ球用球排出通路52及びアウト球用球排出通路53が設けられている。セーフ球用球排出通路52は、遊技盤4の遊技領域12に設けられた各種入賞口に入球した遊技球をセーフ球としてパチンコ島設備に排出する。一方、アウト球用球排出通路53は、それらの各種入賞口に入球しなかった遊技球をアウト球としてパチンコ島設備に排出する。なお、払出装置40(払出モータ41)の遊技球の切り出し動作、各種球誘導通路及び各種球排出通路についての詳細な説明は後述する。
なお、本体枠3の上側には、図3に示すように、前面枠開放スイッチ3aが設けられており、図2に示した前面枠5が本体枠3から開放されると、前面枠開放スイッチ3aにより検出されるようになっている。一方、本体枠3の裏面上側には、図4に示すように、本体枠開放スイッチ3bが設けられており、本体枠3が図2に示した外枠2から開放されると、本体枠開放スイッチ3bにより検出されるようになっている。
次に、パチンコ機1の背面構成について説明する。パチンコ機1の背面には、図5に示すように、上述した、球タンク39及び払出装置40が機構装着枠10に装着されている。球タンク39の下方には、球タンク39から払出装置40に向けて遊技球が転動するよう傾斜した状態(図5中、右下がりの勾配を持たせた状態)でタンクレール55が機構装着枠10に設けられている。
タンクレール55の下方には、遊技盤装着枠9に装着された遊技盤4が配置されている。この遊技盤4の中央上寄りにはセンター役物装置が配置されており、このセンター役物装置の最後部には液晶モジュール56が取り付けられている。この液晶モジュール56は、液晶表示器57、液晶制御基板58が収容された液晶制御基板ボックス59等を備えて構成されている。液晶制御基板58は、液晶表示器57にさまざまな画像を表示する制御を行う。
遊技盤4の裏面左側には、ランプ駆動基板60が収容されたランプ駆動基板ボックス61が配置されている。ランプ駆動基板60は、センター役物装置に備えた演出ランプへの点灯信号及び階調ランプへの階調信号を出力する制御を行う一方、ステッピングモータ及びソレノイド等の可動体の駆動源への駆動信号を出力する制御も行う。
遊技盤4の裏面下側には、ボックス装着台62が配置されている。このボックス装着台62は、サブ統合基板63が収容されたサブ統合基板ボックス64と、主制御基板65が収容された主制御基板ボックス66と、が装着されている。具体的には、サブ統合基板ボックス64に重ね合わされた状態で主制御基板ボックス66が装着されている。ボックス装着台62は、サブ統合基板ボックス64及び主制御基板ボックス66が装着された状態でもサブ統合基板ボックス64及び主制御基板ボックス66が遊技盤4の外郭より外側にはみ出さないように配置されている。なお、サブ統合基板63は音声、演出ランプ、階調ランプ及び可動体の駆動源等の各種制御を行い、主制御基板65は遊技の進行の各種制御を行う。これらの詳細な説明については後述する。
このように、タンクレール55の下方には、液晶モジュール56(後述するセンター役物装置)及び主制御基板ボックス66等が突出している。このため、球タンク39から落下した遊技球による損傷又は電気的な短絡が生じないよう後カバー67が設けられている。この後カバー67は、液晶モジュール56(センター役物装置)及び主制御基板ボックス66の上側を覆いかぶさる大きさの矩形状に形成されており、図示しないカバーヒンジ機構により開閉及び着脱可能に機構装着枠10に装着されている。なお、後カバー67は半透明の合成樹脂材により形成されており、後カバー67が閉状態であっても、例えば作業者が液晶モジュール56及びランプ駆動基板ボックス61等を目視できるようになっている。
主制御基板ボックス66は、その上側のみ後カバー67に覆われており、その上側以外は露出されている。主制御基板65は、その下側に検査用コネクタ68及びRAMクリアスイッチ69等が配置されており、検査用コネクタ68及びRAMクリアスイッチ69が主制御基板ボックス66から露出されている。このため、後カバー67が閉状態であっても、検査用コネクタ68に図示しない基板検査装置のコネクタを差し込むことができ、主制御基板65の検査を行うことができる。また、RAMクリアスイッチ69を操作して、主制御基板65から遊技に関する各種情報を消去(クリア)することができる。
遊技盤装着枠9の下方、前枠体8の後下側領域(以下、単に「下側領域」と記載する。)には、その左側に発射装置70が配置されている。この発射装置70は、発射モータ71及び発射ハンマー72等を備えて構成されている。発射モータ71は、発射ハンマー72を作動させて遊技球を図1に示した遊技領域12に向けて発射する。発射装置70の上方には電源基板73が収容された電源基板ボックス74が配置されている。電源基板73は、各種電圧(例えば、直流電源+34ボルト(V)、+18V、+9V)を作成して払出制御基板75等の各種制御基板に電力を供給している。
下側領域の中央には、払出制御基板75が収容された払出制御基板ボックス76が配置されている。払出制御基板75は、払出制御部77、発射制御部78、エラーLED表示器79、エラー解除スイッチ80、球抜きスイッチ81等を備えて構成されている。払出制御部77は払出装置40の払い出しに関する各種制御を行い、発射制御部78は発射装置70の発射に関する各種制御を行う。これらの各種制御についての詳細な説明については後述する。エラーLED表示器79及びエラーLED表示器80は、払出制御基板の下側に配置され、球抜きスイッチ81は払出制御基板の上側に配置されている。エラーLED表示器79は、球切れ、球がみ、賞球ストック(未払出分あり)、接続異常等の動作エラー状態を表示する。エラー解除スイッチ80を操作すると、図1に示した低音用スピーカ14及び中高音用スピーカ36から動作エラー状態に応じたエラー解除法を伝える音声案内が流れるようになっている。球抜きスイッチ81は、球タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球を排出開始するスイッチである。
下側領域の右側には、上述した球誘導カバー49が配置されており、インターフェース基板82が収容されたインターフェース基板ボックス83が装着されている。インターフェース基板82は、パチンコ機1に隣接して設置されているプリペイドカードユニット1aと払出制御基板75とを電気的に接続し、球貸に関する信号等を送受信する。
払出装置40の上方には、段差状を有して、上段に分電基板ボックス装着部84、下段に外部端子ボックス装着部85が機構装着枠10に設けられている。分電基板ボックス装着部84には分電基板86が収容された分電基板ボックス87が装着され、外部端子ボックス装着部85には外部端子板88が収容された外部端子板ボックス89が装着されている。
分電基板86は、電源スイッチ86a、電源基板コネクタ86b等を備えて構成されており、電源スイッチ86a及び電源基板コネクタ86bが分電基板ボックス87から露出されている。電源基板コネクタ86bは図示しない電源コードと電気的に接続されており、その電源コードのプラグが図示しないパチンコ島設備の電源コンセントに差し込まれている。このように、パチンコ島設備からの電力がパチンコ機1に供給されるようになっている。電源スイッチ86aを操作することでパチンコ機1の電源投入を行うことができるようになっている。具体的には、電源スイッチ86aを操作すると、パチンコ島設備からの電力が分電基板86を介して上述した電源基板73に供給され、この電源基板73が各種電圧を作成して払出制御基板75等の各種制御基板に電力を供給する。
外部端子板88は、複数の外部出力端子88aを備えて構成されており、外部出力端子88aが外部端子板ボックス89から露出されている。外部出力端子88aは、例えば、主制御基板65の遊技に関する各種情報(遊技情報)、払出制御基板75の払い出しに関する各種情報(払出情報)等を、ホールに設置された図示しないホールコンピュータに出力している。このホールコンピュータは、これらの遊技情報及び払出情報により遊技者の遊技を監視している。
なお、液晶制御基板ボックス59、ランプ駆動基板ボックス61、サブ統合基板ボックス64、主制御基板ボックス66、電源基板ボックス74、払出制御基板ボックス76、インターフェース基板ボックス83、分電基板ボックス87及び外部端子板ボックス89等の各種基板ボックスは、透明な合成樹脂材により形成されており、それらの各種基板ボックスに収容した、液晶制御基板58、ランプ駆動基板60、サブ統合基板63、主制御基板65、電源基板73、払出制御基板75、インターフェース基板82、分電基板86及び外部端子板88等の各種基板の基板管理番号や各種基板に設けられた各種電子部品の型式番号等が視認できるようになっている。
[2.パチンコ機及びパチンコ島設備の遊技球の循環]
次に、パチンコ機1及びパチンコ島設備の遊技球の循環について説明する。まず、払出装置40の構成について説明し、続いて各種球誘導通路、遊技球の切り出し動作、満タンスイッチの動作、そして各種球排出通路について説明する。図6は遊技球をパチンコ機内に誘導する各種球誘導通路を示す図であり、図7は遊技球の切り出し動作を示す図であり、図8は満タンスイッチの動作を示す図であり、図9は遊技球をパチンコ機外に排出する各種球排出通路を示す図である。
[2−1.払出装置]
球タンク39は、図6に示すように、図示しないパチンコ島設備から供給された遊技球を貯留する。この貯留された遊技球は、タンクレール55に沿って転動し、球整流部材90で上下に重ならないように整列されて払出装置40で取り込まれる。この払出装置40は、その内部に、球通路91、賞球及び貸球用球通路92、球抜き用球通路93が形成されており、取り込んだ遊技球を球通路91で貯留する。この球通路91の下流側には、払い出し経路の入り口である賞球及び貸球用球通路92又は球抜き経路の入り口である球抜き用球通路93のいずれかに遊技球を切り出す球切り出し部材94が装着された払出モータ41が配置されている。球切り出し部材94には、その円周上に3等分(つまり、120°ごと)にポケット95がそれぞれ設けられている。球切り出し部材94は、ポケット95に遊技球を収めることで払出モータ41の回転により遊技球の切り出しを行う。
払出モータ41の出力軸には、回転盤96が球切り出し部材94と一体となって装着されている。この回転盤96には、ポケット95と対応する位置にスリット97がそれぞれ設けられている。このスリット97は、払出装置40に収容された払出中継基板98の回転角スイッチ99で検出される。具体的には、払出モータ41の回転により球切り出し部材94が遊技球の切り出しを行っていると、回転盤96が回転角スイッチ99の光軸を遮断する。そして、払出モータ41の回転が続き、球切り出し部材94の回転位置が球通路91からの遊技球をポケット95に収める回転位置になると、その遮断されていた光軸が回転盤96のスリット97を通過することでその通過信号が検出信号として、回転角スイッチ99から払出中継基板98を介して図5に示した払出制御基板75に出力される。払出制御基板75は、この検出信号により払出モータ41、つまり球切り出し部材94の回転角度を確認している。なお、払出装置40の内部には、球通路91から球切り出し部材94に遊技球を案内するガイド100が左右にそれぞれ設けられている。また、賞球及び貸球用球通路92には、計数スイッチ101が設けられており、賞球及び貸球用球通路92を通過した遊技球を検出する。この検出信号は、払出中継基板98を介して払出制御基板75に出力される。払出制御基板75は、この検出信号により払出装置40が実際に払い出した遊技球の球数(球切り出し部材94が実際に切り出した遊技球の球数)を把握している。
[2−2.各種球誘導通路]
球切り出し部材94により賞球及び貸球用球通路92又は球抜き用球通路93のいずれかに切り出された遊技球は、上述した、本体枠3の機構装着枠10に設けられた球誘導構成部42に流下する。この球誘導構成部42は、上述したように、その内部に、上皿用球誘導通路43及び球抜き用球誘導通路44が形成されている。
賞球及び貸球用球通路92に切り出された遊技球は、上皿用球誘導通路43に沿って落下する。そして上皿用球貯留部45に落下して上皿28に誘導される。この上皿用球貯留部45には、仕切壁102が設けられており、遊技球を貯留することができるようになっている。上皿28及び上皿用球貯留部45が遊技球で満タンになると、賞球及び貸球用球通路92に切り出された遊技球は、上皿用球貯留部45の仕切壁102から溢れて、球誘導カバー49の内部に形成された下皿用球誘導通路50に落下する。そしてこの下皿用球誘導通路50に沿って転動し、下皿用球貯留部51に落下して下皿17に誘導される。
一方、球抜き用球誘導通路44に切り出された遊技球は、図3に示した球抜き用連絡球排出構成部材46の内部に形成された球抜き用連絡球排出通路47、そして同図に示した遊技盤装着枠9に設けられた球抜き用球排出通路48に沿って落下し、図示しないパチンコ島設備に排出される。
[2−3.遊技球の切り出し動作]
次に、遊技球の切り出し動作について説明する。払出装置40の払出モータ41が停止しているとき(停止時)には、図7(a)に示すように、球切り出し部材94のポケット95には球通路91からの遊技球が収まっていない状態となっている。賞球又は貸球時には、図7(b)に示すように、払出モータ41の出力軸が図中反時計回りに回転することで球切り出し部材94のポケット95に球通路91からの遊技球が収まり、その回転にともなって遊技球が賞球及び貸球用球通路92に切り出される(「払い出し動作」という)。この賞球及び貸球用球通路92に切り出された遊技球は、賞球及び貸球用球通路92に設けられた計数スイッチ101を通過し、球誘導構成部42の内部に形成された上皿用球誘導通路43に流下する。一方、球抜き時には、図7(c)に示すように、払出モータ41の出力軸が図中時計回りに回転することで球切り出し部材94のポケット95に球通路91からの遊技球が収まり、その回転にともなって遊技球が球抜き用球通路93に切り出される(「球抜き動作」という)。この球抜き用球通路93に切り出された遊技球は、球誘導構成部42の内部に形成された球抜き用球誘導通路44に流下する。
[2−4.満タンスイッチの動作]
次に、満タンスイッチの動作について説明する。賞球及び貸球用球通路92に切り出された遊技球は、上述したように、球誘導構成部42の内部に形成された上皿用球誘導通路43に沿って落下する。そして上皿用球貯留部45に落下して上皿28に誘導される。上皿28及び上皿用球貯留部45が遊技球で満タンになると、図8(a)に示すように、上皿用球誘導通路43に沿って落下してきた遊技球は、上皿用球貯留部45の仕切壁102から溢れて、球誘導カバー49の内部に形成された下皿用球誘導通路50に落下する。そしてこの下皿用球誘導通路50に沿って転動し、下皿用球貯留部51に落下して下皿17に誘導される。このように、上皿用球貯留部45の仕切壁102から溢れた遊技球は、下皿17及び下皿用球貯留部51で貯留されるようになっている。
下皿17及び下皿用球貯留部51に遊技球が貯留された状態で、図1に示した下皿用球排出ボタン17aを操作しないまま遊技を続けて上皿用球誘導通路43に沿って遊技球が落下してくると、この落下してきた遊技球は、下皿用球貯留部51に貯留された遊技球の上に重なり合って下皿用球誘導通路50に貯留される。この状態でさらに、上皿用球誘導通路43に沿って遊技球が落下してくると、上流側に向かって、つまり上皿用貯留部45に向かって遊技球が下皿用球誘導通路50に次々と貯留される。
球誘導カバー49の内部には、下皿用球誘導通路50の上流側に、図7に示した払出モータ41による切り出し動作を停止させるため球切り出し停止機構105が設けられている。この球切り出し停止機構105は、図8(a)に示すように、満タン作動部材106及び満タンスイッチ107を備えて構成されている。満タン作動部材106は、扇状の形状を有しており、その外周に、おもり108、被検出部109及びストッパ部110が設けられている。満タン作動部材106は、片持ちピン111が挿通されており、片持ちピン111を回転中心として回転するようになっている。満タン作動部材106は、おもり108が扇状の外周に設けられることによって、おもり108の自重により片持ちピン111を回転中心として図8(a)中反時計回りに回転するようになっている。そして、この回転は、満タン作動部材106のストッパ部110が球誘導カバー49の内壁に設けられた回転規制部112と干渉することによって停止する。この干渉した状態では、球誘導カバー49に設けられた開口部113が満タン作動部材106によって封鎖された状態となる。また、満タン作動部材106の被検出部109は、満タンスイッチ107の光軸を遮断した状態となっている。
上述したように、下皿17及び下皿用球貯留部51に遊技球が貯留された状態で、下皿用球排出ボタン17aを操作しないまま遊技を続けて上皿用球誘導通路43に沿って遊技球が落下してくると、この落下してきた遊技球は、下皿用球貯留部51に貯留された遊技球の上に重なり合って下皿用球誘導通路50に貯留される。この状態でさらに、上皿用球誘導通路43に沿って遊技球が転動してくると、上皿用貯留部45に向かって遊技球が下皿用球誘導通路50に次々と貯留される。このとき、図8(b)に示すように、貯留された遊技球は、その自重によって互いに押し合ってすき間に入り込む。この動きが球切り出し停止機構105付近でも行われる。そうすると、満タン作動部材106は、遊技球が入り込もうとする動きにより押されて片持ちピン111を回転中心として図8(b)中時計回りに回転する。そして、満タン作動部材106のおもり108が球誘導カバー49の内壁と干渉することによりその回転が停止する。この回転により満タン作動部材106の被検出部109は満タンスイッチ107の光軸を遮断した状態を解除することでその解除信号が検出信号として、満タンスイッチ107から図5に示した払出制御基板75に出力される。払出制御基板75は、この検出信号により図6に示した払出モータ41、つまり球切り出し部材94による遊技球の切り出しを停止する。
[2−5.各種球排出通路]
次に、各種球排出通路について説明する。図7(c)に示した球抜き時においては、球切り出し部材94により球誘導構成部42の内部に形成された球抜き用球誘導通路44に遊技球が切り出され、この切り出された遊技球は、図9に示すように、抜き球として球抜き用連絡球排出構成部材46の内部に形成された球抜き用連絡球排出通路47、そして球抜き用球排出通路48に沿って落下する。通常、球抜き時、例えばホールの店員等は、図2に示した、本体枠3を外枠2から開放した状態で行うため球抜き用球排出通路48に沿って落下した抜き球を図示しない受け箱(ドル箱)で受け、その後、ドル箱で受けた抜き球を図示しないパチンコ島設備に戻す。このように、抜き球がパチンコ島設備に排出される。
また、図3に示した、遊技盤4の遊技領域12に設けられた各種入賞口に入球した遊技球は、セーフ球としてセーフ用球排出通路52に沿って落下し、パチンコ島設備に排出される。一方、それらの各種入賞口に入球しなかった遊技球は、アウト球としてアウト球用球排出通路53に沿って落下し、パチンコ島設備に排出される。パチンコ島設備に排出された抜き球、セーフ球及びアウト球は、図3に示した球タンク39に再び供給されており、パチンコ機1及びパチンコ島設備では、遊技球が循環するようになっている。この循環する遊技球は、互いにこすれ合って帯電し、静電放電してノイズを発生する。
このように、払出制御基板ボックス76の裏面には、図9に示すように、球抜き用球排出通路48、セーフ球用球排出通路52、アウト球用球排出通路53及び球誘導カバー49の内部に形成された下皿用球誘導通路50が配置されており、払出制御基板ボックス71に収容されている払出制御基板75は、遊技球の静電放電によるノイズの影響を極めて受けやすい環境下にある。
なお、図9に示すように、球抜き用球排出通路48及び球誘導カバー49の内部に形成された下皿用球誘導通路50は近接して配置されている。このため、不正行為を行う遊技者は、例えばホールの開店前に、球抜き用球排出通路48と下皿用球誘導通路50とを連通する状態に改変し(具体的には、球抜き用球排出通路48と下皿用球誘導通路50とを貫通させ、球抜き用球排出通路48に遮蔽部材等を詰め込んで閉止し、球抜き用球排出通路48に沿って落下してくる遊技球を下皿用球誘導通路50に誘導する。)、ホールの開店後に、図5に示した球抜きスイッチ81を不正に操作し(例えば、ホールの開店前に球抜きスイッチ81を電気的に操作できる基板を、払出制御基板75とは別体に備え付けてホール開店後にリモコン操作によって球抜きスイッチ81を操作する場合、図2に示した、本体枠3と前面枠5とのすき間からハリガネや金属片等を挿入して球抜きスイッチ81を操作する場合。)、球抜き動作を開始させる。これにより、不正行為を行う遊技者は、球抜き用球排出通路48に沿って落下してくる遊技球を下皿用球誘導通路50に誘導することでホールの従業員等にあやしまれることなく不正に獲得することができる状態となる。
[3.払出制御基板ボックスの封印方法及び開封方法]
次に、図5に示した払出制御基板ボックス76の封印方法及び開封方法について説明する。まず、払出制御基板ボックス76の封印方法について説明し、続いて払出制御基板ボックス76の開封方法について説明する。図10は払出制御基板ボックスの封印方法及び開封方法を示す部分斜視図である。
[3−1.払出制御基板ボックスの封印方法]
払出制御基板ボックス76は、図10に示すように、カバー部材76a、ベース部材76bを備えて構成されており、ボックス形状を有している。カバー部材76a及びベース部材76bは透明な合成樹脂材により形成されており、その内部には上述した払出制御基板75が収容されている。
カバー部材76aの上辺左側にはカバー部材側封印部76cが設けられており、一方、ベース部材76bの上辺左側にはカバー部材側封印部76cと対応する位置にベース部材側封印部76dが設けられている。カバー部材側封印部76cには所定個数(本実施形態では、4つ。)のカバー部材側挿入孔76eが所定間隔を隔てて設けられており、ベース部材側封印部76dにはそれらカバー部材側挿入孔76eに対応する位置にベース部材側挿入孔76fが設けられている。
払出制御基板75は、ベース部材76bに図示しないねじでねじ止めされており、この状態のままベース部材76bにカバー部材76aを嵌め合わせる。そして、カバー部材側封印部76cのカバー部材側挿入孔76eに挿入されている封印ねじ76hを、ベース部材側封印部76dのベース部材側挿入孔76fに向かってねじ込む。これにより、カバー部材側封印部76cとベース部材側封印部76dとが相互に締結してカバー部材76aとベース部材76bとが密着し、払出制御基板ボックス76が封印される。封印後、ねじ込んだ封印ねじ76hのカバー部材側挿入孔76eには蓋部材76iが挿入される。
具体的に説明すると、カバー部材側封印部76cのカバー部材側挿入孔76eに図示しないかしめ部材が挿入されて回り止めされた状態で固定されている。このかしめ部材に封印ねじ76hがねじ込まれると、ベース部材側封印部76dのベース部材側挿入孔76fに突出している、かしめ部材の部位がその外径を大きくする方向に塑性変形して拡開し、ベース部材側挿入孔76fの内壁と干渉する。これにより、カバー部材76aとベース部材76bとを相互に締結することができる。
[3−2.払出制御基板ボックスの開封方法]
次に、払出制御基板ボックス76の開封方法について説明する。払出制御基板ボックス76は、上述したように、カバー部材側封印部76cのカバー部材側挿入孔76eからベース部材側封印部76dのベース部材側挿入孔76fに向かって封印ねじ76hがねじ込まれている。この封印ねじ76hが挿入されたカバー部材側挿入孔76eを切除することによって、カバー部材76aをベース部材76bから取り外すことができる。つまり、払出制御基板ボックス76を開封することができる。
カバー部材側封印部76cは、図10に示すように、三角形状を有する切除部76gが隆起状に設けられている。この切除部76gは、封印ねじ76hが挿入されている、カバー部材側挿入孔76eを切除する切断経路c1〜c3上にそれぞれ配置されている。例えば、図中番号1に封印ねじ76hがねじ込まれている場合には(図中番号1のカバー部材側挿入孔76eには蓋部材76iが挿入されている。)、切断経路c1に沿って、ニッパー、ナイフ等の切断工具を用いて切断すると(このとき、図中番号1の切除部76gが破壊される。)、封印ねじ76hがねじ込まれたままの状態で、切除ブロックb1をカバー部材側封印部76cから切除することができる。これにより、切除ブロックb1のみがベース部材76bに残された状態になり、カバー部材76aをベース部材76bから取り外すことができる。つまり、払出制御基板ボックス76を開封することができる。
開封後、払出制御基板ボックス76を封印する場合には、図中番号2のカバー部材側挿入孔76eに、挿入されている封印ねじ76hを、ベース部材側封印部76dのベース部材側挿入孔76fに向かってねじ込む。この封印された状態で、払出制御基板ボックス76を開封する場合には、切断経路c2に沿って、切断工具で切断し(このとき、図中番号2の切除部76gが破壊される。)、切除ブロックb2をカバー部材側封印部76cから切除する。開封後さらに、払出制御基板ボックス76を封印する場合には、図中番号3のカバー部材側挿入孔76eに、挿入されている封印ねじ76hを、ベース部材側封印部76dのベース部材側挿入孔76fに向かってねじ込む。この封印された状態で、払出制御基板ボックス76を開封する場合には、切断経路c3に沿って、切断工具で切断し(このとき、図中番号3の切除部76gが破壊される。)、切除ブロックb3をカバー部材側封印部76cから切除する。開封後さらにまた、払出制御基板ボックス76を封印する場合には、図中番号4のカバー部材側挿入孔76eに、挿入されている封印ねじ76hを、ベース部材側封印部76dのベース部材側挿入孔76fに向かってねじ込む。図中番号4のカバー部材側挿入孔76eに挿入されている封印ねじ76hは、払出制御基板ボックス76を最終的に封印する。このため、上述した切断経路c1〜c3のような切断経路が設けられていない。
このように、払出制御基板75は、封印された払出制御基板ボックス76に収容されているため、切除ブロックb1〜b3を切除して払出制御基板ボックス76を開封しない限り、払出制御基板75を直接触れることができない構造となっている。また、切除ブロックb1〜b3を切除するためには、切除部76gを破壊しなければならないため、例えばホールの店員等は、切除部76gを目視することで容易に払出制御基板ボックス76が開封されたか否かを確認することできる。したがって、例えば払出制御基板75が不正に改変されても、切除部76gを目視することによって、改変の有無を確認することができる。
[4.遊技盤の構成]
次に、上述した遊技盤4の構成について説明する。まず、遊技盤4の遊技領域12内に設けられた各種構成部材について説明し、続けて遊技盤4の各種構成部材について説明する。図11は遊技盤の正面図であり、図12は遊技盤の構成を示す斜視図である。なお、遊技領域12内に打ち込まれた遊技球が落下するとき、遊技球を弾いて遊技球の進行方向を複雑にする複数の障害釘は、図面の見やすさの関係上、図示を省略した。
[4−1.遊技領域内の各種構成部材]
遊技盤4の遊技領域12には、図11に示すように、センター役物装置120、入賞口ユニット121及び装飾ユニット122が設けられている。センター役物装置120は遊技領域12の中央上寄りに配置されている。これにより、センター役物装置120の上方及び右方及にはアウト口誘導通路120aが形成され、遊技領域12内に発射された遊技球がアウト口誘導通路120aに進入すると、アウト口誘導通路120aに沿って落下して後述するアウト口に誘導されるようになっている。センター役物装置120の下方には入賞口ユニット121が配置されている。装飾ユニット122はセンター役物装置120の左下方(入賞口ユニット121の左方)に配置されている。
[4−1−1.センター役物装置]
センター役物装置120は、その上側に点灯する演出ランプ123、右側に明るさが滑らかに変化して階調点灯する階調ランプ124が設けられている。そして下側に遊技球が左右に揺動するステージ125と、入賞口ユニット121に遊技球を誘導する、球誘導孔126及び球誘導路127とが設けられており、左側にステージ125に遊技球を誘導するワープ孔128と、遊技球が通過することができるゲート129とが設けられている。このゲート129に進入した遊技球はゲートスイッチ130により検出されて再び遊技領域12内に戻るようになっている。ゲート129の下方には、ワープ孔128が配置されている。このワープ孔128に進入した遊技球はステージ125に誘導されて揺動したり又は球誘導孔126に進入して球誘導路127を通過したりして、再び遊技領域12内に戻るようになっている。
センター役物装置120に進入した遊技球がセンター役物装置120からパチンコ機1の内部に進入しないようセンター役物装置120には隔壁板131が設けられている。上述した球誘導孔126は隔壁板131に設けられており、球誘導路127と連結されている。これにより、球誘導孔126に進入した遊技球は球誘導路127を通過して遊技領域12内に再び戻るようになっている。また、隔壁板131は、上述した液晶表示器57の表示領域132に遊技球が衝突するのを防いでいる。
なお、センター役物装置120の上側及び下側には可動体がそれぞれ配置されており、視認できない位置(原位置)で待機している。これらの可動体は、隔壁板131と表示領域132との間で可動するようになっており、所定の条件が成立したとき、原位置から表示領域132の前面側にそれぞれ出現して再び原位置に戻るようになっている。
[4−1−2.入賞口ユニット]
入賞口ユニット121は、上始動入賞口133、下始動入賞口134、大入賞口装置135を備えて構成されている。入賞口ユニット121の上側には上始動入賞口133が配置されており、この上始動入賞口133の下方には下始動入賞口134が配置されている。上始動入賞口133に入球した遊技球は上始動口スイッチ136により検出され、下始動入賞口134に入球した遊技球は下始動口スイッチ137により検出される。下始動入賞口134には開閉翼138が設けられており、開閉翼ソレノイド139に駆動信号が出力されると、開閉翼138が開くようになっている。一方、駆動信号が出力されないと、開閉翼138が閉じるようになっている。開閉翼138が開くと、下始動入賞口134に遊技球が入球しやすい開状態となる。一方、開閉翼138が閉じると、下始動入賞口134に遊技球が入球することができない閉状態となる。
ここで、その詳細な説明については後述するが、所定の条件が成立したとき、開閉翼ソレノイド139に駆動信号が出力されると、開閉翼138が開いて下始動入賞口134が閉状態から開状態となる。このとき、遊技球が下始動入賞口134に入球しやすくなる。一方、開閉翼ソレノイド139に駆動信号が出力されなくなると、開閉翼138が閉じて下始動入賞口134が開状態から閉状態となる。このとき、下始動入賞口134の左方又は右方から進入してくる遊技球は開閉翼138によりブロックされる。なお、下始動入賞口134の上方には上始動入賞口133が配置されている。このため、上方から進入してくる遊技球は上始動入賞口133によりブロックされている。下始動入賞口134が閉状態から開状態となると、その左方又は右方から進入してくる遊技球に加えて、上始動入賞口133に入球しなかった遊技球、つまり下始動入賞口134の上方から進入してくる遊技球は、下始動入賞口134に入球する機会を得ることができる。
下始動入賞口134の下方には大入賞口装置135が配置されている。この大入賞口装置135は、大入賞口140、開閉板141、開閉板ソレノイド142、カウントスイッチ143を備えて構成されている。大入賞口140は横長四角形状を有しており、開閉板ソレノイド142に駆動信号が出力されると、開閉板141が開くようになっている。一方、駆動信号が出力されないと、開閉板141が閉じるようになっている。開閉板141が開くと、大入賞口140に遊技球が入球しやすい開放状態となる。一方、開閉板141が閉じると、大入賞口140に遊技球が入球することができない閉鎖状態となる。
ここで、その詳細な説明については後述するが、所定の条件が成立したとき、開閉板ソレノイド142に駆動信号が出力されると、開閉板141が開いて大入賞口140が閉鎖状態から開放状態となる。このとき、遊技球が大入賞口140に入球しやすくなり、この入球した遊技球はカウントスイッチ143により検出される。一方、開閉板ソレノイド142に駆動信号が出力されなくなると、開閉板141が閉じて大入賞口140が開放状態から閉鎖状態となる。このとき、遊技球が大入賞口140に入球できなくなる。
なお、入賞口ユニット121には、大入賞口装置135の左側に左普通入賞口144、右側に右普通入賞口145が設けられている。左普通入賞口144に入球した遊技球は左入賞口スイッチ146により検出され、一方、右普通入賞口145に入球した遊技球は右入賞口スイッチ147により検出される。
[4−1−3.装飾ユニット]
装飾ユニット122は、上特別図柄表示器148、下特別図柄表示器149、上特別図柄記憶ランプ150、下特別図柄記憶ランプ151、普通図柄表示器152、普通図柄記憶ランプ153、遊技状態表示ランプ154、小当り表示ランプ155、ラウンド表示ランプ156、演出ランプ157を備えて構成されている。
装飾ユニット122の上側には上特別図柄表示器148が配置されている。この上特別図柄表示器148の下方に下特別図柄表示器149が配置されている。上特別図柄表示器148は、上始動入賞口133に遊技球が入球すると、所定の特別図柄を変動表示する。一方、下特別図柄表示器149は、下始動入賞口134に遊技球が入球すると、上特別図柄表示器148と同様に、所定の特別図柄を変動表示する。なお、上始動入賞口133及び下始動入賞口134に入球した遊技球は、特別図柄の変動表示で使用されないときには、入球した遊技球の球数を保留数として上特別図柄記憶ランプ150及び下特別図柄記憶ランプ151にそれぞれ表示する。
上特別図柄記憶ランプ150及び下特別図柄記憶ランプ151の下方には普通図柄表示器152が配置されており、この普通図柄表示器152の右方に普通図柄記憶ランプ153が配置されている。普通図柄表示器152は、ゲート129を遊技球が通過すると、所定の普通図柄を変動表示する。なお、ゲート129を通過した遊技球は、普通図柄の変動表示で使用されないときには、通過した遊技球の球数を保留数として普通図柄記憶ランプ153に表示する。
普通図柄表示器152の下方には遊技状態表示ランプ154が配置されており、この遊技状態表示ランプ154に左方には小当り表示ランプ155が配置され、この小当り表示ランプ155の左方にはラウンド表示ランプ156が配置されている。遊技状態表示ランプ154は遊技状態として確率変動が生じているときには赤色で点灯し、確率変動が生じていないときにはランプが消灯する。小当り表示ランプ155は遊技状態として小当りが生じたときに点灯する。ラウンド表示ランプ156は大入賞口140が閉鎖状態から開放状態となる回数(「ラウンド」という。)に応じた色で点灯する。例えば、2ラウンドのときには赤色で点灯し、15ラウンドのときには緑色で点灯する。
なお、装飾ユニット122の下側には、装飾ユニット側普通入賞口158,159が設けられており、これらの装飾ユニット側普通入賞口158,159に遊技球が入球すると、上述した左入賞口スイッチ146で検出される。装飾ユニット側普通入賞口158,159の下側には、点灯する演出ランプ157が設けられている。遊技領域12内に発射された遊技球が入賞口ユニット121及び装飾ユニット122に設けた各種入賞口のいずれにも入球しなかったときにはアウト口160で回収される。また、遊技領域12内に発射された遊技球が上述したアウト口誘導通路120aに進入すると、このアウト口誘導通路120aに沿って落下してそのままアウト口160に誘導されて回収される。
[4−2.遊技盤の各種構成部材]
次に、遊技盤4の各種構成部材について説明する。遊技盤4は、図12に示すように、前構成部材165、遊技盤本体166を備えて構成されている。前構成部材165は、ほぼ円形の開口167を有しており、この開口167内に遊技球を案内する上述した案内レール11が遊技盤本体166の前面側に装着されている。これにより、案内レール11の内側に遊技領域12が区画形成されている。また、前構成部材165の下側には上述したアウト口160が設けられている。遊技盤本体166は、適宜形状の貫通孔168を複数有しており、これらの貫通孔168を覆うように、センター役物装置120、入賞口ユニット121及び装飾ユニット122が装着されている。
遊技盤本体166の裏面下側には、セーフ球用球回収部材169が装着されている。このセーフ球用球回収部材169は、入賞口ユニット121及び装飾ユニット122の各種入賞口に入球した遊技球をセーフ球として回収する。セーフ球用球回収部材169を覆うように上述したボックス装着台62が装着されている。このボックス装着台62には、セーフ球用球誘導溝170が設けられており、このセーフ球用球誘導溝170に、セーフ球用球回収部材169で回収されたセーフ球が落下するようになっている。落下したセーフ球は、セーフ球用球誘導溝170に沿って転動し、図3(図9)に示したセーフ球用球排出通路52に誘導されて図示しないパチンコ島設備に排出されるようになっている。なお、ボックス装着台62には、上述したように、サブ統合基板63が収容されたサブ統合基板ボックス64が装着され、このサブ統合基板ボックス64の後部に重ね合わされた状態で、主制御基板65が収容された主制御基板ボックス66が装着されている。
また遊技盤本体166の裏面下側には、アウト球用球誘導溝171が設けられている。このアウト球用球誘導溝171は、アウト口160に対応する位置に設けられており、アウト口160で回収された遊技球が貫通孔168を介してアウト球用球誘導溝171に流入するようになっている。流入した遊技球は、アウト球としてアウト球用球誘導溝171に沿って落下し、図3(図9)に示したアウト球用球排出通路53に誘導されてパチンコ島設備に排出されるようになっている。
センター役物装置120は、前装飾体172、後装飾体173、上述した液晶モジュール56を備えて構成されている。前装飾体172は貫通孔168を覆うように遊技盤本体166の前面側に装着され、後装飾体173は遊技盤本体166の裏面に前装飾体172と対応して装着され、液晶モジュール56は後装飾体173の後側に取り付けられている。つまり液晶モジュール56は、センター役物装置120の最後部に取り付けられている。
前装飾体172は、上述した、演出ランプ123、階調ランプ124、ステージ125、ワープ孔128、ゲート129、隔壁板131等を備えている。一方、後装飾体173は、その上側に上あご可動体174、下側に下あご可動体175を備えており、上あご可動体174を可動する上あご可動装置176及び下あご可動体175を可動する下あご可動装置177も備えている。
[5.主基板及び周辺基板]
次に、パチンコ機1の各種制御を行う制御基板について説明する。図13は主基板及び周辺基板のブロック図である。パチンコ機1の制御構成は、図13に示すように、主基板180のグループ及び周辺基板181のグループから構成されており、これら2つのグループにより各種制御が分担されている。まず、主基板180のグループについて説明し、続けて周辺基板181のグループについて説明する。
[5−1.主基板のグループ]
主基板180のグループは、図13に示すように、上述した、主制御基板65及び払出制御基板75を備えて構成されている。
[5−1−1.主制御基板]
主制御基板65は、図13に示すように、マイクロプロセッサとしての主制御MPU65a、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート65b、図5に示した、検査用コネクタ68及びRAMクリアスイッチ69を備えて構成されている。主制御MPU65aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されており、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマと、不正を防止するための機能等も内蔵されている。
主制御MPU65aは、上述した、ゲートスイッチ130、左入賞口スイッチ146、右入賞口スイッチ147、上始動口スイッチ136、下始動口スイッチ137及びカウントスイッチ143からの検出信号が主制御I/Oポート65bを介して入力されており、これらの検出信号に基づいて、その詳細な説明については後述するが、上述した、開閉翼ソレノイド139、開閉板ソレノイド142、上特別図柄表示器148、下特別図柄表示器149、上特別図柄記憶ランプ150、下特別図柄記憶ランプ151、普通図柄表示器152、普通図柄記憶ランプ153、遊技状態表示ランプ154、小当り表示ランプ155及びラウンド表示ランプ156への駆動信号を、主制御I/Oポート65bを介して出力する。
また主制御MPU65aは、遊技に関する各種情報(遊技情報)を、主制御I/Oポート65bを介して上述した外部端子板88に出力する。この外部端子板88は、上述したように、図示しないホールに設置されたホールコンピュータと接続されている。このホールコンピュータは、パチンコ機1の遊技情報を把握することにより遊技者の遊技を監視している。更に主制御MPU65aは、払い出しに関する各種コマンドを、主制御I/Oポート65bを介して払出制御基板75に送信したり、この払出制御基板75からのパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを主制御I/Oポート65bを介して受信したりする。更にまた主制御MPU65aは、遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを、主制御I/Oポート65bを介して後述する周辺基板181のサブ統合基板63に送信したりする。なお、主制御MPU65aは、その詳細な説明は後述するが、払出制御基板75からパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを受信すると、これらの各種コマンドを整形してサブ統合基板63に送信する。
主制御基板65には図5に示した電源基板73から各種電圧(例えば、直流電源+34V、+18V、+9V)が供給されている。この電源基板73は、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板65に電力を供給するバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)を備えている。このキャパシタにより主制御MPU65aは、その詳細な説明は後述するが、電源遮断時にでも電源断時処理において各種の情報をその内蔵RAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した各種の情報は、電源投入時に主制御基板65のRAMクリアスイッチ69が操作されると、その内容が内蔵RAMから消去(クリア)されるようになっている。
また、主制御基板には、図示しない停電監視回路が設けられている。この停電監視回路は、電源基板73から供給される電圧の低下を監視しており、その電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号を出力するようになっている。この停電予告信号は、主制御I/Oポート65bを介して主制御MPU65aに入力される一方、図示しないハーネスを介して払出制御基板75等にも伝達されている。
[5−1−2.払出制御基板]
払出制御基板75は、図13に示すように、払い出しに関する各種制御を行う払出制御部77、図5に示した発射装置70(発射モータ71)の発射制御を行う発射制御部78、図5に示した、エラーLED表示器79、エラー解除スイッチ80及び球抜きスイッチ81を備えて構成されている。
[5−1−2(a).払出制御部]
払出制御部77は、図13に示すように、マイクロプロセッサとしての払出制御MPU77a、I/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート77、払出制御MPU77aが正常に動作しているか否かを監視する外部ウォッチドックタイマ77c(以下、「外部WDT77c」と記載する。)等を備えて構成されている。払出制御MPU77aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されており、不正を防止するため機能等も内蔵されている。
払出制御MPU77aは、その詳細な説明は後述するが、主制御基板65からの払い出しに関する各種コマンドを受信し、主制御基板65からのRAMクリアスイッチ69の操作信号(検出信号)が入力される他に、前面枠開放スイッチ3a及び本体枠開放スイッチ3bからの検出信号が入力され、満タンスイッチ107からの検出信号が入力され、回転角スイッチ99及び計数スイッチ101からの検出信号が払出中継基板98を介して入力されている。
また払出制御MPU77aは、その詳細な説明は後述するが、主制御基板65からの払い出しに関する各種コマンドを受信すると、その受信した払い出しに関する各種コマンドに基づいて払出モータ41への駆動信号を出力したり、球抜きスイッチ81が操作されると、この操作信号(検出信号)に基づいて図5に示した、球タンク39及びタンクレール55に貯留された遊技球を排出する(球抜きする)ために払出モータ41への駆動信号を出力したり、プリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号がインターフェース基板82を介して入力されると、この貸球要求信号に基づいて払出モータ41への駆動信号を出力したりする。更に払出制御MPU77aは、その詳細な説明は後述するが、パチンコ機1の状態をエラーLED表示器79に表示したり、その状態を示す各種コマンドを主制御基板65に送信したり、満タンスイッチ107からの検出信号が入力されると、この検出信号に基づいて払出モータ41への駆動信号の出力を停止したり、計数スイッチ101からの検出信号が入力されると、この検出信号に基づいて実際に払い出した遊技球の球数を上述した外部端子板88に出力したりする。この外部端子板88は、上述したように、図示しないホールに設置されたホールコンピュータと接続されている。このホールコンピュータは、パチンコ機1が払い出した遊技球の球数を把握している。
[5−1−2(b).発射制御部]
発射制御部78は、図13に示すように、定時間ごとにクロック信号を出力する発信回路78a、このクロック信号に基づいて発射モータ71の駆動制御を行う発射制御回路78b、発射モータ71に駆動パルスを出力する発射モータ駆動回路78cを備えて構成されている。発射制御回路78bは、発信回路78aからのクロック信号に基づいて、1分当たり約99.95個の遊技球が遊技領域12に向けて発射されるよう発射モータ71の回転速度を制御している。つまり、図5に示した発射ハンマー72の可動を制御している。
なお、図1に示した操作ハンドル18には、上述したように、タッチスイッチ18b、発射停止スイッチ18cが内蔵されており、操作ハンドル18の発射レバー18aに触れるとタッチスイッチ18bにより検出されるようになっており、図示しない発射停止ボタンを操作すると発射停止スイッチ18cにより検出されるようになっている。これらの検出信号は、発射制御回路78bに入力されている。また、プリペイドカードユニット1aがインターフェース基板82に電気的に接続されると、プリペイドカードユニット1aからの遊技球の発射許可信号がインターフェース基板82を介して発射制御回路78bに入力されるようになっている。
払出制御基板75には図5に示した電源基板73から各種電圧が主制御基板65と同様に供給されている。この電源基板73は、電源遮断時にでも所定時間、払出制御基板75に電力を供給するキャパシタを備えている。このキャパシタにより払出制御MPU77aは電源遮断時にでも払い出しに関する各種の払出情報をその内蔵RAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した払出情報は、電源投入時に主制御基板65のRAMクリアスイッチ69が操作されると、その内容が内蔵RAMから消去(クリア)されるようになっている。
[5−2.周辺基板のグループ]
周辺基板181は、図13に示すように、上述した、サブ統合基板63及び液晶制御基板58を備えて構成されている。
[5−2−1.サブ統合基板]
サブ統合基板63は、図13に示すように、マイクロプロセッサとしてのサブ統合MPU63a、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するサブ統合ROM63b、高音質の演奏を行う音源IC63c、この音源IC63cが参照する音楽及び効果音等の音情報が記憶されている音ROM63dを備えて構成されている。
サブ統合MPU63aは、パラレル入出力ポート及びシリアル入出力ポート等の各種入出力ポートを内蔵しており、主制御基板65から各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基づいて、サイド装飾装置27に点灯信号を出力したり、賞球ランプ38に点灯信号を出力したり、演出ランプ123,157に点灯信号を、階調ランプ124に階調点灯信号を、上あご可動装置176及び下あご可動装置177に駆動信号を、ランプ駆動基板60を介してそれぞれ出力したり、演出に関する演出コマンドを作成したりする。この演出コマンドは、音源IC63c及び液晶制御基板58に出力されている。なお、サブ統合MPU63aには、図12に示した、上あご可動体174及び下あご可動体175の原位置検出信号が上あご可動体装置176及び下あご可動体装置177からランプ駆動基板60を介してそれぞれ入力され、液晶制御基板58が正常動作している旨を伝える信号(動作信号)が液晶制御基板58から入力されている。
音源IC63cは、サブ統合MPU63aから出力された演出コマンドに基づいて、音ROM63dから音情報を読み込み、低音用スピーカ14及び中高音用スピーカ36から各種演出に合わせた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行う。
[5−2−2.液晶制御基板]
液晶制御基板58は、図13に示すように、マイクロプロセッサとしての液晶制御MPU58a、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶する液晶制御ROM58b、液晶表示器57を表示制御するVDP(Video Display Processorの略)58c、液晶表示器57に表示する各種画像を記憶する画像ROM58dを備えて構成されている。
液晶制御MPU58aは、サブ統合基板63から上述した演出コマンドを受信すると、この演出コマンドに基づいてVDP58cを制御する。このVDP58cは、画像ROM58dから画像を読み出して液晶表示器57の表示制御を行う。なお、液晶制御MPU58aは、上述したように、正常に動作していると、その旨を伝える動作信号をサブ統合基板63に出力する。
[6.払出制御基板の回路]
次に、図13に示した払出制御基板75の回路等について説明する。払出制御基板75は、図13に示したように、払出制御部77及び発射制御部78等を備えて構成されている。また払出制御基板75には、図5に示した電源基板73から各種電圧(例えば、直流電源+34V、+18V、+9V)が供給されている。まず、払出制御部77の回路について説明し、続いて発射制御部78の回路について説明する。図14は払出制御部の回路及びその周辺回路を示す回路図であり、図15は発射制御部の回路を示す回路図である。
[6−1.払出制御部の回路]
払出制御部77は、図13に示したように、払出制御MPU77a、払出制御I/Oポート77bを備えて構成されている。払出制御部77の周辺回路は、図14に示すように、払出制御基板75の基準電圧を作成するシリーズレギュレータIC1(本実施形態では、ローム製:BA50BC0WT)、リセットを出力するシステムリセットIC2(本実施形態では、ルネサス製:M51953)、クロック信号を出力する水晶発振器X1(本実施形態では、エプソントヨコム製:SG−531P、8メガヘルツ(MHz))を備えて構成されている。
[6−1−1.シリーズレギュレータIC]
シリーズレギュレータIC1は、図14に示すように、電源入力端子であるVCC端子に+9Vが入力されている。この+9Vは、電源基板73により供給されており、払出制御基板75に入力されると、まずグランド(GND)と接地された電解コンデンサC1により、リップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化される。さらに、グランドと接地されたコンデンサC2により、電源基板73と払出制御基板75との基板間に発生したノイズが除去される。また、この平滑化された+9Vは、VCC端子の他に、シリーズレギュレータIC1のコントロール端子であるCTL端子にも入力されている。シリーズレギュレータIC1は、そのCTL端子に+9Vが入力されることにより、VCC端子に入力された+9Vから+5Vを作成して出力端子であるOUT端子から出力する。OUT端子とVCC端子との端子間にはダイオードD1(本実施形態では、1SS133)が設けられており、ダイオードD1のアノードとOUT端子とが電気的に接続され、ダイオードD1のカソードとVCC端子とが電気的に接続されている。VCC端子とOUT端子との端子間が逆バイアスになったときにはダイオードD1を介してVCC端子側に入力されるようになっており、逆バイアスによるシリーズレギュレータIC1の破壊を防止している。
OUT端子から出力される+5Vは、グランドと接地された電解コンデンサC3によりリップルが除去されて平滑化されている。この平滑化された+5Vは、システムリセットIC2、水晶発振器X1、払出制御MPU77a、払出制御I/Oポート77b等、にそれぞれ入力されている。
[6−1−2.システムリセットIC]
OUT端子から出力されて平滑化された+5Vは、図14に示すように、システムリセットIC2の電源端子に入力されている。システムリセットIC2は、払出制御MPU77a及び払出制御I/Oポート77bにリセットをかけるものであり、遅延回路が内蔵されている。システムリセットIC2の遅延容量端子には、グランドと接地されたコンデンサC4が電気的に接続されており、このコンデンサC4の容量によって遅延回路による遅延時間を設定することができるようになっている。具体的には、システムリセットIC2は、電源端子に入力された+5Vがしきい値(例えば、4.25V)に達すると、遅延時間経過後に出力端子からシステムリセット信号を出力する。
システムリセットIC2の出力端子は、払出制御MPU77aのリセット端子であるRST端子及び払出制御I/Oポートのリセット端子であるRST端子と電気的に接続されている。出力端子はオープンコレクタ出力タイプであり、プルアップ抵抗R1により+5Vに引き上げられている。この+5Vに引き上げられた電圧は、グランドと接地されたコンデンサC5によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサC5は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。出力端子は、電源端子に入力される電圧がしきい値より大きいときにはプルアップ抵抗R1により+5Vに引き上げられて論理がHIとなって払出制御MPU77aのRST端子及び払出制御I/Oポート77bのRST端子に入力され、一方、電源端子に入力される電圧がしきい値より小さいときには論理がLOWとなって払出制御MPU77aのRST端子及び払出制御I/OポートのRST端子に入力される。払出制御MPU77aのRST端子及び払出制御I/Oポート77bのRST端子は負論理入力であるため、電源端子に入力される電圧がしきい値より小さい状態になると、払出制御MPU77a及び払出制御I/Oポート77bにリセットがかかる。なお、電源端子はグランドと接地されたコンデンサC6と電気的に接続されており、電源端子に入力される+5Vはリップルが除去されて平滑化されている。また、システムリセットIC2の接地端子はグラントと接地されている。
[6−1−3.水晶発振器]
シリーズレギュレータIC1のOUT端子から出力されて平滑化された+5Vは、図14に示すように、水晶発振器X1の電源端子であるVCC端子に入力されている。このVCC端子は、グランドと接地されたコンデンサC7と電気的に接続されており、VCC端子に入力される+5Vはさらにリップルが除去されて平滑化されている。また、この平滑化された+5Vは、VCC端子の他に、シリーズレギュレータIC1の出力許可(Output Enable)端子であるOE端子にも入力されている。水晶発振器X1は、そのOE端子に+5Vが入力されることにより、8MHzのクロック信号を出力端子であるOUT端子から出力する。
水晶発振器X1のOUT端子は、払出制御MPU77aのクロック端子であるMCLK端子及び払出制御I/Oポートのクロック端子であるCLK端子と電気的に接続されており、8MHzのクロック信号が払出制御MPU77a及び払出制御I/Oポート77bに入力されている。
[6−1−4.払出制御基板で作成される電源]
シリーズレギュレータIC1のOUT端子から出力されて平滑化された+5Vは、図14に示すように、払出制御MPU77aの電源端子であるVDD及び払出制御I/Oポート77bの電源端子であるVCCに入力されている。払出制御MPU77aのVDD端子はグランドと接地されたコンデンサC8と電気的に接続され、払出制御I/Oポート77bのVCC端子はグランドと接地されたコンデンサC9と電気的に接続されており、VDD端子及びVCC端子に入力される+5Vはさらにリップルが除去されて平滑化されている。払出制御MPU77aの接地端子であるVSS端子はグランドと接地され、払出制御I/Oポート77bの接地端子であるGND端子はグランドと接地されている。
[6−1−5.払出制御部における各種入出力信号]
エラー解除スイッチ80(本実施形態では、アルプス電気製:SKHHDGA010)の操作、球抜きスイッチ81(本実施形態では、アルプス電気製:SKHHDAA010)の操作は、検出信号として払出制御I/Oポート77bに入力されている。
ここで、例えば、パチンコ機1をホールに設置して移設するときや球タンク39及びタンクレール55に溜まったゴミ(例えば、遊技球のメッキがはがれた粉等)を取り除くときには、上述したように、球抜きスイッチ81を操作して、球タンク39、タンクレール55等に貯留された遊技球をパチンコ機1の外部に排出する。
[6−1−5(a).エラー解除スイッチからの検出信号]
エラー解除スイッチ80の出力ピンとしての1番ピンは、図14に示すように、払出制御I/Oポート77bの入力ポートPDの1番ピンである入力ピンPD1と電気的に接続されている。入力ピンPD1は負論理入力とするため、エラー解除スイッチ80の1番ピンと払出制御I/Oポート77bの入力ピンPD1との端子間の電圧はプルアップ抵抗R2により+5Vに引き上げられている。この+5Vに引き上げられた電圧は、グランドと接地されたコンデンサC10によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサC10は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。エラー解除スイッチ80が操作されないときにはプルアップ抵抗R2により+5Vに引き上げられて論理がHIとなって払出制御I/Oポート77bの入力ピンPD1に入力され、一方、エラー解除スイッチ80が操作されたときには論理がLOWとなって払出制御I/Oポート77bの入力ピンPD1に入力される。
[6−1−5(b).球抜きスイッチからの検出信号]
球抜きスイッチ81の出力ピンとしての1番ピンは、図14に示すように、後述する本体枠開放スイッチ3bを介して払出制御I/Oポート77bの入力ポートPDの5番ピンである入力ピンPD5と電気的に接続されている。入力ピンPD5は負論理入力とするため、球抜きスイッチ81の1番ピン、本体枠開放スイッチ3b、そして払出制御I/Oポート77bの入力ピンPD5へのライン間の電圧はプルアップ抵抗R3により+5Vに引き上げられている。この+5Vに引き上げられた電圧は、グランドと接地されたコンデンサC11によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサC11は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。球抜きスイッチ81が操作されないときにはプルアップ抵抗R3により+5Vに引き上げられて論理がHIとなって払出制御I/Oポート77bの入力ピンPD5に入力され、一方、球抜きスイッチ81が操作されたときには論理がLOWとなって払出制御I/Oポート77bの入力ピンPD5に入力される。
[6−1−5(c).前面枠開放スイッチからの検出信号]
前面枠開放スイッチ3aは、常閉形(ノーマルクローズ(NC))を用いており、図2に示した、前面枠5が本体枠3から開放された状態でスイッチがON(導通)し、前面枠5が本体枠3に閉鎖された状態でスイッチがOFF(切断)するようになっている。前面枠開放スイッチ3aの端子は、図14に示すように、その一方がコネクタCNを介して払出制御基板75に設けたプルアップ抵抗R4により+5Vに引き上げられており、その他方がコネクタCNを介して払出制御I/Oポート77bの入力ポートPDの2番ピンである入力ピンPD2と電気的に接続されている。入力ピンPD2に入力される+5Vは、グランドと接地されたコンデンサC12によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサC12は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。これにより、前面枠開放スイッチ3aがONすると、つまり前面枠5が本体枠3から開放された状態となると、前面枠開放スイッチ3aからの+5Vにより論理がHIとなって払出制御I/Oポート77bの入力ピンPD2に入力され、一方、前面枠開放スイッチ3aがOFFすると、つまり前面枠5が本体枠3に閉鎖された状態となると、論理がLOWとなって払出制御I/Oポート77bの入力ピンPD2に入力される。
[6−1−5(d).本体枠開放スイッチからの検出信号]
本体枠開放スイッチ3bは、前面枠開放スイッチ3aと同様に、常閉形(ノーマルクローズ(NC))を用いており、図2に示した、本体枠3が外枠2から開放された状態でスイッチがON(導通)し、本体枠3が外枠2に閉鎖された状態でスイッチがOFF(切断)するようになっている。本体枠開放スイッチ3bの端子は、図14に示すように、その一方がコネクタCNを介して球抜きスイッチ81の出力ピンとしての1番ピンと電気的に接続されており、その他方がコネクタCNを介して払出制御I/Oポート77bの入力ポートPDの5番ピンである入力ピンPD5と電気的に接続されている。これにより、本体枠開放スイッチ3bがONすると、つまり本体枠3が外枠2から開放された状態となると、このとき初めて球抜きスイッチ81の操作が有効となり、上述したように、球抜きスイッチ81が操作されると、論理がLOWとなって払出制御I/Oポート77bの入力ピンPD5に入力される。
一方、本体枠開放スイッチ3bがOFFすると、つまり本体枠3が外枠2に閉鎖された状態となると、球抜きスイッチ81の操作が無効となり、球抜きスイッチ81をいくら操作しても、その信号が球抜きスイッチ81で切断され、払出制御I/Oポート77bの入力ピンPD5に入力されなくなる。このように、例えば、球抜きスイッチ81をリモコン操作でON/OFFできるような回路等をパチンコ機1の裏面に不正に取り付けても、本体枠3が外枠2に閉鎖されている状態では、球抜きスイッチ81の操作が本体枠開放スイッチ3bにより常に無効化される。
なお、払出制御I/Oポート77bのデータ入出力端子D0〜D7と、払出制御MPU77aのデータ入出力端子D0〜D7と、はデータバスを介して各種情報や各種信号のやり取りを行う。払出制御I/Oポート77bの入力ポートPD及び入力ポートPEの各入力ピンには、例えば回転角スイッチ101等からの検出信号や主制御基板65からの停電予告信号が入力されており、払出制御MPU77aは、これらの信号をデータバスを介して読み込む。一方、払出MPU77aは、例えば払出モータ41等の駆動信号をデータバスを介して払出制御I/Oポート77bに出力し、払出制御I/Oポート77bは所定の出力ポートの出力ピンから(出力ポートPA、出力ポートPB及び出力ポートPCの出力ピン)払出モータ41等に駆動信号を出力する。これらの他に払出制御MPU77aは、図示しないが、主制御基板65と各種コマンドのやり取りを払出制御I/Oポート77bを介して行う。
[6−2.発射制御部の回路]
発射制御部78は、図13に示したように、発振回路78a、発射制御回路78b、発射モータ駆動回路78cを備えて構成されている。
[6−2−1.発振回路]
発振回路78aは、図15に示すように、水晶振動子X2(本実施形態では、リバーエレテック製:HC−49/U03、4MHz)、この水晶振動子X2の負荷容量を設定するコンデンサC14,C15、帰還抵抗R4を備えて構成されている。水晶振動子X2の両端子は発射制御回路78bに電気的に接続されており、水晶振動子X2と発射制御回路78bとは閉ループの回路となっている。この閉ループの回路には、水晶振動子X2と並列に帰還抵抗R4が電気的に接続されている。水晶振動子X2の両端子には、グランドと接地されたコンデンサC14,C15がそれぞれ電気的に接続されている。帰還抵抗R4の値及びコンデンサC14,C15の負荷容量は、水晶振動子X2が安定して発振するように設定されている。これにより、発振回路78aは、ゆらぎが抑えられたクロック信号を発射制御回路78bに供給することができる。
[6−2−2.発射制御回路]
発射制御回路78bは、図15に示すように、発振回路78aからのクロック信号がクロック入出端子XT1,XT2に入力されており、この入力されたクロック信号に基づいて発射モータ71の回転速度を決定する基準パルスを出力端子AA,BBから発射モータ駆動回路78cに出力する。なお、電源端子であるVCC端子は+5Vが入力されており、グランドと接地されたコンデンサC16と電気的に接続されている。これにより、VCC端子に入力される+5Vはリップルが除去されて平滑化されている。
[6−2−3.発射制御回路における各種入出力信号]
操作ハンドル18には、図1に示したように、発射レバー18a、図示しない発射停止ボタンが設けられている。また操作ハンドル18には、図1に示したように、タッチスイッチ18b、発射停止スイッチ18cが内蔵されている。操作ハンドル18の発射レバー18aに触れるとタッチスイッチ18bにより検出され、図示しない発射停止ボタンを操作すると発射停止スイッチ18cにより検出されるようになっている。これらの検出信号は、上述したように、発射制御回路78bに入力されている。この発射制御回路78bには、図13に示した、プリペイドカードユニット1aがインターフェース基板82と電気的に接続されると、プリペイドカードユニット1aからの発射許可信号も入力されている。
[6−2−3(a).プリペイドカードユニットからの発射許可信号]
インターフェース基板82と払出制御基板75との基板間は図示しないハーネスにより電気的に接続されている。このハーネスでは、ノイズの影響を受けにくくするために、図15に示すように、発射許可信号を伝えるライン(伝送線)がプルアップ抵抗R7により+18Vに引き上げられている。
発射許可信号が発射制御回路78bに入力されると、抵抗R8を介してトランジスタTR1(本実施形態では、2SC1815)のベースに入力されている。この抵抗R8とトランジスタTR1のベースとの間には、グランドと接地された抵抗R9が電気的に接続されている。抵抗R8及び抵抗R9の値は、発射許可信号が入力されていないとき、つまりプリペイドカードユニット1aがインターフェース基板82と電気的に接続されていないときには、トランジスタTR1がONする状態となるようにそれぞれ設定されている。
トランジスタTR1のコレクタは、発射制御回路78bの入力端子EN1と電気的に接続されている。入力端子EN1は負論理入力とするため、トランジスタTR3のコレクタと発射制御回路78bの入力端子EN1との端子間の電圧はプルアップ抵抗R10により+5Vに引き上げられている。
トランジスタTR1がONする状態、つまりプリペイドカードユニット1aがインターフェース基板82に電気的に接続されていないときには、トランジスタTR1のコレクタからトランジスタTR1のエミッタに電流が流れるため論理がLOWとなった発射許可検出信号が発射制御回路78bの入力端子EN1に入力される。一方、トランジスタTR1がOFFする状態、つまりプリペイドカードユニット1aがインターフェース基板82に電気的に接続されているときには、トランジスタTR1のコレクタからトランジスタTR1のエミッタに電流が流れるためプルアップ抵抗R10により+5Vに引き上げられて論理がHIとなった発射許可検出信号が発射制御回路78bの入力端子EN1に入力される。
[6−2−3(b).タッチスイッチからの検出信号]
タッチスイッチ18bは+18Vが供給されている。この+18Vは、図15に示すように、タッチスイッチ18b、そして抵抗R11を介してトランジスタTR2(本実施形態では、2SC1815)のベースに入力されている。この抵抗R11とトランジスタTR2のベースとの間には、グランドと接地された抵抗R12が電気的に接続されている。抵抗R11及び抵抗R12の値は、タッチスイッチ18bが検出信号を出力するとき、つまり、操作ハンドル18の発射レバー18aに触れていないときには、トランジスタTR1がONする状態となるようそれぞれ設定されている。トランジスタTR2のベースに入力される電圧は、グランドと接地されたコンデンサC17によりノイズが除去されて平滑化されている。
トランジスタTR2のコレクタは、発射制御回路78bの入力端子EN3と電気的に接続されている。この発射制御回路78bの入力端子EN3は負論理入力とするため、トランジスタTR2のコレクタと発射制御回路78bの入力端子EN3との端子間の電圧はプルアップ抵抗R13により+5Vに引き上げられている。
トランジスタTR2がONする状態、つまり操作ハンドル18の発射レバー18aに触れていないときには、トランジスタTR1のコレクタからトランジスタTR1のエミッタに電流が流れるため論理がLOWとなったタッチ検出信号が発射制御回路78bの入力端子EN3に入力される。一方、トランジスタTR1がOFFする状態、つまり操作ハンドル18の発射レバー18aに触れているときには、トランジスタTR2のコレクタからトランジスタTR1のエミッタに電流が流れないためプルアップ抵抗R13により+5Vに引き上げられて論理がHIとなったタッチ検出信号が発射制御回路78bの入力端子EN3に入力される。
[6−2−3(c).発射停止スイッチからの検出信号]
発射停止スイッチ18cは+18Vが供給されている。この+18Vは、図15に示すように、発射停止スイッチ18c、そして抵抗R14を介してトランジスタTR3(本実施形態では、2SC1815)のベースに入力されている。この抵抗R14とトランジスタTR3のベースとの間には、グランドと接地された抵抗R15が電気的に接続されている。抵抗R14及び抵抗R15の値は、発射停止スイッチ18cが検出信号を出力するとき、つまり、図示しない発射停止ボタンを操作しているときには、トランジスタTR2がONする状態となるようそれぞれ設定されている。トランジスタTR3のベースに入力される電圧は、グランドと接地されたコンデンサC18によりノイズが除去されて平滑化されている。
トランジスタTR3のコレクタは、発射制御回路78bの入力端子EN4と電気的に接続されている。この発射制御回路78bの入力端子EN4は負論理入力とするため、トランジスタTR3のコレクタと発射制御回路78bの入力端子EN4との端子間の電圧はプルアップ抵抗R16により+5Vに引き上げられている。
トランジスタTR3がONする状態、つまり発射停止ボタンが操作されているときには、トランジスタTR3のコレクタからトランジスタTR2のエミッタに電流が流れるため論理がLOWとなった発射停止検出信号が発射制御回路78bの入力端子EN4に入力される。一方、トランジスタTR3がOFFする状態、つまり発射停止ボタンが操作されていないときには、トランジスタTR3のコレクタからトランジスタTR2のエミッタに電流が流れないためプルアップ抵抗R16により+5Vに引き上げられて論理がHIとなった発射停止検出信号が発射制御回路78bの入力端子EN4に入力される。
[6−2−3(d).発射モータ駆動回路へのスタート信号]
発射制御回路78bは、入力端子E1,E3,E4にそれぞれ入力された発射許可検出信号、タッチ検出信号、発射停止検出信号の論理積(AND)をとり、この演算結果をスタート端子であるST端子から発射モータ駆動回路78cに出力する。このST端子は、出力端子AA,BBから出力する基準パルスを許可している旨又は禁止している旨を発射モータ駆動回路78cに伝えるものである。具体的には、発射許可検出信号、タッチ検出信号、発射停止検出信号の論理がすべてHIである場合(プリペイドカードユニット1aがインターフェース基板82と電気的に接続され、操作ハンドル18の発射レバー18aに触れ、発射停止ボタンを操作していない場合)には、ST端子から論理がHIとなったスタート信号が出力され、出力端子AA,BBから許可した基準パルスが出力されている旨を発射モータ駆動回路78cに伝える一方、発射許可検出信号、タッチ検出信号、発射停止検出信号のうち少なくとも1つに論理がLOWである場合(例えば、プリペイドカードユニット1aがインターフェース基板82と電気的に接続され、操作ハンドル18の発射レバー18aに触れ、発射停止ボタンを操作している場合)には、ST端子から論理がLOWとなったスタート信号が出力され、出力端子AA,BBから禁止した基準パルスが出力されている旨を発射モータ駆動回路78cに伝える。
[6−2−4.発射モータ駆動回路]
発射モータ駆動回路78cは、図15に示すように、発射制御回路78bの出力端子AA,BBから出力された基準パルスが入力され、発射制御回路78bのST端子から出力されたスタート信号が入力されている。具体的には、発射制御回路78bの出力端子AAから出力された基準パルスは発射モータ駆動回路78cのA相入力端子であるINA端子に入力され、発射制御回路78bの出力端子BBから出力された基準パルスは発射モータ駆動回路78cのB相入力端子であるINB端子に入力され、発射制御回路78bのST端子から出力されたスタート信号は発射モータ駆動回路78cのスタート端子であるST端子に入力されている。
発射モータ駆動回路78cは、ST端子に論理がHIであるスタート信号が入力されると、INA端子に入力された基準パルスに基づいてA相出力端子であるA端子から発射モータ71のA相に駆動パルスを出力する一方、A端子から出力される駆動パルスの論理を反転した駆動パルスをA相反転出力端子であるAX端子から発射モータ71の/A相に出力し、INB端子に入力された基準パルスに基づいてB相出力端子であるB端子から発射モータ71のB相に駆動パルスを出力する一方、B端子から出力される駆動パルスの論理を反転した駆動パルスをB相反転出力端子であるBX端子から発射モータ71の/B相に出力する。
なお、発射モータ駆動回路78cの電源端子であるVCC1は+5Vが入力されており、発射モータ駆動回路78cのA相電源電圧端子であるVCC2A端子及びB相電源電圧端子であるVCC2B端子は発射モータ71の駆動用電圧である+34Vが入力されている。これらのVCC2A端子及びVCC2B端子は、グランドと接地された電解コンデンサC19と電気的に接続されており、発射モータ71の駆動による一時的な電圧低下を抑えることで駆動トルクを一定に保持している。また、VCC2A端子及びVCC2B端子は、グランドと接地されたコンデンサC20と電気的に接続されている。
[7.主制御基板の各種制御処理]
次に、パチンコ機1の遊技の進行に応じて主制御基板65が行う各種制御処理について説明する。まず、遊技制御に用いられる各種乱数について説明し、主制御側電源投入時処理、続いて主制御側タイマ割り込み処理について説明する。図16は主制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図17は図16の主制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図18は主制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
[7−1.各種乱数]
遊技制御に用いられる各種乱数として、大当り遊技状態を発生させるか否かの決定に用いられる大当り判定用乱数と、この大当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる大当り判定用初期値決定用乱数と、大当り遊技状態を発生させないときにリーチを発生させるか否かの決定に用いられるリーチ判定用乱数と、図11に示した、上特別図柄表示器148及び下特別図柄表示器149に表示する変動表示パターンの決定に用いられる変動表示パターン用乱数と、大当り遊技状態を発生させるときに上特別図柄表示器148及び下特別図柄表示器149に表示する特別図柄の組み合わせを決定するのに用いられる大当り図柄用乱数と、この大当り図柄用乱数の初期値の決定に用いられる大当り図柄用初期値決定用乱数等が用意されている。またこれらの乱数に加えて、図11に示した下始動入賞口134の開閉翼138を開閉動作させるか否かの決定に用いられる普通図柄当り判定用乱数と、この普通図柄当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる普通図柄当り判定用初期値決定用乱数と、図11に示した普通図柄表示器152に表示する変動表示パターンの決定に用いられる普通図柄変動表示パターン用乱数等が用意されている。
[7−2.主制御側電源投入時処理]
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御基板65の主制御MPU65aは、図16及び図17に示すように、主制御側電源投入時処理を行う。この主制御側電源投入時処理が開始されると、主制御MPU65aは、割り込みモードの設定を行う(ステップS10)。この割り込みモードは、主制御MPU65aの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述する主制御側タイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、この主制御側タイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理が行われる。ステップS10に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS12)。このI/Oの入出力設定では、主制御MPU65aのI/Oポートの入出設定等を行う。ステップS12に続いて、主制御MPU65aに内蔵されたウォッチドックタイマを有効に設定する(ステップS14)。このウォッチドックタイマは、主制御MPU65aの動作(システム)を監視するためのものであり、一定期間にクリア設定されないときには主制御MPU65a及び図13に示した主制御I/Oポート65bにリセットがかかる(主制御MPU65aのシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS14に続いて、ウェイトタイマ処理1を行う(ステップS16)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧以下となると停電予告として図示しない停電監視回路からの停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では電圧が停電予告電圧以下となると停電監視回路からの停電予告信号が入力される。そこで、ウェイトタイマ処理1では、電源投入後、電圧が停電予告電圧より高くなるまで待っている。本実施形態では、この待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS16に続いて、図13に示したRAMクリアスイッチ69が操作されているか否かを判定する(ステップS18)。この判定は、主制御基板65のRAMクリアスイッチ69が操作され、その操作信号(検出信号)が主制御MPU65aに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ69が操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ69が操作されていないと判定する。
ステップS18でRAMクリアスイッチ69が操作されているときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットし(ステップS20)、一方、ステップS18でRAMクリアスイッチ69が操作されていないときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットする(ステップS22)。このRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU65aに内蔵されたRAM(以下、「主内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、確率変動、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。なお、ステップS20及びステップS22でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU65aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS20又はステップS22に続いて、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS24)。このウェイトタイマ処理2では、図13に示した、液晶制御基板58による液晶表示器57の表示制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。例えば、図13に示した液晶制御ROM58bから圧縮された各種の制御プログラムを読み出して、同図に示した液晶制御MPU58aに内蔵されたRAMに展開して記憶する。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。ステップS24に続いて、主内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS26)。この設定により主内蔵RAMへのアクセスができ、例えば遊技情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。ステップS26に続いて、スタックポインタの設定を行う(ステップS28)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS28では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS28に続いて、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS30)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。ステップS30でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS32)。このチェックサムは、主内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。ステップS32に続いて、算出したチェックサムの値が後述する主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS34)。一致しているときには、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS36)。このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値及びバックアップフラグBK−FLGの値等のバックアップ情報を後述する主制御側電源断時処理において主内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、主制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、主制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定されている。
ステップS36でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として主内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS38)。この設定は、バックアップフラグBK−FLGを値0にセットするほか、主制御MPU65aに内蔵されたROM(以下、「主内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を主内蔵RAMの作業領域にセットする。ここで「復電時」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態に加えて、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。ステップS38に続けて、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS40)。この電源投入時コマンド作成処理では、バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを主内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。なお、各種コマンド等についての説明は後述する。
一方、ステップS30でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり遊技情報を消去するときには、又はステップS34でチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS36でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主内蔵RAMの全領域をクリアし(ステップS42)、初期設定として主内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS44)。この設定は、主内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を主内蔵RAMの作業領域にセットする。ステップS44に続けて、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS46)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、主内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を、図13に示したサブ統合基板63に報知するためのRAMクリア報知コマンドと、サブ統合基板63の各種検査を行うためのテストコマンドと、を作成し、送信情報として主内蔵RAMの送信情報記憶領域に記憶する。なお、サブ統合基板63がRAMクリア報知コマンドを受信すると、このRAMクリア報知コマンドを液晶制御基板58に送信し、一方テストコマンドを受信すると、図13に示した、音源IC63c、液晶制御基板58及びランプ駆動基板60の各種検査を行うためのテストコマンドを送信する。
ステップS40又はステップS46に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS48)。この設定は、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。ステップS48に続いて、割り込み許可設定を行う。(ステップS50)。この設定によりステップS48で設定した割り込み周期、つまり4msごとに主制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS50に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS52)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。ステップS52に続けて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS54)。上述したように、パチンコ機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると停電予告として図示しない停電監視回路からの停電予告信号が入力される。ステップS54の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。ステップS54で停電予告信号の入力がないときには非当落乱数更新処理を行う(ステップS56)。
この非当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用初期値決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数及び大当り図柄用初期値決定用乱数等を更新する。例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、大当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲を、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ増える(カウントアップする)。このカウンタは、非当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数が設定(更新)されると、この大当り判定用初期値決定用乱数から上限値までカウントアップし、続けて下限値から大当り判定用初期値決定用乱数までカウントアップする。そして再び非当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数が更新される。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(大当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数及び普通図柄変動表示パターン用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS56に続けて、再びステップS52に戻り、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS54で停電予告信号があるか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS56で非当落乱数更新処理を行い、ステップS52〜ステップS56を繰り返し行う。なお、このステップS52〜ステップS56の処理を「主制御側メイン処理」という。
一方、ステップS54で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS58)。この設定により後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、主内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。ステップS58に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS60)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、主内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。ステップS60に続いて、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする。(ステップS62)、これによりバックアップ情報の記憶が完了する。ステップS62に続いて、主内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS64)。この設定により主内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、主内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が保護される。ステップS64に続いてウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS66)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。ステップS66に続けて、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、主制御MPU65a及び主制御I/Oポート65bにリセットがかかり、その後主制御MPU65aは、この主制御側電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS58〜ステップS66の処理及び無限ループを「主制御側電源断時処理」という。
パチンコ機1(主制御MPU65a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により主制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS34では主内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS36では主制御側電源断時処理が正常に終了された否かを検査している。このように、主内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報を2重にチェックすることによりバックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[7−3.主制御側タイマ割り込み処理]
次に、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。この主制御側タイマ割り込み処理は、図16及び図17に示した主制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御基板65の主制御MPU65aは、図18に示すように、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS70)。ここでは、上述した主制御側メイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタを主制御側タイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、主制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS70に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS72)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)のステップS52においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS72に続いて、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、主制御I/Oポート65bの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として主内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば図11に示した、左普通入賞口144及び装飾ユニット側普通入賞口158,159に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ146からの検出信号、右普通入賞口145に入球した遊技球を検出する右入賞口スイッチ147からの検出信号、大入賞口140に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ143からの検出信号、上始動入賞口133に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ136からの検出信号、下始動入賞口134に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ137からの検出信号、ゲート129を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ130からの検出信号や後述する賞球制御処理で送信した賞球コマンドを図13に示した払出制御基板75が正常に受信した旨を伝える払出制御基板75からのACK信号、をそれぞれ読み取り、入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS74に続いて、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、後述する特別図柄及び特別電動役物制御処理で決定される変動表示パターンに従って図11に示した上特別図柄表示器148及び下特別図柄表示器149が点灯するよう時間管理を行う一方、後述する普通図柄及び普通電動役物制御処理で決定される普通図柄変動表示パターンに従って図11に示した普通図柄表示器152が点灯するよう時間管理を行う。具体的には、変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間が5秒間であるときには、タイマ割り込み周期が4msに設定されているので、このタイマ減算処理を行うごとに変動時間を4msずつ減算し、その減算結果が値0になることで変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間を正確に計っている。
ステップS76に続いて、当落乱数更新処理を行う(ステップS78)。この当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用乱数及び大当り図柄用乱数を更新する。またこれらの乱数に加えて、図17に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS56の非当落乱数更新処理で更新される、大当り判定用初期値決定用乱数及び大当り図柄用初期値決定用乱数も更新する。これらの大当り判定用初期値決定用乱数及び大当り図柄用初期値決定用乱数は、主制御側メイン処理及びこの主制御側タイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。一方、大当り判定用乱数及び大当り図柄用乱数は、当落判定(大当り判定)にかかわる乱数であるためこの当落乱数更新処理が行われるごとにのみ、それぞれのカウンタがカウントアップする。例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、大当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲を、主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとにカウントアップする。このカウンタは、大当り判定用初期値決定用乱数から上限値までをカウントアップし、続けて下限値から初期値までをカウントアップする。大当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲をカウンタがカウントアップし終えると、この当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数は更新される(この大当り判定用初期値決定用乱数は上述した非当落乱数更新処理でも更新される)。なお上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数もこの当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS78に続いて、賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、上述した入力状態記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて遊技球を払い出す賞球コマンドを作成する。そして作成した賞球コマンドを払出制御基板75に送信する。例えば、図11に示した大入賞口140に遊技球が1球、入球すると、賞球として15球を払い出す賞球コマンドを作成して賞球コマンドを払出制御基板75に送信する。ステップS80に続いて、賞球チェック処理を行う(ステップS82)。この賞球チェック処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、大当り遊技状態でないときに大入賞口140に遊技球が入球すると、異常状態として賞球異常報知コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。(なお、この異常状態の確認は、入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて行う)。ステップS82に続いて、コマンド受信処理を行う(ステップS84)。払出制御基板75は、その詳細な説明は後述するが、例えば図3に示した払出装置40が球がみを起こして遊技球を払い出せない状態等の状態コマンドを送信する。ステップS84のコマンド受信処理では、この状態コマンドを正常に受信すると、その旨を払出制御基板75に伝える情報を、出力情報として主内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。また、その詳細な説明は後述するが、正常に受信した状態コマンドを整形して送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、特別図柄及び特別電動役物制御処理を行う(ステップS86)。この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて始動入賞処理を行う。この始動入賞処理では、入力情報から図11に示した上始動口スイッチ136又は下始動口スイッチ137からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した、大当り判定用乱及び大当り図柄用乱数等を更新する各種カウンタの値を抽出して始動情報として主内蔵RAMの始動情報記憶領域に記憶する。
この始動情報記憶領域には、始動情報記憶ブロック0〜7(8つの始動情報記憶ブロック)が設けられており、始動情報記憶ブロック0、始動情報記憶ブロック1、始動情報記憶ブロック2、・・・、そして始動情報記憶ブロック7の順に始動情報が記憶されるようになっている。例えば始動情報が始動情報記憶ブロック0〜6に記憶されている場合、上始動口スイッチ136からの検出信号が入力端子に入力されていたときには始動情報を始動情報記憶ブロック7に記憶する。このとき、上始動口スイッチ136により検出されたことを示す識別情報も記憶するようになっている。これにより、始動情報記憶ブロック0〜7には、遊技球が上始動口スイッチ136又は下始動口スイッチ137のうちどちらに検出されたものであるか、時系列で記憶されることとなる(つまり、履歴が分かるように記憶されている)。
始動情報は始動情報記憶ブロック0に記憶されているものが読み出される。この始動情報が読み出されると、始動情報記憶ブロック1の始動情報が始動情報記憶ブロック0に、始動情報記憶ブロック2の始動情報が始動情報記憶ブロック1に、・・・、始動情報記憶ブロック7の始動情報が始動情報記憶ブロック6に、それぞれシフトされて始動情報記憶ブロック7が空き領域となる。例えば、始動記憶情報ブロック0〜2に始動情報が記憶されている場合には、始動情報記憶ブロック1の始動情報が始動情報記憶ブロック0に、始動情報記憶ブロック2の始動情報が始動情報記憶ブロック1にそれぞれシフトされて始動情報記憶ブロック2〜7が空き領域となる。ここで、始動情報記憶ブロック0〜7に始動情報が記憶されていると、それらの始動情報記憶ブロックの数を保留球として図11に示した、上特別図柄記憶ランプ150及び下特別図柄記憶ランプ151を点灯させるよう、上述した識別情報に基づいて上特別図柄記憶ランプ150及び下特別図柄記憶ランプ151の点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。なお、本実施形態では、上始動口スイッチ136及び下始動口スイッチ137により検出された遊技球を始動記憶として始動情報記憶ブロックに記憶できる数は最大4個にそれぞれ設定されている。
始動入賞処理に続いて、始動情報記憶ブロック0から始動情報を読み出し、この始動情報に基づいて遊技処理を行う。この遊技処理では、例えば読み出した始動情報から、大当り判定用乱数の値を取り出して主内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定(大当りであるか否かの判定)したり、大当り図柄用乱数の値を取り出して主内蔵ROMに予め記憶されている確変当り判定値と一致するか否かを判定(確率変動を発生させるか否かの判定)したりする。ここで、「確率変動」とは、大当りする確率が通常時(低確率)にくらべて高く設定された高確率(確変時)に変化することであり、上述した大当り判定値は、低確率では通常時判定テーブルから読み出され、一方、高確率では確変時判定テーブルから読み出される。
これらの判定結果により発生させる遊技状態が決定する。この決定した遊技状態に、上述した変動表示パターン用乱数に基づいて変動表示パターンを決定して遊技演出コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。また、発生させる遊技状態に応じて、例えば大当り遊技状態となるときには図11に示した、開閉板141を開閉動作させるよう開閉板ソレノイド142への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS86に続いて、普通図柄及び普通電動役物制御処理を行う(ステップS88)。この普通図柄及び普通電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて電動始動入賞口処理を行う。この電動始動入賞口処理では、入力情報から図11に示したゲートスイッチ130からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出して、この抽出した値と、主内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と、が一致するか否かを判定する。一致しているときには、図11に示した、開閉翼138を開閉動作させるよう開閉翼ソレノイド139への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。また、上述した普通図柄変動表示パターン用乱数に基づいて普通図柄変動表示パターンを決定して図11に示した普通図柄表示器152を点灯させるよう普通図柄表示器152への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS88に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS90)。このポート出力処理では、主制御I/Oポート65bの出力端子から、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて各種信号を出力する。例えば、出力情報に基づいて出力端子から、払出制御基板75からの状態コマンドを正常に受信したときにはACK信号を払出制御基板75に出力したり、大当り遊技状態であるときには図11に示した、大入賞口140の開閉板141の開閉動作を行う開閉板ソレノイド142に駆動信号を出力したり、大当り遊技状態である旨を伝える大当り信号を図5に示した外部端子板88に出力したりする。
ステップS90に続いて、サブ統合基板コマンド送信処理を行う(ステップS92)。このサブ統合基板コマンド送信処理では、上述した送信情報記憶領域から送信情報を読み出してこの送信情報を図13に示したサブ統合基板63に送信する。この送信情報には、上述したように、遊技演出コマンド、RAMクリア報知コマンド、テストコマンド、賞球異常報知コマンド及び状態コマンド等がある。
ステップS92に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS94)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS72においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。ステップS94に続いて、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS96)。この復帰は、ステップS70でスタックに積んで退避した内容を読み出してレジスタに書き込むことにより行われる。ステップS96に続いて、割り込み許可の設定を行い(ステップS98)、このルーチンを終了する。
[8.払出制御基板の各種制御処理]
次に、払出制御基板75が行う各種制御処理について説明する。まず、払出制御側電源投入時処理について説明し、続いて払出制御側タイマ割り込み処理、球抜きスイッチ操作判定処理、発射レバータッチ判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球抜き判定設定処理、払出設定処理、球抜き設定処理、球抜き強制停止設定処理について説明する。図19は払出制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図20は図19の払出制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図21は図20に続いて払出制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図22は払出制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図23は球抜きスイッチ操作判定処理の一例を示すフローチャートであり、図24は賞球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートであり、図25は貸球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートであり、図26はストック監視処理の一例を示すフローチャートであり、図27は払出球抜き判定設定処理の一例を示すフローチャートであり、図28は払出設定処理の一例を示すフローチャートであり、図29は球抜き設定処理の一例を示すフローチャートである。なお、球抜きスイッチ操作判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球抜き判定設定処理は、後述する払出制御側電源投入処理におけるステップS156の主要動作設定処理の一処理として行われ、球抜きスイッチ操作判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、そして払出球抜き判定設定処理の順番で優先順位が設定されている。
[8−1.払出制御側電源投入時処理]
パチンコ機1に電源が投入されると、払出制御基板75の払出制御MPU77aは、図19〜図21に示すように、払出制御側電源投入時処理を行う。この払出制御側電源投入時処理が開始されると、払出制御MPU77aは、割り込みモードの設定を行う(ステップS100)。この割り込みモードは、払出制御MPU77aの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述する払出制御側タイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、この払出制御側タイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理が行われる。ステップS100に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS102)。このI/Oの入出力設定では、払出制御MPU77aのI/Oポートの入出設定等を行う。ステップS102に続いて、ウェイトタイマ処理1を行う(ステップS104)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧以下となると停電予告として図13に示した主制御基板65の停電監視回路からの停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では電圧が停電予告電圧以下となると停電監視回路からの停電予告信号が入力される。そこで、ウェイトタイマ処理1では、電源投入後、電圧が停電予告電圧より高くなるまで待っている。本実施形態では、この待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS104に続いて、図13に示したRAMクリアスイッチ69が操作されているか否かを判定する(ステップS106)。この判定は、主制御基板65のRAMクリアスイッチ69が操作され、その操作信号(検出信号)が払出制御MPU77aに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ69が操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ69が操作されていないと判定する。
ステップS106でRAMクリアスイッチ69が操作されているときには、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値1をセットし(ステップS108)、一方、ステップS106でRAMクリアスイッチ69が操作されていないときには、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値0をセットする(ステップS110)。この払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU77aに内蔵されたRAM(以下、「払出内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、例えば賞球ストック数、実球計数、駆動指令数及び各種フラグ(及び、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報)等の払い出しに関する払出情報(その詳細な説明は後述する。)を消去するか否かを示すフラグであり、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。なお、ステップS108及びステップS110でセットされた払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU77aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS108又はステップS110に続いて、払出内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS112)。この設定により払出内蔵RAMへのアクセスができ、例えば払出情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。ステップS112に続いて、スタックポインタの設定を行う(ステップS114)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS114では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS114に続いて、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS116)。上述したように、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。ステップS116で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0であるとき、つまり払出情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS118)。このチェックサムは、払出内蔵RAMに記憶されている払出情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。ステップS118に続いて、算出したチェックサムの値が後述する払出制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS120)。一致しているときには、払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS122)。この払出バックアップフラグHBK−FLGは、払出情報、チェックサムの値及び払出バックアップフラグHBK−FLGの値等の払出バックアップ情報を後述する払出制御側電源断時処理において払出内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、払出制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、払出制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定されている。
ステップS122で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるとき、つまり払出制御側電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として払出内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS124)。この設定は、払出バックアップフラグHBK−FLGを値0にセットするほか、払出制御MPU77aに内蔵されたROM(以下、「払出内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を払出内蔵RAMの作業領域にセットする。ここで「復電時」とは、上述したように、電源を遮断した状態から電源を投入した状態に加えて、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。
一方、ステップS116で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり払出情報を消去するときには、又はステップS120でチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS122で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり払出制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、払出内蔵RAMの全領域をクリアし(ステップS126)、初期設定として払出内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS128)。この設定は、払出内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を払出内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS124又はステップS128に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS130)。この設定は、後述する払出制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では1.75msに設定されている。ステップS130に続いて、割り込み許可設定を行う。(ステップS132)。この設定によりステップS130で設定した割り込み周期、つまり1.75msごとに払出制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS132に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS134)。上述したように、パチンコ機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると停電予告として図13に示した主制御基板65の停電監視回路からの停電予告信号が入力される。ステップS134の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。ステップS134で停電予告信号の入力がないときには1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS136)。この1.75ms経過フラグHT−FLGは、後述する、1.75msごとに処理される払出制御側タイマ割り込み処理で1.75msを計時するフラグであり、1.75ms経過したとき値1、1.75ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS136で1.75ms経過フラグHT−FLGが値0であるとき、つまり1.75ms経過していないときには、ステップS134に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定する。一方、ステップS136で1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり1.75ms経過したときには、1.75ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし(ステップS138)、図13に示した外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)77cにクリア信号をONする(ステップS140)。この外部WDT77cは、払出制御MPU77aの動作(システム)を監視するためのものであり、一定期間にクリアされないときには払出制御MPU77a及び図13に示した払出制御I/Oポート77bにリセットがかかる(払出制御MPU77aのシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS140に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS142)。このポート出力処理では、払出制御I/Oポート77bの出力端子から、払出内蔵RAMの出力情報記憶領域から各種情報を読み出してこの各種情報に基づいて各種信号を出力する。出力情報記憶領域には、例えば、主制御基板65からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信した旨を伝えるACK情報、払出モータ41への駆動制御を行う駆動情報、払出モータ41が実際に遊技球を払い出した球数の賞球数情報、図13に示した、エラーLED表示器79に表示するLED表示情報、プリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号を正常に受信した旨を伝える受信完了情報等の各種情報が記憶されており、この出力情報に基づいて出力端子から、主制御基板65からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信したときにはACK信号を主制御基板65に出力したり、払出モータ41に駆動信号を出力したり、払出モータ41が実際に遊技球を払い出した球数を賞球数信号として図13に示した外部端子板88に出力したり(本実施形態では、払出モータ41が実際に10個の遊技球を払い出すごとに外部端子板88に賞球数信号を出力している。)、エラーLED表示器79に表示信号を出力したり、プリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号を正常に受信したときには受信完了信号をプリペイドカードユニット1aに出力したりする。
ステップS142に続いて、ポート入力処理を行う(ステップS144)。このポート入力処理では、払出制御I/Oポート77bの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば図13に示した、エラー解除スイッチ80の操作信号、回転角スイッチ99からの検出信号、計数スイッチ101からの検出信号、満タンスイッチ107からの検出信号、プリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号、図14に示した、前面枠開放スイッチ3a及び本体枠開放スイッチ3bからの検出信号、後述するコマンド送信処理で送信した各種コマンドを主制御基板65が正常に受信した旨を伝える主制御基板65からのACK信号、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS144に続いて、タイマ更新処理を行う(ステップS146)。このタイマ更新処理では、その詳細な説明は後述するが、払出モータ41が球がみを起こしているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球がみ判定時間、図5に示した、球タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球を排出する際に設定されている球抜き判定時間、図1に示した下皿17(図6に示した下皿用球誘導通路50)が満タンであるか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている満タン判定時間、図3に示した払出装置40に設けられた図示しない球切れスイッチからの検出信号により払出装置40に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球切れ判定時間等の時間管理を行う。例えば、球がみ判定時間が5005msに設定されているときには、タイマ割り込み周期が1.75msに設定されているので、このタイマ更新処理を行うごとに球がみ判定時間を1.75msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球がみ判定時間を正確に計っている。
本実施形態では、球抜き判定時間として60060ms、満タン判定時間として504ms、球切れ判定時間として119msがそれぞれ設定されており、このタイマ更新処理を行うごとに球抜き判定時間及び満タン判定時間を1.75msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球抜き判定時間及び満タン判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種判定時間は、時間管理情報として払出内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS146に続いて、CR通信処理を行う(ステップS148)。このCR通信処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、プリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号が入力されているか否かを判定する。貸球要求信号が入力され、この貸球要求信号を正常に受信したときには、その旨を伝える受信完了情報を上述した出力情報記憶領域に記憶するとともに、その貸球要求信号を貸球情報として払出内蔵RAMの貸球情報記憶領域に記憶する。一方、貸球要求信号を正常に受信できなかったときには、その旨を伝える貸球要求エラー情報を払出内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶する。
接続信号が入力されているときには、プリペイドカードユニット1aとの接続が正常であるとしてその旨を伝えるCR接続情報を状態情報記憶領域に記憶する。なお、接続信号が入力されていないときには、プリペイドカードユニット1aとの接続が異常であるとしてその旨を伝えるCR接続情報を状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS148に続いて、満タン及び球切れチェック処理を行う(ステップS150)。この満タン及び球切れチェック処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、満タンスイッチ107からの検出信号により下皿17(下皿用球誘導通路50)が遊技球で満タンとなっているか否かを判定したり、払出装置40に設けられた球切れスイッチからの検出信号により払出装置40に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かを判定したりする。例えば、下皿17が遊技球で満タンとなっているか否かの判定は、タイマ割り込み周期1.75msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ107からの検出信号がON、前回(1.75ms前)の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ107からの検出信号がOFFとなったとき、つまり満タンスイッチ107からの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS146のタイマ更新処理で上述した満タン判定時間(504ms)の計時を開始する。そしてタイマ更新処理で満タン判定時間が値0となったとき、つまり満タン判定時間となったときには、この満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ107からの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、満タンスイッチ107からの検出信号がONであるときには、下皿17が遊技球で満タンであるとしてその旨を伝える満タン情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。一方、満タンスイッチ107からの検出信号がOFFであるときには、下皿17が遊技球で満タンでないとしてその旨を伝える満タン情報を状態情報記憶領域域に記憶する。
払出装置40に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定も、タイマ割り込み周期1.75msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がON、前回(1.75ms前)の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がOFFとなったとき、つまり球切れスイッチからの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS146のタイマ更新処理で上述した球切れ判定時間(119ms)の計時を開始する。そしてタイマ更新処理で球切れ判定時間が値0となったとき、つまり球切れ判定時間となったときには、この満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、球切れスイッチからの検出信号がONであるときには、払出装置40に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上であるとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する一方、球切れスイッチからの検出信号がOFFであるときには、払出装置40に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS150に続いて、コマンド受信処理を行う(ステップS152)。このコマンド受信処理では、主制御基板65からの払い出しに関する各種コマンドを受信する。この各種コマンドを正常に受信したときには、その旨を伝えるACK情報を上述した出力情報記憶領域に記憶する。一方、各種コマンドを正常に受信できなかったときには、主制御基板65と払出制御基板75との基板間の接続に異常が生じている旨を伝える接続異常情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。なお、主制御基板65からの払い出しに関する各種コマンドの詳細な説明は後述する。
ステップS152に続いて、コマンド解析処理を行う(ステップS154)。このコマンド解析処理では、ステップS152で受信したコマンドの解析を行い、その解析したコマンドを受信コマンド情報として払出内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶する。
ステップS154に続いて、主要動作設定処理を行う(ステップS156)。この主要動作設定処理では、賞球、貸球、球抜き及び球がみ等の動作設定を行ったり、未払い出しの球数(賞球ストック数)を監視したりする。なお、これらの動作設定や監視の詳細な説明は後述する。
ステップS156に続いて、LED表示データ作成処理を行う(ステップS158)。このLED表示データ作成処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、図13に示した、払出制御基板75のエラーLED表示器79に表示する表示データを作成してLED表示情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。例えば、状態情報記憶領域から上述した球切れ情報を読み出し、この球切れ情報に対応する表示データ(本実施形態では、表示値1)を作成してLED表示情報を出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS158に続いて、コマンド送信処理を行う(ステップS160)。このコマンド送信処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、この各種情報に基づいてコマンドを作成して主制御基板65に送信する。なお、これらのコマンドの詳細な説明は後述する。
ステップS160に続いて、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)77cへのクリア信号をOFFする(ステップS162)。これにより、外部WDT77cをクリアし、払出制御MPU77a及び払出制御I/Oポート77bにリセットがかからないようにするとともに、再びWDTの計時を開始する。
ステップS162に続けて、再びステップS134に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS136で1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定し、この1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり1.75ms経過したときには、ステップS138で1.75ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし、ステップS140で外部WDT77cにクリア信号を出力し、ステップS142でポート出力処理を行い、ステップS144でポート入力処理を行い、ステップS146でタイマ更新処理を行い、ステップS148でCR通信処理を行い、ステップS150で満タン及び球切れチェック処理を行い、ステップS152でコマンド受信処理を行い、ステップS154でコマンド解析処理を行い、ステップS156で主要動作設定処理を行い、ステップS158でLED表示データ作成処理を行い、ステップS160でコマンド送信処理を行い、ステップS162で外部WDT77cにクリア信号を出力し、ステップS134〜ステップS162を繰り返し行う。なお、このステップS134〜ステップS162の処理を「払出制御側メイン処理」という。
主制御基板65による遊技の進行に応じて払出制御側メイン処理の処理内容が異なってくる。このため、払出制御MPU77aの処理に要する時間が変動することとなる。そこで、払出制御MPU77aは、ステップS142のポート出力処理において、主制御基板65からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信した旨を伝えるACK信号を、優先して主制御基板65に出力している。これにより、払出制御MPU77aは、変動する他の処理を十分に行えるよう、その処理時間を確保している。
一方、ステップS134で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS164)。この設定により後述する払出制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、払出内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、上述した払出情報の書き換えを保護している。ステップS164に続いて、払出モータ41への駆動信号の出力を停止する(ステップS166)。これにより、遊技球の払い出しを停止する。ステップS166に続いて、外部WDT77cにクリア信号をON/OFFする(ステップS168)。これにより、外部WDT77cをクリアする。ステップS168に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS170)。このチェックサムは、ステップS118で算出したチェックサムの値及び払出バックアップフラグHBK−FLGの値の記憶領域を除く、払出内蔵RAMの作業領域の払出情報を数値とみなしてその合計を算出する。ステップS170に続いて、払出バックアップフラグHBK−FLGに値1をセットする。(ステップS172)、これにより払出バックアップ情報の記憶が完了する。ステップS172に続いて、払出内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS174)。この設定により払出内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、払出内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が保護される。ステップS174に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、外部WDT77cにクリア信号をON/OFFしない。このため、払出制御MPU77a及び払出制御I/Oポート77bにリセットがかかり、その後払出制御MPU77aは、この払出制御側電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS164〜ステップS174の処理及び無限ループを「払出制御側電源断時処理」という。
パチンコ機1(払出制御MPU77a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により払出制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS120では払出内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS122では払出制御側電源断時処理が正常に終了されたか否かを検査している。このように、払出内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報を2重にチェックすることにより払出バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[8−2.払出制御側タイマ割り込み処理]
次に、払出制御側タイマ割り込み処理について説明する。この払出制御側タイマ割り込み処理は、図19〜図21に示した払出制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、1.75ms)ごとに繰り返し行われる。
払出制御側タイマ割り込み処理が開始されると、払出制御基板75の払出制御MPU77aは、図22に示すように、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS180)。ここでは、上述した払出制御側メイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタを払出制御側タイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、払出制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS180に続いて、1.75ms経過フラグHT−FLGに値1をセットする(ステップS182)。この1.75経過フラグHT−FLGは、この払出制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに、つまり1.75msごとに1.75msを計時するフラグであり、1.75ms経過したとき値1、1.75ms経過していないとき値0にそれぞれ設定されている。ステップS182に続いて、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS184)。この復帰は、ステップS180でスタックに積んで退避した内容を読み出してレジスタに書き込むことにより行われる。ステップS184に続いて、割り込み許可の設定を行い(ステップS186)、このルーチンを終了する。
[8−3.球抜きスイッチ操作判定処理]
次に、球抜きスイッチ操作判定処理について説明する。この球抜きスイッチ操作判定処理では、図13に示した球抜きスイッチ81が操作されているか否かを判定する。
球抜きスイッチ操作判定処理が開始されると、払出制御基板75の払出制御MPU77aは、図23に示すように、球抜きスイッチ81が操作されているか否かを判定する(ステップS190)。この判定は、図21に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS144のポート入力処理で球抜きスイッチ81からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS190では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して球抜きスイッチ81からの検出信号があるか否かの判定を行う。入力情報に球抜きスイッチ81からの検出信号があるときには、球抜きスイッチ81が操作されていると判定する。一方、入力情報に球抜きスイッチ81からの検出信号がないときには、球抜きスイッチ81が操作されていないと判定する。
ステップS190で球抜きスイッチ81が操作されているときには、球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットし(ステップS192)、このルーチンを終了する。一方、ステップS190で球抜きスイッチ81が操作されていないときには、そのままこのルーチンを終了する。球抜きフラグRMV−FLGは、図5に示した、球タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定されている。なお、ステップS192でセットされた球抜きフラグRMV−FLGは、払出制御MPU77aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
[8−4.各種賞球ストック数加算処理]
次に、各種賞球ストック数加算処理について説明する。この各種賞球ストック数加算処理には、賞球用賞球ストック数加算処理と貸球用賞球ストック数加算処理とがあり、賞球用賞球ストック数加算処理は主制御基板65からの後述する賞球コマンドに基づいて払い出す球数を加算する処理であり、貸球用賞球ストック数加算処理は図13に示したプリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号に基づいて払い出す球数を加算する処理である。まず、賞球用賞球ストック数加算処理について説明し、続いて貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。なお、本実施形態では、賞球用賞球ストック数加算処理が優先的に行われるように設定されており、この賞球用賞球ストック数加算処理で加算された賞球ストック数に応じた遊技球が図13に示した払出装置40で払い出されたあと、貸球用賞球ストック数加算処理が行われるように設定されている。
[8−4−1.賞球用賞球ストック数加算処理]
賞球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板75の払出制御MPU77aは、図24に示すように、賞球コマンドがあるか否かを判定する(ステップS200)。この判定は、図21に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS154のコマンド解析処理で解析したコマンドに基づいて行う。具体的には、その解析したコマンドは受信コマンド情報として払出内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶されている。ステップS200では、この受信コマンド情報記憶領域から受信コマンド情報を読み出して賞球コマンドであるか否かの判定を行う。
ステップS200で受信コマンド情報が賞球コマンドであるときには、この賞球コマンドに対応する賞球数PBVを、賞球数情報テーブルから読み出す(ステップS202)。この賞球数情報テーブルは、その詳細な説明は後述するが、賞球コマンドと賞球数PBVとを対応付けて払出内蔵ROMに予め記憶されている情報テーブルである。ステップS202に続いて、払出内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出す(ステップS204)。この賞球ストック数PBSは、払出装置40で遊技球を未だ払い出していない数、つまり未払い出しの球数を表しており、本実施形態では、2バイト(16ビット)の記憶容量を有している。これにより、賞球ストック数PBSは、0〜65535個までの未払い出しの球数を記憶することができるようになっている。ステップS204で読み出した賞球ストック数PBSにステップS202で読み出した賞球数PBVを加算し(ステップS206)、このルーチンを終了する。なお、ステップS206で加算したあと、ステップS200で読み出した賞球コマンドを受信コマンド情報記憶領域から消去する。
一方、ステップS200で受信コマンド情報が賞球コマンドでないときには、そのままこのルーチンを終了する。
[8−4−2.貸球用賞球ストック数加算処理]
次に、貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。この貸球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板75の払出制御MPU77aは、図25に示すように、貸球要求信号があるか否かを判定する(ステップS210)。この判定は、図21に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS144のポート入力処理でプリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号に基づいて行う。具体的には、その貸球要求信号は入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS210では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して貸球要求信号があるか否かの判定を行う。
ステップS210で貸球要求信号があるときには、払出内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS212)、この賞球ストック数PBSに貸球数RBVを加算し(ステップS214)、このルーチンを終了する。貸球数RBVは固定値であり、払出内蔵ROMに予め記憶されている。本実施形態では、貸球数RBVとして値25が設定されている。なお、ステップS214で加算したあと、ステップS210で読み出した貸球要求信号を入力情報記憶領域から消去する。また、本実施形態では、賞球を優先している(賞球と貸球とを区別して管理している)。このため、貸球要求信号があるときであっても、貸球要求信号を保持し、賞球の払い出しの完了をもって、貸球の払い出しを行う。したがって、賞球ストックPBSが値0になってから貸球の払い出しを行うようになっている。
一方、ステップS210で貸球要求信号がないときには、そのままこのルーチンを終了する。
[8−5.ストック監視処理]
次に、ストック監視処理について説明する。このストック監視処理は、遊技者が遊技中に図1に示した下皿17(図6に示した下皿用球誘導通路50)に遊技球を満タンにした状態(ストックした状態)で遊技を続けていないか監視する処理である。
ストック監視処理が開始されると、払出制御基板75の払出制御MPU77aは、図26に示すように、払出内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS220)、読み出した賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH1以上であるか否かを判定する(ステップS222)。注意的しきい値TH1は、本実施形態では値50に設定されている。ステップS222で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH1以上であるときには、注意フラグCA−FLGに値1をセットする(ステップS224)。この注意フラグCA−FLGは、遊技者が下皿17に遊技球のストックを開始し、遊技球の未払い出し数(上述した賞球ストック数)が注意的しきい値TH1以上に達している旨を示すフラグであり、注意的しきい値TH1以上に達しているとき値1、注意的しきい値TH1以上に達していないとき値0にそれぞれ設定されている。
ステップS224に続いて、ステップS220で読み出した賞球ストック数PBSが警告的しきい値TH2以上であるか否かを判定する(ステップS226)。警告的しきい値TH2は、本実施形態では値300に設定されている。ステップS226で賞球ストック数PBSが警告的しきい値TH2以上であるときには、警告フラグWA−FLGに値1をセットし(ステップS228)、このルーチンを終了する。この警告フラグWA−FLGは、遊技者が下皿17に遊技球のストックを開始し、遊技球の未払い出し数(上述した賞球ストック数)が警告的しきい値TH2以上に達している旨を示すフラグであり、警告的しきい値TH2以上に達しているとき値1、警告的しきい値TH2以上に達していないとき値0にそれぞれ設定されている。
一方、ステップS222で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH1未満であるときには、注意フラグCA−FLGに値0をセットする(ステップS230)。一方、ステップS226で賞球ストック数PBSが警告的しきい値TH2未満であるとき又はステップS230に続いて、警告フラグWA−FLGに値0をセットし(ステップS232)、このルーチンを終了する。
遊技状態が大当りとなり、遊技者がリラックスして図13に示した液晶表示器57で繰り広げられる演出に見入ったり、図12示した、上あご可動体174及び下あご可動体175の可動による演出に見入ったりしていると、遊技者は、うっかりして1ラウンドの間、賞球として払い出された遊技球を、図1に示した、下皿17(図6に示した下皿用球誘導通路50)から下皿用球排出ボタン17aを操作して抜かないことがある。この状態で遊技を続けると、上述したように、賞球ストック数PBSの値は増加し、注意的しきい値TH1、そして警告的しきい値TH2以上となり、その詳細な説明は後述するが、警告演出として、例えば図13に示した、低音用スピーカ14及び中高音用スピーカ36から案内音声が流れることとなる。そうすると、遊技者は、遊技状態が大当りというリラックスした状態でいられるにもかかわらず、うっかりして下皿17(下皿用球誘導通路50)から遊技球を抜かないでいると、警告演出が行われることとなり、いらだつ事態になりかねない。
そこで、その不快感を極力防止するために本実施形態では、上述したように、警告的しきい値TH2に値300を設定している。この警告的しきい値TH2は、2ラウンド分の賞球として払い出す遊技球の球数に設定されている。例えば、図11に示した大入賞口140に遊技球が1個入球すると、賞球として15個払い出す場合には、1ラウンド分(本実施形態では、大入賞口140が閉鎖状態から開放状態となったとき、15個の遊技球の入球又は開放状態となってから30秒の経過により、大入賞口140が開放状態から閉鎖状態に再び戻るようになっている。)の賞球として払い出す遊技球の球数は、大入賞口140に遊技球が10個入球すると、150個(=15×10)となり、2ラウンド分では300個(150×2)となる。なお、賞球ストック数PBSの記憶容量が1バイト(8ビット)である場合には、0〜255個までの未払い出しの球数しか記憶することができないため、上述したように、本実施形態では、賞球ストック数PBSの記憶容量を2バイト(16ビット)にすることによって、256個以上の未払い出しの球数を記憶することができるようになっている。
一方、注意的しきい値TH1は値50に設定されているが、これは、賞球ストック数PBSが警告的しきい値TH2に達するまえの段階で、その詳細な説明は後述するが、注意演出として図1に示した賞球ランプ38を点灯することによって、例えばホールの店員に対して遊技者の遊技を注意する旨を伝えることができ、ホールの店員は遊技者に下皿17(下皿用球誘導通路50)から遊技球を抜く旨を伝えることができる。これにより、遊技者は下皿17(下皿用球誘導通路50)に遊技球を満タンにした状態でさらに遊技を継続することを防止することができる。また、遊技者は、遊技状態が大当りというリラックスした状態でいられるにもかかわらず、うっかりして下皿17(下皿用球誘導通路50)から遊技球を抜かないでいても、注意演出による告知の段階で、ホールの店員から下皿17(下皿用球誘導通路50)から遊技球を抜く旨を伝えられ、いらだつ事態を防止することができる。
なお、本実施形態では、注意的しきい値TH1は、1バイト(8ビット)で表せる上限値255の約5分の1に相当する値50に設定されており、上述した警告的しきい値TH2の値300の6分の1に設定されている。これにより、ホールの店員に対してできるだけ早い段階で遊技者の遊技に注意を促す旨を伝えることができるようになっている。
[8−6.払出球抜き判定設定処理]
次に、払出球抜き判定設定処理について説明する。この払出球抜き判定設定処理は、図13に示した払出モータ41で遊技球を、図1に示した、上皿28及び下皿17(図6に示した下皿用球誘導通路)に払い出すか、図5に示した、球タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球をパチンコ機1から排出するか、又はこのような払い出しや排出を行わないか、いずれかに設定する処理である。
払出球抜き判定設定処理が開始されると、払出制御基板75の払出制御MPU77aは、図27に示すように、球がみ中フラグPBE−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS240)。この球がみ中フラグPBE−FLGは、その詳細な説明は後述するが、払出モータ41が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき値0にそれぞれ設定されている。
ステップS240で球がみ中フラグPEB−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり球がみ動作を行っていないときには、賞球ストック数PBSを払出内蔵RAMから読み出し(ステップS242)、読み出した賞球ストック数PBSが値0より大きいか否かを判定する(ステップS244)。この判定は、払出モータ41による遊技球の払い出しにおいて未払い出しの球数があるか否かを判定している。
ステップS244で賞球ストック数PBSが値0より大きいとき、つまり未払い出し球数があるときには、下皿17及び下皿用球誘導通路50が遊技球で満タンであるか否かを判定する(ステップS246)。この判定は、図21に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS150の満タン及び球切れチェック処理で記憶された満タン情報に基づいて行う。具体的には、満タン情報は払出内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶されている。ステップS246では、この状態情報記憶領域から満タン情報を読み出して下皿17及び下皿用球誘導通路50が遊技球で満タンであるか否かを判定する。
ステップS246で下皿17及び下皿用球誘導通路50が遊技球で満タンでないときには、後述する払出設定処理を行い(ステップS248)、このルーチンを終了する。これにより、上皿28及び下皿17(下皿用球誘導通路50)に遊技球が払い出される。一方、ステップS246で下皿17及び下皿用球誘導通路50が遊技球で満タンであるときには、そのままこのルーチンを終了する。本実施形態のパチンコ機1では、下皿17及び下皿用球誘導通路50が遊技球で満タンになると払出モータ41を強制停止する。この払出モータ41が強制停止中に賞球が発生すると、払出モータ41による未払い出しの球数が増え、図24に示した賞球用賞球ストック数加算処理によって賞球ストック数PBSが加算されて増加することとなる。
一方、ステップS240で球がみ中フラグPBE−FLGが値1、つまり球がみ動作を行っているときには、又はステップS244で賞球ストック数PBSが値0より大きくない(値0である)とき、つまり未払い出し球数がないときには、球抜きフラグRMV−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS250)。この球抜きフラグRMV−FLGは、上述したように、図5に示した、球タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定されている。ステップS250の判定は、図23に示した球抜きスイッチ操作判定処理におけるステップS190の判定結果に基づいて行う。つまり、図14に示した球抜きスイッチ81からの操作信号が入力されると、球抜きスイッチ操作判定処理におけるステップS192で球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットする。
ステップS250で球抜きフラグRMV−FLGが値1であるとき、つまり球タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球を排出するときには、後述する球抜き設定処理を行い(ステップS252)、このルーチンを終了する。これにより、タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球が排出される。
このように、電源投入後に球抜きスイッチ81を操作すると、この払出球抜き判定設定処理のステップS252で球抜き設定処理を行うこととなり、タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球を排出することができるようになっている。この排出を終了すると、球抜きフラグRMV−FLGに値0をセットする。
一方、ステップS250で球抜きフラグRMV−FLGが値0であるとき、つまり球タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球を排出しないときには、そのままこのルーチンを終了する。これにより、遊技球の払い出しや排出が行われない。
[8−6−1.払出設定処理]
次に、払出設定処理について説明する。この払出設定処理では、図13に示した払出モータ41を駆動して遊技球を払い出す設定を行う処理ある。
払出設定処理が開始されると、払出制御基板75の払出制御MPU77aは、図28に示すように、駆動指令数DRVを払出内蔵RAMから読み出す(ステップS260)。この駆動指令数DRVは、払出モータ41で払い出す遊技球の球数を指令するものであり、賞球ストック数PBSと同値である。ステップS260に続いて、駆動指令数DRVが値0であるか否かを判定する(ステップS262)。この判定は、払出モータ41で払い出す遊技球の球数が残っているか否かを駆動指令数DRVに基づいて判定する。ステップS262で駆動指令数DRVが値0であるとき、つまり払出モータ41で払い出す遊技球の球数がゼロ個であるときには、払出モータ41への駆動信号の出力停止(停止)を設定する(ステップS264)。この設定では、払出モータ41に駆動信号を停止する駆動情報を設定して上述した払出内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。ステップS264に続いて、払出内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS266)、実球計数PBを読み出す(ステップS268)。この実球計数PBは、払出モータ41が実際に払い出した遊技球の球数をカウントしたものである。このカウントは、その詳細な説明は後述するが、図21に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS144のポート入力処理で図13に示した計数スイッチ101からの検出信号に基づいて行う。
ステップS268に続いて、ステップS266で読み出した賞球ストック数PBSからステップS268で読み出した実球計数PBを引いた値を、賞球ストック数PBS及び駆動指令数DRVにセットし(ステップS270)、実球計数PBに値0をセットし(ステップS272)、このルーチンを終了する。なお、駆動指令数DRV及び実球計数PBが値0であるときには、ステップS272では、ステップS266で読み出した賞球ストック数PBSの値がそのまま駆動指令数DRVにセットされる。
一方、ステップS262で駆動指令数DRVが値0でないとき、つまり払出モータ41で払い出す遊技球の球数があるときには、払出モータ41への駆動信号の出力を設定する。(ステップS274)。この設定では、払出モータ41に駆動信号を出力する駆動情報を設定して出力情報記憶領域に記憶する。ステップS274に続いて、図13に示した回転角スイッチ99からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS276)。この判定は、図21に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS144のポート入力処理で回転角スイッチ99からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS276では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して回転角スイッチ99からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS276で回転角スイッチ99からの検出信号があるときには、駆動指令数DRVに値1だけ引き(デクリメントし、ステップS278)、計数スイッチ101からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS280)。この判定は、図21に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS144のポート入力処理で計数スイッチ101からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS280では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して計数スイッチ101からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS280で計数スイッチ101からの検出信号があるときには、実球計数PBに値1だけ足し(インクリメントし、ステップS282)、このルーチンを終了する。ステップS282で実球計数PBをインクリメントすることで実球計数PBをカウントアップすることとなる。一方、ステップS280で計数スイッチ101からの検出信号がないときには、そのままこのルーチンを終了する。
一方、ステップ276で回転角スイッチ99からの検出信号がないときには、球がみ判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS284)。この判定は、図21に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS146のタイマ更新処理で更新した球がみ判定時間に基づいて行う。具体的には、その球がみ判定時間は、時間管理情報として払出内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS284では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して球がみ判定時間が経過したか否かを判定する。なお、球がみ判定時間中には払出モータ41は、球がみ動作を行う。この球がみ動作は、図6に示した払出装置40の球通路91に取り込まれた遊技球が球詰まりした状態、同図に示した、球切り出し部材94とガイド100との間で遊技球が噛み合った状態等を解消するために行う。
ステップS284で球がみ判定時間が経過していないときには、球がみ動作を行うよう払出モータ41への駆動信号の出力を設定する(ステップS286)。この設定では、払出モータ41に駆動信号を出力する駆動情報を設定して上述した払出内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。ステップS286に続いて、球がみ中フラグPBE−FLGに値1をセットし(ステップS288)、このルーチンを終了する。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出モータ41による球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき値0にそれぞれ設定されている。一方、ステップS284で球がみ判定時間が経過したときには、球がみ動作を終了するよう払出モータ41への駆動信号の停止を設定する(ステップS290)。この設定では、払出モータ41に駆動信号を停止する駆動情報を設定して出力情報記憶領域に記憶する。ステップS290に続いて、球がみ中フラグPBE−FLGに値0をセットし(ステップS292)、このルーチンを終了する。
[8−6−2.球抜き設定処理]
次に、球抜き設定処理について説明する。この球抜き設定処理では、図13に示した払出モータ41を駆動して図5に示した、球タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球を排出する。
球抜き設定処理が開始されると、払出制御基板75の払出制御MPU77aは、図29に示すように、球抜き判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS300)。この判定は、図21に示した払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS146のタイマ更新処理で更新した球抜き判定時間に基づいて行う。具体的には、その球抜き判定時間は、時間管理情報として払出内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS300では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して球抜き判定時間が経過したか否かを判定する。なお、球抜き判定時間中には払出モータ41は、球抜き動作を行う。この球抜き動作は、球タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球を排出するために行う。
ステップS300で球抜き判定時間が経過していないときには、球抜き動作を行うよう払出モータ41への駆動信号の出力を設定する(ステップS302)。この設定では、払出モータ41に駆動信号を出力する駆動情報を設定して上述した払出内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。ステップS302に続いて、球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットし(ステップS304)、このルーチンを終了する。この球抜きフラグRMV−FLGは、上述したように、球タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定されている。一方、ステップS300で球抜き判定時間が経過したときには、球抜き動作を終了するよう払出モータ41への駆動信号の停止を設定し(ステップS306)、このルーチンを終了する。この設定では、払出モータ41に駆動信号を停止する駆動情報を設定して出力情報記憶領域に記憶する。
[9.払い出し関する各種コマンド等]
次に、払い出し関する各種コマンド等について説明する。まず、図13に示した、主制御基板65から払出制御基板75に送信する払い出しに関するコマンド(賞球コマンド)について説明し、続いて払出制御基板75から主制御基板65に送信するパチンコ機1の状態コマンド、この状態コマンドを整形した整形状態コマンドについて説明する。図30は払い出しに関するコマンドの一例を示す賞球数情報テーブルであり、図31は状態コマンドの一例を示すテーブルであり、図32は状態コマンドを整形した整形状態コマンドの一例を示すテーブルである。
[9−1.賞球コマンド]
賞球コマンドは、1バイト(8ビット)の記憶量領を有するコマンドであり、主制御基板65から払出制御基板75に送信する払い出しに関するコマンドである。本実施形態のように、パチンコ機1に図1に示したプリペイドカードユニット1a(パチンコ機と通信して、パチンコ機1に供給する遊技球を、パチンコ機の払出モータを駆動して上皿に貸球として払い出す装置(「CR機」という。))が接続されている場合には、図30(a)に示すように、主制御基板65から払出制御基板75に送信する賞球コマンドには、コマンド10H〜コマンド1EH(「H」は16進数を表す。)が用意されており、コマンド10Hでは賞球1個が指定され、コマンド11Hでは賞球2個が指定され、・・・、コマンド1EHでは賞球15が指定されている。この指定された賞球数だけ、払出制御基板75は、図13に示した払出モータ41を駆動して遊技球を払い出す制御を行う。
また、パチンコ機1に図示しない貸球機(遊技球を上皿に貸球として直接払い出す装置(「一般機」という。))が隣接して設けられている場合には、図30(b)に示すように、主制御基板65から一般機に送信する賞球コマンドには、コマンド20H〜コマンド2EHが用意されており、コマンド20Hでは賞球1個が指定され、コマンド21Hでは賞球2個が指定され、・・・、コマンド2EHでは賞球15が指定されている。この指定された賞球数だけ、一般機は遊技球を払い出す制御を行う。
なお、CR機及び一般機の共通のコマンドとして、図30(c)に示すように、コマンド30Hが用意されており、このコマンド30Hではセルフチェックが指定されている。送信側は、コマンド送信後、所定期間、受信側からコマンドの受け取り確認として出力するACK情報が出力されない場合に、コマンド30Hを送信して、ACK情報が出力されるか否かをチェックする。またCR機の場合には、払出制御基板75はプリペイドカードユニット1aとの接続状態を確認する。
[9−2.状態コマンド]
状態コマンドは、1バイト(8ビット)の記憶量領を有するコマンドであり、払出制御基板75から主制御基板65に送信するコマンドである。状態コマンドには、図31に示すように、枠状態、エラー解除ナビ及びストック表示に区分されており、枠状態、エラー解除、そしてストック表示の順で優先順位が設定されている。枠状態には、球切れ、球抜き中、接続異常及びCR未接続が用意されており、球切れではビット0(B0、「B」はビットを表す。)に値1がセットされ、球抜き中ではビット2(B2)に値1がセットされ、接続異常ではビット3(B3)に値1がセットされ、CR未接続ではビット4(B4)に値1がセットされる。なお、状態コマンドのうち、枠状態である旨を伝えるビット5(B5)〜ビット7(B7)にはB5に値1、B6に値0、そしてB7に値0がセットされている。
エラー解除ナビには、球がみ、計数スイッチエラー及びリトライ上限エラーが要されており、球がみではビット2(B2)に値1がセットされ、計数スイッチエラーではビット3(B3)に値1がセットされ、リトライ上限エラーではビット4(B4)に値1がセットされる。ここで、「計数スイッチエラー」とは、図13に示した計数スイッチ101の不具合が生じているか否かを示すものである。「リトライ上限エラー」とは、つじつまの合わない払い出しが繰り返し行われたことを示すものである。なお、状態コマンドのうち、エラー解除ナビである旨を伝えるビット5(B5)〜ビット7(B7)にはB5に値0、B6に値1、そしてB7に値0がセットされている。
ストック表示には、50個以上のストック中、300個以上のストック中が要されており、50個以上のストック中ではビット0(B0)に値1がセットされ、300個以上のストック中ではビット1(B1)に値1がセットされる。なお、状態コマンドのうち、ストック表示である旨を伝えるビット5(B5)〜ビット7(B7)にはB5に値1、B6に値1、そしてB7に値0がセットされている。
[9−3.整形状態コマンド]
図13に示した主制御基板65の主制御MPU65aは、図13に示したサブ統合基板63に各種コマンドを送信する。これらの各種コマンドは、2バイト(16ビット)の記憶量領を有するコマンドであり、1バイト(8ビット)の記憶容量を有し、コマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有し、演出のバリエーションを示すモードと、から構成されている。主制御MPU65aは、払出制御基板75から上述した状態コマンドを受信すると、図32に示すように、付加情報である「10000001B(=81H)」をステータスに設定するとともに、受信した状態コマンドをモードに設定して2バイト(16ビット)の記憶容量を有する整形状態コマンドに整形する。この整形状態コマンドは、図18に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92のサブ統合基板コマンド送信処理の一処理として行われ、サブ統合基板63に送信される。なお、整形状態コマンドの詳細な説明は、上述した状態コマンドの内容と同一であるためその説明を省略する。
[10.サブ統合基板の各種制御処理]
次に、図13に示した、主制御基板65(主制御MPU65a)から各種コマンドを受信するサブ統合基板63(サブ統合MPU63a)の各種処理について説明する。まず、サブ統合側リセット処理について説明し、続いてサブ統合側タイマ割り込み処理、コマンド受信割り込み処理、コマンド受信終了割り込み処理、ストック告知処理、球抜き告知処理について説明する。図33はサブ統合側リセット処理の一例を示すフローチャートであり、図34はサブ統合側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図35はコマンド受信割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図36はコマンド受信終了割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図37はストック告知処理の一例を示すフローチャートであり、図38は球抜き告知処理の一例を示すフローチャートである。
[10−1.サブ統合側リセット処理]
まず、サブ統合側リセット処理が開始されると、図33に示すように、サブ統合基板63のサブ統合MPU63aは、初期設定処理を行う(ステップS400)。この初期設定処理は、サブ統合MPU63aを初期化する処理と、リセット後のウェイトタイマを設定する処理等が行われる。なお、この初期設定処理中では割り込み禁止となっており、初期設定処理のあと割り込み許可となる。ステップS400に続いて、16ms経過フラグST−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS402)。この16ms経過フラグST−FLGは、後述する2msごとに処理される2msタイマ割り込み処理で16msを計時するフラグであり、16ms経過したとき値1、16ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS402で16ms経過フラグST−FLGが値1であるとき、つまり16ms経過したときには、16ms経過フラグST−FLGに値0をセットし(ステップS404)、16ms処理中フラグSP−FLGに値1をセットする(ステップS406)。この16ms処理中フラグSP−FLGは、後述する16ms定常処理を開始するとき値1、終了するとき値0にそれぞれ設定される。ステップS406に続いて、16ms定常処理を行う(ステップS408)。この16ms定常処理は、主制御基板65から送信された送信情報から各種コマンドを解析するコマンド解析処理と、図13に示した、演出ランプ123,157の点灯制御及び階調ランプ124の階調制御を行うランプ処理と、16ms定常処理が行われているか監視するウォッチドックタイマ処理の他に、図13に示した、上あご可動装置176及び下あご可動体装置177の駆動パターンをスケジューラにセットする処理等を行う。ステップS408に続いて、16ms処理中フラグSP−FLGに値0(16ms定常処理の終了)をセットし(ステップS410)、再びステップS402に戻り、16ms経過フラグST−FLGが値1になるごとに、つまり16ms経過ごとにステップS404〜ステップS410を繰り返し行う。一方、ステップS402で16ms経過フラグST−FLGが値1でない(16ms経過フラグST−FLGが値0)とき、つまり16ms経過していないときには、16ms経過フラグST−FLGが値1になるまで、つまり16ms経過するまで待機する。
[10−2.サブ統合側タイマ割り込み処理]
次に、サブ統合側タイマ割り込み処理について説明する。このサブ統合側タイマ割り込み処理が開始されると、図34に示すように、サブ統合基板63のサブ統合MPU63aは、2msタイマ割り込み処理を行う(ステップS420)。この2msタイマ割り込み処理は、例えば、図33に示したサブ統合側リセット処理におけるステップS408の16ms定常処理で設定された上あご可動装置176及び下あご可動体装置177の駆動パターン(スケジューラ)に基づいて上あご可動装置176及び下あご可動体装置177の駆動処理等を行う。
ステップS420に続いて、2ms更新カウンタCに値1を加算する(ステップS422)。この2ms更新カウンタCは、このサブ統合側タイマ割り込み処理が行われた回数をカウントするカウンタであり、2ms更新カウンタCの値1は2msの時間に相当する。ステップS422に続いて、2ms更新カウンタCが値8、つまり16ms(=2ms更新カウンタC×2ms)であるか否かを判定する(ステップS424)。16msであるときには、16ms経過フラグST−FLGに値1をセットし(ステップS426)、16ms処理中フラグSP−FLGが値0、つまり図33に示したサブ統合側リセット処理におけるステップS408の16ms定常処理を行っているか否かを判定する(ステップS428)。16ms処理中フラグSP−FLGが値0であるとき、つまり16ms定常処理を行っていないときには、作業領域のバックアップを行い(ステップS430)、このルーチンを終了する。この作業領域のバックアップは、図33に示したサブ統合側リセット処理におけるステップS408の16ms定常処理で処理した情報を作業領域上に設けたコピー領域にコピーする。一方、ステップS424で16ms経過していないとき又はステップS428で16ms定常処理中に情報の設定がなかったときには、そのままこのルーチンを終了する。
[10−3.コマンド受信割り込み処理]
次に、コマンド受信割り込み処理について説明する。このコマンド受信割り込み処理が開始されると、図35に示すように、サブ統合基板63のサブ統合MPU63aは、主制御基板65からのコマンドを受信開始する信号(以下、「WR信号」という。)と、主制御基板65からの各種基板をセレクトする信号(以下、「SEL信号」という。)と、がともに値1であるか否かを判定する(ステップS440)。主制御基板65の主制御MPU65aは、まずサブ統合基板63に対応するSEL信号を値1、そしてWR信号を値1にそれぞれセットしてサブ統合基板63にコマンドを送信する。
このコマンドは、1パケット4ニブルにより構成されている。この「ニブル」とは、4ビットを意味し、2ニブルでは8ビット(1バイト)、つまり4ニブルでは16ビット(2バイト)となる。1ニブルのデータの抽出は、WR信号が値0から値1に立ち上がって(「アップエッジ」という。)、所定時間(例えば、20マイクロ秒(μs)〜50μs)保持された後、WR信号が値1から値0に立ち下がる(「ダウンエッジ」という。)ことにより行われ、1パケットでは合計4回行われる。
ステップS440でWR信号及びSEL信号がともに値1であるとき、つまり主制御MPU65aがサブ統合基板63にコマンドを送信するときには、コマンド受信処理を行い(ステップS442)、このルーチンを終了する。このコマンド受信処理は、受信した1ニブル分のコマンド(4分割されたコマンドのうち1つ)をサブ統合MPU63aに内蔵されたRAMのリングバッファに記憶する。この「リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶する。
リングバッファに記憶したあと、続いてバッファライトカウンタを値1だけ加算する。このバッファライトカウンタは、コマンド受信処理を行うごとに値1ずつ加算する。このため、1パケット(4ニブル)を記憶するとバッファライトカウンタは値4になる。
一方、ステップS440でSEL信号及びWR信号がともに値0であるとき、つまり主制御MPU65aがサブ統合基板63にコマンドを送信しないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、主制御基板65からサブ統合基板63へのコマンド送信時には、上述したようにWR信号のアップエッジからダウンエッジまでの所定時間(例えば、20μs〜50μs)、SEL信号、WR信号、データ(4ビット)が一定に保持されているが、ノイズの影響により信号が乱れ、コマンドを正常に受信できないおそれがある。そこで、このノイズ対策として、サブ統合MPU63aは、SEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信(1回目)すると所定時間経過(例えば、1μs)後、再びSEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信する。そして、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致しているか否かを判定する。1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致しているときには、ステップS440でWR信号及びSEL信号がともに値1であるか否かを判定する。一方、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致していないときには、所定時間経過後、再びSEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信し、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致するまで判定を繰り返し行う。
[10−4.コマンド受信終了割り込み処理]
次に、コマンド受信終了割込み処理について説明する。このコマンド受信終了割り込み処理が開始されると、図36に示すように、サブ統合基板63のサブ統合MPU63aは、WR信号及びSEL信号がともに値0であるか否かを判定する(ステップS450)。主制御基板65の主制御MPU65aは、サブ統合基板63にコマンドの送信を完了すると、WR信号に値0をセットした後、SEL信号を値0にセットする(ダウンエッジ)。ステップS450でWR信号及びSEL信号がともに値0であるとき、つまり主制御MPU65aがサブ統合基板63にコマンドの送信を完了したときには、コマンド受信終了処理を行い(ステップS452)、このルーチンを終了する。このコマンド受信終了処理は、図35に示したコマンド受信割り込み処理で加算されたバッファライトカウンタに値0をセットする。コマンドを正常に受信できたときには、1パケット4ニブルであるため、バッファライトカウンタは値4になる。また、1パケット分の受信を行えなかったとき、つまりバッファライトカウンタが値4未満のときには、受信したコマンドを破棄する。
一方、ステップS450でWR信号及びSEL信号がともに値0でないとき、つまり主制御MPU65aがサブ統合基板63にコマンドの送信を完了していないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、上述したように、ノイズ対策として、サブ統合MPU63aは、SEL信号を受信(1回目)すると所定時間経過(例えば、1μs)後、再びSEL信号を受信し、1回目に受信したSEL信号と一致しているか否かを判定する。1回目に受信したSEL信号と一致しているときには、ステップS450でWR信号及びSEL信号がともに値0であるか否かを判定する。一方、1回目に受信したSEL信号と一致していないときには、所定時間経過後、再びSEL信号を受信し、1回目に受信したSEL信号と一致するまで判定を繰り返し行う。
なお、本実施形態では、コマンド受信割り込み処理、コマンド受信終了割り込み処理、サブ統合側タイマ割り込み処理、そして16ms定常処理の順で各処理の優先順位が設定されている。
[10−5.ストック告知処理]
次に、ストック告知処理について説明する。このストック告知処理が開始されると、図37に示すように、サブ統合基板63のサブ統合MPU63aは、50個以上のストック中であるか否かを判定する(ステップS460)。この判定は、図33に示したサブ統合側リセット処理におけるステップS408の16ms定常処理で主制御基板65から送信された送信情報から各種コマンドを解析し、解析したコマンドに基づいて行う。具体的には、解析したコマンドがストック表示を示す状態コマンドであるか否かを判定(ステータス:81H、モード:B7=値0、B6、B5=値1)し、ストック表示を示す状態コマンドであるときには、図34に示したモード、つまりストック表示を示す状態コマンドのビットB0に値1がセットされているか否かを判定する。ステップS460で50個以上のストック中でないとき、つまりストック表示を示す状態コマンドのビットB0に値1がセットされていない(値0がセットされている)ときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS460で50個以上のストック中であるとき、つまりストック表示を示す状態コマンドのビットB0に値1がセットされているときには、例えばホールの店員に対して遊技者の遊技を注意する旨を伝えるために注意演出として図13に示した賞球ランプ38の点灯制御を行う(ステップS462)。この点灯制御は、賞球ランプ38にON信号を出力することにより行い、賞球ランプ38が点灯する。なお、ストック状態が50個未満になると、賞球ランプ38へのON信号を停止する。
ステップS462に続いて、300個以上のストック中であるか否かを判定する(ステップS464)。この判定は、図34に示したモード、つまりストック表示を示す状態コマンドのビットB1に値1がセットされているか否かの判定を行う。ステップS464で300個以上のストック中でないとき、つまりストック表示を示す状態コマンドのビットB1に値1がセットされていない(値0がセットされている)ときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS464で300個以上のストック中であるとき、つまりストック表示を示す状態コマンドのビットB1に値1がセットされているときには、例えばホールの店員に対して遊技者の遊技をさらに注意する旨を伝えるために警告演出として図13に示した、サブ統合基板63の音源IC63cに音声案内を低音用スピーカ14及び中高音用スピーカ36から流すようコマンドを送信し(ステップS466)、このルーチンを終了する。音源IC63cは、音声案内を流すコマンドを受信すると、音ROM63dから対応するデータを読み出して低音用スピーカ14及び中高音用スピーカ36から音声案内を流す(警告演出には、注意演出による賞球ランプの点灯も行われる)。具体的には、音声案内として「払出ストックがあります」が低音用スピーカ14及び中高音用スピーカ36から流れるとともに、賞球ランプ38が点灯する。なお、ストック状態が300個未満になると、音声案内を停止するコマンドを音源IC63cに送信する。さらにストック状態が50個未満になると、上述したように、賞球ランプ38へのON信号を停止する。なお、上述したように、遊技状態が大当りとなると、遊技者は、うっかりして50個程度であれば遊技球を、図1に示した、下皿17(図6に示した下皿用球誘導通路50)から下皿用球排出ボタン17aを操作して抜かないことがある。遊技球を抜かないでいると未払い出しの球数(上述した賞球ストック数PBS)が増加する。そうすると、遊技状態が大当りとなるごとに注意演出が告知され、遊技者は、せっかくの大当りというリラックスした状態にあるにもかかわらず、いらだちを感じてしまう。このため、本実施形態における注意演出では、警告演出とは異なり、音声案内による告知を行わず、単にホールの店員に注意を促す、賞球ランプ38の点灯による告知に留めている。
[10−6.球抜き告知処理]
次に、球抜き告知処理について説明する。この球抜き告知処理が開始されると、図38に示すように、サブ統合基板63のサブ統合MPU63aは、球抜き中であるか否かを判定する(ステップS470)。この判定は、図33に示したサブ統合側リセット処理におけるステップS408の16ms定常処理で主制御基板65から送信された送信情報から各種コマンドを解析し、解析したコマンドに基づいて行う。具体的には、解析したコマンドに状態コマンドがあるか否かを判定(ステータス:81H、モード:B7、B6=値0、B5=値1)し、枠状態を示す状態コマンドがあるときには、図34に示したモード、つまり枠状態を示す状態コマンドのビットB2に値1がセットされているか否かを判定する。ステップS470で球抜き中でないとき、つまり枠状態を示す状態コマンドのビットB2に値1がセットされていない(値0がセットされている)ときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS470で球抜き中であるとき、つまり枠状態を示す状態コマンドのビットB2に値1がセットされているときには、図13に示した賞球ランプ38の点滅制御を行い(ステップS472)、このルーチンを終了する。この点滅制御は、賞球ランプ38にON/OFF信号を出力することにより行い、賞球ランプ38が点滅する。なお、球抜きの終了を契機に、払出制御基板75から主制御基板を65介して、サブ統合基板63に状態コマンドが出力される。サブ統合基板63は、解析した状態コマンドに基づいて(状態コマンドのビットB2に値0がセットされているか否かを判定する。)賞球ランプ38のON/OFF信号の出力を停止する。
以上説明した本実施形態のパチンコ機1によれば、外枠2の前面一側にヒンジ機構7によって本体枠3が開閉可能に装着されている。本体枠開放スイッチ3bにより、本体枠3が外枠2から開放された状態と、本体枠3が外枠2に閉鎖された状態と、が検出される。
また球タンク39によりパチンコ島設備から供給される遊技球が貯留され、この球タンク39から払出装置40に向けて遊技球が転動するよう傾斜した状態でタンクレール55が球タンク39の下方に設けられている。払出装置40は、タンクレールから遊技球が供給されており、賞球及び貸球用球通路92に遊技球を切り出す払い出し動作を行う一方、球抜き用球通路93に遊技球を切り出す球抜き動作を行う。この払出装置40による遊技球の払い出し動作及び球抜き動作は、払出制御基板75の払出制御MPU77aにより制御されている。
払出制御基板75は球抜きスイッチ81を備えており、この球抜きスイッチ81は払出装置40による遊技球の球抜き動作を開始するものであり、通常ホールの店員等しか操作することができないものである。球抜きスイッチ81からの検出信号は、本体枠開放スイッチ3bを介して払出制御MPU77aに入力されている。
払出制御MPU77aは、本体枠3が外枠2から開放された状態であるときには球抜きスイッチ81と払出制御MPU77aとの電気的な接続が本体枠開放スイッチ3bにより導通された状態となって払出装置40による遊技球の球抜き動作を実行する一方、本体枠3が外枠2に閉鎖された状態であるときには球抜きスイッチ81と払出制御MPU77aとの電気的な接続が本体枠開放スイッチ3bにより切断された状態となって払出装置40による遊技球の球抜き動作を実行しない。
ここで、パチンコ機1をホールに設置して移設するときや球タンク39及びタンクレール55に溜まったゴミ(例えば、遊技球のメッキがはがれた粉等)を取り除くときには、ホールの店員等は、本体枠3を外枠2から開放した状態にして球抜きスイッチ81を操作し、払出装置40による遊技球の球抜き動作を開始させる。このように、球抜き動作が行われているときには本体枠3が外枠2から開放された状態となっている。そこで、球抜きスイッチ81からの検出信号を、本体枠開放スイッチ3bを介して払出制御MPU77aに入力することによって、払出制御MPU77aは球抜きスイッチ81からの検出信号を監視することで本体枠3が外枠2から開放された状態で払出装置40による遊技球の球抜き動作を行うことができる。これにより、球抜き動作を悪用して不正に遊技球を獲得しようとしても、本体枠3を外枠2から開放する必要があり、その開放する動作が極めて目立つ状態となる。したがって、球抜き動作を悪用した不正行為を防止することができる。
また、主制御基板65の主制御MPU65aは、図18の主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS80の賞球制御処理で賞球コマンドを払出制御基板75に送信する。この賞球コマンドは、払出装置40から賞球として払い出す遊技球の球数を指定するものである。払出制御基板75の払出制御MPU77aは、1.75msごとに、図21の払出制御側電源投入時処理におけるステップS134〜ステップS162の払出制御側メイン処理を繰り返し行う。払出制御MPU77aは、図21の払出制御側電源投入時処理(払出制御側メイン処理)におけるステップS152のコマンド受信処理で主制御基板65からの賞球コマンドを受信する。この賞球コマンドに基づいて図28の払出設定処理を行う。これにより、払出装置40による遊技球の払い出し動作が行われる。
払出制御MPU77aは、図23の球抜きスイッチ操作判定処理により球抜きスイッチ81が操作されたと判定されたときには図29の球抜き設定処理を行う。これにより、払出装置40による遊技球の球抜き動作が行われる。
このように、球抜きスイッチ81からの検出信号は本体枠開放スイッチ3bを介して払出制御MPU77aに入力されており、払出制御MPU77aは本体枠開放スイッチ3bからの検出信号を監視する必要がない。このため、プログラム作成者は本体枠開放スイッチ3bからの検出信号に基づいて行う制御プログラムを作成する必要がない。なお、近年における払出制御MPU77aの各種制御プログラムは、例えば図21の払出制御側電源投入時処理におけるステップS164〜ステップ174の払出制御側電源断時処理(バックアップ処理)等により、払出制御MPU77aに内蔵されたROM(内蔵ROM)の保存領域に限界にまで達してきている。このため、新たな機能を追加しようとしても、制御プログラムを保存する領域が足りないため、既存の各種制御プログラムを修正してその大きさを小さくする手間が必要となっている。本発明のパチンコ機1では、抜きスイッチ81からの検出信号が本体枠開放スイッチ3bを介して払出制御MPU77aに入力されており、既存の各種制御プログラムを修正することなく、払出制御MPU77aは、本体枠3が外枠2から開放された状態であることを把握することができる。
更に、ベース部材76bと、このベース部材76bに組み合わされるカバー部材76aと、の間に払出制御基板75が収容される払出制御基板ボックス76を備えており、この払出制御基板ボックス76は、封印ねじ76hを用いてベース部材76bとカバー部材76aとを相互に締結することで封印され、払出制御基板ボックス66を開封する切除ブロックb1〜b3に切除部76gがそれぞれ設けられ、それらの切除ブロックb1〜b3を切断する際に、対応する切除部76gが切除される。例えば球抜きスイッチ81をリモコン操作によりON/OFFすることができる回路を不正に払出制御基板75に取り付ける場合には、払出制御基板ボックス76を開封して払出制御基板75を改変する必要がある。ところが、払出制御基板ボックス76を開封すると、切除部76gが切除された状態となるため痕跡が残る。これにより、例えばホールの店員等は、切除部76gを目視することによって払出制御基板ボックス76の開封有無を容易に確認にすることができ、また払出制御基板75の改変有無の確認に役立つ。
[11.別例]
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、パチンコ機1を例にとって説明したが、本発明が適用できる遊技機はパチンコ機に限定されるものではなく、パチンコ機以外の遊技機、例えばスロットマシン又はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた融合遊技機(遊技球を用いてスロット遊技を行うもの。)などにも適用することができる。
1…パチンコ機(パチンコ機)、2…外枠(外枠)、3…本体枠(本体枠)、3a…前面枠開放スイッチ、3b…本体枠開放スイッチ(本体枠開放スイッチ)、4…遊技盤、5…前面枠、7…ヒンジ機構(ヒンジ機構)、12…遊技領域、17…下皿、18…操作ハンドル、18a…発射レバー、18b…タッチスイッチ、18c…発射停止スイッチ、39…球タンク(球タンク)、40…払出装置(払出装置)、41…払出モータ、55…タンクレール(タンクレール)、57…液晶制御基板、63…サブ統合基板、65…主制御基板、66…主制御基板ボックス、75…払出制御基板(払出制御基板)、76…払出制御基板ボックス、77…払出制御部、78…発射制御部、81…球抜きスイッチ(球抜きスイッチ)。