次に、本発明の好適な実施形態について図面に基づいて説明する。まず、パチンコ機の構成について説明し、続いてパチンコ機の背面構成について説明する。図1はパチンコ機の正面図であり、図2は本体枠及び前面枠を開放した状態のパチンコ機を示す斜視図であり、図3は本体枠及び遊技盤を分離した状態を示す斜視図であり、図4はパチンコ機の背面図である。
[1.パチンコ機の構成]
パチンコ機1は、図1及び図2に示すように、外枠2、本体枠3、遊技盤4、前面枠5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の枠材により縦長四角形の枠状に形成され、外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面一側には、ヒンジ機構7により本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。また、本体枠3は、前枠体8、遊技盤装着枠9及び機構装着枠10を合成樹脂材により一体成形することで構成されている。本体枠3の前側に形成された前枠体8は、外枠2前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。
前枠体8の後部に一体的に形成された遊技盤装着枠9には、遊技盤4が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤4の盤面(前面)には、外レールと内レールとを備えた案内レール11が設けられ、この案内レール11の内側には、遊技領域12が区画形成されている。
この遊技領域12には、各種入賞口を備えた各種ユニット等が設けられており、遊技領域12の中央(中央上側寄り)にセンター役物装置が設けられている。このセンター役物装置は、その詳細な説明については後述するが、演出効果を高めるさまざまな工夫が施されており、液晶表示器、演出ランプ、階調ランプ及び可動体等を備えて構成されている。演出ランプは点灯し、階調ランプはその明るさが滑らかに変化して階調点灯する。可動体は液晶表示器で繰り広げられる演出(画像)に合わせて可動する。
遊技盤装着枠9よりも下方に位置する前枠体8の前側下部の一側寄りには、スピーカ装着板13を介して低音用スピーカ14が装着されている。また、前枠体8前面の下部領域内の上側部分には、遊技盤4の発射通路に向けて遊技球を導く発射レール15が傾斜状に装着されている。一方、前枠体8前面の下部領域内の下側部分には、下前面部材16が装着されている。下前面部材16前面のほぼ中央には、下皿17が設けられ、片側寄りには操作ハンドル18が設けられている。なお、下皿17には下皿用球排出ボタン17aが設けられており、この下皿用球排出ボタン17aを操作すると、下皿17に貯留された遊技球を図示しない受け箱(ドル箱)に排出することができるようになっている。
本体枠3(前枠体8)のヒンジ機構7が設けられる側とは反対側となる開放側の後面には、外枠2に対して本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対して前面枠5を施錠する機能と、を兼ね備えた施錠装置19が装着されている。施錠装置19は、外枠2に設けられた閉止具20に係脱可能に係合して本体枠3を閉鎖状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック21と、前面枠5の開放側の後面に設けられた閉止具22に係脱可能に係合して前面枠5を閉鎖状態に施錠する上下複数の扉施錠フック23と、を備えている。そして、シリンダー錠24の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることにより本体枠施錠フック21と外枠2の閉止具20との係合が解除されて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に鍵が回動操作されることにより扉施錠フック23と前面枠5の閉止具22との係合が解除されて前面枠5が解錠されるようになっている。なお、シリンダー錠24の前端部は、パチンコ機1の前方から鍵を挿入して解錠操作が行えるように前枠体8及び下前面部材16を貫通して下前面部材16の前面に露出して配置されている。
本体枠3前面の一側には、ヒンジ機構25により前面枠5が前方に開閉可能に装着されている。前面枠5は、扉本体フレーム26、サイド装飾装置27、上皿28及び音響電飾装置29を備えて構成されている。扉本体フレーム26は、プレス加工された金属製フレーム部材により構成され、前枠体8の上端から下前面部材16の上縁に亘る部分を覆う大きさに形成されている。扉本体フレーム26のほぼ中央には、遊技盤4の遊技領域12を前方から透視可能なほぼ円形状の開口窓30が形成されている。また、扉本体フレーム26の後側には、開口窓30よりも大きい矩形枠状をなす窓枠31が設けられ、この窓枠31には、透明板32が装着されている。
扉本体フレーム26の前側には、開口窓30の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置27、下部に上皿28及び上部に音響電飾装置29がそれぞれ装着されている。サイド装飾装置27は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材により形成されたサイド装飾体33を主体として構成されている。サイド装飾体33には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、この開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ34が組み込まれている。音響電飾装置29は、透明カバー体35、中高音用スピーカ36、スピーカカバー37、賞球ランプ38及び図示しないリフレクタ体等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。賞球ランプ38は、例えば遊技者が下皿17に遊技球を満タンにした状態で遊技を続け、所定の条件が成立すると、ホールの店員等に賞球ストック(未払出分)が生じている旨を伝えるため点灯する。なお、パチンコ機1と隣接してプリペイドカードユニット1aが配置されている。このプリペイドカードユニット1aはパチンコ機1と接続されており、パチンコ機1に貸球に関する信号等を出力する。
本体枠3の機構装着枠10には、図3に示すように、その上側に球タンク39、その左側に払出装置40が装着されている。球タンク39は図示しないパチンコ島設備から供給される遊技球を貯留している。貯留された遊技球は、後述するタンクレールに沿って転動し、払出装置40で取り込まれている。払出装置40は払出モータ41を備えている。
払出装置40の下方には、球誘導構成部42が機構装着枠10に設けられている。この球誘導構成部42には、その内部に、上皿用球誘導通路43及び球抜き用球誘導通路44が形成されている。また球誘導構成部42には、球抜き用球排出構成部材46が装着されている。この球抜き用連絡排出構成部材46には、その内部に、球抜き用連絡球排出通路47が形成されており、遊技盤装着枠9の下側に設けられている球抜き用球排出通路48と接続されている。
払出装置40で取り込んだ遊技球は、払出モータ41の回転によって上皿用球誘導通路43又は球抜き用球誘導通路44のいずれかに切り出される。上皿用球誘導通路43に切り出された遊技球は、上皿用球貯留部45に落下して図1に示した上皿28に誘導される。一方、球抜き用球誘導通路44に切り出された遊技球は、球抜き用連絡球排出通路47、そして球抜き用球排出通路48に沿って落下し、抜き球としてパチンコ島設備に排出される。
球誘導構成部42の下方には、球誘導カバー49が機構装着枠10に装着されている。この球誘導カバー49には、その内部に、下皿用球誘導通路50が形成されており、上皿28及び上皿用球貯留部45が遊技球で満タンになると、上皿用球誘導通路43に切り出された遊技球は、上皿用球貯留部45から溢れて下皿用球誘導通路50に落下し、この下皿用球誘導通路50に沿って転動し、下皿用球貯留部51に落下して図1に示した下皿17に誘導される。
本体枠3の遊技盤装着枠9の下側には、セーフ球用球排出通路52及びアウト球用球排出通路53が設けられている。セーフ球用球排出通路52は、遊技盤4の遊技領域12に設けられた各種入賞口に入球した遊技球をセーフ球としてパチンコ島設備に排出する。一方、アウト球用球排出通路53は、それらの各種入賞口に入球しなかった遊技球をアウト球としてパチンコ島設備に排出する。
次に、パチンコ機1の背面構成について説明する。パチンコ機1の背面には、図4に示すように、上述した、球タンク39及び払出装置40が機構装着枠10に装着されている。球タンク39の下方には、球タンク39から払出装置40に向けて遊技球が転動するよう傾斜した状態(図4中、右下がりの勾配を持たせた状態)でタンクレール55が機構装着枠10に設けられている。
タンクレール55の下方には、遊技盤装着枠9に装着された遊技盤4が配置されている。この遊技盤4の中央上寄りにはセンター役物装置が配置されており、このセンター役物装置の最後部には液晶モジュール56が取り付けられている。この液晶モジュール56は、液晶表示器57、液晶制御基板58が収容された液晶制御基板ボックス59等を備えて構成されている。液晶制御基板58は、液晶表示器57にさまざまな画像を表示する制御を行う。
遊技盤4の裏面左側には、ランプ駆動基板60が収容されたランプ駆動基板ボックス61が配置されている。ランプ駆動基板60は、センター役物装置に備えた演出ランプへの点灯信号及び階調ランプへの階調信号を出力する制御を行う一方、ステッピングモータ及びソレノイド等の可動体の電気的駆動源への駆動信号を出力する制御も行う。
遊技盤4の裏面下側には、ボックス装着台62が配置されている。このボックス装着台62は、サブ統合基板63が収容されたサブ統合基板ボックス64と、主制御基板65が収容された主制御基板ボックス66と、が装着されている。具体的には、サブ統合基板ボックス64に重ね合わされた状態で主制御基板ボックス66が装着されている。ボックス装着台62は、サブ統合基板ボックス64及び主制御基板ボックス66が装着された状態でもサブ統合基板ボックス64及び主制御基板ボックス66が遊技盤4の外郭より外側にはみ出さないように配置されている。なお、サブ統合基板63は音声、演出ランプ、階調ランプ及び可動体の駆動源等の各種制御を行い、主制御基板65は遊技の進行の各種制御を行う。
このように、タンクレール55の下方には、液晶モジュール56(後述するセンター役物装置)及び主制御基板ボックス66等が突出している。このため、球タンク39から落下した遊技球による損傷又は電気的な短絡が生じないよう後カバー67が設けられている。この後カバー67は、液晶モジュール56(センター役物装置)及び主制御基板ボックス66の上側を覆いかぶさる大きさの矩形状に形成されており、図示しないカバーヒンジ機構により開閉及び着脱可能に機構装着枠10に装着されている。なお、後カバー67は半透明の合成樹脂材により形成されており、後カバー67が閉状態であっても、例えば作業者が液晶モジュール56及びランプ駆動基板ボックス61等を目視できるようになっている。
主制御基板ボックス66は、その上側のみ後カバー67に覆われており、その上側以外は露出されている。主制御基板65は、その下側に検査用コネクタ68及びRAMクリアスイッチ69等が配置されており、検査用コネクタ68及びRAMクリアスイッチ69が主制御基板ボックス66から露出されている。このため、後カバー67が閉状態であっても、検査用コネクタ68に図示しない基板検査装置のコネクタを差し込むことができ、主制御基板65の検査を行うことができる。また、RAMクリアスイッチ69を操作して、主制御基板65から遊技に関する各種情報を消去(クリア)することができる。
遊技盤装着枠9の下方、前枠体8の後下側領域(以下、単に「下側領域」と記載する。)には、その左側に発射装置70が配置されている。この発射装置70は、発射モータ71及び発射ハンマー72等を備えて構成されている。発射モータ71は、発射ハンマー72を作動させて遊技球を図1に示した遊技領域12に向けて発射する。発射装置70の上方には、電源基板73が収容された電源基板ボックス74と、発射制御基板75が収容された発射制御基板ボックス76と、が配置されている。具体的には、電源基板ボックス74に重ね合わされた状態で発射制御基板ボックス76が装着されている。電源基板73の上方には、電源基板中継端子板装着部77が遊技盤装着枠9に設けられており、この電源中継端子板装着部77には電源中継端子板78が装着されてカバー79によって覆われている。なお、電源基板73は電源中継端子板78を介して主制御基板65等の各種制御基板に電力を供給し、発射制御基板75は発射装置70の各種制御を行う。
下側領域の中央には、払出制御基板80が収容された払出制御基板ボックス81が配置されている。払出制御基板80は、払出装置40の払い出しに関する各種制御を行い、その下側にエラーLED表示器82及びエラー解除スイッチ83、その上側に球抜きスイッチ84等が配置されている。エラーLED表示器82は、球切れ、球がみ、賞球ストック(未払出分あり)、接続異常等の動作エラー状態を表示する。エラー解除スイッチ83を操作すると、図1に示した低音用スピーカ14及び中高音用スピーカ36から動作エラー状態に応じたエラー解除法を伝える音声案内が流れる。球抜きスイッチ84は、球タンク39及びタンクレール55に貯留されている遊技球を排出開始するスイッチである。
下側領域の右側には、上述した球誘導カバー49が配置されており、インターフェース基板85が収容されたインターフェース基板ボックス86が装着されている。インターフェース基板85は、パチンコ機1に隣接して設置されている、プリペイドカードユニット1aと払出制御基板80とを電気的に接続し、貸球に関する信号等を送受信する。
払出装置40の上方には、段差状を有して、上段に分電基板ボックス装着部87、下段に外部端子板ボックス装着部88が機構装着枠10に設けられている。分電基板ボックス装着部87には分電基板89が収容された分電基板ボックス90が装着され、外部端子板装着部88には外部端子板91が収容された外部端子板ボックス92が装着される。分電基板89は、電源基板コネクタ93、電源スイッチ94等を備えて構成されており、電源基板コネクタ93及び電源スイッチ94が分電基板ボックス90から露出されている。電源基板コネクタ93は図示しない電源コードと電気的に接続することでき、電源コードのプラグは図示しないパチンコ島設備の電源コンセントに差し込まれており、パチンコ島設備からの電力がパチンコ機1に供給されている。電源スイッチ94を操作すると、パチンコ島設備からの電力が分電基板89から上述した電源基板73に供給され、パチンコ機1の電源投入を行うことができる。外部端子板91は、複数の外部出力端子95等を備えて構成されており、外部出力端子95が分電基板ボックス90から露出されている。外部出力端子95は、主制御基板65の遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払出制御基板80の払い出しに関する各種情報(払出情報)を、ホールに設置された図示しないホールコンピュータに出力している。このホールコンピュータは、これらの遊技情報及び払出情報により遊技者の遊技を監視している。
[2.主制御基板ボックスの構成]
次に、図4に示した主制御基板ボックス66の構成について説明する。まず、主制御基板ボックス66の構成部材について説明し、続いて主制御基板ボックス66の開封方法について説明する。図5は主制御基板ボックスの分解斜視図であり、図6は主制御基板ボックスの開封方法を示す概略図である。
[2−1.主制御基板ボックスの構成部材]
主制御基板ボックス66は、図5に示すように、カバー部材100、ベース部材101を備えて構成されており、ボックス形状を有している。カバー部材100及びベース部材101は透明な合成樹脂材により形成されており、その内部には上述した主制御基板65が収容されている。
主制御基板65は、図4に示した、検査用コネクタ68、RAMクリアスイッチ69の他に、主制御MPU65a、主制御I/Oポート65b、主制御シリーズレギュレータ65c、電波検出スイッチ65dを備えて構成されている。主制御MPU65aはマイクロプロセッサであり、入出力デバイスである主制御I/Oポート65bを介して、サブ統合基板63、払出制御基板80等と信号をやり取りする。主制御シリーズレギュレータ65cは主制御基板65の基準電圧である制御電圧(主制御MPU65aの作動電圧)を作成する。電波検出スイッチ65dは主制御シリーズレギュレータ65cと隣接して配置されており、主制御シリーズレギュレータ65cに照射された所定周波数の電波を検出する。これらの詳細な説明は後述する。
また主制御基板65は、払出制御接続基板コネクタ65e、サブ統合接続基板コネクタ65f、電源接続コネクタ65g、各種の基板コネクタ65h等が設けられている。払出制御接続基板コネクタ65eは図4に示した払出制御基板80と主制御基板65とを電気的に接続する基板コネクタであり、サブ統合接続基板コネクタ65fは図4に示したサブ統合基板63と主制御基板65とを電気的に接続する基板コネクタであり、電源供給基板コネクタ65gは図4に示した電源中継端子板78と主制御基板65とを電気的に接続する基板コネクタである。電源中継端子78から供給される電源については後述する。
カバー部材100の上辺左右側にはカバー部材側封印部102、カバー部材100の下辺にはL字係合片103が設けられており、一方、ベース部材101の上辺左右側にはベース部材側封印部104、ベース部材101の下辺には係合孔105が設けられている。カバー部材100の上辺左右側に設けられたカバー部材側封印部102には所定個数(本実施形態では、4つ。)のカバー部材側挿入孔106が所定間隔を隔ててそれぞれ設けられており、ベース部材101の上辺左右側に設けられたベース部材側封印部104にはそれらカバー部材側挿入孔106に対応するようにベース部材側挿入孔107がそれぞれ設けられている。
主制御基板65はベース部材101の下側内壁二隅で図示しないねじでねじ止めされている。カバー部材100のL字係合片103をベース部材101の係合孔105に挿入したままの状態で、その係合孔105を回転中心として、カバー部材100のカバー部材側封印部102をベース部材101のベース部材側封印部104に近づけることで回転させ、カバー部材100をベース部材101に嵌め合わす。そして、カバー部材側封印部102のカバー部材側挿入孔106に挿入されている封印ねじを、ベース部材側封印部104のベース部材側挿入孔107に向かってねじ込む。これにより、カバー部材側封印部102とベース部材側封印部104とが相互に締結してカバー部材100とベース部材101とが密着し、主制御基板ボックス66が封印される。封印後、ねじ込んだ封印ねじのカバー部材側挿入孔106には図示しない蓋部材が挿入される。
具体的に説明すると、カバー部材側封印部102のカバー部材側挿入孔106に図示しないかしめ部材が挿入されて回り止めされた状態で固定されている。このかしめ部材に封印ねじがねじ込まれると、ベース部材側封印部104のベース部材側挿入孔107に突出している、かしめ部材の部位がその外径を大きくする方向に塑性変形して拡開し、ベース部材側挿入孔107の内壁と干渉する。これにより、カバー部材100とベース部材101とを相互に締結することができる。
なお、図示しないねじを、ベース部材101の裏面上側二隅からカバー部材100に向かってねじ込むことにより、主制御基板65は主制御基板ボックス66の内部で固定された状態で収容される。
また、カバー部材100には、検査用コネクタ68、RAMクリアスイッチ69、払出制御接続基板コネクタ65e、サブ統合接続基板コネクタ65f、電源接続コネクタ65g、各種の基板コネクタ65hが露出するように挿通孔108がそれぞれ設けられている。
[2−2.主制御基板ボックスの開封方法]
次に主制御基板ボックス66の開封方法について説明する。主制御基板ボックス66は、図5に示したように、カバー部材側封印部102のカバー部材側挿入孔106からベース部材側封印部104のベース部材側挿入孔107に向かって封印ねじがねじ込まれている。この封印ねじが挿入されたカバー部材側挿入孔106を切除することによって、カバー部材100をベース部材101から取り外すことができる。つまり、主制御基板ボックス66を開封することができる。
カバー部材側封印部102は、図6に示すように、三角形状を有する切除部109が隆起状に設けられている。この切除部109は、封印ねじ110が挿入されている、カバー部材側挿入孔106を切除する切断経路C1〜C3上にそれぞれ配置されている。例えば、図中番号1に封印ねじ110がねじ込まれている場合には(図中番号1のカバー部材側挿入孔106には蓋部材111が挿入されている。)、切断経路C1に沿って、ニッパー、ナイフ等の切断工具を用いて切断すると(このとき、図中番号1の切除部109が破壊される。)、封印ねじ110がねじ込まれたままの状態で、切除ブロックB1をカバー部材側封印部102から切除することができる。これにより、切除ブロックB1のみがベース部材101に残された状態になり、カバー部材100をベース部材101から取り外すことができる。つまり、主制御基板ボックス66を開封することができる。
開封後、主制御基板ボックス66を封印する場合には、図中番号2のカバー部材側挿入孔106に、挿入されている封印ねじ110を、ベース部材側封印部104のベース部材側挿入孔107に向かってねじ込む。この封印された状態で、主制御基板ボックス66を開封する場合には、切断経路C2に沿って、切断工具で切断し(このとき、図中番号2の切除部109が破壊される。)、切除ブロックB2をカバー部材側封印部102から切除する。開封後さらに、主制御基板ボックス66を封印する場合には、図中番号3のカバー部材側挿入孔106に、挿入されている封印ねじ110を、ベース部材側封印部104のベース部材側挿入孔107に向かってねじ込む。この封印された状態で、主制御基板ボックス66を開封する場合には、切断経路C3に沿って、切断工具で切断し(このとき、図中番号3の切除部109が破壊される。)、切除ブロックB3をカバー部材側封印部102から切除する。開封後さらにまた、主制御基板ボックス66を封印する場合には、図中番号4のカバー部材側挿入孔106に、挿入されている封印ねじ110を、ベース部材側封印部104のベース部材側挿入孔107に向かってねじ込む。図中番号4のカバー部材側挿入孔106に挿入されている封印ねじ110は、主制御基板ボックス66を最終的に封印する。このため、上述した切断経路C1〜C3のような切断経路が設けられていない。
このように、図5に示した、主制御MPU65a、主制御I/Oポート65b、主制御シリーズレギュレータ65c、電波検出スイッチ65d等は、封印された主制御基板ボックス66に収容されているため、図6に示した、切除ブロックB1〜B3を切除して主制御基板ボックスを開封しない限り、主制御基板65を直接触れることができない構造となっている。また、切除ブロックB1〜B3を切除するためには、図6に示した切除部109を破壊しなければならないため、例えばホールの従業員は、切除部109を目視することで容易に主制御基板ボックス66が開封されたか否かを確認することできる。したがって、例えば主制御基板65が不正に改変されても、切除部109を目視することによって、改変の有無を確認することができる。
[3.遊技盤の構成]
次に、上述した遊技盤4の構成について説明する。まず、遊技盤4の遊技領域12内に設けられた各種構成部材について説明し、続けて遊技盤4の各種構成部材について説明する。図7は遊技盤の正面図であり、図8は遊技盤の構成を示す斜視図である。なお、遊技領域12内に打ち込まれた遊技球が落下するとき、遊技球を弾いて遊技球の進行方向を複雑にする複数の障害釘は、図面の見やすさの関係上、図示を省略した。
[3−1.遊技領域内の各種構成部材]
遊技盤4の遊技領域12には、図7に示すように、センター役物装置120、入賞口ユニット121及び装飾ユニット122が設けられている。センター役物装置120は遊技領域12の中央上寄りに配置され、その下方には入賞口ユニット121が配置されている。装飾ユニット122はセンター役物装置120の左下方(入賞口ユニット121の左方)に配置されている。
[3−1−1.センター役物装置]
センター役物装置120は、その上側に点灯する演出ランプ123、右側に明るさが滑らかに変化して階調点灯する階調ランプ124が設けられている。そして下側に遊技球が左右に揺動するステージ125と、入賞口ユニット121に遊技球を誘導する、球誘導孔126及び球誘導路127とが設けられており、左側にステージ125に遊技球を誘導するワープ孔128と、遊技球が通過することができるゲート129とが設けられている。このゲート129に進入した遊技球はゲートスイッチ130により検出されて再び遊技領域12内に戻るようになっている。ゲート129の下方には、ワープ孔128が配置されている。このワープ孔128に進入した遊技球はステージ125に誘導されて揺動したり又は球誘導孔126に進入して球誘導路127を通過したりして、再び遊技領域12内に戻るようになっている。
センター役物装置120に進入した遊技球がセンター役物装置120からパチンコ機1の内部に進入しないようセンター役物装置120には隔壁板131が設けられている。上述した球誘導孔126は隔壁板131に設けられており、球誘導路127と連結されている。これにより、球誘導孔126に進入した遊技球は球誘導路127を通過して遊技領域12内に再び戻るようになっている。また、隔壁板131は、上述した液晶表示器57の表示領域132に遊技球が衝突するのを防いでいる。
なお、センター役物装置120の上側及び下側には可動体がそれぞれ配置されており、視認できない位置(原位置)で待機している。これらの可動体は、隔壁板131と表示領域132との間で可動するようになっており、所定の条件が成立したとき、原位置から表示領域132の前面側にそれぞれ出現して再び原位置に戻るようになっている。
[3−1−2.入賞口ユニット]
入賞口ユニット121は、上始動入賞口133、下始動入賞口134、大入賞口装置135を備えて構成されている。入賞口ユニット121の上側には上始動入賞口133が配置されており、この上始動入賞口133の下方には下始動入賞口134が配置されている。上始動入賞口133に入球した遊技球は上始動口スイッチ136により検出され、下始動入賞口134に入球した遊技球は下始動口スイッチ137により検出される。下始動入賞口134には開閉翼138が設けられており、開閉翼ソレノイド139に駆動信号が出力されると、開閉翼138が開くようになっている。一方、駆動信号が出力されないと、開閉翼138が閉じるようになっている。開閉翼138が開くと、下始動入賞口134に遊技球が入球しやすい開状態となる。一方、開閉翼138が閉じると、下始動入賞口134に遊技球が入球することができない閉状態となる。
ここで、その詳細な説明については後述するが、所定の条件が成立したとき、開閉翼ソレノイド139に駆動信号が出力されると、開閉翼138が開いて下始動入賞口134が閉状態から開状態となる。このとき、遊技球が下始動入賞口134に入球しやすくなる。一方、開閉翼ソレノイド139に駆動信号が出力されなくなると、開閉翼138が閉じて下始動入賞口134が開状態から閉状態となる。このとき、下始動入賞口134の左方又は右方から進入してくる遊技球は開閉翼138によりブロックされる。なお、下始動入賞口134の上方には上始動入賞口133が配置されている。このため、上方から進入してくる遊技球は上始動入賞口133によりブロックされている。下始動入賞口134が閉状態から開状態となると、その左方又は右方から進入してくる遊技球に加えて、上始動入賞口133に入球しなかった遊技球、つまり下始動入賞口134の上方から進入してくる遊技球は、下始動入賞口134に入球する機会を得ることができる。
下始動入賞口134の下方には大入賞口装置135が配置されている。この大入賞口装置135は、大入賞口140、開閉板141、開閉板ソレノイド142、カウントスイッチ143を備えて構成されている。大入賞口140は横長四角形状を有しており、開閉板ソレノイド142に駆動信号が出力されると、開閉板141が開くようになっている。一方、駆動信号が出力されないと、開閉板141が閉じるようになっている。開閉板141が開くと、大入賞口140に遊技球が入球しやすい開放状態となる。一方、開閉板141が閉じると、大入賞口140に遊技球が入球することができない閉鎖状態となる。
ここで、その詳細な説明については後述するが、所定の条件が成立したとき、開閉板ソレノイド142に駆動信号が出力されると、開閉板141が開いて大入賞口140が閉鎖状態から開放状態となる。このとき、遊技球が大入賞口140に入球しやすくなり、この入球した遊技球はカウントスイッチ143により検出される。一方、開閉板ソレノイド142に駆動信号が出力されなくなると、開閉板141が閉じて大入賞口140が開放状態から閉鎖状態となる。このとき、遊技球が大入賞口140に入球できなくなる。
なお、入賞口ユニット121には、大入賞口装置135の左側に左普通入賞口144、右側に右普通入賞口145が設けられている。左普通入賞口144に入球した遊技球は左入賞口スイッチ146により検出され、一方、右普通入賞口145に入球した遊技球は右入賞口スイッチ147により検出される。
[3−1−3.装飾ユニット]
装飾ユニット122は、上特別図柄表示器148、下特別図柄表示器149、上特別図柄記憶ランプ150、下特別図柄記憶ランプ151、普通図柄表示器152、普通図柄記憶ランプ153、遊技状態表示ランプ154、小当り表示ランプ155、ラウンド表示ランプ156、演出ランプ157を備えて構成されている。
装飾ユニット122の上側には上特別図柄表示器148が配置されている。この上特別図柄表示器148の下方に下特別図柄表示器149が配置されている。上特別図柄表示器148は、上始動入賞口133に遊技球が入球すると、所定の特別図柄を変動表示する。一方、下特別図柄表示器149は、下始動入賞口134に遊技球が入球すると、上特別図柄表示器148と同様に、所定の特別図柄を変動表示する。なお、上始動入賞口133及び下始動入賞口134に入球した遊技球は、特別図柄の変動表示で使用されないときには、入球した遊技球の球数を保留数として上特別図柄記憶ランプ150及び下特別図柄記憶ランプ151にそれぞれ表示する。
上特別図柄記憶ランプ150及び下特別図柄記憶ランプ151の下方には普通図柄表示器152が配置されており、この普通図柄表示器152の右方に普通図柄記憶ランプ153が配置されている。普通図柄表示器152は、ゲート129を遊技球が通過すると、所定の普通図柄を変動表示する。なお、ゲート129を通過した遊技球は、普通図柄の変動表示で使用されないときには、通過した遊技球の球数を保留数として普通図柄記憶ランプ153に表示する。
普通図柄表示器152の下方には遊技状態表示ランプ154が配置されており、この遊技状態表示ランプ154に左方には小当り表示ランプ155が配置され、この小当り表示ランプ155の左方にはラウンド表示ランプ156が配置されている。遊技状態表示ランプ154は遊技状態として確率変動が生じているときには赤色で点灯し、確率変動が生じていないときにはランプが消灯する。小当り表示ランプ155は遊技状態として小当りが生じたときに点灯する。ラウンド表示ランプ156は大入賞口140が閉鎖状態から開放状態となる回数(「ラウンド」という。)に応じた色で点灯する。例えば、2ラウンドのときには赤色で点灯し、15ラウンドのときには緑色で点灯する。
なお、装飾ユニット122の下側には、装飾ユニット側普通入賞口158,159が設けられており、これらの装飾ユニット側普通入賞口158,159に遊技球が入球すると、上述した左入賞口スイッチ146で検出される。装飾ユニット側普通入賞口158,159の下側には、点灯する演出ランプ157が設けられている。遊技領域12内に発射された遊技球が入賞口ユニット121及び装飾ユニット122に設けた各種入賞口のいずれにも入球しなかったときにはアウト口160で回収される。
[3−2.遊技盤の各種構成部材]
次に、遊技盤4の各種構成部材について説明する。遊技盤4は、図8に示すように、前構成部材165、遊技盤本体166を備えて構成されている。前構成部材165は、ほぼ円形の開口167を有しており、この開口167内に遊技球を案内する上述した案内レール11が遊技盤本体166の前面側に装着されている。これにより、案内レール11の内側に遊技領域12が区画形成されている。また、前構成部材165の下側には上述したアウト口160が設けられている。遊技盤本体166は、適宜形状の貫通孔168を複数有しており、これらの貫通孔168を覆うように、センター役物装置120、入賞口ユニット121及び装飾ユニット122が装着されている。
遊技盤本体166の裏面下側には、セーフ球用球回収部材169が装着されている。このセーフ球用球回収部材169は、入賞口ユニット121及び装飾ユニット122の各種入賞口に入球した遊技球をセーフ球として回収する。セーフ球用球回収部材169を覆うように上述したボックス装着台62が装着されている。このボックス装着台62には、セーフ球用球誘導溝170が設けられており、このセーフ球用球誘導溝170に、セーフ球用球回収部材169で回収されたセーフ球が落下するようになっている。落下したセーフ球は、セーフ球用球誘導溝170に沿って転動し、図3に示したセーフ球用球排出通路50に誘導されて図示しないパチンコ島設備に排出されるようになっている。なお、ボックス装着台62には、上述したように、サブ統合基板63が収容されたサブ統合基板ボックス64が装着され、このサブ統合基板ボックス64の後部に重ね合わされた状態で、主制御基板65が収容された主制御基板ボックス66が装着されている。
また遊技盤本体166の裏面下側には、アウト球用球誘導溝171が設けられている。このアウト球用球誘導溝171は、アウト口160に対応する位置に設けられており、アウト口160で回収された遊技球が貫通孔168を介してアウト球用球誘導溝171に流入するようになっている。流入した遊技球は、アウト球としてアウト球用球誘導溝171に沿って落下し、図3に示したアウト球用球排出通路53に誘導されてパチンコ島設備に排出されるようになっている。
センター役物装置120は、前装飾体172、後装飾体173、上述した液晶モジュール56を備えて構成されている。前装飾体172は貫通孔168を覆うように遊技盤本体166の前面側に装着され、後装飾体173は遊技盤本体166の裏面に前装飾体172と対応して装着され、液晶モジュール56は後装飾体173の後側に取り付けられている。つまり液晶モジュール56は、センター役物装置120の最後部に取り付けられている。
前装飾体172は、上述した、演出ランプ123、階調ランプ124、ステージ125、ワープ孔128、ゲート129、隔壁板131等を備えている。一方、後装飾体173は、その上側に上あご可動体174、下側に下あご可動体175を備えており、上あご可動体174を可動する上あご可動装置176及び下あご可動体175を可動する下あご可動装置177も備えている。
[4.主基板及び周辺基板]
次に、パチンコ機1の各種制御を行う制御基板について説明する。図9は主基板及び周辺基板のブロック図である。パチンコ機1の制御構成は、図9に示すように、主基板180のグループ及び周辺基板181のグループから構成されており、これら2つのグループにより各種制御が分担されている。まず、主基板180のグループについて説明し、続けて周辺基板181のグループについて説明する。
[4−1.主基板のグループ]
主基板180のグループは、図9に示すように、上述した、主制御基板65及び払出制御基板80を備えて構成されている。
[4−1−1.主制御基板]
主制御基板65は、図9に示すように、上述した、マイクロプロセッサとしての主制御MPU65aと、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート65bと、検査用コネクタ68及びRAMクリアスイッチ69と、を備えて構成されている。主制御MPU65aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されており、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマと、不正を防止するための機能等も内蔵されている。
主制御MPU65aは、上述した、ゲートスイッチ130、左入賞口スイッチ146、右入賞口スイッチ147、上始動口スイッチ136、下始動口スイッチ137及びカウントスイッチ143からの検出信号が主制御I/Oポート65bを介して入力されており、これらの検出信号に基づいて、その詳細な説明については後述するが、上述した、開閉翼ソレノイド139、開閉板ソレノイド142、上特別図柄表示器148、下特別図柄表示器149、上特別図柄記憶ランプ150、下特別図柄記憶ランプ151、普通図柄表示器152、普通図柄記憶ランプ153、遊技状態表示ランプ154、小当り表示ランプ155及びラウンド表示ランプ156への駆動信号を、主制御I/Oポート65bを介して出力する。
また主制御MPU65aは、遊技に関する各種情報(遊技情報)等を、主制御I/Oポート65bを介して上述した外部端子板91に出力する。この外部端子板91は、上述したように、図示しないホールに設置されたホールコンピュータと接続されている。このホールコンピュータは、パチンコ機1の遊技情報等を把握することにより遊技者の遊技を監視している。更に主制御MPU65aは、払い出しに関する各種コマンドを、主制御I/Oポート65bを介して払出制御基板80に送信したり、この払出制御基板80からのパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを主制御I/Oポート65bを介して受信したりする。更にまた主制御MPU65aは、遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを、主制御I/Oポート65bを介して後述する周辺基板181のサブ統合基板63に送信したりする。なお、主制御MPU65aは、払出制御基板80からパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを受信すると、これらの各種コマンドを整形してサブ統合基板63に送信する。
主制御基板65は、その詳細な説明は後述するが、図4に示した、電源基板73から電源中継端子板78等を介して電力が供給されており、主制御基板65に備えた停電監視回路によって停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象。)の有無が監視されている。電源基板73は、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板65に電力を供給するバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)を備えている。このキャパシタにより供給される電力によって主制御MPU65aは、その詳細な説明は後述するが、電源遮断時にでも電源断時処理において各種の情報をその内蔵RAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した各種の情報は、電源投入時に主制御基板65のRAMクリアスイッチ69が操作されると、その内容が内蔵RAMから消去(クリア)されるようになっている。
[4−1−2.払出制御基板]
払出制御基板80は、図9に示すように、マイクロプロセッサとしての払出制御MPU80aと、I/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート80bと、上述した、エラーLED表示器82、エラー解除スイッチ83及び球抜きスイッチ84と、を備えて構成されている。払出制御MPU80aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されており、不正を防止するため機能等も内蔵されている。
払出制御MPU80aは、主制御基板65からの払い出しに関する各種コマンドを払出制御I/Oポート80bを介して受信し、主制御基板65からのRAMクリアスイッチ69の操作信号(検出信号)が払出制御I/Oポート80bを介して入力されている。
また払出制御MPU80aは、受信した払い出しに関する各種コマンドに基づいて払出モータ41への駆動信号を出力したり、球抜きスイッチ84が操作されると、この操作信号(検出信号)に基づいて図4に示した、球タンク39及びタンクレール55に貯留された遊技球を排出する(球抜きする)ために払出モータ41への駆動信号を出力したり、プリペイドカードユニット1aからの貸球要求信号が上述したインターフェース基板85を介して入力されると、この貸球要求信号に基づいて払出モータ41への駆動信号を出力したりする。更に払出制御MPU80aは、パチンコ機1の状態に関する各種コマンドを、払出制御I/Oポート80bを介して主制御基板65に送信したり、払出モータ41が実際に払い出した遊技球の球数を、払出制御I/Oポート80bを介して上述した外部端子板91に出力したりする。この外部端子板91は、上述したように、図示しないホールに設置されたホールコンピュータと接続されている。このホールコンピュータは、パチンコ機1が払い出した遊技球の球数を把握している。
なお、プリペイドカードユニット1aがインターフェース基板85に接続されると、プリペイドカードユニット1aからの遊技球の発射許可信号がインターフェース基板85そして払出制御基板80を介して上述した発射制御基板75に入力されるようになっている。この発射許可信号が入力されることによって、発射制御基板75は上述した発射装置70による遊技球の発射可能状態となる。図1に示したハンドル18には図示しないタッチセンサが設けられており、ハンドル18を操作すると、このタッチセンサからの検出信号が発射制御基板75に入力され、発射装置70によって遊技球が発射される。
払出制御基板80は、その詳細な説明は後述するが電源基板73から電源中継端子板78を介して電力が供給されている。この電源基板73は、上述したように、電源遮断時にでも所定時間、払出制御基板80に電力を供給するキャパシタを備えている。このキャパシタにより供給される電力により払出制御MPU80aは電源遮断時にでも払い出しに関する各種の払出情報をその内蔵RAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した払出情報は、電源投入時に主制御基板65のRAMクリアスイッチ69が操作されると、その内容が内蔵RAMから消去(クリア)されるようになっている。
[4−2.周辺基板のグループ]
周辺基板181は、図9に示すように、上述した、サブ統合基板63及び液晶制御基板58を備えて構成されている。
[4−2−1.サブ統合基板]
サブ統合基板63は、図9に示すように、マイクロプロセッサとしてのサブ統合MPU63aと、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するサブ統合ROM63bと、高音質の演奏を行う音源IC63cと、この音源IC63cが参照する音楽及び効果音等の音情報が記憶されている音ROM63dと、を備えて構成されている。
サブ統合MPU63aは、パラレル入出力ポート及びシリアル入出力ポート等の各種入出力ポートを内蔵しており、主制御基板65から各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基づいて、サイド装飾装置27に点灯信号を出力したり、賞球ランプ38に点灯信号を出力したり、演出ランプ123,157に点灯信号を、階調ランプ124に階調点灯信号を、上あご可動装置176及び下あご可動装置177に駆動信号を、ランプ駆動基板46を介してそれぞれ出力したり、演出に関する演出コマンドを作成したりする。この演出コマンドは、音源IC63c及び液晶制御基板58に出力されている。なお、サブ統合MPU63aには、上あご可動体装置176及び下あご可動体装置177から図8に示した上あご可動体174及び下あご可動体175の原位置検出信号がランプ駆動基板46を介してそれぞれ入力され、液晶制御基板58が正常動作している旨を伝える信号(動作信号)が液晶制御基板58から入力されている。
音源IC63cは、サブ統合MPU63aから出力された演出コマンドに基づいて、音ROM63dから音情報を読み込み、低音用スピーカ14及び中高音用スピーカ36から各種演出に合わせた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行う。
[4−2−2.液晶制御基板]
液晶制御基板58は、図9に示すように、マイクロプロセッサとしての液晶制御MPU58aと、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶する液晶制御ROM58bと、液晶表示器57を表示制御するVDP(Video Display Processorの略)58cと、液晶表示器57に表示する各種画像を記憶する画像ROM58dと、を備えて構成されている。
液晶制御MPU58aは、サブ統合基板63から上述した演出コマンドを受信すると、この演出コマンドに基づいてVDP58cを制御する。このVDP58cは、画像ROM58dから画像を読み出して液晶表示器57の表示制御を行う。なお、液晶制御MPU58aは、上述したように、正常に動作していると、その旨を伝える動作信号をサブ統合基板63に出力する。
[5.電源システム]
次に、パチンコ機1に供給される電力について説明する。まず、図4に示した、分電基板89、電源基板73及び電源中継端子板78について説明し、続いて各制御基板等に供給される電源について説明する。図10はパチンコ機の電源システムを示すブロック図である。
[5−1.分電基板、電源基板及び電源中継端子板]
分電基板89は、図4に示した電源基板コネクタ93が電源コードと電気的に接続されており、この電源コードのプラグがパチンコ島設備の電源コンセントに差し込まれている。図4に示した電源スイッチ94を操作すると、パチンコ島設備から供給されている電力が分電基板89を介して図4に示した電源基板73に供給され、パチンコ機1の電源投入を行うことができる。
分電基板89は、図10に示すように、パチンコ島設備から交流24ボルト(AC24V)が供給されており、パチンコ機1の電源投入が行われると、そのAC24Vが電源基板73に供給されるようになっている。この電源基板73は、+34V作成回路73a、+18V作成回路73b、+9V作成回路73cを備えて構成されている。+34V作成回路73aはAC24Vを整流して直流+34V(DC+34V、以下、+34Vと記載する。)を作成する。+18V作成回路73bはAC24Vを整流して直流+18V(DC+18V、以下、+18Vと記載する。)を作成する。+9V作成回路73aは+18V作成回路73bが作成した+18Vから直流+9V(DC+9V、以下、+9Vと記載する。)を作成する。+34V作成回路73a、+18V作成回路73b、+9V作成回路73cがそれぞれ作成した電力は、電源中継端子板78を介して、サブ統合基板63及び払出制御基板80に供給されている。このように、分電基板89はパチンコ島設備からのAC24Vを受け、電源基板73はそのAC24Vを整流して種々の直流(+34V、+18V及び+9V)を作成し、電源中継端子板78はそれら種々の直流をサブ統合基板63及び払出制御基板80に供給しており、機能が分担された構成となっている。
[5−2.各制御基板等に供給される電源]
次に、各制御基板等に供給される電源について説明する。電源中継端子板78から供給される、+34V、+18V及び+9Vは、図10に示すように、払出制御基板80及びサブ統合基板63にそれぞれ供給されるようになっており、それら+34V、+18V及び+9Vは、払出制御基板80を介して、主制御基板65及び発射制御基板75にそれぞれ供給される一方、サブ統合基板63を介して、ランプ駆動基板60に供給されている。なお、液晶制御基板58には、電源中継端子板78から供給される+18Vのみがサブ統合基板63を介して供給されている。ここでは、まず、払出制御基板80に供給される電源について説明し、続いて主制御基板65に供給される電源、発射制御基板75に供給される電源、サブ統合基板63に供給される電源、液晶制御基板58に供給される電源、ランプ駆動基板60に供給される電源について説明する。
[5−2−1.払出制御基板に供給される電源]
払出制御基板80は、払出制御MPU80a等の他に、払出制御シリーズレギュレータ80dも備えている。この払出制御シリーズレギュレータ80dは、電源中継端子板78から供給された+9Vが入力されており、この+9Vから払出制御基板80の基準電圧である直流+5V(DC+5V、以下、+5Vと記載する。)を作成する。この+5Vは、払出制御MPU80aの他に、図9に示した、払出制御I/O80b、外部WDT80c等にも供給されている。図9に示した払出装置40の駆動制御を行う払出装置駆動回路80eは、電源中継端子板78から供給された+34V及び+18Vが入力されており、+34Vを、図9に示した払出モータ41の駆動電源として使用し、+18Vを、払出モータ41の回転角を検出する図示しない回転角スイッチ等の電源として使用している。
[5−2−2.主制御基板に供給される電源]
主制御基板65は、主制御MPU65a、図5に示した主制御シリーズレギュレータ65c等の他に、停電監視回路65iも備えている。主制御シリーズレギュレータ65cは、払出制御基板80から供給された+9Vが入力されており、この+9Vから主制御基板65の基準電圧である+5Vを作成する。この+5Vは、主制御MPU65aの他に、図9に示した、主制御I/Oポート65b等にも供給されている。停電監視回路65iは、その詳細な説明は後述するが、払出制御基板80から供給された+18V及び+9Vが入力されており、これら+18V及び+9Vの停電又は瞬停の兆候を監視している。また電波監視回路65iは、電波検出スイッチ65dからの電波検出信号が入力され、この電波検出信号を監視している。停電監視回路65iは、停電又は瞬停の兆候を検出すると、又は、電波検出スイッチ65dから電波検出信号が入力されると、停電予告として停電予告信号を、主制御MPU65aの他に、払出制御基板80及びサブ統合基板63に出力する。また、主制御MPU65aは、停電予告信号を、主制御I/Oポート65bを介して外部端子板91に出力する。なお、液晶制御基板58にはサブ統合基板63を介して停電予告信号が伝達される。外部端子板91は、上述したように、図示しないホールに設置されたホールコンピュータと電気的に接続されており、パチンコ機1の停電又は瞬停、その発生回数等を監視することができるようになっている。
払出制御基板80から供給された+34V及び+18Vは、+34Vを、例えば開閉翼ソレノイド139等の駆動電源として使用し、+18Vを、例えば上始動スイッチ136等の電源として使用している。
[5−2−3.発射制御基板に供給される電源]
発射制御基板75は、発射制御シリーズレギュレータ75aを備えている。この発射制御シリーズレギュレータ75aは、払出制御基板80から供給された+9Vが入力されており、この+9Vから発射制御基板75の基準電圧である+5Vを作成する。図9に示した発射装置70の駆動制御を行う発射装置駆動回路75bは、発射制御シリーズレギュレータ75aが作成した+5V、払出制御基板80から供給された+34V及び+18Vがそれぞれ入力されており、+34Vを、例えば図3に示した発射モータの駆動電源として使用し、+18Vを、例えば図1に示した操作ハンドル18に遊技者が触れているか否かを検出するタッチスイッチ等の電源として使用している。
[5−2−4.サブ統合基板に供給される電源]
サブ統合基板63は、サブ統合MPU63a、音源IC63c等の他に、サブ統合シリーズレギュレータ63eも備えている。サブ統合シリーズレギュレータ63eは、電源中継端子板78から供給された+9Vが入力されており、この+9Vからサブ統合MPU63aの基準電圧である+5Vと、音源IC63cの基準電圧である直流+3.3V(DC+3.3V、以下、+3.3Vと記載する。)を作成する。+5Vは、サブ統合MPU63の他に、例えば図示しないバスバッファ回路にも供給されており、このバスバッファ回路を、サブ統合MPU63aと図9に示したサブ統合ROM63bとのバスライン用のインターフェイス等として使用している。一方、+3.3Vは、音源IC63cの他に、例えば図9に示した、サブ統合ROM63b及び音ROM63dにも供給されている。電源中継端子板78から供給された+18Vは、例えば図9に示した、低音用スピーカ14及び中高音用スピーカ36から出力する音楽及び効果音等を増幅するパワーアンプに入力されている。なお、電源中継端子板78から供給された+34Vは、液晶制御基板58及びランプ駆動基板60にそのまま出力されており、サブ統合基板63では使用されていない。
[5−2−5.液晶制御基板に供給される電源]
液晶制御基板58は、液晶制御MPU58a、VDP58c等の他に、液晶制御電源回路58eも備えている。この液晶制御電源回路58eは、サブ統合基板63から供給された+18Vのみが入力されており、この+18Vから液晶制御基板58の基準電圧である+3.3Vと、VDP58cの電源である直流+1.5V(DC+1.5V、以下、+1.5Vと記載する。)及び直流2.5V(DC+2.5V、以下、+2.5Vと記載する。)と、を作成する。+3.3Vを、液晶制御MPU58aの他に、VDP58c、図9に示した、液晶制御ROM58b及び画像ROM58d等にも供給されている。このように、VDP58cは、+1.5V、+2.5V及び+3.3Vが入力されている。
[5−2−6.ランプ駆動基板に供給される電源]
ランプ駆動基板60は、ランプ駆動シリーズレギュレータ60aを備えている。このランプ駆動シリーズレギュレータ60aは、サブ統合基板63から供給された+9Vが入力されており、この+9Vからランプ駆動基板60の基準電圧である+5Vを作成する。この+5Vは、例えば図9に示した階調ランプ124の階調点灯を行う階調制御IC60b等に供給されている。一方、サブ統合基板63から供給された+34V、+18Vは、例えば図9に示した上あご可動体装置176の駆動制御を行う上あご可動体装置駆動回路60c等に入力されており、+34Vを、例えば図8に示した上あご可動体174の図示しない駆動モータの駆動電源として使用し、+18Vを、例えば上あご可動体174の原位置を検出する図示しないフォトセンサ等の電源として使用している。
[6.高周波試験]
次に、高周波試験について説明する。この高周波試験では、水平又は垂直に設置したアンテナから主制御基板に高周波を照射させて主制御基板の挙動を調べた。まず、試験方法について説明し、続いて高周波試験結果について説明する。図11は試験に用いた主制御基板ボックスの分解斜視図であり、図12は高周波試験の概略図であり、図13は試験データを示すテーブルであり、図14はアンテナ水平時における試験データをグラフ化した図であり、図15はアンテナ垂直時における試験データをグラフ化した図である。なお、本実施形態における「高周波」とは、200メガヘルツ(MHz)〜1000MHz(=1ギガヘルツ(GHz))をいう。
[6−1.高周波試験方法]
高周波試験は電波暗室において行った。この「電波暗室」とは、室外の電磁波と遮蔽するためにその室内全体が電磁波遮蔽材で覆われ、また、その天井及び壁による電波の反射を防止するために室内の天井及び壁に電波吸収体が貼り巡らされた構造となっており、特殊な部屋である。
[6−1−1.被試験基板]
高周波試験に用いた被試験基板は、図11に示すように、主制御基板65’である。この主制御基板65’は、図5に示した電波検出スイッチ65dを備えていないタイプのものであり、その他の構成は図5に示した主制御基板65と同一であるため、ここでの詳細な説明を省略する。
[6−1−2.アンテナの設置]
高周波照射用のアンテナ200は、主制御基板ボックス66のカバー部材100の表面から所定距離d(本高周波試験では、約3センチメートル(cm))だけ離れたところに配置した。具体的には、図12(a)に示すように、アンテナ200を水平に設置した場合、図12(b)に示すように、アンテナ200を垂直に設置した場合について、主制御基板65’の挙動をそれぞれ調べた。なお、図12(a)(b)は、図面の見やすさの関係上、遊技盤4の下側部分のみを図示しているが、高周波試験では、主制御基板65’が収容された主制御基板ボックス66をパチンコ機1に装着して行った。
図4に示した電源スイッチ94を操作してパチンコ機1の電源投入を行うと、主制御基板65’は、図10に示したように、払出制御基板80から+9V、+18V及び+34Vが供給される。そして主制御シリーズレギュレータ65cは、その+9Vから主制御基板65’の基準電圧である+5Vを作成する。高周波試験では、これらの+18V、+9V及び+5Vの電圧を電波暗室外に設置されている計測器で測定してその電圧変化を調べ、また主制御MPU65aの動作状態についても調べた。なお、アンテナ200から主制御基板65’に照射される周波数としては、200MHz〜1GHzまでの範囲に設定し、その範囲のうち、200MHz、270MHz、300MHz、400MHz、440MHz、500MHz、600MHz、700MHz、800MHz、860MHz、900MHz及び1GHz(=1000MHz)、計12ポイントについての高周波実験を行った。
[6−2.試験結果]
次に、高周波試験の結果について説明する。まず、アンテナ200を水平に設置した場合の試験結果について説明し、続いてアンテナ200を垂直に設置した場合の試験結果について説明する。なお、高周波試験を行う前に+18V、+9V及び+5Vの各電圧を上述した電波暗室外に設置されている計測器でそれぞれ測定すると、+18.0V、+8.9V、+4.9Vであった。
[6−2−1.水平時における試験結果]
[6−2−1(a).電圧の変化]
アンテナ200を水平に設置した場合の試験結果は、図13(a)に示すように、照射周波数270MHz及び860MHzにおいて、+18Vの電圧は、+18.0Vから0.0Vに変化した。これは、図10に示した+18V作成回路73bが照射周波数270MHz及び860MHzの影響を受けると、AC24Vから+18Vを作成することができないことを意味している。これにより、図10に示した+9V作成回路73cは+18Vから+9Vを作成することができなくなり、+9Vの電圧が+8.9Vから+1.0Vに変化し、図10に示した主制御シリーズレギュレータ65cは+9Vから+5Vを作成することができなくなり、+5Vの電圧が+4.9Vから+1.0Vに変化したと考えられる。なお、+9V及び+5Vの電圧が0.0Vに変化しなかったのは、各種制御基板等に備えた図示しない電解コンデンサ等による放電によるものと考えられる。
+9Vの電圧は、+18Vの電圧が+18.0Vから0.0Vに変化した以外、つまり照射周波数270MHz及び860MHz以外では、照射周波数300MHz、400MHz、440MHz及び500MHzにおいて、+8.9Vから+1.0Vに変化した。これは、+9V作成回路73bが照射周波数300MHz、400MHz、440MHz及び500MHzの影響を受けると、+18Vから+9Vを作成することができないことを意味している。これにより、主制御シリーズレギュレータ65cは+9Vから+5Vを作成することができなくなり、+5Vの電圧が+4.9Vから+1.0Vに変化したと考えられる。
+5Vの電圧は、+18Vの電圧が+18.0Vから0.0Vに変化し、かつ、+9Vの電圧が+8.9Vから1.0Vに変化した以外、つまり照射周波数270MHz、300MHz、400MHz、440MHz、500MHz及び860MHz以外では、照射周波数700MHzにおいて、+4.9Vから+1.0Vに変化した。これは、主制御シリーズレギュレータ65cが照射周波数700MHzの影響を受けると、+9Vから+5Vを作成することができないことを意味している。このとき、+18Vの電圧は+18.0Vと安定しており、+9Vの電圧は+8.9Vから+8.4Vに変化したが、照射周波数700MHzの影響は弱いと考えられる。
[6−2−1(b).主制御基板等の動作状況]
次に、水平時における主制御基板65’の動作状況について説明する。主制御基板65’は、図13(a)に示すように、照射周波数200MHz、800MHz、900MHz及び1000MHz(1GHz)では、+18V、+9V及び+5Vの電圧の変化はほとんど見られず、正常動作していた。照射周波数270MHz、300MHz、400MHz、440MHz、500MHz及び860MHzでは、上述したように、+18Vの電圧が+18.0Vから0.0Vに変化したり、+9Vの電圧が+8.9Vから1.0Vに変化したところであり、リセットがかかった。このとき、図10に示した、液晶制御基板58、サブ統合基板63及び払出制御基板80もリセットがかかった。サブ統合基板63及び払出制御基板80は、図10に示したように、電源中継端子板78を介して+9V作成回路が作成した+9V等が入力されるが、この+9Vから+5Vを、サブ統合シリーズレギュレータ63e及び払出制御シリーズレギュレータ80dがそれぞれ作成することができなくなり、リセットがかかったと考えられる。一方、液晶制御基板58は、図10に示したように、サブ統合基板63から供給される+9V等が入力されるが、この+9Vから+3.3V等を、液晶制御電源回路58eが作成することができなくなり、リセットがかかったと考えられる。
照射周波数600MHzでは、+18Vの電圧は安定しており、+9Vの電圧は+8.9Vから+6.2Vに変化し、+5Vの電圧は安定していた。これらの電圧では、主制御基板65’、サブ統合基板63、払出制御基板80及び液晶制御基板58等にリセットがかかったりしない。ところが、主制御基板65’がフリーズした。このとき、サブ統合基板63及び液晶制御基板58等もフリーズした。ここで「フリーズ」とは、処理の進行が突然止まり、動作不能に陥る現象であり、例えば、図7に示した、上始動入賞口133に遊技球を入球させて上特別図柄表示器148を変動表示させようとしても、主制御基板65’の反応のない状態、つまり変動表示を開始しない状態に陥ることをいう。
照射周波数700MHzでは、上述したように、+5Vの電圧が+4.9Vから1.0Vに変化し、フリーズした後、リセットがかかった。照射周波数700MHzでは、上述したように、+18V及び+9Vの電圧の変化がほとんどない。これにより、サブ統合シリーズレギュレータ63e及び払出制御シリーズレギュレータ80dは+9Vから+5Vをそれぞれ作成することができ、液晶制御電源回路58eは+9Vから+3.3V等を作成することができる。このため、サブ統合基板63、払出制御基板80及び液晶制御基板58にリセットがかからず、またフリーズすることもなく正常動作していた。このように、照射周波数700MHzでは、主制御基板65’のみにリセットがかかり、サブ統合基板63、払出制御基板80及び液晶制御基板58は正常動作していた。
[6−2−2.垂直時における試験結果]
[6−2−2(a).電圧の変化]
アンテナ200を垂直に設置した場合の試験結果は、図13(b)に示すように、照射周波数270MHzにおいて、+18Vの電圧は、+18.0Vから0.0Vに変化した。これは、上述したように、+18V作成回路73bが照射周波数270MHzの影響を受けると、AC24Vから+18Vを作成することができないことを意味している。これにより、+9V作成回路73cは+18Vから+9Vを作成することができなくなり、+9Vの電圧が+8.9Vから+1.0Vに変化し、主制御シリーズレギュレータ65cは+9Vから+5Vを作成することができなくなり、+5Vの電圧が+4.9Vから+1.0Vに変化したと考えられる。
+9Vの電圧は、+18Vの電圧が+18.0Vから0.0Vに変化した以外、つまり照射周波数270MHz以外では、照射周波数400MHz、440MHz、500MHz、600MHz、800MHz、860MHz及び900MHzにおいて、+8.9Vから+1.0Vに変化した。これは、+9V作成回路73bが照射周波数400MHz、440MHz、500MHz、600MHz、800MHz、860MHz及び900MHzの影響を受けると、+18Vから+9Vを作成することができないことを意味している。これにより、主制御シリーズレギュレータ65cは+9Vから+5Vを作成することができなくなり、+5Vの電圧が+4.9Vから+1.0Vに変化したと考えられる。
+5Vの電圧は、+18Vの電圧が+18.0Vから0.0Vに変化し、かつ、+9Vの電圧が+8.9Vから1.0Vに変化した以外、つまり照射周波数270MHz、400MHz、440MHz、500MHz、600MHz、800MHz、860MHz及び900MHz以外では、照射周波数1000MHz(1GHz)において、+4.9Vから+1.0Vに変化した。これは、主制御シリーズレギュレータ65cが照射周波数1000MHz(1GHz)の影響を受けると、+9Vから+5Vを作成することができないことを意味している。このとき、+18Vの電圧は+18.0Vから17.8Vに変化し、+9Vの電圧は+8.9Vから+6.2Vに変化したが、照射周波数1000MHz(1GHz)の影響は強く受けていないと考えられる。
[6−2−2(b).主制御基板等の動作状況]
次に、垂直時における主制御基板65’の動作状況について説明する。主制御基板65’は、図13(b)に示すように、照射周波数200MHz及び700MHzでは、+18V、+9V及び+5Vの電圧の変化はあまり見られず、正常動作していた。照射周波数270MHz、400MHz、440MHz、500MHz、600MHz、800MHz、860MHz及び900MHz及び860MHzでは、上述したように、+18Vの電圧が+18.0Vから0.0Vに変化したり、+9Vの電圧が+8.9Vから1.0Vに変化したところであり、リセットがかかった。このとき、図10に示した、液晶制御基板58、サブ統合基板63及び払出制御基板80もリセットがかかった。サブ統合基板63及び払出制御基板80は、図10に示したように、電源中継端子板78を介して+9V作成回路が作成した+9V等が入力されるが、この+9Vから+5Vを、サブ統合シリーズレギュレータ63e及び払出制御シリーズレギュレータ80dがそれぞれ作成することができなくなり、リセットがかかったと考えられる。一方、液晶制御基板58は、図10に示したように、サブ統合基板63から供給される+9V等が入力されるが、この+9Vから+3.3V等を、液晶制御電源回路58eが作成することができなくなり、リセットがかかったと考えられる。
照射周波数300MHzでは、+18Vの電圧が+18.0から+17.6Vに変化し、+9Vの電圧が+8.9Vから+6.4Vに変化し、+5Vの電圧が+4.9Vから+4.2Vに変化した。これらの電圧では、主制御基板65’、サブ統合基板63、払出制御基板80及び液晶制御基板58等にリセットがかかったりしない。ところが、照射周波数300MHzでは、主制御基板65’がフリーズした。
照射周波数1000MHz(1GHz)では、上述したように、+18V及び+9Vの電圧の変化があまりない。これにより、サブ統合シリーズレギュレータ63e及び払出制御シリーズレギュレータ80dは+9Vから+5Vをそれぞれ作成することができ、液晶制御電源回路58eは+9Vから+3.3V等を作成することができる。このため、サブ統合基板63、払出制御基板80及び液晶制御基板58にリセットがかからなかったが、払出制御基板80は正常動作していた以外、つまりサブ統合基板63及び液晶制御基板58はフリーズした。このように、照射周波数1000MHz(1GHz)では、主制御基板65’のみにリセットがかかり、払出制御基板80は正常動作し、サブ統合基板63及び液晶制御基板58はフリーズした。
[6−3.総括]
高周波実験により得られた結果から、図14及び図15に示すように、アンテナ200を水平又は垂直に設置した状態では、主制御基板65’等に照射周波数が与える影響が異なっていた。例えば、水平時(図14(a))では、照射周波数による+9Vの電圧の変化の傾向と、+5Vの電圧の変化の傾向と、が照射周波数700MHzにおいて異なり、垂直時(図15(a))では、照射周波数による+9Vの電圧の変化の傾向と、+5Vの電圧の変化の傾向と、が照射周波数1000MHz(1GHz)において異なっていた。上述したように、主制御シリーズレギュレータ65cが作成する主制御基板65’の基準電圧のみが+4.9Vから+1.0Vに変化するため、主制御基板65’にリセットがかかった。ところが、払出制御基板80等に供給される+9V等が安定しているため、払出制御基板80等にリセットがかからなかった。
このように、主制御基板65’は、高周波が照射されると、主制御シリーレギュレータ65cのみにその影響を強く受ける周波数があり、その周波数では主制御シリーレギュレータ65cが主制御基板65’の基準電圧である+5Vを作成することができなくなることが明らかになった。なお、図14(b)及び図15(b)に示すように、高周波の影響を受けて主制御基板65’がフリーズしたからといって、必ずしも主制御基板65’にリセットがかかるというわけではない。
[7.電波検出スイッチ]
次に、図5に示した電波検出スイッチ65dについて説明する。まず、電波検出スイッチの特性及び配置について説明し、続いて高周波による不正行為について説明する。図16は初期値更新型乱数によるカウンタの更新方法を示す説明図である。
[7−1.電波検出スイッチの特性及び配置]
電波検出スイッチ65dは、図示しない電波受信用のアンテナが内蔵されており、200MHz〜1GHzまでの周波数の電波を検出することができる。図12に示した高周波実験から得られた結果では、主制御シリーズレギュレータ65cのみが高周波の影響を受けて+5Vを作成することができなる周波数があることが明らかとなった。この主制御シリーズレギュレータ65cの特性を悪用した後述する不正行為が行われると、図12に示した主制御基板65’のみを意図的にリセットすることができる。これを防止するために、図5に示したように、主制御基板65には、主制御シリーズレギュレータ65cに隣接して電波検出スイッチ65dが配設されている。これにより、電波検出スイッチ65dは主制御シリーズレギュレータ65cに照射される高周波を監視することができる。
[8.高周波による不正行為]
次に、上述した主制御シリーズレギュレータ65cの特性を悪用した不正行為について説明する。まず、初期値更新型でのカウンタの動きについて説明し、続いて不正行為時でのカウンタの動きについて説明する。図16は初期値更新型のカウンタの動き及び不正行為時でのカウンタの動きを示す説明図である。
[8−1.初期値更新型でのカウンタの動き]
遊技制御に用いられる各種乱数として、その詳細な説明は後述するが、大当り遊技状態を発生させるか否かの決定に用いられる大当り判定用乱数、この大当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる大当り判定用初期値決定用乱数等が用意されている。大当り判定用乱数は、初期値更新型のカウンタによって、値0〜値314までの範囲を繰り返し更新される。この範囲のうち、値90を大当り判定値とすると、大当りの確率が1/315となる。大当り判定用初期値決定用乱数も、値0〜値314までの範囲で繰り返し更新される。大当たり判定用乱数の初期値設定契機に応じて読み出される。
なお、大当たり判定用乱数は、主制御側タイマ割り込み処理により更新され、大当り判定用初期値決定用乱数は、主制御側メイン処理と、主制御側タイマ割り込み処理により更新され、その詳細な説明は後述する。
初期値更新型のカウンタは、図16(a)に示すように、電源投入時等では、1サイクル目において下限値として初期値0から上限値314までの範囲を、タイマ割り込みごとに値1ずつ増え(カウントアップし)、上限値314に達し、再び初期値0になると、(初期値に一致すると)2サイクル目における初期値として大当り判定用初期値決定用乱数(例えば、値237)が設定され、初期値237から上限値314までの範囲、値0から初期値237までの範囲を、タイマ割り込みごとにカウントアップし、初期値237に達すると、(初期値に一致すると)3サイクル目における初期値として大当り判定用初期値決定用乱数(例えば、値101)から上限値314までの範囲、値0から初期値101までの範囲を、タイマ割り込みごとにカウントアップし、初期値101に達すると、4サイクル目における初期値として大当り判定用初期値決定用乱数(例えば、値15)が設定され、初期値15からから上限値314までの範囲、値0から初期値15までの範囲を、タイマ割り込みごとにカウントアップし、初期値15に達すると、(初期値に一致すると)5サイクル目における初期値として大当り判定用初期値決定用乱数(例えば、値63)が設定され、初期値63からから上限値314までの範囲、値0から初期値63までの範囲を、タイマ割り込みごとにカウントアップし、初期値15に達すると、(初期値に一致すると)同様に初期値が新たに設定される。
初期値更新型のカウンタは、電源投入時等、初期値0から上限値314までの範囲を繰り返し更新される。1サイクル目では初期値0から大当り判定値90までの時間は固定されており時間T0となるが、このT0から2サイクル目においてカウンタが大当り判定値90となるまでに要する時間は時間T1となり、時間T0に比べて時間T1の方が長くなる。T1から3サイクル目においてカウンタが大当り判定値90となるまでに要する時間は時間T2となり、時間T1に比べて時間T2の方が長くなる。T2から4サイクル目においてカウンタが大当り判定値90となるまでに要する時間は時間T3となり、時間T2に比べて時間T3の方が短くなる。T3から5サイクル目においてカウンタが大当り判定値90となるまでに要する時間は時間T4となり、時間T3に比べて時間T4の方が短くなる。このように、初期値更新型のカウンタでは、更新されるカウンタが大当り判定値となる時間を時間T0、時間T1、時間T2、時間T3そして時間T4とすることよってゆらぎを持たせることによって(周期性を排除した状態にすることによって)遊技者に察知されないようになっている。
[8−2.不正行為時でのカウンタの動き]
ところで、図12に示した高周波実験から得られた結果では、主制御シリーズレギュレータ65cのみが高周波の影響を受けて+5Vを作成することができなる周波数があることが明らかとなった。この主制御シリーズレギュレータ65cの特性を悪用して、図12に示した主制御基板65’のみを意図的にリセットすることができる。具体的には、図16(b)に示すように、所定時間TMごとに、主制御シリーズレギュレータ65cに高周波を照射すると、主制御基板65’がリセットし、上述した初期値更新型のカウンタでは初期値0からカウントアップして、時間T0後、カウンタが大当り判定値90に達する。そうすると、時間TMごとにカウンタが大当り判定値90となり、遊技者は時間TMを狙って遊技球を、例えば図7に示した上始動入賞口133に入球するよう、図1に示したハンドル18を操作し、大当りとなる確率を、1/315から引き上げる不正行為を行うことができる。
[9.停電監視回路]
次に、図10に示した停電監視回路65iについて説明する。図10に示したように、停電監視回路65iは、+18V及び+9Vの停電又は瞬停の兆候を監視している。停電又は瞬停の兆候を検出すると、停電予告信号を、主制御MPU65aの他に、払出制御基板80、サブ統合基板63及び外部端子板91に出力する。また停電監視回路65iは、図5に示した電波検出スイッチ65dからの電波検出信号が入力されており、この電波検出信号が入力されると、停電予告信号として主制御MPU65aの他に、払出制御基板80、サブ統合基板63及び外部端子板91に出力する。まず、+18Vの停電又は瞬停の監視について説明し、続いて、+9Vの停電又は瞬停の監視、電波検出スイッチ65dからの電波検出信号の監視について説明する。図17は停電監視回路を示す回路図である。
[9−1.停電監視回路の構成]
停電監視回路65iは、図17に示すように、安定化電源回路IC1(本実施形態では、日本電気製:μPC1093)、コンパレータIC2(本実施形態では、新日本無線製:NJM2903、オープンコレクタ出力タイプ)、インバータIC3(本実施形態では、東京芝浦電気製:TC74HC05、オープンコレクタ出力タイプ)、DタイプフリップフロップIC4(本実施形態では、東京芝浦電気製:TC74HC74)を備えて構成されている。安定化電源回路IC1は、コンパレータIC2の比較基準電圧となるリファレンス電圧Vref(本実施形態では、2.495Vが設定されている。)を出力している。
コンパレータIC2は、2つの電圧比較回路を備えており、その1つ(IC2A)が+18Vの監視電圧V1とリファレンス電圧Vrefとを比較するために用いられており、残りの1つ(IC2B)が+9Vの監視電圧V2とリファレンス電圧Vrefとを比較するために用いられている。これらの比較結果はDタイプフリップフロップIC4に入力されている。
電波検出スイッチ65dの出力は、トランジスタTR1(本実施形態では、2SC1815)のベースに入力されている。このトランジスタTR1のエミッタはグランドに接地されており、トランジスタTR1のコレクタがプルアップ抵抗により+5Vに引き上げられてインバータIC3と電気的に接続されており、インバータIC3でその論理を反転してDタイプフリップフロップIC4に入力されている。
[9−2.+18Vの停電又は瞬停の監視]
+18Vの停電又は瞬停の監視は、上述したように、コンパレータIC2のIC2Aが+18Vの監視電圧V1とリファレンス電圧Vrefとを比較することにより行われている。+18Vは、図17に示すように、2つの抵抗による抵抗比によって電圧が分配されている。これらの抵抗の値は、+18Vが停電又は瞬停した際に、その電圧が+18Vから落ち始めて予め設定した停電検知電圧V1pf(本実施形態では、12.53Vに設定されている。)となったときに、+18Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefと同値になるように設定されている。+18Vの電圧が停電検知電圧V1pfより大きいときには、+18Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより大きくなり、その結果として論理がLOWとなる。このため、コンパレータIC2はオープンコレクタ出力タイプであるため、プルアップ抵抗により+5Vに引き上げられ、論理がHIとなってDタイプフリップフロップIC4のプリセット端子PRに入力される。このプリセット端子PRが負論理入力であるため、+18Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより大きいときには、DタイプフリップフロップIC4の出力端子Qから停電予告信号が出力されない。
一方、+18Vの電圧が停電検知電圧V1pfより小さいときには、+18Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより小さくなり、その結果として論理がHIとなる。このため、コンパレータIC2はオープンコレクタ出力タイプであるため、論理がLOWとなってDタイプフリップフロップIC4のプリセット端子PRに入力される。このプリセット端子PRが負論理入力であるため、+18Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより小さいときには、DタイプフリップフロップIC4の出力端子Qから停電予告信号が出力される。
[9−3.+9Vの停電又は瞬停の監視]
+9Vの停電又は瞬停の監視は、上述したように、コンパレータIC2のIC2Bが+9Vの監視電圧V2とリファレンス電圧Vrefとを比較することにより行われている。+9Vは、図17に示すように、2つの抵抗による抵抗比によって電圧が分配されている。これらの抵抗の値は、+9Vが停電又は瞬停した際に、その電圧が+9Vから落ち始めて予め設定した停電検知電圧V2pf(本実施形態では、7.64Vに設定されている。)となったときに、+9Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefと同値になるように設定されている。+9Vの電圧が停電検知電圧V2pfより大きいときには、+9Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより大きくなり、その結果として論理がLOWとなる。このため、コンパレータIC2はオープンコレクタ出力タイプであるため、プルアップ抵抗により+5Vに引き上げられ、論理がHIとなってDタイプフリップフロップIC4のプリセット端子PRに入力される。このプリセット端子PRが負論理入力であるため、+9Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより大きいときには、DタイプフリップフロップIC4の出力端子Qから停電予告信号が出力されない。
一方、+9Vの電圧が停電検知電圧V2pfより小さいときには、+9Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより小さくなり、その結果として論理がHIとなる。このため、コンパレータIC2はオーブンコレクタ出力タイプであるため、論理がLOWとなってDタイプフリップフロップIC4のプリセット端子PRに入力される。このプリセット端子PRが負論理入力であるため、+9Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより小さいときには、DタイプフリップフロップIC4の出力端子Qから停電予告信号が出力される。
なお、DタイプフリップフロップIC4のクリア端子CLRには、主制御MPU65aから、図9に示した主制御I/Oポート65bを介して、停電クリア信号が入力されるようになっている。クリア端子CLRは負論理入力であるため、主制御MPU65aからの停電クリア信号は、主制御I/Oポート65bを介してその論理がLOWとなってクリア端子CLRに入力される。DタイプフリップフロップIC4は、クリア端子CLRに停電クリア信号が入力されると、ラッチ状態を解除するようになっており、このとき、プリセット端子PRに入力される論理を反転して、出力端子Qから出力する。
一方、主制御MPU65aからの停電クリア信号の出力が停止されると、主制御I/Oポート65bを介してその論理がHIとなってクリア端子CLRに入力される。DタイプフリップフロップIC4は、クリア端子CLRに停電クリア信号が入力されないときには、ラッチ状態をセットするようになっており、プリセット端子PRに論理がLOWとなって入力された状態をラッチする。
[9−4.電波検出スイッチからの電波検出信号の監視]
電波検出スイッチ65dからの電波検出信号の監視は、上述したように、電波検出スイッチ65dからの出力がトランジスタTR1のベースに入力されている。電波検出スイッチ65dは+18Vと抵抗を介して電気的に接続されており、この電圧が電波検出スイッチ65dと抵抗を介してトランジスタTR1のベースに入力されている。また、その抵抗とトランジスタTR1ベースとの間にグランドと接地された抵抗が電気的に接続されている。電波検出スイッチ65dが電波検出信号を出力しないとき、つまり高周波が照射されていないときには、トランジスタTR1がONする状態になっているため、トランジスタTR1によって論理LOWがインバータIC3(IC3A)に入力され、これにより、上述したように、インバータIC3はオープンコレクタ出力タイプであるため、プルアップ抵抗により+5Vに引き上げられてその論理がHIとなってDタイプフリップフロップIC4のプリセット端子PRに入力される。このプリセット端子PRが負論理入力であるため、電波検出スイッチ65dが電波検出信号を出力しないとき、つまり高周波が照射されていないときには、DタイプフリップフロップIC4の出力端子Qから停電予告信号が出力されない。
一方、電波検出スイッチ65dが電波検出信号を出力するとき、つまり高周波が照射されているときには、トランジスタTR1がOFFするため、トランジスタTR1によって論理HIがインバータIC3(IC3A)に入力され、これにより、上述したように、インバータIC3はオープンコレクタ出力タイプであるため、論理がLOWとなってDタイプフリップフロップIC4のプリセット端子PRに入力される。このプリセット端子PRが負論理入力であるため、電波検出スイッチ65dが電波検出信号を出力するとき、つまり高周波が照射されているときには、DタイプフリップフロップIC4の出力端子Qから停電予告信号が出力される。
DタイプフリップフロップIC4のD端子、クロック端子CK、グランド端子GNDは、グランドに接地されている。またクリア端子CLRは主制御MPU65cからの信号が、図9に示した主制御I/Oポート65bを介して入力されている。
なお、図5に示した主制御基板65から電波検出スイッチ65dを取り除いた場合には、トランジスタTR1がOFFするため、トランジスタTR1によって論理HIがインバータIC3(IC3A)に入力され、これにより、上述したように、インバータIC3はオープンコレクタ出力タイプであるため、論理がLOWとなってDタイプフリップフロップIC4のプリセット端子PRに入力される。このプリセット端子PRが負論理入力であるため、電波検出スイッチ65dを主制御基板65から取り除いたときには、DタイプフリップフロップIC4の出力端子Qから停電予告信号が出力される。このように、電波検出スイッチ65を主制御基板65から取り除いたときには停電予告信号が常に出力される。
[10.主制御基板の各種制御処理]
次に、パチンコ機1の遊技の進行に応じて主制御基板65が行う各種制御処理について説明する。まず、遊技制御に用いられる各種乱数について説明し、続いて主制御側電源投入時処理、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。図18は主制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図19は図18の主制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図20は主制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
[10−1.各種乱数]
遊技制御に用いられる各種乱数として、大当り遊技状態を発生させるか否かの決定に用いられる大当り判定用乱数と、この大当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる大当り判定用初期値決定用乱数と、大当り遊技状態を発生させないときにリーチを発生させるか否かの決定に用いられるリーチ判定用乱数と、図7に示した、上特別図柄表示器148及び下特別図柄表示器149に表示する変動表示パターンの決定に用いられる変動表示パターン用乱数と、大当り遊技状態を発生させるときに上特別図柄表示器148及び下特別図柄表示器149に表示する特別図柄の組み合わせを決定するのに用いられる大当り図柄用乱数と、この大当り図柄用乱数の初期値の決定に用いられる大当り図柄用初期値決定用乱数等が用意されている。またこれらの乱数に加えて、図7に示した下始動入賞口134の開閉翼138を開閉動作させるか否かの決定に用いられる普通図柄当り判定用乱数と、この普通図柄当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる普通図柄当り判定用初期値決定用乱数と、図7に示した普通図柄表示器152に表示する変動表示パターンの決定に用いられる普通図柄変動表示パターン用乱数等が用意されている。
[10−2.主制御側電源投入時処理]
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御基板65の主制御MPU65aは、図18及び図19に示すように、主制御側電源投入時処理を行う。この主制御側電源投入時処理が開始されると、主制御MPU65aは、割り込みモードの設定を行う(ステップS10)。この割り込みモードは、主制御MPU65aの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述する主制御側タイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、この主制御側タイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理が行われる。ステップS10に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS12)。このI/Oの入出力設定では、主制御MPU65aのI/Oポートの入出設定等を行う。ステップS12に続いて、主制御MPU65aに内蔵されたウォッチドックタイマを有効に設定する(ステップS13)。このウォッチドックタイマは、主制御MPU65aの動作(システム)を監視するためのものであり、一定期間にクリア設定されないときには主制御MPU65aにリセットがかかる(主制御MPU65aのシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS13に続いて、図17に示したクリア端子CLRに停電クリア信号の出力を開始する(ステップS14)。この停電クリア信号は、上述したように、図9に示した主制御I/Oポート65bを介して、その論理がLOWとなってクリア端子CLRに入力される。これにより、主制御MPU65aは、図17に示したDタイプフリップフロップIC4のラッチ状態を解除することができ、後述するラッチ状態をセットするまでの間、DタイプフリップフロップIC4のプリセット端子PRに入力された信号を、DタイプフリップフロップIC4の出力端子Qから出力する状態とすることができ、その出力端子Qからの信号を監視することができる。
ステップS14に続いて、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS15)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS16)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧(図17に示したリファレンス電圧Vref)より小さくなると、図17に示した停電監視回路65iから停電予告として停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると停電監視回路65iから停電予告信号が入力される。そこで、ステップS15のウェイトタイマ処理1では、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS16の判定でその停電予告信号が入力されているか否かの判定を行っている。この判定では、停電予告信号として、上述したDタイプフリップフロップIC4の出力端子Qから出力される信号に基づいて行う。なお、図17に示した電波検出スイッチ65dが主制御基板65から不正に取り除かれると、停電監視回路65iから停電予告信号が常に出力された状態となり、ステップS16で停電予告信号の入力があると常に判定するためステップS15に戻り、ウェイトタイマ処理1を行い、ステップS15とステップS16を繰り返し行う。このように、電波検出スイッチ65dが主制御基板65から不正に取り除かれると、いつまで経っても遊技が開始されない状態となり、不正対策となる。
ステップS16に続いて、クリア端子CLRに停電クリア信号の出力を停止する(ステップS17)。この停電クリア信号の出力を停止することで、主制御I/Oポート65bを介して、その論理がHIとなってクリア端子CLRに入力される。これにより、主制御MPU65aは、DタイプフリップフロップIC4のラッチ状態をセットすることができ、DタイプフリップフロップIC4は、そのプリセット端子PRに論理がLOWとなって入力された状態をラッチすると、その出力端子Qから停電予告信号を出力することができる。
ステップS17に続いて、図11に示したRAMクリアスイッチ69が操作されているか否かを判定する(ステップS18)。この判定は、主制御基板65のRAMクリアスイッチ69が操作され、その操作信号(検出信号)が主制御MPU65aに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ69が操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ69が操作されていないと判定する。
ステップS18でRAMクリアスイッチ69が操作されているときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットし(ステップS20)、一方、ステップS18でRAMクリアスイッチ69が操作されていないときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットする(ステップS22)。このRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU65aに内蔵されたRAM(以下、「主内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、確率変動、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。なお、ステップS20及びステップS22でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU65aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS20又はステップS22に続いて、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS24)。このウェイトタイマ処理2では、図11に示した、液晶制御基板58による液晶表示器57の表示制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。例えば、図11に示した液晶制御ROM58bから圧縮された各種の制御プログラムを読み出して、同図に示した液晶制御MPU58aに内蔵されたRAMに展開して記憶する。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。ステップS24に続いて、主内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS26)。この設定により主内蔵RAMへのアクセスができ、例えば遊技情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。ステップS26に続いて、スタックポインタの設定を行う(ステップS28)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS28では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS28に続いて、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS30)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。ステップS30でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS32)。このチェックサムは、主内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。ステップS32に続いて、算出したチェックサムの値(サム値)が後述する主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致しているか否かを判定する(ステップS34)。一致しているときには、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS36)。このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値等のバックアップ情報を後述する主制御側電源断時処理において主内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、主制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、主制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定されている。
ステップS36でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として主内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS38)。この設定は、バックアップフラグBK−FLGを値0にセットするほか、主制御MPU65aに内蔵されたROM(以下、「主内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を主内蔵RAMの作業領域にセットする。ここで「復電時」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態に加えて、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態や電波検出スイッチ65dにより高周波が照射されていることを検出した際に復帰する状態も含める。ステップS38に続けて、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS40)。この電源投入時コマンド作成処理では、バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを主内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。
一方、ステップS30でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり遊技情報を消去するときには、又はステップS34でチェックサムの値(サム値)が一致していないときには、又はステップS36でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS42)。具体的には、値0を主内蔵RAMに書き込むことよって行う(なお、初期値として内蔵ROMから所定値を読み出して、セットしてもよい)。これにより、例えば、上述した大当り判定用乱数や初期値更新型のカウンタ等の値が初期化されて値0がセットされる。ステップS42に続いて、初期設定として主内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS44)。この設定は、主内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を主内蔵RAMの作業領域にセットする。ステップS44に続けて、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS46)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、主内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を、図11に示したサブ統合基板63に報知するためのRAMクリア報知コマンドと、サブ統合基板63の各種検査を行うためのテストコマンドと、を作成し、送信情報として主内蔵RAMの送信情報記憶領域に記憶する。なお、サブ統合基板63がRAMクリア報知コマンドを受信すると、このRAMクリア報知コマンドを液晶制御基板58に送信し、一方テストコマンドを受信すると、図11に示した、音源IC63c、液晶制御基板58及びランプ駆動基板46の各種検査を行うためのテストコマンドを送信する。
ステップS40又はステップS46に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS48)。この設定は、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。ステップS48に続いて、割り込み許可設定を行う。(ステップS50)。この設定によりステップS48で設定した割り込み周期、つまり4msごとに主制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS50に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS52)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。ステップS52に続けて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS54)。図17に示したように、パチンコ機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりすると、電圧が停電予告電圧(図17に示したリファレンス電圧Vref)より小さくなり、停電監視回路65iから停電予告として停電予告信号が入力される。また、図5に示した主制御シリーズレギュレータ65cに高周波が照射されると、電波検出スイッチ65dにより検出されて停電監視回路65iから停電予告信号が入力される。ステップS54の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。ステップS54で停電予告信号の入力がないときには非当落乱数更新処理を行う(ステップS56)。
この非当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用初期値決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数及び大当り図柄用初期値決定用乱数等を更新する。例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、上述した初期値更新型のカウンタであり、大当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲を、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ増える(カウントアップする)。このカウンタは、非当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数が設定(更新)されると、この大当り判定用初期値決定用乱数から上限値までカウントアップし、続けて下限値から大当り判定用初期値決定用乱数までカウントアップする。そして再び非当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数が更新される。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(大当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数及び普通図柄変動表示パターン用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS56に続けて、再びステップS52に戻り、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS54で停電予告信号の入力があるか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS56で非当落乱数更新処理を行い、ステップS52〜ステップS56を繰り返し行う。なお、このステップS52〜ステップS56の処理を「主制御側メイン処理」という。
一方、ステップS54で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS58)。この設定により後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、主内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。ステップS58に続いて、図9に示した外部端子板91に停電予告信号を図9に示した主制御I/Oポート65bを介して出力し、停電クリア信号を主制御I/Oポート65bを介して、図17に示したDタイプフリップフロップIC4のクリア端子CLRに出力する(ステップS59)。これにより、外部端子板91と電気的に接続された図示しないホールコンピュータは、パチンコ機1の停電又は瞬停、その発生回数等を監視することができ、また、図17に示したDタイプフリップフロップIC4は、ラッチ状態を解除することができる。
ステップS59に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS60)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、主内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。ステップS60に続いて、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする。(ステップS62)、これによりバックアップ情報の記憶が完了する。ステップS62に続いて、主内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS64)。この設定により主内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、主内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が保護される。ステップS64に続いてウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS66)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。ステップS66に続けて、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、主制御MPU65aにリセットがかかり、その後主制御MPU65aは、この主制御側電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS58〜ステップS66の処理及び無限ループを「主制御側電源断時処理」という。
パチンコ機1(主制御MPU65a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により主制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS34では主内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS36では主制御側電源断時処理が正常に終了された否かを検査している。このように、主内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報を2重にチェックすることによりバックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[10−3.主制御側タイマ割り込み処理]
次に、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。この主制御側タイマ割り込み処理は、図18及び図19に示した主制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御基板65の主制御MPU65aは、図20に示すように、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS70)。ここでは、上述した主制御側メイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタを主制御側タイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、主制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS70に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS72)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)のステップS52においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS72に続いて、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、主制御I/Oポート65bの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として主内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば図7に示した、左普通入賞口144及び装飾ユニット側普通入賞口158,159に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ146からの検出信号、右普通入賞口145に入球した遊技球を検出する右入賞口スイッチ147からの検出信号、大入賞口140に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ143からの検出信号、上始動入賞口133に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ136からの検出信号、下始動入賞口134に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ137からの検出信号、ゲート129を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ130からの検出信号や後述する賞球制御処理で送信した賞球コマンドを図11に示した払出制御基板80が正常に受信した旨を伝える払出制御基板80からのACK信号、をそれぞれ読み取り、入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS74に続いて、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、後述する特別図柄及び特別電動役物制御処理で決定される変動表示パターンに従って図7に示した、上特別図柄表示器148及び下特別図柄表示器149が点灯する時間、後述する普通図柄及び普通電動役物制御処理で決定される普通図柄変動表示パターンに従って図7に示した普通図柄表示器152が点灯する時間のほか、主制御基板65(主制御MPU65a)が送信した各種コマンドを払出制御基板80が正常に受信した旨を伝えるACK信号が入力されているか否かを判定する際にその判定条件として設定されているACK信号入力判定時間等の時間管理を行う。具体的には、変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間が5秒間であるときには、タイマ割り込み周期が4msに設定されているので、このタイマ減算処理を行うごとに変動時間を4msずつ減算し、その減算結果が値0になることで変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間を正確に計っている。
本実施形態では、ACK信号入力判定時間として100msが設定されており、このタイマ減算処理を行うごとにACK信号入力判定時間が4msずつ減算し、その減算結果が値0になることでACK信号入力判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種時間及びACK信号入力判定時間は、時間管理情報として主内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS76に続いて、当落乱数更新処理を行う(ステップS78)。この当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用乱数及び大当り図柄用乱数を更新する。またこれらの乱数に加えて、図19に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS56の非当落乱数更新処理で更新される、大当り判定用初期値決定用乱数及び大当り図柄用初期値決定用乱数も更新する。これらの大当り判定用初期値決定用乱数及び大当り図柄用初期値決定用乱数は、主制御側メイン処理及びこの主制御側タイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。一方、大当り判定用乱数及び大当り図柄用乱数は、当落判定(大当り判定)にかかわる乱数であるためこの当落乱数更新処理が行われるごとにのみ、それぞれのカウンタがカウントアップする。例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、大当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲を、主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとにカウントアップする。このカウンタは、大当り判定用初期値決定用乱数から上限値までをカウントアップし、続けて下限値から大当り判定用初期値決定用乱数までをカウントアップする。大当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲をカウンタがカウントアップし終えると、この当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数は更新される(この大当り判定用初期値決定用乱数は上述した非当落乱数更新処理でも更新される)。なお上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数もこの当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS78に続いて、賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、上述した入力状態記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて遊技球を払い出す賞球コマンドを作成したり、主制御基板65と払出制御基板80との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成したりする。そして作成した賞球コマンドやセルフチェックコマンドを払出制御基板80に送信する。例えば、図7に示した大入賞口140に遊技球が1球、入球すると、賞球として15球を払い出す賞球コマンドを作成して払出制御基板80に送信したり、この賞球コマンドを払出制御基板80が正常に受信した旨を伝えるACK信号が所定時間内に入力されないときには主制御基板65と払出制御基板80との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成して出制御基板75に送信したりする。なお、これらの詳細な説明は後述する。
ステップS80に続いて、賞球チェック処理を行う(ステップS82)。この賞球チェック処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、大当り遊技状態でないときに大入賞口140に遊技球が入球すると、異常状態として賞球異常報知コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。(なお、この異常状態の確認は、入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて行う)。ステップS82に続いて、コマンド受信処理を行う(ステップS84)。払出制御基板80は、その詳細な説明は後述するが、例えば図3に示した払出装置40が球がみを起こして遊技球を払い出せない状態等の状態コマンドを送信する。ステップS84のコマンド受信処理では、この状態コマンドを正常に受信すると、その旨を払出制御基板80に伝える情報を、出力情報として主内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。また、その詳細な説明は後述するが、正常に受信した状態コマンドを整形して送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、特別図柄及び特別電動役物制御処理を行う(ステップS86)。この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて始動入賞処理を行う。この始動入賞処理では、入力情報から図7に示した、上始動口スイッチ136又は下始動口スイッチ137からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した、大当り判定用乱及び大当り図柄用乱数等を更新する各種カウンタの値を抽出して始動情報として主内蔵RAMの始動情報記憶領域に記憶する。
この始動情報記憶領域には、始動情報記憶ブロック0〜7(8つの始動情報記憶ブロック)が設けられており、始動情報記憶ブロック0、始動情報記憶ブロック1、始動情報記憶ブロック2、・・・、そして始動情報記憶ブロック7の順に始動情報が記憶されるようになっている。例えば始動情報が始動情報記憶ブロック0〜6に記憶されている場合、上始動口スイッチ136からの検出信号が入力端子に入力されていたときには始動情報を始動情報記憶ブロック7に記憶する。このとき、上始動口スイッチ136により検出されたことを示す識別情報も記憶するようになっている。これにより、始動情報記憶ブロック0〜7には、遊技球が上始動口スイッチ136又は下始動口スイッチ137のうちどちらに検出されたものであるか、時系列で記憶されることとなる(つまり、履歴が分かるように記憶されている)。
始動情報は始動情報記憶ブロック0に記憶されているものが読み出される。この始動情報が読み出されると、始動情報記憶ブロック1の始動情報が始動情報記憶ブロック0に、始動情報記憶ブロック2の始動情報が始動情報記憶ブロック1に、・・・、始動情報記憶ブロック7の始動情報が始動情報記憶ブロック6に、それぞれシフトされて始動情報記憶ブロック7が空き領域となる。例えば、始動記憶情報ブロック0〜2に始動情報が記憶されている場合には、始動情報記憶ブロック1の始動情報が始動情報記憶ブロック0に、始動情報記憶ブロック2の始動情報が始動情報記憶ブロック1にそれぞれシフトされて始動情報記憶ブロック2〜7が空き領域となる。ここで、始動情報記憶ブロック0〜7に始動情報が記憶されていると、それらの始動情報記憶ブロックの数を保留球として図7に示した、上特別図柄記憶ランプ150及び下特別図柄記憶ランプ151を点灯させるよう、上述した識別情報に基づいて上特別図柄記憶ランプ150及び下特別図柄記憶ランプ151の点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。なお、本実施形態では、上始動口スイッチ136及び下始動口スイッチ137により検出された遊技球を始動記憶として始動情報記憶ブロックに記憶できる数は最大4個にそれぞれ設定されている。
始動入賞処理に続いて、始動情報記憶ブロック0から始動情報を読み出し、この始動情報に基づいて遊技処理を行う。この遊技処理では、例えば読み出した始動情報から、大当り判定用乱数の値を取り出して主内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定(大当りであるか否かを判定)したり、大当り図柄用乱数の値を取り出して主内蔵ROMに予め記憶されている確変当り判定値と一致するか否かを判定(確率変動を発生させるか否かの判定)したりする。ここで、「確率変動」とは、大当りする確率が通常時(低確率)にくらべて高く設定された高確率(確変時)に変化することであり、上述した大当り判定値は、低確率では通常時判定テーブルから読み出され、一方、高確率では確変時判定テーブルから読み出される。
これらの判定結果により発生させる遊技状態が決定する。この決定した遊技状態に、上述した変動表示パターン用乱数に基づいて変動表示パターンを決定して遊技演出コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。また、発生させる遊技状態に応じて、例えば大当り遊技状態となるときには図7に示した、開閉板141を開閉動作させるよう開閉板ソレノイド142への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS86に続いて、普通図柄及び普通電動役物制御処理を行う(ステップS88)。この普通図柄及び普通電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて電動始動入賞口処理を行う。この電動始動入賞口処理では、入力情報から図7に示したゲートスイッチ130からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出して、この抽出した値と、主内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と、が一致するか否かを判定する。一致しているときには、図7に示した、開閉翼138を開閉動作させるよう開閉翼ソレノイド139への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。また、上述した普通図柄変動表示パターン用乱数に基づいて普通図柄変動表示パターンを決定して図7に示した普通図柄表示器152を点灯させるよう普通図柄表示器152への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS88に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS90)。このポート出力処理では、主制御I/Oポート65bの出力端子から、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて各種信号を出力する。例えば、出力情報に基づいて出力端子から、払出制御基板80からの状態コマンドを正常に受信したときにはACK信号を払出制御基板80に出力したり、大当り遊技状態であるときには図7に示した、大入賞口140の開閉板141の開閉動作を行う開閉板ソレノイド142に駆動信号を出力したり、大当り遊技状態である旨を伝える大当り信号を図4に示した外部端子板91に出力したりする。
ステップS90に続いて、サブ統合基板コマンド送信処理を行う(ステップS92)。このサブ統合基板コマンド送信処理では、上述した送信情報記憶領域から送信情報を読み出してこの送信情報を図11に示したサブ統合基板63に送信する。この送信情報には、上述したように、遊技演出コマンド、RAMクリア報知コマンド、テストコマンド、賞球異常報知コマンド及び状態コマンド等がある。この送信情報のほかに、主制御基板65と払出制御基板80との基板間の接続状態を確認するときにセットされるセルフチェックフラグの値に基づいてその接続状態に不具合が生じているときには接続不具合コマンドを作成してサブ統合基板63に送信する。
ステップS92に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS94)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS72においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。ステップS94に続いて、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS96)。この復帰は、ステップS70でスタックに積んで退避した内容を読み出してレジスタに書き込むことにより行われる。ステップS96に続いて、割り込み許可の設定を行い(ステップS98)、このルーチンを終了する。
[11.別例]
以上説明した本実施形態のパチンコ機1によれば、主制御基板65、電源基板73を備えている。主制御基板65はマイクロプロセッサとしての主制御MPU65a等を備えており、この主制御MPU65aが遊技の進行を制御している。電源基板73は主制御基板65に+34V、+18V及び+9Vの電圧を供給している。
主制御基板65には、主制御シリーズレギュレータ65c、電波検出スイッチ65d、停電監視回路65iを備えている。主制御シリーズレギュレータ65cは電源基板73から供給される+9Vの電圧から主制御MPU65aの作動電圧を作成し、電波検出スイッチ65dはその主制御シリーズレギュレータ65cの近傍に配置されて200MHz〜1000MHz(1GHz)の周波数(高周波)の電波を検出し、電源監視回路65iは電源基板73から供給される+18V及び+9Vの電圧の低下を監視してリファレンス電圧Vrefまで低下すると停電予告として停電予告信号を主制御MPU65a等に出力する。また停電監視回路65iは電波検出スイッチ65dからの電波検出信号も監視しており、電波検出スイッチ65dが主制御シリーズレギュレータ65cに照射された高周波を検出すると、その電波検出信号を停電予告信号として主制御MPU65a等に出力する。このように、主制御MPU65aには、電源基板73から供給される+18V及び+9Vの電圧の低下と、電波検出スイッチ65dからの電波検出信号と、が停電予告信号として入力される。
主制御MPU65aは、図18及び図19に示した主制御側電源投入時処理を行う。この主制御電源投入時処理では、停電監視回路65iから停電予告信号が入力されると、ステップS60のチェックサムの算出記憶の処理で主制御MPU65aの内蔵RAM(主内蔵RAM)65aに記憶されている情報を数値とみなしてその合計(サム値)を算出してサム値を主内蔵RAMに記憶する。
ステップS32のチェックサムの算出の処理でリセット時に主内蔵RAMに記憶されている情報を数値とみなしてその合計(サム値)を算出する。そしてステップS34の判定では、ステップS60のチェックサムの算出記憶の処理で算出したサム値と、ステップS60で記憶したサム値と、を比較判定する。
一致しているときには、ステップS38のRAM作業領域の復電時設定の処理を行い、続いてステップS40の電源投入時コマンド作成処理を行って復帰する。一方、一致していないときには、ステップS42のRAMの全領域クリアの処理を行い、続いてステップS44のRAM作業領域の初期値設定の処理を行い、ステップS46のRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行って復帰する。
このように、主制御シリーズレギュレータ65cは、高周波が照射されると、出力電圧が低下する特性を有しているが、その出力電圧が主制御MPU65aの作動電圧より低くなって作動しなくなる前に、主制御MPU65aは、停電監視回路65iから停電予告信号が入力されるため、リセット直前の主内蔵RAMに記憶されている情報からサム値を算出して主内蔵RAMに記憶することができる。これにより、主制御シリーズレギュレータ65cに所定間隔ごとに高周波を照射して主制御MPU65aを所定間隔ごとにリセットしても、リセット時において算出したサム値とリセット直前において算出したサム値とが一致するため、主制御MPU65aはリセット直前の主内蔵RAMに記憶されている情報に基づいて復帰することとなる。このとき、大当り遊技状態を発生させるか否かの決定に用いられる大当り判定用乱数のカウンタ(初期更新型のカウンタ)は、リセット直前の主内蔵RAMに記憶されている初期値からカウントアップされ、周期性を排除した状態で復帰することとなり、カウンタが大当り判定値となる時間を遊技者に察知されない。したがって、高周波による不正行為を防止することができる。
また、停電監視回路65iは、電波検出スイッチ65dが取り除かれたときには停電予告信号を出力した状態となるため、例えば主制御基板65から電波検出スイッチ65dを不正に取り除いても停電監視回路65iから停電予告信号が出力した状態となることによって、図19に示した主制御側電源投入時処理におけるステップS16の判定では、停電予告信号の入力があると常に判定するためステップS15に戻り、ウェイトタイマ処理1を行い、ステップS15とステップS16を繰り返し行う。このように、電波検出スイッチ65dが主制御基板65から不正に取り除かれると、いつまで経っても遊技が開始されない状態とすることができ、不正対策となる。
更に、パチンコ機1とホールコンピュータと電気的に接続する外部端子板91を備えており、停電監視回路65iは、停電予告信号を、外部端子板91を介してホールコンピュータに出力することができるため、その停電予告信号がホールコンピュータに入力されると、パチンコ機1の停電又は瞬停、その発生回数等を監視することができる。
更にまた、ベース部材101と、そのベース部材に組み合わされるカバー部材100と、の間に主制御基板65が収容される主制御基板ボックス66を備えており、この主制御基板ボックス66は、封印ねじを用いてベース部材101とカバー部材100とを相互に締結することで封印され、主制御基板ボックス66を開封する切除ブロックB1〜B3に切除部109がそれぞれ設けられ、その切除ブロックB1〜B3を切断する際に、切除部109が切除されるため、例えば主制御基板65から電波検出スイッチ65dを取り除いて高周波による不正行為を試みようとしても、主制御基板ボックス66を開封しない限り、主制御基板65を直接触れることができない。このとき、切除部109が切除されるため、主制御基板65が不正に改変されても、切除部を目視することによって、改変の有無を確認することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、パチンコ機1を例にとって説明したが、本発明が適用できる遊技機はパチンコ機に限定されるものではなく、パチンコ機以外の遊技機、例えばスロットマシン又はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた融合遊技機(遊技球を用いてスロット遊技を行うもの。)などにも適用することができる。
1…パチンコ機(パチンコ機)、12…遊技領域、17…下皿、17a…下皿用球排出ボタン、14…低音用スピーカ、27…サイド装飾装置、36…中高音用スピーカ、38…賞球ランプ、40…払出装置、41…払出モータ、57…液晶制御基板、63…サブ統合基板、65…主制御基板(主制御基板)、65a…主制御MPU(マイクロプロセッサ)、65c…主制御シリーズレギュレータ(レギュレータ)、65d…電波検出スイッチ(電波検出スイッチ)65i…停電監視回路(停電監視回路)、66…主制御基板ボックス、75…払出制御基板、79…球抜きスイッチ、82…外部端子板、99…回転角スイッチ、101…計数スイッチ、107…満タンスイッチ、123…演出ランプ、124…階調ランプ、157…演出ランプ、174…上あご可動体、175…下あご可動体。