(1)概要
本実施形態に係る配線器具装置10は、図1〜図3に示すように、配線器具4と、配線器具4を収納する配線器具用ケース1と、を備えている。配線器具用ケース1は、ボディ3と、カバー本体2と、を備えている。カバー本体2は、配線器具用カバー20(以下、単に「カバー20」ともいう)の少なくとも一部を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る配線器具装置10は、配線器具4と、カバー本体2を含むカバー20と、を備えている。
本実施形態において、配線器具4は、電気機器のプラグが接続されて電気機器への電力供給を行うコンセント(Outlet)の機能を有している。ここでは、コンセントとして、接地極付きの交流100V用であって、2個のプラグを同時に接続可能な2個口タイプのコンセントを例示する。また、本実施形態では、配線器具装置10として、建物の外壁に取り付けられる屋外用の配線器具装置10を例示する。配線器具装置10が設置される建物は、例えば戸建住宅、集合住宅、事務所、店舗又は介護施設等である。つまり、本実施形態では、配線器具装置10は屋外用のコンセント装置である。
配線器具装置10は、配線器具4に対して電線を電気的に接続した状態で、施工面(建物の外壁面)に取り付けられる。この配線器具装置10においては、電気機器のプラグが配線器具4に接続されることによって、配線器具4から電気機器への電力供給が可能になる。ここで、配線器具装置10は、配線器具4においてプラグ8(図3参照)を接続するための挿入孔412(図1参照)及び接地挿入孔413(図1参照)が形成された接続面411を下方に向けた状態で、施工面に取り付けられる。そのため、プラグ8は、配線器具4に対して下方から接続されることになり、挿入孔412及び接地挿入孔413から配線器具4内部へ雨水が浸入しにくくなる。
このように構成される配線器具装置10は、例えば、照明器具、電子看板、自動販売機、電動車両、給湯器及び電動工具等、各種の電気機器への電力供給に用いられる。つまり、電気機器につながるケーブル80(図3参照)のプラグ8が、配線器具装置10に対して接続されることにより、配線器具4からケーブル80を介して電気機器に電力供給可能になる。
ここで、本実施形態に係る配線器具装置10は、配線器具4の非使用時等においては、カバー20にて配線器具4を覆うことが可能である。すなわち、カバー本体2は、配線器具4を覆う閉位置(図2参照)と、配線器具4を露出させる開位置(図1参照)との間で移動(回転)可能に構成されている。この配線器具装置10では、配線器具4の非使用時においては閉位置にあるカバー本体2にて配線器具4を覆いつつ、カバー本体2を開く(開位置にする)ことで配線器具4に対するプラグ8の抜き差し等の配線器具4の操作が可能である。また、カバー本体2には、ケーブル80を引き出すための引出部231が形成されている。そのため、配線器具4にプラグ8が接続された状態でも、カバー本体2を閉じる(閉位置にする)ことが可能である。
これにより、カバー本体2が閉じた状態では、配線器具4についての耐候性及び防水性等の機能面での性能向上を図ることができ、かつ配線器具装置10全体としてスマートな外観を実現することができる。
さらに、本実施形態に係る配線器具装置10は、ロック機構5(図1参照)、及び錠部材6(図2参照)により、カバー本体2を閉位置に固定する機能を有している。カバー本体2が閉位置に固定された状態では、配線器具4に対するプラグ8の抜き差し等の操作を行うことができない。したがって、この配線器具装置10によれば、配線器具装置10の所有者に無断で配線器具装置10が使用される、いわゆる盗電等の抑制が期待できる。
(2)構成
以下、本実施形態に係る配線器具装置10の構成について詳しく説明する。配線器具装置10は、図4及び図5に示すように、配線器具4及び配線器具用ケース1に加えて、防水板9を備えている。
本実施形態では、施工面である建物の外壁面に配線器具装置10が取り付けられた状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」とし、配線器具装置10を正面から見て下方(鉛直方向)を「下方」として説明する。また、上下方向と直交し、かつ施工面に平行な方向を「左右方向」とし、配線器具装置10を正面から見て右方を「右方」、左方を「左方」として説明する。さらに、上下方向と左右方向との両方に直交する方向、つまり施工面に直交する方向を「前後方向」とし、施工面から見て配線器具装置10側を「前方」として説明する。図面中の「上下方向」、「左右方向」及び「前後方向」を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
ただし、これらの方向は配線器具装置10の使用方向を限定する趣旨ではない。例えば、配線器具装置10が壁面ではなく床面に取り付けられる場合には、「前後方向」は水平面に対して垂直な方向となり、「上下方向」及び「左右方向」は水平面に平行な方向となる。また、配線器具装置10が壁面に取り付けられる場合でも、「上下方向」が水平面に平行な方向となる向き(つまり横向き)で、配線器具装置10が壁面に取り付けられることにより、「左右方向」は水平面に垂直な方向となる。
(2.1)配線器具
配線器具4は、図4及び図5に示すように、筐体40と、筐体40内に収納される刃受部材等の内蔵部品とを有している。筐体40は、内カバー41、第1ボディ42及び第2ボディ43の3つの部材が組み合わされて構成されている。筐体40は、例えばユリア樹脂製である。第1ボディ42及び第2ボディ43は、第1ボディ42の後面を第2ボディ43で覆うように、前後方向において組み合わされて一体化される。第1ボディ42及び第2ボディ43は、互いに組み合わされることによって、下面に開口を有する箱状の内ボディを構成する。内カバー41は、内ボディ(第1ボディ42及び第2ボディ43)の下面の開口を塞ぐように第1ボディ42及び第2ボディ43と組み合わされる。内カバー41の下面は、接続面411を構成する。接続面411には、プラグ8(図3参照)の一対の栓刃81(図3参照)及びピン82(図3参照)がそれぞれ差し込まれる一対の挿入孔412及び接地挿入孔413が2組形成されている。
配線器具4は、電線を接続するための端子部を有している。ここでは、端子部は、筐体40(第2ボディ43)の後面に形成された端子孔44から電線を差し込むことによって電線が接続される、電線差込式の速結端子である。本実施形態では、配線器具4に対して、一対の電源線及び接地線(アース線)の合計3本の電線が接続される。さらに、端子部は、送り配線用の送り端子を有しており、最大で6本の電線が接続可能である。筐体40の後面における端子孔44の側方には、ドライバ等の治具を挿入するための解除操作孔441が形成されている。解除操作孔441からドライバ等の治具が挿入されることで、端子部における電線の保持状態が解除される。
また、配線器具4は、電気機器の接地線を接続するためのねじ式端子を構成する延長端子板45を有している。延長端子板45は、導電性の金属板からなり、上下方向に長い帯状に形成されている。延長端子板45の上端部は、筐体40(第2ボディ43)の後面から差し込まれることによって、筐体40内にて、端子部の接地極と電気的に接続される。延長端子板45の下端部は、一対の保持ねじ46によってボディ3の後面に固定される。
(2.2)配線器具用ケース
配線器具用ケース1は、図4及び図5に示すように、ボディ3と、カバー20(カバー本体2)と、を備えている。配線器具用ケース1は、ボディ3とカバー本体2とを連結するための軸体7を更に備えている。ボディ3は、配線器具4を保持する。カバー本体2は、配線器具4を覆う位置(閉位置)と配線器具4を露出させる位置(開位置)との間で移動可能となるように、ボディ3に支持される。つまり、カバー本体2が開位置にあれば配線器具4はカバー本体2に覆われないこととなり、配線器具4に対して配線器具用ケース1外からアクセスが可能になる。以下、カバー20については、特に断りがない限り、カバー本体2が閉位置にある状態での方向を用いて説明する。
ボディ3は、上下方向に長い矩形枠状の枠体35と、枠体35の前面から前方に突出した収納部36と、枠体35の下端縁から下方に突出した矩形板状の延長部37と、で構成されている。ボディ3は、例えばASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)樹脂製である。
枠体35において、収納部36の下方であって、延長端子板45の下端部に対応する位置には、接地端子孔351が形成されている。この接地端子孔351を通して、枠体35の前面から端子ねじ47が延長端子板45に締め付けられることにより、延長端子板45と端子ねじ47とで接地用端子が構成される。つまり、延長端子板45に対して、電気機器の接地線が電気的に接続可能となる。枠体35の後面の外周部には、略全周にわたってリブ352が形成されている。さらに、枠体35には、取付ねじを通すための一対の取付孔353が形成されている。
収納部36の前面は、枠体35の前面に対して平行ではなく、斜め上方に向けて傾斜している。これにより、枠体35の前面からの収納部36の突出量は、上下方向において収納部36の下端縁に近づく程に大きくなる。本実施形態では、収納部36の前面の少なくとも一部は平面ではなく、斜め上方に凸となるように湾曲した湾曲面である。収納部36の内部は空洞である。収納部36の下面には第1開口部361が形成され、収納部36の後面には第2開口部362が形成されている。
収納部36の内部空間には配線器具4が収納される。配線器具4の第2ボディ43の左右方向の両側面からは、固定ねじ48を通すための一対の取付片431が突出している。配線器具4は、固定ねじ48によってボディ3に固定される。配線器具4がボディ3に固定された状態で、収納部36の第1開口部361からは、配線器具4の下面(接続面411)が露出する。言い換えれば、ボディ3は、ボディ3の前面に形成された開口部(第1開口部361)から配線器具4の接続面411を露出させた状態で、配線器具4を保持する。
本実施形態では、ボディ3は、第1開口部361から露出する接続面411が鉛直方向の下方(真下)よりもやや前方を向くように、上下方向に対して傾いた状態で配線器具4を保持する。ここでは、接続面411だけでなく、第1ボディ42の後面及び第2ボディ43の前面も上下方向に対して傾斜するように、配線器具4は筐体40全体が傾いた状態でボディ3に保持されている。これにより、配線器具4に接続されるプラグ8(図3参照)の栓刃81(又はピン82)の挿入方向は、上下方向に対してやや傾斜した方向となる。つまり、プラグ8は接続面411に対して鉛直方向の下方(真下)からではなく、斜め前方から接続されることになる。
延長部37の前面には、ロック受部38が形成されている。ロック受部38は、カバー本体2に保持されるロック板52と共に、ロック機構5を構成する。ロック受部38は、下面開口のロック穴381を有する。ロック穴381内には、板ばね382がねじ383により取り付けられる。
延長部37の前面には、一対のガイド突起39が更に形成されている。一対のガイド突起39は、延長部37の前面の下端部であって、左右方向の両端部から突出する。一対のガイド突起39の間隔は、一対のガイド突起39の先端縁に近づく程に小さくなる。一対のガイド突起39は、カバー本体2が開位置から閉位置に移動する際に、カバー本体2の内側面に接触することにより、カバー本体2の移動をガイドする機能を有する。一対のガイド突起39のうちの一方(ここでは右側)のガイド突起39には、ガイド突起39を厚み方向(左右方向)に貫通する透孔391が形成されている。
また、ボディ3は、上述した構成に加えて、通水溝31と、支持部32と、突出片33(図1参照)と、を更に有している。
通水溝31は、ボディ3の上端部に位置する上面開口の溝である。通水溝31は、例えば、ボディ3とカバー本体2との隙間からボディ3とカバー本体2との間の空間に浸入した雨水等を、ボディ3の左右方向の両側面に導くための溝である。つまり、ボディ3とカバー本体2との隙間から雨水等の水が浸入すると、この水は、通水溝31を通してボディ3の両側面に導かれるので、ボディ3の前面から露出する配線器具4が濡れにくくなる。
支持部32は、軸体7を保持することにより、カバー本体2をボディ3に対して回転可能に支持するための構造である。ここでは、支持部32はボディ3の上端部に位置し、回転軸300(図1参照)を中心として、カバー本体2が回転可能となるように、カバー本体2を支持する。回転軸300の軸方向は左右方向と一致する。そのため、カバー本体2の回転中心となる回転軸300は、ボディ3の上端部に位置する。支持部32について詳しくは、「(2.5)ヒンジ構造の詳細」の欄で説明する。
突出片33は、カバー本体2を開位置に仮固定するための構造である。本実施形態では、突出片33は一対設けられており、一対の突出片33は支持部32の左右方向の両端面から突出する(図9A参照)。突出片33について詳しくは、「(2.5)ヒンジ構造の詳細」の欄で説明する。
カバー20は、図1〜図5に示すように、配線器具4を覆うカバー本体2を備えている。配線器具4は、上述したようにボディ3の収納部36に収納されているので、カバー本体2は、収納部36ごと配線器具4を覆うように構成されている。ここでは、カバー本体2は、後面が開口した箱状に形成されている。
カバー本体2は、主壁部200と、第1側壁部201と、第2側壁部202と、底壁部203と、を有している。主壁部200は、配線器具4を前方と上方との少なくとも一方から覆う。第1側壁部201は、主壁部200に隣接し、配線器具4を左側方から覆う。第2側壁部202は、主壁部200に隣接し、配線器具4を右側方から覆う。本実施形態では、主壁部200は、湾曲部204(図2参照)と、平面部205(図2参照)と、を有している。湾曲部204は、収納部36の前面に沿って、斜め上方に凸となるように湾曲した部位である。平面部205は、湾曲部204の下端縁に連続し、前後方向に直交する平板状に形成された部位である。底壁部203は、主壁部200に隣接し、配線器具4を下方から覆う。底壁部203には、ケーブル80(図3参照)を引き出すための引出部231が形成されている。本実施形態では、配線器具4が2個口タイプのコンセントであるので、カバー本体2には左右方向に並ぶ一対の引出部231が形成されている。各引出部231は、下方から見て後方に開放された形状の開口部である。
ここで、第1側壁部201及び第2側壁部202の各々は、主壁部200に対して略直交する。つまり、第1側壁部201及び第2側壁部202の各々は、左右方向に対して略直交する。ただし、本開示で用いる「直交」は、厳密に90度で交わる状態だけでなく、ある程度の誤差の範囲内で略直交する状態も含む意味である。また、底壁部203は、上下方向に対して略直交する。ただし、底壁部203は、水平面に対して厳密に平行ではなく、底壁部203の下面が斜め前方に向けてやや傾斜している。さらに、湾曲部204は前下がりになっており、カバー本体2の上面に雨水が溜まらない程度の勾配を付与している。
また、正面視におけるカバー本体2の寸法は、ボディ3の寸法と略同等であって、配線器具装置10を左右方向の側方から見たときの、ボディ3とカバー本体2との一体感が高められている。
また、カバー本体2は、一対の軸受部28を有している。一対の軸受部28の各々には、軸体7が挿入される軸受穴273が形成されており、一対の軸受部28は、ボディ3の支持部32に保持された状態の軸体7を保持する。軸体7は、回転軸300上に配置される。この構成によれば、カバー本体2はボディ3に対して、回転軸300を中心に回転可能に保持されることになる。一対の軸受部28について詳しくは、「(2.5)ヒンジ構造の詳細」の欄で説明する。
ところで、本実施形態に係る配線器具用ケース1は、ロック機構5(図1参照)、及び錠部材6(図2参照)により、カバー本体2を閉位置に固定する機能を有している。そのため、カバー本体2には、ロック機構5を操作するための操作孔271、及び錠部材6を取り付けるための規制孔272が形成されている。
操作孔271は、カバー本体2の主壁部200の下端部における、左右方向の中央部に形成されている。操作孔271は、ロックピン51を通すための貫通孔27である。ロックピン51は、ロック機構5を操作するためのピンである。ロック機構5は、閉位置にカバー本体2を固定するロック状態と、閉位置から開位置へのカバー本体2の移動を許容するアンロック状態と、を切替可能に構成されている。
具体的には、図4及び図5に示すように、ロックピン51は、前後方向に長い丸棒状の部材であって、操作孔271に挿入されることによりカバー本体2を貫通する。ロックピン51のうち、カバー本体2の後面から突出した端部(後端部)には、ロック板52が固定されている。ロック板52は、ロックピン51の軸を中心にして、略90度の範囲で回転可能に構成されている。ロックピン51のうち、カバー本体2の前面から突出した端部(前端部)には、頭部53が形成されている。頭部53には、専用の治具(鍵)に対応する形状の溝が形成されている。したがって、専用の治具にてロックピン51の頭部53を操作することにより、ロック板52ごとロックピン51を回転させることができる。
ここで、ロック板52は、ボディ3のロック受部38と共に、ロック機構5を構成する。ロック受部38は、カバー本体2が閉位置にある状態でロック板52に対応する位置に形成されている。そのため、カバー本体2が閉位置にある状態で、ロック板52が回転することにより、ロック穴381に対してロック板52が抜き差しされることになる。ロック板52がロック穴381に差し込まれた状態では、ロック板52がロック受部38に引っ掛かるため、閉位置から開位置へのカバー本体2の移動が規制され、カバー本体2は閉位置に固定される。つまり、ロック板52がロック穴381に差し込まれた状態が、ロック状態に相当する。また、ロック板52がロック穴381から抜けた状態が、アンロック状態に相当する。ロック板52がロック穴381に抜き差しされる際には、板ばね382によりクリック感(節度感)が生じる。
規制孔272は、カバー本体2の第2側壁部202の下端部における後端部に形成されている。規制孔272は、錠部材6(図2参照)を通すための貫通孔27である。錠部材6は、例えば南京錠等の一般的な錠(錠前)である。この規制孔272に錠部材6が差し込まれた状態では、錠部材6に孔の周縁が接触することで、閉位置から開位置へのカバー本体2の移動が規制される。錠部材6は、配線器具用ケース1の構成要素に含まれてもよいし、含まれなくてもよい。図2において、錠部材6は想像線(2点鎖線)で表している。
具体的には、図2に示すように、錠部材6は、そのシャックル部がカバー本体2の第2側壁部202及びボディ3のガイド突起39を貫通した状態で、配線器具用ケース1に取り付けられることにより、カバー本体2を閉位置に固定する。すなわち、錠部材6は、カバー本体2の規制孔272、及びガイド突起39の透孔391にシャックル部を通して施錠されることにより、閉位置から開位置へのカバー本体2の移動を規制、つまりカバー本体2をロックする。一方、錠部材6が解錠され配線器具用ケース1から取り外されることで、閉位置から開位置へのカバー本体2の移動の規制が解除され、カバー本体2のロックが解除される。
ところで、この種のカバー20付きのコンセント装置では、カバー本体2が閉位置にある状態でプラグ8が抜けると、プラグ8がカバー本体2に引っ掛かることにより、中途半端にプラグ8が抜けた状態(以下、「半端状態」という)となる可能性がある。半端状態では、プラグ8が配線器具4から抜け切っていないため、プラグ8と配線器具4との間の電気的な接続が継続する場合があり、その場合に、正常な接続状態に比べて、プラグ8と配線器具4との間の電気抵抗(接触抵抗)が増加することがある。
本実施形態に係る配線器具装置10では、このような半端状態の発生率を低減するために、プラグ8の抜止機能を有する配線器具4を採用している。プラグ8の抜止機能は、例えば、プラグ8を差込方向に沿った軸周りで回転させることによってプラグ8の抜け止めを行う方式、又は配線器具4に設けた突起等をプラグ8に引っ掛けることによりプラグ8の抜け止めを行う方式等で実現される。ただし、この種の配線器具装置10においても、例えばプラグ8の抜止機能が正しく使用されていない状況等にあっては、ケーブル80に人の足が引っ掛かった場合等において、配線器具4からプラグ8が抜ける可能性はある。
そこで、本実施形態では、図3に示すように、カバー本体2が閉位置にある状態で、プラグ8の一対の栓刃81及びピン82が配線器具4から完全に抜けるのに十分なスペースS1を、カバー本体2とボディ3との間であって接続面411の下方に有している。そのため、配線器具装置10においては、カバー本体2が閉位置にある状態で、例えば、ケーブル80に人の足が引っ掛かった場合等で、配線器具4からプラグ8が抜けることがあっても、プラグ8は抜け切ることができ、半端状態の発生を回避可能である。
(2.3)防水板
防水板9は、ボディ3の後面と施工面(壁面)との間に挟まれるように配置され、ボディ3の後面の第2開口部362から、収納部36の内部空間への雨水の浸入を防止する。防水板9は、図4及び図5に示すように、ボディ3の枠体35よりも一回り小さい矩形板状に形成されている。防水板9は、例えば軟質塩化ビニル樹脂製である。防水板9の前面には、環状の溝91が形成されている。溝91は、防水板9の前面のうち、少なくとも第2開口部362と対向する領域を囲むように形成されている。この溝91に対して、枠体35の後面に形成されたリブ352が嵌ることによって、第2開口部362への雨水の浸入が防止される。
さらに、防水板9の後面には、溝91が形成された領域を略全周にわたって囲むようにリブ92が形成されている。このリブ92によって、防水板9と施工面との間の空間への雨水の浸入が防止される。また、防水板9のうち、第2開口部362に対応する位置には、通線用の通線孔93が形成されている。防水板9において、一対の取付孔353に対応する位置には、取付ねじを通すための一対の取付孔94が形成されている。
上記構成によれば、配線器具装置10は、配線器具4を保持するボディ3が、防水板9と組み合わされた状態で、一対の取付ねじによって施工面に取り付けられる。このとき、施工面から引き出された電線は、通線孔93及び第2開口部362を通して、収納部36の内部空間に導入され、収納部36内の配線器具4の端子部に接続される。ボディ3に取り付けられたカバー本体2が閉じた状態、つまりカバー本体2が閉位置にある状態では、一対の取付ねじは配線器具4と共にカバー本体2にて覆われる。
(2.4)配線器具用カバーの詳細
以下、本実施形態に係るカバー20のより詳細な構成について、図6〜図8Bを参照して説明する。
カバー本体2は、第1成形体21と、第2成形体22と、を一体に有している。第1成形体21は、光輝性顔料を含有する第1樹脂からなる。第2成形体22は、光輝性顔料を含有しない第2樹脂からなる。本実施形態では、第1成形体21及び第2成形体22は、二色成形(ダブルモールド)により一体に成形された一体成形品である
第1成形体21は、主板210と、第1側板211と、第2側板212と、を一体に有している。主板210は、配線器具4を前方と上方との少なくとも一方から覆う。第1側板211は、主板210の左端縁から後方に突出するように構成されている。つまり、第1側板211は、主板210に隣接し、配線器具4を左側方から覆う。第2側板212は、主板210の右端縁から後方に突出するように構成されている。つまり、第2側板212は、主板210に隣接し、配線器具4を右側方から覆う。主板210の下端部における左右方向の中央部には、正面から見て下方に開放された形状の開口部213が形成されている。
第2成形体22は、底板23と、一対の縦枠部24と、立上部25と、補強部26と、を一体に有している。底板23は、配線器具4を下方から覆う。一対の縦枠部24は、第1側板211及び第2側板212の各々の後端縁から後方に突出する。一対の縦枠部24は、第1成形体21の上下方向の全長にわたって設けられている。立上部25は、図6に示すように、底板23の前端縁及び左右方向の両端縁から上方に立ち上がった形に形成されている。立上部25は、開口部213を通して前方に露出する露出部251を含んでいる。立上部25のうち露出部251以外の部位は、第1成形体21に対して、裏面(ボディ3との対向面)側から重なるように、第1成形体21と結合される。補強部26は、立上部25と一対の縦枠部24とを連結する帯状の部材であって、第1成形体21に対して、裏面(ボディ3との対向面)側から重なるように、第1成形体21と結合される。
言い換えれば、カバー本体2は、主壁部200については、下端部における左右方向の中央部のみが第2成形体22(露出部251)にて構成され、それ以外の部位は第1成形体21(主板210)にて構成されている。同様に、第1側壁部201については、後端部のみが第2成形体22(縦枠部24)にて構成され、それ以外の部位は第1成形体21(第1側板211)にて構成されている。第2側壁部202については、後端部のみが第2成形体22(縦枠部24)にて構成され、それ以外の部位は第1成形体21(第2側板212)にて構成されている。底壁部203については、第2成形体22(底板23)にて構成されている。
本実施形態では、第1成形体21を構成する第1樹脂は、光輝性顔料を含有する難燃性樹脂である。ここでいう「光輝性顔料」とは、例えば金属粉(金属フレーク)、雲母、酸化チタン又はガラスフレーク等からなり、金属性の光沢又はパールのような光沢を発揮する顔料である。本実施形態では、光輝性顔料として金属粉(一例としてアルミフレーク)を用い、第1成形体21を構成する第1樹脂にメタリック色の着色を施している。つまり、第1成形体21を構成する第1樹脂は、透光性樹脂からなる基材に光輝性顔料を含有することで成形前の原料段階で着色された、いわゆる原着(原料着色)樹脂である。この種の原着樹脂を用いることで、無塗装(塗装レス)であっても、完成品(第1成形体21)にメタリック色等の着色を実現可能である。難燃性樹脂である第1樹脂の基材は、例えばポリカーボネート、ASA樹脂、PC/ABSアロイ樹脂、又はABS樹脂等である。
また、第2成形体22を構成する第2樹脂は、光輝性顔料を含有しない難燃性樹脂である。本実施形態では、第2成形体22を構成する第2樹脂に、顔料として光輝性顔料を含まずに着色顔料のみを含む、いわゆるソリッドカラーの原着樹脂を用いている。この種の原着樹脂を用いることで、無塗装(塗装レス)であっても、完成品(第2成形体22)にソリッドカラーの着色を実現可能である。難燃性樹脂である第2樹脂の基材は、例えばポリカーボネート、ASA樹脂、PC/ABSアロイ樹脂、又はABS樹脂である。本実施形態では、第2樹脂の基材は第1樹脂の基材とは異なる樹脂である。
また、本開示でいう「難燃性樹脂」とは、樹脂の燃焼性について、可燃性と難燃性(不燃性を含む)とに分類したときに、可燃性ではなく難燃性を有する樹脂である。本実施形態では、カバー本体2は、難燃性UL94 V−2以上の難燃性を有する。「UL94」とは、UL(Underwriters Laboratories)社によって定められた難燃性の評価の規格である。UL94規格のグレードとしては、水平燃焼試験での「HB」、垂直燃焼試験での「V−2」、「V−1」、「V−0」、「5VA」、「5VB」の計6つのグレードがある。これら6つのグレードは、「HB」の難燃性が最も低く、「HB」、「V−2」、「V−1」、「V−0」、「5VB」、「5VA」の順に難燃性が高くなる。つまり、UL94 V−2以上の難燃性を有するカバー本体2(第1成形体21及び第2成形体22)は、「HB」を除いて、「V−2」、「V−1」、「V−0」、「5VB」及び「5VA」のいずれかの難燃性を有することになる。UL94 V−2以上の難燃性を有する樹脂は、大気中において、炎にさらされる間は燃えるが炎から離されれば消火する性質(自己消火性)を有する。カバー本体2(第1成形体21及び第2成形体22)の材料となる難燃性樹脂は、試料の厚みが例えば2.5mmである場合のUL94規格において「V−2」以上の難燃性を有することが好ましい。
また、第1成形体21のうち、少なくとも第1側板211及び第2側板212の各々におけるボディ3とは反対側の一面(つまり表面)は、シボ加工(エンボス加工)された凹凸面からなる。ここでいう「シボ加工」は、第1成形体21の成形時において、第1成形体21の表面に細かい凹凸のしわ模様(シボ)を付ける加工である。本実施形態では、第1成形体21のうち、第1側板211の左側面、第2側板212の右側面、並びに主板210の前面及び上面が、シボ加工された凹凸面からなる。これにより、第1成形体21は、無塗装(塗装レス)であっても、表面の細かい凹凸によって塗装に類似する質感を実現可能である。
また、第1成形体21が例えばシルバー調のメタリック色で、第2成形体22がグレー又はブラック等のソリッドカラーであれば、第2成形体22に比べて第1成形体21が目立つことになる。特に、ボディ3についても、第2成形体22と同種のソリッドカラーを採用することで、配線器具用ケース1としては、後端部に設けられている後述のヒンジ構造等が目立ちにくくなり、シャープな外観を実現できる。
ところで、カバー本体2は、少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の貫通孔27を有している。これらの貫通孔27は、いずれも第1成形体21と第2成形体22とのうちの第2成形体22に設けられている。つまり、貫通孔27は全て第2成形体22に形成されているのであって、第1成形体21には貫通孔27は形成されていない。ここでいう「貫通孔」は、第2成形体22を貫通するように形成され、かつ開口面の周縁が閉ループ状に形成された孔を意味する。つまり、例えば引出部231のように、開口面の周縁が不連続である、つまり周縁の一部が開放された形状の孔は、ここでいう「貫通孔」に含まれない。
このように、光輝性顔料を含有しない第2成形体22にのみ、貫通孔27が形成されることで、例えば、貫通孔27の周囲にウェルドラインが生じても、ウェルドラインが目立ちにくい、という利点がある。すなわち、貫通孔27を有するカバー本体2が例えば射出成形にて成形される場合、カバー本体2の成形にあたっては、複数の金型片を組み合わせた状態で、複数の金型片の間に生じる空洞内に、ゲート部から、溶融した樹脂が注入される。ここで、貫通孔27を形成するためのコアが障害物となって溶融樹脂が二手に分流し、分流した溶融樹脂の先端部(フローフロント)同士がコアの周囲で合流することで、ウェルドラインが生じることがある。仮に、このようなウェルドラインが第1成形体21に生じるとすれば、溶融樹脂(第1樹脂)が方向性を有する光輝性顔料を含有しているため、光輝性顔料の配向状態によってウェルドラインが外観上目立つ可能性がある。一方、光輝性顔料を含有しない第2成形体22においては、溶融樹脂(第2樹脂)が含有する着色顔料が略球形状であって方向性が無いため、ウェルドラインは外観上目立ちにくい。
本実施形態では第1成形体21と第2成形体22とのうちの第2成形体22にのみ貫通孔27を設けているので、上記の理由から、成形されたカバー本体2においては、貫通孔27の周囲のウェルドラインが目立ちにくい、という利点がある。
複数の貫通孔27は、操作孔271と、規制孔272と、一対の軸受穴273と、を含んでいる。本実施形態では、これら計4つの貫通孔27が、全て第2成形体22に形成されている。操作孔271は、第2成形体22における立上部25の露出部251に形成されている。規制孔272は、第2成形体22における一対の縦枠部24のうちの一方(本実施形態では右方)の縦枠部24の下端部に形成されている。一対の軸受穴273は、一対の縦枠部24の上端部(軸受部28)に形成されている。
また、本実施形態では、第1成形体21は、その全体にわたって均一の厚みを有するのではなく、部分的に厚みが変化する。ここでは、主板210の少なくとも一部は、第1側板211及び第2側板212に比べて厚みが大きく設定されている。
具体的には、図8A及び図8Bに示すように、主板210のうちの、湾曲部204(図2参照)に相当する領域Z1の厚みt2が、その他の領域(例えば平面部205(図2参照)に相当する領域)の厚みt1よりも大きい(t1<t2)。主板210のうちの、平面部205(図2参照)に相当する領域の厚みt1は、第1側板211及び第2側板212の厚みt1と同一である。図8Bは、図8のA−A線断面の要部の拡大図である。ここで、第1側板211及び第2側板212等の厚みt1は、一例として2mm〜3mmであることが好ましい。この場合に、主板210の領域Z1の厚みt2は、厚みt1に対し、一例として厚みt1の数%〜十数%の分だけ大きな値であることが好ましい。
本実施形態では、図8Aに示すように、第1成形体21のゲート跡214は、主板210の上端部における左右方向の中央部に位置する。ここでは、ゲート跡214は、主板210の後面に設けられている。ゲート跡214は、第1成形体21の成形時において金型内に樹脂(第1樹脂)を流入する際の樹脂の入り口となる部分、つまりゲート部に対応する部分である。
このような構成において、第1成形体21の成形時、ゲート部から注入される溶融樹脂は、金型内を、主板210、第1側板211及び第2側板212の各々について、基本的には、上端部から下端部に向かって流動する。ここで、主板210、第1側板211及び第2側板212の全てについて、溶融樹脂が下端部に略同時に到達できれば、例えばフローマーク及びウェルドライン等の成形不良が生じにくく、理想的である。ただし、主板210は、その上半分(湾曲部204に相当する領域Z1)が湾曲しており、第1側板211及び第2側板212に比べると主板210の方が、上端部から下端部までの距離が長くなる。その他、諸々の事情から、主板210と、第1側板211及び第2側板212とでは、溶融樹脂が下端部に到達するタイミングがばらつくことがある。例えば、第1側板211及び第2側板212において、主板210よりも先に溶融樹脂が下端部に到達すると、第1側板211及び第2側板212から主板210に溶融樹脂が回り込み、例えばフローマーク及びウェルドライン等の成形不良が生じることがある。
そこで、本実施形態では、第1成形体21において、主板210の少なくとも一部の厚みt2を、第1側板211及び第2側板212の厚みt1に比べて相対的に大きくすることで、第1成形体21の成形時における溶融樹脂の流速を制御する。要するに、主板210の厚みt2が、第1側板211及び第2側板212の厚みt1に比べて大きくなれば、主板210における溶融樹脂の流速が向上する。これにより、溶融樹脂が下端部に到達するタイミングを、主板210と、第1側板211及び第2側板212とで揃えることができ、例えばフローマーク及びウェルドライン等の成形不良が生じにくくなる。
また、本実施形態では、第1成形体21のゲート跡214は主板210に設けられているが、この例に限らず、例えば第1側板211及び第2側板212に第1成形体21のゲート跡が設けられていてもよい。
(2.5)ヒンジ構造の詳細
次に、カバー本体2をボディ3に対して回転可能に支持するためのヒンジ構造について、図9A〜図12を参照して詳しく説明する。図9Aは、配線器具用ケース1の上端部を前方から見て、前後方向に直交する平面でカットした断面図である。図9Bは、図9Aの領域Z1の拡大図、図9Cは、図9Aの領域Z2の拡大図である。
カバー本体2は、ヒンジ構造により、ボディ3の上端部に位置する回転軸300を中心として、閉位置と開位置との間で回転可能となるように、ボディ3に支持される。ヒンジ構造は、ボディ3の支持部32と、カバー本体2の一対の軸受部28と、軸体7と、を含んでいる。
軸体7は、回転軸300上に配置される丸棒状の部材である。本実施形態では、軸体7は金属製である。軸体7の外周面には、軸体7の軸方向の中央部に、全周にわたって凹部70が形成されている。軸体7は樹脂製のボディ3及びカバー本体2とは別体であるので、軸体7の材料を金属とすることができ、軸体7として一定以上の強度を確保しながらも、樹脂製の軸体に比べて軸体7を小径にできる。
支持部32は、軸体7を通す保持孔34を有している。保持孔34は、回転軸300の軸方向(左右方向)に沿って支持部32を貫通する。支持部32の左右方向の幅は、ボディ3の左右方向の幅よりも小さい。支持部32は、ボディ3の上端部であって、ボディ3の左右方向の中央部に設けられている。本実施形態では、支持部32は、ボディ3に形成された通水溝31(図10参照)内に配置されている。
具体的には、ボディ3の上端部には、上述したように上面開口の通水溝31が形成されている。通水溝31は、図10に示すように、前後方向に対向する一対の側面311を有している。通水溝31は、ボディ3の上端部における左右方向の略両端間にわたって形成されている。さらに、通水溝31の底面312は、左右方向の両端縁に向かって低くなるように水平面に対して傾斜している。これにより、ボディ3とカバー本体2との隙間から浸入した雨水等の水W1(図12参照)等は、通水溝31を通ってボディ3の左右方向の両側面に導かれることになる。
支持部32は、通水溝31の一対の側面311間に位置する。支持部32は、一対の側面311のうち前側の側面311との間に隙間が生じるように、通水溝31内における後端部に位置する。また、支持部32の後面における左右方向の中央部には、保持孔34につながる開口が設けられている(図5参照)。ここで、支持部32は、通水溝31の底面312から上方に突出するように形成されているが、この構成は必須ではなく、例えば、底面312と支持部32との間に隙間があってもよい。
保持孔34には軸体7が挿入される。支持部32の左右方向の幅は軸体7の全長よりも短く、軸体7が保持孔34に挿入された状態で、軸体7の両端部は支持部32から突出する。
保持孔34の内周面には、保持孔34に軸体7が挿入された状態で軸体7の凹部70に対応する部位に、突起340が設けられている。突起340が凹部70に挿入されることによって、回転軸300の軸方向(左右方向)において、軸体7が保持孔34内で位置決めされる。つまり、突起340が凹部70に挿入された状態で、突起340が凹部70の側面701(図9C参照)に接触することにより、回転軸300の軸方向(左右方向)に沿った第1の向きへの軸体7の移動を突起340が規制する。本実施形態では、軸体7に形成された凹部70の左右方向の両側面のうち左側の側面701に突起340が接触することで、「第1の向き」としての右方への軸体7の移動が規制される。
本実施形態では、配線器具用ケース1の組み立て時において保持孔34に対して軸体7が挿入される向きが決まっており、例えば軸体7が保持孔34の右側方から左方に向かって挿入される。ここで、第1の向き(右方)とは反対の向きを「第2の向き」とすると、軸体7は、保持孔34に対し第2の向き(左方)に向かって挿入されることになる。突起340の右端面は回転軸300の軸方向に対して傾斜した傾斜面341(図9C参照)である。傾斜面341は、右端縁に近づく程に保持孔34の内周面からの突起340の突出量が小さくなるように傾斜している。これにより、軸体7が保持孔34に右側方から挿入された場合に、軸体7が突起340の傾斜面341に接触することで、軸体7が突起340に乗り上げやすくなっている。また、突起340の左端面は回転軸300に対して直交する規制面342である。したがって、突起340が凹部70に挿入された場合に、規制面342が凹部70の側面701に接触することで、軸体7の第1の向き(右方)への移動を規制する。
また、支持部32は、保持孔34の内周面から突出する複数の凸部343を更に有している(図9A参照)。本実施形態では、保持孔34の左右方向における両端部であって、やや中央部寄りの位置に、一対の凸部343が形成されている。軸体7が保持孔34に挿入された状態で、一対の凸部343の先端が金属製の軸体7に接触することで、軸体7のがたつきが低減された状態で軸体7が支持部32に支持される。軸体7のがたつきを低減するために、軸体7にローレット加工が施されていてもよいが、ローレット加工は加工費が高くつく。本実施形態では、保持孔34の内周面に凸部343を形成することで、軸体7のがたつきを低減するための構成を安価に実現できる。
一対の軸受部28は、カバー本体2の上端部の左右方向の両端部に設けられている。一対の軸受部28は、ボディ3の支持部32の左右方向の両側方に1つずつ位置する。本実施形態では、一対の軸受部28は、第2成形体22の一対の縦枠部24の上端部に形成されている。一対の軸受部28は、軸体7を通す一対の軸受穴273を有している。軸受穴273は、回転軸300の軸方向(左右方向)に沿って軸受部28を貫通する。
保持孔34及び一対の軸受穴273に軸体7が挿入された状態では、軸体7の中央片71が支持部32にて保持され、軸体7の先端片72及び基端片73が一対の軸受部28にて保持される。中央片71は軸体7の長手方向(左右方向)の中央部である。先端片72は、中央片71から第2の向き(左方)に突出した部位であって、支持部32から第2の向き(左方)に突出する。先端片72は、一対の軸受部28のうちの一方(ここでは左側)の軸受部28に形成された軸受穴273に挿入されることで、左側の軸受部28に保持される。基端片73は、中央片71から第1の向き(右方)に突出した部位であって、支持部32から第1の向き(右方)に突出する。基端片73は、一対の軸受部28のうちの一方(ここでは右側)の軸受部28に形成された軸受穴273に挿入されることで、右側の軸受部28に保持される。支持部32と一対の軸受部28との少なくとも一方は、回転軸300を中心として回転可能に軸体7を保持するように構成されている。
ここにおいて、図9Bに示すように、先端片72の外径d2は中央片71の外径d1よりも小さい。また、先端片72が挿入される左側の軸受穴273の内径d3は、中央片71の外径d1よりも小さい。さらに、先端片72が挿入される左側の軸受穴273の内径d3は、先端片72の外径d2以上である。つまり、図9Bに示す外径d1,d2及び内径d3の間には、「d2≦d3<d1」の関係が成立する。言い換えれば、軸体7の外周面であって中央片71と先端片72との間には、先端片72の外径d2を中央片71の外径d1よりも小さくする段差が形成されている。また、基端片73が挿入される右側の軸受穴273の内径は、中央片71の外径d1よりも大きい。つまり、一対の軸受穴273は、互いに内径が異なっている。
そのため、配線器具用ケース1の組み立て時において、保持孔34及び一対の軸受穴273に対して、軸体7が第2の向き(左方)に挿入されたときに、中央片71と先端片72との間の段差にて第2の向きへの軸体7の移動が規制される。すなわち、保持孔34及び一対の軸受穴273が回転軸300に沿って一直線上に並んだ状態で、軸体7は第2の向き(左方)に挿入される。このとき、先端片72が左側の軸受部28の軸受穴273に挿入された後、軸体7は、中央片71と先端片72との間の段差にて、左側の軸受部28における軸受穴273の周縁に接触することで、第2の向き(左方)への移動が規制される。この状態では、軸体7の第1の向き(右方)への移動についても、上述したように突起340の規制面342が凹部70の側面701に接触することで、規制されることになる。したがって、回転軸300の軸方向(左右方向)に沿った軸体7の移動が規制され、保持孔34及び一対の軸受穴273からの軸体7の抜け止めが実現される。
このように、一対の軸受穴273のうち左側の軸受穴273については、軸体7が貫通しないため、軸受部28を貫通していることは必須の構成ではない。つまり、一対の軸受穴273のうち、一方(ここでは左側)の軸受穴273は、貫通孔27ではなく底部を有する穴であってもよい。
ここで、本実施形態では、保持孔34及び一対の軸受穴273の内径が、いずれも軸体7の外径以上に設定されている。そのため、軸体7の位置決め、及び抜け止め等を実現しながらも、支持部32又は一対の軸受部28に軸体7が圧入される構成に比べて、支持部32又は一対の軸受部28に対するダメージを低減できる。そのため、配線器具用ケース1が破損しにくくなる。
ところで、本実施形態に係る配線器具用ケース1は、カバー本体2を開位置に保持(仮固定)するための構造として、突出片33を備えている。突出片33は、ボディ3に設けられている。
突出片33は、片持ち梁状である。突出片33は、通水溝31の長手方向(左右方向)における支持部32の両端面の少なくとも一方から突出する。本実施形態では、突出片33は一対設けられており、一対の突出片33は支持部32の両端面から突出する。一対の突出片33は、図10に示すように、軸体7の下方に位置し、その上面を一対の軸受部28の外周面(下面)に対向させるように配置されている。一対の突出片33の各々は、少なくともその先端部が上下方向に移動するように弾性変形可能に構成されている。
一対の突出片33の各々は、その上面から上方に突出する規制突起331を有している。規制突起331は、回転軸300の軸方向の一方から見て、前後方向の両面を斜辺とする略三角形状に形成されている。一方、一対の軸受部28の各々は、その外周面におけるカバー本体2の回転方向の一部に引掛部281を有している。引掛部281は、回転軸300の軸方向の一方から見て、カバー本体2の回転方向の両面を斜辺とする略三角形状に形成されている。ここで、一対の突出片33における一対の規制突起331は、回転軸300の周囲であって、カバー本体2が閉位置から開位置に移動する際の引掛部281の軌跡上に位置している。
カバー本体2が開位置にある状態では、突出片33は、その一部(規制突起331)がカバー本体2の回転方向において引掛部281と接触することにより、カバー本体2の閉位置への移動を規制する。すなわち、図10及び図11に示すように、カバー本体2が開位置にある状態では、ボディ3に設けた突出片33の一部(規制突起331)がカバー本体2の一部(引掛部281)と接触することにより、カバー本体2の閉位置への移動(回転)が規制される。その結果、カバー本体2は開位置に保持されることになる。
また、カバー本体2が開位置から閉位置に移動する際には、突出片33は、その一部(規制突起331)が引掛部281に押されて回転軸300から離れる向きに弾性変形することで、カバー本体2の閉位置への移動の規制を解除する。すなわち、ユーザが開位置にあるカバー本体2を閉じる際には、図10に示すように、カバー本体2の一部(引掛部281)がボディ3の突出片33の一部(規制突起331)を押すことで、突出片33が弾性変形し、突出片33の先端部が下方に移動する。図10では、下方に移動した状態の突出片33の先端部を想像線(2点鎖線)で示している。これにより、カバー本体2の引掛部281が突出片33の一部(規制突起331)を乗り越えることになり、カバー本体2は閉位置まで移動可能となる。図10では、引掛部281が規制突起331を乗り越えた後であって、閉位置に到達する前のカバー本体2を想像線(2点鎖線)で示している。カバー本体2が閉位置に到達すれば、規制突起331から引掛部281が離れるので、突出片33は、その弾性力によって元の位置(図10に実線で示す位置)に復帰する。カバー本体2が閉位置にある状態では、引掛部281は、ボディ3に形成された孔内に収まることによりボディ3との干渉が回避される。
カバー本体2が閉位置から開位置に移動する際にも、カバー本体2が開位置から閉位置に移動する際と同様に、突出片33は、その一部(規制突起331)が引掛部281に押されて回転軸300から離れる向き(下方)に弾性変形する。その結果、カバー本体2は、開位置まで移動可能となり、開位置に到達すると開位置に保持される。
ところで、カバー本体2が開位置に保持されている状態では、カバー本体2の自重によりカバー本体2に作用するモーメントを、ボディ3は突出片33にて受けることになる。そのため、カバー本体2の自重によりカバー本体2に作用するモーメントでは、カバー本体2の閉位置への移動の規制が解除されてしまわないように、突出片33の弾性率は比較的大きく設定されることが好ましい。この場合、引掛部281が規制突起331を乗り越える際に、突出片33が撓みにくくなるので、引掛部281が規制突起331を乗り越える際に軸体7が弾性変形するように、軸体7が弾性を有することが好ましい。これにより、引掛部281が規制突起331を乗り越える際に、突出片33及び軸体7の両方が撓むことになり、突出片33の撓み量の低下分を補うことができる。
さらに、本実施形態では、図12に示すように、引掛部281が、突出片33の先端部と対向する位置に設けられている。これにより、引掛部281が規制突起331を乗り越える際に、引掛部281が突出片33の先端部を押すことになるので、引掛部281が突出片33の基端部を押す場合に比べて、突出片33が撓みやすくなる。
(3)変形例
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。上記各実施形態で示した図面は、配線器具装置10の一例を説明するための概念図に過ぎず、実際の配線器具装置10とは、各部の形状、サイズ、及び位置関係等が適宜異なることもある。
まず、上記実施形態の第1変形例について、図13A及び図13Bを参照して説明する。第1変形例に係る配線器具装置10は、一対の軸受部28の各々が、その外周面に凹所282,283を有する点で、上記実施形態とは相違する。すなわち、第1変形例においては、軸受部28の各々は、その外周面におけるカバー本体2の回転方向の一部に、一対の凹所282,283を有している。一対の凹所282,283は、カバー本体2の回転方向の一部に並んで配置されている。ここで、凹所282には、図13Aに示すように、カバー本体2が開位置にある状態で、突出片33の規制突起331が嵌り込む。凹所283には、図13Bに示すように、カバー本体2が閉位置にある状態で、突出片33の規制突起331が嵌り込む。そのため、カバー本体2が開位置及び閉位置の各々において保持されることになる。第1変形例では、軸受部28において一対の凹所282,283の間の部位が引掛部281Aとして機能する。つまり、第1変形例においても、上記実施形態と同様に、突出片33における規制突起331は、回転軸300の周囲であって、カバー本体2が閉位置から開位置に移動する際の引掛部281Aの軌跡上に位置することになる。
以下に、上記実施形態の第1変形例以外の変形例を列挙する。
また、配線器具装置10は、屋外用に限らず、建物の内部で使用される屋内用の装置であってもよい。また、配線器具4は、接地極付きに限らず接地極無しであってもよいし、例えば交流200V用又は直流用のコンセント(Outlet)であってもよい。さらに、配線器具4は、Aタイプのコンセントに限らず、例えばBタイプ、Cタイプのように、ピン形状の栓刃を有するプラグを接続可能なコンセントであってもよい。配線器具4は、2個口タイプのコンセントに限らず、例えば1個口タイプ又は3個口タイプのコンセントであってもよい。さらに、配線器具4は、コンセントに限らず、例えば人感センサ、タイマ及びスイッチ等であってもよいし又はこれらの組み合わせであってもよい。配線器具4がスイッチである場合、カバー本体2は、配線器具4の操作時(スイッチのオン/オフ操作時)にのみ開位置にあればよい。また、配線器具4の端子部は、速結端子でなくてもよく、例えばねじ式端子であってもよい。
配線器具装置10は、全体が露出した状態で壁に設置される構成(露出設置型)に限らず、後部が壁内に埋め込まれた状態で設置される構成(埋込設置型)であってもよい。
また、カバー本体2の材料となる難燃性樹脂が含有する光輝性顔料は、アルミフレークに限らず、例えば金、銀等のアルミニウム以外の金属粉であってもよいし、例えば雲母又はガラスフレーク等の金属粉以外の顔料であってもよい。
また、カバー20は無塗装(塗装レス)に限らず、カバー20の少なくとも一部が塗装されていてもよい。
また、主板210の少なくとも一部の厚みが、第1側板211及び第2側板212の厚みに比べて大きく設定されていればよく、例えば主板210の全体において、第1側板211及び第2側板212に比べて厚みが大きく設定されていてもよい。また、主板210のうちの、平面部205(図2参照)に相当する領域の厚みが、その他の領域(例えば湾曲部204(図2参照)に相当する領域)の厚みより大きくてもよい。
また、主板210の少なくとも一部において、第1側板211及び第2側板212に比べて相対的に厚みが大きければよいので、例えば第1側板211及び第2側板212の厚みが主板210に比べて小さく設定されてもよい。さらに、第1成形体21は、上記実施形態のように2段階の厚みt1,t2に限らず、3段階以上の厚みを有していてもよい。
また、突出片33は、一対設けられていることは必須ではなく、通水溝31の長手方向(左右方向)における支持部32の両端面の少なくとも一方から突出していればよい。すなわち、例えば、支持部32の右端面又は左端面の一方のみから、突出片33が突出していてもよい。
また、配線器具装置10は、プラグ8の抜止機能を有するコンセント装置に限らず、プラグ8の抜止機能を有しないコンセント装置であってもよい。この構成では、例えば、ケーブル80に人の足が引っ掛かった場合等において、配線器具4からプラグ8が抜けやすくなる。したがって、この場合においては、上記実施形態のように、カバー本体2が閉位置にある状態において、半端状態とならないように接続面411の下方に十分なスペースS1(図3参照)を設定していることは、特に有用である。
また、ロック機構5におけるロックピン51の先端部(前端部)は、カバー本体2の前面から後方に窪んだ位置に露出していてもよい。この場合、操作孔271は、カバー本体2の前面に形成された窪みの底部に開口することになる。
また、操作孔271は、ロック機構5を操作するロックピン51を通すための貫通孔27であればよく、ロックピン51が操作孔271に保持されていることは必須ではない。例えば、特殊ドライバ等の治具をロックピンとして用いてロック機構5を操作する場合、操作孔271は、単なる透孔となる。つまり、この場合、ロック機構5の操作時にのみ、ロックピン(特殊ドライバ等の治具)が操作孔271に差し込まれて、ロックピンにてロック機構5が操作されることになる。
また、上記実施形態では、第1成形体21と第2成形体22とは、二色成形により、成形時に一体化されているが、第1成形体21と第2成形体22とは、個別に成形されてもよい。この場合でも、第1成形体21と第2成形体22とは、成形後に、例えば、接着剤、溶着、粘着剤又は粘着テープによって互いに貼り合わされることにより、一体化することが可能である。
また、回転軸300の軸方向における軸体7の位置決めを行う構造は、上記実施形態の構成に限らず、例えば保持孔34の内周面に凹部70が形成され、軸体7に突起340が形成されていてもよい。つまり、軸体7及び支持部32における保持孔34の内周面の一方が凹部70を有し、他方が突起340を有していればよい。さらに、突起340は、保持孔34の内周面に限らず、例えば、軸受部28の軸受穴273の内周面に設けられていてもよい。
また、保持孔34及び一対の軸受穴273からの軸体7の抜け止めを行う構造は、上記実施形態の構成に限らず、例えば一方の軸受穴273内に設けたストッパ突起により、軸体7の第2の向きへの軸体7の移動が規制されてもよい。この場合、軸体7は、中央片71と先端片72との間に段差を有さなくてもよい。
また、上記実施形態では、第2樹脂の基材は第1樹脂の基材とは異なる樹脂であるが、第2樹脂の基材と第1樹脂の基材とは同一の樹脂であってもよい。この場合、二色成形により一体に成形された第1成形体21と第2成形体22との密着度が高くなる。
また、上記実施形態では、カバー本体2は、開位置と閉位置との2段階で開閉する構成であるが、この構成に限らず、カバー本体2の開位置は複数段階設定されていてもよい。例えば、カバー本体2が閉位置から45度開いた第1の開位置と、カバー本体2が閉位置から90度開いた第2の開位置と、が設定されている場合、カバー本体2は、2段階の開位置を有することになる。この場合、カバー本体2は、突出片33により、第1の開位置及び第2の開位置との各々において保持されることが好ましい。
また、カバー本体2の第2成形体22のうち、補強部26は適宜省略可能である。つまり、立上部25又は第1成形体21等により、カバー本体2の強度が十分に確保できる場合には、補強部26は無くてもよい。
また、カバー本体2をボディ3に対して回転可能に支持するためのヒンジ構造は、上記実施形態の構成に限らず、適宜の構造を適用可能である。例えば、ヒンジ構造は、軸体7を含まず、ボディ3又はカバー本体2に一体に設けられた軸構造を用いて構成されてもよい。
上述した種々の変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る配線器具用ケース(1)は、ボディ(3)と、カバー本体(2)と、を備える。ボディ(3)は、配線器具(4)を保持する。カバー本体(2)は、ボディ(3)の上端部に位置する回転軸(300)を中心としてボディ(3)に対して回転可能に支持される。カバー本体(2)は、ボディ(3)の前面に形成された開口部(第1開口部361)から露出する配線器具(4)を覆う閉位置と、配線器具(4)を露出させる開位置との間で回転可能にボディ(3)にて支持されている。ボディ(3)は、通水溝(31)と、支持部(32)と、突出片(33)と、を有する。通水溝(31)は、ボディ(3)の上端部に位置し、回転軸(300)に沿って延びた上面開口の溝である。支持部(32)は、通水溝(31)の一対の側面(311)間に位置し、カバー本体(2)を支持する。突出片(33)は、通水溝(31)の長手方向における支持部(32)の両端面の少なくとも一方から突出する片持ち梁状に構成されている。突出片(33)は、回転軸(300)の周囲であって、カバー本体(2)が閉位置から開位置に移動する際のカバー本体(2)の一部である引掛部(281)の軌跡上に位置している。突出片(33)は、カバー本体(2)が開位置にある状態では、カバー本体(2)の回転方向において引掛部(281)と接触することにより、カバー本体(2)の閉位置への移動を規制する。突出片(33)は、カバー本体(2)が開位置から閉位置に移動する際に、引掛部(281)に押されて回転軸(300)から離れる向きに弾性変形することで、カバー本体(2)の閉位置への移動の規制を解除するように構成されている。
この構成によれば、突出片(33)が引掛部(281)と接触することにより、カバー本体(2)の閉位置への移動を規制するので、カバー本体(2)を開位置に保持することができる。そのため、例えば、配線器具(4)に対するプラグ(8)の抜き差し等の配線器具(4)の操作が行われる際に、カバー本体(2)が開位置に保持されることで、作業者がカバー本体(2)を押さえる必要がない。したがって、配線器具用ケース(1)は、カバー本体(2)を有しながらも配線器具の操作性を向上させることができる、という利点がある。しかも、突出片(33)は、支持部(32)の両端面の少なくとも一方から突出する片持ち梁状であるから、カバー本体(2)を支持する支持部(32)が通水溝(31)の一対の側面(311)間に位置しながらも、弾性変形可能な突出片(33)を実現できる。例えば、ボディ(3)が樹脂成形品にて実現される場合でも、通水溝(31)の一対の側面(311)間において、弾性を有する突出片(33)を設けることが可能である。
第2の態様に係る配線器具用ケース(1)は、第1の態様において、回転軸(300)上に配置される軸体(7)を更に備える。支持部(32)は、軸体(7)を通す保持孔(34)を有する。カバー本体(2)は、軸体(7)の長手方向の両端部を保持する一対の軸受部(28)を有する。支持部(32)と一対の軸受部(28)との少なくとも一方は、回転軸(300)を中心として回転可能に軸体(7)を保持するように構成されている。
この構成によれば、カバー本体(2)は、一対の軸受部(28)にて、軸体(7)を介して支持部(32)に支持されるので、カバー本体(2)の安定した回転を実現可能である。
第3の態様に係る配線器具用ケース(1)は、第2の態様において、軸体(7)及び支持部(32)における保持孔(34)の内周面の一方は凹部(70)を有し、他方は突起(340)を有する。突起(340)は、凹部(70)に挿入された状態で、凹部(70)の側面(701)に接触することにより、回転軸(300)の軸方向に沿った第1の向きへの軸体(7)の移動を規制するように構成されている。
この構成によれば、突起(340)が凹部(70)の側面(701)に接触することにより、回転軸(300)の軸方向に沿った第1の向きへの軸体(7)の移動が規制される。したがって、回転軸(300)の軸方向において軸体(7)の位置決めを行うことができる。
第4の態様に係る配線器具用ケース(1)は、第3の態様において、軸体(7)は、支持部(32)に保持されている中央片(71)と、中央片(71)から第1の向きとは反対の第2の向きに突出する先端片(72)と、を有する。先端片(72)は、一対の軸受部(28)のうちの一方の軸受部(28)に形成された軸受穴(273)に挿入されることで、一方の軸受部(28)に保持されるように構成されている。先端片(72)の外径(d2)は中央片(71)の外径(d1)よりも小さく、軸受穴(273)の内径(d3)は中央片(71)の外径(d1)よりも小さい。
この構成によれば、軸体(7)の外周面において中央片(71)と先端片(72)との間に形成される段差にて、第2の向きへの軸体(7)の移動が規制される。したがって、回転軸(300)の軸方向に沿った軸体(7)の移動が規制され、保持孔(34)及び一対の軸受穴(273)からの軸体(7)の抜け止めを実現できる。
第5の態様に係る配線器具用ケース(1)は、第1〜4のいずれかの態様において、閉位置にカバー本体(2)を固定するロック状態と、閉位置から開位置へのカバー本体(2)の移動を許容するアンロック状態とを切替可能なロック機構(5)を更に備える。
この構成によれば、ロック機構(5)により、カバー本体(2)が安易に開けられることを抑制でき、例えば配線器具(4)が所有者に無断で使用されること等を低減できる。
第6の態様に係る配線器具用ケース(1)は、第1〜4のいずれかの態様において、カバー本体(2)は、規制孔(272)を更に有する。配線器具用ケース(1)は、閉位置にカバー本体(2)がある状態で、規制孔(272)に錠部材(6)が差し込まれることにより、錠部材(6)に規制孔(272)の周縁が接触することで、閉位置から開位置へのカバー本体(2)の移動が規制される。
この構成によれば、錠部材(6)により、カバー本体(2)が安易に開けられることを抑制でき、例えば配線器具(4)が所有者に無断で使用されること等を低減できる。
第7の態様に係る配線器具装置(10)は、第1〜6のいずれかの態様に係る配線器具用ケース(1)と、配線器具(4)と、を備える。
この構成によれば、カバー本体(2)を有しながらも配線器具の操作性を向上させることができる、配線器具装置(10)を提供することができる。また、配線器具(4)はカバー本体(2)にて覆われるので、様々なタイプの配線器具(4)に対して、共通のカバー本体(2)を組み合わせることによって、外観の統一を図ることができる。
第2〜第6の態様に係る構成については、配線器具用ケース(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。