以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図14〜図17に示す本発明の第1の実施形態に係わるシートスライド装置101は車両用シートの前後方向への調節を手動で行う手動式である。シートスライド装置101は、車両の床面上に設置され、車両前後方向に沿って延設されるロアレール103と、シート座部(図示せず)の裏面に設置され、ロアレール103の長手方向に沿って、ロアレール103内を相対移動自在に組付けられるアッパレール105とを備えている。ロアレール103とアッパレール105とでレール体106を構成しており、レール体106は左右一対設けられている。図16では、ロアレール103を省略している。なお、以下の説明で、「前」は図15、図16中で左側の車両前方側であり、「後」は図15、図16中で右側の車両後方側である。
ロアレール103は、図17に示すように、車両前後方向に延びる長方形の板形状を具備するロア底壁103aを備えている。ロア底壁103aの車幅方向の両端縁から、左右一対のロア外側壁103bが、ロア底壁103aから上方に向けてやや外側に傾斜するように立ち上がっている。左右一対の両ロア外側壁103bの下端とロア底壁103aとの間にはロア斜壁103cが形成されている。左右一対の両ロア外側壁103bの上端縁から、互いに近づく方向にロア底壁103aと平行に延在する左右一対のロア上壁103dが設けられている。
左右一対のロア上壁103dの内端縁からロア底壁103aに向かって下方に垂下する、左右一対のロア内側壁103eが設けられている。なお、互いに平行な状態で対向するロア内側壁103e間の間隔は、ロアレール103内に収容されるアッパレール105が移動可能なように設定されている。
アッパレール105は、車体前後方向に延びる長方形の板形状を具備するアッパ天壁105aを備えている。アッパ天壁105aの車幅方向の両端縁から、左右一対のアッパ側壁105bが下方に向けて垂下している。両アッパ側壁105bの下端縁から、アッパ下方斜壁105cがそれぞれの外側斜め上方に向けて立ち上がっている。左右一対の両アッパ下方斜壁105cの上端縁から、屈曲部105dを介してアッパ上方斜壁105eがロア上壁103dに向かって斜め上方に向けて立ち上がっている。
ロアレール103のロア底壁103aとロア斜壁103cとの間の下方円弧部103fと、アッパレール105のアッパ下方斜壁105cとの間に、下方ガイドボール107を転動自在に配置している。ロアレール103のロア外側壁103bとロア上壁103dとの間の上方円弧部103gと、アッパレール105のアッパ上方斜壁105eとの間に上方ガイドボール109を転動自在に配置している。
下方ガイドボール107及び上方ガイドボール109は、図18に示すように、図17では省略しているボールリテーナ111に回転自在に支持されている。ボールリテーナ111は、下方ガイドボール107及び上方ガイドボール109を2個ずつ、計4個を支持している。これら下方ガイドボール107及び上方ガイドボール109を支持した状態のボールリテーナ111は、ロア外側壁103b、ロア斜壁103c、ロア上壁103d及びロア内側壁103eに囲まれた収容部113(図17)内に、前後2カ所配置され、左右一対のレール体106に対して計4カ所配置される。
図15に示すように、アッパレール105の前方側におけるアッパ天壁105aには、リベットなどの固定具115によってロック部材117を固定している。ロック部材117は、板状のばね部材で構成している。ロック部材117は、固定具115によって固定される固定部119に、固定具115が挿入される固定孔119aを備えている。ここで、アッパレール105のアッパ天壁105aには、固定孔105fの周辺部分が、他のアッパ天壁105aの部分に対して下方に窪んで形成されている。これにより、固定具115の頭部がアッパレール105のアッパ天壁105aの他の上面よりも突出しないように設定される。
図21A、図21Bは取付け前の固定具115を示している。固定具115は、図15のD部の拡大図である図22Aにも示すように、固定孔119a,105fに下方から挿入される挿入軸部115aと、挿入軸部115aの下部に形成されて挿入軸部115aよりも直径が大きい大径部115bと、大径部115bの挿入軸部115aと反対側の下部に形成されるフランジ部115cとを備えている。フランジ部115cは、側方に向けて突出する突部を構成している。
フランジ部115cは、図22A及び図22AのE−E断面図である図22Bに示すように、後述する図23Aに示す解除レバー131の左右の側壁147に設けてある係止突部147eの下方に位置している。係止突部147eは、図23Aに示すように、前後方向の中央位置よりもやや前方に位置し、解除レバー131の一部である側壁147から内側に向けて切起こして形成されたものである。
係止突部147eは、図22Bに示すように、上部が側壁147につながっていて、下部が側壁147に対して切断され、切断された下端面147e1がフランジ部115cの上面115c1に対向している。下端面147e1と上面115c1との間には隙間Tが形成されている。隙間Tを備えることで、解除レバー131の固定具115を設けた部分の揺動支点部151を支点とする前後方向の揺動を可能にしている。
図20に示すロック部材117の固定部119は、図15に示すアッパ天壁105aとほぼ平行に前後方向に延在し、固定部119の後端から後方斜め下方に傾斜する後方傾斜部121が形成される。後方傾斜部121の後端から固定部119とほぼ平行に後方に向けて延在する後方弾性変形部123が形成されている。後方弾性変形部123の後端部123aには、図16、図20に示すように、左右両側方に突出するロック部としてのロック歯125が、前後方向ほぼ等間隔に3個ずつ全部で6個設けられている。
図19に示すように、アッパレール105の前後方向のほぼ中央付近において、左右両アッパ側壁105bから両アッパ下方斜壁105cにわたり、ロック歯嵌合孔129を、前後方向に沿って左右それぞれ3箇所形成している。図15に示すように、ロック歯嵌合孔129にロック部材117のロック歯125が下方から入り込んでいる。
一方、図18に示すように、ロアレール103の左右のロア内側壁103eの前部付近及び後部付近を除く位置には、被ロック部としてのロック溝127を前後方向に沿って複数設けている。ロック溝127にロック部材117のロック歯125が、ロック歯嵌合孔129に位置している状態で下方から入り込むことで、ロック部材117がロアレール103に対してロックした状態となる。これにより、ロック部材117を取り付けてあるアッパレール105は、ロアレール103に対して前後方向の移動が規制される。
ロック部材117は、アッパレール105に取り付けた状態で、後方弾性変形部123が上方に弾性力を付与することで、ロック歯125がロック溝127に入り込んだ状態が維持される。この状態から、図15に示す操作ハンドル133を上方に向けて操作することで、解除レバー131を介してロック部材117の後端部123aが下方に押され、ロックが解除される。操作ハンドル133は、アッパレール105内に前部から挿入されて解除レバー131と連動可能に配置される。
ロック部材117は、図16、図20に示すように、固定部119の固定孔119aに対応する位置の左右両側部から、それぞれ側方に向けて突出する被支持部としての突出部119bを備えている。突出部119bは、固定部119を含むロック部材117の板厚と同じ厚さで側方に突出していて、平面視で矩形状である。図15、図20に示すように、ロック部材117は、固定部119を境にして後方傾斜部121と反対側の前方に前方第1傾斜部135が形成されている。前方第1傾斜部135は、前方ほど下方となるよう傾斜している。
前方第1傾斜部135の前端(下端)から前方に固定部119とほぼ平行に延びる操作ハンドル受部137が形成され、操作ハンドル受部137の前端から前方の斜め下方に延びる前方第2傾斜部139が形成されている。操作ハンドル受部137の上面には、操作ハンドル133の後述するアーム部167の先端部167aが載置されるようにして当接する。前方第2傾斜部139の前端から前方に向けて操作ハンドル受部137とほぼ平行に延在する前方弾性変形部141が形成されている。
前方弾性変形部141の前端には、上方に向けて屈曲する前端爪部145が形成されている。前端爪部145は、図15、図24に示すように、操作ハンドル133の下面に形成してある凹部133aに下方から係合している。前方弾性変形部141は、前端爪部145を介して凹部133aを上方に向けて押圧している。前方弾性変形部141の凹部133aに対する押圧力は、後方弾性変形部123のロック歯125によるロック溝127への押圧力よりも弱く設定している。これにより、操作ハンドル133の先端下部が、ロック部材117の操作ハンドル受部137に当接した状態が確保される。
ロック部材117は、図15に示すように、アッパレール105に取り付けた状態で、前方弾性変形部141の前後方向のほぼ中央から前方側が、アッパレール105から前方に突出している。
図23A〜図23Dに示すように、解除レバー131は、左右の側壁147と、左右の側壁147の後方側の端部付近の領域において、左右の側壁147の上端相互をつなぐ上壁149とを備えている。ロック部材117は、前部付近及び後部付近を除く部位が、解除レバー131の左右の側壁147相互間に配置される。すなわち、解除レバー131は、ロック部材117とアッパレール105の長手方向及び上下方向で重なる位置に設けられている。
解除レバー131の前後方向の中間位置より前方側の側壁147の上側端部には、支持部としての凹所147aを形成している。凹所147aは、係止突部147eの上方に位置しており、上方が開放した円弧形状の凹曲面状となっている。凹所147aは、図24に示すように、ロック部材117の左右の突出部119bの下側に配置されて、突出部119bの下部が凹所147aに係合される。ロック部材117の突出部119b及び解除レバー131の凹所147aは、解除レバー131の前後が上下に揺動する際の揺動支点部151を構成する。揺動支点部151は、ロック部材117によるアッパレール105に対する固定部位と前後方向で一致している。
解除レバー131は、上壁149から後方に延びる解除押圧部153を備えている。解除押圧部153の先端側の下部には、下方に湾曲するようにして突出する湾曲凸部153aが形成されている。湾曲凸部153aは、ロック部材117における後方弾性変形部123の後端部123aの上面に当接している。上壁149には、上方に向けて切起こしにより形成した突起149aを形成している。突起149aは、解除レバー131が揺動支点部151を支点として図15中で反時計回り方向に揺動回転するときにアッパレール105のアッパ天壁105aに当接するストッパの役目を果たす。
解除レバー131の前端部の上端相互は、前部上壁157によりつながっている。左右両側壁147の前端下部には切欠部147fが形成され、左右両切欠部147fの上部には、両側壁147から互いに対向する側に向けて屈曲するようにして突出する屈曲片147gが形成されている。左右の屈曲片147gの先端相互は互いに離間していて相互間には隙間が形成されている。解除レバー131は、切欠部147fの後方で左右両側壁147の前端下部に、操作ハンドル133の下方への移動を規制する規制突起147hが形成されている。
屈曲片147gは、操作ハンドル133が上方のロック解除方向に向けて回動操作されるときの力が、下方から付与される作用部(作動部159)を構成する。すなわち、解除レバー131は、揺動支点部151を境にして後方の解除押圧部153と反対の前方に、操作ハンドル133が操作されるときの力が付与される作用部(作動部159)を備えている。屈曲片147gと、規制突起147hと、後述する押し込み部としての第1凸部147cとで、作動部159を構成している。解除レバー31の作動部159は、揺動支点部151を境にして後方の解除押圧部153と反対の前方に位置している。
図25Aに示すように、操作ハンドル133は、図14に示す左右一対のレール体106に対応して設けられる左右一対のアーム部167と、一対のアーム部167同士をつないで車幅方向に延在する把持部168とを備えて、全体として略U字状を有している。一対のアーム部167は、前後方向に延在し、左右それぞれのアッパレール105内に前端から挿入される。把持部168は、操作ハンドル133を乗員が操作するときに把持する。
アーム部167は、図15及び図24に示すように、後端部分が、解除レバー131の左右の側壁147相互間に挿入され、前述したように後方側の先端部167aが、ロック部材117の操作ハンドル受部137の上面に当接している。アーム部167は、把持部168を含めた全体が円筒部材で構成しており、前述した凹部133aを備える部分より後方側が、円筒部分を上下から押し潰した形状の操作部169となっている。
図25A〜図25Eに示すように、操作部169は、後端部169aよりも前方側の中間部169bが断面ほぼハット形状となっている。すなわち、中間部169bは、上面169b1と、上面169b1の左右の両端部から下方に延びる側面169b2と、左右の側面169b2の下端から左右両側に向けて上面169b1とほぼ平行に延びるフランジ169b3とを備えている。ハット形状の下部は、開口していて、ロック部材117の前方弾性変形部141を収容する収容凹部170となっている。
フランジ169b3は、解除レバー131の屈曲片147gと規制突起147cの間に挿入配置された状態となっている。この状態で、操作ハンドル133を上方に向けて操作したときの力が、フランジ169b3を介して屈曲片147gの下面に下方から付与される。また、フランジ169b3より上に位置する側面169b2を備える部分が左右の屈曲片147g相互間に入り込むように、左右の屈曲片147g相互間の間隔は、ハット形状の中間部169bにおける左右の側面169b2相互の間隔よりも広くなっている。
操作部169の中間部169bは、図25D,図25Eに示すように、上面169b1の幅(図25B中で上下方向の幅)に関し、ロック部材117の前端爪部145が入り込む前端部側が広く、当該前端部側より後方側が狭くなっている。操作部169の後端部169aは、後端上面169a1と後端側面169a2とを備えてフランジを備えておらず、下向きの略逆U字形状となっている。後端上面169a1の幅(図25B中で上下方向の幅)は、図25Dに示す部分の上面169b1とほぼ同等であり、側面の幅169b2の幅(図25C中で上下方向の幅)より広くなっている。
図23A、図23Bに示すように、解除レバー131には、操作部169の後端部169aの後方に対向する位置に、第1凸部147cを設けてある。第1凸部147cは、解除レバー131の側壁147から内側に向けて切起こしにより突出しており、凹部133aに前端爪部145が係合した操作ハンドル133の組付け状態で、後端部169aの端面に対して僅かに離間している。第1凸部147cよりも前方で、かつ上方の側壁147には、側壁147から内側に向けて突出する第2凸部147dを設けてある。第2凸部147dは、操作ハンドル133の非操作時の保持状態で、フランジ169b3の上方位置でフランジ169b3から離間した位置に設けられている。
解除レバー131の前端におけるフランジ169b3の下方には、図24に示すように規制突起147hが位置している。この状態で、操作ハンドル133の把持部168が下方に押されたときに、操作ハンドル133が、前方弾性変形部141を弾性変形させながら、規制突起147hを支点として図15中で反時計回り方向に揺動する。このとき、先端部167aが上方に変位し、フランジ169b3が第2凸部147dに下方から当接する。これにより、操作ハンドル133の操作部の必要以上の下方への移動を規制する。ここで、解除レバー131は、係止部147eが固定具115のフランジ部115cに当接して凹所147aがロック部材117の突出部119bから外れるのを規制するとともに、後部側の上壁149に設けてある突起149aが、アッパレール105のアッパ天壁105aに下方から当接して揺動を規制する。
次に、上記のように構成されたシートスライド装置101の動作を説明する。
図14〜図16は、ロック部材117のロック歯125がロアレール103のロック溝127に係合してロックされたロック保持状態である。この状態から、乗員が操作ハンドル133を上方に向けて操作すると、操作ハンドル133は、アーム部167の先端部167aの下面がロック部材117の操作ハンドル受部137に支持されているため、先端部167aを支点として上方に向けて揺動する。操作ハンドル133を上方に向けて揺動すると、操作部169のフランジ169b3が、解除レバー131の屈曲片147gの作動面となる下面を上方に向けて押し上げる。
これにより、解除レバー131は、揺動支点部151を中心として図15中で時計回り方向に揺動回転する。このとき、解除レバー131は、揺動回転によって後方の解除押圧部153の湾曲凸部153aが、ロック部材117のロック部周辺に相当する後端部123aを下方に押し下げ、後方弾性変形部123が下方に向けて弾性変形する。その結果、ロック歯125がロアレール103のロック溝127から外れてロックが解除される。ロックが解除されることで、図示しないシートをアッパレール105とともに、ロアレール103側の車両の床面に対して前後に移動させることができ、乗員の希望とするシート位置を確保できる。
シート位置を決定した状態で、乗員が操作ハンドル133から手を離すと、ロック部材117の後方弾性変形部123が解除押圧部153を上方に押し付け、解除レバー131を揺動回転させて図15のロック保持状態に戻る。このとき、解除レバー131は、揺動支点部151を中心として図15中で反時計回り方向に揺動回転する。
図15の状態で、例えば車両が後方から衝突され、乗員の踵が操作ハンドル133に後方に向けて衝突した場合を想定する。この場合、操作ハンドル133が受ける荷重は、図25Aの後端部169aを介して図15、図16に示す解除レバー131の第1凸部147cに作用する。第1凸部147cが後方に向けて荷重を受けることで、操作ハンドル133に作用する衝撃で凹部133aから前端爪部145が外れ、操作ハンドル133が後方に移動する。このとき、解除レバー131は、揺動支点部151における凹所147aがロック部材117の突出部119bから外れて後方に移動する。
これにより、乗員の踵が操作ハンドル133に衝突したときの衝撃が緩和される。操作ハンドル133は後方へ移動すると、操作部169の後端上面169a1の後端が、図15に示すロック部材117の前方第1傾斜部135に当接してそれ以上の後方への移動が規制される。なお、操作ハンドル133は、後端上面169a1の後端が、前方第1傾斜部135に沿って後上方に移動することで、先端部167a(後端上面169a1の後端)が上方に移動し、先端部167aが第1凸部147cの対向位置から外れる。このため、操作ハンドル133は、解除レバー131より大きく後方に移動することができる。また、解除レバー131は必要以上に後方へ移動しない。
図24に示すように、ロック部材117と解除レバー131とは、これらをアッパレール105に組み付ける前に、互いに組み付けることができる。解除レバー131は、下部が長手方向全長にわたり開口しているので、下部の開口側から、ロック部材117を傾けた状態で左右の側壁147相互間に挿入する。突出部119bを備える固定部119が側壁147より上方位置となるまで挿入した状態で、ロック部材117を水平に戻し、その後下方に移動させることで、ロック部材117の突出部119bを解除レバー131の凹所147aに入り込ませる。
このとき、ロック部材117の後端部123aの上に解除押圧部153の湾曲凸部153aが当接し、前方弾性変形部141の前後方向中央位置付近から前方が解除レバー131から前方に突出する。このようにして組み付けたロック部材117及び解除レバー131を、図14〜図16に示すように、アッパレール105の左右のアッパ側壁105b相互間に入り込ませ、固定具115によってロック部材117の固定部119をアッパレール105のアッパ天壁105aに固定する。このように、ロック部材117と解除レバー131とは、あらかじめ互いに組み付けた状態で、アッパレール105に組み付けることができるので、組み付け作業性が向上する。
操作ハンドル133は、ロック部材117及び解除レバー131をアッパレール105に組み付けた状態で、ロック部材117の前方弾性変形部141を下方に撓ませつつ、操作部169を解除レバー131の前端開口から挿入する。
操作ハンドル133は、収容凹部170を前方弾性変形部141に沿って移動させるように差し込む。ここで、ロック部材117の前端爪部145の左右の幅は、収容凹部170の左右の幅よりも大きい。このため、前端爪部145は、収容凹部170に係合することなく、収容凹部170の下をすべり移動する。そして、図15、図24に示すように、先端部167aが前方第2傾斜部139から操作ハンドル受部137に至るとともに、ロック部材117の前端爪部145が凹部133aに対応する位置まで挿入される。その結果、前端爪部145が凹部133aに係合して組み付けが完了する。このように、操作ハンドル133は、ロック部材117の前方弾性変形部141を下方に撓ませた状態で解除レバー131内に挿入するだけでよく、操作ハンドル133の組み付け作業性も向上する。
解除レバー131は、左右の側壁147が、アッパレール105の左右のアッパ側壁105bに沿って配置され、解除押圧部153と凹所147a(揺動支点部151)と作動部159とが、前後方向に沿ってほぼ一直線上に配置される。このため、解除レバー131の上下方向の高さを小さくでき、アッパレール105内の狭いスペースに効率よく配置することができ、装置全体の小型化を達成できる。
本実施形態のロック部材117は、揺動支点部151を備えてアッパレール105に固定される固定部119と、固定部119よりも後方に位置してロック歯125をロック方向に付勢する後方弾性変形部123と、固定部119よりも前方に位置して解除レバー131及び操作ハンドル133を上方に付勢し、後方弾性変形部123よりも付勢力が弱く設定された前方弾性変形部141と、を備えている。
このように、本実施形態は、ロック部材117をロック方向に付勢する付勢手段(後方弾性変形部123)と、操作ハンドル133を上方に付勢する付勢手段(前方弾性変形部141)とを一体化させたばね部材としている。このため、これら二つの付勢手段を別々に設ける場合に比較して、部品点数を削減することができる。
解除レバー131は、後方側の解除押圧部153がロック部材117の後方弾性変形部123によって上方に付勢されている。一方、図24に示すように、操作ハンドル133のフランジ169b3が解除レバー131の屈曲片147gに下方から接触している。このため、解除レバー131は、前方弾性変形部141により凹部133aが上方に付勢される操作ハンドル133(フランジ169b3)を介して屈曲片147gが上方に付勢されることになる。
このように、ロック部材117は、上方に付勢する機能を備える後方弾性変形部123が後方側に設けられ、上方に付勢する機能を備える前方弾性変形部141が前方側に設けられている。このとき、解除レバー131は、前後方向ほぼ中央の揺動支点部151を介してロック部材117に揺動自在に支持されている。このため、ロック部材117及び解除レバー131の二部品を、アッパレール105に取り付ける前にユニット化して互いに組み付けることができ、組み付け作業性が向上する。
本実施形態は、ロック部材117の固定部119をアッパレール105の下面に固定する固定具115が設けられている。固定具115は、図22Bに示すように、ロック部材117を間にしてアッパレール105のアッパ天壁105aと反対側に、側方に向けて突出するフランジ部115cを備えている。ここでの側方とは、図22Bにおいて解除レバー131の側壁147に向かう方向である。解除レバー131は、フランジ部115cの上部に位置する係止突部147eを備えている。
この場合、操作ハンドル133を上方に向けて操作して、解除レバー131を、揺動支点部151を支点として揺動回転させたときや、操作ハンドル133が下方に向けて押されたときには、解除レバー131が下方に向けて力を受けることがある。しかし、このとき解除レバー131の係止突部147eが、固定具115のフランジ部115cに対して上方から当接する。これにより、解除レバー131の揺動支点部151付近の下方への移動が規制され、解除レバー131の凹所147aがロック部材117の突出部119bから外れるのを抑制できる。
また、ロック部材117のロック歯125が、ロアレール103のロック溝127に入り込まず、互いに隣接するロック溝127相互間の下面に乗り上げた場合が考えられる。この場合、解除レバー131は、ロック部材117の後方弾性変形部123による上方への付勢力を受けなくなる。しかし、このとき解除レバー131は、係止突部147eがフランジ部115cに上方から当接することで、下方への移動が抑制される。
すなわち、固定具115のフランジ部115cは、解除レバー131の下方への移動を規制するようにして保持する保持機能を備えている。このような保持機能は、固定具115にフランジ部115cを設ける一方、解除レバー131に係止突部147eを設けるだけでよく、別途専用の保持機能部品を設ける必要がない。このため、部品点数の増加を抑制できる。
ロック部材117を固定具115によりアッパレール105に固定する際には、固定具115を図15において下方から挿入する。その際、解除レバー131は、凹所147a付近が係止突部147eを介して固定具115のフランジ部115cに仮支持されるため、組み付け作業性が向上する。
本実施形態は、係止突部147eが、解除レバー131の一部である側壁147を切起こして形成されたものである。このため、係止突部147eを容易に形成することができる。
操作ハンドル133は、上方に向けて操作したときに、アーム部167の先端部167aが、ロック部材117の操作ハンドル受部137を下方へ押すようにして揺動する。このため、ロック部材117が操作ハンドル133の揺動操作時のハンドル支持部(操作ハンドル受部137)を備えることになり、別途ハンドル支持部をアッパレールに設ける必要がなく、部品点数の削減及び、アッパレールの高さ寸法の低減を達成できる。
本実施形態のロック部材117は、固定部119と、ハンドル支持部としての操作ハンドル受部137と、前方弾性変形部141とが、側面視で階段状につながって前後方向に延在している。固定部119と操作ハンドル受部137と前方弾性変形部141とが図15に示す互いにほぼ平行な状態では、前方弾性変形部141と後方弾性変形部123が弾性変形していて、当該弾性変形により、前端爪部145と後端部123aを上方に付勢している。また、操作ハンドル133の後方接続部としての操作部169は、断面逆略U字形状に形成され、操作部169の断面逆U字形状の収容凹部170に、ロック部材117の操作ハンドル受部137が下方から収容されている。
このため、ロック部材117は、平板形状の板ばね部材を折り曲げて形成すればよく、構造を簡素化でき、製造が容易である。また、操作ハンドル133の操作部169の断面逆U字形状の収容凹部170に、ロック部材117の操作ハンドル受部137を収容している。このため、解除レバー131の揺動支点部151よりも前方側に操作ハンドル133のハンドル支持部(ハンドルの回転中心)を容易に設定することができる。収容凹部170に操作ハンドル受部137を収容していることで、操作ハンドル133とロック部材117の操作ハンドル受部137との重ね合わせ部周辺の上下方向の高さを低く抑えることができる。
本実施形態は、ロック部材117の前方弾性変形部141の前端は、解除レバー131の作動部159よりも前方の位置に、上方に向けて突出する前端爪部145を備え、操作ハンドル133の下部に、前方弾性変形部141の前端爪部145が嵌合する凹部133aが形成されている。
このように、操作ハンドル133の凹部133aに前方弾性変形部141の前端爪部145が解除レバー131の作動部159よりも前方の位置で嵌合していることにより、操作ハンドル133の軸方向(前後方向)の移動を規制できる。これにより、操作ハンドル133の軸方向の力が、解除レバー131に直接作用することを抑制して、解除レバー131の軸方向移動を規制できる。また、操作ハンドル133は、前方弾性変形部141により上方への付勢力を受けることで、解除レバー131の屈曲片147gを支点として操作部169の先端が下方に付勢される。このとき、解除レバー131は、屈曲片147gが操作ハンドル33のフランジ169b3により上方に付勢されている。このため、解除レバー131は、揺動支点部151における凹所147aと突出部119bが係合した状態に保持されるとともに、操作ハンドル133の操作部169の先端が操作ハンドル受部137に押し付けられた状態が維持される。
また、ロック部材117の前方弾性変形部141が操作ハンドル133の収容凹部170と平行に延在していて、操作ハンドル133を上方に操作するときには、操作ハンドル133を上方に付勢している前方弾性変形部141が操作ハンドル133とともに移動する。このため、前端爪部145と前方弾性変形部141とが、操作ハンドル133と重なる位置にあり、外側に突出していないため、安全性が高い。
本実施形態は、ロック部材17の前方弾性変形部41の前端爪部145は、アッパレール105の前端よりも前方に位置している。このため、操作ハンドル133を組み付けるときには、前方に突出した前方弾性変形部141を容易に下方に下げることができ、この状態で操作ハンドル133を解除レバー131内に容易に挿入することができる。
本実施形態は、操作ハンドル133が、前方の把持部168が下方に向けて荷重を受けたときに、前方弾性変形部141を撓ませつつ規制突起147hを支点として図15中で反時計回り方向に揺動する。このとき、操作部169の後端上面169a1(アーム部167の先端部167a)が、ロック部材117の操作ハンドル受部137から離れるように上方に移動し、後端部169aの先端が第1凸部147cに対し上下方向にずれた位置となる。
これにより、操作ハンドル133が下方に押された際に、操作ハンドル133が後方へ荷重が付与されても、当該荷重の解除レバー131への作用を回避でき、解除レバー131の後方への移動を抑制できる。また、操作部169の後端上面169a1(アーム部167の先端部167a)が、ロック部材117の操作ハンドル受部137から離れるように上方に移動するときに、フランジ169b3が第2凸部147dに下方から当接することで、操作ハンドル133の必要以上の揺動を抑制できる。このような操作ハンドル133の必要以上の揺動抑制効果は、アッパレール105がロアレール103に対して前方に突出した状態で有効である。
本実施形態の揺動支点部151は、板ばねで構成されているロック部材117のほぼ厚さの中に設定でき、揺動支点構造をよりコンパクトにできる。
解除レバー131が衝撃を受けて後方に向けて移動する際に、凹所147aが突出部119bから外れる。この際、解除レバー131は、隙間Tだけ下方へ移動しつつ、凹所147aと突出部119bが僅かに塑性変形するだけなので、解除レバー131をロック解除方向へ回転させようとする力は極めて小さい。このため、凹所147aが突出部119bから外れたときに、解除レバー131がロック部材117を下方に押すことを抑制でき、ロック解除をより確実に抑制できる。
凹所147aが突出部119bから外れる際の荷重設定は、凹所147aまたは突出部119bの形状を変更することで容易にできる。例えば、突出部119bの下部を、凹所147aの曲面形状に合わせて下方に凸となる曲面形状としてもよい。凹所147aは、底部を平面形状とし、平面形状の底部の前後に傾斜面を設ける形状としてもよい。
なお、凹所147aが突出部119bから外れる際には、解除レバー131が下方に移動して、係止突部147eが固定具115のフランジ部115cに当接する。しかし、このときの解除レバー131が後方に向けて受ける荷重は極めて大きい。このため、例えば係止突部147eが変形することによって、凹所147aが突出部119bから外れることになる。
図1〜図4に示す本発明の第2の実施形態に係わるシートスライド装置1は車両用シートの前後方向への調節を手動で行う手動式である。シートスライド装置1は、車両の床面上に設置され、車両前後方向に沿って延設されるロアレール3と、シート座部(図示せず)の裏面に設置され、ロアレール3の長手方向に沿って、ロアレール3内を相対移動自在に組付けられるアッパレール5とを備えている。ロアレール3とアッパレール5とでレール体6を構成しており、レール体6は左右一対設けられている。図2、図3では、ロアレール3を省略している。なお、以下の説明で、「前」は図2、図3中で左側の車両前方側であり、「後」は図2、図3中で右側の車両後方側である。
ロアレール3は、図4に示すように、車両前後方向に延びる長方形の板形状を具備するロア底壁3aを備えている。ロア底壁3aの車幅方向の両端縁から、左右一対のロア外側壁3bが、ロア底壁3aから上方に向けてやや外側に傾斜するように立ち上がっている。左右一対の両ロア外側壁3bの上端縁から、互いに近づくように斜め上方に向けて延在するロア斜壁3cを備え、ロア斜壁3cの上端から、互いに近づく方向にロア底壁3aと平行に延在する左右一対のロア上壁3dが設けられている。
左右一対のロア上壁3dの内端縁からロア底壁3aに向かって下方に垂下する、左右一対のロア内側壁3eが設けられている。なお、互いに平行な状態で対向するロア内側壁3e間の間隔は、ロアレール3内に収容されるアッパレール5が移動可能なように設定されている。
アッパレール5は、車体前後方向に延びる長方形の板形状を具備するアッパ天壁5aを備えている。アッパ天壁5aの車幅方向の両端縁から、左右一対のアッパ側壁5bが下方に向けて垂下している。両アッパ側壁5bの下端縁から、アッパ下方斜壁5cがそれぞれの外側斜め上方に向けて立ち上がっている。左右一対の両アッパ下方斜壁5cの上端縁から、屈曲部5dを介してアッパ上方斜壁5eがロア斜壁3cに向かって斜め上方に向けて立ち上がっている。
ロアレール3のロア底壁3aとロア外側壁3bとの間の下方円弧部3fと、アッパレール5のアッパ下方斜壁5cとの間に、下方ガイドボール7を転動自在に配置している。ロアレール3のロア外側壁3bとロア斜壁3cとの間の上方円弧部3gと、アッパレール5のアッパ上方斜壁5eとの間に上方ガイドボール9を転動自在に配置している。
下方ガイドボール7及び上方ガイドボール9は、図5に示すように、図4では省略しているボールリテーナ11に回転自在に支持されている。ボールリテーナ11は、下方ガイドボール7及び上方ガイドボール9を2個ずつ、計4個を支持している。これら下方ガイドボール7及び上方ガイドボール9を支持した状態のボールリテーナ11は、ロア外側壁3b、ロア斜壁3c、ロア上壁3d及びロア内側壁3eに囲まれた収容部13(図4)内に、前後2カ所配置され、左右一対のレール体6に対して計4カ所配置される。なお、図1〜図3は、下方ガイドボール7、上方ガイドボール9及びボールリテーナ11を省略している。
図2、図3に示すように、アッパレール5の前方側におけるアッパ天壁5aには、リベットなどの固定具15によってロック部材17を固定している。ロック部材17は、板状のばね部材で構成している。ロック部材17は、固定具15によって固定される固定部19に、固定具15が挿入される固定孔19aを備えている。ここで、アッパレール5のアッパ天壁5aには、固定孔5fを挟むように、アッパ天壁5aとアッパ側壁5bの連結部分に沿って一対のスリットが形成されるとともに、このアッパ天壁5aの固定孔5fの周辺部分が他のアッパ天壁5aの部分に対して下方に窪んで形成されている。これにより、固定具15の頭部がアッパレール5のアッパ天壁5aの他の上面よりも突出しないように設定される。
固定部19は、アッパ天壁5aとほぼ平行に前後方向に延在し、固定部19の後端から後方斜め下方に傾斜する後方傾斜部21が形成される。後方傾斜部21の後端から固定部19とほぼ平行に後方に向けて延在する後方弾性変形部23が形成されている。後方弾性変形部23の後端部23aには、図3、図7に示すように、左右両側方に突出するロック部としてのロック歯25が、前後方向ほぼ等間隔に3個ずつ全部で6個設けられている。
図6に示すように、アッパレール5の前後方向のほぼ中央付近において、左右両アッパ側壁5bから両アッパ下方斜壁5cにわたり、ロック歯嵌合孔29を、前後方向に沿って左右それぞれ3箇所形成している。図2、図3に示すように、ロック歯嵌合孔29にロック部材17のロック歯25が下方から入り込んでいる。
一方、図5に示すように、ロアレール3の左右のロア内側壁3eの前部付近及び後部付近を除く位置には、被ロック部としてのロック溝27を前後方向に沿って複数設けている。ロック溝27にロック部材17のロック歯25が、ロック歯嵌合孔29に位置している状態で下方から入り込むことで、ロック部材17がロアレール3に対してロックした状態となる。これにより、ロック部材17を取り付けてあるアッパレール5は、ロアレール3に対して前後方向の移動が規制される。
ロック部材17は、アッパレール5に取り付けた状態で、後方弾性変形部23が上方に弾性力を付与することで、ロック歯25がロック溝27に入り込んだ状態が維持される。この状態から、操作ハンドル33を上方に向けて操作することで、解除レバー31を介してロック部材17の後端部23aが下方に押され、ロックが解除される。操作ハンドル33は、アッパレール5内に前部から挿入されて解除レバー31と連動可能に配置される。
ロック部材17は、図3、図7に示すように、固定部19の固定孔19aに対応する位置の左右両側部から、それぞれ側方に向けて突出する被支持部としての突出部19bを備えている。突出部19bは、固定部19を含むロック部材17の板厚と同じ厚さで側方に突出していて、平面視で矩形状である。図2に示すように、ロック部材17は、固定部19を境にして後方傾斜部21と反対側の前方に前方第1傾斜部35が形成されている。前方第1傾斜部35は、前方ほど下方となるよう傾斜している。
前方第1傾斜部35の前端(下端)から前方に固定部19とほぼ平行に延びる操作ハンドル受部37が形成され、操作ハンドル受部37の前端から前方の斜め下方に延びる前方第2傾斜部39が形成されている。操作ハンドル受部37の上面には、操作ハンドル33の後述するアーム部67の先端部67aが載置されるようにして当接する。前方第2傾斜部39の前端から前方に向けて操作ハンドル受部37とほぼ平行に延在する前方弾性変形部41が形成されている。
前方弾性変形部41の前端には、前方斜めやや上方に向けて屈曲して延びる緩傾斜部43を備え、緩傾斜部43の前端部には左右両側に向けて突出する前端爪部d45が形成されている。前端爪部45は、操作ハンドル33の下面に形成してある凹状の段部33aに下方から係合している。前方弾性変形部41は、前端爪部45を介して段部33aを上方に向けて押圧している。前方弾性変形部41の段部33aに対する押圧力は、後方弾性変形部23のロック歯25によるロック溝27への押圧力よりも弱く設定している。これにより、操作ハンドル33の先端下部が、ロック部材17の操作ハンドル受部37に当接した状態が確保される。
ロック部材17は、図2に示すように、アッパレール5に取り付けた状態で、前方弾性変形部41の前後方向のほぼ中央から前方側が、アッパレール5から前方に突出している。
図8に示すように、解除レバー31は、左右の側壁47と、左右の側壁47の後方側のほぼ半分の領域において、左右の側壁47の上端相互をつなぐ上壁49とを備えている。ロック部材17は、前部付近及び後部付近を除く部位が、解除レバー31の左右の側壁47相互間に配置される。すなわち、解除レバー31は、ロック部材17とアッパレール5の長手方向及び上下方向で重なる位置に設けられている。
解除レバー31の上壁49より前方側の側壁47の上側端部には、支持部としての凹所47aを形成している。凹所47aは、円弧形状の凹曲面状となっている。凹所47aは、図10に示すように、ロック部材17の左右の突出部19bの下側に配置されて、突出部19bの下部が凹所47aに係合される。ロック部材17の突出部19b及び解除レバー31の凹所47aは、解除レバー31の前後が上下に揺動する際の揺動支点部51を構成する。揺動支点部51は、ロック部材17の固定具15によるアッパレール5に対する固定部位と前後方向で一致している。
解除レバー31は、揺動支点部51よりも後方の端部に解除押圧部53を備えている。解除押圧部53は、上壁49の左右両端から下方に延びる側壁47の下端47bが、ロック部材17における後方弾性変形部23の後端部23aの上面に当接している。
解除レバー31の左右の側壁47の前端部には、互いに近づくように屈曲した前部側壁55を備え、左右の前部側壁55の上端相互は、前部上壁57によりつながっている。前部側壁55は、操作ハンドル33が上方のロック解除方向に向けて回動操作されるときの力が、下方から付与される作用部(作動部59)を構成する。すなわち、解除レバー31は、揺動支点部51を境にして後方の解除押圧部53と反対の前方に、操作ハンドル33が操作されるときの力が付与される作用部(作動部59)を備えている。前部側壁55と後述する係止突起61と押し込み部としての第1凸部47cとで、作動部59を構成している。解除レバー31の作動部59は、揺動支点部51を境にして後方の解除押圧部53と反対の前方に位置している。
図8、図9に示すように、左右の前部側壁55の前端(作用部近傍)には係止突起61を設けている。係止突起61は、前部側壁55の前端から両アッパ側壁5bに向けて略直角に折り曲げられる折り曲げ部を構成し、前部側壁55から幅方向の外側へ向けてそれぞれ突出している。係止突起61の先端よりも内側位置で、係止突起61から下方に延びる垂下部63を形成し、垂下部63の下端から内側に向けて延びる屈曲部65を形成している。係止突起61、垂下部63及び屈曲部65は、前後方向に対して直交する方向の同一平面内に形成されており、これら全体を屈曲フランジ66とする。
屈曲フランジ66の内側は、操作ハンドル33が前方から挿入される開口部80となっている。このため、屈曲フランジ66は、開口部80の周縁を形成する開口部周縁を構成している。左右の屈曲部65は、操作ハンドル33が下方に押されたときに上方から当接する下面部を構成しており、左右の屈曲部65相互間にはスリット81が形成されている。
図9に示す左右の垂下部63相互間に、ロック部材17の自由状態(操作ハンドルが組み付けられていない状態)において前方弾性変形部41が位置する。このとき、左右の屈曲部65の先端相互の間隔Hは、前方弾性変形部41の左右方向(図9中で左右方向、図2中で紙面に直交する方向)の幅よりも広く形成してある。これにより、前方弾性変形部41は、下方から左右の屈曲部65相互間のスリット81を通して、垂下部63相互間の位置に入り込ませることができる。
操作ハンドル33は、図1に示す左右一対のレール体6に対応して左右一対のアーム部67を両端に備えた略U字状を有している。左右一対のアーム部67は、前後方向に延在し、左右それぞれのアッパレール5内に前端から挿入される。左右の各アーム部67は、車幅方向に延在する図示しない把持部によりつながっていて一体化している。把持部は、操作ハンドル33を乗員が操作するときに把持する。
アーム部67は、図2及び図10に示すように、後端部分が、解除レバー31の左右の側壁47相互間に挿入され、前述したように後方側の先端部67aが、図2に示すようにロック部材17の操作ハンドル受部37の上面に当接している。アーム部67は、上記した図示しない把持部を含めた全体が円筒部材で構成しており、段部33a付近から後方部分は、図11に示すように、円筒部分を上下から押し潰して断面略ハット形状とした操作部69を備えている。
操作部69は、上面69aと、上面69aの左右の両端部から下方に延びる側面69bと、左右の側面69bの下端から左右両側に向けて上面69aと略平行に延びるフランジ69cとを備え、ハット形状の下方が開口している。ハット形状の下部は、ロック部材17の前方弾性変形部41を収容する収容凹部70となっている。フランジ69cは、解除レバー31の前部側壁55の下端55aに略接触した状態となっている。この状態で、操作ハンドル33を上方に向けて操作したときの力が、フランジ69cを介して前部側壁55の下端55aに下方から付与される。
図3に示すように、解除レバー31には、操作部69の各フランジ69cの先端の後方に対向する位置に、第1凸部47cを設けてある。第1凸部47cは、解除レバー31の側壁47から内側に向けて突出しており、段部33aに前端爪部45が係合した操作ハンドル33の組付け状態で、フランジ69cに対して僅かに離間している。第1凸部47cよりも前方で、かつ上方の側壁47には、側壁47から内側に向けて突出する第2凸部47dを設けてある。第2凸部47dは、操作ハンドル33の非操作時の保持状態で、フランジ69cの上方位置でフランジ69cから離間した位置に設けられている。
解除レバー31の前端におけるフランジ69cの下方には、図10に示すように屈曲フランジ66の屈曲部65が位置している。この状態で、操作ハンドル33の把持部が下方に押されたときに、操作ハンドル33が、前方弾性変形部41を弾性変形させながら、屈曲部65を支点として図2中で反時計回り方向に揺動する。このとき、先端部67aが図12に示すように実線位置から二点鎖線位置となるよう上方に変位し、フランジ69cが第2凸部47dに下方から当接する。これにより、操作ハンドル33の操作部の必要以上の下方への移動を規制する。ここで、解除レバー31の前部は、係止突起61がアッパレール5のアッパ側板5bの後述する係止突起収容部71(図13)に係合しているため、下方に移動することはない。
アッパレール5の前端には、解除レバー31の係止突起61を収容する係止突起収容部71を備えている。係止突起収容部71は、アッパレール5の左右一対のアッパ側壁5bの各前端に、後方へ向けて略L字状に凹む凹部73で構成している。凹部73は、図13に拡大して示すように、後端に位置する底部73aを備える。底部73aの下端から前方に下方側部73bが延び、下方側部73bの前端は、アッパレール5の前端まで達している。
底部73aの上端から前方に上方第1側部73cが延び、上方第1側部73cは下方側部73bよりも前後方向の長さが短い。すなわち、上方第1側部73cの前端はアッパレール5の前端まで達していない。上方第1側部73cの前端から上方に延びる前方底部73dが形成され、前方底部73dの上端からは、前方に延びる上方第2側部73eが形成されている。
図2、図3のように解除レバー31をアッパレール5に組み付けた状態では、係止突起61は、下方側部73bと上方第2側部73eとの間に位置し、下方側部73b側に位置している。下方側部73bと上方第2側部73eとの間の空間は、凹部73内の前方側に位置し、解除レバー31が上下に揺動操作されるときの係止突起61の上下の動きを許容する前方凹部73f(下方移動規制部)を構成している。ここで、凹部73の下方側部73bは、解除レバー31の前部が下方へ移動するのを規制している。
凹部73内の前方凹部73fよりも後方の空間、すなわち下方側部73bと上方第1側部73cとの間の空間は、解除レバー31が後方へ移動した状態で、解除レバー31のロック解除方向への移動を規制する後方凹部73r(ロック解除規制部)を構成している。
図2に示す非操作時の保持状態では、解除レバー31の係止突起61の下端は、アッパレール5の凹部73の下方側部73b側に位置している。したがって、この状態で解除レバー31は、揺動支点部51を構成する突出部19bと凹所47aが略接した状態を維持しており、解除レバー31の前部側壁55(作動部59)の下方への移動が規制されている。
次に、上記のように構成されたシートスライド装置1の動作を説明する。
図1〜図3は、ロック部材17のロック歯25がロアレール3のロック溝27に係合してロックされたロック保持状態である。この状態から、乗員が操作ハンドル33を上方に向けて操作すると、操作ハンドル33は、アーム部67の先端部67aの下面がロック部材17の操作ハンドル受部37に支持されているため、先端部67aを支点として上方に向けて揺動する。操作ハンドル33を上方に向けて揺動すると、操作部69のフランジ69cが、解除レバー31の前部側壁55の作動面となる下端55aを上方に向けて押し付ける。
これにより、解除レバー31は、揺動支点部51を中心として図2中で時計回り方向に揺動回転する。このとき、解除レバー31は、係止突起61が図13に示した前方凹部73f内を、上方第2側部73eに向けて上方に移動する。解除レバー31は、揺動回転によって後方の解除押圧部53の下端47bが、ロック部材17のロック部周辺に相当する後端部23aを下方に押し付け、後方弾性変形部23が下方に向けて弾性変形する。その結果、ロック歯25がロアレール3のロック溝27から外れてロックが解除される。ロックが解除されることで、図示しないシートをアッパレール5とともに、ロアレール3側の車両の床面に対して前後に移動させることができ、乗員の希望とするシート位置を確保できる。
シート位置を決定した状態で、乗員が操作ハンドル33から手を離すと、ロック部材17の後方弾性変形部23が解除押圧部53の下端47bを上方に押し付け、解除レバー31を揺動回転させて図2のロック保持状態に戻る。このとき、解除レバー31は、揺動支点部51を中心として図2中で反時計回り方向に揺動回転し、係止突起61が図13に示した前方凹部73f内を下方側部73bに向けて下方に移動する。
図2の状態で、例えば車両が後方から衝突され、乗員の踵が操作ハンドル33に後方に向けて衝突した場合を想定する。この場合、操作ハンドル33に作用する衝撃で段部33aから前端爪部45が外れ、操作ハンドル33が後方に移動する。このとき、操作ハンドル33が受ける荷重は、図11のフランジ69cの後端を介して図2、図3に示す解除レバー31の第1凸部47cに作用する。第1凸部47cが後方に向けて荷重を受けることで、解除レバー31は、揺動支点部51における凹所47aがロック部材17の突出部19bから外れて後方に移動する。これにより、乗員の踵が操作ハンドル33に衝突したときの衝撃が緩和される。操作ハンドル33は後方へ移動すると、図11に示す操作部69の上面69aの後端が、図2に示すロック部材17の前方第1傾斜部35に当接してそれ以上の後方への移動が規制される。なお、操作ハンドル33の先端部67aは、前方第1傾斜部35に沿って後上方に移動することで、解除レバー31より大きく後方に移動することができる。また、先端部67aが上方に移動することで、フランジ69cが第1凸部47cの対向位置から外れるため、解除レバー31は必要以上に後方へ移動しない。
解除レバー31が後方に移動するときには、図13に示す係止突起61が、凹部73内を前方凹部73fから後方凹部73rに向けて移動する。係止突起61は、後方凹部73rに位置することで、上下方向の移動が上方第1側部73cと下方側部73bとの間で規制される。すなわち、後方凹部73rの上下方向の間隔は、係止突起61の上下方向に高さ寸法と略同等で、僅かに大きく設定している。この場合、解除レバー31が後方に移動するときに、係止突起61の上端と上方第1側部73cの下端との間に、少なくとも隙間が形成されていればよい。
このように、解除レバー31は、後方に移動した後退位置では、上下の揺動が規制される。このため、操作ハンドル33がロック解除方向に移動した場合でも解除レバーはロック解除方向に回動することがなく、後方の解除押圧部53が、ロック部材17の後方弾性変形部23の後端部23aを下方に押圧する恐れがなくなり、ロックが解除されることを抑制できる。したって、乗員の踵が操作ハンドル33に後方に向けて衝突しても、解除レバー31及びロック部材17にはロック解除方向の荷重は作用しないため、乗員が着座するシートの不用意な移動を抑制できる。
解除レバー31が後方に移動した後退位置では、解除レバー31の揺動支点部51より前部が上方に向けて荷重が作用しても、解除レバー31の係止突起61が後方凹部73r内で上方第1側部73cに当接し、上方への移動が規制される。したがって、上方第1側部73cは、解除レバー31が後方へ移動した状態で、解除レバー31のロック解除方向への移動を規制するロック解除規制部を構成している。
図10に示すように、ロック部材17と解除レバー31とは、これらをアッパレール5に組み付ける前に、互いに組み付けることができる。解除レバー31は、下部が長手方向全長にわたり開口しているので、下部の開口側から、ロック部材17を傾けた状態で左右の側壁47相互間に挿入する。突出部19bを備える固定部19が側壁47より上方位置となるまで挿入した状態で、ロック部材17を水平に戻し、その後下方に移動させることで、ロック部材17の突出部19bを解除レバー31の凹所47aに入り込ませる。
このとき、ロック部材17の後端部23aの上に解除レバー31の下端47bが当接し、前方弾性変形部41の前後方向中央位置付近から前方が解除レバー31から前方に突出する。このようにして組み付けたロック部材17及び解除レバー31を、図1〜図3に示すように、アッパレール5の左右のアッパ側壁5b相互間に入り込ませ、固定具15によってロック部材17の固定部19をアッパレール5のアッパ天壁5aに固定する。このように、ロック部材17と解除レバー31とは、あらかじめ互いに組み付けた状態で、固定具15だけでアッパレール5に組み付けることができるので、組み付け作業性が向上する。
操作ハンドル33は、ロック部材17及び解除レバー31をアッパレール5に組み付けた状態で、ロック部材17の前方弾性変形部41を下方に撓ませつつ、操作部69を解除レバー31の前端開口(図9の開口部80)から挿入する。前方弾性変形部41は、下方に撓ませるときに、図9に示す左右の屈曲部65相互間のスリット81を移動する。
操作ハンドル33は、収容凹部70が前方弾性変形部41に沿って移動するようにして解除レバー131内に差し込む。これにより、図2、図10に示すように、先端部67aが前方第2傾斜部39から操作ハンドル受け部37に至るとともに、ロック部材17の前端爪部45が段部33aに対応する位置まで挿入される。その結果、前端爪部45が段部33aに係合して組み付けが完了する。このように、操作ハンドル33は、ロック部材17の前方弾性変形部41を下方に撓ませた状態で解除レバー31内に挿入するだけでよく、操作ハンドル33の組み付け作業性も向上する。
解除レバー31は、左右の側壁47が、アッパレール5の左右のアッパ側壁5bに沿って配置され、解除押圧部53と凹所47a(揺動支点部51)と作動部59とが、前後方向に沿って略一直線上に配置される。このため、解除レバー31の上下方向の高さを小さくでき、アッパレール5内の狭いスペースに効率よく配置することができ、装置全体の小型化を達成できる。
本実施形態のロック部材17は、揺動支点部51を備えてアッパレール5に固定される基部としての固定部19と、固定部19よりも後方に位置してロック歯25をロック方向に付勢する後方付勢部としての後方弾性変形部23と、固定部19よりも前方に位置して解除レバー31及び操作ハンドル33を上方に付勢し、後方弾性変形部23よりも付勢力が弱く設定された前方付勢部としての前方弾性変形部41と、を備えている。
このように、本実施形態は、ロック部材17をロック方向に付勢する付勢手段(後方弾性変形部23)と、操作ハンドル33を上方に付勢する付勢手段(前方弾性変形部41)とを一体化させたばね部材としている。このため、これら二つの付勢手段を別々に設ける場合に比較して、部品点数を削減することができる。
解除レバー31は、後方側の解除押圧部53がロック部材17の後方弾性変形部23によって上方に付勢されている。一方、図10に示すように、操作ハンドル33のフランジ69cが解除レバー31の前部側壁55の下端55aに下方から接触している。このため、解除レバー31は、前方弾性変形部41により段部33aが上方に付勢される操作ハンドル33(フランジ69c)を介して前部側壁55が上方に付勢されることになる。
このように、ロック部材17は、上方に付勢する機能を備える後方弾性変形部23が後方側に設けられ、上方に付勢する機能を備える前方弾性変形部41が前方側に設けられている。このとき、解除レバー31は、前後方向略中央の揺動支点部51を介してロック部材17に揺動自在に支持されている。このため、ロック部材17及び解除レバー31の二部品を、アッパレール5に取り付ける前にユニット化して互いに組み付けることができ、組み付け作業性が向上する。
操作ハンドル33は、上方に向けて操作したときに、アーム部67の先端部67aが、ロック部材17の操作ハンドル受部37を下方へ押すようにして揺動する。このため、ロック部材17が操作ハンドル33の揺動操作時のハンドル支持部(操作ハンドル受部37)を備えることになり、別途ハンドル支持部をアッパレールに設ける必要がなく、部品点数の削減及び、アッパレールの高さ寸法の低減を達成できる。
本実施形態のロック部材17は、固定部19とハンドル支持部としての操作ハンドル受部37と、前方弾性変形部41とが、側面視で階段状につながっていて、かつ、互いに略平行な状態で前後方向に延在している。また、操作ハンドル33の後方接続部としての操作部69は、断面逆略U字形状に形成され、操作部69の断面逆U字形状の収容凹部70に、ロック部材17の操作ハンドル受部37が下方から収容されている。
このため、ロック部材17は、平板形状の板ばね部材を折り曲げて形成すればよく、構造を簡素化でき、製造が容易である。また、操作ハンドル33の操作部69の断面逆U字形状の収容凹部70に、ロック部材17の操作ハンドル受部37を収容していることで、操作ハンドル33とロック部材17の操作ハンドル受部37との重ね合わせ部周辺の上下方向の高さを低く抑えることができる。
本実施形態は、ロック部材17の前方弾性変形部41の前端は、解除レバー31の作動部59よりも前方の位置に、左右方向両側に突出する嵌合突起としての前端爪部45を備え、操作ハンドル33の下部に、前方弾性変形部41の前端爪部45が嵌合する嵌合凹部としての段部33aが形成されている。ロック部材17の前方弾性変形部41は、操作ハンドル33の前後方向に延設される収容凹部70に収容されている。
このように、操作ハンドル33の段部33aに前方弾性変形部41の前端爪部45が解除レバー31の作動部59よりも前方の位置で嵌合していることにより、操作ハンドル33の軸方向(前後方向)の移動を規制できる。これにより、操作ハンドル33の軸方向の力が、解除レバー31に直接作用することを抑制して、解除レバー31の軸方向移動を規制できる。また、操作ハンドル33は、前方弾性変形部41により上方への付勢力を受けることで、解除レバー31の前部側壁55を支点として操作部69の先端が下方に付勢される。このとき、解除レバー31は、前部側壁55が操作ハンドル33のフランジ69cにより上方に付勢されている。このため、解除レバー31は、揺動支点部51における凹所47aと突出部19bが係合した状態に保持されるとともに、操作ハンドル33の操作部69の先端が操作ハンドル受部37に押し付けられた状態が維持される。
また、ロック部材17の前方弾性変形部41が操作ハンドル33の収容凹部70に収容されていて、操作ハンドル33を上方に操作するときには、操作ハンドル33を上方に付勢している前方弾性変形部41が操作ハンドル33とともに移動する。このため、操作ハンドル33と前方弾性変形部41とが前後方向に重なる位置での上下方向の高さ寸法を小さく抑えることができる。
本実施形態は、ロック部材17の前方弾性変形部41の嵌合突起は、アッパレール5の前端よりも前方に位置している。このため、操作ハンドル33を組み付けるときには、前方に突出した前方弾性変形部41を容易に下方に下げることができ、この状態で操作ハンドル33を解除レバー31内に容易に挿入することができる。また、左右両側の前端爪部45の端部相互の間隔Hは、操作ハンドル33の操作部69の左右方向の幅より小さい。このため、操作ハンドル33を組み付けた後は、上方から前端爪部45が操作ハンドル33に隠れて見えにくくなり、見栄えが向上する。さらに、前端爪部45に物が不用意に当たって段部33aから外れることも抑制できる。
本実施形態は、解除レバー31の作動部59は、アッパレール5に設けた前方凹部73f(下方移動規制部)に位置して、作動部59のロック解除方向への回動を許容するとともに、下方側部73bと係合して解除レバー31の下方への移動を規制する係止突起61を備える。これにより、操作ハンドル33が下方に押された場合でも、解除レバー31の作動部59の係止突起61は下方への移動が規制され、解除レバー31の揺動支点部51である凹所47aと突出部19bの係合が維持される。
そして、解除レバー31の前端に、図9に示すように、操作ハンドル33の操作部69が挿入される開口部80が形成され、開口部80の周縁を形成する開口部周縁としての屈曲フランジ66は、ロック部材17の前方弾性変形部41を下方から入り込ませるスリット81を下部に備えている。この場合、操作ハンドル33の組み付けは、前方弾性変形部41を下方に押し下げる際に、スリット81を通して下方へ押し下げる。そして、前方弾性変形部41を押し下げた状態で、操作ハンドル33を、開口部80を通して解除レバー31内に容易に挿入することができる。
本実施形態は、操作ハンドル33の操作部69は、下端にて左右両側に突出するフランジ69cが前後方向に沿って形成され、フランジ69cの上面に解除レバー31の前部側壁55が位置し、屈曲フランジ66の下部に、フランジ69cが上方から当接する下面部としての屈曲部65を備えている。操作ハンドル33は、下方に荷重が付与されて、屈曲部65を支点として屈曲部65よりも前方が下方に変位し、屈曲部65よりも後方が上方に変位したときに、フランジ69cの上面が下方から当接する第2凸部47dが、解除レバー31の側壁47から内側に突出するようにして形成されている。
操作ハンドル33は、前方の把持部が下方に向けて荷重を受けたときに、前方弾性変形部41を撓ませつつ屈曲部65を支点として図2中で反時計回り方向に揺動する。このとき、操作部69の上面69a(アーム部67の先端部67a)が、ロック部材17の操作ハンドル受部37から離れるように上方に移動し、フランジ69cの先端が第1凸部47cに対し上下方向にずれた位置となる。
これにより、操作ハンドル33が下方に押された際に、操作ハンドル33が後方へ荷重が付与されても、当該荷重の解除レバー31への作用を回避でき、解除レバー31の後方への移動を抑制できる。また、操作部69の上面69a(アーム部67の先端部67a)が、ロック部材17の操作ハンドル受部37から離れるように上方に移動するときに、フランジ69cが第2凸部47dに下方から当接することで、操作ハンドル33の必要以上の揺動を抑制できる。このような操作ハンドル33の必要以上の揺動抑制効果は、アッパレール5がロアレール3に対して前方に突出した状態で有効である。
なお、この実施形態では、係止突起収容部71をアッパレール5に設け、係止突起61を解除レバー31に設けているので、別途部品を設けることなく、解除レバー31が後方に移動したときのロック解除を抑制できる。係止突起61含む屈曲フランジ66は外側に向けて突出するようにして屈曲しているので、解除レバー31にロック部材17を組み付けるときに、屈曲フランジ66全体が邪魔になることを抑制できる。互いに組み付けた状態の解除レバー31及びロック部材17を、アッパレール5に組み付ける際には、係止突起61を含む屈曲フランジ66を、アッパレール5の前端から凹部73に入り込ませればよく、容易に組み付けることができる。
さらに、揺動支点部51は、板ばねで構成しているロック部材17の略厚さの中に設定でき、揺動支点構造をよりコンパクトにできる。
解除レバー31が衝撃を受けて後方に向けて移動する際に、凹所47aが突出部19bから外れる。この際、解除レバー31は、凹所47aに入り込んだ部分の突出部19bの略高さ分下方へ移動するだけなので、下方への移動量は極めて小さい。このため、凹所47aが突出部19bから外れたときに、解除レバー31がロック部材17を下方に押す量も極めて小さく、ロック解除をより確実に抑制できる。
凹所47aが突出部19bから外れる際の荷重設定は、凹所47aまたは突出部19bの形状を変更することで容易にできる。例えば、突出部19bの下部を、凹所47aの曲面形状に合わせて下方に凸となる曲面形状としてもよい。凹所47aは、底部を平面形状とし、平面形状の底部の前後に傾斜面を設ける形状としてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含む。