JP2021041844A - シートスライド装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】前後方向に衝撃荷重を受けたときに、ロック部材の変形量を抑制してロック強度の安定と向上を図る。【解決手段】ロック部材117は、アッパレール105に揺動支点部151で取り付けられ、揺動支点部151の後方側の端部に、左右両側に前後方向に沿って複数のロック歯125b(125b1〜125b10)を備える。ロアレール103の左右のロア内側壁103eには、ロック歯125bが下方から係合するロック溝127を前後方向に複数備える。複数のロック溝127は、前後方向の溝幅が設計上互いに等しい。複数のロック歯125bのうち前後方向の前側に位置するロック歯125b1の後側端部が、このロック歯125b1が係合するロック溝127の端部と接触する。複数のロック歯125bのうち車両前後方向の後側に位置するロック歯125b5の前側端部が、このロック歯125b5が係合するロック溝127の端部と接触する。【選択図】図14
Description
本発明は、車両に設けられるシートスライド装置に関する。
車両用のシートスライド装置は、車体に固定したロアレールに対し、シートに固定したアッパレールをスライド移動自在に設け、アッパレールに取り付けたロック部材のロック部(ロック歯)を、ロアレールのロック溝に係合させてロック状態となる。
特許文献1のロック部材は、車両前後方向に沿って複数設けられたロック部のうち最前部のロック部を、ロック溝との係合時に隙間の無い嵌合となるように設定し、他のロック部とロック溝との係合は、遊嵌となるように設定している。これにより、アッパレールのロアレールに対する車両前後方向のガタ付きを防止すると共に、ロック部がロック溝に入り込む位置を安定化させ、ロック強度の安定化を図るようにしている。一方、特許文献2には、ロック部を左右両側にそれぞれ形成したロック部材が開示されている。
ここで、特許文献1のように、最前部のロック部を、ロック溝との係合時に隙間の無い嵌合となるように設定するにあたり、特許文献2に開示されている左右両側のロック部を、それぞれ隙間の無い嵌合とした場合には、ロック部のロック溝への進入性が低下する。このため、隙間の無い嵌合は、左右両側のロック部のうち一方のみに設定することが望ましい。
また、ここで、特許文献2のロック部材は、複数のロック歯を有するロック部と、アッパレールに固定される基部と、ロック部と基部との間に形成される弾性変形部とを備える板ばねで構成される。このロック部材はアッパレールの天壁に取り付けられるため、アッパレールの天壁に固定される基部と、ロアレールのロック溝に係合されるロック部(ロック歯)とは、上下方向にオフセットした配置となる。このため、弾性変形部を備えるロック部材は、弾性変形部が前述のオフセットのためにロアレールの長手方向に対して傾斜した状態で配置されることになる。ここで例えばアッパレールに車両前方側に移動させる方向に衝撃荷重が作用した場合、ロック部材のロック部がアッパレールに押されて、アッパレールに固定された基部に対して車両前方側に移動しようとする。そのため、ロック部材における傾斜した状態の弾性変形部がアッパレールの長手方向に押されることで、上下方向に弾性変形しようとする。このとき、ロック部材における常時噛み合うロック歯のみがロアレールのロック溝に係合(接触)し、常時噛み合うロック歯以外の他のロック歯はロアレールのロック溝のいずれにも係合(接触)していない。このため、常時噛み合うロック歯を支持点として、ロック部材が回転するように上下方向に変形して傾きが生じることで、ロアレールから外れる方向に移動する力を受ける場合がある。
そこで、本発明は、前後方向に衝撃荷重を受けたときに、ロック部材の変形量を抑制してロック強度の安定と向上を図ることを目的としている。
本発明のシートスライド装置は、車両前後方向に沿って延設されるロアレールと、前記ロアレールの長手方向に沿って相対移動するアッパレールと、前記アッパレールに揺動支点を中心として上下方向に揺動自在に取り付けられ、前記ロアレールに形成されたロック溝に係合可能なロック歯を備えると共に、前記ロック歯を前記ロック溝に係合するロック方向に付勢されたロック部材と、を有する。前記ロック溝は、前記ロアレールの左右両側においてそれぞれ車両前後方向に沿って複数設けられ、車両前後方向に沿って形成される複数の前記ロック溝は、車両前後方向の溝幅が設計上互いに等しい。前記ロック歯は、前記ロック部材の左右両側においてそれぞれ車両前後方向に沿って少なくとも三つ設けられる。前記少なくとも三つのロック歯のうち車両前後方向の前側に位置する第一ロック歯の後側端部と、前記第一ロック歯が係合する前記ロック溝の端部との間には、車両前後方向の隙間が無く、前記第一ロック歯の後側端部が、車両前後方向に対向する前記ロック溝の端部と接触する。前記少なくとも三つのロック歯のうち車両前後方向の後側に位置する第二ロック歯の前側端部と、前記第二ロック歯が係合する前記ロック溝の端部との間には、車両前後方向の隙間が無く、前記第二ロック歯の前側端部が、車両前後方向に対向する前記ロック溝の端部と接触する。前記第一ロック歯の前側端部と前記第一ロック歯が係合する前記ロック溝の端部との間、前記第二ロック歯の後側端部と前記第二ロック歯が係合する前記ロック溝の端部との間、及び、前記少なくとも三つのロック歯のうち前記第一ロック歯及び前記第二ロック歯以外の第三ロック歯と前記第三ロック歯が係合する前記ロック溝との間にはそれぞれ、隙間が車両前後方向に形成される。
本発明によれば、前後方向に衝撃荷重を受けたときに、ロック部材の変形量を抑制してロック強度の安定と向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1〜図5に示す本発明の実施形態に係わるシートスライド装置101は車両用シートの前後方向への調節を手動で行う手動式である。シートスライド装置101は、車両の床面上に設置され、車両前後方向に沿って延設されるロアレール103と、シート座部(図示せず)の裏面に設置され、ロアレール103の長手方向に沿って、ロアレール103内を相対移動自在に組付けられるアッパレール105とを備えている。
ロアレール103とアッパレール105とでレール体106を構成しており、レール体106は左右一対設けられている。なお、以下の説明で、「前」は図1中で左側の車両前方FR側で、「後」は図1中で右側の車両後方RR側であり、「左右」は車両後方から車両前方を見たときの左右方向である。
ロアレール103は、図2及び図2のIV-IV断面図である図4に示すように、車両前後方向に延びる長方形の板形状を具備するロア底壁103aを備えている。ロア底壁103aの車幅方向の両端縁から、左右一対のロア外側壁103bが、ロア底壁103aから上方に向けてやや外側に傾斜するように立ち上がっている。左右一対の両ロア外側壁103bの下端とロア底壁103aとの間にはロア斜壁103cが形成されている。
左右一対の両ロア外側壁103bの上端縁から、互いに近づく方向にロア底壁103aと平行に延在する左右一対のロア上壁103dが設けられている。左右一対のロア上壁103dの内端縁からロア底壁103aに向かって下方に垂下する、左右一対のロア内側壁103eが設けられている。なお、互いに平行な状態で対向するロア内側壁103e間の間隔は、ロアレール103内に収容されるアッパレール105が移動可能なように設定されている。
アッパレール105は、図2及び図2のV-V断面図である図5に示すように、車体前後方向に延びる長方形の板形状を具備するアッパ天壁105aを備えている。アッパ天壁105aの車幅方向の両端縁から、左右一対のアッパ側壁105bが下方に向けて垂下している。両アッパ側壁105bの下端縁から、アッパ下方斜壁105cがそれぞれの外側斜め上方に向けて立ち上がっている。左右一対の両アッパ下方斜壁105cの上端縁から、屈曲部105dを介してアッパ上方斜壁105eがロア上壁103dに向かって斜め上方に向けて立ち上がっている。
ロアレール103のロア底壁103aとロア斜壁103cとの間の下方円弧部103fと、アッパレール105のアッパ下方斜壁105cとの間に、下方ガイドボール107を転動自在に配置している。ロアレール103のロア外側壁103bとロア上壁103dとの間の上方円弧部103gと、アッパレール105のアッパ上方斜壁105eとの間に上方ガイドボール109を転動自在に配置している。
下方ガイドボール107及び上方ガイドボール109は、図6に示すように、図5では省略しているボールリテーナ111に回転自在に支持されている。ボールリテーナ111は、下方ガイドボール107及び上方ガイドボール109を2個ずつ、計4個を支持している。これら下方ガイドボール107及び上方ガイドボール109を支持した状態のボールリテーナ111は、ロア外側壁103b、ロア斜壁103c、ロア上壁103d及びロア内側壁103eに囲まれた収容部113(図5)内に、前後2カ所配置され、左右一対のレール体106に対して計4カ所配置される。
図2に示すように、アッパレール105の前方側におけるアッパ天壁105aには、リベットなどの固定具115によってロック部材117を固定している。ロック部材117は、板状のばね部材で構成している。ロック部材117は、固定具115によって固定される基部としての固定部119に、固定具115が挿入される固定孔119aを備えている。ここで、アッパレール105のアッパ天壁105aには、アッパ固定孔105fの周辺部分が、他のアッパ天壁105aの部分に対して下方に窪んで形成されている。これにより、固定具115の頭部がアッパレール105のアッパ天壁105aの他の上面よりも突出しないように設定される。
図8、図9は取付け前の固定具115を示している。固定具115は、図2のA部の拡大図である図10にも示すように、固定孔119a及びアッパ固定孔105fに下方から挿入される挿入軸部115aと、挿入軸部115aの下部に形成されて挿入軸部115aよりも直径が大きい大径部115bと、大径部115bの挿入軸部115aと反対側の下部に形成されるフランジ部115cとを備えている。
フランジ部115cは、図10及び、図2のXI−XI断面図である図11に示すように、後述する図12に示す解除レバー131の左右の側壁147に設けてある係止突部147eの下方に位置している。係止突部147eは、図12に示すように、前後方向の中央位置よりもやや前方に位置し、解除レバー131の一部である側壁147から内側に向けて切起こして形成されたものである。
係止突部147eは、図11に示すように、上部が側壁147につながっていて、下部が側壁147に対して切断され、切断された下端面147e1がフランジ部115cの上面115c1に対向している。下端面147e1と上面115c1との間には隙間Tが形成されている。隙間Tを備えることで、解除レバー131の後述する揺動支点部151を支点とする上下方向の揺動を可能にしている。
図13に示すロック部材117の固定部119は、図2に示すアッパ天壁105aと略平行に前後方向に延在し、固定部119の後端から後方斜め下方に傾斜する後方傾斜部121が形成される。後方傾斜部121の後端から固定部119と略平行に後方に向けて延在する、弾性変形部としての後方弾性変形部123が形成されている。後方弾性変形部123の後端部125は、図3にも示すように、後方弾性変形部123よりも左右方向(図3中で上下方向)の幅が広く、平面視で矩形となっている。
後端部125には、左右両側縁部付近に前後方向に沿って四つずつの矩形の孔125aが形成されている。ここで、後端部125における各孔125aの前後方向に隣接する部分は、左右両側方に突出するロック部であるロック歯125bを構成する。ロック歯125bは、左右両側にそれぞれ五箇所形成される。左右両側のそれぞれ五箇所のロック歯125bは、先端側が、前後方向に延びる接続部125cで接続された構成となる。
図7に示すように、アッパレール105の前後方向の略中央付近において、左右両アッパ側壁105bから両アッパ下方斜壁105cにわたり、ロック歯受入凹部129を、前後方向に沿って左右それぞれ五箇所形成している。図2に示すように、五箇所のロック歯受入凹部129にロック部材117の五つのロック歯125bが下方から入り込んでいる。このとき、ロック歯受入凹部129相互間の突起126が、ロック部材117の孔125aに挿入される。
その際、後端部125の接続部125c付近が、アッパレール105に干渉するのを避けるために、ロック歯受入凹部129の下部に連続する開口部128や、アッパ上方斜壁105eに形成した切欠開口130及び、屈曲部105dを左右方向の外側に膨出させた膨出部132を、アッパレール105の左右両側に設けてある。図2に示すように、開口部128の前側及び後側には、下方に突出するストッパ120,122が、形成されている。ストッパ120,122は、アッパレール105のロアレール103に対する前側及び後側への移動を、ロアレール103に形成してある切起こし部103s,103tにそれぞれ当接して規制する。
一方、図6に示すように、ロアレール103の前後方向中央付近には、被ロック部としてのロック溝127を前後方向に沿って複数設けている。ロック溝127にロック部材117のロック歯125bが、ロック歯受入凹部129に位置している状態で下方から入り込むことで、ロック部材117がロアレール103に対してロックした状態となる。これにより、ロック部材117を取り付けてあるアッパレール105は、ロアレール103に対して前後方向の移動が規制される。
ロック部材117は、アッパレール105に取り付けた状態で、後方弾性変形部123が上方に弾性力を付与することで、ロック歯125bがロック溝127に入り込んだ状態が維持される。この状態から、図1、図2に示す操作ハンドル133を上方に向けて操作することで、解除レバー131を介してロック部材117の後端部125が下方に押され、ロックが解除される。操作ハンドル133は、アッパレール105内に前部から挿入されて解除レバー131と連動可能に配置される。
図14は、ロック部材117の左右五つずつ全部で10個のロック歯125bが、ロアレール103のロック溝127にそれぞれ係合した状態を示す平面図である。図15は、図14の係合状態を、アッパレール105の右側のアッパ側壁105bの内側から見た側面図であり、ロアレール103のロア底壁103aを省略している。
なお、図14、図15では、右側(図14中で上側)の五つのロック歯125bを、前側(図14中で左側)から順にロック歯125b1,125b2,125b3,125b4,125b5とし、左側(図14中で下側)の五つのロック歯125bを、前側(図14中で左側)から順にロック歯125b6,125b7,125b8,125b9,125b10としている。
ここで、ロック溝127は、前後方向(図14中で左右方向、以下同)の幅が、設計上同等であり、ロック歯125bは、前後方向の配列ピッチが、設計上同一ピッチである。また、ロック歯125bは、前後方向の幅に関し、車両前後方向の最前方に位置するロック歯125b1,125b6及び最後方に位置するロック歯125b5,125b10が、他の六つのロック歯125b2,125b3,125b4,125b7,125b8,125b9よりも大きい。
具体的には、左側最前方のロック歯125b6は、他の六つのロック歯125b2,125b3,125b4,125b7,125b8,125b9よりも後方側に幅広に形成されている。その一方で、左側最後方のロック歯125b10は、他の六つのロック歯125b2,125b3,125b4,125b7,125b8,125b9よりも前方側に幅広に形成されている。このため、左側最前方のロック歯125b6及び左側最後方のロック歯125b10の幅L2は、他の六つのロック歯125b2,125b3,125b4,125b7,125b8,125b9の幅Lよりも大きい(L2>L)。
また、右側最前方のロック歯125b1は、左側最前方のロック歯125b6よりも後方側にさらに幅広に形成されている。その一方で、右側最後方のロック歯125b5は、左側最後方のロック歯125b10よりも前方側にさらに幅広に形成されている。このため、右側最前方のロック歯125b1及び右側最後方のロック歯125b5の幅L1は、左側最前方のロック歯125b6及び左側最後方のロック歯125b10の幅L2よりもさらに大きい(L1>L2)。
つまり、ロック歯125b1,125b5の幅L1が最も大きく互いに同等であり、ロック歯125b6,125b10の幅L2がロック歯125b1,125b5の次に大きく互いに同等である。ロック歯125b1,125b5,125b6,125b10以外の他の六つのロック歯125b2,125b3,125b4,125b7,125b8,125b9の前後方向の幅Lは、ロック歯125b6,125b10の幅L2より小さく互いに同等である(L1>L2>L)。
上記構成とすることで、右側最前方のロック歯125b1は、後端(後側端部)が、ロック溝127の後端縁(後端部)に接触し、係合するロック溝127に対して後方側の隙間が無い状態となる。その一方で、右側最後方のロック歯125b5は、前端(前側端部)が、ロック溝127の前端縁(前端部)に接触し、係合するロック溝127に対して前方側の隙間が無い状態となる。左側最前方のロック歯125b6は、ロック溝127に対し後方側に僅かな隙間S2を形成し、左側最後方のロック歯125b10は、ロック溝127に対し前方側に僅かな隙間S2を形成している。ロック歯125b1,125b5,125b6,125b10以外の他の六つのロック歯125b2,125b3,125b4,125b7,125b8,125b9は、ロック溝127に対して形成される前後方向の隙間S1が、ロック歯125b6,125b10とロック溝127との間に形成される隙間S2よりも大きい(S1>S2)。
なお、ロック歯125b1,125b5の幅L1の大きさは、ロック歯125b1,125b5,125b6,125b10以外の他の六つのロック歯125b2〜125b4,125b7〜125b9の幅Lに、これらロック歯125b2〜125b4,125b7〜125b9とロック溝127との間の隙間S1を加算した大きさとする(L1=L+S1)。また、ロック歯125b1,125b5の幅L1の大きさは、左右方向で対向するロック歯125b6,125b10の幅L2に、これらロック歯125b6,125b10とロック溝127との間の隙間S2を加算した大きさとする(L1=L2+S2)。
ロック部材117は、図3、図13に示すように、固定部119の固定孔119aに対応する位置の左右両側部から、それぞれ側方に向けて突出する突出部119bを備えている。突出部119bは、固定部119を含むロック部材117の板厚と同じ厚さで側方に突出していて、平面視で矩形状である。図2、図10、図13に示すように、ロック部材117は、固定部119を境にして後方傾斜部121と反対側の前方に前方傾斜部135が形成されている。前方傾斜部135は、前方ほど下方となるよう傾斜している。
前方傾斜部135の前端(下端)から前方に向けて固定部119と略平行に延在する前方弾性変形部141が形成されている。前方弾性変形部141の前端には、上方に向けて屈曲する嵌合突起となる前端爪部145が形成されている。前方弾性変形部141の前端爪部145側に傾斜部141aが形成されている。傾斜部141aの前方傾斜部135側は平面部141bとなっている。傾斜部141aは、前端爪部145側が平面部141b側よりも上方位置となるよう傾斜している。
前端爪部145は、図2、図10に示すように、操作ハンドル133の下面に形成してある貫通孔169hに下方から嵌合している。前方弾性変形部141は、前端爪部145が貫通孔169hに入り込んだ状態で、操作ハンドル133を上方に向けて押圧している。前方弾性変形部141の操作ハンドル133に対する押圧力は、後方弾性変形部123のロック歯125bによるロック溝127への押圧力よりも弱く設定している。ロック部材117は、アッパレール105に取り付けた状態で、前方弾性変形部141の傾斜部141aより前方側が、アッパレール105から前方に突出している。
図12、図16〜図18に示すように、解除レバー131は、左右の側壁147と、左右の側壁147の後方側の端部付近の領域において、左右の側壁147の上端相互をつなぐ上壁149とを備えている。ロック部材117は、図2、図19に示すように、前部付近及び後部付近を除く部位が、解除レバー131の左右の側壁147相互間に配置される。すなわち、解除レバー131は、ロック部材117とアッパレール105の長手方向及び上下方向で重なる位置に設けられている。
解除レバー131の前後方向の中間位置より前方側の側壁147の上側端部には、凹所147aを形成している。凹所147aは、係止突部147eの上方に位置しており、上方が開放した円弧形状の凹曲面状となっている。凹所147aは、図17に示すように、ロック部材117の左右の突出部119bの下側に配置されて、突出部119bの下部が凹所147aに係合される。ロック部材117の突出部119b及び解除レバー131の凹所147aは、解除レバー131と操作ハンドル133とが一体的に上下に揺動する際の揺動支点部151を構成する。揺動支点部151は、ロック部材117によるアッパレール105に対する固定部位と前後方向で一致している。
解除レバー131は、上壁149から後方に延びる解除押圧部153を備えている。解除押圧部153の先端側の下部には、下方に湾曲するようにして突出する湾曲凸部153aが形成されている。湾曲凸部153aは、ロック部材117における後方弾性変形部123の後端部125の上面に当接している。上壁149には、上方に向けて切起こしにより形成した突起149aを形成している。突起149aは、解除レバー131及び操作ハンドル133が揺動支点部151を支点として図2中で反時計回り方向に揺動回転するときにアッパレール105のアッパ天壁105aに当接するストッパの役目を果たす。
解除レバー131は、左右両側壁147の前端部の上端相互が、前部上壁157によりつながっている。前部上壁157の中心には、図5にも示すように、下方に向けて突出する係合突起157bが形成されている。係合突起157bは、前後方向に長い例えば長円形状としてあり、エンボス加工によって形成することができる。
係合突起157bは、後述する操作ハンドル133の上面に形成してある係合孔169cに係合する。操作ハンドル133が、ロック部材117の前方弾性変形部141によって上方に付勢されることで、図5、図10、図20に示すように、係合孔169cが係合突起157bに係合する。
作動部159の後方の両側壁147の上部には、互いに対向する側に向けて突出する一対の突出形状部147mが形成されている。一対の突出形状部147mは、側壁147の上端を長さ方向に沿ってブリッジ状に突出させたものであり、前後方向に長く形成されている。一対の突出形状部147mの下方に、図10、図19に示すように、操作ハンドル133の後述する連結部169の先端側が配置される。
一対の突出形状部147mの下端部には、係止爪147m1が形成されている。係止爪147m1は、突出形状部147mの前後方向の略中央位置において、突出形状部147mの下端面から下方に向けて突出している。一方、図10に示すように、操作ハンドル133の先端側の上面には、略V字形状の係止溝169dが形成されている。係止溝169dは、操作ハンドル133が、ロック解除方向とは逆の下方に押されるに伴って連結部169の先端側が上方に変位したときに、係止爪147m1に係止する。
作動部159側の端部における左右の側壁147は、下端縁から互いに接近する方向に向けて屈曲する下部フランジ147nが形成されている。下部フランジ147nは、解除レバー131の前端部から、切欠部147oを介して突出形状部147mを超えた後方側までの領域に形成されている。一対の下部フランジ147nの互いに接近する方向への突出量は、一対の突出形状部147mの互いに接近する方向への突出量と略同等であり、ロック部材117の前方弾性変形部141が一対の下部フランジ147n相互間を通過できるように設定されている。
下部フランジ147nの後端部には、上方に向けて屈曲するストッパ部147pが形成されている。ストッパ部147pは、突出形状部147mの後端部付近に位置する。ストッパ部147pの前方側の下部フランジ147nには、側壁147に向けて凹む切欠凹部147qが形成されている。ストッパ部147pは、図18に示すように、上端が下端よりも左右方向の中心側に位置するように傾斜している。ストッパ部147pは、図10に示すように、操作ハンドル133の後方側の先端に対向しており、操作ハンドル133が解除レバー131に対して後方に移動したときに、操作ハンドル133の後方側の先端が当接する。
図17に示すように、切欠凹部147qを間にしてストッパ部147pと反対側の下部フランジ147nには、円弧突起147rが形成されている。円弧突起147rは、上面が前後方向に沿って円弧形状となるよう上方に向けて突出している。図10に示すように、円弧突起147rには、操作ハンドル133の連結部169側の下面が上方から当接する。円弧突起147rは、下部フランジ147nの少なくとも連結部169が当接する位置にあればよいが、下部フランジ147nの左右方向の全域にわたり形成してもよい。
次に、操作ハンドル133について説明する。操作ハンドル133は、図21、図22に示すように、図1に示す左右一対のレール体106に対応して設けられる左右一対のアーム部167と、一対のアーム部167同士をつないで車幅方向に延在する把持部168とを備え、全体として平面視で略U字形状となっている。アーム部167は、把持部168と反対側に連結部169が形成されている。
アーム部167の把持部168側は、連結部169から上方へ延びる上向アーム167cと、上向アーム167cの上端から車幅方向内側に向けて延びる水平アーム167aと、水平アーム167aと把持部168とを繋ぐ傾斜アーム167bと、を備えて屈曲している。なお、図21、図22では、左側のアーム部167周辺を示し、右側は省略している。一対のアーム部167は、前後方向に延在し、左右それぞれのアッパレール105内に前端から挿入される。把持部168は、操作ハンドル133を乗員が操作するときに把持する。
アーム部167は、図2及び図19に示すように、後端部分が、解除レバー131の左右の側壁147相互間に挿入されている。アーム部167は、把持部168を含めた全体が円筒部材で構成しており、前述した貫通孔169hを備える部分周辺より後方側が、円筒部分を上下から押し潰した形状の連結部169となっている。連結部169の押し潰した形状は、把持部168側の前部169fと、前部169fを間にして把持部168と反対側の先端側(後方側)の後部169rとで異なる。
前部169fは、図23に示すように、下面が上方に向けて曲面形状に凹む曲面凹部169eを備えている。曲面凹部169eの左右両端は、湾曲している屈曲部169jを介して側壁部169kの下端につながっている。側壁部169kの上端は、上面の円弧形状部169sにつながっている。後部169rに近接する位置の円弧形状部169sの左右方向中央に、前述した貫通孔169hが形成されている。後部169rは、図24に示すように、断面形状が略M字となっている。M字部分の加工は、例えば連結部169の全体を前部169fのように曲面凹部169eを加工した後に行う。
図22に示すように、前部169fと後部169rとは、下面が略同一面であり、上面については、後部169rが前部169fよりも上下方向で低い位置となっている。前部169f及び後部169rの上面に関し、前部169fと後部169rとの間は傾斜部169gとなって傾斜している。図21に示すように、前部169f及び後部169rの左右方向の幅は略同等である。後部169rの略M字形状とした部位は、図24に示すように、左右両側位置で上下方向に延びる一対の縦壁部169r1と、一対の縦壁部169r1の上端から互いに接近する方向に延びる水平壁部169r2と、左右の水平壁部169r2相互間に形成される湾曲壁部169r3と、を備えている。
湾曲壁部169r3は上面が凹状に湾曲しており、下側に向けて突出した部分の下端は、縦壁部169r1の下端よりも上下方向で上側に位置している。なお、ここでの縦壁部169r1、水平壁部169r2、湾曲壁部169r3は、それぞれ円筒部材を上下に潰した状態の外側部分(上側部分)及び内側部分(下側部分)の両方を含むものとする。外側部分(上側部分)と内側部分(下側部分)とは、互いにほぼ密着するか、相互間に隙間が形成されている。
図10に示すように、前部169fの前端付近の下部には、前述した貫通孔169hが形成されている。前端爪部145が貫通孔169hに入り込んだ状態で、ロック部材117が前方弾性変形部141によって操作ハンドル133を上方に向けて押し付ける。貫通孔169hの前端部には内部に向けて折り曲げられた折曲片169iが形成されている。折曲片169iと前端爪部145とは、前後方向で互いに対向している。
この状態で、操作ハンドル133は、解除レバー131の係合突起157bに係合孔169cが係合しながら、前部169fの上面が前部上壁157(作動部159)の下面に下方から押し付けられる。一方、後部169rの略M字形状部の縦壁部169r1の下端部は、図10に示す円弧突起147rに上方から押し付けられて当接する。このとき、略M字形状部の左右の水平壁部169r2の上方に、解除レバー131の一対の突出形状部147mが位置する。
図20に示すように、操作ハンドル133は、係合孔169cが解除レバー131の係合突起157bに係合した状態で、前部169fの左右の側壁部169kが、解除レバー131の左右の側壁147に近接している。このとき、前部169fの下端(屈曲部169jの下端)は、解除レバー131の下部フランジ147nに対し、隙間Sを形成して離間している。
次に、上記のように構成されたシートスライド装置101の動作を説明する。
図2は、図13に示すロック部材117のロック歯125bが、ロアレール103のロック溝127に係合してロックされたロック保持状態である。この状態から、乗員が操作ハンドル133を上方に向けて操作すると、操作ハンドル133は、図10に示すように、連結部169の後部169rが円弧突起147rを下方に向けて押し付ける一方、前部169fが作動部159の下面を上方に向けて押し付ける。このとき、操作ハンドル133の上方に向けての操作力が、解除レバー131に作動部159を介して伝達される。
これにより操作ハンドル133は、解除レバー131と共に、揺動支点部151を中心として図2中で時計回り方向に一体的に揺動回転する。このとき、解除レバー131は、図12、図19に示す解除押圧部153の湾曲凸部153aが、ロック部材117の後端部125を下方に押し下げ、ロックが解除される。
ロックが解除された状態でシートの前後位置を決定した後、乗員が操作ハンドル133から手を離すと、ロック部材117の後方弾性変形部123が解除押圧部153を上方に押し付け、解除レバー131を揺動回転させて図2のロック保持状態に戻る。このとき、解除レバー131は、操作ハンドル133と共に、揺動支点部151を中心として図2中で反時計回り方向に揺動回転する。
図2の状態で、例えば車両が後方から衝突され、乗員の踵が操作ハンドル133に後方に向けて衝突した場合を想定する。この場合、操作ハンドル133が後方に移動することによって、後部169rが、解除レバー131のストッパ部147pに当接し、操作ハンドル133の解除レバー131に対する後方への移動を規制する。
解除レバー131は、ストッパ部147pが操作ハンドル133から後方に向けて荷重を受けることで、揺動支点部151における凹所147aがロック部材117の突出部119bから外れ、操作ハンドル133と共に後方に移動する。これにより、乗員の踵が操作ハンドル133に衝突したときの衝撃が緩和される。
ロック部材117と解除レバー131とは、これらをアッパレール105に組み付ける前に、互いに組み付ける。操作ハンドル133は、ロック部材117及び解除レバー131をアッパレール105に組み付けた状態で、ロック部材117の前方弾性変形部141を下方に撓ませつつ、連結部169を解除レバー131の前端開口から挿入する。このとき、ロック部材117の前端爪部145は、略M字形状部位の湾曲壁部169r3の下側及び、曲面凹部169eの内面に対してすべりながら、あるいは近接した状態で相対移動する。
これにより、連結部169の後部169r(略M字形状部位)は、突出形状部147mと下部フランジ147nとの間に挿入され、ロック部材117の前端爪部145は、貫通孔169hに入り込む。その結果、図2及び図10に示すような組み付けが完了した状態となる。このように、操作ハンドル133は、ロック部材117の前方弾性変形部141を下方に撓ませた状態で解除レバー131内に挿入するだけでよく、操作ハンドル133の組み付け作業性が向上する。
このとき、図10に示すように、係合突起157bと係合孔169cとが係合し、係止爪147m1と係止溝169dとが離間した状態となる。後部169rの後方側の先端とストッパ部147pとの間には隙間が形成される。
操作ハンドル133を解除レバー131内に挿入する際には、後部169rに続いて前部169fの前後方向の略半分程度が挿入される。その際、図20に示すように、解除レバー131の下部フランジ147nと、操作ハンドル133の連結部169(前部169f)との間には、隙間Sが形成されている。このため、連結部169を解除レバー131内に挿入する作業が容易になる。
解除レバー131の前端における作動部159の下方には、下部フランジ147nが位置している。この状態で、操作ハンドル133は、把持部168周辺が下方に押されたときに、前方弾性変形部141を弾性変形させながら、作動部159の下面前端部を支点として後部169rが上方へ変位し、後部169rが突出形状部147mに係合する。さらに操作ハンドル133が下方に押されると、操作ハンドル133は突出形状部147mの下面を支点として図2及び図10中で反時計回り方向に揺動し図25の状態となる。操作ハンドル133の反時計回り方向の揺動は、図20に示すように、解除レバー131の下部フランジ147nと操作ハンドル133との間に隙間Sが形成されていることで円滑になされる。
このとき、図25に示すように、係合突起157bと係合孔169cとの係合が外れ、連結部169の後部169rが上方に変位する。後部169rの上方への変位により、係止爪147m1と係止溝169dとが係止する。係止爪147m1は、係止溝169dに入り込むことで、操作ハンドル133の解除レバー131からの前方への抜けを抑制するように形成されている。
操作ハンドル133が、下方への負荷を受けた場合に、解除レバー131からの前方への抜けを抑制できることで、信頼性が向上すると共に、ロック部材117に対し前後方向へ負荷が作用することも抑制できる。また、図20に示す連結部169の屈曲部169jが下部フランジ147nの前端部に当接することで、操作ハンドル133の把持部168が必要以上に下方へ移動するのを規制できる。
本実施形態は、車両前後方向に沿って延設されるロアレール103と、ロアレール103の長手方向に沿って相対移動するアッパレール105と、アッパレール105に揺動支点部151を中心として上下方向に揺動自在に取り付けられ、ロアレール103に形成されたロック溝127に係合可能なロック歯125bを備えると共に、ロック歯125bをロック溝127に係合するロック方向に付勢されたロック部材117と、とを有する。ロック溝127は、ロアレール103の左右両側においてそれぞれ車両前後方向に沿って複数設けられ、車両前後方向に沿って形成される複数のロック溝127は、車両前後方向の溝幅が設計上互いに等しい。ロック歯125bは、ロック部材117の左右両側においてそれぞれ車両前後方向に沿って少なくとも三つ(本実施形態では、五つ)設けられる。
五つのロック歯125bのうち車両前後方向の前側に位置する第一ロック歯(ロック歯125b1)の後側端部と、このロック歯125b1が係合するロック溝127の端部との間には、車両前後方向の隙間が無い。よって、前記第一ロック歯(ロック歯125b1)の後側端部が、車両前後方向に対向するロック溝127の端部と接触する。
また、五つのロック歯125bのうち車両前後方向の後側に位置する第二ロック歯(ロック歯125b5)の前側端部と、このロック歯125b5が係合するロック溝127の端部との間にも、車両前後方向の隙間が無い。よって、前記第二ロック歯(ロック歯125b5)の前側端部が、車両前後方向に対向するロック溝127の端部と接触する。
さらに、前記第一ロック歯(ロック歯125b1)の前側端部とロック歯125b1が係合するロック溝127の端部との間、及び、前記第二ロック歯(ロック歯125b5)の後側端部とロック歯125b5が係合するロック溝127の端部との間にそれぞれ、隙間S1が車両前後方向に形成される。五つのロック歯125bのうち前記第一ロック歯及び前記第二ロック歯以外の第三ロック歯(ロック歯125b2〜125b4,125b6〜125b10)とこれらロック歯125b2〜125b4,125b6〜125b10が係合するロック溝127との間にはそれぞれ、隙間S1(または隙間S2)が車両前後方向に形成される。
なお、ロック溝127は、図15に示すように、前後方向の溝幅が上部に比べて下部が広くなっており、ロック歯125b1,125b5の上側角部とロック溝127とが接触する位置は、ロック溝127の上下方向の高さ位置において溝底から約三分の一付近である。このロック状態では、他のロック歯125b2〜125b4,125b6〜125b10とロック溝127との間に前後方向の隙間S1,S2が形成される。
この場合、通常時は、右側最前方のロック歯125b1及び右側最後方のロック歯125b5のみが、ロック溝127に対して接触していて隙間を形成していない。これに対して、他の八つのロック歯125b2〜125b4,125b6〜125b10は、ロック溝127に対し、前後両端が接触しておらず、隙間S1,S2を形成している。このため、ロック歯125bのロック溝127への進入性が確保されている。但し、ロック歯125bのロック溝127に対する前後方向の隙間は、八つのロック歯125b2〜125b4,125b6〜125b10のうち、左側最前方のロック歯125b6の後方側隙間及び左側最後方のロック歯125b10の前方側隙間が、左側最前方のロック歯125b6の前方側隙間、左側最後方のロック歯125b10の後方側隙間、他の六つのロック歯125b2〜125b4,125b7〜125b9における隙間、右側最前方のロック歯125b1の前方側隙間、右側最後方のロック歯125b5の後方側隙間よりも狭い。
この状態で、例えば車両が前後方向に衝突し、ロアレール103とアッパレール105とからなるレール体106が前後方向に衝撃荷重を受けると、ロアレール103とアッパレール105との間で、前後方向に相対的なずれが発生する方向に力を受ける。すると、ロアレール103(ロック溝127)と、アッパレール105に取り付けられたロック部材117(ロック歯125b)との間にも、前後方向に相対的なずれが発生する方向に力を受ける。
ここで、右側最前方のロック歯125b1の後側端部及び右側最後方のロック歯125b5の前側端部とロック溝127との間には前後方向に隙間が無く接触しているため、当該接触点Ea,Eb(図26及び図27参照)で上記した力を最初に受ける。その後、ロック溝127との間の前後方向の隙間が、他の六つのロック歯125b2,125b3,125b4,125b7,125b8,125b9よりも狭いロック歯125b6またはロック歯125b10が、ロック溝127に接触して力を受ける。
このように、本実施形態では、レール体106が前後方向に衝撃荷重を受けたときに、左右両側において前後方向に複数設けられたロック歯125bのうち、最前方のロック歯125b1,125b6及び最後方のロック歯125b5,125b10が、他のロック歯125b2,125b3,125b4,125b7,125b8,125b9よりも先にロック溝127に接触した状態となる。このような接触状態は、例えロック歯やロック溝に製造時の寸法ばらつきが多少あっても、同様に発生するように設計される。
ここで、ロック部材117は、固定部119とロック歯125bを有する後端部125が後方傾斜部121により上下にオフセットしているため、衝撃荷重によって最前方または最後方のロック歯125b1,125b6,125b5,125b10を支点として上下方向に変形する。例えば、図26に示されるように、アッパレール105が前方側(図26中で左側)に移動する方向に衝撃荷重Lfを生じた場合、後方傾斜部121が水平に戻ろうとすることで、僅かに傾斜した後方弾性変形部123が上方に回転しようとする。このため、右側最後方のロック歯125b5の接触点Eaを支点として前方のロック歯125b1〜125b4,125b6〜125b9側が上方に移動し、最後方のロック歯125b5,125b10側が下方に下がるように移動しようとする。この場合、支点(接触点Ea)よりも前方側のロック歯125b1〜125b4,125b6〜125b9は、ロック溝127に入り込む方向(上方)に変形する。その一方で、支点(接触点Ea)よりも後方側のロック歯が、ロック溝127から外れる方向(下方)に変形する。最後方のロック歯125b5,125b10よりも後方側にはロック歯125bが存在しないため、ロック歯125b全体がロック溝127から外れる方向に回転することは殆どなくなる。また、最後方のロック歯125b5,125b10は、最後方のロック歯125b5の接触点Eaで接触するロック溝127の端面に圧接しているため、移動することがない。
上記とは逆に、図27に示されるように、アッパレール105が後方側(図27中で右側)に移動する方向に衝撃荷重Lrを生じた場合、後方傾斜部121がより傾くようになることで、僅かに傾斜した後方弾性変形部123が下方に回転しようとする。このため、右側最前方のロック歯125b1の接触点Ebを支点として後方のロック歯125b2〜125b5,125b7〜125b10側が上方に移動し、最前方のロック歯125b1,125b6側が下方に下がるように移動しようとする。この場合、支点(接触点Eb)よりも後方側のロック歯125b2〜125b5,125b7〜125b10は、ロック溝127に入り込む方向(上方)に変形する。その一方で、支点(接触点Eb)よりも前方側のロック歯が、ロック溝127から外れる方向(下方)に変形する。最前方のロック歯125b1,125b6よりも前方側にはロック歯125bが存在しないため、ロック歯125b全体がロック溝127から外れる方向に回転することは殆どなくなる。また、最前方のロック歯125b1,125b6は、最前方のロック歯125b1の接触点Ebで接触するロック溝127の端面に圧接しているため、移動することがない。そのため、アッパレール105が後方側に移動する場合も、アッパレール105が前方側に移動する場合と略同等のロック強度を得ることができる。
したがって、本実施形態は、ロック歯125bの数を前後方向に少なくとも三つとすることによるロック強度の向上を確保することができると共に、衝撃荷重がアッパレール105の前方側に作用した場合と後方側に作用した場合とで、略同等のロック強度を得ることができる。
本実施形態は、ロック歯125bが、ロック部材117の左右両側においてそれぞれ車両前後方向に沿って少なくとも四つ設けられる。前記第一ロック歯は、少なくとも四つのロック歯125bのうちロック部材117の基部(固定部119)側から数えて一番目のロック歯125b1である。前記第二ロック歯は、少なくとも四つのロック歯125bのうちロック部材117の固定部119側とは反対側から数えて一番目のロック歯125b5である。
このようにロック歯125bを設定した場合、ロック部材117が前後方向に衝撃荷重を受けたときに負荷が作用した初期においてロック部(ロック歯125b)が下方に移動するのを抑えられるため、ロック強度の安定と向上は十分に達成することが可能である。
本実施形態では、図14に示すように、五つのロック歯125b1〜125b5のうちロック部材117の固定部119側から数えて一番目のロック歯125b1の後側端部が、車両前後方向に対向するロック溝127の端部と接触している。しかし、これに代えて、五つのロック歯125b1〜125b5のうちロック部材117の固定部119側から数えて二番目のロック歯125b2の後側端部が、車両前後方向に対向するロック溝127の端部と接触するようにしてもよい。このように設定した場合でも、ロック部材117が前後方向に衝撃荷重を受けたときにロック部(ロック歯125b)が下方に移動する移動量は小さく抑えられるため、ロック強度の安定と向上は十分に達成することが可能である。
また、本実施形態では、図14に示すように、五つのロック歯125b1〜125b5のうちロック部材117の固定部119側とは反対側から数えて一番目のロック歯125b5の前側端部が、車両前後方向に対向するロック溝127の端部と接触している。しかし、これに代えて、五つのロック歯125b1〜125b5のうちロック部材117の固定部119側とは反対側から数えて二番目のロック歯125b4の前側端部が、車両前後方向に対向するロック溝127の端部と接触するようにしてもよい。このように設定した場合でも、ロック部材117が前後方向に衝撃荷重を受けたときにロック部(ロック歯125b)が下方に移動する移動量は小さく抑えられるため、ロック強度の安定と向上は十分に達成することが可能である。
本実施形態は、ロアレール103のロック溝127及びロック部材117のロック歯125bはそれぞれ、左右対称の位置に配置される。前記第一ロック歯(ロック歯125b1)に左右方向で対向するロック歯125b6の後側端部とこのロック歯125b6が係合するロック溝127の端部との間の隙間S2、及び、前記第二ロック歯(ロック歯125b5)に左右方向で対向するロック歯125b10の前側端部とこのロック歯125b10が係合するロック溝127の端部との間の隙間S2は、他のロック歯125b2〜125b4,125b7〜125b9とこれらロック歯125b2〜125b4,125b7〜125b9が係合するロック溝127との間の隙間S1よりも小さい。
ロック部材117が前後方向に衝撃荷重を受けたときには、前記第一ロック歯(ロック歯125b1)及び前記第二ロック歯(ロック歯125b5)の次(二番目)に、左右方向で対向するロック歯125b6及びロック歯125b10が接触する。これにより、ロック部材117の回転及び傾きを防止することができ、ロック強度の安定化を図ることが可能になる。
本実施形態は、ロアレール103のロック溝127及びロック部材117のロック歯125bはそれぞれ、左右対称の位置に配置され、前記第一ロック歯(ロック歯125b1)及び前記第二ロック歯(ロック歯125b5)は、ロック部材117の左右の同じ側に配置される。
このようにロック歯125bを形成することにより、アッパレール105のロアレール103に対する車両前後方向のガタ付きを防止することができ、ロック強度の安定化を図ることが可能になる。
本実施形態では、図14に示すように、前記第一ロック歯(ロック歯125b1)及び前記第二ロック歯(ロック歯125b5)は、ロック部材117の左右の同じ側に配置されている。しかし、これに限定はされずに、前記第一ロック歯と前記第二ロック歯とは、ロック部材117の左右に分かれて配置されるようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含む。
上記した実施形態では、図13に示すように、ロック歯125bは、ロック部材117の左右両側においてそれぞれ車両前後方向に沿って五つ設けられている。しかし、これに限定はされずに、ロック歯125bが、ロック部材117の左右両側においてそれぞれ車両前後方向に沿って、三つ、または四つ、または六つ以上設けられてもよい。
上記した実施形態では、図13に示すように、ロック部材117のロック歯125bが前後方向に延在する接続部125cによって互いに接続されて孔125aが形成されている。しかし、接続部125cを形成せずに、孔125aに代えて左右外側が開放した凹部として、ロック歯125bを形成してもよい。
103 ロアレール
105 アッパレール
117 ロック部材
119 固定部(基部)
123 後方弾性変形部(弾性変形部)
125b1〜125b10 ロック部材のロック歯
127 ロアレールのロック溝
151 揺動支点部(揺動支点)
105 アッパレール
117 ロック部材
119 固定部(基部)
123 後方弾性変形部(弾性変形部)
125b1〜125b10 ロック部材のロック歯
127 ロアレールのロック溝
151 揺動支点部(揺動支点)
Claims (4)
- 車両前後方向に沿って延設されるロアレールと、
前記ロアレールの長手方向に沿って相対移動するアッパレールと、
前記アッパレールに揺動支点を中心として上下方向に揺動自在に取り付けられ、前記ロアレールに形成されたロック溝に係合可能なロック歯を備えると共に、前記ロック歯を前記ロック溝に係合するロック方向に付勢されたロック部材と、と有し、
前記ロック溝は、前記ロアレールの左右両側においてそれぞれ車両前後方向に沿って複数設けられ、
車両前後方向に沿って形成される複数の前記ロック溝は、車両前後方向の溝幅が設計上互いに等しく、
前記ロック歯は、前記ロック部材の左右両側においてそれぞれ車両前後方向に沿って少なくとも三つ設けられ、
前記少なくとも三つのロック歯のうち車両前後方向の前側に位置する第一ロック歯の後側端部と、前記第一ロック歯が係合する前記ロック溝の端部との間には、車両前後方向の隙間が無く、前記第一ロック歯の後側端部が、車両前後方向に対向する前記ロック溝の端部と接触し、
前記少なくとも三つのロック歯のうち車両前後方向の後側に位置する第二ロック歯の前側端部と、前記第二ロック歯が係合する前記ロック溝の端部との間には、車両前後方向の隙間が無く、前記第二ロック歯の前側端部が、車両前後方向に対向する前記ロック溝の端部と接触し、
前記第一ロック歯の前側端部と前記第一ロック歯が係合する前記ロック溝の端部との間、前記第二ロック歯の後側端部と前記第二ロック歯が係合する前記ロック溝の端部との間、及び、前記少なくとも三つのロック歯のうち前記第一ロック歯及び前記第二ロック歯以外の第三ロック歯と前記第三ロック歯が係合する前記ロック溝との間にはそれぞれ、隙間が車両前後方向に形成される、シートスライド装置。 - 前記ロック歯は、前記ロック部材の左右両側においてそれぞれ車両前後方向に沿って少なくとも四つ設けられ、
前記第一ロック歯は、前記少なくとも四つのロック歯のうち前記ロック部材の基部側から数えて一番目または二番目のロック歯であり、
前記第二ロック歯は、前記少なくとも四つのロック歯のうち前記ロック部材の前記基部側とは反対側から数えて一番目または二番目のロック歯である、請求項1に記載のシートスライド装置。 - 前記ロアレールの前記ロック溝及び前記ロック部材の前記ロック歯はそれぞれ、左右対称の位置に配置され、
前記第一ロック歯に左右方向で対向する前記第三ロック歯の後側端部とこの第三ロック歯が係合する前記ロック溝の端部との間の隙間、及び、前記第二ロック歯に左右方向で対向する前記第三ロック歯の前側端部とこの第三ロック歯が係合する前記ロック溝の端部との間の隙間は、他の前記第三ロック歯とこの第三ロック歯が係合する前記ロック溝との間の隙間よりも小さい、請求項1または2に記載のシートスライド装置。 - 前記ロアレールの前記ロック溝及び前記ロック部材の前記ロック歯はそれぞれ、左右対称の位置に配置され、
前記第一ロック歯及び前記第二ロック歯は、前記ロック部材の左右の同じ側に配置される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシートスライド装置。
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