以下に添付図面を参照して、本発明に係るショーケースの好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態であるショーケースを示す断面側面図である。ここで例示するショーケースは、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗において販売商品をケース本体1の内部に収納するようにしたものである。
本実施の形態では特に、要冷蔵商品を収納するための冷蔵用ショーケースを例示している。すなわち、このショーケースでは、ケース本体1の内部に背面板2が設けられることによって背面板2とケース本体1の後壁1aとの間に通風ダクト(通風路)3が構成されるとともに、背面板2よりも前方に収納室4が構成されている。
通風ダクト3の内部には、蒸発器5や送風ファン6が配設されている。蒸発器5は、図示しないコンデンシングユニットとともに冷凍サイクルを構成し、通風ダクト3を通過する空気との間において熱交換を行うものである。
このショーケースでは、コンデンシングユニット及び送風ファン6を駆動すれば、蒸発器5を通過した空気が通風ダクト3を通じて収納室4に循環供給され、収納室4が所望の冷蔵温度に維持されることになる。
ケース本体1は、前面1bに開口(以下、前面開口ともいう)1cを有した箱状を成すもので、収納室4に複数段の商品載置棚10が備えられている。商品載置棚10は、左右2つの棚支持部材20の間に棚板30を支持させることによって構成されたものである。また収納室4には、底部を構成するデッキ40が備えられている。以下に、商品載置棚10及びデッキ40について説明する。
<商品載置棚>
まず商品載置棚10について説明する。尚、収納室4における各段の商品載置棚10は、同様の構成を有したものである。従って、以下には1つの商品載置棚10について説明を行う。
図2〜図6は、それぞれ図1に示した1つの商品載置棚を示すもので、図2は斜視図、図3は分解斜視図、図4〜図6は要部を拡大して示す拡大斜視図である。
棚板30は、販売商品が載置される部分であり、図2及び図3に示すように、矩形状を成す棚枠31の内部に載置板32を支持させることによって構成されている。
棚支持部材20は、図1に示すように、背面板2の両側前面1bに取り付けた棚支柱7から前方に突出するように配設されたものである。この棚支持部材20は、図7に示すように、ブラケット部材21、補助側壁部材22及び傾斜支持ユニット23を備えて構成されている。
2つの棚支持部材20は、互いに対称となるように構成されたものである。以下においては便宜上、2つの棚支持部材20において互いに近接した方を内側と称し、互いに離反した方向を外側と称して説明する。また、左方の棚支持部材20について説明し、右方の棚支持部材20の説明は割愛する。
図8は、図2〜図7に示した左方の棚支持部材を構成するブラケット部材を示す斜視図である。この図8にも示すように、ブラケット部材21は、棚支持部材20のベースとなるもので、基壁部211、上壁部212及び係止壁部213を一体に成形することによって構成されている。
基壁部211は、前後方向が長手方向となる長尺状部分である。この基壁部211の後端部には、棚支柱7に係止するための係止片211aが該基壁部211の後端縁部211bより後方に突出する態様で設けられている。かかる係止片211aを棚支柱7に設けられた装着孔(図示せず)に挿入させることにより、該係止片211aと基壁部211の後端縁部211bとの協働により、ブラケット部材21を棚支柱7の任意の高さに略水平の片持ち状態で支持させることが可能である。
また基壁部211には、突片(突部)211cが設けられている。突片211cは、基壁部211の長手方向の略中央部に形成された舌片状部分を外側(図8では左方)に屈曲させて切り起こし状に形成されている。この突片211cは、前方から後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する態様で形成されている。
上壁部212は、基壁部211の上端から内側(図8では右方)に向けて略直角に屈曲した平板状部分である。係止壁部213は、基壁部211の前端部の下端から内側に向けて略直角に屈曲した部分である。
図9は、図2〜図7に示した左方の棚支持部材を構成する補助側壁部材を示す分解斜視図である。この図9にも示すように、補助側壁部材22は、前後方向が長手方向となる長尺状部材である。この補助側壁部材22の下端部分は、外側(図9では左方)に向けて略直角に屈曲して形成されている。また補助側壁部材22の前端部の上端部分は、外側に向けて略直角に屈曲して形成されている。
このような補助側壁部材22は、スライダ24を介してブラケット部材21の基壁部211の内側に取り付けられている。スライダ24は、従来公知のものであるので、その説明は割愛する。これにより、補助側壁部材22は、ブラケット部材21に対して前後方向に沿ってスライド移動可能である。
上記補助側壁部材22には、棚ストッパ部221及び棚支持部222が設けられている。棚ストッパ部221は、例えば樹脂により成形されたものであり、補助側壁部材22の前端部分に係合されている。この棚ストッパ部221は、従来公知のものであり、補助側壁部材22が最も後方に配置される場合に、図4に示したように、一部が係止壁部213に係止して補助側壁部材22が前方に向けてスライド移動することを規制するものである。
棚支持部222は、棚支持基部222aと棚支持取付部222bとを一体に成形することによって構成されている。棚支持基部222aは、補助側壁部材22の内側面(図9では右側面)に対向する平板状部分である。この棚支持基部222aの中央部分には棚支持貫通孔222cが形成されている。棚支持取付部222bは、棚支持基部222aの上端より外側(図9では左方)に向けて略直角に屈曲して形成された平板状部分である。
このような棚支持部222は、棚支持貫通孔222cを内側から貫通する棚支持軸223が補助側壁部材22の前端部に形成された支持孔224を貫通して取り付けられることにより、該補助側壁部材22に対して該棚支持軸223を中心に回動可能である。そして、棚支持部222は、図7に示すように、棚支持取付部222bが棚枠31の左側部の前端部の下部に取り付けられている。これにより、棚板30は、前端部が棚支持軸223(棚支持部222)を介して補助側壁部材22に支持され、棚支持軸223を中心に後端縁部が補助側壁部材22に対して上下に移動可能に配設されている。また、補助側壁部材22は、最も後方の位置に配置される場合には、棚板30を収納位置に配置させ、最も前方に配置される場合には、棚板30を補充位置に配置させるものである。
図10は、図2〜図7に示した左方の棚支持部材を構成する傾斜支持ユニットを示す分解斜視図である。この図10にも示すように、傾斜支持ユニット23は、傾斜支持部材231、アーム部材232及びレバー部材233を備えて構成されている。
傾斜支持部材231は、傾斜支持基部231aと傾斜支持取付部231bとを一体に成形することによって構成されている。傾斜支持基部231aは、略矩形状に形成され、前後方向が上下方向よりも長手となる平板状部分である。傾斜支持取付部231bは、傾斜支持基部231aの上端より内側(図10では右方)に向けて略直角に屈曲して形成された平板状部分である。
このような傾斜支持部材231は、図7に示すように、ブラケット部材21の外側において、傾斜支持取付部231bが棚枠31の左側部の前端部の下部に取り付けられている。これにより、傾斜支持部材231は、ブラケット部材21の外側において、補助側壁部材22とともに前後方向に沿ってスライド移動可能である。
アーム部材232は、アーム基部232a、第1アーム当接片232b、第2アーム当接片(上壁部)232c及びアーム下壁部232dを一体に成形することによって構成されている。アーム基部232aは、前後方向が長手方向となる長尺状部分である。このアーム基部232aは、後端部が前端部より外側となるようにその途中で屈曲して形成されている。アーム基部232aの前端部には、アーム支持貫通孔232a1が形成されている。アーム基部232aの後端部は、後方に向かうに連れて上下寸法が漸次小さくなる態様で形成されている。
第1アーム当接片232bは、アーム基部232aの前端部に形成された舌片状部分を外側(図10では左方)に略直角に屈曲させて形成されている。第2アーム当接片232cは、アーム基部232aの後端部に形成された舌片状部分を内側に略直角に屈曲させて形成されている。
アーム下壁部232dは、アーム基部232aの後端部の下端より内側に向けて略直角に屈曲して形成された平板状部分である。
このようなアーム部材232は、アーム支持貫通孔232a1を外側から貫通するアーム支持軸235が傾斜支持部材231に螺合することにより、該傾斜支持部材231に対して該アーム支持軸235を中心に揺動可能である。
レバー部材233は、レバー基部233a、第1レバー当接片(作用片)233b及び第2レバー当接片233cを一体に成形することによって構成されている。レバー基部233aは、前後方向が長手方向となる長尺状部分である。このレバー基部233aは、後端部にレバー支持貫通孔233a1が形成されている。またレバー基部233aの前端部は、後端部よりも上下方向の寸法が大きく形成されており、前方に向かうに連れて上下寸法が漸次小さくなる態様で形成されている。かかる前端部の上端及び下端は外側に略直角に屈曲されている。更に前端部の前端縁部は、傾斜支持部材231よりも前方に突出している。
第1レバー当接片233bは、レバー基部233aの後端部の下端に形成された舌片状部分を外側に略直角に屈曲させて形成されている。この第1レバー当接片233bの後端は、上方に向けて略直角に屈曲されている。第2レバー当接片233cは、アーム基部232aの後端部の上端に形成された舌片状部分を外側に略直角に屈曲させて形成されている。
このようなレバー部材233は、レバー支持貫通孔233a1を外側から貫通するレバー支持軸236が傾斜支持部材231に螺合することにより、該傾斜支持部材231に対して該レバー支持軸236を中心に揺動可能である。このレバー支持軸236は、傾斜支持部材231において、アーム支持軸235に対して前方側上部に設けられている。これにより、レバー部材233は、第1レバー当接片233bが第1アーム当接片232bに当接可能である。
図11は、棚板が収納位置に配置された状態を示す商品載置棚の側面図である。この図11に示すように、棚枠31がブラケット部材21の上壁部212に載置されて棚板30が水平状態にある場合、第2レバー当接片233cが棚板30(棚枠31)に当接されることにより、レバー部材233が水平姿勢となる。
また、レバー部材233が水平姿勢となることにより、第1レバー当接片233bに第1アーム当接片232bが当接されるアーム部材232も水平姿勢となる。アーム部材232が水平姿勢となることにより、第2アーム当接片232cは棚板30から離隔しており、アーム下壁部232dが、図4及び図5に示したように、ブラケット部材21の突片211cよりも下方に位置している。
このような状態から棚ストッパ部221と係止壁部213との係止状態を解除させて補助側壁部材22を前方に向けてスライド移動させることにより、棚板30も水平状態のまま前方にスライド移動し、図12に示すように棚板30を補充位置に配置させる。
棚板30を補充位置に配置させた状態でレバー部材233に操作力を付与することにより、図13に示すように、レバー基部233aの前端部の上端が棚板30に当接するまで該レバー部材233を揺動させて維持する。これによりレバー部材233は、前方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する傾斜姿勢となって、操作力が付与され続けることにより傾斜姿勢に保持される。
このレバー部材233の揺動により第1レバー当接片233bに当接する第1アーム部材232が下方に押圧されることにより、アーム部材232は、第2アーム当接片232cが棚板30に当接するまで揺動し、後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する傾斜姿勢となる。
アーム部材232及びレバー部材233をともに傾斜姿勢に維持して、図14に示すように、補助側壁部材22を後方に向けてスライド移動させると、アーム部材232のアーム下壁部232dが突片211cに載置された状態で該突片211cに摺接する。このようにアーム下壁部232dが突片211cに載置された後は、レバー部材233に対する操作力を解除してもレバー部材233は傾斜姿勢に保持される。
このようにアーム下壁部232dが突片211cに載置された状態で補助側壁部材22を後方に向けてスライド移動させると、第2アーム当接片232cが棚板30を押圧することにより、棚板30は後端部が上方に押し上げられる。そして、図15に示すように、棚板30が収納位置に配置された場合、該棚板30は前端縁部が低くなる態様で傾斜状態となる。
尚、かかる棚板30を傾斜状態から水平状態に戻す場合には、レバー部材233に対する操作力が既に解除されているので、棚板30を補充位置までスライド移動させるだけでよい。これにより、棚板30の自重によりアーム部材232及びレバー部材233はともに水平姿勢となる。そして、アーム部材232及びレバー部材233が水平姿勢の状態で棚板30を収納位置までスライド移動させることで、棚板30が水平状態で収納室4に設置される。
上記商品載置棚10を有するショーケースによれば、補助側壁部材22の外側において水平姿勢と傾斜姿勢との間で揺動可能に設けられたアーム部材232が、ブラケット部材21に外側に突出する態様で設けられた突片211cに傾斜姿勢で載置される場合に、棚板30を前端縁部が低くなる態様で傾斜させるので、ブラケット部材21間における商品を載置するための有効容積には影響を与えない。従って、商品を載置するための有効容積が低減されることを抑制することができる。
上記ショーケースによれば、傾斜支持部材231に後端部がレバー支持軸236を介して該レバー支持軸236を中心に揺動可能に支持されたレバー部材233が、傾斜支持部材231よりも前方に突出する前端部が操作されることにより揺動して後端部に設けられた第1レバー当接片233bがアーム部材232の前端部を押圧して該アーム部材232を揺動させて傾斜姿勢にさせるので、棚板30を水平状態又は傾斜状態への切替操作を前方側から行うことができ、操作性の向上を図ることができる。
<商品載置棚の変形例1>
以下に商品載置棚10の変形例について説明する。図16及び図17は、商品載置棚の変形例1を模式的に示す模式図である。これら図16及び図17に図示するブラケット部材21′は、右方のブラケット部材であり、その前端側上端部分には、外側(右方)に向けて屈曲された突部213′が形成されている。傾斜支持ユニット23′は、傾斜支持部材231′がブラケット部材21′の内側に設けられており、該傾斜支持部材231′の外側面にアーム部材232′及びレバー部材233′が設けられている。
アーム部材232′は、後端部が傾斜支持部材231′に軸支されており、前端部が上下方向に揺動可能なもので、常態においては前端が下方に揺動する。レバー部材233′は、アーム部材232′よりも前方側において前後方向にスライド移動可能に設けられている。
このような構成の商品載置棚10′では、図16に示すように、レバー部材233′を最も前方にスライド移動させた状態で棚板30を収納位置まで後方にスライド移動させると、アーム部材232′が突部213′に載置されるときに水平姿勢となる。つまり、アーム部材232′は水平姿勢で突部213′に載置され、この場合には、棚板30が水平状態となる。
一方、図17に示すように、レバー部材233′を最も後方にスライド移動させると、アーム部材232′は傾斜姿勢に保持される。このような状態で棚板30を収納位置まで後方にスライド移動させると、アーム部材232′は傾斜姿勢で突部213′に載置される。この場合、棚板30は傾斜状態となる。
このような商品載置棚10′においてもブラケット部材21′の内側には傾斜支持部材231′のみを配置させて、アーム部材232′やレバー部材233′をブラケット部材21′の上方若しくは外側に配置させることができ、ブラケット部材21′間における商品を載置するための有効容積には影響を与えない。従って、商品を載置するための有効容積が低減されることを抑制することができる。
<商品載置棚の変形例2>
図18は、商品載置棚の変形例2の要部を拡大して示す斜視図である。尚、上述した実施の形態である商品載置棚と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
ここで例示する商品載置棚10”のブラケット部材21”は、基壁部211、上壁部212、係止壁部213及び下壁部214を一体に成形することによって構成されている。尚、ここでは、左方側のブラケット部材21”に取り付けられた構造について説明し、右方側のブラケット部材21”に取り付けられた構造については左右対称となるだけであるので、その説明を割愛する。
下壁部214は、基壁部211のうち係止壁部213よりも後方側の下端から内側に向けて略直角に屈曲した部分である。この下壁部214には、ガイド支持部材25が取り付けられている。
ガイド支持部材25は、前後方向が長手方向となる部材であり、ガイド基部251とガイド取付部252とを一体に成形することによって構成されている。ガイド基部251は、下壁部214の下面に締結部材を介して締結される部分である。ガイド取付部252は、ガイド基部251の内側(図18では右方側)の端部より上方に向けて延在する部分である。このガイド取付部252の内面には、差込ガイド26が設けられている。
差込ガイド26は、前後方向が長手方向となる長尺状部材である。この差込ガイド26は、ガイド基壁部261、ガイド上壁部262及びガイド下壁部263を一体に成形することによって構成されている。
ガイド基壁部261は、前後方向が長手方向となる長尺状部分である。このガイド基壁部261は、ガイド取付部252の内面に、前方から後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する態様で取り付けられている。ガイド上壁部262は、基壁部211の上端から内側(図18では右方)に向けて略直角に屈曲した平板状部分である。ガイド下壁部263は、基壁部211の下端から内側に向けて略直角に屈曲した部分である。
このような差込ガイド26は、図22及び図23に示すように、中間仕切部材27の左右両側部に形成された差込端部271が前方側から差し込まれた場合に、中間仕切部材27を支持するものである。ここで中間仕切部材27は、従来公知のものであり、収納室4を上下に区画するものであり、その後端部分272は、背面板2に形成された開口(図示せず)を貫通して通風ダクト3を上下に区画している。かかる中間仕切部材27は、通風ダクト3を通過する空気を後端部分272で取り込んで、内蔵するダクトを通過させ、前端部分に形成された開口273を通じて空気を下方に向けて吐出するものである。
上述したように、差込ガイド26は、ガイド基壁部261が前方から後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する態様で取り付けられているので、この差込ガイド26に支持される中間仕切部材27は、前方から後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する態様で支持されている。ところで、差込ガイド26の傾斜角度であるが、棚板30を補充位置から収納位置に向けて後方にスライド移動する場合に棚板30と中間仕切部材27とが当接することを回避するべく、中間仕切部材27のガイド支持部材25より上方に出っ張る部分が突片211cよりも後方側となるように調整されている。
このような構成の商品載置棚10”では、差込ガイド26及びガイド支持部材25を通じて中間仕切部材27をブラケット部材21”に固定配置させることができ、この中間仕切部材27を境界にして収納室4を複数の温度帯に分けることができる。
<デッキ>
次にデッキ40について説明する。図21〜図23は、それぞれ図1に示したデッキを示すもので、図21及び図22は斜視図、図23は断面側面図である。ここで例示するデッキ40は、デッキ側壁部材41及びデッキ載置板42を備えて構成されている。
デッキ側壁部材41は、左右一対のものであり、互いに対称となるように構成されたものである。これらデッキ側壁部材41は、それぞれ前後方向が長手方向となる長尺状部材である。以下においては便宜上、2つのデッキ側壁部材41において互いに近接した方を内側と称し、互いに離反した方向を外側と称して説明する。
デッキ載置板42は、これらデッキ側壁部材41間に架け渡されるように設置されており、上面が商品を載置する載置面を構成している。
このようなデッキ40は、デッキ側壁部材41が、棚支柱7の下端部に係合された左右一対のデッキブラケット部材8の内側にデッキスライダ43を介して取り付けられており、最も後方の収納位置と、最も前方の補充位置との間でスライド移動可能なものである。尚、デッキ側壁部材41の前端部は、デッキ載置板42の前端縁よりも前方に突出している。またデッキ側壁部材41の前端部は、デッキ40が収納位置に配置される場合も、デッキブラケット部材8の前端縁よりも前方に突出している。
上記デッキ側壁部材41の前端部の内側には、デッキ用支持部材44が配設されている。デッキ用支持部材44は、図24にも示すように、底壁部441、支持壁部442及び内壁部443が一体に成形されて構成されている。底壁部441は、デッキ側壁部材41の下方側に位置する平板状部分である。この底壁部441は、デッキ側壁部材41の前方及び外側に突出している。
支持壁部442は、底壁部441の前端縁部のうちデッキ側壁部材41の内側に位置する舌片状部分が上方に略直角に屈曲されて形成されている。この支持壁部442は、フェンス部材45を支持するものである。フェンス部材45は、左右方向が長手方向となる矩形状平板であり、上端がデッキ載置板42よりも上方に突出する態様で左右のデッキ用支持部材44に取り付けられている。
これにより、デッキ40の前端部には、デッキ載置板42の前端とフェンス部材45との間に前端開口40aが形成されている。この前端開口40aは、デッキ40が収納位置に配置される場合に、収納室4の内部空気を通風ダクト3に吸い込むための吸込口を形成するものである。尚、かかる前端開口40aは、多数の小孔が形成された金属製のリターングリル46により閉塞されている。
内壁部443は、底壁部441の内側端部を上方に屈曲して形成されたものである。この内壁部443は、前端部が後端部よりも内側に突出する態様で途中で屈曲している。内壁部443の後端部は、デッキ側壁部材41の内側に接して締結部材により該デッキ側壁部材41に締結されて取り付けられている。内壁部443の前端部には、上方に開放する支持溝443aが形成されており、該支持溝443aでフィルタ部材50を支持している。
フィルタ部材50は、フィルタフレーム51とフィルタ本体52とを備えて構成されている。フィルタフレーム51は、磁性体から形成されており、図23及び図24において、上下方向に沿って延在してフィルタ部材50の後端部を構成する第1フレーム体51aと、この第1フレーム体51aの下端より前方に向けて延在してフィルタ部材50の前端部を構成する第2フレーム体51bとを有している。フィルタ本体52は、微細な孔が多数形成されたフィルタにより構成されており、フィルタフレーム51の第1フレーム体51a及び第2フレーム体51bの全域を覆う態様で設けられている。
このようなフィルタ部材50は、第1フレーム体51aの上端に左右に突出するフィルタ支持軸(支持軸)53が形成されており、このフィルタ支持軸53が上記支持溝443aに架設されることにより、支持軸を中心に揺動可能にデッキ用支持部材44に支持されている。つまり、フィルタ部材50は、後端部が上記フィルタ支持軸53を介してデッキ側壁部材41(デッキ40)に支持され、該フィルタ支持軸53を中心に前端部がデッキ側壁部材41(デッキ40)に対して上下に揺動可能に配設されている。
以上のような構成を有するデッキ40においては、収納位置に配置される場合、図25に示すように、フィルタ部材50は、前端部の前端縁がケース本体1の前面開口1cの下縁部に載置されることにより、後端部が上下方向に沿って延在し、前端部が前後方向に沿って延在する水平姿勢となっている。この場合、フィルタ部材50は、デッキ40の前端開口(吸込口)40aと通風ダクト3との間に介在し、前端開口40a(実際にはリターングリル46の小孔)より吸い込まれる収納室4の内部空気に含まれる塵埃物を除去することができる。
そして、デッキ40に対する商品補充を行うために、該デッキ40が前方に向けてスライド移動する場合、フィルタ部材50も該デッキ40とともに前方に向けてスライド移動する。この際、フィルタ部材50の前端部は一部がケース本体1の前面開口1cの下縁部に載置された状態で移動するので、フィルタ部材50は水平姿勢が維持されている。
その後、デッキ40とともに前方にスライド移動するフィルタ部材50のフィルタ支持軸53がケース本体1の前面開口1cの下縁部より前方側に位置すると、フィルタ部材50は、デッキ40のスライド移動に応じて下方に揺動する。
図26に示すように、デッキ40が補充位置に配置される場合、フィルタ部材50は、下方に揺動して前端部がケース本体1の下方前面1bの所定部分に当接する。
上記デッキ40を有するショーケースによれば、フィルタ部材50がデッキ40とともに前方にスライド移動し、しかもデッキ40が補充位置に配置される場合にフィルタ部材50が下方に揺動するので、フィルタ部材50のフィルタ本体52が露出された状態となり、該フィルタ本体52に付着した塵埃物を容易に取り除くことができる。従って、フィルタ部材50の清掃を容易なものとすることができる。
<デッキの変形例>
以下にデッキ40の変形例について説明する。図27は、図21〜図24に示したデッキの変形例を示す断面側面図である。尚、上述した図21〜図24に示したデッキ40と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
ここで例示するデッキ40′は、ブラシ部材60を備えて構成されている。ブラシ部材60は、図28に示すように、ブラシ本体61と、ブラシ支持軸62と、ブラシ側壁部63とを備えて構成されている。
ブラシ本体61は、左右方向が長手方向となる長尺状部材であり、その長手方向の長さは、フィルタ部材50のフィルタフレーム51の左右方向と同程度である。ブラシ支持軸62は、前後一対となる態様で2つ設けられており、ブラシ本体61の上端部に取り付けられている。このブラシ支持軸62の左右方向の長さは、ブラシ本体61よりも大きくなるように形成されている。
ブラシ側壁部63は、図28において、前後方向に沿って延在するブラシ側壁上部63aと、このブラシ側壁上部63aの前端より下方に向けて延在するブラシ側壁前部63bと、ブラシ側壁上部63aの後端より下方に向けて延在するブラシ側壁後部63cとが一体に成形されて形成されている。ブラシ側壁部63は、ブラシ本体61の両側域において、ブラシ側壁上部63aがブラシ支持軸62に取り付けられて設けられている。
このようなブラシ部材60は、ブラシ支持軸62の両端部がデッキ用支持部材44に形成された長孔443bに挿入されることで、該デッキ用支持部材44間に架設されている。長孔443bは、デッキ用支持部材44の内壁部443の前端部において、支持溝443aの前方側に形成されている。この長孔443bは、前後方向に沿って延在する第1長孔部443b1と、この第1長孔部443b1の後端より後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する第2長孔部443b2と、この第1長孔部443b1の前端より前方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する第3長孔部443b3とが連続して形成されて構成されている。また、ブラシ部材60のブラシ本体61は、ブラシ支持軸62が第1長孔部443b1に挿入されている場合に、水平姿勢にあるフィルタ部材50のフィルタ本体52の表面に接するのに十分な長さが確保されている。
かかるブラシ部材60は、デッキ用支持部材44に架設されていることにより、デッキ40′がスライド移動する際にスライド移動するものである。ところで、ケース本体1における前面開口1cの下縁部におけるブラシ側壁部63の前方部分にはブラシストッパ部65が設けられている。
以上のような構成を有するデッキ40′においては、収納位置に配置される場合、図29に示すように、フィルタ部材50は、前端部の前端縁がケース本体1の前面開口1cの下縁部に載置されることにより、後端部が上下方向に沿って延在し、前端部が前後方向に沿って延在する水平姿勢となっている。この場合、フィルタ部材50は、デッキ40′の前端開口40aと通風ダクト3との間に介在し、前端開口40a(実際にはリターングリル46の小孔)より吸い込まれる収納室4の内部空気に含まれる塵埃物を除去することができる。
そして、デッキ40′に対する商品補充を行うために、該デッキ40′が前方に向けてスライド移動する場合、フィルタ部材50及びブラシ部材60も該デッキ40′とともに前方に向けてスライド移動する。この際、フィルタ部材50の前端部は一部がケース本体1の前面開口1cの下縁部に載置された状態で移動するので、フィルタ部材50は水平姿勢が維持されている。
その後、図30に示すように、ブラシ部材60のブラシ側壁部63がブラシストッパ部65に当接すると、ブラシ部材60のスライド移動は規制される。つまり、ブラシ部材60は、ブラシ支持軸62の両端部が、デッキ40′のスライド移動に応じて長孔443bの第1長孔部443b1を相対的に後方に向けて移動することとなり、ブラシ本体61が水平姿勢に維持されているフィルタ部材50のフィルタ本体52の表面を摺接する。これによりフィルタ本体52に付着する塵埃物を掻き取ることができる。
デッキ40′の前方へのスライド移動が継続されると、ブラシ部材60は、図31に示すように、ブラシ支持軸62の両端部が第1長孔部443b1から第2長孔部443b2を相対的に移動し、持ち上げられたような姿勢となる。これにより、デッキ40′とともにスライド移動するフィルタ部材50が水平姿勢のままブラシ部材60を乗り越えることができる。
その後、デッキ40′とともに前方にスライド移動するフィルタ部材50のフィルタ支持軸53がケース本体1の前面開口1cの下縁部より前方側に位置すると、フィルタ部材50は、デッキ40′のスライド移動に応じて下方に揺動する。
図32に示すように、デッキ40′が補充位置に配置される場合、フィルタ部材50は、下方に揺動して前端部がケース本体1の下方前面1bの所定部分に当接する。
上記デッキ40′を有するショーケースによれば、フィルタ部材50がデッキ40′とともに前方にスライド移動し、しかもブラシ部材60がフィルタ本体52の表面に摺接して塵埃物を掻き取るので、デッキ40′が補充位置に配置される場合にフィルタ部材50が下方に揺動することで、フィルタ本体52に付着した塵埃物を下方に落下させて塵埃物を容易に取り除くことができる。従って、フィルタ部材50の清掃を容易なものとすることができる。
図33は、図21〜図24に示したデッキの他の変形例を示す断面側面図である。尚、上述した図21〜図24に示したデッキ40と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
ここで例示するデッキ40”は、姿勢調整部材70を備えて構成されている。姿勢調整部材70は、図34に示すように、左右一対となる態様で設けられている。これら姿勢調整部材70は、姿勢調整底壁部71と姿勢調整前壁部72とが一体に成形されて構成されている。
姿勢調整底壁部71は、平板状部分であり、前後方向が長手方向となる姿勢調整長孔71aが形成されている。この姿勢調整長孔71aの長手方向の長さは、デッキ40”が収納位置から補充位置までスライド移動する長さよりも短いものである。姿勢調整長孔71aには、ケース本体1に配設された例えば段付きネジ等の突起体9が下方から挿通している。これにより、姿勢調整部材70は、突起体9が姿勢調整長孔71aを相対的に変位することで前後方向にスライド移動可能である。
姿勢調整前壁部72は、姿勢調整底壁部71の前端より上方に略直角に屈曲されて形成されている。この姿勢調整前壁部72の後面には磁石72aが取り付けられている。
以上のような構成を有するデッキ40”においては、収納位置に配置される場合、図35に示すように、フィルタ部材50は、前端部の前端縁がケース本体1の前面開口1cの下縁部に載置されることにより、後端部が上下方向に沿って延在し、前端部が前後方向に沿って延在する水平姿勢となっている。また、姿勢調整部材70は、突起体9が姿勢調整長孔71aの前端部を挿通することで最も後方の位置に配置されており、姿勢調整前壁部72が磁力によりフィルタ部材50のフィルタフレーム51(第1フレーム体51a)に磁力により連結してフィルタ部材50を水平姿勢に維持している。この場合、フィルタ部材50は、デッキ40”の前端開口40aと通風ダクト3との間に介在し、前端開口40a(実際にはリターングリル46の小孔)より吸い込まれる収納室4の内部空気に含まれる塵埃物を除去することができる。
そして、デッキ40”に対する商品補充を行うために、該デッキ40”が前方に向けてスライド移動する場合、図36に示すように、フィルタ部材50及び姿勢調整部材70も該デッキ40”とともに前方に向けてスライド移動する。この際、姿勢調整部材70の姿勢調整前壁部72がフィルタ部材50のフィルタフレーム51に磁力により連結しているので、フィルタ部材50は水平姿勢が維持されている。
その後、突起体9が姿勢調整長孔71aの後端部まで相対的に移動することにより、姿勢調整部材70が最も前方の位置に配置されると、スライド移動するデッキ40”は、補充位置に近接する切替位置に達する。そして、デッキ40”が切替位置から前方にスライド移動すると、図37に示すように、姿勢調整部材70とフィルタ部材50との磁力による連結が解除されて姿勢調整部材70がフィルタ部材50より離脱する。この場合、フィルタ部材50は、フィルタ支持軸53がケース本体1の前面開口1cの下縁部より前方側に位置する。
そして、図38に示すように、フィルタ部材50が下方に揺動して前端部がケース本体1の下方前面1bの所定部分に当接する。
上記デッキ40”を有するショーケースによれば、フィルタ部材50がデッキ40”とともに前方にスライド移動し、しかも姿勢調整部材70がフィルタ部材50を水平姿勢に維持し、デッキ40”が切替位置に配置される場合にフィルタ部材50を下方に揺動させてケース本体1の下方前面1bの所定個所に当接させるので、フィルタ本体52に付着した塵埃物を下方に落下させて塵埃物を容易に取り除くことができる。従って、フィルタ部材50の清掃を容易なものとすることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態並びに変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
上述した実施の形態では、棚板30を補充位置に配置させた後に、レバー部材233に操作力を付与して該レバー部材233及びアーム部材232を傾斜姿勢にさせ、該レバー部材233に対する操作力を維持した状態で棚板30を収納位置までスライド移動させていたが、レバー部材に操作力を付与した場合に該レバー部材を傾斜姿勢に維持する部材を設けてもよい。
すなわち、レバー基部233aの前端部の上端にマグネット部材MGTを設けておき、棚板30を補充位置に配置させた状態でレバー部材233に操作力を付与することにより、図39に示すように、レバー基部233aの前端部の上端のマグネット部材MGTが棚板30に磁力により当接するまで該レバー部材233を揺動させることで、レバー部材233を揺動した姿勢に維持することができる。これにより、アーム部材232を傾斜姿勢に保持することができる。尚、ここでは、レバー基部233aの前端部の上端に設けたマグネット部材MGTを姿勢保持部材の一例として説明したが、本発明においては、姿勢保持部材は、磁力により保持するものだけに限られず、棚板の前端部に設けられていてもよい。
また上述した実施の形態では、アーム部材232及びレバー部材233は、常態においては水平姿勢となるものであったが、アーム部材及びレバー部材は、常態においては傾斜姿勢となるものであってもよい。
上述した実施の形態では、ブラケット部材21に設けられた突片211cは、切り起こし状に形成されたものであって、前方から後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する態様で形成されていたが、突部は、ブラケット部材から外側に突出する突起や、ブラケット部材の外側に設けられたベアリング等により構成されてもよい。
上述した実施の形態では、デッキ40に設けられたフィルタ部材50は、上下に揺動するものであったが、フィルタ部材は揺動しないものであってもよい。
上述した実施の形態では、差込ガイド26は、前方から後方に向かうに連れて漸次上方に傾斜するものであったが、本発明においては、差込ガイドは、前後方向に沿って同一の高さレベルとなるよう水平に設けられていてもよい。