以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1〜図4に示すように、本実施形態の空気吹出装置1は、車両に搭載され、乗員2の乗降時にドア開口部3、4に対して空気を吹き出すことで、ドア開口部3、4から車室内へ蚊などの異物が侵入することを低減するものである。
図1および図2に示すように、本実施形態の車両は、前座席に対応する前席ドア開口部3の車両前方側の端部に設けられたドアヒンジ100aに回動可能に支持されて前席ドア開口部3を開閉するドア100を備えている。さらに、本車両は、前から2列目の座席に対応する後席ドア開口部4より車両後方側に移動可能に設けられ後席ドア開口部4を開閉するドア110を備えている。
ドア100のドアヒンジ100a側の端部とは反対側の端部がドアヒンジ100aを中心として車幅方向に移動することにより前席ドア開口部3が開いた状態となる。また、ドア110が後席ドア開口部4より車両後方側に移動することにより後席ドア開口部4が開いた状態となる。
本車両は、Aピラー5、Bピラー6、およびCピラー7を有している。Aピラー5は、前座席に対応する前席ドア開口部3の前側に位置する車体の柱である。Bピラー6は、前から2列目の座席に対応する後席ドア開口部4と前席ドア開口部3との間に位置し、ルーフとロッカーパネルとを接続する車体の柱である。Cピラー7は、後席ドア開口部4の後側に位置し、ルーフとロッカーパネルとを接続する車体の柱である。なお、この車両には、インストルメントパネルの内側にフロントエアコンユニット80が搭載されている。
図1〜図4に示すように、空気吹出装置1は、送風機10、ダクト20、風路切替機構30、複数の吹出ノズル40、および制御装置50などを備えている。なお、図4は、本実施形態の空気吹出装置1の斜視図であるが、Aピラー5、Bピラー6、Cピラー7などの車体の図示を省略している。
送風機10は、シロッコファンまたはターボファンなどの遠心ファンと、その遠心ファンを駆動する電動機などにより構成される遠心送風機である。送風機10は、図1および図2の矢印A1に示すように、車室内から空気を吸い込む。そして、送風機10は、その吸入した空気をダクト20を介して、複数の吹出ノズル40に供給するものである。遠心送風機10は、送風される空気が動圧よりも静圧が大きいので、圧力損失が比較的大きい回路において、複数の吹出ノズル40から吹き出される空気の風速および風量を増大することに適している。
送風機10は、車幅方向左右のBピラー6を跨ぐように設けられる天井リーンフォースメントに備え付けられている。図2および図4に示すように、送風機10は、車両の天井のうち、車両の座席に着座した乗員2の頭部の上部を避けた位置に設けられている。また、送風機10は、車両の天井のうち、車幅方向における中央部に設けられている。
ダクト20は、送風機10から複数の吹出ノズル40へ空気を送風するための風路形成部材である。ダクト20の内側に形成される風路には、送風機10から送風される空気が流れる。図4に示すように、ダクト20は、車両の天井に設けられる天井ダクト21、Bピラー6およびCピラー7に沿って設けられる2本の支柱ダクト22、23、および、2本の支柱ダクト22、23の上部同士を連通する連通ダクト24を有している。なお、以下の説明では、Bピラー6に沿って設けられる支柱ダクト22をBピラーダクト22と呼び、Cピラー7に沿って設けられる支柱ダクト23をCピラーダクト23と呼ぶことがある。
天井ダクト21は、車両のルーフライニングの内側に隠れ、乗員2から見えないように設けられている。2本の支柱ダクト22、23は、車両上下方向に亘ってBピラー6とCピラー7にインテグレートされた状態で設けられている。
図3に示すように、車体の柱であるBピラー6は、外フレーム61と内フレーム62とが溶接により接合されて構成される。Bピラー6の車室内側に内装材63が設けられる。ダクト20のうちBピラー6の車室内側に設けられる部位は、内装材63の車室内側の面に固定され、車両上下方向に亘って延びている。ダクト20の車室内側の外壁は、インテリア意匠面を形成している。
図1および図4および図5に示すように、支柱ダクト22、23には、複数の吹出ノズル40が設けられている。複数の吹出ノズル40は、スリット状または円形ノズルなど、種々の形状のノズルを採用可能である。複数の吹出ノズル40は、支柱ダクト22、23を流れる空気を、前席ドア開口部3または後席ドア開口部4の外側へ所定の角度で吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させるものである。
複数の吹出ノズル40のうち、Bピラーダクト22の車両前方側に、上下方向に多連または間欠的に並べて設けられている複数の吹出ノズル40を、前席側吹出ノズル群41と呼ぶこととする。
前席側吹出ノズル群41は、前席ドア開口部3の車両後方側の端部に配置され、ドア100が前席ドア開口部3を開いたときに、Bピラーダクト22を流れる空気を、前席ドア100のドアヒンジ100a側とは反対側の端部に向けて吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる。前席側吹出ノズル群41は、前席ドア開口部3の外側へ所定の角度で空気を吹き出すことが可能である。なお、前席側吹出ノズル群41から吹き出される空気は、略水平方向に流れる。
複数の吹出ノズル40のうち、Bピラーダクト22の車両後方側と、Cピラーダクト23の車両前方側に、上下方向に多連または間欠的に並べて設けられている複数の吹出ノズル40を、後席側吹出ノズル群42と呼ぶこととする。
後席側吹出ノズル群42は、後席ドア開口部4の車両前方側と車両後方側の両端部に配置され、後席ドア110が後席ドア開口部4を開いたときに、Bピラーダクト22およびCピラーダクト23を流れる空気を、後席ドア開口部4の外側で互いに衝突し合う向きに吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる。後席側吹出ノズル群42は、後席ドア開口部4の外側へ所定の角度で空気を吹き出すことが可能である。なお、後席側吹出ノズル群42から吹き出される空気は、略水平方向に流れる。
図5は、送風機10と、車両右側のダクト20を示したものである。ダクト20の内側には、送風機10と複数の吹出ノズル40とを連通する外部吹出風路70が形成されている。詳細には、外部吹出風路70は、送風機10と前席側吹出ノズル群41とを連通する前席ドア側風路71、および、送風機10と後席側吹出ノズル群42とを連通する後席ドア側風路72を有している。後席ドア側風路72は、Bピラーダクト22のうち車両後側の部位と、Cピラーダクト23に形成される。
図5に示すように、ダクト20の内側には、風路の切り替えを行うための風路切替機構30が設けられている。風路切替機構30は、ダクト20の内側で回動可能に設けられた風路切替ドア31と、その風路切替ドア31を駆動するためのアクチュエータとを備えている。なお、図5では、ダクト20の外側に配置されるアクチュエータを、破線の四角形で示している。本実施形態の風路切替機構30は、送風機10から外部吹出風路70またはサーキュレータ風路73へ通じる風路の切り替えを行うことが可能である。また、風路切替機構30は、送風機10から前席ドア側風路71または後席ドア側風路72へ通じる風路の切り替えを行うことが可能である。なお、図5では、風路切替機構30は、送風機10と車両右側の後席ドア側風路72とを連通し、送風機10と前席ドア側風路71とを遮断している。これにより、矢印AF5に示すように、送風機10から送風される空気は、車両右側の後席ドア側風路72に流れる。
図1および図2に示すように、後席側吹出ノズル群42は、後席ドア開口部4に設けられたスライドドア110が車両後方にスライドして開いたときに、矢印AF2、AF3に示すように空気流を吹き出す。このとき、後席側吹出ノズル群42は、例えば、Bピラー6に沿って設けられた後席側吹出ノズル群42から吹き出された空気流と、Cピラー7に沿って設けられた後席側吹出ノズル群42から吹き出された空気流とが、車外で互いにぶつかるように空気流を吹き出す。これにより、後席ドア開口部4から蚊等の異物が車室内に侵入することが防がれる。
また、図1および図2に示すように、例えば、前席側吹出ノズル群41は、前席ドア開口部3に設けられた前席ドア100が所定角度で開いたとき、前席ドア100のドアヒンジ100aとは反対側のドア端部に向けて、矢印AF1に示すように空気流を吹き出す。これにより、前席ドア開口部3から蚊等の異物が車室内に侵入することが防がれる。
制御装置50は、制御処理や演算処理を行うプロセッサ、プログラムやデータ等を記憶するROM、RAM等の記憶部を含むマイクロコンピュータ、およびその周辺回路で構成されている。なお、制御装置50の記憶部は、非遷移的実体的記憶媒体で構成されている。制御装置50は、記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、各種制御処理および演算処理を行い、出力ポートに接続された各機器の作動を制御する。
図6に示すように、制御装置50は、エンジン制御装置51やバッテリ制御装置52などとCAN(Controller Area Network)等を通じて接続されている。制御装置50には、車速情報やバッテリ電圧に関する情報などが入力される。また、制御装置50には、車両の各ドアの開口部に設けられたドア開閉検出装置53から伝送されるドア開閉に関する信号が入力される。制御装置50は、それらの信号に基づき、送風機10、風路切替機構30、およびフロントエアコンユニット80などの作動を制御することが可能である。
次に、空気吹出装置1が備える制御装置50が行う制御処理について、図7のフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップS10で制御装置50は、ドア開閉検出装置53から伝送される信号に基づき、車両に設けられた複数のドアのうち、どの位置のドアが開いたか否かを判定する。制御装置50は、車両のいずれかのドアが開いたことを検出すると、処理をステップS20に移行する。
ステップS20で制御装置50は、ドアが開いたドア開口部3、4に対応するダクト20の内側の風路に対し、送風機10から送風される空気が流れるように風路切替機構30を作動させる。
続いて、ステップS30で制御装置50は、送風機10を作動させる。これにより、送風機10からドアが開いたドア開口部3、4に対応するダクト20の内側の風路に空気が流れ、そのダクト20に設けられた吹出ノズル40から空気が吹き出される。
具体的に、図1、図2は、送風機10から車両右側の前席ドア側風路71に空気が流れ、車両右側の前席側吹出ノズル群41から空気が吹き出されている状態と、送風機10から車両右側の後席ドア側風路72に空気が流れ、車両右側の後席側吹出ノズル群42から空気が吹き出されている状態を示している。
ところで、送風機10が車室内の空気を吸入しダクト20を介して吹出ノズル40から車外に空気が吹き出されると、車室内が負圧になり、吹出ノズル40から吹き出された空気が再び車室内に吸い込まれるといった循環流が生じることが考えられる。そして、その循環流とともに車室内に蚊等の異物が入るおそれがある。車室内が負圧になることを防ぐためには、前席ドア開口部3および後席ドア開口部4とは別に、外気を車室内に導入するための吸気経路82を設ければよい。本実施形態では、フロントエアコンユニット80が有する外気吸込み口81を、その吸気経路82の外気導入口として使用するものである。
そのため、本実施形態では、図7のステップS30に続くステップS40で制御装置50は、フロントエアコンユニット80を外気モードで作動させる。このとき、制御装置50は、フロントエアコンユニット80により車外から車室内に送風される風量が、送風機10により車室内から車外に吹き出される風量より大きくなるように、それぞれの送風機の駆動を制御する。これにより、送風機10が作動して車室内の空気が吹出ノズル40から車外に吹き出されても、車室内が負圧になることが防がれる。したがって、吹出ノズル40から吹き出された空気が再び車室内に吸い込まれることが防がれるので、蚊等の異物が車室内に侵入することを防ぐことができる。なお、一般に、フロントエアコンユニット80の外気吸込み口81にはフィルタが設けられているので、フロントエアコンユニット80から蚊等の異物が車室内に侵入することは防がれる。
次に、ステップS50で制御装置50は、ドア開閉検出装置53から伝送される信号に基づき、開放されていたドアが閉じたか否かを判定する。制御装置50は、車両の全てのドアが閉じたことを検出すると、処理をステップS60に移行する。
続いて、ステップS60で制御装置50は、フロントエアコンユニットスイッチがオフになっているか否かを判定する。制御装置50は、フロントエアコンユニットスイッチがオンになっていると判定すると、処理をステップS80に移行し、フロントエアコンユニット80の動作を継続する。
一方、ステップS60で制御装置50は、フロントエアコンユニットスイッチがオフになっていると判定すると、処理をステップS70に移行し、フロントエアコンユニット80の作動を停止させる。
以上説明した本実施形態の空気吹出装置1は、座席に対応するドア開口部3、4の車両前後方向前側の端部に設けられたドアヒンジ100aに回動可能に支持されてドア開口部を開閉するドア100を備えた車両に搭載された空気吹出装置であって、空気を送風する送風機10と、送風機から送風される空気が流れるダクト20と、を備えている。さらに、ドア開口部3、4の車両前後方向後側の端部に配置され、ドアがドア開口部を開いたときに、ダクトを流れる空気を、ドアのドアヒンジ側とは反対側の端部に向けて吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる吹出ノズル40と、を備えている。
このような構成によれば、ドアがドア開口部を開いたときに、ドア開口部3、4の車両前後方向前側の端部に配置された吹出ノズルにより、ダクトを流れる空気が、ドアのドアヒンジ側とは反対側の端部に向けて吹き出され、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生するので、より快適にドア開口部から車室内への異物の侵入を防止することができる。
また、座席に対応するドア開口部3、4より車両前後方向後側に移動可能に設けられ、ドア開口部を開閉するドア110を備えた車両に搭載された空気吹出装置であって、空気を送風する送風機10と、送風機から送風される空気が流れるダクト20と、ドア開口部の車両前方側と車両後方側の両端部に配置され、ドアがドア開口部を開いたときに、ダクトを流れる空気を、ドア開口部の外側で互いに衝突し合う向きに吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる吹出ノズル40と、を備えている。
このような構成によれば、ドアがドア開口部を開いたときに、ドア開口部の車両前方側と車両後方側の両端部に配置された吹出ノズルにより、ダクトを流れる空気が、ドア開口部の外側で互いに衝突し合う向きに吹き出され、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生するので、より快適にドア開口部から車室内への異物の侵入を防止することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る空気吹出装置1について図4〜図5、図7〜図9を用いて説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して空気吹出装置1の制御方法の一部を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図7を参照して、本実施形態の制御装置50が行う制御処理について説明する。ステップS30〜S80の処理は、第1実施形態で説明した処理と同一である。
ステップS10で制御装置50は、ドア開閉検出装置53から伝送される信号に基づき、車両に設けられた複数のドアのうち、どの位置のドアが開いたか否かを判定する。ただし、本実施形態では、ドア開閉検出装置53から伝送される信号に基づき、車両に設けられた運転席側と助手席側の各前席ドア100のいずれかが開いたか否かを判定する。制御装置50は、車両の各前席ドア100のいずれかが開いたことを検出すると、処理をステップS20に移行する。
次に、ステップS20で制御装置50は、前席ドア100が開いた前席ドア開口部3に対応するダクト20の内側の風路に対し、送風機10から送風される空気が流れるように風路切替機構30を作動させる。具体的には、送風機10と前席ドア側風路71とを連通し、送風機10と車両の後席ドア側風路72とを遮断するよう風路切替機構30を制御する。
次に、S30で制御装置50は、送風機10を作動させる。これにより、送風機10から前席ドア100が開いた前席ドア開口部3に対応するBピラーダクト22に形成された前席側吹出ノズル群41に空気が流れる。
そして、開いた前席ドア100が設けられた前席ドア開口部3側の前席側吹出ノズル群41から、開いた前席ドア100のドアヒンジ100aとは反対側のドア端部に向けて、図8〜図9の矢印AF2に示すように空気流が吹き出される。これにより、前席ドア開口部3から蚊等の異物が車室内に侵入することが防がれる。
続くステップS40〜S80までの処理は、第2実施形態で説明した処理と同一である。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態では、送風機10から後席ドア側風路72に空気が流れることはなく、後席側吹出ノズル群42から空気が吹き出されない。したがって、Bピラーダクト22とCピラーダクト23の上部同士を連通する連通ダクト24およびCピラーダクト23を省略することもできる。さらに、Cピラーダクト23に形成された後席側吹出ノズル群42を省略することもできる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る空気吹出装置1について図4〜図5、図7、図10〜図11を用いて説明する。第3実施形態は、第1実施形態に対して空気吹出装置1の制御方法の一部を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図7を参照して、本実施形態の制御装置50が行う制御処理について説明する。ステップS30〜S80の処理は、第1実施形態で説明した処理と同一である。
ステップS10で制御装置50は、ドア開閉検出装置53から伝送される信号に基づき、車両に設けられた複数のドアのうち、どの位置のドアが開いたか否かを判定する。ただし、本実施形態では、ドア開閉検出装置53から伝送される信号に基づき、車両に設けられた運転席側と助手席側の後席ドア110のいずれかが開いたか否かを判定する。制御装置50は、車両の各後席ドア110のいずれかが開いたことを検出すると、処理をステップS20に移行する。
次に、ステップS20で制御装置50は、後席ドア110が開いた後席ドア開口部4に対応するダクト20の内側の風路に対し、送風機10から送風される空気が流れるように風路切替機構30を作動させる。具体的には、送風機10と車両の後席ドア側風路72とを連通し、送風機10と前席ドア側風路71とを遮断するよう風路切替機構30を制御する。
次に、S30で制御装置50は、送風機10を作動させる。これにより、送風機10から後席ドア110が開いた後席ドア開口部4に対応するBピラーダクト22およびCピラーダクト23に形成された後席側吹出ノズル群42に空気が流れる。
そして、後席側吹出ノズル群42から、図10〜図11の矢印AF2、AF3に示すように、開いた後席ドア110の後席ドア開口部4の外側で互いに衝突し合う向きに空気流が吹き出される。これにより、後席ドア開口部4から蚊等の異物が車室内に侵入することが防がれる。
続くステップS40〜S80までの処理は、第2実施形態で説明した処理と同一である。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態では、送風機10から前席ドア側風路71に空気が流れることはなく、前席側吹出ノズル群41から空気が吹き出されない。したがって、Bピラーダクト22に形成された前席側吹出ノズル群41を省略することもできる。
(第4実施形態)
第4実施形態に係る空気吹出装置1について図4〜図5、図12〜図13を用いて説明する。第4実施形態の車両の後席ドア100は、スライドドアではなく、前席ドア100と同様に、ドアヒンジ100aに回動可能に支持されて後席ドア開口部4を開閉するドアヒンジ式のドア100となっている。
本実施形態の車両では、ドアヒンジ100aを中心として後席ドア100のドアヒンジ100a側の端部とは反対側の端部が車幅方向に移動することにより後席ドア開口部4が開いた状態となる。
また、本実施形態の後席側吹出ノズル群42は、後席ドア開口部4の車両前方側と車両後方側の両方の端部ではなく、後席ドア開口部4の車両前方側の端部に配置され、後席ドア100が後席ドア開口部4を開いたときに、Bピラーダクト22を流れる空気を、後席ドア100のドアヒンジ100a側とは反対側の端部に向けて吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる。後席側吹出ノズル群42は、後席ドア開口部4の外側へ所定の角度で空気を吹き出すことが可能である。なお、後席側吹出ノズル群42から吹き出される空気は、略水平方向に流れる。
本実施形態の制御装置50は、車両の各後席ドア100のいずれかが開いたことを検出すると、Bピラーダクト22の後席ドア側風路72に対し、送風機10から送風される空気が流れるように風路切替機構30を作動させる。具体的には、送風機10とBピラーダクト22に形成された後席ドア側風路72とを連通し、送風機10とBピラーダクト22に形成された前席ドア側風路71とを遮断し、送風機10とCピラーダクト23に形成された後席ドア側風路72とを遮断するよう風路切替機構30を制御する。
これにより、図12〜図13のAF3に示すように、車両の各後席ドア100のいずれかが開いたときに、開いたドア100に対応する後席ドア開口部4の車両後方側の端部に配置された後席側吹出ノズル群42から、開いた後席ドア100のドアヒンジ100a側とは反対側の端部に向けて空気が吹き出される。これにより、後席ドア開口部4から蚊等の異物が車室内に侵入することが防がれる。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
(第5実施形態)
第5実施形態に係る空気吹出装置1について図4〜図5、図14〜図15を用いて説明する。第5実施形態の車両の後席ドア110は、後席ドア開口部4から車両後方にスライドして後席ドア開口部4を開閉するスライドドアとなっている。
また、本実施形態の後席側吹出ノズル群42は、後席ドア開口部4の車両前方側と車両後方側の両方の端部に配置されるのではなく、後席ドア開口部4の車両前方側の端部に配置される。そして、後席ドア110が後席ドア開口部4を開いたときに、Bピラーダクト22を流れる空気を、後席ドア110の車両前方側の端部に向けて吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる。後席側吹出ノズル群42は、後席ドア開口部4の外側へ所定の角度で空気を吹き出すことが可能である。なお、後席側吹出ノズル群42から吹き出される空気は、略水平方向に流れる。
本実施形態の制御装置50は、車両の各後席ドア100のいずれかが開いたことを検出すると、開いた後席ドア100に対応するBピラーダクト22の後席ドア側風路72に対し、送風機10から送風される空気が流れるように風路切替機構30を作動させる。具体的には、送風機10とBピラーダクト22に形成された後席ドア側風路72とを連通し、送風機10とBピラーダクト22に形成された前席ドア側風路71とを遮断し、送風機10とCピラーダクト23に形成された後席ドア側風路72とを遮断するよう風路切替機構30を制御する。
これにより、図14〜図15のAF2に示すように、開いたドア100に対応する後席ドア開口部4の車両前方側の端部に配置された後席側吹出ノズル群42から、後席ドア110の車両前方側の端部に向けて空気が吹き出される。これにより、後席ドア開口部4から蚊等の異物が車室内に侵入することが防がれる。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
(第6実施形態)
第6実施形態に係る空気吹出装置1について図16〜図18を用いて説明する。第6実施形態の空気吹出装置1は、車両の後部に形成された後部ドア開口部8に設けられた後部ドア120が開いたときに、後部ドア開口部8の外側に車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる。
本実施形態の車両は、Aピラー5、Bピラー6、Cピラー7に加え、Dピラー7aを有している。Dピラー7aは、Cピラー7より車両の後側に位置し、ルーフとロッカーパネルとを接続する車体の柱である。Dピラー7aより車両後方に後部ドア開口部8が形成されている。
また、本実施形態の車両は、車両の後部に形成された後部ドア開口部8の上端部に設けられたドアヒンジ120aに回動可能に支持されて後部ドア開口部8を開閉する後部ドア120を備えている。また、車両には、後部ドア120の開閉に関する信号を伝送するドア開閉検出装置53が設けられている。
なお、図18に示すように、本実施形態の空気吹出装置1は、Cピラーダクト23に代えて、Dピラー7aに沿って配置された後部ダクト25を備えている。後部ダクト25は、ドア開口部8の車幅方向の両端部に、それぞれ天井ダクト21、連通ダクト24を介して送風機10と連通するよう配置されている。
各後部ダクト25には、各後部ダクト25の内部を流れる空気を、車両の車幅方向中央側に吹き出す後部吹出ノズル群43が配置されている。後部吹出ノズル群43は、後部ドア開口部8の車幅方向の両端部に配置され、後部ドア120が後部ドア開口部8を開いたときに、後部ダクト25を流れる空気を、AF4に示すように、後部ドア開口部8の外側で互いに衝突し合う向きに吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる。これにより、後席ドア開口部4から蚊等の異物が車室内に侵入することが防がれる。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた実施形態であるが、本実施形態を前述の第1〜第5実施形態のうちの何れかと組み合わせることも可能である。
(第7実施形態)
第7実施形態に係る空気吹出装置1について図19〜図20を用いて説明する。第7実施形態では、第1実施形態に対して空気吹出装置1の構成の一部を変更したものである。
図20(a)に示すように、本実施形態の空気吹出装置1は、Bピラーダクト22のうち上端部側に前席側吹出ノズル群41が形成されておらず、Bピラーダクト22のうち下端部側に前席側吹出ノズル群41が形成されている。
さらに、図20(a)、(b)に示すように、本空気吹出装置1は、Bピラーダクト22の上端部側の車両後方側と、Cピラーダクト23の上端部側の車両前方側にも後席側吹出ノズル群42が形成されておらず、Bピラーダクト22の下端部側の車両後方側と、Cピラーダクト23の下端部側の車両前方側に後席側吹出ノズル群42が形成されている。
つまり、吹出ノズル40は、ドア開口部3、4の下端側に設けられた下側吹出ノズル群41d、42dと、ドア開口部3、4の上端側に設けられた上側吹出ノズル群41u、42uと、を有している。そして、上側吹出ノズル群41u、42uから吹き出される空気の風量は、下側吹出ノズル群41d、42dから吹き出される前記空気の風量よりも少なくなるよう構成されている。
したがって、図19に示すように、前席側吹出ノズル群41から吹き出された空気が、前席シートの乗員の顔にに当たらないようにすることができる。さらに、後席側吹出ノズル群42から吹き出された空気が、前席シートの乗員の顔に当たらないようにすることができる。このように、乗員に不快感を与えないようにすることができる。
例えば、Bピラーダクト22のうち前席シートのヘッドレストの底面よりも低い位置に前席側吹出ノズル群41を形成するのが好ましい。また、Bピラーダクト22およびCピラーダクト23のうち、前席シートのヘッドレストの底面よりも低い位置に後席側吹出ノズル群42を形成するのが好ましい。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた実施形態であるが、本実施形態を前述の第1〜第6実施形態のうちの何れかと組み合わせることも可能である。
(第8実施形態)
第8実施形態に係る空気吹出装置1について図21〜図22を用いて説明する。第8実施形態では、第1実施形態に対して空気吹出装置1の構成の一部を変更したものである。
図22(a)に示すように、本実施形態の空気吹出装置1は、Bピラーダクト22のうち前席ドア開口部3の上端側に設けられた前席上側吹出ノズル群41uと、前席ドア開口部3の下端側に設けられた前席下側吹出ノズル群41dと、を備えている。
前席上側吹出ノズル群41uの口径は、前席下側吹出ノズル群41dの口径よりも小さくなっており、前席上側吹出ノズル群41uから吹き出される空気の風量は、前席下側吹出ノズル群41dから吹き出される空気の風量よりも少なくなるよう構成されている。
また、図22(a)に示すように、本実施形態の空気吹出装置1は、Bピラーダクト22のうち後席ドア開口部4の上端側に設けられた後席上側吹出ノズル群42uと、Bピラーダクト22のうち後席ドア開口部4の下端側に設けられた後席下側吹出ノズル群42dと、を備えている。
さらに、図22(b)に示すように、本実施形態の空気吹出装置1は、Cピラーダクト23のうち後席ドア開口部4の上端側に設けられた後席上側吹出ノズル群42uと、Cピラーダクト23のうち後席ドア開口部4の下端側に設けられた後席下側吹出ノズル群42dと、を備えている。
前席上側吹出ノズル群41uの口径は、前席下側吹出ノズル群41dの口径よりも小さくなっており、図21に示すように、前席上側吹出ノズル群41uから吹き出される空気の風量は、前席下側吹出ノズル群41d吹き出される空気の風量よりも少なくなるよう構成されている。
また、後席上側吹出ノズル群42uの口径は、後席下側吹出ノズル群42dの口径よりも小さくなっており、図21に示すように、後席上側吹出ノズル群42uから吹き出される空気の風量は、後席下側吹出ノズル群42dから吹き出される空気の風量よりも少なくなるよう構成されている。
したがって、後席シートの乗員の顔に多量の空気が当たらないようにすることができ、乗員に不快感を与えないようにすることができる。
例えば、Bピラーダクト22のうち前席シートのヘッドレストの底面よりも高い位置に前席上側吹出ノズル群41uを形成するのが好ましい。また、Bピラーダクト22およびCピラーダクト23のうち、後席シートのヘッドレストの底面よりも高い位置に後席上側吹出ノズル群42uを形成するのが好ましい。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた実施形態であるが、本実施形態を前述の第1〜第6実施形態のうちの何れかと組み合わせることも可能である。
(第9実施形態)
第9実施形態に係る空気吹出装置1について図23〜図24を用いて説明する。第9実施形態は、第1実施形態に対して制御装置50が実施する制御方法の一部を変更したものである。なお、本実施形態のドア開閉検出装置53は、前席ドア100の開度を表すドア開度を検出し、ドア開度を含む信号を制御装置50に伝送する。
図23のフローチャートを参照しつつ、本実施形態の制御装置50が実施する制御処理について説明する。ステップS40〜S80の処理は、第1実施形態で説明した処理と同一である。
ステップS10で制御装置50は、ドア開閉検出装置53から伝送される信号に基づき、車両に設けられた複数のドアのうち、どの位置のドアが開いたか否かを判定する。制御装置50は、車両のいずれかのドアが開いたことを検出すると、処理をステップS20に移行する。
次に、ステップS12で制御装置50は、ドア開閉検出装置53より伝送される信号に基づいて開いたドア100のドア開度を特定する。
ステップS20で制御装置50は、ドアが開いたドア開口部3、4に対応するダクト20の内側の風路に対し、送風機10から送風される空気が流れるように風路切替機構30を作動させる。
続いて、ステップS32で制御装置50は、送風機10を作動させる。これにより、送風機10からドアが開いたドア開口部3、4に対応するダクト20の内側の風路に空気が流れ、そのダクト20に設けられた吹出ノズル40から空気が吹き出される。
本実施形態では、制御装置50は、ステップS12にて特定した開いたドア100のドア開度が大きいほど、ドアが開いたドア開口部3、4に対応するダクト20の内側の風路に大量の空気が流れるよう送風機10を作動させる。すなわち、制御装置50は、開いたドア100のドア開度が小さいほど、ドアが開いたドア開口部3、4に対応するダクト20の内側の風路に少量の空気が流れるよう送風機10を作動させる。
続くステップS40〜S80までの処理は、第2実施形態で説明した処理と同一である。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
また、ドア開度が大きい場合には、ドア開度が小さい場合よりも車室内に異物が侵入する可能性が高くなるが、上述したように、本実施形態の空気吹出装置1は、ステップS32にて、ドア100のドア開度が大きいほど、吹出ノズル40から吹き出される空気の風量を大きくするので、ドア開度が大きい場合でも、車室内への異物の侵入をしっかりと防ぐことができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた実施形態であるが、本実施形態を前述の第1〜第8実施形態のうちの何れかと組み合わせることも可能である。
(第10実施形態)
第10実施形態に係る空気吹出装置1について図25〜図27を用いて説明する。第10実施形態は、第1実施形態に対して制御装置50が実施する制御方法の一部を変更したものである。なお、本実施形態の車両には、各ドア開口部3、4のドア100が各ドア開口部3、4を開いた際に、ドア開口部3、4の車両外側に位置する乗員との距離を検出する距離検出装置54が配置されている。距離検出装置54から制御装置50にドア開口部3、4の車両外側に位置する乗員との距離を示す信号が伝送されるようになっている。
図25のフローチャートを参照しつつ、本実施形態の制御装置50が実施する制御処理について説明する。ステップS40〜S80の処理は、第1実施形態で説明した処理と同一である。
ステップS10で制御装置50は、ドア開閉検出装置53から伝送される信号に基づき、車両に設けられた複数のドアのうち、どの位置のドアが開いたか否かを判定する。
次に、ステップS14で制御装置50は、ドア開閉検出装置53より伝送される信号に基づいて開いたドア100のドア開口部3、4の車両外側に位置する乗員との距離を特定する。具体的には、距離検出装置54から伝送される信号に基づいて制御装置50にドア開口部3、4の車両外側に位置する乗員との距離を特定する。
次に、ステップS20で制御装置50は、ドアが開いたドア開口部3、4に対応するダクト20の内側の風路に対し、送風機10から送風される空気が流れるように風路切替機構30を作動させる。
続いて、ステップS34で制御装置50は、送風機10を作動させる。これにより、送風機10からドアが開いたドア開口部3、4に対応するダクト20の内側の風路に空気が流れ、そのダクト20に設けられた吹出ノズル40から空気が吹き出される。
本実施形態では、制御装置50は、ステップS14にて特定した距離、すなわち、ドア開口部3、4の車両外側に位置する乗員との距離が長いほど、ドアが開いたドア開口部3、4に対応するダクト20の内側の風路に大量の空気が流れるよう送風機10を作動させる。すなわち、制御装置50は、ステップS14にて特定した距離、すなわち、ドア開口部3、4の車両外側に位置する乗員との距離が短いほど、ドアが開いたドア開口部3、4に対応するダクト20の内側の風路に少量の空気が流れるよう送風機10を作動させる。
続くステップS40〜S80までの処理は、第2実施形態で説明した処理と同一である。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
また、上述したように、本実施形態の空気吹出装置1は、ステップS34にて、ドア開口部の外側に存在する物体との距離が長いほど、吹出ノズルから吹き出される空気の風量が多くなるよう制御する。したがって、ドア開口部3、4の近くにいる乗員に向けて大量の空気を送風してしまうといったことがなく、乗員に不快感を与えてしまうことを防止することができる。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた実施形態であるが、本実施形態を前述の第1〜第9実施形態のうちの何れかと組み合わせることも可能である。
(第11実施形態)
第11実施形態に係る空気吹出装置1について図28〜図30を用いて説明する。第11実施形態は、第1実施形態に対して空気吹出装置1の構成の一部を変更したものである。本実施形態では、第1実施形態の空気吹出装置1に対して、さらに、下端部ダクト220と下端吹出ノズル群44を備えている。
下端部ダクト220は、前席ドア開口部3の下端部に配置されている。下端部ダクト220の一端は、Bピラーダクト22に形成された前席ドア側風路71の下端と連結されている。下端部ダクト220には、送風機10から送風され、Bピラーダクト22を通過した空気が流れる。
下端吹出ノズル群44は、前席ドア開口部3の下端部に配置され、前席ドア100が開いたときに、下端部ダクト220を流れる空気を、前席ドア100の下端部に向けて空気を吹き出す。なお、下端吹出ノズル群44は、複数のノズル40の一部である。
本実施形態の制御装置50は、車両の前席ドア100のいずれかが開いたことを検出すると、開いた前席ドア100に対応するBピラーダクト22の前席ドア側風路71および下端部ダクト220に対し、送風機10から送風される空気が流れるように風路切替機構30を作動させる。具体的には、送風機10とBピラーダクト22に形成された後席ドア側風路72とを連通し、送風機10とBピラーダクト22に形成された前席ドア側風路71とを遮断し、送風機10とCピラーダクト23に形成された後席ドア側風路72とを遮断するよう風路切替機構30を制御する。
これにより、送風機10からBピラーダクト22に形成された前席ドア側風路71を通過した空気が下端部ダクト220に流れる。そして、前席ドア開口部3の下端部に配置された下端吹出ノズル群44から前席ドア100の下端部に向けて空気が吹き出される。これにより、前席ドア開口部3の下端部と前席ドア100の下端部との間に形成される空間から蚊等の異物が車室内に侵入することが防がれる。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた実施形態であるが、本実施形態を前述の第1〜第10実施形態のうちの何れかと組み合わせることも可能である。
(第12実施形態)
第12実施形態に係る空気吹出装置1について図31を用いて説明する。第12実施形態は、第4実施形態に対して空気吹出装置1の構成の一部を変更したものである。
図31に示すように、後席ドア100は、車両前後方向の幅が上下方向で大きく異なっている。すなわち、後席ドア開口部4は、車両前後方向の幅が上下方向で大きく異なっている。具体的には、後席ドア開口部4は、上部側に車両前後方向の幅が長い第1部位が設けられ、下部側に車両前後方向の幅が第1部位より短い第2部位が設けられている。
後席ドア開口部4における車両前後方向の幅が第1部位より短い第2部位よりも、後席ドア開口部4における車両前後方向の幅が長い第1部位の方が、蚊等の異物が車室内に侵入しやすい。
そこで、後席側吹出ノズル群42から吹き出される空気の風量を多くすれば、蚊等の異物の車室内への侵入を防ぐことができるが、空気の風量を多くすると、消費電力が多くなったり騒音が大きくなってしまう。
しかし、図31に示すように、本実施形態の空気吹出装置1は、後席ドア開口部4における車両前後方向の幅が長い第1部位に位置する後席側吹出ノズル群42から吹き出される空気の風量は、後席ドア開口部4における車両前後方向の幅が第1部位より短い第2部位に位置する後席側吹出ノズル群42から吹き出される空気の風量よりも多くなっている。具体的には、第1部位に位置する後席側吹出ノズル群42の口径は、第2部位に位置する後席側吹出ノズル群42の口径よりも大きくなっている。
したがって、車両前後方向の幅が上下方向で大きく異なっているドア100を備えた車両であっても、消費電力および騒音を抑えつつ、蚊等の異物の車室内への侵入をよりしっかりと防ぐことができる。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた実施形態であるが、本実施形態を前述の第1〜第11実施形態のうちの何れかと組み合わせることも可能である。
(他の実施形態)
(1)上述した実施形態では、3列シートの車両に搭載される空気吹出装置1について説明したが、空気吹出装置1が搭載される車両はこれに限らない。空気吹出装置1が搭載される車両は、1列シート、2列シートまたは4列以上のシートを有する車両に搭載することも可能である。
(2)上記各実施形態において、座席に対応するドア開口部3、4の車両前方側の端部に設けられたドアヒンジ100aに回動可能に支持されてドア開口部3、4を開閉するドア100を備えた車両に空気吹出装置1を搭載した。
これに対し、座席に対応するドア開口部3、4の車両後方側の端部に設けられたドアヒンジ100aに回動可能に支持されて前席ドア開口部3、4を開閉するドア100を備えた車両に空気吹出装置1を搭載することもできる。
この場合、ドア開口部3、4の車両前後方向前方側の端部に吹出ノズル40を配置し、ドアがドア開口部を開いたときに、ダクト20を流れる空気を、吹出ノズル40からドアのドアヒンジ側とは反対側の端部に向けて吹き出すようにして、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させることができる。
(3)上記各実施形態において、座席に対応するドア開口部4より車両前後方向後方側に移動可能に設けられ、ドア開口部4を開閉するドア110を備えた車両に搭載された空気吹出装置を示した。
これに対し、座席に対応するドア開口部4より車両前後方向前側に移動可能に設けられ、ドア開口部4を開閉するドア110を備えた車両に空気吹出装置を搭載することもできる。
この場合、ドア開口部4の車両前後方向後側の端部に吹出ノズル40を配置し、ドアがドア開口部4を開いたときに、ダクト20を流れる空気を、ドアの車両前後方向前側の端部に向けて吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させることができる。
(4)上記第11実施形態では、送風機10から送風された空気がBピラーダクト22の前席ドア側風路71を通って下端部ダクト220に流れるよう構成したが、送風機10から送風された空気がBピラーダクト22の前席ドア側風路71を通ることなく、直接、下端部ダクト220に流れるよう構成してもよい。
(5)上記第11実施形態では、前席ドア開口部3に下端部ダクト220および下端吹出ノズル群44を設けたが、後席ドア開口部4や後部ドア開口部8に下端部ダクト220および下端吹出ノズル群44を設けることもできる。
(6)上記各実施形態では、1つの送風機10により各吹出ノズル40から吹き出させるよう構成したが、2つ以上の送風機10を備えた構成としてもよい。例えば、車両の右側のドア開口部3、4に設けられた吹出ノズル40に空気を送風する送風機10と、車両の左側のドア開口部3、4に設けられた吹出ノズル40に空気を送風する送風機10を別々の設けるようにしてもよい。また、各吹出ノズル40に対応させて、1つずつ送風機10を備えるようにしてもよい。
(7)上記各実施形態では、車幅方向に延びる天井ダクト21の中央部に送風機10を配置したが、天井ダクト21より車両前方側、あるいは、天井ダクト21より車両後方側に送風機10を配置してもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、座席に対応するドア開口部の車両前後方向一方側の端部に設けられたドアヒンジに回動可能に支持されてドア開口部を開閉するドアを備えた車両に搭載された空気吹出装置であって、空気を送風する送風機と、送風機から送風される空気が流れるダクトと、を備える。さらに、ドア開口部の車両前後方向他方側の端部に配置され、ドアがドア開口部を開いたときに、ダクトを流れる空気を、ドアのドアヒンジ側とは反対側の端部に向けて吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる吹出ノズルを備える。
また、第2の観点によれば、座席に対応するドア開口部より車両前後方向一方側に移動可能に設けられ、ドア開口部を開閉するドアを備えた車両に搭載された空気吹出装置であって、空気を送風する送風機と、送風機から送風される空気が流れるダクトと、を備える。さらに、ドア開口部の車両前方側と車両後方側の両端部に配置され、ドアがドア開口部を開いたときに、ダクトを流れる空気を、ドア開口部の外側で互いに衝突し合う向きに吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる吹出ノズルを備える。
また、第3の観点によれば、座席に対応するドア開口部より車両前後方向一方側に移動可能に設けられ、ドア開口部を開閉するドアを備えた車両に搭載された空気吹出装置であって、空気を送風する送風機と、送風機から送風される空気が流れるダクトと、を備える。さらに、ドア開口部の車両前後方向一方側の端部に配置され、ドアがドア開口部を開いたときに、ダクトを流れる空気を、ドアの車両前後方向他方側の端部に向けて吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる吹出ノズルを備える。
また、第4の観点によれば、車両の後部に形成されたドア開口部の上端部に設けられたドアヒンジに回動可能に支持されてドア開口部を開閉するドアを備えた車両に搭載された空気吹出装置であって、空気を送風する送風機と、送風機から送風される空気が流れるダクトと、を備える。さらに、ドア開口部の車幅方向の両端部に配置され、ドアがドア開口部を開いたときに、ダクトを流れる空気を、ドア開口部の外側で互いに衝突し合う向きに吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる吹出ノズルを備える。
また、第5の観点によれば、吹出ノズルは、ドア開口部の下端側の一部にのみに設けられている。したがって、乗員の顔に空気が当たらないようにすることができ、快適性を確保することができる。
また、第6の観点によれば、吹出ノズルは、ドア開口部の下端側に設けられた下側吹出ノズルと、ドア開口部の上端側に設けられた上側吹出ノズルと、を有し、上側吹出ノズルから吹き出される空気の風量は、下側吹出ノズルから吹き出される空気の風量よりも少ないことである。したがって、乗員の顔に当たる空気の風量が抑えられ、快適性を確保することができる。
また、第7の観点によれば、ドアのドア開度を特定するドア開度特定部と、ドア開度特定部により特定されたドアのドア開度が大きいほど、吹出ノズルから吹き出される空気の風量を大きくする開度風量調整部を備えたことである。
ドア開度が大きい場合には、ドア開度が小さい場合よりも車室内に異物が侵入する可能性が高くなるが、このように、開度風量調整部は、ドアのドア開度が大きいほど、吹出ノズルから吹き出される空気の風量を大きくするので、ドア開度が大きい場合でも、車室内への異物の侵入をしっかりと防ぐことができる。
また、第8の観点によれば、ドア開口部の外側に存在する物体との距離を特定する距離特定部と、距離特定部により特定された物体との距離が長いほど、吹出ノズルから吹き出される空気の風量が多くなるよう制御する距離風量調整部と、を備えたことである。
したがって、近くの乗員に向けて大量の空気が送風されることが防止され、乗員に不快感を与えないようにすることが可能である。
また、第9の観点によれば、ドア開口部の下端部に配置され、ドアがドア開口部を開いたときに、ダクトを流れる空気を、ドアの下端部に向けて吹き出し、車室内への異物の侵入を防ぐ空気流を発生させる下端吹出ノズルと、を備えたことである。
したがって、ドアがドア開口部を開いたときに、ドア開口部の下端部とドアの下端部の間に形成される空間から車室内へ異物が侵入するのを防止することができる。
また、第10の観点によれば、ドア開口部は、車両前後方向の幅が上下方向で異なっており、ドア開口部における車両前後方向の幅が長い第1部位に位置する吹出ノズルから吹き出される空気の風量は、ドア開口部における車両前後方向の幅が第1部位より短い第2部位に位置する吹出ノズルから吹き出される空気の風量よりも多くなっている。
したがって、ドア開口部が、車両前後方向の幅が上下方向で異なる車両であっても、異物の車室内への侵入をしっかりと防ぐことができる。
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S12の処理がドア開度特定部に相当し、S32の処理が開度風量調整部に相当し、S14の処理が距離特定部に相当し、S34の処理が距離風量調整部に相当する。