<第1実施形態>
[偏光板]
以下、第1実施形態の偏光板について、図1に基づき説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
図1は、第1実施形態の偏光板の層構成の一例を示す断面模式図である。図1に示すように、本実施形態の偏光板1は、保護層11と、偏光子層12と、樹脂層13と、第1の粘着剤層14と、第2の粘着剤層15と、位相差層16と、配向層19と、を含む。図1に示すように、偏光板1は、偏光子層12の一面12aにのみ保護層11(保護フィルム)を備える層構成である。偏光板の中でも、特に、偏光子層の片面のみに保護フィルムを有する偏光板は、偏光度が低下しやすいので、本発明の効果は顕著である。
本明細書において「偏光子層」とは、無偏光の光を入射させたとき、吸収軸に直交する振動面をもつ直線偏光を透過させる性質を有する光学層のことである。
偏光子層12の他面12b側には、位相差層16が配置されている。
偏光子層12と、位相差層16との間には、樹脂層13が配置されている。樹脂層13は、一面13aで偏光子層12と接している。
第1の粘着剤層14は、樹脂層13と位相差層16との間に配置され、樹脂層13と位相差層16とを粘着する。
配向層19は、位相差層16を基準に樹脂層13とは反対側に配置され、位相差層16の面16bに接している。
第2の粘着剤層15は、配向層19を基準に位相差層16側とは反対側に配置され、配向層19の面(他面)19bに接している。後述する有機EL表示装置に偏光板1を適用する際に、偏光板1は、第2の粘着剤層15を介して、表示パネルに粘着される。
偏光子層12の一面12a側は、後述する有機EL表示装置に偏光板1を適用する際の視認側となる面である。偏光子層12の一面12a側には、保護層11が配置されている。保護層11と、偏光子層12と、は接着剤(図示略)を介して接着されている。
偏光板1は、長尺状であってもよく、長尺状の偏光板を所定の長さに切断することにより得られる枚葉体であってもよい。長尺状の偏光板は、長尺状の保護層と、長尺状の偏光子層と長尺状の樹脂層と、を含む。
以下、第1実施形態の偏光板1を構成する各層について詳細に説明する。
(偏光子層)
偏光子層12としては、任意の適切な偏光子層が採用され得る。例えば、偏光子層12を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層フィルムであってもよい。偏光子層12は、重合性液晶化合物に二色性色素を配向させ、重合性液晶化合物を重合させた硬化膜であってもよい。
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子層12の具体的な例としては、親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質による染色処理、および延伸処理が施されたフィルム、ポリエン系配向フィルムなどが挙げられる。
親水性高分子フィルムとしては、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略すこともある。)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどが挙げられる。
ポリエン系配向フィルムとしては、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などが挙げられる。
偏光子層12としては、光学特性に優れることから、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られたフィルムを用いることが好ましい。
偏光子層中のヨウ素は、ヨウ素錯体として存在し、PVA系樹脂の配向に依存して、ヨウ素錯体自身も配向している。このヨウ素錯体が、可視領域の光を吸収することで、偏光子層は偏光特性(偏光度)を示すことが知られている。
PVA系樹脂のケン化度は、85〜100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上であるPVA系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用可能である。PVA樹脂の重合度は、1000〜10000程度であり、好ましくは1500〜5000程度である。
偏光子層12の厚さは、2μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。また、偏光子層12の厚さは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることがさらに好ましい。なお、上述した上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
偏光子層12の厚さが薄くなると高温、高湿の環境下において偏光子層12端部のヨウ素が抜けやすくなる。そのため、偏光子層12の厚さは5μm以上であることが好ましい。また、偏光子層12の厚さが厚い場合には、冷熱交換試験において偏光子層12のわれが発生しやすくなる。そのため、偏光子層の厚さは15μm以下であることが好ましい。
本明細書において「層の厚さ」は、偏光板における層の積層方向の寸法を意味する。本実施形態における「層」としては、例えば、保護層、偏光子層、樹脂層、第1の粘着剤層、位相差層、第2の粘着剤層などが挙げられる。
層の厚さは、例えば、白色干渉式の非接触膜厚計を用いたり、接触式の膜厚計を用いたりして層の任意の点を9点測定し、その平均値を算出することにより得ることができる。非接触式の膜厚計を用いる場合、測定する対象に触れることなく精緻な測定が可能である。そのため、測定する対象が積層体の一部の層であっても、各層を剥離する事なく対象の膜厚を測定することができる。
(保護層)
保護層11としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂から形成されたフィルムが用いられる。
このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロースなどのセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂、シクロ系およびノルボルネン構造を有する環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂ともいう)、(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
熱可塑性樹脂から形成されたフィルムは、PVA系樹脂および二色性物質で形成された偏光子層との密着性を向上するため、表面処理(例えば、コロナ処理など)が施されていてもよく、プライマー層(下塗り層ともいう)などの薄層が形成されていてもよい。
保護層11は、温度40℃、相対湿度90%RHでの透湿度が1〜1500g/m2・24hrであることが好ましい。透湿度は、JIS Z 0208:1976に準拠して測定をすることができる。
保護層11の厚さは、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、15μm以上であってもよい。また、保護層11の厚さは、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。なお、上述した上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
(位相差層)
位相差層16は、例えばポジティブA層、ネガティブA層、ポジティブC層またはネガティブC層であることができる。具体的に位相差層16がA層であれば、1/4波長の正面位相差を与える層、または1/2波長の正面位相差を与える層であることが好ましい。
位相差層16がC層である場合、波長550nmにおいて、厚み方向の位相差値Rthが−90nm〜−10nmであることが好ましい。このような範囲のC層は、耐久性に優れ、薄型化も図ることができる。
本明細書において、「1/4波長の正面位相差を与える層」とは、可視光領域の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換する位相差層である。「1/4波長の正面位相差を与える層」は、波長550nmにおける正面位相差値が110〜160nmであることができ、130nm〜150nmであることができる。「1/2波長の正面位相差を与える層」とは、可視光領域の波長の直線偏光の偏光方位を90°変換する位相差層である。「1/2波長の正面位相差を与える層」は、波長550nmにおける正面位相差値が250nm〜300nmであることができ、260nm〜280nmであることができる。
本明細書において、「ポジティブC層」とは、面内における遅相軸方向の屈折率をnx、その面内における進相軸方向の屈折率をny、その厚さ方向における屈折率をnzとしたときに、nz>nx≧nyの関係を満足する層である。nxとnyとは、実質的に等しいことができる。具体的には、nxとnyとの差の大きさが0.01以内であれば、nxとnyとが実質的に等しいと言うことができる。
本明細書において、「ネガティブC層」とは、面内における遅相軸方向の屈折率をnx、その面内における進相軸方向の屈折率をny、その厚さ方向における屈折率をnzとしたときに、nz<ny≦nxの関係を満足する層である。nxとnyとは、実質的に等しいことができる。具体的には、nxとnyとの差の大きさが0.01以内であれば、nxとnyとが実質的に等しいと言うことができる。
偏光子層12と、位相差層16を備える偏光板1は、円偏光板として機能し得ることが好ましい。すなわち、位相差層16は1/4波長の位相差を与える層であることが好ましい。
位相差層16は、液晶組成物の硬化物を形成材料とする。液晶組成物は、液晶化合物を含む。
本実施形態で使用される液晶化合物の種類については、特に限定されないものの、その形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(円盤状液晶化合物、ディスコティック液晶化合物)とに分類できる。さらに、それぞれ低分子タイプと高分子タイプとがある。なお、高分子とは、一般に重合度が100以上のものを言う。
本実施形態では、いずれの液晶化合物を用いることもできる。さらに、2種以上の棒状液晶化合物や、2種以上の円盤状液晶化合物、または棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。
なお、棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物は、公知の材料を用いることができる。
液晶化合物の硬化物は、重合性基を有する棒状液晶化合物、または重合性基を有する円盤状液晶化合物を用いて形成することがより好ましい。これにより、光学特性の温度変化や湿度変化を小さくすることができる。
液晶化合物は、2種類以上を併用してもよい。その場合、少なくとも1種類が分子内に2以上の重合性基を有していることが好ましい。すなわち、液晶化合物の硬化物は、重合性基を有する棒状液晶化合物または重合性基を有する円盤状液晶化合物が重合によって形成された硬化物であることが好ましい。この場合、硬化物となった後は液晶性を示す必要はない。
棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物が重合性基を有する場合、その重合性基の種類は、特に制限されるものではない。重合性基としては、例えば、重合性エチレン性不飽和基や環重合性基などの付加重合反応が可能な官能基が好ましい。より具体的には、重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などを挙げることができる。その中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、メタアクリロイル基およびアクリロイル基の両者を包含する概念である。
液晶組成物には、上述した液晶化合物以外の成分が含まれていてもよい。
例えば、液晶組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤が選択される。
例えば、光重合開始剤としては、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせなどが挙げられる。
重合開始剤の使用量は、液晶組成物中の全固形分に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
液晶組成物には、液晶組成物を塗工した膜の均一性および膜の強度を高める目的で、重合性モノマーが含まれていてもよい。重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。その中でも、多官能性ラジカル重合性モノマーが好ましい。
なお、重合性モノマーとしては、上述した重合性基を有する液晶化合物(以下、重合性液晶化合物ともいう。)と共重合することができるものが好ましい。
重合性モノマーとしては、公知の材料を用いることができる。
重合性モノマーの使用量は、液晶化合物の全質量に対して、1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
液晶組成物には、液晶組成物を塗工した膜の均一性および膜の強度を高める目的で、公知の界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられる。その中でも特に、フッ素系化合物が好ましい。
液晶組成物には、溶媒が含まれていてもよく、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、ピリジンなどのヘテロ環化合物、ベンゼン、ヘキサンなどの炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタンなどのアルキルハライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテルが挙げられる。その中でも、有機溶媒としては、アルキルハライド、ケトンが好ましい。また、2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
液晶組成物には、上記成分以外にも、密着改良剤、可塑剤、ポリマーなどが含まれていてもよい。
液晶組成物の硬化物は、液晶組成物を後述の配向層19上に塗工し、水平配向、垂直配向、または傾斜配向させた後、硬化させることによって形成することができる。
位相差層16の厚さは、0.1μm以上であることが好ましい。また、位相差層16の厚さは、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。なお、上述した上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
位相差層16の厚さが上述の範囲内であると、耐久性と薄さとの両立が可能である。
位相差層16の厚さは、所望の面内位相差値、および厚さ方向の位相差値が得られるように調整するとよい。
偏光子層12のような偏光子層、および位相差層16のような位相差層を備えた偏光板を湿熱環境下(例えば、温度80℃、相対湿度90%の環境下)に放置した場合、偏光度が低下することがある。
発明者らは、湿熱環境下において偏光板の偏光度が低下する原因として、ヨウ素錯体が消失することであると推定した。ヨウ素錯体が消失する原因としては、位相差層に含まれる成分が偏光子層に移行し、偏光に寄与しているヨウ素錯体、またはヨウ素錯体を保持するための架橋点と反応するためであると考えられる。
推定される原因に対し、発明者らは、位相差層に含まれる成分が偏光子層に移行するのを抑制することにより偏光度の低下を抑制できると仮定した。検討を重ねた結果、発明者らは、偏光子層と位相差層との間に以下の樹脂層を設けることにより、湿熱環境下においても高い偏光度を保つことができることを見出し、本発明を完成させた。
(樹脂層)
樹脂層13は、(メタ)アクリル系樹脂、多官能モノマーを含む樹脂組成物の反応生成物から構成されることが好ましい。
((メタ)アクリル系樹脂)
樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリル系樹脂は、ウレタン(メタ)アクリレートまたは下記式(I)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位(以下、構造単位(I)ともいう。)を含む重合体(以下、(メタ)アクリル酸エステル重合体ともいう。)であることが好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸のいずれでもよいことを意味する。(メタ)アクリレートなどの「(メタ)」も同様の意味である。
本明細書において「由来」とは、原料モノマーが重合するために化学構造が変化し、その他の構造変化を生じないことを意味する。
ウレタン(メタ)アクリレートは、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであってもよいし、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。ウレタンアクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール、並びにジイソシアネートを用いて調製される。具体的には、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとポリオールとから、水酸基が少なくとも1個残ったヒドロキシ(メタ)アクリレートを調製し、これをジイソシアネートと反応させる方法によって、ウレタンアクリレートを製造することができる。
ウレタンアクリレートの製造に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、及び(メタ)アクリル酸ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルが挙げられる。
ウレタンアクリレートの製造に用いられるポリオールは、分子内に水酸基を少なくとも2個有する化合物である。具体例を挙げると、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸のネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリジメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類などがある。
ウレタンアクリレートの製造に用いられるジイソシアネートは、芳香族、脂肪族又は脂環式の各種ジイソシアネート類であることができる。具体例を挙げると、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、及びこれらのうち芳香環を有する化合物の水添物などがある。
ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(以下、単にMwともいう。)は、100〜1000であることが好ましい。
式(I)中、R10は、水素原子またはメチル基を表す。R20は、炭素数1〜20のアルキル基を表す。前記アルキル基は直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有していてもよい。前記アルキル基の水素原子は、炭素数1〜10のアルコキシ基または炭素数1〜10のウレタン基で置き換わっていてもよい。
式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、i−へキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、n−およびi−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、i−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
アルコキシ基含有アルキルアクリレートの具体例としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なかでも、式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、n−ブチル(メタ)アクリレートまたは2−エチルへキシル(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、構造単位(I)以外の他の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。他の単量体に由来する構造単位は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。(メタ)アクリル酸エステル重合体が含み得る他の単量体としては、極性官能基を有する単量体、芳香族基を有する単量体、アクリルアミド系単量体が挙げられる。
極性官能基を有する単量体としては、極性官能基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。極性官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、置換アミノ基、無置換アミノ基などが挙げられる。極性官能基としては、エポキシ基などの複素環基なども挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体中の極性官能基を有する単量体に由来する構造単位の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の全構造単位100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以上10質量部以下、特に好ましくは0.5質量部以上10質量部以下である。
芳香族基を有する単量体としては、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基と1個以上の芳香環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環など)を有し、フェニル基、フェノキシエチル基、またはベンジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらの構造単位を含むことで、高温、高湿環境において発生する偏光板の白抜け現象を抑制することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体中の芳香族基を有する単量体に由来する構造単位の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の全構造単位100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは4質量部以上50質量部以下、さらに好ましくは4質量部以上25質量部以下である。
アクリルアミド系単量体としては、N−(メトキシメチル)アクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(2−メチルプロポキシメチル)アクリルアミドなどが挙げられる。これらの構造単位を含むことで、後述する帯電防止剤などの添加物のブリードアウトを抑制することができる。
さらに、構造単位(I)以外の他の単量体に由来する構造単位として、スチレン系単量体に由来する構造単位、ビニル系単量体に由来する構造単位、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構造単位、などが含まれていてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量(Mw)は、50万〜250万であることが好ましい。重量平均分子量が50万以上であると、高温、高湿の環境下における樹脂層13の耐久性を向上させることができる。重量平均分子量が250万以下であると、樹脂組成物を塗工する際の操作性が良好となる。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(以下、単にMnともいう。)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、例えば2〜10である。
本明細書において「重量平均分子量」および「数平均分子量」とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
粘着性、および耐久性の両立の観点から、(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度は、好ましくは、−60℃〜−10℃である。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
(メタ)アクリル系樹脂は、2種以上の(メタ)アクリル酸エステル重合体を含んでもよい。
(多官能モノマー)
本明細書において、多官能モノマーとは、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーをいう。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのような3官能以上の脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。その他、3官能以上のハロゲン置換ポリオールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリス[(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ]プロパン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
樹脂組成物は、公知のラジカル重合開始剤を含んでいることが好ましい。
(その他の成分)
樹脂組成物は、紫外線吸収剤、帯電防止剤、溶媒、架橋触媒、粘着付与樹脂(タッキファイヤー)、可塑剤などの添加剤を単独または2種以上含むことができる。また、樹脂組成物に紫外線硬化性化合物を配合し、樹脂層13を形成した後に紫外線を照射して硬化させ、より硬い樹脂層とすることも有用である。
このような樹脂組成物の反応生成物は架橋構造を形成している。そのため、樹脂層13は、位相差層16に含まれる成分が偏光子層12に移行するのを抑制できると考えられる。また、架橋構造が密であるほど、位相差層16に含まれる成分が樹脂層13に留まり、偏光子層12に移行しにくいと考えられる。
架橋構造の疎密の度合いは、ISO14577に準拠して樹脂層13のマルテンス硬さを測定することにより間接的に確認できる。樹脂層13において、架橋点が増加すると、ポリマー分子の分子間距離が小さくなるため、架橋構造は密となる。また、ポリマー分子間の結合力が高まり、変形しにくくなるため、樹脂層13の硬度が大きくなる。つまり、樹脂層13において、硬度が大きいほど、架橋構造が密であると言える。
樹脂層13のマルテンス硬さは、160N/mm2以上500N/mm2以下であり、500N/mm2未満であってもよい。樹脂層13のマルテンス硬さが500N/mm2以下であると、樹脂層13のポリマー分子鎖が動くことが可能なため、樹脂層13の柔軟性が十分高くなる。樹脂層13の柔軟性が十分高いと、樹脂層が偏光子層の伸縮によって破断しにくいと考えられる。その結果、偏光板1の柔軟性が十分高くなる。一方、上記マルテンス硬さが160N/mm2以上であると、架橋構造が十分密となり、位相差層16に含まれる成分が偏光子層12に移行するのを十分抑制できると考えられる。その結果、湿熱環境下(例えば、温度80℃、相対湿度90%の環境下)においても、偏光板1の偏光度が低下しにくい。
上記マルテンス硬さは、170N/mm2以上であることが好ましく、190N/mm2以上であることがより好ましい。また、上記マルテンス硬さは、400N/mm2以下であることがより好ましく、400N/mm2未満であってもよい。なお、上述した上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
本実施形態では、上記マルテンス硬さが160N/mm2以上500N/mm2以下の範囲となるように、用いる(メタ)アクリル系樹脂、多官能モノマーなどの配合比を適宜調整するとよい。例えば、多官能モノマーと(メタ)アクリル系樹脂との配合比を、15:85〜85:15としてもよいし、40:60〜80:20としてもよい。
通常、このようなマルテンス硬さを有する樹脂層が、積層体(偏光板)の内部に配置されることは少ない。なぜなら、樹脂層が積層体内で固定されている状態では、マルテンス硬さが500N/mm2以下であっても、樹脂層が偏光子層の伸縮によって破断することがあるためである。
一方、本実施形態では、このようなマルテンス硬さを有する樹脂層13が偏光板1の内部に配置されている。偏光子層12の伸縮による樹脂層13の破断を抑制するためには、樹脂層13の破断荷重が500g以上2000g以下であることが好ましく、2000g未満であってもよい。
樹脂層13の破断荷重は、以下のようにして測定することができる。測定には、カトーテック株式会社製のハンディー圧縮試験機(KES−G5)を使用することができる。上記試験機に備えられた中央に貫通孔(直径11mm)を有する冶具で試験片(樹脂層)を挟み、試験片を上記試験機に設置する。ここで、使用する試験片の大きさは上記貫通孔を覆うことが可能な大きさであり、試験片の厚さは樹脂層の厚さである。次に、圧子を試験片へ押し込む。圧子により試験片が破断または試験片を圧子が貫通したときの荷重が破断荷重(単位:g)と定義される。圧子は、先端が球状であり、φ1mmであるものを使用する。圧子が押し込まれる速度は、0.33cm/秒とする。破断荷重の測定を行う環境の温度は、23℃とする。ハンディー圧縮試験機(KES−G5)を使用する場合、感度は10とし、電圧は5mm/10Vとする。
本実施形態では、上記破断荷重が500g以上2000g以下の範囲となるように、樹脂層を形成する(メタ)アクリル系樹脂、多官能モノマーなどの配合比を適宜調整するとよい。例えば、多官能モノマーと(メタ)アクリル系樹脂との配合比を、15:85〜85:15としてもよいし、40:60〜80:20としてもよい。
以下、樹脂層13のマルテンス硬さの測定方法について説明する。ISO14577に準拠して樹脂層13について押し込み試験を実施し、樹脂層13のマルテンス硬さを測定する。具体的には実施例の欄に記載のとおりであり、薄膜硬度計として、株式会社エリオニクス製ナノインデンテーション試験機(ENT−2100)を使用することができる。樹脂層13から形成される試料を上記試験機に設置し、上記試料にバーコビッチ圧子を接触させ、押し込むことで、マルテンス硬さを測定することができる。初期荷重は0mNとし、最大荷重は0.5mNとする。
最大荷重保持、すなわち最大荷重を保持する時間は1000m秒とすることができる。マルテンス硬さの測定を行う環境の温度は、23℃とすることができる。
樹脂層13の厚さを所定値以上にすることも好ましい。樹脂層13の厚さは、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であってもよいし、3μm以上であってもよいし、8μm以上であってもよい。樹脂層13の厚さの上限値は特に限定されない。例えば、樹脂層13の硬化収縮の度合いを小さくするために、樹脂層13の厚さは20μm以下とすることができ、15μm以下とすることができる。
(第1の粘着剤層)
本明細書において、「粘着剤」とは、柔軟なゴム状であり、それ自体を被着体に張り付けることで接着性を発現するものとする。また、後述する活性エネルギー線硬化型粘着剤は、エネルギー線を照射することにより、接着力を調整することができる。
第1の粘着剤層14を構成する粘着剤としては、従来公知の光学的な透明性に優れる粘着剤を特に制限なく用いることができ、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系などのベースポリマーを有する粘着剤を用いることができる。また、第1の粘着剤層14を構成する粘着剤としては、活性エネルギー線硬化型粘着剤、熱硬化型粘着剤などであってもよい。
「活性エネルギー線硬化型」とは、紫外線や電子線などのエネルギー線の照射を受けて硬化する性質をいう。活性エネルギー線硬化型の粘着剤は、エネルギー線照射前においても粘着性を有している。そのため、活性エネルギー線硬化型の粘着剤は、被着体に密着し、エネルギー線の照射により硬化して密着力を調整することができる。
活性エネルギー線硬化型の粘着剤は、アクリル系粘着剤と、エネルギー線重合性化合物とを含む。活性エネルギー線硬化型の粘着剤には、架橋剤が配合されていることが好ましい。また、必要に応じて、活性エネルギー線硬化型の粘着剤には、光重合開始剤や光増感剤などが配合されていてもよい。
これらの中でも、透明性、粘着力、再剥離性、耐候性、耐熱性などに優れるアクリル系樹脂をベースポリマーとした粘着剤が好適である。
第1の粘着剤層14の厚さは、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。また、第1の粘着剤層14の厚さは、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。なお、上述した上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。第1の粘着剤層14の厚さが3μm以上であると、樹脂層13と位相差層16とを十分に貼合することができる。第1の粘着剤層14の厚さが40μm以下であると、位相差層16のずれが生じにくい。
本実施形態の偏光板1を製造する際に、強い圧力で樹脂層13と位相差層16とを第1の粘着剤層14を介して貼合した場合、弱い圧力で貼合した時に比べて第1の粘着剤層14の厚さが薄くなることがある。これは第1の粘着剤層14が伸縮性を有するために起こるが、樹脂層13と位相差層16とを貼合後、しばらく放置すると、第1の粘着剤層14の厚さは元通りとなる。そのため、強い圧力で樹脂層13と位相差層16とを第1の粘着剤層14を介して貼合した時には、例えば5分間放置したのちに第1の粘着剤層14の厚さを測定することによって一定の値を得ることができる。
(配向層)
配向層19は、液晶化合物の分子軸を垂直配向させる垂直配向層に限らず、液晶化合物の分子軸を水平配向させる水平配向層であってもよく、液晶化合物の分子軸を傾斜配向させる傾斜配向層であってもよい。
配向層19としては、液晶組成物の塗工などにより溶解しない溶媒耐性を有する材料が好ましい。また、配向層19としては、溶媒の除去や液晶化合物の配向のための加熱処理に対して耐熱性を有する材料が好ましい。
配向層19の材料としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜または表面に凹凸パターンや複数の溝を形成し配向させるグルブ配向膜が挙げられる。
配向層19の厚さは、例えば10nm以上10000nm以下の範囲であり、好ましくは10nm以上1000nm以下の範囲であり、より好ましくは10nm以上500nm以下であり、さらに好ましくは10nm以上200nm以下の範囲である。
配向層19に用いる樹脂としては、公知の配向膜の材料として用いられる樹脂であれば特に限定されるものではなく、従来公知の単官能または多官能の(メタ)アクリレート系モノマーを重合開始剤下で硬化させた硬化物などを用いることができる。
具体的に、配向層19に用いる樹脂としては、(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテルアクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メタクリル酸、ウレタンアクリレートなどを例示することができる。
なお、配向層19に用いる樹脂としては、これらの1種類であってもよいし、2種類以上の混合物であってもよい。
(第2の粘着剤層)
第2の粘着剤層15を構成する粘着剤としては、従来公知の光学的な透明性に優れる粘着剤を特に制限なく用いることができる。
第2の粘着剤層15を構成する粘着剤として、上述した第1の粘着剤層14を構成する粘着剤として例示した材料と同様の材料を使用することができる。第1の粘着剤層14の厚さと、第2の粘着剤層15の厚さとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第2の粘着剤層15の厚さは、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。また、第2の粘着剤層15の厚さは、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。なお、上述した上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
第2の粘着剤層15の厚さが3μm以上であると、位相差層と、後述する表示パネルとを十分に貼合することができる。第2の粘着剤層15の厚さが40μm以下であると、第2の粘着剤層15を介して配置される位相差層16と、後述する表示パネルとのずれが生じにくい。
後述する有機EL表示装置を製造する際に、強い圧力で位相差層16と表示パネルとを第2の粘着剤層15を介して貼合した場合、弱い圧力で貼合した時に比べて第2の粘着剤層15の厚さが薄くなることがある。これは第2の粘着剤層15が伸縮性を有するために起こるが、位相差層16と表示パネルとを貼合後、しばらく放置すると、第2の粘着剤層の厚さは元通りとなる。そのため、強い圧力で位相差層16と表示パネルとを第2の粘着剤層15を介して貼合したときには、例えば5分間放置したのちに第2の粘着剤層15の厚さを測定することによって一定の値を得ることができる。
(偏光板)
偏光板1の総厚さは、30μm以上であることが好ましい。また、偏光板1の総厚さは、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。なお、上述した上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。
偏光板の総厚さが500μm以下であると、偏光板1の薄層化に貢献し得る。偏光板1の総厚さが30μm以上であると、偏光板1の強度が向上する。
本明細書において「偏光板の総厚さ」とは、偏光板の積層方向の寸法を意味する。偏光板の総厚さは、例えば、マイクロメーターにより偏光板の任意の5点において測定し、その平均値を算出することにより得ることができる。
なお、「偏光板の総厚さ」は、最終的に画像表示装置に組み込まれるフィルムの厚さの合計値である。すなわち、「偏光板の総厚さ」には、最終的に画像表示装置に組み込まれないフィルムの厚さを含まない。最終的に画像表示装置に組み込まれないフィルムとしては、剥離フィルムや表面保護フィルムが挙げられる。
偏光板1の総厚さは、保護層11、偏光子層12、樹脂層13、第1の粘着剤層14、位相差層16、第2の粘着剤層15、その他偏光板に含まれ、かつ最終的に画像表示装置に組み込まれる全ての光学フィルム層、粘着剤層、接着剤層の厚さをそれぞれ測定し、それらの値を合計することによっても得ることができる。
保護層11、偏光子層12、樹脂層13、第1の粘着剤層14、位相差層16、第2の粘着剤層15、その他偏光板に含まれる全ての光学フィルム層、粘着剤層、接着剤層の厚さは、本明細書に記載の方法で測定することができる。
本明細書において、偏光板の偏光度は、「視感度補正単体透過率(Ty)」および「視感度補正偏光度(Py)」と呼ばれる2つのパラメーターで評価される。TyおよびPyはそれぞれ、人間の目の感度が最も高い550nm付近の重み付けが最も大きくなるように補正を行った可視域(波長380〜780nm)における透過率、および偏光度である。波長380nm未満の光は、通常、人間の目では視認できないため、TyおよびPyにおいては考慮されない。
偏光板1のTyは、偏光板1が適用される有機EL表示装置などの画像表示装置において求められる値である。偏光板1のTyは、40%以上47%以下であることが好ましく、41%以上45%以下であることがより好ましい。上記範囲にすることで、TyとPyとのバランスがより良好となる。偏光板1のTyが40%以上であると、画像表示装置の輝度が十分高くなる。偏光板1のTyが47%以下であると、Pyが十分高くなり、コントラストが良好となる。一方、偏光板1のTyが40%未満の場合には、画像表示装置の輝度を十分に高くするために画像表示装置の投入電力を大きくするとよい。
偏光板1のPyは、99.9%以上であることが好ましく、99.95%以上であることがより好ましく、99.99%以上であってもよい。
偏光板1に対して温度80℃、相対湿度90%の環境下に24時間放置する湿熱試験を行ったとき、偏光板1の試験前後のPyの差の絶対値(以下、ΔPyともいう。)は、0%以上13%以下である。また、偏光板1の試験前後のTyの差(以下、ΔTyともいう。)は、0%以上5%以下である。ΔPyおよびΔTyが上記範囲内であると、偏光板1は湿熱環境下においても高い偏光度を保つことができると言える。
耐湿熱性の観点から、偏光板1のΔPyは、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。
また、耐湿熱性の観点から、偏光板1のΔTyは、4%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。
本明細書において、偏光板1のTyは、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製の「V7100」)を用いて測定される。波長380nm〜780nmの範囲においてMD透過率とTD透過率を求め、式(1)に基づいて各波長における単体透過率を算出する。次に、JIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率を求める。ここで、「MD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光板サンプルの透過軸を平行にしたときの透過率を示す。また、「TD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光板サンプルの透過軸を直交にしたときの透過率を示す。
本明細書において、偏光板1のPyは、上述のMD透過率とTD透過率から、式(2)に基づいて各波長における偏光度を算出する。さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率を求める。
[偏光板の製造方法]
以下、第1実施形態の偏光板の製造方法について、図2に基づき説明する。
本実施形態の偏光板1は、偏光板1を構成する各層を順に積層することにより製造してもよいし、隣接する各層を予め積層しておき、その積層体同士を積層することにより製造してもよい。また、偏光板1を構成する各層は、公知の方法により製造してもよいし、市販されている材料を用いてもよい。
図2は、第1実施形態の偏光板の製造方法の一例を示す模式図である。図2に示すように、まず、偏光子層12を含む積層体Aと、位相差層16を含む積層体B、第1の粘着剤層14となる第1の粘着剤140、および第2の粘着剤層15となる第2の粘着剤150を準備する。
積層体Aは、保護層11と、偏光子層12と、樹脂層13と、をこの順で積層させた積層体である。
積層体Bは、位相差層16と、配向層19と、を積層させた積層体である。
積層体Aおよび積層体Bの製造方法は特に限定されない。
次に、積層体Aの樹脂層13と、積層体Bの位相差層16とを対向させ、積層体Aと積層体Bとの間に第1の粘着剤140を配置し、複合積層体を得る。
次に、積層体Aまたは積層体Bの両側から複合積層体を加圧し、積層体Aと積層体Bとを貼合する。これにより、積層体Aと、第1の粘着剤層14と、積層体Bと、がこの順で積層した複合積層体が得られる。
次に、得られた複合積層体の配向層19の他面19bに、第2の粘着剤150を積層する。これにより、偏光板1が得られる。
なお、偏光板1を構成する各層の積層順はこれに限定されない。
本実施形態の偏光板1は、上述の樹脂層13を備えているので、位相差層16に含まれる成分が偏光子層12に移行するのを抑制できると考えられる。これは、位相差層16に含まれる成分が樹脂層13に留まり、偏光子層12に移行しにくいことが要因であると考えられる。したがって、本実施形態の偏光板1は、湿熱環境下においても高い偏光度を保つことができる。
[有機EL表示装置]
以下、図3を参照しながら、第1実施形態の偏光板を備えた有機EL表示装置について説明する。
図3は、第1実施形態の有機EL表示装置の構成の一例を示す断面模式図である。図3に示すように、有機EL表示装置100は、表示パネル10と、偏光板1と、を備える。偏光板1は、表示パネル10の視認側に配置されている。偏光板1は、偏光板1が有する第2の粘着剤層15によって表示パネル10に接着されている。偏光板1が有する保護層11の一面11aは、有機EL表示装置100の視認側となる面である。
表示パネル10は、有機エレクトロルミネッセンス表示素子(以下、有機EL素子ともいう)を含む。すなわち、偏光板1は、有機EL素子の視認側に配置されている。
図4は、有機EL素子の層構成の一例を示す模式断面図である。図4に示すように、有機EL素子200は、基板201と、陽極202と、有機EL層203と、陰極204と、これらを覆う封止層205とを有している。また、有機EL素子200は、必要に応じて、例えば、基板201上に平坦化層(図示略)を設けてもよく、陽極202と陰極204との間に短絡を防止するための絶縁層(図示略)を設けてもよい。
有機EL素子を構成する各層は、公知の材料を用いることができる。
有機EL素子200は、公知のロールトゥロールプロセスで連続的に製造され得る。さらに、有機EL素子200は、長尺状の偏光板1とロールトゥロールプロセスで連続的に積層されて、有機EL表示装置100が連続的に製造され得る。
以上のような構成の有機EL表示装置100によれば、湿熱環境下においても高い表示品位を保つことができる。
<第2実施形態>
[偏光板]
以下、図5を参照しながら、第2実施形態の偏光板について説明する。第2実施形態の偏光板は、第1実施形態の偏光板と一部共通している。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5は、第2実施形態の偏光板の層構成の一例を示す断面模式図である。図5に示すように、本実施形態の偏光板2は、保護層11と、偏光子層12と、樹脂層13と、第1の粘着剤層14と、第2の粘着剤層15と、第1の位相差層17と、第2の位相差層18と、第1の配向層20と、第2の配向層21、接着層22と、を含む。
本実施形態の偏光板2は、位相差層として第1の位相差層17および第2の位相差層18を有する。偏光子層12の他面12b側には、第1の位相差層17および第2の位相差層18が配置されている。偏光子層12と第1の位相差層17との間には、樹脂層13が配置されている。第2の位相差層18は、偏光子層12を基準に樹脂層13側に配置されている。第2の位相差層18は、樹脂層13と第1の位相差層17との間に配置されている。
第1の位相差層17と、第2の位相差層18とは、接着層22を介して接着されている。
第1の位相差層17の接着層22側とは反対側の面(他面)17bには、第2の配向層21が接している。
第2の位相差層18の接着層22側とは反対側の面(一面)18aには、第1の配向層20が接している。第1の配向層20と樹脂層13とは、第1の粘着剤層14を介して接着されている。第1の粘着剤層14は、樹脂層13の他面13bに設けられている。
第2の粘着剤層15は、第2の配向層21の第1の位相差層17側とは反対側の面(他面)21bに接している。
以下、第2実施形態の偏光板2を構成する各層について詳細に説明する。
(第1の位相差層、第2の位相差層)
第1の位相差層17および第2の位相差層18は、それぞれ独立に例えば1/2波長の位相差を与える層、1/4波長の位相差を与える層などのポジティブA層、ネガティブA層、ポジティブC層またはネガティブC層であることができる。第1の位相差層17と、第2の位相差層とは、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
本明細書において、「1/2波長の位相差を与える層」とは、ある特定の波長の直線偏光の偏光方位を90°変換する位相差層である。
本実施形態の1つの側面としては、第1の位相差層17および第2の位相差層18のいずれか一方が1/4波長の位相差を与える層であり、他方が1/2波長の位相差を与える層であることが好ましい。また、第1の位相差層17および第2の位相差層18のいずれか一方が1/4波長の位相差を与える層であり、他方がポジティブC層であることが好ましい。
したがって、第1の位相差層17および第2の位相差層18の厚さ、およびこれらを構成する材料は、所望の面内位相差値、厚さ方向の位相差値が得られるよう調整するとよい。
第1の位相差層17が1/4波長の位相差を与える層であり、第2の位相差層18が1/2波長の位相差を与える層である場合、第1の位相差層17の厚さは例えば、1μm以上10μm以下であり、第2の位相差層18の厚さは例えば、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
第1の位相差層17がポジティブC層であり、第2の位相差層18が1/4波長の位相差を与える層である場合、第1の位相差層17の厚さは例えば、1μm以上10μm以下であり、第2の位相差層18の厚さは例えば、1μm以上10μm以下である。
なお、第1の位相差層17の厚さおよび第2の位相差層18の厚さは、第1実施形態で説明した層の厚さの測定方法により得ることができる。
第1の位相差層17は、第1の液晶組成物の硬化物を形成材料とする。第2の位相差層18は、第2の液晶組成物の硬化物を形成材料とする。第1の液晶組成物および第2の液晶組成物は、第1実施形態の位相差層16で例示した材料と同様の材料を使用することができる。第1の液晶組成物と、第2の液晶組成物とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
偏光子層12のような偏光子層、および第1の位相差層17および第2の位相差層18のような位相差層を備えた偏光板を湿熱環境下(例えば、温度80℃、相対湿度90%の環境下)に放置した場合、偏光度が低下することがある。
本実施形態の偏光板2においても、偏光子層12と、第1の位相差層17および第2の位相差層18との間に、樹脂層13を設けることにより、2つの位相差層に含まれる成分が偏光子層12に移行するのを抑制できると考えられる。その結果、発明者らは、偏光子層12と、第1の位相差層17および第2の位相差層18との間に、樹脂層13を設けることにより、湿熱環境下においても高い偏光度を保つことができることを見出し、本発明を完成させた。
(第1の配向層、第2の配向層)
第1の配向層20および第2の配向層21は、第1実施形態の配向層19で例示した材料と同様の材料を使用することができる。第1の配向層20と、第2の配向層21とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(接着層)
本明細書において、「接着層」とは、接着剤層または粘着剤層を意味する。粘着剤層としては、上述の材料が適宜使用できる。以下では、接着層22が接着剤層である場合について説明する。「接着剤」は、基材に塗工した時は液状で基材に塗ることができ、固化する事で接着性を発現する(すなわち、固化するまでは、接着性を発現しない)ものとする。
第1の位相差層17と第2の位相差層18とを貼合する接着剤としては、例えば、水系接着剤、または活性エネルギー線硬化性の接着剤が挙げられる。
水系接着剤としては、例えば、PVA系樹脂を水に溶解、または分散させた接着剤が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性の接着剤としては、例えば、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する接着剤が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性の接着剤としては、良好な接着性を示すことから、カチオン重合性の硬化性化合物、およびラジカル重合性の硬化性化合物のいずれか一方または両方を含むことが好ましい。活性エネルギー線硬化性の接着剤は、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤、およびラジカル重合開始剤のいずれか一方または両方をさらに含むことができる。
カチオン重合性の硬化性化合物およびラジカル重合性の硬化性化合物は、公知の材料を用いることができる。
活性エネルギー線硬化性の接着剤は、必要に応じて、カチオン重合促進剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、溶媒などの添加剤を含有することができる。
接着層22の厚さは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.05μm以上5μm以下であることがより好ましい。接着層22の厚さが0.01μm以上であると、十分な強度を持つため、偏光板2の割れが生じにくい。接着層22の厚さが10μm以下であると、第1の位相差層17と第2の位相差層18との間に浮きや剥がれが生じにくい。また、接着剤の硬化収縮時に起因する、偏光板2の外観不良も発生しにくい。
[偏光板の製造方法]
以下、第2実施形態の偏光板の製造方法について、図6に基づき説明する。
本実施形態の偏光板2は、偏光板2を構成する各層を順に積層することにより製造してもよいし、隣接する各層を予め積層しておき、その積層体同士を積層することにより製造してもよい。また、偏光板2を構成する各層は、公知の方法により製造してもよいし、市販されている材料を用いてもよい。
図6は、第2実施形態の偏光板の製造方法の一例を示す模式図である。図6に示すように、まず、偏光子層12を含む積層体A、第1の位相差層17および第2の位相差層18を含む積層体C、第1の粘着剤層14となる第1の粘着剤140、並びに第2の粘着剤層15となる第2の粘着剤150を準備する。
積層体Aは、第1実施形態の偏光板の製造方法で用いた積層体と同様である。
積層体Cは、第1の配向層20と、第2の位相差層18と、接着層22と、第1の位相差層17と、第2の配向層21と、をこの順で積層させた積層体である。積層体Cは、第1の配向層20および第2の位相差層18の積層体と、第1の位相差層17および第2の配向層21の積層体とを、第1の位相差層17と第2の位相差層18とを対向させた状態で、接着層22を用いて貼り合わせることにより得られる。
次に、積層体Aの樹脂層13と、積層体Cの第1の配向層20とを対向させ、積層体Aと、積層体Cとの間に第1の粘着剤140を配置し、複合積層体を得る。
次に、積層体Aまたは積層体Cの両側から複合積層体を加圧し、積層体Aと積層体Cとを貼合する。これにより、積層体Aと、第1の粘着剤層14と、積層体Cと、がこの順で積層した複合積層体が得られる。
次に、得られた複合積層体の第2の配向層21の他面21bに、第2の粘着剤150を積層する。これにより、偏光板2が得られる。
なお、偏光板2を構成する各層の積層順はこれに限定されない。
本実施形態の偏光板2は、上述の樹脂層13を備えているので、第1の位相差層17および第2の位相差層18に含まれる成分が偏光子層12に移行するのを抑制できると考えられる。これは、第1の位相差層17および第2の位相差層18に含まれる成分が樹脂層13に留まり、偏光子層12に移行しにくいことが要因であると考えられる。したがって、本実施形態の偏光板2は、湿熱環境下においても高い偏光度を保つことができる。
<第3実施形態>
[偏光板]
以下、図7を参照しながら、第3実施形態の偏光板について説明する。第3実施形態の偏光板は、第2実施形態の偏光板と一部共通している。したがって、本実施形態において第2実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7は、第3実施形態の偏光板の層構成の一例を示す断面模式図である。図7に示すように、本実施形態の偏光板3は、保護層11と、偏光子層12と、樹脂層13と、第2の粘着剤層15と、第1の位相差層17と、第2の位相差層18と、第1の配向層20と、第2の配向層21、接着層22と、第3の粘着剤層23と、を含む。
第2実施形態の偏光板2と異なるのは、樹脂層13の他面13bに直接第1の配向層20が形成されていることである。また、偏光子層12と樹脂層13とは第3の粘着剤層23を介して接着されていることである。
第3の粘着剤層23を構成する粘着剤として、第1実施形態の第1の粘着剤層14を構成する粘着剤として例示した材料と同様の材料を使用することができる。
第2の粘着剤層15の厚さと、第3の粘着剤層23の厚さとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
[偏光板の製造方法]
以下、第3実施形態の偏光板の製造方法について、図8に基づき説明する。
本実施形態の偏光板3は、偏光板3を構成する各層を順に積層することにより製造してもよいし、隣接する各層を予め積層しておき、その積層体同士を積層することにより製造してもよい。また、偏光板3を構成する各層は、公知の方法により製造してもよいし、市販されている材料を用いてもよい。
図8は、第3実施形態の偏光板の製造方法の一例を示す模式図である。図8に示すように、まず、偏光子層12を含む積層体D、樹脂層13、第1の位相差層17および第2の位相差層18を含む積層体E、第3の粘着剤層23となる第3の粘着剤230、並びに第2の粘着剤層15となる第2の粘着剤150を準備する。
積層体Dは、保護層11と、偏光子層12と、を積層させた積層体である。
積層体Eは、樹脂層13と、第1の配向層20と、第2の位相差層18と、接着層22と、第1の位相差層17と、第2の配向層21と、をこの順で積層させた積層体である。
積層体Eは、樹脂層13、第1の配向層20および第2の位相差層18の積層体と、第1の位相差層17および第2の配向層21の積層体とを、第1の位相差層17と第2の位相差層18とを対向させた状態で、接着層22を用いて貼り合わせることにより得られる。
以下、樹脂層13、第1の配向層20および第2の位相差層18の積層体の製造方法について説明する。まず、樹脂層13を形成する。次に樹脂層13の表面に直接第1の配向層20を形成する。次に、第1の配向層20の表面に第2の位相差層18を形成する。このようにして、樹脂層13、第1の配向層20および第2の位相差層18の積層体が得られる。
次に、積層体Dの偏光子層12と、積層体Eの樹脂層13とを対向させ、積層体Dと、積層体Eとの間に第3の粘着剤230を配置し、複合積層体を得る。
次に、積層体Dまたは積層体Eの両側から複合積層体を加圧し、積層体Dと積層体Eとを貼合する。これにより、積層体Dと、第3の粘着剤層23と、積層体Eと、がこの順で積層した複合積層体が得られる。
次に、得られた複合積層体の第2の配向層21の他面21bに、第2の粘着剤150を積層する。これにより、偏光板3が得られる。
なお、偏光板3を構成する各層の積層順はこれに限定されない。
本実施形態の偏光板3は、上述の樹脂層13を備えているので、第1の位相差層17および第2の位相差層18に含まれる成分が偏光子層12に移行するのを抑制できると考えられる。これは、第1の位相差層17および第2の位相差層18に含まれる成分が樹脂層13に留まり、偏光子層12に移行しにくいことが要因であると考えられる。したがって、本実施形態の偏光板3は、湿熱環境下においても高い偏光度を保つことができる。
<第4実施形態>
[偏光板]
以下、図9を参照しながら、第4実施形態の偏光板について説明する。第4実施形態の偏光板は、第3実施形態の偏光板と一部共通している。したがって、本実施形態において第3実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図9は、第4実施形態の偏光板の層構成の一例を示す断面模式図である。図9に示すように、本実施形態の偏光板4は、保護層11と、偏光子層12と、樹脂層13と、第2の粘着剤層15と、第1の位相差層17と、第2の位相差層18と、第1の配向層20と、第2の配向層21、接着層22と、第4の粘着剤層24と、第5の粘着剤層25と、を含む。
第3実施形態の偏光板3と異なるのは、第1の位相差層17と第2の位相差層18との間に樹脂層13が配置されていることである。すなわち、第1の位相差層17は、樹脂層13を基準に偏光子層12とは反対側に配置されている。一方、第2の位相差層18は、樹脂層13と偏光子層12との間に配置されている。
理由は不明であるが、1/4波長の位相差を与える層等に比べて、ポジティブC層の方が、湿熱環境下において偏光度を低下させる作用が際立って大きいことが明らかになった。そのため、本実施形態のように、樹脂層13を基準に、少なくとも第1の位相差層17が偏光子層12側とは反対側に存在する場合、第1の位相差層17がポジティブC層であり、第2の位相差層18が1/4波長の位相差を与える層であることが好ましい。この場合、湿熱環境下においても高い偏光度を保つという本発明の効果が得られやすい。
第4の粘着剤層24および第5の粘着剤層25を構成する粘着剤として、第1実施形態の第1の粘着剤層14を構成する粘着剤として例示した材料と同様の材料を使用することができる。
第4の粘着剤層24の厚さと、第5の粘着剤層25の厚さとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
[偏光板の製造方法]
以下、第4実施形態の偏光板の製造方法について、図10に基づき説明する。
本実施形態の偏光板4は、偏光板4を構成する各層を順に積層することにより製造してもよいし、隣接する各層を予め積層しておき、その積層体同士を積層することにより製造してもよい。また、偏光板4を構成する各層は、公知の方法により製造してもよいし、市販されている材料を用いてもよい。
図10は、第4実施形態の偏光板の製造方法の一例を示す模式図である。図10に示すように、まず、偏光子層12、樹脂層13および第2の位相差層18を含む積層体F、第1の位相差層17を含む積層体G、第5の粘着剤層25となる第5の粘着剤250、並びに第2の粘着剤層15となる第2の粘着剤150を準備する。
積層体Fは、保護層11と、偏光子層12と、第4の粘着剤層24と、第2の位相差層18と、第1の配向層20と、樹脂層13と、をこの順で積層させた積層体である。
積層体Gは、第1の位相差層17と、第2の配向層21と、を積層させた積層体である。
積層体Fおよび積層体Gの製造方法は特に限定されない。
次に、積層体Fの樹脂層13と、積層体Gの第1の位相差層17とを対向させ、積層体Fと、積層体Gとの間に第5の粘着剤250を配置し、複合積層体を得る。
次に、積層体Fまたは積層体Gの両側から複合積層体を加圧し、積層体Fと積層体Gとを貼合する。これにより、積層体Fと、第5の粘着剤層25と、積層体Gと、がこの順で積層した複合積層体が得られる。
次に、得られた複合積層体の第2の配向層21の他面21bに、第2の粘着剤150を積層する。これにより、偏光板4が得られる。
なお、偏光板4を構成する各層の積層順はこれに限定されない。
本実施形態の偏光板4は、上述の樹脂層13を備えているので、第1の位相差層17に含まれる成分が偏光子層12に移行するのを抑制できると考えられる。これは、第1の位相差層17に含まれる成分が樹脂層13に留まり、偏光子層12に移行しにくいことが要因であると考えられる。したがって、本実施形態の偏光板4は、湿熱環境下においても高い偏光度を保つことができる。
<第5実施形態>
[偏光板]
以下、図11を参照しながら、第5実施形態の偏光板について説明する。第5実施形態の偏光板は、第4実施形態の偏光板と一部共通している。したがって、本実施形態において第4実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図11は、第5実施形態の偏光板の層構成の一例を示す断面模式図である。図11に示すように、本実施形態の偏光板5は、保護層11と、偏光子層12と、樹脂層13と、第2の粘着剤層15と、第1の位相差層17と、第2の位相差層18と、第1の配向層20と、第2の配向層21、接着層22と、第4の粘着剤層24と、を含む。
第4実施形態の偏光板と異なるのは、第1の位相差層17と、第2の位相差層18とが樹脂層13を介して接していることである。すなわち、樹脂層13は、第1の位相差層17に含まれる成分が偏光子層12に移行するのを抑制する役割のほか、第1の位相差層17と第2の位相差層18とを接合する役割も担っている。
理由は不明であるが、1/4波長の位相差を与える層等に比べて、ポジティブC層の方が、湿熱環境下において偏光度を低下させる作用が際立って大きいことが明らかになった。そのため、本実施形態のように、樹脂層13を基準に、少なくとも第1の位相差層17が偏光子層12側とは反対側に存在する場合、第1の位相差層17がポジティブC層であり、第2の位相差層18が1/4波長の位相差を与える層であることが好ましい。この場合、湿熱環境下においても高い偏光度を保つという本発明の効果が得られやすい。
[偏光板の製造方法]
以下、第5実施形態の偏光板の製造方法について、図12に基づき説明する。
本実施形態の偏光板5は、偏光板5を構成する各層を順に積層することにより製造してもよいし、隣接する各層を予め積層しておき、その積層体同士を積層することにより製造してもよい。また、偏光板5を構成する各層は、公知の方法により製造してもよいし、市販されている材料を用いてもよい。
図12は、第5実施形態の偏光板の製造方法の一例を示す模式図である。図12に示すように、まず、偏光子層12および第2の位相差層18を含む積層体H、樹脂層13となる樹脂組成物130および第1の位相差層17を含む積層体I、並びに第2の粘着剤層15となる第2の粘着剤150を準備する。
積層体Hは、保護層11と、偏光子層12と、第4の粘着剤層24と、第1の配向層20と、第2の位相差層18と、をこの順で積層させた積層体である。
積層体Iは、樹脂組成物130と、第1の位相差層17と、第2の配向層21と、をこの順で積層させた積層体である。
積層体Hおよび積層体Iの製造方法は、特に限定されない。
次に、積層体Hの第2の位相差層18と、積層体Iの樹脂組成物130とを接着させ、複合積層体を得る。これにより、積層体Hと、積層体Iと、が積層した複合積層体が得られる。この複合積層体の樹脂組成物130を硬化させることにより、第1の位相差層17と第2の位相差層18との間に樹脂層13を形成する。
次に、得られた複合積層体の第2の配向層21の他面21bに、第2の粘着剤150を積層する。これにより、偏光板5が得られる。
なお、偏光板5を構成する各層の積層順はこれに限定されない。
本実施形態の偏光板5は、上述の樹脂層13を備えているので、第1の位相差層17に含まれる成分が偏光子層12に移行するのを抑制できると考えられる。これは、第1の位相差層17に含まれる成分が樹脂層13に留まり、偏光子層12に移行しにくいことが要因であると考えられる。したがって、本実施形態の偏光板5は、湿熱環境下においても高い偏光度を保つことができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせなどは一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求などに基づき種々変更可能である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例では、位相差層として、1/4波長の位相差を与える層に比べて、湿熱環境下おける偏光度低下の作用が大きいポジティブC層を用いた。本実施例における樹脂層のマルテンス硬さ、偏光板のTyおよびPyは以下の方法により求めた。
[樹脂層のマルテンス硬さ]
ISO14577に準拠して樹脂層について押し込み試験を実施し、樹脂層のマルテンス硬さを測定した。具体的には、薄膜硬度計として、株式会社エリオニクス製ナノインデンテーション試験機(ENT−2100)を使用した。樹脂層から形成される試料を上記試験機に設置し、バーコビッチ圧子を上記試料の側面から接触させ、押し込むことで、マルテンス硬さを測定した。初期荷重は0mNとし、最大荷重は0.5mNとした。最大荷重保持は1000m秒とした。マルテンス硬さの測定を行う環境の温度は、23℃であった。
[樹脂層の破断荷重]
樹脂層の破断荷重は、以下のようにして測定した。測定には、カトーテック株式会社製のハンディー圧縮試験機(KES−G5)を使用した。上記試験機に備えられた中央に貫通孔(直径11mm)を有する冶具で試験片(樹脂層)を挟み、試験片を上記試験機に設置した。ここで、使用する試験片の大きさは上記貫通孔を覆うことが可能な大きさであり、試験片の厚さは樹脂層の厚さである。次に、圧子を試験片へ押し込んだ。圧子により試験片が破断または試験片を圧子が貫通したときの荷重を破断荷重(単位:g)として測定した。圧子は、先端が球状であり、φ1mmであるものを使用した。圧子が押し込まれる速度は、0.33cm/秒とした。破断荷重の測定を行う環境の温度は、23℃であった。感度は10とし、電圧は5mm/10Vとした。
[偏光板のTy、Py]
偏光板のTyは、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製の「V7100」)を用いて測定した。波長380nm〜780nmの範囲においてMD透過率とTD透過率を求め、式(1)に基づいて各波長における単体透過率を算出した。次に、JIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率を求めた。
偏光板のPyは、上述のMD透過率とTD透過率から、式(2)に基づいて各波長における偏光度を算出した。さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率を求めた。
[実施例1〜4、比較例1]
[偏光フィルムの製造]
厚さ20μmのPVAフィルム(平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上)を、乾式延伸により約6倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、40℃の純水に40秒間浸漬した。
次に、このフィルムを、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.044/5.7/100である28℃の染色水溶液に30秒間浸漬することにより、染色処理した。
次に、染色処理後のフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が11.0/6.2/100である70℃のホウ酸水溶液に120秒間浸漬することにより、架橋処理した。
引き続き、架橋処理後のフィルムを、8℃の純水で15秒間洗浄した後、300N/mの張力で保持した状態で、60℃で50秒間、次いで75℃で20秒間乾燥した。こうして、PVAフィルムにヨウ素が吸着配向している厚さ7μmの偏光フィルムを得た。
[積層体(1)の製造]
保護フィルムとして、シクロオレフィン系樹脂フィルム(COP、日本ゼオン株式会社製ZF−14 UV吸収特性無し 厚さ13μm)を準備した。得られた偏光フィルムと、シクロオレフィン系樹脂フィルムとの間に水系接着剤を注入し、ニップロールで貼り合わせた。得られた積層体の張力を430N/mに保ちながら、60℃で2分間乾燥して、偏光子層と、偏光子層の片面に配置された保護層と、を備える積層体(1)を得た。積層体Aの厚さは20μmであった。
なお、上記水系接着剤は、水100質量部に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製;クラレポバール(登録商標) KL318)3質量部と、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(田岡化学工業株式会社製;スミレーズレジン(登録商標)650;固形分濃度30%の水溶液)1.5質量部とを添加して調製した。
[積層体(2)の製造]
透明基材として、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで形成された基材を準備した。透明基材の片面に垂直配向層用組成物を膜厚3μmになるように塗工し、積算光量が20mJ/cm2となるように紫外線を照射して、配向層を形成した。
なお、上述の垂直配向層用組成物は、2−フェノキシエチルアクリレートと、テトラヒドロフルフリルアクリレートと、ジペンタエリスリトールトリアクリレートと、ビス(2−ビニルオキシエチル)エーテルとを1:1:4:5の割合で混合し、得られた混合物の総質量に対して、重合開始剤としてLUCIRIN(登録商標) TPOを4%の割合で添加した調製した。
形成した配向層上に、重合性ネマチック液晶化合物(メルク社製,RMM28B)を含有する液晶組成物を、ダイコーティングにより配向層上に塗工した。
液晶組成物の調製には、溶媒として、メチルエチルケトン(MEK)と、メチルイソブチルケトン(MIBK)と、沸点が155℃であるシクロヘキサノン(CHN)とを、質量比(MEK:MIBK:CHN)で35:30:35の割合で混合させた混合溶媒を用いた。そして、液晶組成物100g当たりの固形分が1〜1.5gとなるように調製した液晶組成物を、乾燥前の塗工量が4〜5gとなるように配向層上に塗工した。
配向層上に液晶組成物を塗工した後、得られた塗工層を、乾燥温度を75℃とし、乾燥時間を120秒間として乾燥処理した。その後、紫外線(UV)照射により液晶化合物を重合させて硬化させた。こうして、位相差層、配向層および透明基材とで構成された積層体(2)を得た。この位相差層は、nz>nx=nyの関係を満足しており、ポジティブC層であった。位相差層と、配向層との合計の厚さは4μmであった。
[樹脂組成物の調製]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下、DPHAともいう。)(アロニックス(登録商標)M−403 東亞合成株式会社製多官能アクリレート)と、アクリレート樹脂(エベクリル(登録商標)4858 ダイセルユーシービー株式会社製、脂肪族ウレタンアクリレート)と、を合わせて100質量部、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア(登録商標)907;チバ スペシャルティケミカルズ社製)3質量部、フッ素系レベリング剤(F−554 DIC株式会社製含フッ素基・親油性基含有オリゴマー)0.25質量部をイソプロパノール250質量部に溶解した溶液を調製し、アクリル樹脂を含む樹脂組成物を調製した。なお、表1に示す質量配合比で、DPHAと、アクリレート樹脂と、を配合した。
[積層体(3)の製造]
積層体(2)の位相差層上に、樹脂組成物をバーコーターで塗布した。得られた塗膜を80℃で1分間乾燥後、高圧水銀ランプ(「ユニキュアVB−15201BY−A」、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:400mJ/cm2)することにより、樹脂層を形成した。このようにして、透明基材、配向層、位相差層および樹脂層で構成された積層体(3)を作製した。
[積層体(4)の製造]
積層体(1)の偏光子層をコロナ処理した後、上記で製造された積層体(3)と積層体(1)とを、粘着剤(1)(リンテック株式会社製 感圧式粘着剤 厚さ15μm)を介して貼合した。貼合後、透明基材のみを剥離して積層体(4)を作製した。
[偏光板の製造]
積層体(4)の配向層をコロナ処理した後、粘着剤(2)(リンテック株式会社製 感圧式粘着剤 25μm)を貼合し、積層体(5)(偏光板)を作製した。積層体(5)は、粘着剤(2)、配向層、位相差層、樹脂層、粘着剤(1)、偏光子層、保護層をこの順に備えていた。
[評価用偏光板の製造]
積層体(5)を粘着剤(2)によって無アルカリガラスに貼合し、試料とした。
[比較例2]
樹脂層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様に試料を作製した。
[湿熱耐久試験]
実施例1〜4および比較例1ならびに比較例2の試料を、温度80℃、相対湿度90%の環境下に24時間放置して、湿熱耐久試験を行った。試験前後の偏光板のΔPyおよびΔTyを求めた。
表1に、樹脂層の厚さ、マルテンス硬さ、破断荷重、および湿熱耐久試験結果を示した。
表1に示すように、本発明の一態様を適用した実施例1〜4の偏光板のΔPyおよびΔTyは、いずれも比較例1および2の偏光板のΔPyおよびΔTyよりも小さかった。このことから、本発明の一態様の偏光板は、ISO14577に準拠して測定されるマルテンス硬さが160N/mm2以上500N/mm2以下の樹脂層を備えているので、位相差層に含まれる成分が偏光子層に移行するのを抑制できると考えられる。これは、位相差層に含まれる成分が樹脂層に留まり、偏光子層に移行しにくいことが要因であると考えられる。したがって、本発明の一態様の偏光板は、湿熱環境下においても高い偏光度を保つことができる。
以上のことから、本発明が有用であることが確かめられた。