以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。図1は、光走査部10を備えた映像装置1を示すブロック図である。映像装置1は、例えばプロジェクターやヘッドマウントディスプレイ等、映像を投影する機能を有する装置である。又は映像装置1は、例えばカメラや内視鏡等、映像を撮影する機能を有する装置であってもよい。
映像装置1は、光走査部10、照明部11、受光部12、駆動信号生成部20、リマッピング制御部21、発光制御部22、増幅部30、レーザドライバ31、表示画像格納メモリ32、コントローラ40、記憶部41、入出力制御回路42を備えている。本実施例における駆動信号生成部20、リマッピング制御部21、発光制御部22は一例として、FPGA(Field Programable Gate Array)による論理回路として実現される。または、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアにて実装してもよい。
映像装置1は、入出力制御回路42を介して外部制御装置50と接続されている。本実施例における映像装置1は、外部制御装置50から映像信号を受け取り、映像を表示する機能を有する。コントローラ40は、映像装置1の各ブロックに対して制御を行う。コントローラ40は、CPU(Central Processing Unit)等の中央演算処理装置によってその機能を実現する。
また記憶部41は、コントローラ40をはじめとして、映像装置1を構成する各部の処理に必要な情報や、生成された情報を記憶する。記憶部41は、RAM(Random Access Memory)又はフラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリアとして機能する。記憶部41は、HDD(Hard Disk Drive)や、CD−R(Compact Disc− Recordable)、DVD−RAM(Digital Versatile Disk−Random Access Memory)、及びSSD(solid state drive)等の書き込み及び読み出し可能な記憶メディア及び記憶メディア駆動装置等であってもよい。なお、コントローラ40は、記憶部41上に読み出されたプログラムに従って動作するCPUにより処理を行う。
映像装置1が入出力制御回路42を介して受け取った映像信号は、表示画像格納メモリ32に格納される。駆動信号生成部20は、コントローラからの指示に基づき、光走査部10において光を走査するための(複数の)駆動信号を生成する。駆動信号生成部20から出力された駆動信号は、増幅部30によって増幅され、光走査部10に設けられた圧電素子に印加される。これにより、光が走査される。リマッピング制御部21は、駆動信号生成部20からの情報を元に、表示画像格納メモリ32に蓄えられた映像情報のうち、どの座標の画素情報で点灯すべきかを計算する。計算された座標(xcalc、ycalc)は表示画像格納メモリ32に供給され、対応する座標の画素の階調データ(R、G、B)が発光制御部22に供給される。発光制御部22は、画素の階調データに基づきレーザの発光を制御するための信号を生成する。更に発光制御部22は、駆動信号生成部20からの情報を元に、輝度の補正を行う。発光制御部22で生成された信号はレーザドライバ31を介して、照明部11に設けられたレーザに供給される。レーザを出射した光は光走査部10を介して投影面に照射される。これにより、光の走査に同期して、レーザの発光が制御される。
画像を撮影する場合、対象に照射されて戻ってきた戻り光が、光走査部10を介して受光部12に導かれる。なお、映像装置1が撮影機能を有しない場合、受光部12は必ずしも必要でない。また発光制御部22は、発光したタイミングを別の回路に通知する機能を有していてもよい。
次に、光走査部10の構造について、図2を用いて説明する。光走査部10は、振動部101、導光路102、接着部103、レンズ104、筐体105、支持部材106、電気配線107、分波部108を備える。分波部108については後述する。振動部101は、振動を発生させるアクチュエータであって、例えば圧電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、又は静電アクチュエータである。本実施形態では、振動部101は、中心部が中空の円筒型の圧電素子の内周又は外周に複数の電極を設置して構成される。振動部101に設けられた電極は電気配線107と接続されており、電気配線107を通じて印加される駆動信号に基づいて振動部101が振動する。振動部101の中空部分には、導光路102が設置され、振動部101と導光路102は接着部103により固定される。また振動部101は支持部材106によって、筐体105に固定される。
導光路102は、例えばシングルモードやマルチモードの光ファイバである。光ファイバは、コート層、クラッド層、及びコア層で構成され、光がコア層内に閉じ込められて伝播する。なお、コート層を剥離させた光ファイバを導光路102に用いてもよい。これにより、光走査部10のサイズを小型化できる。画像を撮影する場合、導光路102は、対象からの戻り光を取り込む。戻り光は最終的に受光部12へと導かれる。導光路102は、戻り光の取り込み効率を高めるために、光ファイバを複数本用いたものであってもよいし、マルチコアタイプの光ファイバを用いたものであってもよい。レンズ104はガラス又は樹脂により形成されるレンズである。レンズ104は、球面又は非球面レンズであって、フレネルレンズや、屈折率分布型のGRIN(gradient index)レンズであってもよい。また、レンズ104は、導光路102の出射端102aと一体化していてもよい。また、レンズ104は、1枚のレンズでなく、複数枚のレンズから構成されてもよい。
本実施形態では、導光路102の出射端102aは、接着部103を固定端として片持ち梁状に突き出している。振動部101を振動させると、自由端である導光路102の出射端102aが共振振動する。この振動によって、導光路102から出射された光はレンズ104を介して対象面に照射され、光の走査が行われる。
図3は、光走査部10を導光路102の長手方向に平行な断面で切断した断面図である。振動部101は、中空の円筒型の圧電素子1010の外周に、電極1011、1012、1013、1014を配置し、また内周に電極1015を配置して構成される。4つの電極1011、1012、1013、1014は、圧電素子1010の内周に配置されてもよい。圧電素子1010の中空部分には、導光路102が設置される。図3に示す導光路102は、コア部102bを有する。各電極は、例えば円筒型の圧電素子1010の長手方向、つまり導光路102の長手方向に平行な長辺を有する略矩形の形状である。向かい合う電極1011と電極1012、電極1013と電極1014を各々ペアとして正弦波の電圧を印加することで、導光路102の自由端である出射端102aを振動させる。また、異なるペアに印加する正弦波の位相を略90度ずらした波形とすることで、出射端102aが円軌道で振動する。また、印加する正弦波の振幅を時間的に変化させることで、出射端102aは螺旋状の軌道を描く。この結果、導光路102から出射された光は対象面において螺旋状の軌跡を描き、光の2次元走査が可能となる。
ここで、図3に図示するようにx軸、y軸を定義する。また、電極1011に印加される電圧をVdx1、電極1012に印加される電圧をVdx2、電極1013に印加される電圧をVdy1、電極1014に印加される電圧をVdy2と定義する。本実施例の構成の場合、アクチュエータとして機能する圧電素子1010は、電極1011と電極1015で挟まれる領域、電極1012と電極1015で挟まれる領域、電極1013と電極1015で挟まれる領域、電極1014と電極1015で挟まれる領域、の4つの領域に分けて考えることができる。
図4は照明部11と受光部12、そして光走査部10内の分波部108との関係を示す図である。照明部11は光源部1101と合波部1102から成る。光源部1101は少なくとも1以上の光源を有しており、光源から出た1以上の光は合波部1102によって合波され、光ファイバ(図示しない)を通じて、光走査部10内の分波部108に導光される。本実施例の光源部1101には光の3原色である赤、緑、青の各色に対応したレーザが搭載されており、合波部1102によって任意の色を導光する。分波部108は照明部11からの光を導光路102に導光する機能を有し、この結果、導光路102の出射端102aから光が出射される。更に分波部108は、導光路102に取り込まれた、対象からの戻り光を受光部12へと導く。受光部12はカメラにおける受光部に相当し、対象からの戻り光の強度に応じた情報を出力する。受光部12は例えば、カラーフィルタとレンズ、ディテクタから構成される。
本実施例の映像装置1のように、導光路102から成る片持ち梁の共振を用いて光の走査を行う光走査部10を用いる場合の課題として、特許文献2にも述べられているように、導光路102からの出射光が理想的な軌跡を描かず、投影画像に歪みが生じることが挙げられる。光走査部10による投影画像の歪みについて、図5を用いて説明する。投影画像として、図5(a)に示すような映像を投影する場合を考える。図5(a)は半径が異なる複数の同心円と、同心円の中心を通り傾きの異なる複数の直線から成る画像である。理想的には、投影面には図5(a)と同一の像が描画される。しかしながら、実際に投影される像は図5(b)に示すように歪む。
続いて本実施例における駆動信号生成部20の構成について、図6を用いて説明する。駆動信号生成部20は、極座標生成部2001、第一の正弦波生成部2002、第二の正弦波生成部2003、振幅変調波形生成部2004、第一の可変ゲイン2005、第二の可変ゲイン2006、第一の乗算器2007、第二の乗算器2008、第一の反転ゲイン2009、第二の反転ゲイン2010を備える。駆動信号生成部20は、VX1、VX2、VY1、VY2の4つの駆動信号を出力する。極座標生成部2001は投影面におけるレーザの軌跡が螺旋状の軌跡を描くように、半径rdrv、角度θdrvを生成する。半径rdrv及び角度θdrvは時間の関数であり、角度θdrvが0度から360度まで回転する周波数は、導光路102から成る片持ち梁の共振周波数に略一致する。半径rdrv及び角度θdrvはリマッピング制御部21にも送られる。
第一の正弦波生成部2002は角度θdrvに基づき、第一の正弦波を生成する。第一の正弦波生成部2002から出力された第一の正弦波は、第一の可変ゲイン2005で振幅が変更され、X軸駆動正弦波S1となる。第一の可変ゲイン2005における倍率は、コントローラ40から指示される。第二の正弦波生成部2003は角度θdrvとコントローラ40からの指令信号に基づき、第一の正弦波に対して所定の位相差を有する、第二の正弦波を生成する。第二の正弦波生成部2003から出力された第二の正弦波は、第二の可変ゲイン2006で振幅が変更され、Y軸駆動正弦波S2となる。第二の可変ゲイン2006における倍率は、コントローラ40から指示される。
振幅変調波形生成部2004は半径rdrvに基づき、振幅変調波形S3を生成する。第一の乗算器2007は、X軸駆動正弦波S1と振幅変調波形S3との乗算を行う。乗算された波形は電圧Vx1となると共に、第一の反転ゲイン2009にて振幅が反転され、反転された波形は電圧Vx2となる。また、第二の乗算器2008は、Y軸駆動正弦波S2と振幅変調波形S3との乗算を行う。乗算された波形は電圧Vy1となると共に、第二の反転ゲイン2010にて振幅が反転され、反転された波形は電圧Vy2となる。本実施例において電圧Vx1、Vx2、Vy1、Vy2は、増幅部30にて増幅されて電圧Vdx1、Vdx2、Vdy1、Vdy2となる。これらの電圧は光走査部10内の振動部101に設けられた電極に印加される。このように、本実施例の振動部101に設けられた電極のうち、互いに対向する電極には極性の異なる正弦波が印加される。この条件にて、図2で示した軸の方向に変位するように、振動部101が構成されているものとする。本実施例の振動部101は圧電素子であるので、圧電素子の分極を実施する際の方向により、上記の構成を実現できる。
本実施例における駆動信号生成部20内部の波形について、図7を用いて説明する。図7(a)は第一の正弦波S1、(b)は第二の正弦波S2、(c)は振幅変調波形S3である。第一の正弦波S1と第二の正弦波S2はいずれも同一の周期T1を有する正弦波である。第一の正弦波S1と第二の正弦波S2はコントローラ40から指示された所定の位相差だけ位相が異なっており、約90度異なる。即ち、第二の正弦波S2は余弦波と呼んでも良い。また、第一の可変ゲイン2005及び第二の可変ゲイン2006における倍率により、第一の正弦波S1と第二の正弦波S2は振幅が異なる場合がある。
また、振幅変調波形S3は周期T2ごとに同様の波形が繰り返される。更に、図7に示すAの期間で振幅が0から線形に増加し、Bの期間で振幅が線形に減少して0に戻る波形である。Aの期間がレーザの点灯期間、Bの期間がレーザの消灯期間を示している。
図7(d)は電圧Vx1であり、図7(e)は電圧Vy1である。周期T2の期間が映像表示における1フレームに対応する。本実施例の振幅変調波形S3の周期T2は、周期T1の整数倍とは異なる値とする。本実施例では、第二の正弦波の位相差、第一の可変ゲイン2005における倍率、及び第二の可変ゲイン2006における倍率は、いずれもコントローラ40から指示され、周期T2の期間中、値が変化しないものとする。即ち、電圧Vx1と電圧Vy1はどのタイミングでも位相差が一定であり、また、振幅の比はどのタイミングでも一定である(即ち、第一の可変ゲイン2005における倍率と第二の可変ゲイン2006における倍率の比)。
接着部103を固定端、導光路102の出射端102aを自由端とする片持ち梁の共振周波数に対応するように周期T1を決定することで、導光路102から成る片持ち梁が共振し、出射端102aの変位が増大する。この結果、レーザの軌跡の振幅を拡大できる。以上の構成により、本実施例における駆動信号生成部20は簡易な構成にて、螺旋軌道を描くための駆動信号を生成する。
続いて、本実施例におけるリマッピング制御部21の構成について、図8を用いて説明する。リマッピング制御部21は、角度補正部2101と、座標計算部2102から構成される。角度補正部2101は、駆動信号生成部20からのθdrv、rdrvを用いて以下の演算を行い、補正角度θcalcを出力する。
座標計算部2102は、以下の演算を行い、x
calc、y
calcを出力する。
ここで関数round( )は整数への四捨五入を表す。
以上の式において、f(r)、a(r)、b(r)は半径rを引数とする関数であり、関数はコントローラ40から指示される。xcalc、ycalcは投影画像の歪みを補正するための座標情報である。この結果、表示画像格納メモリ32に格納された映像情報のうち、座標(xcalc、ycalc)に対応する画素の階調データが読み出される。階調データとは、画像を構成する画素の色に関する情報であり、例えば光の3原色である赤、緑、青の各チャネルごとに256階調のデータである。本明細書では各色の階調の値をR、G、Bで表し、階調データを(R、G、B)で表記する。
続いて、発光制御部22の動作について説明する。本実施例における発光制御部22は、表示画像格納メモリ32から供給される階調データ(R、G、B)を受け取り、それに基づいてレーザの発光を制御する。更に本実施例における発光制御部22は、コントローラ40からの指示に基づき、駆動信号生成部20から出力されるrdrvに基づいて輝度の補正を行う機能を有する。なお、コントローラ40からの指示によっては、輝度の補正を行わないことも可能である。本実施例における輝度の補正は、レーザの点灯頻度を変更することにより行う。図9は、本実施例における発光制御部22の動作を説明する図である。横軸は時刻、縦軸はレーザ発光強度である。図9(a)は通常の発光状態を示している。一方、図9(b)は輝度を低下する場合の発光状態を示している。図9(b)に示すように、輝度を下げる際、レーザの発光強度を一律下げるのではなく、レーザの点灯頻度(デューティー)を下げることで輝度を下げる。なお、図9(b)の点滅の周期は人間の眼で視認できない程度に高速であるとする。以上の構成により、光の走査に同期してレーザの発光が制御され、また半径によらず輝度が均一化される。
本実施例の映像装置1におけるコントローラ40のフローチャートを図10に示す。映像装置1が動作を開始すると(ステップS1001)、コントローラ40は記憶部41から映像装置1を構成する各部の処理に必要な情報を読み出す(ステップS1002)。この中には、関数f(r)、a(r)、b(r)に関する情報や、第一の可変ゲイン2005における倍率や第二の可変ゲイン2006における倍率、第二の正弦波生成部2003の位相差などが含まれる。
続いてコントローラ40は、入出力制御回路42を通じて外部制御装置50から表示開始の指示があるかを判断する(ステップS1003)。表示開始の指示がない場合(ステップS1003でNoの場合)は、ステップS1003に戻る。表示開始の指示があった場合(ステップS1003でYesの場合)、コントローラ40は駆動信号生成部20に指示を出し、駆動信号の出力開始を行う(ステップS1004)。本実施例においては、第一の可変ゲイン2005における倍率及び第二の可変ゲイン2006における倍率としてゼロ以外の値を設定することで出力が開始される。この際、設定される値はステップS1002で記憶部41から読み出された設定値である。
続いてコントローラ40はリマッピング制御部21に指示を出し、リマッピング制御の開始を指示する(ステップS1005)。コントローラ40はリマッピング制御部21における計算で使われる関数に関する情報を送信し、リマッピング制御が開始される。また、表示画像格納メモリ32に格納された映像情報のうち、座標(xcalc、ycalc)に対応する画素の階調データが読み出される仕組みはハードウェアで実装されており、ステップS1005によって画素の階調データが読み出しも開始される。
続いてコントローラ40は発光制御部22に指示を出し、レーザの発光制御の開始を指示する(ステップS1006)。以上により、映像の表示が行われる。なお、入出力制御回路42を通じて外部制御装置50から入力される映像信号を表示画像格納メモリ32へ格納する処理はハードウェアにて実装されており、映像信号の表示画像格納メモリ32への格納は映像装置1の軌道直後から常時、行われ続けるものとする。以降は、映像装置1が動作を終了する際のフローである。コントローラ40は、入出力制御回路42を通じて外部制御装置50から表示終了の指示があるかを判断する(ステップS1007)。表示開始の指示がない場合(ステップS1007でNoの場合)は、ステップS1007に戻る。
表示開始の指示があった場合(ステップS1007でYesの場合)、コントローラ40は発光制御部22に指示を出し、レーザの発光制御の終了を指示する(ステップS1008)。ステップS1008の後、各部の動作終了を指示し(ステップS1009)、動作を終了する(ステップS1010)。ここで各部とは、例えば駆動信号生成部20、リマッピング制御部21である。
次に、関数f(r)、a(r)、b(r)の決定方法について述べる。本実施例においてこれらの関数は、映像装置1の製造時に調整されるものとする。以降、製造時におけるこれらの調整を、歪みパラメータ調整と称する。歪みパラメータ調整は一例として、図11に示す方法で行われる。図11は歪みパラメータ調整の方法を示しており、図11(a)では投影面にPSD(Position Sensing Device)60を配置し、光走査部10を出射したレーザの走査軌跡を電圧として取得する。また、図11(b)は他の実現の形態であり、投影面にスクリーン61を配置し、カメラ62で投影面を撮影する。いずれの場合も、製造時の調整に使用するPSD60やスクリーン61、カメラ62は、映像装置1とは別であるとする。以降の説明では、図11(a)の構成を例に説明をする。
次に、歪みパラメータ調整のフローチャートを、図12を用いて説明する。歪みパラメータ調整を開始すると(ステップS1201)、映像装置1への映像信号として調整パターンを入力する(ステップS1202)。調整パターンは、例えば図5(a)の画像である。
続いて、映像装置1の動作を開始させる(ステップS1203)。これにより、PSD60上に光の走査が行われ、歪みを持った図5(b)のような像が表示される。続いて、PSD60上における調整パターンの交点の座標を取得する(ステップS1204)。交点の座標を元に、関数f(r)の決定を行い(ステップS1205)、更に関数a(r)及びb(r)の決定を行う(ステップS1206)。ステップS1206の後、関数f(r)、a(r)及びb(r)に関する情報を記憶部41に格納し(ステップS1207)、歪みパラメータ調整を終了する(ステップS1208)。
次に、本実施例による効果について説明する。本実施例の第一の効果は、投影画像の歪みを良好に補正できることである。図5を用いて説明したように、投影画像として、図5(a)に示すような映像を投影した場合、実際に投影される像は図5(b)に示すように歪む。発明者は、画像の歪み方の特定を行い、この投影像に存在する歪みを2種類に分類した。更に発明者は、2種類の歪みの各々に対して適切な補正を行うことで、歪みのない良好な投影像を実現できることを見出した。以下、発明者が見出した2種類の画像歪みの特徴について述べる。
一つ目の画像歪みは、図5(b)においてFで示したように、回転方向の歪みである。この回転方向の歪みは、回転角度によらず、一様であるという特徴を有する。二つ目の画像歪みは、最外周で円となる条件にて、螺旋状の軌跡を描くように振幅変調を行うと、内周の軌跡が楕円状になる歪みである。図5(b)においてaとbで示すように、内周においては本来は円となるべき軌跡が、長軸aと短軸bの長さが異なる楕円となる。以降、この歪みのことを内周楕円歪みと称する。この歪みは、半径に応じて楕円率が変化していくという特徴がある。
本実施例では、このような2種類の画像歪みに対して、リマッピング制御部21において各々に対して適切な補正を行う。まず、回転方向の歪みに対しては角度補正部2101によって、(数1)によって補正を行うことで補正が可能である。(数1)によって、表示画像格納メモリ32から画素情報を取得する座標の回転角度を補正する。この補正は、コントローラ40から指示される関数f(r)によって決定される。即ち、本実施例の記憶部41には、予め関数f(r)に関する情報が記憶されており、コントローラ40は記憶部41から情報を読み出して、角度補正部2101に指示を出す。
続いて、内外楕円率歪みに対しては座標計算部2102によって、(数2)及び(数3)によって補正を行う。(数2)及び(数3)によって、表示画像格納メモリ32から画素情報を取得する座標の換算を、円から楕円に変更することで補正する。この補正は、コントローラ40から指示される関数a(r)及びb(r)によって決定される。記憶部41にはこれらの関数に関する情報も同様に、記憶されている。
以上の構成により、本実施例による映像装置1は、補正を行わない場合に図5(b)のように画像歪みが発生する場合であっても、図5(a)のように歪みのない投影像を実現できる。このように、投影画像の歪みを良好に補正することができる。なお、本実施例では回転方向の歪みに対しては角度補正部2101によって、内外楕円率歪みに対しては座標計算部2102によって補正を行った。しかし光走査部10の構造によっては、回転方向の歪みと内外楕円率歪みのいずれか一方のみの歪みが顕著に現れる可能性がある。その場合には、角度補正部2101と座標計算部2102の少なくとも一方だけの補正を行ってもよい。
本実施例の第二の効果は、投影像における輝度分布を一様にすることができる点である。本実施例における光の走査は、導光路102から成る片持ち梁の共振周波数で行われるため、螺旋状軌跡の内周の1周と、外周の1周は同じ時間で1周する。そのため、内周において輝度が高くなることを発明者は見出した。図13は、シミュレーションによる輝度の計算結果である。以降、この特性を輝度特性と称する。このシミュレーションは、レーザの発光強度を一定としている。図13において半径r1は内周の所定の半径、r2は最外周の半径を示す。最外周での輝度を1としたとき、例えば内周の半径r1では、最外周の10倍の輝度になる。また、最内周部では100倍を超える輝度となる。
この輝度特性は、次のように定式化できる。図14は、微小時間dtの間にレーザの軌跡が描く微小面積dSを示している。r(t)は時間を引数として螺旋状軌跡の半径を表している。本実施例においては、振幅変調波形生成部2004の生成する振幅変調波形S3のうち、Aの期間の波形に相当する関数であり、時間に比例する関数である。
微小面積dSは、(数4)で計算される。
レーザの発光強度を一定とする場合、微小時間dtの期間にレーザが照射する微小面積dSの光度をCとすると、光度Cは一定である。従って輝度をLで表すと、以下の式が成り立つ。
即ち、(数6)で定式化させる輝度特性を加味して、輝度の補正を行うことにより、輝度を均一化できる。ここで本実施例においては、r(t)は時間に比例する関数であるので、輝度の式は以下のように簡略化される。
即ち、図13の特性は、半径の反比例の関数であり、最外周の半径における値を1に規格化したものになる。例えば、半径r1は最外周の半径r2と比較して10倍の輝度であるため、r1はr2の10分の1の値である。
内外での輝度の差を補償するため、発光制御部22では図13の特性を加味して輝度の補正を行う。例えば、最外周の半径r2に対して10分の1の半径であるr1を例に取ると、輝度を10分の1に低下する補正を行う。その際、図9で説明したように、レーザの点灯頻度を10分の1に低下させることで輝度を低下する補正を行う。即ち、図9(a)は最外周での発光状態に相当し、図9(b)は内周での発光状態に相当する。
発光頻度(デューティー)をDで表すと、以下の式で発光頻度を決定することにより、(数6)の輝度特性を補償できる。
更に本実施例の場合にはr(t)は時間に比例する関数であるので、発光頻度の式は以下のように簡略化される。
レーザの発光強度を一律下げるのではなく、レーザの点灯頻度を下げることで輝度を下げることにより、階調を損なわずに輝度の低下を実現できる。これは例えば、レーザの発光強度を一律下げる方式の場合、輝度が120の画素の輝度を100分の1に低下させたい場合、レーザドライバ31の分解能以下の発光量の制御が必要となるためである。一方、発光制御部22を構成する電気回路の動作クロックは高速であり、輝度1.2相当の低輝度での発光も可能である。このように、本実施例の方式により、投影像全体で階調を維持できる。
さらに本発明の発光制御部22は、図13の特性を加味して輝度の補正を行う際、駆動信号生成部20からの半径rdrvに基づいて補正を行う。即ち、本実施例において、(数8)におけるr(t)は、駆動信号生成部20が出力する、半径rdrvである。リマッピング制御部21においてxcalc及びycalcが計算されるが、この座標から計算される、次式で表される半径rcalcを用いるべきではない。
その理由は、リマッピング制御部21における座標(x
calc、y
calc)を計算して行う補正は、レーザの軌跡を変更するのではないためである。本実施例においては、レーザの軌跡は歪みを持ったまま、表示画像格納メモリ32から画素情報を取得する座標に対して補正が行われる。レーザの軌跡は歪みを持ったままであるので、図5(b)に示した楕円の線上が、ほぼ同一の輝度となる(厳密には螺旋状なので若干の輝度差は存在する)。本実施例の構成のように、駆動信号生成部20からの半径r
drvに基づいて輝度の補正を行うことにより、適切に輝度の補正を行うことができる。
従って本実施例の発光制御部22は、レーザの点灯頻度を半径rdrvに比例して変更する。なお、これは半径rdrvが線形に変化する場合に成り立つ。(数8)に従って一般化すれば、半径rdrvの時間微分と半径rdrvとの積の絶対値を発光頻度関数と定義したとき、発光制御部22はレーザの点灯頻度を発光頻度関数に比例して変更する。
更に本実施例の発光制御部22は、レーザの特性を加味して、レーザの点灯頻度を発光頻度関数におおよそ比例するように変更するようにしてもよい。これはレーザの特性に起因して、発光頻度と実際に人間の眼で見た場合の明るさが完全には比例しないためである。そのため、本実施例の発光制御部22が制御するレーザの点灯頻度は、発光頻度関数とは若干異なった関数を用いることが望ましい。より具体的には、発光頻度関数に前記レーザの特性を掛け算した関数に比例するようにレーザの点灯頻度を変更する。これにより、より適切に輝度の補正を行うことができる。
なお、以上から明らかなように、極座標生成部2001が生成する半径rdrvは、最終的な螺旋状の軌跡における半径を意味しない。半径rdrvは、前記螺旋状の軌跡の最内周から最外周までまたは最外周から最内周までを描く間の周回数に相当する値と読み替えてもよい。
本実施例の第三の効果は、画素の欠けをなくす、もしくは低減することができる点である。本実施例の振幅変調波形S3の周期T2は、周期T1の整数倍とは異なる値とした。これにより、周回ごとにレーザの軌跡は僅かに異なった軌跡を描く。一方で、リマッピング制御部21によって、表示画像格納メモリ32から画素情報を取得する座標は各々の周回で逐次、計算をされる。この結果として、単一の周回では画素欠けがあったとしても複数の周回を通して見ると画素欠けをなくすことができる。仮に画素欠けが多い場合には、本実施例の構成により、画素欠けを低減することができる。このように本実施例によれば、映像を表示する機能を有する映像装置において、適切に画像を表示することができる。
実施例1における映像装置は、少なくとも映像を表示する機能を有する構成であった。本実施例は、映像を撮影する機能を有する場合の構成である。図15は光走査部10を備えた映像装置2を示すブロック図である。なお、実施例1のブロック図である図1と共通の構成要素については同一の番号を付し、説明を省略する。実施例1との構成上の差異は、撮影画像生成部23と撮影画像格納メモリ33、加算回数格納メモリ34であり、またブロック間の一部の結線状態やコントローラ40からの指令の内容が異なる。
受光部12からは戻り光に関連した情報Viが出力され、撮影画像生成部23に入力される。レーザを出射した光は光走査部10を介して照射される面を投影面と称する。戻り光とは投影面近傍にある対象物に光が当たり、光走査部10に戻ってきた光のことを指す。本実施例における発光制御部22は、コントローラ40から階調データを(R、G、B)を受け取る。コントローラ40が送る階調データ(R,G,B)は赤、緑、青の各チャネルが最大値を取り、白色を表すデータである。また本実施例の構成においては、コントローラ40からの指示により、発光制御部22は輝度の補正を行わない。
本実施例における撮影画像生成部23及び撮影画像格納メモリ33、加算回数格納メモリ34は、光走査部10における光の走査によって走査された光が、対象に当たって戻ってくる戻り光を画像にして、撮影機能を提供する。最終的に撮影される画像に関する情報は、撮影画像格納メモリ33に格納される。最終的に得られる画像の縦と横のサイズは所定の値であるので、その画像上の座標に対応付けた撮影画像格納メモリ33のアドレスに、情報が格納される。本実施例における撮影画像生成部23は、戻り光の強度を積分する機能を有する。撮影画像生成部23は、受光部12から対象からの戻り光に関連した情報Viを受け取る。また撮影画像生成部23は、リマッピング制御部21が出力する座標(xcalc、ycalc)を受け取る。撮影画像生成部23は入力された値を所定のタイミングごとに加算して、加算した結果を撮影画像格納メモリ33に格納する。また、加算した回数を加算回数格納メモリ34に格納する。
本実施例の撮影画像生成部23の構成と、関係するブロックとの関係について、図16を用いて説明する。撮影画像生成部23はアドレス変換回路2301、変換回路2302、加算器2303、加算パルス生成回路2304、カウントアップ回路2305、格納値リセット回路2306から成る。本実施例の撮影画像生成部23はFPGAなどで構成されるハードウェアの回路として実装されており、所定のクロックを基準として動作する。また、変換回路2302は、入力値Viを撮像画像格納メモリ33に格納するための格納情報Vconvに変換する回路である。本実施例においては、入力値Viは受光部12においてディテクタから出力された電流を電流−電圧変換した値である。更に本実施例においては、変換回路2302はアナログ−デジタル変換回路(Analog−to−digital converter)である。即ち、入力値Viは受光部12にて受光された光の光量に相当し、変換値Vconvはその値をデジタル値に変換した値である。
撮像画像格納メモリ33及び加算回数格納メモリ34は例えば、True Dual Port Ramで構成される。True Dual Port Ramは、完全に独立した2つのアクセスポートを持ち、それぞれをリード/ライト動作に使用できる。また本実施例の撮像画像格納メモリ33及び加算回数格納メモリ34はリセット端子rstを有し、この端子への入力により、格納している全データをゼロにリセットする機能を有する。
アドレス変換回路2301はリマッピング制御部21が出力する座標(xcalc、ycalc)を入力とし、撮影画像格納メモリ33において対応するアドレスを出力する。出力したアドレス情報は、撮像画像格納メモリ33のポートAのアドレス端子、及び加算回数格納メモリ34のポートAのアドレス端子に接続される。撮像画像格納メモリ33のポートAのデータ出力端子dout_aから読み出されたデータは、撮影画像生成部23に入力され、加算器2303にて変換値Vconvと加算される。その際、加算器2303において加算するタイミングは加算パルス生成回路2304の出力するパルスによって制御される。加算された結果は、撮像画像格納メモリ33のポートAのデータ入力端子din_aに接続される。
また加算パルス生成回路2304は、撮影画像格納メモリ33のポートA書き込み有効化端子weaに入力する信号も生成する。この信号は、加算器2303での加算が終了した後、1クロック間だけHighとなった後にLowになる信号である。以上の構成により、撮像画像格納メモリ33のポートAの読み出し端子dout_aから読み出されたデータに変換値Vconvを加算した値が、撮像画像格納メモリ33に再び格納される。また、加算パルス生成回路2304は、外部から加算を停止する指示を受ける構成であってもよい。更に加算パルス生成回路2304は、加算器2303に加算を指示するパルスを送出するごとに、カウントアップ回路2305にも指示を出す。
加算回数格納メモリ34のポートAのデータ出力端子dout_aから読み出されたデータは、カウントアップ回路2305に入力される。カウントアップ回路2305では、加算パルス生成回路2304からの指示に基づき、加算回数格納メモリ34のポートAのデータ出力端子dout_aから読み出されたデータに1を加算する。これにより、リマッピング制御部21が出力する座標が(xcalc、ycalc)である期間に、加算器2303において加算が実行された回数をカウントする。カウントした結果は加算回数格納メモリ34のデータ入力端子din_aに接続される。
更にカウントアップ回路2305は加算回数格納メモリ34のポートA書き込み有効化端子weaに入力する信号も生成する。この信号は、カウントアップ回路2305でのカウントアップが終了した後、1クロック間だけHighとなった後にLowになる信号である。また、カウントアップ回路2305は、加算が実行された回数が所定の回数になったことを他のブロックに通知する機能を有していてもよい。
加算パルス生成回路2304が上記動作を繰り返すことにより、リマッピング制御部21が出力する座標が(xcalc、ycalc)である期間に変換された変換値Vconvを加算していった結果が、撮影画像格納メモリ33において対応するアドレスに格納される。更に、リマッピング制御部21が出力する座標が(xcalc、ycalc)である期間に加算を行った回数が、加算回数格納メモリ34において対応するアドレスに格納される。
また、格納値リセット回路2306は、アドレス変換回路2301が出力した出力したアドレス情報を用いて、撮像画像格納メモリ33及び加算回数格納メモリ34に格納されている値をリセットするためのリセット信号を出力する。格納値リセット回路2306を出力したリセット信号は、撮像画像格納メモリ33のrst端子及び加算回数格納メモリ34のrst端子に接続される。
本実施例の格納値リセット回路2306は、アドレス変換回路2301が出力した出力したアドレス情報が所定のアドレスに一致すると、リセット信号を出力する。これにより、撮像画像格納メモリ33には1フレームの間に、リマッピング制御部21が出力する座標が(xcalc、ycalc)である期間に変換された変換値Vconvを加算していった結果が格納される。更に、加算回数格納メモリ34には1フレームの間に、リマッピング制御部21が出力する座標が(xcalc、ycalc)である期間に加算を行った回数が格納される。
撮像画像格納メモリ33及び加算回数格納メモリ34のポートBのアドレス端子addr_bは入出力制御回路42からの信号が接続されており、またポートBのデータ出力端子dout_bは入出力制御回路42へ接続される。この結果、外部制御装置50は入出力制御回路42を介して、撮像画像格納メモリ33及び加算回数格納メモリ34に格納されたデータを得ることができる。外部制御装置50において、あるアドレスに格納されている撮像画像格納メモリ33の値を、同じアドレスに格納されている加算回数格納メモリ34の値で割る演算を行うことにより、変換値Vconvの平均値が得られる。本実施例の構成の場合、1フレーム間における変換値Vconvの平均値を得ることができる。
なお、本実施例では撮像画像格納メモリ33の値を、同じアドレスに格納されている加算回数格納メモリ34の値で割る演算を映像装置2の外部で行う構成としたが、映像装置2の内部に割り算回路を設けて、映像装置2の内部で行っても良い。その場合、外部制御装置50は入出力制御回路42を介して、変換値Vconvの平均値を直接受け取ることができる。また、リマッピング制御部21が出力する座標が(xcalc、ycalc)である期間に変換された変換値Vconvの平均値を最終的に得るための回路構成は様々な形態が考えられ、本実施例の撮影画像生成部23の構成はその一例にすぎない。
また、本実施例の場合には変換回路2302は単純なアナログ−デジタル変換回路であるので、抽象化された表現では入力値Viと変換値Vconvは同じものと見なすことができる。その場合には、「リマッピング制御部21が出力する座標が(xcalc、ycalc)である期間に変換された変換値Vconvの平均値」とは、「リマッピング制御部21が出力する座標が(xcalc、ycalc)である期間に入力された入力値Viの平均値」、と表現しても問題はない。
次に、本実施例による効果について説明する。本実施例の第一の効果は、撮像画像の歪みを良好に補正できることである。これは、実施例1の第一の効果と同様である。即ち、リマッピング制御部21において2種類の画像の歪みの各々に対して適切な補正を行うことで、戻り光を正しい座標に配置して撮像画像格納メモリ33に格納できる。なお、実施例1におけるリマッピング制御部21が、撮像を行う場合にもそのまま利用可能である。従って、映像を撮影する機能を有する映像装置2の場合の歪みパラメータ調整は、実施例1の場合と同様に行えばよい。
本実施例の第二の効果は、撮像画像におけるS/Nを向上することができる点である。投影面における光の軌跡と、撮像画像の1ピクセルに対応する投影面上の領域との関係について、図17を用いて説明する。点A、点B、点C、点Dで囲まれる正方形が、撮像画像の1ピクセルに対応する投影面上の領域を示す。軌跡C1、C2、C3は光の軌跡であり、軌跡C1の次の周回の軌跡がC2、C2の次の気軌跡がC3である。また、黒丸は本実施例の加算パルス生成回路2304が、加算器2303に加算を指示するパルスを送出するタイミングを示している。図17においては、撮像画像の1ピクセルに対応する領域内に合計9つの黒丸が存在する。図17に示すように、本実施例の光走査部10を用いた光の走査では、1ピクセルに対応する投影面上の領域内に、複数の光の軌跡が通過することが起こりうる。そのため、受光部12で受光される光量をどのタイミングで取得するかが問題となる。一般に、ディテクタからの電流出力を積分すると、撮像画像におけるS/Nを向上することができる。
例えば、内部値にVconvを加算していき加算平均を取る回路において、リマッピング制御部21が出力するピクセルの座標が(xcalc、ycalc)に切り替わるタイミングごとに内部値にリセットをかける動作であると、図17の場合には軌跡C3の時に内部値がリセットされてしまい、1回のVconvのデータしか取得できない。なお、リマッピング制御部21が出力する座標が(xcalc、ycalc)に切り替わるタイミングとは、隣のピクセルから座標が(xcalc、ycalc)のピクセルに移動するタイミングと読み替えても構わない。本実施例の光走査部10を用いた光の走査は螺旋状の軌跡となるため、このように最後にピクセルを通過する軌跡C3がピクセルの領域に存在する時間が短い場合が存在するという特徴がある。そのため、ピクセルの切り替わりを用いず、本実施例のようにアドレスに対応付けた加算を行う構成が好ましい。そのため、複数の軌跡にまたがっても変換値Vconvを平均化することが好ましい。更に本実施例の構成によれば、図17に示す9個全ての黒丸のタイミングでVconvを取得して加算し、最終的にVconvの平均値を得る。この結果、撮像画像におけるS/Nを向上することができる。
更に、本実施例の構成は、螺旋状の軌跡となるがゆえの効果を有する。図13で示した輝度の特性の縦軸は、レーザスポットがその半径に存在する合計時間と考えることができる。説明のため、レーザスポットがある半径に存在する合計時間のことを滞留時間と呼ぶことにする。このことは、映像を撮像する上では、内周ほどレーザスポットが1ピクセルの領域内に存在する合計時間が長いことを意味し、本実施例の構成を取ることでS/N向上が可能であることを本発明者は見出した。言い換えれば、図17における黒丸の数、即ち平均化回数は、内周ほど多く配置することができる。以下、詳細に説明する。
図13の特性は(数7)で表されるように、半径に反比例する関数である。一方、なるべく多くの平均化回数を稼ぐ場合には、加算パルス生成回路2304が、ハードウェアとして対応できる最も高速な周期で加算器2303に対してパルスの送出を繰り返すことになる。即ち、平均化回数の上限は、滞留時間に比例し、これは即ち、半径に反比例する。以降の説明では、なるべく多くの平均化回数を稼ぐ場合を考え、平均化回数は上限の値とすることを前提にする。
本実施例の映像装置2が描く螺旋状の軌跡の半径を1とし、その半径における滞留時間を1と規格化する。例えば半径0.5の円上においては、滞留時間は2倍となり、半径0.5以下の領域での滞留時間は2倍以上となる。即ち、本実施例によれば、半径1の円形の撮像画像の中心、半径0.5以下の領域では最外周に対して2倍以上のS/N向上を実現できる。半径0.5以下の領域は撮像画像全体の4分の1の面積に相当するため考慮する上で無視できない大きさを有し、また、人間が注視する傾向にある視野の中心部に相当する。そのため、この領域でS/Nが向上することは大きな効果を有する。この効果は、図17において黒丸で示した9つのタイミング全ての変換値Vconvを加算して平均を取る構成を取っているために得られる。
次に、実施例2の第一の変形例について述べる。映像装置2を示すブロック図である図15、及び画像生成部の周辺のブロック図である図16は、実施例2と共通である。第一の変形例では、加算パルス生成回路2304とカウントアップ回路2305の内部の回路の動作が異なり、図16に示す結線状態は実施例2と共通である。第一の変形例では、リマッピング制御部21が出力する座標が(xcalc、ycalc)になる期間に、所定の回数のみ加算を行う。
本変形例における加算パルス生成回路2304は、実施例2の場合と同じ機能を有し、更に、カウントアップ回路2305からの指示に基づいて、加算器2303に加算を指示するパルスの送出を停止する機能を有する。本変形例におけるカウントアップ回路2305は、実施例2の場合と同じ機能を有し、更に、カウント値が所定の閾値以上の場合に、加算パルス生成回路2304に対して加算を停止する指示を出す。ここでは一例として、所定の閾値は8であるとする。
以上の構成により、撮影画像格納メモリ33には最終的に8回分の変換値Vconvの加算結果が格納される。なお、最外周であっても1ピクセルの領域内に加算器2303に加算を指示するパルスが8回以上送出されるものとする。
本変形例の効果は2点ある。本変形例の第一の効果は、内周部での飽和を防止できることである。図13の輝度特性において、最内周部では100を超える輝度となる。これは実施例2の構成で撮像する上では、撮影画像格納メモリ33には変換値Vconvを100回以上加算した値が格納されることを意味する。撮影画像格納メモリ33はデジタル回路であるので、値が飽和してしまう可能性がある。または、飽和しないように設計すると外周部にて量子化誤差が問題となる可能性がある。本変形例の構成によれば、加算回数を8回で区切っており、上述した飽和などの問題は起こらない。
本変形例の第二の効果は、割り算を省略できる点である。撮影画像格納メモリ33はデジタル回路であるので、撮影画像格納メモリ33に格納された加算値はデジタル値で格納されている。デジタル値において8で割ることは、デジタル値を2進数にして3つビットシフトすることで容易に実現できる。この3ビットシフトは外部制御装置50にて行ってもよいし、または、映像装置2内部にて行ってもよい。いずれの場合にしても、割り算を省略することができるため、少ない回路容量で平均値を得ることができる。このように、本変形例の場合の前記所定の閾値は、2のべき乗であることが望ましい。
次に、実施例2の第二の変形例について述べる。実施例2の第一の変形例は、実施例2の構成と兼用することが可能である。本変形例はこの点に着目し、外周は実施例2の構成、内周は実施例2の第一の変形例とする。
内周と外周の切り替わり目は、一例として、最外周の半径r2の10分の1の値であるr1とする。これにより、r1以上の半径の領域では実施例2の効果を得ることができる。r1の半径では、最外周に対して10倍のS/N向上を実現できる。r1以下の半径においては、変換値Vconvの加算回数を所定の閾値で制限する。ここで所定の閾値は、実施例2の構成において、半径r1での加算回数と同一の値とする。なお本変形例の場合には、Vconvの平均値を求めるための割り算は、実施例2の場合と同様、必要になる。
本変形例の第一の効果は、積分によるS/N向上という実施例2の効果と、飽和の回避という実施例2の第一の変形例の効果の、両方の効果を発現できる点である。本実施例では内周と外周の切り替わり目は、一例として、最外周の半径r2の10分の1の値r1とした。この結果、r1以下の半径でのS/N向上は、最外周と比較して一律10倍となる。これは例えば、最外周に対して10倍のS/N向上があれば十分な場合を想定している。また、10倍程度であれば、飽和や量子化誤差といった問題の可否は容易になる。即ち、実施例2と実施例2の第一の変形例を半径によって切り替えることにより、両方の効果を発現できる。
また、第二の効果は、内周と外周の切り替わり目における撮像画像の不連続を回避できる点である。本実施例においては、ここで所定の閾値は、実施例2の構成において、半径r1での加算回数と同一の値とした。Vconvを加算する回数に着目する。最外周における回数を基準とすると、内周に向かうに従って加算する回数が増加し、半径r1にて10回となる。そして半径r1以下の領域では一律、10回である。このように、本変形例の構成によれば、半径r1での回路の動作の切替り箇所において、加算回数が連続となる。この結果、内周と外周の切り替わり目における撮像画像の不連続を回避できる。
次に、実施例2の第三の変形例について述べる。本変形例は、フレーム間で平均化を行う構成である。本変形例は実施例2の構成と共通である。本実施例の加算パルス生成回路2304はアドレス変換回路2301が出力した出力したアドレス情報が所定のアドレスに一致した回数をカウントし、カウント値が所定の回数になるとカウント値をゼロに戻すとともに、リセット信号を出力する。この構成により、例えば所定の回数が5回である場合には、撮像画像格納メモリ33には、リマッピング制御部21が出力する座標が(xcalc、ycalc)である期間に変換された変換値Vconvを、5フレームの期間に渡って加算していった結果が格納される。更に、加算回数格納メモリ34には、5フレームの期間に渡って上記の加算を行った回数が格納される。この結果、5フレーム間における変換値Vconvの平均値を得ることができる。
このように、リマッピング制御部21が出力する座標が(xcalc、ycalc)である期間に変換された変換値Vconvの平均値を最終的に得るための回路構成は様々な形態が考えられる。本実施例では同一フレーム中の、座標が当該ピクセルである期間に、加算した値を格納する実現方法である。第一の変形例は、同一フレーム中の、座標が当該ピクセルである期間に、8回の加算をした値を格納する実現方法である。第二の変形例は、半径に応じて加算回数の上限を切り替える実現方法である。更に、前述したように、映像装置2の内部に割り算回路を設けて、平均値を格納する構成であってもよい。このように、格納する値は、加算した値や平均化した値、またはそれらを所定の条件で切り替えた値などが考えられる。そのため、格納する値は、「所定の処理を施した値」と抽象化できる。
また、第三の変形例では複数のフレームに渡って、座標が当該ピクセルである期間に、加算した値を格納する実現方法である。この場合にも同様に、様々な他の形態が考えられるため、格納する値は、「所定の処理を施した値」と抽象化できる。なお「複数のフレームに渡って」は、「螺旋状の軌跡を所定の回数だけ描画する期間に渡って」と言い換えることもできる。このように本実施例によれば、映像を撮像する機能を有する映像装置において、適切に画像を撮像することができる。
実施例2は映像を撮影する機能を有する場合の構成であった。本実施例では、TOF(Time Of Flight)方式を用いて対象までの距離を計測し、距離画像を取得する場合の構成である。
図18は、光走査部10を備えた距離計測装置3を示すブロック図である。なお、実施例2のブロック図である図1と共通の構成要素については同一の番号を付し、説明を省略する。実施例2との構成上の差異は、撮影画像生成部24と、発光制御部22が発光したタイミングを示す信号Psを撮影画像生成部24へ入力する点である。
本実施例における撮影画像生成部24及び撮影画像格納メモリ33、加算回数格納メモリ34は、光走査部10における光の走査によって走査された光が、対象に当たって戻ってくるまでの時間から対象までの距離を計算し、距離の画像を生成して、撮影機能を提供する。最終的に撮影される距離画像に関する情報は、撮影画像格納メモリ33に格納される。最終的に得られる画像の縦と横のサイズは所定の値であるので、その画像上の座標に対応付けた撮影画像格納メモリ33のアドレスに、情報が格納される。
本実施例における撮影画像生成部24は、距離を計測する機能と、計測した距離を積分する機能を有する。撮影画像生成部24は、受光部12から対象からの戻り光に関連した情報Viを受け取り、距離情報を生成する。また撮影画像生成部24は、リマッピング制御部21が出力する座標(xcalc、ycalc)を受け取る。撮影画像生成部24は距離情報を所定のタイミングごとに加算して、加算した結果を撮影画像格納メモリ33に格納する。また、加算した回数を加算回数格納メモリ34に格納する。
本実施例の撮影画像生成部24の構成と、関係するブロックとの関係について、図19を用いて説明する。なお、実施例2において対応するブロック図である図16と共通の構成要素については同一の番号を付し、説明を省略する。実施例2における図16との差異は、変換回路2302が距離計測回路2307に置き換わり、距離計測回路2307に発光制御部22が発光したタイミングを示す信号Psが入力される点である。
距離計測回路2307は、信号Psと受光部12から信号Viとを入力とし、発光制御部22が発光を指示してから受光部12で戻り光が検出されるまでの時間から、対象までの距離を計測する。距離計測回路2307において計測された距離xmesは、加算器2303において撮像画像格納メモリ33のポートAのデータ出力端子dout_aから読み出されたデータと加算される。
即ち、実施例2においては入力値Viをデジタル値に変換した値Vconvを積分した結果を撮像画像格納メモリ33に格納していたが、本実施例では入力値Viを用いて計測した距離の値xmesを撮像画像格納メモリ33に格納する。なお、本実施例においては、入力値Viは受光部12においてディテクタから出力された電流を電流−電圧変換した値であってもよい。受光部12においてディテクタから出力された電流を電流−電圧変換した値に対してコンパレータで所定の電圧との比較を行い、比較した結果(ロジック値)を入力値Viとして用いてもよい。
次に、本実施例による効果について説明する。本実施例の第一の効果は、距離画像の歪みを良好に補正できることである。これは、本実施例と実施例2は撮像する点で共通しており、撮像する物理量が戻り光の強度なのか、戻り光から計測した距離なのかが異なるだけであることから、自明である。
本実施例の第二の効果は、距離画像における計測精度を向上させることができる点である。撮像画像格納メモリ33に格納する効果は、戻り光の強度を格納する実施例2の場合にはS/Nの向上であったが、戻り光から計測した距離を格納する本実施例の場合には計測精度の向上となる。そのため、実施例2の説明において、例えば「2倍のS/N向上」という表現は、本実施例に当てはめれば「2倍の計測精度向上」と読み替えてよい。このように本実施例によれば、距離を計測する機能を有する距離計測装置において、適切に距離画像を取得することができる。
以上の実施例では、リマッピング制御部21により、最終的に表示または撮像される画像の歪みを補正したが、レーザスポットの軌跡に対しての補正は行っていない。本実施例は、光走査部10を出射した光の位置を検出し、その結果に基づいて駆動信号生成部が補正を行う形態である。なお本実施例は実施例1の映像を表示する機能を有する映像装置だけでなく、実施例2の映像を撮像する機能を有する映像装置、実施例3の距離を計測する機能を有する距離計測装置に関しても同様に適用可能である。ここでは映像を表示する機能を有する映像装置を例に説明する。
図20は光走査部10を備えた映像装置4を示すブロック図である。なお、実施例1のブロック図である図1と共通の構成要素については同一の番号を付し、説明を省略する。実施例1との構成上の差異は、歪み検出部35と駆動信号生成部25の内部構造であり、またブロック間の一部の結線状態が異なる。
歪み検出部35は増幅部30からの信号を入力として後述する電気回路を構成し、振動部101に設けられた電極に供給する電圧Vdx1、Vdx2、Vdy1、Vdy2を出力する。また歪み検出部35は前記電気回路の信号を用いて振動部101の歪みを検出し、検出した結果を駆動信号生成部25へ出力する。また駆動信号生成部25は、コントローラからの指示に基づき、光走査部10において光を走査するための(複数の)駆動信号を生成する。更に駆動信号生成部25は、歪み検出部35において検出された歪みを用いて、駆動信号を制御する。
本実施例の歪み検出部35と、対応する振動部101の電極について、図21を用いて説明する。図3で説明したように、アクチュエータとして機能する圧電素子1010は4つの領域に分けて考えることができる。そこで図21では説明のために、電極1013と電極1015で挟まれる領域を例として説明する。
歪み検出部35は、コンデンサ3501、コンデンサ3502、コンデンサ3503、フィルタ3504、フィルタ3505、差分回路3506、から構成される。ここで電気回路351は歪みを検出するために構成されるブリッジ回路である。電気回路351は電圧Vy1を入力として、振動部101の外周の電極1013に印加する電圧Vdy1と振動部101の内周の電極1015に印加する電圧V0を出力する。また、歪みを演算するための電圧v1とv2を出力する。
図21に示すように、電気回路351において、コンデンサ3501の一端には電圧Vy1が印加される。またコンデンサ3501の他方の端は振動部101の外周の電極1013に接続される。また振動部101の内周の電極1015はグランドに接地される。この回路は、電極1013と電極1015で挟まれる圧電素子1010が、コンデンサ3501に直列に接続されていると見ることができる。また、電極1013と電極1015で挟まれる圧電素子1010とコンデンサ3501が直列に接続された回路に対して、電圧Vy1が印加されると見ることもできる。また、コンデンサ3502の一端には同じく電圧Vy1が印加される。またコンデンサ3502の他方の端はコンデンサ3503を介してグランドに接地される。
電気回路351は、コンデンサ3501と圧電素子1010とを結ぶ電気配線の電圧をv1として、出力する。言い換えれば、電極1013に加わる電圧Vyd1をv1として出力する。またコンデンサ3502とコンデンサ3503とを結ぶ電気配線の電圧をv2として出力する。フィルタ3504は所定の周波数特性を有するフィルタである。また、フィルタ3505はフィルタ3504と同一の周波数特性を有するフィルタである。フィルタ3504は電圧v1を入力として、通過した信号を差分回路3506に出力する。フィルタ3505は電圧v2を入力として、通過した信号を差分回路3506に出力する。
差分回路3506は、フィルタ3504及びフィルタ3505の出力信号を用いて、電気回路351から出力される電圧v1と電圧v2の差分であるv2−v1に相当する電圧をDy1として出力する。後述するが、この電圧Dy1は、電極1013と電極1015で挟まれる圧電素子1010の領域において検出された歪みに相当する。歪み検出信号Dy1は、駆動信号生成部25に出力される。以上の説明では電極1013と電極1015で挟まれる領域を例として説明したが、それ以外の3つの電極に関しても同様である。即ち、同様の回路を4つの電極全てに関して構成することで、電極1011に関して構成される回路からは歪み検出信号Dx1、電極1012に関して構成される回路からは歪み検出信号Dx2、電極1014に関して構成される回路からは歪み検出信号Dy2が、同様に出力される。なお、これら3つの電極に関して構成される回路は、図21においては図示していない。
本実施例における電気回路351の動作を、図22に示す等価回路を用いて説明する。図22は、電気回路351と、外周の4つの電極のうちの一つと内周電極1015で挟まれる圧電素子1010の領域(以下、圧電素子1010の部分領域と呼ぶ)とで構成されるブリッジ回路を示したものである。電圧vcはブリッジ回路に印加される電圧であり、図21においてはVy1に相当する。また外周の4つの電極のうちの一つと内周電極1015で挟まれる圧電素子1010は、等価回路3507で表現できる。等価コンデンサ3508は圧電素子1010の部分領域と等価な容量Cpを持つコンデンサであり、電圧源3509は圧電素子1010の部分領域が歪むことで発生する電圧を等価的に示している。
ここで、コンデンサ3501とコンデンサ3502の容量をC2と共通にし、コンデンサ3503の容量をC1とする。電気回路351における電圧v1及びv2は、以下の式で計算される。
ここで、コンデンサ3503の容量C
1を、圧電素子1010の部分領域の容量C
pと同一となるように調整すると、以下の演算によって電圧源3509の値v
pを取り出すことができる。
電圧源3509の値v
pは圧電素子1010の部分領域が歪んだ結果、圧電効果により発生した電圧であるので、圧電素子1010の部分領域の歪みに比例する。即ち、本実施例の差分回路3506から出力される歪み検出信号Dy1は、圧電素子1010の部分領域の歪みを示す信号となる。更に、フィルタ3504及びフィルタ3505の周波数特性として、バンドパスフィルタまたはハイパスフィルタを用いることで、DCドリフトを除去できる。ここで、本実施例の振動部101は導光路102から成る片持ち梁の共振周波数で駆動されるため、片持ち梁の共振周波数はフィルタの通過域に含まれるように回路定数を設計する。
なお、本実施例では差分回路3506の前段にフィルタ3504及びフィルタ3505を設ける構成としたが、差分回路3506の後段にフィルタを設けてもよいことは明らかである。但し、本実施例のように差分回路3506の前段にフィルタを設けることで、DC成分を除去した信号を差分回路3506に入力できるため、DCドリフトによる飽和を防止する観点で利点がある。
続いて、本実施例における駆動信号生成部25の構成について、図23を用いて説明する。図23は本実施例における駆動信号生成部25の構成を示しており、実施例1における駆動信号生成部20の構成図である図6と共通の構成要素については同一の番号を付し、説明を省略する。実施例1における駆動信号生成部20の構成図である図6とは、第一の乗算器2007以降の回路構成、及び第二の乗算器2008以降の回路構成が異なる。
本実施例における駆動信号生成部25には、上述したブリッジ回路により検出された歪み検出信号であるDx1、Dx2、Dy1、Dy2が入力される。X軸正方向補償器2011は歪み検出信号Dx1の理想波形を内部に記憶している。X軸正方向補償器2011は歪み検出信号Dx1と理想波形との差分に対して、ゲイン及び位相の補償を行った信号を加算器2012に出力する。加算器2012は第一の乗算器2007の出力信号とX軸正方向補償器2011の出力信号を加算し、電圧Vx1として出力する。
X軸負方向補償器2013は歪み検出信号Dx2の理想波形を内部に記憶している。X軸負方向補償器2013は歪み検出信号Dx2と理想波形との差分に対して、ゲイン及び位相の補償を行った信号を加算器2014に出力する。加算器2014は第一の反転ゲイン2009の出力信号とX軸負方向補償器2013の出力信号を加算し、電圧Vx2として出力する。
Y軸正方向補償器2015は歪み検出信号Dy1の理想波形を内部に記憶している。Y軸正方向補償器2015は歪み検出信号Dy1と理想波形との差分に対して、ゲイン及び位相の補償を行った信号を加算器2016に出力する。加算器2016は第二の乗算器2008の出力信号とY軸正方向補償器2015の出力信号を加算し、電圧Vy1として出力する。Y軸負方向補償器2017は歪み検出信号Dy2の理想波形を内部に記憶している。Y軸負方向補償器2017は歪み検出信号Dy2と理想波形との差分に対して、ゲイン及び位相の補償を行った信号を加算器2018に出力する。加算器2018は第二の反転ゲイン2010の出力信号とY軸負方向補償器2017の出力信号を加算し、電圧Vy2として出力する。
次に、本実施例の効果について述べる。本実施例の第一の効果は、光の位置を検出し、制御を行うことで、光の走査精度を向上できる点である。通常、圧電素子1010に電圧が印加された状態で、圧電効果による電圧vpのみを取り出すことはできない。さらに、本実施例の圧電素子1010の場合、4つの部分領域から成る構成をしており、内周の電極1015は共通である。このような構成であっても、本実施例の構成によれば、圧電効果による電圧vpのみを取り出すことが可能である。
内周の電極1015は共通であるため、図22のブリッジ回路において圧電素子1010の部分領域の等価回路3507は電圧vcがかかる側(図22における左側)に配置することができない。この場合であっても、(数13)により、圧電効果による電圧vpのみを取り出すことが可能である。
また本実施例の構成によれば、検出された歪み検出信号に基づいてゲイン及び位相の補償を行った信号を駆動信号に加算する。この結果、歪み検出信号に基づいたフィードバック制御系が構成される。これにより、光の走査精度を向上できる。更に本実施例ではフィルタ3504及びフィルタ3505によりDC成分を除去した信号を生成しており、光の走査精度を向上する効果がある。
また本実施例の第二の効果は、正確に光の位置を検出できる点である。本発明者は、導光路102の振動した結果、振動が固定端である接着部103を通じて振動部101に伝播してくることを見出した。このことから、正確に光の位置を検出するためには、歪みを検出するセンサはなるべく接着部103に近い側に配置することが好ましい。しかしながら、追加のセンサを接着部103に近い側に配置することは、配線を取り出す観点から困難である。一方で本実施例の構成によれば、アクチュエータとして機能している圧電素子1010を、歪みを検出するセンサとしても用いる。そのため、接着部103に近い部分の圧電素子1010で発生した歪みを検出可能であり、正確に光の位置を検出できる。また、検出用の配線を駆動用の配線と共用化できる。
本実施例の第三の効果は、光の位置の検出と小型化を実現できる点である。追加のセンサを配置することなく光の位置の検出が可能であるため、小型化と両立できる。
更に、本実施例の第四の効果は、歪みの検出誤差の影響による画像の歪みを良好に補正できることである。即ち、本実施例の場合にも、実施例1の場合と同様のリマッピング制御部21による座標の補正を行う。これにより、歪み検出信号に基づいたフィードバック制御によっても残留する誤差に対して、リマッピング制御部21による座標の補正によって補正を行う。これにより、画像の歪みを良好に補正できる。
なお、本実施例にて説明した新規の構成によれば、歪み検出部35によって光走査部10を出射した光の位置を検出し、その結果に基づいて補正を行うことができる。前述の第四の効果として説明したように、リマッピング制御部21によって座標の補正を行ってもよいが、リマッピング制御部21による座標の補正を行わなくてもよい。その場合であっても、第一乃至第三の効果を得ることが可能である。
なお、本実施例では歪み検出信号を駆動信号生成部25内に設けた補償器に入力し、フィードバック制御系が構成したが、リマッピング制御部21に入力し、座標計算部2102での計算に用いてもよい。歪み検出信号により実際に光が走査している位置を検出できるため、より正確な座標(xcalc、ycalc)を出力することができる。そのため、実施例1の効果に加え、光の走査精度をより向上することができる。
次に、実施例4の第一の変形例について述べる。実施例4において歪みを検出するための電気回路351はブリッジ回路であったが、歪みを検出するための回路はこれに限定されない。本変形例は、ブリッジ回路の片方を除去した実施の形態である。
図24は、本実施例における電気回路352の等価回路を示しており、実施例4における電気回路351の構成図である図22と共通の構成要素については同一の番号を付し、説明を省略する。なお、電気回路352は、実施例4における電気回路351の代わりに置き換えるものとする。図24を見て分かるように、図22と比較して、コンデンサ3502とコンデンサ3503がなくなり、電圧v2の出力もなくなっている。
本変形例においては、実施例4における(数12)で示すv2の値は、例えばコントローラ40にて生成し、差分回路3506へ出力する。(数12)から明らかなように、v2の値は電圧vcに所定の倍率をかければ計算できる。このように、ブリッジ回路を組まない図24の回路であっても、実施例4の場合と同様に電圧源3509の値vpを取り出し、実施例4と同様の効果を得ることができる。
実施例4の第二の変形例について述べる。第二の変形例も、第一の変形例と同様、歪みを検出するための回路に関する別の実施の形態である。
図25は本変形例における電気回路353の等価回路を示しており、実施例4における電気回路351の構成図である図22と共通の構成要素については同一の番号を付し、説明を省略する。なお、電気回路352は、実施例4における電気回路351の代わりに置き換えるものとする。実施例4における電気回路351の構成図である図22との差異は、コンデンサ3501が抵抗3510に置き換わり、コンデンサ3502が抵抗3511に置き換わっている点である。なお、電気回路353は、実施例4における電気回路351の代わりに置き換えるものとする。
抵抗3510の抵抗値と抵抗3511の抵抗値をRと共通にする。電気回路353における電圧v1及びv2は、以下の式で計算される。
ここで、コンデンサ3503の容量C
1を、圧電素子1010の部分領域の容量C
pと同一となるように調整すると、以下の演算によって電圧源3509の値v
pを取り出すことができる。
(数16)をv
pから(v
2−v
1)までの伝達関数と捉えたとき、伝達関数は一般的な1次ローパスフィルタの形状であり、ゲインの特性を模式的に示すと図26(a)のようになる。周波数f
cは1次ローパスフィルタのカットオフ周波数を示し、その値は次式で表される。
ここで、実施例4の場合と同様に、導光路102から成る片持ち梁の共振周波数がローパスフィルタの通過域に含まれるように回路定数を設計してもよい。ここでは更に別の形態を説明する。本実施の形態では、片持ち梁の共振周波数がローパスフィルタの阻止域に含まれるように設計する。更に、図25に示すように微分器3512を設け、差分回路3506の出力信号を微分器に入力し、微分した信号を電圧Dy1として出力する。
この回路構成にて得られる信号は、次式で表すことができ、そのゲインの特性は図26(b)に示すような形状となる。
このように、周波数がf
c以上の帯域において、v
pから電圧Dy1までの伝達関数のゲインは一定となる。即ち、電圧Dy1はv
pに比例した信号となり、圧電素子1010の部分領域の歪みを示す信号となる。このことは、(数18)において十分大きな帯域を考えると以下の式のように近似できることからも明らかである。
また、図26(b)からも明らかなように、本変形例の構成によればDC成分を除去されるため、DCドリフトによる飽和を防止できる。
次に、本変形例の効果について述べる。本変形例は、実施例4の場合と同様、光の位置を検出し、制御を行う点は共通である。そのため、実施例4における効果は本変形例の場合にも当てはまる。
また、実施例4の第一の変形例と同様に、ブリッジ回路の片方を除去することも可能である。本変形例の場合のv2の値は、(数15)で示すように、電圧vcを所定のフィルタに通した値である。そのため例えば、コントローラ40がフィルタを通過する際の演算を計算し、v2として出力すればよい。このように本実施例によれば、映像を表示する機能を有する映像装置において、適切に画像を表示することができる。
実施例4では、アクチュエータとして機能する圧電素子1010を4つの部分領域に分け、それぞれの部分領域ごとに歪み歪み検出信号を生成した。本実施例は、4つの部分領域のうち、互いに対向する部分領域を1ペアとして、ペアごとに歪み検出信号を生成する実施の形態である。本実施例における映像装置5の構成は実施例4の場合と共通部分が多く、図による説明を割愛する。本実施例においては、歪み検出部の内部構成と駆動信号生成部の内部構成が新規の構成になる。本実施例における歪み検出部を歪み検出部36、本実施例における駆動信号生成部を駆動信号生成部26とする。
本実施例の歪み検出部36と、対応する振動部101の電極について、図27を用いて説明する。図26では説明のために、電極1013と電極1015で挟まれる部分領域及び電極1014と電極1015で挟まれる部分領域を例として説明する。実施例4において対応する図である図21と共通の構成要素については同一の番号を付し、説明を省略する。
歪み検出部36は、コンデンサ3501、コンデンサ3502、フィルタ3504、フィルタ3505、差分回路3506、から構成される。図27に示すように、コンデンサ3501の一端には電圧Vy1が印加される。またコンデンサ3501の他方の端は振動部101の外周の電極1013に接続される。また振動部101の内周の電極1015はグランドに接地される。この回路は、電極1013と電極1015で挟まれる圧電素子1010が、コンデンサ3501に直列に接続されていると見ることができる。また、電極1013と電極1015で挟まれる圧電素子1010とコンデンサ3501が直列に接続された回路に対して、電圧Vy1が印加されると見ることもできる。
また同様に、コンデンサ3502の一端には電圧Vy1が印加される。またコンデンサ3502の他方の端は振動部101の外周の電極1014に接続される。また振動部101の内周の電極1015はグランドに接地される。この回路は、電極1014と電極1015で挟まれる圧電素子1010が、コンデンサ3502に直列に接続されていると見ることができる。また、電極1014と電極1015で挟まれる圧電素子1010とコンデンサ3502が直列に接続された回路に対して、電圧Vy1が印加されると見ることもできる。
コンデンサ3501と電極1013とを結ぶ電気配線の電圧をv1として出力し、コンデンサ3501と電極1014とを結ぶ電気配線の電圧をv2として出力する。電圧v1及び電圧v2は実施例4の場合と同様に、フィルタを通過した後、差分回路3506で差分を取る。差分回路3506の出力信号は歪み検出信号Dyとして、本実施例における駆動信号生成部26に出力される。
以上の説明ではy軸方向に対向する電極である電極1013と電極1014を例として説明したが、x軸方向に対向する電極である電極1011と電極1012に関しても同様である。即ち、同様の回路を電極1011と電極1012に関しても構成することで、歪み検出信号Dxが、同様に出力される。なお、これらx軸方向に対向する電極に関して構成される回路は、図27においては図示していない。
本実施例における電気回路の等価回路を図28に示す。実施例4における等価回路である図22と共通の要素については同一の番号を付し、説明を省略する。本実施例の場合、ブリッジ回路の2箇所に圧電素子1010の部分領域が接続される構成である。等価回路3507は実施例4における説明と同様であり、電極1013と電極1015で挟まれる圧電素子1010の部分領域の等価回路である。また、等価回路3512は、電極1014と電極1015で挟まれる圧電素子1010の部分領域の等価回路である。
等価コンデンサ3513は電極1014と電極1015で挟まれる圧電素子1010の部分領域と等価な容量Cp2を持つコンデンサである。また電圧源3514は前記部分領域が歪むことで発生する電圧を等価的に示している。ここで、振動部101がy軸の正方向に歪んだとき、電圧源3509が正の電圧を出力し、電圧源3514は負の電圧を出力するものとする。これは圧電素子1010の4つの部分領域の分極を実施する際の方向により、実現できる。
このとき、電圧源3514の絶対値をvp2とすると、図28に図示するように、電圧源3514の値は−vp2と表現できる。本実施例における電圧v1及びv2は、以下の式で計算される。
ここで圧電素子1010における2つの部分領域は上下対称な構成であるので、容量C
pと容量C
p2は同一である。そのため以下の演算によって電圧源3509の値v
pと電圧源3514の値v
p2の和を取り出すことができる。
更に、圧電素子1010が歪むとき、電極1013のある上面と電極1014のある下面は同じ形状で歪むと考えるのが妥当である。従って本実施例の差分回路3506から出力される歪み検出信号Dyは、圧電素子1010のy軸方向の歪みを示す信号となる。
続いて、本実施例における駆動信号生成部26の構成について、図29を用いて説明する。図29は本実施例における駆動信号生成部26の構成を示しており、実施例1における駆動信号生成部20の構成図である図6と共通の構成要素については同一の番号を付し、説明を省略する。実施例1における駆動信号生成部20の構成図である図6とは、第一の乗算器2007以降の回路構成、及び第二の乗算器2008以降の回路構成が異なる。本実施例における駆動信号生成部26には、上述したブリッジ回路により検出された歪み検出信号であるDx、Dyが入力される。
X軸補償器2019は歪み検出信号Dxの理想波形を内部に記憶している。X軸補償器2019は歪み検出信号Dxと理想波形との差分に対して、ゲイン及び位相の補償を行った信号を加算器2020に出力する。加算器2020は第一の乗算器2007の出力信号とX軸補償器2019の出力信号を加算し、電圧Vx1として出力する。また電圧Vx1は、第一の反転ゲイン2009にて振幅が反転され、反転された波形は電圧Vx2となる。
Y軸補償器2021は歪み検出信号Dyの理想波形を内部に記憶している。Y軸補償器2021は歪み検出信号Dyと理想波形との差分に対して、ゲイン及び位相の補償を行った信号を加算器2022に出力する。加算器2022は第二の乗算器2008の出力信号とY軸補償器2021の出力信号を加算し、電圧Vy1として出力する。また電圧Vy1は、第二の反転ゲイン2010にて振幅が反転され、反転された波形は電圧Vy2となる。
次に、本実施例の効果について述べる。本実施例は、実施例4の場合と同様、光の位置を検出し、制御を行う点は共通である。そのため、実施例4における効果は本変形例の場合にも当てはまる。
更に本実施例では実施例4にはない効果がある。それはブリッジ回路のバランスの崩れを防止できる構成となっている点である。その結果として、実施例4の構成以上に、光の走査精度を向上することができる。以下、この効果について説明する。
実施例4の場合の等価回路である図22において、コンデンサ3503の容量C1は圧電素子1010の部分領域の容量Cpと同一とした。しかしながら、圧電素子1010やコンデンサ3503は温度による特性変化や経時変化などによって、電気特性が変化しうる。圧電素子1010とコンデンサ3503は特性が異なるので、例えば圧電素子1010の容量のみが温度によって変化すると、歪み検出信号が歪みを表さなくなり、制御性能が劣化する、あるいはフィードバック制御が不安定になる。更には、圧電素子1010は単純なコンデンサと等価ではなく、電気的損失が存在する。この影響によっても、歪み検出信号が歪みを表さなくなる。
一方で、本実施例の等価回路である図28では、等価コンデンサ3508の容量Cpと対応するコンデンサは、等価コンデンサ3513の容量Cp2である。これらは共に、圧電素子1010の部分容量であり、同一の寸法を有する。そのため、容量Cpと容量Cp2は同一であり、また、その温度特性や経時変化も同一と考えてよい。また、電気的損失に関しても、等価コンデンサ3508と等価コンデンサ3513では共通である。そのため、本実施例の構成によれば、ブリッジ回路に互いに対向する圧電素子1010の2つの部分領域を配置することにより、ブリッジ回路のバランスの崩れを防止できる。この結果、温度や経時変化によっても歪み検出信号の信頼性が向上する。制御性能の劣化やフィードバック制御系の不安定化が回避され、光の走査精度を向上することができる。
なお、本実施例では実施例4の構成と同様に、圧電素子1010の部分領域と直列に接続される電気回路部品がコンデンサである場合で説明した。しかし例えば、実施例4の第二の変形例のように、圧電素子1010の部分領域と直列に接続される電気回路部品が抵抗である場合にも、同様に適用可能である。この場合にも、同様の効果を得ることができる。このように本実施例によれば、映像を表示する機能を有する映像装置において、適切に画像を表示することができる。
本明細書の実施例2では映像を撮影する機能、実施例3ではTOF方式による距離画像の取得機能について、説明した。実施例2及び実施例3を包含する表現としては、「撮像」機能と呼んでよい。即ち、本明細書における「撮像」とは、一般的なカメラのような可視光における画像の取得、及びTOF方式によって得られる距離画像の取得とを含む。または「画像化」機能と呼んでもよい。
また撮像画像格納メモリ33に格納する値は、実施例2の場合には戻り光の強度を積分した値であり、実施例3の場合には戻り光から計測した距離を積分した値である。実施例2の場合の戻り光の強度と実施例3の場合の計測した距離を包含する表現としては、「戻り光に関連した情報」と呼んでよい。例えば、以上で説明した撮像機能は可視光における画像の取得と、TOFによって得られる距離画像の取得であったが、それ以外の「戻り光に関連した情報」を用いて画像化することも可能である。例えば一例として、戻り光の強度が所定の閾値以下に低下するまでの時間を計測し、その時間を撮像画像格納メモリ33に格納し、画像化してもよい。これは例えば、撮像対象が蛍光体であり、蛍光体の感度を計測する場合などが該当する。または、戻り光の時間応答を所定の期間、蓄積し、蓄積した情報から得られる情報(例えば戻り光が点滅する周期)を撮像画像格納メモリ33に格納し、画像化してもよい。このように、撮像画像格納メモリ33に格納する値は、戻り光の強度と計測距離に限らない。
実施例2及び実施例3では、戻り光に関連した情報を積分して撮像画像格納メモリ33に格納する構成で説明した。しかし、積分する機能を有しない場合であっても構わない。例えば実施例2を例に説明すれば、撮像画像生成部23の構成を変更することで、積分しない構成が可能である。その場合、変換回路2302の出力信号を撮像画像生成メモリ33のdin_a端子に接続する構成となる。これにより、加算器2303での加算が行われず、入力値Viはそのまま撮像画像格納メモリ33に格納される。また、加算器2303、加算パルス生成回路2304、カウントアップ回路2305、及び加算回数格納メモリ34は不要になり、回路容量を低減できる。またこの場合にも、リマッピング制御部21の動作は実施例2と変わらないため、実施例2の第一の効果は得ることができる。即ち、撮像画像の歪みを良好に補正できる。
更には、戻り光に関連した情報を積分以外の方法で処理して撮像画像格納メモリ33に格納しても構わない。例えば、正常値・異常値を判定して正常値のみで積分を行った積分値を格納する構成であっても構わない。または、複数の戻り光に関連した情報をデジタル的に処理して、中央値を格納する構成であっても構わない。そのため、撮像画像格納メモリ33に格納する値は、「戻り光に関連した情報または戻り光に関連した情報に対して所定の処理を施した値」と抽象化することができる。
実施例1において説明した歪みパラメータ調整で使用するPSD60やスクリーン61、カメラ62は、映像装置1には含まれないとして説明したが、映像装置1に含まれていても構わない。これにより、画像歪みの経時変化による影響があっても良好に補正することができる。
実施例4では、4つの部分領域から4つの歪み誤差信号を生成し、各々に関して補償器を設け、4つの駆動信号に加算する構成とした。しかし実施例5のように、4つの部分領域のうち、互いに対向する部分領域を1ペアとして、ペアごとに歪み検出信号を生成してもよい。その場合、例えば実施例4における歪み検出信号Dy1とDy2の平均を、y軸に関する歪み検出信号として用いてよい。
また実施例4及び実施例5は、映像を表示する機能を有する映像装置を例に説明した。しかし、実施例2の映像を撮像する機能を有する映像装置、実施例3の距離を計測する機能を有する距離計測装置に関しても同様に適用可能である。
以上の実施例では、第一の可変ゲイン2005及び第二の可変ゲイン2006の値は時間に応じて変化しない構成としたが、時間に応じて変化してもよい。この場合の構成は実施例4の場合に類似の動作となる。実施例4と違って歪み検出信号を用いずとも、第一の可変ゲイン2005及び第二の可変ゲイン2006の値は時間に応じて変化させることで、レーザスポットの走査精度を向上することが可能である。更には、第二の正弦波生成回路2003が生成する第二の正弦波の位相差を、上記に加えて時間に応じて変化させてもよい。また、角度補正部2101と座標計算部2102は説明のためにブロックを分けて説明したが、同一であってもよい。これは(数1)乃至(数3)をまとめた演算を1つのブロックで行うことも可能であることから明らかである。
以上の実施例の振幅変調波形S3は時間に応じて線形に変化する波形としたが、これに限定されない。線形でない場合の輝度の補正は(数8)に基づき決定する。半径rdrvの時間微分と半径rdrvとの積を発光頻度関数と定義したとき、レーザの点灯頻度を発光頻度関数に比例して変更すればよい。
また以上の実施例の振幅変調波形S3は振幅が0から線形に増加する期間にレーザを点灯する構成で説明した。これは内周から外周に向かって螺旋状の軌跡を描く期間にレーザを点灯することを意味する。しかし、振幅が線形に減少して0に戻る期間、即ち外周から内周に向かって螺旋状の軌跡を描く期間にレーザを点灯する構成としてもよい。
実施例2における受光部12内のディテクタは電流出力型のディテクタとして説明した。しかしCCDやCMOSといった、電流蓄積型のディテクタの場合にも、同様の構成は可能である。電流蓄積型のディテクタの場合、電流を積分した電荷が出力されるが、これは加算器2303における積分をディテクタにて行っていることと対応付けられる。そのため、ピクセルの切替りに同期して露光のOn/Offを制御し、図17のように1ピクセル内に複数の軌跡がある場合も想定して、軌跡ごとの露光時間を加味して足し合わせを行うことにより、実施例2の場合と同様の効果を得ることが可能である。しかしながら電流蓄積型のディテクタの場合には、複数の軌跡での足し合わせにおいて露光時間を加味する必要があるため、回路が複雑になる。そのため実施例2の構成は、電流出力型のディテクタを用いる方が好ましい。
また、以上の実施例では振動部101の内周の電極1015はグランドに接地されるとした。しかしグランドに設置しない構成も可能である。即ち、グランドに設置せずフローティングとしてもよい。なお、実施例4や実施例5のように歪みを検出する場合にも、グランドに設置せずフローティングとしてもよい。
以上の実施例では、導光路102から出射された光の軌跡を、螺旋状の軌跡と表現した。理想的には螺旋は外周でも内周でもほぼ円形となる。しかしながら、本明細書で明らかにしたように、導光路102から出射された光の軌跡は内周と外周で楕円率が異なる。従って、ある半径では円形でなく歪んで楕円となることがある。また、振幅を変調する速度が楕円率の変化に対して相対的に速い場合、ある周回の軌跡と次の周回の軌跡が交差する可能性もある。本明細書における螺旋状の軌跡とは、このような場合も包含した表現として理解されるべきである。そのため本明細書における螺旋状の軌跡とは、マクロに捉えると内周から外周または外周から内周に向かうように変化する軌跡を指し、ミクロに捉えると必ずしも一般的な螺旋であるとは限らない。
実施例2においては、受光部12においてディテクタから出力された電流、即ち受光された光の光量を格納する構成として、映像を撮像する映像装置の構成を説明した。また実施例3においては、受光部12においてディテクタの出力信号から距離を計測し、計測した距離の値を格納する構成として、距離計測装置の構成を説明した。本発明は映像装置、距離計測装置、どちらにも適用可能であり、「受光部で検出された戻り光に関連した情報を格納する」と抽象化できる。以上の実施例では、以上の実施例の映像装置は光走査部10を有しているので、映像装置のことを光走査装置と読み替えても構わない。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、また上述した変形例の他にも様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。