JP6900998B2 - 吐出用基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 - Google Patents

吐出用基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 Download PDF

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Description

本発明は、液滴吐出ヘッドの構成部品である吐出用基板に関し、詳しくは、優れた吐出安定性を実現し、アルカリ性の高い液滴を吐出しても腐食されず、吐出安定性を維持することができる吐出用基板に関する。また、この吐出用基板を用いた液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置に関する。
従来、吐出用基板に形成されたノズルから液滴を吐出して記録媒体上に画像形成を行う液滴吐出ヘッドが提案され、この液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出装置、例えばインクジェットプリンタが提案されている。
液滴吐出ヘッドにおいては、液滴を吐出したときに、液滴流路内において蒸気(ミスト)化した液体や、記録媒体から跳ね返る液体の影響等により、ノズル面(ノズルの吐出側開口の周囲)に液体が付着してしまうことがある。ノズル面に液体が付着していると、ノズルから液滴を吐出するときに、ノズル面に付着した液体の影響を受けて、吐出角度が曲がってしまうことが知られている。
そこで、従来、吐出安定性を確保するため、図17に示すように、ノズル面201上に撥液層202を形成した吐出用基板が提案されている(特許文献1)。この吐出用基板においては、ノズル面201に形成した酸化物層203上に撥液層202を形成している。
また、液滴吐出ヘッドは、記録媒体が例えば布地等である場合には、アルカリ性の液体を吐出することがある。この場合には、吐出用基板には、アルカリ耐性が必要となる。そこで、図18に示すように、ノズル204内の表面及びノズル204に至る液体流路内にアルカリ耐性の高い保護層205を形成した吐出用基板が提案されている(特許文献2)。この吐出用基板においては、ノズル面201及びノズル204内の表面には酸化物層203を形成し、この酸化物層203上に撥液層202を形成している。
特開平6−171094号公報 特許第5108565号公報
特許文献1に記載された吐出用基板においては、酸化物層203の一部(ノズル204の内方の臨んだ断面)が吐出する液体に曝されるので、この液体がアルカリ性である場合には、酸化物層203が腐食され、撥液層202が剥離する虞がある。
特許文献2に記載された吐出用基板においては、ノズル204内の表面に形成された撥液層202が図示されており、吐出安定性が損なわれると考えられる。吐出される液体のメニスカスの端部(エッジ)が、ノズル204の内方にある保護層205と撥液層202との境界線上に形成される蓋然性が高いからである。
そこで、本発明は、優れた吐出安定性を実現し、アルカリ性の高い液滴を吐出しても腐食されず、吐出安定性を維持することができる吐出用基板を提供することを課題とする。また、この吐出用基板を用いた液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を提供することを課題とする。
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.
液滴吐出ヘッドの構成部品である吐出用基板であって、
前記液滴吐出ヘッドから吐出される液体が通過するノズルが形成された基材を有し、
前記ノズル内の表面には、アルカリ耐性の高い保護層が形成され、
前記基材の液滴吐出側の表面には、前記保護層よりも接触角が大きい撥液層が形成されている吐出用基板。
2.
前記撥液層と前記基材との間に、酸化物層が形成されており、
前記保護層は、前記酸化物層よりもアルカリ耐性が高い前記1記載の吐出用基板。
3.
前記保護層は、前記酸化物層の前記ノズル内に臨む断面を覆っている前記2記載の吐出用基板。
4.
前記保護層は、前記酸化物層の断面とともに前記撥液層の前記ノズル内に臨む断面を覆っている前記3記載の吐出用基板。
5.
前記酸化物層は、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、カーボン(C)の少なくとも一つの酸化物からなる前記2、3又は4記載の吐出用基板。
6.
前記基材には、前記ノズルに連通し該ノズルよりも開口断面積が大きく、該ノズルから吐出される液体が通過する液体流路が形成されており、
前記保護層は、前記ノズル内の表面から連続して前記液体流路内の表面を被覆しており、その被覆厚さが、前記液体流路内の表面よりも前記ノズル内の表面において薄くなっている前記1〜5の何れかに記載の吐出用基板。
7.
前記ノズル内の表面を被覆する前記保護層は、液滴吐出側ほどテ―パ状に薄くなっている前記1〜6の何れかに記載の吐出用基板。
8.
前記保護層は、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオビウム(Nb)、チタン(Ti)、タングステン(W)、コバルト(Co)、モリブテン(Mo)、バナジウム(V)、ランタン(La)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、セリウム(Ce)、アルミニウム(Al)の少なくとも一つの酸化物、窒化物、窒酸化物、ケイ酸塩(シリケート)又はシリサイド、或いは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、又は、感光性エポキシ樹脂からなる前記1〜7の何れかに記載の吐出用基板。
9.
前記撥液層は、少なくとも、アルコキシシリル基又はホスホン酸基と、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基とを有する混合物からなる前記1〜8の何れかに記載の吐出用基板。
10.
前記基材は、シリコン(Si)、ステンレス、ニッケル(Ni)、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、又は、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる前記1〜9の何れかに記載の吐出用基板。
11.
共通液体室と、
前記共通液体室内の液体が供給されるとともに、駆動信号が供給され、供給された液体に前記駆動信号に応じて圧力を印加する複数の圧力室と、
前記1〜10の何れかに記載の吐出用基板とを備え、
前記圧力室において圧力が印加された液体が前記吐出用基板の前記ノズルを経て吐出される液滴吐出ヘッド。
12.
前記11記載の液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドの前記共通液体室に前記液体を供給する液体供給手段と、
描画データに応じた駆動信号を前記液滴吐出ヘッドの圧力室に供給する駆動回路と、
前記液滴吐出ヘッドから吐出される前記液体が付着する記録媒体の、該液滴吐出ヘッドに対する相対位置を移動操作する移動操作機構とを備えた液滴吐出装置。
本発明によれば、優れた吐出安定性を実現し、アルカリ性の高い液滴を吐出しても腐食されず、吐出安定性を維持することができる吐出用基板を提供することができる。また、この吐出用基板を用いた液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を提供することができる。
本発明の吐出用基板が用いられる液滴吐出ヘッドを示す斜視図 図1に示す液滴吐出ヘッドの断面図 本発明の吐出用基板を示す断面図 本発明の吐出用基板の他の例を示す断面図 本発明の吐出用基板のさらに他の例を示す断面図 本発明の吐出用基板のさらに他の例を示す断面図 本発明の吐出用基板のさらに他の例を示す断面図 図4に示す吐出用基板においてノズル内の保護層が薄い例を示す断面図 図5に示す吐出用基板においてノズル内の保護層が薄い例を示す断面図 図6に示す吐出用基板においてノズル内の保護層が薄い例を示す断面図 図7に示す吐出用基板においてノズル内の保護層が薄い例を示す断面図 図4に示す吐出用基板においてノズル内の保護層がテ―パ状の例を示す断面図 図5に示す吐出用基板においてノズル内の保護層がテ―パ状の例を示す断面図 図7に示す吐出用基板においてノズル内の保護層がテ―パ状の例を示す断面図 本発明の吐出用基板の製造工程を示す工程図 本発明の液滴吐出装置の構成を示すブロック図である。 従来の吐出用基板のヘッドを示す断面図 従来の吐出用基板のヘッドの他の例を示す断面図
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔液滴吐出ヘッド〕
図1は、本発明の吐出用基板が用いられる液滴吐出ヘッドを示す斜視図である。
図1に示すように、本発明の吐出用基板11は、液滴吐出ヘッドの構成部品であり、液体流路を経た液体をノズル11aから液滴として吐出する。この実施の形態は、本発明の液滴吐出ヘッドを、液滴としてインク滴を吐出するインクジェットヘッド1として構成した形態である。なお、本発明の液滴吐出ヘッドは、インク滴に限られず、種々の液滴を吐出する装置として構成することができる。
図1では、1つのインクジェットヘッド1のみを示している。一般にインクジェット記録装置には、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の各色インク用の複数のインクジェットヘッド1が搭載される。
吐出用基板11は、平面であるインク吐出面Pに二次元配列されて設けられた複数のノズル11aを備えている。これらノズル11aからは、インク吐出面Pから離間する方向(図1中の下方)に向けてインクが吐出される。
以下、複数のノズル11aが設けられたインク吐出面Pに平行な平面をX−Y平面とし、X−Y平面に平行な方向であって互いに直交する方向を、それぞれ「X方向」及び「Y方向」とする。また、X−Y平面に直交する方向を「Z方向」とする。「Z方向」のうち、インクが吐出される方向を「下方」とし、その反対方向を「上方」とする。
複数のノズル11aは、Y方向に配列された複数のノズル11aからなるノズル列が、X方向に複数列設けられて、二次元配列されている。
図2は、図1に示す液滴吐出ヘッドの断面図である。なお、図2では、複数のノズル11aのうち、4つのノズル11aについて図示している。
複数のノズル11aは、図2に示すように、吐出用基板11をなす平板状の基材11bを厚み方向(Z方向)に貫いた貫通孔として形成されている。基材11bには、ノズル11aに連通しノズル11aよりも開口断面積が大きい液体流路が形成されている。液体流路には、ノズル11aから外方に吐出される液体が通過する。
基材11bのうちのノズル11aの長さに相当する厚さ部分のみを、ノズルプレートという。吐出用基板11は、ノズル11aの長さに相当する厚さの基材11bから構成(すなわち、ノズルプレートのみから構成)してもよい。この場合には、基材11bには、液体流路は形成されない。
吐出用基板11には、複数のノズル11aからインクが吐出される方向(下方)の反対方向(上方)に、複数の基板等の板状部材が積層されている。吐出用基板11には、近い側から、圧力室基板60、スペーサ部材61及び配線基板62が積層され、積層体Aを構成している。
圧力室基板60には、複数のノズル11aに対応して連通された複数の圧力室13が二次元配列されて形成されている。圧力室基板60は、上面部に沿って振動板64を有している。圧力室13は、圧力室基板60を厚み方向(Z方向)に貫いた貫通孔が、上面側を振動板64によって閉蓋され、下面側を吐出用基板11によって閉蓋された空間である。振動板64は、圧力室13の天井面を構成しており、圧力室13の一部をなしている。
複数のノズル11a及び液体流路は、圧力室13を吐出用基板11の下面において外方(下方)に連通させている。複数のノズル11aは、圧力室13内の液体を液滴として外方(下方)に吐出する。
圧力室基板60の上面には、振動板64を介して、複数のアクチュエータ65が設けられている。アクチュエータ65は、圧力室13に対応して配置されている。アクチュエータ65は、振動板64を振動させることにより、圧力室13内に圧力を印加する。
アクチュエータ65は、圧力室基板60の上面に積層されたスペーサ部材61に設けられた複数の開口部内に位置している。この開口部は、スペーサ部材61をZ方向に貫通した透孔である。スペーサ部材61は、アクチュエータ65の厚さ(例えば50μm程度)よりも厚く形成され、その厚さは、例えば100μm程度である。したがって、アクチュエータ65は、開口部内に全体が収納された状態で設置されている。スペーサ部材61は、圧力室基板60と配線基板62との間で、アクチュエータ65及びアクチュエータ65への接続部90のZ方向に沿った厚さに対応するスペースを確保している。
アクチュエータ65は、接続部90を介して、配線基板62の下面側に設けられた配線66と電気的に接続されている。配線66は、アクチュエータ65に駆動信号を供給する図示しない駆動回路に接続されている。アクチュエータ65は、接続部90及び配線66を介して駆動回路に接続されることにより、駆動回路の制御下で動作する。
スペーサ部材61及び配線基板62には、圧力室13に連通する複数の導通路が開設されている。これら導通路は、スペーサ部材61及び配線基板62を厚み方向(Z方向)に貫いた貫通孔であり、互いに連通してインク流路を構成している。
圧力室基板60には、圧力室基板60の上面から圧力室13内にインクを供給するための流路が形成されている。この流路は、スペーサ部材61及び配線基板62に形成されたインク流路を経て、配線基板62の上方に設けられた共通液体室である共通インク室70に連通されている。したがって、圧力室13は、共通インク室70に連通されている。
共通インク室70は、配線基板62の上方に配置された筐体80内に設けられ、図示しない液体供給手段となるインク供給手段に接続される。なお、共通インク室70と配線基板62との間、及び、共通インク室70と筐体80との間には、樹脂材料やSiOからなる絶縁物層が設けられている。インク供給手段から共通インク室70に供給されたインクは、導通路及び流路を通って圧力室13に供給される。圧力室13に供給されたインクは、アクチュエータ65の動作に応じて振動板64が振動することにより、圧力が印加され、ノズル11aから吐出される。
なお、この液滴吐出ヘッドにおいて、ノズル11aは、開口断面が円形であることが好ましいが、これに限定されず、四角形やその他の形状の開口断面を有するものであってもよい。また、液体流路の開口断面は、ノズル11aの開口断面に対応して円形とすることが多いが、これに限定されず、圧力室13の開口断面に対応させてもよいし、四角形やその他の形状としてもよい。
〔吐出用基板〕
吐出用基板11は、平板状の基材11bにより形成されており、シリコン(Si)、ステンレス、ニッケル(Ni)又はその他の金属材料、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はその他の有機物材料により形成されることが好ましく、ホウ素(B)をドーピングしたシリコン(Si)も好ましい。
価格の点(安価であること)では、ステンレス、ポリイミド樹脂材料が優れており、加工の容易性では、ステンレス、ポリイミド樹脂材料が優れており、加工精度では、シリコン材料が優れており、化学的安定性では、ポリイミド樹脂材料が優れている。
近年、テキスタイル分野における液滴吐出装置の使用が拡大しており、布地を記録媒体として液滴吐出装置により画像形成を行うことが多くなってきている。液滴吐出装置による画像形成においては、旧来の捺染法に比較して、版を作る必要が無いことから少数ロットへの対応が可能であり、インク廃液の量も少ないというメリットがある。
ポリエステル等の合成繊維からなる布地に液滴吐出装置により画像形成を行う場合には、分散染料インクや昇華性インクなどの水系インクが用いられる。このような水系インクは、分散剤などの添加剤を含むことにより、液性がアルカリ性となっている。また、インクそのものの液性が中性や弱アルカリ性であっても、発色性改善等のために、液性がアルカリ性である前処理剤を塗布した布地を用いることがある。なお、普通紙用の水性インクにおいても、紙への浸透防止等の目的のため、液性がアルカリ性となっていることは多い。
図3は、本発明の吐出用基板を示す断面図である。
なお、以下の図3〜図7を用いた説明においては、吐出用基板11のうちのノズルプレート(ノズル11aの長さに相当する厚さ部分のみ)について説明する。
ノズル11a内の表面には、図3に示すように、アルカリ耐性の高い保護層30が形成されている。この保護層30は、ノズル11a内の表面から連続して、基材11bの裏面(圧力室13側)に亘って表面を被覆していることが好ましい。アルカリ性インクが接触する可能性のある箇所は全て、保護層30によって保護することが望ましいからである。
保護層30は、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオビウム(Nb)、チタン(Ti)、タングステン(W)、コバルト(Co)、モリブテン(Mo)、バナジウム(V)、ランタン(La)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、セリウム(Ce)、アルミニウム(Al)の少なくとも一つの酸化物、窒化物、窒酸化物、ケイ酸塩(シリケート)又はシリサイド、或いは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、又は、感光性エポキシ樹脂からなることが好ましい。これらは、アルカリ性の液体に対して高い耐性を示す。
保護層30のアルカリ耐性は、以下の試験方法によって確認している。すなわち、吐出用基板11に保護膜30を形成したテストピースをサンプルとして、捺染前処理液を想定したpH11の水・溶剤混合溶液の浸漬させる。浸漬条件としては、70℃で1週間とした。浸漬後のサンプルにおける保護膜30の膜厚変化を、SEMにより確認する。保護膜30の膜厚が、浸漬前後で変化がないことを、耐アルカリの合格基準とした。
そして、吐出用基板11のインク吐出側の表面(下面)、すなわち、ノズル11aの吐出側開口の周囲部(インク吐出面P)には、撥液層である撥インク性コーティング層40が形成されている。撥インク性コーティング層40は、保護層30よりも、接触角が大きく、撥水性を有している。
撥インク性コーティング層40は、少なくとも、アルコキシシリル基又はホスホン酸基と、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基とを有する混合物からなることが好ましく、例えば、「オプツール」(商品名)を用いることができる。
図4は、本発明の吐出用基板の他の例を示す断面図である。
撥インク性コーティング層40と吐出用基板11との間には、図4に示すように、酸化物層50を形成することが好ましい。この酸化物層50を設けるのは撥インク性コーティング層40の密着性を確保することが主目的であり、したがって、酸化物層50は、保護層30よりもアルカリ耐性が低くてよい。
酸化物層50は、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、カーボン(C)の少なくとも一つの酸化物からなることが好ましい。SiOのように、これらのうちの一つ元素の酸化物でもよいし、TaSiOのように、これらのうちの二つ以上の元素が結合した酸化物でもよい。これらは、撥インク性コーティング層40に対する高い密着性を確保することができる。
保護層30は、酸化物層50のノズル11a内方に臨む断面を覆うことが好ましい。酸化物層50は、必ずしもアルカリ耐性が高くないので、アルカリ性インクが接触する可能性のある断面は、アルカリ耐性の高い保護層30によって保護することが望ましい。酸化物層50の断面が保護層30によって覆われることにより、酸化物層50は、アルカリ性インクによって腐食されることがなく、撥インク性コーティング層40に対する密着性を維持することができる。
また、吐出される液体(インク)のメニスカスMの端部(エッジ)は、前述したように、保護層30と撥インク性コーティング層40との境界線上に形成される蓋然性が高い。保護層30が撥インク性コーティング層40の断面を覆っていることにより、メニスカスMの端部は、保護層30及び撥インク性コーティング層40を設けないノズル11a単体の場合と同様の位置に形成され、液滴の吐出安定性が良好である。
図5は、本発明の吐出用基板のさらに他の例を示す断面図である。
図5に示すように、保護層30は、酸化物層50の断面とともに、撥インク性コーティング層40のノズル11a内に臨む断面をも覆うことが望ましい。撥インク性コーティング層40の断面が保護層30によって覆われることにより、酸化物層50は、より確実にアルカリ性インクによる腐食が防止され、撥インク性コーティング層40に対する密着性を維持することができる。
図6は、本発明の吐出用基板のさらに他の例を示す断面図である。
図6に示すように、撥インク性コーティング層40は、保護層30のノズル11a内の下断面を覆って形成してもよい。保護層30は、酸化物層50のノズル11a内に臨む断面を覆って形成され、下断面が酸化物層50の下面に面一となっている。撥インク性コーティング層40は、酸化物層50の下面に、保護層30の下断面に亘って形成されている。
酸化物層50は、撥インク性コーティング層40及び保護層30によって覆われることにより、より確実にアルカリ性インクによる腐食が防止され、撥インク性コーティング層40に対する密着性を維持することができる。
図7は、本発明の吐出用基板のさらに他の例を示す断面図である。
図7に示すように、酸化物層50のノズル11a内に臨む断面を保護層30により覆い、保護層30の下断面を撥インク性コーティング層40により覆った場合においては、撥インク性コーティング層40のノズル11aの周囲部(保護層30の下断面を覆う部分)を、ノズル11aに向けてテーパ状に薄くしてもよい。
酸化物層50は、撥インク性コーティング層40及び保護層30によって覆われることにより、より確実にアルカリ性インクによる腐食が防止され、撥インク性コーティング層40に対する密着性を維持することができる。また、撥インク性コーティング層40のノズル11aの周囲部が、保護層30から剥離することが防止される。
以下、図8〜図14を用いて説明する吐出用基板11は、ノズル11a及びノズル11aよりも開口断面積が大きい液体流路11c(ノズル11aの上方側)が形成されている。これらの吐出用基板11においては、保護層30の被覆厚さは、液体流路11c内の表面と、ノズル11a内の表面とで等しくしてよい。ただし、製造の容易性や、液滴(インク)の吐出安定性の観点からは、液体流路11c内の表面と、ノズル11a内の表面とで、保護層30の被覆厚さを異ならせてもよい。
図8は、図4に示す吐出用基板においてノズル内の保護層が薄い例を示す断面図である。
図8に示すように、保護層30により酸化物層50のノズル11a内方に臨む断面を覆った場合において、保護層30の被覆厚さは、液体流路11c内(ノズル11aの上方側)の表面よりも、ノズル11a内の表面において薄くしてもよい。ノズル11a内の表面の保護層30の被覆厚さを厚くすることは煩雑であるので、この被覆厚さが薄くてもよいことにより、製造が容易化される。
図9は、図5に示す吐出用基板においてノズル内の保護層が薄い例を示す断面図である。
図9に示すように、保護層30により酸化物層50の断面及び撥インク性コーティング層40の断面を覆った場合において、保護層30の被覆厚さは、液体流路11c内(ノズル11aの上方側)の表面よりも、ノズル11a内の表面において薄くしてもよい。ノズル11a内の表面の保護層30の被覆厚さを厚くすることは煩雑であるので、この被覆厚さが薄くてもよいことにより、製造が容易化される。
図10は、図6に示す吐出用基板においてノズル内の保護層が薄い例を示す断面図である。
図10に示すように、撥インク性コーティング層40により保護層30のノズル11a内の下断面を覆った場合において、保護層30の被覆厚さは、液体流路11c内(ノズル11aの上方側)の表面よりも、ノズル11a内の表面において薄くしてもよい。ノズル11a内の表面の保護層30の被覆厚さを厚くすることは煩雑であるので、この被覆厚さが薄くてもよいことにより、製造が容易化される。
図11は、図7に示す吐出用基板においてノズル内の保護層が薄い例を示す断面図である。
図11に示すように、酸化物層50のノズル11a内に臨む断面を保護層30により覆い、保護層30の下断面を撥インク性コーティング層40により覆い、撥インク性コーティング層40のノズル11aの周囲部をノズル11aに向けてテーパ状に薄くした場合において、保護層30の被覆厚さは、液体流路11c内(ノズル11aの上方側)の表面よりも、ノズル11a内の表面において薄くしてもよい。ノズル11a内の表面の保護層30の被覆厚さを厚くすることは煩雑であるので、この被覆厚さが薄くてもよいことにより、製造が容易化される。
図12は、図4に示す吐出用基板においてノズル内の保護層がテ―パ状の例を示す断面図である。
図12に示すように、保護層30により酸化物層50のノズル11a内方に臨む断面を覆った場合において、保護層30の被覆厚さは、ノズル11a内の表面において、液滴吐出側ほどテ―パ状に薄くしてもよい。ノズル11a内の液滴吐出側の保護層30の被覆厚さを厚くすることは煩雑であるので、この被覆厚さがテ―パ状に薄くてもよいことにより、製造が容易化される。
また、保護層30の被覆厚さが液滴吐出側ほどテ―パ状に薄くなっていることにより、メニスカスの端部が形成される位置(保護層30と撥インク性コーティング層40との境界線上)が、保護層30及び撥インク性コーティング層40を設けないノズル11a単体の場合に近くなるので、液滴(インク)の吐出安定性が良好である。
図13は、図5に示す吐出用基板においてノズル内の保護層がテ―パ状の例を示す断面図である。
図13に示すように、保護層30により酸化物層50の断面及び撥インク性コーティング層40の断面を覆った場合において、保護層30の被覆厚さは、ノズル11a内の表面において、液滴吐出側ほどテ―パ状に薄くしてもよい。ノズル11a内の液滴吐出側の保護層30の被覆厚さを厚くすることは煩雑であるので、この被覆厚さがテ―パ状に薄くてもよいことにより、製造が容易化される。
また、保護層30の被覆厚さが液滴吐出側ほどテ―パ状に薄くなっていることにより、メニスカスの端部が形成される位置(保護層30と撥インク性コーティング層40との境界線上)が、保護層30及び撥インク性コーティング層40を設けないノズル11a単体の場合に近くなるので、液滴(インク)の吐出安定性が良好である。
図14は、図7に示す吐出用基板においてノズル内の保護層がテ―パ状の例を示す断面図である。
図14に示すように、酸化物層50のノズル11a内に臨む断面を保護層30により覆い、撥インク性コーティング層40のノズル11aの周囲部をノズル11aに向けてテーパ状に薄くした場合において、保護層30の被覆厚さは、ノズル11a内の表面において、液滴吐出側ほどテ―パ状に薄くしてもよい。ノズル11a内の液滴吐出側の保護層30の被覆厚さを厚くすることは煩雑であるので、この被覆厚さがテ―パ状に薄くてもよいことにより、製造が容易化される。
また、保護層30の被覆厚さが液滴吐出側ほどテ―パ状に薄くなっていることにより、メニスカスの端部が形成される位置(保護層30と撥インク性コーティング層40との境界線上)が、保護層30及び撥インク性コーティング層40を設けないノズル11a単体の場合に近くなるので、液滴(インク)の吐出安定性が良好である。
図4乃至図14により前述した各実施形態において、液滴(インク)の吐出安定性は、メニスカスの端部が形成される位置(保護層30と撥インク性コーティング層40との境界線上)が、保護層30及び撥インク性コーティング層40を設けないノズル11a単体の場合に近いほど優れている。最も吐出安定性が優れた実施形態は、保護層30により酸化物層50のノズル11a内方に臨む断面を覆い撥インク性コーティング層40の断面を覆わない態様(図4、図8、図12)であり、次いで、撥インク性コーティング層40のノズル11aの周囲部を、ノズル11aに向けてテーパ状に薄くした態様(図7、図11、図14)であり、次いで、撥インク性コーティング層40により保護層30のノズル11a内の下断面を覆った態様(図6、図10)であり、次いで、保護層30により酸化物層50の断面及び撥インク性コーティング層40の断面を覆った態様(図5、図9、図13)である。
また、図4乃至図14により前述した各実施形態において、耐アルカリ性は、酸化物層50が確実に覆われているほど優れている。最も耐アルカリ性が優れた実施形態は、保護層30により酸化物層50の断面及び撥インク性コーティング層40の断面を覆った態様(図5、図9、図13)であり、次いで、撥インク性コーティング層40により保護層30のノズル11a内の下断面を覆った態様(図6、図10)であり、次いで、撥インク性コーティング層40のノズル11aの周囲部を、ノズル11aに向けてテーパ状に薄くした態様(図7、図11、図14)であり、次いで、保護層30により酸化物層50のノズル11a内方に臨む断面を覆い撥インク性コーティング層40の断面を覆わない態様(図4、図8、図12)である。
なお、前述した各実施形態において、撥インク性コーティング層40は、耐久性の観点から吐出用基板11の下面全面に形成することが好ましいが、ノズル11aの吐出側開口の周囲部のみに形成してもよい。インクの吐出角度の曲がり等の問題を生じさせるのは、ノズル11aの吐出側開口の周囲部へのインクの付着だからである。
〔吐出用基板及び撥インク性コーティング層の製造方法〕
図15は、本発明の吐出用基板の製造工程を示す工程図である。
以下、前述した各実施形態の吐出用基板の製造方法について説明する。
まず、図15(a)に示すように、平板状の基材(吐出用基板の素材)11bを、シリコン材料、あるいは、ステンレス、ニッケル又はその他の金属材料、ポリイミド樹脂材料又はその他の有機物材料により形成する(第1工程)。例えば、250μm程度の厚さの平板状の基材11bを形成する。
次に、図15(b)に示すように、例えばシリコン材料からなる基材11bに対して熱酸化処理を行い、全表面に酸化物層50(SiO膜)を形成する(第2工程)。酸化物層50の厚さは、例えば、30nm〜200nmである。
次に、図15(c)に示すように、基材11bの上面にレジストパターンRを形成し、ボッシュ法を用いたDeep−RIE(Reactive Ion Etching)装置により上面よりドライエッチングを行い、液体流路11cを形成する(第3工程)。液体流路11cの開口断面は円形で、内径は、例えば、200μm〜400μmであり、高さは、例えば、100μm〜200μmである。
次に、図15(d)に示すように、液体流路11c内面を保護するため、液体流路11c内及び上面(酸化物層50上)に、例えばSiO膜を、CVD法により形成する。
次に、図15(e)に示すように、基材11bの下面にレジストパターンRを形成し、ボッシュ法を用いたDeep−RIE装置により下面よりドライエッチングを行い、SiO膜をストッパ層とすることで、ノズル11aを形成する(第4工程)。なお、基材11bをSOI(Silicon on Insulator)基板として、その中間層をストッパ層として用いてもよい。ノズル11aの開口断面は円形で、内径は、例えば、15μm〜30μmであり、高さ(長さ)は、例えば、10μm〜50μmである。
ノズル11aは、基材11bに対するレーザ加工によっても形成することができる。また、ノズル11aは、基材11bに対するポンチ加工による穴開けの後に、穴周辺を研磨して形成することができる。ノズル11aをポンチ加工により形成する場合には、ステンレスからなる基材11bを用いることが好ましい。ノズル11aの形成には、これらの何れの方法を採用してもよい。
次に、図15(f)に示すように、インク吐出面P以外の酸化物層50をドライエッチングにより除去する(第5工程)。
次に、図15(g)に示すように、インク吐出面Pを保護して、保護層30(Ta、TaSiOなど)を、ALD(Atomic Layer Deposition)、スパッタ、PE−CVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)などにより蒸着する(第6工程)。保護層30の厚さは、例えば、50nm〜100nmである。
次に、図15(h)に示すように、インク吐出面PにEB蒸着などにより撥インク性コーティング層40を形成し、アッシング、UV照射などによって、余分な部分の撥インク性コーティング層40を取り除く(第7工程)。
なお、保護層30により酸化物層50の断面及び撥インク性コーティング層40の断面を覆う態様(図5、図9、図13)の場合には、第6工程(図15(g))と第7工程(図15(h))との順序を入れ替え、保護層30を撥インク性コーティング層40よりも後に形成する。
〔液滴吐出装置〕
図16は、本発明の液滴吐出装置の構成を示すブロック図である。
本発明に係るインクジェット記録装置は、図16に示すように、前述したインクジェットヘッド1(図2参照)と、共通インク室70内にインクを供給するインク供給手段100と、インクジェットヘッド1の吐出動作を制御する制御部となる駆動回路102と、インクジェットヘッド1及び記録媒体101の相対位置を移動操作する移動操作機構104とを備えて構成される。
駆動回路102は、メモリ103から描画データを取得し、この描画データに基づいて、インクジェットヘッド1のアクチュエータ65に駆動信号を供給する。駆動信号を供給されたアクチュエータ65は、圧力室13内のインクを、記録媒体101に向けてノズル11aから吐出させる。
また、駆動回路102は、インク供給手段100を制御して、インクジェットヘッド1の共通インク室70内にインクを供給させる。インク供給手段100は、インクを貯留するインクタンク、インクタンクからインクジェットヘッド1に至る流路、流路中をインクジェットヘッド1に向けてインクを流すポンプを有している。駆動回路102は、ポンプを駆動させて、インクジェットヘッド1にインクを供給させる。
駆動回路102は、移動操作機構104を制御して、インクジェットヘッド1及び記録媒体101を相対移動操作させる。移動操作機構104は、記録媒体101を移動操作するための支持機構及び駆動機構と、インクジェットヘッド1を移動操作するための支持機構及び駆動機構とを有している。駆動回路102は、描画データに基づいて、駆動機構に駆動電流を供給して、インクジェットヘッド1及び記録媒体101を相対移動操作させる。
描画を行うときは、インクジェットヘッド1及び記録媒体101の相対移動方向は、主走査方向である。駆動回路102は、このように主走査をさせながら、複数のノズル11aから液滴を吐出させ、記録媒体101への描画データに基づく描画を行わせる。
次に駆動回路102は、描画を行わずに、副走査方向にインクジェットヘッド1及び記録媒体101を相対移動させる。このような副走査が終了すると、駆動回路102は、再び主走査及び描画を行う。このようにして、主走査及び描画と、副走査とが繰り返されることにより、記録媒体101上に、描画データに基づく画像が形成される。
本発明は、前述した各実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
前述した実施形態において、液滴吐出装置は、インク以外の他の液体を吐出する液滴吐出装置であってもよい。また、ここでいう液体は、液滴吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。
液滴吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を液滴にして吐出する液滴吐出装置がある。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する液滴吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液滴吐出装置等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液滴吐出装置、光通信素子等に用いられる半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液滴吐出装置であってもよい。また、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液滴吐出装置であってもよい。
インクジェットヘッド1の構成は、入口及び出口がそれぞれ設けられた複数の圧力室13を有し、圧力室13に対して圧電素子により圧力を付与して、圧力室13の出口に連通するノズル11aからインクを吐出させる構成のものであれば、如何なる構成であってもよい。
また、上記各実施形態にあっては、インク吐出方向が上下方向と略平行となるように構成されたインクジェットヘッド1を示したが、インク吐出方向は如何なる方向であっても良く、例えば、傾斜方向や水平方向となるように構成してもよい。
さらに、その他、駆動回路102の制御内容や具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。加えて、今回開示された各実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1:インクジェットヘッド
11:吐出用基板
11a:ノズル
11b:基材
11c:液体流路
13:圧力室
30:保護層
40:撥インク性コーティング層
50:酸化物層
70:共通インク室
100:インク供給手段
101:記録媒体
102:駆動回路
104:移動操作機構
P:インク吐出面

Claims (12)

  1. 液滴吐出ヘッドの構成部品である吐出用基板であって、
    前記液滴吐出ヘッドから吐出される液体が通過するノズルが形成された基材を有し、
    前記ノズル内の表面には、アルカリ耐性の高い保護層が形成され、
    前記基材の液滴吐出側の表面には、前記保護層よりも接触角が大きい撥液層が形成され
    前記基材には、前記ノズルに連通し該ノズルよりも開口断面積が大きく、該ノズルから吐出される液体が通過する液体流路が形成されており、
    前記保護層は、前記ノズル内の表面から連続して前記液体流路内の表面を被覆しており、その被覆厚さが、前記液体流路内の表面よりも前記ノズル内の表面において薄くなっている吐出用基板。
  2. 前記ノズル内の表面を被覆する前記保護層は、液滴吐出側ほどテ―パ状に薄くなっている請求項1記載の吐出用基板。
  3. 液滴吐出ヘッドの構成部品である吐出用基板であって、
    前記液滴吐出ヘッドから吐出される液体が通過するノズルが形成された基材を有し、
    前記ノズル内の表面には、アルカリ耐性の高い保護層が形成され、
    前記基材の液滴吐出側の表面には、前記保護層よりも接触角が大きい撥液層が形成され
    前記ノズル内の表面を被覆する前記保護層は、液滴吐出側ほどテ―パ状に薄くなっている吐出用基板。
  4. 前記撥液層と前記基材との間に、酸化物層が形成されており、
    前記保護層は、前記酸化物層よりもアルカリ耐性が高い請求項1、2又は3記載の吐出用基板。
  5. 前記保護層は、前記酸化物層の前記ノズル内に臨む断面を覆っている請求項記載の吐出用基板。
  6. 前記保護層は、前記酸化物層の断面とともに前記撥液層の前記ノズル内に臨む断面を覆っている請求項記載の吐出用基板。
  7. 前記酸化物層は、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、カーボン(C)の少なくとも一つの酸化物からなる請求項4、5又は6記載の吐出用基板。
  8. 前記保護層は、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオビウム(Nb)、チタン(Ti)、タングステン(W)、コバルト(Co)、モリブテン(Mo)、バナジウム(V)、ランタン(La)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、セリウム(Ce)、アルミニウム(Al)の少なくとも一つの酸化物、窒化物、窒酸化物、ケイ酸塩(シリケート)又はシリサイド、或いは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、又は、感光性エポキシ樹脂からなる請求項1〜7の何れかに記載の吐出用基板。
  9. 前記撥液層は、少なくとも、アルコキシシリル基又はホスホン酸基と、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基とを有する混合物からなる請求項1〜8の何れかに記載の吐出用基板。
  10. 前記基材は、シリコン(Si)、ステンレス、ニッケル(Ni)、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、又は、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる請求項1〜9の何れかに記載の吐出用基板。
  11. 共通液体室と、
    前記共通液体室内の液体が供給されるとともに、駆動信号が供給され、供給された液体に前記駆動信号に応じて圧力を印加する複数の圧力室と、
    請求項1〜10の何れかに記載の吐出用基板とを備え、
    前記圧力室において圧力が印加された液体が前記吐出用基板の前記ノズルを経て吐出される液滴吐出ヘッド。
  12. 請求項11記載の液滴吐出ヘッドと、
    前記液滴吐出ヘッドの前記共通液体室に前記液体を供給する液体供給手段と、
    描画データに応じた駆動信号を前記液滴吐出ヘッドの圧力室に供給する駆動回路と、
    前記液滴吐出ヘッドから吐出される前記液体が付着する記録媒体の、該液滴吐出ヘッドに対する相対位置を移動操作する移動操作機構とを備えた液滴吐出装置。
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