JP6900008B2 - 糸巻取機 - Google Patents
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Description
(1)供給される糸を、小型スプールの回転駆動によって当該小型スプールに巻き取る糸巻取機であって、
前記小型スプールを保持するスプール保持手段を備え、
前記糸の巻取り時に、前記スプール保持手段が、前記小型スプールの中心軸を中心に回転しながら、前記小型スプールの中心軸方向に往復移動することを特徴とする。
前記制御手段は、前記テンション検知手段が検知した前記糸のテンションに基づいて前記テンション調整手段を制御して、前記糸のテンションを所定の値に維持する。
前記制御手段は、
前記テンション検知手段が検知した前記糸のテンションが前記所定の値よりも高くなった場合に、前記正逆回転モータを制御して、前記糸のテンションを緩める方向に前記テンションバーを回動させ、
前記テンション検知手段が検知した前記糸のテンションが前記所定の値よりも低くなった場合に、前記正逆回転モータを制御して、前記糸のテンションを強める方向に前記テンションバーを回動させる。
前記制御手段は、
前記テンション検知手段が検知した前記糸のテンションが前記所定の値よりも高くなった場合に、前記駆動機構を制御して、前記糸のテンションを緩める方向に前記ガイドプーリを水平移動させ、
前記テンション検知手段が検知した前記糸のテンションが前記所定の値よりも低くなった場合に、前記駆動機構を制御して、前記糸のテンションを強める方向に前記ガイドプーリを水平移動させる。
前記糸押え手段は、上下動可能な機構と、前記上下動可能な機構の上端に取り付けられた、前記小型スプールのフランジ間の幅寸法とほぼ同じ長さを有する柔軟性素材からなる押え部材と、を含む。
(糸巻取機の全体構成)
まず、本発明の実施の形態1における糸巻取機の全体構成について、図1,図2を参照しながら説明する。
ここで、テンション調整手段80は、糸巻取機100を制御する制御手段(図示せず)によって制御される。すなわち、制御手段は、テンション検知手段70が検知した糸35のテンションに基づいてテンション調整手段80を制御して、糸35のテンションを所定の値に維持する(巻取り時の糸35のテンションが変わったら、随時、テンション調整手段80によって糸35のテンションが調整される)。
これに対し、本実施の形態の糸巻取機100の構成によれば、上記のように、糸巻取機100を制御する制御手段と、巻取り時の糸35のテンションを検知するテンション検知手段70と、巻取り時の糸35のテンションを調整するテンション調整手段80と、を備え、制御手段は、テンション検知手段70が検知した糸35のテンションに基づいてテンション調整手段80を制御して、糸35のテンションを所定の値に維持するように構成されているので、巻取り時の糸35のテンションを適正な値に維持することが可能となる。その結果、巻乱れが生じないようにすることができる。また、この場合、糸35のテンションを一定の低い値に抑えて小型スプール45に巻き取ることができるので(必要最小限のテンションで巻き取ることができるので)、小型スプール45に巻き取られる糸35に巻き癖が付いてしまうことを防止することができると共に、小型スプール45に巻き取られた糸35の使用時に当該糸35が切れてしまうことを防止することができる。
かかる構成によれば、小型スプール45に糸35を巻き終わって、当該小型スプール45を交換する際に、糸保持手段90と当該小型スプール45との間で糸35を切断することにより、糸供給機構40から供給される糸35の先端部を糸保持手段90に保持しておくことができるので、交換後の小型スプール45に直ぐに糸35を係止させることができる。その結果、糸35の巻取作業を効率良く行なうことが可能となる。
糸保持手段90は、基端部が糸巻取機100のフレームに固定されたステー95aと、当該ステー95aの先端部に回動可能に取り付けられた、糸供給機構40から供給される糸35を挟持する一対の糸保持ローラ95bと、により構成されている。ここで、一対の糸保持ローラ95bの対向面は、糸35を傷付けないよう、半硬質スポンジやフェルト等の柔軟性素材からなっている。
次に、本発明の実施の形態1における糸巻取機の構成要素である糸巻取機構の具体的構成について、図3,図4をも参照しながら説明する。
吸着治具2の先端面には、同一円周上に配置される4本のネジ12と4本の吸引孔2aを挟むようにして、2つの円環状の凸条2b,2cが形成されている。このため、小型スプール45のフランジ45bを、2つの凸条2b,2cに当接させることにより、当該2つの凸条2b,2cの間の空間を密閉状態にすることができる。従って、この状態で真空ポンプ26の真空吸引をオン状態にすれば、小型スプール45を吸着治具2の先端面に吸着保持させることができる。
このように、同一円周上に配置される4本の吸引孔2aを挟むようにして2つの円環状の凸条2b,2cを形成しておけば、小型スプール45の軸筒45aを軸芯3に挿通させて、小型スプール45のフランジ45bを、2つの凸条2b,2cに当接させることにより、小型スプール45を、吸着治具2の先端面に常に正確に位置決めすることができると共に、小型スプール45を、吸着治具2の先端面に吸着保持可能な状態に持っていくことができる。また、このような構成によれば、2つの凸条2b,2c間の距離を設定することにより、様々なサイズの小型スプール45に対応可能な吸着治具2を実現することができる。尚、吸着治具2は、塩化ビニール樹脂(PVC)、アクリル樹脂(PMMA)等を機械加工することによって形成されている。
このように、巻き取られる糸が綾振りされるのではなく、吸引ヘッド5の先端部分、すなわち、吸着治具2が、吸着保持される小型スプール45の中心軸方向に往復移動するようにされているので(図3の両矢印N参照)、巻取り時における糸35の負担を軽減することができる。その結果、小型スプール45に巻き取られる糸35に巻き癖が付きにくくなるので、糸35の品質を向上させることができる。さらに、小型スプール45の中心軸(回転軸)に対して直交する方向から当該小型スプール45に糸35を巻き取ることが可能となるので、糸35を整列にきれいに巻き取ることが容易となる。
次に、本発明の実施の形態1における糸巻取機の構成要素であるテンション検知手段及びテンション調整手段の具体的構成について、図1のほか、図5,図6をも参照しながら説明する。
図1,図5に示すように、テンション検知手段70は、左右一対の固定プーリ70a,70bと、当該左右一対の固定プーリ70a,70b間に配置され、上下に移動可能な移動プーリ70cと、を備えている。巻取り量計測機構60のエンコーダ55を経由して送り出される糸35は、固定プーリ70aの上側部、移動プーリ70cの下側部、固定プーリ70bの上側部にこの順番で掛けられた後、プーリ65d,65e及び糸保持ローラ95bを経由して小型スプール45に係止される。
そして、巻取り時の糸35のテンションが所定の値よりも高くなると、固定プーリ70aの上側部、移動プーリ70cの下側部、固定プーリ70bの上側部にこの順番で掛けられた糸35が左右外側方向に引っ張られて(図5の矢印A,B参照)、移動プーリ70cが上方に移動する(図5の矢印C参照)。
一方、巻取り時の糸35のテンションが所定の値よりも低くなると、固定プーリ70aの上側部、移動プーリ70cの下側部、固定プーリ70bの上側部にこの順番で掛けられた糸35が左右内側方向に緩んで(図5の矢印D,E参照)、移動プーリ70cが下方に移動する(図5の矢印F参照)。
移動プーリ70cの上下動に対応する信号は、糸巻取機100を制御する制御手段に送られ、当該制御手段によってテンション調整手段80の後述する正逆回転モータ80bが制御される。
図1,図6に示すように、テンション調整手段80は、中央部の支点を中心に回動可能なテンションバー80aと、テンションバー80aの支点に取り付けられた正逆回転モータ80bと、テンションバー80aの上下両端部に設けられたガイドプーリ80c,80dと、を備えている。糸供給機構40から送り出される糸35は、ガイドプーリ80cの上側部、ガイドプーリ80dの下側部にこの順番で掛けられた後、プーリ65c、巻取り量計測機構60のエンコーダ55等を経由して小型スプール45に係止される。
そして、巻取り時の糸35のテンションが所定の値よりも高くなって移動プーリ70cが上方に移動すると(図5の矢印C参照)、それに対応する信号が制御手段に送られ、当該制御手段によって正逆回転モータ80bが正転するように制御される。これにより、テンションバー80aが図1,図6の反時計方向に回動し(図6の矢印G,H参照)、固定プーリ70aの上側部、移動プーリ70cの下側部、固定プーリ70bの上側部にこの順番で掛けられた糸35が左右内側方向に緩んで(図5の矢印D,E参照)、移動プーリ70cが下方に移動する(図5の矢印F参照)。すなわち、この場合、テンションバー80aは、糸35のテンションを緩める方向に回動する。その結果、巻取り時の糸35のテンションが所定の値に維持される。
一方、巻取り時の糸35のテンションが所定の値よりも低くなって移動プーリ70cが下方に移動すると(図5の矢印F参照)、それに対応する信号が制御手段に送られ、当該制御手段によって正逆回転モータ80bが逆転するように制御される。これにより、テンションバー80aが図1,図6の時計方向に回動し(図6の矢印I,J参照)、固定プーリ70aの上側部、移動プーリ70cの下側部、固定プーリ70bの上側部にこの順番で掛けられた糸35が左右外側方向に引っ張られて(図5の矢印A,B参照)、移動プーリ70cが上方に移動する(図5の矢印C参照)。すなわち、この場合、テンションバー80aは、糸35のテンションを強める方向に回動する。その結果、巻取り時の糸35のテンションが所定の値に維持される。
テンション調整手段80を以上のように構成すれば、糸35に押圧力を及ぼすことなく(糸35への負荷を抑えつつ)、随時、糸35のテンションを適正な値に調整することができる。
小型スプール45は、糸35の巻取作業が行なわれた後、包装、ラベル貼り等の仕上げ作業が行なわれる。このように、糸35が巻き取られ、かつ、仕上げ作業が行なわれた小型スプール45を、以下、「仕上げ済みスプール」という。
以下、本実施の形態の糸巻取機100を使用して、連続的に「仕上げ済みスプール」を製造する方法について説明する。
このように、巻き取られる糸が綾振りされるのではなく、小型スプール45が、中心軸を中心に回転しながら、中心軸方向に往復移動するので、巻取り時における糸35の負担が軽減される。その結果、小型スプール45に巻き取られる糸35に巻き癖が付きにくくなり、糸35の品質が向上する。さらに、大型スプール30に巻回された糸35が、1個目の小型スプール45の中心軸(回転軸)に対して直交する方向から当該1個目の小型スプール45に巻き取られていくので、糸35が整列にきれいに巻き取られる。
一方、巻取り時の糸35のテンションが所定の値よりも低くなって移動プーリ70cが下方に移動すると(図5の矢印F参照)、それに対応する信号が制御手段に送られ、当該制御手段によって正逆回転モータ80bが逆転するように制御される。これにより、テンションバー80aが図1,図6の時計方向に回動し(図6の矢印I,J参照)、固定プーリ70aの上側部、移動プーリ70cの下側部、固定プーリ70bの上側部にこの順番で掛けられた糸35が左右外側方向に引っ張られて(図5の矢印A,B参照)、移動プーリ70cが上方に移動する(図5の矢印C参照)。その結果、巻取り時の糸35のテンションが所定値に維持される。
次いで、フットペダルスイッチ25を再度足で踏み、真空ポンプ26の真空吸引をオフ状態に切り替えて、1個目の小型スプール45を吸着治具2の先端面から取り外す。
この場合、糸供給機構40から供給される糸35の先端部は糸保持手段90に保持されているので、交換後の2個目の小型スプール45に直ぐに糸35を係止させることができる。その結果、糸35の巻取作業を効率良く行なうことができる。
次いで、上記と同様にして、2個目の小型スプール45への糸35の巻取りを行ない、当該2個目の小型スプール45への糸35の巻取りを行なっている間に、1個目の小型スプール45の仕上げを行なう(1個目の仕上げ済みスプールを製造する)。
次いで、上記と同様にして、糸保持手段90と2個目の小型スプール45との間で糸35を切断して、当該2個目の小型スプール45に係止させる。
次いで、上記と同様にして、2個目の小型スプール45を吸着治具2の先端面から取り外す。
次いで、上記と同様にして、3個目の小型スプール45への糸35の巻取りを行ない、当該3個目の小型スプール45への糸35の巻取りを行なっている間に、2個目の小型スプール45の仕上げを行なう(2個目の仕上げ済みスプールを製造する)。
次いで、上記と同様にして、糸保持手段90と3個目の小型スプール45との間で糸35を切断して、当該3個目の小型スプール45に係止させる。
次いで、上記と同様にして、3個目の小型スプール45を吸着治具2の先端面から取り外す。
(糸巻取機の全体構成)
次に、本発明の実施の形態2における糸巻取機の全体構成について、図7を参照しながら説明する。
ここで、上側のテンション検知手段170は、細い糸135を巻き取る際に用いられ、下側のテンション検知手段170は、太い糸135を巻き取る際に用いられる。また、テンション調整手段180は、糸巻取機200を制御する制御手段(図示せず)によって制御される。すなわち、制御手段は、テンション検知手段170が検知した糸135のテンションに基づいてテンション調整手段180を制御して、糸135のテンションを所定の値に維持する(巻取り時の糸135のテンションが変わったら、随時、テンション調整手段180によって糸135のテンションが調整される)。
これに対し、本実施の形態の糸巻取機200の構成によれば、上記のように、糸巻取機200を制御する制御手段と、巻取り時の糸135のテンションを検知するテンション検知手段170と、巻取り時の糸135のテンションを調整するテンション調整手段180と、を備え、制御手段は、テンション検知手段170が検知した糸135のテンションに基づいてテンション調整手段180を制御して、糸135のテンションを所定の値に維持するように構成されているので、巻取り時の糸135のテンションを適正な値に維持することが可能となる。その結果、巻乱れが生じないようにすることができる。また、この場合、糸135のテンションを一定の低い値に抑えて小型スプール145に巻き取ることができるので(必要最小限のテンションで巻き取ることができるので)、小型スプール145に巻き取られる糸135に巻き癖が付いてしまうことを防止することができると共に、小型スプール145に巻き取られた糸135の使用時に当該糸135が切れてしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態の糸巻取機200は、糸巻取機構150に着脱可能に取り付けられる小型スプール145を、その回転軸に垂直な方向に挟んで対向配置された、レーザ投光器120aと受光器120bとをさらに備えている。レーザ投光器120aから出射されたレーザ光は、小型スプール145に巻回されている糸135の厚みによって遮られる。そして、このようにレーザ光が遮られると、受光器120bに入射するレーザ光の量が減少し、この入射レーザ光量の減少により、小型スプール145に巻回されている糸135の巻き厚が分かり、当該糸135の巻き厚の時間変化から、小型スプール145への糸135の巻取り速度が算出される。
大型スプール130からの糸135の送り速度に対応する信号、及び、小型スプール145への糸135の巻取り速度に対応する信号は、糸巻取機200を制御する制御手段に送られ、当該制御手段によって大型スプール130及び小型スプール145を回転駆動させる各モータが同期して駆動するように制御される。その結果、巻取り時の大型スプール130及び小型スプール145の回転の立ち上がりを早くして、最初から高速で糸135の巻き取りを行なうことが可能となる。また、このように、任意の巻取り位置で、大型スプール130からの糸135の送り速度と小型スプール145への糸135の巻取り速度を同じにすることができるので、追い巻きを行なう場合に巻乱れが生じることを防止することができる。
また、レーザ投光器120aと受光器120bとにより、糸巻取機構150に取り付けられた小型スプール145のフランジ間の幅寸法を検出できるようにされている。小型スプール145のフランジ間の幅寸法に対応する信号は、糸巻取機200を制御する制御手段に送られ、当該制御手段によって糸巻取機構150の吸引ヘッド(図2〜図4の参照符号5参照)の先端部分の往復移動幅が小型スプール145のフランジ間の幅寸法と一致するように制御される。その結果、糸を巻き取る際に小型スプールの大きさとかを入力する必要がないので、糸の巻取作業をさらに効率良く行なうことが可能となる。
かかる構成によれば、小型スプール145に糸135を巻き終わって、当該小型スプール145を交換する際に、糸保持手段190と当該小型スプール145との間で糸135を切断することにより、糸供給機構140から供給される糸135の先端部を糸保持手段190に保持しておくことができるので、交換後の小型スプール145に直ぐに糸135を係止させることができる。その結果、糸135の巻取作業を効率良く行なうことが可能となる。
糸保持手段190は、基端部が糸巻取機200のフレームに固定されたステー195aと、当該ステー195aの先端部に回動可能に取り付けられた、糸供給機構140から供給される糸135を挟持する一対の糸保持ローラ195bと、により構成されている。ここで、一対の糸保持ローラ195bの対向面は、糸135を傷付けないよう、半硬質スポンジやフェルト等の柔軟性素材からなっている。
ところで、小型スプールには、両フランジの内面が外周に行くにしたがって次第に拡がるようなテーパー状に形成された形状のものが存在する。そして、かかる形状の小型スプールに糸を整列に巻き取ろうとすると、整列状態が崩れてしまう虞がある。
これに対し、本実施の形態の糸巻取機200の構成によれば、小型スプール145に巻き取られる糸135を押える糸押え手段125を備えているので、整列状態を崩すことなく糸135をきれいに巻き取ることが可能となる。
尚、糸押え手段125の側方には、フェルト製の押え部材125bと糸135との間の摩擦を小さくするためにフェルト製の押え部材125bにシリコンを付与するシリコン付与手段126が設けられている。
次に、本発明の実施の形態2における糸巻取機の構成要素であるテンション検知手段及びテンション調整手段の具体的構成について、図7のほか、図8,図9をも参照しながら説明する。
図7,図8に示すように、テンション検知手段170は、左右一対の固定プーリ170a,70bと、当該左右一対の固定プーリ170a,170b間に配置され、上下に移動可能な移動プーリ170cと、を備えている。プーリ165cを経由して送り出される糸135は、固定プーリ170aの上側部、移動プーリ170cの下側部、固定プーリ170bの上側部にこの順番で掛けられた後、プーリ165d,165e及び糸保持ローラ195bを経由して小型スプール145に係止される。
そして、巻取り時の糸135のテンションが所定の値よりも高くなると、固定プーリ170aの上側部、移動プーリ170cの下側部、固定プーリ170bの上側部にこの順番で掛けられた糸135が左右外側方向に引っ張られて(図8の矢印P,Q参照)、移動プーリ170cが上方に移動する(図8の矢印R参照)。
一方、巻取り時の糸135のテンションが所定の値よりも低くなると、固定プーリ170aの上側部、移動プーリ170cの下側部、固定プーリ170bの上側部にこの順番で掛けられた糸135が左右内側方向に緩んで(図8の矢印S,T参照)、移動プーリ170cが下方に移動する(図8の矢印U参照)。
移動プーリ170cの上下動に対応する信号は、糸巻取機200を制御する制御手段に送られ、当該制御手段によってテンション調整手段180の後述する正逆回転モータ180fが制御される。
図7,図9に示すように、テンション調整手段180は、糸供給機構140の上方に位置する水平な長孔180aに沿って左右に移動可能なガイドプーリ180bと、下端に当該ガイドプーリ180bが回動自在に支持された支持アーム180cと、駆動プーリ(図示せず)と従動プーリ180dとの間に水平に掛け渡され、支持アーム180cの上端が固定されたタイミングベルト180eと、前記駆動プーリを駆動する正逆回転モータ180fと、を備えている。糸供給機構140から送り出される糸135は、ガイドプーリ180bの上側部に掛けられた後、プーリ165a、巻取り量計測機構160のエンコーダ155等を経由して小型スプール145に係止される。
そして、巻取り時の糸135のテンションが所定の値よりも高くなって移動プーリ170cが上方に移動すると(図8の矢印R参照)、それに対応する信号が制御手段に送られ、当該制御手段によって正逆回転モータ180fが逆転するように制御される。これにより、タイミングベルト180eが図9の反時計方向に回動すると共に(図9の矢印V1,W1参照)、支持アーム180cを介してガイドプーリ180bが右方向に移動し(図9の矢印X1参照)、固定プーリ170aの上側部、移動プーリ170cの下側部、固定プーリ170bの上側部にこの順番で掛けられた糸135が左右内側方向に緩んで(図8の矢印S,T参照)、移動プーリ170cが下方に移動する(図8の矢印U参照)。すなわち、この場合、ガイドプーリ180bは、糸135のテンションを緩める方向に水平移動する。その結果、巻取り時の糸135のテンションが所定の値に維持される。
一方、巻取り時の糸135のテンションが所定の値よりも低くなって移動プーリ170cが下方に移動すると(図8の矢印U参照)、それに対応する信号が制御手段に送られ、当該制御手段によって正逆回転モータ180fが正転するように制御される。これにより、タイミングベルト180eが図9の時計方向に回動すると共に(図9の矢印V2,W2参照)、支持アーム180cを介してガイドプーリ180bが左方向に移動し(図9の矢印X2参照)、固定プーリ170aの上側部、移動プーリ170cの下側部、固定プーリ170bの上側部にこの順番で掛けられた糸135が左右外側方向に引っ張られて(図8の矢印P,Q参照)、移動プーリ170cが上方に移動する(図8の矢印R参照)。すなわち、この場合、ガイドプーリ180bは、糸135のテンションを強める方向に水平移動する。その結果、巻取り時の糸135のテンションが所定の値に維持される。
また、ガイドプーリ180bを水平移動させることによって糸135のテンションを調整するようにしたことにより、糸巻取機の高さ方向の小型化を図りつつ、糸135のテンションの調整代を増加させることが可能となる。さらに、重力等の外的要因に左右されることなく、安定に糸135のテンションを調整することができるので、糸135のテンションを一定にし易くなる。その結果、糸135をきれいに巻き取ることが可能となる。
次に、本発明の実施の形態2における糸巻取機の構成要素である糸押え手段及びシリコン付与手段の具体的構成について、図7のほか、図10をも参照しながら説明する。
そして、糸供給機構140から送り出される糸135を小型スプール145に係止させた後、上下シリンダ125aを上動させることにより(図10(a)の矢印Y1参照)、フェルト製の押え部材125bを、小型スプール145のフランジ間に入り込ませることができる(図10(b)参照)。この状態で糸巻取機200のプッシュスイッチをプッシュ操作すると、大型スプール130及び小型スプール145が同期して回転駆動し、大型スプール130に巻回された糸135が小型スプール145に整列に巻き取られていく。この場合、糸135は、フェルト製の押え部材125bによって押えられた状態で巻き取られていくため、整列状態が崩れることなく、きれいに巻き取られる。
小型スプール145への糸135の巻取りが終了したら、上下シリンダ125aを下動させることにより(図10(b)の矢印Y2参照)、フェルト製の押え部材125bによる糸135の押えを解除することができる。
すなわち、上記のように、上下シリンダ125aを上動させると(図10(a)の矢印Y1参照)、フェルト製の押え部材125bが小型スプール145のフランジ間に入り込むが(図10(b)参照)、上下シリンダ125aが上動するとき、それに連動して揺動シリンダ126dが縮む(図10(a)の矢印Z1参照)。そして、これにより、揺動アーム126bを揺動させて(図10(a)の矢印Z2参照)、上下シリンダ125aの妨げとならない位置にシリコン吐出バルブ126cを退避させることができる(図10(b)参照)。
また、上記のように、上下シリンダ125aを下動させると(図10(b)の矢印Y2参照)、フェルト製の押え部材125bによる糸135の押えが解除されるが(図10(a)参照)、上下シリンダ125aが下動するとき、それに連動して揺動シリンダ126dが伸びる(図10(b)の矢印Z3参照)。そして、これにより、揺動アーム126bを揺動させて(図10(b)の矢印Z4参照)、シリコン吐出バルブ126cの吐出口をフェルト製の押え部材125bの近傍に位置させ、次の巻取り動作に備えてフェルト製の押え部材125bにシリコンを適量落とすことができる(図10(a)参照)。
また、本実施の形態においては、糸押え手段125の側方に、押え部材125bと糸135との間の摩擦を小さくするために押え部材125bにシリコンを付与するシリコン付与手段126が設けられている場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。シリコンは、糸巻取機200の操作者が手動で付与するようにしてもよい。
2 吸着治具
2a 吸引孔
2b,2c 円環状の凸条
3 軸芯
4 装置本体
5 吸引ヘッド
6,180d 従動プーリ
7 モータ
8 駆動プーリ
9 タイミングベルト
10 吸引パイプ
20 プッシュスイッチ
25 フットペダルスイッチ
26 真空ポンプ
30,130 大型スプール
35,135 糸
40,140 糸供給機構
45,145 小型スプール
45a 軸筒
45b フランジ
50,150 糸巻取機構
55,155 エンコーダ
60,160 巻取り量計測機構
65a,65b,65c,65d,65e,165a,165b,165c,165d,165e プーリ
70,170 テンション検知手段
70a,70b,170a,170b 固定プーリ
70c,170c 移動プーリ
80,180 テンション調整手段
80a テンションバー
80b,180f 正逆回転モータ
80c,80d,180b ガイドプーリ
90,190 糸保持手段
95a,195a ステー
95b,195b 糸保持ローラ
100,200 糸巻取機
110 距離センサ
120a レーザ投光器
120b 受光器
125 糸押え手段
125a 上下シリンダ
125b フェルト製の押え部材
126 シリコン付与手段
126a 支軸
126b 揺動アーム
126c シリコン吐出バルブ
180a 長孔
180c 支持アーム
180e タイミングベルト
Claims (5)
- 供給される糸を、小型スプールの回転駆動によって当該小型スプールに巻き取る糸巻取機であって、
前記小型スプールを保持するスプール保持手段を備え、
前記スプール保持手段は、前記糸の巻取り時に、保持した前記小型スプールの中心軸を中心に回転しながら、保持した前記小型スプールの中心軸方向に往復移動し、
前記スプール保持手段に保持される前記小型スプールの下方に位置して設けられた、当該小型スプールに巻き取られる前記糸を押える糸押え手段をさらに備え、
前記糸押え手段は、上下動可能な機構と、前記上下動可能な機構の上端に取り付けられた、前記小型スプールのフランジ間の幅寸法とほぼ同じ長さを有する柔軟性素材からなる押え部材と、を含むことを特徴とする糸巻取機。 - 前記スプール保持手段の手前に、前記糸を保持する糸保持手段が設けられた、請求項1に記載の糸巻取機。
- 前記糸巻取機を制御する制御手段と、巻取り時の前記糸のテンションを検知するテンション検知手段と、巻取り時の前記糸のテンションを調整するテンション調整手段と、を備え、
前記制御手段は、前記テンション検知手段が検知した前記糸のテンションに基づいて前記テンション調整手段を制御して、前記糸のテンションを所定の値に維持する、請求項1又は2に記載の糸巻取機。 - 前記テンション調整手段は、中央部の支点を中心に回動可能なテンションバーと、前記テンションバーの前記支点に取り付けられた正逆回転モータと、前記テンションバーの上下両端部に設けられ、前記糸が掛けられるガイドプーリと、を備え、
前記制御手段は、
前記テンション検知手段が検知した前記糸のテンションが前記所定の値よりも高くなった場合に、前記正逆回転モータを制御して、前記糸のテンションを緩める方向に前記テンションバーを回動させ、
前記テンション検知手段が検知した前記糸のテンションが前記所定の値よりも低くなった場合に、前記正逆回転モータを制御して、前記糸のテンションを強める方向に前記テンションバーを回動させる、請求項3に記載の糸巻取機。 - 前記テンション調整手段は、前記糸が掛けられる水平移動可能なガイドプーリと、前記ガイドプーリを水平移動させる駆動機構と、を備え、
前記制御手段は、
前記テンション検知手段が検知した前記糸のテンションが前記所定の値よりも高くなった場合に、前記駆動機構を制御して、前記糸のテンションを緩める方向に前記ガイドプーリを水平移動させ、
前記テンション検知手段が検知した前記糸のテンションが前記所定の値よりも低くなった場合に、前記駆動機構を制御して、前記糸のテンションを強める方向に前記ガイドプーリを水平移動させる、請求項3に記載の糸巻取機。
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