図1は、レニンアンギオテンシン系に関連した主要な経路を示す。ACE:アンギオテンシン変換酵素;ACEI:アンギオテンシン変換酵素阻害剤;Cox2i:Cox2阻害剤;β遮断剤:ベータ遮断剤;ATIIR2:アンギオテンシンII受容体2;ATIIR1:アンギオテンシンII受容体1;(プロ)−RR:プロ(レニン)受容体[レニン受容体(RR)とも呼ばれる];VitD:ビタミンD;XX:大きな遮断;++:大きな促進工程。
図2は、レニンアンギオテンシン系に関連した複合経路を示す。ACE:アンギオテンシン変換酵素;ACEI:アンギオテンシン変換酵素阻害剤;Cox2i:Cox2阻害剤;β遮断剤:ベータ遮断剤;ATIIR2:アンギオテンシンII受容体2;ATIIR1:アンギオテンシンII受容体1;(プロ)−RR:プロ(レニン)受容体[レニン受容体(RR)とも呼ばれる];VitD:ビタミンD;XX:大きな遮断;x:小さな遮断;++:大きな促進工程;+:小さな遮断工程。
図3は、個々の免疫組織化学的染色プロファイルによって証明されるような、口腔舌扁平上皮細胞癌(OTSCC)に関連した癌幹細胞集団による、OCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図4は、RRに特異的な抗体、すなわち抗ATP6IP2一次抗体(ab40790)及びヤギ抗ウサギHRP二次抗体(A16110)を使用したOTSCC癌幹細胞のウェスタンブロット分析を示す。予測される39kDaのレニン受容体タンパク質バンドは、分析した両方のOTSCC試料に存在していた。ヒト肝臓組織に関連した細胞又は二次抗体のみ(陰性対照)では染色は観察されなかった。
図5A及び5Bは、OTSCCに関連した癌幹細胞集団によるOCT4及びRRの共局在を示す。図5Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的共染色を示す。図5Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図6は、免疫組織化学的染色プロファイルによって証明される、黒色腫に関連した癌幹細胞集団によるOCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図7A及び7Bは、黒色腫に関連した癌幹細胞集団によるOCT4及びRRの共局在を示す。図7Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的染色を示す。図7Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図8は、免疫組織化学的染色プロファイルによって証明される、肉腫(平滑筋肉腫)に関連した癌幹細胞集団によるOCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図9A及び9Bは、肉腫に関連した癌幹細胞集団によるOCT4及びRRの共局在を示す。図9Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的染色を示す。図9Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図10は、免疫組織化学的染色プロファイルによって証明される、腸癌に関連した癌幹細胞集団によるOCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図11A及び11Bは、腸癌に関連した癌幹細胞集団におけるOCT4及びRRの共局在を示す。図11Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的共染色を示す。図11Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図12は、免疫組織化学的染色プロファイルによって証明される、脳癌(多形神経膠芽腫)に関連した癌幹細胞集団によるOCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図13A及び13Bは、脳癌(多形神経膠芽腫)に関連した癌幹細胞集団におけるOCT4及びRRの共局在を示す。図13Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的染色を示す。図13Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図14は、免疫組織化学的染色プロファイルによって証明される、乳癌に関連した癌幹細胞集団におけるOCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図15A及び15Bは、乳癌に関連した癌幹細胞集団におけるOCT4及びRRの共局在を示す。図15Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的染色を示す。図15Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図16は、免疫組織化学的染色プロファイルによって証明される、肺癌(転移性肺腺癌)に関連した癌幹細胞集団によるOCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図17A及び17Bは、肺癌(転移性肺腺癌)に関連した癌幹細胞集団におけるOCT4及びRRの共局在を示す。図17Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的染色を示す。図17Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図18は、免疫組織化学的染色プロファイルによって証明される、B細胞リンパ腫に関連した癌幹細胞集団によるOCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図19A及び19Bは、B細胞リンパ腫に関連した癌幹細胞集団によるOCT4及びRRの共局在を示す。図19Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的染色を示す。図19Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図20は、免疫組織化学的染色プロファイルによって証明される、腎臓癌(転移性腎細胞癌)に関連した癌幹細胞集団によるOCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図21A及び21Bは、腎臓癌(転移性腎細胞癌)に関連した癌幹細胞集団によるOCT4及びRRの共局在を示す。図21Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的染色を示す。図21Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図22は、免疫組織化学的染色プロファイルによって証明される、甲状腺癌に関連した癌幹細胞集団によるOCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図23A及び23Bは、甲状腺癌に関連した癌幹細胞集団によるOCT4及びRRの共局在を示す。図23Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的染色を示す。図23Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図24は、免疫組織化学的染色プロファイルによって証明される、慢性リンパ性白血病に関連した癌幹細胞集団によるOCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図25A及び25Bは、慢性リンパ性白血病に関連した癌幹細胞集団によるOCT4及びRRの共局在を示す。図25Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的染色を示す。図25Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図26は、免疫組織化学的染色プロファイルによって証明される、皮膚扁平上皮細胞癌に関連した癌幹細胞集団によるOCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図27A及び27Bは、皮膚扁平上皮細胞癌に関連した癌幹細胞集団によるOCT4及びRRの共局在を示す。図27Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的染色を示す。図27Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図28は、免疫組織化学的染色プロファイルによって証明される、前立腺癌に関連した癌幹細胞集団によるOCT4、SOX2、ATIIR2及びRRの発現を示す。
図29A及び29Bは、前立腺癌に関連した癌幹細胞集団によるOCT4及びRRの共局在を示す。図29Aは、OCT4及びRRに特異的な抗体を使用した免疫組織化学的染色を示す。図29Bは、OCT4(点)及びRR(長い点線)についての相対的蛍光シグナルの定量を示す。
図30は、それぞれの陽性対照である、ヒトセミノーマ組織試料におけるOCT4及びSOX2、ヒト腎臓におけるATIIR2、並びにヒト胎盤組織におけるRRの発現を示す。陰性対照は、脳癌(多形神経膠芽腫)組織切片において一次抗体の非存在下で無染色を示す。
選択された定義
特記しない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の技術者には一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似した又は同等なあらゆるアッセイ、方法、装置、及び材料を、本発明の実施又は試験に使用することができるが、様々なアッセイ、方法、装置及び材料をこれから記載する。
本明細書に開示された数字の範囲(例えば1〜10)への言及はまた、その範囲内の全ての関連した数字(例えば1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、及び10)、及びまたその範囲内の任意の範囲の有理数(例えば2〜8、1.5〜5.5、及び3.1〜4.7)への言及も取り込み、それ故、本明細書に明示的に開示された全ての範囲の全ての部分範囲が明示的に開示されることを意図する。これらは、具体的に意図されるものの単なる例であり、列挙された最も低い数値から最も高い数値までの間の数値の全ての可能な組合せが、本出願において同じように明示的に記載されていると考えられる。
本明細書において使用する「含む」、「含んでいる」という語句及び類似の語句は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるものではない。換言すれば、それらは、「を含むがこれらに限定されない」を意味することを意図する。
本明細書において使用する「抗体」という用語は、抗原結合部位を含有している分子、例えば免疫グロブリンを指す。免疫グロブリン分子は、任意の種類(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)又はサブクラスであり得る。抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、ラクダ科抗体、キメラ抗体、単一ドメイン抗体、一本鎖Fvs(scFv)、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィドで連結されたFvs(sdFv)、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、及び上記のいずれかのエピトープ結合断片が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において使用する「癌」という用語は、制御不能な細胞の異常増殖によって生じる新生物又は腫瘍を指す。「癌」という用語は、前悪性癌細胞及び悪性癌細胞の両方を含む疾患を包含する。いくつかの例では、癌は、被験者の他の部分には広がっていない局所的な細胞の過増殖、すなわち良性腫瘍を指す。他の例では、癌は、隣接している体内構造に浸潤しそして破壊した及び/又は遠隔部位まで広がった、悪性腫瘍を指す。
本明細書において使用する「癌細胞」という用語は、アポトーシス回避能、増殖シグナルを自己充足する、抗増殖シグナルに対して非感受性である、組織への浸潤/転移、著しい増殖能、及び/又は持続的な血管新生をはじめとする、その発生中に特徴的なセットの機能的能力を獲得する細胞を指す。「癌細胞」という用語は、前悪性癌細胞及び悪性癌細胞の両方を包含することを意味する。
本明細書において使用する「癌幹細胞(群)」という用語は、高度に増殖性の癌細胞の前駆細胞であり得る細胞を指す。癌幹細胞は、非対称的な分裂能、及び免疫不全マウスにおけるその腫瘍形成能によって実証されるような腫瘍を再増殖させる能力、及び典型的には免疫不全マウスへのその後の連続的移植時の腫瘍形成能を有する。癌幹細胞はまた典型的には、腫瘍塊と比較して緩徐に成長し;すなわち、癌幹細胞は一般的に静止状態である。特定の例においてであって全ての例においてではないが、癌幹細胞は、腫瘍の約0.1〜10%を占め得る。
本明細書において使用する「癌幹細胞集団」という用語は、1つ以上の癌幹細胞、換言すれば、単一の癌幹細胞又は複数の癌幹細胞を意味することが意図され、単一の癌幹細胞又は複数の癌幹細胞は、所与の癌の腫瘍発生を駆り立てることができる。
本明細書において使用する「扁平上皮細胞癌」という用語は、皮膚、上部気道消化管(口腔を含む)及び副鼻腔、食道、肺、及び子宮頚部、並びに扁平上皮細胞分化を示す他の器官をはじめとする、多くの異なる器官に見られる上皮腫瘍を指す。頭頸部扁平上皮細胞癌、肺扁平上皮細胞癌、皮膚扁平上皮細胞癌、耳扁平上皮細胞癌、外陰部扁平上皮細胞癌、子宮頚部扁平上皮細胞癌、食道扁平上皮細胞癌、上部気道消化管及び副鼻腔の扁平上皮細胞癌などが含まれる。
本明細書において使用する「レニン−アンギオテンシン系(RAS)」又は「レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系(RAAS)」という用語は、血圧及び体液バランスを調節するホルモン系である。RASに関連したより広い経路はまた、プロ/レニン受容体系(PRRS)及び関連した迂回経路も含む。例えば、図1及び2を参照されたい。以下においてより詳細に記載されているように、RAS(PRRSを含む)を標的とする多くの公知の薬物が存在する。
本明細書において使用する「有効量」という用語は、癌及びその1つ以上の症状の発生、再発、若しくは発症を予防するのに、別の療法の予防効果(群)を増強若しくは改善するのに、癌の重度、持続時間を低減させるのに、癌の1つ以上の症状を寛解するのに、癌の進行を予防するのに、癌の退縮を引き起こすのに、並びに/又は別の療法の治療効果(群)を増強若しくは改善するのに十分な療法の量を指す。本発明の一例では、療法の量は、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の療法の投与後に1つ、2つ、又は3つ、又はそれ以上の結果を達成するのに有効である:(1)癌幹細胞集団の安定化、低減、又は根絶;(2)癌細胞集団の安定化、低減、又は根絶;(3)腫瘍又は新生物の増殖の安定化又は低減;(4)腫瘍の形成を損なう;(5)原発性、限局性及び/又は転移性癌の根絶、除去、又は制御;(6)死亡率の低減;(7)無病生存期間、無再発生存期間、無進行生存期間、及び/若しくは全生存期間、又は無病生存率、無再発生存率、無進行生存率、及び/若しくは全生存率の増加;(8)応答率、応答持続性、又は応答若しくは寛解する患者数の増加;(9)入院率の低減、(10)入院期間の短縮、(11)腫瘍サイズは維持され、そして増加しないか、又は10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは2%未満増加する、(12)寛解する患者数の増加、(13)寛解の期間又は持続時間の増加、(14)癌再発率の減少、(15)癌再発までの時間の延長、並びに(16)癌に関連した症状及び/又は生活の質の寛解。
本明細書において使用する被験者への療法の投与の状況における「管理する」、「管理している」及び「管理」という用語は、癌は治癒されないけれども、被験者が療法(例えば予防剤又は治療剤)又は併用療法から得られる有益な効果を指す。特定の例では、被験者は、癌を「管理して」容態の進行又は悪化を防ぐために1つ以上の療法(例えば1つ以上の予防剤又は治療剤)を投与される。
本明細書において使用する被験者への療法の投与の状況における「予防する」、「予防している」及び「予防」という用語は、療法(例えば予防剤又は治療剤)又は併用療法(例えば予防剤又は治療剤の併用)の投与からもたらされる、被験者における癌又はその症状の再発、発症、及び/又は発達の予防又は抑制を指す。いくつかの例では、このような用語は、1つ以上の療法の投与後の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の結果を指す:(1)癌幹細胞集団の安定化、低減、又は根絶、(2)癌細胞集団の安定化、低減、又は根絶、(3)応答率の増加、(4)寛解持続時間の増加、(5)癌の再発率の低下、(6)癌再発までの時間の延長、(7)患者の無病生存期間、無再発生存期間、無進行生存期間、及び/又は全生存期間の増加、並びに(8)癌に関連した症状及び/又は生活の質の寛解。具体例では、このような用語は、癌幹細胞集団の安定化、低減、又は根絶を指す。
本明細書において使用する組織(例えば正常細胞又は腫瘍細胞)の状況における「マーカー」又は「バイオマーカー」という用語は、疾患又は障害、例えば癌に冒された特定の組織内又は組織上で同定されることが望まれるか又は同定される、組織内又は組織上に特にみられる、任意の抗原、分子、又は他の化学的若しくは生物学的実体を意味する。「腫瘍原性バイオマーカー」という用語はまた、癌の状況におけるこの定義に関連している。具体例では、マーカーは、特定の細胞型によって異なって又は優先的に発現される細胞表面抗原である。具体例では、マーカーは、特定の細胞型によって異なって又は優先的に発現される核内抗原である。具体例では、マーカーは、特定の細胞型によって異なって又は優先的に発現される細胞内抗原である。
本明細書において使用する「予防剤」という用語は、癌を予防する目的で使用される、任意の分子、化合物、及び/又は物質を指す。予防剤の例としては、タンパク質、免疫グロブリン(例えば多重特異的Ig、一本鎖Ig、Ig断片、ポリクローナル抗体及びその断片、モノクローナル抗体及びその断片)、抗体コンジュゲート又は抗体断片コンジュゲート、ペプチド(例えばペプチド受容体、セレクチン)、結合タンパク質、化学特異的薬剤、走化性薬剤(例えば抗癌剤)、増殖に基づいた療法、及び低分子薬物が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において使用する「治療剤」という用語は、疾患又は障害を処置及び/又は管理する目的で使用される、任意の分子、化合物、及び/又は物質を指す。治療剤の例としては、タンパク質、免疫グロブリン(例えば多重特異的Ig、一本鎖Ig、Ig断片、ポリクローナル抗体及びその断片、モノクローナル抗体及びその断片)、ペプチド(例えばペプチド受容体、セレクチン)、結合タンパク質、生物学的製剤、化学特異的薬剤、走化性薬剤(例えば抗癌剤)、増殖に基づいた治療剤、ホルモン剤、放射免疫療法剤、標的化剤、エピジェネティック療法剤、分化療法剤、生物学的薬剤、放射線剤、化学療法剤、抗血管新生剤、及び低分子薬物が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において使用する「療法群」及び「療法」という用語は、癌又はその1つ以上の症状の予防、治療、及び/又は管理に使用することのできる、任意の方法(群)、組成物(群)、及び/又は薬剤(群)を指し得る。特定の例では、「療法」及び「療法群」という用語は、癌又はその1つ以上の症状の予防、管理、及び/又は治療に有用な、化学療法、放射線療法、手術、ホルモン療法、抗血管新生療法、生物学的療法、増殖に基づいた療法、プロドラッグ活性化酵素療法、低分子療法、毒素療法、抗体療法、免疫療法、放射線免疫療法、標的化療法、エピジェネティック療法、脱メチル化療法、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤療法、分化療法、及び/又は他の療法を指す。
本明細書において使用する被験者への療法の投与の状況における「処置する」、「処置」及び「処置している」という用語は、1つ以上の療法の投与から生じた、癌の進行及び/又は持続時間の低減又は抑制、癌の重度の低減又は寛解、並びに/あるいは、その1つ以上の症状の寛解を指す。具体例では、このような用語は、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の療法の投与後の1つ、2つ、又は3つ、又はそれ以上の結果を指す:(1)癌幹細胞集団の安定化、低減、又は根絶;(2)癌細胞集団の安定化、低減、又は排除;(3)腫瘍又は新生物の増殖の安定化又は低減;(4)腫瘍の形成を損なう;(5)原発性、限局性、及び/又は転移性癌の根絶、除去、又は制御;(6)死亡率の低減;(7)無病生存期間、無再発生存期間、無進行生存期間、及び/若しくは全生存期間、又は無病生存率、無再発生存率、無進行生存率、及び/若しくは全生存率の増加;(8)応答率、応答持続性、又は応答若しくは寛解する患者数の増加;(9)入院率の低減、(10)入院期間の短縮、(11)腫瘍サイズは維持され、そして増加しないか、又は10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは2%未満増加する、並びに(12)寛解する患者数の増加。特定の例では、このような用語は、癌幹細胞集団の安定化又は低減を指す。いくつかの例では、このような用語は、癌細胞の増殖の安定化又は低減を指す。いくつかの例では、このような用語は、癌幹細胞集団の安定化又は低減、及び癌細胞集団の低減を指す。いくつかの例では、このような用語は、腫瘍の成長及び/又は形成の安定化又は低減を指す。いくつかの例では、このような用語は、原発性、限局性、又は転移性癌の根絶、除去、又は制御(例えば癌の最小化又は拡大の遅延)を指す。いくつかの例では、このような用語は、死亡率の減少及び/又は患者集団の生存率の上昇を指す。さらなる例では、このような用語は、応答率、応答持続性、又は応答若しくは寛解する患者数の増加を指す。いくつかの例では、このような用語は、患者集団の入院率の低減、及び/又は患者集団の入院期間の短縮を指す。
本明細書において使用する「試料」又は「生物学的試料」という用語は、被験者から採取された又は得られた任意の試料を意味する。このような試料は被験者から得られても、又は、被験者に提供されることが意図される生物学的材料から得られてもよい。例えば、試料は、例えば、被験者の癌の状態を調べるために、評価される血液から得られる。正常な健康被験者及び/又は健康な被験者などの任意の被験者から採取された又は得られた試料が含まれ、それら被験者のためにその癌の状態を解明することが有用である。好ましい試料は生物学的液体試料である。本明細書において使用する「生物学的液体試料」という用語は、患者などの関心対象の被験者の、例えば診断、予後予測、分類、又は評価の目的のために得られた体液試料を指す。特定の実施態様では、このような試料は、患者の癌の状態を決定する目的のために得られる。試料は、癌幹細胞を検出することのできる当技術分野において公知の任意の試料であり得る。例えば、全血試料、血漿、血清、卵胞液体試料、精液試料、脳脊髄液、唾液、痰、尿、胸水、間質液、滑液、リンパ液、涙液などの任意の体液が含まれるが、全血試料、血漿、及び血清が本発明において使用するのに特に適している。さらに、当業者は、特定の体液試料が、分画手順又は精製手順後に、例えば全血を血清又は血漿成分へと分離した後に、より容易に分析されるだろうことを理解しているだろう。
本明細書において使用する「精製された」という用語は、絶対的な純度を必要としない。精製とは、1つの実施態様では、一例を挙げると、試料中のポリペプチド又は抗体の少なくとも90%、又は95%、又は98%、又は99%の均一率を指す。
本明細書において使用する「被験者」という用語は好ましくは哺乳動物であり、これにはヒト、及び非ヒト哺乳動物、例えばネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジ、シカ、マウス、ラット、霊長類(ゴリラ、アカゲザル、及びチンパンジーを含む)、ポッサム、及び他の家畜又は動物園の動物が挙げられる。したがって、本明細書に記載されたアッセイ、方法、及びキットは、ヒト及び非ヒト動物の両方、特に、以下に制限されることはないが、ヒト、霊長類、家畜、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シカ、アルパカ、ラマ、バッファーロー、ペット及び/又は純血種の動物、例えばネコ、イヌ、及びウマへの適用を有する。好ましい被験者はヒト、最も好ましくは、本明細書において使用されるように、疾患又は容態のための医療又は評価を受ける可能性のある又は受けている生存しているヒトを指す「患者」である。さらに、被験者は好ましくは生存している生物であるが、本明細書に記載の本発明は、同様に死後の分析にも使用され得る。
本明細書において使用する「ELISA」という用語は、試料中の分析物の量を定量するのに使用される抗体と検出可能な標識とを含む、競合結合アッセイの一種である酵素結合免疫吸着アッセイを意味する。
本明細書において使用する「捕捉抗体」という用語は、プレート、ビーズ又はチューブなどの固相支持体上に典型的には固定された抗体を意味し、該抗体は、関心対象の分析物(群)、例えば癌幹細胞集団に関連した膜結合マーカーに結合しそして捕捉する。
本明細書において使用する「検出抗体」という用語は、関心対象の分析物(群)に結合する検出可能な標識を含む抗体を意味する。標識は、関心対象の分析物(群)、例えば癌幹細胞集団に関連した膜結合マーカーの定量的、半定量的、又は定性的測定のための慣用的な検出手段を使用して検出され得る。
本明細書において使用する分析物の「存在又は量に関連している」という用語は、アッセイシグナルが、典型的には、関心対象の既知濃度の分析物を使用して計算された標準曲線の使用を通して、分析物の存在又は量に関連していることを反映している。該用語が本明細書において使用される場合には、アッセイが生理学的に関連した濃度の分析物の存在又は量を示す検出可能なシグナルを発生することができる場合に、アッセイは分析物を「検出するように設定」されている。典型的には、試料中の分析物を測定する。
1つの実施態様における対照よりも「より高い」若しくは「より低い」レベル、又は対照(レベル)からの「変化」若しくは「逸脱」は、統計学的に有意である。対照レベル又は平均又は歴史的対照レベルより高いレベル、より低いレベル、それからの逸脱、又はそれからの変化は、該レベルが対照レベルと比較して、約5%以上、約10%以上、約20%以上、又は約50%以上、対照レベルと異なる場合には存在すると判断され得る。統計学的有意は、代替的にはP≦0.05として計算され得る。より高いレベル、より低いレベル、逸脱、及び変化はまた、アッセイリファレンス限界値又はリファレンス区間に頼ることによって決定され得る。これらは、直観的評価又はノンパラメトリック法から計算され得る。全般的に、これらの方法は、0.025*(n+1)及び0.975(n+1)として0.025及び0.975分位点を計算し得る。このような方法は当技術分野において周知である。対照に存在しないマーカーの存在は、より高いレベル、逸脱、又は変化として認められ得る。対照に存在するマーカーの不在は、より低いレベル、逸脱、又は変化として認められ得る。
詳細な説明
癌幹細胞は、腫瘍の存続又は再発を駆動するという概念が出現しつつある。従来の癌療法は、腫瘍塊の根絶には成功しているが、典型的には、潜行性の癌幹細胞に対しては効果がより低い。さらに、これらの細胞によって示される選択的な薬剤耐性は、癌罹患者における著しい罹患率及び死亡率の原因である。したがって、癌幹細胞を特異的かつ選択的に標的化する治療計画が必要とされる。
本発明は、個別の癌幹細胞集団が、例えば、口腔の扁平上皮細胞癌、皮膚の扁平上皮細胞癌、黒色腫、肺癌、乳癌、腎臓癌、脳癌、腸癌、甲状腺癌、前立腺癌、リンパ腫、白血病、及び肉腫をはじめとする特定の腫瘍に関連しているという驚くべきかつ意外な発見に基づいている。これらの腫瘍に関連した癌幹細胞集団は、特定の癌の特異的同定及び診断を可能とする独特なバイオマーカー発現プロファイルによって特徴付けられる。
重要なことには、また、これらの癌幹細胞集団は、レニン受容体(RR)、アンギオテンシンII受容体2(ATIIR2)並びに分泌型レニン受容体(sRR)をはじめとする、レニン−アンギオテンシン系(RAS)の重要な成分を発現していることが出願人によって判明した。図3、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26及び28を参照して、出願人は、様々な腫瘍に関連した癌幹細胞集団によるRR及びATIIR2の共発現を実証する。これらの癌幹細胞集団は、例えば、OCT4、SOX2、PSTAT3及びNANOGの発現によって特徴付けられる。したがって、これらの癌幹細胞集団によるRAS成分の発現は、RASを標的化する広範な薬物、例えば、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEi)、アンギオテンシン受容体遮断剤(ARB)、直接的レニン阻害剤(DRI)、β遮断剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、キマーゼ阻害剤、カテプシンB阻害剤、カテプシンD阻害剤、及びカテプシンG阻害剤、カルシウム補充剤、ビタミンD、及びカルシウムチャネル遮断剤に由来する、様々な腫瘍に関連した癌幹細胞を標的化することによる新規かつ独特な治療アプローチを提供する。
さらに、本発明はまた、RASの間接的阻害剤も考える(例えばカルシウムチャネル遮断剤)。
したがって、本発明の1つの態様では、必要とする患者における癌を予防、治療、又は管理するための方法が提供され、該方法は、癌に関連した腫瘍内の癌幹細胞を選択的に根絶するのに、又はその成長、増殖及び/若しくは分化を抑制するのに十分な量の治療剤を患者に投与する工程を含み、該癌幹細胞は、(i)1つ以上の胚性幹細胞バイオマーカーの発現、及び(ii)レニン−アンギオテンシン系に関連した1つ以上のバイオマーカーの発現によって特徴付けられる。
本発明の別の態様では、必要とする患者における癌を予防、治療、又は管理するための方法が提供され、該方法は、癌内の癌幹細胞の成長、増殖及び/又は分化を選択的に抑制するのに十分な量の治療剤を患者に投与する工程を含み、該癌幹細胞は、(i)1つ以上の胚性幹細胞バイオマーカーの発現、及び(ii)レニン−アンギオテンシン系に関連した1つ以上のバイオマーカーの発現によって特徴付けられ、該癌は固形腫瘍又は血液の癌である。
一例では、1つ以上の胚性幹細胞マーカーは、Cripto、ABCG2、アルカリホスファターゼ/ALPL、CD9、FGF−4、GDF−3、インテグリンα6/CD49f、インテグリンβ1/CD29、Nanog、OCT−3/4、ポドカリキシン、SOX2、SSEA−3、SSEA−4、STAT3、SSEA−1、FoxD3、DPPA5/ESG1、Rex−1/ZFP42、DPPA4、LIN−28A、UTF1、Lefty−A、Lefty−1、TBX3、ESGP、TRA−1−60(R)、TRA−1−81、5T4、TBX2、ZIC3、CD30/TNFRSF8、KLF5、c−Myc、GCNF/NR6A1、SUZ12、Smad2、CDX2、TROP−2、CD117/c−kit、LIN−41、インテグリンα6β4、THAP11、Smad2/3、TBX5、TEX19、OCT−4A、TEX19.1、DPPA2、アクチビンRIB/ALK−4、アクチビンRIIB、FGF−5、GBX2、Stella/Dppa3、DNMT3B、F−ボックスタンパク質15/FBXO15、LIN−28B、インテグリンα6β1、KLF4、ERRβ/NR3B2、EpCAM/TROP1、TERT、CHD1、Cbx2、c−Maf、及びL1TD1からなる群より選択される。別の例では、1つ以上の胚性幹細胞バイオマーカーは、OCT4、SOX2、NANOG、及びPSTAT3からなる。さらに別の例では、RASに関連した1つ以上のバイオマーカーは、RR、ATIIR2、及びsRRからなる群より選択される。
本発明のさらに別の態様では、必要とする患者における癌を予防、治療、又は管理するための方法が提供され、該方法は、癌内の癌幹細胞を選択的に根絶するのに、又はその成長、増殖及び/若しくは分化を抑制するのに十分な量の治療剤を患者に投与する工程を含み、該癌幹細胞は、(i)1つ以上の胚性幹細胞バイオマーカーの発現、及び(ii)レニン−アンギオテンシン系に関連した1つ以上のバイオマーカーの発現によって特徴付けられ、該腫瘍は、口腔の扁平上皮細胞癌、皮膚の扁平上皮細胞癌、黒色腫、肺癌、乳癌、腎臓癌、脳癌、腸癌、甲状腺癌、前立腺癌、リンパ腫、白血病、及び肉腫からなる群より選択される。
本発明のまたさらなる態様では、必要とする患者における癌を予防、治療、又は管理するための方法が提供され、該方法は、癌に関連した腫瘍内の癌幹細胞を選択的に根絶するのに、又はその成長、増殖及び/若しくは分化を抑制するのに十分な量の治療剤を患者に投与する工程を含み、該癌幹細胞は、(i)1つ以上の胚性幹細胞バイオマーカーの発現、及び(ii)レニン−アンギオテンシン系に関連した1つ以上のバイオマーカーの発現によって特徴付けられ、該腫瘍は扁平上皮細胞癌である。
本発明の別の態様では、必要とする患者における癌を予防、治療、又は管理するための方法が提供され、該方法は、癌に関連した腫瘍内の癌幹細胞を選択的に根絶するのに、又はその成長、増殖及び/若しくは分化を抑制するのに十分な量の治療剤を患者に投与する工程を含み、該癌幹細胞は、Cripto、ABCG2、アルカリホスファターゼ/ALPL、CD9、FGF−4、GDF−3、インテグリンα6/CD49f、インテグリンβ1/CD29、NANOG、OCT3/4、ポドカリキシン、SOX2、SSEA−3、SSEA−4、STAT3、SSEA−1、FoxD3、DPPA5/ESG1、Rex−1/ZFP42、DPPA4、LIN−28A、UTF1、Lefty−A、Lefty−1、TBX3、ESGP、TRA−1−60(R)、TRA−1−81、5T4、TBX2、ZIC3、CD30/TNFRSF8、KLF5、c−Myc、GCNF/NR6A1、SUZ12、Smad2、CDX2、TROP−2、CD117/c−kit、LIN−41、インテグリンα6β4、THAP11、Smad2/3、TBX5、TEX19、OCT−4A、TEX19.1、DPPA2、アクチビンRIB/ALK−4、アクチビンRIIB、FGF−5、GBX2、Stella/Dppa3、DNMT3B、F−ボックスタンパク質15/FBXO15、LIN−28B、インテグリンα6β1、KLF4、ERRβ/NR3B2、EpCAM/TROP1、TERT、CHD1、Cbx2、c−Maf、及びL1TD1からなる群より選択される1つ以上の幹細胞バイオマーカーの発現、及び(ii)レニン−アンギオテンシン系に関連した1つ以上のバイオマーカーの発現によって特徴付けられる。
本発明のさらに別の態様では、必要とする患者における癌を予防、治療、又は管理するための方法が提供され、該方法は、癌に関連した腫瘍内の癌幹細胞を選択的に根絶するのに、又はその成長、増殖及び/若しくは分化を抑制するのに十分な量の治療剤を患者に投与する工程を含み、該癌幹細胞は、(i)OCT4、SOX2、NANOG、及びPSTAT3からなる群より選択された1つ以上の幹細胞マーカーの発現、及び(ii)レニン受容体、アンギオテンシンII受容体2、及び分泌型レニン受容体からなる群より選択されたレニン−アンギオテンシン系に関連した1つ以上のバイオマーカーの発現によって特徴付けられる。
本発明のまたさらなる態様では、必要とする患者における癌を予防、治療、又は管理するための方法が提供され、該方法は、癌に関連した腫瘍内の癌幹細胞を選択的に根絶するのに、又はその成長、増殖及び/若しくは分化を抑制するのに十分な量の治療剤を患者に投与する工程を含み、該癌幹細胞は、(i)OCT4、SOX2、NANOG、及びPSTAT3からなる群より選択された1つ以上の幹細胞バイオマーカーの発現、及び(ii)レニン受容体、アンギオテンシンII受容体2、及び/又は分泌型レニン受容体の発現によって特徴付けられ、該治療剤は、直接的レニン阻害剤(DRI)、ACEi、ARB、β遮断剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、キマーゼ阻害剤、カテプシンB阻害剤、カテプシンD阻害剤、及びカテプシンG阻害剤、カルシウム、ビタミンD、及びカルシウムチャネル遮断剤からなる群より選択される。
一例では、癌幹細胞は、SOX2、OCT4、PSTAT3及びNANOGの発現によって特徴付けられる。これらの細胞は、マーカー発現プロファイル:SOX2+OCT−4+PSTAT3+NANOG+を有すると言われる。
関連した例では、癌幹細胞は、口腔舌の扁平上皮細胞癌の癌幹細胞であり、マーカー発現プロファイルCD44+SOX2+OCT4+NANOG+によって特徴付けられる。さらなる例では、口腔舌の扁平上皮細胞癌の癌幹細胞は、マーカー発現プロファイルCD44+SOX2+OCT4+NANOG+CD34−によって特徴付けられる。またさらなる例では、癌幹細胞は口腔舌の扁平上皮細胞癌の癌幹細胞であり、マーカー発現プロファイルCD44+SOX2+OCT4+NANOG+CD34−p63−EMA−によって特徴付けられる。
癌幹細胞は、胚性幹細胞マーカー、リンパ細胞マーカー、上皮癌細胞マーカー、又はその任意の組合せを共に同時発現し得る。したがって、一例では、癌幹細胞は、胚性幹細胞マーカー及び上皮癌細胞マーカーを共に同時発現し得る。別の例では、癌幹細胞は、リンパ細胞マーカー及び上皮癌細胞マーカーを共に同時発現し得る。さらなる例では、癌幹細胞は、胚性幹細胞マーカー、リンパ細胞マーカー、及び上皮癌細胞マーカーを共に同時発現する。
本発明は、特に、固形腫瘍に関連しているが、それは血液の癌にも拡大される。例えば、出願人は、慢性リンパ性白血病は、OCT4、SOX2、ATIIR2及びRR(図24)の発現によって特徴付けられるような癌幹細胞を含み、該癌幹細胞はまた、RR及びATIIR2(図25A及び25B)も同時発現することを実証する。したがって、本発明に記載の治療法及び治療用組成物は、同様に血液の癌にも拡大される。
したがって、本発明は、腫瘍成長、拡大、及び転移の原因としての、癌幹細胞の成長及び増殖を同定及び標的化することに関連した組成物及び方法を提供する。特に、該組成物及び方法は、独特な腫瘍原性バイオマーカー発現プロファイルを示す癌幹細胞に向けられる。癌幹細胞を特異的に標的化することによって、(新生又は確立された)腫瘍の腫瘍原性及び転移能はかなり減少し、これにより、増強された治療転帰がもたらされる。
癌幹細胞は、上部気道消化管(口腔を含む)の扁平上皮細胞癌、皮膚の扁平上皮細胞癌、黒色腫、肺癌、乳癌、腎臓癌、脳癌、腸癌、甲状腺癌、前立腺癌、リンパ腫、白血病、及び肉腫を含むがこれらに限定されない、様々な癌に関連し得る。
扁平上皮細胞癌としては、頭頸部の扁平上皮細胞癌(上部気道消化管[口腔を含む]及び副鼻腔及びその他の場所の扁平上皮細胞癌を含む)、食道扁平上皮細胞癌、皮膚扁平上皮細胞癌、肺扁平上皮細胞癌、外陰部扁平上皮細胞癌、及び子宮頚部扁平上皮細胞癌が挙げられる。一例では、上部気道消化管扁平上皮細胞癌は口腔舌の扁平上皮細胞癌である。
本発明は、癌を予防、治療、及び/又は管理するための方法を提供し、該方法は、癌幹細胞集団を安定化、低減、又は根絶する一連の療法を、必要とする被験者に投与する工程を含む。特定の例では、癌幹細胞集団の安定化、低減、又は排除は、癌幹細胞の成長及び増殖を標的化する療法を投与することによって達成される。
驚くべきことに、出願人は、本発明に記載の方法で同定された癌幹細胞集団が、RAS成分を、及び複数の異なる腫瘍型に関連した癌幹細胞集団において同時発現することを実証する。単に説明のためだけに、出願人は、OTSCC(図4A及び4B)、黒色腫(図7A、7B)、肉腫(図9A、9B)、腸癌(図11A、11B)、脳癌(図13A、13B)、乳癌(図15A、15B)、肺癌(図17A、17B)、B細胞リンパ腫(図19A、19B)、及び腎臓癌(図21A、21B)、甲状腺癌(23A、23B)、慢性リンパ性癌(25A、25B)、皮膚扁平上皮細胞癌(27A、27B)、前立腺癌(29A、29B)における、RR及びATIIR2の同時発現を実証する。
したがって、癌幹細胞集団の成長及び増殖を標的とする療法は、癌幹細胞によって発現されるRAS及び/又はプロ/レニン受容体系(PRRS)の成分を選択的に標的とする治療剤を投与する工程を含む。図1及び2は、本発明に記載の組成物及び方法に従って有用である、これらの系を標的とする阻害剤/薬物の種類を示す。
レニン−アンギオテンシン系を標的とする公知の治療剤の例としては、ACEI、ARB、DRI、β遮断剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、カテプシンB阻害剤、カテプシンD阻害剤、及びカテプシンG阻害剤、カルシウムチャネル遮断剤、カルシウム補充剤、及びビタミンDが挙げられるがこれらに限定されない。
ACEIの例としては、ベナゼプリル(ロテンシン(Lotesin))、カプトプリル(カポテン)、シラザプリル(cilazipril)、エナラプリル(バソテック、レニテック)、ホシノプリル(モノプリル)、リシノプリル(リソジュール(Lisodur)、ロプリル、ノバテック、プリニビル、ゼストリル)、モエキシプリル、ペリンドプリル(コバシル(Coversay)、アセオン)、キナプリル(アキュプリル)、ラミプリル(アルタセ、トリタセ、ラマース(Ramace)、ラミウィン(Ramiwin))、トランドラプリル、デラプリル、ゾフェノプリル、及びイミダプリルが挙げられるがこれらに限定されない。
ARBの例としては、ロサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、PD123319、及びバルサルタンが挙げられるがこれらに限定されない。
β遮断剤の例としては、アセブトロール(セクトラール)、アテノロール(テノーミン)、ベタキソロール(ベトプティック)、ビソプロロール(カルジコール(Cardicor)、エンコール(Emcor)、ゼベータ)、カルテオロール(テオプティック(Teoptic))、カルベジロール(コレグ、ユーカルディック)、セリプロロール(セレクトール)、ラベタロール(トランデート)、レボブノロール(ベタガン)、メチプラノロール(メチプラノロールMinims)、メトプロロール(ベタロック、ロプレソール、ロプレッサー、トプロールXL)、ナドロール(コルガード)、ネビボロール(バイストリック、ネビレット)、オキシプレノロール(トラシコル)、ピンドロール(ビスケン)、プロパノロール(インデラルLA)、ソタロール(ベータカルドン、ソタコール)、及びチモロール(ベチン(Betim)、ニオゲル、チモプトール)が挙げられるがこれらに限定されない。
シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤の例としては、セレコキシブ、ナパフェナク、イブプロフェン(ドルゲシック(Dolgesic))、インドメタシン、スリンダク、キサントフモール、メクロフェナム酸ナトリウム、メロキシカム、ロフェコキシブ、ブロムフェナクナトリウム、イブプロフェンリジン、ケトロラック(ケトロラックトロメタミン)、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、ケトプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ピロキシカム、アセメタシン、フェナセチン、トルフェナム酸、ニメスリド、フルニキシンメグルミン、アスピリン、ブフェキサマク、ニフラム酸、リコフェロン、オキサプロジン、ロルノキシカム、ルミラコキシブ、ザルトプロフェン、アンピロキシカム、バルデコキシブ、ナブメトン、メフェナム酸、カルプロフェン、アンフェナクナトリウム一水和物、アサルアルデヒド、及びスプロフェンが挙げられるがこれらに限定されない。
キマーゼ阻害剤の例としては、TY−51469(2−[4−(5−フルオロ−3−メチルベンゾ[b]チオフェン−2−イル)スルホンアミド−3−メタンスルホニル−フェニル]チアゾール−4−カルボン酸)、エグリンC、CI、SUN13834、キモスタチン、TJK002ベンゾイミダゾール阻害剤、ONO−WH−236、アンブリオンマ・アメリカヌム(Amblyomma americanum)ダニ唾液腺セリンプロテアーゼ阻害剤6(AamS6)、N−トシル−L−フェニルアラニルクロロメチルケトン(TPCK)、α−アミノアルキルホスホネートジアリールエステル、セリンプロテアーゼ阻害剤(Serine protease inhibitor)A3(serpinA3)、扁平上皮細胞癌抗原(SCCA−2)、ボルテゾミブ(ベルケード)、RO5066852、及び17β−エストラジオールが挙げられるがこれらに限定されない。
カテプシンB阻害剤の例としては、シスタチンB、シスタチンC、システインペプチダーゼ阻害剤E64、[Pt(dmba)(aza−N1)(dmso)]複合体1(いくつかの腫瘍細胞株においてシスプラチンよりも低いIC50を有する有望な抗腫瘍薬)、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシン(TCDD)、CA−074Me、リポソームナノキャリア(LNC−NS−629)のエンベロープに取り込まれた脂質化CtsB阻害剤、プロアントシアニジン(PA)、並びにアーパチニンAc(1)及びアーパチニンPr(2)が挙げられるがこれらに限定されない。
カテプシンD阻害剤の例としては、カテプシンDの非ペプチド性アシルグアニジン阻害剤、ペプスタチンA、Bm−Aspin、SlPI、Via、RNAi−Rab27A、及びソラナムリコペルシカムアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤(SLAPI)が挙げられるがこれらに限定されない。
カテプシンG阻害剤の例としては、WFDC12、フェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)、エコチン、セルピンB1、セルピンA3、CeEI、又はブラジルボク(Caesalpinia echinata)エラスターゼ阻害剤、SLPI(分泌型白血球プロテアーゼ阻害剤)、α1−アンチトリプシン(AAT)、バウヒニアバウヒノイデスクルジパイン(Bauhinia bauhinoides cruzipain)阻害剤、α−アミノアルキルホスホネートジアリールエステル、グレグリン、[2−[3−[[(1−ベンゾイル−4−ピペリジニル)メチルアミノ]カルボニル]−2−ナフタレニル]−1−(1−ナフタレニル)−2−オキソエチル]−ホスホン酸(KPA)、リンパ上皮カザール型関連阻害剤(LEKTI)、トラッピン−2 A62L、SV−66、SCGI、ボルテゾミブ、ヒト単球/好中球エラスターゼ阻害剤(MNEI)、42kDaセルピンタンパク質及び抗ロイコプロテイナーゼ(ALP)が挙げられるがこれらに限定されない。
カルシウムチャネル遮断剤の例としては、ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断剤、フェニルアルキルアミンカルシウムチャネル遮断剤、ベンゾジアゼピンカルシウムチャネル遮断剤、非選択的カルシウムチャネル遮断剤、並びに「他の」カルシウムチャネル遮断剤が挙げられるがこれらに限定されない。
ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断剤の例としては、アムロジピン(ノルバスク)、アラニジピン(サプレスタ)、アゼルニジピン(カルブロック)、バルニジピン(ヒポカ)、ベニジピン(コニール)、米国では入手できないシルニジピン(アテレック、シナロング、シスカード)、クレビジピン(クレビプレックス)、イスラジピン(ダイナシルク、プレスカール(Prescal))、エホニジピン(ランデル)、フェロジピン(プレンジル)、ラシジピン(モテンズ、ラシピル)、レルカニジピン(ザニジップ)、マニジピン(カルスロット、マジピン(Madipine))、ニカルジピン(カルデン、カルデンSR)、ニフェジピン(プロカルディア、アダラート)、ニルバジピン(ニバジル)、ニモジピン(ニモトップ)、ニソルジピン(バイミカード、スラー、シスコール)、ニトレンジピン(カルディフ(Cardif)、ニトレピン、バイロテンシン)、プラニジピン(アカラス))が挙げられるがこれらに限定されない。
フェニルアルキルアミンカルシウムチャネル遮断剤の例としては、ベラパミル(カラン、イソプチン)、ガロパミル、及びフェンジリンが挙げられるがこれらに限定されない。
ベンゾジアゼピンカルシウムチャネル阻害剤の例としては、ジルチアゼム(カルディゼム)及びフェンジリンが挙げられるがこれらに限定されない。
非選択的カルシウムチャネル遮断剤の例としては、ミベフラジル、ベプリジル、フルナリジン、フルスピリレン、及びフェンジリンが挙げられるがこれらに限定されない。
他のカルシウムチャネル遮断剤の例としては、ガバペンチン、プレガバリン、及びジコノチドが挙げられるがこれらに限定されない。
DRIの例としては、アリスキレンが挙げられるがこれらに限定されない。
特定の例では、癌幹細胞は、部分的に分化し得、そして特定の腫瘍に関連した特定の細胞系統に傾倒し得る。
一例では、部分的に分化した癌幹細胞は1つ以上の腫瘍原性バイオマーカーの発現によって特徴付けられるか、又は、上皮癌細胞マーカー、リンパ細胞マーカー、血管マーカー、骨髄細胞マーカー並びにその組合せからなる群より選択された、1つ以上の腫瘍原性バイオマーカーを共発現する。
上皮癌細胞マーカーの例としては、p63、上皮膜抗原(EMA)、及びサイトケラチン、例えばCYK5、CYK6、CYK8、及びCYP18が挙げられるがこれらに限定されない。
癌幹細胞マーカーの例としては、CD44、CD133、CD24、及びALDH1が挙げられるがこれらに限定されない。
リンパ細胞マーカーの例としては、LYVE−1及びVEGFR−3が挙げられるがこれらに限定されない。
血管マーカーの例としては、CD34及びACEが挙げられるがこれらに限定されない。
造血幹細胞を産生する能力をもつ血管内皮細胞マーカーの例としては、TAL−1が挙げられるがこれらに限定されない。
骨髄マーカーの例としては、トリプターゼ及びCD163が挙げられるがこれらに限定されない。
上皮間葉転換(EMT)マーカーの例としては、Twist、Slug、SNAIL、Bmi1及びMMP−9が挙げられるがこれらに限定されない。
増殖マーカーの例としては、Ki67が挙げられるがこれらに限定されない。
例えば、任意の所与の腫瘍は、癌幹細胞、部分的に分化した癌幹細胞、及び成熟腫瘍細胞などを含む、様々な細胞集団を有し得る。
単に説明のために、扁平上皮細胞癌に関連した部分的に分化した幹細胞は、EMA及びp63などの特定のマーカーを発現し得る。同様に、白血病に関連した部分的に分化した癌幹細胞は、TAL−1及びGATA−2などのマーカーを発現し得る。
したがって、本発明はまた、癌幹細胞(例えば胚性幹細胞マーカーを発現している)の同定だけでなく、特定の腫瘍/癌又は成熟腫瘍細胞に関連した特定の細胞系統に傾倒した部分的に分化した癌幹細胞の同定も考える。したがって、本発明を使用して、前駆癌幹細胞の存在についての早期予後予測又は診断(それ故、癌を有する確率又は癌の素因を有する確率)を行ない得、その後の照合により追跡調査して、例えば部分的に分化した癌幹細胞又は成熟腫瘍細胞のプロファイルを調べることによって癌の種類を決定することができる。後者の調査は、腫瘍から得られた又は腫瘍に関連していることが知られている生物学的試料、例えば腫瘍の切除を通した組織生検材料又は血液/血清試料から得られた細胞上でのバイオマーカー発現プロファイルを使用して行なわれ得る。任意の所与の腫瘍型に関する部分的に分化した癌幹細胞及び/又は成熟腫瘍細胞に関連した特異的細胞マーカーサインは当業者にとって周知であろう。
癌幹細胞、例えば固形腫瘍幹細胞に関連した遺伝子発現プロファイル及びサイン、並びに、新規な幹細胞癌マーカーは、癌幹細胞を含む腫瘍の診断、特徴付け、予後予測、及び治療に有用である。バイオマーカー発現分析を使用して、腫瘍発生に関与する癌幹細胞の集団(又は亜集団)を決定することができる。その後、癌幹細胞のこれらの亜集団/集団を有効な処置計画を使用して標的化することにより、腫瘍の成長及び拡大、並びにその起こり得る転移を防ぐことができる。
したがって、本発明はまた、特に、癌幹細胞又は癌幹細胞集団の存在について生物学的液体試料をプロファイリングすることによって、癌の予後予測及び診断においても有用である。
したがって、本発明の別の態様では、被験者における癌の有無を決定するための方法が提供され、該方法は、
(i)バイオマーカー発現分析を使用して、被験者から得られた生物学的試料中の癌幹細胞集団のレベルを検出及び/又は測定する工程;
(ii)対照集団の癌幹細胞レベルに対して、試料から得られた癌幹細胞集団のレベルを比較する工程
を含み、
ここで、対照集団と比較して生物学的試料から得られた癌幹細胞集団の増加したレベルは、被験者が、癌を有するか、又は癌を発症する素因を有するかの診断となる。本発明の別の態様では、被験者における癌の有無を決定するための方法が提供され、該方法は
(i)バイオマーカー発現分析を使用して、被験者から得られた生物学的試料中の癌幹細胞集団のレベルを検出及び/又は測定する工程;
(ii)対照集団の癌幹細胞レベルに対して、試料から得られた癌幹細胞集団のレベルを比較する工程
ここで、対照集団と比較して生物学的試料から得られた癌幹細胞集団の増加したレベルは、被験者が、癌を有するか、又は癌を発症する素因を有するかの診断となる、及び
(iii)癌を有するか又は癌を発症する素因を有する被験者に予防計画又は治療計画を投与する工程
を含む。
本発明の予後予測法及び診断法による特定の例では、癌幹細胞は、1つ以上の胚性幹細胞バイオマーカーの発現、並びに、レニン−アンギオテンシン系に関連した1つ以上のバイオマーカーの発現によって特徴付けられる。一例では、1つ以上の胚性幹細胞マーカーは、OCT4、SOX2、NANOG、CD44、SAL−4、SSEA4、PSTAT3、及びH1F1からなる群より選択される。別の例では、1つ以上の胚性幹細胞バイオマーカーは、OCT4、SOX2、NANOG、及びPSTAT3からなる。さらに別の例では、レニン−アンギオテンシン系に関連した1つ以上のバイオマーカーは、RR、ATIIR2及びsRRからなる群より選択される。
本発明の予後予測法及び診断法による他の例では、治療剤は、ACEI、ARB、直接的DRI、β遮断剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、キマーゼ阻害剤、カテプシンB阻害剤、カテプシンD阻害剤、及びカテプシンG阻害剤、カルシウムチャネル遮断剤、カルシウム補充剤、及びビタミンDからなる群より選択される。
本発明の別の態様では、被験者における癌の有無を決定するための方法が提供され、該方法は、
(i)バイオマーカー発現分析を使用して、被験者から得られた生物学的試料中の部分的に分化した癌幹細胞集団のレベルを検出及び/又は測定する工程;
(ii)対照集団の部分的に分化した癌幹細胞レベルに対して、試料から得られた部分的に分化した癌幹細胞集団のレベルを比較する工程
を含み、
ここで、対照集団と比較して生物学的試料から得られた部分的に分化した癌幹細胞集団の増加したレベルは、被験者が、癌を有するか、又は癌を発症する素因を有するかの診断となる。
本発明の別の態様では、被験者における癌の有無を決定するための方法が提供され、該方法は、
(i)バイオマーカー発現分析を使用して、被験者から得られた生物学的試料中の部分的に分化した癌幹細胞集団のレベルを検出及び/又は測定する工程;
(ii)対照集団の部分的に分化した癌幹細胞レベルに対して、試料から得られた部分的に分化した癌幹細胞集団のレベルを比較する工程
ここで、対照集団と比較して生物学的試料から得られた部分的に分化した癌幹細胞集団の増加したレベルは、被験者が、癌を有するか、又は癌を発症する素因を有するかの診断となる、及び
(iii)癌を有するか又は癌を発症する素因を有する被験者に予防計画又は治療計画を投与する工程
を含む。
本発明の予後予測法及び診断法による一例では、バイオマーカー分析は、遺伝子発現技術及び/又はタンパク質分析技術を使用して行なわれる。
治療剤(群)は、癌幹細胞集団を選択的に標的化する任意の公知であるか又はまだ同定されていない治療剤を含む。公知の治療剤の例は、本明細書に列挙されている。一例では、治療剤により、癌細胞の約25%の減少、約40%の減少、約50%の減少、又は約75%の減少がもたらされる。これは、癌幹細胞と成熟細胞/腫瘍塊細胞の両方を含む。
関連した例では、癌細胞の減少は、ヒト被験者の組織試料中に存在する癌細胞マーカー表現型を有する細胞の量を、より早期の時点での同じヒト被験者の組織試料中に存在する同じ癌細胞マーカー表現型を有する細胞の量と比較することによって決定される。
癌幹細胞の成長、増殖及び/又は分化は、治療剤を使用して選択的に根絶又は抑制され得る。したがって、一例では、癌幹細胞の成長、増殖及び/又は分化は、細胞表面抗原に結合して癌幹細胞の成長及び増殖を停止する治療剤を使用して、選択的に抑制される。
別の例では、癌幹細胞の成長、増殖及び/又は分化は、癌幹細胞を非悪性の細胞系統へと又は悪性の可能性のある細胞系統から逸脱するように分化させることのできる分化因子を含む治療剤を使用して、選択的に抑制される。分化した細胞はもはや、腫瘍原性能を保持していない。
癌幹細胞の成長、増殖及び/又は分化を効果的に停止させることによって、腫瘍/塊細胞へのその分化能もまた抑制され、これにより腫瘍の拡大及び成長は低減される。
本出願の本発明者らはまた驚くべきことに、癌幹細胞はリンパ細胞系統(例えば、LYVE−1及び/又はVEGFR−3を発現するリンパ細胞)を同時発現することを同定した。したがって、このことは、癌の拡大及び転移が、より受け入れられている血管(すなわち血管新生)よりもリンパ系を介してであり得ることを示唆し、第二の部位への癌の拡大(すなわち転移)を防ぐための手段としての代替的な標的を提供する。
特定の例では、治療剤により、一定期間の後に癌幹細胞集団は安定化する(例えば、2、5、10、20、30、若しくはそれ以上の用量の治療の後、又は、2週間後、1か月後、2か月後、1年後、2年後、3年後、4年度、又はそれ以上の後に)。他の例では、治療剤は、癌幹細胞集団の5%〜40%、10%〜60%、20%〜99%、又はそれ以上の減少を達成する。他の例では、癌幹細胞集団の減少は、1つ以上の療法を投与してから2週間後、1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、6か月後、9か月後、1年後、2年後、3年後、又は4年後に達成される。さらなる例では、療法に従って、癌幹細胞集団の減少は周期的にモニタリングされる(例えば、2、5、10、20、30、若しくはそれ以上の用量の1つ以上の療法の後、又は、1つ以上の療法を受けてから2週間後、1か月後、2か月後、1年後、2年後、3年後、4年後、若しくはそれ以上の後に)。癌幹細胞集団の安定化、低減、又は排除は、癌幹細胞集団によって産生される癌細胞集団を安定化、低減、又は排除し、したがって、腫瘍の成長、腫瘍の塊サイズ、腫瘍の形成、及び/又は転移の形成を安定化、低減、又は排除する。換言すれば、癌幹細胞集団の安定化、低減、又は排除は、癌細胞による腫瘍の形成、再形成、若しくは成長、及び/又は転移を防ぐ。
本発明に記載の治療剤又は治療剤群は、インビトロ及びインビボで癌幹細胞の成長を抑制することができる。様々な治療剤の例を、以下にさらに詳細に列挙する。
化学療法を含む従来の癌療法は、癌を制御又は処置する試みで成熟腫瘍細胞を標的とする。例えば、従来の化学療法剤は、正常な細胞周期を妨害することを探究する。結果として、標準的な化学療法は、細胞周期の進行が急速である細胞のみを効果的に標的とする。成熟腫瘍細胞は細胞周期が急速であるが、癌幹細胞は細胞周期の進行が緩徐である。したがって、従来の化学療法は、成熟腫瘍細胞、並びに、他の存在する腫瘍ではない細胞周期の進行が急速である細胞の標的化及び死滅を含むが、癌幹細胞に対して強化する作用を有する。なぜなら、癌幹細胞は標的化されず、よって増殖し続けるからである。
その後、これは癌幹細胞に腫瘍塊細胞を再増殖させる機会を与え、その結果、腫瘍の再発又は転移が起こり、生体内のどこか他の場所で二次性腫瘍が形成される。
癌幹細胞生体機能は依然としてあまり解明されておらず、多くの研究が、これらの細胞の独立した予後予測指標及び識別因子として使用することのできる単一のマーカーの同定に焦点を当てている。
本発明者らは、癌幹細胞の全タンパク質発現プロファイル、及び最終的には腫瘍発生を制御する分子系を調べた。例えば、RASはこれにおいて役割を果たしている可能性があるが(これらの細胞によるACEの発現によって支持される;実施例2/表5を参照)、他の重要な分子トリガー及びシグナル伝達経路も関与している可能性がある。
癌幹細胞集団の役割に重点を置いて、腫瘍発生に関与している分子トリガー及びシグナル伝達経路を解明することによって、本発明者らは、癌幹細胞を選択的に標的化し、これにより癌の背後にある駆動力を排除することを可能とする、新規な処置標的を同定した。さらに、これらの細胞から成熟細胞型、例えば脂肪組織への分化を誘導することによって、これは、これらの細胞の悪性の可能性を根絶するだろう。
本明細書に記載の方法の他に、本発明はまた、癌の治療又は予防に有用な医薬組成物も提供する。本発明の医薬組成物は、癌に関連した腫瘍内の癌幹細胞を選択的に根絶するのに、又はその成長、増殖、及び/若しくは分化を抑制するのに十分な治療剤を含む。
したがって本発明の別の態様では、癌の処置法に使用するための医薬組成物が提供され、該医薬組成物は、癌に関連した腫瘍内の癌幹細胞を選択的に根絶するのに、又はその成長、増殖、及び/若しくは分化を抑制するのに十分な治療剤(群)を含み、該方法は癌を有する患者に治療剤を投与する工程を含む。
本発明のさらに別の態様では、癌の処置に使用するためのキット又は製品が提供され、該キットは、癌に関連した腫瘍内の癌幹細胞を選択的に根絶するのに、又はその成長、増殖、及び/若しくは分化を抑制するのに十分な治療剤(群)を、被験者への治療投与量の投与法に関する説明書と一緒に含む。
本発明に記載の癌幹細胞は、(例えば)レニン−アンギオテンシン系及び/又はプロ/レニン系の重要な調節成分を発現することが示されているので、特定の腫瘍に関連した癌幹細胞集団は、これらの系を標的化することも知られる薬物の治療量を投与することによって、効果的に標的化され得る。例としては、上記のような、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、アンギオテンシン受容体遮断剤(ARB)、直接的レニン阻害剤(DRI)、β遮断剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、キマーゼ阻害剤、カテプシン阻害剤、例えばカテプシンB阻害剤、カテプシンD阻害剤、及びカテプシンG阻害剤、カルシウムチャネル遮断剤、カルシウム補充剤、及びビタミンDが挙げられるがこれらに限定されない。
特定の例では、癌の処置法は、該治療剤の投与前に、該治療剤が、癌幹細胞を含む試料中の癌幹細胞の量を減少させることができることをインビトロで決定する工程を含む。
本発明に関するさらなる詳細は、以下の副題の下に提示される。
レニン−アンギオテンシン系
レニン−アンギオテンシン系(RAS)は伝統的に、食事中の塩が制限されている期間中に体液量を保存することが知られ、そしてまた急性的な体液減少中の虚血を防ぐ。RASの主なエフェクターペプチドはアンギオテンシンII(ATII)である。それは血管収縮及び交感神経活性化を誘発し、アルドステロン値を上昇させ、そしてアンギオテンシンII受容体1(ATIIR1)を介して腎内の塩分及び水分の保持を促進する。過去数十年間にわたり、RASは、心臓血管疾患(CVD)及び腎血管疾患へのその関与のために、特に関心の高い薬物標的であった。CVD及び腎血管疾患は、一連の危険因子、標的臓器の損傷、イベント、及び死亡率として理解され得る。危険因子(例えば高血圧、脂質異常症、糖尿病、及び喫煙)により、アテローム性動脈硬化症、左心室肥大(LVH)、及び腎障害をはじめとする標的臓器損傷が発生する。標的臓器損傷は進行的に悪化し、最終的には心筋梗塞(MI)、心不全(HF)、末期の腎疾患(ESRD)、脳卒中、又は死亡に至る。
RASの主なエフェクターペプチドであるATIIは、この連続的な全段階の最中に活発な役割を果たす。RASカスケードの最初の工程は、レニンの作用下における前駆体のアンギオテンシノーゲンからのアンギオテンシンI(ATI)の形成であり;CVDにおけるRASの重要性の初期の証拠は、レニン活性が、心臓血管(CV)イベントのリスクを予測するという一貫した所見からもたらされた。その後、ATIはアンギオテンシン変換酵素(ACE)によって、RASの主なエフェクターペプチドであるATIIに変換される。さらに、ATIIはキマーゼなどの酵素によって組織内で産生され得る。この局所的に産生されたATIIは、パラ分泌及び自己分泌機能を媒介すると考えられている。ATIIはATIIR1及びATIIR2を介して作用する。ATIIR1の活性化により、血管収縮、アルドステロン及びバソプレッシンの分泌、ナトリウム保持、及び腎灌流量の減少がもたらされる。したがって、これらの受容体は、血圧(BP)上昇並びに心臓及び血管の再構築をはじめとする、ATIIの有害な作用を媒介する。ATII受容体の作用は、成人においてこれらの受容体の発現が少ないために、その特殊なシグナル伝達経路のために、そして多くのATIIにより媒介される作用が、ATIにより媒介される作用と拮抗することによって遮蔽されるために、あまり明瞭に規定されていない。しかしながら、現在、ATIIR2は一般的にATIIR1の作用に拮抗し、様々な抗増殖作用及び抗炎症作用を媒介し、そして組織の分化及び再生並びにアポトーシスを促進することが認められている。
生理活性アンギオテンシンペプチド、例えばアンギオテンシンIII、アンギオテンシンIV、及びアンギオテンシン−(1−7)をはじめとする、RASの他の成分は、過去10年間に同定され、CV及び腎系に対するその作用はまだ完全に解明されていない。
レニン受容体の発見は、RASの生体機能に対してさらなる光を当てた。レニンはまた、最近まで単にRAS活性化の律速酵素として考えられていたが、その生物学的活性に関係なく、レニン及びプロレニンにほぼ同等に結合するレニン/プロレニン受容体として知られるタンパク質に対するリガンドであることが判明した。循環中の全レニンの70%から90%を占めるプロレニンは、受容体に結合すると、アンギオテンシノーゲンからATIへの触媒による変換効率の増加を誘導し、ATIIの局所的生成及びその全身レベル、並びに、レニン/プロレニンのレニン/プロレニン受容体への結合に寄与して、ATIIとは独立した生理学的作用、例えば細胞内シグナル経路の活性化、DNAの増強された合成、及びプラスミノーゲンアクチベーター阻害剤1、コラーゲン1、フィブロネクチン、及び形質転換増殖因子β−1,6の遊離の刺激を奏功する。
RASを標的化する多くの公知の薬物が存在する。RASを標的とする2つの主要なクラスの薬物はアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及び選択的ATI受容体遮断剤(ARB)である。これらのどちらの薬物クラスもATIIを標的とするが、その作用機序の違いは、治療的意義を有し得る他の経路及び受容体に対するその作用のために意義を有する。ACE及びARBのどちらも、心臓血管及び腎のイベントのリスクを低減させることが示された有効な降圧剤である。
RASの最も中心に近い態様である、レニンの直接的阻害は、アリスキレンの導入により2007年より臨床的に実行可能となった。この後者の薬物は高血圧の管理において有効であることが示されている。直接的レニン阻害剤とACE又はARBの併用療法は、うっ血性心不全及びタンパク尿のようないくつかの臨床状況において試験され、多様な結果が得られている。
RAS薬物としては、上記のような、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、アンギオテンシン受容体遮断剤(ARB)、直接的レニン阻害剤(DRI)、β遮断剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、キマーゼ阻害剤、カテプシン阻害剤、例えばカテプシンB阻害剤、カテプシンD阻害剤、及びカテプシンG阻害剤、カルシウムチャネル遮断剤、カルシウム補充剤、及びビタミンDが挙げられるがこれらに限定されない。
扁平上皮細胞癌
扁平上皮細胞は、上皮の表層を形成する平坦な細胞である。それらは、それらが顕微鏡下で平坦かつ薄く見えるという事実によって組織学的に同定され得る。扁平上皮細胞によって裏打ちされた上皮は、単層扁平上皮又は重曹扁平上皮のいずれかとして分類され得る。
扁平上皮細胞癌は、扁平上皮細胞分化を示す、皮膚、上部気道消化管(口腔を含む)、鼻腔、食道、肺、子宮頚部、及び消化管をはじめとする、多くの異なる器官に見られる上皮腫瘍を指す。頭頸部扁平上皮細胞癌、肺扁平上皮細胞癌、皮膚扁平上皮細胞癌、耳扁平上皮細胞癌、外陰部扁平上皮細胞癌、子宮頚部扁平上皮細胞癌、食道扁平上皮細胞癌などが含まれる。それは、扁平上皮細胞分化を示す上皮の悪性腫瘍である。扁平上皮細胞癌は通常、皮膚の上皮層に、時には身体の様々な粘膜に発症する。この種類の癌は、皮膚、唇、口内、喉頭、又は食道上に見られ得る。
最も一般的な頭頸部の非皮膚性腫瘍は、上部気道消化管(咽頭、中咽頭、口腔[口腔舌及び口腔底を含む]を含む)の扁平上皮細胞癌である。幾分頻度が低いのは、唾液腺、顎、鼻、及び副鼻腔、及び耳の腫瘍である。
大半の頭頸部癌はまず、無症候性のしこり、潰瘍、又は可視的な粘膜病変(例えば白板症、紅板症)として顕現する。その後の症状は、腫瘍の位置及び程度に依存し、これには、疼痛、知覚異常、神経麻痺、開口障害、及び口臭が挙げられる。頭頸部癌は、数か月間から数年間局在し続け得る。局所組織浸潤に続いて最終的に所属リンパ節への転移が起こる。遠隔リンパ節転移は後期に起こる傾向がある。血行性転移は、通常、大型又は持続性の腫瘍を伴い、免疫不全の患者においてより頻繁に起こる。遠隔転移の一般的な部位は、肺、肝臓、骨、及び脳である。
毎年約30,000人の米国人が、口腔及び中咽頭扁平上皮細胞癌に罹患している。口腔扁平上皮細胞癌は最も一般的な口腔及び中咽頭癌である。口腔扁平上皮細胞癌の主な危険因子は、喫煙及び/又はアルコールの使用である。口腔舌の扁平上皮細胞癌はまた、プランマー・ヴィンソン症候群、梅毒、又は慢性外傷から生じ得る。口腔扁平上皮細胞癌の約40%が口腔舌を冒し、20%が口腔底を冒し、残りは口唇頬粘膜、臼歯後三角、歯槽、及び硬口蓋を冒す。中咽頭扁平上皮細胞癌は、舌底及び軟口蓋及びへんとう部分を冒し、これはヒトパピローマウイルス感染に関連し、アルコール及び喫煙はより少ない役割を果たしている。
口腔病変は初期には無症候性である。それらは紅板症又は白板症の領域に出現し得、そして外方増殖性であり得るか、又は潰瘍化し得る。どちらの変種も硬化し堅く、回転した境界を有する。中咽頭癌は通常、非対称な膨潤及び咽頭痛として呈し;疼痛はしばしば同側の耳へと放散する。首の転移性塊が最初の症状であり得る。
舌の扁平上皮細胞癌が局在化する場合(リンパ節への併発はない)、5年間生存率は約50%である。舌底の限局性扁平上皮細胞癌では、5年間生存率は65%であるが、リンパ節転移を伴う場合、5年間生存率は20%である。下唇病変では、5年間生存率は90%であり、転移は稀である。下唇の扁平上皮細胞癌は、より悪性で転移性である傾向がある。中咽頭扁平上皮細胞癌では、患者がリンパ節への併発前に処置される場合には5年間生存率は68%であるが、併発後では僅か17%である。転移は所属リンパ節にまず到達するが、後に肺に達する。手術及び放射線療法は、口腔癌のために選択される処置である。放射線療法及びしばしば化学療法は、中咽頭癌のために選択される処置である。
扁平上皮癌幹細胞の特徴付け
扁平上皮細胞癌における癌幹細胞の特徴付けは、この重要な細胞集団に対して、特にその自己再生能に対して特異的に標的化される新規な処置の開発を可能とし、これにより、より効果的な療法が得られる。
ヒト扁平上皮細胞癌では、自己再生能及び分化能の両方を有する腫瘍原性癌細胞の亜集団が存在することが本明細書において示される。これらの腫瘍原性細胞は腫瘍の維持に関与し、また、腫瘍原性ではない異常に分化している数多くの子孫も生じ、したがって、癌幹細胞の基準を満たす。
扁平上皮癌の癌幹細胞は、特定のマーカーに関するその表現型、及び/又はその機能的表現型によって同定される。いくつかの例では、これらの癌幹細胞は、関心対象のマーカーに特異的な試薬を用いて細胞に結合させることによって同定及び/又は単離される。分析しようとする細胞は生細胞であっても、又は、固定若しくは包埋された細胞でもよい。
いくつかの例では、関心対象のマーカーに特異的な試薬は、直接的又は間接的に標識されていてもよい抗体である。このような抗体は、通常、CD44に特異的な抗体、及び系統パネルに特異的な抗体を含む。系統パネルは、通常、正常な白血球、線維芽細胞、内皮細胞、中皮細胞などのマーカーに特異的な試薬を含む。このようなマーカーは、以下のマーカーの1つ以上、2つ以上、3つ以上に特異的な試薬を含み得る:CD44、SOX2、OCT4、NANOG、並びに、p63、CD34及びEMAの発現の欠如。
癌療法−全般
癌の予防、治療、及び/又は管理のために有用であるか、使用されていたか、又は現在使用されている任意の療法(例えば治療剤又は予防剤)を、本発明の組成物及び方法に使用することができる。療法(例えば治療剤又は予防剤)としては、ペプチド、ポリペプチド、抗体、コンジュゲート、核酸分子、低分子、模倣剤、合成薬物、無機分子、及び有機分子が挙げられるがこれらに限定されない。癌療法の非限定的な例としては、化学療法、放射線療法、放射免疫療法、ホルモン療法、標的化療法、エピジェネティック療法、分化療法、抗血管新生療法、低分子療法、エピジェネティック療法、毒素療法、分化療法、プロドラッグ活性化酵素療法、抗体療法、タンパク質療法、及び/又は生物学的療法、例えば免疫療法、及び手術が挙げられるがこれらに限定されない。特定の例では、本発明の予防的に及び/又は治療的に有効な計画は、併用療法の投与を含む。
癌療法の例としては、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラサイクリン;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン(ビダーザ);アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビスホスホネート(例えばパミドロネート(アレドリア)、クロドロン酸ナトリウム(ボネフォス)、ゾレドロン酸(ゾメタ)、アレンドロネート(フォサマック)、エチドロネート、イバンドロネート、シマドロネート、リセドロナート、及びチルドロネート);ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン(carrnustine);塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン(Ara−C);ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン(ダコゲン);脱メチル化剤;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;ズアゾマイシン;エダトレキサート;塩酸エフロルニチン;EphA2阻害剤;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール:塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸エステルナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロキシウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルオロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC−I);ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモフォシン(ilmofosine);メシル酸イマチニブ(グリーベック(Gleevec)、グリベック(glivec));インターロイキンII(組換えインターロイキンIIすなわちrIL2を含む)、インターフェロンα−2a;インターフェロンα−2b;インターフェロンα−n1;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−Ia;インターフェロンγ−Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レナリドミド(レブリミド);レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメテレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;抗CD2抗体(例えばシプリズマブ(Medlmmune Inc.;国際公開公報第02/098370号、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる));酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキサリプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペグアスパラガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン(pentamustine);硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシナート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシンが挙げられるがこれらに限定されない。
癌療法の他の例としては、20−エピ−1,25−ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミフォスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;/-/;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗背側形成タンパク質−1;抗アンドロゲン剤、前立腺癌;抗エストロゲン剤;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリン・グリシン塩;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス制御因子;アプリン酸;ara−CDP−D L−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン類;ベンゾイルスタウロスポリン;β−ラクタム誘導体;β−アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフラート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリポックスIL−2;カペシタビン;カルボキシアミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン類;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェンアナログ;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コムブレタスタチンA4;コムブレタスタチンアナログ;コナゲニン;クランベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシンA;シクロペンタアントラキノン類;シクロプラタム(cycloplatam);シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ(dacliximab);デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ダイドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチンアナログ;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;エトポシドリン酸塩;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;フルオロダウノルビシン(fluorodaunorunicin)塩酸塩;ホルフェニメクス;ホルメスタン;ホストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;HMG CoA還元酵素阻害剤(例えばアトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、レスコール、リピトール(lupitor)、ロバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチン);ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン類;イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様増殖因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン類;インターロイキン類;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4−イロプラクト(iroplact);イルソグラジン;イソベンガゾール(isobengazole);イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン−Nトリアセタート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;レンチナン硫酸塩;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病抑制因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミソール;LFA−3TIP(Biogen, Cambridge, MA;国際公開公報第93/0686号及び米国特許第6,162,432号);リアロゾール;鎖状ポリアミンアナログ;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リッソクリナミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシンアナログ;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチン;ヒト絨毛性ゴナドトロピンに対するモノクローナル抗体;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;多腫瘍抑制因子1に基づく治療;マスタード系抗癌剤;ミカペロキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン(napavin);ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;O6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オラシン;経口サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセルアナログ;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパルガーゼ;ペルデシン;ポリ硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール(pentrozole);ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセタート;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;ピロカルピン塩酸塩;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金−トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAに基づく免疫モジュレーター;プロテインキナーゼC阻害剤;微細藻類のプロテインキナーゼC阻害剤;プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン類;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質転移酵素阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1模倣体;セムスチン;老化由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレーター;γセクレターゼ阻害剤、一本鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラム;ソブゾキサン;ボロカプテイトナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメライシン阻害剤;スルフィノシン;超活性な血管作用性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;5−フルオロウラシル;ロイコボリン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポイエチン;トロンボポイエチン模倣体;チマルファシン;チモポイエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;エチルエチオプルプリンすず;チラパザミン;チタノセンジクロリド;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン類;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来増殖阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子療法;サリドマイド;ベラレソール;ベラミン;ベルジン類;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン(vinxaltine);抗インテグリン抗体(例えば抗インテグリンαvp3抗体);ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及びジノスタチンスチマラマーが挙げられるがこれらに限定されない。癌幹細胞を標的とするのに使用することのできる化合物の非制限的なリストとしては、インターロイキン−3受容体(IL−3R)及びCD123の阻害剤(IL−3R又はCD123を標的とするペプチド、ペプチド−コンジュゲート、抗体、抗体−コンジュゲート、抗体断片、及び抗体断片−コンジュゲート);カンタリジン;ノルカンタリジン、並びにその類似体及び誘導体;ノッチ経路阻害剤、例えばγセクレターゼ阻害剤;ソニックヘッジホッグ/スムーズンド経路阻害剤、例えばシクロパミン及びその類似体;CD96に対する抗体;特定のNF−κB/プロテアーゼ阻害剤、例えばパルテノライド及びその類似体;特定のトリテルペン、例えばセラストロール;特定のmTOR阻害剤;ウロキナーゼ受容体を標的とする化合物及び抗体;シネフンギン;特定のイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)阻害剤;PPAR−α及びPPAR−γアゴニスト及びアンタゴニスト(例えば、ピオグリタゾン、テサグリタザル(tesaslitazar)、ムラグリタザル、ペリグリタザル、ロベグリタゾン、バラグリダゾン、ラガグリタザル、ロシグリタゾン、ファルグリタザル、ソデルグリタザル、レグリタザル、ナベグリタザル、オキセグリタザル、メタグリダセン、ネトグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、チアゾリジンジオン、アレグリタザル、エダグリタゾン、リボグリタゾン、トログリタゾン、イミグリタザル、及びシポグリタザル);テロメラーゼ阻害剤;EpCAM抗体(ESA);GSK−3βアゴニスト及びアンタゴニスト(例えば、リチウム、6−ブロモイニルビン−3’−オキシム(BIO)、TDZD8);Wnt経路阻害剤、例えばディシェベルド/フリズルド又はβカテニンを阻害するフリズルド又は低分子に対
する抗体;多発性骨髄腫又は黒色腫における新規使用のための抗CD20抗体及びコンジュゲート(例えばリツキサン、ベキサール、ゼヴァリン);抗CD133抗体;抗CD44抗体;IL−4抗体;ベスナリノンなどの特定の分化剤;抗体又はベツリン酸などのCD33を標的とする化合物;抗体などのラクトアドヘリンを標的とする化合物;CXCR4又はSDF−1を標的とする低分子又は抗体;多剤耐性ポンプを標的とする低分子又は抗体;サバイビン阻害剤;XIAP阻害剤;BcI−2を標的とする低分子;CLL−I抗体;及びフリン阻害剤(例えばククルビタシン)が挙げられる。癌幹細胞を標的とするために使用することもできる化合物のさらなる非制限的なリストとしては、i)裸であるか又は癌幹細胞上の特定の細胞表面標的を標的とする治療用部分にコンジュゲートされているかのいずれかである、抗体、抗体断片、及びタンパク質、又はii)癌幹細胞に基づいた選別を介してさらに最適化(例えば化学反応を介して)又は同定することのできる低分子をはじめとする当技術分野において公知である低分子(例えば、化合物が、標準的な方法を通して癌幹細胞の増殖又は生存を損なうかどうかを決定するであろう低分子)が挙げられ、含まれる(網羅を意味するものではない)細胞表面及び細胞内標的は、Rexl(Zfp42)、CTGF、アクチビンA、Wnt、FGF−2、HIF−I、AP−2γ、Bmi−1、ヌクレオステミン、hiwi、Moz−TIF2、Nanog、β−アレスチン−2、OCT4、SOX2、stella、GDF3、RUNX3、EBAF、TDGF−1、nodal、ZFPY、PTNE、EvM5Pax3、McI−I、c−kit、Lex−1、Zfx、ラクタヘドリン、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、BCRP、テロメラーゼ、CD133、Bcl−2、CD26、グレムリン、及びFoxC2である。
いくつかの例では、使用される療法(群)は免疫調節剤である。免疫調節剤の非制限的な例としては、タンパク質性薬剤、例えばサイトカイン、ペプチド模倣体、及び抗体(例えばヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、ScFvs、Fab、又はF(ab)2断片又はエピトープ結合断片)、核酸分子(例えばアンチセンス核酸分子及び三重らせん)、低分子、有機化合物、及び無機化合物が挙げられる。特に、免疫調節剤としては、メトトレキサート、レフルノミド、シクロホスファミド、シトキサン、イムラン、シクロスポリンA、ミノサイクリン、アザチオプリン、抗生物質(例えばFK506(タクロリムス))、メチルプレドニゾロン(MP)、副腎皮質ステロイド、ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシン(シロリムス)、ミゾリビン、デオキシスペルグアリン、ブレキナル、マロノニトリロアミド(例えばレフルノミド)、T細胞受容体モジュレーター、サイトカイン受容体モジュレーター、及び肥満細胞モジュレーターが挙げられるがこれらに限定されない。免疫調節剤の他の例は、例えば、米国特許公開公報第2005/0002934Al号の259〜275段落に見られ、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。一例では、免疫調節剤は、化学療法剤である。代表的な例では、免疫調節剤は、化学療法剤以外の免疫調節剤である。いくつかの例では、本発明に従って使用される療法(群)は免疫調節剤ではない。
いくつかの例では、使用される療法(群)は抗血管新生剤である。抗血管新生剤の非制限的な例としては、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質、抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、ScFv、Fab断片、F(ab)2断片、及びその抗原結合断片)、例えばTNF−αに特異的に結合する抗体、核酸分子(例えばアンチセンス分子又は三重らせん)、有機分子、無機分子、及び血管新生を低減又は抑制する低分子が挙げられる。抗血管新生剤の他の例は、例えば、米国特許公開公報第2005/0002934A1号の277〜282段落に見られ、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。他の例では、本発明に従って使用される療法(群)は抗血管新生剤ではない。
特定の例では、使用される療法は、アルキル化剤、ニトロソ尿素、代謝拮抗剤、及びアントラサイクリン、トポイソメラーゼII阻害剤、又は有糸分裂阻害剤である。アルキル化剤としては、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、デカルバジン、メクロレタミン、メルファラン(mephalen)、及びテモゾロミドが挙げられるがこれらに限定されない。ニトロソ尿素としては、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU)が挙げられるがこれらに限定されない。代謝拮抗剤としては、5−フルオロウラシル、カペシタビン、メトトレキサート、ゲムシタビン、シタラビン、及びフルダラビンが挙げられるがこれらに限定されない。アントラサイクリンとしては、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、及びミトキサントロンが挙げられるがこれらに限定されない。トポイソメラーゼII阻害剤としては、トポテカン、イリノテカン、エトポシド(VP−16)、及びテニポシドが挙げられるがこれらに限定されない。有糸分裂阻害剤としては、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、及びビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビノレルビン)が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明は、癌幹細胞を標的とする薬剤の使用を含む。特定の例では、該薬剤は、治療部分に直接的に又は化学的技術若しくは組換え技術を介して間接的に付着している低分子、生物学的製剤、あるいは、ペプチド又は抗体又は抗体断片をはじめとする薬剤である。治療用部分の非制限的な例としては、治療用酵素、化学療法剤、サイトカイン、細菌毒素、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素、放射性核種、RNアーゼ、及び代謝拮抗剤が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの例では、使用される薬剤は、マーカー、例えば癌幹細胞上の抗原に結合する薬剤である。具体例では、該薬剤は、正常な幹細胞よりも癌幹細胞上により高いレベルで発現されている抗原に結合する。別の具体例では、該薬剤は、正常な幹細胞と同じレベルで癌幹細胞上に発現されている抗原に結合する。
具体例では、該薬剤は、正常な幹細胞上に存在しないか又は存在する癌幹細胞抗原に特異的に結合する。別の例では、本発明に従って使用される療法(群)は、癌幹細胞上のマーカーに結合する薬剤である。一例では、癌幹細胞上のマーカーに結合する薬剤は、抗体又は抗体断片であり、そのいずれかは裸であっても、又は治療用酵素、化学療法剤、サイトカイン、細菌毒素、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素、放射性核種、RNアーゼ、及び代謝拮抗剤などの治療用部分にコンジュゲートされていてもよい。
例えば、具体例では、該薬剤は、IL−3受容体(IL−3R)又はそのα−サブユニット(すなわちCD123抗原)に特異的に結合する。いくつかの例では、IL−3Rに結合する薬剤は、IL−3R又はそのα−サブユニットに特異的である抗体である。該抗体は、連結剤を使用して、治療用部分(例えば化学療法剤、植物由来、真菌由来、若しくは細菌由来の毒素、又は放射性核種、RNアーゼ)に化学的に又は組換え的にのいずれかでコンジュゲートされていてもよく、これにより細胞殺滅応答が奏功される。特定の例では、該抗体又は抗体−コンジュゲートは、IL−3Rのα−サブユニット(すなわちCD123抗原)に結合する。換言すれば、該抗体又は抗体コンジュゲートは、IL−3Rのα−サブユニットに結合するが、IL−3Rのβ−サブユニットには結合しない。他の例では、該抗体又は抗体コンジュゲートは、免疫特異的に、αサブユニット及びβサブユニットの両方を含有しているIL−3Rに結合する。IL−3R抗体又はIL−3R抗体の模倣体の調製法は、例えば、米国特許第6,733,743B2号に記載され、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
他の例では、癌幹細胞上のマーカーに結合する薬剤はリガンドである。いくつかの例では、該リガンドは、癌幹細胞上のサイトカイン受容体に結合するサイトカインである。特定の例では、該リガンドは、毒素をはじめとする治療用部分にコンジュゲートされていてもよいインターロイキン−3(IL−3)である。IL−3−毒素コンジュゲートは、毒素がタンパク質、例えばジフテリア毒素である例では、融合タンパク質の形態であり得る。IL−3−ジフテリア毒素融合タンパク質(「IL3DT」)を調製し単離する方法は、Frankel et al., "Diphtheria toxin fused to human interleukin-3 is toxic to blasts from patients with myeloid leukemias," Leukemia 14:576(2000)及びUrieto et al., "Expression and purification of the recombinant diphtheria fusion toxin DT388IL3 for phase I clinical trials," Protein Expression and Purification 33: 123-133(2004)に記載され、その開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。他の例では、療法はIL3DTではない。
特定の例では、癌幹細胞上のマーカーに結合する抗体は、処置される被験者において実質的に免疫原性ではない。非免疫原性抗体を得るための方法は、抗体のキメラ化、抗体のヒト化、抗体断片の作製、及び療法を受けている被験者と同じ種からの抗体の作製を含むがこれらに限定されない。例えば、米国特許公開公報第2005/0002934A1の539〜573段落を参照されたい(これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。癌幹細胞内のマーカーに結合する抗体は、当技術分野において公知の技術を使用して作製され得る。
いくつかの例では、使用される療法は、癌幹細胞及び/又は癌細胞を破壊するためのX線、γ線、及び他の放射線源の使用を含む。具体例では、放射線療法は外部ビーム照射又は遠隔放射線療法として投与され、放射線は遠隔の発生源から向けられる。他の例では、放射線療法は、内部療法又は近距離照射療法として投与され、放射能の発生源は、癌幹細胞、癌細胞及び/又は腫瘍塊に近い生体内に配置される。
いくつかの例では、使用される療法は、増殖に基づいた療法である。このような療法の非制限的な例としては、上記のような化学療法及び放射線療法が挙げられる。
現在利用可能な療法及びその用量、投与経路、及び推奨される用法は、当技術分野において公知であり、米国医師用卓上参考書(第60版、2006年)などの文献に記載されている。当技術分野において公知である投与経路としては、経口、局所、非経口、舌下、直腸、膣内、眼内、皮内、腫瘍内、脳内、くも膜下腔内、及び鼻腔内が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの例では、療法は、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む組成物の一部として投与される。
インビトロでのアッセイ
本明細書に記載の療法を、インビトロ及び/又はインビボで、癌細胞及び/若しくは癌細胞の量を低減、又はその増殖を抑制するその能力について試験することができる。療法が、癌幹細胞、癌細胞及び/若しくは免疫細胞(例えばリンパ球)の量を安定化若しくは低減する能力、又はその増殖を抑制する能力は、癌幹細胞、癌細胞、及び免疫細胞上の抗原の発現の検出;癌幹細胞、癌細胞、及び免疫細胞の増殖の検出;機能的アッセイを使用した癌幹細胞及び癌細胞の検出によって評価され得る。当業者に公知である技術を、これらの活性を測定するために使用することができる。例えば、細胞増殖を、3H−チミジン取り込みアッセイ及びトリパンブルー細胞計数によってアッセイすることができる。抗原発現を、例えば、ウェスタンブロット、免疫組織化学放射免疫アッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、免疫蛍光法、フローサイトメトリー、及びFACS分析などの技術を使用して、競合的及び非競合的アッセイ系を含むがこれらに限定されない、イムノアッセイによってアッセイすることができる。
本発明の化合物、医薬組成物、治療剤又は予防剤を、ヒトへの使用前に、インビトロで、その後、インビボで、所望の治療活性又は予防活性について試験し得る。例えば、特定の化合物の投与が有効であるかどうかを決定するために使用することのできるアッセイとしては、細胞及び組織培養アッセイが挙げられ、ここでは患者の組織試料(例えば癌細胞又は癌幹細胞)を培養液中で増殖させ、化合物に曝すか又は別様に接触させ、組織試料に対するこのような化合物の作用を観察する。組織試料は、患者から生検によって得ることができる。この試験は、各々の個々の患者について治療的に最も有効な療法(例えば予防剤又は治療剤)の同定を可能とする。
療法を、好ましくは、ヒトへの使用前に、インビトロで、その後、インビボで、所望の治療活性又は予防活性について試験する。例えば、特定の化合物の投与が有効であるかどうかを決定するために使用することのできるアッセイとしては、細胞及び組織培養アッセイが挙げられ、ここでは患者の組織試料(例えば癌細胞又は癌細胞)を培養液中で増殖させ、予防用化合物又は治療用化合物に曝すか又は別様に接触させ、組織試料に対するこのような化合物の作用を観察する。組織試料は、患者から生検によって得ることができる。この試験は、各々の個々の患者について治療的に最も有効な療法(例えば予防剤又は治療剤)の同定を可能とする。特定の例では、療法の効果は、例えばXTTアッセイなどの当技術分野において公知である標準的なアッセイを使用して細胞生存度アッセイにおいて評価される。
毒性アッセイ
本明細書に記載の療法の毒性及び/又は効力は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための、細胞若しくは組織培養液中の又は実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性作用と治療作用との間の用量比は治療指数であり、それは、LD50/ED50比として表現され得、大きな治療指数を示す計画が好ましい。毒性副作用を示す計画を使用してもよいが、未感染の細胞への傷害の可能性を最小限とし、これにより副作用を低減させるために、罹患組織部位にこのような薬剤を標的化する送達システムを設計する際には注意を払うべきである。
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータを、ヒトへの使用のための一連の用量の療法を製剤化する際に使用することができる。このような薬剤の用量は好ましくは、正常組織に対して殆ど又は全く毒性を及ぼさない、ED50を含む一連の循環濃度内に存する。用量は、使用される剤形及び使用される投与経路に依存して、この範囲内で変更されてもよい。本発明の方法に使用される任意の療法について、予防有効量及び/又は治療有効量は、細胞培養アッセイから最初に推定することができる。動物モデルにおいて、細胞培養液中で決定されたようなIC50(すなわち、症状の半数阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環中血漿中濃度範囲を達成するように、用量を調合し得る。このような情報を使用して、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中の化合物のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
製品
本発明はまた、梱包が完了しラベルの貼付された医薬品(群)も包含する。製品は、ガラスバイアルなどの適切な器若しくは容器、又は密封された他の容器に、適切な単位投与剤形を含む。医薬品は、例えば、第一の容器に単位投与剤形の予防剤又は治療剤、及び第二の容器に注射用滅菌水を含有し得る。あるいは、単位投与剤形は、経口、経皮、鼻腔内、又は局所送達に適した固体であり得る。
具体例では、単位投与剤形は、静脈内、筋肉内、鼻腔内、経口、局所、又は皮下送達に適している。したがって、本発明は、各々の送達経路に適した、液剤、好ましくは滅菌された液剤を包含する。
いくつかの例では、医薬品は、本明細書に開示された予防剤及び/又は治療剤である。いくつかの例では、医薬品は、予防剤及び/又は治療剤と薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む組成物である。具体例では、医薬組成物は、適切な投与経路のための剤形である。このような経路としては、経口、局所、非経口、舌下、直腸、膣内、眼内、皮内、腫瘍内、脳内、くも膜下腔内、及び鼻腔内経路が挙げられるがこれらに限定されない。
あらゆる医薬品と同様に、梱包材料及び容器は保存及び出荷中の製品の安定性を保護するように設計されている。さらに、本発明の製品は、問題の疾患又は障害を適切に予防又は治療する方法に関して医師、技術者、又は患者に助言する使用説明書又は他の情報資料を含む。換言すれば、該製品は、実際の用量、投与頻度、投与期間、癌細胞数、癌幹細胞数、リンパ球数、好中球数に関するモニタリング手順、及び他のモニタリング情報を含むがこれらに限定されない投与計画を示す又は示唆する取扱説明手段を含む。
具体的には、本発明は、箱、瓶、チューブ、バイアル、容器、スプレー、吸入器、静注用(i.v.)バッグ、包装材料などの梱包材料;及び、該梱包材料内に含有される少なくとも1単位投与剤形の医薬を含む、製品を提供し、ここで該医薬は予防剤又は治療剤を含み、ここで該梱包材料は、特定の用量を投与し本明細書に記載のような特定の投与計画を使用することによって癌又はその1つ以上の症状に関連した1つ以上の症状を予防、管理、治療、及び/又は寛解するために該薬剤を使用することができることを示す、取扱説明手段を含む。
特定の例では、製品は、癌幹細胞に選択的に又は特異的に結合し、そして癌細胞に選択的に又は特異的に結合する、標識抗体を含む。したがって、製品は、処置計画に使用される用量を調整し、計画の効力をモニタリングするための方法を含有している。
本発明は、本発明の方法によって低減又は回避され得る有害作用が、癌を予防、治療及び/又は管理するのに使用するための製品に封入された情報資料に示されていることを提供する。本発明の方法によって低減又は回避され得る有害作用としては、バイタルサインの異常(発熱、頻脈、徐脈、高血圧、低血圧)、血液学的イベント(貧血、リンパ球減少症、白血球減少症、血小板減少症)、頭痛、悪寒、眩暈、嘔気、無力症、背部痛、胸痛(胸部圧迫感)、下痢、筋肉痛、疼痛、そう痒、乾癬、鼻炎、発汗、注射部位反応、及び血管拡張が挙げられるがこれらに限定されない。
さらに、癌を予防、治療及び/又は管理するのに使用するための製品に封入される情報資料は、外来タンパク質もまたアナフィラキシーをはじめとするアレルギー反応又はシトシン遊離症候群を生じる可能性があることを示し得る。情報資料は、アレルギー反応が軽度なそう痒性皮疹としてのみ呈する場合もあるが、又はそれらは紅皮症、スティーブン・ジョンソン症候群、血管炎、若しくはアナフィラキシーのように重度である場合もあることを示すべきである。情報資料はまた、アナフィラキシー反応(アナフィラキシー)は重篤で時に致命的な過敏症反応であることも示すべきである。アナフィラキシーをはじめとするアレルギー反応は、任意の外来タンパク質が体内に注入された場合に起こり得る。それらは蕁麻疹又は発疹などの軽度な徴候から致命的な全身性の反応まであり得る。アナフィラキシー反応は、曝露後すぐに、通常10分以内に起こる。患者は、知覚異常、低血圧、咽頭浮腫、精神状態変化、顔面又は咽頭の血管浮腫、気道閉塞、気管支痙攣、蕁麻疹、及びそう痒、血清病、関節炎、アレルギー性腎炎、糸球体腎炎、一過性関節炎、又は好酸球増加症を引き起こす場合もある。
キット
本発明はまた、癌幹細胞を検出、モニタリング、及び/又は測定するための試薬で充填された1つ以上の容器を含む、医薬パック又はキットを提供する。一例では、医薬パック又はキットは場合により、癌幹細胞を検出及び/又は測定するために提供された試薬の使用説明書を含む。別の例では、医薬パック又はキットは場合により、医薬品又は生物学的製剤の製造、使用又は販売を規制する政府当局によって規定された形式の通知を含み、該通知は、当局によるヒトへの投与のための製造、使用、又は販売の承認を反映する。
一例では、医薬パック又はキットは、1つ以上の容器に、癌幹細胞表面マーカー結合剤を含む。特定の例では、該薬剤は、癌幹細胞表面マーカーに選択的に又は特異的に結合する抗体である。該薬剤は、任意の癌幹細胞表面マーカーと交差反応する、抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、ScFvs、Fab、又はF(ab)2断片又はエピトープ結合断片を含む)であり得る。別の例では、該抗体は、米国特許第6,004,528号の表1、又は米国特許出願番号第09/468,286号の表1、2若しくは3、並びに米国特許出願公開公報第2006/0083682号、第2007/0036800号、第2007/0036801号、第2007/0036802号、第2007/0041984号、第2007/0036803号、及び第2007/0036804号に列挙された癌幹細胞表面マーカーのいずれか1つと反応し、その各々は本明細書に参照により組み入れられる。この例に従って、医薬パック又はキットは、癌幹細胞表面マーカーに結合する1つ以上の抗体を含み、ここで各抗体は、癌幹細胞表面マーカーの異なるエピトープに結合する及び/又は異なる親和性で癌幹細胞表面マーカーに結合する。
抗体に基づいたキットについて、該キットは、例えば、(1)癌幹細胞表面マーカータンパク質に結合する第一抗体(これは固相支持体に付着していても付着していなくてもよい);及び場合により、(2)第一の抗体に結合した癌幹細胞表面マーカータンパク質又は第一の抗体のいずれかに結合し、かつ検出可能な標識(例えば蛍光標識、放射性同位体、又は酵素)にコンジュゲートしている第二の異なる抗体を含み得る。抗体に基づいたキットはまた、免疫沈降を行なうためのビーズを含み得る。抗体に基づいたキットの各成分は一般的に、それ自体の適切な容器内にある。したがって、これらのキットは一般的に、各抗体に適した個別の容器を含む。さらに、抗体に基づいたキットは、アッセイを実施するための説明書、並びに、アッセイの実施から得られたデータを解釈及び分析するための方法を含み得る。一例として、キットは、白血病癌幹細胞(これはCD34+/CD38−/CD123+)の量の決定のために単離及び/又は定量及び/又は支援するための、ポジティブ選択のための抗CD34抗体、ネガティブ選択のための抗CD38抗体、及びポジティブ選択のための抗CD123抗体を含み得る。
核酸マイクロアレイキットについては、該キットは一般的に、固相支持体表面に付着する特定の遺伝子に特異的なプローブを含む(がこれらに限定されない)。他の例では、プローブは可溶性である。1つのこのような例では、プローブは、オリゴヌクレオチド又はより長いプローブのいずれか、例えば、150ヌクレオチド長から800ヌクレオチド長の範囲のプローブであり得る。プローブは検出可能な標識で標識されていてもよい。マイクロアレイキットは、アッセイを実施するための説明書、並びに、アッセイの実施から得られたデータを解釈及び分析するための方法を含み得る。該キットはまた、ハイブリダイゼーション試薬及び/又は癌幹細胞表面マーカー核酸配列にプローブがハイブリダイズした場合に発生するシグナルを検出するのに必要とされる試薬を含み得る。一般的に、マイクロアレイキットのための材料及び試薬は、1つ以上の容器内にある。キットの各成分は一般的に、それ自体の適切な容器内にある。
定量PCRについては、該キットは一般的に、特定の癌幹細胞表面マーカー核酸配列に特異的な予め選択されたプライマーを含む。定量PCRキットはまた、核酸(例えばポリメラーゼ、例えばTaq)及びデオキシリボヌクレオチドの増幅に適した酵素、並びに、増幅のための反応混合物に必要とされる緩衝液を含み得る。定量PCRキットはまた、容態に関連した又は容態を示唆する、核酸配列に特異的なプローブを含み得る。プローブはフルオロフォアで標識されていても標識されていなくてもよい。プローブは、クエンチャー分子で標識されていても標識されていなくてもよい。いくつかの例では、定量PCRキットはまた、RNAを逆転写するのに適した成分、例えば酵素(例えば逆転写酵素、例えばAMV、MMLVなど)及び逆転写用のプライマーを、逆転写反応に必要とされるデオキシヌクレオチド及び緩衝液と共に含む。定量PCRキットの各成分は、一般的に、それ自体の適切な容器内にある。したがって、これらのキットは一般的に、各々の個々の試薬、酵素、プライマー、及びプローブに適した別個の容器を含む。さらに、定量PCRキットは、アッセイを実施するための説明書、並びに、アッセイの実施から得られたデータを解釈及び分析するための方法を含み得る。
キットは場合によりさらに、例えば標準物質又は対照として使用するための、癌幹細胞表面マーカーをコードしている、予め決定された量の単離された癌幹細胞表面マーカーポリペプチド又は核酸を含み得る。本発明の診断法は、臨床試験の実施又はモニタリングを支援し得る。本発明に従って、被験者から得られた適切な試験試料、例えば血清又は組織試料を、診断のために使用することができる。
医薬パック又はキットの使用によって得られた結果に基づいて(すなわち癌幹細胞量が安定化しているか又は低減されているかどうか)、癌療法又は計画を投与している医療従事者は、療法又は計画の継続を選択し得る。あるいは、癌幹細胞量が増加しているという結果に基づいて、医療従事者は、療法又は計画を継続、変更、又は中止することを選択し得る。
本明細書における先行技術の文書へのあらゆる言及は、このような先行技術が広く知られているか又は当技術分野の一般知識の一部を形成しているということを承認するものと捉えられるべきではない。
本明細書において使用する「含む」、「含んでいる」という単語、及び同様な単語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、それらは「含むがこれらに限定されない」を意味することを意図する。
本発明はさらに、以下の実施例を参照して記載される。特許請求されている本発明は、いずれにしてもこれらの実施例によって制限されるものではないことが理解されるだろう。
実施例
実施例1:材料及び方法
材料
抗体
免疫組織化学法のために使用される抗体、その最適化された希釈率、及び入手源を、アルファベット順に表1に列挙する。
化学物質及び試薬
本研究に使用される化学物質及び試薬、並びにその入手源を表2に列挙する。
緩衝液、溶液、及び染色液
本研究に使用した緩衝液、溶液、及び染色液を表3に列挙する。
自動染色装置の免疫組織化学法のために使用されたキット及びその入手源を表4に列挙する。
方法
ホルマリンで固定されパラフィンに包埋された切片の調製
ホルマリンで固定されパラフィンに包埋されたSCCOT切片の4μm切片を、ミクロトームを使用して切断し、40℃の水浴中で伸展させ、スライドガラス上に移し、室温で一晩乾燥させた。
ヘマトキシリン及びエオシン染色
ヘマトキシリン及びエオシン染色を、患者1人あたり1つのホルマリンで固定されパラフィンに包埋されたスライド上で行なった。
ヘマトキシリン及びエオシン染色分析
ヘマトキシリン及びエオシンで染色されたスライドを、病理学コンサルタントによって高分化した群、中程度に分化した群、及び低分化した群への、病変の初回の類別のために使用した。それらをその後、標本内の免疫組織化学染色パターンの組織の形態及び配向性の基準として使用した。
自動化蛍光免疫組織化学手順
2つの染色液、3つの染色液、又は4つの染色液のいずれかを用いての自動蛍光免疫染色を、ライカ社のBond RX 免疫組織化学自動染色装置(ヌスロッホ、独国)を使用して、製造業者によって提供されたプロトコールに従って実施した。
自動化DAB免疫組織化学染色手順
1つの染色液を用いての自動化DAB免疫染色を、ライカ社のBond RX 免疫組織化学自動染色装置(ヌスロッホ、独国)を使用して、製造業者によって提供されたプロトコールに従って実施した。
可視化、写真撮影、及び画像分析
DABで染色されたスライドを、オリンパスBX53顕微鏡、及びオリンパスSC100顕微鏡カメラを用いて見た。
DABで免疫染色されたスライドを、オリンパスBX53顕微鏡及びオリンパスSC100顕微鏡カメラを使用して見て撮影した。画像の定量分析を、染色されていない、弱く陽性に染色されている、強く陽性に染色されているのいずれかとして記載した。組織内の陽性染色の位置、陽性細胞の形態、及び陽性染色細胞内の染色の明確な位置に関する観察も注記した。
蛍光免疫染色されたスライドを、オリンパスFV1200生体共焦点レーザー走査顕微鏡(東京、日本)を使用して見て撮影した。
画像の定量分析を、染色されていない、染色されている、又は共染色されているとして記載した。
細胞内のマーカー発現の局在を、FV−10ソフトウェアを使用して、1つの細胞の直径を横切る複数のマーカーの発現の相対強度を算出して分析した。発現は、核領域、細胞質領域、及び膜領域へと分離された。患者1人あたり9個の個々の細胞において、これらの各々の部分内の平均染色強度を計算した。これにより、その患者の細胞内の染色の正確な位置に関する一般化が可能となった。例えば、70%が核に、30%が細胞質に、0%が膜に。
ウェスタンブロット
試料の取扱い及び調製
外科標本を、手術室からGMRI研究室へと直接移し、その研究室でそれらを凍結保存バイアルに入れ、液体窒素を用いて瞬間凍結させ、そして−80℃で保存した。
瞬間凍結させた組織を冷凍庫から取り出し、適切なサイズ(40〜80mg)に解体した。使用しようとする試料の質量を記録し、全ての残りの組織を直ちに元来の凍結保存バイアルに戻し、さらなる研究のために−80℃で保存した。試料をできるだけ多く氷上で保持した。
試料を、RIPA緩衝液及びプロテアーゼ阻害剤10mg/500μL/5μLを含有している個々のエッペンドルフチューブに加え、その後、ガラス製の乳鉢に移し、ホモジナイズするまで、乳棒を用いて氷上で粉砕した。その後、組織懸濁液をエッペンドルフチューブに戻し、氷上で5分間インキュベートし、その後、13300rpmで4℃で20分間遠心分離にかけた。その後、上清を新しいエッペンドルフチューブに移し、氷上で保存した。ペレットは廃棄した。
タンパク質アッセイ
Qubit(商標)試薬 1μlをQubit(商標)緩衝液 199μlで希釈して、Qubit(商標)作業溶液を調製することにより、標準物質及び試料の各々のために200μlを作製した。その後、3つのタンパク質標準物質を、Qubit(商標)作業溶液 190〜199μlに添加された10μl(タンパク質標準物質)を使用して調製した。その後、標準物質を2〜3秒間ボルテックスにかけ、室温で2分間インキュベートした。その後、各標準物質を順次Qubit(商標)2.0蛍光光度計に入れて、標準曲線を導き出した。
Qubit(商標)作業溶液 190μlに添加された溶解液 10μLを使用して実験タンパク質試料を調製し、これにより200μlとした。その後、試料を、Qubit(商標)2.0蛍光光度計を使用して読み取り、元来のストック試料中のタンパク質濃度を希釈計算機機能を使用して計算した。
試料中に過剰なタンパク質が存在していたために試料中のタンパク質濃度を読み取ることができなかった場合、溶解液を希釈し、満足な読み取りが得られるまでプロセスを繰り返した。
その後、組織溶解液試料をエッペンドルフチューブに分注し、反復される凍結/解凍サイクルによって引き起こされる混入リスク及び損傷を低減し、その後、後で使用するまで−80℃で保存した。
溶解液試料を冷凍庫から取り出し、氷上で保持した。各試料の容量を、タンパク質濃度に基づいて計算し(ゲル上に1ウェルあたり等量のタンパク質のローディングを可能とするために)、その後、各試料が等容量(10μL)となるように、抽出緩衝液をこれらに加えた。
作業溶液(Laemmli緩衝液 9.5μL、及びβ−メルカプトエタノール 0.5μL)を調製して、1試料あたり10μLとした。その後、試料 10μL及び作業溶液 10μLを、10分間、加熱ブロック上で煮沸した。
ゲル電気泳動
ddH2O 900mLに10×ストック液 100mLを添加することによって、Laemmli SDS−PAGEランニング緩衝液を調製した。
コーム及びテープをミニ−SDS−PAGEゲルから取り外し、ミニプロティアンtetraセルを組み立て、内部及び外部チャンバーを1×ランニング緩衝液で充填した。
タンパク質標準物質(分子量マーカー)2.5μLをゲルウェル1にローディングし、タンパク質試料 20μLを残りのウェルにローディングした。
その後、試料がゲルに入るまでゲルを110Vで5分間泳動させ、その後、電圧を200Vまで30分間かけて上昇させた。その後、ゲルを取り出し、ゲルのウェル及び底(ローディング色素を含有している)をスカルペルを用いて切り出した。
膜へのゲルの半乾燥転写
転写サンドイッチを、正しい順で、バイオラッド社のTrans-Blot Turbo(商標)転写システムで組み立てた:ろ紙、PVDF膜、ゲル、ろ紙。少量の1×ランニング緩衝液を適用して膜を湿らせ、ローラーを使用して全ての捕捉された気泡を除去した。その後、チャンバーを閉め、転写を正しい設定で開始し(TURBO、1ミニゲル(1.3A、25V、7分間)A:泳動)、7分間泳動させた。その後、ブロットをサンドイッチから取り出し、作業溶液中に瞬時に入れた。
免疫検出
1×iBind(商標)溶液を、ddH2O 23.7mL及び添加剤 300μL及びiBind(商標)緩衝液 6mLを用いて調製した。ブロットした膜を、10分間、振とう器上のiBind(商標)溶液 10mL中に浸漬させた。iBind(商標)カードを、iBind(商標)ウェスタン装置のステージに置き、1×iBind(商標)溶液 5mLを流域間に均一にピペッティングし、さらなる1mLのiBind(商標)溶液をカードの中心にプールした。その後、ブロットした膜を、タンパク質側を下にして、低分子量領域をスタックに近づけて、iBind(商標)カード上に置いた。その後、ブロッティングローラーを使用して全ての気泡を除去し、蓋を閉めた。その後、抗体及び1×iBind(商標)溶液を以下の順序で(1:作業溶液 2mL中の一次抗体(5×濃度)、2:iBind(商標)溶液 2mL、3:作業溶液 2mL中のHRP二次抗体(5×濃度)、4:iBind(商標)溶液 6mL)ウェルに加え、2.5時間又は一晩室温でインキュベートした。
画像撮影及びデータ分析
ブロットした膜を、振とう器上で5分間水道水で濯いだ。化学発光基質キット(Clarity(商標)ウェスタンECL基質キット)を1:1の比で調製し(ルミノールエンハンサー溶液 7mL及び過酸化物溶液 7mL)、振とう器上で15分間インキュベートした。その後、化学発光シグナルをバイオラッド社のChemiDoc(商標)MP画像撮影システム及びバイオラッド社のImage Lab(商標)ソフトウェアバージョン5.0を使用して撮影した。
リプロービング
ブロットした膜を、4℃のTBST中で保存した。必要であれば、ブロットした膜をさらなるマーカーのためにリプロービングした。ブロットした膜を振とう器上で10分間水道水で洗浄し、その後、iBind(商標)溶液 10mL中で10分間振とう器上でインキュベートした。iBind(商標)カード、iBind(商標)作業溶液、及び抗体は、HRP二次抗体ではなく蛍光二次抗体を使用した以外は以前に記載されている通りに調製した。その後、膜を3.5時間インキュベートした。
タンパク質定量
タンパク質を、低分化した舌SCC試料の最初の試料から抽出した。タンパク質定量を、2次元Quantキットを使用して行なった。0μL、10μL、20μL、30μL、40μL、50μLのBSA溶液をエッペンドルフチューブに入れることによってタンパク質標準物質を調製した。エッペンドルフチューブに、一連のタンパク質溶解液(2μL、5μL、15μL、30μL)を網羅する、OTSCC及び対照組織(胎盤)試料を調製した。沈降溶液 500μLを各々に加え、各チューブを5秒間ボルテックスにかけた。その後、共沈降剤 500μLを各チューブに加え、再度5秒間ボルテックスにかけた。その後、全てのタンパク質標準物質及び溶液を13,300rpmで15分間遠心分離にかけた。上清を取り出して廃棄し、チューブの底から残り全ての溶液を移動させるために、チューブを再度簡潔に遠心分離にかけた。その後、この溶液を、ペレットを攪乱しないように注意を払いながらピペットで取り出した。
銅溶液 500μLを、各々のタンパク質標準物質及び試料のために調製した、1:5の銅溶液:ddH2O。その後、銅溶液 500μLを各チューブに加え、5秒間ボルテックスにかけ、沈降タンパク質を再度溶解した。
呈色試薬溶液 1000μLを、各々のタンパク質標準物質及び試料のために調製し、1:200の呈色試薬A:呈色試薬B。呈色試薬溶液 1000μLを各チューブに加え、5分間放置して展開した。
各200μLのddH2O、標準物質溶液、及び試料を順次ウェルプレートにローディングした。
ウェルプレートをプレート解読器に入れた。標準曲線を標準溶液から作成し、480nmにおける試料の吸光度を解読した。
その後、標準曲線を作成し、試料をそれに対して解読して、ストック試料タンパク質溶解液中の全タンパク質濃度(mg/mL)を得た。
実施例2:口腔の扁平上皮細胞癌の発現分析
口腔舌の扁平上皮細胞癌(SCCOT)を有する患者から得られた組織試料において以下のマーカーを分析した。
1.胚性幹細胞マーカー
OCT4:多能性及び自己再生の維持に関連し、正常な成体組織には発現されていない、胚性幹細胞マーカー。転写因子の発現は通常は核に限局されるが、癌細胞内のいくつかの細胞質内での発現が文献において注記されていた(本発明者らの結果にも注記)。
NANOG:多能性の維持及び自己再生に関連し、発現がSOX2及びOCT4によって制御される、胚性幹細胞マーカー。転写因子の発現は通常は核に限局されるが、ここでも、癌細胞内のいくつかの細胞質内での発現が文献において注記されていた(本発明者らの結果にも注記)。
SOX2:多能性の維持及び自己再生に関連した、胚性幹細胞マーカー。転写因子の発現は主に核に限局されるが、ここでも、癌細胞内のいくつかの細胞質内での発現が文献において注記されていた(本発明者らの結果にも注記)。
pSTAT3:活性化シグナル伝達性転写因子。多能性の維持、自己再生に関連した、公知の幹細胞マーカー。pSTAT3の構成的活性化は癌において認識され、細胞周期進行及び抗アポトーシス及び血管新生の制御において重要な役割を果たしている。
口腔舌の扁平上皮細胞癌(SCCOT)試料に対して行なわれたマーカー発現及びマーカー共局在分析の結果を以下の表5に要約する。
8.陽性対照
陽性対照組織(標的タンパク質特異的)を同定し、試験し、その後、自動免疫染色装置で実験組織を用いて同時に染色した。
9.結果
これらのデータの結果は以下を示す:
1.舌癌内の癌幹細胞マーカーの確定的な共局在。現在までにこの癌幹細胞集団内に共局在しているタンパク質は、NANOG、OCT4、SOX2、CD44、LYVE−1、VEGFR−3、及びACEである。
2.癌幹細胞は、上皮癌マーカーEMA、p63又はサイトケラチン5、6、8、18を共発現しない。このことは、これらの細胞が、これらのマーカーを発現する癌細胞塊よりも原始的(上流)であることを示唆する。
3.始めて、リンパマーカー(LYVE−1及びVEGFR−3)及び癌幹細胞マーカー(CD44)及び胚性幹細胞マーカー(NANOG、OCT4、SOX2)が共発現することが示された。これは、この細胞集団の生体機能を解明する際に興味深い意味を有し、これらの細胞が、血管とは明確に異なるリンパ管を介して転移を駆動するのに活発に関与し得ることを示唆し、また、これらの癌幹細胞が真に多能性であり、新規なリンパ脈管新生(自己再生及び腫瘍細胞塊の形成に加えて)を行なうことができるという本発明者らの仮説を支持する。
4.癌幹細胞集団によるACEの発現も新規であり、レニン−アンギオテンシン系(RAS)が、癌幹細胞の調節にある程度関与するという仮説を支持する。
実施例3:他の癌の発現分析
胚性幹細胞マーカーOCT4及びレニン受容体の発現についての共発現研究を実施するために、パラフィン切片を順次、2つのタンパク質の存在について染色した。画像をオリンパスFV−1200共焦点顕微鏡を使用して撮影し、オリンパスFluoview FV1000ソフトウェアを使用して分析した。調べた各々の癌系に由来する代表的な癌幹細胞を選択し、その中央から描かれた横断線が、OCT4の相対的発現レベル、細胞核と比較したレニン受容体と共に、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)の発現によって示された。これは、添付図面のデータから、癌の種類(すなわち、OTSCC(図4A、4B)、黒色腫(図7A、7B)、肉腫(図9A、9B)、腸癌(図11A、11B)、脳癌(図13A、13B)、乳癌(図15A、15B)、肺癌(図17A、17B)、B細胞リンパ腫(図19A、19B)、及び腎臓癌(図21A、21B)、甲状腺癌(23A、23B)、慢性リンパ性癌(25A、25B)、皮膚扁平上皮細胞癌(27A、27B)、前立腺癌(29A、29B)によって明白である。
プロ/レニン受容体は、約39KDaで検出される細胞表面かつ細胞質内の細胞性タンパク質であり、その後、このタンパク質は細胞内で多くのタンパク質(例えばフリン及びカテプシンBなどであるがこれらに限定されない)によって切断されることができる(例えば、Wang et al. (1991) J. Biol. Chem. 266(19): 12633-12638)。切断された産物は、元来のタンパク質の切断短縮形であり、これは約25KDaのサイズである。完全長及び切断されたプロ/レニン形の両方が、図5に示されている。後者の切断形は細胞外液中に能動的に分泌され、最終的には血液、リンパなどの体液中に入る。したがって、このマーカーは、癌、特に、関連した癌幹細胞集団(群)を有する癌のバイオマーカーとして使用され得る。
本発明は例として記載されているが、特許請求の範囲で定義されているような本発明の範囲から逸脱することなく、変更及び改変を行なってもよいことが理解されるべきである。さらに、特定の特色に対する公知の均等物が存在する場合には、このような均等物が本明細書に具体的に言及されているかのように同様に組み入れられる。