JP6899533B2 - 噴霧方法及び噴霧装置 - Google Patents

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Description

本発明は、気体によって液体を微粒化する二流体ノズル形式の噴霧方法及び噴霧装置に関するものである。
液体を微粒化するノズルは、空間又は物質の冷却装置、加湿装置、薬液散布装置、燃焼装置、又は、粉塵対策装置等に広く用いられている。この微粒化ノズルを大別すると、液体を微細な孔より噴出して微粒化する一流体ノズルと、空気、窒素、又は蒸気等の気体を用い、液体を微粒化する二流体ノズルとに分類される。この一流体ノズルと二流体ノズルとでは、一般的に、二流体ノズルの方が、気体の持つエネルギーを用いて液体を微粒化するため、一流体ノズルよりも微粒化性能に優れるという特徴がある。
液体を微粒化する二流体ノズルの例としては、例えば、特許文献1に記載された二流体ノズルがある。特許文献1に記載された二流体ノズルは、図4に示すように、内筒100と、中筒101と、外筒102とを備えた三重筒構造で、内筒100は、基端側筒103と先端側筒104とを連結して形成している。内筒100の中空部を中心空気流路105とし、内筒100と中筒101との間の中間環状流路を液体流路106とし、中筒101と外筒102との間の外側環状流路を外側空気流路107としている。外側空気流路107の基端側開口107a及び中心空気流路105の基端側開口105aは、図示しない空気供給主管と接続している。よって、図示しないブロアからなる空圧源より、空気供給主管を介して基端側開口107aと基端側開口105aとに、低圧空気を流入させるようにしている。また、環状の液体流路106の基端側開口106aは、図示しない水供給主管を接続して、図示しない液槽よりポンプと水供給主管を介して基端側開口106aに、加圧された水を流入させるようにしている。
内筒100の先端側筒104と、中筒101と、外筒102との先端側に、軸線Lに沿った同一線上に位置する開口100a、101a、102aを備えた先端部100b、101b、102bを備え、噴射口となる外筒102の開口102aの内側に中筒101の開口101aを位置させ、中筒101の開口101aの内側に内筒100の開口100aを位置させている。
内筒100の先端側筒104は、基端側筒103に螺着して接続した筒部の先端が内筒開口100aとなり、軸線方向の中央部に小径化したオリフィス104aを設けている。内筒100の開口100aの周縁となる先端面104bに、凹状の溝104cを略対向位置に2つ形成している。
中筒101の先端部101bは外周面を円錐形状とすると共に、その内部に段差101cを設けて先端側に小径の中空部を設け、該中空部を内筒100の先端開口100aと同一径で連通させている。前記先端側の小径中空部の先端には、更に小径とした前記先端開口101aを設けている。
中筒101の段差101cには、内筒100の先端面104bを当接させ、溝104cと段差101cとの間に3個の液体旋回連通流路108を設けている。この液体旋回連通流路108は内筒100の先端側中空部に開口し、この内筒100の先端側中空部と中筒101の先端中空部とを連通させていることより、この連通した内筒100と中筒101との先端中空部を第1混合室109としている。
中筒101の先端部101bと広い空間をあけて外筒102の先端部102bを外嵌し、この中筒と外筒の先端閉鎖部101bと102bとの間に第2混合室110を形成している。この第2混合室110は、環状の外側空気流路107と連通すると共に先端中央に噴射口となる開口102aを位置させている。
前記構成からなるノズルでは、まず、液体流路106に流入した水は、液体旋回連通流路108を通過するときに強制的に旋回され、第1混合室109に旋回流となって流入する。この旋回により、水は一次微粒化がなされる。第1混合室内109に旋回流となって流入した水の中央部に、中心空気流路105のオリフィス104aを通って噴出されるブロアからの空気が、衝突混合する。この衝突混合により液滴の二次微粒化がなされながら、中筒101の開口101aから第2混合室110へと水と空気との気液混合流体が噴出する。
この二次微粒化された気液混合流体は、第2混合室110において、外側空気流路107より流入してくるブロアからの空気が、外周側より衝突混合する。このように、第2混合室110内において三次微粒化された気液混合ミストが、外筒102の噴射口となる開口102aより噴射されることとなる。特に、第2混合室110は広い空間であるため、外側空気流路107より流入してくる空気が、開口101aより流入してくる気液混合流体に対して外周より均一に衝突混合し、かつ、気液混合流体が旋回していることも合わせて、液滴の均一な微粒化が図れる(特許文献1参照)。
特開2001―149822号公報
しかしながら、特許文献1に記載された前記従来の二流体ノズルの構成は、複雑なノズル構成でありながらも、噴霧した液体を充分に微粒化できないために、液体の粒径が大きいという問題がある。具体的には、特許文献1に記載の二流体ノズルにより噴霧された液体の粒径は、50μm以上である。このように噴霧した液体の粒径が大きい場合、噴霧した液体が気化するまでに時間を要する、つまり、気化が遅いために、濡れ等が発生するという問題を有している。さらに、本構成において、気体として100℃以上の気体、例えば蒸気を導入した場合、噴霧される液体の粒径をさらに大きくしないためには、気体としての蒸気導入圧力を増大させる必要があり、その際、蒸気は高温化し、二流体ノズルから噴出される気液の混合体の温度が高温化してしまう。一方、低温化のために蒸気圧力を低圧化すると、液体の粒径はさらに大きくなり、濡れ等を発生する頻度が高くなるという問題を有している。
以上より、特に空間の冷却に用いる場合においては、気温の高い時期にミストの気化冷却により空間の温度低減効果を発揮できるものの、気温の低い時期には活用できないという問題を有している。
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、気化が早くかつ濡れ等を感じない粒径の小さな液体を噴霧可能な噴霧方法及び噴霧装置でありながら、気体として高温の気体を利用した空間の温度上昇効果を実現できる噴霧方法及び噴霧装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の別の態様にかかる噴霧方法は、
液体流路と気体流路とを有する噴霧装置本体部と、
前記噴霧装置本体部の先端に配置されて、前記液体流路の開口を覆いかつ平らな内側端面を有する内蓋部と、
前記噴霧装置本体部の先端に配置されて前記内蓋部を覆うとともに、前記気体流路の開口を覆いかつ前記内蓋部の前記内側端面に対向する平らな外側端面を持つ外側端部を有する外蓋部と、
前記内蓋部と前記外蓋部との間に配置され、前記内蓋部の前記内側端面と前記外蓋部の前記外側端面との間の円板状の外形の空間で構成され、前記気体流路を流れる気体流と前記液体流路を流れる液体流とを混合する気液混合部と、
前記内蓋部の前記内側端面の周方向の少なくとも1箇所に貫通して設けられて前記気液混合部と連通して、前記液体流路を流れる液体流を前記気液混合部に流入させる液体流入口と、
前記内蓋部と前記外蓋部との間の前記気液混合部の側部に前記気液混合部と連通して配置されて、前記液体流入口から前記気液混合部に流入する前記液体流に向かって、前記気体流路を流れる前記気体流を前記気液混合部に流入させる気体流入口と、
前記外蓋部の前記外側端面に貫通して設けられて前記気液混合部と連通し、前記気液混合部で前記気体流と前記液体流が混合して微粒化した液体を噴出する噴出口と、
前記気体流入口に接続されて、前記気体流として、大気圧以上でかつ100℃以上の高温の気体の供給と100℃未満の低温の気体の供給とのうちいずれか一方に切り替える切替器とを備える噴霧装置を使用して、前記気液混合部で前記気体流と前記液体流が混合して前記微粒化した液体を噴霧空間に噴霧する噴霧方法であって、
前記噴霧空間を加熱するとき、
前記切替器で、前記気体流として前記大気圧以上でかつ100℃以上の高温の気体の供給に切り替え、
前記切替器で切替られて前記大気圧以上でかつ100℃以上の高温の気体を前記気体流入口から前記気体流路に前記気体流として供給するとともに、前記液体流入口から前記液体流路に前記液体流として大気圧以上の液体を供給して、供給された前記気体と前記液体とを前記気液混合部で混合し、微粒化した液体を前記噴出口から噴霧して前記噴霧空間を加熱し、
前記噴霧空間を冷却するとき、
前記切替器で、前記気体流として前記大気圧以上でかつ100℃未満の低温の気体の供給に切り替え、
前記切替器で切替られて前記大気圧以上でかつ100℃未満の低温の気体を前記気体流入口から前記気体流路に前記気体流として供給するとともに切替器で切替られ前記液体流入口から前記液体流路に前記液体流として大気圧以上の液体を供給して、供給された前記気体と前記液体とを前記気液混合部で混合し、微粒化した液体を前記噴出口から噴霧して前記噴霧空間を冷却する。
前記目的を達成するために、本発明のさらに別の態様にかかる噴霧装置は、
液体流路と気体流路とを有する噴霧装置本体部と、
前記噴霧装置本体部の先端に配置されて、前記液体流路の開口を覆う内側端面を有する内蓋部と、
前記噴霧装置本体部の先端に配置されて前記内蓋部を覆うとともに、前記気体流路の開口を覆う外蓋部と、
前記内蓋部と前記外蓋部との間に配置され、前記内蓋部の前記内側端面と前記外蓋部の前記外側端面との間の空間で構成され、前記気体流路を流れる気体流と前記液体流路を流れる液体流とを混合する気液混合部と、
前記気液混合部と連通して、前記液体流路を流れる液体流を前記気液混合部に流入させる液体流入口と、
前記内蓋部と前記外蓋部との間の前記気液混合部に該気液混合部と連通して配置されて、前記気体流路を流れる気体流を該気液混合部に流入させる気体流入口と、
前記外蓋部の前記外側端面に貫通して設けられて前記気液混合部と連通し、前記気液混合部で前記気体流と前記液体流が混合して微粒化した液体を噴出する噴出口と、
前記気体流入口に接続されて、100℃未満の気体の供給と100℃以上の気体の供給とのうちいずれか一方に切り替える切替器とを備える。
以上のように、本発明の前記態様にかかる噴霧装置及び噴霧方法によれば、気化が早くかつ濡れ等を感じない粒径の小さな液体を噴霧可能な噴霧装置及び噴霧方法でありながら、気体として高温の気体を利用した空間の温度上昇効果を実現できる。
本発明の実施形態における噴霧装置の噴霧装置本体部近傍の断面図 図1Aの1B−1B線での断面図 本発明の実施形態における噴霧装置全体の概略構成図 本発明の実施形態の変形例における噴霧装置全体の概略構成図 本発明の実施形態における水の流量に対する噴霧口出口近傍での噴霧温度を示すグラフ 従来の噴霧装置を示す概略図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1Aは、本発明の実施形態における噴霧装置10の噴霧装置本体部10a近傍の切断部断面図である。図1Bは、図1Aの1B−1B線での断面図である。以下に、この噴霧装置10の構成について図1Aを参照しながら説明する。
噴霧装置10は、噴霧装置本体部10aと、内蓋部13と、外蓋部14とを少なくとも備えている。内蓋部13と外蓋部14とで気液混合部15を構成している。噴霧装置10は、さらに、噴霧装置蓋固定部17を備えている。
噴霧装置本体部10aは、円柱状部材の中心部に軸方向沿いに配置された液体流路11と、液体流路11の周囲に間隔をおいて軸方向沿いに配置された円筒状の気体流路12とがそれぞれ形成されている。液体流路11と気体流路12とは、噴霧装置本体部10aの一部として中央部に位置する円筒部10bで区切られている。
円筒部10bの先端は、円筒部10b以外の噴霧装置本体部10aより先端側に少し突出し、その先端に内蓋部13が固定されている。
内蓋部13は、噴霧装置本体部10aの先端に配置され、液体流路11の開口を覆いかつ平らな内側端面13aを有する断面略C字形状をなしている。内蓋部13は、円筒部10bの端面と内蓋部13の内側端面13aの内面との間には、円板状の外形の第1隙間22が形成されている。内蓋部13の内側端面13aの外周部の1カ所には、内側端面13aを軸方向に貫通する液体流入口18が形成されている。すなわち、液体流入口18は、気液混合部15の外周壁面近傍の上流側平坦面である内蓋部13の内側端面13aに位置しており、液体流路11と気液混合部15とを連通させている。
外蓋部14は、噴霧装置本体部10aの先端に配置され、内蓋部13を覆うとともに、気体流路12の開口を覆いかつ内蓋部13の内側端面13aに対向する平らな外側端面14aを有する断面略Ω形状をなしている。外蓋部14は、内蓋部13との間の側部では、所定間隔の円筒状の外形の第2隙間23をあけて覆うとともに、内蓋部13との間の端部では、所定間隔の円板状の外形の空間の気液混合部15を隙間として形成しつつ内蓋部13を覆うように、噴霧装置本体部10aの端面と噴霧装置蓋固定部17との間に挟持されて固定されている。なお、噴霧装置蓋固定部17を無くして、外蓋部14が、直接、噴霧装置本体部10aの端面に固定されるようにしてもよい。
外蓋部14と内蓋部13との間において所定間隔の円板状の外形の気液混合部15を確実に形成するため、外蓋部14の外側端面14aの内面に円環状の凸部24を形成して、外蓋部14の内面と内蓋部13の内側端面13aとの間に強制的に隙間として気液混合部15が配置形成できるようにしている。円環状の凸部24は、外蓋部14の外側端面14aの内面に設ける代わりに、内蓋部13の内側端面13aの外面に設けても良い。このように構成される気液混合部15は、気体流路12を流れる気体流と液体流路11を流れる液体流とを混合するためのものである。
また、気液混合部15の側部において、円環状の凸部24の一部を径方向に切り欠いて、気体流路12と気液混合部15とを連通させる気体流入口19を形成している。よって、気体流入口19は、液体流入口18から流入する液体流の流入方向に対して、気体流入口39から流入する気体流の流入方向が交差するように配置されている。気体流入口19は、噴霧装置本体部10aの中心(中心軸27)に対して液体流入口18とは180度位相を異にした、液体流入口18に対向する位置に位置する。さらに、外蓋部14の外側端面14aの外面の中央には、円筒部が突出して固定され、軸方向に外側端面14a及び円筒部を貫通した噴出口16aを有する噴出部16を形成している。噴出口16aは、液体流路11と同一中心軸27上に配置されている。これに対して、液体流入口18は、この中心軸27から外れた位置に位置している。
よって、気液混合部15は、円環状の凸部24と内蓋部13と外蓋部14とで囲まれて形成されており、軸方向沿いに内蓋部13を貫通した液体流入口18と、軸方向とは交差する方向沿いに円環状の凸部24を切り欠いた気体流入口19と、軸方向沿いに外蓋部14を貫通した噴出口16aとに連通している。
このような構成において、噴霧装置10に供給された液体は、噴霧装置本体部10aに対して、図示しない液体供給口から装置先端側に液体流路11を流れて液体流となり、その液体流は、第1隙間22と液体流入口18とを通って、気液混合部15に供給される。また、噴霧装置10に供給された気体は、噴霧装置本体部10aに対して、図示しない気体供給口から装置先端側に気体流路12を流れて気体流となり、その気体流は、第2隙間23と気体流入口19とを通って、気液混合部15に供給される。
気液混合部15に対して気体流と液体流とが供給されると、気液混合部15内で互いに混合され、液体が微粒化された後に、外蓋部14に設けられた噴出部16の噴出口16aから、混合されて微粒化された液体を外側に噴出する。
以下、気液混合部15での微粒化の機構について、図1Bを参照しながら説明する。液体流路11を流れてきた液体流は、第1隙間22を通り、内蓋部13に設けられた液体流入口18を通り、図1Bに示すように、気液混合部15の円環状の凸部24の近傍より、液体流が内蓋部13の内側端面13aと平行かつ噴出部16の方向へ供給する。
一方、液体流入口18から気液混合部15に供給された液体流に対して、液体流入口18の対向する位置に位置する気体流入口19を通って気液混合部15に供給された気体が、気液混合部15内で液体に衝突する。このように衝突することで、液体は外蓋部14の外側端面14aに押し広げられ、薄い膜状になり外側端面14aを流れる。さらに、この状態から外側端面14aを凸部24の周方向に流れることにより、薄い膜状からさらに細かな液滴へと変化する。さらに、この液滴を含む気液混合流を、気液混合部15の外蓋部14側の外側端面14aの内面である壁面に沿って、周回及び撹拌することで、液滴をさらに微粒化することができ、より粒径の小さな液体を噴出口16aから噴霧することが可能である。
より具体的には、気液混合部15は直径8.0mm、高さ2.0mmであり、噴出部16は噴出口16aは直径1.5mm、長さ2.0mm、液体流入口18は直径0.7mm、気体流入口19は矩形であり、幅1.0mm、高さ1.0mmの噴霧装置である。
この噴霧装置に対し、気体の例として圧縮空気を0.2MPa(ゲージ圧)の圧力で供給し、液体の例として水を0.15MPa(ゲージ圧)の圧力で供給した。この条件で微粒化した水のザウター平均粒径をレーザー回折法にて評価を行った。レーザー回折法の測定距離は噴霧装置の先端から300mmの位置であり、ザウター平均粒径は10μmとなった。また、気体の例として蒸気を0.2MPa(ゲージ圧)の圧力で供給し、液体の例として、前記と同様に水を0.15MPaで供給した。この条件で微粒化した水のザウター平均粒径を、同様にレーザー回折法にて評価を行った。レーザー回折法の測定距離は噴霧装置の先端から300mmの位置であり、この条件で微粒化した水のザウター平均粒径は10μmとなった。そして、噴出口16a近傍の温度を測定した結果、60℃であった。
図2Aは,噴霧装置本体部10aを含む噴霧装置10の全体を示す概略図である。図2Aにおいて、噴霧装置本体部10aには、液体流路配管51の一端と第1気体流路配管52の一端とが接続される。液体流路11は、先端側のみを図示しており、後端の図示しない液体供給口は液体流路配管51の一端に接続されている。気体流路12も、先端側のみを図示しており、後端の図示しない気体供給口は、100℃以上の気体が流れる第1気体流路配管52の一端に接続されている。
液体流路配管51の他端には、液槽(図示せず)に接続されたポンプ56が接続されている。ポンプ56は、一例として、常温で大気圧以上に加圧した液体、より具体的には水、を供給可能としている。
第1気体流路配管52の他端には、高温気体発生器58が接続されている。高温気体発生器58は、一例として、常温より高い高温(例えば100℃以上の温度)であって大気圧以上に加圧した気体、より具体的には蒸気、を供給可能としている。
液体流路配管51の途中には、一端から他端の間に順に流量制御器59と圧力制御器60とが順に配置されている。
また、第1気体流路配管52の途中には、一端から他端の間に順に流量制御器63と圧力制御器64とが配置されている。
さらに、流量制御器59と圧力制御器60とポンプ56と流量制御器63と圧力制御器64と高温気体発生器58とに接続されて、液体流路配管51の流量及び圧力と第1気体流路配管52の流量及び圧力を同時に制御する制御部65が設置されている。すなわち、ポンプ56から液体流路配管51に供給される液体の流量が流量制御器59で検出されて制御部65に入力され、ポンプ56から液体流路配管51に供給される液体の圧力が圧力制御器60で検出されて制御部65に入力されるとともに、検出された流量及び圧力に基づいて制御部65によりポンプ56の駆動が制御される。同様に、高温気体発生器58から第1気体流路配管52に供給される高温気体の流量が流量制御器63で検出されて制御部65に入力され、高温気体発生器58から第1気体流路配管52に供給される高温気体の圧力が圧力制御器64で検出されて制御部65に入力されるとともに、検出された流量及び圧力に基づいて制御部65により高温気体発生器58の駆動が制御される。以下の噴霧動作は、この制御部65での制御の基に実施することができる。
以上のような噴霧装置10にて、噴霧空間を加熱する場合には、高温気体発生器58(本実施形態では、一例として蒸気発生器で構成する。)より、大気圧以上に加圧した蒸気を第1気体流路配管52に供給する。常温で大気圧以上に加圧した水は、ポンプ56から液体流路配管51により噴霧装置本体部10aに供給する。
以上より、供給された気体と液体とを気液混合部15で混合し、噴出口16aから噴霧される微粒化した液体である常温の水と、高温の気体である蒸気とにより、噴霧空間を加熱することができる。
次に、本発明の実施形態にかかる方法において、噴霧空間を加熱する場合の噴出口16a近傍の温度制御効果を確かめる実験を行った。その実験結果について、以下に説明する。
図3は、実施形態にかかる噴霧装置を使用した場合における噴出口16a近傍の温度を計測した実験結果である。気体の例として蒸気を、液体の例として常温の水をそれぞれ使用し、蒸気の圧力を0.2MPa(ゲージ圧)、水の圧力を0.15MPa(ゲージ圧)としたときに、水の流量を変化させたときの噴出口16a近傍の温度を示している。図3から明らかなように、噴霧空間を加熱することができるとともに、水の流量を制御することにより、噴出口16a近傍の温度を制御し、人体に影響を与えない温度に制御できることがわかった。
なお、噴霧空間の温度または湿度、あるいはその両方の値に応じて、制御部65の制御の下にポンプ56と高温気体発生器58とをそれぞれ独立して駆動制御することにより、液体流路配管51の圧力と流量及び第1気体流路配管52の圧力と流量とをそれぞれ変化させることにより、噴霧空間の状態に応じて、加熱を行なうことが可能となり、より快適と感じる噴霧が可能となる。
本発明の実施形態にかかる噴霧方法及び噴霧装置によれば、内蓋部13と外蓋部14との間に設けられた気液混合部15で、液体流入口18から流入する液体と気体流入口19から流入する高温の気体とが向かい合って衝突するとともに、円環状凸部24に沿って周回及び撹拌して液体が微粒化し、微粒化した液体を噴出口16aから噴霧空間に噴出することができる。したがって、噴出口16aから微細な液体を噴霧しつつ、より具体的には、気化が早くかつ濡れ等を感じないような小さな粒径の例として10μm以下のザウター平均粒径の液体を噴霧しつつ、噴出口16aの近傍の噴霧空間を加熱することができる噴霧方法及び噴霧装置を提供できる。
よって、前記実施形態によれば、気化が早くかつ濡れ等を感じない粒径の小さな液体を噴霧可能な噴霧装置10でありながら、気体として高温の気体を利用した空間の温度上昇効果を実現できる。
(変形例)
前記実施形態では加熱のみを行っていたが、加熱による空間の温度上昇効果に加えて、冷却による温度低減効果をも実施可能な構成を前記実施形態の変形例として、以下に説明する。
図2Bは,噴霧装置本体部10aを含む噴霧装置10Bの全体を示す概略図である。図2Bにおいて、噴霧装置本体部10aには、液体流路配管51の一端と第1気体流路配管52の一端とが接続される。液体流路11は、先端側のみを図示しており、後端の図示しない液体供給口は液体流路配管51の一端に接続されている。気体流路12も、先端側のみを図示しており、後端の図示しない気体供給口は第1気体流路配管52の一端に接続されている。
また、第1気体流路配管52の他端には、切替器53が接続されている。切替器53では、100℃未満の気体が流れる第2気体流路配管54の一端と、100℃以上の気体が流れる第3気体流路配管55の一端とがそれぞれ接続されて、第2気体流路配管54と第3気体流路配管55とに分岐されている。
液体流路配管51の他端には、液槽(図示せず)に接続されたポンプ56が接続されている。ポンプ56は、一例として、常温で大気圧以上に加圧した液体、より具体的には水、を供給可能としている。
第2気体流路配管54の他端には、空気圧縮機からなる空圧源57に接続されている。空圧源57は、一例として、100℃未満(例えば常温)で大気圧以上に加圧した空気を供給可能としている。
第3気体流路配管55の他端には、高温気体発生器58が接続されている。高温気体発生器58は、一例として、常温より高い高温(例えば100℃以上の温度)であって大気圧以上に加圧した気体、より具体的には蒸気、を供給可能としている。
液体流路配管51の途中には、一端から他端の間に順に流量制御器59と圧力制御器60とが順に配置されている。
また、第2気体流路配管54の途中及び第3気体流路配管55の途中には、それぞれ、一端から他端の間に順に流量制御器61と圧力制御器62及び流量制御器63と圧力制御器64が配置されている。
さらに、流量制御器59と圧力制御器60とポンプ56と流量制御器63と圧力制御器64と高温気体発生器58とに接続されて、液体流路配管51の流量及び圧力と第3気体流路配管55の流量及び圧力を同時に制御する制御部65が設置されている。すなわち、ポンプ56から供給される液体の流量が流量制御器59で検出されて制御部65に入力され、ポンプ56から供給される液体の圧力が圧力制御器60で検出されて制御部65に入力されるとともに、検出された流量及び圧力に基づいて制御部65によりポンプ56の駆動が制御される。同様に、高温気体発生器58から供給される高温気体の流量が流量制御器63で検出されて制御部65に入力され、高温気体発生器58から供給される高温気体の圧力が圧力制御器64で検出されて制御部65に入力されるとともに、検出された流量及び圧力に基づいて制御部65により高温気体発生器58の駆動が制御される。また、制御部65は、切替器53の切替動作も制御可能であるとともに、流量制御器61と圧力制御器62とが接続されて空圧源57の駆動も制御可能としている。すなわち、空圧源57から供給される空気の流量が流量制御器61で検出されて制御部65に入力され、空圧源57から供給される空気の圧力が圧力制御器62で検出されて制御部65に入力されるとともに、検出された流量及び圧力に基づいて制御部65により空圧源57の駆動が制御される。以下の噴霧動作は、この制御部65での制御の基に実施することができる。
以上のような噴霧装置10Bにて、噴霧空間を冷却する場合には、まず、常温で大気圧以上に加圧した空気を、空圧源57から第2気体流路配管54により噴霧装置本体部10aに供給するとともに、常温で大気圧以上に加圧した水を、ポンプ56から液体流路配管51により噴霧装置本体部10aに供給する。このとき、制御部65により切替器53は、第2気体流路配管54と第1気体流路配管52とが連通するように切替ておく。
以上より、供給された気体と液体とを気液混合部15で混合し、噴出口16aから噴霧される微粒化した液体である水と、低温の気体である空気とにより、噴霧空間を冷却することができる。
次に、噴霧空間を加熱する場合には、高温気体発生器58(この変形例では、一例として蒸気発生器で構成する。)より、大気圧以上に加圧した蒸気を第3気体流路配管55に供給し、制御部65により切替器53を、第2気体流路配管54と第1気体流路配管52との連通を遮断しかつ第3気体流路配管55と第1気体流路配管52とが連通するように切り替える。常温で大気圧以上に加圧した水は、先と同様に、ポンプ56から液体流路配管51により噴霧装置本体部10aに供給する。
以上より、供給された気体と液体とを気液混合部15で混合し、噴出口16aから噴霧される微粒化した液体である常温の水と、高温の気体である蒸気とにより、噴霧空間を加熱することができる。
前記変形例にかかる噴霧方法及び噴霧装置によれば、内蓋部13と外蓋部14との間に設けられた気液混合部15で、液体流入口18から流入する液体と気体流入口19から流入する気体とが向かい合って衝突するとともに、円環状凸部24に沿って周回及び撹拌して液体が微粒化する。高温の気体と低温の気体とのうちのいずれか一方の気体を、切替器53によって切り替えて気体流入口19に導入した際においても、微粒化した液体を噴出口16aから噴霧空間に噴出することができる。したがって、切替器53により、温度の異なる気体を切り替えることにより、噴出口16aから微細な液体を噴霧しつつ、より具体的には、気化が早くかつ濡れ等を感じないような小さな粒径の例として10μm以下のザウター平均粒径の液体を噴霧しつつ、噴出口16aの近傍の噴霧空間を加熱又は冷却するように温度を変化させることができる噴霧方法及び噴霧装置を提供できる。
よって、前記変形例によれば、蒸気噴射ノズルとミスト噴射ノズルとをそれぞれ設置する必要がなく、気化が早くかつ濡れ等を感じない粒径の小さな液体を噴霧可能な噴霧装置10Bでありながら、気体として常温の気体を利用した空間の温度低減効果と、気体として高温の気体を利用した空間の温度上昇効果とを、切替器53による気体の切り替えのみで実現できる。
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
本発明の前記態様にかかる噴霧方法及び噴霧装置は、気化が早くかつ濡れ等を感じない粒径の小さな液体を噴霧可能な噴霧方法及び噴霧装置でありながら、気体として高温の気体を利用した空間の温度上昇効果を実現できる噴霧方法及び噴霧装置である。この噴霧方法及び噴霧装置は、空間の加熱に用いることが可能であり、さらに温度の上昇を制御する必要のある加湿、薬液散布、又は粉塵対策等に広く用いることができる。
10,10B 噴霧装置
10a 噴霧装置本体部
11 液体流路
12 気体流路
13 内蓋部
13a 内側端面
14 外蓋部
14a 外側端部
15 気液混合部
16 噴出部
16a 噴出口
17 噴霧装置蓋固定部
19 気体流入口
51 液体流路配管
52 第1気体流路配管
53 切替器
54 第2気体流路配管
55 第3気体流路配管
56 ポンプ
57 空圧源
58 高温気体発生器
65 制御部
90 噴霧システム

Claims (4)

  1. 液体流路と気体流路とを有する噴霧装置本体部と、
    前記噴霧装置本体部の先端に配置されて、前記液体流路の開口を覆いかつ平らな内側端面を有する内蓋部と、
    前記噴霧装置本体部の先端に配置されて前記内蓋部を覆うとともに、前記気体流路の開口を覆いかつ前記内蓋部の前記内側端面に対向する平らな外側端面を持つ外側端部を有する外蓋部と、
    前記内蓋部と前記外蓋部との間に配置され、前記内蓋部の前記内側端面と前記外蓋部の前記外側端面との間の円板状の外形の空間で構成され、前記気体流路を流れる気体流と前記液体流路を流れる液体流とを混合する気液混合部と、
    前記内蓋部の前記内側端面の周方向の少なくとも1箇所に貫通して設けられて前記気液混合部と連通して、前記液体流路を流れる液体流を前記気液混合部に流入させる液体流入口と、
    前記内蓋部と前記外蓋部との間の前記気液混合部の側部に前記気液混合部と連通して配置されて、前記液体流入口から前記気液混合部に流入する前記液体流に向かって、前記気体流路を流れる前記気体流を前記気液混合部に流入させる気体流入口と、
    前記外蓋部の前記外側端面に貫通して設けられて前記気液混合部と連通し、前記気液混合部で前記気体流と前記液体流が混合して微粒化した液体を噴出する噴出口と、
    前記気体流入口に接続されて、前記気体流として、大気圧以上でかつ100℃以上の高温の気体の供給と100℃未満の低温の気体の供給とのうちいずれか一方に切り替える切替器とを備える噴霧装置を使用して、前記気液混合部で前記気体流と前記液体流が混合して前記微粒化した液体を噴霧空間に噴霧する噴霧方法であって、
    前記噴霧空間を加熱するとき、
    前記切替器で、前記気体流として前記大気圧以上でかつ100℃以上の高温の気体の供給に切り替え、
    前記切替器で切替られて前記大気圧以上でかつ100℃以上の高温の気体を前記気体流入口から前記気体流路に前記気体流として供給するとともに、前記液体流入口から前記液体流路に前記液体流として大気圧以上の液体を供給して、供給された前記気体と前記液体とを前記気液混合部で混合し、微粒化した液体を前記噴出口から噴霧して前記噴霧空間を加熱し、
    前記噴霧空間を冷却するとき、
    前記切替器で、前記気体流として前記大気圧以上でかつ100℃未満の低温の気体の供給に切り替え、
    前記切替器で切替られて前記大気圧以上でかつ100℃未満の低温の気体を前記気体流入口から前記気体流路に前記気体流として供給するとともに切替器で切替られ前記液体流入口から前記液体流路に前記液体流として大気圧以上の液体を供給して、供給された前記気体と前記液体とを前記気液混合部で混合し、微粒化した液体を前記噴出口から噴霧して前記噴霧空間を冷却する噴霧方法。
  2. 前記噴霧空間を加熱すべく前記気体を供給するとき、前記100℃以上の高温の気体として水蒸気を供給するとともに、
    前記噴霧空間を冷却すべく前記気体を供給するとき、前記100℃未満の低温の気体である空気を供給する、請求項に記載の噴霧方法。
  3. 前記噴霧空間を加熱すべく前記気体を供給するとき、前記気体として前記100℃以上の高温の気体を供給し、その供給圧力が0.1MPa以上でかつ0.3MPa以下である、請求項1または請求項に記載の噴霧方法。
  4. 液体流路と気体流路とを有する噴霧装置本体部と、
    前記噴霧装置本体部の先端に配置されて、前記液体流路の開口を覆う内側端面を有する内蓋部と、
    前記噴霧装置本体部の先端に配置されて前記内蓋部を覆うとともに、前記気体流路の開口を覆いかつ前記内蓋部の前記内側端面に対向する平らな外側端面を有する外蓋部と、
    前記内蓋部と前記外蓋部との間に配置され、前記内蓋部の前記内側端面と前記外蓋部の前記外側端面との間の空間で構成され、前記気体流路を流れる気体流と前記液体流路を流れる液体流とを混合する気液混合部と、
    前記気液混合部と連通して、前記液体流路を流れる液体流を前記気液混合部に流入させる液体流入口と、
    前記内蓋部と前記外蓋部との間の前記気液混合部に該気液混合部と連通して配置されて、前記気体流路を流れる気体流を該気液混合部に流入させる気体流入口と、
    前記外蓋部の前記外側端面に貫通して設けられて前記気液混合部と連通し、前記気液混合部で前記気体流と前記液体流が混合して微粒化した液体を噴出する噴出口と、
    前記気体流入口に接続されて、100℃未満の低温の気体の供給と100℃以上の高温の気体の供給とのうちいずれか一方に切り替える切替器とを備える噴霧装置。
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