JP2005009409A - 液体微粒化装置及びガスタービン燃焼器の液体微粒化装置、液体微粒化方法 - Google Patents
液体微粒化装置及びガスタービン燃焼器の液体微粒化装置、液体微粒化方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができ、且つ、気体供給量を低減することができる液体微粒化装置を提供する。
【解決手段】液体を噴出する液体ノズル15と、この液体ノズル15を覆うように設けられ、液体ノズル15から噴出した液体と気体とを混合して噴霧する噴霧ノズル16と、この噴霧ノズル16に、液体ノズル15に供給される液体の圧力又は流量に応じて気体の供給及び停止を行う空気圧縮機10、遮断弁11及びコントローラ20と、このコントローラ20の制御により遮断弁11が閉弁して空気供給が停止した際に、液体ノズル15から噴出した液体を衝突させる固体壁17とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】液体を噴出する液体ノズル15と、この液体ノズル15を覆うように設けられ、液体ノズル15から噴出した液体と気体とを混合して噴霧する噴霧ノズル16と、この噴霧ノズル16に、液体ノズル15に供給される液体の圧力又は流量に応じて気体の供給及び停止を行う空気圧縮機10、遮断弁11及びコントローラ20と、このコントローラ20の制御により遮断弁11が閉弁して空気供給が停止した際に、液体ノズル15から噴出した液体を衝突させる固体壁17とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼機器、薬剤散布機器、加湿器、医療機器等に設けられ、燃料、薬剤、水等の液体を微粒化する液体微粒化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体微粒化装置は多方面で使用されており、その微粒化方式も多岐に渡っているが、一般にはその方式は一流体方式と二流体方式とに大別できる。
【0003】
上記一流体方式は液体の噴射圧力を利用して微粒化させる方式である。このため、液体の供給圧力が高く(すなわち供給流量が多く)噴出速度が速くなるほど微粒化が促進される特性を有する。
【0004】
このような一流体方式を採用した液体微粒化装置としては、液体を固体壁に衝突させて微粒化するものがある(例えば、特許文献1参照)。ここでは、液体ノズル(ノズル本体)の下流側に固体壁(軸部材)を設置し、液体ノズルから噴出した液体を固体壁に衝突させることで微粒化するようになっている。
【0005】
一方、もう1つの方式である二流体方式は、液体を噴出すると共に液体以外の媒体、例えば空気や蒸気、窒素等を高速で噴出し、そのせん断力によって液体を微粒化させる方式である。このため、液体の供給流量が少ないほど液体と媒体との速度差が大きくなり、媒体によるせん断作用が大きくなるため、微粒化が促進される特性を有する。
【0006】
このような二流体方式を採用した液体微粒化装置としては、液体を噴出する液体ノズルと、この液体ノズルの外周側に設けられ液体ノズルから噴出した液体に気体(空気)を供給する気体ノズル(空気ノズル)と、この気体ノズルに気体を供給する気体供給装置(空気供給装置)とを備えた液体微粒化装置がある(特許文献2参照)。ここでは、液体ノズルから噴出した液体の外周を覆うように噴出された気体が液体を搬送して固体壁に衝突させるようになっている。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−94487号公報
【特許文献2】
特開平6−226149号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では以下のような課題が存在する。
すなわち、上記特許文献1記載の従来技術によれば、液体の供給圧力が高く(すなわち供給流量が多く)液体ノズルからの噴出速度が速いほど、液体の運動エネルギが増大するので固体壁との衝突による微粒化特性を向上することができるが、液体の供給開始時又は供給停止時等、供給圧力が低く(すなわち供給流量が少なく)液体の噴出速度が遅い場合には、液体の運動エネルギが減少するために微粒化特性が低下し、固体壁に衝突した液体が微粒化されずに壁面を伝って液垂れ等を起こす恐れがあった。
【0009】
一方、上記特許文献2記載の従来技術によれば、気体ノズルから噴出した気体が液体を搬送する構成としているので、液体の供給圧力が低く液体ノズルからの噴出速度が遅い場合であっても、流速の速い気体流で液滴を搬送して固体壁に衝突させることができるようになっている。したがって、上記特許文献1記載の従来技術では微粒化特性が低下してしまう液体の供給開始時又は供給停止時等においても、微粒化特性の低下を防止することができる。
【0010】
しかしながら、上記特許文献2記載の従来技術は、液体供給圧力が低い場合にも良好な微粒化特性を得るために液体を噴出する間は常に気体を速い速度で噴出する構造となっており、気体供給量が多大となってしまう。その結果、気体供給装置の規模が大きくなり、コストも増大してしまう。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができ、且つ、気体供給量を低減することができる液体微粒化装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明の液体微粒化装置は、液体を噴出する第1の液体ノズルと、この第1の液体ノズルを覆うように設けられ、前記第1の液体ノズルから噴出した液体と気体とを混合して噴霧する噴霧ノズルと、この噴霧ノズルに、前記第1の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量に応じて気体の供給及び停止を行う第1の気体供給装置と、この第1の気体供給装置の供給停止時に、前記第1の液体ノズルから噴出した液体を衝突させる第1の固体壁とを備えるものとする。
【0013】
本発明においては、例えば圧力検出手段又は流量検出手段によって液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量を検出し、制御装置等によってその検出値と所定のしきい値との大小を比較するようにすることで、液体ノズルから噴出する液体が固体壁との衝突によって良好に微粒化されるかどうかを判定することが可能である。すなわち、例えば液体圧力又は流量が所定のしきい値以下の場合には、液体ノズルから噴出する液体の噴出速度が遅く固体壁への衝突によって良好な微粒化特性が得られないものとみなし、気体供給装置で噴霧ノズルに気体を供給する。その結果、液体ノズルから噴出した液体は気体と混合されその気体のせん断力によって微粒化されて、噴霧ノズルから噴霧される。一方、液体圧力又は流量が所定のしきい値より大きい場合には、液体ノズルから噴出する液体の噴出速度が速く固体壁への衝突によって良好な微粒化特性が得られるものとみなし、気体供給装置から噴霧ノズルへの気体の供給を停止する。その結果、液体ノズルから噴出した液体は固体壁に衝突して微粒化される。
【0014】
このようにして、液体の供給開始時又は供給停止時等、液体の供給圧力が低く(すなわち供給流量が少なく)液体ノズルからの液体の噴出速度が遅い場合であっても、気体供給装置から供給される気体のせん断力によって液体を良好に微粒化して噴霧することができ、また液体の供給圧力が高く(すなわち供給流量が多く)液体の噴出速度が速い場合には固体壁との衝突により液体を良好に微粒化することができるので、広い液体供給圧力範囲において良好に微粒化することが可能である。さらに、液体の供給圧力が高く(すなわち供給流量が多く)液体の噴出速度が速い場合には気体供給装置からの気体の供給を停止するので、気体供給量を低減することができる。したがって、本発明の液体微粒化装置によれば、広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができ、且つ、気体供給量を低減することができる。
【0015】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記第1の気体供給装置は、前記第1の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量が所定のしきい値以下である場合には前記噴霧ノズルに気体を供給し、液体の圧力又は流量が所定のしきい値より大きい場合には前記噴霧ノズルへの気体の供給を停止するものとする。
【0016】
(3)上記(1)又は(2)において、また好ましくは、前記噴霧ノズルは、前記第1の固体壁に衝突しないように前記第1の液体ノズルから噴出した液体と気体とを混合して噴霧するものとする。
【0017】
(4)上記目的を達成するために、また本発明の液体微粒化装置は、液体を噴出する第2の液体ノズルと、この第2の液体ノズルから噴出した液体と混合するように気体を噴出する気体ノズルと、この気体ノズルに、前記第2の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量に応じて気体の供給及び停止を行う第2の気体供給装置と、この第2の気体供給装置の供給停止時に、前記第2の液体ノズルから噴出した液体を衝突させる第2の固体壁とを備えるものとする。
【0018】
(5)上記目的を達成するために、本発明は、ガスタービンに供給する燃焼ガスを生成するために、圧縮機から導入される圧縮空気に液体燃料を微粒化して混合するガスタービン燃焼器の液体微粒化装置において、液体燃料を噴出する液体燃料ノズルと、この液体燃料ノズルを覆うように設けられ、前記液体燃料ノズルから噴出した液体燃料と気体とを混合して噴霧する燃料噴霧ノズルと、この燃料噴霧ノズルにガスタービン負荷に応じて気体の供給及び停止を行う第3の気体供給装置と、この第3の気体供給装置の供給停止時に、前記液体燃料ノズルから噴出した液体燃料を衝突させる第3の固体壁とを備えるものとする。
【0019】
これにより、ガスタービンの起動や昇速、低負荷運転時のように液体燃料ノズルへ供給される液体燃料の圧力又は流量が小さいときであっても良好な微粒化特性を得ることができ、NOxの発生量を抑制できる。また、ガスタービンの定格負荷運転時においては燃料噴霧ノズルへの気体の供給を停止することにより、気体供給量を低減することができる。その結果、気体供給装置の規模が増大するのを抑制し、コストの増大を抑制することが可能である。
【0020】
(6)上記目的を達成するために、本発明は、液体ノズルから液体を噴出し、固体壁に衝突させることにより液体を微粒化する液体微粒化方法において、前記液体ノズルへ供給される液体の圧力又は流量が小さく、前記固体壁への衝突によって良好な微粒化特性が得られない場合には、気体供給装置で気体ノズルへ気体を供給し、前記液体ノズルから噴出した液体と前記気体ノズルから噴出した気体とを混合させて液体を微粒化し、前記液体ノズルへ供給される液体の圧力又は流量が大きく、前記固体壁への衝突によって良好な微粒化特性が得られる場合には、前記気体供給装置から前記気体ノズルへの気体の供給を停止する方法とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法、ガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法の第1の実施の形態を図1乃至図4を参照しつつ以下に説明する。
【0022】
図1は本発明の液体微粒化装置の第1の実施の形態の全体構成を概略的に表す図である。
この図1において、本実施の形態の液体微粒化装置は、微粒化ノズル2と、この微粒化ノズル2に液体を供給するための液体供給系統3と、微粒化ノズル2に空気を供給するための空気供給系統4とを備えている。液体供給系統3は液体タンク5、昇圧ポンプ6、流量調整弁7、圧力計8、及び流量計9を備えており、液体タンク5内の液体は昇圧ポンプ6で昇圧され、流量調整弁7で所定の流量に調整された後に微粒化ノズル2に供給されるようになっている。また、空気供給系統4は空気圧縮機10、遮断弁11、圧力調整弁12、圧力計13、及び流量計14を備えており、空気圧縮機10からの圧縮空気は圧力調整弁12で所定の圧力に調整されて微粒化ノズル2に供給されるようになっている。
【0023】
微粒化ノズル2は、上記液体供給系統3から供給される液体を噴出する液体ノズル15と、この液体ノズル15の外周を覆うように設けた噴霧ノズル16と、この噴霧ノズル16の噴出方向下流側(図1中右側)端部に設けた固体壁17とを備えている。液体ノズル15には噴出方向側(図1中右側)に液体を噴出するための液体噴出孔18が設けられ、噴霧ノズル16には上記液体噴出孔18から噴出した液体と空気供給系統4から供給される空気とを混合して噴霧するための噴霧孔19が噴霧方向側(図1中右側)に設けられている。この噴霧孔19はその軸心線Aと上記液体噴出孔18の軸心線Bとの角度がαとなるように下流側に行くにつれて径方向外側に拡大するように傾斜して設けられており、噴霧孔19から噴霧された噴霧空気が固体壁17に衝突しないように図られている。なお、上記角度αは噴霧ノズル16及び固体壁17の形状等に応じて適宜の値に設定されている。また、噴霧孔19は、空気供給系統4から噴霧ノズル16に空気が供給されていないときには液体噴出孔18から噴出された液体が孔内を通過して固体壁17に衝突可能なように形成されている。
【0024】
前記の圧力計8(又は流量計9。以下かっこ内対応関係同様)は液体ノズル15に供給される液体の圧力p(又は流量q)の検出値をコントローラ20に出力するようになっており、コントローラ20はこの入力された圧力p(又は流量q)と予め記憶されている(又は適宜設定入力してもよい)所定のしきい値p1(又はしきい値q1)とを比較するようになっている。すなわち、コントローラ20は入力された圧力p(又は流量q)が所定のしきい値p1(又はしきい値q1)以下の場合には、液体ノズル15から噴出する液体の噴出速度が遅く固体壁17への衝突によって良好な微粒化特性が得られないものとみなし、遮断弁11を開弁して噴霧ノズル16に空気を供給する。一方、入力された圧力p(又は流量q)が所定のしきい値p1(又はしきい値q1)より大きい場合には、液体ノズル15から噴出する液体の噴出速度が速く固体壁17への衝突によって良好な微粒化特性が得られるものとみなし、遮断弁11を閉弁して噴霧ノズル16への空気の供給を停止するようになっている。
【0025】
以上において、液体ノズル15は特許請求の範囲各項記載の液体を噴出する第1の液体ノズルを構成し、空気圧縮機10、遮断弁11及びコントローラ20は噴霧ノズルに第1の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量に応じて気体の供給及び停止を行う第1の気体供給装置を構成し、固体壁17は第1の液体ノズルから噴出した液体を衝突させる第1の固体壁を構成する。
【0026】
次に、上記構成の本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法の第1の実施の形態の動作及び作用を以下に説明する。
液体ノズル15への液体の供給圧力が低く、供給流量が少ない場合には、圧力計8(又は流量計9)からコントローラ20に出力された圧力p(又は流量q)が所定のしきい値p1(又はしきい値q1)以下となるため、コントローラ20の制御により遮断弁11が開弁して噴霧ノズル16に空気が供給される。図2はこのときの液体の微粒化方法を示す微粒化ノズル2の側断面図である。
【0027】
この図2に示すように、遮断弁11が開弁することにより空気供給系統4から供給された空気流25は、噴霧ノズル16内に導入されて液体ノズル15の液体噴出孔18から噴出された液体流26と混合され、噴霧孔19から高速の噴霧液滴27となって噴霧される。このようにすることで、液体噴出孔18から噴出された液体流26を空気流25のせん断力によって微粒化しつつ噴霧できるので、液体の供給圧力が低いため噴出速度が遅く固体壁17への衝突によっては良好な微粒化特性が得られない場合であっても、良好に微粒化することができる。またこのとき、前述したように噴霧孔19が傾斜して設けられていることから噴霧孔19から噴霧された噴霧液滴27は固体壁17に衝突しないように噴霧される。したがって、噴霧液滴27が固体壁17に衝突する場合に起こりうる液滴の再結合による液垂れを防止することができる。
【0028】
一方、液体ノズル15への液体の供給圧力及び供給流量が大きくなると、圧力計8(又は流量計9)からコントローラ20に出力された圧力p(又は流量q)が所定のしきい値p1(又はしきい値q1)より大きくなるため、コントローラ20の制御により遮断弁11が閉弁して噴霧ノズル16への空気供給が停止する。図3はこのときの液体の微粒化方法を示す微粒化ノズル2の側断面図である。
【0029】
この図3に示すように、空気供給系統4から噴霧ノズル16に空気が供給されないため、液体噴出孔18から噴出された液体は液柱28となって噴霧孔19内を通過して固体壁17に衝突し、微粒化される。
【0030】
以上のような動作によって良好な微粒化特性が得られることを、以下に図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態の液体微粒化装置の微粒化特性と、一般的な衝突型の一流体方式を用いた構造(液体ノズルから噴出した液体を固体壁に衝突させて微粒化する構造、すなわち前述した従来技術の特許文献1に記載したような構造。図示省略)及び二流体方式を用いた構造(すなわち、液体ノズルから噴出した液体に空気ノズルから噴出した空気を衝突させて、その空気のせん断力により液体を微粒化させる構造。図示省略)の微粒化特性とを比較した図であり、横軸に液体供給圧力、縦軸に液体の粒子径を示している。なお、この図4において、実線は本実施の形態の液体微粒化装置の微粒化特性、1点鎖線は上記一流体方式構造の微粒化特性、大きな破線は上記二流体方式構造の微粒化特性、小さな破線は本実施の形態における空気供給圧力(すなわち圧力計13の指示値)である。
【0031】
この図4中1点鎖線に示すように、上記一流体方式構造では、液体の供給圧力が高いほど液体ノズルからの噴出速度が速くなり液体の運動エネルギが増大するため、固体壁との衝突によって生成される液滴の粒子径は小さくなり微粒化特性は向上するが、上述した供給圧力が低く液体の噴出速度が遅い領域においては、液体の運動エネルギが減少するために粒子径が大幅に大きくなり微粒化特性が低下する。
【0032】
一方、上記二流体方式構造では、液体の供給圧力が低く噴出速度が遅い領域においては流速の速い空気流との速度差が大きくなり空気流によるせん断力が増大して液体の微粒化が一層促進されるため、図4中大きな破線に示すように液体の供給圧力が低い領域で特に微粒化特性が良好となる。しかしながら、液体の供給圧力が高い領域においては、液体流量が増加するために空気流によるせん断力が減少し、微粒化特性は低下する。
【0033】
これに対し、本実施の形態の液体微粒化装置においては、先に詳述したように液体供給圧力がしきい値p1となるまでは空気圧縮機10で噴霧ノズル16に空気を供給して液体ノズル15から噴出する液体を空気流のせん断力で微粒化し、液体供給圧力がしきい値p1より大きくなると噴霧ノズル16への空気の供給を停止して液体ノズル15から噴出する液体を固体壁17に衝突させて微粒化する。すなわち、本実施の形態によれば、液体供給圧力がしきい値p1以下の領域では上記二流体方式構造と同様の微粒化方式を採用し、液体供給圧力がしきい値p1より大きい領域では上記一流体方式構造と同様の微粒化方式を採用することで、図4中実線に示すように両者の微粒化特性の優れた部分のみを足し合わせた微粒化特性を得ることができる。これにより、広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることが可能となる。
【0034】
さらに本実施の形態によれば、通常、二流体方式構造では液体供給圧力が高くなり液体の流量が増加した際に低流量時と同等の微粒化特性を得ようとすると、その分空気供給量を増加させる必要があるのに対し、液体の供給圧力がp1より高くなると空気の供給を停止するので、空気供給量を大幅に低減することができる。これにより、空気圧縮機10を含めた空気供給系統4の規模を減少することができ、コストを低減できる。
【0035】
次に、本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法の第2の実施の形態を図5を参照しつつ説明する。本実施の形態は、液体ノズルから噴出する液体を固体壁の代わりに噴霧ノズルの噴霧孔内壁に衝突させて微粒化するものである。
【0036】
図5は本発明の液体微粒化装置の第2の実施の形態の全体構成を概略的に表した図である。なお、この図5において、前述の第1の実施の形態における図1と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
【0037】
この図5に示すように、噴霧ノズル16′には液体ノズル15の液体噴出孔18から噴出した液体と空気供給系統4から供給される空気とを混合して噴霧するための噴霧孔30が設けられており、この噴霧孔30は、空気供給系統4の空気供給停止時に液体噴出孔18から噴出された液体がこの噴霧孔30の内壁30aに衝突するように形成されている。このような構成により、液体ノズル15に供給される液体の圧力が低い場合には図5中小枠(1)に示すように液体と空気とを混合して微粒化し、液体供給圧力が高い場合には図5中小枠(2)に示すように液体を噴霧孔内壁30aに衝突させて微粒化するようになっている。
【0038】
以上において、噴霧孔内壁30aは特許請求の範囲各項記載の第1の液体ノズルから噴出した液体を衝突させる第1の固体壁を構成する。
【0039】
以上のような構成の本実施の形態によれば、前述の第1の実施の形態における固体壁17が不要となるので微粒化ノズル2′の構造を簡素化でき、その上で第1の実施の形態と同様に広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができ、且つ、空気供給量を低減することができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては液体ノズル15から噴出した液体を噴霧孔内壁30aに衝突させるため、液体の一部が内壁30aを伝って液垂れし、噴霧ノズル16′内部に流入することが懸念されるが、例えば液体供給圧力が高い場合に空気供給系統4からの空気供給を完全に停止せずに少量の空気を供給するようにすれば、上記噴霧ノズル16′内への液滴の流入を防止することが可能である。また、この液滴流入防止のための空気供給量を増加すれば、噴霧孔内壁30aに衝突して微粒化した液体を空気流のせん断力によってさらに微粒化させることができる。
【0041】
次に、本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法の第3の実施の形態を図6を参照しつつ説明する。本実施の形態は、前述の第1及び第2の実施の形態では液体ノズルから噴出する液体と空気とを噴霧ノズルの内部で混合させたのに対し、ノズルの外部で混合するようにしたものである。
【0042】
図6は本発明の液体微粒化装置の第3の実施の形態の全体構成を概略的に表した図である。なお、この図6において、前述の第1の実施の形態における図1と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
【0043】
この図6に示すように、微粒化ノズル2″は、噴出方向下流側(図6中右側)先端部に固体壁17′を一体的に設けられ、空気供給系統4から供給される空気を空気噴出孔31から噴出する空気ノズル32と、この空気ノズル32の外周を覆うように設けられ、液体供給系統3から供給される液体を液体噴霧孔18′から噴出する液体ノズル15′とを備えている。上記空気噴出孔31は空気を空気ノズル32の径方向外側に向けて噴出するように形成されており、この空気噴出孔31から噴出した空気流は液体ノズル15′の液体噴出孔18′から噴出した液体に対してほぼ直角方向から衝突するようになっている。このような構成により、液体ノズル15′に供給される液体の圧力が低い場合には、図6中小枠(1)に示すように液体噴出孔18′から噴出した液体に空気噴出孔31から噴出した空気流34を略直角に衝突させてそのせん断力により微粒化するようになっている。なおこのとき、液体と空気とが混合した噴霧空気流33は略直角方向に衝突する空気流34により外周側に偏向し、固体壁17′に衝突しないようになっている。また、液体供給圧力が高い場合には図6中小枠(2)に示すように空気噴出孔31からの噴出を停止して液体を固体壁17′に衝突させて微粒化するようになっている。
【0044】
以上において、液体ノズル15′は請求項4記載の液体を噴出する第2の液体ノズルを構成し、空気圧縮機10、遮断弁11及びコントローラ20は気体ノズルに第2の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量に応じて気体の供給及び停止を行う第2の気体供給装置を構成し、固体壁17′は第2の液体ノズルから噴出した液体を衝突させる第2の固体壁を構成する。
【0045】
以上のような構成の本実施の形態によれば、前述の第1及び第2の実施の形態と同様に広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができ、且つ、空気供給量を低減することができる。さらに、前述の第1及び第2の実施の形態においては液体ノズルから噴出する液体と空気とを噴霧ノズルの内部で混合する構成としたので噴霧ノズル内に液滴が流入する可能性があったが、本実施の形態によれば液体ノズル15′及び空気ノズル32の外部で液体と空気とを衝突させて混合するようにしたので、ノズル内部に液滴が流入する恐れがなく、液体微粒化装置の信頼性を向上することができる。
【0046】
次に、本発明のガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態を図7を参照しつつ説明する。
図7は本発明のガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態を備えたガスタービンプラントの全体構成を概略的に表した図である。
【0047】
この図7に示すように、本実施の形態のガスタービンプラントは、主として、空気を圧縮して高圧の圧縮空気(以下、適宜燃焼用空気と記載する)を生成する圧縮機41と、この圧縮機41から導入される圧縮空気と燃料とを混合して燃焼ガスを生成する燃焼器42と、この燃焼器42で生成された燃焼ガスが導入されるガスタービン43とから構成されている。なお、圧縮機41とガスタービン43とは連結されている。
【0048】
上記燃焼器42は、燃焼ガスを生成する燃焼室44と、この燃焼室44を内部に形成する内筒45と、この内筒45の上流側端部に設けられ、上記燃焼室44内に液体燃料を微粒化して噴霧する燃料ノズル46と、この燃料ノズル46と内筒45との間に設けられ、保炎性を高めるために圧縮機41から導入される燃焼用空気に旋回作用を与える旋回器47と、これら内筒45、燃料ノズル46、及び旋回器47等を内部に収納した外筒48と、この外筒48に支持され、燃焼室44内で燃焼用空気と噴霧燃料とを混合した可燃混合気を点火させる点火栓49とを備えている。このような構成により、圧縮機41からの圧縮空気は外筒48内に導入された後旋回器47を経て燃焼室44内に導入され、そこで燃料ノズル46から噴霧される液体燃料と混合されて、この可燃混合気が燃焼室44内で点火栓49により点火されて燃焼し、燃焼によって生成した燃焼ガスがガスタービン43に噴射されてガスタービン43を駆動する。これにより、図示しないガスタービン43に連結された発電機が駆動して発電するようになっている。
【0049】
燃料ノズル46には液体燃料供給系統50から液体燃料が、空気供給系統51から空気が供給されるようになっている。液体燃料供給系統50は液体燃料タンク52、昇圧ポンプ53、圧力調整弁54、遮断弁55、流量調整弁56、圧力計57、及び流量計58を備えており、液体燃料タンク52内の液体燃料は昇圧ポンプ53で昇圧され、圧力調整弁54で吐出圧力を調整されて、流量調整弁56で所定の流量に調整された後に燃料ノズル46に供給されるようになっている。また、空気供給系統51は空気圧縮機60、遮断弁61、圧力調整弁62、圧力計63、及び流量計64を備えており、空気圧縮機60からの圧縮空気は圧力調整弁62で所定の圧力に調整されて燃料ノズル46に供給されるようになっている。
【0050】
燃料ノズル46は、上記液体燃料供給系統50から供給される液体燃料を噴出する液体燃料ノズル65と、この液体燃料ノズル65の外周を覆うように設けた燃料噴霧ノズル66と、この燃料噴霧ノズル66の噴出方向下流側(図7中右側)端部に設けた固体壁67とを備えている。液体燃料ノズル65には噴出方向側(図7中右側)に液体燃料を噴出するための液体燃料噴出孔68(図7中小枠(1)も参照)が設けられ、燃料噴霧ノズル66には上記液体噴出孔68から噴出した液体と空気供給系統51から供給される空気とを混合して噴霧するための燃料噴霧孔69(図7中小枠(1)も参照)が噴霧方向側(図7中右側)に設けられている。この燃料噴霧孔69はその軸心線C(図7中小枠(1)参照)と上記液体燃料噴出孔68の軸心線D(図7中小枠(1)参照)との角度がβとなるように傾斜して設けられており、燃料噴霧孔69から噴霧された噴霧燃料が固体壁67に衝突しないように図られている。また、燃料噴霧孔69は、空気供給系統51から燃料噴霧ノズル66に空気が供給されていないときには液体燃料噴出孔68から噴出された液体燃料が孔内を通過して固体壁67に衝突可能なように形成されている。
【0051】
本実施の形態においては、液体燃料ノズル65に供給される液体燃料の圧力又は流量に応じて空気供給系統51から燃料噴霧ノズル66に空気を供給することによって、ガスタービン43の運転負荷状況に応じた空気供給がなされるようになっている。すなわち、前記の圧力計57(又は流量計58。以下かっこ内対応関係同様)は液体燃料ノズル65に供給される液体燃料の圧力p′(又は流量q′)の検出値をコントローラ70に出力するようになっており、コントローラ70はこの入力された圧力p′(又は流量q′)と予め記憶されている(又は適宜設定入力してもよい)所定のしきい値p′1(又はしきい値q′1)とを比較するようになっている。すなわち、コントローラ70は入力された圧力p′(又は流量q′)が所定のしきい値p′1(又はしきい値q′1)以下の場合には、遮断弁61を開弁して燃料噴霧ノズル66に空気を供給する。一方、入力された圧力p′(又は流量q′)が所定のしきい値p′1(又はしきい値q′1)より大きい場合には、遮断弁61を開弁して噴霧ノズル66への空気の供給を停止するようになっている。
【0052】
以上において、空気圧縮機60、遮断弁61及びコントローラ70は請求項5記載の燃料噴霧ノズルにガスタービン負荷に応じて気体の供給及び停止を行う第3の気体供給装置を構成し、固体壁67は液体燃料ノズルから噴出した液体燃料を衝突させる第3の固体壁を構成する。
【0053】
次に、上記構成の本発明のガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態の動作を以下に説明する。
本実施の形態においては、前述した本発明の液体微粒化装置の第1の実施の形態と同様に、燃焼器42の点火や低負荷時等、液体燃料ノズル65への液体燃料の供給圧力が低く供給流量が少ない場合に、コントローラ70の制御により遮断弁61が開弁して燃料噴霧ノズル66に空気が供給される。これにより、液体燃料噴出孔68から噴出された液体燃料は空気流のせん断力によって微粒化されて、燃料噴霧孔69から噴霧される。一方、高負荷や定格負荷時等、液体燃料ノズル65への液体燃料の供給圧力及び供給流量が大きくなると、コントローラ70の制御により遮断弁61が閉弁して噴霧ノズル66への空気供給が停止する。これにより、液体燃料噴出孔68から噴出された液体燃料は燃料噴霧孔69内を通過して固体壁67に衝突し、微粒化される。
【0054】
以上のように動作する本実施の形態のガスタービン燃焼器の液体微粒化装置によれば、以下の作用が得られる。ここでは、前述した一般的な衝突型の一流体方式構造(すなわち従来技術の特許文献1に記載したような構造)の燃料ノズルを燃焼器42に適用した場合を比較例とし、本実施の形態で得られる作用について説明する。
【0055】
すなわち、一般にガスタービンプラントでは、ガスタービン43の起動時(すなわち燃焼器42の点火時)には、液体燃料の供給圧力が低く供給流量が少なくなる。したがって、上記比較例の場合には、液体燃料の微粒化特性が低下する。その結果、通常、液体燃料の燃焼は燃焼用空気との混合により燃料が蒸発し形成された可燃混合気が外部からの熱を受けることによって燃焼に至るものであることから、このように微粒化特性が低下すると、液体燃料の蒸発量や燃焼用空気中への分散が減少して液体燃料と燃焼用空気との混合が充分に行われないため、点火不具合を起こす恐れがあった。
【0056】
さらに、上記比較例では、起動後の低負荷運転状態においても液体燃料の供給圧力が低く微粒化特性が低下する場合があり、このような状態で燃焼が継続されると、上述したように液体燃料と燃焼用空気との混合が充分に行われないことから局所的な高温領域の発生によるNOx排出量の増加を招く恐れがある。また、微粒化特性の低下から液体燃料ノズル65や固体壁67等の燃焼器42の構成部品に液垂れが生じ、その垂れた液体燃料が発火した場合にはそれら構成部品の損傷を招く恐れがあった。
【0057】
またさらに、上記比較例では、ガスタービン43の停止時においても液体燃料の供給を停止する際に液体燃料の供給圧力が低下するため、上記と同様に液体燃料が燃焼器構成部品に液垂れを生じる可能性がある。また、液体燃料の供給を停止すると、液体燃料ノズル65内には液体燃料が滞留し、この滞留した液体燃料が周囲の熱を受けて固体化して、液体燃料噴出孔68等を閉塞する恐れがあった。このような事態を防止するために、通常、ガスタービン燃焼器では液体燃料の供給停止後には空気等を液体燃料ノズル65内に導入し、ノズル内部の液体燃料の滞留を防止するように構成しているが、空気導入のタイミング等によってはこのような閉塞の発生を完全には防止することができなかった。
【0058】
これに対し、本実施の形態においては、ガスタービン43の起動時等、液体燃料の供給圧力が低い場合には、燃料噴霧ノズル66に空気を供給してその空気流のせん断力によって液体燃料を微粒化して噴霧するようにし、且つ前述したように燃料噴霧孔69から噴霧された噴霧燃料は固体壁67に衝突しないように構成している。これにより、ガスタービン43の起動時においても液体燃料を良好に微粒化して噴霧を行うことができ、燃焼器42の点火の信頼性を向上することができる。
【0059】
また本実施の形態によれば、起動後の低負荷運転状態においても、液体燃料の供給圧力が低い場合には燃料噴霧ノズル66に空気を供給して空気流のせん断力により液体燃料を良好に微粒化するため、液体燃料と燃焼用空気との混合を充分に行うことが可能であり、NOx排出量の増加や液垂れによる燃焼器構成部品の損傷を防止することができる。
【0060】
さらに本実施の形態によれば、ガスタービン43が定格負荷運転状態になった場合には、液体燃料の供給圧力が高くなるので燃料噴霧ノズル66への空気の供給を停止し、液体燃料を固体壁67に衝突させることによって良好に微粒化することができる。
【0061】
以上のように、本実施の形態によれば、ガスタービン43の起動(燃焼器42の点火)から低負荷領域を経て定格負荷運転状態に至るまで、広いガスタービン負荷範囲において良好な微粒化特性を得ることが可能となる。
【0062】
さらに本実施の形態によれば、ガスタービン43が定格負荷運転となって液体供給圧力が高くなると空気供給を停止するので、微粒化特性を維持するために液体供給圧力の上昇と共に空気供給量を増加させる必要のある前述した二流体方式構造に比べ、空気供給量を大幅に低減することができる。これにより、空気圧縮機60を含めて空気供給系統51の設備規模を減少することができると共にコストを低減できる。
【0063】
またさらに、ガスタービン43の停止時においても、本実施の形態によれば燃料噴霧ノズル66に空気を供給して微粒化した上で噴霧するので、上述したような液体燃料の液垂れが生じるのを防止することができる。さらに、空気供給系統51から供給された空気が液体燃料ノズル65の外周を流れる際に液体燃料ノズル65を冷却するため、液体燃料ノズル65内に液体燃料が滞留した場合であっても液体燃料の固体化による液体燃料噴出孔68等の閉塞を防止することができる。
【0064】
さらに、本実施の形態においては、前述したように燃料噴霧孔69を傾斜角βだけ傾斜して設けると共に、固体壁67の衝突面67aをノズル軸心線から傾斜角γだけ傾斜させて形成する(図7中小枠(1)参照)ことで、噴霧燃料を旋回器47から供給される燃焼用空気に向かって噴霧できるので、噴霧燃料と燃焼用空気との混合が一層促進され、点火特性や燃焼安定性の向上、NOx排出量の低減作用を得ることができる。
【0065】
なお、以上説明してきた本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法の第1乃至第3の実施の形態、及びガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態においては、液体供給圧力が低い場合に液体(液体燃料)を空気のせん断力をもって微粒化するようにしたが、空気に限らず、例えば蒸気、窒素等の他の媒体を用いて微粒化するようにしてもよい。
【0066】
また、以上説明してきた本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法の第1乃至第3の実施の形態、及びガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態においては、液体の圧力又は流量(ガスタービン負荷)に応じて空気を供給又は停止するようにしたが、これに限らず、例えば液体の圧力又は流量(ガスタービン負荷)が減少するにつれ徐々に空気供給量を増加する等、空気供給量を可変に制御するようにしてもよい。この場合、広い液体供給圧力範囲(ガスタービン負荷範囲)において良好且つより均一な微粒化特性を得ることが可能である。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、液体の供給圧力が低く液体ノズルからの液体の噴出速度が遅い場合には、気体供給装置から供給される気体のせん断力によって液体を微粒化し、液体の供給圧力が高く液体の噴出速度が速い場合には、固体壁との衝突により液体を微粒化する。これにより、広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができる。さらに、液体の供給圧力が高く液体の噴出速度が速い場合に気体供給装置からの気体の供給を停止するので、気体供給量を低減することができる。したがって、広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができ、且つ、気体供給量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体微粒化装置の第1の実施の形態の全体構成を概略的に表す図である。
【図2】本発明の液体微粒化装置の第1の実施の形態において、供給圧力が低い場合の液体の微粒化方法を示す微粒化ノズルの側断面図である。
【図3】本発明の液体微粒化装置の第1の実施の形態において、供給圧力が高い場合の液体の微粒化方法を示す微粒化ノズルの側断面図である。
【図4】本発明の液体微粒化装置の第1の実施の形態の微粒化特性と、一般的な衝突型の一流体方式構造及び二流体方式構造による微粒化特性とを比較した図である。
【図5】本発明の液体微粒化装置の第2の実施の形態の全体構成を概略的に表す図である。
【図6】本発明の液体微粒化装置の第3の実施の形態の全体構成を概略的に表す図である。
【図7】本発明のガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態を備えたガスタービンプラントの全体構成を概略的に表す図である。
【符号の説明】
10 空気圧縮機(第1の気体供給装置;第2の気体供給装置)
11 遮断弁(第1の気体供給装置;第2の気体供給装置)
15 液体ノズル(第1の液体ノズル)
15′ 液体ノズル(第2の液体ノズル)
16 噴霧ノズル
17 固体壁(第1の固体壁)
17′ 固体壁(第2の固体壁)
20 コントローラ(第1の気体供給装置;第2の気体供給装置)
30a 内壁(第1の固体壁)
32 気体ノズル
41 圧縮機
42 燃焼器
43 ガスタービン
60 空気圧縮機(第3の気体供給装置)
61 遮断弁(第3の気体供給装置)
65 液体燃料ノズル
66 燃焼噴霧ノズル
67 固体壁(第3の固体壁)
70 コントローラ(第3の気体供給装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼機器、薬剤散布機器、加湿器、医療機器等に設けられ、燃料、薬剤、水等の液体を微粒化する液体微粒化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体微粒化装置は多方面で使用されており、その微粒化方式も多岐に渡っているが、一般にはその方式は一流体方式と二流体方式とに大別できる。
【0003】
上記一流体方式は液体の噴射圧力を利用して微粒化させる方式である。このため、液体の供給圧力が高く(すなわち供給流量が多く)噴出速度が速くなるほど微粒化が促進される特性を有する。
【0004】
このような一流体方式を採用した液体微粒化装置としては、液体を固体壁に衝突させて微粒化するものがある(例えば、特許文献1参照)。ここでは、液体ノズル(ノズル本体)の下流側に固体壁(軸部材)を設置し、液体ノズルから噴出した液体を固体壁に衝突させることで微粒化するようになっている。
【0005】
一方、もう1つの方式である二流体方式は、液体を噴出すると共に液体以外の媒体、例えば空気や蒸気、窒素等を高速で噴出し、そのせん断力によって液体を微粒化させる方式である。このため、液体の供給流量が少ないほど液体と媒体との速度差が大きくなり、媒体によるせん断作用が大きくなるため、微粒化が促進される特性を有する。
【0006】
このような二流体方式を採用した液体微粒化装置としては、液体を噴出する液体ノズルと、この液体ノズルの外周側に設けられ液体ノズルから噴出した液体に気体(空気)を供給する気体ノズル(空気ノズル)と、この気体ノズルに気体を供給する気体供給装置(空気供給装置)とを備えた液体微粒化装置がある(特許文献2参照)。ここでは、液体ノズルから噴出した液体の外周を覆うように噴出された気体が液体を搬送して固体壁に衝突させるようになっている。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−94487号公報
【特許文献2】
特開平6−226149号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では以下のような課題が存在する。
すなわち、上記特許文献1記載の従来技術によれば、液体の供給圧力が高く(すなわち供給流量が多く)液体ノズルからの噴出速度が速いほど、液体の運動エネルギが増大するので固体壁との衝突による微粒化特性を向上することができるが、液体の供給開始時又は供給停止時等、供給圧力が低く(すなわち供給流量が少なく)液体の噴出速度が遅い場合には、液体の運動エネルギが減少するために微粒化特性が低下し、固体壁に衝突した液体が微粒化されずに壁面を伝って液垂れ等を起こす恐れがあった。
【0009】
一方、上記特許文献2記載の従来技術によれば、気体ノズルから噴出した気体が液体を搬送する構成としているので、液体の供給圧力が低く液体ノズルからの噴出速度が遅い場合であっても、流速の速い気体流で液滴を搬送して固体壁に衝突させることができるようになっている。したがって、上記特許文献1記載の従来技術では微粒化特性が低下してしまう液体の供給開始時又は供給停止時等においても、微粒化特性の低下を防止することができる。
【0010】
しかしながら、上記特許文献2記載の従来技術は、液体供給圧力が低い場合にも良好な微粒化特性を得るために液体を噴出する間は常に気体を速い速度で噴出する構造となっており、気体供給量が多大となってしまう。その結果、気体供給装置の規模が大きくなり、コストも増大してしまう。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができ、且つ、気体供給量を低減することができる液体微粒化装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明の液体微粒化装置は、液体を噴出する第1の液体ノズルと、この第1の液体ノズルを覆うように設けられ、前記第1の液体ノズルから噴出した液体と気体とを混合して噴霧する噴霧ノズルと、この噴霧ノズルに、前記第1の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量に応じて気体の供給及び停止を行う第1の気体供給装置と、この第1の気体供給装置の供給停止時に、前記第1の液体ノズルから噴出した液体を衝突させる第1の固体壁とを備えるものとする。
【0013】
本発明においては、例えば圧力検出手段又は流量検出手段によって液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量を検出し、制御装置等によってその検出値と所定のしきい値との大小を比較するようにすることで、液体ノズルから噴出する液体が固体壁との衝突によって良好に微粒化されるかどうかを判定することが可能である。すなわち、例えば液体圧力又は流量が所定のしきい値以下の場合には、液体ノズルから噴出する液体の噴出速度が遅く固体壁への衝突によって良好な微粒化特性が得られないものとみなし、気体供給装置で噴霧ノズルに気体を供給する。その結果、液体ノズルから噴出した液体は気体と混合されその気体のせん断力によって微粒化されて、噴霧ノズルから噴霧される。一方、液体圧力又は流量が所定のしきい値より大きい場合には、液体ノズルから噴出する液体の噴出速度が速く固体壁への衝突によって良好な微粒化特性が得られるものとみなし、気体供給装置から噴霧ノズルへの気体の供給を停止する。その結果、液体ノズルから噴出した液体は固体壁に衝突して微粒化される。
【0014】
このようにして、液体の供給開始時又は供給停止時等、液体の供給圧力が低く(すなわち供給流量が少なく)液体ノズルからの液体の噴出速度が遅い場合であっても、気体供給装置から供給される気体のせん断力によって液体を良好に微粒化して噴霧することができ、また液体の供給圧力が高く(すなわち供給流量が多く)液体の噴出速度が速い場合には固体壁との衝突により液体を良好に微粒化することができるので、広い液体供給圧力範囲において良好に微粒化することが可能である。さらに、液体の供給圧力が高く(すなわち供給流量が多く)液体の噴出速度が速い場合には気体供給装置からの気体の供給を停止するので、気体供給量を低減することができる。したがって、本発明の液体微粒化装置によれば、広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができ、且つ、気体供給量を低減することができる。
【0015】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記第1の気体供給装置は、前記第1の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量が所定のしきい値以下である場合には前記噴霧ノズルに気体を供給し、液体の圧力又は流量が所定のしきい値より大きい場合には前記噴霧ノズルへの気体の供給を停止するものとする。
【0016】
(3)上記(1)又は(2)において、また好ましくは、前記噴霧ノズルは、前記第1の固体壁に衝突しないように前記第1の液体ノズルから噴出した液体と気体とを混合して噴霧するものとする。
【0017】
(4)上記目的を達成するために、また本発明の液体微粒化装置は、液体を噴出する第2の液体ノズルと、この第2の液体ノズルから噴出した液体と混合するように気体を噴出する気体ノズルと、この気体ノズルに、前記第2の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量に応じて気体の供給及び停止を行う第2の気体供給装置と、この第2の気体供給装置の供給停止時に、前記第2の液体ノズルから噴出した液体を衝突させる第2の固体壁とを備えるものとする。
【0018】
(5)上記目的を達成するために、本発明は、ガスタービンに供給する燃焼ガスを生成するために、圧縮機から導入される圧縮空気に液体燃料を微粒化して混合するガスタービン燃焼器の液体微粒化装置において、液体燃料を噴出する液体燃料ノズルと、この液体燃料ノズルを覆うように設けられ、前記液体燃料ノズルから噴出した液体燃料と気体とを混合して噴霧する燃料噴霧ノズルと、この燃料噴霧ノズルにガスタービン負荷に応じて気体の供給及び停止を行う第3の気体供給装置と、この第3の気体供給装置の供給停止時に、前記液体燃料ノズルから噴出した液体燃料を衝突させる第3の固体壁とを備えるものとする。
【0019】
これにより、ガスタービンの起動や昇速、低負荷運転時のように液体燃料ノズルへ供給される液体燃料の圧力又は流量が小さいときであっても良好な微粒化特性を得ることができ、NOxの発生量を抑制できる。また、ガスタービンの定格負荷運転時においては燃料噴霧ノズルへの気体の供給を停止することにより、気体供給量を低減することができる。その結果、気体供給装置の規模が増大するのを抑制し、コストの増大を抑制することが可能である。
【0020】
(6)上記目的を達成するために、本発明は、液体ノズルから液体を噴出し、固体壁に衝突させることにより液体を微粒化する液体微粒化方法において、前記液体ノズルへ供給される液体の圧力又は流量が小さく、前記固体壁への衝突によって良好な微粒化特性が得られない場合には、気体供給装置で気体ノズルへ気体を供給し、前記液体ノズルから噴出した液体と前記気体ノズルから噴出した気体とを混合させて液体を微粒化し、前記液体ノズルへ供給される液体の圧力又は流量が大きく、前記固体壁への衝突によって良好な微粒化特性が得られる場合には、前記気体供給装置から前記気体ノズルへの気体の供給を停止する方法とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法、ガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法の第1の実施の形態を図1乃至図4を参照しつつ以下に説明する。
【0022】
図1は本発明の液体微粒化装置の第1の実施の形態の全体構成を概略的に表す図である。
この図1において、本実施の形態の液体微粒化装置は、微粒化ノズル2と、この微粒化ノズル2に液体を供給するための液体供給系統3と、微粒化ノズル2に空気を供給するための空気供給系統4とを備えている。液体供給系統3は液体タンク5、昇圧ポンプ6、流量調整弁7、圧力計8、及び流量計9を備えており、液体タンク5内の液体は昇圧ポンプ6で昇圧され、流量調整弁7で所定の流量に調整された後に微粒化ノズル2に供給されるようになっている。また、空気供給系統4は空気圧縮機10、遮断弁11、圧力調整弁12、圧力計13、及び流量計14を備えており、空気圧縮機10からの圧縮空気は圧力調整弁12で所定の圧力に調整されて微粒化ノズル2に供給されるようになっている。
【0023】
微粒化ノズル2は、上記液体供給系統3から供給される液体を噴出する液体ノズル15と、この液体ノズル15の外周を覆うように設けた噴霧ノズル16と、この噴霧ノズル16の噴出方向下流側(図1中右側)端部に設けた固体壁17とを備えている。液体ノズル15には噴出方向側(図1中右側)に液体を噴出するための液体噴出孔18が設けられ、噴霧ノズル16には上記液体噴出孔18から噴出した液体と空気供給系統4から供給される空気とを混合して噴霧するための噴霧孔19が噴霧方向側(図1中右側)に設けられている。この噴霧孔19はその軸心線Aと上記液体噴出孔18の軸心線Bとの角度がαとなるように下流側に行くにつれて径方向外側に拡大するように傾斜して設けられており、噴霧孔19から噴霧された噴霧空気が固体壁17に衝突しないように図られている。なお、上記角度αは噴霧ノズル16及び固体壁17の形状等に応じて適宜の値に設定されている。また、噴霧孔19は、空気供給系統4から噴霧ノズル16に空気が供給されていないときには液体噴出孔18から噴出された液体が孔内を通過して固体壁17に衝突可能なように形成されている。
【0024】
前記の圧力計8(又は流量計9。以下かっこ内対応関係同様)は液体ノズル15に供給される液体の圧力p(又は流量q)の検出値をコントローラ20に出力するようになっており、コントローラ20はこの入力された圧力p(又は流量q)と予め記憶されている(又は適宜設定入力してもよい)所定のしきい値p1(又はしきい値q1)とを比較するようになっている。すなわち、コントローラ20は入力された圧力p(又は流量q)が所定のしきい値p1(又はしきい値q1)以下の場合には、液体ノズル15から噴出する液体の噴出速度が遅く固体壁17への衝突によって良好な微粒化特性が得られないものとみなし、遮断弁11を開弁して噴霧ノズル16に空気を供給する。一方、入力された圧力p(又は流量q)が所定のしきい値p1(又はしきい値q1)より大きい場合には、液体ノズル15から噴出する液体の噴出速度が速く固体壁17への衝突によって良好な微粒化特性が得られるものとみなし、遮断弁11を閉弁して噴霧ノズル16への空気の供給を停止するようになっている。
【0025】
以上において、液体ノズル15は特許請求の範囲各項記載の液体を噴出する第1の液体ノズルを構成し、空気圧縮機10、遮断弁11及びコントローラ20は噴霧ノズルに第1の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量に応じて気体の供給及び停止を行う第1の気体供給装置を構成し、固体壁17は第1の液体ノズルから噴出した液体を衝突させる第1の固体壁を構成する。
【0026】
次に、上記構成の本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法の第1の実施の形態の動作及び作用を以下に説明する。
液体ノズル15への液体の供給圧力が低く、供給流量が少ない場合には、圧力計8(又は流量計9)からコントローラ20に出力された圧力p(又は流量q)が所定のしきい値p1(又はしきい値q1)以下となるため、コントローラ20の制御により遮断弁11が開弁して噴霧ノズル16に空気が供給される。図2はこのときの液体の微粒化方法を示す微粒化ノズル2の側断面図である。
【0027】
この図2に示すように、遮断弁11が開弁することにより空気供給系統4から供給された空気流25は、噴霧ノズル16内に導入されて液体ノズル15の液体噴出孔18から噴出された液体流26と混合され、噴霧孔19から高速の噴霧液滴27となって噴霧される。このようにすることで、液体噴出孔18から噴出された液体流26を空気流25のせん断力によって微粒化しつつ噴霧できるので、液体の供給圧力が低いため噴出速度が遅く固体壁17への衝突によっては良好な微粒化特性が得られない場合であっても、良好に微粒化することができる。またこのとき、前述したように噴霧孔19が傾斜して設けられていることから噴霧孔19から噴霧された噴霧液滴27は固体壁17に衝突しないように噴霧される。したがって、噴霧液滴27が固体壁17に衝突する場合に起こりうる液滴の再結合による液垂れを防止することができる。
【0028】
一方、液体ノズル15への液体の供給圧力及び供給流量が大きくなると、圧力計8(又は流量計9)からコントローラ20に出力された圧力p(又は流量q)が所定のしきい値p1(又はしきい値q1)より大きくなるため、コントローラ20の制御により遮断弁11が閉弁して噴霧ノズル16への空気供給が停止する。図3はこのときの液体の微粒化方法を示す微粒化ノズル2の側断面図である。
【0029】
この図3に示すように、空気供給系統4から噴霧ノズル16に空気が供給されないため、液体噴出孔18から噴出された液体は液柱28となって噴霧孔19内を通過して固体壁17に衝突し、微粒化される。
【0030】
以上のような動作によって良好な微粒化特性が得られることを、以下に図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態の液体微粒化装置の微粒化特性と、一般的な衝突型の一流体方式を用いた構造(液体ノズルから噴出した液体を固体壁に衝突させて微粒化する構造、すなわち前述した従来技術の特許文献1に記載したような構造。図示省略)及び二流体方式を用いた構造(すなわち、液体ノズルから噴出した液体に空気ノズルから噴出した空気を衝突させて、その空気のせん断力により液体を微粒化させる構造。図示省略)の微粒化特性とを比較した図であり、横軸に液体供給圧力、縦軸に液体の粒子径を示している。なお、この図4において、実線は本実施の形態の液体微粒化装置の微粒化特性、1点鎖線は上記一流体方式構造の微粒化特性、大きな破線は上記二流体方式構造の微粒化特性、小さな破線は本実施の形態における空気供給圧力(すなわち圧力計13の指示値)である。
【0031】
この図4中1点鎖線に示すように、上記一流体方式構造では、液体の供給圧力が高いほど液体ノズルからの噴出速度が速くなり液体の運動エネルギが増大するため、固体壁との衝突によって生成される液滴の粒子径は小さくなり微粒化特性は向上するが、上述した供給圧力が低く液体の噴出速度が遅い領域においては、液体の運動エネルギが減少するために粒子径が大幅に大きくなり微粒化特性が低下する。
【0032】
一方、上記二流体方式構造では、液体の供給圧力が低く噴出速度が遅い領域においては流速の速い空気流との速度差が大きくなり空気流によるせん断力が増大して液体の微粒化が一層促進されるため、図4中大きな破線に示すように液体の供給圧力が低い領域で特に微粒化特性が良好となる。しかしながら、液体の供給圧力が高い領域においては、液体流量が増加するために空気流によるせん断力が減少し、微粒化特性は低下する。
【0033】
これに対し、本実施の形態の液体微粒化装置においては、先に詳述したように液体供給圧力がしきい値p1となるまでは空気圧縮機10で噴霧ノズル16に空気を供給して液体ノズル15から噴出する液体を空気流のせん断力で微粒化し、液体供給圧力がしきい値p1より大きくなると噴霧ノズル16への空気の供給を停止して液体ノズル15から噴出する液体を固体壁17に衝突させて微粒化する。すなわち、本実施の形態によれば、液体供給圧力がしきい値p1以下の領域では上記二流体方式構造と同様の微粒化方式を採用し、液体供給圧力がしきい値p1より大きい領域では上記一流体方式構造と同様の微粒化方式を採用することで、図4中実線に示すように両者の微粒化特性の優れた部分のみを足し合わせた微粒化特性を得ることができる。これにより、広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることが可能となる。
【0034】
さらに本実施の形態によれば、通常、二流体方式構造では液体供給圧力が高くなり液体の流量が増加した際に低流量時と同等の微粒化特性を得ようとすると、その分空気供給量を増加させる必要があるのに対し、液体の供給圧力がp1より高くなると空気の供給を停止するので、空気供給量を大幅に低減することができる。これにより、空気圧縮機10を含めた空気供給系統4の規模を減少することができ、コストを低減できる。
【0035】
次に、本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法の第2の実施の形態を図5を参照しつつ説明する。本実施の形態は、液体ノズルから噴出する液体を固体壁の代わりに噴霧ノズルの噴霧孔内壁に衝突させて微粒化するものである。
【0036】
図5は本発明の液体微粒化装置の第2の実施の形態の全体構成を概略的に表した図である。なお、この図5において、前述の第1の実施の形態における図1と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
【0037】
この図5に示すように、噴霧ノズル16′には液体ノズル15の液体噴出孔18から噴出した液体と空気供給系統4から供給される空気とを混合して噴霧するための噴霧孔30が設けられており、この噴霧孔30は、空気供給系統4の空気供給停止時に液体噴出孔18から噴出された液体がこの噴霧孔30の内壁30aに衝突するように形成されている。このような構成により、液体ノズル15に供給される液体の圧力が低い場合には図5中小枠(1)に示すように液体と空気とを混合して微粒化し、液体供給圧力が高い場合には図5中小枠(2)に示すように液体を噴霧孔内壁30aに衝突させて微粒化するようになっている。
【0038】
以上において、噴霧孔内壁30aは特許請求の範囲各項記載の第1の液体ノズルから噴出した液体を衝突させる第1の固体壁を構成する。
【0039】
以上のような構成の本実施の形態によれば、前述の第1の実施の形態における固体壁17が不要となるので微粒化ノズル2′の構造を簡素化でき、その上で第1の実施の形態と同様に広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができ、且つ、空気供給量を低減することができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては液体ノズル15から噴出した液体を噴霧孔内壁30aに衝突させるため、液体の一部が内壁30aを伝って液垂れし、噴霧ノズル16′内部に流入することが懸念されるが、例えば液体供給圧力が高い場合に空気供給系統4からの空気供給を完全に停止せずに少量の空気を供給するようにすれば、上記噴霧ノズル16′内への液滴の流入を防止することが可能である。また、この液滴流入防止のための空気供給量を増加すれば、噴霧孔内壁30aに衝突して微粒化した液体を空気流のせん断力によってさらに微粒化させることができる。
【0041】
次に、本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法の第3の実施の形態を図6を参照しつつ説明する。本実施の形態は、前述の第1及び第2の実施の形態では液体ノズルから噴出する液体と空気とを噴霧ノズルの内部で混合させたのに対し、ノズルの外部で混合するようにしたものである。
【0042】
図6は本発明の液体微粒化装置の第3の実施の形態の全体構成を概略的に表した図である。なお、この図6において、前述の第1の実施の形態における図1と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
【0043】
この図6に示すように、微粒化ノズル2″は、噴出方向下流側(図6中右側)先端部に固体壁17′を一体的に設けられ、空気供給系統4から供給される空気を空気噴出孔31から噴出する空気ノズル32と、この空気ノズル32の外周を覆うように設けられ、液体供給系統3から供給される液体を液体噴霧孔18′から噴出する液体ノズル15′とを備えている。上記空気噴出孔31は空気を空気ノズル32の径方向外側に向けて噴出するように形成されており、この空気噴出孔31から噴出した空気流は液体ノズル15′の液体噴出孔18′から噴出した液体に対してほぼ直角方向から衝突するようになっている。このような構成により、液体ノズル15′に供給される液体の圧力が低い場合には、図6中小枠(1)に示すように液体噴出孔18′から噴出した液体に空気噴出孔31から噴出した空気流34を略直角に衝突させてそのせん断力により微粒化するようになっている。なおこのとき、液体と空気とが混合した噴霧空気流33は略直角方向に衝突する空気流34により外周側に偏向し、固体壁17′に衝突しないようになっている。また、液体供給圧力が高い場合には図6中小枠(2)に示すように空気噴出孔31からの噴出を停止して液体を固体壁17′に衝突させて微粒化するようになっている。
【0044】
以上において、液体ノズル15′は請求項4記載の液体を噴出する第2の液体ノズルを構成し、空気圧縮機10、遮断弁11及びコントローラ20は気体ノズルに第2の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量に応じて気体の供給及び停止を行う第2の気体供給装置を構成し、固体壁17′は第2の液体ノズルから噴出した液体を衝突させる第2の固体壁を構成する。
【0045】
以上のような構成の本実施の形態によれば、前述の第1及び第2の実施の形態と同様に広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができ、且つ、空気供給量を低減することができる。さらに、前述の第1及び第2の実施の形態においては液体ノズルから噴出する液体と空気とを噴霧ノズルの内部で混合する構成としたので噴霧ノズル内に液滴が流入する可能性があったが、本実施の形態によれば液体ノズル15′及び空気ノズル32の外部で液体と空気とを衝突させて混合するようにしたので、ノズル内部に液滴が流入する恐れがなく、液体微粒化装置の信頼性を向上することができる。
【0046】
次に、本発明のガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態を図7を参照しつつ説明する。
図7は本発明のガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態を備えたガスタービンプラントの全体構成を概略的に表した図である。
【0047】
この図7に示すように、本実施の形態のガスタービンプラントは、主として、空気を圧縮して高圧の圧縮空気(以下、適宜燃焼用空気と記載する)を生成する圧縮機41と、この圧縮機41から導入される圧縮空気と燃料とを混合して燃焼ガスを生成する燃焼器42と、この燃焼器42で生成された燃焼ガスが導入されるガスタービン43とから構成されている。なお、圧縮機41とガスタービン43とは連結されている。
【0048】
上記燃焼器42は、燃焼ガスを生成する燃焼室44と、この燃焼室44を内部に形成する内筒45と、この内筒45の上流側端部に設けられ、上記燃焼室44内に液体燃料を微粒化して噴霧する燃料ノズル46と、この燃料ノズル46と内筒45との間に設けられ、保炎性を高めるために圧縮機41から導入される燃焼用空気に旋回作用を与える旋回器47と、これら内筒45、燃料ノズル46、及び旋回器47等を内部に収納した外筒48と、この外筒48に支持され、燃焼室44内で燃焼用空気と噴霧燃料とを混合した可燃混合気を点火させる点火栓49とを備えている。このような構成により、圧縮機41からの圧縮空気は外筒48内に導入された後旋回器47を経て燃焼室44内に導入され、そこで燃料ノズル46から噴霧される液体燃料と混合されて、この可燃混合気が燃焼室44内で点火栓49により点火されて燃焼し、燃焼によって生成した燃焼ガスがガスタービン43に噴射されてガスタービン43を駆動する。これにより、図示しないガスタービン43に連結された発電機が駆動して発電するようになっている。
【0049】
燃料ノズル46には液体燃料供給系統50から液体燃料が、空気供給系統51から空気が供給されるようになっている。液体燃料供給系統50は液体燃料タンク52、昇圧ポンプ53、圧力調整弁54、遮断弁55、流量調整弁56、圧力計57、及び流量計58を備えており、液体燃料タンク52内の液体燃料は昇圧ポンプ53で昇圧され、圧力調整弁54で吐出圧力を調整されて、流量調整弁56で所定の流量に調整された後に燃料ノズル46に供給されるようになっている。また、空気供給系統51は空気圧縮機60、遮断弁61、圧力調整弁62、圧力計63、及び流量計64を備えており、空気圧縮機60からの圧縮空気は圧力調整弁62で所定の圧力に調整されて燃料ノズル46に供給されるようになっている。
【0050】
燃料ノズル46は、上記液体燃料供給系統50から供給される液体燃料を噴出する液体燃料ノズル65と、この液体燃料ノズル65の外周を覆うように設けた燃料噴霧ノズル66と、この燃料噴霧ノズル66の噴出方向下流側(図7中右側)端部に設けた固体壁67とを備えている。液体燃料ノズル65には噴出方向側(図7中右側)に液体燃料を噴出するための液体燃料噴出孔68(図7中小枠(1)も参照)が設けられ、燃料噴霧ノズル66には上記液体噴出孔68から噴出した液体と空気供給系統51から供給される空気とを混合して噴霧するための燃料噴霧孔69(図7中小枠(1)も参照)が噴霧方向側(図7中右側)に設けられている。この燃料噴霧孔69はその軸心線C(図7中小枠(1)参照)と上記液体燃料噴出孔68の軸心線D(図7中小枠(1)参照)との角度がβとなるように傾斜して設けられており、燃料噴霧孔69から噴霧された噴霧燃料が固体壁67に衝突しないように図られている。また、燃料噴霧孔69は、空気供給系統51から燃料噴霧ノズル66に空気が供給されていないときには液体燃料噴出孔68から噴出された液体燃料が孔内を通過して固体壁67に衝突可能なように形成されている。
【0051】
本実施の形態においては、液体燃料ノズル65に供給される液体燃料の圧力又は流量に応じて空気供給系統51から燃料噴霧ノズル66に空気を供給することによって、ガスタービン43の運転負荷状況に応じた空気供給がなされるようになっている。すなわち、前記の圧力計57(又は流量計58。以下かっこ内対応関係同様)は液体燃料ノズル65に供給される液体燃料の圧力p′(又は流量q′)の検出値をコントローラ70に出力するようになっており、コントローラ70はこの入力された圧力p′(又は流量q′)と予め記憶されている(又は適宜設定入力してもよい)所定のしきい値p′1(又はしきい値q′1)とを比較するようになっている。すなわち、コントローラ70は入力された圧力p′(又は流量q′)が所定のしきい値p′1(又はしきい値q′1)以下の場合には、遮断弁61を開弁して燃料噴霧ノズル66に空気を供給する。一方、入力された圧力p′(又は流量q′)が所定のしきい値p′1(又はしきい値q′1)より大きい場合には、遮断弁61を開弁して噴霧ノズル66への空気の供給を停止するようになっている。
【0052】
以上において、空気圧縮機60、遮断弁61及びコントローラ70は請求項5記載の燃料噴霧ノズルにガスタービン負荷に応じて気体の供給及び停止を行う第3の気体供給装置を構成し、固体壁67は液体燃料ノズルから噴出した液体燃料を衝突させる第3の固体壁を構成する。
【0053】
次に、上記構成の本発明のガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態の動作を以下に説明する。
本実施の形態においては、前述した本発明の液体微粒化装置の第1の実施の形態と同様に、燃焼器42の点火や低負荷時等、液体燃料ノズル65への液体燃料の供給圧力が低く供給流量が少ない場合に、コントローラ70の制御により遮断弁61が開弁して燃料噴霧ノズル66に空気が供給される。これにより、液体燃料噴出孔68から噴出された液体燃料は空気流のせん断力によって微粒化されて、燃料噴霧孔69から噴霧される。一方、高負荷や定格負荷時等、液体燃料ノズル65への液体燃料の供給圧力及び供給流量が大きくなると、コントローラ70の制御により遮断弁61が閉弁して噴霧ノズル66への空気供給が停止する。これにより、液体燃料噴出孔68から噴出された液体燃料は燃料噴霧孔69内を通過して固体壁67に衝突し、微粒化される。
【0054】
以上のように動作する本実施の形態のガスタービン燃焼器の液体微粒化装置によれば、以下の作用が得られる。ここでは、前述した一般的な衝突型の一流体方式構造(すなわち従来技術の特許文献1に記載したような構造)の燃料ノズルを燃焼器42に適用した場合を比較例とし、本実施の形態で得られる作用について説明する。
【0055】
すなわち、一般にガスタービンプラントでは、ガスタービン43の起動時(すなわち燃焼器42の点火時)には、液体燃料の供給圧力が低く供給流量が少なくなる。したがって、上記比較例の場合には、液体燃料の微粒化特性が低下する。その結果、通常、液体燃料の燃焼は燃焼用空気との混合により燃料が蒸発し形成された可燃混合気が外部からの熱を受けることによって燃焼に至るものであることから、このように微粒化特性が低下すると、液体燃料の蒸発量や燃焼用空気中への分散が減少して液体燃料と燃焼用空気との混合が充分に行われないため、点火不具合を起こす恐れがあった。
【0056】
さらに、上記比較例では、起動後の低負荷運転状態においても液体燃料の供給圧力が低く微粒化特性が低下する場合があり、このような状態で燃焼が継続されると、上述したように液体燃料と燃焼用空気との混合が充分に行われないことから局所的な高温領域の発生によるNOx排出量の増加を招く恐れがある。また、微粒化特性の低下から液体燃料ノズル65や固体壁67等の燃焼器42の構成部品に液垂れが生じ、その垂れた液体燃料が発火した場合にはそれら構成部品の損傷を招く恐れがあった。
【0057】
またさらに、上記比較例では、ガスタービン43の停止時においても液体燃料の供給を停止する際に液体燃料の供給圧力が低下するため、上記と同様に液体燃料が燃焼器構成部品に液垂れを生じる可能性がある。また、液体燃料の供給を停止すると、液体燃料ノズル65内には液体燃料が滞留し、この滞留した液体燃料が周囲の熱を受けて固体化して、液体燃料噴出孔68等を閉塞する恐れがあった。このような事態を防止するために、通常、ガスタービン燃焼器では液体燃料の供給停止後には空気等を液体燃料ノズル65内に導入し、ノズル内部の液体燃料の滞留を防止するように構成しているが、空気導入のタイミング等によってはこのような閉塞の発生を完全には防止することができなかった。
【0058】
これに対し、本実施の形態においては、ガスタービン43の起動時等、液体燃料の供給圧力が低い場合には、燃料噴霧ノズル66に空気を供給してその空気流のせん断力によって液体燃料を微粒化して噴霧するようにし、且つ前述したように燃料噴霧孔69から噴霧された噴霧燃料は固体壁67に衝突しないように構成している。これにより、ガスタービン43の起動時においても液体燃料を良好に微粒化して噴霧を行うことができ、燃焼器42の点火の信頼性を向上することができる。
【0059】
また本実施の形態によれば、起動後の低負荷運転状態においても、液体燃料の供給圧力が低い場合には燃料噴霧ノズル66に空気を供給して空気流のせん断力により液体燃料を良好に微粒化するため、液体燃料と燃焼用空気との混合を充分に行うことが可能であり、NOx排出量の増加や液垂れによる燃焼器構成部品の損傷を防止することができる。
【0060】
さらに本実施の形態によれば、ガスタービン43が定格負荷運転状態になった場合には、液体燃料の供給圧力が高くなるので燃料噴霧ノズル66への空気の供給を停止し、液体燃料を固体壁67に衝突させることによって良好に微粒化することができる。
【0061】
以上のように、本実施の形態によれば、ガスタービン43の起動(燃焼器42の点火)から低負荷領域を経て定格負荷運転状態に至るまで、広いガスタービン負荷範囲において良好な微粒化特性を得ることが可能となる。
【0062】
さらに本実施の形態によれば、ガスタービン43が定格負荷運転となって液体供給圧力が高くなると空気供給を停止するので、微粒化特性を維持するために液体供給圧力の上昇と共に空気供給量を増加させる必要のある前述した二流体方式構造に比べ、空気供給量を大幅に低減することができる。これにより、空気圧縮機60を含めて空気供給系統51の設備規模を減少することができると共にコストを低減できる。
【0063】
またさらに、ガスタービン43の停止時においても、本実施の形態によれば燃料噴霧ノズル66に空気を供給して微粒化した上で噴霧するので、上述したような液体燃料の液垂れが生じるのを防止することができる。さらに、空気供給系統51から供給された空気が液体燃料ノズル65の外周を流れる際に液体燃料ノズル65を冷却するため、液体燃料ノズル65内に液体燃料が滞留した場合であっても液体燃料の固体化による液体燃料噴出孔68等の閉塞を防止することができる。
【0064】
さらに、本実施の形態においては、前述したように燃料噴霧孔69を傾斜角βだけ傾斜して設けると共に、固体壁67の衝突面67aをノズル軸心線から傾斜角γだけ傾斜させて形成する(図7中小枠(1)参照)ことで、噴霧燃料を旋回器47から供給される燃焼用空気に向かって噴霧できるので、噴霧燃料と燃焼用空気との混合が一層促進され、点火特性や燃焼安定性の向上、NOx排出量の低減作用を得ることができる。
【0065】
なお、以上説明してきた本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法の第1乃至第3の実施の形態、及びガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態においては、液体供給圧力が低い場合に液体(液体燃料)を空気のせん断力をもって微粒化するようにしたが、空気に限らず、例えば蒸気、窒素等の他の媒体を用いて微粒化するようにしてもよい。
【0066】
また、以上説明してきた本発明の液体微粒化装置及び液体微粒化方法の第1乃至第3の実施の形態、及びガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態においては、液体の圧力又は流量(ガスタービン負荷)に応じて空気を供給又は停止するようにしたが、これに限らず、例えば液体の圧力又は流量(ガスタービン負荷)が減少するにつれ徐々に空気供給量を増加する等、空気供給量を可変に制御するようにしてもよい。この場合、広い液体供給圧力範囲(ガスタービン負荷範囲)において良好且つより均一な微粒化特性を得ることが可能である。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、液体の供給圧力が低く液体ノズルからの液体の噴出速度が遅い場合には、気体供給装置から供給される気体のせん断力によって液体を微粒化し、液体の供給圧力が高く液体の噴出速度が速い場合には、固体壁との衝突により液体を微粒化する。これにより、広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができる。さらに、液体の供給圧力が高く液体の噴出速度が速い場合に気体供給装置からの気体の供給を停止するので、気体供給量を低減することができる。したがって、広い液体供給圧力範囲において良好な微粒化特性を得ることができ、且つ、気体供給量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体微粒化装置の第1の実施の形態の全体構成を概略的に表す図である。
【図2】本発明の液体微粒化装置の第1の実施の形態において、供給圧力が低い場合の液体の微粒化方法を示す微粒化ノズルの側断面図である。
【図3】本発明の液体微粒化装置の第1の実施の形態において、供給圧力が高い場合の液体の微粒化方法を示す微粒化ノズルの側断面図である。
【図4】本発明の液体微粒化装置の第1の実施の形態の微粒化特性と、一般的な衝突型の一流体方式構造及び二流体方式構造による微粒化特性とを比較した図である。
【図5】本発明の液体微粒化装置の第2の実施の形態の全体構成を概略的に表す図である。
【図6】本発明の液体微粒化装置の第3の実施の形態の全体構成を概略的に表す図である。
【図7】本発明のガスタービン燃焼器の液体微粒化装置の実施の形態を備えたガスタービンプラントの全体構成を概略的に表す図である。
【符号の説明】
10 空気圧縮機(第1の気体供給装置;第2の気体供給装置)
11 遮断弁(第1の気体供給装置;第2の気体供給装置)
15 液体ノズル(第1の液体ノズル)
15′ 液体ノズル(第2の液体ノズル)
16 噴霧ノズル
17 固体壁(第1の固体壁)
17′ 固体壁(第2の固体壁)
20 コントローラ(第1の気体供給装置;第2の気体供給装置)
30a 内壁(第1の固体壁)
32 気体ノズル
41 圧縮機
42 燃焼器
43 ガスタービン
60 空気圧縮機(第3の気体供給装置)
61 遮断弁(第3の気体供給装置)
65 液体燃料ノズル
66 燃焼噴霧ノズル
67 固体壁(第3の固体壁)
70 コントローラ(第3の気体供給装置)
Claims (6)
- 液体を噴出する第1の液体ノズルと、
この第1の液体ノズルを覆うように設けられ、前記第1の液体ノズルから噴出した液体と気体とを混合して噴霧する噴霧ノズルと、
この噴霧ノズルに、前記第1の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量に応じて気体の供給及び停止を行う第1の気体供給装置と、
この第1の気体供給装置の供給停止時に、前記第1の液体ノズルから噴出した液体を衝突させる第1の固体壁とを備えたことを特徴とする液体微粒化装置。 - 請求項1記載の液体微粒化装置において、前記第1の気体供給装置は、前記第1の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量が所定のしきい値以下である場合には前記噴霧ノズルに気体を供給し、液体の圧力又は流量が所定のしきい値より大きい場合には前記噴霧ノズルへの気体の供給を停止することを特徴とする液体微粒化装置。
- 請求項1又は2記載の液体微粒化装置において、前記噴霧ノズルは、前記第1の固体壁に衝突しないように前記第1の液体ノズルから噴出した液体と気体とを混合して噴霧することを特徴とする液体微粒化装置。
- 液体を噴出する第2の液体ノズルと、
この第2の液体ノズルから噴出した液体と混合するように気体を噴出する気体ノズルと、
この気体ノズルに、前記第2の液体ノズルに供給される液体の圧力又は流量に応じて気体の供給及び停止を行う第2の気体供給装置と、
この第2の気体供給装置の供給停止時に、前記第2の液体ノズルから噴出した液体を衝突させる第2の固体壁とを備えたことを特徴とする液体微粒化装置。 - ガスタービンに供給する燃焼ガスを生成するために、圧縮機から導入される圧縮空気に液体燃料を微粒化して混合するガスタービン燃焼器の液体微粒化装置において、
液体燃料を噴出する液体燃料ノズルと、
この液体燃料ノズルを覆うように設けられ、前記液体燃料ノズルから噴出した液体燃料と気体とを混合して噴霧する燃料噴霧ノズルと、
この燃料噴霧ノズルにガスタービン負荷に応じて気体の供給及び停止を行う第3の気体供給装置と、
この第3の気体供給装置の供給停止時に、前記液体燃料ノズルから噴出した液体燃料を衝突させる第3の固体壁とを備えたことを特徴とするガスタービン燃焼器の液体微粒化装置。 - 液体ノズルから液体を噴出し、固体壁に衝突させることにより液体を微粒化する液体微粒化方法において、
前記液体ノズルへ供給される液体の圧力又は流量が小さく、前記固体壁への衝突によって良好な微粒化特性が得られない場合には、気体供給装置で気体ノズルへ気体を供給し、前記液体ノズルから噴出した液体と前記気体ノズルから噴出した気体とを混合させて液体を微粒化し、
前記液体ノズルへ供給される液体の圧力又は流量が大きく、前記固体壁への衝突によって良好な微粒化特性が得られる場合には、前記気体供給装置から前記気体ノズルへの気体の供給を停止することを特徴とする液体微粒化方法。
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JP2003174738A JP2005009409A (ja) | 2003-06-19 | 2003-06-19 | 液体微粒化装置及びガスタービン燃焼器の液体微粒化装置、液体微粒化方法 |
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JP2003174738A JP2005009409A (ja) | 2003-06-19 | 2003-06-19 | 液体微粒化装置及びガスタービン燃焼器の液体微粒化装置、液体微粒化方法 |
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JP2003174738A Pending JP2005009409A (ja) | 2003-06-19 | 2003-06-19 | 液体微粒化装置及びガスタービン燃焼器の液体微粒化装置、液体微粒化方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102563623A (zh) * | 2012-01-06 | 2012-07-11 | 中山市益盛精工制造有限公司 | 一种节能自控的燃油燃烧系统 |
JP2018192394A (ja) * | 2017-05-15 | 2018-12-06 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 噴霧方法及び噴霧装置 |
-
2003
- 2003-06-19 JP JP2003174738A patent/JP2005009409A/ja active Pending
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