JP6897649B2 - 自動車用のパネル部品 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用のパネル部品に関し、特に、張り剛性を向上するために補剛部材が接合された自動車用のパネル部品に関する。
自動車のドア、ルーフ、フード等の自動車用のパネル部品を補強及び/又は補剛する技術について、これまでに多くの技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、ドアフード等の厚さ1mm以下の自動車外装金属板の補強方法として、補強しようとする部分の金属板の内側にFRP(Fiber−Reinforced Plastics;繊維強化プラスチック)板を感光性接着剤により接着する技術が開示されている。
また、特許文献2には、ドア、フラップやルーフのような金属板の表面にCFRP(Carbon Fiber−Reinforced Plastics;炭素繊維強化プラスチック)板をエラストマーからなる接着仲介層により接着する技術が開示されている。
特開昭56−128273号公報 特表2012−515667号公報
特許文献1及び特許文献2に開示されている技術のように、FRPやCFRPをパネル部品へ適用する場合、金属製のパネル板にFRP板等の補剛部材を接着する方法が取られる場合が多いが、自動車の製造工程上、組立後に塗装・焼付処理を行う工程が必須である。
しかしながら、金属製のパネル板にFRP等の補剛部材を接着したパネル部品を焼付処理をすると、パネル板が局所的に変形する、いわゆる面ひけが発生する。そして、このような面ひけが発生すると、ドア等のパネル部品の外観を著しく悪化させてしまい、商品力が低下してしまうという課題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、焼付処理の加熱・冷却過程におけるパネル板と補剛部材の線膨張係数の違いに起因する面ひけ発生を防止した自動車用のパネル部品を提供することを目的とする。
発明者は、図4に示すようなドアパネル部品51のパネル板53に補剛部材(図示なし)を接着して焼付処理した際のパネル板53における面ひけ発生について検討した。
図5に、ドアパネル部品51を焼付処理した際の面ひけ発生の状況の一例を示す。
図5(a)は、パネル板53を補剛する補剛部材が設けられていない場合、図5(b)は、パネル板53の内面に補剛部材(図示なし)を接着した場合の結果であり、図5(a)及び(b)ともに、図4に示す評価範囲におけるパネル板53の外表面を示している。
図5に示すように、補剛部材をパネル板53の内面に接着して焼付処理をすると、パネル板53の表面に面ひけが発生していることが分かる。
そこで、発明者は、このような面ひけが発生する原因について鋭意検討した。その結果、補剛部材を接着したパネル板の焼付処理により発生する面ひけは、パネル板と補剛部材とが接着層により強固に接合されると接着層は厚みが薄いため、特許文献2のような熱応力の調整は困難であり、パネル板と補剛部材の線膨張係数が異なることに起因して生じることを見い出した。すなわち、補剛部材の線膨張係数がパネル板の線膨張係数に比べて大きい場合、焼付処理における加熱・冷却過程でのパネル板の変形(伸び)に比べて補剛部材の変形(伸び)が大きくなり、補剛部材の周辺に応力集中が発生する。そして、当該応力集中の発生により、パネル板が局部的に座屈変形して面ひけが引き起こされる。
そして、この検討結果に基づいて、発明者は、面ひけを防止する方法についてさらに検討したところ、焼付処理における補剛部材の変形をパネル板の変形に近づけるように該補剛部材の変形を調整することにより、パネル板における面ひけの発生を防止できることを着想するに至った。
本発明は、上記検討に基づいてなされたものであり、具体的には、以下の構成からなるものである。
(1)本発明に係る自動車用のパネル部品は、自動車車体の外表面を形成する金属製のパネル板と、該パネル板の内面に接着層を介して接合されて前記パネル板を補剛する補剛部材とを有し、焼付処理されるものにおいて、前記補剛部材における前記パネル板との接合面の反対側の面に接合され、焼付処理における前記補剛部材の変形を調整する調整部材を有し、前記パネル板の線膨張係数α1と、前記補剛部材の線膨張係数α2と、前記調整部材の線膨張係数α3とが、α2>α1、かつ、α3<α2の関係を満たすことを特徴とするものである。
(2)上記(1)に記載のものにおいて、前記パネル板の線膨張係数α1と前記調整部材の線膨張係数α3とが、α3≦α1の関係を満たすことを特徴とするものである。
(3)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記パネル板の線膨張係数α1が、1.0×10-5/℃以上2.6×10-5/℃以下の範囲内であり、前記補剛部材の線膨張係数α2が、2.5×10-5/℃以上50×10-5/℃以下の範囲内であり、前記調整部材の線膨張係数α3が、0/℃以上2.0×10-5/℃以下の範囲内であることを特徴とするものである。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記パネル板の素材は、冷延鋼板、GA鋼板、GI鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Niめっき鋼板、又はアルミ板のいずれかであり、前記補剛部材の素材は、アルミ、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂のいずれかであり、前記調整部材の素材は、冷延鋼板、GA鋼板、GI鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Niめっき鋼板、鉄箔、ステンレス箔、アルミ板、アルミ箔、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン、ポリアセタール、アクリル系樹脂、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、フッ素系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ、不飽和ポリエステル、シリコーン、ジアリルフタレート、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維クロス、ガラス繊維クロスのいずれかであることを特徴とするものである。
本発明においては、自動車車体の外表面を形成する金属製のパネル板と、該パネル板の内面に接合されて前記パネル板を補剛する補剛部材とを有し、焼付処理されるものにおいて、前記補剛部材における前記パネル板との接合面の反対側の面に接合され、焼付処理における前記補剛部材の変形を調整する調整部材を有し、前記パネル板の線膨張係数α1と、前記補剛部材の線膨張係数α2と、前記調整部材の線膨張係数α3とが、α2>α1、かつ、α3<α2の関係を満たすことにより、焼付処理による前記補剛部材の変形が調整されて前記パネル板と前記補剛部材との線膨張係数の違いによる応力集中の発生を抑制し、前記パネル板に面ひけ発生のない美麗な外観を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る自動車用のパネル部品を説明する図である((a)全体図、(b)拡大図)。 本発明の実施例において、本発明に係る自動車用のパネル部品を模擬した試験体の形状と、焼付処理によるそり量の結果を示す図である((a)全体図、(b)拡大図)。 本発明の実施例において、本発明の比較対象とした試験体の形状と、焼付処理後のそり量の結果を示す図である((a)全体図、(b)拡大図)。 自動車のパネル部品の焼付処理による面ひけ発生の検討対象としたドアパネル部品を示す図である。 ドアパネル部品の補剛部材の有無による焼付処理後の面ひけ発生の有無を比較して示した図である((a)補剛部材なし+焼付処理、(b)補剛部材+焼付処理)。
本発明の実施の形態に係る自動車用のパネル部品1(以下、単に「パネル部品1」という。)は、図1に示すように、自動車車体の外表面を形成する金属製のパネル板3と、パネル板3の内面に接着層を介して接合されてパネル板3を補剛する補剛部材5とを有し、焼付処理されるものにおいて、補剛部材5におけるパネル板3との接合面の反対側の面に接合された調整部材7を有するものである。
なお、図1に示すパネル部品1は、本発明の作用効果を示すために、パネル板3と補剛部材5と調整部材7の形状を短冊状に簡略化したものであるが、本発明は、実際の自動車車体の外表面に合わせてパネル板と補剛部材と調整部材の形状が適宜設定されるものであってもよい。
パネル板3は、自動車車体の外表面を形成する金属製のものである。そして、パネル板3の線膨張係数α1は、1.0×10-5/℃以上2.6×10-5/℃以下の範囲内であることが好ましい。
このような線膨張係数α1の範囲にある金属素材としては、鋼板(線膨張係数:1.2×10-5/℃)やアルミ板(線膨張係数:2.3×10-5/℃)が挙げられる。そして、鋼板としては、冷延鋼板、GA鋼板、GI鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Niめっき鋼板のいずれであってもよい。
補剛部材5は、張り剛性の向上を目的として、パネル板3の内面に接着層を介して接着されてパネル板3を補剛するものである。ここで、接着層9としては、例えば、エポキシ系接着剤を用いることができる。
そして、補剛部材5の線膨張係数α2は、パネル板3の線膨張係数α1と、以下の式(1)の関係を満たすものとする。
α2>α1 ・・・(1)
さらに、補剛部材5の線膨張係数α2は、2.5×10-5/℃以上50×10-5/℃以下の範囲内であることが好ましい。
このような線膨張係数α2を有する補剛部材5の素材としては、アルミ(線膨張係数:2.3×10-5/℃)、ポリスチレン系樹脂(線膨張係数:6〜20×10-5/℃)、フッ素系樹脂(線膨張係数:5〜15×10-5/℃)が例示できる。
アルミとしては、アルミ板、アルミ箔が例示できる。
ボリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体が例示できる。
フッソ系樹脂としては、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン、フッ化ビニリデンが例示できる。
調整部材7は、補剛部材5におけるパネル板3との接合面の反対側の接合面に接着層11を用いて接合され、焼付処理における補剛部材5の変形を調整するものである。ここで、前述の接着層9と同様に接着層11としては、例えば、エポキシ系接着剤等を用いることができる。
そして、調整部材7の線膨張係数α3は、少なくとも、補剛部材5の線膨張係数α2と以下の式(2)の関係を満たすものとする。
α3<α2 ・・・(2)
さらに、より好ましくは、調整部材7の線膨張係数α3は、パネル板3の線膨張係数α1と以下の式(3)の関係を満たすものである。
α3≦α1 ・・・(3)
そして、式(1)に示すようにパネル板3の線膨張係数α1は補剛部材5の線膨張係数α2よりも小さいため、式(3)に示す関係のようにパネル板3より線膨張係数が小さい調整部材7では、補剛部材5よりも線膨張係数が小さく、式(2)の関係も満たしている。
調整部材7の線膨張係数α3の範囲としては、0/℃以上2.0×10-5/℃以下であることが好ましい。
また、調整部材7の素材としては、鋼(スチール)(線膨張係数:1.2×10-5/℃)、アルミ(Al)(線膨張係数:2.3×10-5/℃)、ビニル系樹脂(線膨張係数:5〜25×10-5/℃)、ポリスチレン系樹脂(線膨張係数:6〜50×10-5/℃)、ポリプロピレン(線膨張係数:9×10-5/℃)、ポリアセタール(線膨張係数:8×10-5/℃)、アクリル系樹脂(線膨張係数:9×10-5/℃)、酢酸セルロース(線膨張係数:15×10-5/℃)、ポリカーボネート(線膨張係数:7×10-5/℃)、ポリエチレンテレフタレート(線膨張係数:2〜3×10-5/℃)、ポリアミド(線膨張係数:8×10-5/℃)、ポリウレタン(線膨張係数:25×10-5/℃)、フッ素系樹脂(線膨張係数:5〜15×10-5/℃)、フェノール樹脂(線膨張係数:3〜6×10-5/℃)、ユリア樹脂(線膨張係数:3×10-5/℃)、メラミン樹脂(線膨張係数:4×10-5/℃)、エポキシ(線膨張係数:5×10-5/℃)、不飽和ポリエステル(線膨張係数:10×10-5/℃)、シリコーン(線膨張係数:30×10-5/℃〜35×10-5/℃)、ジアリルフタレート(線膨張係数:10×10-5/℃)のうち、線膨張係数α3が上記の式(2)の関係を満たすように選択すればよく、より好ましくは、上記の式(3)の関係を満たすように選択すればよい。
さらに、調整部材7の素材としては、上記に挙げた樹脂系の素材を基材とした炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチック、あるいは、炭素繊維やガラス繊維を織物にした炭素繊維クロス(線膨張係数:0/℃)やガラス繊維クロス(線膨張係数:0.5×10-5/℃)を好ましく用いることができる。
上記の調整部材7の具体的な素材は、以下のとおりである。なお、アルミ、ポリスチレン系樹脂及びフッ素系樹脂の具体的な素材は、前述の補剛部材5と同様であるため、その記載は省略する。
鋼としては、冷延鋼板、GA鋼板、GI鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Niめっき鋼板、鉄箔、ステンレス箔が例示できる。
ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールが例示できる。
アクリル系樹脂としては、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタアクリレート、メタクリル・スチレン共重合体が例示できる。
なお、調整部材7は、補剛部材5の全面を覆うように接合することが好ましく、補剛部材5と同一又はそれ以上の面積となる形状とする。
また、調整部材7の厚さについては、パネル板3と補剛部材5の線膨張係数や変形量の差に応じて適宜変更してもよい。例えば、パネル板3と補剛部材5の線膨張係数の差が小さい場合には、調整部材7の厚みは小さく、パネル板3と補剛部材5の線膨張係数の差が大きい場合には、調整部材7の厚みを大きくしてもよい。
さらに、補剛部材と調整部材は、両者の線膨張係数の値が異なるものであれば、素材が同じものであってもよい。
以上、本実施の形態に係る自動車用のパネル部品においては、金属製のパネル板と補剛部材との線膨張係数の違いにより焼付処理での補剛部材の変形(伸び)がパネル板の変形(伸び)に比べて大きくなって補剛部材の周辺に応力集中が発生しないよう、補剛部材に調整部材を接合している。なお、調整部材は、パネル板と補剛部材との接着層に比べて十分な厚みを有する。そのため、焼付処理における変形(伸び)しにくい調整部材の変形により補剛部材の変形を抑制して該補剛部材の変形を調整することで、補剛部材とパネル板との接合面近傍における応力集中の発生を抑制する。これにより、パネル板の局部的な座屈変形が抑制され、パネル板における面ひけ発生を防止することができる。このように、本実施の形態に係る自動車用のパネル部品によれば、焼付処理をした際においても該パネル部品を美麗な外観とすることができる。
さらに、本発明によれば、樹脂製の補剛部材を用いることが可能であるため、軽量化かつ高い張り剛性の自動車用のパネル部品を得ることが可能である。
なお、上記の説明において、補剛部材5と調整部材7とは、接着層11により接合されたものであったが、本発明は、補剛部材と調整部材の双方を樹脂製とし、二色成形により補剛部材と調整部材とを一体成形することにより、補剛部材と調整部材とが接合されたものであってもよい。この場合、補剛部材と調整部材とを一体成形したものをパネル板に接着層を介して接着するとよい。
本発明に係る自動車用のパネル部品において焼付処理をしたときの面ひけ防止の作用効果を検証する実験を行ったので、以下、これについて説明する。
実験では、図2に示すように自動車用のパネル部品を簡略化した短冊状の試験体21を作製し、試験体21を焼付処理を模擬した加熱及び冷却したときの面ひけを評価した。
試験体21は、150mm×25mmの短冊状の金属板23と、100mm×25mmの短冊状の補剛部材25と、補剛部材25と同一形状の調整部材27とを有してなる3層構造のものである。そして、金属板23と補剛部材25とが接着層29で接着され、さらに、補剛部材25と調整部材27とが接着層31で接着されている。接着層29及び接着層31には、エポキシ系接着剤を用い、厚みは0.2mmとした。
次いで、試験体21の焼付処理として、170℃のオーブン内に設置して15分間加熱し、その後室温まで冷却した。そして、焼付処理による試験体21の面ひけの評価として、冷却後の試験体21の長手方向(図2(a)中のX方向)の一方の端部を固定し、他方の端部における鉛直方向上方(図2(a)中のZ方向)のそり量を測定するとともに、試験体21におけるZ方向変位を求めた。そり量が小さいことは、短冊状の金属板と補強部材との間の焼付処理における発生応力が低く、金属板に局部的な座屈が発生しにくいことを示す。
さらに、比較対象として、図3に示すような、金属板43と補剛部材45とを接着層47を用いて接着した試験体41についても同様に実験を行い、比較検討した。金属板43及び補剛部材45の形状及び接着層47の種類及び厚みは、試験体21と同一とした。
図2(a)に、金属板23を板厚0.5mmの鋼板(線膨張係数α1:1.2×10-5/℃)とし、補剛部材25に厚さ5mmのポリエチレン(線膨張係数α2:20×10-5/℃)を、調整部材27に厚さ2.0mmのCFRP(基材:ポリアミド、線膨張係数α3:0.2×10-5/℃)を用いて作製した本発明に係る試験体21を焼付処理したときのZ方向変位の分布とそり量の結果を示す。
また、図3(a)に、比較対象として、金属板43を板厚0.5mmの鋼板(線膨張係数α1:1.2×10-5/℃)とし、補剛部材45に厚さ5mmのポリエチレン(線膨張係数α2:20×10-5/℃)を用いて作製した試験体41を焼付処理したときのZ方向変位の分布とそり量の結果を示す。
図2(a)及び図3(a)に示す結果より、本発明に係る試験体21は、比較対象とした試験体41に比べるとZ方向の変位が全体的に小さくなっている。さらに、長手方向の端部におけるそり量についても、比較対象とした試験体41においては8.7mmであるのに対し、本発明に係る試験体21においては0.01mmまで大幅に低減していることが分かる。
この結果から、本発明に係る試験体においては、焼付処理による補剛部材25の変形が調整されることで応力発生を低減し、金属板の局部的な座屈変形が抑制され、面ひけの発生を防止できることが示唆される。
さらに、金属板、補剛部材及び調整部材の素材、厚さ及び線膨張係数の組み合せを変更した試験体を作製し、該試験体の焼付処理後の長手方向端部におけるそり量を測定した。
表1に、本実施例において試験体21及び試験体41に用いた金属板、補剛部材および調整部材それぞれの素材、厚さ及び線膨張係数と、焼付処理後のそり量の結果を示す。なお、焼付処理における加熱及び冷却の各条件は、前述と同様とした。
Figure 0006897649
表1において、実施例1〜実施例27は、本発明の範囲内となるように、金属板23、補剛部材25及び調整部材27の素材と線膨張係数が設定された試験体21である。これに対し、比較例1及び比較例2は、補剛部材25に調整部材27が接合されていない試験体41であり、本発明の範囲外である。
比較例1は、厚さ0.5mmの鋼板(スチール)を金属板43とし、補剛部材45に厚さ5mmのポリエチレンを接着した試験体41であり、スチールの線膨張係数が1.2×10-5/℃、ポリエチレンの線膨張係数が20×10-5/℃と大きな乖離があるため、焼付処理後のそり量は8.7mmであった。
比較例2は、厚さ1.0mmのアルミ板(Al)を金属板43とし、補剛部材45に厚さ5mmのポリエチレンを接着した試験体41であり、比較例1に比べると、金属体の線膨張係数α1が補剛部材の線膨張係数α2に近づいたために、焼付処理後のそり量は8.7mmから6.1mmに低下したものの、アルミとポリエチレンの線膨張係数に依然として大きな乖離があるため、そりを防止する十分な効果は得られなかった。
実施例1は、比較例1と同様に、厚さ0.5mmの鋼板(スチール)を金属板23とし、補剛部材25に厚さ5mmのポリエチレンを接着し、さらに厚さ2mmのCFRP(基材:ポリアミド、線膨張係数α3:0.2×10-5/℃)を調整部材27として補剛部材25の上面に接着した試験体21であり、線膨張係数α1、α2及びα3に関する前述の式(1)(α2>α1)及び式(3)(α3≦α1)の関係を満たすものである。
このときの焼付処理後のそり量は0.0mmとなり、そりを防止する効果が得られた。
また、実施例2は、実施例1に比べて調整部材27の線膨張係数α3が大きいGFRP(基材:ポリアミド、線膨張係数α3:0.7×10-5/℃)を用いたものであり、線膨張係数α1、α2及びα3に関する前述の式(1)(α2>α1)及び式(3)(α3≦α1)の関係を満たすものである。
このときの焼付処理後のそり量は0.1mmとなり、そりをほぼ防止する効果が得られた。
実施例3は、実施例2に比べて補剛部材25の線膨張係数α2が小さい四フッ化エチレン(線膨張係数α2:10×10-5/℃)を用いたものであり、線膨張係数α1、α2及びα3に関する前述の式(1)(α2>α1)及び式(3)(α3≦α1)の関係を満たすものである。
このときのそり量は0.0mmとなり、そりを防止する効果が得られた。
実施例4は、実施例2に比べて補剛部材25の線膨張係数α2がさらに小さいアルミ(線膨張係数α2:2.6×10-5/℃)を用いるとともに調整部材27のGFRPの厚さを1mmに薄くしたものであり、線膨張係数α1、α2及びα3に関する前述の式(1)(α2>α1)及び式(3)(α3≦α1)の関係を満たすものである。
このときの焼付処理後のそり量は0.0mmとなり、そりを防止する効果が得られた。
実施例5は、金属板23にアルミ(線膨張係数α1:2.3×10-5/℃)、補剛部材25にポリエチレン(線膨張係数α2:20×10-5/℃)、調整部材27にCFRP(線膨張係数α3:0.2×10-5/℃)を用いたものであり、線膨張係数α1、α2及びα3に関する前述の式(1)(α2>α1)及び式(3)(α3≦α1)の関係を満たすものである。
このときの焼付処理後のそり量は0.3mmとなり、比較例1と比べて大幅にそりを抑制する効果が得られた。
実施例6及び実施例7は、調整部材27の素材としてCFRPやGFRPよりも線膨張係数が小さいガラス繊維クロス(線膨張係数α3:0.5×10-5/℃)又は炭素繊維クロス(線膨張係数α3:0/℃)を用いたものであり、線膨張係数α1、α2及びα3に関する前述の式(1)(α2>α1)及び式(3)(α3≦α1)の関係を満たすものである。
このときの焼付処理後のそり量は0.0mmとなり、そりを防止する効果が得られた。
実施例8は、金属板23にアルミ(線膨張係数α1:2.3×10-5/℃)、補剛部材25に四フッ化エチレン(線膨張係数α2:10×10-5/℃)、調整部材27にメラミン樹脂(線膨張係数α3:4×10-5/℃)を用いたものであり、線膨張係数α1、α2及びα3に関する前述の式(1)(α2>α1)及び式(2)(α3<α2)の関係を満たすものである。
調整部材27の線膨張係数α3が金属板23の線膨張係数α1よりも大きいものの補剛部材25の線膨張係数α2よりも小さいものであるため、焼付処理後のそり量は0.4mmとなり、比較例1と比べて大幅にそりを抑制する効果が得られた。
同様に、実施例27は、金属板23にスチール(線膨張係数α1:1.2×10-5/℃)、補剛部材25にポリエチレン(線膨張係数α2:20×10-5/℃)、調整部材27にアルミ(線膨張係数α3:2.3×10-5/℃)を用いたものであり、線膨張係数α1、α2及びα3に関する前述の式(1)(α2>α1)及び式(2)(α3<α2)の関係を満たすものである。
調整部材27の線膨張係数α3が金属板23の線膨張係数α1よりも大きいものの補剛部材25の線膨張係数α2よりも小さいものであるため、焼付処理後のそり量は4.9mmとなり、比較例1と比べてそりを抑制する効果が得られた。
実施例9〜実施例26は、厚さ0.5mmのスチール(線膨張係数α1:1.2×10-5/℃)を金属板23とし、補剛部材25として厚さ5mmのポリエチレン(線膨張係数α2:20×10-5/℃〜35×10-5/℃)、シリコーン(線膨張係数α2:30×10-5/℃〜35×10-5/℃)、ポリウレタン(線膨張係数α2:25×10-5/℃)を接着し、調整部材27として線膨張係数α3が本発明の範囲内にある素材を用いたものであり、いずれも、線膨張係数α1、α2及びα3に関する前述の式(1)(α2>α1)及び式(2)(α3<α2)の関係を満たすものである。
いずれの場合においても、焼付処理後のそり量は比較例1に比べて小さくなっており、そり抑制効果が得られた。
以上より、本発明に係る自動車用のパネル部品においては、焼付処理した際のそりを低減する効果が得られることが実証された。
1 自動車用のパネル部品
3 パネル板
5 補剛部材
7 調整部材
9 接着層
11 接着層
21 試験体
23 金属板
25 補剛部材
27 調整部材
29 接着層
31 接着層
41 試験体
43 金属板
45 補剛部材
47 接着層
51 ドアパネル部品
53 パネル板

Claims (3)

  1. 自動車車体の外表面を形成する金属製のパネル板と、該パネル板の内面に接着層を介して接合されて前記パネル板を補剛する補剛部材とを有し、焼付処理される自動車用のパネル部品において、
    前記補剛部材における前記パネル板との接合面の反対側の面に接合され、焼付処理における前記補剛部材の変形を調整する調整部材を有し、
    前記パネル板の線膨張係数α 1 と、前記補剛部材の線膨張係数α 2 と、前記調整部材の線膨張係数α 3 とが、α 2 >α 1 、かつ、α 3 <α 2 の関係を満たし、
    前記パネル板の素材は、冷延鋼板、GA鋼板、GI鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Niめっき鋼板、又はアルミ板のいずれかであり、
    前記補剛部材の素材は、アルミ、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂のいずれかであり、
    前記調整部材の素材は、冷延鋼板、GA鋼板、GI鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Niめっき鋼板、鉄箔、ステンレス箔、アルミ板、アルミ箔、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタール、アクリル系樹脂、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、フッ素系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン、ジアリルフタレート、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック、のいずれかであることを特徴とする自動車用のパネル部品。
  2. 前記パネル板の線膨張係数α1と前記調整部材の線膨張係数α3とが、α3≦α1の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の自動車用のパネル部品。
  3. 前記パネル板の線膨張係数α1が、1.0×10-5/℃以上2.6×10-5/℃以下の範囲内であり、
    前記補剛部材の線膨張係数α2が、2.5×10-5/℃以上50×10-5/℃以下の範囲内であり、
    前記調整部材の線膨張係数α3が、0/℃以上2.0×10-5/℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車用のパネル部品。
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