JP2010143155A - 積層複合材料及び積層複合材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】R部を形成するように一方向繊維層を複数枚積層した積層複合材料であって、前記R部の強度を上げることができる積層複合材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】繊維を方向性を持たせたままプラスチックの中に入れて強化することで形成される一方向繊維強化層16を、前記繊維の方向が厚さ方向に対称となり、且つR部を形成するように複数積層した繊維強化層積層部を有する積層複合材料において、前記R部の始端から終端の範囲に、前記繊維強化層積層部のみによって形成されるR部よりもR部20の厚さが大となるように補強材18を配置した。
【選択図】図3

Description

本発明は、積層複合材料及び積層複合材料の製造方法に関するものであり、特に繊維を方向性を持たせたままプラスチックの中に入れて強化することで形成される一方向繊維強化層を、前記繊維の方向が厚さ方向に対称となり、且つR部を形成するように複数枚積層した積層複合材料及びその製造方法に関するものである。
従来より軽量な材料としてプラスチックが用いられている。しかし、プラスチックは軽量ではあるが、弾性率が低く構造用材料としては適していないため、構造用材料として使用する場合には、例えば炭素繊維のような弾性率の高い繊維を方向性を持たせたままプラスチックの中に入れて強化し、軽量で強度の高い強化繊維プラスチックとして用いている。前記弾性率の高い繊維としては、前記炭素繊維の他にガラス繊維なども用いられる。
ただし前記強化繊維プラスチックは、繊維の方向の引張には強いが、繊維と直角方向の引張には弱いため、板状の前記強化繊維プラスチックの層(一方向繊維強化層)を繊維方向が異なるように複数枚積層してから硬化させた積層複合材料が用いられている。このとき、前記強化繊維プラスチックは、前記繊維の方向が厚さ方向に対称となるように積層する。
このような、強化繊維プラスチックの層(一方向繊維強化層)を用いた積層複合材料は、金属材料(合金)よりも丈夫で軽量なことが多く、重量と燃費が関係する乗り物での利用が多い。特に軽量化が非常に重視される航空機で多用されている。
また、使用用途によってはR部を形成するように、前記強化繊維プラスチックの層(一方向繊維強化層)を積層して硬化させた積層複合材料が用いられることがある。このような、R部を有する積層複合材料においては、その形状から、R部はその他の部分と比較して強度の面で劣るため、R部の強度を上げる必要がある。
強化繊維プラスチックの層(一方向繊維強化層)を積層して硬化させた積層複合材料におけるR部の強度対策の技術として、例えば特許文献1には、L形またはC形断面を有するように賦形した積層複合材料を加熱すると共に密封可能なフィルムを介して加圧することによって硬化処理する際に、該硬化処理用のオス型治具上に配置された賦形後の積層複合材料に被せて該積層複合材料の板厚を硬化後も均一に維持する治具であって、少なくとも前記複合材料の熱硬化温度より低い温度では可撓性を有する材料からなり、前記積層複合材料の硬化後の外側寸法に合わせた内側寸法を有し、記オス型治具上に配置された前記積層複合材料に被せたときに弾性変形し、その弾性力で該積層複合材料の板厚を硬化後も均一に維持する技術が開示されている。
特開2007−015351号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、積層した複合材の着膨れを効果的に軽減し、R部の摘まれ、リンクル、ブリッジ、空洞、ポロシティ、絞り過ぎなどの成形不具合を抑制することでR部の板厚を均一にし、成型不具合による強度低下を防止する技術であって、R部の強度を上げる技術ではない。
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、R部を形成するように一方向繊維層を複数枚積層した積層複合材料であって、前記R部の強度を上げることができる積層複合材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明においては、
繊維を方向性を持たせたままプラスチックの中に入れて強化することで形成される一方向繊維強化層を、前記繊維の方向が厚さ方向に対称となり、且つR部を形成するように複数積層した繊維強化層積層部を有する積層複合材料において、前記R部の始端から終端の範囲に、前記繊維強化層積層部のみによって形成されるR部よりもR部の厚さが大となるように補強材を配置したことを特徴とする。
前記補強材としては、一方向繊維強化層を1層又は複数層積層して形成した部材などを挙げることができる。この場合、補強材における繊維方向は問わない。
積層複合材料のR部に曲げがかかる場合の強度指標として、層間応力σがある。この層間応力σのR部板厚方向最大値を算出する簡易式(1)が下記の非特許文献に示されている。
σr,max=3×M/(2×t×w×(Ri×(Ri+t)^0.5) ・・・(1)
(但し、MはR部に働く曲げモーメント、tはR部の板厚、wはR部の板幅、RiはR部における内Rの径である。)
Composites,Vol.20,No.6,November 1989,pp.527−536,「Flexure of Simply Curved Composites Shapes」
(1)式において、σは材料強度のため一定、wが設定要求上一定である場合、R部のt及びRiを大きくすることで耐えうるMを大きくすることができる。
従って、前記R部の始端から終端の範囲に、前記繊維強化層積層部のみによって形成されるR部よりもR部の厚さが大となるように補強材を配置することで、R部のt及びRiを局所的に大きくすることができ、R部で耐えうるMを大きくすることができる。
また、前記補強材は、前記繊維強化層積層部に対して90°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成した部材であり、前記繊維強化層積層部の厚さ方向中心線よりも外側に配置されることを特徴とする。
一方向繊維強化層を繊維の方向が厚さ方向に対称にR部を有するように積層してから硬化させる際に、R部の角度変化が生じその角度が小さくなるスプリング・インの発生が問題となることがある。
また、一方向繊維強化層を繊維の方向が厚さ方向に非対称に積層した積層複合材料を形成した場合、成型後に積層複合材料全体が反るように変形することが知られている。これは各一方向繊維強化層の面内の線膨張率が異なるためである。
そこで、前記繊維強化層積層部の厚さ方向中心線よりも外側に、前記R部の始端から終端の範囲に位置するように、前記繊維強化層積層部よりもR部の厚さ方向の線膨張率が高い部材である繊維強化層積層部に対して90°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成した部材を配置すると、該部材が配置される位置においては繊維強化層積層部と線膨張率が異なる材料が配されるため、前述の繊維の方向が厚さ方向に非対称に積層した積層複合材料が変形することと同様の理由により反るように変形する。該反るような変形とスプリング・インによる変形は互いにR部に対して反対側向きの変形であるため、両変形が相殺され、結果としてスプリング・インによる変形を抑制することができる。
ここで、前記補強材をR部の始端から終端の範囲よりも狭い範囲に配置するとスプリング・インの変形を抑制する効果が充分ではなく、樹脂層をR部の始端から終端よりも広い範囲に配置するとR部以外の積層複合材料が反るように変形してしまうため、補強材を配置する範囲はR部の始端から終端の範囲が有効である。
なお、スプリング・インが発生しない前記R部以外の範囲においては、繊維の方向が厚さ方向に対称となっているため変形は発生しにくい。
また、前記繊維強化層積層部に対して90°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成した部材はR部と直交する方向に強化繊維が入っているため、R部と直交する方向へのスプリング・インを助長するが、R部と直交する方向へのRが大きければ実用上特に問題はない。
また、前記補強材は、前記繊維強化層積層部に対して0°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成した部材であり、前記繊維強化層積層部の厚さ方向中心線よりも内側に配置されることを特徴とする。
前記繊維強化層積層部の厚さ方向中心線よりも内側に、前記R部の始端から終端の範囲に位置するように、前記繊維強化層積層部よりもR部の厚さ方向の線膨張率が低い部材である繊維強化層積層部に対して0°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成した部材を配置することで、該部材が配置される位置においては繊維強化層積層部と線膨張率が異なる材料が配され、前述の繊維の方向が厚さ方向に非対称に積層した積層複合材料が変形することと同様の理由により反るように変形する。該反るような変形とスプリング・インによる変形は互いにR部に対して反対側向きの変形であるため、両変形が相殺され、結果としてスプリング・インによる変形を抑制することができる。
また、前記補強材を、前記繊維強化層積層部を形成する一方向繊維強化層間に挟みこんだことを特徴とする。
前記補強材を前記一方向繊維強化層間に樹脂層を挟みこむことで、形成される積層複合材料の見栄えがいいことに加えて、積層複合材料の表面に補強材が位置しないため補強材が剥がれ落ちるというトラブルが発生しない。
前記繊維強化層積層部のみによるR部外形形状と異なる外形形状のR部を、前記補強材によって形成させることを特徴とする。
これにより、繊維強化層積層部の形状によらず積層複合材料のR部形状を形成することができるため、R部外形形状の形成が簡単になる。
また、課題を解決するための積層複合材料の製造方法として、繊維を方向性を持たせたままプラスチックの中に入れて強化することで形成される一方向繊維強化層を、前記繊維の方向が厚さ方向に対称となるように複数枚積層して繊維強化層積層部を形成し、高温高圧処理することによって硬化させる積層複合材料の製造方法において、R部を形成するための治具に、前記複数枚の一方向繊維強化層と、補強材による層とを、該補強材によって形成される層が前記R部の始端から終端の範囲に位置するように積層し、高温高圧処理することによって硬化させることを特徴とする。
前記R部の始端から終端の範囲に、前記繊維強化層積層部のみによって形成されるR部よりもR部の厚さが大となるように補強材を配置することで、R部の耐荷重を大きくすることができる。
さらに、前記治具を使用することにより、目的通りのR部形状に成形することができる。前記治具はオス型治具又はメス型治具を使用することができる。
また、前記補強材を、前記繊維強化層積層部に対して90°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成し、前記繊維強化層積層部の厚さ方向中心線よりも外側に積層することを特徴とする。
前記繊維強化層積層部の厚さ方向中心線よりも外側且つ前記R部の始端から終端の範囲に位置するように、前記繊維強化積層部よりもR部の厚さ方向の線膨張率が高い部材である繊維強化層積層部に対して90°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成した部材を積層すると、該部材(補強材)が配置される位置においては繊維強化層積層部と線膨張率が異なる材料が配され、前述の繊維の方向が厚さ方向に非対称に積層した積層複合材料が変形することと同様の理由により反るように変形する。該反るような変形とスプリング・インによる変形は互いにR部に対して反対側向きの変形であるため、両変形が相殺され、結果としてスプリング・インによる変形を抑制することができる。
ここで、前記補強材をR部の始端から終端の範囲よりも狭い範囲に配置するとスプリング・インの変形を抑制する効果が充分ではなく、補強材をR部の始端から終端よりも広い範囲に配置するとR部以外の積層複合材料が反るように変形してしまうため、補強材を配置する範囲はR部の始端から終端の範囲有効である。
なお、スプリング・インが発生しない前記R部以外の範囲においては、繊維の方向が厚さ方向に対称となっているため変形は発生しにくい。
また、前記補強材を、前記繊維強化層積層部に対して0°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成し、前記繊維強化層積層部の厚さ方向中心線よりも内側に積層することによっても同様の効果が得られる。
また、前記補強材を、前記繊維強化層積層部形成する一方向繊維強化層間に挟みこんだことを特徴とする。
前記補強材を前記一方向繊維強化層間に挟みこむことで、形成される積層複合材料の見栄えがいいことに加えて、積層複合材料の表面に補強材が位置しないため補強材が剥がれ落ちるというトラブルが発生しない。
また、前記繊維強化層積層部のみによるR部外形形状と異なる外形形状のR部を、前記補強材によって形成するように、前記複数枚の一方向繊維強化層と前記補強材とを積層することを特徴とする。
これにより、繊維強化層積層部の形状によらず積層複合材料のR部形状を形成することができるため、R部外形形状の形成が簡単になる。
以上記載のごとく本発明によれば、R部を形成するように一方向繊維層を複数枚積層し、前記R部の強度を上げることができる積層複合材料及びその製造方法を提供することができ、さらにR部におけるスプリング・インを抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は実施例1に係る積層複合材料の側面図である。
積層複合材料2は、繊維を方向性を持たせたままプラスチックの中に入れて強化することで形成される一方向繊維強化層を該繊維の方向が厚さ方向と対称となるように複数枚積層して形成した繊維強化層積層部4と、前記繊維強化層積層部に対して90°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成した部材からなるフィラー層6とから構成される。
前記繊維強化層積層部4はR部8を有しており、前記フィラー層6は前記R部8の始端部から終端部の範囲に位置するようにR部8の外側表面に配置される。
このような積層複合材料2を形成する際は、まず前記一方向繊維強化層を前記繊維の方向が厚さ方向と対称になり、さらにR部8を形成するように複数枚積層して繊維強化層積層部4を形成する。さらに前記R部8の始端部から終端部の範囲に位置するようにR部8の外側表面に樹脂層8を積層する。
その後、高温高圧状態とし、さらに常温常圧状態とすることで前記繊維強化層積層部4と樹脂層6を一体化するとともに硬化させて積層複合材料2とする。
このとき、R部8における耐荷重を大きくすることができるとともに、R部8にはスプリング・インを低減させることができる。
図2は実施例2に係る積層複合材料の製造中の様子を示す概略図であり、図3は実施例2における図2におけるA部拡大図である。
まず、図2及び図3を用いて実施例2に係る積層複合材料の製造方法について説明する。
メス部12を有する治具10のメス部12上に、繊維を方向性を持たせたままプラスチックの中に入れて強化することで形成される一方向繊維強化層16を該繊維の方向が厚さ方向と対称となるように複数枚積層して繊維強化層積層部14を形成する。このとき、図3に示したようにR部20が形成される。
前記一方向繊維強化層16としては、前記繊維にガラス繊維を使用したGFRP、前記繊維に炭素繊維を使用したCFRPなどを使用することができる。
このとき、前記繊維強化層積層部14の厚さ方向中心線よりもR部20の外側(図3におけるB方向)に位置する一方向繊維強化層16の間に繊維強化層積層部14に対して90°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層した部材(以下90°層と称する)によってフィラー層18を形成する。なおこの時、該フィラー層18は前記R部20の始端部から終端部の範囲に位置するように形成する。
フィラー層18は、繊維強化層積層部14を形成してから挿入してもいいが、一方向繊維強化層16を積層して繊維強化層積層部14を形成する際に、一方向繊維強化層16の間に挟みこむようにして積層して繊維強化層積層部14を形成するとフィラー層18の配置を簡単に行うことができる。
また、前記フィラー層18は、繊維強化層積層部14の厚さ方向中心線よりもR部20の外側(図3におけるB方向)に位置する一方向繊維強化層間であればどの一方向繊維強化層間に形成してもよいが、特に前記複数枚の一方向繊維強化層16のうち最下層から1番目と2番目、即ちR部を形成する一方向繊維強化層16のうちのうちR部最外側と外側から2番目の一方向繊維強化層16の間に形成すると、少量の樹脂で後述するスプリング・インの抑制が可能であるとともに、R部20の成形が容易であるため好ましい。この場合、メス型治具12上に一方向繊維強化層を1枚敷き、その上にフィラー層18を形成する90°層を配置し、さらのその上に一方向繊維強化層を積層していく。
フィラー層18の形成が終わると、前記繊維強化層積層部14全体に前記90°層の漏洩を防止するためにFEP(Fluorinated ethylene propylene copolymer)を積層し、さらに脱気用のエアウェブを積層してから、真空引きを行い脱気する。
前記脱気が終了すると、繊維強化層積層部14全体を治具10とともにオートクレーブを用いて高温高圧状態にし、常温常圧状態に戻すことで前記繊維強化層積層部14を硬化させて積層複合材料とする。
このとき、R部20における耐荷重を大きくすることができるとともに、R部20にはスプリング・インを低減させることができる。
また、フィラー層18は、R部と直交する方向に強化繊維が入っているため、フィラー層18がR部20と直交する方向へのスプリング・インを助長していたと考えられるが、R部20のR径が約5000mmであり、R部20と直交する方向へのR径が約15mmである場合にはR分20と直交する方向へのスプリング・インは実用上問題ない程度であった。
さらに治具10を使用することにより、繊維強化層積層部14の形状によらず積層複合材料のR部20形状を形成することができるため、R部外形形状を目的形状に形成することができる。
さらに、フィラー層18を一方向繊維強化層16の間に挟みこんだことにより、形成される積層複合材料の見栄えがいいことに加えて、積層複合材料の表面にフィラー層が位置しないためフィラー層が剥がれ落ちることを防止できる。
図4は実施例3における図2におけるA部拡大図である。図2における実施例2と異なる箇所は、繊維強化層積層部14に対して90°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層したフィラー層18をR部20の外表面に設けたことである。
形成される複合材料の見栄え以外は図2に示した実施例2と同等の効果が得られる。
図2に示した実施例2において、フィラー層18をエポキシ樹脂からなる樹脂層に変更した。
その他の構成、及び製造方法は実施例2と同じとした。
このとき、実施例2と同様にR部20における耐荷重を大きくすることができるとともに、R部20で発生するスプリング・インを低減させることができる。また、樹脂層は、R部と直交する方向に強化繊維などが入っていないので、樹脂層がR部20と直交する方向へのスプリング・インを助長することは無い。さらに治具10を使用することにより、繊維強化層積層部14の形状によらず積層複合材料のR部20形状を形成することができるため、R部外形形状を目的形状に形成することができる。
さらに、樹脂層18を一方向繊維強化層16の間に挟みこんだことにより、形成される積層複合材料の見栄えがいいことに加えて、積層複合材料の表面に樹脂層が位置しないため樹脂層が剥がれ落ちることを防止できる。
以上の実施例2〜4においては、メス型の治具を用いて積層複合材料を製造するが、オス型の治具を用いて積層複合材料を製造することもできる。オス型の治具を用いる場合、R部の内側の形状を目的形状に形成することができる。
また、図3又は図4において、フィラー層18に代えて、繊維強化層積層部に対して0°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成した部材(以下0°層と称する)を、前記繊維強化層積層部14の厚さ方向中心線よりもR部20の内側で、R部の始端部から終端部の範囲に位置するように配置しても同等の効果が得られる。
さらに、90°層を繊維強化層積層部14の厚さ方向中心線よりもR部20の外側に配置するとともに、0°層を繊維強化層積層部14の厚さ方向中心線よりもR部20の内側に配置し、前記90°層及び0°層は何れもR部の始端部から終端部の範囲に位置するように配置しても同様の効果が得られる。
次に、実施例2と後述する比較例の具体的結果を元に、フィラー層18に繊維強化層積層部14に対して90°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層した部材と、従来の積層複合材料とのスプリング・イン量について検討を行う。
積層複合材のスプリング・イン量は以下の(2)式で表され、熱変形に起因するものと、体積収縮に起因するものとで主に構成される。今回は、熱変形に起因するものに対して、フィラー挿入のスプリング・インの抑制に対する効果を検討する。
Figure 2010143155
(但し、αは周方向の線膨張係数、αは板厚方向の線膨張係数、βは周方向の体積収縮、βは板厚方向の体積収縮である。)
(比較例)
前記フィラー層18を形成しないこと以外は全て実施例2と同じ手法で比較例における積層複合材料を形成した。これは従来から用いられている積層複合材料である。
図5は実施例2において形成した積層複合材料のR部近傍をモデル化して表した図であり、図6は比較例において形成した積層複合材料のR部近傍をモデル化して表した図である。
図6に示したように実施例2において形成した積層複合材料のR部においては、繊維強化層積層部16によって形成されるR部20の外側表面に樹脂層18が配置されるようにモデル化している。また、R径は、繊維強化層積層部16内側部はR=15mm、繊維強化層積層部16外側部はR=18.3mm、フィラー層18外側部はRcf=3mmであり、繊維強化層積層部16厚みはt=3.3mmであって、これらの数値は実施例2において形成した積層複合材料における実測値を使用した。
また、図6に示した比較例における積層複合材料においては、R径は、繊維強化層積層部116内側部はR=15mm、繊維強化層積層部16外側部はR=3mmであり、繊維強化層積層部16厚みはt=3.3mmであって、これらの数値は比較例において形成した積層複合材料における実測値である。また図5、図6から明らかであるように、図5に示した実施例2におけるフィラー層18を形成した積層複合材料と、図6に示した実施例2におけるフィラー層を形成しない積層複合材料とは、材料の違いを除けば外形は同じである。
実施例2及び比較例で形成した積層複合材料についてスプリング・イン量を実測するとともに、図5、図6でモデル化したモデルに基づいて熱収縮を考慮したシミュレーションによりスプリング・イン量を計算した。結果を表1にまとめる。
Figure 2010143155
表1から明らかであるように、シミュレーションにおいても実測においてもスプリング・イン量の抑制が見られ、その抑制量は、シミュレーションにおいては0.36−0.23=0.13°、実測においては0.48−0.27=0.21°であった。
R部を形成するように一方向繊維層を複数枚積層し、前記R部の構造強度を上げることができるとともに、R部におけるスプリング・インを抑制することができる積層複合材料及びその製造方法として利用することができる。
実施例1に係る積層複合材料の側面図である。 実施例2に係る積層複合材料の製造中の様子を示す概略図である。 図2におけるA部拡大図である。 実施例3における図2におけるA部拡大図である。 実施例2において形成した積層複合材料のR部近傍をモデル化して表した図である。 比較例において形成した積層複合材料のR部近傍をモデル化して表した図である。
符号の説明
2 積層複合材料
4、14 繊維強化層積層部
6、18 フィラー層
8、20 R部
10 治具
12 メス部

Claims (10)

  1. 繊維を方向性を持たせたままプラスチックの中に入れて強化することで形成される一方向繊維強化層を、前記繊維の方向が厚さ方向に対称となり、且つR部を形成するように複数積層した繊維強化層積層部を有する積層複合材料構造において、
    前記R部の始端から終端の範囲に、前記繊維強化層積層部のみによって形成されるR部よりもR部の厚さが大となるように補強材を配置したことを特徴とする積層複合材料構造。
  2. 前記補強材は、前記繊維強化層積層部に対して90°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成した部材であり、前記繊維強化層積層部の厚さ方向中心線よりも外側に配置されることを特徴とする請求項1記載の積層複合材料構造。
  3. 前記補強材は、前記繊維強化層積層部に対して0°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成した部材であり、前記繊維強化層積層部の厚さ方向中心線よりも内側に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の積層複合材料構造。
  4. 前記補強材を、前記繊維強化層積層部を形成する一方向繊維強化層間に挟みこんだことを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の積層複合材料構造。
  5. 前記繊維強化層積層部のみによるR部外形形状と異なる外形形状のR部を、前記補強材によって形成させることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載の積層複合材料構造。
  6. 繊維を方向性を持たせたままプラスチックの中に入れて強化することで形成される一方向繊維強化層を、前記繊維の方向が厚さ方向に対称となるように複数枚積層して繊維強化層積層部を形成し、高温または高温高圧処理することによって硬化させる積層複合材料の製造方法において、
    R部を形成するための治具に、前記複数枚の一方向繊維強化層と、補強材による層とを、該補強材によって形成される層が前記R部の始端から終端の範囲に位置するように積層し、
    高温高圧処理することによって硬化させることを特徴とする積層複合材料の製造方法。
  7. 前記補強材を、前記繊維強化層積層部に対して90°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成し、前記繊維強化層積層部の厚さ方向中心線よりも外側に積層することを特徴とする請求項6記載の積層複合材料の製造方法。
  8. 前記補強材を、前記繊維強化層積層部に対して0°方向の繊維の方向性を有する一方向強化層を1層又は複数層積層して形成し、前記繊維強化層積層部の厚さ方向中心線よりも内側に積層することを特徴とする請求項6又は7記載の積層複合材料の製造方法。
  9. 前記補強材を、前記繊維強化層積層部形成する一方向繊維強化層間に挟みこんだことを特徴とする請求項6〜8何れかに記載の積層複合材料の製造方法。
  10. 前記繊維強化層積層部のみによるR部外形形状と異なる外形形状のR部を、前記補強材によって形成するように、前記複数枚の一方向繊維強化層と前記補強材とを積層することを特徴とする請求項6〜9何れかに記載の積層複合材料の製造方法。
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