以下に、本願の開示する吸着ユニット及び空気清浄機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する吸着ユニット及び空気清浄機が限定されるものではない。
[空気清浄機の構成]
図1は、実施例の空気清浄機の外観を示す斜視図である。一実施例である空気清浄機1は、図1に示すように、本体筐体11と、前面パネル12と、フロントパネル13と、リアパネル14と、を備えている。本体筐体11は、合成樹脂材で形成され、略直方体状に形成されている。本体筐体11は、天面パネル11a、右側面パネル11b、左側面パネル11c及び底部11dを備えている。底部11dは、本体筐体11の下部を形成しており、空気清浄機1が設置される設置面に載置される。右側面パネル11bと左側面パネル11cは、対向するように配置されることにより本体筐体11の側面を形成し、それぞれの下端が底部11dに接合されている。天面パネル11aは、本体筐体11の上部を形成しており、右側面パネル11bの上端と左側面パネル11cの上端とに接合されている。前面パネル12は、本体筐体11の前面に配置されている。フロントパネル13は、前面パネル12の前方に配置されている。
フロントパネル13と前面パネル12との間には、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、左側面吸込口13c及び下側吸込口13dが形成されている。上面吸込口13aは、フロントパネル13の上側に配置されている。右側面吸込口13bは、フロントパネル13の右側面パネル11bの側に配置されている。左側面吸込口13cは、フロントパネル13の左側面パネル11cの側に配置されている。下側吸込口13dは、フロントパネル13の底部11dの側に配置されている。
空気清浄機1は、操作部15をさらに備えている。操作部15は、上面吸込口13aの一部を覆うように、空気清浄機1の上面に配置されている。操作部15は、ボタン及び表示部を有する。ボタンは、電源ボタンや運転モード切り換えボタン等を含み、空気清浄機1を操作するときに用いられる。表示部は、空気清浄機1の運転状態や図示しない塵埃センサ等の検出器の検出結果を表示する。
図2は、実施例の空気清浄機を示す平面図である。リアパネル14は、合成樹脂材で形成され、図2に示すように、前面パネル12が配置される前面の反対側の背面に配置されている。本体筐体11とリアパネル14との間には、上面吹出口14aと右側面吹出口14bと左側面吹出口14cとが形成されている。上面吹出口14aは、リアパネル14の天面パネル11aの側に配置されている。右側面吹出口14bは、リアパネル14の右側面パネル11bの側に配置されている。左側面吹出口14cは、リアパネル14の左側面パネル11cの側に配置されている。
空気清浄機1は、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、左側面吸込口13c及び下側吸込口13dのそれぞれから本体筐体11に吸い込んだ空気を、上面吹出口14a、右側面吹出口14b及び左側面吹出口14cのそれぞれから吹き出すまでに、空気の除塵処理、加湿処理及び脱臭処理を行う。
なお、図1以降において、空気清浄機1の前後方向(奥行方向)をX方向、空気清浄機1の幅方向をY方向、空気清浄機1の高さ方向をZ方向として示す。また、以下の説明では、本体筐体11の前面パネル12が配置される側を「前面側」とし、本体筐体11のリアパネル14が配置される側を「背面側」とする。
図3は、実施例の空気清浄機を示す図1におけるA−A断面図である。本体筐体11は、図3に示すように、内部に通風路10が形成されている。通風路10は、上面吸込口13aと右側面吸込口13bと左側面吸込口13cと下側吸込口13dとを、上面吹出口14aと右側面吹出口14bと左側面吹出口14cとに連通している。
空気清浄機1は、さらに、プレフィルタ21、集塵ユニット22、吸着ユニットとしての脱臭ユニット23、加湿ユニット24及び送風機25を備えている。プレフィルタ21、集塵ユニット22、脱臭ユニット23、加湿ユニット24及び送風機25は、本体筐体11の内部の通風路10に配置されている。
プレフィルタ21は、例えば、糸状のPET(ポリエチレンテレフタラート)材が編み込まれた網目構造体として形成されている。プレフィルタ21は、通風路10の前面側に配置されている。プレフィルタ21は、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、左側面吸込口13c及び下側吸込口13dから本体筐体11の内部の通風路10にそれぞれ吸い込まれる空気に含まれる塵埃を捕集する。
集塵ユニット22は、通風路10のうちのプレフィルタ21の背面側に配置されている。本体筐体11は、さらに、仕切板16を備えている。仕切板16は、フロントパネル13の背面側に配置されており、本体筐体11の一部を形成している。集塵ユニット22は、第1電気集塵機22a及び第2電気集塵機22bを有する。第1電気集塵機22a及び第2電気集塵機22bは、上下方向に並べられ、仕切板16に支持されている。第1電気集塵機22a及び第2電気集塵機22bは、それぞれ、図示しない筐体、放電電極及び集塵電極を有する。筐体の内部には、放電電極と集塵電極が支持されている。放電電極は、プレフィルタ21で捕集されなかった細かな塵埃や花粉等をコロナ放電により帯電させる。集塵電極は、放電電極により帯電された塵埃や花粉等を捕集する。集塵ユニット22は、第1電気集塵機22aと第2電気集塵機22bとが、放電電極及び集塵電極、筐体とで形成されていることにより、例えば不織布をプリーツ形状に形成してなる他の集塵フィルタに比べて、空気抵抗が小さい。
脱臭ユニット23は、通風路10のうちのプレフィルタ21の背面側に配置されている。加湿ユニット24は、通風路10のうちの脱臭ユニット23の背面側に配置されている。加湿ユニット24は、加湿フィルタ24a及び貯水タンク24bを有する。貯水タンク24bには、水が貯留される。加湿フィルタ24aは、円板形状に形成されており、貯水タンク24bに溜められた水に、加湿フィルタ24aの一部が浸るように配置されている。加湿フィルタ24aは、さらに、貯水タンク24bに溜められた水に浸る部分が移動するように、回転軸により回転可能に支持されており、図示しないモータにより回転される。加湿ユニット24は、貯水タンク24bに溜められた水により湿らされた加湿フィルタ24aに空気を通じることにより、通風路10を流れる空気を加湿する。
なお、加湿ユニット24は、上記の構成に限らず、例えば、貯水タンク24bに溜められた水を加湿フィルタ24aの外周側に形成した複数の凹部で汲み上げて加湿フィルタ24aを湿潤させる水車のように構成されてもよい。この場合は加湿フィルタ24aは貯水タンク24bに溜められた水に浸からないようにしてもよい。また、加湿フィルタ24aは回転しないようにしてもよい。この場合は、貯水タンク24bに溜められた水を毛細管現象により吸い上げる他の加湿フィルタに置換されてもよい。
送風機25は、通風路10のうちの加湿ユニット24の背面側に配置されている。送風機25は、ターボファン25a及びファンモータ25bを有する。ファンモータ25bは、回転数可変であり、ターボファン25aを回転させる。ターボファン25aは、合成樹脂材によって形成されており、ファンモータ25bの出力軸に接続されている。ターボファン25aは、回転することにより、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、左側面吸込口13c及び下側吸込口13dから、上面吹出口14a、右側面吹出口14b及び左側面吹出口14cに向かって空気を流す。すなわち、送風機25は、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、左側面吸込口13c及び下側吸込口13dから、空気清浄機1の内部へ空気を取り込み、通風路10に沿って空気を通過させる。送風機25は、さらに、上面吹出口14a、右側面吹出口14b及び左側面吹出口14cを介して、通風路10を通過した空気を空気清浄機1の外部に放出する。
送風機25は、ファンモータ25bの中心の高さDが、集塵ユニット22の第1電気集塵機22aと第2電気集塵機22bとの間の空間の高さと一致するように配置されている。ファンモータ25bの中心付近は、ターボファン25aの回転による空気の流れが少ないので、通風路10におけるファンモータ25bの中心付近の空間での空気の流れが少ない。集塵ユニット22は、第1電気集塵機22aと第2電気集塵機22bとの間を空気が通過しない。このため、集塵ユニット22は、空気の流れが多い空間に第1電気集塵機22a及び第2電気集塵機22bが配置されることにより、除塵を高効率に行うことができる。
図4は、実施例の空気清浄機を示す図1におけるB−B断面図である。プレフィルタ21は、図4に示すように、中央が前面側に向かって凸となるアーチ形状に形成されている。このため、プレフィルタ21は、プレフィルタ21を平坦状に形成する場合と比べて、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、左側面吸込口13c及び下側吸込口13dから、本体筐体11の内部にそれぞれ吸い込まれた空気がプレフィルタ21を通過する面積が大きい。これにより、プレフィルタ21は、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、左側面吸込口13c及び下側吸込口13dから、本体筐体11の内部に吸い込まれた空気から、より一層多くの塵埃を捕集することが可能とされている。
[脱臭ユニットの構成]
図5は、実施例の脱臭ユニットを示す斜視図である。実施例の吸着ユニットとしての脱臭ユニット23は、図5に示すように、脱臭フィルタ部23aと、フィルタ再生部23fと、保持部23gとを有する。脱臭フィルタ部23aは、円板状に形成されている。フィルタ再生部23fは、略三角柱形状に形成されており、脱臭フィルタ部23aの周方向における一部の両面を覆っている。保持部23gは、本体筐体11に固定されており、脱臭フィルタ部23a及びフィルタ再生部23fを支持している。
図6は、実施例の脱臭ユニット23を示す分解斜視図である。保持部23gは、図6に示すように、合成樹脂材によって略四角形状に形成されており、脱臭フィルタ部23aの形状に応じた円形状の開口部23gdが中央に形成されている。さらに、保持部23gは、開口部23gdの上方(保持部23gを通風路10に配置したときに上側となる箇所。以下、「上方」と記載)には、フィルタ再生部23fの形状に応じた凹形状の再生部収納部23geが形成されている。
さらに、脱臭ユニット23は、2個のローラ23m、回転検出用歯車23k、回転検出部23r、駆動部23h、駆動歯車23j及び4枚の押さえ部材23zを有する。2個のローラ23mの各々は、合成樹脂材によって形成されており、筒部23mb、上フランジ23mc及び下フランジ23mdを有する。筒部23mbは、孔23maを有する円筒形状に形成されている。上フランジ23mc及び下フランジ23mdは、各々筒部23mbよりも直径が大きい円板形状に形成されており、筒部23mbの両端から外周側へ張り出している。保持部23gには、2本の第1軸23gaが形成されている。2本の第1軸23gaは、保持部23gの下方(保持部23gを通風路10に配置したときに下側となる箇所。以下、「下方」と記載)の両隅に配置されている。2本の第1軸23gaは、それぞれ、2個のローラ23mの孔23maに挿入されることにより、2個のローラ23mを回転自在に支持している。
回転検出用歯車23kは、合成樹脂材によって形成されている。保持部23gには、さらに、第2軸23gbが形成されている。第2軸23gbは、再生部収納部23geの左側(脱臭フィルタ部23aを前面側から見たときの左側)に配置されている。第2軸23gbは、回転検出用歯車23kが挿入されることにより、回転検出用歯車23kを回動自在に支持している。回転検出部23rは、回転検出用歯車23kの回転を検出する。回転検出部23rとしては、例えば、フォトインタラプタが用いられている。フォトインタラプタは、発光部及び受光部を有しており、発光部と受光部が、検知対象を挟んで互いに対向して配置されている。フォトインタラプタは、発光部から発光された光を受光部で検出することにより、検知対象の有無や位置を検出することが可能になる。
駆動歯車23jは、合成樹脂材で形成されている。駆動部23hは、例えばステッピングモータを有しており、ステッピングモータの出力軸に駆動歯車23jが取り付けられている。保持部23gには、さらに、駆動部固定部23gcが形成されている。駆動部固定部23gcは、再生部収納部23geの右側(脱臭フィルタ部23aを前面側から見たときの右側)に配置されて、駆動部23hを支持している。駆動部23hは、駆動歯車23jを回転させる。
4枚の押さえ部材23zは、合成樹脂材によって、略五角形状の板材として形成されており、保持部23gに嵌め込み可能な形状に形成されている。押さえ部材23zは、2個のローラ23m、回転検出用歯車23k、駆動部23h及び駆動歯車23jが保持部23gに装着された後に、保持部23gに嵌め込まれる。押さえ部材23zは、保持部23gに嵌め込まれることにより、2個のローラ23mと回転検出用歯車23kと駆動部23hと駆動歯車23jとを押さえて、保持部23gから外れないように支持している。
図7は、実施例の脱臭ユニットの脱臭フィルタ部23aを示す斜視図である。脱臭フィルタ部23aは、図7に示すように、脱臭フィルタ23aa、外周部フィルタカバー23ac及び内周部フィルタカバー23aeを有する。
脱臭フィルタ23aaは、円板状に形成されており、中央に貫通孔23aaoが形成されている。脱臭フィルタ23aaは、脱臭フィルタ23aaの厚さ方向に空気が通過するように形成されている。脱臭フィルタ23aaは、通過する空気から臭気成分を吸着し、後述するPTCヒータ23bによって加熱されることで、吸着された臭気成分を分解する。例えば、脱臭フィルタ23aaは、図示しない基材と、基材に形成された触媒層とを有する。基材は、アルミニウム等の板材によって形成されており、ハニカム構造に例示される多孔構造に形成されている。触媒層は、触媒によって形成されており、基材の表面を被覆している。触媒は、触媒層の近傍を流れる空気から臭気成分を吸着し、加熱されることにより、吸着された臭気成分を分解する。脱臭フィルタ23aaは、多孔構造に形成されていること、及び、フィルタ再生部23fが脱臭フィルタ23aaの一部のみを覆い大部分を覆っていないことにより、空気抵抗が小さい。
外周部フィルタカバー23acは、概ね円環状に形成されており、脱臭フィルタ23aaの外周部に沿って配置されている。外周部フィルタカバー23acは、脱臭フィルタ23aaの外周縁部を覆って外周部の端面を保護している。内周部フィルタカバー23aeは、概ね円環状に形成されており、脱臭フィルタ23aaの貫通孔23aaoの内部に配置されており、脱臭フィルタ23aaにおける内周縁部を覆って内周部の端面を保護している。内周部フィルタカバー23aeには、貫通孔23adが形成されている。
また、外周部フィルタカバー23acには、脱臭フィルタ23aaの厚み方向(X方向)における両面に、脱臭フィルタ23aaの厚み方向に突出する第1凸部23acpがそれぞれ一体に形成されている。また、外周部フィルタカバー23acと同様に、内周部フィルタカバー23aeには、脱臭フィルタ23aaの厚み方向(X方向)における両面に、脱臭フィルタ23aaの厚み方向に突出する第2凸部23aepがそれぞれ一体に形成されている。これら第1凸部23acp及び第2凸部23aepによって、脱臭フィルタ23aaの厚み方向において、放熱板23cと脱臭フィルタ23aaとの間隔が適正に規制されている。
[フィルタ再生部の構成]
図8は、実施例の脱臭ユニット23のフィルタ再生部23fを示す図6におけるC−C断面を示している。フィルタ再生部23fは、図8に示すように、ケース23eと、放熱板23cと、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ23bと、を有する。ケース23eは、略三角柱形状の箱状に形成されており、ケース23eは、脱臭フィルタ部23aの周方向の一部を覆っている。ケース23eは、組み合わされる一対の、前面側ケース部材23eaと、背面側ケース部材23ebと、を有する。前面側ケース部材23eaは、ケース23eの前面側の部分を形成している。背面側ケース部材23ebは、ケース23eの背面側の部分を形成している。前面側ケース部材23eaと背面側ケース部材23ebで構成されたケース23eの内部には空間が形成される。この空間(以下、「内部空間」という)は、例えば、後述するように、PTCヒータ23bが配置される加熱空間部S1と、加熱空間部S1とケース23eの外部とを断熱する断熱空間部S2、S3と、加熱空間部S1と断熱空間部S2、S3とを分ける内周壁23pa、23pbと、を有する。
放熱板23cは、対向して配置される一組の前面側放熱板23caと背面側放熱板23cbを有する。前面側放熱板23caは、ケース23eの内部に支持されている。前面側放熱板23caは、脱臭フィルタ部23aの周方向における一部に対向する。脱臭フィルタ部23aは、前面側放熱板23caによって脱臭フィルタ部23aの一部が前面側から覆われている。同様に、背面側放熱板23cbは、ケース23eの内部に支持されている。背面側放熱板23cbは、脱臭フィルタ部23aの周方向における一部に対向する。脱臭フィルタ部23aは、背面側放熱板23cbによって脱臭フィルタ部23aの一部が背面側から覆われている。
PTCヒータ23bは、通電されることにより発熱し、温度上昇に伴って抵抗値が増加する性質を有しており、この性質を利用して発熱量を自己制御する。PTCヒータ23bは、直方体状に形成されており、ケース23eの内部に設けられている。PTCヒータ23bは、脱臭フィルタ部23aの外周側に配置されており、前面側放熱板23caと背面側放熱板23cbとの間に挟まれて支持されている。PTCヒータ23bは、後述する背面側放熱板23cbの位置決め突起23cf(図9)に突き当てられる。また、PTCヒータ23bは、背面側ケース部材23ebの第1支持部23s1の第1リブ23saの規制面23sab(図11)に突き当てられる。これにより、PTCヒータ23bはZ方向の両側への移動が規制されている。
図9は、フィルタ再生部23fを示す分解斜視図である。前面側放熱板23ca及び背面側放熱板23cbは、例えば、アルミニウム材またはアルミ合金材等の熱伝導性が良好な材料によって形成されている。前面側放熱板23caは、図9に示すように、脱臭フィルタ部23aの前面側に配置されている。前面側放熱板23caの外形は、脱臭フィルタ部23aの貫通孔23adから脱臭フィルタ部23aの外周側に向かうにつれて左右方向(脱臭フィルタ部23aの周方向)に対する幅寸法が大きくなる略三角形状に形成されている。前面側放熱板23caは、フィルタ対向面23caaとカバー対向面23cabを有する。フィルタ対向面23caaは、前面側放熱板23caの一方の面であり、カバー対向面23cabは、前面側放熱板23caの他方の面である。前面側放熱板23caには、脱臭フィルタ部23aの貫通孔23adと対応する貫通孔23cagが形成されている。貫通孔23cagには、後述する背面側ケース部材23ebの軸部23xaが挿通される。
背面側放熱板23cbは、脱臭フィルタ部23aの背面側に対向して配置されている。背面側放熱板23cbの外形は、脱臭フィルタ部23aの貫通孔23adから外周側に向かうにつれて左右方向(脱臭フィルタ部23aの周方向)に対する幅寸法が大きくなる略三角形状に形成されている。背面側放熱板23cbは、フィルタ対向面23cbaとカバー対向面23cbbを有する。フィルタ対向面23cbaは、背面側放熱板23cbの一方の面であり、カバー対向面23cbbは、フィルタ対向面23cbaの他方の面である。
図8、図9に示すように、背面側放熱板23cbのフィルタ対向面23cbaには、PTCヒータ23bを位置決めする位置決め突起23cfが設けられており、位置決め突起23cfがPTCヒータ23bの外周面(Z方向の一方側(脱臭フィルタ部23aの内周側))に当たることで、Z方向の一方側(脱臭フィルタ部23aの内周側)に対するPTCヒータ23bの位置が規制されている。また、背面側放熱板23cbと同様に、前面側放熱板23caのフィルタ対向面23caaにも、PTCヒータ23bを位置決めする位置決め突起23cgが設けられている(図8参照)。背面側放熱板23cbの内周側端部には、後述する背面側ケース部材23ebの軸部23xaが挿通される貫通孔23cbgが形成されている。
PTCヒータ23bは、前面側放熱板23caのフィルタ対向面23caa及び背面側放熱板23cbのフィルタ対向面23cbaにおける脱臭フィルタ部23aの外周側の側縁部に、前面側放熱板23caと背面側放熱板23cbとの間に挟まれて支持されている。前面側放熱板23caは、フィルタ対向面23caaが脱臭フィルタ部23aに対向するように配置されている。背面側放熱板23cbは、フィルタ対向面23cbaが脱臭フィルタ部23aに対向するように配置されている。なお、PTCヒータ23bと、前面側放熱板23ca及び背面側放熱板23cbとの間には、熱伝導性を高めるために熱伝導グリース等が塗布されてもよい。
図10は、実施例におけるフィルタ再生部23fの前面側ケース部材23eaを内側から示す斜視図である。言い換えれば、図10は、ケース23eの内部空間の前面側(前面側内部空間)を示す斜視図である。図11は、実施例におけるフィルタ再生部23fの背面側ケース部材23ebを内側から示す斜視図である。言い換えれば、図11は、ケース23eの内部空間の背面側(背面側内部空間)を示す斜視図である。
説明の便宜上、背面側ケース部材23ebから先に説明する。背面側ケース部材23ebは、合成樹脂材によって形成されている。背面側ケース部材23ebの外形は、図9に示すように、背面側放熱板23cbの外形よりも一回り大きく形成されている。図11に示すように、背面側ケース部材23ebは、その内側に加熱空間部S1b(加熱空間部S1の背面側に相当する)を有している。例えば、加熱空間部S1bにはPTCヒータ23b及び背面側放熱板放熱板23cbが配置される。加熱空間部S1bは、脱臭フィルタ23aaを加熱するための空間として機能する。
背面側ケース部材23ebは、有底の箱状に形成されており、背面側ケース部材23ebは、底部23edaと、背面側ケース部材23ebの外周に沿って形成された外周壁としての第1側部23edb、第2側部23edc、第3側部23edd及び第4側部23edeと、を有する。底部23edaは、略三角形の板状に形成されている。第1側部23edb、第2側部23edc、第3側部23edd及び第4側部23edeは、それぞれ、底部23edaの外周部から立ち上がって形成されている。第1側部23edbは、底部23edaの外周部における、脱臭フィルタ部23aの貫通孔23ad側に配置される部分に形成されている。第4側部23edeは、底部23edaの外周部における、脱臭フィルタ部23aの外周側に配置される部分に形成されている。第2側部23edcと第3側部23eddは、底部23edaの外周部のY方向の両側の部分に形成されている。底部23edaと第1側部23edb、第2側部23edc、第3側部23edd及び第4側部23edeとで囲まれた空間が背面側内部空間となる。
図11に示すように、背面側ケース部材23ebの底部23edaには、背面側放熱板23cbの外周に沿って内周壁23pbが形成されている。内周壁23pbは、第1側部23edb、第2側部23edc、第3側部23eddに対して所定の間隔をあけて形成されており、内周壁23pbの両端が第4側部23edeに連結されている。底部23edaと内周壁23pbで囲まれた空間が加熱空間部S1bとなる。このため、背面側ケース部材23ebで形成される背面側内部空間は、底部23edaと内周壁23pbで囲まれた加熱空間部S1bと、底部23edaと第2側部23edcと内周壁23pbとで囲まれた断熱空間部S2bと、底部23edaと第3側部23eddと内周壁23pbとで囲まれた断熱空間部S3bと、を有する。断熱空間部S2b及び断熱空間部S3bは、加熱空間部S1bとケース23eの外部とを断熱する空間(空気層)として機能する。したがって、背面側内部空間は、内周壁23pbによって、加熱空間部S1bと、断熱空間部S2b、S3bとにそれぞれ分けられている。すなわち、内周壁23pbは、加熱空間部S1bと、断熱空間部S2b、S3bとをそれぞれ分ける分割部の一例である仕切り壁として、底部23edaに一体に形成されている。
背面側ケース部材23ebの底部23edaには、脱臭フィルタ部23aの貫通孔23adに挿通されて脱臭フィルタ部23aを回転可能に支持する軸部23xaが形成されている。軸部23xaは、結合部材としてのネジ23t等がねじ込まれる貫通孔23xaaを有する。また、背面側ケース部材23ebの底部23edaのY方向における両側には、前面側ケース部材23eaと背面側ケース部材23ebとを一体に固定する結合部材としてのネジ23t等がねじ込まれる貫通孔23xbaを有するボス23xbがそれぞれ形成されている。
背面側ケース部材23ebの底部23edaには、2つの第1支持部23s1が形成されている。第1支持部23s1は、背面側放熱板23cbの外周部23cbhと、背面側放熱板23cbに重ねられるPTCヒータ23b及び前面側放熱板23caの外周部23cahをそれぞれ支持する。また、背面側ケース部材23ebの底部23edaには、背面側放熱板23cbの外周部23cbhを支持する第2支持部23s2がそれぞれ形成されている。
第1支持部23s1は、背面側ケース部材23ebのY方向における両側にそれぞれ配置されており、ボス23xbの近傍、例えばボス23xbに隣接して配置されている。第1支持部23s1は、背面側放熱板23cb(前面側放熱板23ca)のZY面におけるZ方向に対する背面側放熱板23cb、前面側放熱板23ca及びPTCヒータ23bの移動を規制する第1リブ23saと、背面側放熱板23cb(前面側放熱板23ca)のZY面におけるY方向に対する背面側放熱板23cb、前面側放熱板23ca及びPTCヒータ23bの移動を規制する第2リブ23sbと、を有する。
第1リブ23saは、背面側ケース部材23ebの底部23edaから突出して形成されており、背面側放熱板23cbと背面側ケース部材23ebの内面との間に空間をあけた状態で背面側放熱板23cbの外周部23cbhを支持する。第1リブ23saは、ボス23xbの外周面に連結されている。第1リブ23saは、背面側放熱板23cbをX方向に対して支持する支持面23saaと、背面側放熱板23cb、前面側放熱板23ca及びPTCヒータ23bのZ方向の移動を規制する規制面23sabと、を有する。第2リブ23sbは、背面側ケース部材23ebの底部23edaから突出して、内周壁23pbと第2側部23edc、または内周壁23pbと第3側部23eddとに跨って形成されており、内周壁23pbの機械的強度が補強されている。第2リブ23sbは、背面側放熱板23cbをX方向に対して支持する支持面23sbaと、背面側放熱板23cb、前面側放熱板23ca及びPTCヒータ23bのY方向の移動を規制する規制面23sbbと、を有する。
第2支持部23s2は、背面側ケース部材23ebのZ方向における一端側(脱臭フィルタ部23aの貫通孔23ad側)に、軸部23xaに隣接して配置されている。第2支持部23s2は、背面側放熱板23cb(前面側放熱板23ca)のZY面におけるZ方向に対する背面側放熱板23cbの移動を規制する第3リブ23scと、背面側放熱板23cb(前面側放熱板23ca)のZY面におけるY方向に対する背面側放熱板23cbの移動を規制する第4リブ23sdと、を有する。
第3リブ23scは、背面側放熱板23cbをX方向に対して支持する支持面23scaと、Z方向に対する背面側放熱板23cbの移動を規制する規制面23scbと、を有する。第4リブ23sdは、背面側放熱板23cbをX方向に対して支持する支持面23sdaと、Y方向に対する背面側放熱板23cbの移動を規制する規制面23sdbと、を有する。第3リブ23sc及び第4リブ23sdは、背面側ケース部材23ebの底部23edaから突出して形成されており、背面側放熱板23cbと背面側ケース部材23ebの内面との間に空間をあけた状態で背面側放熱板23cbの外周部23cbhを支持する。第3リブ23sc及び第4リブ23sdは、内周壁23pbと第1側部23edbとに跨って形成されており、内周壁23pbの機械的強度が補強されている。
図9及び図10に示すように、前面側ケース部材23eaは、背面側ケース部材23ebと同様に、合成樹脂材によって形成されている。前面側ケース部材23eaの外形は、前面側放熱板23caの外形よりも一回り大きく形成されている。前面側ケース部材23eaの前面側内部空間は、例えば、PTCヒータ23b及び前面側放熱板23caが配置される加熱空間部S1aを有しており、加熱空間部S1aが、前面側放熱板23caを介して脱臭フィルタ23aaを加熱するための空間として機能する。
前面側ケース部材23eaは有底の箱状に形成されており、底部23ecaと、前面側ケース部材23eaの外周に沿って形成された外周壁としての第1側部23ecb、第2側部23ecc、第3側部23ecd及び第4側部23eceと、を有する。底部23ecaは、略三角形の板状に形成されている。第1側部23ecb、第2側部23ecc、第3側部23ecd及び第4側部23eceは、それぞれ、底部23ecaの外周部から立ち上がって形成されている。第1側部23ecbは、底部23ecaの外周部における、脱臭フィルタ部23aの貫通孔23ad側に配置される部分に形成されている。第4側部23eceは、底部23ecaの外周部における、脱臭フィルタ部23aの外周側に配置される部分に形成されている。第2側部23eccと第3側部23ecdは、底部23ecaの外周部のY方向の両側の部分に形成されている。底部23ecaと第1側部23ecb、第2側部23ecc、第3側部23ecd及び第4側部23eceとで囲まれた空間が前面側内部空間となる。
図10に示すように、前面側ケース部材23eaの底部23ecaには、前面側放熱板23caの外周に沿って内周壁23paが形成されている。内周壁23paは、第1側部23ecb、第2側部23ecc、第3側部23ecdに対して所定の間隔をあけて形成されており、内周壁23paの両端が第4側部23eceに連結されている。内周壁23paで囲まれた空間を加熱空間部S1aとする。このため、前面側ケース部材23eaの前面側内部空間は、底部23ecaと内周壁23paで囲まれた加熱空間部S1aと、底部23ecaと第2側部23eccと内周壁23paとで囲まれた断熱空間部S2aと、底部23ecaと第3側部23ecdと内周壁23paとで囲まれた断熱空間部S3aと、を有する。断熱空間部S2a及び断熱空間部S3aは、加熱空間部S1aとケース23eの外部とを断熱する空間(空気層)として機能する。したがって、前面側ケース部材23eaの前面側内部空間は、内周壁23paによって、加熱空間部S1aと、断熱空間部S2a、S3aとにそれぞれ分けられている。すなわち、内周壁23paは、加熱空間部S1aと、断熱空間部S2a、S3aとをそれぞれ分ける分割部の一例である仕切り壁として、底部23ecaに一体に形成されている。
前面側ケース部材23eaの底部23ecaには、脱臭フィルタ部23aの貫通孔23adに対向する位置に軸座部23xcが形成されている。軸座部23xcには背面側ケース部材23ebの軸部23xaの先端が突き当てられる。軸座部23xcはネジ23tがねじ込まれる貫通孔23xcaを有する。また、前面側ケース部材23eaの底部23ecaのY方向における両側で、かつ、第4側部23eceと隣接する位置には、背面側ケース部材のボス23xbの先端が突き当てられるボス座部23xdが形成されている。ボス座部23xdはネジ23tがねじ込まれる貫通孔23xdaを有する。
また、前面側ケース部材23eaの底部23ecaには、ボス座部23xdと隣接するように、第1リブ23se及び第2リブ23sfが形成されている。第1リブ23se及び第2リブ23sfは、背面側ケース部材23ebの第1支持部23s1の第1リブ23sa及び第2リブ23sbがそれぞれ突き当てられる。また、前面側ケース部材23eaの第1リブ23se及び第2リブ23sfは、前面側放熱板23caに接することで、前面側放熱板23ca、PTCヒータ23b及び背面側放熱板23cbのX方向に対する移動を規制する。第1リブ23se及び第2リブ23sfは、前面側ケース部材23eaの底部23ecaから突出して形成されており、前面側放熱板23caと前面側ケース部材23eaの底部23edaとの間に空間(空気層)をあけた状態で前面側放熱板23caの外周部23cahを支持する。
前面側ケース部材23eaの底部23ecaには、前面側放熱板23caの外周部23cahを支持する支持部23s3が形成されている。支持部23s3は、前面側ケース部材23eaのZ方向における一端側(脱臭フィルタ部23aの貫通孔23ad側)に、軸座部23xcに隣接して配置されている。支持部23s3は、前面側放熱板23caのZY面内方向におけるZ方向に対する前面側放熱板23caの移動を規制する第3リブ23sgと、前面側放熱板23caのZY面内方向におけるY方向に対する前面側放熱板23caの移動を規制する第4リブ23shと、を有する。
第3リブ23sgは、前面側放熱板23caをX方向に対して支持する支持面23sgaと、Z方向に対する前面側放熱板23caの移動を規制する規制面23sgbと、を有する。第4リブ23shは、前面側放熱板23caをX方向に対して支持する支持面23shaと、Y方向に対する前面側放熱板23caの移動を規制する規制面23shbと、を有する。第3リブ23sg及び第4リブ23shは、前面側ケース部材23eaの底部23ecaから突出して形成されており、前面側放熱板23caと前面側ケース部材23eaの底部23ecaとの間に空間(空気層)をあけた状態で前面側放熱板23caの外周部23cahを支持する。第3リブ23sg及び第4リブ23shは、内周壁23paと第1側部23ecbとに跨って形成されており、内周壁23paの機械的強度が補強されている。
前面側ケース部材23eaと背面側ケース部材23ebとが組み合わされることで、PTCヒータ23b、前面側放熱板23ca及び背面側放熱板23cb、脱臭フィルタ部23aの一部が内部に収容されるケース23eが構成される。脱臭フィルタ部23aの貫通孔23adには、背面側ケース部材23ebの軸部23xaが挿通されることで、脱臭フィルタ部23aが軸部23xaに回転可能に支持されている。また、図8及び図9に示すように、軸部23xaは、後述する規制部材としての円筒状のシャフト部材23xe内へ通されており、脱臭フィルタ部23aの貫通孔23adに通されたシャフト部材23xeを介して、脱臭フィルタ部23aを支持している。シャフト部材23xeは、例えば、ステンレス等の熱伝導性を有する金属材料等によって形成されている。
以上のように組み立てられた脱臭ユニット23は、図6に示すように、フィルタ再生部23fが保持部23gの再生部収納部23ge内に収容されている。また、脱臭フィルタ部23aは、外周部フィルタカバー23acの歯車部34が駆動歯車23jに噛み合わされており、駆動部23hによって回転される。さらに、脱臭フィルタ部23aは、外周部フィルタカバー23acの歯車部34が回転検出用歯車23kに噛み合わされており、回転検出部23rによって回転が検出される。
上述のように構成されたフィルタ再生部23fのケース23eについて、本実施例の特徴となる構成を以下説明する。図12は、実施例における背面側ケース部材23ebの加熱空間部S1b及び断熱空間部S2b、S3bを説明するための平面図である。図13は、実施例における背面側ケース部材23ebの加熱空間部S1bに背面側放熱板23cbを取り付けた状態を示す平面図である。ここでは、説明の便宜上、背面側ケース部材23ebを参照して説明する。
背面側ケース部材23ebと前面側ケース部材23eaとが組み合わされてケース23eが構成されたとき、ケース23e内には、図8、図12及び図13に示すように、背面側ケース部材23ebの加熱空間部S1bと前面側ケース部材23eaの加熱空間部S1aとが組み合わされた加熱空間部S1が形成される。また、ケース23e内には、背面側ケース部材23ebの断熱空間部S2bと前面側ケース部材23eaの断熱空間部S2aとが組み合わされた断熱空間部S2が形成される。同様に、ケース23e内には、背面側ケース部材23ebの断熱空間部S3bと前面側ケース部材23eaの断熱空間部S3aとが組み合わされた断熱空間部S3が形成される。
断熱空間部S2、S3は、ケース23eの外周に沿って形成されており、内周壁23pb、23paを挟んで加熱空間部S1に隣接している。一方の断熱空間部S2は、脱臭フィルタ23aaの周方向において、加熱空間部S1へ脱臭フィルタ23aaが進入する進入側、言い換えると、加熱空間部S1に対する脱臭フィルタ23aaの移動方向の上流側に配置されている。他方の断熱空間部S3は、脱臭フィルタ23aaの周方向において、加熱空間部S1から脱臭フィルタ23aaが退出する退出側、言い換えると、加熱空間部S1に対する脱臭フィルタ23aaの移動方向の下流側に配置されている。
また、図13に示すように、加熱空間部S1は、加熱空間部S1内に支持された放熱板23c(前面側放熱板23ca、背面側放熱板23cb)の外周部23cah、23cbhと、内周壁23pb、23paとの間に所定の隙間d1を有する。このため、隙間d1内の空気層により、放熱板23cの熱が、放熱板23cの外周部23cah、23cbhから、内周壁23pb、23paを伝わってケース23eへ逃げることが抑えられている。なお、実施例では、例えば、隙間d1が3[mm]程度に設定されており、加熱空間部S1側の側面と第2側部23edc、23cccとの間隔d2、及び内周壁23pb、23paの、加熱空間部S1側の側面と第3側部23edd、23ecdとの間隔d2が、20[mm]程度に設定されている。
したがって、上述のように、加熱空間部S1の外周側(放熱板23cの外周側)に沿って断熱空間部S2、S3が形成され、かつ、加熱空間部S1内の放熱板23cが、ケース23eの第1支持部23s1及び第2支持部23s2によってケース23eの底部23eca、23edaとの間に空間をあけて支持されている。このため、ケース23eの底部23eca、23edaと放熱板23cとの間に断熱部材を設けることなく、放熱板23cの熱がケース23eへ伝わり、ケース23eの外部へ放出されることが抑えられ、ケース23eの小型化が図られている。
[ケースの断熱空間部の作用]
図14は、実施例におけるケース23eの断熱空間部S2、S3の作用を説明するための模式図である。ケース23e内の断熱空間部S2、S3は、加熱空間部S1内の熱が、ケース23eの外部へ逃げることを抑えることにより、加熱空間部S1の温度の低下が抑えられ、加熱空間部S1によって脱臭フィルタ23aaが効率的に加熱される。したがって、断熱空間部S2、S3は、加熱空間部S1からの熱が伝わることで、断熱空間部S2、S3内の温度が高められている。
このため、加熱空間部S1に対して脱臭フィルタ23aaがR方向に回転する場合、加熱空間部S1に対する脱臭フィルタ23aaの進入側に位置する断熱空間部S2は、加熱空間部S1によって加熱される直前に脱臭フィルタ23aaの一部を予備的に加熱する予熱空間部(以下、断熱空間部S2と同一符号を付ける。)としても機能する。加えて、加熱空間部S1に対する脱臭フィルタ23aaの退出側に位置する断熱空間部S3は、加熱空間部S1内で加熱された脱臭フィルタ23aaの一部を保温する保温空間部(以下、断熱空間部S3と同一符号を付ける。)としても機能する。
[脱臭フィルタ部の回転制御]
断熱空間部S2を予熱空間部S2として機能させ、断熱空間部S3を保温空間部S3として機能させる場合について、駆動部23hによる脱臭フィルタ23aaの回転制御を説明する。図15は、実施例における脱臭フィルタ23aaの加熱状態を模式的に示すグラフである。図15において、縦軸が、脱臭フィルタ23aaの加熱部分の温度[℃]を示し、横軸が時間を指している。また、図15において、実施例における脱臭フィルタ23aaの加熱部分の温度変化を実線で示す。比較例として、ケース内に加熱空間部S1のみを有する構成における脱臭フィルタ23aaの加熱部分の温度変化を一点鎖線で示す。
脱臭フィルタ部23aの回転制御の一例としては、駆動部23hが所定の回転速度で脱臭フィルタ23aaが連続して回転を続ける。この場合、例えば、1時間で脱臭フィルタ23aaを1回転させるように、駆動部23hによって脱臭フィルタ23aaが連続的に回転駆動される。このとき、加熱空間部S1によって脱臭フィルタ23aaの一部が加熱されることに伴って、脱臭フィルタ23aaの加熱部分の温度が変化する。図15では、脱臭フィルタ23aaの周方向において、加熱空間部S1内へ進入を開始する進入側端部の温度変化を示している。
まず、比較例では、図15中に一点鎖線で示すように、脱臭フィルタ23aaの温度が変化する。加熱空間部S1内へ進入を開始する脱臭フィルタ23aaの進入側端部が、時刻t2で加熱空間部S1へ入り、進入側端部の温度が徐々に上昇する。脱臭フィルタ23aaの進入側端部、つまり加熱部分の温度は、室温から上昇して、時刻t4で所定温度F以上に達することにより、脱臭フィルタ23aaの加熱部分に吸着されている臭気成分が分解され、加熱部分の脱臭能力の再生作用が生じる。
続いて、脱臭フィルタ23aaの加熱部分は、加熱空間部S1内で加熱されることで、最高温度に達し、そのまま一定の温度に保たれた後、脱臭フィルタ23aaの進入側端部が、加熱空間部S1から退出することで、温度が徐々に低下する。そして、脱臭フィルタ23aaの進入側端部の温度は、時刻t5で所定温度F未満に下がり、室温まで低下する。したがって、比較例では、脱臭フィルタ23aaの進入側端部において脱臭能力の再生作用が得られる時間が有効時間E1(=t5−t4)となる。
一方、比較例に比べて、実施例は、図15中に実線で示すように、脱臭フィルタ23aaの進入側端部は、時刻t1で予熱空間部S2内へ入る。その後、進入側端部の温度が、室温から緩やかに上昇し、時刻t2で予熱温度に達する。続いて、脱臭フィルタ23aaの進入側端部は、加熱空間部S1内へ入る。進入側端部は予熱空間部S2で予め温度が予熱温度まで高められているので、加熱空間部S1内で加熱されることにより、時刻t4より早い時刻t3で比較的に速く所定温度Fに達する。すなわち、脱臭フィルタ23aaの進入側端部は、加熱空間部S1で加熱される前に、予熱空間部S2内で予め室温よりも高い温度まで温められることで、S1に入ってから所定温度Fに達するまでに要する時間が短縮される。続いて、脱臭フィルタ23aaの進入側端部は、加熱空間部S1内で加熱されることで、最高温度に達し、そのまま一定の最高温度に保たれた後、進入側端部が、加熱空間部S1から退出することで、温度が徐々に低下する。
このとき、加熱空間部S1から退出した脱臭フィルタ23aaの進入側端部は、保温空間部S3内へ入ることで、温度の低下が緩やかになる。すなわち、脱臭フィルタ23aaの進入側端部は、保温空間部S3内を移動する間に、所定温度F以上に保たれる時間が延ばされ、脱臭能力の再生作用が続く。そして、脱臭フィルタ23aaの進入側端部の温度は、保温空間部S3内の移動中に、時刻t6で所定温度F未満に下がる。したがって、実施例では、脱臭フィルタ23aaの進入側端部において再生作用が得られる時間は、有効時間E2(=t6−t3)となり、比較例における有効時間E1よりも長く確保される。所定温度F未満に下がった後、脱臭フィルタ23aaの進入側端部は、時刻t7で保温空間部S3から退出し、室温まで低下する。このように、実施例によれば、脱臭フィルタ23aaの加熱部分において脱臭能力の再生作用が得られる有効時間E2が比較例の有効時間E1よりも長くなるので、脱臭フィルタ23aaの再生効率が高められている。
また、脱臭フィルタ部23aの回転制御の他の例としては、図14に示すように、脱臭フィルタ23aaの周方向(回転方向R)に対する加熱空間部S1の角度(軸部23xaを中心とする中心角)をθとしたとき、駆動部23hによって脱臭フィルタ23aaを、角度θよりも小さい回転角度、例えば、θ/2の回転角度で間欠的に回転駆動させてもよい。また、予熱空間部S2及び保温空間部S3は、脱臭フィルタ23aaの周方向に対して、加熱空間部S1から延ばされた寸法が、例えば、角度θ/2程度に設定されるとよい。
このように脱臭フィルタ23aaを間欠的に回転させることで、予熱空間部S2内で予熱された予熱領域が、加熱空間部S1内へ入って加熱され、加熱空間部S1内で加熱された加熱領域が、保温空間部S3内へ入って保温され、保温空間部S3内で保温された保温領域が、ケース23eから外部へ退出する。この場合にも、図15に示すように、有効時刻E2を適正に確保することができる。
なお、上述した一例では、脱臭フィルタ23aaが回転角度θ/2で間欠的に回転されたが、脱臭フィルタ23aaが所定時間で回転角度θ/2ずつ回転するように連続的に回転されてもよく、上述と同様の効果が得られる。
また、空気清浄機1の運転開始直後は、PTCヒータ23bによって放熱板23cが十分に加熱されていないので、フィルタ再生部23fの初回の動作時のみ、例えば、脱臭フィルタ23aaの回転速度が遅くなるように制御することで、脱臭フィルタ23aaの加熱時間を長く確保してもよい。これにより、脱臭フィルタ23aaの周方向において、加熱空間部S1により脱臭フィルタ23aa全体を均一に加熱することが可能になる。
[空気清浄機の動作]
空気清浄機1は、使用者が操作部15を操作することで、運転を開始する。空気清浄機1は、運転を開始したとき、送風機25が駆動されると共に、集塵ユニット22の第1電気集塵機22a及び第2電気集塵機22bが通電され、加湿ユニット24の加湿フィルタ24aが回転を開始する。空気清浄機1は、送風機25が駆動されることで、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、左側面吸込口13c及び下側吸込口13dから、本体筐体11の内部へ空気が吸い込まれる。
本体筐体11の内部に吸い込まれた空気は、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、左側面吸込口13c及び下側吸込口13dから、上面吹出口14a、右側面吹出口14b及び左側面吹出口14cに向かって通風路10を流れる。通風路10を流れる空気は、まず、プレフィルタ21によって塵埃が捕集される。プレフィルタ21によって塵埃が捕集された空気は、プレフィルタ21で捕集されなかった細かな塵埃や花粉等が、集塵ユニット22によって捕集される。集塵ユニット22によって塵埃が捕集された空気は、一部が脱臭ユニット23に供給され、残りが加湿ユニット24に供給される。
脱臭ユニット23に供給された空気は、保持部23gの開口部23gdを介して、脱臭フィルタ23aaにおけるフィルタ再生部23fによって覆われていない通風面に供給される。脱臭フィルタ23aaの通風面に供給された空気は、脱臭フィルタ23aaを通過することにより、臭気成分が除去され、脱臭される。このとき、脱臭ユニット23の脱臭フィルタ23aaは、脱臭ユニット23に供給された空気が、プレフィルタ21と集塵ユニット22とにより塵埃や花粉等があらかじめ除去されていることにより、塵埃や花粉等によって目詰まりすることが防止される。
脱臭ユニット23により脱臭された空気は、一部が加湿ユニット24に供給され、残りが送風機25に供給される。加湿ユニット24に供給された空気は、加湿ユニット24により加湿される。加湿ユニット24によって加湿された空気は、送風機25に供給される。送風機25に供給された空気は、上面吹出口14a、右側面吹出口14b及び左側面吹出口14cから、空気清浄機1の外部へ吹き出される。
空気清浄機1は、運転中に、PTCヒータ23bに継続して通電を行うと共に、駆動部23hを駆動させることで、例えば、脱臭フィルタ部23aを所定時間毎に所定の回転角度だけ回転させる。この所定時間は、脱臭フィルタ部23aの脱臭能力を再生するために必要な処理時間であり、例えば、1.5時間が例示される。所定の回転角度としては、36度程度が例示される。空気清浄機1は、脱臭フィルタ部23aを回転させることにより、脱臭フィルタ23aaの周方向におけるフィルタ再生部23fで覆われる部分の脱臭能力を再生する。すなわち、空気清浄機1は、脱臭フィルタ23aaのフィルタ再生部23fで覆われる位置の脱臭能力の再生を行いつつ、脱臭フィルタ23aaのフィルタ再生部23fで覆われていない部分を通過する空気を脱臭する。
上述のように実施例の脱臭ユニット23が有するフィルタ再生部23fのケース23eの内部空間は、PTCヒータ23bが配置される加熱空間部S1と、加熱空間部S1とケース23eの外部とを断熱する断熱空間部S2、S3と、を有する。これにより、断熱空間部S2、S3によって加熱空間部S1内の熱がケース23eの外部へ放出されることが抑えられ、加熱空間部S1の断熱性を高めることができる。その結果、ケース23eの加熱空間部S1の温度の低下が抑えられるので、脱臭フィルタ23aaの加熱効率を高め、脱臭フィルタ23aaの再生効率を向上することができる。
また、実施例の脱臭ユニット23におけるケース23eの断熱空間部S2、S3は、脱臭フィルタ23aaの回転方向に対して、ケース23eの加熱空間部と隣接する。これにより、回転する脱臭フィルタ23aaがケース23eに進入できるように、ケース23eに開口が設けられても、加熱空間部の温度の低下が抑えられるので、脱臭フィルタ23aaの加熱効率を高め、脱臭フィルタ23aaの再生効率を向上することができる。
また、実施例の脱臭ユニット23におけるケース23eの断熱空間部S2、S3は、ケース23eの外周に沿って形成されている。これにより、断熱空間部S2、S3によって、加熱空間部S1とケース23eの外部とを効果的に断熱することができる。
また、実施例の脱臭ユニット23におけるケース23eの断熱空間部S2、S3は、加熱空間部S1内へ脱臭フィルタ23aaが進入する進入側と、加熱空間部S1内から脱臭フィルタ23aaが退出する退出側とにそれぞれ配置されている。そして、断熱空間部S2、S3は加熱空間部S1と隣接していることから、加熱空間部S1からの伝熱により、断熱空間部S2、S3は予熱温度まで温められる。これにより、加熱空間部S1に対する脱臭フィルタ23aaの進入側に配置された断熱空間部S2が、脱臭フィルタ23aaが加熱空間部S1で加熱される前に予め温められる予熱空間部S2として機能し、加熱空間部S1に対する脱臭フィルタ23aaの退出側に配置された断熱空間部S3が、加熱空間部S1で加熱された脱臭フィルタ23aaを保温する保温空間部S3として機能する。その結果、脱臭フィルタ23aaに脱臭能力の再生作用が生じる所定温度Fに達するまでの時間を、予熱空間部S2によって短縮すると共に、脱臭フィルタ23aaに脱臭能力の再生作用が生じる所定温度Fに保たれる時間を、保温空間部S3によって延長することが可能になる。したがって、脱臭フィルタ23aaの脱臭能力の再生作用が得られる有効時間E2を長くし、脱臭フィルタ23aaの再生の効率を高めることができる。
なお、本実施例における断熱空間部S2、S3である予熱空間部S2と保温空間部S3は、脱臭フィルタ23aaの周方向(回転方向)に対する大きさが等しく形成されたが、脱臭フィルタ23aaの回転条件等の必要に応じて、予熱空間部S2と保温空間部S3の大きさを異ならせてもよい。また、本実施例におけるケース23eは、予熱空間部S2と保温空間部S3とを有するが、予熱空間部S2または保温空間部S3の一方のみを有する構成に変更されてもよい。
また、実施例の脱臭ユニット23におけるケース23eは、加熱空間部S1と断熱空間部S2、S3とを仕切る内周壁23pa、23pbを有する。これにより、簡素な構成によって、加熱空間部S1と断熱空間部S2、S3とを分けて形成することができる。
なお、実施例では、加熱空間部S1とケースの外周壁(例えば第2側部23edc、23ccc等)との間に1つの内周壁23pa、23pbのみが形成されたが、断熱空間部S2、S3内において、例えば、内周壁23pa、23pbの外周側に沿って別の内周壁が、内周壁23pa、23pbと間隔をあけて更に形成されてもよく、加熱空間部S1の断熱性を更に高めることができる。また、実施例では、内周壁が樹脂製のケース23eに一体に形成されたが、熱伝導性が小さい断熱材料で形成された分割部材(図示せず)を介して分けられてもよく、加熱空間部S1の熱が断熱空間部S2、S3へ逃げることを抑えることができる。
また、実施例の脱臭ユニット23におけるケース23eの加熱空間部S1は、放熱板23cの外周部23cah、23cbhと内周壁23pa、23pbとの間に隙間d1を有する(図13)。これにより、放熱板23cの外周から内周壁23pa、23pbを介してケース23eへ熱が逃げることを更に抑え、脱臭フィルタ23aaの加熱効率を更に高めることができる。
また、実施例の脱臭ユニット23におけるケース23eの断熱空間部S2、S3は、内周壁23pa、23pbと、ケース23eの外周壁(例えば第2側部23edc、23ccc等)とによって形成されている。これにより、ケース23eの小型化を図ることができる。