JP6895764B2 - キャップ - Google Patents

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Description

本発明は、キャップに関するものである。
例えば、柔軟剤、液体洗剤等の液状の内容物を収容する容器に装着されるノズルキャップ(キャップ)は、傾倒させた容器本体から内容物を注出するもので、注出した内容物を計量する計量キャップとともに使用される(例えば、特許文献1)。このような容器では、収容した内容物が消費されたり、残量が少なくなったりしたときに、例えば、詰め替え用のパウチから内容液が適宜注ぎ足されることで長期的に使用される。
特開2011−136763号公報
しかしながら、従来の構造では、容器本体から内容物を注出する際、ノズルキャップの内壁面に沿って内容物が流動することになる。液体洗剤等の高粘度の内容物がノズルキャップ内を流れる場合、ノズル部の内壁面に対する内容物の粘性摩擦によって流動損失が生じ、内容物の流下速度が低下してしまい、内容物の粘度が500mPa・sを超えるとその傾向は顕著となる。そのため、ノズルキャップを介して内容物がなかなか注出されないという不具合が生じることがあった。
本発明の一つの態様は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、ノズルキャップの内壁面に対する内容物の粘性摩擦による流動損失を抑えて、内容物の注出性を改善することのできるキャップを提供することを目的とする。
本発明のキャップの一形態においては、粘性を有する液状の内容物を収容する容器本体の口部に着脱可能に装着され前記内容物を傾倒注出するキャップであって、前記口部に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部の内側に同軸をなして設けられ底面部に注出用開口孔を有するノズル基部と、前記注出用開口孔の少なくとも一部を囲むように前記底面部に立設され前記容器本体とは反対側に延出する、樋状部と一対の受け部とを有しているノズル部と、を備え、前記ノズル部の内側には、前記注出用開口孔のうち前記ノズル部によって囲まれた周縁の少なくとも一部に流出規制部が設けられ、前記流出規制部は、前記注出用開口孔のうち傾倒時に上側となる方向へ前記注出用開口孔を漸次縮寸するように設けられ、前記底面部は、前記容器本体側に凸のV字形状をなし、互いに傾斜角度の異なる第1傾斜面と第2傾斜面とを有し、前記注出用開口孔は、前記第1傾斜面から前記第2傾斜面にかけて形成され、かつ該注出用開口孔のうち前記第2傾斜面に形成された第2の開口は、傾倒時に前記樋状部の上側となる開口端よりも径方向外側へ突出している。
本発明のキャップの一形態において、前記流出規制部は、前記注出用開口孔のうち前記ノズル部によって囲まれた周縁全体に設けられている構成としてもよい。
本発明のキャップの一形態において、前記流出規制部は、前記注出用開口孔のうち少なくとも傾倒時に下側になる周縁部分を除く他の周縁部分に設けられている構成としてもよい。
本発明のキャップの一形態において、前記流出規制部は、前記注出用開口孔のうち前記ノズル部によって囲まれた周縁の1/2の領域に設けられている構成としてもよい。
本発明のキャップの一形態において、前記流出規制部は、前記注出用開口孔のうち傾倒時に上側となる方向へ前記注出用開口孔を漸次縮寸するように設けられている構成としてもよい。
本発明のキャップの一形態において、前記ノズル部は、軸方向に交差する径方向の一端側に開口するU字形状をなす構成としてもよい。
本発明によれば、ノズル部の内壁面に対する内容物の粘性摩擦による流動損失を抑えて、内容物の注出性を改善することのできるキャップを提供することができる。
第1実施形態に係るノズルキャップ(キャップ)が容器本体の口部に装着された正立状態の容器の構成を示す側面図。 第1実施形態のノズルキャップの構成を示す側面図。 第1実施形態のノズルキャップの構成を示す断面斜視図。 第1実施形態のノズルキャップを底部側から見た様子を示す斜視図。 第1実施形態のノズルキャップをノズル部側から見た様子を示す斜視図。 第1実施形態のノズルキャップのノズル部の構成を示す部分断面図。 第1実施形態のノズルキャップを軸線方向から見た上面図。 第2実施形態のノズルキャップを軸線方向から見た上面図。 第3実施形態のノズルキャップを軸線方向から見た上面図。 第4実施形態のノズルキャップを軸線方向から見た上面図。 従来の構成のノズルキャップを軸方向から見た上面図。 ノズルキャップを備えた容器を使用する際の様子を示す図。
本願発明者は、内容物の注出性を改善するために、容器本体から内容物が流出してからノズルキャップの内壁面に接するまでの時間に着目し、ノズルキャップにおける注出用開口孔の形状を検討した。
以下、本発明のキャップに係る実施形態の構成についていくつか説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係るノズルキャップ(キャップ)10が容器本体100Aの口部101に装着された正立状態の容器100の構成を示す側面図である。図2は、ノズルキャップ10の構成を示す側面図である。図3は、ノズルキャップ10の構成を示す断面斜視図である。図4は、ノズルキャップ10を底部側から見た様子を示す斜視図である。図5は、ノズルキャップ10をノズル部13側から見た様子を示す斜視図である。図6は、ノズルキャップ10のノズル部13の構成を示す部分断面図である。図7は、ノズルキャップ10を軸線方向から見た上面図である。
本実施形態のノズルキャップ10は、図1に示すように、内容物を収容する容器本体100Aの上端に形成された口部101に嵌合する中栓であり、その外側に内容物を計量する計量キャップ102が装着されるものである。
容器本体100Aは、例えばポリエチレン等のオレフィン系合成樹脂を用いたブロー成形により一体形成されている。容器本体100Aは、内容物として、例えば、液体洗剤、液体漂白剤、液体柔軟剤、溶剤等の液状物や、粒状洗剤、粒状漂白剤、粒状調味料等の粉粒物を収納するための収容空間100aを有している。容器本体100Aの口部101は、上下方向(Z方向)に延びる軸線Cを中心とする円筒状に形成されており、収容空間100aを上方に開放している。口部101の外周には、軸線C周りに雄ねじ部(不図示)が形成されており、本実施形態におけるノズルキャップ10が螺合する。
本実施形態では、螺合タイプのノズルキャップ10の構成について述べるが、これに限らない。例えば、圧入やアンダーカット部等の係合により、上方に抜けないように容器本体100Aの口部101に挿入されて嵌合する構成であってもよい。
以下の説明では、軸線Cに沿った方向を軸線方向、軸線Cに直交する方向を径方向、軸線Cを中心とする軸周り方向を周方向と適宜称する。また、ノズルキャップ10において、軸線方向における計量キャップ102側を上方(上側)、容器本体100A側を下方(下側)と適宜称する。また、軸線方向をZ方向とし、図1中、径方向をX方向とし、Z方向およびX方向と直交する方向(図1中、紙面と直交する方向)をY方向として適宜説明する。
図2に示すように、ノズルキャップ10は、例えば、ポリプロピレン等のオレフィン系合成樹脂を用いた射出成形により形成されている。ノズルキャップ10は、嵌合部11、ノズル基部12及びノズル部13を主に有し、互いに軸線Cを中心として構成されている。
嵌合部11は、筒状をなし、図1に示した容器本体100Aの口部101の外側に嵌合する。嵌合部11は、ノズルキャップ10の下端側にキャップ最大径となる環状凸部14と、軸線Cに沿う環状凸部14の上端に連続し環状凸部14よりも径方向内側に位置する中間部15と、中間部15の環状凸部14とは反対側の端部に連続するとともに中間部15よりも径方向内側に位置する上部16とを有している。上部16の軸線C周りには、計量キャップ102の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部17が形成されている。本実施形態のノズルキャップ10は、軸線Cに沿って上部16から中間部15、環状凸部14へ向かうに従って、径方向外側に段階的に拡径した形状となっている。
図1に示したように、ノズルキャップ10には上述の計量キャップ102が装着される。計量キャップ102は、図2に示すように、上部16の外側から、上部16と中間部15との間の段差19内に収まるように装着される。すなわち、計量キャップ102がノズルキャップ10に装着された状態で、計量キャップ102からノズルキャップ10にかけて連続した外形をなすように構成されている。
また、嵌合部11には、内周面11bに沿って軸線C周りに雌ねじ部20が形成されており、図1に示した容器本体100Aの口部101の外側に形成された雄ねじ部(不図示)に螺合する構成とされている。
ノズル基部12は、図2及び図3に示すように、嵌合部11の内側に同軸をなして設けられ、キャップ装着時に容器本体100Aの口部101内に挿入される。ノズル基部12は、図2〜図4に示すように、内側筒部21と、内側筒部21の下端側に設けられた底面部22とを有する有底円筒状をなし、底面部22には注出用開口孔23(図4)が形成されている。
内側筒部21は、図3に示すように、嵌合部11の上部16よりも径方向内側(軸線C側)に位置し、軸線Cに沿う下端側が環状凸部14よりも外側(容器本体100A)に突出している。
底面部22は、図3に示すように容器本体100A側に凸のV字形状をなし、図4に示すように互いに傾斜角度の異なる第1傾斜面22Aと第2傾斜面22Bと、これら第1傾斜面22A及び第2傾斜面22Bの接続頂部22C,22Cの延長線上で互いに対向する第3傾斜面22D及び第4傾斜面22Eとを有し、最下端の接続頂部22C,22Cに向かって漸次細くなっている。このような底面部22の第1傾斜面22Aから第2傾斜面22Bにかけて注出用開口孔23が形成されている。
ノズル部13は、ノズル基部12の底面部22に立設され、軸線Cに沿って容器本体100Aとは反対側に向かって延出している。具体的に、ノズル部13は、底面部22の第1傾斜面22Aに立設された、樋状部24と、一対の受け部26,26とを有している。
樋状部24は、注出用開口孔23の周縁から上方(+Z方向)へ立ち上がるようにして延在し、内側に形成されるノズル流路18の流路径が延在方向(Z方向)で略一定とされている。
樋状部24は、図7に示すように軸線方向から見たときに、注出用開口孔23の周縁のうちの一部を囲むようにして設けられている。樋状部24は、図7に示すように、+X側に開口する断面U字形状をなし、+X側の開口端24a,24aは注出用開口孔23の周縁には沿っておらず、X方向に沿って延在している。
本実施形態の注出用開口孔23は、一例として雫形状をなしている。樋状部24は、注出用開口孔23のうち第1傾斜面22Aに形成された第1の開口23A1の一部を囲んでおり、円弧状の周縁に沿って設けられている。また、注出用開口孔23のうち第2傾斜面22Bに形成された第2の開口23B1は、樋状部24の+X側の開口端24aよりも径方向外側へ突出しており、樋状部24によって囲まれずに開放されている。
上述したように、注出用開口孔23は、底面部22の第1傾斜面22Aから第2傾斜面22Bにかけて形成されている。傾倒時に上位側となる第2傾斜面22Bは、ノズル部13が立設されている第1傾斜面22Aに対して折り返すように傾斜しているため、注出時に内容物が第2傾斜面22B側に乗り上げにくい。そのため、注出用開口孔23のうち、第2傾斜面22Bに形成された部分の開口状態を維持しやすく、一部を空気置換孔25として機能させることができる。
樋状部24の内側には、底面部22の第1傾斜面22Aの一部からなる流出規制部29がそれぞれ設けられている。流出規制部29は、樋状部24の各開口端24a,24a側にそれぞれ設けられている。これら流出規制部29により、注出用開口孔23の周縁の一部が樋状部24の内壁面24bから離れた構成となっている。流出規制部29,29は、注出用開口孔23の+X側へ行くに従って互いに近づく方向へ拡がり、注出用開口孔23の周縁23aうち、X方向に対して直線状に傾斜した周縁部分23b、23bを構成する。これら流出規制部29によって、注出用開口孔23のうち+X側(樋状部24の頂部qとはX方向反対側)の一部が縮寸されている。
注出用開口孔23は、一例として、雫形状をなしており、傾倒時に上位となる+X側の一部が、上述した流出規制部29によって下位側よりも縮寸されている。図7に示すように、注出用開口孔23は、その一部が樋状部24の開口端24aよりも径方向外側(+X側)に突出しており、樋状部24に囲まれずに開放されている。
また、図5及び図6に示すように、樋状部24の両外側には、樋状部24に沿って軸線方向へ延びるとともに樋状部24の外形に倣って湾曲する一対の受け部26,26が設けられている。
一対の受け部26,26は、図6に示すように、側方から見たときに嵌合部11の内側に隠れる第1部分26Aに対して、嵌合部11よりも外側に露出する第2部分26Bが樋状部24の先端(+Z側)に向かって極端に細くなった先細り形状とされている。これら一対の受け部26,26は、図7に示すように、軸線方向から見たときにノズル部13の−X側の頂部qから+X側へ向かうに従って径方向両外側へ広がるように湾曲し、ノズル部13との間に漏れ出た内容液を受ける空間を形成すべく、ノズル部13から離れて設けられている。図7に示すように、受け部26の第1部分26Aにおける+X側の開口端26aは、樋状部24の開口端24aよりも−X側に位置している。
以上述べた本実施形態のノズルキャップ10は、図1に示した容器本体100Aの口部101から、ノズル基部12の底部側を収容空間100a内へ挿入させつつ、嵌合部11の雌ねじ部20を容器本体100A側の雄ねじ部(不図示)に螺合させながら締結することにより、容器本体100Aに装着される。容器本体100Aに装着されたノズルキャップ10には、嵌合部11の雄ねじ部17に計量キャップ102の雌ねじ部(不図示)が螺合されて締結されることにより、計量キャップ102が装着される。
容器本体100A内から内容物を注出する際には、計量キャップ102を締結時とは逆方向に回転して、計量キャップ102の雌ねじ部(不図示)と、ノズルキャップ10の雄ねじ部17との螺合を解除して計量キャップ102をノズルキャップ10から取り外す。計量キャップ102を取り外した状態で、容器本体100Aを把持してノズルキャップ10のノズル部13の開口側を上方に向け、その後、図12に示すように、ノズル部13が下方に位置するように斜めに傾けることにより、容器本体100Aに収納された内容物をノズル部13から計量キャップ102に注出して計量することができる。
多く出し過ぎてしまった場合は再び容器本体100A内へ戻そうとするが、その際に、注出用開口孔23内へ入らずに樋状部24の外側に漏れ出した内容液は、その両側に存在する一対の受け部26,26によって受け止められる。各受け部26によって受容された内容液は、傾倒時に第2部分26Bに沿って先端側へと案内されて、その後の計量の際に注出される。
容器本体100Aへ内容物を詰め替える際には、計量キャップ102を締結時とは逆方向へ回転して、計量キャップ102の雌ねじ部(不図示)と、ノズルキャップ10の雄ねじ部17との螺合を解除して計量キャップ102をノズルキャップ10から取り外す。計量キャップ102を取り外した状態で、詰め替え容器からノズルキャップ10のノズル部13を通して容器本体100Aへ内容物を詰め替える。
ここで、図11に示すような従来の構成では、注出用開口孔23に本発明のような流出規制部29が設けられておらず、注出用開口孔202の周縁に沿ってノズル部13が立設されており、樋状部24の内壁面24bの略全体が注出用開口孔202の周縁と一致していた。そのため、内容物が注出用開口孔202を通過した直後から樋状部24の内壁面24bに沿って流動することになり、内容物が高粘度であるほど、ノズル流路18内を流れる際に、樋状部24の内壁面24bに対する内容物の粘性摩擦によって流動損失が生じてしまい、内容物の流下速度が低下してしまう。このため、ノズルキャップ10を介して内容物がなかなか注出されないという不具合が生じることがあった。
樋状部24のノズル流路18内を流動する内容物のうち、内壁面24bに接しない中央部分は内壁面24bに対する粘性摩擦の影響を受けないため、内壁面24bに接する周辺部分よりも流速が速い。つまり、内容物の樋状部24内を流れる速度分布は、内壁面24b側が最も遅く、内壁面24bから離れるにしたがって次第に速くなり、ノズル流路18の中央部分で最も速くなる。つまり、樋状部24の内壁面24bに接しない量が多いほど粘性摩擦による影響を減らすことができ、内容物の流下速度を速めることができる。
そこで、本実施形態では、ノズルキャップ10における注出用開口孔23のうちノズル部13の樋状部24によって囲まれた領域の一部に一対の流出規制部29を設けた構成とし、注出用開口孔23の少なくとも一部を樋状部24の内壁面24bから遠ざけた構成とした。液体洗剤等の内容物は高粘度であり、特に使用時における内容物の粘度が500mPa・sを超えると、注出用開口孔23を通過した直後は注出用開口孔23の形状の余韻を残した状態で流出する。
このため、流出規制部29によって、注出用開口孔23の周縁を樋状部24の内壁面24bから遠ざけた構成とすることによって、使用時に注出用開口孔23を通過した内容物のうち、一対の流出規制部29の間を通過した内容物が、その直後に樋状部24の内壁面24bに接することなく流出することになり、樋状部24の内壁面24bに接するまでの時間を稼ぐことができる。
また、特に、樋状部24の開放側を流動する内容物は内壁面24bに対する粘性摩擦の影響を受けにくい。このため、流出規制部29を設けることで、樋状部24の開放側を流動する内容物が樋状部24の内壁面24bに接触するタイミングを少しでも遅らせることによって、ノズル流路18内を流動する内容物全体の流下速度を速めることが可能となる。これによって、内容物の注出効率を改善することができる。
なお、本実施形態では、流出規制部29を設けた注出用開口孔23の形状の一例を挙げて述べたが、流出規制部29および注出用開口孔23の形状や大きさ等は適宜変更が可能である。
また、本実施形態では、注出用開口孔23の一部を空気置換孔25として機能させる構成となっているが、これに限られない。例えば、空気置換孔25を注出用開口孔23とは別に設けてもよい。この場合、傾倒時に注出用開口孔23よりも上方となる位置(例えば、底面部22の第2傾斜面22B)に空気置換孔25を注出用開口孔23とは別に形成することによって、空気置換孔25において空気置換をスムーズに行うことができ、注出用開口孔23から効率よく内容物を注出させることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態のノズルキャップ27の構成について説明する。
以下に示す本実施形態のノズルキャップ27の基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、本実施形態の第1流出規制部29Aは、注出用開口孔23Bうち樋状部24によって囲まれた周縁全体に設けられている点において異なる。よって、以下の説明では、上記実施形態と異なる点について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、図1〜図7と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
図8は、第2実施形態のノズルキャップ27を軸線方向から見た上面図である。
ノズルキャップ27は、図8に示すように、樋状部24の内側に設けられた注出用開口孔23Bのうち、樋状部24によって囲まれた第1開口28から主に内容物が流出し、樋状部24の開口端24a,24aよりも径方向外側(+X側)に位置する部分が主に空気置換孔25として機能する。
空気置換孔25は、Y方向両側に設けられた第2流出規制部29Bによって傾倒時に上側となる方向に向かって注出用開口孔23Bよりも開口幅が漸次縮寸されている。
本実施形態のノズルキャップ27では、注出用開口孔23Bのうち、樋状部24によって囲まれた周縁に沿ってその全体に第1流出規制部29Aが設けられた構成とされている。つまり、樋状部24の内壁面24bの全体に亘って第1流出規制部29Aが形成されている。第1流出規制部29Aは、樋状部24の内壁面24bと第1開口28との間に存在し、第1開口28の周縁が樋状部24の内壁面24bから離れている。
第1流出規制部29Aは、注出用開口孔23Bの第1開口28の周縁に沿って略均一な幅Wで設けられている。第1流出規制部29Aの幅Wは、内容物の粘性等に応じて適宜設定される。なお、第1流出規制部29Aの幅Wは、第1開口28の周辺に亘って一定でなくてもよく、部分的に幅寸法が変化していてもよい。
本実施形態の構成によれば、樋状部24の内壁面24bに沿って第1流出規制部29Aを設けたことによって、注出用開口孔23Bのうち第1開口28が樋状部24の内壁面24bから離れた構成となり、第1実施形態の構成よりも、注出用開口孔23Bから内容物が注出してから樋状部24の内壁面24bに接するまでの時間を稼ぐことができる。
本実施形態のノズルキャップ27によれば、第1流出規制部29Aにより、注出用開口孔23を通過した内容物の略全体が樋状部24の内壁面24bに接触するタイミングをさらに遅らせることができる。これによって、ノズル流路18内を流動する内容物の流下速度がさらに速まり、内容物の注出効率を高めることができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態のノズルキャップ30の構成について説明する。
以下に示す本実施形態のノズルキャップ30の基本構成は、上記第2実施形態と略同様であるが、一対の流出規制部29Cが、樋状部24によって囲まれた注出用開口孔23Cの周縁のうち傾倒時に下側となる領域を除いて注出用開口孔23CのY方向両側にそれぞれ形成されている点において異なる。よって、以下の説明では、上記実施形態と異なる点について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、図8と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
図9は、第3実施形態のノズルキャップ30を軸線方向から見た上面図である。
本実施形態のノズルキャップ30は、図9に示すように、ノズル部13の樋状部24によって囲まれた注出用開口孔23Cの周縁のうち、樋状部24の頂部q側の周縁部分23cを除く他の周縁部分23d,23dに沿って、一対の流出規制部29C,29Cが設けられている。注出用開口孔23Cの周縁部分23cは、樋状部24の内壁面24bと一致する。
本実施形態のノズルキャップ30では、注出用開口孔23Cの周縁のうち、樋状部24の頂部q側の周縁部分23cを除いて流出規制部29Cを設ける構成とした。傾倒時に下側になる周縁部分23cを除いて流出規制部29Cを設けることで、注出用開口孔23を通過する際に内容物が流出規制部29Cを乗り上げる必要がなくなり、使用時における容器本体100Aの傾倒角度の上昇を招くことなく、内容物が注出用開口孔23から樋状部24のノズル流路18内へ至る時間を短縮することができる。注出用開口孔23の周縁部分23cを通過した内容物は、その重力によって傾斜したノズル流路18内を流下していく。
一方、注出用開口孔23の周縁部分23d,23d、つまり流出規制部29C,29Cの間を通過した内容物は、各流出規制部29Cによってノズル流路18の入口付近での拡がりが抑えられ、樋状部24の内壁面24bに接するタイミングを遅らせることができる。
このように、本実施形態の構成では、使用時に容器本体100Aを傾ける角度が大きくなるのを抑えて、重力に従って流下する内容物の流出性を向上させることができる。これとともに、内壁面24bに対する内容物の粘性摩擦による影響を減らし、流動損失を抑えることによって、内容物全体の流下速度を速めることができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態のノズルキャップ40の構成について説明する。
以下に示す本実施形態のノズルキャップ40の基本構成は、上記第3実施形態と略同様であるが、本実施形態では、流出規制部29Dが、樋状部24によって囲まれた注出用開口孔23Dの周縁のうちの1/2の領域にだけ設けられている点において異なる。よって、以下の説明では、上記実施形態と異なる点について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、図9と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
図10は、第4実施形態のノズルキャップ40を軸線方向から見た上面図である。
本実施形態のノズルキャップ40では、図10に示すように、樋状部24によって囲まれた注出用開口孔23Dの周縁のうち、樋状部24の頂部q側の周縁部分23cとその両側の周縁部分23e,23eを除いた他の周縁部分23f,23fに、一対の流出規制部29D,29Dが形成されている。
流出規制部29Dは、注出用開口孔23Dのうち、樋状部24によって囲まれた部分の約1/2の領域、ここでは、図10の紙面における上半分(+X側)の周縁部分23f,23fにだけ設けられている。具体的に流出規制部29Dは、樋状部24の各開口端24aから所定の領域に亘って形成されている。流出規制部29Dの形成領域は、内容物の種類などに応じて適宜設定される。本実施形態では、流出規制部29Dの端部29dが軸線Cよりも−X側に位置しているが、+X側に位置していてもよい。
流出規制部29D,29Dは、注出用開口孔23Dの+X側へ行くに従って互いに近づく方向へ拡がり、X方向に対して湾曲した周縁部分23f、23fを構成する。
注出用開口孔23Dは、3つの開口領域(空気置換孔25、第1開口28A、第2開口28B)からなり、傾倒時に上側となる方向から開口面積が小さい順にX方向に並んでいる(空気置換孔25の開口面積<第1開口28Aの開口面積<第2開口28Bの開口面積)。
ここで、空気置換孔25は、注出用開口孔23Dのうち底面部22の第2傾斜面22Bに形成された領域の開口である。第1開口28Aは、注出用開口孔23Dのうち底面部22の第1傾斜面22Aに形成され、一対の流出規制部29D,29Dの間の領域の開口である。第2開口28Bは、注出用開口孔23Dのうち底面部22の第1傾斜面22Aに形成され、一対の流出規制部29D,29Dの間の領域を除く領域の開口である。
傾倒時に最下位となる第2開口28Bの開口面積を広く取ることによって、自重によって流出する内容物を多く流出させることができる。また、流出規制部29D,29Dによって、ノズル流路18のうち、流出規制部29D,29Dの間の第1開口28Aから流出した内容物、つまり、樋状部24の開放側を流動する内容物が内壁面24bに接するタイミングを遅らせることができる。これにより、内壁面24bに対する粘性摩擦の影響を抑えて、ノズル流路18を流れる内容物の流下速度を速めることができ、内容物の注出性を改善することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、注出用開口孔の形状、流出規制部を設ける範囲、形状、大きさ等は、上述した各実施形態の形状に限られることはなく、内容物の種類等に応じて適宜変更が可能である。
29、29A,29B,29C,29D…流出規制部、10…ノズルキャップ(キャップ)、11…嵌合部、12…ノズル基部、13…ノズル部、22…底面部、23,23B,23C,23D…注出用開口孔、23c…周縁部分、24a…開口端、25…空気置換孔、100…容器、100A…容器本体、101…口部

Claims (5)

  1. 粘性を有する液状の内容物を収容する容器本体の口部に着脱可能に装着され前記内容物を傾倒注出するキャップであって、
    前記口部に嵌合する嵌合部と、
    前記嵌合部の内側に同軸をなして設けられ底面部に注出用開口孔を有するノズル基部と、
    前記注出用開口孔の少なくとも一部を囲むように前記底面部に立設され前記容器本体とは反対側に延出する、樋状部と一対の受け部とを有しているノズル部と、を備え、
    前記ノズル部の内側には、前記注出用開口孔のうち前記ノズル部によって囲まれた周縁の少なくとも一部に流出規制部が設けられ
    前記流出規制部は、前記注出用開口孔のうち傾倒時に上側となる方向へ前記注出用開口孔を漸次縮寸するように設けられ、
    前記底面部は、前記容器本体側に凸のV字形状をなし、互いに傾斜角度の異なる第1傾斜面と第2傾斜面とを有し、
    前記注出用開口孔は、前記第1傾斜面から前記第2傾斜面にかけて形成され、かつ該注出用開口孔のうち前記第2傾斜面に形成された第2の開口は、傾倒時に前記樋状部の上側となる開口端よりも径方向外側へ突出している、キャップ。
  2. 前記流出規制部は、前記注出用開口孔のうち前記ノズル部によって囲まれた周縁全体に設けられている、請求項1に記載のキャップ。
  3. 前記流出規制部は、前記注出用開口孔のうち少なくとも傾倒時に下側になる周縁部分を除く他の周縁部分に設けられている、請求項1に記載のキャップ。
  4. 前記流出規制部は、前記注出用開口孔のうち前記ノズル部によって囲まれた周縁の1/2の領域に設けられている、請求項1に記載のキャップ。
  5. 前記ノズル部は、軸方向に交差する径方向の一端側に開口するU字形状をなす、請求項1からのいずれか項に記載のキャップ。
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