JP6891401B2 - レトルト用スタンドアップパウチ - Google Patents

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Description

本発明は、レトルト用スタンドアップパウチに関し、更に詳しくはレトルト処理後のガスバリア性の回復速度が速く、かつ、高いガスバリア性を安定して維持することができるレトルト用スタンドアップパウチに関するものである。
食品や飲料等の包装材料は、加熱殺菌時の包装材料の溶出、また、それに伴う内容物の風味の悪化を防止する為、耐レトルト性、耐熱性といった機能が要求されている。
また、食品等の包装容器として、従来の瓶や缶に比べて軽量で使用後の減容性に優れる自立袋(スタンドアップパウチともいう。)が普及してきている。スタンドアップパウチを構成するフィルム材料としては内容物を充填した際に自立出来る剛性と、内容物の劣化防止の観点からガスバリア性を備えた構成が多数存在する。これらの性質を備えたフィルム材料としては、アルミニウム箔とポリマーフィルムから成る積層フィルムが使用されてきた。
しかし、アルミニウム箔を主要な構成とするスタンドアップパウチは、特に食品包装材に関しては、消費者が電子レンジを使用出来ない問題があり、アルミニウム箔を使用しないスタンドアップパウチの要望が高まっている。
一方、アルミニウム箔を使用しないで比較的高いガスバリア性が得られるフィルム基材として、酸化珪素や酸化アルミニウム等の無機酸化物から形成される蒸着フィルムを使用することが提案されているが、無機酸化物の蒸着フィルムの場合には、優れたガスバリア性を有するものの、耐屈曲性等に欠けることから、ピンホールが発生し易く、そのガスバリア性を著しく損なうという問題点がある。
かかる問題点を解決する手段として、酸化珪素や酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着フィルムの面上に、1種以上のアルコキシドとビニルアルコール系樹脂を含有し、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性塗布膜を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
上記特許文献1の開示技術は、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性塗布膜と無機酸化物の蒸着膜とが相乗し、耐屈曲性を有することから、高いガスバリア性を安定して維持するとともに、耐レトルト性等に優れるものである。
しかしながら、無機酸化物の蒸着フィルムの面上に、別途、ガスバリア性塗布膜を設ける必要があるために、生産効率が悪く、また、厳しく生産管理を行う必要もあり、フィルムが高価になってしまう等の問題があった。
また、近年では、包装容器に対するさらなる高機能化が求められており、酸化を抑えるため外部からの酸素の侵入を防ぐ酸素バリア性や、二酸化炭素バリア性、各種香気成分等に対するバリア性機能も要求されている。バリア性機能を多層フィルムに付与する際、内層(シーラント側)に用いる無延伸ポリオレフィンフィルム類はガスバリア性に乏しい上、コーティングや蒸着によりバリア性機能を付与することが困難である。そのため、外層側に用いている各種フィルム(ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂や、ポリアミド樹脂、延伸ポリオレフィン樹脂)にバリア性機能を付与することが多い。
特開2005−178804号公報
これらの外層側フィルムとして、酸素バリア性機能を持つポリビニルアルコール樹脂やエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物を、「EVOH」と称することがある。)を用いた場合、レトルト処理直後ではバリア性が著しく低下することになり、熱水処理後には速くバリア性を改善させないと、包装容器内の食品等の内容物の品質が悪化してしまうという問題点があった。
そこで、本発明はこのような背景下において、レトルト処理後のガスバリア性の回復速度が速く、かつ、高いガスバリア性を安定して維持することができるレトルト用スタンドアップパウチを提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者はこのような事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、基材フィルムの一方の面に、ポリアミド系樹脂層、EVOH層、ヒートシール樹脂層を有する積層材からなるレトルト用スタンドアップパウチにおいて、該EVOH層の両面に該ポリアミド系樹脂層を隣接させることにより、レトルト処理後のガスバリア性の回復速度が速く、かつ、高いガスバリア性を安定して維持することができるレトルト用スタンドアップパウチが得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、以下の(1)〜(6)である。
(1)基材フィルムと、該基材フィルムの一方の面に、ポリアミド系樹脂層、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層及びヒートシール樹脂層を有し、該エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層の両面に該ポリアミド系樹脂層が隣接している積層材を含むことを特徴とするレトルト用スタンドアップパウチ。
(2)前記ポリアミド系樹脂層の厚みが1〜80μmであることを特徴とする前記(1)に記載のレトルト用スタンドアップパウチ。
(3)前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層の厚みが1〜35μmであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のレトルト用スタンドアップパウチ。
(4)前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層の厚み(Tc)と前記ポリアミド系樹脂層の総和の厚み(Tb)との比(Tc/Tb)が、0.01〜8であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のレトルト用スタンドアップパウチ。
(5)前記ヒートシール樹脂層を構成するヒートシール樹脂が、ポリプロピレンであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のレトルト用スタンドアップパウチ。
(6)前記基材フィルムが、ポリエステル系樹脂フィルムであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のレトルト用スタンドアップパウチ。
本発明のレトルト用スタンドアップパウチは、基材フィルムの一方の面に、ポリアミド系樹脂層、EVOH層、ヒートシール樹脂層を有し、該EVOH層の両面に該ポリアミド系樹脂層が隣接してなるものであり、レトルト処理後のガスバリア性の回復速度が速く、かつ、高いガスバリア性を安定して維持することができるといった効果を有するものである。
図1は、本発明にかかるレトルト用スタンドアップパウチを構成する積層材の概略的断面図である。 図2は、本発明のスタンドアップパウチの一例を示す説明図である。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、これらの内容に特定されるものではない。
なお、本発明において、レトルト用スタンドアップパウチの内容物を収容する側、すなわちシーラント側を「内側」といい、その反対側を「外側」という。
また、以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」等の語は、図面の方向に対応する便宜的なものである。
また、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい、「シート」とは、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明について、以下に図面等を用いて詳しく説明する。
まず、本発明のレトルト用スタンドアップパウチを構成する積層材について、その層構成の例を例示して説明する。図1は、本発明にかかるレトルト用スタンドアップパウチを構成する積層材の概略的断面図である。
なお、上記の例示は、本発明に係るレトルト用スタンドアップパウチを構成する積層材について、その例を例示したものであり、本発明は、これに限定されるものではないものである。
例えば、本発明においては、図示しないが、さらに、その使用目的、用途等によって、他の樹脂層や接着樹脂層等を任意に積層して、種々の形態からなる積層材を設計して製造することができるものである。
本発明のレトルト用スタンドアップパウチは、少なくとも基材フィルム1、ポリアミド系樹脂層2、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(EVOH)層3、ヒートシール樹脂層4を有する積層材からなり、基材フィルム1の一方の面に、ポリアミド系樹脂層2、EVOH層3、ヒートシール樹脂層4を有し、EVOH層3の両面にポリアミド系樹脂層2が設けられている。
本発明においては、ガスバリア性樹脂層として、EVOH層3を用い、かつ、EVOH層の両面に該ポリアミド系樹脂層が隣接してなることが重要である。EVOH層の両側にポリアミド系樹脂層を隣接させることで、レトルト処理後のガスバリア性の回復速度が速くなる。
上記の構成により、本発明のレトルト用スタンドアップパウチは、内容物の酸化による風味の劣化を防止し、内容物の長期保存が可能となる。
次に、本発明において、上記のような積層材を使用して製袋してなる本発明に係るレトルト用スタンドアップパウチについて説明する。かかるレトルト用スタンドアップパウチの胴部及び底部としては、例えば、上記の図1に示す積層材を使用することができる。
図2は、本発明のスタンドアップパウチの一例を示す説明図である。本発明のスタンドアップパウチ5は、表裏二枚の胴部シート6,6と底部シート7からなっている。胴部シート6および底部シート7は、可撓性を有したシートであり、本発明の積層材を所望の大きさに切り取ったものである。本発明の積層材は、樹脂フィルム層が内側に位置するように、すなわち基材フィルム1側が外側に位置するように配置される。
二枚の胴部シート6,6の下部の間に底部シート7が折り畳まれた状態で挿入され、胴部シート6,6の下部縁部と底部シート7の周縁部がシールされることにより底部シール部8が形成され、重ねられた胴部シート6,6の左右の縁部がシールされることによりサイドシール部9が形成される。これにより、内容物が充填された状態で、底部シート7が拡開しスタンドアップパウチになる。
本発明においては、上記スタンドアップパウチ5の上部が開口した状態で、この開口部から所望の飲食品等の内容物を充填する。次いで、上方の開口部をヒートシールして天シール部等を形成して包装半製品を製造し、しかる後、該包装半製品を、加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理等を施して、種々の形態からなるレトルト包装食品を製造することができるものである。
以下に、本発明のレトルト用スタンドアップパウチを構成する積層材に用いる各層について説明する。
<基材フィルム>
本発明で用いる基材フィルムとしては、これが、本発明に係るレトルト用スタンドアップパウチを構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた強度を有し、更に、耐突き刺し性、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、透明性等に優れた樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましい。
具体的には、基材フィルムを構成する基材フィルム(A)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他の強靭な樹脂等から得られるフィルムないしシートを使用することができ、中でも、ポリエステル系樹脂より得られるポリエステル系樹脂フィルムが好ましい。
上記の樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明における基材フィルムの厚みとしては、強度、耐突き刺し性等について、保持され得る厚みであればよく、厚すぎると、コストが上昇してしまう傾向があり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性等が低下してしまう傾向がある。
本発明においては、上記のような理由から、基材フィルムの厚みは、10〜100μmであることが好ましく、特には12〜50μmが好ましい。
また、基材フィルムには、必要に応じて適宜印刷層を設けることができる。印刷層としては、溶剤と、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系などのバインダー樹脂と、各種顔料、体質顔料および可塑剤、乾燥剤、安定剤などを配合してなるインキにより形成される層である。この印刷層により、文字、絵柄などを形成することができる。印刷方法としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法を用いることができる。また、基材フィルムの表面を、予め前処理としてコロナ処理またはオゾン処理を施すことにより、印刷層の密着性を向上させることができる。通常は、基材フィルムの内側面に印刷層を設ける。
<ポリアミド系樹脂層>
本発明で用いるポリアミド系樹脂層を構成するポリアミド系樹脂(B)としては、公知のポリアミド系樹脂を用いることができる。具体的には、ポリアミド系樹脂(B)としては、例えば、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)等のホモポリマーが挙げられる。また、共重合ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン12/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)等の脂肪族ポリアミドや、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドや、ポリ−p−フェニレン・3−4’ジフェニルエーテルテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド、非晶性ポリアミド、上記のポリアミド系樹脂をメチレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等のカルボキシル基やアミノ基で末端を変性した末端変性ポリアミド等が挙げられる。
本発明は、後述のEVOH層の両面にポリアミド系樹脂層が隣接してなることを特徴とするものであるが、かかるポリアミド系樹脂層の厚みとしては、其々、1〜80μmであることが好ましく、より好ましくは10〜60μm、特に好ましくは15〜40μmである。
また、ポリアミド系樹脂層の総和の厚み(Tb)としては、2〜120μmであることが好ましく、より好ましくは10〜90μm、特に好ましくは20〜60μmである。
ポリアミド系樹脂層の厚みが薄すぎると、レトルト処理後のガスバリア性の回復速度が遅くなる傾向があり、厚すぎると、結果的にスタンドアップパウチ全体の厚みが厚くなってしまうことで、剛性が大きくなり、スタンドアップパウチに実際に食品等を充填する際の開口性が低下する傾向がある。
なお、複数あるポリアミド系樹脂層は、同一のポリアミド系樹脂(B)により形成されたものであってもよく、異なるポリアミド系樹脂(B)により形成されたものであってもよい。
<EVOH層>
本発明で用いるEVOH層を構成するEVOH(C)は、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体(エチレン−ビニルエステル系共重合体)をケン化することにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。重合法も公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いて行うことができるが、一般的にはメタノール等の低級アルコールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。このようにして製造されるEVOHは、エチレン由来の構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、市場からの入手のしやすさや製造時の不純物処理効率が良い点から、代表的には酢酸ビニルが用いられる。他のビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられ、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルを用いることができる。これらは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
EVOH(C)におけるエチレン含有率は、ISO14663に基づいて測定した値で、20〜60モル%であることが好ましく、より好ましくは25〜50モル%、特に好ましくは25〜35モル%である。かかる含有率が低すぎる場合は、高湿下のガスバリア性、溶融成形性が低下する傾向があり、逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が低下する傾向がある。
EVOH(C)におけるビニルエステル成分のケン化度は、JIS K6726(ただし、EVOHは水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて測定した値で、90〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは95〜100モル%、特に好ましくは99〜100モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合にはガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向がある。
また、EVOH(C)のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)は、0.5〜100g/10分であることが好ましく、より好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは3〜35g/10分である。かかるMFRが大きすぎる場合には、製膜性が低下する傾向があり、小さすぎる場合には溶融粘度が高くなり過ぎて溶融押出しが困難となる傾向がある。
本発明に用いられるEVOH(C)には、エチレン構造単位、ビニルアルコール構造単位(未ケン化のビニルエステル構造単位を含む)の他、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。前記コモノマーとしては、例えば、プロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、3−ブテン−1、2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などのヒドロキシ基含有α−オレフィン誘導体;不飽和カルボン酸又はその塩,部分アルキルエステル,完全アルキルエステル,ニトリル,アミド若しくは無水物;不飽和スルホン酸又はその塩;ビニルシラン化合物;塩化ビニル;スチレン等が挙げられる。
さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたEVOH系樹脂を用いることもできる。
以上のような変性物の中でも、共重合によって一級水酸基が側鎖に導入されたEVOHは、延伸処理や真空・圧空成形などの二次成形性が良好になる点で好ましく、中でも1,2−ジオール構造を側鎖に有するEVOHが好ましい。
本発明で用いられるEVOH(C)には、本発明の効果を阻害しない範囲において、一般的にEVOHに配合する配合剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤などが含有されていてもよい。
上記熱安定剤としては、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させる目的で、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸類またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩などの塩;または、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸類、またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩などの塩等が挙げられる。
また、本発明で使用されるEVOH(C)は、異なる他のEVOHとの混合物であってもよく、かかる他のEVOHとしては、エチレン含有率が異なるもの、ケン化度が異なるもの、メルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)が異なるもの、他の共重合成分が異なるもの、変性量が異なるもの(例えば、1,2−ジオール構造単位の含有量が異なるもの)などを挙げることができる。
また、レトルト食品などのように、熱水処理される包装体の包装用材料を製造する場合、ポリアミド系樹脂を含有したEVOH樹脂組成物を用いることが好ましい。ポリアミド系樹脂は、アミド結合がEVOH(C)の水酸基及び/又はエステル基との相互作用によりネットワーク構造を形成することが可能であり、これにより、レトルト処理時のEVOH(C)の溶出を防止することができる。
該ポリアミド系樹脂としては、公知のものを用いることができる。例えば、上述したポリアミド系樹脂(B)と同様のものを用いることができる。
EVOH層の厚み(Tc)としては、1〜35μmであることが好ましく、より好ましくは5〜25μm、特に10〜20μmが好ましい。かかる厚みが薄すぎるとガスバリア性が低下する傾向があり、厚すぎるとレトルト処理後のガスバリア性の回復速度が低下する傾向がある。
<ヒートシール樹脂層>
本発明で用いるヒートシール樹脂層としては、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよい。ヒートシール樹脂層を構成するヒートシール樹脂(D)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等の樹脂の1種ないしそれ以上からなる樹脂のフィルムないしシートあるいはその塗布膜等を使用することができる。
中でも、スタンドアップパウチに十分な自立性を付与するという観点から、フィルム自体に腰のある直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)もしくはポリプロピレンが好ましい。さらには、比較的高温(120℃以上)でのレトルト処理後の溶出を抑制する観点から、ポリプロピレンが特に好ましい。
本発明におけるヒートシール樹脂層は、単層ないし多層で使用することができ、また、ヒートシール樹脂層の厚みとしては、30〜300μmが好ましく、より好ましくは35〜200μm、さらに好ましくは40〜100μmである。かかる厚みが薄すぎるとシール部分のシール強度が低下する傾向があり、厚すぎると剛性が大きくなり、スタンドアップパウチに食品等を充填する際の開口性が低下する傾向がある。
本発明のレトルト用スタンドアップパウチを構成する積層材は、上記基材フィルム、ポリアミド系樹脂層、EVOH層、ヒートシール樹脂層以外のその他の層、例えば、他の樹脂層や接着樹脂層等の任意の層を有していてもよい。
<他の樹脂層>
他の樹脂層を構成する樹脂としては、公知のものを使用できる。このような樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。
他の樹脂層の厚みとしては、1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは5〜90μm、特に10〜80μmが好ましい。
<接着樹脂層>
接着樹脂層を構成する接着樹脂としては、公知のものを使用できる。接着樹脂としては、代表的には不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性ポリオレフィン系重合体を挙げることができる。例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリ環状オレフィン系樹脂、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂等であり、これらから選ばれた1種または2種以上の混合物を用いることができる。
接着樹脂層の厚みとしては、1〜30μmであることが好ましく、より好ましくは2〜20μm、特に3〜10μmが好ましい。
次に、本発明の積層材の製造方法について説明する。以下に例示する積層材は、ポリアミド系樹脂(B)として、基材フィルム側のポリアミド系樹脂をポリアミド系樹脂(B1)、ヒートシール樹脂層側のポリアミド系樹脂をポリアミド系樹脂(B2)とした場合、基材フィルム側から順に、ポリアミド系樹脂(B1)により形成した第1のポリアミド系樹脂層、EVOH層、ポリアミド系樹脂(B2)により形成した第2のポリアミド系樹脂層、ヒートシール樹脂層を有する。
<積層材の製造方法>
本発明における積層材は、例えば、(1)基材フィルムに、第1のポリアミド系樹脂層、EVOH層、第2のポリアミド系樹脂層及びヒートシール樹脂層を有する多層フィルムを積層する方法、(2)基材フィルムに、第1のポリアミド系樹脂層、EVOH層、第2のポリアミド系樹脂層、ヒートシール層を順次積層する方法、(3)基材フィルム、第1のポリアミド系樹脂層、EVOH層、第2のポリアミド系樹脂層及びヒートシール樹脂層のうちの任意の層を積層しておき、残りの層を積層する方法等によって得られる。中でも、積層に要するコストを削減できるという観点から、積層回数が1回のみである上記(1)の方法が好ましい。
まず、第1のポリアミド系樹脂層、EVOH層、第2のポリアミド系樹脂層、及びヒートシール樹脂層を有する多層フィルム、とりわけ、第1のポリアミド系樹脂層/EVOH層/第2のポリアミド系樹脂層/ヒートシール樹脂層がこの順に積層されてなる多層フィルムの製造方法について説明する。
本発明で用いるEVOH層を含む多層フィルムの積層は、溶融成形法、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、押出ラミネーション法、共押出ラミネーション法、インフレーション法等で行うことができる。中でも、溶剤を使用しないという環境面、別工程でラミネートを実施する必要がないというコスト面から溶融成形法が好ましい。かかる溶融成形方法としては、公知の手法が採用可能である。例えば、押出成形法(T−ダイ押出、チューブラーフィルム押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法等が挙げられる。溶融成形温度は、通常150〜300℃の範囲から、適宜選択される。
続いて、上記基材フィルムと上記多層フィルムを積層する方法について説明する。
上記基材フィルムと上記多層フィルムを積層する方法としては、通常の包装材料を製造するときに使用する積層法、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、押出ラミネーション法、共押出ラミネーション法、インフレーション法等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、その積層する基材の表面に、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の前処理を任意に施すことができる。
また、上記において、押出ラミネートするときには、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等を溶融押出ラミネート用樹脂として使用することができる。
その際に、接着助剤として、例えば、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、その他のアンカーコート剤等を任意に使用することができる。
また、本発明においては、ドライラミネートするときには、例えば、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、エポキシ系等をビヒクルの主成分とする溶剤型、水性型、エマルジョン型等のラミネート用接着剤等を使用することができる。
なお、複数種の基材フィルムと多層フィルム(例えば、基材フィルム/基材フィルム/多層フィルム)の構成も可能である。また、基材フィルム/多層フィルム/基材フィルムの構成も可能である。基材フィルム同士の積層についても、上記と同様の方法で積層させることができる。
<層厚み>
本発明において、基材フィルムを含むスタンドアップパウチ用積層材の全厚は、50〜200μmが好ましく、特に好ましくは60〜190μm、更には70〜180μmが好ましい。全厚が薄すぎると、自立性を保持するための剛性が得られない傾向がある。また、厚すぎると、剛性が大き過ぎて、スタンドアップパウチに実際に食品等を充填する際の開口性が低下する傾向がある。本発明における開口性とは、被包装物の充填において包装袋口への空気等のガス吹き付けに対して容易に開口し、自動包装に対応できる特性をいう。
本発明において、スタンドアップパウチ用の積層材を構成する、ポリアミド系樹脂層、EVOH層及びヒートシール樹脂層を有する多層フィルムの厚みは、用途や包装形態、要求される物性などにより一概に言えないが、1〜150μmであることが好ましく、より好ましくは5〜145μm、特に好ましくは10〜140μmである。
EVOH層の厚み(Tc)と第1のポリアミド系樹脂層の厚み(Tb1)との比(Tc/Tb1)としては、0.02〜10であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5、特に好ましくは0.1〜2、殊に0.15〜1が好ましい。
かかる厚み比が小さすぎると、ガスバリア性が低下する傾向があり、大きすぎるとレトルト後のガスバリア性回復が遅くなる傾向がある。
EVOH(C)層の厚み(Tc)と第2のポリアミド系樹脂層の厚み(Tb2)との比(Tc/Tb2)としては、0.02〜10であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5、特に好ましくは0.1〜2、殊に0.15〜1が好ましい。
かかる厚み比が小さすぎると、ガスバリア性が低下する傾向があり、大きすぎるとレトルト後のガスバリア性回復が遅くなる傾向がある。
EVOH層の厚み(Tc)とポリアミド系樹脂層の総和の厚み(Tb)との比(Tc/Tb)としては、0.01〜8であることが好ましく、より好ましくは0.05〜4、特に好ましくは0.1〜1、殊に0.15〜0.6が好ましい。
かかる厚み比が小さすぎると、ガスバリア性が低下する傾向があり、大きすぎるとレトルト後のガスバリア性回復が遅くなる傾向がある。
次に、本発明のスタンドアップパウチの具体的な製造方法について説明する。
<スタンドアップパウチの製造方法>
基材フィルムの片面に、例えば、ウレタン系樹脂をバインダーとしたグラビアインキを用いてグラビア印刷を行う。上記基材フィルムの印刷面に、上記EVOH層を備える多層フィルムを、例えば、二液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネート法にて貼り合わせを行う。この場合、接着剤は、印刷面の全面に塗布され貼り合わすことによって、積層材を形成する。形成した積層材は、基材フィルム/印刷層/多層フィルムになる。
次に、スタンドアップパウチを形成するために、上記積層材を所定の幅にスリットし、胴部シート、底部シートを形成する。図2に示したように、二枚の胴部シート6,6を多層フィルム側が対向するように重ね、底部シート7を二枚の胴部シート6,6の下部の間に挟み込んで、底部と左右側辺をシールし、それぞれ底部シール部8、左右のサイドシール部9を形成し、天部、即ち上部が開口したスタンドアップパウチ5を形成する。この際に、少なくとも一方のサイドシール部9に、長手方向にシール部に囲まれた未シール部からなる空隙部を複数形成する。
次に、上記空隙部に空気を圧入する。空気封入部を形成する方法を簡単に説明する。形成された空隙部の長手方向端部に、空気を圧入するための圧入孔を形成する。この圧入孔は、胴部シート6を貫通する孔であればよい。圧入孔から空気を圧入するために、別の圧入ノズルを圧入孔に当接し、空隙部に空気を圧入しながら、目的の空気量に到達したら、圧入孔よりずらした位置で、シールし空気封入部を形成する。その後、圧入孔をシールする。即ち、ヒートシール層により、圧入孔が塞がれ空気封入部が形成される。
次に、天部が開口した包装袋の底部シートを拡開し内容物を充填して、その後、天部をシールして天シール部を形成し密封することで、本発明のスタンドアップパウチ5が形成される。また、空気封入部は一方のサイドシール部9に形成したが、両方のサイドシール部9に形成しても構わない。自立性をさらに向上させることができる。
このように形成されたスタンドアップパウチは、自立性を向上させ、かつ内容物が使用されて中身が減少しても、サイドシールの折れや包装袋の腰砕けなどによる変形が生じないものであり、反面、空気封入部と空気封入部の間で折り曲げることができるために、包装袋を減容化して保存することができる。また、使用後廃棄する場合でも、空気封入部と空気封入部との間を折り曲げ、折り畳んで包装袋を減容化できる。
本発明のレトルト用スタンドアップパウチにおけるレトルト処理条件について説明する。
本発明におけるレトルト処理方法としては、例えば、通常のレトルト釜を使用し、処理温度は、内容物や包装容器により異なり一概には言えないが一般的には110〜180℃、好ましくは120〜150℃である。また、処理時間としては、内容物や包装容器、レトルト処理温度などにより異なり一概には言えないが一般的には20〜60分間、好ましくは30〜60分間加熱加圧処理する方法等により行うことができる。
而して、本発明においては、上記のようなレトルト処理により、内容物を加熱殺菌、あるいは、加熱殺菌調理等を行うことができるものである。
次に、本発明にかかるレトルト用スタンドアップパウチを使用したレトルト包装食品を製造する方法について記載する。
上記で製造した積層材の3方をヒートシール等により密閉し、その後、開口部から内容物を充填し、次いで、その上端部に開口部をヒートシール等により密閉することによって、本発明にかかるレトルト用スタンドアップパウチを使用した包装半製品を製造する。その後、該包装半製品を、レトルト処理等の加熱処理を施すことによって、本発明にかかるレトルト用スタンドアップパウチを使用したレトルト包装食品を製造することができるものである。
本発明にかかるレトルト用スタンドアップパウチを構成する包装用袋内に充填包装する内容物としては、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体スープ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品、具体的には、例えば、カレー、シチュー、スープ、ミートソース、ハンバーグ、ミートボール、しゅうまい、おでん、お粥等の流動食品、ゼリー状食品、調味料、水、その他等の各種の飲食品等を挙げることができる。
而して、本発明のスタンドアップパウチは、レトルト処理後のガスバリア性、高いガスバリア性を安定して維持することができ、内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているものであり、レトルト用スタンドアップパウチとして有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。尚、例中「部」とあるのは、重量基準を意味する。
<実施例1>
・基材フィルム(A)として、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、フタムラ化学株式会社製、グレード:FE2001A、厚み:12μmを用いた。
・ポリアミド系樹脂(B1)及び(B2)として、ナイロン6、宇部興産株式会社製「UBEナイロン」、グレード:1020を用いた。
・EVOH(C)として、エチレン含有量:29.4モル%、ケン化度:99.7モル%、MFR:5.2g/10分(230℃、荷重2160g)のEVOHを用いた。
・ヒートシール樹脂(D)として、ポリプロピレン、日本ポリプロ株式会社製「ノバテックPP」、グレード:BC6DRFを用いた。
・接着樹脂として、ポリプロピレン系接着樹脂、三菱化学株式会社製「モディック」、グレード:614Vを用いた。
[積層材の製造]
まず、多層フィルムを製造し、該多層フィルムと基材フィルムを積層することにより、積層材を製造した。
<多層フィルムの製造>
Tダイ法による製膜をし、ポリアミド系樹脂(B1)により形成された第1のポリアミド系樹脂層(10μm)/EVOH層(20μm)/ポリアミド系樹脂(B2)により形成された第2のポリアミド系樹脂層(10μm)/接着樹脂層(5μm)/ヒートシール樹脂層(55μm)の多層フィルムを得た。
(製膜条件)
・第1のポリアミド系樹脂層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:220℃)
・EVOH層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:230℃)
・第2のポリアミド系樹脂層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:220℃)
・接着樹脂層:32mmφ単軸押出機(バレル温度:200℃)
・ヒートシール樹脂層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・ダイ:フィードブロックダイ(ダイ温度:230℃)
・冷却ロール温度:50℃
<多層フィルムと基材フィルムの積層>
基材フィルムと上記で得られた多層フィルムを、ドライラミネート用接着剤(主剤:東洋モートン社製「TM−242A」、硬化剤:東洋モートン社製「CAT−RT37L」、上記主剤:上記硬化剤:酢酸エチル=17:1.5:19.2)を用いて、ドライラミネートすることによって、積層材を作製した。
(ラミネート条件)
・20℃の環境下で貼り合わせ、40℃にて48時間エージング
得られた積層材について、下記の評価を行った。
[折曲試験後のガスバリア性]
上記で得られた積層材を10cm×10cmの正方形状に切り出し、半分に折り曲げたのちに戻し、酸素ガス透過量測定装置(モコン社製、OX−TRAN 2/21)を用いて、酸素透過度(23℃、内部100%RH、外部50%RH)を測定した。その結果を、表1に示す。
<比較例1>
実施例1で用いた積層材の代わりに、アルミナが蒸着にて積層されたPETフィルム(12μm)(凸版印刷株式会社製、GL・ARH)、ナイロン(15μm)(ユニチカ株式会社製、エンブレム ONMB−RT)、二軸延伸ポリプロピレン(60μm)(東レフィルム加工株式会社製、トレファンNOZK−207)を、実施例1と同様のドライラミネート用接着剤を用いて、上記PET/ナイロン間、及び上記ナイロン/ポリプロピレン間をドライラミネートし、積層材を得た。得られた積層材について、実施例1と同様に評価した。その結果を、表1に示す。
Figure 0006891401
上記結果より、基材フィルムの一方の面に、ポリアミド系樹脂層、EVOH層、ヒートシール樹脂層を有し、該EVOH層の両面に該ポリアミド系樹脂層が隣接してなる場合、折曲試験前後で酸素透過量が変わらず、高いガスバリア性を安定して示すことがわかる。
<実施例2>
・基材フィルム(A)として、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、フタムラ化学株式会社製、グレード:FE2001A、厚み:12μmを用いた。
・ポリアミド系樹脂(B1)及び(B2)として、ナイロン6、宇部興産株式会社製「UBEナイロン」、グレード:1022Bを用いた。
・EVOH(C)として、エチレン含有量:29.4モル%、ケン化度:99.7モル%、MFR:5.2g/10分(230℃、荷重2160g)のEVOHを用いた。
・ヒートシール樹脂(D)として、ポリプロピレン、日本ポリプロ株式会社製「ノバテックPP」、グレード:BC6DRFを用いた。
・接着樹脂として、ポリプロピレン系接着樹脂、LyondellBasell社製「Plexar」、グレード:6002を用いた。
[積層材の製造]
まず、多層フィルムを製造し、該多層フィルムと基材フィルムを積層することにより、積層材を製造した(表2参照。)。
<多層フィルムの製造>
Tダイ法による製膜をし、ポリアミド系樹脂(B1)により形成された第1のポリアミド系樹脂層(15μm)/EVOH層(10μm)/ポリアミド系樹脂(B2)により形成された第2のポリアミド系樹脂層(15μm)/接着樹脂層(5μm)/ヒートシール樹脂層(55μm)の多層フィルムを得た。
(製膜条件)
・第1のポリアミド系樹脂層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:220℃)
・EVOH層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:230℃)
・第2のポリアミド系樹脂層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:220℃)
・接着樹脂層:32mmφ単軸押出機(バレル温度:200℃)
・ヒートシール樹脂層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・ダイ:フィードブロックダイ(ダイ温度:230℃)
・冷却ロール温度:50℃
<多層フィルムと基材フィルムの積層>
基材フィルムと上記で得られた多層フィルムを、実施例1と同様のドライラミネート用接着剤を用いて、ドライラミネートすることによって、積層材を作製した。
(ラミネート条件)
・20℃の環境下で貼り合わせ、40℃にて48時間エージング
得られた積層材について、下記の評価を行った。
[熱水処理後のガスバリア性]
上記で得られた積層材を10cm×10cmの正方形状に切り出し、レトルト装置(株式会社日阪製作所製)を用いて、120℃でレトルト処理を30分間実施した後、取り出して酸素ガス透過量測定装置(モコン社製、OX−TRAN 2/21)を用いて、酸素透過度(23℃、内部100%RH、外部50%RH)を測定した。
参考例1
実施例2において、ポリアミド系樹脂層とEVOH層の膜厚を、表2に記載の膜厚に変更した以外は、実施例2と同様に積層材を製造し、同様に評価した。
<比較例2>
実施例2において、ポリアミド系樹脂層とEVOH層の膜厚および層構成を、表3に記載の膜厚に変更し、他の樹脂層として、ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製「ノバテックPP」、グレード:BC6DRF)を用いた以外は、実施例2と同様に積層材を製造し、同様に評価した。
なお、製膜条件は、下記の条件で行った。
(製膜条件)
・EVOH層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:230℃)
・接着樹脂層:32mmφ単軸押出機(バレル温度:200℃)
・他の樹脂層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・ヒートシール樹脂層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・ダイ:4種5層型フィードブロックダイ(ダイ温度:230℃)
・冷却ロール温度:50℃
実施例2,3、比較例2の評価結果を、表4に纏めて示す。
Figure 0006891401
Figure 0006891401
Figure 0006891401
上記結果より、EVOH層の両面にポリアミド系樹脂層を隣接させることにより、レトルト処理後のガスバリア性の回復速度が速いことがわかる。
実施例2と参考例1の対比から、EVOH層の両面にポリアミド系樹脂層が積層された積層材において、EVOH層の厚みとポリアミド系樹脂層の総和の厚み(Tb)との比(Tc/Tb)を小さくすることによって、レトルト処理後のガスバリア性の回復速度がより速い結果となるものであった。
本発明にかかるスタンドアップパウチは、レトルト処理後のガスバリア性、高いガスバリア性を安定して維持することができ、内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているものである。よって、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体スープ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品を充填するレトルト用スタンドアップパウチとして有用である。
1 基材フィルム
2 ポリアミド系樹脂層
3 EVOH層
4 ヒートシール樹脂層
5 スタンドアップパウチ
6 胴部シート
7 底部シート
8 底部シール部
9 サイドシール部

Claims (5)

  1. 二枚の胴部シート及び底部シートからなるレトルト用スタンドアップパウチであって、
    前記胴部シート及び前記底部シートが、積層材を含み、
    前記積層材が、基材フィルムと、該基材フィルムの一方の面に、ポリアミド系樹脂層(ただし、厚みが10μm以下であるものを除く。)、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層及びヒートシール樹脂層を有し、該エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層の両面に該ポリアミド系樹脂層が隣接している積層材であり、
    前記ヒートシール樹脂層を構成するヒートシール樹脂が、ポリプロピレンであることを特徴とするレトルト用スタンドアップパウチ。
  2. 前記ポリアミド系樹脂層の厚みが15〜80μmであることを特徴とする請求項1に記載のレトルト用スタンドアップパウチ。
  3. 前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層の厚みが1〜35μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のレトルト用スタンドアップパウチ。
  4. 前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層の厚み(Tc)と前記ポリアミド系樹脂層の総和の厚み(Tb)との比(Tc/Tb)が、0.01〜8であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレトルト用スタンドアップパウチ。
  5. 前記基材フィルムが、ポリエステル系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレトルト用スタンドアップパウチ。
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