JP7067856B2 - スタンドアップパウチ用多層構造体 - Google Patents

スタンドアップパウチ用多層構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP7067856B2
JP7067856B2 JP2016123859A JP2016123859A JP7067856B2 JP 7067856 B2 JP7067856 B2 JP 7067856B2 JP 2016123859 A JP2016123859 A JP 2016123859A JP 2016123859 A JP2016123859 A JP 2016123859A JP 7067856 B2 JP7067856 B2 JP 7067856B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
resin
stand
pouch
heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016123859A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017226145A (ja
Inventor
眞太郎 碓氷
彩乃 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2016123859A priority Critical patent/JP7067856B2/ja
Publication of JP2017226145A publication Critical patent/JP2017226145A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7067856B2 publication Critical patent/JP7067856B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、スタンドアップパウチ用多層構造体に関し、更に詳しくは輸送時や陳列時に誤って落下した際の屈曲衝撃に対して破損し難いスタンドアップパウチを構成するための多層構造体、およびそれを用いたスタンドアップパウチに関するものである。
食品や飲料等の包装材料は、ボイル処理、レトルト処理等の熱水処理により殺菌する殺菌工程における包装材料の構成成分の溶出、また、それに伴う内容物の風味の悪化を防止する為、耐レトルト性、耐熱性といった機能が要求されている。
また、食品等の包装容器として、従来の瓶や缶に比べて軽量で使用後の減容性に優れる自立袋(スタンドアップパウチともいう。)が普及してきている。スタンドアップパウチを構成するフィルム材料としては内容物を充填した際に自立出来る剛性と、内容物の劣化防止の観点からガスバリア性を備えた構成が多数存在する。これらの性質を備えたフィルム材料としては、アルミニウム箔とポリマーフィルムから成る積層フィルムが使用されてきた。
しかし、アルミニウム箔を主要な構成とするスタンドアップパウチは、特に食品包装材に関しては、消費者が電子レンジを使用出来ない問題があり、アルミニウム箔を使用しないスタンドアップパウチの要望が高まっている。
一方、アルミニウム箔を使用しないで比較的高いガスバリア性が得られるフィルムとして、酸化珪素や酸化アルミニウム等の無機酸化物から構成される蒸着フィルムを使用することが提案されているが、無機酸化物の蒸着フィルムの場合には、優れたガスバリア性を有するものの、耐屈曲性等に欠けることから、ピンホ-ルが発生し易く、そのガスバリア性を著しく損なうという問題点がある。
かかる問題点を解決する手段として、酸化珪素や酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着フィルムの面上に、1種以上のアルコキシドとビニルアルコール系樹脂を含有し、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性塗布膜を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
上記特許文献1の開示技術は、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性塗布膜と無機酸化物の蒸着膜とが相乗し、耐屈曲性を有することから、高いガスバリア性を安定して維持するとともに、耐レトルト性等に優れるものである。
また、アルミニウム箔や透明蒸着フィルムを使用せず高いガスバリア性が得られるフィルムとして、エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、「EVOH」と称することがある。)層を有する多層構造体が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2005-178804号公報 国際公開第2013/146988号
しかしながら、スタンドアップパウチにおいて、特許文献1に記載の透明蒸着フィルムを用いた場合であっても、未だ輸送により屈曲を受けた後のガスバリア性には改善の余地があった。さらには、落下により瞬間的な屈曲衝撃を受けた場合、金属蒸着層に割れが生じ、ガスバリア性が極端に損なわれる恐れがあった。
さらに、スタンドアップパウチにおいて、特許文献2記載のEVOH層を有する多層構造体を用いた場合、輸送により屈曲を受けた後のガスバリア性低下問題は改善されるものの、落下により瞬間的な屈曲衝撃を受けた場合、多層構造体に亀裂が生じたり、場合によっては多層構造体が割れ、スタンドアップパウチの内容物が漏れたりする恐れがあった。
そこで、本発明はこのような背景下において、無機酸化物の蒸着膜を設けることなく、輸送により屈曲を受けた後や落下により瞬間的な屈曲衝撃を受けた場合であっても、ガスバリア性および多層構造体に亀裂が生じたり、場合によっては多層構造体が割れ、スタンドアップパウチの内容物が漏れたりすることのないスタンドアップパウチが得られる、スタンドアップパウチ用多層構造体を提供することを課題とするものである。以下、スタンドアップパウチが落下により瞬間的な屈曲衝撃を受けた場合に、多層構造体に亀裂が生じたり、場合によっては多層構造体が割れ、スタンドアップパウチの内容物が漏れたりしないという性質を、「耐落袋性」と表現することがある。
しかるに、本発明者らはこのような事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、基材フィルム(A)とヒートシール樹脂(D)層との間に、エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層を備えた多層構造体であって、ヒートシール樹脂(D)層を構成する樹脂組成物(d)が、熱可塑性エラストマーを含有し、かつヒートシール樹脂(D)層における前記熱可塑性エラストマーの含有濃度が、基材フィルム(A)側に対して反対側が基材フィルム(A)側よりも低濃度である多層構造体によりスタンドアップパウチを構成することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、以下の(1)~(17)である。
(1)基材フィルム(A)とヒートシール樹脂(D)層との間に、エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層を有し、前記ヒートシール樹脂(D)層を構成する樹脂組成物(d)が、熱可塑性エラストマーを含有し、かつ前記ヒートシール樹脂(D)層における前記熱可塑性エラストマーの濃度が、基材フィルム(A)側に対して反対側表面層が基材フィルム(A)側表面層よりも低濃度であることを特徴とするスタンドアップパウチ用多層構造体。
(2)前記ヒートシール樹脂(D)層における前記熱可塑性エラストマーの、前記基材フィルム(A)側表面層の濃度と前記基材フィルム(A)側に対して反対側表面層の濃度の差が、3質量%以上である前記(1)に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(3)前記ヒートシール樹脂(D)層における前記基材フィルム(A)側とは反対側表面層における前記熱可塑性エラストマーの濃度が、1~50質量%である前記(1)又は(2)に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(4)前記樹脂組成物(d)中の前記熱可塑性エラストマーの含有量が、1~90質量%であることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(5)前記熱可塑性エラストマーの密度が、0.85~0.96g/cmであることを特徴とする前記(1)~(4)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(6)前記熱可塑性エラストマーの23℃、50%RHにおける曲げ弾性率が150MPa未満であることを特徴とする前記(1)~(5)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(7)前記熱可塑性エラストマーのメルトフローレート(MFR)が、210℃、荷重2160gの条件下で、0.01~150g/10分であることを特徴とする前記(1)~(6)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(8)前記樹脂組成物(d)がポリオレフィン系樹脂を含有し、該ポリオレフィン系樹脂の含有量が10~99質量%であることを特徴とする前記(1)~(7)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(9)前記ヒートシール樹脂(D)層の厚みと、スタンドアップパウチ用多層構造体の全厚みの比が、ヒートシール樹脂(D)層の厚み/全厚みにて、0.2~0.8であることを特徴とする前記(1)~(8)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(10)前記ヒートシール樹脂(D)層が、2層以上の樹脂層からなることを特徴とする前記(1)~(9)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(11)前記基材フィルム(A)と前記エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層との間に、ポリアミド系樹脂(B)層を有することを特徴とする前記(1)~(10)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(12)前記ポリアミド系樹脂(B)層の厚みが1~100μmであることを特徴とする前記(11)に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(13)前記エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層の厚みが1~35μmであることを特徴とする前記(1)~(12)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(14)前記エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層の厚み(Tc)と前記ポリアミド系樹脂(B)層の厚み(Tb)との比(Tc/Tb)が、0.02~10であることを特徴とする前記(11)~(13)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(15)前記基材フィルム(A)が、ポリエステル系樹脂フィルムであることを特徴とする前記(1)~(14)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(16)熱水殺菌処理を施すスタンドアップパウチに用いることを特徴とする前記(1)~(15)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
(17)前記(1)~(16)のいずれか1つに記載のスタンドアップパウチ用多層構造体を含むことを特徴とするスタンドアップパウチ。
本発明のスタンドアップパウチ用多層構造体は、基材フィルム(A)とヒートシール樹脂(D)層との間に、エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層を有し、ヒートシール樹脂(D)層を構成する樹脂組成物(d)が熱可塑性エラストマーを含有し、かつヒートシール樹脂(D)層における前記熱可塑性エラストマーの含有濃度が、基材フィルム(A)側に対して反対側表面層が基材フィルム(A)側表面層よりも低濃度であることにより、無機酸化物の蒸着膜を設けることなく輸送により屈曲を受けた後や落下により瞬間的な屈曲衝撃を受けた場合であっても、ガスバリア性および耐落袋性に優れるスタンドアップパウチが得られる。
図1は、本発明にかかるスタンドアップパウチ用多層構造体の一実施形態の構成を示す概略的断面図である。 図2は、本発明にかかるスタンドアップパウチ用多層構造体の他の実施形態の構成を示す概略的断面図である。 図3は、本発明のスタンドアップパウチの一例を示す全体斜視図である。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示す
ものであり、これらの内容に特定されるものではない。
なお、本発明において、スタンドアップパウチの内容物を収容する側、すなわちシーラント側を「内側」といい、その反対側を「外側」という。
また、以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」等の語は、図面の方向に対応する便宜的なものである。
また、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい、「シート」とは、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
さらに、本発明において、「スタンドアップパウチ」とは、胴部及び胴部に対して垂直方向に設けられた底部を有し、内容物を充填した際に自立出来る剛性を有する包装体を意味するものである。
(スタンドアップパウチ用多層構造体)
本発明のスタンドアップパウチ用多層構造体は、基材フィルム(A)とヒートシール樹脂(D)層との間に、エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層を有するものである。
より具体的に、図1に示すように、本発明のスタンドアップパウチ用多層構造体10は、基材フィルム(A)1と多層材20とで構成され、該多層材20が少なくともエチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層3とヒートシール樹脂(D)層4を含み、ヒートシール樹脂(D)層4が基材フィルム(A)1側とは反対側に位置するようにして、多層材20が基材フィルム(A)1と積層されて構成される。
以下、各層について説明する。
<基材フィルム(A)>
本発明で用いる基材フィルム(A)としては、これが、本発明に係るスタンドアップパウチを構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた強度を有し、更に、耐突き刺し性、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、透明性等に優れた樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましい。
具体的には、基材フィルム(A)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他の強靭な樹脂等から得られるフィルムないしシートを使用することができ、中でも、ポリエステル系樹脂より得られるポリエステル系樹脂フィルムが好ましい。
上記の樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明における基材フィルム(A)の厚みとしては、強度、耐突き刺し性等について、保持され得る厚みであればよく、厚すぎると、コストが上昇してしまう傾向があり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性等が低下してしまう傾向がある。
本発明においては、上記のような理由から、基材フィルム(A)の厚みは、5~100μmであることが好ましく、特には10~50μmが好ましい。
また、基材フィルム(A)には、必要に応じて適宜印刷層を設けることができる。印刷層としては、溶剤と、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系などのバインダー樹脂と、各種顔料、体質顔料および可塑剤、乾燥剤、安定剤などを配合してなるインキにより形成される層である。この印刷層により、文字、絵柄などを形成することができる。印刷方法としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法を用いることができる。また、基材フィルム(A)の表面を、予め前処理としてコロナ処理またはオゾン処理を施すことにより、印刷層の密着性を向上させることができる。通常は、基材フィルム(A)の内側面に印刷層を設ける。
<エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層>
エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層はEVOHからなるものであってもよく、EVOH以外の任意の成分が含まれたEVOH樹脂組成物からなる層であってもよい。
EVOHは、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体(エチレン-ビニルエステル系共重合体)をケン化することにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。重合法も公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いて行うことができるが、一般的にはメタノール等の低級アルコールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン-ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。このようにして製造されるEVOHは、エチレン由来の構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、市場からの入手のしやすさや製造時の不純物処理効率が良い点から、代表的には酢酸ビニルが用いられる。他のビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられ、通常炭素数3~20、好ましくは炭素数4~10、特に好ましくは炭素数4~7の脂肪族ビニルエステルを用いることができる。これらは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
EVOHにおけるエチレン含有率は、ISO 14663に基づいて測定した値で、20~60モル%であることが好ましく、より好ましくは25~50モル%、特に好ましくは25~35モル%である。かかる含有率が低すぎる場合は、高湿下のガスバリア性、溶融成形性が低下する傾向があり、逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が低下する傾向がある。
EVOHにおけるビニルエステル成分のケン化度は、JIS K6726(ただし、EVOHは水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて測定した値で、90~100モル%であることが好ましく、より好ましくは95~100モル%、特に好ましくは99~100モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合にはガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向がある。
また、EVOHのメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)は、0.5~100g/10分であることが好ましく、より好ましくは1~50g/10分、特に好ましくは3~35g/10分である。かかるMFRが大きすぎる場合には、製膜性が低下する傾向があり、小さすぎる場合には溶融粘度が高くなり過ぎて溶融押出しが困難となる傾向がある。
本発明に用いられるEVOHには、エチレン構造単位、ビニルアルコール構造単位(未ケン化のビニルエステル構造単位を含む)の他、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。前記コモノマーとしては、例えば、プロピレン、イソブテン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のα-オレフィン;3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、3-ブテン-1,2-ジオール等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などのヒドロキシ基含有α-オレフィン誘導体;不飽和カルボン酸又はその塩,部分アルキルエステル,完全アルキルエステル,ニトリル,アミド若しくは無水物;不飽和スルホン酸又はその塩;ビニルシラン化合物;塩化ビニル;スチレン等が挙げられる。
さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたEVOH系樹脂を用いることもできる。
以上のような変性物の中でも、共重合によって一級水酸基が側鎖に導入されたEVOHは、延伸処理や真空・圧空成形などの二次成形性が良好になる点で好ましく、中でも1,2-ジオール構造を側鎖に有するEVOHが好ましい。
本発明で用いられるEVOHには、本発明の効果を阻害しない範囲において、一般的にEVOHに配合する配合剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤などが含有されていてもよい。
上記熱安定剤としては、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させる目的で、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸類またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩などの塩;または、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸類、またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩などの塩等が挙げられる。
また、本発明で使用されるEVOHは、異なる他のEVOHとの混合物であってもよく、かかる他のEVOHとしては、エチレン含有率が異なるもの、ケン化度が異なるもの、メルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)が異なるもの、他の共重合成分が異なるもの、変性量が異なるもの(例えば、1,2-ジオール構造単位の含有量が異なるもの)などを挙げることができる。
また、レトルト食品などのように、熱水処理により殺菌処理される包装体の包装用材料を製造する場合、EVOH(C)層はポリアミド系樹脂を含有したEVOH樹脂組成物により構成することが好ましい。ポリアミド系樹脂は、アミド結合がEVOHの水酸基及び/又はエステル基との相互作用によりネットワーク構造を形成することが可能であり、これにより、レトルト処理時のEVOHの溶出を防止することができる。
該ポリアミド系樹脂としては、公知のものを用いることができる。例えば、後述するポリアミド系樹脂(B)と同様のものを用いることができる。
EVOH(C)層の厚み(Tc)としては、1~35μmであることが好ましく、より好ましくは5~30μm、特に8~25μmが好ましい。かかる厚みが薄すぎるとガスバリア性が低下する傾向があり、厚すぎるとレトルト処理後のガスバリア性の回復速度が低下する傾向がある。なお、EVOH(C)層が複数層の場合は、該層厚みの和が、上記範囲であればよい。
<ヒートシール樹脂(D)層>
本発明で用いるヒートシール樹脂(D)層は、熱によって溶融し相互に融着し得る層である。特に本発明では、ヒートシール樹脂(D)層を構成する樹脂組成物(d)が、熱可塑性エラストマーを含有し、かつヒートシール樹脂(D)層における前記熱可塑性エラストマーの含有濃度が、多層構造体の厚さ方向における基材フィルム(A)側に対して反対側表面層が基材フィルム(A)側表面層よりも低濃度であることが重要である。
〔熱可塑性エラストマー〕
本発明にいう、熱可塑性エラストマーとは、例えば、サーモランやタフマー等のオレフィン系熱可塑性エラストマー、ラバロンやタフテック等のスチレン系熱可塑性エラストマー、エラストラン等のウレタン系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、樹脂組成物(d)における分散性が優れる点で、好ましくはオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
特にオレフィン系熱可塑性エラストマーとは、炭素-炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素モノマーであるオレフィンを主モノマーとし、通常、数平均分子量1万以上の高分子で、主鎖が炭素結合のみで構成される親油性ポリマーをいう。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーとは、ハードセグメントとしてポリオレフィン(ポリエチレンまたはポリプロピレンなど)、ソフトセグメントとして脂肪族系ゴム(例えば、エチレン-プロピレン-ジエン系ゴム(EPDM)、エチレン-プロピレンゴム(EPM)など)を使用した熱可塑性を示すエラストマー樹脂であり、ポリオレフィンと脂肪族系ゴムをコンパウンドする方法(コンパウンド型)、あるいはオレフィン重合時に脂肪族ゴムを導入する方法(リアクター型)によって合成されたものが挙げられる。コンパウンド型としては、単純ブレンド品(非架橋タイプ)と動的架橋品(全面架橋タイプ、または部分架橋タイプの2種類)がある。
本発明で用いる熱可塑性エラストマーは、密度が、通常0.85~0.96g/cmであり、好ましくは0.85~0.92g/cm、より好ましくは0.85~0.90g/cmである。
さらに、本発明で用いる熱可塑性エラストマーは、23℃、50%RHにおける曲げ弾性率が150MPa未満、好ましくは100MPa未満、特に好ましくは50MPa未満であることが、曲げに対する柔軟性が良好であるという点から望ましい。
多層構造体におけるより優れた蓄積疲労吸収効果を得るためには、密度が0.85~0.90g/cmで、且つ23℃、50%RHにおける曲げ弾性率が50MPa未満の熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。
さらにまた、熱可塑性エラストマーのガラス転移温度は、通常-110℃~0℃、好ましくは-80℃~-20℃であり、より好ましくは-70℃~-40℃である。ガラス転移温度が室温に比べてはるかに低い温度範囲にあり且つ低結晶性であることにより、低温から室温に至る広い温度範囲での柔軟性に非常に優れる。ここで、ガラス転移温度とは、熱可塑性エラストマーの無定形部分がガラス状態からゴム状態に転移する温度を意味しており、通常は、示差走査熱量計を用いてJIS K7121準拠の方法で測定することができる。
また、熱可塑性エラストマーのメルトフローレート(MFR)においては、210℃、荷重2160gの条件下で、通常0.01~150g/10分であり、好ましくは0.1~50g/10分であり、より好ましくは1~25g/10分であり、さらに好ましくは2~10g/10分である。
熱可塑性エラストマーの含有量は、樹脂組成物(d)中、1~90質量%であることが好ましく、より好ましくは3~70質量%、さらに好ましくは5~50質量%、特に好ましくは10~30質量%である。かかる配合量が多すぎる場合、スタンドアップパウチを熱水殺菌処理する際に上記熱可塑性エラストマー成分が内容物側へ溶出してしまう可能性が高くなり、少なすぎる場合、耐落袋性改善効果が発現されないという傾向がある。
樹脂組成物(d)における、上記熱可塑性エラストマー以外の樹脂成分としては、従来公知のヒートシール性を有する樹脂(ヒートシール樹脂)を用いることが可能である。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、これらポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等の樹脂の1種ないしそれ以上からなる樹脂が挙げられる。
中でも、スタンドアップパウチに十分な自立性を付与するという観点から、フィルム自体に靱性のある直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)もしくはポリプロピレンが好ましい。さらには、比較的高温(120℃以上)での熱水殺菌処理後の溶出を抑制する観点から、ポリプロピレンが特に好ましい。
かかる熱可塑性エラストマー以外の樹脂の含有量は、樹脂組成物(d)中、10~99質量%であることが好ましく、より好ましくは30~97質量%、さらに好ましくは50~95質量%、特に好ましくは70~90質量%である。かかる配合量が多すぎる場合、耐落袋性改善効果が発現されないという傾向があり、少なすぎる場合、スタンドアップパウチを熱水殺菌処理する際に上記熱可塑性エラストマー成分が内容物側へ溶出してしまう可能性が高くなるという傾向がある。
本発明のスタンドアップパウチ用多層構造体において、ヒートシール樹脂(D)層における熱可塑性エラストマーの含有濃度が、多層構造体の厚さ方向において、基材フィルム(A)側に対して反対側表面層が基材フィルム(A)側表面層よりも低濃度であることが最大の特徴である。
このようにヒートシール樹脂(D)層における上記熱可塑性エラストマーの含有濃度を変化させる方法としては、例えば、上記熱可塑性エラストマーの含有濃度が異なる複数の樹脂組成物(d)を調製し、図1に示したように、熱可塑性エラストマーの含有濃度が高い樹脂組成物(d)により得られる熱可塑性エラストマー高濃度ヒートシール樹脂層4aを基材フィルム(A)側に、熱可塑性エラストマーの含有濃度が低い樹脂組成物(d)により得られる熱可塑性エラストマー低濃度ヒートシール樹脂層4bを基材フィルム(A)側とは反対側に位置させて、ヒートシール樹脂(D)層4を形成する方法が挙げられる。なお、ヒートシール樹脂(D)層を2種の樹脂組成物(d)で形成する場合は、基材フィルム(A)側に熱可塑性エラストマーの含有濃度の高い樹脂組成物(d)を位置させてヒートシール樹脂(D)層を形成し、ヒートシール樹脂(D)層を3種以上の樹脂組成物(d)で形成する場合は、基材フィルム(A)側表面層を形成する樹脂組成物(d)中の熱可塑性エラストマーの濃度が基材フィルム(A)とは反対側表面層を形成する樹脂組成物(d)中の熱可塑性エラストマーの濃度よりも高くなれば、中間に位置する層の熱可塑性エラストマーの含有濃度は基材フィルム(A)側表面層の濃度よりも高くても低くてもよい。
上記の様に、本発明におけるヒートシール樹脂(D)層は、単層ないし多層で構成することができる。ヒートシール樹脂(D)層における熱可塑性エラストマーの含有濃度の調整が容易であるという観点から、多層構造であることが好ましい。
本発明において、ヒートシール樹脂(D)層における熱可塑性エラストマーの、基材フィルム(A)側表面層の濃度と基材フィルム(A)側に対して反対側表面層の濃度の差は、3質量%以上であることが好ましく、5~90質量%がより好ましく、8~50質量%が更に好ましく、8~20質量%が特に好ましい。熱可塑性エラストマーの基材フィルム(A)側表面層の濃度と基材フィルム(A)側に対して反対側表面層の濃度の差が上記範囲であると、ヒートシール樹脂(D)層の基材フィルム(A)側に存在する熱可塑性エラストマーによる耐落袋性改善効果の発現と、ヒートシール樹脂(D)層の基材フィルム(A)側とは反対側における内容物への熱可塑性エラストマー成分の浸み出し防止の効果を両立させることができる傾向がある。
また、ヒートシール樹脂(D)層の基材フィルム(A)側とは反対側表面層における、熱可塑性エラストマーの濃度は、樹脂組成物(d)中、通常1~50質量%、好ましくは3~30質量%、特に好ましくは5~20質量%である。ヒートシール樹脂(D)層の基材フィルム(A)側と反対側は、本発明の多層構造体を用いてスタンドアップパウチを形成した際にパウチの内側、すなわち内容物と接する。そのため、樹脂組成物(d)中の熱可塑性エラストマーの含有量が多くなり過ぎると、熱水殺菌処理において該樹脂組成物の内容物への浸み出しが懸念されるため、前記範囲とすることが好ましい。
このように、ヒートシール樹脂(D)層における熱可塑性エラストマーの含有濃度を、複数の樹脂組成物(d)からなる層を用いて変化させる場合、上記熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物(d)からなる全ての層をヒートシール樹脂(D)層とみなす。またこの場合、ヒートシール樹脂(D)層における樹脂組成物(d)の熱可塑性エラストマーの含有量および熱可塑性エラストマー以外のオレフィン系ポリマーの含有量は、各層の濃度に各層の厚み比をかけて、足し合わせた値を採用する。
本発明におけるヒートシール樹脂(D)層は上記樹脂組成物(d)のフィルムあるいはその塗布膜等を使用することができる。
また、ヒートシール樹脂(D)層の厚みとしては、ヒートシール樹脂(D)層が2層以上の樹脂層からなる場合は全て足し合わせた厚みにて5~200μm、好ましくは、10~110μm、特に好ましくは20~90μmが望ましい。かかる厚みが薄すぎるとシール部分のシール強度が低下する傾向があり、厚すぎると剛性が大きくなり、スタンドアップパウチに食品等を充填する際の開口性が低下する傾向がある。
<ポリアミド系樹脂(B)層>
本発明のスタンドアップパウチ用多層構造体には、さらにポリアミド系樹脂(B)層を有することが好ましい。ポリアミド系樹脂(B)層を有することで、熱水処理により殺菌する殺菌処理後のガスバリア性回復を早めることができる。図2に示すように、ポリアミド系樹脂(B)層2は、例えば、基材フィルム(A)1とエチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層3との間に設けることができる。
本発明で用いるポリアミド系樹脂(B)層を構成するポリアミド系樹脂としては、公知のポリアミド系樹脂を用いることができる。具体的には、例えば、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ-ω-アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ-ω-アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)等のホモポリマーが挙げられる。また、共重合ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω-アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン12/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)等の脂肪族共重合ポリアミドや、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミドや、ポリ-p-フェニレン・3-4’ジフェニルエーテルテレフタルアミド等の芳香族共重合ポリアミド、非晶性ポリアミド、上記のポリアミド系樹脂をメチレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等のカルボキシル基やアミノ基で末端を変性した末端変性ポリアミド等が挙げられる。本発明の効果がより効率よく得られる点で、好ましくは共重合ポリアミド系樹脂であり、特に好ましくは脂肪族共重合ポリアミドである。
本発明におけるポリアミド系樹脂(B)層の厚み(Tb)としては、1~100μmであることが好ましく、より好ましくは1~80μm、更に好ましくは3~60μm、特に好ましくは5~40μmである。なお、かかるポリアミド系樹脂(B)層は、単数層、複数層のいずれであってもよく、複数層の場合は、ポリアミド系樹脂(B)層の総厚み(Tbt)としては、2~120μmであることが好ましく、より好ましくは10~90μm、特に好ましくは15~60μmである。
ポリアミド系樹脂(B)層の厚みが薄すぎると、レトルト処理後のガスバリア性の回復速度が遅くなる傾向があり、厚すぎると、結果的にスタンドアップパウチ全体の厚みが厚くなってしまうことで、剛性が大きくなり、スタンドアップパウチに実際に食品等を充填する際の開口性が低下する傾向がある。
<他の樹脂層>
本発明のスタンドアップパウチ用多層構造体には、上記基材フィルム(A)、ポリアミド系樹脂(B)層、エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層及びヒートシール樹脂(D)層以外にさらに、他の樹脂層を有していてもよく、また、他の樹脂層が積層される位置は任意である。
他の樹脂層を構成する樹脂としては、公知のものを使用できる。このような樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。
他の樹脂層の厚みとしては、1層あたり1~100μmであることが好ましく、より好ましくは5~90μmであり、特に10~80μmが好ましい。
<接着樹脂層>
接着樹脂層は、各層の接着強度を高めるために設けられる。接着樹脂層が適切に配置されていない場合、わずかな力で各層が剥離してしまい、スタンドアップパウチとしての使用に耐えられなくなる傾向がある。当該接着樹脂層は、任意の位置に設けられる。
接着樹脂層を構成する接着樹脂としては、公知のものを使用できる。接着樹脂としては、代表的には不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性ポリオレフィン系重合体を挙げることができる。例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン-プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン-エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン-酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリ環状オレフィン系樹脂、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂等であり、これらから選ばれた1種または2種以上の混合物を用いることができる。
接着樹脂層の厚みとしては、1層あたり1~30μmであることが好ましく、より好ましくは2~20μm、特に3~10μmが好ましい。
<層構成>
本発明のスタンドアップパウチ用多層構造体における層構成は、上記の様に基材フィルム(A)とヒートシール樹脂(D)層との間に、エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層を有する。通常、スタンドアップパウチは複数のシートの任意の面をシールして作成するため、かかる構成とすることにより、スタンドアップパウチを作製する際にヒートシール樹脂(D)層を対向させてシールすることが可能となるため、得られるスタンドアップパウチの接着強度が向上する傾向がある。
さらに本発明においては、ポリアミド系樹脂(B)層とEVOH(C)層を隣接させることも好ましい。ポリアミド系樹脂(B)層とEVOH(C)層を隣接させることで、熱水処理により殺菌する殺菌処理後のガスバリア性の回復速度が速くなる傾向がある。
また、ポリアミド系樹脂(B)層は、EVOH(C)層の外側、すなわち、基材フィルム(A)とEVOH(C)層の間に配置することが、殺菌処理後のガスバリア性の回復速度が速くなるので、好ましい。
層構成としては、例えば、基材フィルム(A)/ポリアミド系樹脂(B)層/EVOH(C)層/ヒートシール樹脂(D)層、基材フィルム(A)/EVOH(C)層/ポリアミド系樹脂(B)層/ヒートシール樹脂(D)層、基材フィルム(A)/ポリアミド系樹脂(B)層/EVOH(C)層/ポリアミド系樹脂(B)層/ヒートシール樹脂(D)層などが挙げられる。
上記層構成において接着樹脂層は任意に有することが可能である。
本発明の効果を効率的に得られる点で好ましくは基材フィルム(A)/ポリアミド系樹脂(B)層/EVOH(C)層/ヒートシール樹脂(D)層であり、特に好ましくは基材フィルム(A)/ポリアミド系樹脂(B)層/EVOH(C)層/接着樹脂層/ヒートシール樹脂(D)層である。
但し、本発明では、該ポリアミド系樹脂(B)層の両面に、該EVOH(C)層が隣接してなる構成を除く。
<層厚み>
本発明において、基材フィルムを含むスタンドアップパウチ用多層構造体の全厚は、11~600μmが好ましく、更に好ましくは50~300μm、特に好ましくは70~280μm、更には80~260μmが好ましい。全厚が薄すぎると、自立性を保持するための剛性が得られない傾向がある。また、厚すぎると、剛性が大き過ぎて、スタンドアップパウチに実際に食品等を充填する際の開口性が低下する傾向がある。本発明における開口性とは、被包装物の充填において包装袋口への空気等のガス吹き付けに対して容易に開口し、自動包装に対応できる特性をいう。
また、スタンドアップパウチ用多層構造体を構成する多層材の厚みは、用途や包装形態、要求される物性などにより一概に言えないが、6~500μmであることが好ましく、さらに好ましくは10~300μm、より好ましくは20~180μm、特に好ましくは50~140μmである。
EVOH(C)層の厚み(Tc)とポリアミド系樹脂(B)層の厚み(Tb)との比(Tc/Tb)としては、0.02~10であることが好ましく、より好ましくは0.05~5、特に好ましくは1.1~3である。
ポリアミド系樹脂(B)層を複数有する場合、EVOH(C)層の厚み(Tc)とポリアミド系樹脂(B)層の厚み総和(Tbt)との比(Tc/Tbt)としては、0.01~8であることが好ましく、より好ましくは0.05~4、特に好ましくは0.1~1.5である。
かかる厚み比が小さすぎると、ガスバリア性が低下する傾向があり、大きすぎるとレトルト後のガスバリア性回復が遅くなる傾向がある。
なお、EVOH(C)層が複数層の場合は、該層厚みの和が、上記範囲であればよい。
スタンドアップパウチ用多層構造体の全厚みに対するヒートシール樹脂(D)層厚みの厚み比は、ヒートシール樹脂(D)層の厚み/全厚みにて、通常0.2~0.8、好ましくは0.3~0.7であり、特に好ましくは0.4~0.6である。かかる厚みが上記範囲である場合、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
さらに、ヒートシール樹脂(D)層の厚みと、EVOH(C)層の厚み(Tc)の厚み比は、EVOH(C)層の厚み(Tc)/ヒートシール樹脂(D)層の厚みにて、通常0.05~0.8、好ましくは0.1~0.5であり、特に好ましくは0.2~0.4である。かかる厚みが上記範囲である場合、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
また、ヒートシール樹脂(D)層の厚みと、基材フィルム(A)の厚みの厚み比は、基材フィルム(A)の厚み/ヒートシール樹脂(D)層の厚みにて、通常0.05~0.5、好ましくは0.1~0.4であり、特に好ましくは0.15~0.3である。かかる厚みが上記範囲である場合、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
なお、ヒートシール樹脂(D)層が2層以上の樹脂層からなる場合はその合計厚みにて考えるものとする。
<スタンドアップパウチ用多層構造体の製造方法>
次に、上記基材フィルム(A)、ポリアミド系樹脂(B)層、EVOH(C)層、ヒートシール樹脂(D)層を有する多層構造体の製造方法について説明する。
本発明における多層構造体は、例えば、(1)基材フィルム(A)に、ポリアミド系樹脂(B)層、EVOH(C)層及びヒートシール樹脂(D)層を有する多層材を積層する方法、(2)基材フィルム(A)に、ポリアミド系樹脂(B)層、EVOH(C)層、ヒートシール樹脂(D)層を順次積層する方法、(3)基材フィルム(A)、ポリアミド系樹脂(B)層、EVOH(C)層及びヒートシール樹脂(D)層のうちの任意の層を積層しておき、残りの層を積層する方法等によって得られる。中でも、積層に要するコストを削減できるという観点から、積層回数が1回のみである上記(1)の方法が好ましい。なお、ポリアミド系樹脂(B)層は所望により設ければよい。
まず、ポリアミド系樹脂(B)層、EVOH(C)層及びヒートシール樹脂(D)層を有する多層材、とりわけ、ポリアミド系樹脂(B)層、EVOH(C)層及びヒートシール樹脂(D)層がこの順に積層されてなる多層材(ポリアミド系樹脂(B)層/EVOH(C)層/ヒートシール樹脂(D)層)の製造方法について説明する。
本発明で用いるEVOH(C)層を含む多層材の積層は、溶融成形法、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、押出ラミネーション法、共押出ラミネーション法、インフレーション法等で行うことができる。中でも、溶剤を使用しないという環境面、別工程でラミネートを実施する必要がないというコスト面から溶融成形法が好ましい。かかる溶融成形方法としては、公知の手法が採用可能である。例えば、押出成形法(T-ダイ押出、チューブラーフィルム押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法等が挙げられる。溶融成形温度は、通常150~300℃の範囲から、適宜選択される。
続いて、上記基材フィルム(A)と上記多層材を積層する方法について説明する。
上記基材フィルム(A)と上記多層材を積層する方法としては、通常の包装材料を製造するときに使用する積層法、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、押出ラミネーション法、共押出ラミネーション法、インフレーション法等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、その積層する基材の表面に、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の前処理を任意に施すことができる。
また、上記において、押出ラミネートするときには、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等を溶融押出ラミネート用樹脂として使用することができる。
その際に、接着助剤として、例えば、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、その他のアンカーコート剤等を任意に使用することができる。
また、本発明においては、ドライラミネートするときには、例えば、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、エポキシ系等をビヒクルの主成分とする溶剤型、水性型、エマルジョン型等のラミネート用接着剤等を使用することができる。
なお、複数種の基材フィルムと多層材(例えば、基材フィルム/基材フィルム/多層材)の構成も可能である。また、基材フィルム/多層材/基材フィルムの構成も可能である。基材フィルム同士の積層についても、上記と同様の方法で積層させることができる。
(スタンドアップパウチ)
本発明のスタンドアップパウチは、上記本発明のスタンドアップパウチ用多層構造体により形成される。スタンドアップパウチは、胴部及び胴部に対して垂直方向に設けられた底部を有し、内容物を充填した際に自立出来る剛性を有する。
<スタンドアップパウチの構成>
図3は、本発明のスタンドアップパウチの一例を示す全体斜視図である。本発明のスタンドアップパウチ5は、表裏二枚の胴部シート6,6と底部シート7からなっている。胴部シート6および底部シート7は、可撓性を有したシートであり、本発明のスタンドアップパウチ用多層構造体を所望の大きさに切り取ったものである。本発明の多層構造体は、多層材側が内側に位置するように、すなわち基材フィルム(A)1側が外側に位置するように配置される。
二枚の胴部シート6,6の下部の間に底部シート7が折り畳まれた状態で挿入され、胴部シート6,6の下部縁部と底部シート7の周縁部がシールされることにより底部シール部8が形成され、重ねられた胴部シート6,6の左右の縁部がシールされることによりサイドシール部9が形成される。これにより、内容物が充填された状態で、底部シート7が拡開しスタンドアップパウチになる。
本発明においては、上記スタンドアップパウチ5の上部が開口した状態で、この開口部から所望の飲食品等の内容物を充填する。次いで、上方の開口部をヒートシールして天シール部等を形成して包装半製品を製造し、しかる後、該包装半製品を、加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理等を施して、種々の形態からなるレトルト包装食品を製造することができるものである。
本発明のスタンドアップパウチは、任意の位置に継ぎ口を設けたり、意匠を付与することも可能である。
スタンドアップパウチの寸法としては、継ぎ口等を含まない多層構造体部分の寸法にて、例えば、幅Wが50~1000mm、好ましくは100~500mm、特に好ましくは100~200mm、高さHが50~1000mm、好ましくは100~500mmであり、特に好ましくは150~300mm、底部の奥行きDが10~500mm、好ましくは20~300mm、特に好ましくは30~100mmである。高さHと幅Wの比(H/W)が例えば0.2~5であり、好ましくは1~3であり、特に好ましくは1より大きく1.5以下である。かかる範囲にある場合、スタンドアップパウチの視認性や陳列効率が良くなる傾向がある。前記寸法は、スタンドアップパウチを構成する胴部シート6及び底部シート7のサイズを調整することにより所望の寸法とすることができる。なお、自立式のパウチとするために底部シートは折り畳まれた状態で挿入されるが、パウチの自立状態で、底部シートは折り畳まれた状態から開いた状態となる。シート7自体は長方形であるが、スタンドアップパウチの底部の奥行きDを上記範囲とするために、底部シート7はヒートシール部位を調整することにより略楕円形状に形成され、かかる底部シート7が形成する略楕円形のサイズは、長径を胴部シート6の幅と同じサイズとし、短径は10~500mm、好ましくは20~300mm、特に好ましくは30~100mmとすることが好ましい。かかる短径は通常上記底部奥行Dの1~1.5倍である。
次に、本発明のスタンドアップパウチの具体的な製造方法について説明する。
<スタンドアップパウチの製造方法>
基材フィルム(A)の片面に、例えば、ウレタン系樹脂をバインダーとしたグラビアインキを用いてグラビア印刷を行うことが可能である。このとき、上記基材フィルム(A)の印刷面に、上記多層材を、例えば、二液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネート法にて貼り合わせを行う。この場合、接着剤は、印刷面の全面に塗布され貼り合わせることによって、多層構造体を形成する。形成した多層構造体は、基材フィルム/印刷層/多層材になる。
次に、スタンドアップパウチを形成するために、本発明の多層構造体を所定の幅にスリットし、胴部シート、底部シートを形成する。図3に示したように、二枚の胴部シート6,6を多層材側が対向するように重ね、底部シート7を二枚の胴部シート6,6の下部の間に挟み込んで、底部と左右側辺をシールし、それぞれ底部シール部8、左右のサイドシール部9を形成し、天部、即ち上部が開口したスタンドアップパウチ5を形成する。この際に、少なくとも一方のサイドシール部9に、長手方向にシール部に囲まれた未シール部からなる空隙部を複数形成する。
次に、上記空隙部に空気を圧入する。空気封入部を形成する方法を簡単に説明する。形成された空隙部の長手方向端部に、空気を圧入するための圧入孔を形成する。この圧入孔は、胴部シート6を貫通する孔であればよい。圧入孔から空気を圧入するために、別の圧入ノズルを圧入孔に当接し、空隙部に空気を圧入しながら、目的の空気量に到達したら、圧入孔よりずらした位置で、シールし空気封入部を形成する。その後、圧入孔をシールする。即ち、ヒートシール層により、圧入孔が塞がれ空気封入部が形成される。
次に、天部が開口した包装袋の底部シートを拡開し内容物を充填して、その後、天部をシールして天シール部を形成し密封することで、本発明のスタンドアップパウチ5が形成される。また、空気封入部は一方のサイドシール部9に形成したが、両方のサイドシール部9に形成しても構わない。空気封入部を両方のサイドシール部9に形成することで、自立性をさらに向上させることができる。
このように形成されたスタンドアップパウチは、自立性を向上させ、かつ内容物が使用されて中身が減少しても、サイドシールの折れや包装袋の腰砕けなどによる変形が生じないものであり、反面、空気封入部と空気封入部の間で折り曲げることができるために、包装袋を減容化して保存することができる。また、使用後廃棄する場合でも、空気封入部と空気封入部との間を折り曲げ、折り畳んで包装袋を減容化できる。
なお、本発明のスタンドアップパウチは、上記胴部シート、底部シートの少なくとも1部に本発明のスタンドアップパウチ用多層構造体を用いることにより得られる。本発明の効果をより効果的に得られる点で、上記胴部シート、底部シートの全てにおいて本発明のスタンドアップパウチ用多層構造体を用いた、本発明のスタンドアップパウチ用多層構造体からなるスタンドアップパウチが最も好ましい。
<熱水殺菌処理>
なお、本発明によって得られるスタンドアップパウチは、熱水処理による殺菌処理に供するものである。かかる熱水処理とは、レトルト処理、ボイル処理、スチーム処理等の公知の水存在下で行われる加熱殺菌技術を意味する。その条件はパウチに充填する内容物により選択することが可能であるが、通常60~150℃にて、通常1~150分処理するものである。
特に、EVOH層を有する多層構造体を用い、内容物が充填されたスタンドアップパウチに熱水殺菌処理を行う場合、得られるスタンドアップパウチの耐落袋性が低下する傾向がある。したがって、本発明を、熱水殺菌処理を施すスタンドアップパウチに適用する場合、本発明の効果がより効率的に得られる傾向がある。さらには、高温加圧条件下であるレトルト処理に供する場合に、本発明の効果がより効率的に得られる傾向がある。かかるレトルト処理とは、水存在下にて通常100~140℃、好ましくは105~135℃で通常1~120分間、好ましくは2~90分間処理するものである。
<スタンドアップパウチの内容物>
本発明にかかる熱水殺菌処理用スタンドアップパウチを構成する包装用袋内に充填包装する内容物としては、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体スープ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品、具体的には、例えば、カレー、シチュー、スープ、ミートソース、ハンバーグ、ミートボール、しゅうまい、おでん、お粥等の流動食品、ゼリー状食品、調味料、水、その他等の各種の飲食品等を挙げることができる。特に本発明においては、内容物が液体を含む場合、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
而して、本発明のスタンドアップパウチは、耐熱水処理性に優れ、かつ輸送時や陳列の際に誤って落下した際の屈曲衝撃に対して破損し難いので、内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているものであり、特にレトルト処理等の熱水処理により殺菌する殺菌工程に供されるスタンドアップパウチとして有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中「部」とあるのは、質量基準を意味する。
<実施例1>
以下の材料を用いて、多層構造体を作製した。
・基材フィルム(A):延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、フタムラ化学株式会社製、グレード:FE2001A、厚み:12μm
・ポリアミド系樹脂(B):ナイロン6-66、DSM社製「ノバミッド」、グレード:2430J
・EVOH(C):エチレン含有量:29.4モル%、ケン化度:99.7モル%、MFR:5.2g/10分(230℃、荷重2160g)のEVOH
・ヒートシール樹脂(D):ポリプロピレン、日本ポリプロ株式会社製「ノバテックPP」、グレード:BC6DRF
・熱可塑性エラストマー:三井化学株式会社製「タフマー」、グレード:A4085S、下記物性を有するエチレン-ブテンランダム共重合体
密度 :0.89g/cm
曲げ弾性率 :30MPa
MFR(210℃、2160g荷重):5.2g/10min
・接着樹脂:三菱化学株式会社製「モディック」、グレード:P553A
(熱可塑性エラストマーの添加量)
ヒートシール樹脂(D)層1:ヒートシール樹脂(D)80質量部に対し、熱可塑性エラストマーを20質量部添加した。
ヒートシール樹脂(D)層2:ヒートシール樹脂(D)90質量部に対し、熱可塑性エラストマーを10質量部添加した。
(熱可塑性エラストマーの添加方法)
Tダイ法による製膜時、事前に、ヒートシール樹脂(D)に、所定量の熱可塑性エラストマーをドライブレンドすることにより添加した。
[多層構造体の製造]
まず、多層材を製造し、該多層材と基材フィルム(A)を積層することにより、多層構造体を製造した。
(多層材の製造)
Tダイ法による製膜をし、ポリアミド系樹脂(B)層(10μm)/EVOH(C)層(20μm)/ポリアミド系樹脂(B)層(10μm)/接着樹脂層(5μm)/ヒートシール樹脂(D)層1(45μm)/ヒートシール樹脂(D)層2(10μm)の多層材を得た。
(多層材と基材フィルムの積層)
基材フィルム(A)と上記で得られた多層材を、ドライラミネート用接着剤(主剤:東洋モートン社製「TM-242A」、硬化剤:東洋モートン社製「CAT-RT37L」、上記主剤:上記硬化剤:酢酸エチル=17:1.5:19.2)を用いて、ドライラミネートすることによって、多層構造体を作製した。
ラミネート条件:20℃の環境下で貼り合わせ、40℃にて48時間エージング
得られた多層構造体の構造は、PET(12μm)/ポリアミド系樹脂(B)層(10μm)/EVOH(C)層(20μm)/ポリアミド系樹脂(B)層(10μm)/接着樹脂層(5μm)/ヒートシール樹脂(D)層1(45μm)/ヒートシール樹脂(D)層2(10μm)である。得られた多層構造体の全厚みは112μmであった。
かかる多層構造体のヒートシール樹脂(D)層全体における、基材フィルム(A)側とは反対側表面層を構成する樹脂組成物(d)における熱可塑性エラストマーの含有量は、10質量%であり、基材フィルム(A)側表面層を構成する樹脂組成物(d)における熱可塑性エラストマーの含有量は、20質量%であった。また、かかる多層構造体のヒートシール樹脂(D)層全体における樹脂組成物(d)の熱可塑性エラストマーの含有濃度は、各層の濃度に各層の厚み比をかけた値にて18.2質量%であった。
<実施例2>
ヒートシール樹脂(D)層における熱可塑性エラストマーの添加量を下記の通りに変更する以外は、実施例1と同様に多層材および多層構造体を作製した。
〔熱可塑性エラストマーの添加量〕
ヒートシール樹脂(D)層1:ヒートシール樹脂(D)60質量部に対し、熱可塑性エラストマーを40質量部添加した。
ヒートシール樹脂(D)層2:ヒートシール樹脂(D)90質量部に対し、熱可塑性エラストマーを10質量部添加した。
得られた多層構造体の構造は、PET(12μm)/ポリアミド系樹脂(B)層(10μm)/EVOH(C)層(20μm)/ポリアミド系樹脂(B)層(10μm)/接着樹脂層(5μm)/ヒートシール樹脂(D)層1(45μm)/ヒートシール樹脂(D)層2(10μm)である。得られた多層構造体の全厚みは112μmであった。
かかる多層構造体のヒートシール樹脂(D)層全体における、基材フィルム(A)側とは反対側表面層を構成する樹脂組成物(d)における熱可塑性エラストマーの含有量は、10質量%であり、基材フィルム(A)側表面層を構成する樹脂組成物(d)における熱可塑性エラストマーの含有量は、40質量%であった。また、かかる多層構造体のヒートシール樹脂(D)層全体における樹脂組成物(d)の熱可塑性エラストマーの含有濃度は、各層の濃度に各層の厚み比をかけた値にて34.5質量%であった。
<比較例1>
以下の材料を用いて、多層構造体を作製した。
・基材フィルム(A):延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、フタムラ化学株式会社製、グレード:FE2001A、厚み:12μm
・ポリアミド系樹脂(B):ナイロン6、宇部興産株式会社製「UBEナイロン」、グレード:1020
・EVOH(C):エチレン含有量:29.4モル%、ケン化度:99.7モル%、MFR:5.2g/10分(230℃、荷重2160g)のEVOH
・ヒートシール樹脂(D):ポリプロピレン、日本ポリプロ株式会社製「ノバテックPP」、グレード:BC6DRF
・接着樹脂:ポリプロピレン系接着樹脂、三菱化学株式会社製「モディック」、グレード:614V
[多層構造体の製造]
まず、多層材を製造し、該多層材と基材フィルムを積層することにより、多層構造体を製造した。
(多層材の製造)
Tダイ法による製膜をし、ポリアミド系樹脂(B)層(10μm)/EVOH(C)層(20μm)/ポリアミド系樹脂(B)層(10μm)/接着樹脂層(5μm)/ヒートシール樹脂(D)層(55μm)の多層材を得た。
〔製膜条件〕
・ポリアミド系樹脂層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:220℃)
・EVOH層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:230℃)
・接着樹脂層:32mmφ単軸押出機(バレル温度:200℃)
・ヒートシール樹脂層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・ダイ:フィードブロックダイ(ダイ温度:230℃)
・冷却ロール温度:50℃
(多層材と基材フィルムの積層)
基材フィルム(A)と上記で得られた多層材を、ドライラミネート用接着剤(主剤:東洋モートン社製「TM-242A」、硬化剤:東洋モートン社製「CAT-RT37L」、上記主剤:上記硬化剤:酢酸エチル=17:1.5:19.2)を用いて、ドライラミネートすることによって、多層構造体を作製した。
ラミネート条件:20℃の環境下で貼り合わせ、40℃にて48時間エージング
得られた多層構造体の構造は、PET(12μm)/ポリアミド系樹脂(B)層(10μm)/EVOH(C)層(20μm)/ポリアミド系樹脂(B)層(10μm)/接着樹脂層(5μm)/ヒートシール樹脂(D)層(55μm)である。得られた多層構造体の全厚みは112μmであった。
<試験例>
実施例1、実施例2、比較例1にて得られた多層構造体を下記のように評価した。
[評価方法1 落袋試験(熱水処理前)]
各構成の多層構造体によりスタンドアップパウチ(幅140mm×高さ180mm×底部の短径60mm、底部の奥行き58mm)を3個作製した。得られた各パウチに、水300ccを入れ、上辺をヒートシールした。次に、水の入ったパウチを、1mの高さからパウチの底部が床(コンクリートの上に、厚さ2.0mmのビニール素材を接着剤を介して構成した床)と並行になる状態で自由落下させ、20回以内の落下で水漏れが生じるパウチの個数をカウントした。
結果を表1に示す。
[評価方法2 落袋試験(熱水処理後)]
各構成の多層構造体によりスタンドアップパウチ(幅140mm×高さ180mm×底部の短径60mm、底部の奥行き58mm)を3個作製した。得られた各パウチに、水300ccを入れ、上辺をヒートシールした。次に、水の入ったパウチを、浸漬式熱水処理装置(株式会社日阪製作所製)を用いて、120℃で30分間熱水処理を実施した後、熱水処理装置より取り出して、23℃、50%RH環境下で7日間静置した。その後、水の入ったパウチを、1mの高さからパウチの底部が床(コンクリートの上に、厚さ2.0mmのビニール素材を接着剤を介して構成した床)と並行になる状態で自由落下させ、パウチの水漏れまでの平均落下回数を算出した。
結果を表1に示す。
Figure 0007067856000001
上記落袋試験は、スタンドアップパウチが落下した場合の耐落袋性を評価したものである。かかる落袋試験はそれぞれ、スタンドアップパウチの最も破損しやすい底部に最も強い瞬間的な衝撃がかかる状態にて、複数回にわたり自由落下させるという、非常に厳しい条件下で評価したものである。
表1の結果より、比較例1のEVOHパウチには、耐落袋性に改善の余地があることがわかる。これに対し、EVOH層に熱可塑性エラストマーを含有させると共に、EVOH層における熱可塑性エラストマーの濃度を基材フィルム側に位置する方を高くすることで、耐落袋性が熱水処理前、処理後共に向上したことがわかった(実施例1、2)。
上記比較例1の試験結果から、発明者らはEVOHを使用した多層フィルムを用いたスタンドアップパウチが破袋する原因について考察した。まずスタンドアップパウチはその形状から重心が低く自立性が高いため、床に落下する際にスタンドアップパウチの底面部分およびそれを支える側面部分に特に強い衝撃が加わる傾向があると考えた。そして、このようなスタンドアップパウチにEVOHを使用した多層フィルムを用いる場合、EVOH層が比較的剛直であるために、さらにその衝撃の影響を受けやすいことがその一因と推定した。
そこで、発明者らはヒートシール層に、熱可塑性エラストマーを配合し、かつその濃度が厚さ方向における基材フィルム側に対して反対側表面が基材フィルム側表面よりも低濃度である構成とすることにより(実施例1、2)、スタンドアップパウチとしての自立性を保ちながらも、落下時の衝撃を緩和させることができることがわかった。
1 基材フィルム(A)
2 ポリアミド系樹脂(B)層
3 EVOH(C)層
4 ヒートシール樹脂(D)層
4a 熱可塑性エラストマー高濃度ヒートシール樹脂層
4b 熱可塑性エラストマー低濃度ヒートシール樹脂層
5 スタンドアップパウチ
6 胴部シート
7 底部シート
8 底部シール部
9 サイドシール部
10 スタンドアップパウチ用多層構造体
20 多層材

Claims (13)

  1. 二枚の胴部シートと底部シートからなるスタンドアップパウチを構成するための多層構造体であって、
    基材フィルム(A)とヒートシール樹脂(D)層との間に、エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層を有し、
    前記ヒートシール樹脂(D)層を構成する樹脂組成物(d)が、熱可塑性エラストマーを含有し、
    前記ヒートシール樹脂(D)層が、2層以上の樹脂層からなり、かつ
    前記ヒートシール樹脂(D)層における前記熱可塑性エラストマーの濃度が、基材フィルム(A)側に対して反対側表面層が基材フィルム(A)側表面層よりも低濃度である(ただし、前記2層以上の樹脂層における前記基材フィルム(A)側の樹脂層中の熱可塑性エラストマーの含有量が30質量%以上である場合を除く。)ことを特徴とするスタンドアップパウチ用多層構造体。
  2. 前記熱可塑性エラストマーの密度が、0.85~0.96g/cmであることを特徴とする請求項1に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
  3. 前記熱可塑性エラストマーの23℃、50%RHにおける曲げ弾性率が150MPa未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
  4. 前記熱可塑性エラストマーのメルトフローレート(MFR)が、210℃、荷重2160gの条件下で、0.01~150g/10分であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
  5. 前記ヒートシール樹脂(D)層の厚みと、スタンドアップパウチ用多層構造体の全厚みの比が、ヒートシール樹脂(D)層の厚み/全厚みにて、0.2~0.8であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
  6. 前記ヒートシール樹脂(D)層の厚みと、前記エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層の厚み(Tc)の比が、エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層の厚み(Tc)/ヒートシール樹脂(D)層の厚みにて、0.05~0.8であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
  7. 前記基材フィルム(A)と前記エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層との間に、ポリアミド系樹脂(B)層を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
  8. 前記ポリアミド系樹脂(B)層の厚みが1~100μmであることを特徴とする請求項に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
  9. 前記エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層の厚みが1~35μmであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
  10. 前記エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物(C)層の厚み(Tc)と前記ポリアミド系樹脂(B)層の厚み(Tb)との比(Tc/Tb)が、0.02~10であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
  11. 前記基材フィルム(A)が、ポリエステル系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
  12. 熱水殺菌処理を施すスタンドアップパウチに用いることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体。
  13. 二枚の胴部シートと底部シートからなるスタンドアップパウチであって、
    請求項1~12のいずれか1項に記載のスタンドアップパウチ用多層構造体を含むことを特徴とするスタンドアップパウチ。
JP2016123859A 2016-06-22 2016-06-22 スタンドアップパウチ用多層構造体 Active JP7067856B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016123859A JP7067856B2 (ja) 2016-06-22 2016-06-22 スタンドアップパウチ用多層構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016123859A JP7067856B2 (ja) 2016-06-22 2016-06-22 スタンドアップパウチ用多層構造体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017226145A JP2017226145A (ja) 2017-12-28
JP7067856B2 true JP7067856B2 (ja) 2022-05-16

Family

ID=60888944

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016123859A Active JP7067856B2 (ja) 2016-06-22 2016-06-22 スタンドアップパウチ用多層構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7067856B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020100964A1 (ja) 2018-11-15 2020-05-22 三菱ケミカル株式会社 積層体及びスタンドアップパウチ
WO2020196184A1 (ja) 2019-03-22 2020-10-01 三菱ケミカル株式会社 多層構造体及びそれを含むスタンドアップパウチ
US11512193B2 (en) 2020-01-06 2022-11-29 Inv Polypropylene, Llc Polymeric substrate including a barrier layer
WO2021261436A1 (ja) * 2020-06-26 2021-12-30 キョーラク株式会社 包装袋及びその製造システム

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0459353A (ja) * 1990-06-29 1992-02-26 Mitsubishi Kasei Polytec Co 包装用積層フィルム
JPH0976431A (ja) * 1995-09-20 1997-03-25 Sekisui Chem Co Ltd レトルト用シーラントフィルム
JPH09183200A (ja) * 1995-12-28 1997-07-15 Kureha Chem Ind Co Ltd 積層フィルム
JPH09248885A (ja) * 1996-03-18 1997-09-22 Toray Ind Inc レトルト用ポリオレフィンフィルム
JP2002337885A (ja) * 2001-05-11 2002-11-27 Dainippon Printing Co Ltd 自立性袋
JP2003105164A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Showa Denko Plastic Products Co Ltd 樹脂組成物、それからなるフィルム及び包装容器
JP6064372B2 (ja) * 2012-05-30 2017-01-25 大日本印刷株式会社 低吸着性シーラントフィルム並びにそれを用いた積層体及び包装袋

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017226145A (ja) 2017-12-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7067856B2 (ja) スタンドアップパウチ用多層構造体
WO2016171192A1 (ja) レトルト用スタンドアップパウチ
EP3094494B1 (en) Multilayer pvdc barrier heat shrinkable films
US20230339219A1 (en) Laminate and stand-up pouch
JP6756226B2 (ja) 超高圧処理用多層構造体、超高圧処理用包装体及びその処理方法
WO2015181333A1 (en) Multilayer heat shrinkable films
US11738543B2 (en) Multilayer structure, and standup pouch including the multilayer structure
JP6891400B2 (ja) レトルト用スタンドアップパウチ
JP6891401B2 (ja) レトルト用スタンドアップパウチ
JP7073720B2 (ja) 多層構造体
US20220002049A1 (en) Multilayer structure and package
US20220133921A1 (en) Production method for high-pressure processed multilayer structure, and high-pressure processing method for multilayer structure
CN113015625B (zh) 层叠体及自立袋
JP2017226146A (ja) スタンドアップパウチ用多層構造体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190212

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20190424

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191009

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191023

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20191203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200217

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200714

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201014

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20201014

C11 Written invitation by the commissioner to file amendments

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C11

Effective date: 20201027

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20201125

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20201201

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20210129

C211 Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211

Effective date: 20210202

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20211019

C302 Record of communication

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C302

Effective date: 20211217

C13 Notice of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C13

Effective date: 20211221

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220204

C23 Notice of termination of proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23

Effective date: 20220301

C03 Trial/appeal decision taken

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03

Effective date: 20220405

C30A Notification sent

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012

Effective date: 20220405

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220428

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7067856

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150