以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
まず、本実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の表示装置を構成する表示パネルの構成を示す図である。なお、本実施形態においては、表示装置が液晶表示パネルを有する場合について説明するが、これに限らず、表示パネルが表示パネルとして有機エレクトロルミネッセンス等の自発光型表示パネルを有するものであっても良いし、表示パネルが電気泳動素子等を有する電子ペーパ型表示パネル等を有するものであっても良い。
ここで、図1では、互いに交差する第1方向X及び第2方向Yで規定されるX−Y平面における表示パネルPNLの平面図を示している。なお、本明細書において、第1方向X及び第2方向Yとは、図中の矢印の方向に限定されるものではなく、矢印の180度反対の方向も含むものとする。
すなわち、表示パネルPNLは、アレイ基板(第1基板)ARと、アレイ基板ARに対向配置された対向基板(第2基板)CTと、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された液晶層LQと、を備えている。アレイ基板ARと対向基板CTとは、これらの間に所定のセルギャップを形成した状態でシール材SEによって接着されている。液晶層LQは、アレイ基板ARと対向基板CTとの間のセルギャップにおいてシール材SEによって囲まれた内側に保持されている。表示パネルPNLは、シール材SEによって囲まれた内側に、画像を表示するアクティブエリア(表示領域)ACTを備えている。アクティブエリアACTは、例えば、略長方形状であり、マトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている。なお、アクティブエリアACTは、他の多角形状であっても良いし、そのエッジが曲線状に形成されていても良い。
アレイ基板ARは、アクティブエリアACTにおいて、第1方向Xに沿って延出したゲート配線G、第2方向Yに沿って延出したソース配線S、各画素PXにおいてゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されたスイッチング素子SW、各画素PXにおいてスイッチング素子SWと電気的に接続された画素電極PEなどを備えている。共通電極CEは、アレイ基板AR及び対向基板CTの少なくとも一方に備えられている。
なお、表示パネルPNLの詳細な構成については説明を省略するが、TN(Twisted Nematic)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、VA(Vertical Aligned)モードなどの基板主面(X−Y平面)の法線に沿った縦電界を利用する表示モード、あるいは、基板主面に対して斜め方向に傾斜した傾斜電界を利用する表示モードでは、画素電極PEがアレイ基板ARに備えられる一方で、共通電極CEが対向基板CTに備えられている。また、IPS(In−Plane Switching)モード、IPSモードの1つであるFFS(Fringe Field Switching)モードなどの基板主面に沿った横電界を利用する表示モードでは、画素電極PE及び共通電極CEの双方がアレイ基板ARに備えられている。さらには、表示パネルPNLは、上記の縦電界、横電界、及び、傾斜電界を適宜組み合わせて利用する表示モードに対応した構成を有していても良い。
また、表示パネルPNLは、その背面側に配置されたバックライトユニットからの光を選択的に透過することによって画像を表示する透過型パネルとして構成されても良いし、表示パネルPNLに入射する外光を選択的に反射することによって画像を表示する反射型パネルとして構成されても良いし、透過型及び反射型を組み合わせた半透過型パネルとして構成されても良い。
駆動ICチップ2及びフレキシブル・プリンテッド・サーキット(FPC)基板3などの表示パネルPNLの駆動に必要な信号供給源は、アクティブエリア(表示領域)ACTよりも外側の周辺エリア(非表示領域)PRPに位置している。図示した例では、駆動ICチップ2及びFPC基板3は、対向基板CTの1つの基板端部CTEよりも外側に延出したアレイ基板ARの実装部MTに実装されている。実装部MTは、アレイ基板ARの1つの基板端部AREに沿って形成されている。この実装部MTは、詳述しないが、信号供給源と電気的に接続するためのパッドを有している。パッドには、上記のゲート配線やソース配線などと電気的に接続されたものが含まれる。なお、図示した例では、対向基板CTの他の3つの基板端部は、アレイ基板ARの他の3つの基板端部と対向している。尚、実装部MTが矩形状のアレイ基板の1つの基板端部に形成されるものに限定されるものでなく、2つの基板端部、或いは、2つ以上の基板端部に形成されるものであってもよい。また、アレイ基板が多角形状であっても同じである。
シール材SEは、アクティブエリアACTを取り囲む額縁状に形成されている。図示した例では、シール材SEは、矩形状に形成されている。すなわち、シール材SEは、第1シール部SL1、第2シール部SL2、第3シール部SL3、及び、第4シール部SL4を有している。第1シール部SL1及び第4シール部SL4は、いずれも第1方向Xに沿って延出し、X−Y平面において、アクティブエリアACTを挟んで対向している。第2シール部SL2及び第3シール部SL3は、いずれも第2方向Yに沿って延出し、X−Y平面において、アクティブエリアACTを挟んで対向している。第1シール部SL1は、実装部MTに沿って形成されている。第2シール部SL2及び第3シール部SL3は、それぞれ第1シール部SL1の両端部において第1シール部SL1と交差している。第4シール部SL4は、その両端部において第2シール部SL2及び第3シール部SL3と交差している。第1シール部SL1は、第2シール部SL2、第3シール部SL3、及び、第4シール部SL4よりも幅広に形成されている。一例では、第1シール部SL1の第1幅W1は、第2シール部SL2の第2幅W2より大きい。第1幅W1は、第2幅W2の1.5から4倍であり、好適には第2幅W2の1.5から2.5倍である。尚、シール部の幅とは、シール部の長さ方向における中心、或いは、長さを3等分した3分の1から3分の2の間における幅である。
図2は、図1に示した表示パネルPNLの領域Aを拡大した図である。図示した領域Aは、シール材SEにおいて、第1シール部SL1と第2シール部SL2とが交差する交差部CRを含む領域である。なお、図1に示した第1シール部SL1と第3シール部SL3とが交差する交差部を含む領域においても、図2に示した領域Aと同様の構造が適用されているが、その説明は省略する。
図示した例では、交差部CRにおいて、シール材SEが延在していない空隙30が形成されているが、この空隙30は消失している場合もあり得る。また、空隙30から第1方向Xに沿って図示した破線は、2回の描画プロセスに分けてそれぞれ塗布したシール材間の境界線30Lを示している。この境界線30Lは、それぞれのシール材が幅方向に広がった後に硬化した状態では消失している。なお、境界線30Lを挟んでそれぞれ塗布したシール材が互いに離間していても良い。このようなシール材SEにおいて、第1シール部SL1は、第2シール部SL2よりも幅広に形成されている。尚、シール材の塗布は、ディスペンサを用いて描画することに限定されず、印刷版を用いた印刷やインクジェットを用いた描画であってもよい。この場合、境界線30Lは存在しない場合がある。
アレイ基板ARは、配線群WG、第3絶縁膜(後述する有機絶縁膜)13などを備えている。配線群WGは、周辺エリアPRPに配置された複数の配線WR1、WR2…を有している。図示した例では、配線WR1は、アレイ基板ARの基板端部ARAに最も近接して形成された最外周配線である。配線WR1、WR2…は、実装部MTと電気的に接続されている。配線WR1、WR2…は、例えば、アクティブエリアACTから周辺エリアPRPに引き出されたソース配線やゲート配線、周辺エリアに形成された回路に対する制御信号、クロック信号、電源などが供給される各種配線である。
第3絶縁膜13は、配線群WGと重なる領域に形成されている。図示した例では、第3絶縁膜13は、配線群WGにおける最外周配線を含む全ての配線と重なるように形成されている。第3絶縁膜13には、溝部4が形成されている。溝部4は、第1シール部SL1と重なる領域において、第1方向Xに沿って形成され、また、第2シール部SL2と重なる領域において、第2方向に沿って形成されている。また、第3絶縁膜13には、交差部CRにおいて、対向基板CTの基板端部CTEと対向する位置まで拡張された除去部(凹部)4Eが形成されている。この除去部4Eは、溝部4に繋がっている。図示した例では、除去部4Eは、アレイ基板ARの基板端部ARAまで延在している。このような除去部4Eは、例えば、略三角形状に形成されている。除去部4Eの斜辺41は、配線群WGの配線方向に沿って延出している。除去部4Eの斜辺41と対向する頂角42は、基板端部ARAと基板端部CTEとの交点付近に位置している。第3絶縁膜13は、駆動ICチップ2が配置される実装部MTにおいても形成されていない。除去部4Eは実装部MTの第3絶縁膜13が形成されていない領域まで延在していてもよい。
図3は、図2のB−C線における表示パネルPNLの断面を示す図である。なお、図3では、主に周辺エリアPRPにおける表示パネルPNLの構造を図示しており、アクティブエリアACTにおける表示パネルPNLの詳細な構造については図示を省略している。
表示パネルPNLは、アレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向する対向基板CTと、アレイ基板ARと対向基板CTの間に保持された液晶層LQと、を備えている。アレイ基板ARと対向基板CTとは、周辺エリアPRPにおいてシール材SEによって接着されている。
アレイ基板ARの説明において、「上」とは、対向基板CTに近接する側を意味する。アレイ基板ARは、第1絶縁基板10、第1配線5、第2配線6、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第4絶縁膜14、第1配向膜AL1等を備えている。第1絶縁基板10は、ガラスや樹脂などの材料を用いて形成されている。第1絶縁基板10は、第1絶縁膜11に覆われている。なお、第1絶縁基板10と第1絶縁膜11との間に、他の絶縁膜や電極、配線などが介在していても良い。第1配線5は、第1絶縁膜11の上に形成されている。図示した例では、配線WR2や配線WR3などが第1配線5に相当する。第2絶縁膜12は、第1配線5及び第1絶縁膜11を覆っている。第2配線6は、第2絶縁膜12の上に形成されている。図示した例では、配線WR1や配線WR4などが第2配線6に相当する。第3絶縁膜13は、第2配線6及び第2絶縁膜12を覆っている。第1配線5及び第2配線6は、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)などの金属材料を用いて形成されている。
第1絶縁膜11及び第2絶縁膜12は、無機絶縁膜に相当し、例えばシリコン酸化物(SiO)やシリコン窒化物(SiN)などの無機材料によって形成されている。第3絶縁膜13は、上記の通り、有機絶縁膜に相当し、例えば各種樹脂等の有機材料によって形成されている。第3絶縁膜13は、第1絶縁膜11及び第2絶縁膜12よりも厚い膜厚を有している。
図示した例では、第1絶縁膜11及び第2絶縁膜12は、アクティブエリアACTから周辺エリアPRPに亘って概ね連続的に形成され、第1絶縁基板10の基板端部10Eまで延在している。第3絶縁膜13は、周辺エリアPRPにおいて、第2絶縁膜12まで貫通する溝部4によって途切れている。つまり、第3絶縁膜13は、周辺エリアPRPにおいて、基板端部10E側に位置する第1セグメント131と、アクティブエリアACT側に向かって延在する第2セグメント132とに分離されている。なお、図2に示した除去部4Eは、詳述しないが、溝部4と同様に第2絶縁膜12まで貫通している。
最外周配線である配線WR1の溝部4側の端部Dと、第3絶縁膜13の溝部4に面した端部Eとの距離Lは、例えば10μm以上に設定されている。
図示した例では、第4絶縁膜14は、第3絶縁膜13の上に形成されている。第4絶縁膜14は、無機絶縁膜に相当し、例えばシリコン窒化物(SiN)などの無機材料によって形成されている。第4絶縁膜14は、図示したようにアクティブエリアACTから周辺エリアPRPに亘って概ね連続的に形成されていてもよいし、アクティブエリアACTのみに形成されていてもよい。この第4絶縁膜14は、例えば、アレイ基板ARが画素電極及び共通電極を備える構成において、画素電極と共通電極との間に介在する層間絶縁膜に相当する。ここで、第4絶縁膜14は、縦電界や傾斜電界を利用する表示モードなどにおいては、省略される場合もある。
第1配向膜AL1は、第4絶縁膜14の上に形成されており、アレイ基板ARの液晶層LQに接する面に配置されている。図3では第1配向膜の端部はシール材SE形成領域内に位置しているが、第1絶縁基板の基板端部10Eまで設ける構成であってもよい。
一方、対向基板CTは、第2絶縁基板20、遮光層BM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、第2配向膜AL2等を備えている。第2絶縁基板20は、ガラスや樹脂などの材料を用いて形成されている。
遮光層BMは、第2絶縁基板20のアレイ基板ARに対向する側に形成されている。遮光層BMは、詳述しないがアクティブエリアACTにおいて各画素を区画するように形成されている。また、遮光層BMは、周辺エリアPRPにおいての概ね全体に亘って延在している。なお、図示した例では、遮光層BMは、スリット22を有している。スリット22は、例えば、配線WR1と対向している。一例では、スリット22の幅は、配線WR1の幅と同等もしくはそれ以下である。
カラーフィルタCFは、アクティブエリアACTにおいて、第2絶縁基板20のアレイ基板ARに対向する側に形成され、その端部が遮光層BMと重なっている。カラーフィルタCFは、着色された樹脂材料によって形成されている。なお、カラーフィルタCFは、アレイ基板ARに設けても良い。
オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFと遮光層BMを覆っている。オーバーコート層OCは、透明な樹脂材料によって形成されている。第2配向膜AL2は、オーバーコート層OCのアレイ基板ARと対向する側に形成されており、対向基板CTの液晶層LQに接する面に配置されている。
図示した例では、表示パネルPNLは、さらに、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に介在するスペーサPSを備えている。このスペーサPSは、第1絶縁基板10の基板端部10Eと第2絶縁基板20の基板端部20Eとが対向する領域に位置している。一例では、スペーサPSは、対向基板CTに備えられ、オーバーコート層OCのアレイ基板ARと対向する側に形成されている。スペーサPSの先端部は、第3絶縁膜13の第1セグメント131に接触している。このようなスペーサPSは、図面の法線方向に連続的に延出した壁状に形成されても良いし、不連続の壁状に形成されても良いし、点在した柱状に形成されても良い。また、スペーサSPはアレイ基板AR側に形成されていてもよい。図では基板端部に設けられているスペーサPSのみ記載されているが、アクティブエリアACTや周辺エリアPRPに他のスペーサPSを設けても良い。
上述したアレイ基板ARと対向基板CTとは、シール材SEによって接着されている。シール材SEは、溝部4にも充填されており、第3絶縁膜13の上面及び側面、さらには、溝部4において露出した第2絶縁膜12にも接触している。液晶層LQは、アレイ基板ARの第1配向膜AL1と対向基板CTの第2配向膜AL2との間に封入されている。
本実施形態によれば、シール材SEは、実装部MTに沿って形成された第1シール部SL1及び第1シール部SL1と交差する第2シール部SL2を有し、第1シール部SL1の第1幅W1は、第2シール部SL2の第2幅W2よりも大きい。つまり、表示に寄与しない周辺エリアPRPの実装部MT側で、より多くのシール材SEが塗布されている。このため、シール材SEの接着強度の低下を抑制することが可能である。したがって、シール材SEの剥れが抑制され、信頼性を向上することが可能な表示装置を提供することができる。
また、実装部MTに沿った第1シール部SL1においてシール材SEの接着強度が確保されるため、第1シール部SL1とは異なる部分のシール材SEの幅は、第1シール部SL1よりも小さくすることが可能となる。つまり、額縁状の周辺エリアPRPにおいて、実装部MTに沿った辺とは異なる辺に沿った幅を小さくすることができ、狭額縁化が可能となる。一例では、実装部MTとは異なる辺に沿った幅を1mm以下に設定した狭額縁仕様の表示装置において、シール材SEの接着強度を十分に確保できた。
また、本実施形態によれば、表示パネルPNLの有機絶縁膜である第3絶縁膜13には溝部4が形成されている。溝部を形成することで、シール材SEとアレイ基板ARとの接触面積が増大し、シール材SEの接着強度を高めることが出来る。また、第3絶縁膜13の溝部4を無機絶縁膜である第2絶縁膜12まで貫通させた場合、シール材SEは、第3絶縁膜13のみならず溝部4において第2絶縁膜12と接着されている。図3に示したように、アレイ基板ARは、無機材料の第2絶縁膜12と有機材料の第3絶縁膜13とが積層された積層構造を有している。このような無機絶縁膜と有機絶縁膜との界面では、無機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造や、有機絶縁膜と有機絶縁膜との積層構造比べて、剥離を生じる可能性が高い。そのため、シール材SEが有機絶縁膜である第3絶縁膜13のみならず無機絶縁膜である第2絶縁膜12に直接接着されることにより、第2絶縁膜12と第3絶縁膜13との界面での剥離を抑制することが可能となる。したがって、シール材SEのアレイ基板ARとの接着強度をより強化することが可能となる。
なお、対向基板CTにおいては、オーバーコート層OCや遮光層BM等の有機絶縁膜が積層された積層構造を有しているため、層間の界面での剥離は起こりにくい傾向にある。
また、第3絶縁膜13は、第1シール部SL1と第2シール部SL2とが交差する交差部において、溝部4に繋がり第2絶縁膜12まで貫通した除去部4Eを有している。この除去部4Eは、対向基板CTの基板端部CTEまで拡張されている。つまり、除去部4Eにおいて、シール材SEが第2絶縁膜12に接触される面積が拡張されるため、シール材SEによるアレイ基板ARと対向基板CTとの接着強度をより強化することが可能となる。特に、除去部4Eが三角形状に形成され、その斜辺が周辺エリアPRPの配線群WGの配線方向に延出している場合、配線群WGのほとんどの配線が第3絶縁膜13によって覆われる一方で、シール材SEと第2絶縁膜12との接着面積を拡大することが可能となる。
さらに、本実施形態によれば、第3絶縁膜13は、溝部4によって基板端部10E側の第1セグメント131と、アクティブエリアACT側の第2セグメント132とに分離されている。有機絶縁膜である第3絶縁膜13は、無機絶縁膜に比べて高い透水性を有する材料によって形成される場合がある。このような場合であっても、第3絶縁膜13が溝部4を有していることにより、溝部4で水分の浸潤経路が遮られ、表示パネルPNLの外部からアクティブエリアACT側に向かう水分の侵入を抑制することが可能である。したがって、水分侵入に伴う不具合(例えば、液晶材料や配線の劣化など)の発生を抑制することが可能となる。
また、図3に示した例では、遮光層BMは、スリット22を有している。このため、遮光層BMが高い透水性を有する材料によって形成された場合であっても、遮光層BMがスリット22を有していることにより、表示パネルPNLの外部からの水分の侵入を抑制することが可能である。なお、アレイ基板ARが備える配線群WGのうち、少なくとも1つの配線(図3に示した例では配線WR1)は、遮光層BMのスリット22に対向して形成されており、アレイ基板ARの下方から照射される光の漏れを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、スペーサPSは、周辺エリアPRPにおいて、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に介在している。このため、周辺エリアPRPにおいて、アレイ基板ARと対向基板CTとのギャップを保持することが可能となる。また、これらのアレイ基板AR及び対向基板CTを備えた表示パネルPNLは、例えば、複数のアレイ基板ARを形成するための第1マザー基板と、複数の対向基板CTを形成するための第2マザー基板とをシール材SEで貼り合わせた後にそれぞれカットすることで製造される。この際、第1マザー基板及び第2マザー基板のそれぞれのカットラインにスペーサPSを設けることにより、カットラインにおいてシール材SEがほとんど介在しない。このため、カットの際に加えられた外部応力がスペーサPSに向かって集中し、マザー基板のカット不良を抑制することが可能となる。また、カットラインに沿った位置には、シール材SEがほとんど存在しないため、切り出した表示パネルPNLを容易に分離することが可能となる。
また、本実施形態によれば、最外周配線である配線WR1の端部Dと第3絶縁膜13の端部Eとの距離Lは、10μm以上設けて形成される。このため、溝部4によって水分の浸潤経路が遮られるため、外部からの水分による配線WR1への影響を抑制することが可能となる。また、配線WR1が比較的厚膜の第3絶縁膜13によって覆われているため、アレイ基板AR及び対向基板CTを圧着した際に、シール材SEに含まれる含有物(例えばファイバー)から配線WR1を保護することが可能となる。
なお、最外周配線が無機絶縁膜である第2絶縁膜12によって覆われている場合には、必ずしも最外周配線と重なる位置に第3絶縁膜13が配置されていなくても良い。尚、狭額縁化を優先させるために、第2絶縁膜12まで貫通させていない溝部4を第2配線6等を形成した領域に設けることも可能である。また、溝部4は第3絶縁膜を第2絶縁膜12まで貫通させ、除去部4Eでは第3絶縁膜を部分的に残存させる構造であってもよい。また、除去部における距離Lを溝部4における距離Lよりも大きくすることも可能である。また、配線WR1と斜辺41とを平行にする必要はなく、斜辺41の端部における距離Lよりも、斜辺41の中心部における距離Lが大きくなるようにしてもよい。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図4は、本実施形態に係る第1の変形例を示す図である。第1の変形例は、図2に示した構成例と比較すると、第3絶縁膜13がアレイ基板ARの基板端部ARAに沿った領域31まで形成されている点で相違している。換言すると、第3絶縁膜13の除去部4Eは、基板端部ARAまで延在していない。領域31に形成された第3絶縁膜13には、図3に示したのと同様に、スペーサPSが対向している。シール材SEにおいては、上記の構成例と同様に、第1シール部SL1は、第2シール部SL2よりも幅広に形成されている。
このような変形例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。また、アレイ基板ARの基板端部ARAに沿って第3絶縁膜13が形成されたことにより、その第3絶縁膜13と対向するスペーサPSを配置することが可能となる。このため、周辺エリアPRPにおいて、アレイ基板ARと対向基板CTとのギャップをより安定に保持することが可能となる。
図5は、本実施形態に係る第2の変形例を示す図である。第2の変形例は、図2に示した構成例と比較すると、略三角形状に形成された除去部4Eの内側に、さらに第3絶縁膜13の島部32が形成されている点で相違している。第1の変形例と同様に、島部32には、スペーサPSが対向している。なお、島部32は、溝部4及び除去部4Eとシール材SEとの接着面積が一定以上確保されていれば、その形状や大きさは特に限定されない。島部は1つに限らず、2つ以上設けてもよい。
このような変形例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
図6は、本実施形態に係る第3の変形例を示す図である。第3の変形例は、図2に示した構成例と比較すると、第3絶縁膜13の除去部4Eに面した端部(あるいは、除去部4Eの斜辺)が曲線部33を有する点で相違している。この曲線部33は、例えばシール材SEの交差部CRに沿った曲線状に形成されている。一例では、曲線部33は、シール材SEを塗布する際の軌跡に沿って形成されている。
このような変形例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。加えて、第3絶縁膜13の除去部4Eに面した端部において、第3絶縁膜13の膜厚相当の比較的大きな段差(例えば2μm)が形成されたとしても、あるいは、シール材SEの塗布位置にバラツキが生じたとしても、第3絶縁膜13の上面及び除去部4Eにほぼ同等のシール材SEを塗布することが可能となる。このため、シール材SEの偏りに起因した接着強度の低下を抑制することが可能となる。
図7は、シール材を塗布する工程を模式的に示す図である。一例では、アレイ基板ARを形成するための第1マザー基板M1の一方の主面側(つまり、後に対向基板CTとなる第2マザー基板を接着する側)には、シール材SE1、SE2、SE3が塗布される。ここでは、アレイ基板3つ分のシール材のレイアウトを示している。なお、シール材SE1、SE2、SE3を塗布する順序については、特に制限はない。
アレイ基板AR1は、第2方向YのカットラインCL1、CL2及び第1方向XのカットラインCL5、CL6でカットされることにより形成される。アレイ基板AR2は、第2方向YのカットラインCL2、CL3及び第1方向XのカットラインCL5、CL6でカットされることにより形成される。アレイ基板AR3は、第2方向YのカットラインCL3、CL4及び第1方向XのカットラインCL5、CL6でカットされることにより形成される。
シール材SE1は、アレイ基板AR1の領域で、カットラインCL1に沿い、カットラインCL6よりもカットラインCL5に近接する側に沿い、カットラインCL2に沿って塗布された後に、アレイ基板AR2の領域で、カットラインCL5に沿って塗布され、さらに、アレイ基板AR3の領域で、カットラインCL3に沿い、カットラインCL6よりもカットラインCL5に近接する側に沿い、カットラインCL4に沿い、一続きに塗布される。
シール材SE2は、アレイ基板AR1の領域で、カットラインCL5に沿って塗布された後に、アレイ基板AR2の領域で、カットラインCL2に沿い、カットラインCL6よりもカットラインCL5に近接する側に沿い、カットラインCL3に沿って塗布され、さらに、アレイ基板AR3の領域で、カットラインCL5に沿い、一続きに塗布される。
シール材SE3は、アレイ基板AR1乃至AR3の各領域において、シール材SE1及びシール材SE2と隣接する位置でカットラインCL6に沿って一続きに塗布される。つまり、アレイ基板AR1乃至AR3の各実装部MT1乃至MT3に沿って形成されるシール部は、シール材SEが2回塗布されることによって形成されている。シール材SE1乃至SE3が略同等の幅W12で塗布される場合には、各実装部MT1乃至MT3に沿ったシール部の幅W11は、幅W12の略2倍となる。尚、シール材SE1の塗布幅とSE2の塗布幅とに対し、シール材SE3の塗布幅を異ならせることで、幅W11に対する幅12を2倍以外に設定することも可能である。
図8は、本実施形態に係る第4の変形例を示す図である。第4の変形例は、図2に示した構成例と比較すると、シール材SEの交差部CRにおいて空隙30が消失している点で相違している。すなわち、シール材SEは、交差部CRにおいて、アレイ基板ARの基板端部ARAまで延在している。このようなシール材SEにおいても、上記の構成例と同様に、第1シール部SL1は、第2シール部SL2よりも幅広に形成されている。
このような変形例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。加えて、この変形例におけるシール材SEは、上記のいずれの例よりも簡易な方法で形成可能である。以下に、そのシール材SEの形成方法の一例について説明する。
図9は、シール材SEを塗布する工程を模式的に示す図である。一例では、アレイ基板ARを形成するための第1マザー基板M1の一方の主面側(つまり、後に対向基板CTとなる第2マザー基板を接着する側)には、シール材SE4、SE5、SE6、SE7、SE8が塗布される。ここでは、アレイ基板3つ分のシール材のレイアウトを示している。なお、シール材SE4、SE5、SE6、SE7、SE8を塗布する順序については、特に制限はない。これらのシール材SE4、SE5、SE6、SE7、SE8は、ほぼ一定の幅W21で塗布される。
シール材SE4は、カットラインCL5に沿って塗布される。シール材SE4は、幅W21の略中央がカットラインCL5に沿うように形成される。シール材SE5はカットラインCL6よりもカットラインCL5に近接する側に沿って塗布される。シール材SE6は、カットラインCL1に沿って塗布される。シール材SE6は、幅W21の略中央がカットラインCL1に沿うように形成される。シール材SE7は、カットラインCL2に沿って塗布される。シール材SE7は、幅W21の略中央がカットラインCL2に沿うように形成される。シール材SE8は、カットラインCL3に沿って塗布される。シール材SE8は、幅W21の略中央がカットラインCL3に沿うように形成される。シール材SE9は、カットラインCL4に沿って塗布される。シール材SE9は、幅W21の略中央がカットラインCL4に沿うように形成される。
図示した第1マザー基板M1と図示しない第2マザー基板とを貼り合わせた後にカットラインCL1乃至CL6に沿ってカットした際に、シール材SE4、SE6乃至SE9は幅W21の半分の幅W22となる。一方で、アレイ基板AR1乃至AR3のそれぞれの領域において、実装部MT1乃至MT3に沿って形成されるシール部は、幅W21で形成されたシール材SE5によって形成される。つまり、実装部MT1乃至MT3に沿って形成されるシール部の幅は、他の3辺に沿ったシール部の幅の略2倍となる。このようなシール材SEの形成方法によれば、実装部に沿って形成されるシール部について、複数回に亘ってシール材を塗布することなく、他の辺に沿ったシール部よりも幅広に形成することが可能である。
なお、シール材SE4は、必ずしもカットラインCL5と重なる必要はなく、シール材SE4が、カットラインCL5よりもカットラインCL6に近接する側に塗布されていてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、シール材の接着強度の低下を抑制し、信頼性を向上することが可能な表示装置を提供することができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。