JP6889831B2 - ニッケル粉末の水スラリーとその製造方法 - Google Patents
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まず、ニッケル粉末とエチルセルロースなどの樹脂とターピネオールなどの有機溶剤などとをロールミルやビーズミルなどの混練装置で混練した導電ペーストを誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷する。印刷された導電ペーストが交互に重なるように誘電体グリーンシートを積層し圧着する。その後、積層体を所定の大きさにカットし、有機バインダとして使用したエチルセルロースなどの樹脂の燃焼、除去を行う脱バインダ処理を行って、1300℃まで高温焼成する。そして、このセラミック体に外部電極を取り付けて積層セラミックコンデンサとする。
この内部電極に使用されるニッケル粉末の合成方法には、液相中で合成される湿式法や還元ガスを用いて合成する乾式法などがあり、合成後のニッケル粉末は不純物を除去するための洗浄や湿式での表面処理などを行ってから乾燥される。またニッケルの乾燥粉末をそのまま用いてペースト化しようとすると、乾燥凝集が強すぎて十分にニッケル粉末が分散したペーストにならないことがあるため、ペースト化の前にニッケル粉末は乾式分散機で解砕されることが多い。
このような水中での酸化を防止する方法として、当業者であれば、特許文献1や特許文献2から、水にアルコールを添加しておく方法や溶存酸素を除去した水にて浸漬し封止する方法に容易に想到するが、本手法での水中酸化による水酸化ニッケルの発生抑制は不十分である。そのため、水スラリー中での水酸化ニッケルの発生を十分に抑制できる優れた酸化抑制方法が必要となっている。
適用されるニッケル粉末の合成方法は特に限定されず、150nm以下のニッケル粉末を得やすい気相法、湿式法、固相法のいずれでも良い。気相法としては微粉末を合成しやすいプラズマによる合成方法や化学気相法が適しており、湿式法としてはニッケルよりもイオン化傾向が小さい異種金属を核剤としてニッケルの化学種とヒドラジンなどの還元剤を用いた合成方法が適している。
還元を行う水溶液である還元工程水溶液の調製と、還元工程での反応について説明する。
水溶液Iは、ニッケル塩の水溶液で、ニッケル塩に由来するニッケルの化学種が含まれる。
水溶液IIはアルカリ性の水溶液である。
水溶液IIIは、ニッケル塩に由来するニッケルの化学種に対して還元作用を有する水溶液である。
水溶液IIと水溶液Iを予め混合し、その後水溶液IIIを混合する順序、水溶液IIと水溶液IIIを予め混合し、その後、水溶液Iを混合する順序、水溶液IIを分割し、水溶液Iおよび水溶液IIIに混合した後に、水溶液IIを混合した水溶液Iと水溶液IIを混合した水溶液IIIを混合する順序のいずれかが望ましい。
すなわち、最終的に水溶液Iと水溶液IIIが混合されれば良く、両者の混合で還元工程水溶液を形成できる。
水溶液I、水溶液II、水溶液IIIを混合して得られる還元工程水溶液で、ニッケル粉末が合成される際にニッケルの化学種と錯イオンを形成する錯化剤が含まれていれば、錯化剤の目的は達成される。
ニッケルよりもイオン化傾向の小さい異種金属は、水溶液I、水溶液II、水溶液IIIが混合されて得られる還元工程水溶液で、微粒子を形成していれば、異種金属の添加目的は達成される。
保護コロイド剤としては、異種金属の微粒子(例えば、パラジウムからなるコロイド粒子)を取り囲み、保護コロイドの形成に寄与するものであればよく、特にゼラチンが好ましいが、その他、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリビニルアルコールなどを用いることもできる。
保護コロイド剤の添加量は、ニッケル質量100%に対して、0.0025〜0.2質量%が望ましい。理由としては、ニッケル中に有機化合物である分散剤が不純物として残留しやすいためである。
加温する理由としては、保護コロイド剤のゼラチンの絡み合った高分子鎖が解され、所望の保護コロイド効果が発揮されやすいからである。また極力撹拌する理由としては、十分に撹拌されていない場合、微細な核が得られず、ニッケルの化学種から合成されるニッケル粉末の粒径が所望レベルに制御できないためである。
還元工程水溶液の温度が、50℃〜85℃になれば還元反応が進行してニッケルの化学種がニッケルまで還元される。
このように還元工程水溶液中で、ニッケルの化学種がニッケルまで還元されてニッケル粉末を生じる工程が、本発明におけるニッケル還元工程であり、その還元処理の進行に伴い、還元工程水溶液中のニッケルの化学種と還元剤が消費され、ニッケル粉末が還元工程水溶液中に合成される。
合成したニッケル粉末は、公知の固液分離方法により、液体を分離すると、平均粒径10nm〜150nmのニッケル粉末が得られる。
合成されたニッケル粉末は、不純物がニッケル粉末表面に残留し、かつ凝集体となっていることが多いので洗浄、解砕処理を行う。なお、ニッケル粉末に残留する不純物は、気相法、湿式法、固相法のいずれの場合も、原材料にニッケル塩を使用するため存在する。
十分にニッケル粉末が洗浄されたかは、得られたニッケルケーキを貫通した純水や限外ろ過器から排出された純水の電気伝導度を調べることで判定できる。例えば、50μS/cm以下であれば、洗浄できていると判定できる。
なお、不純物除去や凝集体の解砕の処理にかかる時間においては、ニッケル粉末の表面に水酸化ニッケルの突起が発生したり、水酸化ニッケル粉末が発生したりすることは確認されない。
不純物の除去および解砕されたニッケル粉末の水スラリーは、ニッケル粉末の濃度が30質量%以下であり、ニッケル粉末の濃度の調製(濃縮)を行う必要があることが多い。そのために静置沈降し上澄み液を除去する。固形分濃度が高くなり過ぎると、抗酸化物質を添加した際にニッケル粉末表面に抗酸化物質を均一に行き渡らせることが困難となるため、液体状の流動性が保てる程度に濃縮した調製後スラリーとすることが望ましい。
その添加量は、「ニッケル量に対して0.1〜5質量%」である。
アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウムなどのアスコルビン酸金属塩は水に溶解するので本発明で用いることができる。アスコルビン酸金属塩は、アスコルビン酸と同様抗酸化作用を備える。
カテキン類では、エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガラートが望ましく、水への溶解性からエピガロカテキン、エピガロカテキンガラートがより望ましい。
抗酸化物質は、選択的に水酸基が酸化されアルデヒドになり、更にはカルボキシル基にまで酸化されることによって、ニッケル粉末の酸化が抑制されているものと推定される。
抗酸化物質が加えられていない水スラリーでは、製造直後のニッケル粉末の水スラリーでは観察されないニッケル粉末表面の突起状の異形状物質が確認された。確認された突起状の異形状物質および針状の異形状物質の組成分析をEDXで行ったところ、異形状物質が確認された部分は、異形状物質が存在しないニッケル粉末の部分よりも酸素に帰属する強いピークが確認された。更に、これらの物質を同定するために、X線回折装置(以下、XRD)でXRDパターンを確認したところ、ニッケルおよび水酸化ニッケルに帰属するピークが確認された。
以上から、発生している針状物質は主に水酸化ニッケルであると推定される。
すなわち、本発明によって、異形状物質が含まれず十分に分散した平均粒径10nm〜150nmのナノレベルのニッケル粉末の水スラリーを得ることができ、導電ペーストを製造することができる。更には、ロールミルなどの混練装置による混練工程を経ることなく、導電ペーストを得ることも可能となる。
ニッケル粉末の平均粒径の評価、ニッケル粉末表面に発生する突起状の水酸化ニッケルの有無の評価手段を以下に示す。
所定時間が経過したニッケル粉末のスラリーからサンプリングを行い、FE−SEMの試料台に塗布して室温にて乾燥する。その後、SEMにて試料台を観察して、ニッケル粉末の表面に突起物が存在しているか否かを確認した。
図1、2はニッケル粉末表面評価の基準を示すSEM像で、図1と同様な状態の像が得られた場合は、表面に突起物が存在しているとして「異形状物有」と判定し、図2と同様な状態の像が得られた場合は、表面に異常突起物は存在していないとして「異形状物無」と判定した。
ニッケル粉末をFE−SEMにより倍率100,000倍で観察して粒子形状を測定した。また平均粒径は、その観察像の写真を撮影し、写真中の粒子形状の全様が見える粒子の面積を測定し、面積から各粒子の直径を求め、その平均値により定めた。
水溶液IIIの調製には、純水600Lにゼラチン0.5gを溶解させた後、ヒドラジン濃度が0.02g/Lとなるようにヒドラジンを混合した。
次に、ニッケルに対してパラジウムが500質量ppmとなるようにジクロロテトラアンミンパラジウムとニッケルに対して銀が5質量ppmとなるクロロジアンミン銀とを含む混合水溶液を作製し、ゼラチンとヒドラジンが含まれる先に作製した水溶液IIIに滴下してコロイド溶液を得た。このコロイド溶液に水酸化ナトリウムを添加し、pHを10以上とした後、更にヒドラジン濃度が26g/Lとなるまでヒドラジンを添加して、パラジウムと微量の銀からなる複合コロイド粒子が混合された水溶液IIIと水溶液IIの混合液のアルカリ性ヒドラジン溶液を作製し、ニッケルを還元するためのアルカリ性ヒドラジン溶液とした。
得られたニッケル粉末の平均粒径は100nmであった。
得られたニッケル粉末を静置沈降し、反応後液を極力除去した後に、純水600Lを添加して混合撹拌した上澄み液600Lを除去するデカンテーションを3回繰り返した後にデンバー濾過器にて固液分離を行った。その後、100L掛け水洗浄し、得られたケーキに純水30Lを添加して再スラリー化して、湿式のジェットミルにて水中分散した。
水中分散状態を、静置沈降して上澄み液を除去した後に、0.1μm孔径のフィルターを用いて水分が60質量%になるまで濃縮した調製後スラリーを作製した。
製造した直後、製造して7日経過、14日経過したスラリーに含まれるニッケル粉末の表面状態をFE−SEMで観察し、突起状の異物が発生しているかを確認した。
その結果を表1に示す。
その後、第3の工程としてエピガロカテキン25gと純水100gの混合溶液を添加、撹拌して、水と抗酸化物質とニッケル粉末の水スラリーを得た。
実施例1と同様に試験・評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例1と同様に第1の工程、第2の工程を実施した。
その後、第3の工程として抗酸化物質を含まない純水100gを添加して撹拌して、ニッケル粉末の水スラリーを得た。
実施例1と同様に試験・評価を行い、その結果を表1に示す。
Claims (5)
- 水とニッケル粉末と水溶性の抗酸化物質を含み、
前記抗酸化物質がポリフェノール類であり、前記ポリフェノール類がエピガロカテキンまたはエピガロカテキンガラートであることを特徴とするニッケル粉末の水スラリー。 - 前記ニッケル粉末の平均粒径が、10nm〜150nmであることを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉末の水スラリー。
- ニッケル粉末を得る第1の工程、
前記第1の工程で得られたニッケル粉末を、水又はアルコール類を用いて洗浄し、その後、洗浄後スラリーを得る第2の工程、
前記第2の工程で得られた洗浄後スラリーに含まれるニッケル粉末の含有量を調製してスラリーの濃度調製を行った調製後スラリーを形成した後、前記調製後スラリーに水溶性の抗酸化物質の水溶液を加えて撹拌して水スラリーを作製する第3の工程を経ることと、
前記抗酸化物質が、ポリフェノール類であることを特徴とするニッケル粉末の水スラリーの製造方法。 - 前記ポリフェノール類が、エピガロカテキンまたはエピガロカテキンガラートである請求項3に記載のニッケル粉末の水スラリーの製造方法。
- 前記ニッケル粉末の平均粒径が、10nm〜150nmであることを特徴とする請求項3又4に記載のニッケル粉末の水スラリーの製造方法。
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