JP6884994B2 - チタン焼結体および装飾品 - Google Patents

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Description

本発明は、チタン焼結体および装飾品に関するものである。
チタン合金は、機械的強度や耐食性に優れるため、航空機、宇宙開発、化学プラント等の分野で使用されている。また、最近では、チタン合金の生体適合性や低ヤング率等の特性を活かし、腕時計の外装部品、眼鏡フレームのような装飾品、ゴルフクラブのようなスポーツ用品、スプリング等に応用されつつある。
また、このような応用に際し、粉末冶金法を適用することにより、最終形状に近い形状のチタン焼結体を容易に製造することができる。これにより、二次加工を省略したり、加工量を減らしたりすることができ、効率的な部品生産が可能になる。
しかしながら、粉末冶金法により製造されたチタン焼結体は、原料粉末の性状が反映され易く、表面の平滑性を高めることが難しい。このため、チタン焼結体の鏡面性が低下し易く、外観上の課題になり得る。
そこで、粉末冶金法で製造されたチタン焼結体の鏡面性を改善する試みが提案されている。
例えば、特許文献1には、重量比で0.1〜1.0%の鉄粉末と、0.1〜4.0%のモリブデン粉末と、を含み、残りがチタン粉末で構成された混合粉を圧粉成形後に1200〜1350℃で焼結したことを特徴とする装飾用チタン合金が開示されている。そして、得られたチタン合金は、α+βの2相組織を含み、腕時計外装部品等で要求される鏡面性を得たとしている。
特開平8−92674号公報
しかしながら、特許文献1に記載のチタン合金は、チタンに加えて鉄を含むため、耐候性に劣る。このため、長期わたって過酷な環境に曝された場合、表面に劣化が生じ、その結果、鏡面性の低下を招く。
本発明の目的は、長期にわたって良好な鏡面性を維持し得るチタン焼結体および装飾品を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のチタン焼結体は、結晶組織がα相とβ相からなるチタン合金で構成され、
断面において前記α相の平均粒径が3μm以上30μm以下であり、
断面において前記α相が占める面積率が78%以上98%以下であることを特徴とする。
これにより、長期にわたって良好な鏡面性を維持し得るチタン焼結体が得られる。
本発明のチタン焼結体では、断面において前記α相の平均アスペクト比は、1以上3以下であることが好ましい。
これにより、チタン焼結体に研磨加工を施したときの研磨量に異方性が生じ難くなるため、研磨面に凹凸が生じ難くなる。このため、研磨面の平滑性をより高めることができ、とりわけ鏡面性に優れたチタン焼結体が得られる。
本発明のチタン焼結体では、X線回折法により取得されたX線回折スペクトルにおいて、前記β相の面方位(110)による反射強度のピーク値は、前記α相の面方位(100)による反射強度のピーク値の3%以上60%以下であることが好ましい。
これにより、α相が持つ特性とβ相が持つ特性とがそれぞれ埋没することなく顕在化する。その結果、特に長期にわたって高い鏡面性を維持し得るチタン焼結体が得られる。
本発明のチタン焼結体では、チタンを主成分とし、α相安定化元素およびβ相安定化元素を含むことが好ましい。
これにより、チタン焼結体の製造条件や使用条件が変動したとしても、結晶組織としてα相とβ相とを併せ持つことができるので、耐候性に優れたものとなる。その結果、チタン焼結体は、α相が呈する特性とβ相が呈する特性とを併せ持つものとなり、とりわけ機械的特性に優れる。
本発明のチタン焼結体では、相対密度が99%以上であることが好ましい。
これにより、チタン焼結体の表面が研磨されたとき、特に良好な鏡面性を示す。
本発明のチタン焼結体では、前記チタン合金は、アルミニウムを4.5質量%以上6.75質量%以下で含むことが好ましい
本発明の装飾品は、本発明のチタン焼結体を含むことが好ましい。
これにより、長期にわたって良好な鏡面性を維持し、その結果、長期にわたって優れた美的外観を維持し得る装飾品が得られる。
本発明のチタン焼結体の実施形態を示す電子顕微鏡像である。 図1に示す電子顕微鏡像の一部を模式的に描いた図である。 本発明の装飾品の実施形態が適用された時計ケースを示す斜視図である。 本発明の装飾品の実施形態が適用されたベゼルを示す部分断面斜視図である。 実施例1のチタン焼結体について得られたX線回折スペクトルである。 比較例2のチタン焼結体の断面の電子顕微鏡像である。 参考例1のチタン溶製材の断面の電子顕微鏡像である。
以下、本発明のチタン焼結体および装飾品について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<チタン焼結体>
まず、本発明のチタン焼結体の実施形態について説明する。
図1は、本発明のチタン焼結体の実施形態を示す電子顕微鏡像であり、図2は、図1に示す電子顕微鏡像の一部を模式的に描いた図である。なお、図1は、チタン焼結体の切断面を撮像したものであり、図1の上端において左右に延びている濃色の帯は、チタン焼結体の外側の領域である。
本実施形態に係るチタン焼結体は、例えば粉末冶金法により製造されたものである。すなわち、このチタン焼結体では、チタン合金粉末の粒子同士が焼結することによって構成されている。
より具体的には、図2に示すように、チタン焼結体1は結晶組織としてα相2とβ相3とを含んでいる。このうち、α相2とは、それを構成する結晶構造が主として六方最密充填(hcp)構造である領域(チタンα相)のことをいう。一方、β相3とは、それを構成する結晶構造が主として体心立方格子(bcc)構造である領域(チタンβ相)のことをいう。なお、図1では、α相2が相対的に淡色を呈する領域として写っており、β相3は相対的に濃色を呈する領域として写っている。
α相2は、相対的に硬度が低く、延性に富んでいるため、特に高温下での強度や耐変形性に優れたチタン焼結体1の実現に寄与する。一方、β相3は、相対的に硬度が高いものの、塑性変形を生じ易いため、全体として靭性に優れたチタン焼結体1の実現に寄与する。
チタン焼結体1の断面では、そのほとんどがこのようなα相2とβ相3とで占められているのが好ましい。α相2とβ相3の合計の占有率(面積率)は、特に限定されないが、95%以上であるのが好ましく、98%以上であるのがより好ましい。このようなチタン焼結体1は、α相2およびβ相3が特性面で支配的になるため、チタンが持つ多くの長所が反映されたものとなる。
なお、α相2とβ相3の合計の占有率は、例えばチタン焼結体1の断面を電子顕微鏡や光学顕微鏡等で観察し、結晶構造の違いに基づく呈色の違いやコントラストに基づいて結晶相を区別するとともに面積を計測することによって求められる。
また、α相2やβ相3以外の結晶組織としては、例えば、ω相、γ相等が挙げられる。
また、チタン焼結体1は、前述したようにα相2とβ相3とを含むとともに、α相2の平均粒径が3μm以上30μm以下であり、かつ、α相2が占める占有率(面積率)が70%以上99.8%以下である。
このようなチタン焼結体1は、α相2が微細であり、かつ、α相2が支配的になっているため、強度が高い上に研磨加工の均一性に富んでいる。このため、研磨加工の際、α相2とβ相3との硬度差に基づく凹凸が生じ難くなり、研磨面の平滑性を高めることができる。加えて、支配的に存在するα相2は、転位を生じ難いことから研磨によって変性し難く、かつ、耐食性が高いことから、長期にわたって研磨直後の平滑な状態を維持することに寄与する。換言すれば、耐摩耗性が高くなるため、研磨面のキズ付き等が抑制され、研磨面を長期にわたって良好に維持することができる。一方、α相2に比べて存在量の少ないβ相3は、前述したように塑性変形を生じ易いため、α相2同士の滑りを助長する。このため、研磨加工の際に応力が加わった場合でも、β相3においてその応力を緩和することができる。その結果、残留応力に伴う平滑性の低下等の不具合が生じるのを抑制することができる。換言すれば、良好な研磨を可能にする研磨性が得られるため、鏡面性の高い研磨面を容易に得ることができる。
なお、α相2の平均粒径が前記下限値を下回ると、α相2の粒径が小さくなり過ぎるため、適切な研磨が難しくなるとともに小径のα相2が光の反射に影響を及ぼし易くなり、研磨面の鏡面性が低下するおそれがある。加えて、α相2の占有率を十分に高めることができなくなるので、チタン焼結体1の機械的強度を十分に高めることができなくなるおそれがある。一方、α相2の平均粒径が前記上限値を上回ると、α相2が針状形状になり易くなる。針状形状になると、チタン焼結体1の疲労強度が低下し易くなり、長期にわたって高い鏡面性を維持することが難しくなる。さらに、耐摩耗性が低下するため、研磨面がキズ付き易くなり、研磨面を長期にわたって良好に維持することが難しくなるおそれがある。加えて、主にα相2に由来する機械的強度が低下するおそれがある。
また、α相2が占める面積率が前記下限値を下回ると、その分、β相3が占める面積が大きくなる。これにより、β相3が光の反射に寄与する度合いが大きくなり、研磨面の鏡面性が低下する。一方、α相2が占める面積率が前記上限値を上回ると、その分、β相3の存在量が少なくなる。これにより、α相2同士の間に生じる応力を緩和するβ相3の機能が損なわれるため、残留応力に伴って研磨面の平滑性が低下するおそれがある。
また、α相2の平均粒径は、好ましくは5μm以上25μm以下とされ、より好ましくは7μm以上20μm以下とされる。
なお、α相2の平均粒径は、次のようにして測定される。まず、チタン焼結体1の断面を電子顕微鏡で観察し、得られた観察像において100個以上のα相2を無作為に選択する。次に、観察像上において選択したα相2の面積を算出し、この面積と同じ面積を持つ円の直径を求める。このようにして求めた円を、そのα相2の粒径(円相当径)とみなし、100個以上のα相2についての平均値を求める。この平均値がα相2の平均粒径となる。
また、α相2が占める面積率は、好ましくは75%以上99%以下とされ、より好ましくは80%以上98%以下とされる。
なお、α相2が占める面積率は、次のようにして測定される。まず、チタン焼結体1の断面を電子顕微鏡で観察し、得られた観察像の面積を算出する。次いで、観察像に写っているα相2の面積の合計を求める。そして、求めたα相2の面積の合計を、観察像の面積で除する。この解がα相2が占める面積率となる。
一方、α相2が上記のような面積率である場合、β相3の面積率はそれより小さくなる。具体的には、β相3の面積率は0.2%以上30%以下程度であるのが好ましく、1%以上25%以下程度であるのがより好ましく、2%以上20%以下程度であるのがさらに好ましい。β相3は、前述したように塑性変形を生じ易いため、α相2同士の滑りを助長する。このため、β相3が前記範囲内の割合で存在していることにより、チタン焼結体1が研磨に供されたとき、研磨の際の抵抗が著しく大きくなってしまうのを防止することができる。その結果、研磨面の平滑性をより高めることができ、鏡面性が高く美的外観に優れたチタン焼結体1を得ることができる。
このようなチタン焼結体1の構成材料は、チタン単体またはチタン基合金である。
チタン基合金は、チタンを主成分とする合金であるが、チタン(Ti)の他に、例えば、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、硫黄(S)等の元素を含む合金である。
このうち、本実施形態に係るチタン基合金は、α相安定化元素とβ相安定化元素とを含むことが好ましい。これにより、チタン焼結体1は、その製造条件や使用条件が変動したとしても、結晶組織としてα相2とβ相3とを併せ持つことができるので、耐候性に優れたものとなる。このため、チタン焼結体1は、α相2が呈する特性とβ相3が呈する特性とを併せ持つものとなり、とりわけ機械的特性に優れる。
このうち、α相安定化元素としては、例えば、アルミニウム、ガリウム、スズ、炭素、窒素、酸素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が組み合わされて用いられる。一方、β相安定化元素としては、例えば、モリブデン、ニオブ、タンタル、バナジウム、鉄等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が組み合わされて用いられる。
チタン基合金の具体的な組成としては、JIS H 4600:2012に60種、60E種、61種または61F種として規定されているチタン合金が挙げられる。具体的には、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−4V ELI、Ti−3Al−2.5V等が挙げられる。この他、航空宇宙材料規格(AMS)に規定されているTi−6Al−6V−2Sn、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo−0.08Si、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo等が挙げられる。また、国際標準化機構(ISO)が策定する規格に規定されているTi−5Al−2.5Fe、Ti−6Al−7Nb等が挙げられる。さらには、Ti−13Zr−13Ta、Ti−6Al−2Nb−1Ta、Ti−15Zr−4Nb−4Ta、Ti−5Al−3Mo−4Zr等が挙げられる。
なお、上述した合金組成の表記は、濃度の大きい成分を左から順に記載したものであり、元素の前にある数字はその元素の濃度を質量%を表すものである。例えば、Ti−6Al−4Vは、6質量%のAlと4質量%のVとを含み、残部がTiおよび不純物であることを表す。なお、不純物は、所定の割合(例えば不純物合計で0.40質量%以下)で不可避的に混入した元素または意図的に添加された元素である。
また、上述した合金組成の主なものの範囲は、下記の通りである。
Ti−6Al−4V合金は、Alを5.5質量%以上6.75質量%以下で含み、Vを3.5質量%以上4.5質量%以下で含み、残部がTiおよび不純物である。不純物としては、例えば、Feが0.4質量%以下、Oが0.2質量%以下、Nが0.05質量%以下、Hが0.015質量%以下、Cが0.08質量%以下の割合で、それぞれ含まれることが許容される。さらには、その他の元素が個々に0.10質量%以下、合計で0.40質量%以下の割合で、それぞれ含まれることが許容される。
Ti−6Al−4V ELI合金は、Alを5.5質量%以上6.5質量%以下で含み、Vを3.5質量%以上4.5質量%以下で含み、残部がTiおよび不純物である。不純物としては、例えば、Feが0.25質量%以下、Oが0.13質量%以下、Nが0.03質量%以下、Hが0.0125質量%以下、Cが0.08質量%以下の割合で、それぞれ含まれることが許容される。さらには、その他の元素が個々に0.10質量%以下、合計で0.40質量%以下の割合で、それぞれ含まれることが許容される。
Ti−3Al−2.5V合金は、Alを2.5質量%以上3.5質量%以下で含み、Vを1.6質量%以上3.4質量%以下で含み、必要に応じてSを0.05質量%以上0.20質量%以下で含み、必要に応じてLa、Ce、PrおよびNdの少なくとも1種を合計で0.05質量%以上0.70質量%以下で含み、残部がTiおよび不純物である。不純物としては、例えば、Feが0.30質量%以下、Oが0.25質量%以下、Nが0.05質量%以下、Hが0.015質量%以下、Cが0.10質量%以下の割合で、それぞれ含まれることが許容される。さらには、その他の元素が合計で0.40質量%以下の割合で含まれることが許容される。
Ti−5Al−2.5Fe合金は、Alを4.5質量%以上5.5質量%以下で含み、Feを2質量%以上3質量%以下で含み、残部がTiおよび不純物である。不純物としては、例えば、Oが0.2質量%以下、Nが0.05質量%以下、Hが0.013質量%以下、Cが0.08質量%以下の割合で、それぞれ含まれることが許容される。さらには、その他の元素が合計で0.40質量%以下の割合で含まれることが許容される。
Ti−6Al−7Nb合金は、Alを5.5質量%以上6.5質量%以下で含み、Nbを6.5質量%以上7.5質量%以下で含み、残部がTiおよび不純物である。不純物としては、例えば、Taが0.50質量%以下、Feが0.25質量%以下、Oが0.20質量%以下、Nが0.05質量%以下、Hが0.009質量%以下、Cが0.08質量%以下の割合で、それぞれ含まれることが許容される。さらには、その他の元素が合計で0.40質量%以下の割合で含まれることが許容される。なお、Ti−6Al−7Nb合金は、細胞毒性が他の合金種に比べて特に低いため、チタン焼結体1が生体適合用途に用いられる場合、特に有用である。
また、チタン焼結体1に含まれる成分は、例えばJIS H 1632−1(2014)〜JIS H 1632−3(2014)に規定されているチタン−ICP発光分光分析方法に準拠した方法により分析することができる。
また、チタン焼結体1は、酸化チタンを主成分とする粒子(以下、省略して「酸化チタン粒子」という。)を含んでいてもよい。この酸化チタン粒子は、チタン焼結体1中に分散することによって、マトリックスである金属チタンに加わる応力を分担すると考えられる。このため、酸化チタン粒子を含むことにより、チタン焼結体1全体における機械的強度の向上が図られる。また、酸化チタンは金属チタンよりも硬いため、酸化チタン粒子が分散していることにより、チタン焼結体1の耐摩耗性をより高めることができる。これにより、研磨面のキズ付き等が抑制されるため、研磨面を長期にわたって良好に維持することができる。
なお、酸化チタンを主成分とする粒子とは、例えば、蛍光X線分析法または電子線マイクロアナライザーにより、対象となる粒子の成分分析を行い、最も多く含まれた元素がチタンおよび酸素のうちの一方であり、次いで多く含まれた元素が他方であると分析された粒子のことをいう。
酸化チタン粒子の平均粒径は、特に限定されないが、0.5μm以上20μm以下であるのが好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましく、2μm以上10μm以下であるのがさらに好ましい。酸化チタン粒子の平均粒径が前記範囲内であれば、チタン焼結体1の靭性や引張強さ等の機械的特性を大きく損なうことなく、耐摩耗性を高めることができる。すなわち、酸化チタン粒子の平均粒径が前記下限値を下回ると、酸化チタン粒子の含有率によっては、酸化チタン粒子による応力の分担作用が低下するおそれがある。また、酸化チタン粒子の平均粒径が前記上限値を上回ると、酸化チタン粒子の含有率によっては、酸化チタン粒子が亀裂の起点になって機械的強度が低下するおそれがある。
また、酸化チタン粒子の結晶構造は、ルチル型、アナターゼ型およびブルッカイト型のうちのいずれであってもよく、複数の型が混在していてもよい。
なお、酸化チタン粒子の平均粒径は、次のようにして測定される。まず、チタン焼結体1の断面を電子顕微鏡で観察し、得られた観察像において100個以上の酸化チタン粒子を無作為に選択する。このとき、酸化チタン粒子か否かは、画像のコントラストおよび酸素の面分析等によって特定することができる。次に、観察像上において選択した酸化チタン粒子の面積を算出し、この面積と同じ面積を持つ円の直径を求める。このようにして求めた円を、その酸化チタン粒子の粒径(円相当径)とみなし、100個以上の酸化チタン粒子についての平均値を求める。この平均値が酸化チタン粒子の平均粒径となる。
また、本実施形態に係るα相2の形状は、針状形状ではなく、等方形状あるいはそれに準じた形状であるのが好ましい。このような形状を有することにより、前述したように、チタン焼結体1の疲労強度の低下を抑制することができる。その結果、長期にわたって高い鏡面性を維持し得るチタン焼結体1が得られる。
具体的には、チタン焼結体1の断面において、α相2の平均アスペクト比は、好ましくは1以上3以下とされ、より好ましくは1以上2.5以下とされる。α相2の平均アスペクト比が前記範囲内であることにより、チタン焼結体1の疲労強度および硬度の低下が抑えられる。このため、構造部品として有用なチタン焼結体1が得られる。また、平均アスペクト比を前記範囲内に調整することにより、チタン焼結体1に研磨加工を施したときの研磨量に異方性が生じ難くなるため、研磨面に凹凸が生じ難くなる。その結果、研磨面の平滑性をより高めることができ、とりわけ鏡面性に優れたチタン焼結体1が得られる。換言すれば、研磨量に異方性が生じ易くなると、光の反射にも異方性が生じ、鏡面性や審美性が低下するおそれがある。
なお、α相2の平均アスペクト比は、次のようにして測定される。まず、チタン焼結体1の断面を電子顕微鏡で観察し、得られた観察像において100個以上のα相2を無作為に選択する。次に、観察像上において選択したα相2の長軸を特定し、さらにこの長軸と直交する方向で最長の軸を短軸として特定する。次いで、長軸/短軸をアスペクト比として算出する。そして、100個以上のα相2についてのアスペクト比を平均し、これを平均アスペクト比とする。
また、本実施形態に係るチタン焼結体1では、α相2の粒径が比較的揃っている。このため、等方形状あるいはそれに準じた形状であることに加え、粒径が揃っていることも奏功し、チタン焼結体1の疲労強度を高めるとともに、長期にわたって高い鏡面性を保たせることができる。
α相2の粒径をプロットエリアの横軸にとり、その粒径に対応するα相2の数をプロットエリアの縦軸にとって粒径の測定結果をプロットすると、α相2の粒度分布が得られる。この粒度分布において、小径側からの個数の累積が全体の16%になるときの粒径をD16とし、小径側からの個数の累積が全体の84%となるときの粒径をD84とする。このとき、粒度分布の標準偏差SDは、下記式で求められる。
SD=(D84−D16)/2
このようにして求められた標準偏差SDは、粒度分布の分布幅の目安となる。そして、本実施形態に係るチタン焼結体1では、α相2の粒度分布の標準偏差SDが5以下であるのが好ましく、3以下であるのがより好ましく、2以下であるのがさらに好ましい。α相2の粒度分布の標準偏差SDが前記範囲内であるチタン焼結体1は、粒度分布が十分に狭く、α相2の粒径が十分に揃っているものとなる。かかるチタン焼結体1は、とりわけ疲労強度が高く、かつ、長期にわたって高い鏡面性を維持し得るものとなる。
また、チタン焼結体1がX線回折法による結晶構造解析に供され、取得されるX線回折スペクトルは、α相に起因する反射強度のピークとβ相に起因する反射強度のピークとを含む。
ここで、取得されるX線回折スペクトルは、特に、チタンα相の面方位(100)による反射強度のピークと、チタンβ相の面方位(110)による反射強度のピークと、を含むことが好ましい。その上で、チタンβ相の面方位(110)による反射強度のピーク値(ピークトップの値)は、チタンα相の面方位(100)による反射強度のピーク値(ピークトップの値)の3%以上60%以下であるのが好ましく、5%以上50%以下であるのがより好ましく、10%以上40%以下であるのがさらに好ましい。これにより、前述したα相2が持つ特性とβ相3が持つ特性とがそれぞれ埋没することなく顕在化する。その結果、特に長期にわたって高い鏡面性を維持し得るチタン焼結体1が得られる。
なお、チタンα相の面方位(100)による反射強度のピークは、2θが35.3°付近に位置する。一方、チタンβ相の面方位(110)による反射強度のピークは、2θが39.5°付近に位置する。
また、X線回折装置のX線源には、Cu−Kα線を用い、管電圧を30kVとし、管電流を20mAとする。
また、チタン焼結体1は、相対密度が99%以上であるのが好ましく、99.5%以上であるのがより好ましい。チタン焼結体1の相対密度が前記範囲内であることにより、表面が研磨されたとき、特に良好な鏡面性を示すチタン焼結体1が得られる。すなわち、このような相対密度であることにより、チタン焼結体1中に空孔が生じ難くなる。このため、かかる空孔によって光反射が阻害されるのを抑制することができる。
なお、チタン焼結体1の相対密度は、JIS Z 2501:2000に規定された焼結金属材料の密度試験方法に準じて測定された乾燥密度である。
また、チタン焼結体1のビッカース硬度(HV)は、特に限定されないが、300以上であるのが好ましく、350以上600以下であるのがより好ましい。このような硬度を有するチタン焼結体1は、表面にキズ等が付き難いものとなる。このため、例えば装飾品等の構成材料として用いられた場合でも、キズ等によって美感が損なわれることを抑制し得るチタン焼結体1が得られる。
チタン焼結体1のビッカース硬度(HV)は、チタン焼結体1の表面において測定され、測定方法は、JIS Z 2244:2009に規定されたビッカース硬さ試験−試験方法に準じる。なお、圧子の試験力は9.8N(1kgf)とし、試験力の保持時間は15秒とする。そして、10か所の測定結果の平均値を表面のビッカース硬度とする。
このようなチタン焼結体1は、種々の用途に適用可能であり、特に限定されないが、特に装飾品の構成材料として有用である。
<装飾品>
次に、本発明の装飾品の実施形態について説明する。
本発明の装飾品としては、例えば、時計ケース(胴、裏蓋、胴と裏蓋とが一体化されたワンピースケース等)、時計バンド(バンド中留、バンド・バングル着脱機構等を含む。)、ベゼル(例えば、回転ベゼル等)、りゅうず(例えば、ネジロック式りゅうず等)、ボタン、ガラス縁、ダイヤルリング、見切板、パッキンのような時計用外装部品、メガネ(例えば、メガネフレーム)、ネクタイピン、カフスボタン、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアスのような装身具、スプーン、フォーク、箸、ナイフ、バターナイフ、栓抜きのような食器、ライターまたはそのケース、ゴルフクラブのようなスポーツ用品、銘板、パネル、賞杯、その他ハウジング(例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、モバイル型コンピューター、音楽プレーヤー、カメラ、シェーバー等のハウジング)のような機器用外装部品等が挙げられる。これらの装飾品は、いずれも優れた美的外観が尊ばれることがある。これらの装飾品の構成材料としてチタン焼結体1が用いられることにより、装飾品の表面に優れた鏡面性を与えることができる。これにより、長期にわたって優れた美的外観を維持し得る装飾品が得られる。
図3は、本発明の装飾品の実施形態が適用された時計ケースを示す斜視図であり、図4は、本発明の装飾品の実施形態が適用されたベゼルを示す部分断面斜視図である。
図3に示す時計ケース11は、ケース本体112と、ケース本体112から突出するように設けられ、時計バンドを取り付けるためのバンド取付部114と、を備えている。このような時計ケース11は、図示しないガラス板や裏蓋とともに、容器を構築することができる。この容器内には、図示しないムーブメントや文字盤等が収納される。したがって、この容器は、ムーブメント等を外部環境から保護するとともに、時計の美的外観に大きな影響を及ぼす。
図4に示すベゼル12は、環状をなしており、時計ケースに装着され、必要に応じて時計ケースに対して回転可能になっている。時計ケースにベゼル12が装着されると、ベゼル12が時計ケースの外側に位置するため、ベゼル12が時計の美的外観を左右することになる。
また、このような時計ケース11やベゼル12は、人体に装着された状態で使用されるため、常にキズが付き易い。このため、このような装飾品の構成材料としてチタン焼結体1が用いられることにより、表面の鏡面性が高く美的外観に優れた装飾品が得られる。また、長期にわたってこの鏡面性を維持することができる。
<チタン焼結体の製造方法>
次に、チタン焼結体1を製造する方法について説明する。
チタン焼結体1の製造方法は、[1]チタン合金粉末と有機バインダーとを混練し、混練物を得る工程と、[2]混練物を粉末冶金法により成形し、成形体を得る工程と、[3]成形体を脱脂し、脱脂体を得る工程と、[4]脱脂体を焼成し、焼結体を得る工程と、[5]焼結体に熱間等方加圧処理(HIP処理)を施す工程と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
[1]混練工程
まず、チタン焼結体1の原材料となるチタン単体粉末またはチタン合金粉末(以下、省略して「チタン合金粉末」という。)を有機バインダーとともに混練し、混練物を得る。
チタン合金粉末の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上50μm以下であるのが好ましく、5μm以上40μm以下であるのがより好ましい。
また、チタン合金粉末は、単一の合金組成の粒子のみからなる粉末(プレアロイ粉末)であってもよく、互いに組成の異なる複数種の粒子を混合してなる混合粉末(プレミックス粉末)であってもよい。プレミックス粉末の場合、個々の粒子は1種類の元素のみを含む粒子であっても複数の元素を含む粒子であってもよく、プレミックス粉末全体で前述したような組成比を満たしていればよい。
混練物中の有機バインダーの含有率は、成形条件や成形する形状等に応じて適宜設定されるが、混練物全体の2質量%以上20質量%以下程度であるのが好ましく、5質量%以上10質量%以下程度であるのがより好ましい。有機バインダーの含有率を前記範囲内に設定することにより、混練物は良好な流動性を有するものとなる。これにより、成形の際の混練物の充填性が向上し、最終的に目的とする形状により近い形状(ニアネットシェイプ)の焼結体が得られる。
有機バインダーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはこれらの共重合体等の各種樹脂や、各種ワックス、パラフィン、高級脂肪酸(例:ステアリン酸)、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等の各種有機バインダーが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
また、混練物中には、必要に応じて、可塑剤が添加されていてもよい。この可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル(例:DOP、DEP、DBP)、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、セバシン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
さらに、混練物中には、チタン合金粉末、有機バインダー、可塑剤の他に、例えば、滑剤、酸化防止剤、脱脂促進剤、界面活性剤等の各種添加物を必要に応じて添加することができる。
なお、混練条件は、用いるチタン合金粉末の合金組成や粒径、有機バインダーの組成、およびこれらの配合量等の諸条件により異なるが、その一例を挙げれば、混練温度50℃以上200℃以下程度、混練時間15分以上210分以下程度とすることができる。
また、混練物は、必要に応じ、ペレット(小塊)化される。ペレットの粒径は、例えば、1mm以上15mm以下程度とされる。
なお、後述する成形方法に応じて、混練物ではなく、造粒粉末を製造するようにしてもよい。
[2]成形工程
次に、混練物を成形して、成形体を製造する。
成形方法としては、特に限定されず、例えば、圧粉成形(圧縮成形)法、金属粉末射出成形(MIM:Metal Injection Molding)法、押出成形法等の各種成形法を用いることができる。このうち、ニアネットシェイプの焼結体を製造し得るという観点から、金属粉末射出成形法が好ましく用いられる。
また、圧粉成形法の場合の成形条件は、用いるチタン合金粉末の組成や粒径、有機バインダーの組成、およびこれらの配合量等の諸条件によって異なるが、成形圧力が200MPa以上1000MPa以下(2t/cm以上10t/cm以下)程度であるのが好ましい。
また、チタン合金粉末の場合の成形条件は、やはり諸条件によって異なるものの、材料温度が80℃以上210℃以下程度、射出圧力が50MPa以上500MPa以下(0.5t/cm以上5t/cm以下)程度であるのが好ましい。
また、押出成形法の場合の成形条件は、やはり諸条件によって異なるものの、材料温度が80℃以上210℃以下程度、押出圧力が50MPa以上500MPa以下(0.5t/cm以上5t/cm以下)程度であるのが好ましい。
このようにして得られた成形体は、チタン合金粉末の粒子同士の間隙に、有機バインダーが一様に分布した状態となる。
なお、作製される成形体の形状寸法は、以降の脱脂工程および焼成工程における成形体の収縮分を見込んで決定される。
また、必要に応じて、成形体に対して切削、研磨、切断等の機械加工を施すようにしてもよい。成形体は、硬度が比較的低く、かつ比較的可塑性に富んでいるため、成形体の形状が崩れるのを防止しつつ、容易に機械加工を施すことができる。このような機械加工によれば、最終的に寸法精度の高いチタン焼結体1をより容易に得ることができる。
[3]脱脂工程
次に、得られた成形体に脱脂処理(脱バインダー処理)を施し、脱脂体を得る。
具体的には、成形体を加熱して、有機バインダーを分解することにより、成形体中から有機バインダーの少なくとも一部を除去して、脱脂処理がなされる。
この脱脂処理は、例えば、成形体を加熱する方法、バインダーを分解するガスに成形体を曝す方法等が挙げられる。
成形体を加熱する方法を用いる場合、成形体の加熱条件は、有機バインダーの組成や配合量によって若干異なるものの、温度100℃以上750℃以下×0.1時間以上20時間以下程度であるのが好ましく、150℃以上600℃以下×0.5時間以上15時間以下程度であるのがより好ましい。これにより、成形体を焼結させることなく、成形体の脱脂を必要かつ十分に行うことができる。その結果、脱脂体の内部に有機バインダー成分が多量に残留してしまうのを確実に防止することができる。
また、成形体を加熱する際の雰囲気は、特に限定されず、水素のような還元性ガス雰囲気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、大気のような酸化性ガス雰囲気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧雰囲気等が挙げられる。
一方、バインダーを分解するガスとしては、例えば、オゾンガス等が挙げられる。
なお、このような脱脂工程は、脱脂条件の異なる複数の過程(ステップ)に分けて行うことにより、成形体中の有機バインダーをより速やかに、そして、成形体に残存させないように分解・除去することができる。
また、必要に応じて、脱脂体に対して切削、研磨、切断等の機械加工を施すようにしてもよい。脱脂体は、硬度が比較的低く、かつ比較的可塑性に富んでいるため、脱脂体の形状が崩れるのを防止しつつ、容易に機械加工を施すことができる。このような機械加工によれば、最終的に寸法精度の高いチタン焼結体1をより容易に得ることができる。
[4]焼成工程
次に、得られた脱脂体を、焼成炉で焼成して焼結体を得る。すなわち、チタン合金粉末の粒子同士の界面で拡散が生じ、焼結に至る。その結果、チタン焼結体1が得られる。
焼成温度は、チタン合金粉末の組成や粒径等によって異なるが、一例として900℃以上1400℃以下程度とされる。また、好ましくは1050℃以上1300℃以下程度とされる。
また、焼成時間は、0.2時間以上20時間以下とされるが、好ましくは1時間以上6時間以下程度とされる。
なお、焼成工程においては、途中で焼結温度や後述する焼成雰囲気を変化させるようにしてもよい。
また、焼成の際の雰囲気は、特に限定されないが、金属粉末の著しい酸化を防止することを考慮した場合、水素のような還元性ガス雰囲気、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧雰囲気等が好ましく用いられる。
なお、チタン合金粉末からチタン焼結体1を製造する場合、焼成条件等によっては、α相2とβ相3の双方が形成されることがある。特に、チタン合金粉末中に前述したβ相安定化元素が含まれている場合には、β相3がより確実に形成される。
一方、各種製造条件を最適化することにより、チタン焼結体1においてα相2が占める割合、すなわち、チタン焼結体1の断面においてα相2が占める面積率を調整することができる。例えば、焼成温度が高くなるとβ相3の割合が多くなるため、β相3の割合が目的の範囲内に収まるように焼成温度を調整するとともに、焼成時間が長すぎることによる結晶組織の肥大化を考慮して焼成時間を設定すればよい。
したがって、例えばβ相3をほとんど含まないチタン合金粉末を用いてチタン焼結体1を製造する場合、チタン合金粉末の組成によっては、焼成温度を高くすればするほどβ相3の割合が高くなっていくので、α相2の面積率が前記範囲内に収まるように焼成温度を調整するともに、焼成温度の調整によって焼結不足や過焼結にならないように焼成時間が設定される。
また、α相2の平均粒径が前記範囲内にある場合、α相2の面積率が高くなるにつれて、α相2の形状は等方形状に近づく傾向を示す。これは、β相3の割合が低下することにより、α相2同士が隣接する確率が高くなり、α相2同士が互いに干渉し合うことによって異方的な粒成長が阻害されるためと考えられる。
[5]HIP工程
また、このようにして得られた焼結体に対し、さらにHIP処理(熱間等方加圧処理)等を施すようにしてもよい。これにより、焼結体のさらなる高密度化を図り、より機械的特性に優れた装飾品を得ることができる。
HIP処理の条件としては、例えば、温度が850℃以上1200℃以下、時間が1時間以上10時間以下程度とされる。
また、加圧力は、50MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上500MPa以下であるのがより好ましい。
さらに、必要に応じて、得られた焼結体に対し、さらに焼鈍処理、溶体化処理、時効処理、熱間加工処理、冷間加工処理等が施されてもよい。
なお、必要に応じて、得られたチタン焼結体1に研磨処理を施すようにしてもよい。研磨処理としては、特に限定されないが、例えば、電解研磨、バフ研磨、乾式研磨、化学研磨、バレル研磨、サンドブラスト等が挙げられる。これらの研磨処理を施すことにより、チタン焼結体1の表面にさらなる金属光沢を与え、鏡面性を高めることができる。
以上、本発明のチタン焼結体および装飾品について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、チタン焼結体の用途は、装飾品に限定されず、各種構造部品等であってもよい。この構造部品としては、例えば、自動車用部品、自転車用部品、鉄道車両用部品、船舶用部品、航空機用部品、宇宙輸送機(例えばロケット等)用部品のような輸送機器用部品、パソコン用部品、携帯電話端末用部品のような電子機器用部品、冷蔵庫、洗濯機、冷暖房機のような電気機器用部品、工作機械、半導体製造装置のような機械用部品、原子力発電所、火力発電所、水力発電所、製油所、化学コンビナートのようなプラント用部品、手術用器具、人工骨、人工関節、人工歯、人工歯根、歯列矯正用部品のような医療機器等が挙げられる。
なお、チタン焼結体は、生体適合性が高いため、特に人工骨や歯科用金属部品として有用である。このうち歯科用金属部品は、口腔内に一時的あるいは半永久的に留置される金属部品であれば、特に限定されず、例えば、インレー、クラウン、ブリッジ、金属床、義歯、インプラント、アバットメント、フィクスチャー、スクリュー等のメタルフレームが挙げられる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.チタン焼結体の製造
(実施例1)
<1>まず、ガスアトマイズ法により製造された平均粒径23μmのTi−6Al−4V合金粉末を用意した。
次いで、ポリプロピレンとワックスの混合物(有機バインダー)を用意し、原料粉末と有機バインダーとの質量比が9:1になるように秤量して、チタン焼結体製造用組成物を得た。
次いで、得られたチタン焼結体製造用組成物を混練機で混練し、コンパウンドを得た。そして、コンパウンドをペレットに加工した。
<2>次に、得られたペレットを用いて、以下に示す成形条件で成形し、成形体を作製した。
<成形条件>
・成形方法:金属粉末射出成形法
・材料温度:150℃
・射出圧力:11MPa(110kgf/cm
<3>次に、得られた成形体に対して、以下に示す脱脂条件で脱脂処理を施し、脱脂体を得た。
<脱脂条件>
・脱脂温度 :520℃
・脱脂時間 :5時間
・脱脂雰囲気:窒素ガス雰囲気
<4>次に、得られた脱脂体を、以下に示す焼成条件で焼成した。このようにして焼結体を作製した。
<焼成条件>
・焼成温度 :1100℃
・焼成時間 :5時間
・焼成雰囲気:アルゴンガス雰囲気
・雰囲気圧力:大気圧(100kPa)
<5>次に、得られた焼結体に対し、以下に示す処理条件でHIP処理を施した。このようにして、直径5mm×長さ100mmの棒状をなすチタン焼結体を得た。
<HIP処理条件>
・処理温度 :900℃
・処理時間 :3時間
・処理圧力 :1480kgf/cm(145MPa)
<6>次に、得られたチタン焼結体を切断し、切断面にバフ研磨処理を施した。
次いで、研磨面を電子顕微鏡で観察し、α相の平均粒径、α相およびβ相が占める面積率、ならびにα相の平均アスペクト比をそれぞれ求めた。その結果を表1に示す。
(実施例2〜6)
α相の平均粒径、α相およびβ相が占める面積率、ならびにα相の平均アスペクト比がそれぞれ表1に示す値になるように製造条件を変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にしてチタン焼結体を得た。
(比較例1〜3)
α相の平均粒径、α相およびβ相が占める面積率、ならびにα相の平均アスペクト比がそれぞれ表1に示す値になるように製造条件を変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にしてチタン焼結体を得た。
(参考例1)
まず、Ti−6Al−4V合金の溶製材を用意した。
次いで、得られた溶製材を切断し、研磨面にバフ研磨処理を施した。
次いで、研磨面を電子顕微鏡で観察し、α相の平均粒径、α相およびβ相が占める面積率、ならびにα相の平均アスペクト比をそれぞれ求めた。その結果を表1に示す。
(実施例7)
Ti−6Al−4V合金粉末に代えて、平均粒径23μmのTi−3Al−2.5V合金粉末を用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてチタン焼結体を得た。
そして、得られたチタン焼結体を切断し、切断面にバフ研磨処理を施した。
次いで、研磨面を電子顕微鏡で観察し、α相の平均粒径、α相およびβ相が占める面積率、ならびにα相の平均アスペクト比をそれぞれ求めた。その結果を表2に示す。
(実施例8〜12)
α相の平均粒径、α相およびβ相が占める面積率、ならびにα相の平均アスペクト比がそれぞれ表2に示す値になるように製造条件を変更した以外は、それぞれ実施例7と同様にしてチタン焼結体を得た。
(比較例4〜6)
α相の平均粒径、α相およびβ相が占める面積率、ならびにα相の平均アスペクト比がそれぞれ表2に示す値になるように製造条件を変更した以外は、それぞれ実施例7と同様にしてチタン焼結体を得た。
(参考例2)
まず、Ti−3Al−2.5Vの溶製材を用意した。
次いで、得られた溶製材を切断し、研磨面にバフ研磨処理を施した。
次いで、研磨面を電子顕微鏡で観察し、α相の平均粒径、α相およびβ相が占める面積率、ならびにα相の平均アスペクト比をそれぞれ求めた。その結果を表2に示す。
(実施例13)
Ti−6Al−4V合金粉末に代えて、平均粒径25μmのTi−6Al−7Nb合金粉末を用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてチタン焼結体を得た。
そして、得られたチタン焼結体を切断し、切断面にバフ研磨処理を施した。
次いで、研磨面を電子顕微鏡で観察し、α相の平均粒径、α相およびβ相が占める面積率、ならびにα相の平均アスペクト比をそれぞれ求めた。その結果を表3に示す。
(実施例14〜18)
α相の平均粒径、α相およびβ相が占める面積率、ならびにα相の平均アスペクト比がそれぞれ表3に示す値になるように製造条件を変更した以外は、それぞれ実施例13と同様にしてチタン焼結体を得た。
(比較例7〜9)
α相の平均粒径、α相およびβ相が占める面積率、ならびにα相の平均アスペクト比がそれぞれ表3に示す値になるように製造条件を変更した以外は、それぞれ実施例13と同様にしてチタン焼結体を得た。
(参考例3)
まず、Ti−6Al−7Nbの溶製材を用意した。
次いで、得られた溶製材を切断し、切断面にバフ研磨処理を施した。
次いで、研磨面を電子顕微鏡で観察し、α相の平均粒径、α相およびβ相が占める面積率、ならびにα相の平均アスペクト比をそれぞれ求めた。その結果を表3に示す。
2.チタン焼結体の評価
2.1 鏡面性
まず、各実施例、各比較例および各参考例のチタン焼結体(チタン溶製材)について、研磨面を目視にて観察した。そして、研磨面の鏡面性を以下の評価基準に照らして評価した。評価結果を表1〜3に示す。
<研磨面の鏡面性の評価基準>
◎:研磨面の鏡面性が非常に高い(美的外観が特に良好)
○:研磨面の鏡面性がやや高い(美的外観がやや良好)
△:研磨面の鏡面性がやや低い(美的外観がやや不良)
×:研磨面の鏡面性が非常に低い(美的外観が不良)
2.2 相対密度
次に、各実施例、各比較例および各参考例のチタン焼結体(チタン溶製材)について、JIS Z 2501:2000に規定の方法に準じて相対密度を算出した。算出結果を表1〜3に示す。
2.3 ビッカース硬度
次に、各実施例、各比較例および各参考例のチタン焼結体(チタン溶製材)の研磨面について、JIS Z 2244:2009に規定の方法に準じてビッカース硬度を測定した。測定結果を表1〜3に示す。
2.4 X線回折法による結晶構造解析
次に、実施例1のチタン焼結体について、以下に示す測定条件により、X線回折法による結晶構造解析を行った。
<X線回折法による結晶構造解析の測定条件>
・X線源 :Cu−Kα線
・管電圧 :30kV
・管電流 :20mA
得られたX線回折スペクトルを図5に示す。
図5から明らかなように、実施例1のチタン焼結体について得られたX線回折スペクトルは、α相(α−Ti)による反射強度のピークと、β相(β−Ti)による反射強度のピークとを含んでいることがわかった。そこで、2θが35.3°付近に位置する面方位(100)α−Tiによる反射強度のピーク値を基準にしたとき、2θが39.5°付近に位置する面方位(110)β−Tiによる反射強度のピーク値の前記基準に対する割合(ピーク比)を算出した。また、これと同様の計算を、実施例2〜18、比較例1〜9および参考例1〜3のチタン焼結体(チタン溶製材)においても行った。ピーク比の算出結果を表1〜3に示す。
2.5 耐摩耗性
次に、各実施例および各比較例のチタン焼結体ならびに各参考例のチタン溶製材等について、その表面の耐摩耗性を評価した。具体的には、まず、チタン焼結体およびチタン溶製材の表面にバフ研磨処理を施した。次いで、研磨面について、JIS R 1613(2010)に規定されたファインセラミックスのボールオンディスク法による摩耗試験方法に準じた摩耗試験を行い、円板状試験片の摩耗量を測定した。なお、測定条件は、以下の通りである。
<比摩耗量の測定条件>
・球形試験片の材質:高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)
・球形試験片の大きさ:直径6mm
・円板状試験片の材質:各実施例および各比較例の焼結体ならびに各参考例の溶製材
・円板状試験片の大きさ:直径35mm、厚さ5mm
・荷重の大きさ:10N
・摺動速度:0.1m/s
・摺動円直径:30mm
・摺動距離:50m
そして、参考例1のチタン溶製材について得られた摩耗量を1とし、表1に示す各実施例および各比較例のチタン焼結体について得られた摩耗量の相対値を算出した。
同様に、参考例2のチタン溶製材について得られた摩耗量を1とし、表2に示す各実施例および各比較例のチタン焼結体について得られた摩耗量の相対値を算出した。
さらに、同様に、参考例3のチタン溶製材について得られた摩耗量を1とし、表3に示す各実施例および各比較例のチタン焼結体について得られた摩耗量の相対値を算出した。
次いで、算出した相対値を以下の評価基準に照らして評価した。評価結果を表1〜3に示す。
<摩耗量の評価基準>
A:摩耗量が非常に少ない(相対値が0.5未満)
B:摩耗量が少ない(相対値が0.5以上0.75未満)
C:摩耗量がやや少ない(相対値が0.75以上1未満)
D:摩耗量がやや多い(相対値が1以上1.25未満)
E:摩耗量が多い(相対値が1.25以上1.5未満)
F:摩耗量が非常に多い(相対値が1.5以上)
2.6 引張強さ
次に、各実施例および各比較例のチタン焼結体ならびに各参考例のチタン溶製材等について、その引張強さを測定した。なお、引張強さの測定は、JIS Z 2241(2011)に規定の金属材料引張試験方法に準じて行った。
そして、参考例1のチタン溶製材について得られた引張強さを1とし、表1に示す各実施例および各比較例のチタン焼結体について得られた引張強さの相対値を算出した。
同様に、参考例2のチタン溶製材について得られた引張強さを1とし、表2に示す各実施例および各比較例のチタン焼結体について得られた引張強さの相対値を算出した。
さらに、同様に、参考例3のチタン溶製材について得られた引張強さを1とし、表3に示す各実施例および各比較例のチタン焼結体について得られた引張強さの相対値を算出した。
次いで、得られた相対値を以下の評価基準に照らして評価した。評価結果を表1〜3に示す。なお、引張強さについては、上記試験体以外に、SUS316L焼結体、ASTM F75(Co−28%Cr−6%Mo合金)の鋳造材および焼結体、ならびにα−Ti焼結体についても、参考例a〜dとして評価した(表1)。また、参考例dについては、その他に、前述した2.1〜2.3および2.5と同様の評価を行った。
<引張強さの評価基準>
A:引張強さが非常に大きい(相対値が1.09以上)
B:引張強さが大きい(相対値が1.06以上1.09未満)
C:引張強さがやや大きい(相対値が1.3以上1.06未満)
D:引張強さがやや小さい(相対値が1以上1.03未満)
E:引張強さが小さい(相対値が0.97以上1未満)
F:引張強さが非常に小さい(相対値が0.97未満)
2.7 破断時の公称ひずみ(破断伸び)
次に、各実施例および各比較例のチタン焼結体ならびに各参考例のチタン溶製材等について、その破断伸びを測定した。なお、破断伸びの測定は、JIS Z 2241(2011)に規定の金属材料引張試験方法に準じて行った。
次いで、得られた破断伸びを以下の評価基準に照らして評価した。評価結果を表1〜3に示す。なお、破断伸びについては、上記試験体以外に、SUS316L焼結体、ASTM F75(Co−28%Cr−6%Mo合金)の鋳造材および焼結体、ならびにα−Ti焼結体についても、参考例a〜dとして評価した(表1)。
<破断伸びの評価基準>
A:破断伸びが非常に大きい(0.15以上)
B:破断伸びが大きい(0.125以上0.15未満)
C:破断伸びがやや大きい(0.10以上0.125未満)
D:破断伸びがやや小さい(0.075以上0.10未満)
E:破断伸びが小さい(0.050以上0.075未満)
F:破断伸びが非常に小さい(0.050未満)
2.8 細胞毒性試験
次に、各実施例および各比較例のチタン焼結体ならびに各参考例のチタン溶製材等からなる試験体について、細胞毒性試験を行った。なお、細胞毒性試験は、ISO 10993−5:2009に規定されている細胞毒性試験に準じて行った。具体的には、直接接触法によるコロニー形成法によって、対照群のコロニー数の平均値を100%としたとき、試験体に直接播種した細胞のコロニー数の対照群のコロニー数に対する割合(コロニー形成率[%])を求めた。なお、試験条件は以下の通りである。
・細胞株:V97細胞
・培地:MEM10培地
・陰性対照材料(ネガティブコントロール):高密度ポリエチレンフィルム
・陽性対照材料(ポジティブコントロール):0.1%ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛含有ポリウレタンフィルム
・対照群(コントロール):培地に直接播種した細胞のコロニー数
次いで、得られたコロニー形成率を以下の評価基準に照らして分類することにより各試験体の細胞毒性を評価した。評価結果を表1〜3に示す。なお、細胞毒性試験については、上記試験体以外に、SUS316L焼結体、ASTM F75(Co−28%Cr−6%Mo合金)焼結体、およびα−Ti焼結体についても、参考例a、c、dとして評価した(表1)。
<細胞毒性の評価基準>
A:コロニー形成率が90%以上
B:コロニー形成率が80%以上90%未満
C:コロニー形成率が80%未満
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表1〜3から明らかなように、各実施例のチタン焼結体は、研磨面の鏡面性が高いことが認められた。また、相対密度およびビッカース硬度もそれぞれ高いことから、各実施例のチタン焼結体は、高い鏡面性を長期にわたって維持し得ることが認められた。
また、各実施例のチタン焼結体は、鏡面性、密度および硬度といった特性において、チタン溶製材と同等以上であることが認められた。したがって、本発明によれば、ニアネットシェイプという特徴を生かしつつ、特性に優れたチタン焼結体を得ることができる。
なお、比較例2のチタン焼結体の断面の電子顕微鏡像を図6に示す。図6からは、比較例2のチタン焼結体では、α相が細長い形状、すなわち異方性の大きい形状をなしていることが認められる。
また、参考例1のチタン溶製材の断面の電子顕微鏡像を図7に示す。図7からは、参考例1のチタン焼結体では、α相の粒径が比較的小さいものの、異方性の大きい形状をなしていることが認められる。
1…チタン焼結体、2…α相、3…β相、11…時計ケース、12…ベゼル、112…ケース本体、114…バンド取付部

Claims (7)

  1. 結晶組織がα相とβ相からなるチタン合金で構成され、
    断面において前記α相の平均粒径が3μm以上30μm以下であり、
    断面において前記α相が占める面積率が78%以上98%以下であることを特徴とするチタン焼結体。
  2. 断面において前記α相の平均アスペクト比は、1以上3以下である請求項1に記載のチタン焼結体。
  3. X線回折法により取得されたX線回折スペクトルにおいて、前記β相の面方位(110)による反射強度のピーク値は、前記α相の面方位(100)による反射強度のピーク値の3%以上60%以下である請求項1または2に記載のチタン焼結体。
  4. チタンを主成分とし、α相安定化元素およびβ相安定化元素を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載のチタン焼結体。
  5. 相対密度が99%以上である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のチタン焼結体。
  6. 前記チタン合金は、アルミニウムを4.5質量%以上6.75質量%以下で含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載のチタン焼結体。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のチタン焼結体を含むことを特徴とする装飾品。
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