以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態の内視鏡を含む内視鏡システムの構成を示す図であり、図2は、第1の実施形態の内視鏡を含む内視鏡システムの電気的な構成を示すブロック図である。
図1、図2に示すように、本第1の実施形態の内視鏡を有する内視鏡システム1は、被検体を観察し撮像する内視鏡2と、当該内視鏡2に接続され前記撮像信号を入力し所定の画像処理を施すビデオプロセッサ3と、被検体を照明するための照明光を供給する光源装置4と、撮像信号に応じた観察画像を表示するモニタ装置5と、を有している。
内視鏡2は、被検体の体腔内等に挿入される細長の挿入部6と、挿入部6の基端側に配設され術者が把持して操作を行う内視鏡操作部10と、内視鏡操作部10の側部から延出するように一方の端部が設けられたユニバーサルコード11と、を有して構成されている。
挿入部6は、先端側に設けられた硬質の先端部7と、先端部7の後端に設けられた湾曲自在の湾曲部8と、湾曲部8の後端に設けられた長尺かつ可撓性を有する可撓管部9と、を有して構成されている。
前記ユニバーサルコード11の基端側にはコネクタ12が設けられ、当該コネクタ12は光源装置4に接続されるようになっている。すなわち、コネクタ12の先端から突出する流体管路の接続端部となる口金(図示せず)と、照明光の供給端部となるライトガイド口金(図示せず)とは光源装置4に着脱自在で接続されるようになっている。
さらに、前記コネクタ12の側面に設けた電気接点部には接続ケーブル13の一端が接続されるようになっている。そして、この接続ケーブル13には、例えば内視鏡2における撮像素子(CMOSイメージセンサ)121(図2参照)からの撮像信号を伝送する信号線、並びに、撮像素子を駆動するための制御信号線および電源線が内設され、また、他端のコネクタ部はビデオプロセッサ3に接続されるようになっている。
図2に示すように、本実施形態の内視鏡2は、挿入部6の先端部7に配設された、被写体像を入光するレンズを含む対物光学系(図示せず)と、対物光学系における結像面に配設された撮像素子(CMOSイメージセンサ)121と、を備える。
また内視鏡2は、撮像素子121から延出され、当該撮像素子121から挿入部6、操作部10、ユニバーサルコード11を経て、コネクタ12に至るまで配設されたケーブル28を備える。
撮像素子121は、上述したように本実施形態においてはCMOSイメージセンサにより構成される撮像素子である。また、撮像素子121は、被写体像を入光し光電変換した後に所定の画素出力信号を出力する画素部122と、前記画素出力信号を入力し所定の信号処理を行った後、撮像信号として出力する信号処理部123と、これら画素部122、信号処理部123等を制御する制御部124と、を備える。
ケーブル28は、各種駆動信号(基準クロックCLK、各種同期信号等)を伝送する駆動信号ライン、撮像素子121を駆動するための電源電圧VDDを供給するための電源供給ライン、前記撮像信号を伝送する撮像信号ライン等を内包するケーブルであり、本実施形態においては、撮像素子121からコネクタ12に至るまで配設されている。
前記駆動信号ラインは、ビデオプロセッサ3における駆動制御部32と撮像素子121とに接続され、撮像素子121を制御するための各種駆動信号(基準クロックCLK、各種同期信号等)を伝送する。
前記電源供給ラインは、ビデオプロセッサ3における電源部33に接続され、撮像素子121に対して電源電圧を供給するためのVDDラインおよびグランドライン(GND)を有する。
なお、前記VDDライン(電源供給線)は、撮像素子121に接続された後、当該撮像素子121内部に配線され、当該撮像素子121に対して所定の電源電圧VDDを供給する役目を果たす。
また、撮像素子121は、電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように当該電源供給線の負荷を補正する電源電流補正部150と、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部150に対して制御信号を出力する電源電流制御部160と、を具備するが、詳細については後述する。
一方、本実施形態の内視鏡システム1は、当該内視鏡2に接続され前記撮像信号を入力し所定の画像処理を施すビデオプロセッサ3を備える。
本実施形態においてビデオプロセッサ3は、内視鏡2からの撮像信号を入力し、所定の画像処理を施す撮像信号処理回路31と、内視鏡2に対して各種動作制御信号を送出する駆動制御部32と、ビデオプロセッサ3内の各種回路に供給する電源電圧および内視鏡2における各種電源部に対して供給するための電源電圧を生成する電源部33と、を備える。
具体的に駆動制御部32は、所定の制御信号、例えば、基準クロックCLKおよび同期信号を生成し、前記ケーブル28を介して撮像素子121に対して供給するようになっている。
また、電源部33は、撮像素子121に供給するための電源電圧VDDを生成し、ケーブル28に配した電源供給線(VDDライン)およびグランドライン(GND)を介して当該電源電圧VDDを撮像素子121に供給するようになっている。
次に、本第1の実施形態を特徴付ける、撮像素子121に設けた電源電流補正部150および電源電流制御部160について説明するに先立って、本発明における「撮像素子の起動時」について説明する。
上述したように、本発明は、「撮像素子の起動時」等の動作不安定時における意図しない消費電流の低下状態を是正し、起動時と通常動作時とで消費電流を一定化することを可能とした内視鏡を提供することを目的とするものであるが、本実施形態において「撮像素子の起動時」について以下、定義づける。
<本実施形態における「撮像素子の起動時」について>
本実施形態において「撮像素子の起動時」とは、内視鏡2に対する電源投入時であって撮像素子121に対して実際に電源電圧VDDが供給され起動が開始された直後からの極短時間を指す。
より具体的に「撮像素子の起動時」とは、撮像素子121に電源電圧VDDが供給され起動が開始された直後から、ビデオプロセッサ3における駆動制御部32から撮像素子121に対して「同期信号」が送出され、当該撮像素子121の電源電流制御部160において当該「同期信号」の最初期における信号を受信するまでの期間をいう。
対して「撮像素子の通常動作時」とは、上述した「起動時」を経て、現に撮像素子121から所定の撮像信号の出力が開始された後の期間であり、撮像素子121自体の動作も安定し、当該撮像素子121に供給する電源供給線(VDDライン)における消費電流も定格動作の範囲内に収まっている状態の時をいう。
以下、図4を参照して、「撮像素子の起動時」と「撮像素子の通常動作時」とにおける電源供給線(VDDライン)の電源電圧および電源電流の状態について説明する。
図4は、従来の内視鏡において、起動時における電源電圧特性および電源電流特性、並びに、理想電源電圧特性および理想電源電流特性を示した図である。
近年、内視鏡の撮像素子および挿入部等の小型化・細径化に伴って、撮像素子に電源電圧を供給する電源ケーブルについても細径化が求められ、当該ケーブル自体の抵抗値についても増大を余儀なくされていることは上述した。
このような状況下において、上述の如き定義する「撮像素子の起動時」においては、本実施形態の如きCMOSイメージセンサ等の撮像素子は動作が安定していないことから、消費電流が通常動作時よりも少なく、例えば、数mA(ex.4mA)程度まで減少する場合があることについても先に述べたとおりである。
具体的に、図4に示すように、近年における従来の内視鏡においては、「撮像素子の起動時」において撮像素子に供給される電源供給線(VDDライン)においては、本来であれば図4において符号“Ia”にて示す「理想電源電流特性」の如き起動直後からなだらかに立ち上がるべき電流特性が、符号“Ib”にて示す「従来の電源電流特性」の如く、通常動作時に比べて無視できない程度まで落ち込む虞があった。
このように「撮像素子の起動時」においては、上述したように電源供給線(VDDライン)において内視鏡として予定する消費電流(通常動作時を基準とする消費電流)より小さい電流しか流れない虞もあり、この場合、撮像素子には、定格(例えば3.3V)より高い電圧値、例えば、3.85V程度の電圧が印加される虞があり、撮像素子の耐圧をオーバーしてしまうという問題が生じる。
この点を図4を用いて具体的に説明すると、「撮像素子の起動時」において撮像素子に供給される電源供給線(VDDライン)においては、図4において符号“Va”にて示す「理想電源電圧特性」の如き特性が望ましいところ、同図符号“Vb”にて示す「従来の電源電圧特性」の如く、通常動作時に比べて無視できない程度まで撮像素子に印加される電圧が増大する虞があった。
本出願人はこのような事情に鑑みて、上述の如く「撮像素子の起動時」等の動作不安定時における意図しない消費電流の低下状態を是正し、起動時と通常動作時とで消費電流を一定化することを可能とした内視鏡を提供するものであり、以下その具体的な解決方法について説明する。
<電源電流補正部および電源電流制御部>
上述したように、撮像素子121は、電源電流補正部150および電源電流制御部160を備えることを特徴とする。以下、第1の実施形態の内視鏡2における電源電流補正部150および電源電流制御部160の構成について、図2に加え図3および図5を参照して詳しく説明する。
図3は、第1の実施形態の内視鏡における電源電流補正部および電源電流制御部の構成を示すブロック図であり、図5は、第1の実施形態の内視鏡において、起動時と通常動作時における電源電圧特性および電源電流特性、並びに、クロック信号、同期信号および電源電流制御信号の関係を示したタイミングチャートである。
図2、図3に示すように、本第1の実施形態の撮像素子121は、上述したように電源電流補正部150および電源電流制御部160を備える。
電源電流補正部150は、撮像素子121に供給される電源供給線(VDDライン)とグランド(GND)との間に設けられた電源電流補正回路151を備える。この電源電流補正回路151は、直列に接続されたトランジスタ152と抵抗153とで構成され、これら直列回路が前記VDDとGNDとの間に挿入されるように配置される。
また、電源電流制御部160は、撮像素子の起動時(「撮像素子の起動時」の定義については後に詳述する)において所定の制御信号(電源電流制御信号)を生成し出力する。また、その出力はビデオプロセッサ3における駆動制御部32から入力した同期信号および基準クロックCLKに応じて制御されるようになっている。
また、電源電流制御部160から出力される当該制御信号(電源電流制御信号)は、電源電流補正部150における前記トランジスタ52のゲートに印加され、当該トランジスタ152をオンオフ制御するようになっている。
ここで、電源電流補正部150は、電源電流制御部160から供給される所定の制御信号(前記電源電流制御信号)に応じて前記電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように当該電源供給線の負荷を補正する役目を果たす。
一方、電源電流制御部160は、当該撮像素子121の起動時において電源供給線(VDDライン)に流れる電流を、撮像素子121の通常動作時において電源供給線(VDDライン)に流れる電流に対して相対的に増加させるための制御信号(前記電源電流制御信号)を生成し、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部150に対して当該制御信号を出力する役目を果たす。
<本実施形態における「撮像素子の起動時」の作用>
上述の如き構成をなす電源電流補正部150および電源電流制御部160の作用について図5を参照して説明する。
内視鏡2およびビデオプロセッサ3に対して電源が投入されると、まず、電源供給線(VDDライン)には、電源部33からの電源電圧VDDが供給され始め、その後、ビデオプロセッサ3における駆動制御部32から基準クロックCLKが送出される。
このとき、電源供給線(VDDライン)に印加される電源電圧および流れる電流共に徐々に立ち上がる。
一方で、電源電流制御部160からは、VDDの立ち上がりから間もなく所定電圧値に達すると“Hレベル”の制御信号(電源電流制御信号)が出力され、電源電流補正回路151におけるトランジスタ152のゲートに印加される。
電源電流補正回路151におけるトランジスタ152は、前記“Hレベル”の制御信号(電源電流制御信号)が印加されるとオンして、VDDとGND間に所定の補正電流が流れることになる。
すなわち、前記トランジスタ152がオンした際、前記抵抗153の抵抗値をR、当該トランジスタ152におけるON抵抗の値をRtrとすると、R+Rtrの抵抗値に応じた補正電流が電源供給線(VDDライン)に供給されることとなる。
このR+Rtrの抵抗値は、本実施形態においては、撮像素子の起動時の消費電流と通常動作時の消費電流とがほぼ同等となるような値に設定されるようになっている。
このように、電源電流補正回路151におけるトランジスタ152がオンされると、撮像素子121に供給される電源供給線(VDDライン)の電流値の立ち上がり特性カーブ(Ia)が、トランジスタ152がオフのままであると仮定した場合の特性カーブ(Ib)に比して適正な上昇変化を辿るよう補正されることとなる。
また、この電流値の適正な上昇変化に伴って、電源供給線(VDDライン)の電圧値の特性カーブ(Va)についても、トランジスタ152がオフのままであると仮定した場合の特性カーブ(Vb)に比して適正な変化を辿るよう補正されることとなり、撮像素子121に対して定格を超える電圧が印加されることを防止することができる。
この後、ビデオプロセッサ3における駆動制御部32から同期信号が送出されると、電源電流制御部160において当該同期信号のパルスを検知し、所定のパルス数を検出した後、基準クロックCLKのタイミングに基づいて電源電流補正部150に向けて出力する制御信号(電源電流制御信号)を“Lレベル”に変化させる。
そして、この制御信号(電源電流制御信号)の“Lレベル”への立ち下りにより、電源電流補正回路151におけるトランジスタ152はオフされ、これにより電源供給線(VDDライン)に対する補正電流の供給も停止する。
電源供給線(VDDライン)に対する上記補正電流供給の停止に伴い、撮像素子121は通常動作に移行し、画素部122から出力される画素出力信号に応じて信号処理部123から所定の撮像信号が出力されることとなる。
以上説明したように、本第1の実施形態によると、上述の如く「撮像素子の起動時」等の動作不安定時における意図しない消費電流の低下状態を是正し、起動時と通常動作時とで消費電流を一定化することを可能とした内視鏡を提供することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態の内視鏡を含む内視鏡システムの電気的な構成を示すブロック図であり、図7は、第2の実施形態の内視鏡における電源電流補正部および電源電流制御部の構成を示すブロック図である。
本第2の実施形態の内視鏡は、その基本的な構成は第1の実施形態と同様であり、主に電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように電源供給線の負荷を補正する電源電流補正部、および、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部に対して制御信号を出力する電源電流制御部の構成、特に電源電流補正部の構成を異にする。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、ここでは第1の実施形態との差異のみの説明にとどめ、共通する部分の説明については省略する。
図6に示すように、第2の実施形態の内視鏡202を含む内視鏡システム201においても、内視鏡202における挿入部先端部には、被写体像を入光するレンズを含む対物光学系(図示せず)と、当該対物光学系における結像面に配置された撮像素子221と、が配設される。
当該撮像素子221は、本第2の実施形態においてもCMOSイメージセンサにより構成される撮像素子であって、被写体像を入光し光電変換した後に所定の画素出力信号を出力する画素部222と、前記画素出力信号を入力し所定の信号処理を行った後、撮像信号として出力する信号処理部223と、これら画素部222、信号処理部223等を制御する制御部224と、を備える。
さらに内視鏡202には、第1の実施形態における内視鏡2と同様に、撮像素子221から延出され、当該撮像素子221から挿入部6、操作部10、ユニバーサルコード11を経て、コネクタ12に至るまで延設されたケーブル28が配設されている。
ケーブル28は、各種駆動信号(基準クロックCLK、各種同期信号等)を伝送する駆動信号ライン、撮像素子221を駆動するための電源電圧VDDを供給するための電源供給ライン、前記撮像信号を伝送する撮像信号ライン等を内包するケーブルである。
前記駆動信号ラインは、ビデオプロセッサ3における駆動制御部32と撮像素子221とに接続され、駆動制御部32から出力された、撮像素子221を制御するための各種駆動信号(基準クロックCLK、各種同期信号等)を伝送する。
前記電源供給ラインは、ビデオプロセッサ3における電源部33に接続され、撮像素子221に対して電源電圧を供給するためのVDDラインおよびグランドライン(GND)を有する。
なお、本第2の実施形態においても前記VDDライン(電源供給線)は、撮像素子221に接続された後、当該撮像素子221内部に配線され、当該撮像素子221に対して所定の電源電圧VDDを供給する役目を果たす。
本第2の実施形態において撮像素子221は、電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように当該電源供給線の負荷を補正する電源電流補正部250と、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部250に対して制御信号を出力する電源電流制御部260と、を具備する。
<第2の実施形態における電源電流補正部および電源電流制御部>
次に、撮像素子221に設けた電源電流補正部250および電源電流制御部260について図6および図7を参照して説明する。
本第2の実施形態において電源電流補正部250は、図6に示すように前記信号処理部223内に設けられた出力ドライバ回路252と、当該信号処理部223外に設けられ、電源電流制御部260から出力される制御信号(電源電流制御信号)に制御され前記出力ドライバ回路252における電源電流値を補正するための電源電流補正回路251と、により構成される。
前記出力ドライバ回路252は、前記画素部222から出力される画素出力信号を受けて後段に向けて出力する、CMOSイメージセンサにおいて通常設けられる出力ドライバーであって所定の出力トランジスタにより構成され、前記信号処理部223内において電源供給線(VDDライン)とグランド(GND)との間に設けられる。
前記電源電流補正回路251は、画素部222からの画素出力信号の入力端子(図7において“Low端子”)と、当該撮像素子の起動時にのみ印加される電圧信号(起動時印加電圧)の入力端子(図7において“High端子”)とを備え、これら入力端子を前記電源電流制御部260からの電源電流制御信号に応じて切り換えて、上記いずれか一方の信号を前記出力ドライバ回路252に供給するようになっている。
一方、電源電流制御部260は、制御部224内に設けられ、上述した電源電流補正部250に対して所定の制御信号(電源電流制御信号)を生成し送出する制御信号生成部261を備える。
この制御信号生成部261は、撮像素子221の起動時(「撮像素子の起動時」の定義については上述のとおりである)において所定の制御信号(電源電流制御信号)を生成し出力する。また、その出力はビデオプロセッサ3における駆動制御部32から入力した同期信号および基準クロックCLKに応じて制御されるようになっている。
また、電源電流制御部260から出力される当該制御信号(電源電流制御信号)は、上述したように、電源電流補正部250における電源電流補正回路251における入力端子の切り換え部を制御するようになっており、すなわち、画素部222からの画素出力信号の入力端子(Low端子)と、撮像素子の起動時にのみ印加される起動時印加電圧の入力端子(High端子)とを備え、これらいずれか一方の信号を出力ドライバ回路252における出力トランジスタのゲートに供給するようになっている。
なお、この「起動時印加電圧」は、本実施形態においては、出力ドライバ回路252において撮像素子の起動時における電源電流(消費電流)と、通常動作時における電源電流(消費電流)とがほぼ同等となるような電圧値に設定されるようになっている。
ここで、電源電流補正部250は、電源電流制御部260から供給される所定の制御信号(前記電源電流制御信号)に応じて前記電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように当該電源供給線の負荷を補正する役目を果たす。
一方、電源電流制御部260は、当該撮像素子221の起動時において電源供給線(VDDライン)に流れる電流を、撮像素子221の通常動作時において電源供給線(VDDライン)に流れる電流に対して相対的に増加させるための制御信号(前記電源電流制御信号)を生成し、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部250に対して当該制御信号を出力する役目を果たす。
<本第2の実施形態における「撮像素子の起動時」の作用>
上述の如き構成をなす電源電流補正部250および電源電流制御部260の作用について上述した図5を参照して説明する。
第1の実施形態と同様に、内視鏡2およびビデオプロセッサ3に対して電源が投入されると、電源供給線(VDDライン)に印加される電源電圧および流れる電流共に徐々に立ち上がる。
一方で、電源電流制御部260における制御信号生成部261において、VDDの立ち上がりから間もなく所定電圧値に達すると“Hレベル”の制御信号(電源電流制御信号)が生成され、電源電流補正回路251に向けて出力される。
電源電流補正回路251においては、当該“Hレベル”の電源電流制御信号に応じて、High端子側が選択され、すなわち、「起動時印加電圧」が選択され当該電圧が出力ドライバ回路252における出力トランジスタのゲートに印加される。これにより出力ドライバ回路252は、当該撮像素子の起動時においても、通常動作時における消費電流とほぼ同等の電流が流れるように制御される。
このように、本第2の実施形態においても、電源電流補正回路251において「起動時印加電圧」が選択され当該電圧が出力ドライバ回路252における出力トランジスタのゲートに印加されると、撮像素子221に供給される電源供給線(VDDライン)の電流値の立ち上がり特性カーブ(Ia)は、当該出力トランジスタのゲートに当該電圧が印加されないと仮定した特性カーブ(Ib)に比して適正な上昇変化を辿るよう補正されることとなる(図5参照)。
また、この電流値の適正な上昇変化に伴って、電源供給線(VDDライン)の電圧値の特性カーブ(Va)についても、特性カーブ(Vb)に比して適正な変化を辿るよう補正されることとなり、撮像素子221に対して定格を超える電圧が印加されることを防止することができる(図5参照)。
この後、ビデオプロセッサ3における駆動制御部32から同期信号が送出されると、電源電流制御部260において当該同期信号のパルスを検知し、所定のパルス数を検出した後、基準クロックCLKのタイミングに基づいて電源電流補正部250に向けて出力する制御信号(電源電流制御信号)を“Lレベル”に変化させる。
そして、この制御信号(電源電流制御信号)の“Lレベル”への立ち下りにより、電源電流補正回路251においてLow端子側が選択され、すなわち、画素部222からの「画素出力信号」が選択され、当該出力信号が出力ドライバ回路252における出力トランジスタのゲートに印加される。これにより出力ドライバ回路252は、通常動作時に係る動作に移行し、画素部222から出力される画素出力信号に応じて所定の撮像信号を出力することとなる。
以上説明したように、本第2の実施形態によっても、上述の如く「撮像素子の起動時」等の動作不安定時における意図しない消費電流の低下状態を是正し、起動時と通常動作時とで消費電流を一定化することができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図8は、本発明の第3の実施形態の内視鏡を含む内視鏡システムの電気的な構成を示すブロック図であり、図9は、第3の実施形態の内視鏡における電源電流補正部および電源電流制御部の構成を示すブロック図である。
本第3の実施形態の内視鏡は、その基本的な構成は第1の実施形態と同様であり、主に電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように電源供給線の負荷を補正する電源電流補正部、および、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部に対して制御信号を出力する電源電流制御部の構成、特に電源電流補正部の構成を異にする。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、ここでは第1の実施形態との差異のみの説明にとどめ、共通する部分の説明については省略する。
図8に示すように、第3の実施形態の内視鏡302を含む内視鏡システム301においても、内視鏡302における挿入部先端部には、被写体像を入光するレンズを含む対物光学系(図示せず)と、当該対物光学系における結像面に配置された撮像素子321と、が配設される。
当該撮像素子321は、本第3の実施形態においてもCMOSイメージセンサにより構成される撮像素子であって、被写体像を入光し光電変換した後に所定の画素出力信号を出力する画素部322と、前記画素出力信号を入力し所定の信号処理を行った後、撮像信号として出力する信号処理部323と、これら画素部322、信号処理部323等を制御する制御部324と、を備える。
さらに内視鏡302には、第1の実施形態における内視鏡2と同様に、撮像素子321から延出され、当該撮像素子321から挿入部6、操作部10、ユニバーサルコード11を経て、コネクタ12に至るまで延設されたケーブル28が配設されている。
ケーブル28は、各種駆動信号(基準クロックCLK、各種同期信号等)を伝送する駆動信号ライン、撮像素子321を駆動するための電源電圧VDDを供給するための電源供給ライン、前記撮像信号を伝送する撮像信号ライン等を内包するケーブルである。
前記駆動信号ラインは、ビデオプロセッサ3における駆動制御部32と撮像素子321とに接続され、駆動制御部32から出力された、撮像素子321を制御するための各種駆動信号(基準クロックCLK、各種同期信号等)を伝送する。
前記電源供給ラインは、ビデオプロセッサ3における電源部33に接続され、撮像素子321に対して電源電圧を供給するためのVDDラインおよびグランドライン(GND)を有する。
なお、本第3の実施形態においても前記VDDライン(電源供給線)は、撮像素子321に接続された後、当該撮像素子321内部に配線され、当該撮像素子321に対して所定の電源電圧VDDを供給する役目を果たす。
本第3の実施形態において撮像素子321は、電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように当該電源供給線の負荷を補正する電源電流補正部350と、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部350に対して制御信号を出力する電源電流制御部360と、を具備する。
<第3の実施形態における電源電流補正部および電源電流制御部>
次に、撮像素子321に設けた電源電流補正部350および電源電流制御部360について図8および図9を参照して説明する。
本第3の実施形態において電源電流補正部350は、図8に示すように前記信号処理部323内に設けられた差動信号ドライバ回路352と、当該差動信号ドライバ回路352外に設けられ、電源電流制御部360から出力される制御信号(電源電流制御信号)に制御され前記差動信号ドライバ回路352における電源電流値を補正するための電源電流補正回路351と、により構成される。
差動信号ドライバ回路352は、前記画素部322から出力される画素出力信号を入力し所定の差動信号である撮像信号を後段に向けて出力するドライバーであって、前記信号処理部323内において電源供給線(VDDライン)とグランド(GND)との間に設けられる。
また、電源電流補正回路351は、当該差動出力ドライバ回路352の駆動電流を変化させる可変電流源により構成され、電源供給線(VDDライン)とグランド(GND)との間において前記差動信号ドライバ回路352に対して直列に接続され、当該差動出力ドライバ回路352の駆動電流を切り換え可能とする補正回路としての役目を果たす。
一方、電源電流制御部360は、制御部324内に設けられ、上述した電源電流補正部350に対して所定の制御信号(電源電流制御信号)を生成し送出する制御信号生成部361を備える。
この制御信号生成部361は、撮像素子321の起動時(「撮像素子の起動時」の定義については上述のとおりである)において所定の制御信号(電源電流制御信号)を生成し出力する。また、その出力はビデオプロセッサ3における駆動制御部32から入力した同期信号および基準クロックCLKに応じて制御されるようになっている。
また、電源電流制御部360から出力される当該制御信号(電源電流制御信号)は、上述したように、電源電流補正部350における電源電流補正回路351(以下、可変電流源351ともいう)を制御するようになっている。
すなわち、この「可変電流源351」は、上記電源電流制御部360から出力される電源電流制御信号に応じてその「電流値」が切り換えられるようになっており、差動信号ドライバ回路352において撮像素子の起動時における電源電流(消費電流)と、通常動作時における電源電流(消費電流)とがほぼ同等となるように、「撮像素子の起動時」における「起動時用の電流値」が設定されるようになっている。
具体的に可変電流源351は、「撮像素子の起動時」においては、相対的に差動信号ドライバ回路352の駆動電流が増すことにより、当該撮像素子の起動時においても、通常動作時における消費電流とほぼ同等の電流が流れるような「起動時用の電流値」に切り換わるように制御される。
ここで、電源電流補正部350は、電源電流制御部360から供給される所定の制御信号(前記電源電流制御信号)に応じて前記電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように当該電源供給線の負荷を補正する役目を果たす。
一方、電源電流制御部360は、当該撮像素子321の起動時において電源供給線(VDDライン)に流れる電流を、撮像素子321の通常動作時において電源供給線(VDDライン)に流れる電流に対して相対的に増加させるための制御信号(前記電源電流制御信号)を生成し、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部350に対して当該制御信号を出力する役目を果たす。
<本第3の実施形態における「撮像素子の起動時」の作用>
上述の如き構成をなす電源電流補正部350および電源電流制御部360の作用について上述した図5を参照して説明する。
第1の実施形態と同様に、内視鏡2およびビデオプロセッサ3に対して電源が投入されると、電源供給線(VDDライン)に印加される電源電圧および流れる電流共に徐々に立ち上がる。
一方で、電源電流制御部360における制御信号生成部361において、VDDの立ち上がりから間もなく所定電圧値に達すると“Hレベル”の制御信号(電源電流制御信号)が生成され、電源電流補正回路(可変電流源)351に向けて出力される。
前記可変電流源351においては、当該“Hレベル”の電源電流制御信号に応じて、相対的に差動信号ドライバ回路352の駆動電流が増すような電流値に切り換わり、これにより差動信号ドライバ回路352は、当該撮像素子の起動時においても、通常動作時における消費電流とほぼ同等の電流が流れるように制御される。
このように、本第3の実施形態においても、電源電流補正回路(可変電流源)351が「起動時用の電流値」に切り換えられると、撮像素子321に供給される電源供給線(VDDライン)の電流値の立ち上がり特性カーブ(Ia)は、当該可変電流源351が「起動時用の電流値」に切り換えられていない仮定した特性カーブ(Ib)に比して適正な上昇変化を辿るよう補正されることとなる(図5参照)。
また、この電流値の適正な上昇変化に伴って、電源供給線(VDDライン)の電圧値の特性カーブ(Va)についても、特性カーブ(Vb)に比して適正な変化を辿るよう補正されることとなり、撮像素子321に対して定格を超える電圧が印加されることを防止することができる(図5参照)。
この後、ビデオプロセッサ3における駆動制御部32から同期信号が送出されると、電源電流制御部360において当該同期信号のパルスを検知し、所定のパルス数を検出した後、基準クロックCLKのタイミングに基づいて電源電流補正部350に向けて出力する制御信号(電源電流制御信号)を“Lレベル”に変化させる。
そして、この制御信号(電源電流制御信号)の“Lレベル”への立ち下りにより、電源電流補正回路(可変電流源)351が「通常動作用の電流値」に切り換えられると、差動信号ドライバ回路352は通常動作時に係る動作に移行し、画素部322から出力される画素出力信号に応じて所定の撮像信号を出力することとなる。
以上説明したように、本第3の実施形態によっても、上述の如く「撮像素子の起動時」等の動作不安定時における意図しない消費電流の低下状態を是正し、起動時と通常動作時とで消費電流を一定化することができる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図10は、本発明の第4の実施形態の内視鏡を含む内視鏡システムの電気的な構成を示すブロック図であり、図11は、第4の実施形態の内視鏡における電源電流補正部および電源電流制御部の構成を示すブロック図である。
本第4の実施形態の内視鏡は、その基本的な構成は第1の実施形態と同様であり、主に電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように電源供給線の負荷を補正する電源電流補正部、および、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部に対して制御信号を出力する電源電流制御部の構成、特に電源電流補正部の構成を異にする。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、ここでは第1の実施形態との差異のみの説明にとどめ、共通する部分の説明については省略する。
図10に示すように、第4の実施形態の内視鏡402を含む内視鏡システム401においても、内視鏡402における挿入部先端部には、被写体像を入光するレンズを含む対物光学系(図示せず)と、当該対物光学系における結像面に配置された撮像素子421と、が配設される。
当該撮像素子421は、本第4の実施形態においてもCMOSイメージセンサにより構成される撮像素子であって、被写体像を入光し光電変換した後に所定の画素出力信号を出力する画素部422と、前記画素出力信号を入力し所定の信号処理を行った後、撮像信号として出力する信号処理部423と、これら画素部422、信号処理部423等を制御する制御部424と、を備える。
さらに内視鏡402には、第1の実施形態における内視鏡2と同様に、撮像素子421から延出され、当該撮像素子421から挿入部6、操作部10、ユニバーサルコード11を経て、コネクタ12に至るまで延設されたケーブル28が配設されている。
ケーブル28は、各種駆動信号(基準クロックCLK、各種同期信号等)を伝送する駆動信号ライン、撮像素子421を駆動するための電源電圧VDDを供給するための電源供給ライン、前記撮像信号を伝送する撮像信号ライン等を内包するケーブルである。
前記駆動信号ラインは、ビデオプロセッサ3における駆動制御部32と撮像素子421とに接続され、駆動制御部32から出力された、撮像素子421を制御するための各種駆動信号(基準クロックCLK、各種同期信号等)を伝送する。
前記電源供給ラインは、ビデオプロセッサ3における電源部33に接続され、撮像素子421に対して電源電圧を供給するためのVDDラインおよびグランドライン(GND)を有する。
なお、本第4の実施形態においても前記VDDライン(電源供給線)は、撮像素子421に接続された後、当該撮像素子421内部に配線され、当該撮像素子421に対して所定の電源電圧VDDを供給する役目を果たす。
本第4の実施形態において撮像素子421は、電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように当該電源供給線の負荷を補正する電源電流補正部450と、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部450に対して制御信号を出力する電源電流制御部460と、を具備する。
<第4の実施形態における電源電流補正部および電源電流制御部>
次に、撮像素子421に設けた電源電流補正部450および電源電流制御部460について図10および図11を参照して説明する。
本第4の実施形態において電源電流補正部450は、図10に示すように前記信号処理部423内に設けられた差動信号ドライバ回路452と、当該差動信号ドライバ回路452外に設けられ、電源電流制御部460から出力される制御信号(電源電流制御信号)に制御され前記差動信号ドライバ回路452における電源電流値を補正するための電源電流補正回路451と、により構成される。
差動信号ドライバ回路452は、第3の実施形態と同様に、前記画素部422から出力される画素出力信号を入力し所定の差動信号である撮像信号を後段に向けて出力するドライバーであって、前記信号処理部423内において電源供給線(VDDライン)とグランド(GND)との間に設けられる。
また、電源電流補正回路451は、当該差動出力ドライバ回路452の駆動電流を設定する複数の電流源である第1の電流源454と第2の電流源455と、を有する。さらに電源電流補正回路451は、差動信号ドライバ回路452の電流源として、第1の電流源454と第2の電流源455とが並列に接続された上で、これらの並列に接続された電流源が差動信号ドライバ回路452と直列に接続される第1の状態(起動時の状態;“High端子”が選択された状態)と、第1の電流源454のみが差動信号ドライバ回路452と直列に接続される第2の状態(通常動作時の状態;“Low端子”が選択された状態)と、とを切り換える電流源選択スイッチ453と、をさらに有して構成される。
なお、当該電源電流補正回路451は、上述した第1の電流源454、または第1の電流源454と第2の電流源455の並列回路が、電源供給線(VDDライン)とグランド(GND)との間において前記差動信号ドライバ回路452に対して直列に接続されることから、当該差動出力ドライバ回路452の駆動電流を切り換え可能とする補正回路としての役目を果たす。
一方、電源電流制御部460は、制御部424内に設けられ、上述した電源電流補正部450に対して所定の制御信号(電源電流制御信号)を生成し送出する制御信号生成部461を備える。
この制御信号生成部461は、撮像素子421の起動時(「撮像素子の起動時」の定義については上述のとおりである)において所定の制御信号(電源電流制御信号)を生成し出力する。また、その出力はビデオプロセッサ3における駆動制御部32から入力した同期信号および基準クロックCLKに応じて制御されるようになっている。
また、電源電流制御部460から出力される当該制御信号(電源電流制御信号)は、上述したように、電源電流補正部450における電源電流補正回路451における上記電流源選択スイッチ453を制御するようになっている。
すなわち、電源電流補正回路451は、上記電源電流制御部460から出力される電源電流制御信号に応じて、上述の如く前記差動出力ドライバ回路452の駆動電流を設定する電流源の種類を選択することにより、差動信号ドライバ回路452に流れる駆動電流の「電流値」を選択するようになっている。
すなわち、電源電流補正回路451は、その「電流値」を切り換えるようになっており、差動信号ドライバ回路452において撮像素子の起動時における電源電流(消費電流)と、通常動作時における電源電流(消費電流)とがほぼ同等となるように、前記第1の電流源454および第2の電流源455の「電流値」が設定されるようになっている。
具体的に電源電流補正回路451は、「撮像素子の起動時」においては、相対的に差動信号ドライバ回路452の駆動電流が増すことにより、当該撮像素子の起動時においても、通常動作時における消費電流とほぼ同等の電流が流れるような「起動時用の電流値」に切り換わるように制御される。
ここで、電源電流補正部450は、電源電流制御部460から供給される所定の制御信号(前記電源電流制御信号)に応じて前記電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように当該電源供給線の負荷を補正する役目を果たす。
一方、電源電流制御部460は、当該撮像素子421の起動時において電源供給線(VDDライン)に流れる電流を、撮像素子421の通常動作時において電源供給線(VDDライン)に流れる電流に対して相対的に増加させるための制御信号(前記電源電流制御信号)を生成し、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部450に対して当該制御信号を出力する役目を果たす。
<本第4の実施形態における「撮像素子の起動時」の作用>
上述の如き構成をなす電源電流補正部450および電源電流制御部460の作用について上述した図5を参照して説明する。
第1の実施形態と同様に、内視鏡2およびビデオプロセッサ3に対して電源が投入されると、電源供給線(VDDライン)に印加される電源電圧および流れる電流共に徐々に立ち上がる。
一方で、電源電流制御部460における制御信号生成部461において、VDDの立ち上がりから間もなく所定電圧値に達すると“Hレベル”の制御信号(電源電流制御信号)が生成され、電源電流補正回路451に向けて出力される。
前記電源電流補正回路451においては、当該“Hレベル”の電源電流制御信号に応じて電流源選択スイッチ453が切り換わり、相対的に差動信号ドライバ回路452の駆動電流が増すように第1の電流源454と第2の電流源455とが稼働する状態が選択され、これにより差動信号ドライバ回路452は、当該撮像素子の起動時においても、通常動作時における消費電流とほぼ同等の電流が流れるように制御される。
このように、本第4の実施形態においても、電源電流補正回路451が「起動時用の電流値」に切り換えられると、撮像素子421に供給される電源供給線(VDDライン)の電流値の立ち上がり特性カーブ(Ia)は、当該電源電流補正回路451が「起動時用の電流値」に切り換えられていない仮定した特性カーブ(Ib)に比して適正な上昇変化を辿るよう補正されることとなる(図5参照)。
また、この電流値の適正な上昇変化に伴って、電源供給線(VDDライン)の電圧値の特性カーブ(Va)についても、特性カーブ(Vb)に比して適正な変化を辿るよう補正されることとなり、撮像素子421に対して定格を超える電圧が印加されることを防止することができる(図5参照)。
この後、ビデオプロセッサ3における駆動制御部32から同期信号が送出されると、電源電流制御部460において当該同期信号のパルスを検知し、所定のパルス数を検出した後、基準クロックCLKのタイミングに基づいて電源電流補正部450に向けて出力する制御信号(電源電流制御信号)を“Lレベル”に変化させる。
そして、この制御信号(電源電流制御信号)の“Lレベル”への立ち下りにより、電源電流補正回路451が「通常動作用の電流値」に切り換えられると、差動信号ドライバ回路452は通常動作時に係る動作に移行し、画素部422から出力される画素出力信号に応じて所定の撮像信号を出力することとなる。
以上説明したように、本第4の実施形態によっても、上述の如く「撮像素子の起動時」等の動作不安定時における意図しない消費電流の低下状態を是正し、起動時と通常動作時とで消費電流を一定化することができる。
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図12は、本発明の第5の実施形態の内視鏡を含む内視鏡システムの電気的な構成を示すブロック図であり、図13は、第5の実施形態の内視鏡における電源電流補正部および電源電流制御部の構成を示すブロック図である。
本第5の実施形態の内視鏡は、その基本的な構成は第1の実施形態と同様であり、主に電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように電源供給線の負荷を補正する電源電流補正部、および、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部に対して制御信号を出力する電源電流制御部の構成、特に電源電流補正部の構成を異にする。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、ここでは第1の実施形態との差異のみの説明にとどめ、共通する部分の説明については省略する。
図12に示すように、第5の実施形態の内視鏡502を含む内視鏡システム501においても、内視鏡502における挿入部先端部には、被写体像を入光するレンズを含む対物光学系(図示せず)と、当該対物光学系における結像面に配置された撮像素子521と、が配設される。
当該撮像素子521は、本第5の実施形態においてもCMOSイメージセンサにより構成される撮像素子であって、被写体像を入光し光電変換した後に所定の画素出力信号を出力する画素部522と、前記画素出力信号を入力し所定の信号処理を行った後、撮像信号として出力する信号処理部523と、これら画素部522、信号処理部523等を制御する制御部524と、を備える。
さらに内視鏡502には、第1の実施形態における内視鏡2と同様に、撮像素子521から延出され、当該撮像素子521から挿入部6、操作部10、ユニバーサルコード11を経て、コネクタ12に至るまで延設されたケーブル28が配設されている。
ケーブル28は、各種駆動信号(基準クロックCLK、各種同期信号等)を伝送する駆動信号ライン、撮像素子521を駆動するための電源電圧VDDを供給するための電源供給ライン、前記撮像信号を伝送する撮像信号ライン等を内包するケーブルである。
前記駆動信号ラインは、ビデオプロセッサ3における駆動制御部32と撮像素子521とに接続され、駆動制御部32から出力された、撮像素子521を制御するための各種駆動信号(基準クロックCLK、各種同期信号等)を伝送する。
前記電源供給ラインは、ビデオプロセッサ3における電源部33に接続され、撮像素子521に対して電源電圧を供給するためのVDDラインおよびグランドライン(GND)を有する。
なお、本第5の実施形態においても前記VDDライン(電源供給線)は、撮像素子521に接続された後、当該撮像素子521内部に配線され、当該撮像素子521に対して所定の電源電圧VDDを供給する役目を果たす。
本第5の実施形態において撮像素子521は、電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように当該電源供給線の負荷を補正する電源電流補正部550と、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部450に対して制御信号を出力する電源電流制御部560と、を具備する。
<第5の実施形態における電源電流補正部および電源電流制御部>
次に、撮像素子521に設けた電源電流補正部550および電源電流制御部560について図12および図13を参照して説明する。
本第5の実施形態において電源電流補正部550は、図12に示すように前記信号処理部523内に設けられた差動信号ドライバ回路552と、当該差動信号ドライバ回路552外に設けられ、電源電流制御部560から出力される制御信号(電源電流制御信号)に制御され前記差動信号ドライバ回路552における電源電流値を補正するための電源電流補正回路551と、により構成される。
差動信号ドライバ回路552は、第3の実施形態と同様に、前記画素部522から出力される画素出力信号を入力し所定の差動信号である撮像信号を後段に向けて出力するドライバーであって、前記信号処理部523内において電源供給線(VDDライン)とグランド(GND)との間に設けられる。
また、電源電流補正回路551は、当該差動出力ドライバ回路552の駆動電流を設定するトランジスタ554と、トランジスタ554に第1のリファレンス電圧が印加する第1の状態(起動時の状態;“High端子”が選択された状態)と、トランジスタ554に第2のリファレンス電圧が印加する第2の状態(通常動作時の状態;“Low端子”が選択された状態)と、とを切り換える印加電圧選択スイッチ553と、を有して構成される。
なお、当該電源電流補正回路551は、上述したトランジスタ554が、電源供給線(VDDライン)とグランド(GND)との間において前記差動信号ドライバ回路552に対して直列に接続されることから、当該差動出力ドライバ回路552の駆動電流を切り換え可能とする補正回路としての役目を果たす。
一方、電源電流制御部560は、制御部524内に設けられ、上述した電源電流補正部550に対して所定の制御信号(電源電流制御信号)を生成し送出する制御信号生成部561を備える。
この制御信号生成部561は、撮像素子521の起動時(「撮像素子の起動時」の定義については上述のとおりである)において所定の制御信号(電源電流制御信号)を生成し出力する。また、その出力はビデオプロセッサ3における駆動制御部32から入力した同期信号および基準クロックCLKに応じて制御されるようになっている。
また、電源電流制御部560から出力される当該制御信号(電源電流制御信号)は、上述したように、電源電流補正部550における電源電流補正回路551における上記印加電圧選択スイッチ553を制御するようになっている。
すなわち、電源電流補正回路551は、上記電源電流制御部560から出力される電源電流制御信号に応じて、上述の如く前記トランジスタ554に印加するリファレンス電圧を選択することにより、差動信号ドライバ回路552に流れる駆動電流の「電流値」を選択するようになっている。
すなわち、電源電流補正回路551は、リファレンス電圧を選択することにより「差動信号ドライバ回路552に流れる駆動電流の電流値」を切り換えるようになっており、差動信号ドライバ回路552において撮像素子の起動時における電源電流(消費電流)と、通常動作時における電源電流(消費電流)とがほぼ同等となるように、前記第1のリファレンス電圧と第2のリファレンス電圧が設定されるようになっている。
具体的に電源電流補正回路551は、「撮像素子の起動時」においては、相対的に差動信号ドライバ回路552の駆動電流が増すことにより、当該撮像素子の起動時においても、通常動作時における消費電流とほぼ同等の電流が流れるような「起動時用の電流値」に切り換わるように制御される。
ここで、電源電流補正部550は、電源電流制御部560から供給される所定の制御信号(前記電源電流制御信号)に応じて前記電源供給線(VDDライン)に流れる電流を変化させるように当該電源供給線の負荷を補正する役目を果たす。
一方、電源電流制御部560は、当該撮像素子521の起動時において電源供給線(VDDライン)に流れる電流を、撮像素子521の通常動作時において電源供給線(VDDライン)に流れる電流に対して相対的に増加させるための制御信号(前記電源電流制御信号)を生成し、所定のタイミングにおいて前記電源電流補正部550に対して当該制御信号を出力する役目を果たす。
<本第5の実施形態における「撮像素子の起動時」の作用>
上述の如き構成をなす電源電流補正部550および電源電流制御部560の作用について上述した図5を参照して説明する。
第1の実施形態と同様に、内視鏡2およびビデオプロセッサ3に対して電源が投入されると、電源供給線(VDDライン)に印加される電源電圧および流れる電流共に徐々に立ち上がる。
一方で、電源電流制御部560における制御信号生成部561において、VDDの立ち上がりから間もなく所定電圧値に達すると“Hレベル”の制御信号(電源電流制御信号)が生成され、電源電流補正回路551に向けて出力される。
前記電源電流補正回路551においては、当該“Hレベル”の電源電流制御信号に応じて印加電圧選択スイッチ553が切り換わり、相対的に差動信号ドライバ回路552の駆動電流が増すように、トランジスタ554に対して第1のリファレンス電圧が印加される状態が選択され、これにより差動信号ドライバ回路552は、当該撮像素子の起動時においても、通常動作時における消費電流とほぼ同等の電流が流れるように制御される。
このように、本第5の実施形態においても、電源電流補正回路551が「起動時用の電流値」に切り換えられると、撮像素子521に供給される電源供給線(VDDライン)の電流値の立ち上がり特性カーブ(Ia)は、当該電源電流補正回路551が「起動時用の電流値」に切り換えられていない仮定した特性カーブ(Ib)に比して適正な上昇変化を辿るよう補正されることとなる(図5参照)。
また、この電流値の適正な上昇変化に伴って、電源供給線(VDDライン)の電圧値の特性カーブ(Va)についても、特性カーブ(Vb)に比して適正な変化を辿るよう補正されることとなり、撮像素子521に対して定格を超える電圧が印加されることを防止することができる(図5参照)。
この後、ビデオプロセッサ3における駆動制御部32から同期信号が送出されると、電源電流制御部560において当該同期信号のパルスを検知し、所定のパルス数を検出した後、基準クロックCLKのタイミングに基づいて電源電流補正部550に向けて出力する制御信号(電源電流制御信号)を“Lレベル”に変化させる。
そして、この制御信号(電源電流制御信号)の“Lレベル”への立ち下りにより、電源電流補正回路551が「通常動作用の電流値」に切り換えられると、差動信号ドライバ回路552は通常動作時に係る動作に移行し、画素部522から出力される画素出力信号に応じて所定の撮像信号を出力することとなる。
以上説明したように、本第5の実施形態によっても、上述の如く「撮像素子の起動時」等の動作不安定時における意図しない消費電流の低下状態を是正し、起動時と通常動作時とで消費電流を一定化することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。