JP6883332B2 - タグ標識可能なカルシウムイオン検出蛍光プローブ - Google Patents

タグ標識可能なカルシウムイオン検出蛍光プローブ Download PDF

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Description

本発明は、細胞内でのタグ標識可能なカルシウムイオン検出蛍光プローブに関する。
細胞内局所のCa2+動態は、神経細胞の伝達物質放出や肥満細胞の脱顆粒など、多くの細胞機能の制御に関わることが知られている。1982年にRoger Y. Tsienらがquin2を開発して以来(非特許文献1)、fluo−3やCalciumGreen−1など多様のCa2+蛍光プローブが開発され、細胞内のCa2+動態の可視化に広く利用されている(非特許文献2)。
しかしながら、これらの小分子蛍光プローブは、優れた光退色耐性や速いCa2+検出キネティックスなど種々の特長を有しているものの、任意の細胞内部位への局在化を実現することが難しく、細胞内局所のCa2+動態を特異的に可視化することは極めて困難である。
Tsien, R.Y. et al. Calcium homeostasis in intact lymphocytes: cytoplasmic free calcium monitored with a new, intracellularly trapped fluorescent indicator. J. Cell Biol. 94, 325-334 (1982) Takahashi, A. et al. Measurement of intracellular calcium. Physiol. Rev. 79, 1089-1125 (1999)
本発明は、従来技術で達成されていない、優れた光退色耐性や速いCa2+検出キネティックスを有し、なおかつ、任意の細胞内部位への局在化を可能とするカルシウムイオン検出蛍光プローブを提供することを目的とする。
本発明者らは、光安定性に優れるキサンテン色素を母核としたCa2+蛍光プローブの分子内にHaloTag結合部位等のラベル部位又は標的集積部位を導入し、HaloTagタンパク質等に標識可能なプローブを開発することを目的として鋭意検討したところ、キサンテンに直結したアミノ基等の連結基よりHaloTag結合部位等を導入することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
[1]以下の一般式(I)で表される化合物又はその塩。
Figure 0006883332


(式中、
は、水素原子を示すか、ベンゼン環上に存在する同一又は異なる一価の置換基を示し;
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示し;
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示し;
は、アセトキシ基、アセトキシメトキシ基、水酸基を示し;
Xは、ベンゼン環とUとの連結基aを示し;
Uは、加水分解した後にカルシウムイオンを補足できる基を示し;
Yは、ベンゼン環とSとの連結基bを示し;
Tは、存在する場合は、架橋基を示し;
Sは、ラベル部位を示し;
mは、1〜3の整数であり、nは、1〜3の整数であり、但し、m+n=4である。)
[2]前記ラベル部位がHaloタグリガンドである、[1]に記載の化合物又はその塩。
[3]前記加水分解した後にカルシウムイオンを補足できる基が、アミノフェノールトリ酢酸誘導体又は1,2−ビス(o−アミノフェノキシド)エタン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸誘導体のエステル化合物から選択される、[1]又は[2]に記載の化合物又はその塩。
[4]Xがアミド基である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
[5]Yがアミノ基、もしくは、1つまたは2つの置換基を有するアミノ基である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
[6]以下の式で表される化合物又はその塩。
Figure 0006883332


[7][1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含む蛍光プローブ。
[8]細胞内のカルシウムイオンを検出する方法であって、
(a)[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を細胞内に導入する工程、及び
(b)当該化合物又はその塩が細胞内で発する蛍光を測定する工程
を含む方法。
本発明においては、細胞におけるHaloTagタンパク質の発現部位を制御することにより、本発明の蛍光プローブを細胞内の任意の部位に局在化でき、局所的なCa2+濃度変化を特異的に検出することが可能である。
化合物14のHPLCクロマトグラムを示す。 hCGapt3 のin vitro titrationを示す。 化合物14によるHEK293T/Halo−RimZF−CAAX選択的な標識を示す。 HEK293T細胞膜に局在化させたhCgapt3の特性評価の結果を示す。 イオノフォア刺激によるhCGapt3の蛍光強度変化を示す。 神経細胞に発現したvglut1−chaloを標識するhCGapt3の電気刺激に対する蛍光強度変化を示す。
本明細書において、「アルキル基」又はアルキル部分を含む置換基(例えばアルコキシ基など)のアルキル部分は、特に言及しない場合には例えば炭素数1〜6個、好ましくは炭素数1〜4個、更に好ましくは炭素数1〜3個程度の直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキル基を意味している。より具体的には、アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピルメチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。
本明細書において「ハロゲン原子」という場合には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよく、好ましくはフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子である。
本発明の1つの態様は、以下の一般式(I)で表される化合物又はその塩である。
Figure 0006883332

本発明においては、キサンテン色素を母核としたCa2+蛍光プローブの分子内にHaloTag結合部位等のラベル部位を導入するものである。ここで、分子設計が適切でないとプローブのCa2+検出特性やHaloTagタンパク質への結合特性が大幅に変化し所望の機能が実現しない。本発明においては、キサンテン色素の母核の特定の位置にHaloTag結合部位等のラベル部位を導入することが重要であり、これにより、優れた光退色耐性や速いCa2+検出キネティックスを有し、なおかつ、任意の細胞内部位への局在化を可能とするカルシウムイオン検出蛍光プローブを提供することができる。
一般式(I)において、Rは、水素原子を示すか、又はベンゼン環上に存在する同一又は異なる一価の置換基を示す。一価の置換基としては、ハロゲン、置換されていてもよいアルキル基等が挙げられる。
mは、1〜3の整数であり、mと後述するnの和は4である。
mが2以上の場合は、各Rは、夫々、水素原子、及び同一又は異なる一価の置換基であってもよい。本発明の1つの好ましい態様においては、mが2以上の場合、Rは何れも水素である。
一般式(I)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示す。
及びRがアルキル基を示す場合には、該アルキル基にはハロゲン原子、カルボキシ基、スルホニル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基などが1個又は2個以上存在していてもよく、例えばR又はRが示すアルキル基はハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基などであってもよい。R及びRがそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子であることが好ましく、R及びRがともにフッ素原子であるか、塩素原子である場合がより好ましい。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、又はハロゲン原子を示し、R及びRについて説明したものと同様である。R及びRが共に水素原子であることが好ましい。
は、アセトキシ基、アセトキシメトキシ基、水酸基を示し、好ましくは、アセトキシ基、アセトキシメトキシ基、である。
Xは、後述するUをベンゼン環に導入する連結基aを示す。連結基aとしては、カルボニル基、アルキルカルボニル基、エステル基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、イソチオシアネート基、塩化スルホニル基、ハロアルキル基、ハロアセトアミド基、アジド基、アルキニル基などが挙げられ、特にカルボニル基、アミド基、アルキルカルボニル基が好ましい。
Uは、加水分解された後にカルシウムイオンを補足できる基を示す。加水分解された後にカルシウムイオンを補足できる基としては、アミノフェノールトリ酢酸誘導体や1,2−ビス(o−アミノフェノキシド)エタン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸誘導体のエステル化合物が挙げられ、特にアセトキシメチルエステル化合物が好ましい。
理論に拘束されることを意図するものではないが、Ca2+と結合する上では加水分解が必要となるところ、加水分解体は水溶性が高く細胞内に入り難いため、細胞への応用を達成する上で細胞内導入が可能なエステル体を用いるのが好ましい。そして、細胞内に入ったエステル体は、細胞内のエステラーゼで加水分解され、Ca2+と結合できるようになると考えられる。
式(I)において、U−X−が導入されるベンゼン環上の位置は、任意の位置でもよいが、キサンテン置換位置に対して4位に導入されることが好ましい。
nは、1〜3の整数である。nが2以上の場合は、U−X−は同一でも異なる種類であってもよい。
本発明においては、nは好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
Yは、後述するSをキサンテンのベンゼン環に導入する連結基bを示す。連結基bとしては、カルボニル基、アルキルカルボニル基、エステル基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アゼチジン、アミド基、イソチオシアネート基、塩化スルホニル基、ハロアルキル基、ハロアセトアミド基、アジド基、アルキニル基などが挙げられ、特にカルボニル基、アルキルカルボニル基、アミノ基、アゼチジンが好ましい。
Tは、存在する場合は、架橋基を示し、YとSを連結させるスペーサーとして働くものであればいずれの架橋基であってもよい。例えば、置換又は無置換の炭化水素基(アルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、芳香族炭化水素など)、エチレングリコール基、ジエチレングリコール基、トリエチレングリコール基、ポリエチレングリコール基、アミド基、カルボニルなど、及び複素環基(例えば、ピペリジニル基など)などが挙げられるが、これらに限定されない。また、上記架橋基は、その片方または両方の端部に、Y、Sと結合することができる官能基を有してもよく、このような官能基として、例えば、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基などが挙げられる。
Sは、ラベル部位を示し、その例として、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、Haloタグリガンド(例えば、2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エタンアミノ基)、弱塩基性アミン、マレイミド、イソチオシアネート基、塩化スルホニル基、ハロアルキル基、ハロアセトアミド基、アジド基、アルキニル基、ベンジルグアニン誘導体又はベンジルシトシン誘導体などが挙げられる。また、Sのラベル部位には、片末端又は両末端に修飾基を有してもよいポリエチレングリコール基も含まれ、修飾基としてはアミノ基、カルボニル基、カルボキシル基などが挙げられる。修飾基を有するポリエチレングリコール基の非限定的例として、3−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパン酸が挙げられる。
本発明の1つの好ましい態様においては、SはHaloタグリガンドである。
本発明においては、Haloタグリガンド等のラベル部位をキサンテンのベンゼン環の特定の部位に導入することにより、細胞におけるHaloタグタンパク質等の発現部位の制御が可能となり、本発明の蛍光プローブを細胞内の目的の部位に局在化できることから、局所的なCa2+濃度変化を特異的に可視化することが可能である。
本発明の1つの好ましい態様は、以下の一般式(Ia)で表される化合物又はその塩である。
Figure 0006883332


式(Ia)において、R1〜R、X、Y及びTは、一般式(I)で定義した通りである。
また、本発明の1つの好ましい側面は、以下の一般式(Ib)で表される化合物又はその塩である。
Figure 0006883332

式(Ib)において、R1〜R、X及びYは、一般式(I)で定義した通りである。
本発明の1つの好ましい側面は、以下の式で表される化合物又はその塩である。
Figure 0006883332

式(I)、(Ia)及び(Ib)で表される本発明の化合物は、酸付加塩又は塩基付加塩として存在することができる。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩、又はメタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩などを挙げることができ、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩などの有機アミン塩などを挙げることができる。これらのほか、グリシンなどのアミノ酸との塩を形成する場合もある。本発明の化合物又はその塩は、水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが、これらの物質も本発明の範囲内である。
本発明の式(I)、(Ia)及び(Ib)で表される化合物は、置換基の種類により、1個又は2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、1個又は2個以上の不斉炭素に基づく光学活性体や2個以上の不斉炭素に基づくジアステレオ異性体などの立体異性体のほか、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などは、いずれも本発明の範囲に包含される。
本発明の化合物の代表的化合物の製造方法を本明細書の実施例に具体的に示した。従って、当業者は、これらの説明をもとにして、反応原料、反応条件、及び反応試薬などを適宜選択して、必要に応じてこれらの方法に修飾や改変を加えることにより、一般式(I)、(Ia)及び(Ib)で表される本発明の化合物を製造することができる。
本発明の式(I)、(Ia)及び(Ib)で表される本発明の化合物は、カルシウムイオンを検出する蛍光プローブとして有用である。
即ち、本発明のもう1つの態様は、式(I)、(Ia)及び(Ib)で表される化合物又はその塩を含む蛍光プローブである。
また、本発明のもう1つの態様は、細胞内のカルシウムイオンを検出する方法であって、(a)式(I)、(Ia)又は(Ib)で表される化合物又はその塩を細胞内に導入する工程、及び(b)当該化合物又はその塩が細胞内で発する蛍光を測定する工程を含む方法、である。
式(I)、(Ia)及び(Ib)で表される本発明の化合物又はその塩は、カルシウムイオンのない環境において実質的に無蛍光であるか、弱い蛍光のみを有するが、カルシウムイオンのある環境において強い蛍光を発する特徴を有する。従って、式(I)、(Ia)及び(Ib)で表される本発明の化合物又はその塩は、細胞膜やシナプスでのCa2+シグナルを生理条件下で検出するためのカルシウムイオン検出蛍光プローブとして極めて有用である。
本発明の蛍光プローブの使用方法は特に限定されず、従来公知の蛍光プローブと同様に用いることが可能である。通常は、生理食塩水や緩衝液などの水性媒体、又はエタノール、アセトン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの水混合性の有機溶媒と水性媒体との混合物などに上記式(I)、(Ia)及び(Ib)で表される化合物又はそれらの塩を溶解し、細胞や組織を含む適切な緩衝液中にこの溶液を添加して、蛍光スペクトルを測定すればよい。本発明の蛍光プローブを適切な添加物と組み合わせて組成物の形態で用いてもよい。例えば、緩衝剤、溶解補助剤、pH調節剤などの添加物と組み合わせることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
ビス(アセトキシメチル)2,2’−((4−(3’−アセトキシ−2’,7’−ジクロロ−6’−(3−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)アゼチジン−1−イル)−3−オキソ−3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,9’−キサンテン]−5−カルボン酸アミド)−2−(2−(アセトキシメトキシ)−2−オキソエトキシ)フェニル)アザンジイル)ジアセテート(化合物14)の合成
以下の反応スキームの手順に従って、本発明の化合物の1つである化合物14を合成した。
Figure 0006883332

(1)ビス(アセトキシメチル)2,2’−((2−(2−(アセトキシメトキシ)−2−オキソエトキシ)−4−アミノフェニル)アザンジイル)ジアセテート(化合物3)の合成
2−(2−(ビス(2−メトキシ−2−オキソエチル)アミノ)−5−ニトロフェノキシ)酢酸(化合物1)(767.8mg、2.155mmol)をフラスコに入れ、THF(15mL)で溶解した。溶液を撹拌しながら1N NaOH(6.7mL)を加えた後、室温にて遮光条件下で40分間撹拌した。その後、1N NaOH(2.1mL)を追加し、さらに30分間撹拌した後溶液に酢酸エチルを加え、水で抽出した。得られた溶液に1N HCl(15mL)を添加し、酢酸エチルで抽出した(2回)。こうして得られた粗生成物を無水NaSOで乾燥し、真空で乾燥した後、アセトニトリル(30mL)で溶解させた。溶液を撹拌しながらDIPEA(4.8mL)及びブロモ酢酸メチル(1.25mL)を添加し、遮光し、室温にてオーバーナイトで撹拌した。反応混合物に水を加え、DCMで抽出した。
得られた粗生成物を無水NaSOで乾燥し、溶液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:AcOEt/Hexane=1/1)で精製し、ビス(アセトキシメチル)2,2’−((2−(2−(アセトキシメトキシ)−2−オキソエトキシ)−4−ニトロフェニル)アザンジイル)ジアセテート(化合物2)を702.0mg得た。この化合物2を乾燥DCM(20mL)で溶解し、10%パラジウム炭素(スパーテル2杯)を添加した後遮光し、水素雰囲気下で室温にてオーバーナイトで撹拌した。反応混合物に水素を追加し、遮光して室温にて4時間撹拌し、10%パラジウム炭素(スパーテル2杯)を追加した後さらにオーバーナイトで撹拌した。反応混合物をろ過し、パラジウム炭素を除去した後溶液を濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:AcOEt/Hexane=3/1)で精製し、化合物3を41.9mg得た(3ステップの収率:18%)。
HNMR(400MHz,CDCl):δ/ppm,6.86(d,1H,J=8.4Hz),6.26−6.28(m,1H),6.2(d,1H,J=2.4Hz),5.81(s,2H),5.74(s,4H),4.70(s,2H),4.13(s,4H),2.11(s,3H),2.09(s,6H)
13CNMR(100MHz,CDCl):δ/ppm,170.22,169.69,169.63,168.06,151.73,143.51,130.71,123.44,109.27,103.41,79.41,79.29,77.48,76.84,66.05,54.04,20.79,20.73
HRMS(ESI):[M+H]に対する計算値515.15131;測定値515.15199;Δ=0.00068
(2)1−(tert−ブチル)3−(メトキシメチル)4−(2,7−ジクロロ−6−(メトキシメトキシ)−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)イソフタル酸(化合物6)の合成
3’,6’−ジアセトキシ−2’,7’−ジクロロ−3−オキソ−3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,9’−キサンテン]−5−カルボン酸(化合物4)(1.0034g,1.8958mmol)をフラスコに入れ、乾燥トルエン(6mL)で溶解し、撹拌しながら80℃まで加温した。同じ温度のまま10分経過したところでN,N−ジメチルホルムアミドジ−tert−ブチルアセタール(2.7mL)を滴下し、さらに10分間撹拌した後、室温にまで温度を下げた。反応混合物にNaHCOを加え、DCMで抽出した(2回)。こうして得られた粗生成物を無水NaSOで乾燥し、真空で乾燥した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:AcOEt/Hexane=1/2)で精製し、5−(tert−ブトキシカルボニル)−2’,7’−ジクロロ−3−オキソ−3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,9’−キサンテン]−3’,6’−ジイルジアセテート(化合物5)を橙色の固体として774mg得た。
得られた化合物5(774mg,1.32mmol)をフラスコに入れ、THF:MeOH=1:1の混合溶液(20mL)を加えた。その反応混合物を撹拌しながら1M NaOH(3mL)を添加し、室温にて遮光条件下で2時間撹拌した。反応混合物に1N HCl(3mL)と水を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた粗生成物の酢酸エチル溶液を無水NaSOで乾燥し、真空で乾燥した。残渣を乾燥DMF(15mL)で溶解し、炭酸カリウム(457mg,3.31mmol)を加えた後、この溶液を0℃まで冷却した。同じ温度で撹拌しながらクロロメチルメチルエーテル(301μL,3.97mmol)をゆっくり(約10分)滴下し、それからこの溶液を室温まで加温し、オーバーナイトで撹拌した。反応混合物に酢酸エチル(10mL)及びNHCl(10mL)を添加し、水を加え、酢酸エチルで抽出した(2回)。こうして得られた粗生成物をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空で乾燥した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:AcOEt/Hexane=1/2)で精製し、橙色の固体として化合物6を552mg得た(3ステップの収率:49%)。
HNMR(400MHz,CDCl):δ/ppm,8.93(d,1H,J=3.2Hz),8.44(dd,1H,J=8.0,1.6Hz),7.54(d,1H,J=8.0Hz),7.37(s,1H),7.01(s,1H),6.96(s,1H),6.49(s,1H),5.42(s,2H),5.25−5.31(m,2H),3.55(s,3H),3.36(s,3H),1.70(s,9H)
13CNMR(100MHz,CDCl):δ/ppm,177.24,163.69,163.58,157.45,156.86,151.88,148.18,137.23,135.31,134.01,133.78,132.26,130.82,130.05,127.55,126.77,120.67,117.57,115.13,105.47,103.38,95.13,91.60,82.39,57.63,56.64,27.93
HRMS(ESI):[M+H]に対する計算値589.10321;測定値589.10266;Δ=0.00055
(3)(tert−ブチル2’,7’−ジクロロ−3’−(メトキシメトキシ)−3−オキソ−6’−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,9’−キサンテン]−5−カルボン酸塩)(化合物8)の合成
化合物6(254.5mg,0.43178mmol)をフラスコに入れ、乾燥THF(5mL)で溶解した。その溶液を撹拌しながら水(2mL)及び1N NaOH(1.55mL)を添加し、室温にて80分間撹拌した。反応混合物に1N HCl(2mL)及び水を加え、DCMで抽出した。得られた粗生成物を無水NaSOで乾燥し、真空で乾燥した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:AcOEt/Hexane=1/1)で精製し、オレンジ色の固体219mgを得た。そのようにして得られた化合物(219mg)をフラスコに入れ、乾燥DCM(10mL)で溶解した。その溶液を0℃まで冷却し、拡販しながらピリジン(324.1μL、4.0157mmol)をゆっくり(約10分)滴下し、同じ温度で、続けてトリフルオロメタンスルホン酸無水物(202.3μL、1.2047mmol)をゆっくり(約10分)滴下した。その後この溶液を室温まで加温し、遮光条件下で室温にてオーバーナイトで撹拌した。反応混合物に水を加え、DCMで抽出した後、抽出した溶液に1N HClを加え洗浄した。そうして得られた粗生成物を無水NaSOで乾燥し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:AcOEt/Hexane=1/2)で精製し、膜状の白色固体として化合物8を243mg得た(2ステップの収率:83.1%)。
HNMR(400MHz,CDCl):δ/ppm,8.68(dd,1H,J=1.2,0.8Hz),8.38(dd,1H,J=8.0,1.2Hz),7.36(s,1H),7.25−7.28(1H),7.18(s,1H),6.94(s,1H),6.78(s,1H),5.30−5.34(m,2H),3.53(s,3H),1.59−1.70(9H)
13CNMR(100MHz,CDCl):δ/ppm,167.71,163.73,155.00,154.93,150.07,149.94,146.39,136.91,135.27,128.64,127.21,126.21,123.96,122.36,120.31,120.27,119.92,112.53,104.33,95.26,82.83,80.55,77.48,76.84,56.73,28.13
HRMS(ESI):[M+H] に対する計算値677.02628;測定値677.02655;Δ=0.00027
(4)tert−ブチル2’,7’−ジクロロ−3’−(3−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)アゼチジン−1−イル)−6’−(メトキシメトキシ)−3−オキソ−3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,9’−キサンテン]−5−カルボン酸(化合物11)の合成
化合物8(300.8mg,0.4440mmol)をフラスコに加えジオキサン(18mL)に溶かし、メチルアゼチジン−3−エステル塩酸塩(101.0mg、0.6661mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−1,1’−ビフェニル(Xphos;106.0mg、0.2220mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba);81.3mg、0.0888mmol)、炭酸セシウム(723.4mg、2.220mmol)を加えた後、反応溶液をアルゴン雰囲気下で100℃に加熱し、6時間撹拌した。溶液中の不溶固体をセライトでろ過し、溶液を濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:AcOEt/Hexane=1/2)で精製し、メチル1−(5−(tert−ブトキシカルボニル)−2’,7’−ジクロロ−3’−(メトキシメトキシ)−3−オキソ−3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,9’−キサンテン]−6’−イル)アゼチジン−3−カルボン酸(化合物9)を無色透明の液体として76.8mg得た。
HRMS(ESI):[M+H] に対する計算値642.12976;測定値642.12976;Δ=0.0
こうして得られた化合物9(76.8mg、0.120mmol)を乾燥THF(5mL)に溶解し、水(5mL)を加え、撹拌しながら1N NaOHを143μL添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、1N HClを160μL加えた後水を加え、酢酸エチルで抽出した。その後無水NaSOで乾燥し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:DCM/MeOH=94/6)で精製し、赤色固体として1−(5−(tert−ブトキシカルボニル)−2’,7’−ジクロロ−3’−(メトキシメトキシ)−3−オキソ−3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,9’−キサンテン]−6’−イル)アゼチジン−3−カルボン酸(化合物10)を67.5mg得た。
HRMS(ESI):[M+H] に対する計算値628.11411;測定値628.11410;Δ=0.00001
得られた化合物10(67.5mg、0.107mmol)をフラスコに加え、アセトニトリル(7mL)に溶かした。その溶液を撹拌しながらアセトニトリルに溶かした1M 2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エタン−1−アミンを129μL添加し、さらにO−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)(49mg、0.13mmol)及びN,N−ジメチルエチレンジアミン(DIPEA)(93.5μL、0.537mmol)を加え、室温にて1時間撹拌した。溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:AcOEt/Hexane=2/1)で精製し、無色透明の液体として化合物11を52.2mg得た(3ステップの収率:14%)
HNMR(400MHz,CDCl):δ/ppm,8.627−8.632(m,1H),8.34(dd,1H,J=8.0,1.6Hz),7.21−7.24(m,1H),7.10(s,1H),6.70(s,1H),6.53(s,1H),6.33(s,1H),5.30(q,2H,J=10.8,6.8Hz),4.21−4.33(m,4H),3.45−3.63(m,16H),1.35−1.81(m,17H)
13CNMR(100MHz,):δ/ppm,171.50,168.37,164.03,155.64,154.48,150.72,150.59,149.26,136.43,134.61,129.41,128.72,126.84,126.77,124.07,118.99,115.96,112.33,108.81,104.27,101.47,95.17,82.53,82.51,71.34,70.33,70.09,69.66,56.64,56.00,45.11,39.49,34.97,32.57,29.52,28.25,26.73,25.47
HRMS(ESI):[M+H] に対する計算値833.23745;測定値833.23521;Δ=0.00234
(5)化合物14の合成
化合物11(30.5mg、0.0366mmol)をフラスコに加え、乾燥DCM(10mL)に溶解した。その溶液を撹拌しながらトリエチルシラン(17.5μL、0.110mmol)及びTFA(1mL)を添加し、室温にてオーバーナイトで撹拌した。その後トルエンを反応混合物に加え、留去し、メタノールで共沸した。残渣をDMF(1.5mL)に再溶解させ、HPLC(ODS,A(水と0.1%TFA):B(アセトニトリルと0.1%TFA)=99:1から1:99,20分間)で精製した。精製後の溶液を30mLバイアルに移し、真空にて乾燥させ赤色固体として、4−(2,7−ジクロロ−6−(3−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)アゼチジン−1−イル)−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)イソフタル酸(化合物12)21.4mgを得た。
HRMS(ESI):[M+H] に対する計算値733.14864;測定値733.14922;Δ=0.00058
こうして得られた化合物12(21.4mg、0.0292mmol)を乾燥THF(1mL)で溶解させ、溶液を撹拌しながら無水酢酸(0.5mL)を添加し、40℃に加温し、2時間半撹拌した。その後。反応混合物を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで2回精製し(溶出溶媒:1回目、DCM/MeOH=95/5、2回目、DCM/MeOH=97/3)、薄い桃色の透明液体として3’−アセトキシ−2’,7’−ジクロロ−6’−(3−((2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)カルバモイル)アゼチジン−1−イル)−3−オキソ−3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,9’−キサンテン]−5−カルボン酸(化合物13)を6.5mg得た。
HRMS(ESI):[M+H] に対する計算値775.15920;測定値775.15964;Δ=0.00044
得られた化合物13(6.5mg、0.084mmol)を30mLバイアルに加え、アセトニトリル(1mL)に溶解させた。溶液を撹拌しながら、化合物13をアセトニトリルに溶解させた1M アセトニトリル溶液(83.8μL,0.00838mmol)を添加した。得られた反応混合物にHATU(3.8mg,0.010mmol)及びDIPEA(7.3μL,0.042mmol)を加え、3時間撹拌した。反応混合物を留去した後、PLC(展開溶媒;DCM:MeOH=93:7)で精製し、薄い桃色の液体として化合物14を9.9mg得た(3ステップの収率:14%)。
HNMR(400MHz,CDCl):δ/ppm,8.51(d,1H,J=0.8Hz),8.315(dd,1H,J=8.0,1.2Hz),8.22(s,1H),7.31−7.34(m,2H),7.12(s,1H),6.952(d,1H,J=8.4Hz),6.80(s,1H),6.55(s,1H),6.35(s,1H),6.24(t,1H,J=5.2Hz),5.84(s,2H),5.79(s,4H),4.74(s,2H),4.25(s,4H),3.33−3.80(m,21H),2.12−2.37(m,12H),1.35−1.81(m,8H)
HRMS(ESI):[M+H] に対する計算値1271.29213;測定値1271.28895;Δ=0.00318
HPLCクロマトグラム(254nmの吸光度)を図1に示す。分析条件は、ODS−C18カラムを用いて、A液(0.1%TFA/HO):B液(0.1%TFA/CHCN)を1,200秒掛けて95:5から5:95に線形に変化させ、1,200秒以降は5:95とした。
[測定用試料の調製及び測定方法]
(1)エステラーゼ処理による加水分解体の取得
化合物14(終濃度80μM)、PluronicF127(0.2%)、Esterase Pseudomonas fluorescens(0.42units/μL)(SIGMA)を含む100μLのPBS溶液を調整し、37℃で加水分解反応を行った。反応の時間経過を追うために、途中でサンプルの一部を採取し、分光蛍光光度計(JASCO、FP−6500)により10mMCa2+バッファー中における蛍光強度を計測した。蛍光強度がほとんど変化しなくなったところで反応を停止し、化合物14の加水分解物を得た。
(2)Ca2+バッファーの調製
100mMKCl、30mM3−Morpholinopropanesulfonic acid(MOPS)を含むバッファー中の遊離Ca2+濃度はCa− Ethylene glycol tetraacetic acid(EGTA)系(0−1μM)、Ca− Nitrilo triacetic acid(NTA)系(3.2μM−794.3μM)、アンバッファード系(CaCl)(3.2mM−10mM)を用いて調整した。Ca−EGTA系、Ca−NTA系における遊離Ca2+濃度の調整は以下の式(1)を用いた。
式(1) [Ca2+=([Ca2+]+([L]+K)[Ca2+])/(K+[Ca2+])
([Ca2+:カルシウム初期濃度、[Ca2+]:遊離カルシウム濃度、[L]:キレーター初期濃度、K:キレーターの解離定数)
(3)細胞培養
HEK293T細胞(GenHunter)は10%FBS、4mM L−グルタミン(Wako)、1mMピルビン酸ナトリウム(Wako)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Wako)中で37℃、5%CO雰囲気下で培養した。神経細胞については妊娠21日目のSprague−Dawleyラットから麻酔下で胎児を取り出し、直ちに胎児の脳から抽出した海馬をトリプシン(Invitrogen)とDNase I(Sigma)で消化し、神経細胞を分離した。神経細胞は単層のグリア細胞上で2%B−27サプリメント(Invitrogen)、1mMピルビン酸ナトリウム(wako)、1%glutamax(Invitrogen)、1%ペニシリン−ストレプトマイシン混合溶液(nacalai tesque)を含むNeurobasal−A培地(Invitrogen)中で、37℃、5%CO雰囲気下で培養した。
(4)pcDNA Halo−RimZF−CAAXベクターの作製
pFC14A(HaloTag 7)CMV Flexiベクター(Promega)をテンプレートとしたPCRによりHaloTagをコードするDNA断片を増幅した。また、京都大学の森泰生教授より提供を受けたプラスミドpCI−neo RIM1αをテンプレートとしたPCRにより、マウスRIM1α遺伝子のZinc−fingerドメイン(56−228aa)(以下「RimZF」とする)をコードする遺伝子領域を増幅した。
次に、HaloTagをコードするDNA断片とRimZFをコードするDNA断片をPCRによって融合させた。この時、プライマーにKRas遺伝子のCAAXモチーフ(KMSKDGKKKKKKSKTKC−VIM)をコードするDNA配列を付加することにより、HaloTag、RimZF、CAAXモチーフの融合タンパク質を発現させるDNA断片を得た。この断片にHindIIIサイトとNotIサイトを付加し、pcDNA3.1(+)ベクター(Life Technologies)のHindIII/NotIサイトにサブクローニングすることで目的のベクターpcDNA Halo−RimZF−CAAXを得た。
(5)レンチウイルスの作製
小胞膜グルタミントランスポーター(VGLUT1)をコードするDNA配列のC末端側にHaloTag proteinをコードする配列を直列に融合したDNA断片をレンチウイルスベクター(pLenti6PW)にサブクローニングし、pLenti vglut1−chaloを作製した。得られたpLenti vglut1−chaloをヘルパープラスミド(psPAX2、pMD2.G)と共にHEK293T細胞に遺伝子導入し、二酸化炭素濃度5%、37℃中で18時間培養後、培地交換を行い、再び二酸化炭素濃度5%、37℃中で24時間半培養した後ウイルスを回収した。
(6)遺伝子導入
0.01%コラーゲン及び25μg/mlポリ−L−リジン(nacalai tesque)でコート処理した12ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific)に1ウェル当り350,000個のHEK293T細胞を播種し、5時間後にLipofectamine2000(Invitrogen)を用いてpcDNA Halo−RimZF− CAAXを1μg導入した。神経細胞に対しては培養17日目に感染させ、vglut1−chaloを導入した。
(7)細胞の標識
HEK293T細胞は遺伝子導入した16時間後、0.01%コラーゲン及び25μg/mlポリ−L−リジン(nacalai tesque)でコート処理したカバーガラス上の金属リング内に1リング当りの細胞数が40,000個になるように播種し、二酸化炭素濃度5%、37℃中で培養した。3時間半後、細胞外液をCa2+プローブ(化合物14又はCalcium Green、AM(Invitrogen))又は蛍光リガンド(haloTMR、haloOregon)(終濃度5μM)、0.02%PluronicF127を含むリンガー液(5mM HEPES、150mM NaCl、4mM KCl、2mM CaCl、1mM MgCl、0.1%グルコース、pH7.2)に交換し、遮光して室温にて30分間静置した。化合物14と蛍光リガンドで標識した細胞はその後無血清DMEMに交換し、二酸化炭素濃度5%、37℃中で遊離したプローブの除去を30分間行い、外液を再びリンガー液に交換した。Calcium Green、AMで染色した細胞はリンガー液で洗浄した後すぐに蛍光観察を行った。神経細胞はウイルス感染後9日目に化合物14(終濃度5μM)を含むリンガー液で15分標識した。
(8)in situ calibration
標識したHEK293T/Halo−RimZF−CAAXを4%PFA/PBSで10分間固定し、20μMジギトニンにより膜透過処理を行った後、外液のCa2+濃度を変化させたときの蛍光変化を測定した。
(9)Ca2+イメージング
蛍光画像の取得は倒立顕微鏡(IX−71、Olympus)、EM−CCDカメラ(Andor、iXon)、対物レンズ(対物レンズiXonpus化を測定、Olympus)、RFP用フィルターセットを用いた。HEK293T細胞はionomycin(10μM)による刺激を行い、5秒間隔で経時的に画像を取得した。神経細胞は電気刺激(7V、100ms間隔、10回)を5回行い、50Hzで画像を取得した。
[実施例2]
化合物14の化学的性質の評価
合成した化合物14の化学的性質を評価するために、前記の方法によりエステラーゼ処理により加水分解体を取得し、Ca2+濃度を調整したバッファー中における蛍光強度を分光蛍光光度計で測定した。
その結果、Ca2+ と結合したプローブの蛍光強度は未結合のものと比べて約11倍大きくなり(Fmax/Fmin=10.8)、解離定数(Kd)は11.1μMであった(図2)。図2中、●は各データポイントを示し、曲線でフィットカーブを示した。
[実施例3]
HEK293T細胞内における局在とCa 2+ 応答特性の評価
pcDNA Halo−RimZF CAAX遺伝子導入によって細胞膜上にHaloTagタンパク質を発現するHEK293T細胞(以下HEK293T/Halo−RimZF−CAAXとする)を用いて、蛍光プローブによる染色を行った。Calcium Green、AMでは、HaloTagタンパク質の発現の有無に関わらず視野内のすべての細胞の細胞質が染色された(図3のA)。一方、化合物14では、従来プローブとは異なり、HaloTagタンパク質の発現する細胞膜上に局在する蛍光が観察された(図3のB)。HaloTagタンパク質の発現部位は、HaloTagリガンドを用いた染色より同定した。
次にin situ calibrationにより標識プローブのCa2+応答特性の評価を行った結果、Fmax/Fmin=4.7、Kd=6.4μMであった(図4)。図4のBにおいて、●は各データポイントを示し、曲線でフィットカーブを示した。
さらに、イオノフォアによって惹起されるCa2+シグナルに対する応答特性をみるため、プローブで標識したHEK293T/Halo−RimZF−CAAXにイオノマイシンを添加し、その後の蛍光強度の経時的変化を測定した(図5)。図5のAは、HEK293T/Halo−RimZF−CAAXの標識を表し、図5のBは、イオノマイシン刺激による蛍光強度変化を表す。図5のBでは、刺激した時点を黒矢印で示した。
図5のBで示されるように、イオノマイシンの添加によって蛍光強度が上昇し、細胞膜上の局所的なCa2+シグナルを検出した。
[実施例4]
神経細胞を用いた電気刺激によるCa 2+ シグナルに対する応答特性の評価
シナプスに局在性を示すdynein軽鎖タンパク質とHaloTagとの融合タンパク質(dynein−Halo)を発現させたラット海馬由来神経細胞をプローブで染色し、100Hzで10回の電気刺激を加えて連続する活動電位を惹起したところ、刺激に応じたCa2+シグナル変化を観測した(図6)。
ここで、図6のAは、ラット海馬由来神経細胞/vglut1−chaloを示し、図6のBは、電気刺激したときの蛍光強度変化 (100Hz、10回)を示す。

Claims (4)

  1. 以下の一般式(I)で表される化合物又はその塩。
    Figure 0006883332
    (式中、
    は、水素原子を示すか、ベンゼン環上に存在する一価の置換基を示し、1以上の一価の置換基が存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよく、前記一価の置換基は、ハロゲン又は置換されていてもよい直鎖又は分岐アルキル基であり
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個の直鎖又は分岐アルキル基又はハロゲン原子を示し;
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個の直鎖又は分岐アルキル基又はハロゲン原子を示し;
    は、アセトキシ基、アセトキシメトキシ基、水酸基を示し;
    Xは、カルボニル基、アミド基又はアルキルカルボニル基から選択され
    Uは、加水分解した後にカルシウムイオンを捕捉できる基を示し、当該基は、1,2−ビス(o−アミノフェノキシド)エタン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸のエステル化合物から誘導される基、又は
    Figure 0006883332
    (Acは、アセチル基を表す)
    から選択され
    Yは、アゼチジンであり
    Tは、架橋基を示し、前記架橋基はカルボニル基であり
    Sは、ラベル部位を示し、当該ラベル部位は、2−(2−((6−クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エタンアミノ基であり
    mは、1〜3の整数であり、nは、1〜3の整数であり、但し、m+n=4である。)
  2. Xがアミド基である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. 以下の式で表される化合物
    又はその塩。
    Figure 0006883332
    (Acは、アセチル基を表す。)
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含む蛍光プローブ。
JP2017561193A 2016-01-15 2017-01-13 タグ標識可能なカルシウムイオン検出蛍光プローブ Active JP6883332B2 (ja)

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