[第1実施例]
図1を参照して、この発明の一実施例である画像形成装置10は、両面印刷機能を有する電子写真方式の画像形成装置であって、帯電、露光、現像、転写および熱定着というプロセスを経ることによって、用紙(記録媒体)の表面上および裏面上に多色または単色の画像を形成(印刷)する。
この第1実施例では、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。ただし、画像形成装置10は、複合機に限定される必要はなく、複写機、プリンタおよびファクシミリのいずれかであっても良い。また、画像形成装置10は、カラー機であっても良いし、モノクロ機であっても良い。
また、この発明においては、用紙を搬送する方向(用紙搬送方向)を副走査方向と呼ぶ。一方、用紙を搬送する方向と直交する方向を主走査方向と呼ぶ。したがって、搬送される用紙の縦方向は、副走査方向に相当する。また、搬送される用紙の幅方向は、主走査方向に相当する。
先ず、画像形成装置10の基本構成について概略的に説明する。図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成部30等を備える装置本体12、およびその上方に配置される画像読取装置14を含む。
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)24が設けられる。また、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる印刷開始指示等の入力操作を受け付けるタッチパネルおよび操作ボタン等を含む操作部28(図4参照)が設けられる。
また、画像読取装置14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内蔵される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
画像形成部30は、露光装置32、現像器34、感光体ドラム36、感光体クリーナユニット38、帯電器40、転写ユニット42および定着ユニット44等を備え、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ52に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
なお、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器34、感光体ドラム36、感光体クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の静電潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された像担持体であり、帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる部材である。また、露光装置32は、レーザダイオード(LD)およびポリゴンミラー等を備えたレーザスキャニングユニットとして構成され、感光体ドラム36の下方に配置される。露光装置32は、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。現像器34は、感光体ドラム36上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、感光体クリーナユニット38は、現像および画像転写後における感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去する。
転写ユニット42は、中間転写ベルト54、駆動ローラ56、従動ローラ58、4つの中間転写ローラ60および2次転写ローラ62などを備え、感光体ドラム36の上方に配置される。なお、転写ユニット42は、必ずしも中間転写ベルト54を備える必要はなく、感光体ドラム36上のトナー像が用紙に直接転写される構成を採用することもできる。
中間転写ベルト54は、可撓性を有する無端状のベルトであって、カーボンブラック等の導電性材料を適宜配合した合成樹脂またはゴム等によって形成される。中間転写ベルト54は、駆動ローラ56および従動ローラ58によって懸架され、その外周面が感光体ドラム36の外周面に当接するように配置される。そして、中間転写ベルト54は、駆動ローラ56の回転駆動に伴い、所定方向に周回移動する。
駆動ローラ56は、図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。従動ローラ58は、中間転写ベルト54の周回移動に伴って回転すると共に、中間転写ベルト54に一定の張力を与えて中間転写ベルト54の弛みを防止する。
中間転写ローラ60は、中間転写ベルト54を挟んで各感光体ドラム36と対向する位置のそれぞれに配置される。画像形成時には、中間転写ローラ60に所定の電圧(1次転写電圧)が印加されることによって、感光体ドラム36と中間転写ベルト54との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用によって、感光体ドラム36の外周面に形成されたトナー像が中間転写ベルト54の外周面に転写される。
2次転写ローラ62は、駆動ローラ56との間で中間転写ベルト54を押圧するように設けられる。画像形成時には、2次転写ローラ62に所定の電圧(2次転写電圧)が印加されることによって、中間転写ベルト54と2次転写ローラ62との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用によって、中間転写ベルト54と2次転写ローラ62との間の転写ニップ域を用紙が通過する間に、中間転写ベルト54の外周面に形成されたトナー像が用紙に転写(2次転写)される。
定着ユニット44は、ヒートローラ64および加圧ローラ66を備え、2次転写ローラ62の上方に配置される。ヒートローラ64は、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラ64と加圧ローラ66との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
このような装置本体12内には、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50からの用紙をレジストローラ68、2次転写ローラ62および定着ユニット44を経由させて排紙トレイ52に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、表面側の印刷が終了して定着ユニット44を通過した後の用紙を、2次転写ローラ62の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。この第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に対して補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ70が適宜設けられる。
レジストローラ68は、ペーパーストップローラ(PSローラ)とも呼ばれ、画像形成部30が用紙の画像形成を行うプロセススピードと等しい速度で、用紙を搬送する。たとえば、レジストローラ68は、搬送ローラ70によって搬送された用紙を挟持した状態で待機(一旦停止)し、転写ユニット42と同期させて用紙の搬送を開始する。このとき、レジストローラ68は、中間転写ベルト54の周速度と等しい周速度で回転される。
装置本体12において片面印刷を行う際には、用紙は、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から1枚ずつ第1用紙搬送路L1に導かれ、搬送ローラ70によってレジストローラ68まで搬送される。そして、レジストローラ68によって、用紙の先端と中間転写ベルト54上の画像情報の先端とが整合するタイミングで用紙が2次転写ローラ62(転写ニップ部)に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット44(定着ニップ部)を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融して固着されて、排紙トレイ52上に用紙が排出される。
一方、両面印刷を行う際には、表面側の印刷が終了して定着ユニット44を通過した用紙の後端部が排紙トレイ52近傍の搬送ローラ70まで到達したとき、この搬送ローラ70を逆回転させることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路L2に導かれる。第2用紙搬送路L2に導かれた用紙は、搬送ローラ70によって第2用紙搬送路L2を搬送されて、レジストローラ68の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に導かれる。この時点で用紙の表裏は反転されるので、その後、レジストローラ68を経て、2次転写ローラ62および定着ユニット44を用紙が通過することによって、用紙の裏面側に印刷が行われる。
ただし、第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、主走査方向(搬送される用紙の幅方向)の中心線(図3参照)が設定される。用紙は、その主走査方向の中央が第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2の主走査方向の中心線に沿うように中央基準で搬送される。
図2は、図1の画像形成装置10が備える用紙検出部80の概略構成を示す側面図である。図3は、画像形成装置10が備える用紙検出部80を用紙搬送方向から見た図解図である。
図1および図2に示すように、第1用紙搬送路L1には、用紙の主走査方向の端部の位置(用紙の幅方向の端部の位置)を検出するための用紙検出部80が設けられる。用紙検出部80は、レジストローラ68と、レジストローラ68の用紙搬送方向の上流側に配置される搬送ローラ70との間に配置される。また、用紙検出部80は、レジストローラ68の用紙搬送方向の上流側であって、第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2の合流箇所よりも用紙搬送方向の下流側に配置される。さらに、用紙検出部80は、画像形成装置10で使用される最小サイズの用紙がレジストローラ68に挟持されて停止されたときに、その用紙の後端の位置よりも用紙搬送方向の下流側に配置される。つまり、用紙検出部80は、用紙がレジストローラ68に挟持されて停止されたときに、その用紙が存在する位置に配置される。
また、図3に示すように、用紙検出部80は、主走査方向に延びるように設けられる。この用紙検出部80は、第1用紙搬送路L1の主走査方向の中心線の位置から最も大きいサイズの用紙の主走査方向の端部(エッジ)が通過する位置に亘って設けられる。つまり、用紙検出部80は、用紙のサイズを問わず、第1用紙搬送路L1を搬送される用紙のエッジが通過する位置に設けられる。
この用紙検出部80は、ラインセンサ82および基準部材84を含む。図1ないし図3に示すように、ラインセンサ82と、基準部材84とは、第1用紙搬送路L1を挟んで互いに対向するように配置される。
また、ラインセンサ82は、第1用紙搬送路L1の2次転写ローラ62側(加圧ローラ66側)に配置される。つまり、ラインセンサ82は、第1用紙搬送路L1の非印刷側(非画像形成側)に配置される。一方、基準部材84は、第1用紙搬送路L1の中間転写ベルト54側(ヒートローラ64側)に配置される。つまり、基準部材84は、第1用紙搬送路L1の印刷側(画像形成側)に配置される。
ラインセンサ82は、CCDやCISなどの撮像装置であり、複数の受光素子820および光源を有する。複数の受光素子820および光源は、ラインセンサ82の基準部材84に対向する面に設けられる。各受光素子820は、主走査方向に一列に配置される。光源は、たとえばLEDであり、複数の受光素子820に沿って設けられる。さらに、複数の受光素子820および光源は、主走査方向において、第1用紙搬送路L1の主走査方向の中心線の位置から、最も大きいサイズの用紙の主走査方向の一方の端部が通過する位置を含むように設けられる。ただし、複数の受光素子820のうちの1つは、主走査方向において、第1用紙搬送路L1の主走査方向の中心線に重なる位置に配置される。この受光素子820は、ラインセンサ82の主走査方向の基準となる。また、主走査方向の基準となる受光素子820の位置が、ラインセンサ82の主走査方向の基準の位置となる。
このラインセンサ82は、基準部材84または第1用紙搬送路L1を搬送される用紙を光源によって露光し、反射した反射光を受光素子820で検出する。受光素子820では、反射光の輝度や色度が検出され、画像データが生成される。ラインセンサ82は、複数の受光素子820で生成される画像データの集合である撮影画像データを出力する。
基準部材84は、略矩形平板状をなし、主走査方向に延びるように設けられる部材である。この基準部材84は、たとえば合成樹脂などからなる。また、基準部材84は、主走査方向において、少なくともラインセンサ82に含まれる複数の受光素子820に対応する範囲に設けられる。
図4は図1の画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。図4を参照して、画像形成装置10はCPU100を含む。CPU100には、バス110を介してRAM102、メモリ104、センサ制御部106、画像読取部26、画像形成部30および操作部28が接続される。また、センサ制御部106にはラインセンサ82が接続される。
CPU100は、画像形成装置10の全体的な制御を司る。RAM102は、CPU100のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。メモリ104は、画像形成装置10の主記憶装置であって、CPU100が画像形成装置10の各部位の動作を制御するための制御プログラムおよびデータ等を適宜記憶する。メモリ104としては、ROM、HDD、フラッシュメモリまたはEEPROMのような不揮発性のメモリを用いることができる。
センサ制御部106は、コントローラ106aおよびSRAM106bを含む。コントローラ106aは、CPU100の指示の下、ラインセンサ82へ制御信号を入力して、ラインセンサ82に含まれる複数の受光素子820のそれぞれを駆動させる。また、コントローラ106aは、CPU100の指示の下、ラインセンサ82の光源を点灯させたり消灯させたりする。
SRAM106bには、ラインセンサ82から出力された読取信号(アナログ信号)が入力される。ただし、ラインセンサ82から入力される読取信号は、A/D変換され、撮影画像データとしてSRAM106bに一時的に記憶される。この撮影画像データは、CPU100からの読み出し要求に応じてSRAM106bから読み出される(出力される)。ただし、ラインセンサ82で取得される撮影画像に対応する撮影画像データは、主走査方向に一列に配置された複数の画素(読取画素)データを含む画像データである。撮影画像に含まれる複数の読取画素データのそれぞれは、複数の受光素子820のそれぞれで生成される画像データのそれぞれに対応する。つまり、複数の読取画素のそれぞれは、複数の受光素子820のそれぞれに対応する。なお、読取画素の大きさ(1個の受光素子820の撮像範囲)は、0.1mm程度である。
操作部28は、上述のように、ユーザによる入力操作を受け付ける部位であって、タッチパネルおよび操作ボタン等を含む。操作部28を用いて入力された、印刷枚数、両面印刷の実行の有無および用紙の種類などの設定情報、並びに印刷開始指示などを示す信号が、CPU100に入力される。
なお、図4に示す画像形成装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。
このように構成された画像形成装置では、基準部材として、表面が黒色の部材が用いられる。この場合、ラインセンサの複数の受光素子のそれぞれで読み取った読取画素が白色または黒色に区別される。用紙に対向する位置の受光素子からは白色の読取画素が出力され、用紙に対向しない(基準部材に対向する)位置の受光素子からは黒色の読取画素が出力される。そして、白色の読取画素と黒色の読取画素との境界となる位置が、用紙の主走査方向の端部の位置(用紙のエッジ位置)として検出される。
また、検出された用紙のエッジ位置に合わせて、用紙に形成される画像の主走査方向の位置(主走査方向における印刷位置)が調節される。具体的には、感光体ドラムの外周面に形成されるトナー像(静電潜像)の位置が調節されることによって、用紙に形成される画像の主走査方向の位置が調節される。ただし、用紙検出部80および中間転写ベルト54と2次転写ローラ62との間の転写ニップ域の間に、シフト機構を備えることもできる。この場合には、感光体ドラムの外周面に形成されるトナー像の位置を調節することに代えて、用紙の主走査方向の位置を調節することによって、用紙に形成される画像の主走査方向の位置が調節される。
しかしながら、用紙が搬送される際に、紙粉または埃などの付着物が基準部材の表面に付着することがある。この場合、付着物に対向する位置の受光素子からは白色の読取画素が出力される。このため、基準部材の表面に付着物が付着した位置が、用紙のエッジ位置として誤って検出されるという問題がある。
この問題を回避するため、白色の読取画素が所定数(たとえば8画素)以上連続して出力された場合に、用紙のエッジ位置として検出されるようにすることが考えられる。ただし、用紙に画像が形成された場合には、用紙の端部の余白の大きさが、所定数の読取画素の大きさよりも小さくなることがある。この場合、用紙の端部において白色の読取画素が所定数連続しなくなり、用紙のエッジ位置を検出できないという問題がある。なお、この問題が発生するのは、両面印刷において裏面側を印刷するときに、最初に画像が形成された表面側がラインセンサ82側になるように搬送されるからである。
このような不都合を回避するため、第1実施例では、基準部材84の表面に暗色の第1領域および明色の第2領域が規則的に配置された基準パターンを形成してある。
ただし、本発明において、色は、マンセル表色系(JIS Z 8721 三属性による色の表示方法)で表すことができ、例えばJIS Z 8721に準拠した標準色票との比較によって定めることができる。明色とは例えばマンセル表色系における明度5以上の色であり、暗色とは例えば明度5未満の色である。
図5は第1実施例の基準部材84に形成された基準パターンを示す図解図である。図5に示すように、基準部材84の表面には、暗色である黒色と明色である白色を含む基準パターンが形成される。たとえば、基準パターンにおける白色は明度7以上の色であり、黒色は明度3以下の色である。
この基準パターンは、複数の黒色の第1領域840と複数の白色の第2領域842とを含む。具体的には、主走査方向において第1領域840と第2領域842とが交互に並ぶ。つまり、基準パターンは、複数の第1領域840と複数の第2領域842とによって形成される用紙搬送方向の縞模様である。このため、主走査方向における第1領域840の両側には、第2領域842が配置される。また、主走査方向における第2領域842の両側には、第1領域840が配置される。
また、複数の第1領域840のそれぞれは、主走査方向における大きさが互いに等しい。同様に、複数の第2領域842のそれぞれは、主走査方向における大きさが互いに等しい。さらに、第1領域840の主走査方向における大きさは、第2領域842の主走査方向における大きさよりも大きい。
具体的には、第1領域840の主走査方向の大きさは、複数(たとえば4つ)の読取画素(ラインセンサ82の受光素子820)に対応する大きさである。また、第2領域842の主走査方向の大きさは、1つの読取画素に対応する大きさである。このため、第1実施例の基準パターンには、4個分の読取画素に対応する大きさの第1領域840と、1個分の読取画素に対応する大きさの第2領域842とを含む複数のグループGrが含まれる。
この第1実施例では、基準部材84の基準パターンを被写体とする撮影画像(以下、「基準画像」という)と、基準部材84の基準パターンおよび第1用紙搬送路L1を搬送される用紙を被写体とする撮影画像(以下、「検出用画像」という)とがラインセンサ82で撮像される。そして、基準画像に対応する基準画像データ304cと検出用画像に対応する検出用画像データ304d(図7参照)との差異に応じて、用紙のエッジ位置が検出される。以下、用紙のエッジ位置を検出する具体的な方法を説明する。
先ず、基準画像は、用紙検出部80を通過する用紙が存在しないときに撮像される。たとえば、画像形成装置10が製造された段階(工場などから出荷される前)において撮像される。基準画像が撮像される場合、ラインセンサ82に含まれる全ての受光素子820が駆動されるとともに、ラインセンサ82に含まれる全ての光源が点灯される。したがって、基準画像には、基準部材84の基準パターンの全体が含まれる。基準画像が撮像されると、基準画像に対応する基準画像データ304cが、メモリ104に記憶される。
ただし、基準画像は、複数の受光素子820のそれぞれに対応する複数の画素(基準読取画素)を含む。基準画像に対応する基準画像データ304cは、複数の基準読取画素のそれぞれに対応する複数の基準読取画素データを含む。複数の基準読取画素データのそれぞれは、受光素子820情報、位置情報および色情報を含む。受光素子820情報は、基準読取画素データに対応する受光素子820の情報である。位置情報は、基準読取画素データに対応する受光素子820と、上述した主走査方向の基準となる受光素子820との距離に応じた主走査方向における位置についての情報である。つまり、基準読取画素データの位置情報は、基準読取画素データに対応する基準読取画素の主走査方向の位置についての情報でもある。色情報は、基準読取画素データに対応する基準読取画素の色を黒色または白色で示す情報である。この色情報は、基準読取画素データに対応する基準読取画素の明度に応じて設定される。基準読取画素データに対応する基準読取画素の明度が所定の閾値(たとえば明度5)以上の場合には、その基準読取画素データに白色が割り当てられる。一方、基準読取画素データに対応する基準読取画素の明度が所定の閾値未満の場合には、その基準読取画素データに黒色が割り当てられる。
検出用画像は、上述したように、第1用紙搬送路L1を搬送される用紙が用紙検出部80に到達したときに撮像される。ただし、用紙が用紙検出部80に到達したときとは、用紙がレジストローラ68に挟持されて停止されたときのことを意味する。つまり、検出用画像は、ラインセンサ82と基準部材84との間に用紙が存在するときに撮像される画像である。
また、検出用画像が撮像される場合、ラインセンサ82に含まれる一部の受光素子820が駆動されるとともに、駆動される受光素子820の位置に応じて光源が点灯される。具体的には、第1用紙搬送路L1を搬送される用紙の主走査方向の端部が通過すると想定される位置(想定位置)を中心に、主走査方向において所定の範囲に含まれる受光素子820が駆動される。ただし、受光素子820が駆動される範囲は、第1用紙搬送路L1を搬送される用紙の主走査方向の搬送時のばらつきを考慮して設定される。このため、検出用画像には、基準部材84の基準パターンの一部および第1用紙搬送路L1を搬送される用紙の一部が含まれる。ただし、両面印刷を行う際には、第1用紙搬送路L1を搬送される用紙は、用紙検出部80を2回通過する。このため、両面印刷を行う際には、用紙の表面側が印刷されるときの検出用画像(表面側の検出用画像)と、用紙の裏面側が印刷されるときの検出用画像(裏面側の検出用画像)とがそれぞれ撮像される。
検出用画像が撮像されると、検出用画像に対応する検出用画像データ304dが、SRAM106bに一時的に記憶される。SRAM106bに記憶された検出用画像データ304dは、CPU100の指示に応じて、SRAM106bから読み出される。
ただし、検出用画像には、上述した基準画像と同様に、複数の受光素子820のそれぞれに対応する複数の読取画素(検出用読取画素)が含まれる。このため、検出用画像に対応する検出用画像データ304dには、複数の検出用読取画素のそれぞれに対応する複数の検出用読取画素データが含まれる。複数の検出用読取画素データのそれぞれは、上述した部分基準画像データと同様に、受光素子情報、位置情報および色情報を含む。
CPU100は、検出用画像が撮像されると、基準画像データ304cをメモリ104から読み出すとともに、検出用画像データ304dをSRAM106bから読み出して、基準画像データ304cと検出用画像データ304dとを比較する。基準画像データ304cと検出用画像データ304dとの差異に応じて、用紙のエッジ位置を検出する。
具体的には、先ず、同じ位置の基準読取画素の色と、検出用読取画素の色とが異なる位置が検出される。ここでは、基準画像データ304cに含まれる複数の基準読取画素データのそれぞれの色情報と、検出用画像データ304dに含まれる複数の検出用読取画素データのそれぞれの色情報とが比較される。より具体的には、同じ位置の基準読取画素データの色情報と、検出用読取画素データの色情報とが比較される。
同じ位置の基準読取画素データの色情報と、検出用読取画素データの色情報とが一致する場合には、それらの読取画素データに対応する読取画素の位置においては、基準読取画素の色と、検出用読取画素の色とが一致していると判断される。
一方、同じ位置の基準読取画素データの色情報と、検出用読取画素データの色情報とが異なる場合には、それらの読取画素データに対応する読取画素の位置においては、基準読取画素の色と、検出用読取画素の色とが異なると判断される。
基準読取画素の色と、検出用読取画素の色とが異なる位置のうち、主走査方向の中心線から最も離れた位置(幅方向の外側の位置)が、用紙のエッジ候補位置に設定される。
次に、検出用画像においてエッジ候補位置よりも主走査方向の中心線に近い側(主走査方向の内側)において、基準パターンの規則性が途切れているかどうかが判断される。基準パターンの規則性が途切れているかどうかは、エッジ候補位置よりも主走査方向の内側のグループGr(エッジ候補位置を含むグループGrを含む)において、検出用画像が基準画像に対して色が異なる位置が存在するかどうかに応じて判断される。
エッジ候補位置よりも主走査方向の内側のグループGrにおいて、検出用画像が基準画像に対して色が異なる位置が存在する場合には、そのグループGrにおいて基準パターンの規則性が途切れていると判断される。一方、エッジ候補位置よりも主走査方向の内側のグループGrにおいて、検出用画像が基準画像に対して色が異なる位置が存在しない場合には、検出用画像において基準パターンの規則性が途切れていない(基準パターンの規則性が維持されている)と判断される。
そして、エッジ候補位置よりも主走査方向の内側のグループGrにおいて、基準パターンの規則性が途切れていると判断された場合、上述したエッジ候補位置が用紙のエッジ位置として検出(確定)される。
ただし、エッジ候補位置よりも主走査方向の内側のグループGrにおいて、基準パターンの規則性が途切れていると判断された場合、そのエッジ候補位置よりも内側の次のエッジ候補位置を設定する。そして、次のエッジ候補位置よりも主走査方向の中心線に近い側において、基準パターンの規則性が途切れているかどうかが判断される。
図6(A)は用紙の主走査方向の端部に余白が存在する場合を示す図解図であり、図6(B)は用紙の主走査方向の端部に余白が存在しない場合を示す図解図である。なお、図6(A)および図6(B)では、両面印刷において表面側に画像が印刷された後に裏面側が印刷される場合を想定している。ただし、用紙の表面側に印刷された画像は、明度が所定の閾値よりも小さく、この画像が印刷された部分に対応する部分検出用画像データの色情報は、黒色を示すものとする。また、用紙の画像が印刷されていない部分(余白)は、明度が所定の閾値よりも大きく、白色を示すものとする。
図6(A)に示すように、用紙の主走査方向の端部に余白が存在する場合には、用紙の余白の部分に対応する位置の検出用読取画素データの色情報は、白色を示す。一方、基準パターンの第1領域840に対応する位置の基準読取画素データの色情報は、黒色を示す。このため、用紙の余白の部分と、基準パターンの第1領域840とが重なる場合には、基準読取画素の色と、検出用読取画素の色とが異なる位置が存在する。図6(A)に示す例では、左から8番目および9番目の読取画素の位置において、基準読取画素の色が黒色であり、検出用読取画素の色が白色である。つまり、基準読取画素の色と、検出用読取画素の色とが異なる。そして、基準読取画素の色と、検出用読取画素の色とが異なる読取画素のうち、最も主走査方向の外側の左から8番目の読取画素の位置が、エッジ候補位置に設定される。また、左から8番目および9番目の読取画素を含む左から2番目のグループGr2において、基準パターンの規則性が途切れていると判断される。
また、用紙の画像が印刷された部分に対応する検出用読取画素データの色情報は、黒色を示す。一方、基準画像データ304cにおける基準パターンの第2領域842に対応する基準読取画素データの色情報は、白色を示す。このため、用紙の画像が印刷された部分と、基準パターンの第2領域842とが重なる場合には、基準読取画素の色と、検出用読取画素の色とが異なる位置が存在する。図6(A)に示す例では、右から3番目および8番目(左から15番目および20番目)の読取画素に対応する位置において、基準読取画素の色が白色であり、検出用読取画素の色が黒色である。つまり、基準読取画素の色と、検出用読取画素の色とが異なる。このため、右から8番目の読取画素を含む左から3番目のグループGr3と、右から3番目の読取画素を含む左から4番目のグループGr4とにおいて、基準パターンの規則性が途切れていると判断される。
このように、図6(A)に示す例では、エッジ候補位置(左から8番目の読取画素)よりも主走査方向の内側の全てのグループGrにおいて、基準パターンの規則性が途切れているので、エッジ候補位置が、用紙のエッジ位置として確定される。
また、図6(B)に示すように、用紙の主走査方向の端部に余白が存在しない場合には、用紙に対応する位置の全ての検出用読取画素データの色情報は、黒色を示す。このため、用紙と、基準画像に含まれる基準パターンの第2領域842とが重なる位置において、基準読取画素の色と、検出用読取画素の色とが異なる位置が存在する。
図6(B)に示す例では、左から10番目、15番目および20番目の読取画素に対応する位置において、基準読取画素の色(白色)と、検出用読取画素の色(黒色)とが異なる。基準読取画素の色と、検出用読取画素の色とが異なる読取画素のうち、最も主走査方向の外側の左から10番目の読取画素に対応する位置が、エッジ候補位置に設定される。また、左から10番目の読取画素を含む左から2番目のグループGr2と、左から15番目の読取画素を含む左から3番目のグループGr3と、左から20番目の読取画素を含む左から4番目のグループGr4とにおいて、基準パターンの規則性が途切れていると判断される。
このように、図6(B)に示す例では、エッジ候補位置(左から10番目の読取画素)よりも主走査方向の内側の全てのグループGrにおいて、基準パターンの規則性が途切れているので、エッジ候補位置が、用紙のエッジ位置として確定される。なお、実際の用紙の端部の位置に対して、2画素分ずれた位置が確定されているが、読取画素の大きさは0.1mm程度であるので、印刷品質には大きく影響しない。
画像形成装置10の上記のような動作は、CPU100がRAM102に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
図7は図4に示したRAM102のメモリマップ300の一例を示す図解図である。図7に示すように、RAM102は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。RAM102のプログラム記憶領域302には、上述したように、画像形成装置10の制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、操作検出プログラム302a、基準画像取得プログラム302b、検出用画像取得プログラム302c、エッジ候補位置検出プログラム302d、判断プログラム302e、画像読取プログラム302fおよび画像形成プログラム302gを含む。
操作検出プログラム302aは、操作部28に含まれる操作ボタンおよびタッチパネルによるユーザの操作入力を検出するためのプログラムである。CPU100は、操作検出プログラム302aに従って、ユーザが操作ボタンを操作したことによる操作データないし操作信号を検出したり、タッチパネルを操作したことによって入力されるタッチ座標データを検出したりする。
基準画像取得プログラム302bは、センサ制御部106を制御して、用紙検出部80を通過する用紙が存在しないときにラインセンサ82で基準部材84の基準パターンの全体を含む基準画像を撮像して、基準画像に対応する基準画像データ304cを取得するためのプログラムである。
検出用画像取得プログラム302cは、センサ制御部106を制御して、用紙が用紙検出部80を通過するときにラインセンサ82で基準部材84の基準パターンの一部および用紙の一部を含む検出用画像を撮像して、検出用画像に対応する検出用画像データ304dを取得するためのプログラムである。
エッジ候補位置検出プログラム302dは、基準画像取得プログラム302bに従って取得された基準画像データ304cと、検出用画像取得プログラム302cに従って取得された検出用画像データ304dとを比較して、上述したエッジ候補位置を検出するためのプログラムである。
判断プログラム302eは、基準画像データ304cと、検出用画像データ304dとを比較して、エッジ候補位置よりも主走査方向の中心線に近い側において、基準パターンの規則性が途切れているかどうか判断するためのプログラムである。
画像読取プログラム302fは、画像読取部26を制御して、原稿の画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像信号(画像データ)を出力するためのプログラムである。
画像形成プログラム302gは、画像形成部30を制御して、印刷画像データ304bに応じて多色または単色の印刷画像を用紙に印刷するためのプログラムである。ただし、画像形成プログラム302gは、エッジ候補位置検出プログラム302dによって検出されたエッジ位置に応じて、感光体ドラム36の外周面に形成されるトナー像(静電潜像)の主走査方向の位置を調節するためのプログラムでもある。
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、画像形成装置10の各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
RAM102のデータ記憶領域304には、操作検出データ304a、印刷画像データ304b、基準画像データ304cおよび検出用画像データ304dなどが記憶される。
操作検出データ304aは、操作検出プログラム302aに従って検出された操作データまたは/およびタッチ座標データを含む操作入力データである。
印刷画像データ304bは、上述したように、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部のコンピュータから入力される画像データなどである。
基準画像データ304cは、基準画像取得プログラム302bに従って取得された基準画像に対応する画像データである。ただし、基準画像データ304cは、メモリ104から読み出されて、RAM102に展開(記憶)される。
検出用画像データ304dは、検出用画像取得プログラム302cに従って取得された検出用画像に対応する画像データである。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、検出用画像の主走査方向における撮像範囲を設定するためのレジスタが設けられたり、その他の制御プログラムの実行に必要なレジスタが設けられたり、制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたりする。
図8は画像形成装置10の検出処理の一例を示すフロー図である。この検出処理は、画像形成装置10において印刷ジョブが実行される場合に実行される。図8に示すように、CPU100は、検出処理を開始すると、ステップS1で、基準画像データ304cを読み出して、ステップS3で、用紙が用紙検出部80に到達したかどうかを判断する。ここでは、第1用紙搬送路L1を搬送される用紙の先端が、レジストローラ68に到達した場合に、用紙が用紙検出部80に到達したと判断する。ステップS3で“NO”であれば、つまり、用紙が用紙検出部80に到達していない場合は、ステップS3に戻る。一方、ステップS3で“YES”であれば、つまり、用紙が用紙検出部80に到達した場合は、ステップS5で、ラインセンサ82を駆動させて、ステップS7で、検出用画像データ304dを取得する。
続いて、ステップS9で、基準画像データ304cと検出用画像データ304dとを比較して、エッジ候補位置を検出し、ステップS11で、基準画像データ304cと検出用画像データ304dとを比較して、エッジ候補位置よりも主走査方向の中心線に近い側において、基準パターンの規則性が途切れているかどうかを判断する。ステップS11で“NO”であれば、つまり、規則性が途切れていない場合は、ステップS13で、次のエッジ候補位置を検出し、ステップS11に戻る。一方、ステップS11で“YES”であれば、つまり、規則性が途切れている場合は、ステップS15で、エッジ候補位置をエッジ位置として確定して、検出処理を終了する。
この第1実施例によれば、表面に複数の色の領域を含む基準パターンが形成された基準部材84を用いて、検出用画像において基準パターンの規則性が途切れた位置をエッジ位置として検出するので、用紙のラインセンサ82に対向する面に画像が形成されていても、エッジ位置を精度良く検出することができる。
また、第1実施例によれば、暗色の第1領域840の主走査方向における大きさが、明色の第2領域842の主走査方向における大きさよりも大きいので、用紙の主走査方向の端部に余白が存在する場合に、精度よくエッジ位置を検出することができる。
さらに、第1実施例によれば、エッジ位置に応じて、用紙に形成される画像の用紙の主走査方向の位置が調節されるので、用紙に形成される画像の位置ずれを防止することができる。
なお、第1実施例では、基準画像に対応する基準画像データ304cが予めメモリ104に記憶されるようにしたが、これに限定される必要は無い。たとえば、基準画像データ304cに代えて、各読取画素の位置情報および色情報などの情報の条件が論理式で書かれたプログラムが記憶されるようにしても良い。たとえば、プログラムには、主走査方向の基準となる読取画素からn番目の読取画素の色は黒色、m番目の読取画素は白色などの条件が含まれる。この場合、プログラムに従って複数の検出用読取画素(検出用読取画素データ)のそれぞれの真偽判定が行われ、判定結果に応じてエッジ位置が検出されるようにしても良い。このようにすれば、基準画像データ304cを用いる必要が無いので、基準画像データ304cを記憶するためのメモリ104を省略したり、メモリ104の記憶容量を小さくしたりすることができる。
また、エッジ位置を検出するにあたって、用紙が同じ位置にあるときに連続して撮像された複数(たとえば4つ)の検出用画像が用いられても良い。この場合、複数の検出用画像のそれぞれに対応する検出用画像データに含まれる検出用読取画素において、色情報を平均した情報が算出される。具体的には、或る読取画素において、その読取画素と同じ位置の検出用読取画素に対応する検出用読取画素データの色情報を平均した情報が算出される。そして、検出用画像データ304dには、読取画素毎に割り当てられた平均化された色情報が含まれる。この平均化された色情報に応じて、エッジ位置が検出される。このようにすれば、検出用画像に突発的なノイズが発生した場合であっても、そのノイズの影響を軽減することができる。ただし、用いられる検出用画像の数(ライン数)は、適宜変更可能である。このライン数を変更することによって、読取画素毎の色情報を平均化するための処理時間を調整することができる。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10は、基準部材84の表面に付着した付着物に対応する位置のデータを補正した検出用補正画像データを用いてエッジ位置を検出するようにした以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
図9は第2実施例における付着物の検出方法を示す図解図である。図10は第2実施例における用紙のエッジ位置の検出方法を示す図解図である。
図9に示すように、紙粉または埃などの付着物が基準部材84の表面に付着することがある。第2実施例では、付着物を検出するために、用紙検出部80を通過する用紙が存在しないときに付着物検出画像が撮像される。たとえば、付着物検出画像は、印刷ジョブが実行される場合に、最初の用紙が搬送される前に撮像される。第2実施例では、付着物検出画像が撮像される場合、ラインセンサ82に含まれる全ての受光素子820が駆動されるとともに、ラインセンサ82に含まれる全ての光源が点灯される。したがって、付着物検出画像には、基準部材84の基準パターンの全体が含まれる。
付着物検出画像が撮像されると、付着物検出画像に対応する付着物検出画像データが生成される。付着物検出画像データは、基準画像データ304cおよび検出用画像データ304dと同様に、複数の付着物検出画素データを含む。複数の付着物検出画素データのそれぞれは、受光素子820情報、位置情報および色情報を含む。そして、同じ位置の基準読取画素データの色情報と、付着物検出画素データの色情報とが比較され、基準画像と付着物検出画像とで色が異なる位置が検出される。
図9に示す例では、左から3番目、4番目、6番目および7番目の読取画素に対応する位置において、基準画像と付着物検出画像とで色情報が異なる。このように、基準画像と付着物検出画像とで色が異なる位置が存在する場合、基準部材84の表面に付着物が存在すると判断される。
基準画像と付着物検出画像とで色情報が異なる位置には、補正画像データが生成される。この補正画像データは、基準画像と付着物検出画像とで色情報が異なる位置において、基準画像データ(基準読取画素データ)をコピーしたデータである。ただし、補正画像データは、基準画像と付着物検出画像とで色情報が一致する位置に対応するデータは含まない。
第2実施例では、検出用画像が撮像されると、補正画像データによって、検出用画像データ304dが補正された検出用補正画像データが生成される。ここでは、検出用補正画像データは、補正画像データが存在する位置において、検出用画像データ304dを補正画像データに置換したデータである。具体的には、補正画像データが存在する位置に対応する付着物検出画素データによって、同じ位置の検出用読取画素データが上書きされる。
たとえば、図10に示すように、左から3番目、4番目、6番目および7番目の読取画素に対応する位置に付着物が存在する場合は、これらの読取画素の位置において補正画像データが生成される。この補正画像データによって、検出用画像データ304dが補正され、検出用補正画像データが生成される。検出用画像データ304dでは、付着物の影響を受けて、左から3番目、4番目、6番目および7番目の読取画素が白色であるが、検出用補正画像データでは、これらの読取画素が黒色に補正される。
そして、検出用補正画像データと、基準画像データ304cとが比較され、第1実施例と同じ方法で、用紙のエッジ位置が検出される。
以下、フロー図を用いて、第2実施例における画像形成装置10の検出処理について説明するが、第1実施例で説明した検出処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
図11は第2実施例における検出処理の一例を示すフロー図である。図11に示すように、CPU100は、検出処理を開始すると、ステップS1で、基準画像データ304cを読み出して、ステップS31で、ラインセンサ82を駆動させて、ステップS33で、付着物検出画像データを取得する。続いて、ステップS35で、付着物が存在するかどうかを判断する。ここでは、同じ位置の基準読取画素データの色情報と、付着物検出画素データの色情報とが比較され、基準画像と付着物検出画像とで色が異なる位置があるかどうかを判断する。
ステップS35で“NO”であれば、つまり、付着物が存在しない場合は、ステップS3に進む。一方、ステップS35で“YES”であれば、つまり、付着物が存在する場合は、ステップS37で、補正画像データを生成して、ステップS3に進む。
また、ステップS7で、検出用画像データ304dを取得すると、ステップS39で、補正画像データが存在するかどうかを判断する。ステップS39で“NO”であれば、つまり、補正画像データが存在しない場合は、検出用画像データ304dを補正せずに、ステップS9に進む。一方、ステップS39で“YES”であれば、つまり、補正画像データが存在する場合は、ステップS41で、検出用補正画像データを生成して、ステップS9に進む。
なお、ステップS3〜ステップS7およびステップS9以降の処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
この第2実施例によれば、基準部材84の表面に付着した付着物に対応する位置のデータを補正した検出用補正画像データを用いてエッジ位置を検出するので、付着物の影響を軽減することができる。
また、基準部材84の表面に付着物が存在すると判断された場合、基準部材84の表面に付着物が存在する旨をユーザまたはサービスマンに報知するようにしても良い。たとえば、画像形成装置10がディスプレイを備える場合には、基準部材84の表面に付着物が存在する旨のメッセージをディスプレイに表示するようにしても良い。この場合、基準部材84の表面に付着物が存在する旨のメッセージは、画像形成装置10のメンテナンス時にのみ表示されるようにしても良い。
[第3実施例]
第3実施例の画像形成装置10は、基準部材84の基準パターンを変更した以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
図12は第3実施例における基準部材84の基準パターンを示す図解図である。図12に示すように、第3実施例の基準部材84の基準パターンでは、複数の第1領域840のそれぞれの主走査方向の大きさが、その第1領域840の主走査方向の位置に応じて変更される。
具体的には、画像形成装置10で使用される用紙の主走査方向の端部が通過すると想定される想定位置に配置される第1領域840は、その主走査方向の大きさが大きく設定される。たとえば、想定位置に配置される第1領域840の主走査方向の大きさは、用紙が搬送される際の主走査方向のバラつきの範囲よりも大きく設定されれば良く、適宜変更可能である。また、想定位置に配置される第1領域840は、その主走査方向における中央の位置が、想定位置に一致するように配置される。このようにすれば、用紙が搬送される際に、用紙の主走査方向の位置が多少ずれた場合であっても、用紙のエッジ位置が第1領域840の上を通過する。
一方、想定位置以外の位置に配置される第1領域840は、その主走査方向の大きさが、想定位置に配置される第1領域840の主走査方向の大きさよりも小さく設定される。
たとえば、想定位置に配置される第1領域840は、その主走査方向の大きさが、読取画素の5画素分の大きさに設定される。また、想定位置以外の位置に配置される第1領域840は、その主走査方向の大きさが、1画素分の大きさに設定される。
また、図12に示す範囲では、A4サイズの想定位置と、レターサイズの想定位置に、主走査方向の大きさが大きい第1領域840が配置される。また、A4サイズの想定位置と、レターサイズの想定位置以外の位置に、主走査方向の大きさが小さい第1領域840が配置される。なお、図示は省略するが、上記以外の用紙サイズの想定位置においても、主走査方向の大きさが大きい第1領域840が配置される。
この第3実施例によれば、基準部材84の基準パターンにおいて、画像形成装置10で使用される用紙の主走査方向の端部が通過すると想定される想定位置に第1領域840が配置されるので、用紙の主走査方向の端部に余白が存在する場合に、エッジ位置の検出精度を高めることができる。
[第4実施例]
第4実施例の画像形成装置10は、基準画像データ304cおよび検出用画像データ304dに含まれる複数の読取画素のそれぞれに、明度レベルを設定するようにした以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
図13は第4実施例におけるエッジ位置の検出方法を示す図解図である。図13に示すように、基準画像データ304cおよび検出用画像データ304dに含まれる複数の読取画素のそれぞれに、明度に応じた明度レベルが設定される。たとえば、明度レベルは、黒色(最も暗い色)を“0”とし、白色(最も明るい色)を“100”とする101段階の数値で表される。この第4実施例では、各読取画素に設定された色情報として、黒色または白色で示す情報に代えて、明度レベルを示す情報が用いられる。
また、基準画像データ304cに含まれる基準パターンの第1領域840の色および第2領域842の色のそれぞれに読取画素の明度レベルの範囲が設定される。たとえば、基準画像データ304cに含まれる基準パターンの第1領域840に対応する読取画素の明度レベルの範囲は“0〜30”である。また、基準画像データ304cに含まれる基準パターンの第2領域842に対応する読取画素の明度レベルは“70〜100”である。
このため、検出用画像に含まれる或る検出用読取画素の明度レベルが“0〜30”または“70〜100”以外の明度レベルである場合、その検出用読取画素の色が、基準部材84の基準パターンに使用された色以外の色であると判断される。つまり、基準パターンに含まれる色と異なる色であると判断される。基準パターンに使用された色と異なる色の検出用読取画素の位置においては、基準読取画素の色と、検出用読取画素の色とが異なると判断される。なお、基準画像データ304cに含まれる基準パターンの第1領域840および第2領域842のそれぞれに読取画素の明度レベルの範囲は、上述した例に限定される必要は無く、適宜変更可能である。また、明度レベルの範囲に代えて、第1領域840の色および第2領域842の色のそれぞれに対応する閾値を用いても良い。
そして、第4実施例では、基準パターンに使用された色と異なる色の読取画素(検出用読取画素)のうち、最も主走査方向の外側の読取画素の位置が、エッジ位置と判断される。たとえば、図13に示す例では、左から8番目の読取画素の位置が、エッジ位置と判断される。
この第4実施例では、基準画像データ304cおよび検出用画像データ304dに含まれる複数の読取画素のそれぞれに、明度レベルを設定し、基準パターンに使用された色と異なる色の読取画素の位置に応じてエッジ位置を検出するようにした。このようにすれば、白色以外の用紙が用いられた場合などにおいても、エッジ位置の検出精度を高めることができる。
なお、第3実施例および第4実施例で示した変形は、第2実施例の画像形成装置10にも適用することができる。また、第4実施例で示した変形は、第3実施例の画像形成装置10にも適用することができる。
また、上述の実施例で挙げた具体的な数値、構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。